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特許7624783仲介システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】仲介システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20250124BHJP
【FI】
G06Q20/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024132007
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2024071725の分割
【原出願日】2024-04-25
【審査請求日】2024-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521282893
【氏名又は名称】株式会社ガイアホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】小倉 基宏
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2023/0394446(US,A1)
【文献】国際公開第2022/153641(WO,A1)
【文献】特開2022-072359(JP,A)
【文献】特開2023-007556(JP,A)
【文献】特開2023-059033(JP,A)
【文献】特開2022-011103(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0048336(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介する仲介システムであって、
前記第1ユーザから送信された暗号資産をブロックチェーンにおいて受け取るためのブロックチェーンアカウントを、当該受け取りのために設定し、
当該受け取りのために設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションが前記ブロックチェーンにおいて発生するかどうかを監視し、当該監視によって、設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記ブロックチェーンにおいて前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを保証又は実施する、
ことを含む処理を実行するよう構成されている、仲介システム。
【請求項2】
前記第2ユーザへの支払いを保証することは、前記第2ユーザへ通知を送信することを含む、
請求項1に記載の仲介システム。
【請求項3】
前記処理は、前記通知を送信した後に、前記第2ユーザへの支払いの実施のため、前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含む、
請求項2に記載の仲介システム。
【請求項4】
前記第2ユーザへの支払いを実施することは、前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含む、
請求項1に記載の仲介システム。
【請求項5】
暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
前記第1ユーザから送信された暗号資産をブロックチェーンにおいて受け取るためのブロックチェーンアカウントを、当該受け取りのために設定し、
当該受け取りのために設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションが前記ブロックチェーンにおいて発生するかどうかを監視し、当該監視によって、設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記ブロックチェーンにおいて前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、
ことを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記第2ユーザへの支払いを保証することは、前記第2ユーザへの通知を送信することを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法を利用して商品又はサービスを販売するために、コンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
請求項5に記載の方法によって前記第2ユーザへの支払いが保証又は実施されると、前記第1ユーザへの商品又はサービスの提供の処理を行う、
ことを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記第2ユーザへの支払いを実施することは、前記ブロックチェーンアカウントを管理するシステムが前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するために、前記第1ユーザから送信された暗号資産をブロックチェーンにおいて受け取るためのブロックチェーンアカウントを、当該受け取りのために設定し、当該受け取りのために設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションが前記ブロックチェーンにおいて発生するかどうかを監視し、当該監視によって、設定した前記ブロックチェーンアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記ブロックチェーンにおいて前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、ことを含む処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仲介システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗号資産の取引は、ブロックチェーンなどの分散台帳システムに記録される。暗号資産を送信する等の暗号資産の取引が発生すると、トランザクション(取引データ)が生成される。トランザクションは、マイナーによってマイニングされることで、承認される。承認によって、トランザクションがブロックチェーンの新たなブロックに追加される。トランザクションが承認されると暗号資産の取引が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6931951号公報
【発明の概要】
【0004】
第1ユーザと第2ユーザとの間の売買・送金等の取引において、暗号資産が利用されることがある。しかし、一般に、ブロックチェーンにおける暗号資産のトランザクションの承認には時間がかかるという問題がある。トランザクションの承認には、例えば、1時間程度かかることもある。
【0005】
トランザクションの承認に時間がかかると、暗号資産を利用した売買・送金等の完了に時間がかかり、第1ユーザ又は第2ユーザにとって、不便なことがある。
【0006】
したがって、暗号資産のトランザクションの承認に時間がかかる場合であっても、その不便さを低減して、利便性を高めることが望まれる。
【0007】
本開示のある側面は、システムである。開示のシステムは、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介する仲介システムであって、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを保証又は実施する、ことを含む処理を実行するよう構成されている。
【0008】
本開示の他の側面は、方法である。開示の方法は、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、ことを含む。
【0009】
本開示の他の側面は、コンピュータプログラムである。開示のコンピュータプログラムは、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するために、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、ことを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0010】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、仲介システム等のネットワーク構成図である。
図2図2は、仲介システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、暗号資産を利用した商品/サービスの提供例を示す図である。
図4図4は、暗号資産を利用した商品/サービスの提供例の手順を示すフローチャートである。
図5図5は、暗号資産を利用商品サービスの提供の比較例を示す図である。
図6図6は、暗号資産の送金の例を示す図である。
図7図7は、暗号資産の送金の例の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、暗号資産の送金の比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.仲介システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラムの概要>
【0013】
(1)実施形態に係るシステムは、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介する仲介システムであり得る。実施形態に係る仲介システムは、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを保証又は実施する、ことを含む処理を実行するよう構成され得る。実施形態に係る仲介システムによれば、トランザクションの承認に時間がかかる場合であっても、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いが実施又は保証されるため、利便性が高まる。
【0014】
(2)前記第2ユーザへの支払いを保証することは、前記第2ユーザへ通知を送信することを含み得る。
【0015】
(3)前記処理は、前記通知を送信した後に、前記第2ユーザへの支払いの実施のため、前記仲介システムが前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含み得る。
【0016】
(4)前記第2ユーザへの支払いを実施することは、前記仲介システムが前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含み得る。
【0017】
(5)実施形態に係る方法は、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であり得る。実施形態に係るコンピュータ実装方法は、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、ことを含み得る。
【0018】
(6)前記第2ユーザへの支払いを保証することは、前記第2ユーザへの通知を送信することを含み得る。
【0019】
(7)実施形態に係る方法は、前記(5)に記載の方法を利用して商品又はサービスを販売するために、コンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であり得る。実施形態に係るコンピュータ実装方法は、前記(5)に記載の方法によって前記第2ユーザへの支払いが保証又は実施されると、前記第1ユーザへの商品又はサービスの提供の処理を行う、ことを含み得る。
【0020】
(8)前記ユーザへの支払いを実施することは、前記アカウントを管理するシステムが前記第2ユーザのアカウントへ、暗号資産又は他の価値データを送信することを含むみ得る。
【0021】
(9)実施形態に係るコンピュータプログラムは、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介するために、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを実施又は保証する、ことを含む処理をコンピュータに実行させ得る。
【0022】
<2.仲介システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラムの例>
【0023】
以下、図面を参照しつつ、実施形態をより詳細に説明する。
【0024】
図1は、実施形態に係る仲介システム10及び仲介システム10に関連する要素を示している。仲介システム10は、第1ユーザ51と第2ユーザ52との間で、暗号資産の送信を伴う商行為を仲介する。暗号資産の送信を伴う商行為は、例えば、商品/サービスの販売、又は、送金である。仲介システム10によって仲介される商行為では、暗号資産が利用される。
【0025】
暗号資産は、電子的な財産価値であり、ブロックチェーンなどの分散台帳技術によって管理される。暗号資産は、例えば、ビットコイン、イーサリアム、ネム、又はリップル等のトークンである。暗号資産は、ステーブルコイン又は中央銀行デジタル通貨(CBDC)であってもよい。暗号資産は、仮想通貨とも呼ばれ得る。
【0026】
ユーザ51,52は、例えば、端末31,32を用いて、商行為を行う。商行為が商品/サービスの販売である場合、第1ユーザ51は、商品/サービスの購入者(消費者)であり、第2ユーザ52は、商品/サービスの販売者であり得る。端末31,32は、ネットワーク15を介して、仲介システム10に接続され得る。端末31,32は、仲介システム10との間で通信可能である。
【0027】
取引が商品/サービスの販売である場合、端末31は、例えば、商品/サービスの消費者である第1ユーザ51が有するスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータであ得る。また、端末32は、商品/サービスの販売業者である第2ユーザ52の店舗に設置されたスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、自動販売機などの無人販売機、又は、オンラインショップ/オンラインゲーム等のオンラインで商品/サービスを提供するためのコンピュータであり得る。
【0028】
取引が送金である場合、端末31は、例えば、送り主である第1ユーザ51が有するスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータであり、端末32は、例えば、受け取り者である第2ユーザ52が有するスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータであり得る。ユーザ51,52が使用するコンピュータは、クライアント端末である必要はなく、サーバコンピュータであってもよい。
【0029】
仲介システム10は、ネットワーク15上のサーバ10として構成され得る。サーバ10は、第1ユーザ51と第2ユーザ52との間の商行為の仲介のための処理を実行する。サーバ10は、プロセッサと、プロセッサに接続された記憶装置と、を備える1又は複数のコンピュータによって構成され得る。サーバ10は、一例として、クラウドサーバによって構成され得る。
【0030】
サーバ10の記憶装置は、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を備える。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。記憶装置は、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムを備える。サーバ10のプロセッサは、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを読み出して実行する。コンピュータプログラムは、コンピュータを、実施形態に係る仲介システム10として動作させるための命令を示すプログラムコードを有する。
【0031】
サーバ10は、ネットワーク15を介して、端末31,32(ユーザコンピュータ)と通信可能である。
【0032】
第1ユーザ51は、第2ユーザ52との商行為として、ブロックチェーン20などの分散台帳システム上の暗号資産を送信し得る。ここでの、第1ユーザ51は、暗号資産の送り主(支払元)である。第2ユーザ52は、本来的には、送信された暗号資産の受け取り者(支払先)であるが、実施形態においては、第1ユーザ51が送信した暗号資産の直接の受け取り者にはならない。実施形態においては、第1ユーザ51が送信した暗号資産は、仲介システム10によって受信される。つまり、暗号資産は、第1ユーザ51のアカウントから、仲介システム10のアカウント(受け取り用アカウント)へ送信される。第2ユーザ52は、第1ユーザ51から、直接、暗号資産を受け取る代わりに、第1ユーザ51から送信された暗号資産相当の価値データを、仲介システム10から受け取る。
【0033】
第1ユーザ51が、端末31において、暗号資産の送信の操作を行うと、ブロックチェーンなどの分散台帳システム上で、トランザクション(取引データ)が発生する(図2のステップS201参照)。ここで発生するトランザクションは、暗号資産が受け取り用アカウントへ送信されたことを示す取引データである。トランザクションは、マイニングされることで、承認される。トランザクションが承認されると暗号資産の送信が完了する。しかし、トランザクションが発生してから承認されるまでには、長時間かかることがある。
【0034】
実施形態に係る仲介システム10は、第1ユーザ51と第2ユーザ52との間で仲介することで、長時間かかることがあるトランザクション承認を伴う商行為が円滑に実行されるのを支援する。このため、仲介システム10は、受け取り用アカウントを含むトランザクションが発生したかどうかを監視し、トランザクションが発生すれば、トランザクションの承認を待つことなく、暗号資産の送信が完了したものとみなす。
【0035】
仲介システム10は、実際には暗号資産の送信が完了していない状態であっても、暗号資産の送信が完了したものとみなし、第1ユーザ51及び第2ユーザ間の商行為の完了に必要な処理を実行する(図2のステップS202)。例えば、仲介システム10は、送信された暗号資産の本来の受け取り者である第2ユーザ52への支払いを保証したり、第2ユーザ52の支払いを実行したりする(ステップS202)。これにより、第1ユーザ51による暗号資産の送信が完了していなくても、第2ユーザ52は、送信が完了したことを前提にして、次のアクションをとることができる。また、仲介システム10は、送信が完了したことを前提にして、次のアクションのための処理を実行できる。
【0036】
次のアクションは、例えば、暗号資産の送信を伴う当該商行為におけるアクション、又は、他の商行為におけるアクションである。暗号資産の送信を伴う当該商行為におけるアクションは、例えば、送信された暗号資産を対価とする商品/サービスの提供である。仲介システム10は、商品/サービスの提供のための処理を実行し得る。この場合、第2ユーザ52は、早期に商品/サービスを第1ユーザ51に提供できる。この結果、第1ユーザ51の利便性が高まる。なお、第1ユーザ51の利便性の高さは、反射的に、第2ユーザ52の利便性の高さとしても把握できる。
【0037】
次のアクションとしての他の商行為におけるアクションは、例えば、送金されたものを支払い原資又は送金原資とする他の商行為におけるアクションである。仲介システム10は、他の商行為(の仲介)のための処理を実行し得る。この場合、第2ユーザ52は、送金されたものを早期に利用できる。この結果、第2ユーザ52の利便性が高まる。なお、第2ユーザ52の利便性の高さは、反射的に、第1ユーザ51の利便性の高さとしても把握できる。
【0038】
以上のように、仲介システム10を利用すると、第1ユーザ51と第2ユーザとの間の商行為を早期に完了させることができ、第1ユーザ51又は第2ユーザ52の利便性が高まる。
【0039】
なお、受け取り用アカウントを含むトランザクションが発生した場合、仲介システム10は、必要に応じて、第1ユーザ51の信用情報を確認するなどして、第1ユーザ51が信用できる場合に、次のアクションのための処理を実行してもよい。また、発生したトランザクションには、送信された暗号資産の数量が含まれるため、次のアクションのための処理に先立って、必要な数量の暗号資産の送信がされたかどうかを判定してもよい。発生したトランザクションには、送信元のアカウントも含まれるため、次のアクションのための処理の実行に先立って、送信元のアカウントも確認してもよい。
【0040】
図3及び図4は、暗号資産の支払による商品/サービスの提供を、仲介システム10が仲介する場合の手順の一例を示している。なお、図3及び図4では、第1ユーザ51は「消費者」として示され、第2ユーザ52は「業者」として示されている。
【0041】
図4に示すように、消費者51は、端末31を操作(支払い開始アクションを実行)して、業者52から商品/サービスを購入するため、支払のための処理を開始する(ステップS401)。なお、支払の処理の開始は、業者52が端末32を操作(支払い開始アクション)することによって行われてもよい。
【0042】
仲介システム10は、支払い開始のアクションがなされると、消費者51から暗号資産を受け取るための受け取りアドレス(受け取りアカウント)を設定する(ステップS402)。受け取りアカウントは、仲介システム10が暗号資産を受け取るためのアカウントである。受け取りアカウントは、例えば、ブロックチェーン20上において、仲介システムの管理者(仲介者)によって設定されたウォレットアドレス(仲介者ウォレットアドレス:図3参照)である。
【0043】
受け取りアカウントは、例えば、1回の受け取りのためだけ使用される使い捨てアカウントであってもよいし、複数回の受け取りに使用される使い回りアカウントであってもよい。受け取りアカウントは、複数のアカウントの中から、適宜設定されてもよいし、予め設定されていてもよい。
【0044】
受け取りアカウントは、暗号資産の送り主である消費者51へ通知される。例えば、仲介システム10は、受け取りアカウントを業者端末32へ送信し(ステップS403)、業者52から、消費者51へ通知される。例えば、業者端末32において、受け取りアカウントを示す二次元コードを表示し、消費者端末31において、その二次元コードを読み取ることによって、消費者端末31は、受け取りアカウントを取得し得る。業者端末32から消費者端末31への受け取りアカウントの送信は、近距離無線通信などの無線通信によって行われてもよい。
【0045】
また、受け取りアカウントは、仲介システム10から、消費者端末31へ送信されてもよい(ステップS404)。
【0046】
消費者51は、受け取りアカウント(仲介者ウォレットアドレス)を取得した消費者端末31を操作して、受け取りアカウントへ、商品/サービスの購入に必要な暗号資産を送信する(図3及び図4のステップS405)。送信されるべき暗号資産の数量は、例えば、商品/サービスの価格相当の暗号資産の数量、又は、商品/サービスの価格に仲介者の手数料又はその他の手数料を加えた合計額相当の暗号資産の数量である。
【0047】
消費者51が、端末31において、暗号資産の送信の操作を行うと、トランザクションが発生する。ここで発生するトランザクションは、消費者51のウォレットアドレスから、受け取りアカウントである仲介者ウォレットアドレスへの暗号資産の送信のトランザクションである。仲介システム10は、受け取りアカウントを送信先として含むトランザクションを検出すると(ステップS406)、そのトランザクションの承認が完了する前(暗号資産の送信が完了する前)に、業者52への支払いを保証する処理を実行する。業者52への支払いを保証する処理は、例えば、仲介システム10から業者端末32への送信確認通知の送信(図3及び図4のステップS407)である。
【0048】
送信確認通知は、例えば、消費者51から暗号資産が送信されたことを業者52へ知らせる通知である。仲介システム10は、送信確認通知を受けた業者52に対して、消費者51が送信した暗号資産相当額の支払いを保証する。したがって、送信確認通知を受けた業者52は、仲介システム10(仲介者)によって支払いが保証されるため、トランザクション承認完了前であっても、安心して、消費者51に、商品/サービスを提供できる(図3及び図4のステップS408)。消費者51への商品/サービスを提供する処理は、仲介システム10によって実行されてもよい。
【0049】
その後、仲介システム10は、トランザクションの承認が完了(送信完了)したことを検出する(ステップS409)。ステップS409の送信完了検出があると、消費者51から送信された暗号資産を受け取りアカウントにて受信した状態になる。仲介システム10は、消費者51から送信された暗号資産に相当する価値データを、業者52のアカウントへ送信する(送金処理;ステップS410)。
【0050】
業者52のアカウントへ送信される価値データは、受け取りアカウント(仲介者ウォレットアドレス)で受け取った暗号資産と同じ種類の暗号資産であってもよいし、他の種類の暗号資産であってもよいし、その他の電子的な価値データの送信(例えば、法定通貨の銀行送金)であってもよい。
【0051】
仲介システム10から業者52へ送信される価値データは、受け取りアカウントにて消費者51から受信した暗号資産相当の額である。受信した暗号資産相当の額の価値データは、受信した暗号資産と同額であってもよいし、受信した暗号資産から、手数料を引いた額であってもよい。
【0052】
なお、ステップS410の送金処理は、ステップS407の時点で実行されてもよい。すなわち、トランザクションが発生したが承認されていない時点で、送金処理が実行されてもよい。この場合、仲介システム10が、消費者51からの暗号資産送信が完了していない段階で、業者52へ立て替え送金したことになる。この場合の立て替え送金において送信される価値データは、暗号資産又はその他の価値データであり得る。
【0053】
なお、立て替え送金される価値データが暗号資産であると、立て替え送金のトランザクション承認に時間がかかることがあるが、個々の消費者51よりも信頼できる仲介システム10による立て替え送金のトランザクションの発生があれば、業者52は安心して、消費者51に商品/サービスを提供し得る。
【0054】
例えば、業者52の端末32が、自動販売機32である場合、消費者51は、自動販売機32の商品を選択し、選択した商品の代金を暗号資産で支払うことができる(ステップS405)。この場合、暗号資産の送信のトランザクション発生が確認されると、自動販売機32は、選択された商品を排出する(ステップS408)。したがって、消費者51は、トランザクション承認を待つことなく、迅速に、商品を入手できる。
【0055】
業者52の端末32が、現実のゲーム機32である場合、消費者51は、ゲーム代金相当の暗号資産を送信する(ステップS405)。この場合、暗号資産の送信のトランザクション発生が確認されると、ゲーム機32は、ゲームのプレイを開始する。したがって、消費者51は、トランザクション承認を待つことなく、迅速に、ゲームを開始できる。
【0056】
業者52の提供するサービスが有料のオンラインゲームである場合、消費者51は、ゲーム代金相当の暗号資産を送信する(ステップS405)。この場合、暗号資産の送信のトランザクション発生が確認されると、オンラインゲームシステム32は、ゲームのプレイを開始する。したがって、消費者51は、トランザクション承認を待つことなく、迅速に、ゲームを開始できる。
【0057】
業者52がオンラインショップ32で商品を販売する場合、消費者51は、オンラインショップ32上で商品を選択し、選択した商品の代金を暗号資産で支払うことができる(ステップS405)。この場合、暗号資産の送信のトランザクション発生が確認されると、オンラインショップ32は、選択された商品を消費者51へ配送する処理を実行する(ステップS408)。したがって、消費者51は、迅速に、商品の購入を完了できる。
【0058】
図5は、暗号資産の支払による商品/サービスの提供についての比較例を示している。比較例では、仲介システム10は用いられない。比較例では、消費者51が業者52へ、直接、暗号資産を送信する(ステップS501)。消費者51が暗号資産を送信すると、その送信のトランザクションが発生する。業者52は、時間がかかるトランザクションの承認を待つ。トランザクションの承認が完了すると、業者52は、消費者51から送信された暗号資産を受け取った状態になる(ステップS502)。その後、業者52は、消費者51へ商品/サービスを提供する(ステップS503)。比較例において、消費者への商品/サービスの提供は、トランザクション承認後になる。このため、消費者への商品/サービスの提供に時間がかかり、消費者の利便性が低い。
【0059】
また、比較例のように仲介システム10を利用しない場合において、業者52が、トランザクション承認前に、消費者へ商品/サービスを提供することも不可能ではない。ただし、この場合、業者52がリスクを負うことになり、業者52の利便性が低下する。一方、実施形態に係る仲介システム10を利用すると、業者52のリスクを低減して、業者の利便性を確保しつつ、消費者51の利便性も高めることができる。
【0060】
図6及び図7は、暗号資産の送金を、仲介システム10が仲介する場合の手順の一例を示している。なお、図6及び図7では、第1ユーザ51は、暗号資産の「送り主」として示され、第2ユーザ52は、「受け取り者」として示されている。
【0061】
図7に示すように、送り主51は、端末31を操作(送金開始アクションを実行)して、受け取り者52への送金のための処理を開始する(ステップS701)。図7に示すように、ステップS701は、端末31から仲介システム10への送信仲介要求でもある。
【0062】
仲介システム10は、ステップS701の後、受け取りアドレス(受け取りアカウント)を設定する(ステップS702)。ステップS702及び受け取りアカウントについては、ステップS402及びステップS402における受け取りアカウントについての説明が援用される。
【0063】
受け取りアカウントは、例えば、仲介システム10から送り主端末31へ送信される(ステップS703)。
【0064】
送り主51は、受け取りアカウント(仲介者ウォレットアドレス)を取得した送り主端末31を操作して、受け取りアカウントへ、送金したい額に相当する暗号資産を送信する(図6及び図7のステップS704)。送信されるべき暗号資産の数量は、例えば、送金したい額と同じ暗号資産の数量、又は、送金したい額と同じ暗号資産の数量に仲介者の手数料又はその他の手数料を加えた合計額相当の暗号資産の数量である。
【0065】
送り主51が、端末31において、暗号資産の送信の操作を行うと、トランザクションが発生する。ここで発生するトランザクションは、送り主51のウォレットアドレスから、受け取りアカウントである仲介者ウォレットアドレスへの暗号資産の送信のトランザクションである。仲介システム10は、受け取りアカウントを送信先として含むトランザクションを検出すると(ステップS705)、そのトランザクションの承認が完了する前(暗号資産の送信が完了する前)に、受け取り者52へ立て替え送金処理を実行する(ステップS706)。これにより、受け取り者52は、トランザクション承認前に、送金を受けることができる(ステップS707)。仲介システム10は、トランザクション承認が完了すれば、立て替え分を回収できる(ステップS708)。
【0066】
ステップS706の立て替え送金処理は、送り主51から送信された暗号資産に相当する価値データを、受け取り者52のアカウントへ送信することである。受け取り者52のアカウントへ送信される価値データは、受け取りアカウント(仲介者ウォレットアドレス)で受け取った暗号資産と同じ種類の暗号資産であってもよいし、他の種類の暗号資産であってもよいし、その他の電子的な価値データの送信(例えば、法定通貨の銀行送金)であってもよい。
【0067】
仲介システム10から受け取り者52へ送信される価値データは、受け取りアカウントにて送り主51から受信した暗号資産相当の額である。受信した暗号資産相当の額の価値データは、受信した暗号資産と同額であってもよいし、受信した暗号資産から、手数料を引いた額であってもよい。
【0068】
なお、立て替え送金される価値データが暗号資産であると、立て替え送金のトランザクション承認に時間がかかることがあるが、個々の送り主51よりも信頼できる仲介システム10による立て替え送金のトランザクションの発生があれば、受け取り者52は早期に安心できる。
【0069】
また、仲介システム10が、受け取り者52等のユーザのアカウントを管理するウォレットアプリケーションのサービスも提供する場合、トランザクション承認前に、ユーザのウォレットアプリケーションに表示される暗号資産の残高を、トランザクション承認後における完了時における残高にしてもよい。
【0070】
例えば、受け取り者52のウォレットアドレス(受け取り者アカウント)における暗号資産の残高がXであるときに、送り主51からYの暗号資産が送信されたとする。この場合、仲介システム10は、Yの送信トランザクション承認が完了する前に、受け取り者52のウォレットアプリケーションに表示される暗号資産の残高を(X+Y)にすることができる。
【0071】
トランザクション承認前において表示される暗号資産の残高(X+Y)のうち、Yの相当額は、仲介システム10(仲介者)の保有する暗号資産によって担保され得る。受け取り者52は、送り主51からのYの送信トランザクション承認前であっても、(X+Y)の範囲内で、Xを超える額の暗号資産を送る操作を、ウォレットアプリケーション上で行うことができる。この場合、受け取り者52は、送り主51から送信された暗号資産を、実際に受信する前(トランザクション承認前)に、利用できる。
【0072】
例えば、受け取り者52は、第三者のウォレットアドレスに、(X+Y)の暗号資産を送信する操作を行うことができる。この場合、(X+Y)のうちのYの暗号資産の実際の所有者は、仲介システム10(仲介者)であるため、ブロックチェーン20上では、Xを受け取り者52から第三者へ送信する第1トランザクションと、Yを仲介システム10(仲介者)から第三者へ送信する第2トランザクションが発生する。第三者は、受け取り者52及び仲介システム10から、合計で(X+Y)を受信できる。
【0073】
上記のように、トランザクション承認前に、受け取り者52のウォレットの残高表示を、送信額に応じて増加させる処理は、受け取り者52に送信される価値データが、暗号資産以外である場合においても行われてもよい。受け取り者52のウォレットに表示される残高が、送金額に応じて早期に増加することで、受け取り者52は、早期に送金を確認できる。
【0074】
図8は、暗号資産の送金についての比較例を示している。比較例では、仲介システム10は用いられない。比較例では、送り主51が受け取り者へ、直接、暗号資産を送信する(ステップS806)。送り主51が暗号資産を送信すると、その送信のトランザクションが発生する。受け取り者52は、時間がかかるトランザクションの承認を待つ。トランザクションの承認が完了すると、受け取り者52は、送り主51から送信された暗号資産を受け取った状態になる(ステップS807)。例えば、受け取り者52のウォレットの残高は、ステップS807の時点で増加する。ステップS807以降において、受け取り者52は、受け取った暗号資産を利用することができる。比較例において、受け取り者52は、トランザクション承認後にしか、暗号資産を受け取った状態になることができない。このため、受け取り者52が、暗号資産を利用可能になるまでの時間がかかり、受け取りの消費者の利便性が低い。一方、実施形態に係る仲介システム10を利用すると、受け取り者52の利便性を高めることができる。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 :仲介システム
15 :ネットワーク
20 :ブロックチェーン
31 :端末
32 :端末
51 :第1ユーザ
52 :第2ユーザ
【要約】
【課題】暗号資産のトランザクションの承認に時間がかかる場合であっても、その不便さを低減して、利便性を高めることが望まれる。
【解決手段】開示の仲介システムは、暗号資産を送信する第1ユーザと、第2ユーザと、を仲介する仲介システムであって、前記第1ユーザから送信された暗号資産を受け取るためのアカウントへの暗号資産の送信のトランザクションを検出すると、前記トランザクションの承認が完了する前に、前記第2ユーザへの支払いを保証又は実施する、ことを含む処理を実行するよう構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8