(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20250124BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/16
(21)【出願番号】P 2020202736
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】520240339
【氏名又は名称】RUDIE’S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】金丸 竜児
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-237355(JP,A)
【文献】特開2002-84927(JP,A)
【文献】特開2016-185136(JP,A)
【文献】特開平11-146745(JP,A)
【文献】特開2014-7992(JP,A)
【文献】米国特許第3902265(US,A)
【文献】米国特許第2556205(US,A)
【文献】米国特許第8689479(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00
A01K 85/02
A01K 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアーボディと、
前記ルアーボディに取り付けられたフックとを備えるルアーであって、
前記ルアーボディのバックには、テールに向けて延びる溝が設けられ
るとともに、前記溝の前端部には穴部が設けられ、
前記穴部にフックアイが取り付けられ、前記フックアイに、スプリットリングが接続し、前記スプリットリングに、前記フックのシャンクの端部のアイが接続して、
前記溝には、前記シャンクが出入可能に格納されて、前記フックのフックポイントを含めたベンドが上向きに露出するようにし、
前記穴部には、前記スプリットリングが出入可能に格納されることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記フックは、磁性体で形成されており、
前記ルアーボディには、前記
シャンクを前記溝に格納した状態を保持し、前記フックに力がかかったときに、前記
シャンクが前記溝から外れるようにする磁石が設けられることを特徴とする請求項
1に記載のルアー。
【請求項3】
前記ルアーボディの下部にバランスウエイトが設けられることを特徴とする請求項1
または2に記載のルアー。
【請求項4】
前記フックは、複数のフックポイントを有することを特徴とする請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに使用されるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
釣りに使用されるルアーには、ルアーボディと、ルアーボディに取り付けられたフックとを備えるものがある。この種のルアーに関する技術として、例えば特許文献1には、簡易な構造で、飛び易くかつ適切な水中姿勢が実現されたルアーを提供することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ルアーボディにフックが取り付けられたルアーでは、水中でルアーを動かすことで、フックが水中の障害物に引っかかり根がかりを起こすことがあった。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、水中で根がかりしにくいルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルアーは、ルアーボディと、前記ルアーボディに取り付けられたフックとを備えるルアーであって、前記ルアーボディのバックには、テールに向けて延びる溝が設けられるとともに、前記溝の前端部には穴部が設けられ、前記穴部にフックアイが取り付けられ、前記フックアイに、スプリットリングが接続し、前記スプリットリングに、前記フックのシャンクの端部のアイが接続して、前記溝には、前記シャンクが出入可能に格納されて、前記フックのフックポイントを含めたベンドが上向きに露出するようにし、前記穴部には、前記スプリットリングが出入可能に格納されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水中で根がかりしにくく、ばらしが起きにくいルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態のルアーの側面図および断面図である。
【
図5】実施形態のルアーの変形例の側面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態に係るルアーについて図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、上側をUp、下側をLo、右側をRi、左側をLe、前側をFr、後側をRrとして示している。本願において上下、左右、前後の方向は、水中でルアーを動かすときの通常姿勢、本実施形態では後述するようにバランスウエイト(おもり)140a、140bが下方に向く姿勢を基準とする。
【0010】
図1は、ルアー100の斜視図である。
図2(a)は、ルアー100の側面図、
図2(b)は、
図3のI-I線での断面図である。
図3は、ルアー100の平面図である。
図4は、ルアー100の底面図である。
ルアー100は、ルアーボディ110と、ルアーボディ110に取り付けられたフック130とを備えるハードプラグ、具体的にはシンキングペンシルと呼ばれるタイプのルアーである。
【0011】
ルアーボディ110は、ルアー100の本体として機能し、左右一対の合成樹脂製の半割部材110L、110Rを接合させて構成される。ルアーボディ110は、略流線型であり、外観形状が小魚を模して形成されており、全体に小魚を模した着色がされている。このように小魚に模しているため、ルアーボディ110は、頭部分であるヘッド111、背中部分であるバック112、腹部分のベリー113、尾部分のテール114に分けることができる。なお、ルアーボディ110が半割構造を有するものとしたが、その構造は限定されるものではなく、また、材質も限定されるものではない。
【0012】
ヘッド111は、ルアーボディ110の頭部分である。ヘッド111は、ルアーボディ110の前端部に位置する。ヘッド111の前端には、釣り糸であるラインを結ぶラインアイ115が取り付けられる。また、ヘッド111には、小魚の目を模したアイが設けられ、小魚のエラを模したエラ部が造形される。なお、ヘッド111に、水を受けることによって深く潜るためのリップを有していてもよい。
【0013】
バック112は、ルアーボディ110の背中部分である。バック112は、ルアーボディ110の上部に位置する。本実施形態では、バック112に、テール114に向けて延びる溝120が設けられる。溝120は、後述するように、フック130の一部であるシャンク131を出入可能に格納する。半割部材110L、110Rそれぞれの接合面に形成された凹部116が相まって溝120を構成する。
【0014】
ベリー113は、ルアーボディ110の腹部分である。ベリー113は、ルアーボディ110の下部に位置する。ベリー113には、不図示のフックを接続するためのフックアイ117が取り付けられる。なお、本実施形態では、ベリー113にフックアイ117を1つしか有していないが、複数個のフックアイを有して、複数のフックを接続できるようにしてもよいし、フックアイがなくてもよい。
【0015】
テール114は、ルアーボディ110の尾部分である。テール114は、ルアーボディ110の後端部に位置する。テール114の後端には、不図示のフックやブレードを接続するためのフックアイ118が取り付けられる。なお、テール114にフックアイがなくてもよい。
【0016】
このようにしたルアーボディ110は、
図2(b)に示すように、その内部が中空構造を有し、複数の区分けされた空間が形成される。例えば、ヘッド111側の下部に空間が形成され、この空間にバランスウエイト140bが収納される。また、ベリー113側に空間が形成され、この空間にバランスウエイト140aが収納される。また、溝120の底部の下方に前後に並ぶ空間が形成され、これら空間に磁石160が収納される。なお、これ以外にも、ルアーボディ110に、例えばぶつかり合うことで音をならす小さいビーズ状の玉であるラトルが内蔵されるようにしてもよい。
【0017】
ルアーボディ110のバック112に設けられた溝120は、ルアーボディ110の長手方向の略中央部からテール114にかけて配置される。
図1、
図2(b)、
図3に示すように、溝120の前端部には、溝120の幅および深さよりも大きな幅および深さを有する穴部121が形成される。穴部121の前壁部には、フックアイ119が取り付けられる。
【0018】
フック130は、略J字状に湾曲する釣り針である。フック130は、直線状に延びる軸部であるシャンク131、シャンク131につながる湾曲部であるベンド132、先端部分であるフックポイント133、シャンク131の端部のアイ134を有するシングルフックである。フック130は、磁性体で形成されている。
【0019】
フック130のアイ134が穴部121に配置され、穴部121内で、アイ134とフックアイ119とがスプリットリング150を介して接続する。スプリットリング150は、1本の針金状の金属を束ねて輪にしたものであり、穴部121に自由に出入できるサイズになっている。このようにフック130は、スプリットリング150を介して接続するフックアイ119を中心として、各方向に自由に動くことができる。また、フック130は、スプリットリング150を介して、ルアーボディ110に着脱可能に取り付けられている。スプリットリング150は、フック130の動きにより力がかかることから、一般的には金属疲労を起こしにくいステンレス素材が用いられるが、その他の材質であってもよい。
【0020】
このようにしてルアーボディ110に取り付けられたフック130の一部であるシャンク131が、溝120に格納される。溝120の幅は、シャンク131の直径より大きい。また、溝120の深さは、シャンク131の直径より大きい。したがって、溝120にフック130のシャンク131を格納した状態で、
図2に示すように、側面視でルアーボディ110とシャンク131が重なり合う、すなわちシャンク131がルアーボディ110のバック112側の外郭よりも内側に位置する。そして、フック130のフックポイント133を含めたベンド132が上向きに露出する。
フック130のシャンク131が溝120に格納されたとき、磁石160によりその格納状態が保持される。そして、フック130に一定以上の力(磁石160の磁力による固着力以上の力)がかかったときに、
図2(a)に二点鎖線で示すように、シャンク131が溝120から外れて、フック130は各方向に自由に動くことができる。
【0021】
次に、ルアー100の作用を述べる。
ルアー100は、ヘッド111のラインアイ115に、ルアーロッドのリールにつながるラインが結ばれた状態でキャスティングされる。なお、フックアイ117、118にフックを取り付けなくてもよいし、フックを取り付けるようにしてもよい。
ルアー100が着水すると、ルアー100は水中に沈む。
【0022】
ユーザがリールを巻いて引くと、水中において、ラインに引っ張られてルアー100はヘッド111を前部として進む。このとき、バランスウエイト140a、140bによりルアー100の重心が下部にあるので、バック112が上向き、ベリー113が下向きになる。これが、水中でルアー100を動かすときの通常姿勢である。水流等により力が加わって、ルアー100が前後や左右に傾こうとしたときにも、通常姿勢に戻るような復原性が得られる。
【0023】
また、ラインに引っ張られてルアー100が進むとき、磁石160により、フック130のシャンク131が溝120に格納された状態に保持される。
このようにルアーボディ110に設けられた溝120に、フック130のシャンク131が格納されるので、フック130の一部がルアーボディ110に隠れた状態になって、根がかりの原因となる障害物への接触を減らすことができる。
また、シャンク131の両側に溝120の両壁が位置するとともに、磁石160によりシャンク131の格納状態が保持されるので、フック130の可動範囲が制限され、根がかりの原因となる障害物への接触を減らすことができる。
また、フック130のフックポイント133を含めたベンド132が上向きに露出するので、特に根がかりしやすい水底の水草等の障害物への接触を減らすことができる。
【0024】
そして、ルアー100に魚が食いつくと、フック130に一定以上の力がかかって、シャンク131が溝120から外れる。したがって、フック130は各方向に、具体的には
図2(a)に二点鎖線で示すように上下、前後方向や、
図3に二点鎖線で示すように左右方向に自由に動くことができる。このようにフック130は、魚の動きに合わせて各方向に自由に動くので、魚の抵抗によりフック130にかかる力が分散し、フック130が魚の口から外れる、所謂ばらしが起きにくい。
【0025】
以上述べたように、水中で根がかりしにくく、ばらしが起きにくいルアー100を提供することができる。
【0026】
以上、本発明を種々の実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、実施形態および変形例を適宜、組み合わせてもよい。
図5(a)は、ルアー100の変形例の側面図である。
図5(b)は、ルアー100の変形例の断面図である。
例えば、フック130が、シングルフックではなく
図5のように複数のフックポイント133を有するフック135であってもよい。
【0027】
また、バランスウエイトの数や位置は、ルアーボディ110のサイズや形状、バック112側に取り付けられるフック130の重さ等に応じて、ルアー100に必要な復原性が得られ、バランスを取ることができるように適宜設定されればよい。また、バランスウエイトがルアーボディ110に内蔵されることに限定されるものではなく、例えばルアーボディ110に外付けするような構成でもよい。
【符号の説明】
【0028】
100:ルアー 110:ルアーボディ 111:ヘッド 112:バック 113:ベリー 114:テール 116:凹部 120:溝 130、135:フック 131:シャンク 132:ベント 133:フックポイント 140a、140b:バランスウエイト 150:スプリットリング 160:マグネット