(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】シミュレーションが可能なレチクル検査装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20250124BHJP
【FI】
G03F1/84
(21)【出願番号】P 2024004295
(22)【出願日】2024-01-16
【審査請求日】2024-02-05
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518309954
【氏名又は名称】微程式資訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MICROPROGRAM INFORMATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】6F.-2, No. 402, Shizheng Rd., Xitun Dist., Taichung City 407, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼騰▲彦▼
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084945(JP,A)
【文献】特開平5-323576(JP,A)
【文献】特表2021-505927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間を有し、所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションが行われる本体と、
前記本体の前記収容空間に収容され、前記シミュレーション時における少なくとも1つの前記本体の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて少なくとも1つの測定データを算出する検知モジュールと、
前記本体の前記収容空間に収容されて前記検知モジュールに電気的に接続され、前記検知モジュールの作動に必要な電力を提供する電源と、
前記本体の前記収容空間に収容されて前記電源に電気的に接続され、外力により駆動されて前記電源を充電する無線充電レシーバと、
前記本体を収納する充電空間を内部に有し、前記無線充電レシーバに対応する無線充電スタンドが設けられており、操作されて前記無線充電レシーバを駆動して前記電源を充電する前記充電ケースと、
を含む、シミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項2】
前記本体は、中央に凹部が設けられた台座と、前記凹部の上方を覆う蓋体と、を有し、
前記蓋体及び前記凹部はともに前記収容空間を区画する請求項1に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項3】
前記本体のサイズは前記所定サイズのレチクルのサイズと同じである請求項1に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項4】
前記本体は、前記収容空間に充填された所定重量の充填物を内部に更に有する請求項1に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項5】
前記検知モジュールは、
回路板と、
前記回路板に設けられ、前記本体と周囲の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて検知信号を生成する検知ユニットと、
前記回路板に設けられ、前記検知ユニットの検知信号を受信し、受信した検知信号に基づいて測定データを算出する計算ユニットと、
を有する請求項1に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項6】
前記検知モジュールは、
前記回路板に設けられ、前記計算ユニットに電気的に接続され、前記計算ユニットの測定データを記憶する記憶ユニットと、
前記回路板に設けられ、前記記憶ユニットに電気的に接続され、前記記憶ユニットに記憶された測定データを外部の遠隔装置に伝送する伝送ユニットと、
を更に含む請求項5に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項7】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の振動度合いを検知し、検知した振動度合いに基づいて振動信号を生成する振動センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した振動信号に基づいて振動値を算出する請求項5に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項8】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の傾斜度合いを検知し、検知した傾斜度合いに基づいて傾斜信号を生成する傾斜センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した傾斜信号に基づいて角度変化値を算出する請求項5に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項9】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の周囲の環境温度を検知し、検知した環境温度に基づいて温度信号を生成する温度センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した温度信号に基づいて温度値を算出する請求項5に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項10】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の周囲の環境湿度を検知し、検知した環境湿度に基づいて湿度信号を生成生成する湿度センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した湿度信号に基づいて湿度値を算出する請求項5に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項11】
内部に収容空間を有し、所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションが行われる本体と、
前記本体の前記収容空間に収容され、前記シミュレーション時における少なくとも1つの前記本体の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて少なくとも1つの測定データを算出する検知モジュールと、
前記本体の前記収容空間に収容されて前記検知モジュールに電気的に接続され、前記検知モジュールの作動に必要な電力を提供する電源と、
前記本体の前記収容空間に収容されて前記電源に電気的に接続され、外力により駆動されて前記電源を充電する無線充電レシーバと、
を含む、シミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項12】
前記本体は、中央に凹部が設けられた台座と、前記凹部の上方を覆う蓋体と、を有し、
前記蓋体及び前記凹部はともに前記収容空間を区画する請求項11に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項13】
前記本体のサイズは前記所定サイズのレチクルのサイズと同じである請求項11に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項14】
前記本体は、前記収容空間に充填された所定重量の充填物を内部に更に有する請求項11に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項15】
前記検知モジュールは、
回路板と、
前記回路板に設けられ、前記本体と周囲の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて検知信号を生成する検知ユニットと、
前記回路板に設けられ、前記検知ユニットの検知信号を受信し、受信した検知信号に基づいて測定データを算出する計算ユニットと、
を有する請求項11に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項16】
前記検知モジュールは、
前記回路板に設けられ、前記計算ユニットに電気的に接続され、前記計算ユニットの測定データを記憶する記憶ユニットと、
前記回路板に設けられ、前記記憶ユニットに電気的に接続され、前記記憶ユニットに記憶された測定データを外部の遠隔装置に伝送する伝送ユニットと、
を更に含む請求項15に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項17】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の振動度合いを検知し、検知した振動度合いに基づいて振動信号を生成する振動センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した振動信号に基づいて振動値を算出する請求項15に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項18】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の傾斜度合いを検知し、検知した傾斜度合いに基づいて傾斜信号を生成する傾斜センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した傾斜信号に基づいて角度変化値を算出する請求項15に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項19】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の周囲の環境温度を検知し、検知した環境温度に基づいて温度信号を生成する温度センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した温度信号に基づいて温度値を算出する請求項15に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【請求項20】
前記検知ユニットは、前記シミュレーション時における前記本体の周囲の環境湿度を検知し、検知した環境湿度に基づいて湿度信号を生成する湿度センサを含み、
前記計算ユニットは、受信した湿度信号に基づいて湿度値を算出する請求項15に記載のシミュレーションが可能なレチクル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスで用いられるレチクル検査装置に関する。特に、オフラインで所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションし、様々な環境情報を測定することができる、シミュレーションが可能なレチクル検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の半導体製造プロセスにおいて、リソグラフィプロセス(lithography process)は、必要不可欠な重要な工程の1つである。リソグラフィプロセスは、特定の波長の光源を照射することで、光源がレチクル(reticle)を通過した後に、ウェハ上のフォトレジストを照射し、フォトレジストに化学変化を起こすことによって、レチクル上の回路パターンをウェハに移す技術である。
【0003】
レチクルは、リソグラフィプロセスにおいて非常に重要な役割を果たしている。レチクルは、石英ガラスで製造された薄片であり、その上には特定の金属めっき膜(例えば、クロム金属)が一定の配列で組み合わされて構成された回路パターンが被覆されている。しかし、レチクルはウェハに似て、いずれも精密で脆弱なビヒクルである。潜在的な問題点は、レチクル自体の材質と構造強度が脆弱であるため、レチクルの搬送過程又はリソグラフィプロセスで生じたいかなる振動又は傾斜によって、レチクルの構造が影響を受ける可能性があることにある。レチクル自体、及びその上の金属めっき膜も、周囲の環境温度や湿度によって、変質、変形又は脆化現象を生じる。これらの問題点はいずれもレチクルの作動に影響を与える。レチクルに問題が生じると、レチクルで製造されたウェハも影響を受けて使用不能になり、ひいては半導体メーカーが計り知れない損失を受けてしまう可能性がある。
【0004】
特許文献1(台湾特許公告I463251号)には、環境情報を検知するレチクル構造が開示されている。レチクル構造に複数個の環境情報を検知する領域と、伝送モジュールとを設置することで、レチクルが作業すると同時に周囲環境を検知・記録することによって、ユーザは周囲環境の関連情報に基づいて異なる効果的な解决方法を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記レチクル構造の問題点は、一般的なレチクル構造に環境センサを加えただけであるため、レチクル構造を搬送又は作業する時にのみ、環境センサが環境情報を検知することにある。しかし、作成過程の進行において周囲環境に問題があると分かった時には、レチクル構造がすでに影響を受けた可能性があり、ひいてはこの回の作成過程におけるウェハはすべて影響を受けて出荷できなくなる。事後に環境要因を改善するしかなく、実質上、環境要因によってレチクルが影響を受けてしまう問題をまだ防止できていない。したがって、レチクルの搬送環境と作業環境に関連する環境情報を予め測定し、レチクルが搬送過程又は作成過程において環境要因によって影響を受けてしまう問題を防止することは、半導体分野の関連業者と研究者が強く解決したい課題の1つである。
【0007】
本発明の主な発明の目的は、オフラインでレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションを行い、関連の環境情報を検知することによって、作業環境又は作業機械に異常の有無を検知することができる、シミュレーションが可能なレチクル検査装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の発明の目的は、無線充電技術によって検知モジュールの耐久性を向上させることができる、シミュレーションが可能なレチクル検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様によるシミュレーションが可能なレチクル検知検査装置は、本体と、検知モジュールと、電源と、無線充電レシーバと、充電ケースと、を含む。本体は、内部に収容空間を有し、所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションが行われる。検知モジュールは、本体の収容空間に収容され、シミュレーション時における少なくとも1つの本体の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて少なくとも1つの測定データを算出する。電源は、本体の収容空間に収容されて検知モジュールに電気的に接続され、検知モジュールの作動に必要な電力を提供する。無線充電レシーバは、本体の収容空間に収容されて電源に電気的に接続され、外力により駆動されて電源を充電する。充電ケースは、本体を収納する充電空間を内部に有し、無線充電レシーバに対応する無線充電スタンドが設けられており、操作されて無線充電レシーバを駆動して電源を充電する。
【0010】
更に別の態様において提供されるシミュレーションが可能なレチクル検知検査装置は、本体と、検知モジュールと、電源と、無線充電レシーバと、を含む。本体は、内部に収容空間を有し、所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションが行われる。検知モジュールは、本体の収容空間に収容され、シミュレーション時における少なくとも1つの本体の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて少なくとも1つの測定データを算出する。電源は、本体の収容空間に収容されて検知モジュールに電気的に接続され、検知モジュールの作動に必要な電力を提供する。無線充電レシーバは、本体の収容空間に収容されて電源に電気的に接続され、外力により駆動されて電源を充電する。
【0011】
一実施例において、本体は、中央に凹部が設けられた台座と、凹部の上方を覆う蓋体と、を有し、蓋体及び凹部はともに収容空間を区画する。
【0012】
一実施例において、本体のサイズは所定サイズのレチクルのサイズと同じである。
【0013】
一実施例において、本体は、収容空間に充填された所定重量の充填物を内部に更に有する。
【0014】
一実施例において、検知モジュールは、回路板と、回路板に設けられ、本体と周囲の環境情報を検知し、検知した環境情報に基づいて検知信号を生成する検知ユニットと、回路板に設けられ、検知ユニットの検知信号を受信し、受信した検知信号に基づいて測定データを算出する計算ユニットと、を有する。
【0015】
一実施例において、検知モジュールは、回路板に設けられ、計算ユニットに電気的に接続され、計算ユニットの測定データを記憶する記憶ユニットと、回路板に設けられ、記憶ユニットに電気的に接続され、記憶ユニットに記憶された測定データを外部の遠隔装置に伝送する伝送ユニットと、を更に含む。
【0016】
一実施例において、検知ユニットは、シミュレーション時における本体の振動度合いを検知し、検知した振動度合いに基づいて振動信号を生成する振動センサを含み、計算ユニットは、受信した振動信号に基づいて振動値を算出する。
【0017】
一実施例において、検知ユニットは、シミュレーション時における本体の傾斜度合いを検知し、検知した傾斜度合いに基づいて傾斜信号を生成する傾斜センサを含み、計算ユニットは、受信した傾斜信号に基づいて角度変化値を算出する。
【0018】
一実施例において、検知ユニットは、シミュレーション時における本体の周囲の環境温度を検知し、検知した環境温度に基づいて温度信号を生成する温度センサを含み、計算ユニットは、受信した温度信号に基づいて温度値を算出する。
【0019】
一実施例において、検知ユニットは、シミュレーション時における本体の周囲の環境湿度を検知し、検知した環境湿度に基づいて湿度信号を生成する湿度センサを含み、計算ユニットは、受信した湿度信号に基づいて湿度値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の好適な第1の実施例の分解図である。
【
図2】本発明の好適な第2の実施例の本体の部分分解図である。
【
図3】本発明の好適な第1の実施例の本体の断面図である。
【
図4】本発明の好適な第1の実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~
図4に示されたように、本発明の好適な実施例によるシミュレーションが可能なレチクル検査装置は、所定サイズのレチクル(図示せず)の搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションして検知するものである。このシミュレーションが可能なレチクル検査装置は、主に、本体10と、検知モジュール20と、電源30と、無線充電レシーバ40と、充電ケース50とを含む。
【0022】
本体10のサイズは、所定サイズのレチクルのサイズと同じである。例えば、本実施例において、所定サイズのレチクルは、長さ、幅、高さがそれぞれ6インチ、6インチ、0.25インチである扁平直方体構造である。本体10も、長さ、幅、高さがそれぞれ6インチ、6インチ、0.25インチである扁平直方体構造である。ただし別の実施例において、本体の外形は、所定サイズのレチクルのサイズ変更に応じて変更してよい。
【0023】
具体的には、本体10は、台座11と蓋体12とを組み合わせて構成される。台座11と蓋体12はそれぞれ薄片状部材であり、且つ、蓋体12は台座11の頂面に設けられている。本実施例において、台座11と蓋体12の材質は石英ガラスである。別の実施例において、台座と蓋体の材質は、硬化ガラス、耐熱ガラス、ソーダライムガラス、又は他の一般的なレチクルに使用できる任意の同等の材料であってもよい。
【0024】
本体10は内部に、検知モジュール20、電源30、及び、無線充電レシーバ40を本体10の内部に収容するための収容空間13を有する。具体的には、台座11の中心位置には凹部110が設けられ、蓋体12は凹部110の上方を覆う。台座11が蓋体12と結合する時、凹部110と蓋体12はともに収容空間13を区画する。
【0025】
本実施例において、台座11は、更に、凹部110の周囲を囲んで凹部110の頂面と接続された第2の凹部111を有し、且つ第2の凹部111の底面高さは、凹部110の底面高さよりも高い。第2の凹部111の形状は蓋体12に対応し、蓋体12を第2の凹部111に収容でき、この時、蓋体12の頂面高さは台座11の頂面高さと同じである。別の実施例において、蓋体は、台座の頂面を直接覆って、蓋体の頂面高さを台座の頂面高さよりも高くする。
【0026】
なお本体10は、収容空間13に所定重量の充填物14を更に有する。充填物14は、収容空間13に充填され、検知モジュール20、電源30、及び無線充電レシーバ40を収容空間13中の位置に固定する。ユーザは、充填物14の材質と所定重量を調整することにより本体10の重量と重心を調整し、本体10の重量と重心を所定サイズのレチクルの重量と重心に近づけることができる。これにより、シミュレーション結果をより実際の環境に近づけることができる。本実施例において充填物14はエポキシ樹脂であるが、別の実施例において、充填物は、のり状のもの、空気、又は真空であってもよい。
【0027】
検知モジュール20は、回路板21、検知ユニット22、計算ユニット23、記憶ユニット24、伝送ユニット25、及びパラメータ調整ユニット26を含む。回路板21は、本体10の収容空間13に収容され、台座11の凹部110の底面に当接される。本実施例において、回路板21の高さは凹部110の深さよりも低い。検知ユニット22、計算ユニット23、記憶ユニット24、伝送ユニット25、及びパラメータ調整ユニット26は、回路板21に電気的に接続されている。
【0028】
検知ユニット22は、所定サイズのレチクルの搬送過程又は作成過程をリアルタイムでシミュレーションする時の少なくとも1つの本体10の環境情報を検知して、所定の時間間隔ごとに少なくとも1つの対応する検知信号を生成する。本実施例において、検知ユニット22は、振動センサ220、傾斜センサ221、温度センサ222、及び湿度センサ223の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。環境情報は、本体10の振動度合い、本体10の傾斜度合い、周囲の環境温度、及び周囲の環境湿度の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。検知信号は、振動信号、傾斜信号、温度信号、及び湿度信号の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0029】
振動センサ220は、本体10の振動度合いを検知し、検知した振動度合いに基づいて振動信号を生成して計算ユニット23に伝送する。傾斜センサ221は、本体10の傾斜度合いを検知し、検知した傾斜度合いに基づいて傾斜信号を生成して計算ユニット23に伝送する。温度センサ222は、本体10の周囲の環境温度を検知し、検知した環境温度に基づいて温度信号を生成して計算ユニット23に伝送する。湿度センサ223は、本体10の周囲の環境湿度を検知し、検知した環境湿度に基づいて湿度信号を生成して計算ユニット23に伝送する。
【0030】
計算ユニット23は、検知ユニット22に電気的に接続され、検知ユニット22で生成された検知信号に基づいて、対応する測定データを算出する。本実施例において、測定データは、振動値、傾斜角度値(又は角度変化値)、温度値、及び湿度値の少なくとも1つを含む。本実施例において具体的には、計算ユニット23は、振動センサ220で生成された振動信号によって振動値を算出し、傾斜センサ221で生成された傾斜信号によって傾斜角度値(又は角度変化値)を算出し、温度センサ222で生成された温度信号によって温度値を算出し、湿度センサ223で生成された湿度信号によって湿度値を算出する。
【0031】
記憶ユニット24は、計算ユニット23に電気的に接続され、計算ユニット23で算出された測定データを受信し記憶する。本実施例において記憶ユニット24は、約4時間超の測定データを記憶できる。
【0032】
伝送ユニット25は、記憶ユニット24に電気的に接続され、有線伝送又は無線伝送(WIFI、ブルートゥース(登録商標)、遠赤外線、高周波回路を含むが、これらに限定されない)の方法によって、記憶ユニット24に記憶された測定データを外部の遠隔装置60に伝送する。遠隔装置60は、個人モバイルデバイス(携帯電話、タブレット)、コンピュータ、物理サーバ、又はクラウドサーバの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。別の実施例において、伝送モジュールは、検知ユニット及び/又は計算ユニットに直接電気的に接続され、検知ユニットで生成された検知信号及び/又は計算ユニットで算出された測定データを外部の遠隔装置に伝送してもよい。
【0033】
パラメータ調整ユニット26は、検知ユニット22に電気的に接続されて、外部の遠隔装置60に通信接続され、ユーザが操作遠隔装置60を操作して検知ユニット22の関連の測定パラメータを調整する。関連の測定パラメータは、振動センサ220の少なくとも1つの振動測定パラメータ、傾斜センサ221の少なくとも1つの傾斜測定パラメータ、温度センサ222の少なくとも1つの温度測定パラメータ、及び湿度センサ223の少なくとも1つの湿度測定パラメータを含むが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の検知モジュール20が検知することができる環境情報は、本実施例に開示された振動検知、傾斜検知、温度検知、及び湿度検知に限定されるものではない。ユーザは、必要に応じて、例えば、圧力センサ、照度センサ、又は他のレチクル使用の影響要因を検知する任意のセンサを設置してもよい。
【0035】
電源30は、本体10の収容空間13に収容されて回路板21に設けられる。本実施例において電源30の高さは、凹部110の深さ以下である。電源30は、検知モジュール20に電気的に接続され、検知モジュール20の作動に必要な電力を提供する。具体的には、電源30は充電式バッテリであり、例えば、リチウム電池、ボタン電池、又は他の台座11の凹部110に収容できる薄型電池である。本実施例において電源30がフル充電された時の電気容量は、検知モジュール20の連続操作時間を4時間超にする。
【0036】
無線充電レシーバ40は、本体10の収容空間13に収容されて回路板21に設けられる。本実施例において無線充電レシーバ40の高さは、凹部110の深さ以下である。具体的には、無線充電レシーバ40は受信コイルであり、電源30に電気的に接続されている。受信コイルは、外部の電磁誘導に駆動されて電流を発生させて、電源30を充電することができる。
【0037】
充電ケース50は、開け締めできる筐体であり、内部に、本体10を充電空間51に設置して保存するための充電空間51を有する。充電ケース50には、本体10を支持して本体10の充電ケース50の中での移動を防止するための、複数個の位置決め部品52が設けられている。充電ケース50の底面には、無線充電レシーバ40に対応して無線充電スタンド53が設けられている。充電ケース50の一端は、スイッチ(図示せず)に電気的に接続される。本体10を充電ケース50の充電空間51に設置した時に、無線充電スタンド53を操作することで磁界変化を起こし、無線充電レシーバ40を電磁誘導により駆動して電流を発生させて電源30を充電する。これにより、本体10を充電ケース50に収納した時に充電状態を維持でき、検知する時に電力不足で検知を停止しないように、電源30の耐久性を相対的に向上させる。
【0038】
上述した構造構成によれば、本発明によるシミュレーションが可能なレチクル検査装置は、実際の操作応用は下記のとおりである。
【0039】
ユーザが所定サイズのレチクルを作業環境又は作業機械で「オンライン」(On-line)作業する前/後に、作業環境及び/又は作業機械に異常があると判断した時、本発明のシミュレーションが可能なレチクル検査装置を用いて「オフライン」(Off-line)で所定サイズのレチクルと同じ搬送過程又は作成過程の少なくとも1つについてシミュレーションすることができる。ただし、ここで言う「オンライン」とは、所定サイズのレチクルの搬送及び作成過程を実際に行うことであり、ここで言う「オフライン」とは、所定サイズのレチクルを作業環境で搬送せず、且つ作業機械で作成過程を行わないことである。また、ここで言う搬送過程とは、作業機械に入る前の搬送と作業機械から出た後の搬送を含み、作成過程とは、作業機械の中で移動・使用される過程を含む。言い換えれば、搬送過程及び作成過程は、所定サイズのレチクルのすべての作業過程が含まれる。
【0040】
ユーザはシミュレーションが可能なレチクル検査装置でシミュレーションする時、本体10は、搬送装置(例えば、ロボットアーム、自動レール、搬送車、人手運搬など)とともに作業環境の中で搬送されて、作業機械の中で転送装置(例えば、ロボットアーム、自動ロボット、自動レールなど)によって移動される。この時、検知モジュール20の検知ユニット22は、時間間隔ごとに1回の頻度でリアルタイムに本体10及び周囲環境を同時に検知する。
【0041】
例えば、本実施例において、振動センサ220は、搬送及び作成過程での本体10の振動度合いを検知でき、傾斜センサ221は、搬送及び作成過程での本体10の傾斜度合いを検知でき、温度センサ222は、搬送及び作成過程での本体10の周囲の環境温度を検知でき、湿度センサ223は、搬送及び作成過程での本体10の周囲の環境湿度を検知できる。検知ユニット22で得られた検知信号を計算ユニット23によって計算した後に得られた測定データを、シミュレーション過程中又はシミュレーション終了後に記憶ユニット24によって記憶するか、あるいは、伝送ユニット25によって伝送する。
【0042】
本体10の外形は所定サイズのレチクルと同じであり、且つ本体10の搬送経路と移動経路はいずれも、所定サイズのレチクルのオンライン作業時での搬送及び作成過程の経路と同じであるため、本体10をオフラインでシミュレーションする時に得られた環境情報は、所定サイズのレチクルのオンライン作業時で得られる環境情報とほぼ同一視できる。
【0043】
ユーザは、遠隔装置60を操作することで、測定データを検視・分析して、オフラインで予め所定サイズのレチクルが作業環境と作業機械において振動又は傾斜に遭遇するか否か、且つ作業環境と作業機械の温度と湿度がレチクルに変形、熱膨張・熱収縮、又は脆化などの現象を生じさせるか否かを判断することができる。ユーザが測定データを分析した後に環境情報に異常があると判断された場合、更に作業環境と作業機械に対して後続の検査とメンテナンスを行うことができる。これにより、所定サイズのレチクルが後続のオンライン作業において環境要因によって影響を受けないことを確保できる。
【0044】
上述したように、本発明によるシミュレーションが可能なレチクル検査装置は、サイズと重量が所定サイズのレチクルの本体10と同じであることで、オフラインで所定サイズのレチクルの搬送及び作成過程をシミュレーションして、検知モジュール20によってリアルタイムで関連の環境情報を測定して対応する測定資料を取得する。したがってユーザは、関連の測定資料によってオフラインで予めレチクルの全体の作業環境に問題の有無を判断し、レチクルをオンライン作業する前に早めに問題を排除することができる。よって、本発明は、レチクルの搬送又は作成過程で環境要因によって影響を受けてしまう問題点を効果的に解決できる。一方、本発明は更に、電源30を無線充電できる技術を提供し、検知モジュール20の耐久性を相対的に向上させる。
【符号の説明】
【0045】
10 本体
11 台座
110 凹部
12 蓋体
13 収容空間
14 充填物
20 検知モジュール
21 回路板
22 検知ユニット
220 振動センサ
221 傾斜センサ
222 温度センサ
223 湿度センサ
23 計算ユニット
24 記憶ユニット
25 伝送ユニット
26 パラメータ調整ユニット
30 電源
40 無線充電レシーバ
50 充電ケース
51 充電空間
52 位置決め部品
53 無線充電スタンド
60 遠隔装置