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特許7624784図面処理装置、推論装置、機械学習装置、図面処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】図面処理装置、推論装置、機械学習装置、図面処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250124BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250124BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06N20/00 130
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024134234
(22)【出願日】2024-08-09
【審査請求日】2024-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322014222
【氏名又は名称】株式会社REVOX
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】宮季 高正
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特許第7465025(JP,B1)
【文献】株式会社REVOX,【SellBOT】図面のテキストをAIが自動判別して抽出[online],2024年07月02日,[令和6年10月10日検索]、インターネット<URL : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000101229.html>
【文献】株式会社REVOX,切削、板金加工のAI見積り「SellBOT」AI SEARCHプラン新発売![online],2023年08月31日,[令和6年10月10日検索]、インターネット<URL : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000101229.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付部と、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部と、を備え、
前記依頼先選定部は、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データを学習モデルに入力することで、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて前記依頼先の候補を選定し、
前記学習モデルは、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理装置。
【請求項2】
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付部と、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部と、を備え、
前記依頼先選定部は、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定部は、
前記特徴取得処理として、前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データを第1の学習モデルに入力することで、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データを取得し、
前記第1の学習モデルは、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理装置。
【請求項3】
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付部と、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部と、を備え、
前記依頼先選定部は、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定部は、
前記候補選定処理として、前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データを第2の学習モデルに入力することで、前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データにおける前記加工品に対する前記加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定し、
前記第2の学習モデルは、
前記加工品特徴データと、当該加工品特徴データが示す前記特徴を有する前記加工品に対する前記加工品依頼データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理装置。
【請求項4】
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付部と、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部と、を備え、
前記依頼先選定部は、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定部は、
前記候補選定処理として、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品依頼データとが関連付けられて登録された図面データベースを参照し、
前記図面データベースに登録された前記既存図面データから、前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該加工品特徴データが示す前記特徴に同一又は類似の前記既存図面データを類似図面データとして抽出し、
当該類似図面データに関連付けられた前記加工品依頼データに基づいて、前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先の候補を選定する、
図面処理装置。
【請求項5】
入力データと出力データで構成される学習用データを複数組取得する学習用データ取得部と、
前記学習用データ取得部により取得された複数組の前記学習用データを用いて、前記入
力データと前記出力データとの相関関係を機械学習により学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部とを備え、
前記入力データは、
加工品に関する既存図面データを含み、
前記出力データは、
前記既存図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データを含む、
機械学習装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行される図面処理方法であって、
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付工程と、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定工程と、を備え、
前記依頼先選定工程は、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データを学習モデルに入力することで、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて前記依頼先の候補を選定し、
前記学習モデルは、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理方法。
【請求項7】
コンピュータにより実行される図面処理方法であって、
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付工程と、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定工程と、を備え、
前記依頼先選定工程は、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定工程は、
前記特徴取得処理として、前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データを第1の学習モデルに入力することで、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データを取得し、
前記第1の学習モデルは、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理方法。
【請求項8】
コンピュータにより実行される図面処理方法であって、
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付工程と、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選
定工程と、を備え、
前記依頼先選定工程は、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定工程は、
前記候補選定処理として、前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データを第2の学習モデルに入力することで、前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データにおける前記加工品に対する前記加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定し、
前記第2の学習モデルは、
前記加工品特徴データと、当該加工品特徴データが示す前記特徴を有する前記加工品に対する前記加工品依頼データとの相関関係を機械学習により学習させたものである、
図面処理方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行される図面処理方法であって、
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付工程と、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定工程と、を備え、
前記依頼先選定工程は、
前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データから、当該新規図面データにおける前記加工品の特徴を示す加工品特徴データを取得する特徴取得処理と、
前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先を示す加工品依頼データを取得し、当該加工品依頼データに基づいて、前記依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行い、
前記依頼先選定工程は、
前記候補選定処理として、
加工品に関する既存図面データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品特徴データと、当該既存図面データにおける前記加工品に対する前記加工品依頼データとが関連付けられて登録された図面データベースを参照し、
前記図面データベースに登録された前記既存図面データから、前記特徴取得処理で取得した前記加工品特徴データに基づいて、当該加工品特徴データが示す前記特徴に同一又は類似の前記既存図面データを類似図面データとして抽出し、
当該類似図面データに関連付けられた前記加工品依頼データに基づいて、前記図面受付工程により受け付けられた前記新規図面データにおける前記加工品に対する前記依頼先の候補を選定する、
図面処理方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行される機械学習方法であって、
入力データと出力データで構成される学習用データを複数組取得する学習用データ取得工程と、
前記学習用データ取得工程により取得された複数組の前記学習用データを用いて、前記入力データと前記出力データとの相関関係を機械学習により学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程とを備え、
前記入力データは、
加工品に関する既存図面データを含み、
前記出力データは、
前記既存図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データを含む、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面処理装置、推論装置、機械学習装置、図面処理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械、建築、土木、電気、アパレル等の様々な分野で取り扱われる図面には、例えば、加工品の形状や構造を表すための線(外形線、寸法線等)の他に、各種の情報が文字で記載されている。図面に記載された各種の情報は、加工の内容を把握するための重要な情報であることから、これらの情報を利用するためのシステムが開発されている。例えば、特許文献1には、図形の寸法線に付随して記載された寸法量を表す文字を取得し、図形の寸法量を示す一覧表を作成する支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-293777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された支援システムは、上記のように、図面から加工品に関する情報を取得するものであるが、図面から情報を取得するところまでに留まっていた。そのため、支援システムを利用するユーザは、図面に記載された情報から、加工を依頼する依頼先や加工に先立つ見積りを依頼する依頼先を選定しなければならず、適切な依頼先を選定する作業は、加工に関する高度な知見や経験が求められ、難易度が高い作業であった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定可能な図面処理装置、推論装置、機械学習装置、図面処理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る図面処理装置は、
加工品に関する新規図面データを受け付ける図面受付部と、
前記図面受付部により受け付けられた前記新規図面データに基づいて、当該新規図面データにおける前記加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る図面処理装置によれば、ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】図面管理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2A】組立図に関する図面データD10の一例を示す図である。
図2B】部品図に関する図面データD10の一例を示す図である。
図3】図面データベース210の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る図面処理装置2Aの一例を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る学習モデル生成部201Aの一例を示す機能説明図である。
図6】第1の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Aの一例を示す機能説明図である。
図7】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図8】第1の実施形態に係る図面処理装置2Aの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。
図9】第2の実施形態に係る図面処理装置2Bの一例を示すブロック図である。
図10】第2の実施形態に係る学習モデル生成部201Bの一例を示す機能説明図である。
図11】第2の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Bの一例を示す機能説明図である。
図12】第2の実施形態に係る図面処理装置2Bの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。
図13】第3の実施形態に係る図面処理装置2Cの一例を示すブロック図である。
図14】第3の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Cの一例を示す機能説明図である。
図15】第3の実施形態に係る図面処理装置2Cの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、図面管理システム1の一例を示す全体構成図である。図面管理システム1は、加工品に関する図面データD10を管理するシステムとして機能する。
【0012】
図面管理システム1で取り扱われる図面データD10は、例えば、組立図や部品図等の機械図面、建築図面、電気回路図面、空気圧回路図面、油圧回路図面、アパレル図面等の任意の図面をデジタルデータとして記録したものである。その際、図面データD10は、ベクタ形式のデータでもよいし、ラスタ形式のデータでもよい。例えば、図面データD10は、各種のCADソフトウェアによって出力されたCADデータ(ベクタ形式の一例)でもよいし、紙媒体に印刷された図面をスキャナ等によって読み取ることで出力された画像データ(ラスタ形式の一例)でもよい。なお、図面データD10は、任意の投影法で作図されたものでよく、三次元の図面でもよい。また、図面データD10は、表を含むものであればよく、例えば、帳票等の書類をデジタルデータとして記録したものでもよい。
【0013】
図面管理システム1は、図1に示すように、図面処理装置2Aと、ユーザ端末装置3とを備える。図面処理装置2A及びユーザ端末装置3は、有線又は無線のネットワーク4に接続され、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、図面処理装置2A及びユーザ端末装置3の数やネットワーク4の接続構成は、図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0014】
図面処理装置2Aは、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータであり、汎用又
は専用のコンピュータ(後述の図7参照)等で構成される。図面処理装置2Aは、ユーザ端末装置3から新規の図面データD10(以下、新規図面データD10という)を受け付けて、当該新規図面データD10に対して各種の処理を行う。そして、図面処理装置2Aは、新規図面データD10と、新規図面データD10に対する処理結果として得られる加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12とを関連付けて図面データベース210に登録可能な図面データベース210を備える。また、図面処理装置2Aは、図面データベース210に登録済みの既存の図面データD10(以下、既存図面データD10という)や、既存図面データD10に関連付けられた加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12を参照したり、編集したりするための表示情報をユーザ端末装置3に提供する。
【0015】
ユーザ端末装置3は、クライアント型コンピュータであり、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図7参照)等で構成される。ユーザ端末装置3は、新規図面データD10の登録、既存図面データD10の参照、編集等を行うために、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。
【0016】
図2Aは、組立図に関する図面データD10の一例を示す図である。図2Bは、部品図に関する図面データD10の一例を示す図である。
【0017】
図面データD10の図面領域10には、形状領域11と、表題欄12と、部品表13とが配置されている。図面領域10は、図面データD10を紙媒体に印刷したときの紙面全体の領域に相当する。
【0018】
形状領域11は、組立品や部品の形状及び寸法が図形や文字で記載される領域である。形状領域11には、組立品や部品の形状や構造を規定する線として、例えば、外形線、寸法線、かくれ線、中心線、想像線等が記載される。また、形状領域11には、寸法、公差、部品番号等を示す文字が記載される。なお、形状領域11には、正投影図法による六面図のいずれかに限られず、例えば、断面図、斜視図、分解図のように、他の種類の図面を表すものでもよい。
【0019】
表題欄12及び部品表13は、図面データD10に含まれる表の一種である。表は、縦線及び横線を組み合わせた罫線と、罫線により区切られたボックスとを有する。ボックス内には、文字が記載されるとともに、各ボックスには、ボックス内に記載された文字の属性が定められる。また、ボックスは、ボックスの種類を示すプロパティにより分類される。プロパティとしては、属性見出しプロパティ、通番見出しプロパティ、属性無しフィールドプロパティ、属性有りフィールドプロパティ等が挙げられる。
【0020】
表題欄12の属性としては、図2A及び図2Bに示すように、例えば、品名、図面番号、尺度、作成日、設計者、承認者等が挙げられる。表題欄12が有する各ボックスは、属性有りフィールドプロパティと、属性見出しプロパティと、属性無しフィールドプロパティとに分類される。属性有りフィールドプロパティに分類されるボックスには、表題欄12の記載内容としてのフィールド文字(図2Aの例では、「1:2」、「2024/1/11」、「ASSY A」、「F1-222-33-A」)と、フィールド文字の属性を定める属性文字(図2Aの例では、「尺度」、「作成日」、「品名」、「図面番号」)とが記載される。属性見出しプロパティに分類されるボックスには、フィールド文字の属性を定める属性文字(図2Aの例では、「設計者」、「承認者」)が記載される。属性無しフィールドプロパティに分類されるボックスには、表題欄12の記載内容としてのフィールド文字(図2Aの例では、「AAA」、「BBB」)が記載される。
【0021】
部品表13の属性としては、図2Aに示すように、例えば、番号、品名、材質、数量等が挙げられる。部品表13が有する上側1行目のボックスは、属性見出しプロパティに分類され、部品表13の各列の属性を見出しとして定める属性見出し文字(図2Aの例では、「番号」、「品名」、「材質」、「数量」)が記載される。部品表13が有する左側1
列目のボックスは、通番見出しプロパティに分類され、部品表13の各行の通番を見出しとして定める通番見出し文字(図2Aの例では、「1」、「2」、「3」)が記載される。部品表13が有するその他のボックスは、ボックス内に属性文字が記載されていない属性無しフィールドプロパティに分類され、部品表13の記載内容としてのフィールド文字(図2Aの例では、「COVER」、「PPP」、「1」、「BODY」、「QQQ」、「1」、「LEG」、「RRR」、「4」)が記載される。
【0022】
なお、図面データD10に含まれる表の種類は、表題欄12及び部品表13に限られず、他の種類の表でもよい。また、表を構成するボックスの配置や数は、表の種類に応じて適宜変更されてもよく、各ボックスに定められる属性は上記の例に限られない。
【0023】
図3は、図面データベース210の一例を示す図である。図面データベース210には、既存図面データD10と、当該既存図面データD10における加工品に関する加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12とが既存図面データD10毎に関連付けられて登録される。
【0024】
加工品特徴データD11は、既存図面データD10における加工品の特徴を示すデータである。加工品特徴データD11は、形状領域11に含まれる線、文字、記号等や、表題欄12及び部品表13に含まれる文字(主にフィールド文字)から取得されるものである。加工品の特徴に関する属性は、例えば、図3に示すように、作成日、品名、図面番号、尺度、形状、材質、最大寸法、数量、穴加工等が挙げられるが、これらに限られない。穴加工に関する属性は、例えば、穴の直径と、加工方法(キリ、ザグリ、皿ザグリ等)とを組み合わせた複数の属性が挙げられるが、これらに限られない。
【0025】
加工品特徴データD11に含まれる各属性には、属性に応じたデータ形式の属性値が登録される。品名や図面番号に関する属性に対しては、属性値として、文字列が登録される。尺度、形状、材質、表面処理、溶接に関する属性に対しては、属性値として、事前に用意された複数の選択肢から選択されたものが登録される。図3の例では、形状に対して、例えば、板、棒、管のような選択肢から「板」が選択されて登録されている。最大寸法、数量、穴加工に関する属性に対しては、属性値として、数値が登録される。図3の例では、最大寸法に対して、例えば、「200」という数値が登録されている。
【0026】
加工品依頼データD12は、既存図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼した依頼先を示すデータである。加工品依頼データD12には、依頼先に関する属性は、例えば、加工又は見積りを依頼した依頼先の名称、加工又は見積りを依頼した依頼日時、加工価格又は見積り価格等が挙げられる。
【0027】
加工品依頼データD12に含まれる各属性には、属性に応じたデータ形式の属性値が登録される。加工又は見積りの依頼先に関する属性に対しては、事前に依頼先が登録された依頼先リストから選択されたものであり、例えば、各依頼先に一意に割り当てられた識別子が登録される。なお、依頼先リストには、新規の依頼先を追加したり、既存の依頼先を削除したりしてもよい。
【0028】
なお、図面データベース210には、上記以外のデータが登録可能に構成されてもよいし、加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12に含まれる属性や属性値のデータ形式は、上記の例に限られない。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係る図面処理装置2Aの一例を示すブロック図である。図5は、第1の実施形態に係る学習モデル生成部201Aの一例を示す機能説明図である。図6は、第1の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Aの一例を示す機能説明図である。
【0030】
図面処理装置2Aは、制御部20と、データ記憶部21と、学習済みモデル記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0031】
通信部23は、ネットワーク4を介して外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部24は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部25は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。なお、入力部24及び出力部25は省略されてもよい。
【0032】
データ記憶部21には、図面データベース210と、図面処理プログラム211Aとが記憶されている。図面データベース210には、図3に示すように、既存図面データD10と、既存図面データD10から得られる各種の情報とが関連付けられて登録される。図面データベース210の具体的な構成は、図3の例に限られず、適宜設計すればよい。
【0033】
学習済みモデル記憶部22には、学習済みの第1の学習モデル220A及び第2の学習モデル220Bが記憶されている。学習済みモデル記憶部22に記憶された学習モデル220A、220Bは、ネットワーク4や記録媒体等を介して他の装置に提供されてもよい。また、学習済みモデル記憶部22に記憶される学習モデル220A、220Bの数は、それぞれ1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、データの違い等のように、条件が異なる複数の学習モデル220A、220Bが記憶されて、選択的又は並列的に利用可能としてもよい。
【0034】
なお、図3では、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22が、2つの記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよいし、3つ以上の記憶部で構成されていてもよい。また、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22の少なくとも一方は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で構成されていてもよい。
【0035】
制御部20は、データ記憶部21に記録された図面処理プログラム211Aを実行することにより、送受信制御部200、学習モデル生成部201A、図面受付部202、依頼先選定部203A、データベース管理部204として機能する。
【0036】
(送受信制御部200)
送受信制御部200は、外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)との間で各種のデータを送受信する。送受信制御部200は、例えば、ユーザ端末装置3に各種の表示画面を出力するための表示情報をユーザ端末装置3に送信するとともに、ユーザ端末装置3の表示画面に対して行われた入力操作を受け付けるための操作情報をユーザ端末装置3から受信する。その際、送受信制御部200は、各部201~204と連携し、ユーザ端末装置3に表示情報を送信したり、ユーザ端末装置3から操作情報を受信したりする。
【0037】
(学習モデル生成部201A)
学習モデル生成部201Aは、図4及び図5に示すように、学習用データ取得部2010Aと、機械学習部2011Aとを備える。
【0038】
学習用データ取得部2010Aは、図面データベース210を参照し、入力データと出力データとでそれぞれ構成される第1の学習用データD13A及び第2の学習用データD13Bを取得する。学習用データD13A、D13Bは、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。学習用データD13A、D13Bを構成する出力データは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0039】
第1の学習用データD13Aを構成する入力データは、既存図面データD10を含むものである。なお、第1の学習用データD13Aの入力データに含まれる既存図面データD10は、図面領域10の全体に対応するデータでもよいし、図面領域10から切り出した一部の領域(例えば、形状領域11等)に対応するデータでもよい。
【0040】
第1の学習用データD13Aを構成する出力データは、既存図面データD10における加工品の特徴を示す加工品特徴データD11を含むものである。その際、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、図3に示す加工品の特徴に関する複数の属性のうち、一部の属性に関するものでもよい。
【0041】
なお、形状、材質、表面処理、溶接のように、事前に用意された複数の選択肢から選択されたものが指定される場合、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、その選択された選択肢に対するフラグのみに「1」を代入したデータとして定義される。例えば、形状に関して、板、棒、管のような選択肢から「板」が選択されている場合、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、「板=1、棒=0、管=0」のように、「板」に対するフラグのみに「1」を代入したデータとして定義される。
【0042】
また、最大寸法、数量、穴加工のように、数値で指定される場合、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、その指定された数値(正規化された数値でもよい)を代入したデータとして定義される。例えば、最大寸法に関して、「200」が指定されている場合、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、「最大寸法=200」のように、最大寸法のパラメータに「200」を代入したデータとして定義される。なお、上限値を「1000」として正規化された場合には、「最大寸法=0.2」のように、最大寸法のパラメータに「0.2」を代入したデータとして定義されてもよい。
【0043】
第2の学習用データD13Bを構成する入力データは、既存図面データD10における加工品の特徴を示す加工品特徴データD11を含むものであり、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11と同様に定義される。なお、第2の学習用データD13Bの入力データに含まれる加工品特徴データD11は、第1の学習用データD13Aの出力データに含まれる加工品特徴データD11と同様に、図3に示す加工品の特徴に関する複数の属性のうち、一部の属性に関するものでもよい。
【0044】
第2の学習用データD13Bを構成する出力データは、既存図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データD12を含むものである。第2の学習用データD13Bの出力データに含まれる加工品特徴データD11は、図3に示す依頼先の関する複数の属性のうち、少なくとも加工又は見積りの依頼先に関するものである。
【0045】
その際、依頼先に対する依頼先リストとして、「S001、S002、…、S011、S012、…、S020」のように、複数の依頼先が事前に登録されている状況において、依頼先として「S011」が指定されている場合、第2の学習用データD13Bの出力
データに含まれる加工品特徴データD11は、「S001=0、S002=0、…、S011=1、S012=0、…、S020=0」のように、「S011」に対するフラグのみに「1」を代入したデータとして定義される。
【0046】
学習用データ取得部2010Aは、図面データベース210に登録された既存図面データD10と、当該既存図面データD10に関連付けられた加工品特徴データD11とを参照することで、第1の学習用データD13Aを取得する。また、学習用データ取得部2010Aは、図面データベース210に登録された加工品特徴データD11と、当該加工品特徴データD11に関連付けられた加工品依頼データD12とを参照することで、第2の学習用データD13Bを取得する。
【0047】
例えば、学習用データ取得部2010Aは、図面処理装置2Aやユーザ端末装置3にて図面データベース210に登録された既存図面データD10の一覧を表示画面に表示し、表示画面上で指定された既存図面データD10と、当該既存図面データD10に関連付けられた加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12とを図面データベース210から読み出すことで、第1の学習用データD13A及び第2の学習用データD13Bを取得する。なお、学習用データ取得部2010Aは、ネットワーク4を介して接続される外部装置と連携して第1の学習用データD13A及び第2の学習用データD13Bを取得してもよい。
【0048】
機械学習部2011Aは、学習用データ取得部2010Aにより取得された複数組の第1の学習用データD13Aを用いて、入力データ(既存図面データD10)と出力データ(加工品特徴データD11)との相関関係を第1の学習モデル220Aに学習させる機械学習を行う。また、機械学習部2011Aは、学習用データ取得部2010Aにより取得された複数組の第2の学習用データD13Bを用いて、入力データ(加工品特徴データD11)と出力データ(加工品依頼データD12)との相関関係を第2の学習モデル220Bに学習させる機械学習を行う。
【0049】
学習モデル220A、220Bとしては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、ビジョントランスフォーマー等のニューラルネット型(
ディープラーニングを含む)、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング
等のアンサンブル学習、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等を用いることができる。
【0050】
なお、機械学習部2011Aが機械学習を行うタイミングは、図面データベース210に登録された既存図面データD10のデータ数が所定の数を超えたときでもよいし、ユーザからの指示を受け付けたときでもよいし、これらに限られない。
【0051】
(図面受付部202)
図面受付部202は、例えば、ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して図面データD10を受信することで、新規図面データD10を受け付ける。その際、図面受付部202は、加工の依頼先を選定するか、見積りの依頼先を選定するかの指定を受け付けてもよい。
【0052】
(依頼先選定部203A)
依頼先選定部203Aは、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10に基づいて、当該新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する。例えば、図面受付部202が、加工の依頼先か見積りの依頼先かの指定を受け付けている場合には、依頼先選定部203Aは、その指定に基づいて、加工
の依頼先及び見積りの依頼先のいずれかを選定する。なお、依頼先の候補としては、1つでもよいし、複数でもよい。
【0053】
具体的には、依頼先選定部203Aは、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10から、当該新規図面データD10における加工品の特徴を示す加工品特徴データD11を取得する特徴取得処理と、特徴取得処理で取得した加工品特徴データD11に基づいて、当該新規図面データD10における加工品に対する依頼先を示す加工品依頼データD12を取得し、当該加工品依頼データD12に基づいて、依頼先の候補を選定する候補選定処理とを行う。
【0054】
本実施形態では、依頼先選定部203Aは、特徴取得処理として、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10を第1の学習モデル220Aに入力することで、当該新規図面データD10における加工品に対する加工品特徴データD11を取得する。
【0055】
その際、第1の学習モデル220Aからは、選択肢で定義される属性については、例えば、形状であれば、「板=0.9、棒=0.04、管=0.06」のように、各属性値に対するスコアとして出力されるため、スコアが最も高い「板」が、新規図面データD10に対する形状として取得される。また、数値で定義される属性については、例えば、最大寸法であれば、「最大寸法=250」(正規化された場合には、「最大寸法=0.2」)のように出力されるため、「250」(正規化された場合には、「0.2」)が、新規図面データD10に対する最大寸法として取得される。
【0056】
また、依頼先選定部203Aは、候補選定処理として、特徴取得処理で取得した加工品特徴データD11を第2の学習モデル220Bに入力することで、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10に対する加工品依頼データD12を取得し、当該加工品依頼データD12に基づいて、依頼先の候補を選定する。
【0057】
その際、第2の学習モデル220Bからは、依頼先リストに含まれる複数の依頼先に対して、「S001=0.12、S002=0.08、…、S011=0、S012=0、…、S020=0.8」のように、各依頼先に対するスコアとして出力される。そのため、依頼先の候補としては、スコアが最も高い「S020」の識別子が割り当てられた依頼先が選定される。なお、依頼先の候補を複数選定する場合には、スコアが高い順に上位から所定の順位までの依頼先が選定されてもよいし、スコアが所定の基準値以上である依頼先が選定されてもよい。
【0058】
(データベース管理部204)
データベース管理部204は、新規図面データD10に対する特徴取得処理及び補選定処理の処理結果として取得された加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12を当該新規図面データD10に関連付けて図面データベース210に登録する。そして、データベース管理部204は、依頼先選定部203Aの処理結果を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信する。なお、加工品依頼データD12に基づく依頼先の候補(複数でもよい)をユーザ端末装置3に表示したときに、ユーザから依頼先の最終的な決定を指示する入力操作を受け付けるようにしてもよい。その際、データベース管理部204は、その入力操作に応じた依頼先に対して、加工依頼や見積り依頼に関する依頼情報を、送受信制御部200を介して送信するようにしてもよい。
【0059】
また、データベース管理部204は、図面データベース210に登録済みの既存図面データD10を読み出して、既存図面データD10を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信する。そして、データベース管理部204は、
ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して既存図面データD10を編集する操作情報を受信すると、図面データベース210に登録済みの既存図面データD10を修正する。
【0060】
(各装置のハードウエア構成)
図7は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。図面管理システム1における図面処理装置2A及びユーザ端末装置3は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0061】
コンピュータ900は、図7に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0062】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0063】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン、マイク等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0064】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0065】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インス
トール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0066】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0067】
(図面処理装置2Aの動作)
図8は、第1の実施形態に係る図面処理装置2Aの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す図面処理装置2Aによる一連の図面処理方法は、図面処理装置2Aが、ユーザにより操作されたユーザ端末装置3から新規図面データD10を受け付けたときに実行されるものとして説明する。また、学習済みモデル記憶部22には、学習モデル生成部201Aにより、図5に示すように、学習用データ取得工程、機械学習工程及び学習済みモデル記憶工程が行われることにより、学習済みの第1の学習モデル220A及び第2の学習モデル220Bが記憶されているものとして説明する。
【0068】
まず、ステップS100(図面受付工程)において、図面受付部202は、ユーザ端末装置3から新規図面データD10を受信することで、新規図面データD10を受け付ける。その際、図面受付部202は、複数の新規図面データD10を受け付けてもよい。
【0069】
次に、ステップS110(依頼先選定工程)において、依頼先選定部203Aは、特徴取得処理として、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10を第1の学習モデル220Aに入力することで、当該新規図面データD10における加工品に対する加工品特徴データD11を取得する。なお、図面受付部202が、複数の新規図面データD10を受け付けた場合には、新規図面データD10のそれぞれに対して加工品特徴データD11を取得する。
【0070】
次に、ステップS111(依頼先選定工程)において、依頼先選定部203Aは、候補選定処理として、ステップS110で取得した加工品特徴データD11を第2の学習モデル220Bに入力することで、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10における加工品に対する加工品依頼データD12を取得する。そして、依頼先選定部203Aは、加工品依頼データD12が示す依頼先の候補を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補として選定する。なお、図面受付部202が、複数の新規図面データD10を受け付けた場合には、新規図面データD10のそれぞれに対して加工品依頼データD12を取得し、依頼先の候補を選定する。
【0071】
次に、ステップS120(データベース管理工程)において、データベース管理部204は、ステップS110、S111の処理結果として取得された加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10に関連付けて図面データベース210に登録する。
【0072】
そして、ステップS130において、データベース管理部204は、ステップS110、S111の処理結果を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送信する。その結
果、新規図面データD10に対して登録された加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12が、ユーザ端末装置3の表示画面に表示される。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る図面処理装置2A及び図面処理方法によれば、既存図面データD10に対して依頼先を選定したときの過去の実績を学習させた第1の学習モデル220A及び第2の学習モデル220Bを用いることで、ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る図面処理装置2Bの一例を示すブロック図である。図10は、第2の実施形態に係る学習モデル生成部201Bの一例を示す機能説明図である。図11は、第2の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Bの一例を示す機能説明図である。
【0075】
第2の実施形態では、図面処理装置2Bが、2つの学習モデル220A、220Bに代えて、1つの学習モデル220を用いて、新規図面データD10における加工品に対して依頼先の候補を選定する点で第1の実施形態と相違する。以下では、第2の実施形態に係る図面処理装置2Bについて、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0076】
学習済みモデル記憶部22には、学習済みの学習モデル220が記憶されている。
【0077】
制御部20は、データ記憶部21に記録された図面処理プログラム211Bを実行することにより、送受信制御部200、学習モデル生成部201B、図面受付部202、依頼先選定部203B、データベース管理部204として機能する。
【0078】
(学習モデル生成部201B)
学習モデル生成部201Bは、図9及び図10に示すように、学習用データ取得部2010Bと、機械学習部2011Bとを備える。
【0079】
学習用データ取得部2010Bは、図面データベース210を参照し、学習用データD13を取得する。
【0080】
学習用データD13を構成する入力データは、既存図面データD10を含むものである。学習用データD13の入力データに含まれる既存図面データD10は、第1の実施形態における第1の学習用データD13Aの入力データに含まれる既存図面データD10と同様のデータであるため、詳細な説明を省略する。
【0081】
学習用データD13を構成する出力データは、既存図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データD12を含むものである。加工品依頼データD12は、学習用データD13の出力データに含まれる加工品依頼データD12は、第1の実施形態における第2の学習用データD13Bの出力データに含まれる加工品依頼データD12と同様のデータであるため、詳細な説明を省略する。
【0082】
学習用データ取得部2010Bは、図面データベース210に登録された既存図面データD10と、当該既存図面データD10に関連付けられた加工品依頼データD12とを参照することで、学習用データD13を取得する。例えば、学習用データ取得部2010Aは、第1の実施形態と同様に、図面処理装置2Bやユーザ端末装置3にて図面データベース210に登録された既存図面データD10の一覧を表示画面に表示し、表示画面上で指定された既存図面データD10と、当該既存図面データD10に関連付けられた加工品依
頼データD12とを図面データベース210から読み出すことで、学習用データD13を取得する。
【0083】
機械学習部2011Bは、学習用データ取得部2010Bにより取得された複数組の学習用データD13を用いて、入力データ(既存図面データD10)と出力データ(加工品依頼データD12)との相関関係を学習モデル220に学習させる機械学習を行う。
【0084】
(依頼先選定部203B)
依頼先選定部203Bは、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10を第1の学習モデル220Aに入力することで、当該新規図面データD10における加工品に対する加工品依頼データD12を取得する。
【0085】
(図面処理装置2Bの動作)
図12は、第2の実施形態に係る図面処理装置2Bの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートと同一のステップ番号が付されている工程は、第1の実施形態と同様であるため、以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
まず、ステップS100(図面受付工程)において、図面受付部202は、新規図面データD10を受け付ける。
【0087】
次に、ステップS112(依頼先選定工程)において、依頼先選定部203Bは、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10を学習モデル220に入力することで、当該新規図面データD10における加工品に対する加工品依頼データD12を取得する。そして、依頼先選定部203Aは、加工品依頼データD12が示す依頼先の候補を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補として選定する。
【0088】
次に、ステップS121(データベース管理工程)において、データベース管理部204は、ステップS112の処理結果として取得された加工品依頼データD12を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10に関連付けて図面データベース210に登録する。そして、ステップS131において、データベース管理部204は、ステップS112の処理結果を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送信する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る図面処理装置2B及び図面処理方法によれば、既存図面データD10に対して依頼先を選定したときの過去の実績を学習させた学習モデル220を用いることで、ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係る図面処理装置2Cの一例を示すブロック図である。図14は、第3の実施形態に係る図面受付部202、及び、依頼先選定部203Cの一例を示す機能説明図である。
【0091】
第3の実施形態では、図面処理装置2Cが、第1の学習モデル220A及び第2の学習モデル220Bを用いずに、特徴取得処理及び候補選定処理を行うことにより、新規図面データD10における加工品に対して依頼先の候補を選定する点で第1の実施形態と相違する。以下では、第3の実施形態に係る図面処理装置2Cについて、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0092】
制御部20は、データ記憶部21に記録された図面処理プログラム211Cを実行することにより、送受信制御部200、図面受付部202、依頼先選定部203C、データベース管理部204として機能する。
【0093】
(依頼先選定部203C)
依頼先選定部203Cは、特徴取得処理として、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10に対して文字認識処理を行うことで、当該新規図面データD10における加工品の特徴を示す加工品特徴データD11を取得する。
【0094】
依頼先選定部203Cは、文字認識処理として、公知の光学的文字認識処理(OCR)を行い、図面データD10に含まれる文字をテキストデータとして読み取ることで、加工品特徴データD11を取得する。また、図面データD10にテキストデータが埋め込まれている場合には、依頼先選定部203Cは、そのテキストデータを読み取ることで、図面データD10に含まれる文字を加工品特徴データD11として取得する。文字認識処理の処理結果としては、当該文字を示すテキストデータと、当該文字が記載された位置を示す位置データとが取得される。
【0095】
例えば、「溶接」という文字が読み取られた場合には、加工品特徴データD11は、溶接の属性に対して、「有り=1、無し=0」のように、「有り」に対するフラグのみに「1」を代入したデータとして定義される。また、「4.5キリ」という文字が8か所で読み取られた場合には、加工品特徴データD11は、穴加工の属性に対して、「4.5キリ=8」のように、4.5キリのパラメータに「8」を代入したデータとして定義される。その際、文字認識処理により読み取られた文字に、例えば、半角と全角、大文字と小文字のように、同義と扱うことができる文字が混在している場合には、それらを統合して取り扱うようにしてもよい。なお、文字認識処理により読み取られた文字は、ユーザ端末装置3の表示画面に表示されて、ユーザによる編集操作が行われてもよい。
【0096】
また、依頼先選定部203Cは、候補選定処理として、図面データベース210を参照し、図面データベース210に登録された既存図面データD10から、特徴取得処理で取得した新規図面データD10に対する加工品特徴データD11に基づいて、当該加工品特徴データD11が示す特徴に同一又は類似の既存図面データD10を類似図面データD10として抽出する。
【0097】
例えば、選択肢で選択される属性については、新規図面データD10に対する加工品特徴データD11における選択肢と、既存図面データD10に関連付けたれた加工品特徴データD11における選択肢とが同一であったり、類似していたりする既存図面データD10が図面データベース210から抽出される。数値で選択される属性については、新規図面データD10に対する加工品特徴データD11における数値と、既存図面データD10に関連付けたれた加工品特徴データD11における数値とが同一であったり、所定の数値範囲に含まれたりする既存図面データD10が図面データベース210から抽出される。その際、複数の属性を組み合わせることで、新規図面データD10に対する加工品特徴データD11と同一又は類似の既存図面データD10を図面データベース210から抽出するようにしてもよい。
【0098】
そして、依頼先選定部203Cは、その抽出した類似図面データD10に関連付けられた加工品依頼データD12に基づいて、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先を示す加工品依頼データD12を取得し、当該加工品依頼データD12に基づいて、依頼先の候補を選定する。
【0099】
例えば、依頼先選定部203Cが、1つの類似図面データD10を抽出した場合には、
当該類似図面データD10に関連付けられた加工品依頼データD12が示す依頼先を、依頼先の候補として選定する。また、依頼先選定部203Cが、図14に示すように、複数の類似図面データD10を抽出した場合には、当該複数の類似図面データD10にそれぞれ関連付けられた複数の加工品依頼データD12を統計的に処理することで、依頼先の候補として選定する。例えば、複数の加工品依頼データD12において、依頼先としての頻度が高い順に並び替えて、頻度が最も高い依頼先を依頼先の候補として選定してもよいし、頻度が高い順に上位から所定の順位までの依頼先を依頼先の候補として選定してもよい。
【0100】
(図面処理装置2Cの動作)
図15は、第3の実施形態に係る図面処理装置2Cの動作(図面処理方法)の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートと同一のステップ番号が付されている工程は、第1の実施形態と同様であるため、以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0101】
まず、ステップS100(図面受付工程)において、図面受付部202は、新規図面データD10を受け付ける。
【0102】
次に、ステップS113(依頼先選定工程)において、依頼先選定部203Cは、特徴取得処理として、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10に対して文字認識処理を行うことで、当該新規図面データD10に対して加工品特徴データD11を取得する。
【0103】
次に、ステップS114(依頼先選定工程)において、依頼先選定部203Cは、候補選定処理として、図面データベース210に登録された既存図面データD10から、ステップS113で取得した加工品特徴データD11に基づいて、当該加工品特徴データD11が示す特徴に同一又は類似の既存図面データD10を類似図面データD10として抽出する。続けて、依頼先選定部203Cは、その抽出した類似図面データD10に関連付けられた加工品依頼データD12に基づいて、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10における加工品に対する加工品依頼データD12を取得する。そして、依頼先選定部203Cは、加工品依頼データD12が示す依頼先の候補を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補として選定する。
【0104】
次に、ステップS122(データベース管理工程)において、データベース管理部204は、ステップS113、S114の処理結果として取得された加工品特徴データD11及び加工品依頼データD12を、ステップS100で受け付けられた新規図面データD10に関連付けて図面データベース210に登録する。そして、ステップS132において、データベース管理部204は、ステップS113、S114の処理結果を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送信する。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る図面処理装置2C及び図面処理方法によれば、既存図面データD10に対して依頼先を選定したときの過去の実績が登録された図面データベース210を用いることで、ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定することができる。
【0106】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0107】
上記実施形態では、図面処理装置2A~2Cは、単一の装置で構成される場合について説明したが、複数の装置で構成されていてもよい。例えば、図面処理装置2A~2Cが備える各部200~204が複数の装置に分散されることで、図面管理システム1が、学習モデル生成部201A、201Bを備え、機械学習工程を行う機械学習装置と、依頼先選定部203A~203Cを備え、依頼先選定工程を行う依頼先選定装置とで構成されてもよい。その際、上記の各装置が備える各部(各工程)は、コンピュータ900で実行可能なプログラムにより実現されるものでもよい。
【0108】
上記実施形態では、図面処理装置2A~2Cが、ユーザ端末装置3から新規図面データD10を受け付けて、当該図面データD10における加工品の依頼先を選定する場合について説明した。これに対し、ユーザ端末装置3が、図面処理装置2A~2Cとして機能するようにしてもよい。
【0109】
上記各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、図面処理装置2A~2Cが備える依頼先選定部(依頼先選定工程)が、第1の実施形態における特徴取得処理(ステップS110)と、第3の実施形態における候補選定処理(ステップS114)とを行うようにしてもよいし、第3の実施形態における特徴取得処理(ステップS113)と、第1の実施形態における候補選定処理(ステップS111)とを行うようにしてもよい。
【0110】
上記実施形態では、図面処理装置2A~2Cの依頼先選定部203A~203Cが、新規図面データD10に対する加工品依頼データD12を取得する場合について説明したが、加工依頼や見積り依頼に有用な情報を合わせて取得するようにしてもよい。有用な情報として、依頼先選定部203A~203Cが、例えば、加工工程で使用される加工装置の種類、加工工程に要する加工時間、手作業の有無等の加工詳細情報を取得するようにしてもよい。加工詳細情報は、第1の学習モデル220A及び第2の学習モデル220Bのいずれかの出力データに含まれていてもよいし、学習モデル220の出力データに含まれていてもよい。また、加工詳細情報は、図面データベース210に登録されて、図面データベース210を参照することで取得されてもよい。
【0111】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る図面処理装置2A~2C(図面処理方法又は図面処理プログラム)の態様によるもののみならず、新規図面データD10における加工品の依頼先の候補を推論するために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、加工品に関する新規図面データD10を取得するデータ取得処理(データ取得工程)と、データ取得処理により新規図面データD10を取得すると、当該新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を推論する推論処理(推論工程)とを含むものである。
【符号の説明】
【0112】
1…図面管理システム、2A~2C…図面処理装置、3…ユーザ端末装置、
10…図面領域、11…形状領域、12…表題欄、13…部品表、
20…制御部、21…データ記憶部、22…学習済みモデル記憶部、
23…通信部、24…入力部、25…出力部、
200…送受信制御部、201A、201B…学習モデル生成部、
202…図面受付部、203A~203C…依頼先選定部、
204…データベース管理部、210…図面データベース、
211A~211C…図面処理プログラム、220…学習モデル、
220A…第1の学習モデル、220B…第2の学習モデル、
2010A、2010B…学習用データ取得部、
2011A、2011B…機械学習部
【要約】
【課題】ユーザの知見や経験に依存せずに、図面に記載された加工品の加工又は見積りの依頼先を適切に選定可能な図面処理装置を提供する。
【解決手段】
図面処理装置2Aは、加工品に関する新規図面データD10を受け付ける図面受付部202と、図面受付部202により受け付けられた新規図面データD10に基づいて、当該新規図面データD10における加工品の加工又は見積りを依頼する依頼先の候補を選定する依頼先選定部203Aとを備える。依頼先選定部203Aは、依頼先選定部203Aは、新規図面データD10を第1の学習モデル220Aに入力することで、新規図面データD10に対する加工品特徴データD11を取得し、当該加工品特徴データD11を第2の学習モデル220Bに入力することで、新規図面データD10に対する加工品依頼データD12を取得し、加工品依頼データD12に基づいて、前記依頼先の候補を選定する。
【選択図】 図6
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15