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特許7624694Th1/Th2サイトカインバランス調整剤及びそれを用いたアトピー性皮膚炎改善剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】Th1/Th2サイトカインバランス調整剤及びそれを用いたアトピー性皮膚炎改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20250124BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20250124BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20250124BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20250124BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20250124BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20250124BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20250124BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250124BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250124BHJP
   A23C 9/133 20060101ALN20250124BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20250124BHJP
   A23G 3/48 20060101ALN20250124BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20250124BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20250124BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A61K8/63
A61K8/9789
A61K31/706
A61K36/81
A61P17/04
A61P37/08
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61Q19/00
A23C9/133
A23G3/34 101
A23G3/48
A23G4/06
A23L2/00 F
A23L2/52
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020083125
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021177702
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 賢知
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】トマト種子抽出物および含有サポニンlycoperoside HのI型アレルギー性皮膚炎症状に対する作用,日本農芸化学会2020年度大会大会要旨集,2020年03月05日,講演番号:2A06a10
【文献】アトピー性皮膚炎におけるサイトカインネットワーク,日医大医会誌,2017年,Vol.13,No.1,pp.8-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61P
A61Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマト種子及び/又はその抽出物を有効成分とするTh1/Th2サイトカインバランス改善剤。
【請求項2】
リコペロサイドHを有効成分とするTh1/Th2サイトカインバランス改善剤。
【請求項3】
トマト種子及び/又はその抽出物を有効成分とする総IgE量減少剤。
【請求項4】
リコペロサイドHを有効成分とする総IgE量減少剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,Th1/Th2サイトカインバランス調整剤それを用いたアトピー性皮膚炎改善剤に関するものである。本発明は,食品,薬品、化粧品等に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
トマト(Solanum lycopersicum)は世界中で日常的に食されている植物であり,ビタミンC,リコピン,GABAなどの成分を豊富に含むことからジュースやサプリメントとして販売されている。トマトの機能性としては,血圧低下作用やコレステロール低下作用が報告されている。また,2004年にはトマトから新規のサポニンであるesculeoside類が同定され(非特許文献1及び非特許文献2),そのうちesculeoside Aにはマウスにおける高脂血症および動脈硬化の改善作用が見出されている(非特許文献3)。しかしながら,これらは全てトマトの果実における知見であり,トマトの種子に限定した報告は少ない。
【0003】
一方、ヘルパーT細胞(以下、Thと略す)は、機能的にI型ヘルパーT細胞(以下、Th1と略す)とII型ヘルパーT細胞(以下、Th2と略す)に分けられる。
【0004】
Th1は、IFN-γ、IL-12(インターロイキン-12)等のTh1型サイトカインを産出し、細菌やウイルスなどの異物を攻撃、破壊して感染を防御し、さらにマクロファージも活性化する。なお、IL-12は、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞からも分泌されるサイトカインで、ガン細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)や、ラック細胞(LAK細胞)、キラーT細胞(CTL細胞)を活性化したり、インターフェロンγ(IFN-γ)の産生を増強したりする、非常に強力な免疫活性物質として知られている。
【0005】
また、Th2は、IL-4、IL-5、IL-10等などのTh2型サイトカインを産出し、カビやダニなどに反応してB細胞にIgE抗体を作らせる液性免疫に関与することが知られている。
【0006】
なお、Th1型サイトカインはTh2を抑制し、逆にTh2型サイトカインはTh1を抑制し、この2つは免疫全体のバランスを保つために互いに関係し合っている。
【0007】
近年、免疫研究が進むにつれて、Th1とTh2のバランスが病気の発症や進展に重要な働きを持つと推測されている。最近では、生活環境からTh2が亢進する傾向が強く、例えば、癌、免疫不全、喘息、皮膚炎、アレルギー疾患、腎炎、感染症等が、そのTh2の機能亢進が関与し発症すると考えられている(非特許文献4、特許文献1参照)。
【0008】
このような疾患を治療あるいは予防するためにはTh2の活性化の制御、ひいては、Th産生サイトカインの調節が非常に重要であると考えられている。
【0009】
【文献】Fujiwara S. et al., Tetrahedron, 60, 4915-4920 (2004).
【文献】Ono M. et al., Chem. Pharm. Bull., 54(2), 237-239 (2006).
【文献】Nohara T., J. Trad. Med., 27, 217-224 (2010).
【文献】Springer Seminars in Immunopathology Vol.21(3),1999及び最新医学「自己免疫疾患の臨床1998」,32,1998
【文献】特開2008-195631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記背景の下,トマト種子及び/又はその抽出物及びその含有成分であるリコペロサイドHを用いて, アトピー性皮膚炎を自然発症するモデルマウスで試験した結果、皮膚におけるTh1/Th2サイトカインバランスを改善する作用を有し、これにより、アトピー性皮膚炎を改善する作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、新規な成分を有効成分とするTh1/Th2サイトカインバランス調整剤及びそれを用いたアトピー性皮膚炎改善剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下のとおりである。
1.トマト種子及び/又はその種子抽出物を有効成分とするTh1/Th2サイトカインバランス改善剤。
2.リコペロサイドHを有効成分とするTh1/Th2サイトカインバランス改善剤。
3.トマト種子及び又はその抽出物を有効成分とする総IgE量減少剤。
4.リコペロサイドHを有効成分とする総IgE量減少剤。
5.上記1.~上記4.のうちのいずれか1つの剤を有効成分とするアトピー性皮膚炎改善剤。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例で使用する IL33-Tgマウスの写真である。
図2】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHの皮膚炎症に及ぼす影響を示すグラフである。
図3】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHによるホイール運動量の変化を示すグラフである。
図4】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHによるTEWLの変化を示すグラフである。
図5】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHにおける血清IgE量の変化を示すグラフである。
図6】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHにおける皮膚Th1/Th2サイトカインバランスの変化を示すグラフである。
図7】トマト種子抽出物およびリコペロサイドHにおけるマウス肢皮膚のHE染色標本の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は,トマト種子及び/又はその抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
トマト(学名:Solanum lycopersicum,英語: Tomato)は,南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー,エクアドル)原産のナス科ナス属の植物である。多年生植物で,果実は食用として利用される。緑黄色野菜の一種である。日本語では唐柿(とうし),赤茄子(あかなす),蕃茄(ばんか),小金瓜(こがねうり),珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などの異称もある。
また,本発明は,トマトの部位として種子を用いることを特徴としている。種子に固有のサポニン成分であるリコペロサイド類を含有するからである。このリコペロサイド類としては例えば,リコペロサイドA,リコペロサイド H等が挙げられる。尚,上記リコペロサイド Aとは,下記化学式(1)に示される化合物であり,リコペロサイド Hは下記化学式(2)に示される化合物である。
本発明ではトマト種子をそのまま用いてもよいが、トマト種子抽出物をもちいることが好ましい。高濃度のリコペロサイド類等有効成分を得ることができるからである。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
また,上記トマトの種子から有効成分を抽出する方法として撹拌抽出,連続抽出,浸漬抽出,向流抽出など任意の方法を採用することができ,室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。この場合,抽出物を得るための抽出溶媒としては,例えば水,低級1価アルコール(メチルアルコール,エチルアルコール,1-プロパノール,2-プロパノール,1-ブタノール,2-ブタノール等),液状多価アルコール(グリセリン,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール等),低級エステル(酢酸エチル等),炭化水素(ベンゼン,ヘキサン,ペンタン等),ケトン類(アセトン,メチルエチルケトン等),エーテル類(ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジプロピルエーテル等),アセトニトリル等が挙げられ,それらの一種又は二種以上を用いることができる。トマト種子に含有される固有の成分であるリコペロサイド類等を高濃度に含有させることができるからである。
【0017】
好ましい抽出方法の例としては,濃度0~100%(v/v)の含水エタノール又は含水メタノールを用い,室温で,又は加温して1~10時間抽出を行った後,ろ過する方法等が挙げられる。より高濃度のリコペロサイド類等の有効成分を含有する抽出物を得ることができるからである。
【0018】
また,上記トマト種子抽出物は市販品を用いることもでき,この場合,上記リコペロサイド類を含有するものが好ましい。これらの市販品としては,例えば,オリザ油化株式会社製の「トマト種子エキス-P」等が挙げられる。
【0019】
また、本発明は、リコペロサイドHを有効成分とすることを特徴とする。
【0020】
リコペロサイドHを得る方法は特に限定されないが、植物から抽出、精製する方法が特に好ましい。
リコペロサイドHを植物から抽出する場合、その原料は特に限定されないが、特にトマトを用いることが好ましい。リコペロサイドHを高濃度含有するからである。
また、トマトからリコペロサイドHを得る場合、その部位として、トマトの種子を用いる。リコペロサイドHはトマトの果肉、果皮等には含まれておらず、トマトの種子のみに含まれているからである。
【0021】
また、抽出法として溶媒抽出を行う場合、抽出物を得るための抽出溶媒としては、例えば水、低級1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、低級エステル(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられ、それらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0022】
好ましい抽出方法の例としては、濃度0~100%(v/v)の含水エタノール又は含水メタノールを用い、室温で、又は加温して1~10時間抽出を行った後、ろ過する方法等が挙げられる。具体的には、例えば、本願明細書の実施例の方法で得ることができる。
【0023】
本発明のTh1/Th2サイトカインバランス調整剤及びそれを用いたアトピー性皮膚炎改善剤(以下、単に「本発明の剤」という。)は,各種飲食品用組成物の素材として使用することができる。飲食品としては,例えば,菓子類(ガム,キャンディー,キャラメル,チョコレート,クッキー,スナック,ゼリー,グミ,錠菓等),麺類(そば,うどん,ラーメン等),乳製品(ミルク,アイスクリーム,ヨーグルト等),調味料(味噌,醤油等),スープ類,飲料(ジュース,コーヒー,紅茶,茶,炭酸飲料,スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や,健康食品(錠剤,カプセル等),栄養補助食品(栄養ドリンク等)機能性表示食品,特定保健用食品が挙げられる。これらの飲食品に本発明の剤を適宜配合するとよい。
【0024】
これら飲食品用組成物には,その種類に応じて種々の成分を配合することができ,例えば,ブドウ糖,果糖,ショ糖,マルトース,ソルビトール,ステビオサイド,コーンシロップ,乳糖,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,コハク酸,乳酸,L-アスコルビン酸,dl-α-トコフェロール,エリソルビン酸ナトリウム,グリセリン,プロピレングリコール,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,アラビアガム,カラギーナン,カゼイン,ゼラチン,ペクチン,寒天,ビタミンB類,ニコチン酸アミド,パントテン酸カルシウム,アミノ酸類,カルシウム塩類,色素,香料,保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0025】
具体的な製法としては,本発明の剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し,これを粉末,顆粒,打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また,前記本発明の剤を,例えば,油脂,エタノール,グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし,飲料に添加するか,固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム,デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし,飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0026】
本発明の剤を飲食品に適用する場合の添加量としては,健康維持や美容が主な目的であるので,飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
【0027】
本発明の剤は,薬品用組成物(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に,本発明の剤を適宜配合して製造することができる。本発明の剤に配合しうる製剤原料としては,例えば,賦形剤(ブドウ糖,乳糖,白糖,塩化ナトリウム,デンプン,炭酸カルシウム,カオリン,結晶セルロース,カカオ脂,硬化植物油,カオリン,タルク等),結合剤(蒸留水,生理食塩水,エタノール水,単シロップ,ブドウ糖液,デンプン液,ゼラチン溶液,カルボキシメチルセルロース,リン酸カリウム,ポリビニルピロリドン等),崩壊剤(アルギン酸ナトリウム,カンテン,炭酸水素ナトリウム,炭酸カルシウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸モノグリセリド,デンプン,乳糖,アラビアゴム末,ゼラチン,エタノール等),崩壊抑制剤(白糖,ステアリン,カカオ脂,水素添加油等),吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基,ラウリル硫酸ナトリウム等),吸着剤(グリセリン,デンプン,乳糖,カオリン,ベントナイト,硅酸等),滑沢剤(精製タルク,ステアリン酸塩,ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0028】
本発明の剤の投与方法は,一般的には,錠剤,丸剤,軟・硬カプセル剤,細粒剤,散剤,顆粒剤,液剤等の形態で経口投与することができるが,非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は,溶液の状態,または分散剤,懸濁剤,安定剤などを添加した状態で,局所組織内投与,皮内,皮下,筋肉内および静脈内注射などによることができる。また,坐剤などの形態としてもよい。
【0029】
投与量は,投与方法,病状,患者の年齢等によって変化し得るが,大人では,通常,1日当たり有効成分として0.5~5000mg,子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。
本発明の剤の配合比は,剤型によって適宜変更することが可能であるが,通常,経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%,非経口投与による場合は,0.01~10wt%程度にするとよい。なお,投与量は種々の条件で異なるので,前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし,また,範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0030】
本発明の剤は、皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む)として用いても、本発明の剤としての作用を期待することができる。
本発明の剤を配合しうる皮膚外用剤の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。また、本発明の本発明の剤を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0031】
上記形態の皮膚外用剤には本発明の剤の他に、その本発明の剤の効果を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0032】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0033】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0034】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0035】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0036】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0037】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0039】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0040】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロテノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0041】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロテノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0042】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例
【0043】
以下,本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例:トマト種子抽出物及びリコペロサイドHの単離
乾燥トマト種子 をメタノールで抽出(70℃,2時間)してメタノール抽出物を得た。得られたメタノール抽出物を水に分散させ,酢酸エチルおよびn-ブタノールで順次分配抽出を行い,酢酸エチル可溶部0.63 g,n-ブタノール可溶部2.41 gおよび水可溶部5.05 gをそれぞれ得た。n-ブタノール分画をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1→7:3→クロロホルム:メタノール:水=6:4:1→メタノール)に供し,Fr. 1~を得た。Fr. 3(1.1 g)を逆相ODSカラムクロマトグラフィー(メタノール濃度20%→50%→80%→100%)に供し,Fr.3-1~を得た。Fr.3-3(mg)から逆相HPLC分取(Inertsil ODS-SP, 70%メタノール)によってサポニン化合物であるリコペロサイドHを単離した。各化合物は1H-NMR(600 MHz)および13C-NMR(150 MHz)スペクトルを文献値と比較することにより同定した。
【0044】
試験例:アトピー性皮膚炎症状に対する影響の評価
試験サンプル:トマト種子抽出物として上述のn-ブタノール分画を用い、リコペロサイドHとして上述の方法にて単離したものを用いた。
試験方法
アトピー性皮膚炎症状に対する影響の評価は,アトピー性皮膚炎を自然発症するモデルマウス(IL33-Tgマウス:図1)を用いて実施した。発症前からマウスにトマト種子抽出物(500 mg/kg/day)またはリコペロサイドH(10 mg/kg/day)を毎日14週間経口投与した。皮膚炎症状の発症を確認後,まず四肢の炎症スコア,ホイール試験による運動量およびTEWLを測定した。その結果を図2(炎症スコア)及び図3(ホイール試験)及び図4(TEWL)に示す。
次に,血清IgEおよび皮膚中Th1/Th2サイトカイン(IL-2, IFN-γ,IL-4およびIL-5)の定量を行うとともに,皮膚の病理標本を作製して顕微鏡観察を行った。その結果を図5(血清中の総IgE量)、図6(皮膚中のサイトカインバランス)及び図7(病理標本の顕微鏡写真)を示す。なお、血清IgEと皮膚サイトカインはMouse IgE,ELISA KitおよびTh1/Th2 Mouse Uncoated ELISA Kit with Platesをそれぞれ用いて測定した。
【0045】
結果及び実施例の効果
図2に示されるように、四肢の炎症スコアにおいてトマト種子抽出物投与群では皮膚の炎症が抑えられる傾向を示し,リコペロサイドH投与群では有意に炎症が抑制された。
また、図3に示されるように,ホイール試験では,炎症によるストレスで低下していた運動量がトマト種子抽出物およびリコペロサイドHの投与によって有意に回復した。
さらに、図4に示すように、TEWLにおいても,トマト種子抽出物およびリコペロサイドHの投与による有意な改善が認められた。これにより、トマト種子抽出物およびリコペロサイドHは、アトピー性皮膚炎の炎症を抑制することが確認され、アトピー性皮膚炎改善剤として有用であることが確認された。
また、図5に示すように、血清中の総IgE量がトマト種子抽出物およびリコペロサイドHの投与によって有意に低下していることが示された。さらに,図6に示すように,皮膚中のサイトカインバランスもアレルギー性皮膚炎において確認されるTh2サイトカイン優位型から正常なバランスに改善されていることが認められた。これにより、トマト種子抽出物およびリコペロサイドH は、Th1/Th2サイトカインバランス改善剤として有用であることが確認された。
また,図7に示されるように、病理標本の顕微鏡観察においても,アトピー性皮膚炎の皮膚で見られる、表皮の肥厚および好酸球湿潤(黒い粒状の細胞)が未投与のcontrol群で確認された一方で,トマト種子抽出物およびリコペロサイドH投与群ではそれらの症状が正常マウスのように回復していることがわかった。トマト種子抽出物およびリコペロサイドHはアトピー性皮膚炎改善剤として有用であることが確認された。
以上により、トマト種子抽出物およびリコペロサイドHは、総IgE量減少剤、Th1/Th2サイトカインバランス改善剤、アトピー性皮膚炎改善剤として有用であることが確認された。
【0046】
以下により,本発明の剤(トマト種子抽出物)の配合例を挙げるが,下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 52.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
トマト種子抽出物 0.5
100.0wt%
【0047】
配合例2:グミ
還元水飴 38.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
桜の花エキス 1.0
グルコシルセラミド 1.0
トマト種子抽出物 1.0
100.0wt%
【0048】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.2
有機酸 2.0
香料 0.2
桜の花エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
トマト種子抽出物 0.4
100.0wt%
【0049】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
桜の花エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
トマト種子抽出物 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0050】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
イチゴ種子エキス 0.05
グルコシルセラミド 0.05
トマト種子抽出物 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0051】
配合例6:ソフトカプセル
米胚芽油 86.0wt%
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳化剤 12.0
トマト種子抽出物 1.0
100.0wt%
【0052】
配合例7:錠剤
乳糖 53.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
トマト種子抽出物 1.0
100.0wt%
【0053】
配合例8:顆粒内服剤(医薬品)
トマト種子抽出物 1.0wt%
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 7.0
ポリビニールピロリドン 1.0
100.0wt%
【0054】
配合例9:錠菓
砂糖 75.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
トマト種子抽出物 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0055】
配合例10:キャットフード
とうもろこし 33.0wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.9
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
トマト種子抽出物 1.0
タウリン 0.1
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
【0056】
配合例11:ドッグフード
とうもろこし 30.0wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 24.0
糟糠類 5.0
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
トマト種子抽出物 5.0
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
【0057】
配合例12:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
トマト種子抽出物 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0058】
配合例13:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
トマト種子抽出物 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0059】
配合例14:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
トマト種子抽出物 1.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0060】
配合例15:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L-アルギニン 1.0
トマト種子抽出物 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0061】
配合例16:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
トマト種子抽出物 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上,説明したように,本発明は新規なTh1/Th2サイトカインバランス調整剤及びそれを用いたアトピー性皮膚炎改善剤を提供することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7