(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】光学式距離計及びその評価方法
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
G01C3/06 120Q
(21)【出願番号】P 2022163601
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503249810
【氏名又は名称】株式会社OptoComb
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】興梠 元伸
(72)【発明者】
【氏名】今井 一宏
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-013574(JP,A)
【文献】特開2021-110698(JP,A)
【文献】特開2001-264171(JP,A)
【文献】特開昭53-106071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01S 17/32
G01B 9/02001
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強度又は位相が周期的に変調された光を測定光として測定対象物に照射する反射光学系からなる投光部と、
上記投光部を介して上記測定対象物に照射された測定光のうち上記測定対象物により反射された光を強度又は位相が周期的に変調された参照光と重ね合わせる干渉光学系と、
上記投光部から出射される測定光で測定対象物を走査する反射型走査光学系
と、
上記干渉光学系により得られる上記測定対象物により反射されて上記反射型走査光学系を介して戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を受光する受光部と、
上記受光部による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号である測定信号が入力され、上記測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記測定対象物までの距離を算出し、
上記測定対象物の複数の点までの絶対距離を計測して立体像を得る信号処理部と
を備え、
上記干渉光学系は、上記測定対象物により反射されて上記反射型走査光学系を介して戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を上記受光部に入射させることを
特徴とする光学式距離計。
【請求項2】
上記反射光学系からなる投光部は、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価する評価実験系により群遅延分布が評価済であることを特徴とする請求項1に記載の光学式距離計。
【請求項3】
上記投光部に備えられる反射光学系は、光出力端からから空間に放射される変調光を平行光に変換する反射型コリメータであり、
上記光出力端は、光の発生源から空間に光を出力する部分または光の発生源から光導波路で延長された光路の終端部で空間に光を出力する部分であることを特徴とする請求項
2に記載の光学式距離計。
【請求項4】
上記反射光学系として、変調光を平行光に変換する反射型コリメータを上記投光部に備えるとともに、上記干渉光学系により得られる干渉光を収束光に変換して受光素子に入射させる反射型フォーカサーを上記受光部に備えることを特徴とする請求項
3に記載の光学式距離計。
【請求項5】
上記干渉光学系は、上記光源から上記投光部を介して測定光として出射される変調光を参照光と測定光とに分離し、基準光路を通過させた上記参照光と、測定光を上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光とを重ね合わせて干渉光を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項
3の何れか1項に記載の光学式距離計。
【請求項6】
上記光出力端から空間に放射された変調光が分岐されて入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と、他方の投光部から出射される変調光を参照光として重ね合わせて干渉光を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項
4の何れか1項に記載の光学式距離計。
【請求項7】
上記光出力端から空間に放射された変調光が分岐されて入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と、他方の投光部から出射され上記基準光路を通過させた変調光を参照光として重ね合わせて干渉光を得ることを特徴とする請求項
5に記載に記載の光学式距離計。
【請求項8】
互いに可干渉性のある変調光を空間に放射する2台の光源と、上記2台の光源から空間に放射された変調光が入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光に、他方の投光部から出射される変調光を参照光として重ね合わせて干渉光を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項
4の何れか1項に記載の光学式距離計。
【請求項9】
上記一方の投光部から測定光として出射された変調光と上記他方の投光部から参照光として出射された変調光を重ね合わせた参照干渉光を受光する参照用受光部を備え、上記干渉光学系は、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光に、他方の投光部から出射される変調光を参照光として重ね合わせて測定干渉光を得て上記受光部に入射させるとともに、上記一方の投光部から測定光として出射された変調光と上記他方の投光部から参照光として出射された変調光を重ね合わせた参照干渉光を得て上記参照用受光部に入射させ、上記信号処理部は、上記受光部による上記測定干渉光の検出出力として得られる測定信号と上記参照用受光部による上記参照干渉光の検出出力をとして得られる参照信号との時間差から、上記測定対象物までの距離を算出することを特徴とする請求項
8に記載の光学式距離計。
【請求項10】
上記参照用受光部は、上記干渉光学系により得られる参照干渉光を収束光に変換して受光素子に入射させる反射型フォーカサーを上記参照用受光部に備えることを特徴とする請求項
9に記載の光学式距離計。
【請求項11】
上記2台の光源は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる測定光と参照光を出力する光コム光源であり、上記干渉光学系は光コム干渉計であることを特徴とする請求項
9に記載の光学式距離計。
【請求項12】
上記光コム干渉計はファイバー型光コム干渉計であり、上記ファイバー型光コム干渉計を介して空間に放射される測定光を上記測定対象物に照射して、上記測定対象物により反射されて戻ってきた測定光を上記ファイバー型光コム干渉計に入射させる反射型光学系を備えることを特徴とすることを特徴とする請求項
11に記載の光学式距離計。
【請求項13】
光学式距離計の投光部から出射される測定光の群遅延分布を評価する評価方法であって、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価する特徴とする評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光部から変調光を測定対象物に照射して、該測定対象物により反射されて戻ってきた上記変調光を受光部で検出することにより得られる測定信号の時間遅れから、上記測定対象物までの距離を信号処理部により算出する光学式距離計及びその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、精密なポイントの距離計測が可能なアクティブ式距離計測方法として、レーザー光を利用する光学原理による距離計測が知られている。レーザー光を用いて対象物体までの距離を測定するレーザー距離計ではレーザー光の発射時刻と、測定対象に当たり反射してきたレーザー光を受光素子にて検出した時刻との差に基づいて、測定対象物までの距離が算出される。また、例えば、半導体レーザーの駆動電流に三角波等の変調をかけ、対象物での反射光を半導体レーザー素子の中に埋め込まれたフォトダイオードを使用して受光し、フォトダイオード出力電流に現れた鋸歯状波の主波数から距離情報を得ている。
【0003】
本件発明者等は、長い距離を高い精度でしかも短時間に測定することが可能な距離計として、
図12に示すような構成の距離計を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このレーザー距離計200は、測定光S1を出射する第1の光源210と、参照光S2を出射する第2の光源220と、上記第1の光源210から出射された測定光S1と上記第2の光源220から出射された参照光S2が偏波保存コリメータ211,212を介して入射されるプリズムユニット230と、上記第1の光源210から出射された測定光S1が上記プリズムユニット230を介して照射される測定面250及び基準面255と、上記第1の光源210から出射された測定光S1と上記第2の光源220から出射された参照光S2が上記プリズムユニット230を介して重ね合わされて入射され、上記測定光S1と参照光S2との干渉光を検出する第1の光検出器260と、上記測定面250に照射された測定光の上記測定面250による反射光と上記基準面255に照射された参照光の上記基準面255による反射光が上記プリズムユニット230を介して重ね合わされて入射され、上記測定光の反射光と上記参照光の反射光との干渉光を検出する第2の光検出器270と、上記第1の光検出器260により検出された干渉信号と上記第2の光検出器270により検出された干渉信号の時間差に基づいて、光速と測定波長における屈折率から上記基準面255までの距離と上記測定面250までの距離の差を求める信号処理部280とを備える。
【0005】
このレーザー距離計200において、上記プリズムユニット230は、第1の台形プリズム231、第1の直角プリズム232、第2の直角プリズム233、第3の直角プリズム234 、第2の台形プリズム235、第4の直角プリズム236を貼り合わせて一体化した構造の干渉計用プリズムである。
【0006】
上記第1の光検出器260は、上記測定光S1と上記参照光S2との干渉光を検出するものであって、上記プリズムユニット230の第1の台形プリズム231に形成されているビームスプリッタ膜242Aにおいて重ね合わされて二つに分岐された測定光S11,S12と参照光S21,S22との各干渉光を二個のフォトディテクタ261A,261Bにより検出し、その差分を差動検出器262 により検出するようになっている。
【0007】
また、上記第2の光検出器270は、上記測定面250からの反射光S1C’と上記基準面255からの反射光S2C’の干渉光を検出するものであって、上記プリズムユニット230の第2の台形プリズム235に形成されているビームスプリッタ膜242Bにおいて重ね合わされてそれぞれ二つに分岐された反射光S11’,S12’と反射光S21’,S22’との各干渉光を二個のフォトディテクタ271A,271Bにより検出し、その差分を差動検出器272により検出するようになっている。
【0008】
上記信号処理部280は、上記第1の光検出器260により上記測定光S1と上記参照光S2との干渉光を検出して得られる干渉信号の時間差と、上記第2の光検出器270 により上記測定面250からの反射光S1C’と上記基準面255からの反射光S2C’の干渉光を検出して得られる干渉信号の時間差に基づいて、光速と測定波長における屈折率から上記基準面255までの距離と上記測定面250までの距離の差を求める処理を行う。
【0009】
このレーザー距離計200では、測定光S1と参照光S2が第1、2の光検出器260、270において各干渉光として検出されるまでにプリズムユニット230内で経験する光学距離の差はそれぞれ互いに等しく、上記プリズムユニット230の温度が変化しても、上記第1、2の光検出器260、270において検出される各干渉光の相対関係は一定であり、高精度な光干渉観測を行うことができ、第1の光検出器260により検出された干渉信号と第2の光検出器270により検出された干渉信号から信号処理部280により変位、距離又は分布などの計測値を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、投光部から変調光を測定対象物に照射して、該測定対象物により反射されて戻ってきた上記変調光を受光部で検出することにより得られる測定信号の時間遅れから、上記測定対象物までの距離を信号処理部により算出する光学式距離計では、光源から空間に出射される変調光を平行光に変換するコリメータや受光部で入射される変調光を収束光に変換するフォーカサーなどの光学系として光学レンズを用いる屈折光学系が採用されていた。
【0012】
本件発明者等は、光学式距離計において、伝搬するレーザー光のビームが屈折光学系を通過するとき経験する群速度光路差距離の差が光学距離測定歪にどの様に影響するかを検討した。
【0013】
具体的には、先に提案した特許文献1に係るレーザー距離計200の偏波保存コリメータ211,212を通過するビームが経験する群速度光路差距離の差がビーム内でどのように分布しているかを検討し、それが光学距離測定歪にどの様に影響するかを検討した。
【0014】
図13に示すように、屈折率n=1.5712、群屈折率ng=1.5907の硝材で形成されたコリメータレンズについて、焦点位置Aからビームが平行になる位置Bまでの各光線が経験する距離を位相速度と群速度で計算したところ、焦点位置Aから測った位相速度距離と群速度距離のビーム内分布は、
図14に示すようになり、ビーム断面内で距離が分布しており、中央と比べて周辺部は距離が短い。
【0015】
すなわち、コリメータレンズを通過したビームは、位相速度距離が一定値で、
図15に示すように、平行ビーム内で等位相面平面になる。
【0016】
ここで、波長をλ、周波数をfとすると、波数kはk=2π/λで表され、また、角周波数ωはω=2πfで表され、1つの波の位相の等しい点が伝わる速度である位相速度vpはvp=ω/kで表され、二つの波の位相差の等しい点が伝わる速度である群速度vgはvg=dω/dkで表される。真空中では位相速度vpと群速度vgは等しい。また、光コムのパルス波形が伝わる速度は群速度vgである。
【0017】
真空中での光の速度をcとして、屈折率nの媒質中での位相速度vpはvp=c/nで表され、角周波数ωはω=ck=2πc/λで表される。また、群速度vgはvg=c/ngで表される。ngは群屈折率であり、ng=c/vgで表される。
【0018】
屈折率n、距離Lの媒質中を光が進む場合、位相の等しい点の集まりすなわち等位相面が伝搬する時間は、距離Lに屈折率nをかけた光学距離nLを光速cで割った値τで表される。
τ=L/vp=nL/c
【0019】
一方、位相差の等しい点すなわちパルス波形の包絡線が伝搬する時間は、屈折率の波長依存性を含む以下の式でτgで表される。
τg=L/vg=ngL/c=L(n-λdn/dλ)/c
【0020】
このようにパルス波形の包絡線が伝搬する時間τgには屈折率の波長依存性の項があるため、等位相面が伝搬する時間τとパルス波形の包絡線が伝搬する時間τgには時間差がある。
【0021】
群速度v
gは位相速度v
pよりも1~2%程度遅く、硝材を通過する光路差に応じてレンズ中心よりもレンズ周辺部の方が速くレンズを通過するので、外側の光が先に進むことになり、
図16に示すような構成の評価実験系300を用いて評価したところ、モードフィールド径(MFD)が3.5mmのレーザー光がレンズを通過する場合、レーザー光のビームの中央の位置と、ビーム中心のパワー密度を基準として1/e
2のパワー密度まで減衰する外側の位置とでは、3μm程度の距離差がある。
【0022】
評価実験系300において、距離計ヘッド301から測定光ビームを調整ミラー302A,302Bと光チョッパ303を介してリトロリフレクタ304の中心に照射し、リトロリフレクタ304により反射されて距離計ヘッド301に戻ってくる測定光ビームは、光チョッパ303により往路と復路でそれぞれ片側から遮蔽されることにより、リトロリフレクタ304の鏡像の関係で点対象に両側から切られる形になり、
図17に示すように、全てが戻ってくる状態0から徐々に両側から切られてビームの中央が最後まで残り(状態1~状態5)、光チョッパのブレードから外れる際には、ビームの中央からビームが復活する(状態5~状態9)ことを繰り返す。
【0023】
評価実験系300において、リトロリフレクタ304までの距離を繰り返し測定した結果を
図18に示すように、距離計ヘッド301に戻ってくる測定光ビームが状態0から状態9まで変化する過程で、下側に凸の距離変動が生じており、計測可能区間の中央ではビーム全体が計測に使用される状態で周辺部のビームを含むことにより距離が短くなっているのに対し、距離が測れなくなる境界付近では測定光ビームの中央だけで距離を測ってる状態なので距離が長くなっている。
【0024】
このように光学式距離計において、測定光ビームの断面で群遅延の分布ができていると、ビームの中央部と周辺部で数μmの距離差が発生することがあることが判明した。また、ビーム断面の一部分だけ検出された場合、鏡やリトロリフレクタでビームの全部を検出した場合と比べて数μmの距離誤差が発生する場合があることが判明した。
【0025】
そこで、本発明は、上述の如き従来の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、光学式距離計において、伝搬するレーザー光のビームが屈折光学系を通過するとき経験する群速度光路差距離の差、すなわち、測定光ビームの断面での群遅延の分布に起因する測定誤差をなくして、高精度に距離を計測できるようにすることにある。
【0026】
また、本発明の他の目的は、ビーム面積の一部を検出してもビーム全体を検出した場合と同じ距離を計測できるようにすることにある。
【0027】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明では、測定光ビームの断面での群遅延の分布をなくすために、屈折光学系に代えて反射型光学系を用いる。
【0029】
すなわち、本発明は、光学式距離計であって、強度又は位相が周期的に変調された光を測定光として測定対象物に照射する反射光学系からなる投光部と、上記投光部から出射される測定光で測定対象物を走査する反射型走査光学系と、上記投光部から上記反射型走査光学系を介して上記測定対象物に照射された測定光のうち上記測定対象物により反射されて上記反射型走査光学系から上記投光部を介して戻ってきた測定光を強度又は位相が周期的に変調された参照光と重ね合わせる干渉光学系と、上記干渉光学系により得られる上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を受光する受光部と、上記受光部による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号である測定信号が入力される信号処理部とを備え、上記干渉光学系は、上記投光部から上記反射型走査光学系を介して上記測定対象物に照射された測定光のうち上記測定対象物により反射されて上記反射型走査光学系から上記投光部を介して戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を上記受光部に入射させ、上記信号処理部は、上記測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記測定対象物までの距離を算出し、上記測定対象物の複数の点までの絶対距離を計測して立体像を得ることを特徴とする。
本発明に係る光学式距離計において、上記反射光学系からなる投光部は、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価する評価実験系により群遅延分布が評価済であるものとすることができる。
【0030】
本発明に係る光学式距離計において、上記投光部に備えられる反射光学系は、光出力端からから空間に放射される変調光を平行光に変換する反射型コリメータであり、上記光出力端は、光の発生源から空間に光を出力する部分または光の発生源から光導波路で延長された光路の終端部で空間に光を出力する部分であるものとすることができる。
【0031】
また、本発明に係る光学式距離計は、上記反射光学系として、変調光を平行光に変換する反射型コリメータを上記投光部に備えるとともに、上記干渉光学系により得られる干渉光を収束光に変換して受光素子に入射させる反射型フォーカサーを上記受光部に備えるものとすることができる。
【0032】
また、本発明に係る光学式距離計は、上記投光部から出射される測定光で上記測定対象物体を走査する反射型走査光学系を備え、上記干渉光学系は、上記測定対象物により反射されて上記走査光学系を介して戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を上記受光部に入射させるものとすることができる。
【0033】
また、本発明に係る光学式距離計において、上記干渉光学系は、上記光源から上記投光部を介して測定光として出射される変調光を参照光と測定光とに分離し、基準光路を通過させた上記参照光と、測定光を上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光とを重ね合わせて干渉光を得るものとすることができる。
【0034】
また、本発明に係る光学式距離計は、上記光出力端から空間に放射された変調光が分岐されて入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と、他方の投光部から出射される変調光を参照光として上記測定光とを重ね合わせて干渉光を得るものとすることができる。
【0035】
また、本発明に係る光学式距離計は、互いに可干渉性のある変調光を空間に放射する2台の光源と、上記2台の光源から空間に放射された変調光が入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光に、他方の投光部から出射される変調光を参照光として重ね合わせて干渉光を得るものとすることができる。
【0036】
また、本発明に係る光学式距離計は、上記光出力端から空間に放射された変調光が分岐されて入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部を備え、上記干渉光学系は、一方の投光部から出射される変調光を測定光として上記測定対象物に照射し、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と、他方の投光部から出射され上記基準光路を通過させた変調光を参照光として重ね合わせて干渉光を得るものとすることができる。
【0037】
また、本発明に係る光学式距離計は、上記一方の投光部から測定光として出射された変調光と上記他方の投光部から参照光として出射された変調光を重ね合わせた参照干渉光を受光する参照用受光部を備え、上記干渉光学系は、上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光に、他方の投光部から出射される変調光を参照光として重ね合わせて測定干渉光を得て上記受光部に入射させるとともに、上記一方の投光部から測定光として出射された変調光と上記他方の投光部から参照光として出射された変調光を重ね合わせた参照干渉光を得て上記参照用受光部に入射させ、上記信号処理部は、上記受光部による上記測定干渉光の検出出力として得られる測定信号と上記参照用受光部による上記参照干渉光の検出出力をとして得られる参照信号との時間差から、上記測定対象物までの距離を算出するものとすることができる。
【0038】
また、本発明に係る光学式距離計において、上記参照用受光部は、上記干渉光学系により得られる参照干渉光を収束光に変換して受光素子に入射させる反射型フォーカサーを上記参照用受光部に備えるものとすることができる。
【0039】
また、本発明に係る光学式距離計において、上記2台の光源は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる測定光と参照光を出力する光コム光源であり、上記干渉光学系は光コム干渉計であるものとすることができる。
【0040】
さらに、本発明に係る光学式距離計において、上記光コム干渉計はファイバー型光コム干渉計であり、上記ファイバー型光コム干渉計を介して空間に放射される測定光を上記測定対象物に照射して、上記測定対象物により反射されて戻ってきた測定光を上記ファイバー型光コム干渉計に入射させる反射型光学系を備えるものとすることができる。
また、本発明は、光学式距離計の投光部から出射される測定光の群遅延分布を評価する評価方法であって、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価する特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る光学式距離計では、光学レンズを用いる屈折光学系と異なり、光の経路が分散の少ない空気を通ることにより、ビーム断面で群遅延の分布ができにくい平面、凹面、凸面など反射鏡による反射型光学系を屈折光学系に代えて用いるので、測定光ビームの断面での群遅延の分布に起因する測定誤差をなくして、高精度に距離を計測できる。
【0042】
また、本発明に係る光学式距離計では、測定光ビームの断面での群遅延の分布に起因する測定誤差をなくすことにより、ビーム面積の一部を検出してもビーム全体を検出した場合と同じ距離を計測することができる。
【0043】
すなわち、本発明に係る光学式距離計では、干渉光学系は反射光学系からなる投光部から反射型走査光学系を介して測定対象物に照射された測定光のうち上記測定対象物により反射されて上記反射型走査光学系から上記投光部を介して戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を受光部に入射させるので、上記反射光学系からなる投光部において測定光のビーム断面で群遅延の分布ができにくく、また、上記投光部から出射される測定光で測定対象物を走査する反射型走査光学系においても、測定光および反射光のビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記測定対象物の表面までの絶対距離を高精度に計測することができ、ビーム照射位置とその場所まで絶対距離を複数の点について蓄積することにより非接触で物体の三次元形状を測定することができる。
また、本発明に係る光学式距離計の投光部から出射される測定光の群遅延分布を評価する評価方法では、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価することで、上記光学式距離計の投光部から出射される測定光の群遅延分布を評価することができる。
したがって、本発明によれば、投光部から出射される測定光の群遅延分布が評価済の光学式距離計として、高品質の光学式距離計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明を適用したレーザー距離計の構成を示す模式図である。
【
図2】上記レーザー距離計の投光部を構成する反射型コリメータを構造を示す断面図である。
【
図3】上記レーザー距離計にえられたプリズムユニットの構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】本発明を適用した光学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図5】本発明を適用した光学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図6】本発明を適用した光学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図7】本発明を適用した光学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図8】本発明を適用した光学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図9】本発明を適用した学式距離計の他の構成例を示す模式図である。
【
図10】本発明を適用した光学式距離計のさらに他の構成例を示す模式図である。
【
図11】本発明を適用した光学式三次元形状測定装置の構成例を示す模式図である。
【
図12】本件発明者等が提案しているレーザー距離計の構成を示す模式図である。
【
図13】コリメータレンズの焦点位置から該コリメータレンズを通過して平行になる位置まで各光線の経路を模式的に示す図である。
【
図14】上記コリメータレンズの焦点位置から測った位相速度距離と群速度距離のビーム内分布を示す図である。
【
図15】上記コリメータレンズを通過したビームの等位相面平面を示す図である。
【
図16】硝材を通過する光線の光路差を評価するための評価実験系の構成を示す模式図である。
【
図17】上記評価実験系において、光チョッパのブレードにより光線が遮られるビームの状態を示す模式図である。
【
図18】上記評価実験系において、リトロリフレクタまでの距離を繰り返し測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0046】
本発明は、例えば
図1に示すような構成のレーザー距離計100に適用される。
【0047】
このレーザー距離計100は、先に提案した特許文献1に係るレーザー距離計に本発明を適用したもので、反射型(偏波保存)コリメータ111を介してS偏光の測定光S1を出射する第1の光源110と、反射型(偏波保存)コリメータ112を介してS偏光の参照光S2を出射する第2の光源120と、上記S偏光の測定光S1と参照光S2が、1/2波長(λ/2)板113,114を介して偏光方向を調整されて入射されるプリズムユニット130を備える。
【0048】
すなわち、このレーザー距離計100は、測定光S1を出射する第1の光源110と、参照光S2を出射する第2の光源120と、上記第1の光源110から出射された測定光S1と上記第2の光源120から出射された参照光S2が入射されるプリズムユニット130と、上記第1の光源110から出射された測定光S1が上記プリズムユニット130を介して照射される測定面150と、上記第2の光源120から出射された参照光S2が上記プリズムユニット130を介して照射される基準面155と、上記第1の光源110から出射された測定光S1と上記第2の光源120から出射された参照光S2が上記プリズムユニット130を介して重ね合わされて入射され、上記測定光S1と参照光S2との干渉光を検出する第1の光検出器160と、上記測定面150に照射された測定光の上記測定面150による反射光と上記基準面155に照射された参照光の上記基準面155による反射光が上記プリズムユニット130を介して重ね合わされて入射され、上記測定光の反射光と上記参照光の反射光との干渉光を検出する第2の光検出器170と、上記第1の光検出器160により検出された干渉信号と上記第2の光検出器170より検出された干渉信号の時間差から、光速と測定波長における屈折率から上記基準面155までの距離と上記測定面150までの距離の差を求める信号処理部180とを備える。
【0049】
上記第1及び第2の光源110,120 は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる干渉性のある測定光S1と参照光S2を出射するものであって、それぞれ周期的に強度又は位相を変調され、互いに変調周期が異なる干渉性のある測定光S1と参照光S2を出射するための光変調器を備える2台の光源、光周波数コムモード間隔が異なる2台の光周波数コム発生器、或いは、光パルス繰り返し周波数が異なる2台のパルス光源からなる。
【0050】
反射型(偏波保存)コリメータ111,112は、第1、第2の光源110,120から空間に放射されるS偏光の測定光S
1、参照光S
2を
発散光から平行光に変換する投光部として機能する反射型光学素子であって、例えば
図2に示すように、放物面鏡111a,112aからなり、光学レンズを用いる屈折光学系と異なり、光の経路が分散の少ない空気を通るので、ビーム断面で群遅延の分布ができにくい。
【0051】
このレーザー距離計100において、第1、第2の光源110,120から反射型(偏波保存)コリメータ111,112を介して発散光から平行光に変換されてプリズムユニット130に入射されるS偏光の測定光S1,参照光S2は、光の経路が分散の少ない空気を通るので、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことなくプリズムユニット130に入射される。
【0052】
上記プリズムユニット130は、
図3に示すように、第1の台形プリズム131、第1の直角プリズム132、第2の直角プリズム133、第3の直角プリズム134、第2の台形プリズム135、第4の直角プリズム136を貼り合わせて一体化した構造の干渉計用プリズムである。
【0053】
このレーザー距離計100において、上記プリズムユニット130は、光路に対して直角をなし互いに直角をなす二つの面131a,131bと光路に対して45°をなし一方の面にビームスプリッタ膜142Aが形成され互いに平行な二つの面131c,131dとを有する第1の台形プリズム131と、上記第1の台形プリズム131の上記ビームスプリッタ膜142Aが形成された面131dに、上記ビームスプリッタ膜142Aを挟んで斜面132cが貼り合わされた第1の直角プリズム132と、一方の斜面に偏光ビームスプリッタ膜143が形成され、上記偏光ビームスプリッタ膜143を挟んで斜面133c,134cが貼り合わされた第2の直角プリズム133と第3の直角プリズム134と、光路に対して直角をなし互いに直角をなす二つの面135a,135bと光路に対して45°をなし一方の面にビームスプリッタ膜142Bが形成され互いに平行な二つの面135c,135dとを有する第2の台形プリズム135と、上記第2の台形プリズム135の上記ビームスプリッタ膜142Bが形成された面135dに、上記ビームスプリッタ膜142Bを挟んで斜面136cが貼り合わされた第4の直角プリズム136とを備える。
【0054】
上記第1の台形プリズム131の長辺側の面131cは全反射面141Aとして機能する。同様に、上記第2の台形プリズム135の長辺側の面135cは全反射面141Bとして機能する。
【0055】
そして、このプリズムユニット130は、上記第1の台形プリズム131の光路に対して直角をなす二つの面131a,131bの一方の面及び上記第1の直角プリズム132の直角をなす二つの面132a,132bの一方の面が、上記ビームスプリッタ膜142Aと偏光ビームスプリッタ膜143が互いに直角となるように、上記第1の直角プリズム132の直角をなす二つの面の一方の面に貼り合わされるとともに、上記第2の台形プリズム135の光路に対して直角をなす二つの面132a,132bの一方の面及び上記第4の直角プリズム136の直角をなす二つの面136a,136bの一方の面が、上記ビームスプリッタ膜142Bと偏光ビームスプリッタ膜143が互いに平行となるように、上記第2の直角プリズム133の直角をなす二つの面の一方の面に貼り合わされている。
【0056】
上記プリズムユニット130は、上記第1の台形プリズム131 、第1の直角プリズム132、第2の直角プリズム133、第3の直角プリズム134、第2の台形プリズム135、第4の直角プリズム136を貼り合わせて一体化することにより構成した台形プリズムであって、その台形プリズムの上部の面と底部の面に反射防止(AR)144 ,145が蒸着されている。
【0057】
そして、このレーザー距離計100において、上記第1の光源110は、反射型(偏波保存)コリメータ111を介してS偏光の測定光S1を出射し、また、上記第2の光源120は、反射型(偏波保存)コリメータ112を介してS偏光の参照光S2を出射する。上記S偏光の測定光S1と参照光S2は、1/2波長(λ/2)板113,114を介して偏光方向を調整されて上記プリズムユニット130 に入射される。
【0058】
上記プリズムユニット130に入射された測定光S1と参照光S2は、上記第2の直角プリズム133の直角をなす二つの面133a,133bの一方の面133aを介して上記偏光ビームスプリッタ膜143に入射され、上記偏光ビームスプリッタ膜143によりそれぞれ二つの測定光S1S,S1Pと参照光S2S,S2Pに分岐される。
【0059】
上記偏光ビームスプリッタ膜143により反射された一方の偏光の測定光S1Sは、ビームスプリッタ膜142Aに入射され、このビームスプリッタ膜142Aにより上記一方の偏光の測定光S1Sが1:1の比率で二つの測定光S11,S12に分岐される。
【0060】
上記ビームスプリッタ膜142Aにより1:1の比率で二つに分岐された測定光S11,S12は、一方の測定光S11が上記第1の直角プリズム132の光路に対して直角をなす面132aを介して出射されて第2の光検出器170に入射され、また、他方の測定光S12が上記全反射面141Aとして機能する面131cにより反射されて90°折り曲げられて上記第1の台形プリズム131の光路に対して直角をなす面131aを介して出射されて上記第2の光検出器170に入射される。
【0061】
また、上記偏光ビームスプリッタ膜143を透過した他方の偏光の測定光S1Pは、上記第2の直角プリズム133の光路に対して直角をなす面133aから出射され、1/4波長(λ/4)板115を介して円偏光の測定光S1Cにされて上記測定面150に照射される。
【0062】
上記測定面150により垂直に反射された反射光S1C’が、上記1/4波長(λ/4)板115を介して上記プリズムユニット130の上記偏光ビームスプリッタ膜143に戻され、上記偏光ビームスプリッタ膜143により反射された一方の偏光の反射光S1S’がビームスプリッタ膜142Bに入射され、このビームスプリッタ膜142Bにより上記一方の偏光の反射光S1S’が1:1の比率で二つの反射光S11’,S12’に分岐される。
【0063】
上記ビームスプリッタ膜142Bにより1:1の比率で二つに分岐された反射光S11’,S12’ は、一方の反射光S11’が上記第4の直角プリズム136の光路に対して直角をなす面136aを介して出射されて第1の光検出器160に入射され、また、他方の反射光S12’が上記全反射面141B として機能する面135cにより反射されて90°折り曲げられて上記第2の台形プリズム135の光路に対して直角をなす面135aを介して出射されて上記第1の光検出器160に入射される。
【0064】
また、上記偏光ビームスプリッタ膜143により反射された一方の偏光の参照光S2Sは、上記記第2の台形プリズム135の上記全反射面141Bとして機能する面135cにより反射されて90°折り曲げられてビームスプリッタ膜142Aに入射され、このビームスプリッタ膜142Aにより上記一方の偏光の参照光S2Sが1:1の比率で二つの参照光S21,S22に分岐される。
【0065】
上記ビームスプリッタ膜142Aにより1:1の比率で二つに分岐された参照光S21,S22は、一方の参照光S21が上記第1の直角プリズム132の光路に対して直角をなす面132aを介して出射されて上記第2の光検出器170に入射され、また、他方の参照光S2が上記全反射面141Aとして機能する面131cにより反射されて90°折り曲げられて上記第1の台形プリズム131の光路に対して直角をなす面131aを介して出射されて上記第2の光検出器170に入射される。
【0066】
また、上記偏光ビームスプリッタ膜143を透過した他方の偏光の参照光S2Pは、上記第2の直角プリズム133の光路に対して直角をなす面133aから出射され、1/4波長(λ/4)板116を介して円偏光の測定光S2Cにされて上記基準面155に照射される。
【0067】
上記基準面155により垂直に反射された反射光S2C’が、上記1/4波長(λ/4)板116を介して上記プリズムユニット130の上記偏光ビームスプリッタ膜143に戻され、上記偏光ビームスプリッタ膜143により反射された一方の偏光の反射光S2S’が上記第2の台形プリズム135の上記全反射面141Bとして機能する面135cにより反射されて90°折り曲げられてビームスプリッタ膜142Bに入射され、このビームスプリッタ膜142Bにより上記一方の偏光の反射光S2S’が1:1の比率で二つの反射光S21’,S22’に分岐される。
【0068】
上記ビームスプリッタ膜142Bにより1:1の比率で二つに分岐された反射光S21’,S22’は、一方の反射光S21’が上記第4の直角プリズム136の光路に対して直角をなす面136aを介して出射されて第1の光検出器160に入射され、また、他方の反射光S22’が上記全反射面141Bとして機能する面135cにより反射されて90°折り曲げられて上記第2の台形プリズム135の光路に対して直角をなす面135aを介して出射されて上記第1の光検出器160に入射される。
【0069】
また、上記第1の光検出器160は、上記測定面150からの反射光S1C’と上記基準面155からの反射光S2C’の干渉光を検出するものであって、上記プリズムユニット130の第2の台形プリズム135に形成されているビームスプリッタ膜142Bにおいて重ね合わされてそれぞれ二つに分岐された反射光S11’,S12’と反射光S21’,S22’との各干渉光を二個のフォトディテクタ161A,161Bにより検出し、その差分を差動検出器162により検出するようになっている。
【0070】
上記第2の光検出器170は、上記測定光S1と上記参照光S2との干渉光を検出するものであって、上記プリズムユニット130の第1の台形プリズム131に形成されているビームスプリッタ膜142Aにおいて重ね合わされて二つに分岐された測定光S11,S12と参照光S21,S22との各干渉光を二個のフォトディテクタ171A,171Bにより検出し、その差分を差動検出器172 により検出するようになっている。
【0071】
上記信号処理部180は、上記第2の光検出器170により上記測定光S1と上記参照光S2との干渉光を検出して得られる干渉信号の時間差と、上記第1の光検出器160により上記測定面150からの反射光S1C’と上記基準面155からの反射光S2C’の干渉光を検出して得られる干渉信号の時間差に基づいて、光速と測定波長における屈折率、群屈折率から上記基準面155までの距離と上記測定面150までの距離の差を求める処理を行う。
【0072】
このレーザー距離計100では、上記プリズムユニット130すなわち台形プリズムの高さをhとすると、上記第1の光源110から出射された測定光S1が上記プリズムユニット130に入射し、上記第2の光検出器170に入射されるまでに上記プリズムユニット130内を伝搬する光学距離は、測定光S11が2h 、測定光S12が2.5hであり、上記第1の光源110から出射された測定光S1が上記プリズムユニット130に入射し、上記第1の光検出器160に入射されるまでに上記プリズムユニット130内を伝搬する光学距離は、反射光S11’が3h、反射光S12’が3.5hである。
【0073】
これに対し、上記第2の光源120から出射された参照光S2が上記プリズムユニット130に入射し、上記第2の光検出器170に入射されるまでに上記プリズムユニット130内を伝搬する光学距離は、参照光S21が1.5h、参照光S22が2hであり、上記第2の光源120から出射された参照光S2が上記プリズムユニット130に入射し、上記第1の光検出器160に入射されるまでに上記プリズムユニット130内を伝搬する光学距離は、反射光S21’が2h 、反射光S22’が2.5hである。
【0074】
すなわち、このレーザー距離計100では、上記第1 、2の光検出器160,170において干渉光を検出するまでに、上記プリズムユニット130内で測定光S1と参照光S2が経験する光学距離の差はそれぞれ1hで互いに等しい。
【0075】
したがって、このレーザー距離計100では、上述の如く、上記第1、第2の光源110,120から反射型(偏波保存)コリメータ111,112を介して発散光から平行光に変換されてプリズムユニット130に入射されるS偏光の測定光S1,参照光S2は、光の経路が分散の少ない空気を通るので、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことなくプリズムユニット130に入射され、上記プリズムユニット130の温度が変化しても、上記第1、2の光検出器160,170において検出される各干渉光の相対関係は一定であり、ゴーストのない高精度な光干渉観測を行うことができる。
【0076】
また、このレーザー距離計100では、上記基準面155までの距離と上記測定面150までの距離の差を出力するので、上記測定面150と上記基準面155を近くに設置することにより、大気の屈折率変化の影響をさらに小さくして測定精度を上げることができる。
【0077】
なお、このレーザー距離計100において、上記第2の直角プリズム133及び第3の直角プリズム134の各斜面133c,134cに挟まれた上記偏光ビームスプリッタ膜143は、ビームスプリッタ膜に置き換えることができる。この場合、光損失は増えるが上記1/4波長(λ/4)板115 ,116は不要になる。
【0078】
ここで、上記レーザー距離計100では、上記第1及び第2の光源110,120は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる干渉性のある測定光S1と参照光S2を出射するものとしたが、本発明はレーザー変位計に適用することもでき、この場合には、参照光S2に無変調の波長安定化光源を用いることができる。レーザー変位計において、測定光には参照光と同じものを用いるか、参照光から一定の周波数をシフトした光を用いる。
【0079】
この場合でも、上記レーザー距離計100と同様に干渉計用プリズムを備える干渉計を用いることにより、基準面までの距離と測定面までの距離の差が実際の光路の差であることがメリットになる。
【0080】
すなわち、変位計では距離の変化しか測定しないが、上記干渉計用プリズムを備える干渉計を用いることにより、測定面と基準面を一致させたときの距離を0 と定義することができる。したがって、大気の屈折率変動を補正する際にも、測定面と基準面を一致させたときの距離を0と定義することで、不明な距離(dead path) が生じない。通常の干渉計を変位計に用いても、参照光と測定光が同方向に出ていないので、このようなことはできない。
【0081】
上述の如く、上記第1、第2の光源110,120から測定光S1,参照光S2が反射型(偏波保存)コリメータ111,112を介して発散光から平行光に変換されて入射される上記プリズムユニット130を干渉光学計として用いることにより、第1の光検出器160により検出された干渉信号と第2の光検出器170により検出された干渉信号から信号処理部180により変位、距離又は分布などの計測値を求めることができ、測定光と参照光が第1、2の光検出器160,170において各干渉光として検出されるまでにプリズムユニット130内で経験する光学距離の差はそれぞれ互いに等しく、上記プリズムユニット130の温度が変化しても、上記第1、2の光検出器において検出される各干渉光の相対関係は一定であり、ゴーストのない高精度な光干渉観測を行うことができる。
【0082】
本発明は、上述の如きレーザー距離計100以外にも、例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の干渉計にとしても使用することができる。上記干渉計用プリズムを備える干渉計を用いることにより、OCTの工業応用における精度を向上することができる。
【0083】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)に上記干渉計用プリズムを備える干渉計を用いる際には、Time domain OCT、Spectral domain OCT、Fourier domain OCTで様々なコヒーレンス(干渉性)の異なる光源が用いられる。また、Time domain OCTとSpectral domain OCTでは参照光に白色光源、測定光に参照光を分岐し相対的な遅延時間を調整した光が用いられる。さらに、Fourier domain OCTでは参照光にSS光源、測定光に参照光を分岐し相対的な遅延時間を調整した光が用いられる。また、Spectral domain OCTでは、光検出器に分光器を用いることになる。
【0084】
ここで、1点の距離だけを算出する上記レーザー距離計100では、第2の光検出器170により検出された干渉信号は、基準面を明確にする役割を果たしている。
【0085】
上記干渉計用プリズムを備える干渉計をOCTに適用する場合、二つの光検出器により検出される各干渉信号のちの一方の干渉信号は、基準面を明確にする役割だけでなく別の役割も果たす。
【0086】
すなわち、OCTの場合には、深さ方向の反射点の分布を示すことが重要な応用であるが、一点から反射してきた光であっても、それを距離に対する反射点の分布に置きなおすと(点像広がり関数)、分布の幅が理論限界より広がることがある。これは干渉するまでに測定光と参照光の経験してきた媒質の分散の違いに起因する。
【0087】
しかしながら、上記干渉計用プリズムを備える干渉計では、第1の光検出器160により検出される干渉信号と、第2の光検出器170により検出される干渉信号は同じ媒質の分散を経験しているので、上記干渉計用プリズムをOCTに適用することにより、第2の光検出器170により検出された干渉信号から測定光と参照光の経験してきた媒質の分散の違いをリアルタイムに算出することが可能になる。
【0088】
さらに、この結果を用いて第1の光検出器160により検出された干渉信号の分散をリアルタイムで補正する計算処理が可能になる。
【0089】
これにより、より明瞭度の高いOCT画像を得ることができる。
【0090】
ここで、上記レーザー距離計100では、上記プリズムユニット130を干渉光学計として用い、上記第1、第2の光源110,120から反射型(偏波保存)コリメータ111,112を介して測定光S1,参照光S2を発散光から平行光に変換して上記プリズムユニット130に入射するようにしたが、本発明は、上記レーザー距離計100のみに限定されるものでなく、投光部から変調光を測定対象物に照射して、該測定対象物により反射されて戻ってきた上記変調光を受光部で検出することにより得られる測定信号の時間遅れから、上記測定対象物までの距離を信号処理部により算出する光学式距離計における測定光ビームの断面での群遅延の分布をなくすために、屈折光学系に代えて反射型光学系を用いるものであって、本発明では、測定対象物に変調光を照射する投光部に反射光学系を備えるものとし、反射型光学系を用いることにより測定光ビームの断面での群遅延の分布をなくして、測定光ビームの断面での群遅延の分布に起因する測定誤差をなくして、上記受光部により得られる測定信号の時間遅れから、上記測定対象物までの距離を信号処理部により高精度に距離を計測する算出する光学式距離計を実現することができる。
【0091】
すなわち、本発明に係る光学式距離計は、強度又は位相が周期的に変調された光を測定光として測定対象物に照射する反射光学系からなる投光部と、上記投光部を介して上記測定対象物に照射された測定光のうち上記測定対象物により反射された光を強度又は位相が周期的に変調された参照光と重ね合わせる干渉光学系と、上記干渉光学系により得られる上記測定対象物により反射されて戻ってきた上記測定光と上記参照光との干渉光を受光する受光部と、上記受光部による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号である測定信号が入力される信号処理部とを備え、上記信号処理部は、上記測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記測定対象物までの距離を算出することを特徴とする。
【0092】
上記投光部に備えられる反射光学系は、光出力端からから空間に放射される変調光を平行光に変換する反射型コリメータであり、上記光出力端は、光の発生源から空間に光を出力する部分または光の発生源から光ファイバーなどの光導波路で延長された光路の終端部で空間に光を出力する部分であるものとすることができる。
【0093】
本発明に係る光学式距離計は、波長掃引型光源、多波長光源、白色光源、光コム光源など1回の距離計測に複数の波長を利用する干渉検出方式の光学式距離計であって、例えば、
図4に示す光学式距離計10のように、光源11から投光部12を介して測定光として出射される変調光Sを参照光SRと測定光SSとに分離し、基準光路を通過させた参照光SS’と、測定光SSを上記測定対象物1に照射し、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’とを重ね合わせて干渉光を得るビームスプリッタ13を干渉光学系として備えるものとすることができる。
【0094】
この光学式距離計10は、波長掃引型光源、多波長光源、白色光源、光コム光源などの光源11から空間に放射される複数の波長を含む変調光Sを反射型(偏波保存)コリメータからなる投光部12を介して平行光の変調光Sとしてビームスプリッタ13に入射し、上記平行光の変調光Sを上記ビームスプリッタ13により参照光SRと測定光SSとに分離して、参照光SRを基準面16に照射するとともに測定光SSを測定対象物1に照射し、上記基準面16により反射されて戻ってきた上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSとを上記ビームスプリッタ13を介して重ね合わせることにより得られる干渉光を受光部14で受光することにより、干渉信号として測定信号を検出するようにしたものである。
【0095】
この光学式距離計10おいて、上記基準面16により反射されて戻ってきた参照光SR’と上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’とを重ね合わせる上記ビームスプリッタ13は、上記光源11から上記投光部12を介して測定光SSとして出射される変調光Sを参照光SRと測定光SSとに分離し、上記基準面16により反射されて戻ってきた参照光SR’すなわち基準光路として参照光SRを反射する基準面16を含む往復の光路を通過させた参照光SR’と、測定光SSを上記測定対象物1に照射し、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’とを重ね合わせて干渉光を得る光学干渉系として機能している。
【0096】
この光学式距離計10では、光源11から空間に放射される変調光Sを平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる投光部12において、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記信号処理部15において、上記受光部14による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSによる測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記基準面16により反射されて戻ってきた上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSとの時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0097】
また、この光学式距離計10において、
図5に示す光学式距離計10Aのように、干渉光を受光部14に照射させる光路中に上記干渉光を平行光から収束光に変換する反射型フォーカサー17を設けて、上記受光部14の受光素子により干渉光を高感度に検出できるようにすることができる。
【0098】
なお、この光学式距離計10Aにおいて、反射型フォーカサー17以外の構成要素は、上記光学式距離計10と同じなので、図中に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0099】
ここで、上記投光部12を構成する反射型コリメータと上記受光部14に備えられる反射型フォーカサー17は、入射側と出入射側が互いに逆の同じ光学系のものが用いられる。
【0100】
この光学式距離計10Aでは、光源11から空間に放射される変調光Sを平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる投光部12、上記受光部14に備えられる反射型フォーカサー17において、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記受光部14の受光素子により干渉光を高感度に検出して、上記信号処理部15において、上記受光部14による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSによる測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記基準面16により反射されて戻ってきた上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSとの時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0101】
また、干渉検出方式の光学式距離計であって、例えば、
図6に示す光学式距離計20のように、光源21から空間に放射された変調光Sが分岐されて入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部22S,22Rを備え、干渉光学系23は、一方の投光部22Sから出射される変調光Sを測定光SSとして上記測定対象物1に照射し、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’と、他方の投光部22Rから出射される変調光Sを参照光SRとして上記測定光SS’とを重ね合わせて干渉光を得るものとすることができる。
【0102】
この光学式距離計20において、上記二つの投光部22S,22Rに備えられる反射光学系は、上記光源21から空間に放射され分岐された変調光Sを平行光に変換する反射型コリメータである。
【0103】
この光学式距離計20における干渉光学系23は、光源21から空間に放射される複数の波長を含む変調光Sが反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部22Sを介して測定光SSとして第1のビームスプリッタ23Aに入射されるとともに、上記変調光Sの一部が分離されて反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部22Rを介して参照光SRとして第2のビームスプリッタ23Bに入射され、上記第1のビームスプリッタ23Aを通過した測定光SSが測定対象物1に照射され、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’が上記第1のビームスプリッタ23Aにより反射されて上記第2のビームスプリッタ23Bに入射されることにより、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’と上記参照光SRが上記第2のビームスプリッタ23Bにおいて重ね合わせることにより干渉光を得て、この干渉光を受光部24で受光することにより、上記受光部24による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号を得るようになっている。
【0104】
そして、信号処理部25は、上記受光部24による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSによる測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’との時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0105】
なお、この光学式距離計20において、上記受光部24には検出素子、偏光子など干渉信号を得るために必要な光学素子が含まれる。光を干渉させるためには同一偏光状態であることが求められる。干渉信号を得るためには、測定光と参照光を重ね合わせた後、偏光子で同一偏光成分を切り出して検出するか、偏光ビームスプリッタで直交する二つの偏光成分に分離してそれぞれ独立した光検出器で検出し、二つの信号の差動として干渉信号を得るなど複数の手法がある。また、回折格子のような波長分散素子で光波長を分離して検出するようにしてもよく、受光素子は、1個の検出素子に限定されるものではない。
【0106】
この光学式距離計20では、光源21から空間に放射される変調光Sを平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部22S、上記光源21から空間に放射される変調光Sを平行光の参照光SRに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部22Rにおいて、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記信号処理部25において、上記受光部24による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’による測定信号と上記光源21を駆動する信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’との時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0107】
また、上記光学式距離計20において、
図7に示す光学式距離計20Aのように、干渉光を受光部24に照射させる光路中に上記干渉光を平行光から収束光に変換する反射型フォーカサー27を設けて、上記反射型フォーカサー27を介して受光部24の受光素子に入射させるようにしてもよい。
【0108】
なお、この光学式距離計20Aにおいて、反射型フォーカサー27以外の構成要素は、上記光学式距離計20と同じなので、図中に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0109】
上記投光部22を構成する反射型コリメータと上記受光部24に備えられる反射型フォーカサー27は、入射側と出入射側が互いに逆の同じ光学系のものが用いられる。
【0110】
この光学式距離計20Aでは、光源21から空間に放射される変調光Sを平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部22S、上記光源21から空間に放射される変調光Sを平行光の参照光SRに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部22R、上記受光部24に備えられる反射型フォーカサー27において、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記受光部24の受光素子により干渉光を高感度に検出して、上記信号処理部25において、上記受光部24による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’による測定信号と上記光源21を駆動する信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’との時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0111】
また、干渉検出方式の光学式距離計は、例えば
図8に示す光学式距離計30のように構成することもできる。
【0112】
この光学式距離計30は、互いに可干渉性のある変調光を空間に放射する2台の光源31S、31Rと、上記2台の光源31S、31Rから空間に放射された変調光S1、S2が入射されるそれぞれ反射光学系からなる二つの投光部32S、32Rを備え、干渉光学系33は、一方の投光部32Sから出射される変調光S1を測定光SSとして測定対象物1に照射し、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’に、他方の投光部32Rから出射される変調光S2を参照光SRとして重ね合わせて干渉光を得るようにしたものである。
【0113】
すなわち、この光学式距離計30は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる測定光と参照光を出力する2台の光源31S、31Rを備え、干渉光学系33は、第1の光源31Sから空間に放射される複数の波長を含む変調光S1が反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部32Sを介して測定光S1として第1のビームスプリッタ33Aに入射されるとともに、第2の光源31Rから空間に放射される複数の波長を含む変調光S2が反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部32Rを介して参照光SRとして第2のビームスプリッタ33Bに入射され、上記第1のビームスプリッタ33Aを通過した測定光SSが測定対象物1に照射され、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’が上記第1のビームスプリッタ33Aにより反射されて上記第2のビームスプリッタ33Bに入射されることにより、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’と上記参照光SRが上記第2のビームスプリッタ33Bにおいて重ね合わせる干渉光学系33により干渉光を得て、この干渉光を受光部34で受光することにより、上記受光部34による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号を得るようになっている。
【0114】
この光学式距離計30では、上記第1光源31Sから空間に放射される変調光S1を平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部32S、上記第2の光源31Rから空間に放射される変調光S2を平行光の参照光SRに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部32Rにおいて、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記信号処理部35において、上記受光部34による上記干渉光の検出出力として得られる干渉信号について、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SSによる測定信号と、測定光または参照光を生成する信号または測定光または参照光によって生成される信号である参照信号との相対関係に基づいて解析することにより、上記参照光SRと上記測定対象物1により反射されて戻ってきた上記測定光SS’との時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0115】
この光学式距離計30においても、干渉光を受光部34に照射させる光路中に上記干渉光を平行光から収束光に変換する反射型フォーカサーを設けて、上記受光部34の受光素子により干渉光を高感度に検出できるようにすることができる。
【0116】
また、干渉検出方式の光学式距離計は、例えば
図9に示す光学式距離計40のように構成することもできる。
【0117】
この光学式距離計40は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる測定光と参照光を出力する2台の光源41S、41Rを備える。
【0118】
この光学式距離計40における干渉光学系43は、第1の光源41Sから空間に放射される複数の波長を含む変調光S1が反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部42Sを介して測定光SSとして第1のビームスプリッタ43Aに入射され、この第1のビームスプリッタ43Aにより上記測定光SSが二つに分離されて、上記第1のビームスプリッタ43Aで反射されて90°折り曲げられた一方の測定光SSが第2のビームスプリッタ43Bに入射されるととともに、上記第1のビームスプリッタ43Aを透過した他方の測定光SSが測定対象物1に照射される。
【0119】
また、第2の光源41Rから空間に放射される複数の波長を含む変調光S2が反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部42Rを介して参照光SRとして第3のビームスプリッタ43Cに入射され、この第3のビームスプリッタ43Cにより上記参照光SRが二つに分離されて、上記第3のビームスプリッタ43Cを透過した一方の参照光SRが第4のビームスプリッタ43Dに入射されるととともに、上記第3のビームスプリッタ43Cで反射されて90°折り曲げられた他方の参照光SRが上記第2のビームスプリッタ43Bに入射される。
【0120】
そして、この光学式距離計40における干渉光学系43は、上記第2のビームスプリッタ43Bにおいて上記測定光SSと上記参照光SRが重ね合わせることにより参照用干渉光を得て、この参照用干渉光を参照光受光部44Rで受光することにより、上記参照光受光部44Rよる上記参照用干渉光の検出出力として参照用干渉信号を得るようになっている。
【0121】
また、この光学式距離計40における干渉光学系43は、上記第1のビームスプリッタ43Aを通過した測定光SSが測定対象物1に照射され、上記測定対象物1により反射されて戻ってきた測定光SS’が上記第1のビームスプリッタ43Aにより反射されて上記第4のビームスプリッタ43Dに入射されることにより、上記測定光SS’と上記参照光SRが上記第4のビームスプリッタ43Dにおいて重ね合わせることにより測定用干渉光を得て、この測定用干渉光を測定光受光部44Sで受光することにより、上記測定光受光部44Sによる上記測定用干渉光の検出出力として測定用干渉信号を得るようになっている。
【0122】
この光学式距離計40では、上記第1光源41Sから空間に放射される変調光S1を平行光の測定光SSに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第1の投光部42S、上記第2の光源41Rから空間に放射される変調光S2を平行光の参照光SRに変換する反射型(偏波保存)コリメータからなる第2の投光部42Rにおいて、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、信号処理部45において、上記参照光検出部44Rで得られる参照用干渉信号と上記測定光受光部44Sで得られる測定用干渉信号の時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0123】
上記参照光検出部44Rが受光する参照用干渉光を平行光から収束光に変換する反射型フォーカサーや上記測定光検出部44Sが受光する測定用干渉光を平行光から収束光に変換する反射型フォーカサーを設けて、上記参照光検出部44Rの受光素子により参照用干渉光を高感度に検出するとともに、上記測定光受光部44Sの受光素子により測定用干渉光を高感度に検出できるようにすることができる。
【0124】
ここで、この光学式距離計40において、上記第1のビームスプリッタ43A乃至第4のビームスプリッタ43Dおよび全反射鏡43Eは干渉光学系43を構成しており、この干渉光学系43は、台形プリズムや直角プリズムの面に蒸着により蒸着膜を形成して、貼り合わせて一体化した構造の干渉計用プリズムとすることができる。先に説明した
図1に示したレーザー距離計100は、台形プリズムや直角プリズムの面に蒸着によりビームスプリッタ膜等を形成して、貼り合わせて一体化した構造の干渉計用プリズムを上記プリズムユニット130として備える干渉検出方式の光学式距離計の具体例である。
【0125】
また、光源から空間に放射される変調光を平行光に変換する反射型コリメータや平行光を収束光に変換する反射型フォーカサーは、光ファイバーを介して空間に放射されるレーザー光に対しても適用することができる。
【0126】
すなわち、干渉検出方式の光学式距離計は、例えば
図10に示す光学式距離計50のように構成することもできる。
【0127】
この光学式距離計50は、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる測定光SSと参照光SRを出力する2台の光コム光源51S、51Rからなる光源部51、上記光源部51の第1の光コム光源51Sから測定光SSが光ファイバーを介して第1の光カップラ53Aに入射されるとともに第2の光コム光源51Rから参照光SRが光ファイバーを介して第2の光カップラ52Bに入射される光ファイバー干渉計52、上記光ファイバー干渉計52の第4の光カップラ53Dに2本の光ファイバーを介して接続された測定光検出器54Sと、上記光ファイバー干渉計53の第5の光カップラ53Eに2本の光ファイバーを介して接続された参照光検出器54R、上記光ファイバー干渉計53の第3の光カップラ53Cに光ファイバーを介して接続された反射型光学系56、上記測定光検出器54Sにより得られる測定信号と上記参照光検出器54Rにより得られる参照信号に基づき、測定対象物1までの距離を算出する演算処理部55等を備える。
【0128】
この光学式距離計50に備えられた光ファイバー干渉計53は、光ファイバーを介して接続された5個の光カップラ53A~53Eからなり、上記測定光SSが入射される上記第1の光カップラ52Aはそれぞれ光ファイバーを介して接続され第3の光カップラ53Cと第4の光カップラ53Dに接続され、上記参照光SRが入射される上記第2の光カップラ52Bはそれぞれ光ファイバーを介して第4の光カップラ53Dと第5の光カップラ53Dに接続され、さらに、上記第3の光カップラ53Cが光ファイバーを介し上記第5の光カップラ53Dに接続されている。
【0129】
上記光ファイバー干渉計53では、上記第1の光カップラ52Aに入射された上記測定光SSが上記第3の光カップラ53Cに光ファイバーを介して接続された反射型光学系56から空間に放射して測定対象物1に照射して、上記測定対象物1により反射されて上記反射型光学系56に戻ってくる測定光SS’が上記第3の光カップラ53Cに光ファイバーを介して接続された第5の光カップラ53Eに入射される。
【0130】
上記第5の光カップラ53Eは、上記参照光SRが入射される上記第2の光カップラ52Bに光ファイバーを介して接続されているので、該第5の光カップラ53Eにおいて、上記第2の光カップラ52Bに入射された上記参照光SRが上記記反射型光学系56を介して戻ってきた測定光SS’と重ね合わせることにより測定用干渉光が得られる。
【0131】
この第5の光カップラ53Eは、上記参照光SRと上記測定光SS’とを重ね合わせた測定用干渉光を出力する際に、光カップラの透過側、反射側に配される上記参照光SRと上記測定光SS’の関係を入れ替て二つに分岐して出力する。
【0132】
上記測定用受光部54Sは、上記第5の光カップラ53Eにより上記参照光SRと上記測定光SS’の関係が入れ替られた二つの測定用干渉光を受光する二つの光検出器を備える差動検出器であり、二つの検出信号の差から測定用干渉信号を取り出す。
【0133】
この測定用干渉光を測定光受光部54Sで受光することにより、上記測定光受光部54Sによる上記測定用干渉光の検出出力として測定用干渉信号を得ることができる。
【0134】
上記測定用受光部54Sでは、二つの検出信号の差分を計算することによって干渉信号を強調と強度雑音の抑圧が可能になり、測定用干渉信号の信号対雑音比(S/N)を高めることができる。
【0135】
また、上記第4の光カップラ53Dは、上記測定光SSが入射される上記第1の光カップラ52Aと上記参照光SRが入射される上記第2の光カップラ52Bにそれぞれ光ファイバーを介して接続されているので、該第4の光カップラ53Dにおいて、上記第1の光カップラ52Aに入射された上記測定光SSと上記第2の光カップラ52Bに入射された上記参照光SRとを重ね合わせることにより参照用干渉光が得られる。
【0136】
この第4の光カップラ53Dは、上記測定光SSと上記参照光SRと上記測定光SSとを重ね合わせた参照用干渉光を出力する際に、光カップラの透過側、反射側に配される上記測定光SSと上記参照光SRとの関係を入れ替て二つに分岐して出力する。
【0137】
上記参照用受光部54Rは、上記第4の光カップラ53Dにより上記参照光SRと上記測定光SSの関係が入れ替られた二つ参照用干渉光を受光する二つの光検出器を備える差動検出器であり、二つの検出信号の差から参照用干渉信号を取り出す。
【0138】
この参照用干渉光を参照光受光部54Rで受光することにより、上記参照光受光部54Rによる上記参照用干渉光の検出出力として参照用干渉信号を得ることができる。
【0139】
上記参照用受光部54Sでは、二つの検出信号の差分を計算することによって干渉信号を強調と強度雑音の抑圧が可能になり、参照用干渉信号の信号対雑音比(S/N)を高めることができる。
【0140】
ここで、上記第3の光カップラ53Cに光ファイバーを介して接続された反射型光学系56上記反射型光学系56は、測定対象物1に照射する測定光SSを平行光に変換するコリメータまたは測定対象物1に反射されて戻ってくる測定光SS’を収束光に変換するフォーカサー、あるいは、上記光ファイバー干渉計53と上記光ファイバー干渉計53の間に設けられるリレー光学系等の光学素子を反射型光学素子にて構成したものである。
【0141】
反射型光学素子にて構成した反射型光学系56では、ビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがなく、上記信号処理部55において、上記光ファイバー干渉計53により得られる上記測定用干渉光を受光する上記測定光受光部54Sによる検出出力として得られる測定用干渉信号と、上記参照用干渉光を受光する上記参照光受光部54Rによる検出出力として得られる参照用干渉信号の時間差(位相差)から、上記測定対象物1までの距離を高精度に算出することができる。
【0142】
ここで、上記レーザー距離計100や各光学式距離計10~50は、測定対象物1に測定光を照射して、測定対象物1により反射されて戻ってくる測定光に基づいて、上記測定対象物1までの距離を測定するものであるが、例えば、
図11に示すように、上記測定対象物1に照射する測定光で該測定対象物1を走査する光学スキャン装置81を設けることにより、上記測定対象物1の三次元形状を非接触での測定する光学式三次元形状測定装置80として機能する。
ここで、上記レーザー距離計100や各光学式距離計10~50において、測定対象物1に照射する測定光は、図13に示した評価実験系300により群遅延分布を評価することができる。
すなわち、上記レーザー距離計100や各光学式距離計10~50において、上記反射光学系からなる投光部は、光チョッパを介してリトロリフレクタの中心に測定光ビームを照射し、上記リトロリフレクタにより反射されて上記光チョッパを介して戻ってくる上記測定光ビームの断面で群遅延の分布を評価する評価実験系により群遅延分布が評価済であるものとすることにより、高品質の光学式距離計を提供することができる。
【0143】
この光学式三次元形状測定装置80は、例えば
図1に示したレーザー距離計100と、レーザー距離計100から出射される測定光S
C1で測定対象物1を走査する光学スキャン装置81と、レーザー距離計100の出力に基づいて、測定対象物1 の複数の点までの絶対距離を計測して立体像を得る信号処理装置82を備える。
【0144】
レーザー距離計100は、測定光SC1を空間に出射して、上記光学スキャン装置81により上記測定光SC1で測定対象物1を走査することにより、上記測定対象物1により反射されて上記光学スキャン装置81を介して戻ってきた測定光C1’に基づいて、上記測定対象物1までの絶対距離を計測する。
【0145】
上記光学スキャン装置81は、上記レーザー距離計100から出射される測定光SC1で測定対象物1を走査する反射型走査光学系を備える。
【0146】
すなわち、この光学式三次元形状測定装置80では、レーザー距離計100からの出射される測定光SC1が光学スキャン装置81から測定対象物1に向けて照射され、測定対象物1からの反射光SC1’がレーザー距離計100に戻り、物体表面までの絶対距離がレーザー距離計100により計測される。
【0147】
信号処理装置82は、上記光学スキャン装置81を制御してレーザービームを走査すると同時に上記レーザー距離計100が計測する測定対象物1の表面までの絶対距離情報を取得して、ビーム照射位置とその場所まで絶対距離を複数の点について蓄積することにより非接触で物体の三次元形状を測定する。
【0148】
この光学式三次元形状測定装置80においても、上記光学スキャン装置81が測定対象物1を走査する反射型走査光学系を備えることにより、反射型走査光学系において測定光SC1および反射光SC1’のビーム断面で群遅延の分布ができにくく、群速度光路差を伴うことがないので、上記レーザー距離計100により測定対象物1の表面までの絶対距離を高精度に計測することができ、上記信号処理装置82は、上記レーザー距離計100が計測する測定対象物1の表面までの絶対距離情報を取得して、ビーム照射位置とその場所まで絶対距離を複数の点について蓄積することにより非接触で物体の三次元形状を測定することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 測定対象物、10,10A,20,20A,30,40,50 光学式距離計、11,21,31S,31R,41S,41R,110,120 光源、12,22S,22R,32S,32R,42S,42R 投光部、13,23A,23B,33A,33B,43A~43D ビームスプリッタ、14,24,34,44 受光部、15,25,35,45,55,180 信号処理部、33,43 干渉光学系、17,27 反射型フォーカサー、44S 測定光受光部、44R 参照光検出部、16,155 基準面、43E 全反射鏡、51 光源部、51S、51R 光コム光源、52 光ファイバー干渉計、53A~53E 光カップラ、54S 測定光検出器、54R 参照光検出器、80 光学式三次元形状測定装置、81 光学スキャン装置、82 信号処理装置、100 レーザー距離計、111,112 反射型コリメータ、111a,112a 放物面鏡、113,114 1/2波長(λ/2)板、115,116 1/4波長(λ/4)板、130 プリズムユニット、150 測定面、160,170 光検出器、161A,161B,171A,171B フォトディテクタ、162、172 差動検出器