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特許7624786筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20250124BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250124BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20250124BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20250124BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20250124BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250124BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250124BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20250124BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6568
H01M10/627
H01M50/204 401H
H01M50/342 201
H01M50/367
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2024152438
(22)【出願日】2024-09-04
【審査請求日】2024-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0155611
(32)【優先日】2023-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0160698
(32)【優先日】2023-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524330377
【氏名又は名称】インセル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン クォン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,チョン ヨル
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0140249(KR,A)
【文献】特表2023-513998(JP,A)
【文献】特開2011-124056(JP,A)
【文献】特開2020-095863(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109301392(CN,A)
【文献】特開2019-170009(JP,A)
【文献】特開2010-244979(JP,A)
【文献】特開2010-061989(JP,A)
【文献】特開2009-289668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/6568
H01M 10/627
H01M 50/204
H01M 50/342
H01M 50/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを収容するバッテリーモジュールと、
絶縁特性を有する流体と、
前記バッテリーモジュールを収容する空間を設け、前記流体で満たして前記バッテリーモジュールを完全に浸漬する液浸タンク状のバッテリー筐体と、
前記流体がバッテリーモジュールの内部に対して流出入することができてバッテリーセルと直接接触するように前記バッテリーモジュールの外面に設けられる複数の開口部と、
前記液浸タンクに設けられ、液浸タンクの内部にバッテリーモジュールが引き込まれるように液浸タンクの上端に位置した開閉式上端蓋と、
前記液浸タンク内の上部に設けられ、一定深さの空気層を形成する自由空間と、を含むことを特徴とする、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項2】
前記流体が前記液浸タンクの内部に引き込まれて外部に戻るように前記液浸タンクの外部に形成する外部循環ループを含む循環配管と、
前記外部循環ループ上に設けられ、前記流体を循環させる循環ポンプと、をさらに含む、請求項1に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記外部循環ループの経路上に位置する熱交換器は、循環する前記流体を冷却するクーリング部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記熱交換器は、循環する前記流体を加熱するヒッティング部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項5】
前記液浸タンク内の上面又は下面のうちのいずれかに設けられ、前記循環ポンプから吐出して前記液浸タンクの内部に引き込む流体を前記タンクの内部で分配する配管である引き込み分配管と、
前記引き込む流体の移動方向に対応する残りの一面に設けられ、液浸タンク内の流体を吸入して再び循環ポンプに戻す配管である吸入管と、を含み、
前記引き込み分配管と吸入管には、流量を均一に分配又は吸入するように配管の長手方向に大きさの異なる開口孔が一列に複数設けられることを特徴とする、請求項2に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項6】
前記液浸タンク内の下面に設けられ、前記液浸タンク内の流体が前記液浸タンクの内部へ均等に分配されて移動するようにする複数のホールを有する多孔パネルを含むことを特徴とする、請求項2に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項7】
前記多孔パネルの下には、始端から終端に向かって傾斜を与えて移動する流量を均等に分配する流量制御装置を形成することにより、流体分配が行われるようにすることを特徴とする、請求項6に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項8】
前記自由空間の底面に当接する油面の位置を、前記液浸タンクの上端蓋を開かずに外部から確認することができるように、前記液浸タンクの外側一面に形成される油面計を含むことを特徴とする、請求項1に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項9】
前記液浸タンクの上端蓋に位置し、バッテリーセルの故障により排出されるガスと圧力を排出して前記液浸タンクと内部電気装置を保護することができるように一定圧力で開放する防爆ディスクを含むことを特徴とする、請求項8に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項10】
前記液浸タンクの周囲の適正位置に取り付けられ、前記液浸タンクを構造的に補強する複数の補強フレームと、
前記補強フレーム同士の間の空間を連結するパネルと、
前記液浸タンクを囲む筐体である外箱と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項11】
前記外箱の一側面に位置し、パネルに取り付けられるバッテリー管理システムまたはその他の電気保護装置を収容する付属ボックスと、
前記液浸タンクの流体の油面水位を測定する油面計と、
前記付属ボックスが取り付けられる外箱パネルの上部とこれに対応する付属ボックスの一面に備えられ、前記液浸タンク内の上部に空気層で満たされる自由空間に合わせて形成され、液浸タンクから出るパワーケーブル、通信ケーブルが前記付属ボックスの内部にアクセスすることができるようにする付属ボックス接近部と、
前記流体が前記液浸タンクの内部に引き込まれて外部へ戻るように前記液浸タンクの外部において形成する外部循環ループ線上に位置し、循環する流体の熱エネルギーを交換し、前記外箱の一側面に位置する熱交換器と、を含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項12】
前記付属ボックスの底面に設けられ、前記付属ボックス内の電気装置の発熱を除去するように冷たい外気が引き込まれる複数の下部開口部と、
熱エネルギーの交換後に暖められた空気を外部へ送り出すことができるように、前記付属ボックスの側面上端に形成されたルーバータイプの複数の上端側面開口部と、
前記開口部を介して外部の昆虫又は異物が入り込むのを防止することができるように各開口部の内側面に設けられるマッシュ網と、
前記ルーバータイプの上端側面開口部を介して内部に流入する雨水を遮断するように、前記開口部の内側面に沿って斜めに設けられた雨水流入防止仕切りと、を含むことを特徴とする、請求項11に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項13】
前記液浸タンク内に収容された流体を外部へドレーンするために前記液浸タンクの底面に設けられたドレーン配管と、
前記ドレーン配管と外箱底パネルの開口孔とを結合するタンクフィッティングと、を含み、
前記ドレーン配管の終端は、開閉式ロックバルブで仕上げ、
前記ドレーン配管は、配管が形成された液浸タンクの底面に対応する位置の外箱底パネルに設けられた開口孔を介して外箱の外に出てくることを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項14】
前記液浸タンクの上端の開閉式上端蓋に設けられ、タンクの内部に流体を満たすことができる給油口を含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項15】
前記外箱の上端に設けられ、外箱の内部に接近することができる外箱屋根を含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項16】
前記液浸タンクの上端の開閉式上端蓋に設けられ、前記液浸タンク内に位置したバッテリーセルの故障で排出されるガスと圧力を迅速に排出して前記液浸タンクと内部装置を保護することができるように一定圧力によって開放する防爆ディスクを含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項17】
外箱屋根の側面に沿って設けられ、防爆ディスクから排出される圧力とガスを外部へ排出する複数の開口部と、
前記開口部を介して外部の昆虫又は異物が入り込むのを防止することができるように開口部の内側面に設けられるマッシュ網と、
前記開口部を介して流入する雨水が内部に入り込むのを防止する前記開口部の内側面に沿って斜めに設けられる雨水流入防止仕切りと、
前記仕切りに遮られて集められた雨滴を外箱の外部へ排出する排水孔と、を含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項18】
外箱屋根の一側面と外箱側面パネルとを結合するヒンジと、
前記外箱の両側面に設けられた固定プレートと、
前記固定プレートと対応する位置の外箱屋根面に固定されたボルトと、
前記固定プレートに設けられ、外箱屋根が前記ヒンジを軸として開かれる間に前記ボルトが移動する経路に沿って形成した溝と、
前記ボルトに結合して前記固定プレートを圧着し、前記外箱屋根が開かれる間には前記固定プレートの溝に沿って摺動するナットと、を含み、
防爆ディスクから排出される圧力で前記外箱屋根が開かれるように固定プレートを圧着するナットに加わる力は、下記の数式1を満足することを特徴とする、請求項15又は16に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【数1】
【請求項19】
前記外箱は、
前記補強フレームと前記パネルとの間の接触面に挟まれたガスケット、及び前記パネルと補強フレームとガスケットとを互いに結合する結合部材を用いて、互いに当接する面が圧着されるように締結して結合する二重筐体形式であることを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項20】
前記液浸タンクと外箱パネルとの間に形成される空き空間に収容して外部熱の侵入を遮断する断熱材を含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【請求項21】
前記液浸タンクには、流体の熱膨張と収縮により生じる圧力差を均等化するように、前記液浸タンクの上層部に空気層で満たされる自由空間に合わせて形成される液浸タンクの側壁に設置する圧力均等装置をさらに含み、
前記圧力均等装置には、圧力を均等化する過程で外部から流入する空気の湿気を除去する除湿剤を含むことを特徴とする、請求項10に記載の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸方式の熱管理システムとバッテリーとを一体化した独立型筐体に係り、より詳細には、液浸方式を適用したバッテリーシステムの欠点を補完して生産コストの削減、製作の簡便性、メンテナンスの容易さ、効率的な熱管理、及び高い火災安全性を備えた液浸方式と一体化したバッテリーシステムであって、外部環境条件を問わずにバッテリー運転が可能であり、液浸冷媒である流体の漏れによる周辺環境汚染の防止を考慮した、筐体と統合された液浸方式のバッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーは、様々な分野で使われているが、電気エネルギーを発生する化石エネルギー源の枯渇、温室効果ガスの排出削減政策、及び各種環境規制などにより、より環境に優しく、枯渇の心配がない無限の再生可能エネルギーを使用する政策が奨励されている。しかし、再生可能エネルギーの特性上、持続的で安定的なエネルギーの供給を保障することはできない。
【0003】
エネルギー貯蔵装置(ESS)は、再生可能エネルギーの間欠性を補完することができる利点を持っており、バッテリー技術の発展に伴い、最近になって急激に成長しており、このような傾向は持続すると見られる。
【0004】
このような市場のニーズに合わせて、エネルギー貯蔵装置は、エネルギー密度、効率性、安全性、経済性を改善するために持続的な技術開発が行われている。エネルギー貯蔵装置には、様々なタイプのバッテリーのうち、高いエネルギー密度と経済性を理由に、電気化学式のバッテリーであるリチウムイオンバッテリーが最も多く使われている。しかし、エネルギー貯蔵装置は、比較的温度に敏感であって適正の温度範囲を超えて一定期間運転する場合、局所的な部分で過熱したり、バッテリー間の温度偏差が大きくなったりして性能と安全性を脅かすおそれがあり、適切な熱管理システム(thermal management system)が求められる。
【0005】
エネルギー貯蔵装置のバッテリーは、充電と放電の過程で熱が発生するが、発生する熱が過剰である場合、バッテリーの劣化を加速化させるおそれがあり、バッテリーの劣化は、バッテリー内部構成物の損傷を引き起こし、これは、火災の直接的な原因になったりもする。よって、バッテリーの熱を効果的に制御することがバッテリーの寿命と安全性の面で非常に重要である。
【0006】
バッテリーの熱を制御する方法には、空冷式、水冷式、液浸式などがある。空冷式は、空気を冷却媒体(cooling medium)として用い、自然対流又は強制対流方式で循環させてバッテリーの熱を冷やす方式であって、最も簡単で経済的な方法であり、高出力を要求しない用途のバッテリー熱管理システムとして最も多く使用する方式であるが、循環する空気により粉塵及び湿気がバッテリーの内部に流入するおそれがあり、空気の低い比熱と密度で冷却性能が低いという欠点がある。
【0007】
水冷式は、バッテリーの周辺へ冷却板を介して冷却水を循環させる間接冷却方式であって、水冷方式の冷却媒体としては、主に水とエチルグリコールとの混合物を使用し、冷媒の高い比熱と密度で冷却効率が高い方であるが、追加的な製作工程、高い製作難易度、伝導性冷媒の漏れによるショート発生の危険性、冷媒熱交換のための追加的な装置の必要などにより、空冷式に比べて複雑性及びコストが増加するという欠点がある。
【0008】
液浸式は、熱源を冷媒としての流体に完全に又は部分浸漬(fully or partially immersed)させて熱源と冷媒流体との直接接触で冷却する方式である。液浸冷却に使用する流体は、絶縁特性を有し、熱的安全性の高いミネラル油、合成油、シリコーン油、生分解性植物油などが挙げられる。
【0009】
液浸冷却方式は、大量の熱が発生するIT機器を使用するデータセンターや暗号通貨採掘場などに十数年前から部分的に使い始めた。最近では、EV用バッテリー熱管理システムとして液浸方式を適用した事例が生じ始めた。特に、高性能の自動車や、高出力を要求する特殊車両に適用するバッテリーの場合、充放電時間の短縮と瞬間高起動のために高いCレート(C-rate)で放電し、これにより多くの熱が発生する。したがって、従来の水冷式熱管理システムでもバッテリーの発熱を制御することが困難であり、バッテリーモジュールを絶縁流体(di-electric fluid)で満たしてバッテリーの熱を直接制御する液浸方式を使用する試みがある。
【0010】
冷媒流体として使用する絶縁性流体は、熱源との直接接触で放熱面積が広く、空気に比べて熱エネルギー吸収能力が1000倍以上となり、冷却効率に優れるためバッテリーの温度を効果的に制御することができる。加熱された流体は、熱交換装置を介して冷却して再びバッテリーに戻して循環させることにより、冷却効果を最大化することができる。
【0011】
また、絶縁流体の高い熱伝達能力と高い引火点(high flash point)によりバッテリーにおいて熱暴走が発生しても、熱エネルギーを周辺へ速やかに拡散させて局所的なホットスポットを除去することができる。また、液浸状態では、周辺の酸素が十分でないため燃焼条件が制限されることにより、熱暴走が発生しても燃焼の可能性を取り除いて火災安全性に優れるという利点がある。
【0012】
しかし、液浸冷却方式を適用したバッテリーシステムは、ほとんどEVバッテリーを中心に研究又は開発が行われており、バッテリーセルを収容するケーシングであるバッテリーモジュールの内部を絶縁流体で満たしてバッテリーセルを冷却させたり、より効果的な冷却のためにマニホールド及び配管でモジュールを連結して形成する外部循環ループを介して、加熱された流体を冷却循環させる装置を追加したりもする。
【0013】
ところが、モジュールを流体で満たすモジュール単位浸漬設計は、モジュールの高い密閉度が要求され、このために特別なモジュールケースを製作するか或いは高価なコネクタを使用するしかない。特に一般なエネルギー貯蔵装置は、バッテリーセルを収容する複数のモジュールをキャビナッツに並べて積層して単位面積当たりのシステム容量を増加させる形式に従い、この際、モジュールの数だけコネクタの数が比例的に増えるため、製作コストの上昇が避けられない。また、組み立て品質に応じて増えるコネクタの数だけ潜在的な漏油箇所が増加してメンテナンスに問題となるおそれがある。
【0014】
流体の熱膨張と収縮に伴う圧力変化を収めるために、別途の流体貯蔵装置(reservoir)が必要となることがあり、バッテリーセルにおいて熱暴走が発生すると、密閉されたバッテリーモジュールの内部は過圧状態となり、これから内部装置物やモジュールケースの構造的損傷から保護するために圧力排出安全装置が必要である。しかし、安全装置によっても、圧力とともに発生する漏油は避けられなくなる。
【0015】
流体が抜け出すことにより、モジュール内部のバッテリーセルの胴部の一部が露出する部分浸漬状態になると、周辺のバッテリーセルに直接伝わる熱的衝撃(thermal shock)で熱暴走(thermal runaway)現象が瞬時に周辺へ転移するおそれもあり、火災安全性の面で望ましくない。これを回避するために、一定量の漏油が発生しても完全浸漬状態を維持するためにモジュールの容積を追加することができるが、これは、空間効率の面で望ましくない。
【0016】
通常、複数のモジュールで構成されたエネルギー貯蔵装置には、冷媒である流体で満たされたモジュールを配管で連結し、流体を外部へ移動させる循環ループを形成するようにする。このような構成は、設置時又はメンテナンス時に流体を新たに充填又はドレーンする場合、作業が非常に面倒であり、作業中に床への漏油により作業者の負傷の危険が高く、作業後には設置場所を別途清掃しなければならない作業がさらに必要となることがある。したがって、設置作業又はメンテナンス作業中に、漏油を防止するか、或いは漏油が発生しても作業に影響を与えないように、別途の手段が必要である。特に、通常の絶縁流体は、自然に分解されず、周辺の環境汚染を引き起こすおそれがあり、別途の漏油防止手段が必要である。
【0017】
よって、このような背景技術に基づいて、液浸冷却方式を適用したバッテリーシステム、及びそれを収容する筐体を提供することが必要となった。
【0018】
すなわち、本発明は、ESS用バッテリーだけでなく、様々な分野で使用されるバッテリーの熱を効果的に制御することに適用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、前述した問題点を改善するために案出されたものであり、複数のバッテリーセルを収容し、複数の開口部が配列されて流体の流出入が自由なバッテリーモジュールと、冷却の対象となるバッテリーセルの熱を制御するために、前記バッテリーモジュールが浸かる流体を含み、前記流体は絶縁特性(di-electirc properties)と優れた熱的特性(thermodynamic properties)を特徴とし、前記絶縁流体にバッテリーモジュールが浸かるように満たすことができる密閉液浸タンク(immersion tank)を含むことができる。このような単純構成でも、流体の高い熱エネルギー吸収能力(=比熱×密度)のおかげで、空気を冷媒として使用する場合よりも一層高い冷却効果を実現することができる。このような方式は、モジュールの高い等級密閉度が要求されなくて複雑なケース設計が不要であり、特殊な部品の使用を最小限に抑えることができるため、製造組立が容易で経済的であり、設置及び保守作業が簡単である、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【0020】
また、前記液浸タンクの内部と外部に流体移動手段として循環ループを形成し、外部循環ループ上には、流体の熱エネルギーを交換することが可能な熱交換器を含むことができる。内部循環ループには、流体がタンクの内部に引き込まれてタンクの外部に戻る過程で、タンクの内部に配列されたそれぞれのモジュールの内部を均等な流量で通過する手段を提供することを特徴とし、バッテリーの温度を効率よく制御し、バッテリーセル間の温度偏差を減らしてシステムの信頼性と効率を高める、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【0021】
また、前記液浸タンクには、冷媒である流体の膨張と収縮を収容する自由空間(free space)、及び圧力を均等化する安全装置を含み、前記安全装置は、液浸タンク内への外部塵、粉塵、湿気の流入を防止する役割を果たすことができる。前記液浸タンクは、常時密閉構造であって、必要時にのみ開放できる上端蓋を含むようにし、バッテリーを管理するシステムは、前記液浸タンクの外部に位置する別途の付属空間内に収容して流体から容易に分離することによりシステムの安全性を高める、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【0022】
また、室外に設置する場合、前記液浸タンクの周囲の適正位置に取り付けられる複数の補強フレームと、前記フレームの間に形成される空間をパネルで結合して液浸タンクを囲む外箱と、を構成することができる。前記外箱と液浸タンクとの間に形成される空間には断熱材を含むことができ、液浸タンクから漏油が生じても外部へ抜け出さないように非常貯蔵することができる二重筐体(double layered enclosure)形式をとることができる。フレームと外箱パネルとの結合は、断熱効果を阻害せず、外箱の塗装状態に影響を与えない手段にして、外部環境(太陽熱、竜巻など)の影響から自由であり、設置場所の汚染を防止することを特徴とする、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【0023】
また、バッテリー爆発から、一次的には内部施設物を保護し、二次的には筐体が飛散して周辺施設物へ事故の危険が拡散するのを防ぐことができるよう、一定圧力に作動する安全装置として、防爆ディスク又は圧力排出弁を前記液浸タンクの上端に含むことができる。上述のように、二重筐体(double layered enclosure)形式をとる場合には、防爆ディスク(explosion proof disk)又は圧力排出弁(pressure relief valve)が排出する圧力を筐体の外部へ最終的に排出するために、前記筐体の上端には、排出する圧力によって一方の方向に開かれる安全装置を含むか、或いは前記外箱の上端側面に開口部を設けて圧力を排出するようにすることにより、爆発から安全である、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、複数のバッテリーセルを収容するバッテリーモジュールと、絶縁特性を有する流体と、前記バッテリーモジュールを収容する空間を設け、前記流体で満たして前記バッテリーモジュールを完全に浸漬する液浸タンク状のバッテリー筐体と、前記流体がバッテリーモジュールの内部に対して流出入することができてバッテリーセルと直接接触するように前記バッテリーモジュールの外面に設けられる複数の開口部と、前記液浸タンクに設けられ、液浸タンクの内部にバッテリーモジュールが引き込まれるように液浸タンクの上端に位置した開閉式上端蓋と、を含む。
【0025】
また、前記流体が前記液浸タンクの内部に引き込まれて外部に戻るように前記液浸タンクの外部に形成する外部循環ループを含む循環配管と、前記外部循環ループ上に設けられ、前記流体を循環させる循環ポンプと、を含む。
【0026】
また、前記外部循環ループの経路上に位置する熱交換器を含み、前記熱交換器は、循環する前記流体を冷却するクーリング部を含む。
【0027】
また、前記熱交換器は、循環する前記流体を加熱するヒッティング部を含む。
【0028】
また、前記液浸タンク内の上面又は下面のうちのいずれかに設けられ、前記循環ポンプから吐出して前記液浸タンクの内部に引き込む流体を前記タンクの内部で分配する配管である引き込み分配管と、前記引き込む流体の移動方向と対応する残りの一面に設けられ、液浸タンク内の流体を吸入して再び循環ポンプに戻るようにする配管である吸入管と、を含み、前記引き込み分配管と吸入管には、流量を均一に分配又は吸入するように配管の長手方向に大きさの異なる開口孔が一列に複数設けられる。
【0029】
また、前記液浸タンク内の下面に設けられ、前記液浸タンク内の流体が前記液浸タンクの内部へ均等に分配されて移動するようにする複数のホールを有する多孔パネルを含む。
【0030】
また、前記多孔パネルの下には、始端から終端に向かって傾斜を与えて移動する流量を均等に分配する流量制御装置を設けることにより、より効率よく流体分配が行われるようにする。
【0031】
また、前記液浸タンク内の上部には、一定深さの空気層を形成する自由空間と、前記自由空間の底面に当接する油面の位置を、前記液浸タンクの上端蓋を開かずに外部から確認することができるように、前記液浸タンクの外側一面に設けられる油面計と、を含む。
【0032】
また、前記液浸タンクの上端蓋に位置し、バッテリーセルの故障により排出されるガスと圧力を迅速に排出して前記液浸タンクと内部電気装置を保護することができるように一定圧力で開放する防爆ディスクを含む。
【0033】
本発明は、複数のバッテリーセルを収容するバッテリーモジュールと、絶縁特性を有する流体と、前記バッテリーモジュールを収容する空間を設け、前記流体で満たして前記バッテリーモジュールを完全に浸漬する液浸タンクと、前記流体がバッテリーモジュールの内部に対して流出入することができてバッテリーセルと直接接触するように前記バッテリーモジュールの外面に設けられる複数の開口部と、前記液浸タンクに設けられ、液浸タンクの内部にバッテリーモジュールが引き込まれるように液浸タンクの上端に位置した開閉式上端蓋と、前記液浸タンクの周囲の適正位置に取り付けられ、前記液浸タンクを構造的に補強する複数の補強フレームと、前記補強フレーム同士の間の空間を連結するパネルと、を含み、前記パネルは、前記液浸タンクを囲む筐体である外箱を含む。
【0034】
また、前記外箱の一側面に位置し、パネルに取り付けられるバッテリー管理システム又はその他の電気保護装置を収容する付属ボックスと、前記液浸タンクの流体の油面水位を測定する油面計と、前記付属ボックスが取り付けられる外箱パネルの上部とそれに対応する付属ボックスの一面に設けられ、前記液浸タンク内の上部に空気層で満たされる自由空間に合わせて形成され、液浸タンクから出てくるパワーケーブル、通信ケーブルが前記付属ボックスの内部へアクセスすることを可能にする付属ボックス接近部と、前記流体が前記液浸タンクの内部に引き込まれて外部へ戻るように前記液浸タンクの外部に形成する外部循環ループ線上に位置し、循環する流体の熱エネルギーを交換し、前記外箱の一側面に位置する熱交換器と、を含む。
【0035】
また、前記付属ボックスの底面に設けられ、前記付属ボックス内の電気装置の発熱を除去するように冷たい外気が引き込まれる複数の下部開口部と、熱エネルギーの交換後に暖められた空気を外部へ送り出すことができるように、前記付属ボックスの側面上端に形成されたルーバータイプの複数の上端側面開口部と、前記開口部を介して外部の昆虫又は異物が入り込むのを防止することができるように各開口部の内側面に設けられるマッシュ網と、前記ルーバータイプの上端側面開口部を介して内部へ流入する雨水を遮断するように、前記開口部の内側面に沿って斜めに設けられた雨水流入防止仕切りと、を含む。
【0036】
また、前記液浸タンク内に収容された流体を外部へドレーンするために前記液浸タンクの底面に形成したドレーン配管と、前記ドレーン配管は、配管が形成された液浸タンクの底面と対応する位置の外箱底パネルに設けられた開口孔を介して外箱の外に出て、このとき、ドレーン配管と外箱底パネルの開口孔とを結合するタンクフィッティングとを含み、前記ドレーン配管の終端は開閉式ロックバルブで仕上げる。
【0037】
また、前記液浸タンクの上端の開閉式上端蓋に設けられ、タンクの内部に流体を満たすことができる給油口を含む。
【0038】
また、前記外箱の上端に設けられ、外箱の内部に接近することが可能な着脱式屋根を含む。
【0039】
また、前記液浸タンクの上端の開閉式上端蓋に設けられ、前記液浸タンク内に位置したバッテリーセルの故障により排出されるガスと圧力を迅速に排出して前記液浸タンクと内部装置を保護することができるように一定圧力によって開放する防爆ディスクを含む。
【0040】
また、外箱屋根の側面に沿って設けられ、防爆ディスクから排出される圧力とガスを外部へ排出する複数の開口部と、前記開口部を介して外部の昆虫又は異物が入り込むのを防止することができるように開口部の内側面に設けられるマッシュ網と、前記開口部を介して流入する雨水が内部に入り込むのを防止する前記開口部の内側面に沿って斜めに設けられる雨水流入防止仕切りと、前記仕切りに遮られて集められた雨滴を外箱の外部へ排出する排水孔と、を含む。
【0041】
また、外箱屋根の一側面と外箱側面パネルとを結合するヒンジと、前記外箱の両側面に設けられた固定プレートと、前記固定プレートと対応する位置の外箱屋根面に固定されたボルトと、前記固定プレートに設けられ、外箱屋根が前記ヒンジを軸として開かれる間に前記ボルトが移動する経路Hに沿って形成した溝と、前記ボルトに結合して前記固定プレートを圧着し、前記外箱屋根が開かれる間には前記固定プレートの溝に沿って摺動するナットと、を含み、このとき、防爆ディスクから排出される圧力で前記外箱屋根が開かれるように固定プレートを圧着するナットに力Nが加わる。
【0042】
また、前記外箱は、補強フレームと前記パネルとの間の接触面に挟まれたガスケット、及び前記パネルと補強フレームとガスケットとを互いに結合する結合部材としてスクリュー、セルフタッピング又はネイルガンを用いて、互いに当接する面が圧着するように締結して結合する二重筐体形式である。
【0043】
また、前記液浸タンクと外箱パネルとの間に形成される空き空間に収容して外部熱の侵入を遮断する断熱材を含む。
【0044】
また、前記液浸タンクには、流体の熱膨張と収縮により生じる圧力差を均等化するように、前記液浸タンクの上層部に空気層で満たされる自由空間に合わせて形成される液浸タンクの側壁に設置する圧力均等装置をさらに含み、前記圧力均等装置には、圧力を均等化する過程で外部から流入する空気の湿気を除去する除湿剤を含む。
【発明の効果】
【0045】
本発明の一実施形態によれば、複数のバッテリーセルに収容するバッテリーモジュールを用いて、バッテリーモジュールが、冷媒である絶縁流体に完全に浸漬されてモジュール内のバッテリーセルと流体とが直接接触するようにして熱を制御し、複数の前記バッテリーモジュールを収容し、前記絶縁流体で満たす空間を設ける液浸タンクで構成し、前記絶縁流体は、空気よりも熱エネルギーを吸収可能な能力が1000倍以上高いため、単純液浸状態でもバッテリーの熱管理に優れた効果を提供する。
【0046】
液浸タンクの吸入口に流体を受け入れて熱エネルギーを増減させることで、再び液浸タンクに戻るように流体を循環させる外部循環ループを形成し、より効率的なバッテリーの熱制御だけでなく、バッテリー間の温度偏差をより積極的に減らすことができるという効果を提供する。
【0047】
モジュールを冷媒である絶縁流体で満たすモジュール単位浸漬方式(module level immersion method)に比べて、上述のようにタンクの内部を流体で満たすタンク単位浸漬方式(tank level immersion method)は、モジュールで高い等級密閉性を必要とせず、流体移動のためのモジュール間配管接続構成と特殊なコネクタが不要であって、製造が簡単で、コストが安く、潜在的な漏油発生箇所を大幅に減らすことができるという効果を提供する。
【0048】
また、このような浸漬方式は、モジュール単位浸漬方式に比べてモジュールの内部で流体が移動する距離が短く、バッテリーモジュールの内部で流動方向に流体が均一に移動することにより、熱管理効果を向上させるという効果を提供する。
【0049】
バッテリーモジュール、絶縁流体、液浸タンク及び熱交換器を、一体化された一つの筐体として構成することにより、液浸タンクの外部における流体移動距離を減らすことができ、設置スペースを節約して効率のよいメンテナンス効果を提供する。
【0050】
また、熱交換器がクーリング部、ヒッティング部及び循環ポンプで構成されており、前記流体の温度を迅速かつ正確に調節し、これによりバッテリーの性能を最適化する。
【0051】
また、液浸タンクの外部には、流体と分離されるようにパワー及び通信ケーブルと保護装備とBMSとを収容する付属空間を設けることにより、安定した管理と保護を実現する。複雑なバッテリーシステムにおいて安全と効率を高める重要な要素を提供する。
【0052】
また、液浸タンクの内部下側面と上側面に位置し、流体の流出入のための配管を設置して流体の循環を助けて熱交換効率を最大化する。特に、配管に形成された大きさの異なる一連の開口孔で均一な流量分配を実現することにより、システム全体の熱管理性能を向上させる。
【0053】
また、液浸タンクの下側面に対応する配管の代わりに多孔パネルを設置することができる。一連の開口孔を多孔パネルに設け、前記多孔パネルを介して流量が均等に分配されて移動するように伝達する効果を持たせる。これにより、モジュール当たり均一な流量が通過してモジュール間の温度偏差を安定的に管理することができる。
【0054】
また、流量制御装置をさらに設置することにより、より効率的な流量分配効果を有することができる。流量制御装置の実施形態において、多孔パネルの下に傾斜したパネルを設置して流体が上側部へ均等に移動するように管理することにより、システム全体の熱管理性能を最大化する。このような構成は、配管を設置することなく流体を効率よく分配する効果を持たせる。
【0055】
また、流体の膨張と収縮により発生する圧力を収容するために液浸タンクに圧力均等装置を設置し、前記圧力均等装置に空気の移動する経路を置き、この経路上に除湿剤を設置することにより、タンク内に引き込まれる外部空気の湿気を取り除いて内部電気装置の絶縁性能を保護する効果を持たせる。
【0056】
また、液浸タンクの上部に空気層を形成する自由空間を収容するようにして、流体の膨張と収縮によるタンク内の過圧形成を防止するようにすることにより安全性を高める効果を持たせる。この時、自由空間と当接する油面は、タンク内の最上端に位置したバッテリーセルまで一定距離を維持するようにして、流体損失があっても、バッテリーは完全浸漬状態を維持するようにして、安全性を高める効果を持たせる。
【0057】
前記液浸タンクには油面計を設置することにより、液浸タンクの内部を直接見なくても外部から流体のレベルと漏油状態を確認することができるため、効率的なメンテナンスが可能である。
【0058】
また、複数の補強フレームで液浸タンクを囲んで構造的に補強することができ、前記フレームとフレームの間の空間をパネルで連結して液浸タンクを囲む二重筐体形式の外箱を構成する。このような構成により、構造全体の安定性と熱効率性を向上させ、非常時の漏油防止により環境管理を容易にする。
【0059】
また、外箱パネルと補強フレームは、溶接又はガスケットシールなどで結合することができるが、溶接の場合、塗装の品質状態維持の困難さとこれによる錆発生可能性、熱変形によるパネルの反り、作業者の熟練度による溶接品質のばらつき、溶接面に沿って外部から内部へ伝達される熱侵入など、問題になるおそれがあり、ガスケットシール方式がさらに好ましく、構造物の製作品質と断熱性能を向上させることができる。
【0060】
また、液浸タンクと外箱パネルとの間の空間に断熱材をさらに取り付けることにより、熱損失を最小限に抑え、エネルギー効率を向上させる。
【0061】
また、液浸タンクから漏れる流体が外部へ漏れないように、外箱パネルを貫通する配管は、タンクフィッティングなどを用いて製作組立を容易にし、液浸タンクの上端蓋に給油口を設置して設置又はメンテナンスの際に内部を開くことなく給油を可能にすることにより、流体の汚染を防止するという効果を有する。
【0062】
また、液浸タンクの上端には、一定圧力で開放する防爆ディスク又は圧力排出弁を設置することにより、バッテリー爆発圧力から構造全体を保護する効果を持たせる。また、外箱には、前記液浸タンクの上端蓋に面する屋根を設置し、屋根の側面に開口部を構成するか、或いは屋根の一面を軸として開かれるようにするヒンジと固定装置との組み合わせで、緊急時に内部圧力を外部へ排出するようにして安全性を高めるという効果を持たせる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】(a)は、従来のラック形式のバッテリーシステムに液浸方式を適用した例示であり、(b)は、本発明の一実施形態による液浸方式と一体化したバッテリーシステムをタンク形式の筐体と統合した概念を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による筐体と統合された液浸方式のバッテリーシステムの構成を概略的に示す図である。
図3】(a)、(b)、(c)、(d)は、空冷式のバッテリーシステムと液浸方式のバッテリーシステムの冷却効率を示す実験データであり、(e)と(f)は、液浸方式のバッテリーシステムの火災安全性を評価した実験データを示す図である。
図4】火災安全性を高めるために安全距離dを実現するための本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの吐出口の構成を概略的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態による液浸タンクの内部に構成した流体引き込み分配管と吸入管、及びこれによる流動方向を概略的に示す図である。
図7】本発明の一実施形態による液浸タンクの内部に多孔パネルと流量制御装置の構成を示し、これによる流動方向を概略的に示す図である。
図8】本発明の一実施形態による構成によって流量分配を示す電算解析モデルと解析結果を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による液浸タンクと液浸タンクの周囲を囲んで構造的に補強するフレームを概略的に示す図である。
図10】本発明の一実施形態による外箱パネル、フレーム、ガスケット及び結合部材を用いて構成する二重筐体形式の外箱を概略的に示す図である。
図11】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態による外箱パネルとフレームとの間に挟まれたガスケットを圧着して結合する断面を示し、(c)は外箱パネルと液浸タンクとの間の空間に断熱材を含む構成を概略的に示す図である。
図12】本発明の一実施形態による外箱を垂直水平支持するための支持足とベースフレームの断面を概略的に示す図である。
図13】(a)は本発明の一実施形態によるメンテナンスのための流体ドレーン装置の構成を示し、(b)は本発明の一実施形態による給油装置と防爆装置の構成を概略的に示す図である。
図14】本発明の一実施形態による外箱の屋根構成と屋根側面に形成した開口部とを概略的に示し、雨水流入防止のための形状構造を概略的に示す図である。
図15】本発明の一実施形態による爆発防止外箱屋根構造の構成を概略的に示す図である。
図16】本発明の一実施形態による爆発防止のために一定圧力で外箱屋根が開かれるように構成した様々な装置を概略的に示す図である。
図17図16で説明した装置によって屋根が開かれるメカニズムとこれを実現するための力との関係を示す図である。
図18】本発明の一実施形態による外箱の前面部に位置した付属施設物のための別途の空間の構成を概略的に示す図である。
図19】本発明の一実施形態による付属ボックスと熱交換器を含む外箱筐体、及び放熱と外部物質入り込み防止のための付属ボックスの構成を概略的に示す図である。
図20】本発明の他の実施形態による構成である。
図21】本発明の他の実施形態による詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、上述した本発明を添付図面及び実施形態によって詳細に説明する。
【0065】
本発明で使用される技術用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定するものではないことに留意されたい。また、本発明で使用される技術用語は、本発明で特に異なる意味で定義されない限り、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味で解釈されるべきであり、過度に包括的な意味で解釈されたり、過度に縮小された意味で解釈されたりしてはならない。さらに、本発明で使用される技術用語が本発明の思想を正確に表現しない誤った技術用語である場合には、当業者が正しく理解することが可能な技術用語に置き換えられて理解されるべきである。また、本発明で使用される一般的な用語は、辞典に定義されているところに従って、或いは前後の文脈に従って解釈されるべきであり、過度に縮小された意味で解釈されてはならない。
【0066】
また、本発明で使用される単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「構成される」又は「含む」などの用語は、本明細書に記載されたいろいろの構成要素、又はいろいろのステップを必ずしもすべて含むと解釈されてはならず、そのうちの一部の成要素又は一部のステップは含まなくてもよく、或いは追加の構成要素又はステップをさらに含んでもよいと解釈されるべきである。
【0067】
以下、添付図面を参照して本発明による好適な実施形態を詳細に説明するが、参照番号を問わずに、同一又は類似の構成要素には同じ参照番号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0068】
また、本発明を説明する際に、関連する公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は、本発明の思想を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付図面によって本発明の思想が制限されるものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0069】
図1に示すように、液浸冷却方式を適用したバッテリーシステムを実現する(a)ラック方式、(b)タンク方式を概略的に示す図である。
【0070】
図1の(a)に示すように、普遍的なバッテリーシステム構造は、バッテリーセルを収容するモジュールとバッテリーモジュールとを垂直に積層したラック形式に従う。このような形式は、単位面積当たりのエネルギー密度を高めるという利点があるが、液浸冷却方式を実現するためには、モジュールを冷媒としての流体で満たさなければならない。漏油防止のために流体で満たしたモジュールは、高い密閉度のためのケーシング設計と特殊コネクタが使用されなければならず、流体移動のためにモジュール間の配管連結が必要である。これは、潜在的漏油箇所が増加してメンテナンスの問題が複雑であり、モジュールの重量により全体的な垂直重量が増加するという欠点がある。また、流体循環のためには、モジュール間の配管を通すことにより、外部において移動する流体の移動距離が増加して熱管理の面で効率的ではない。
【0071】
このような欠点を補うために、本発明は、図1の(b)に示すように、バッテリーモジュール2を収容するタンク100を冷却流体3で満たしてモジュールを完全にロックするタンク方式であって、モジュールにおいて高い密閉度が要求されず、このための部品数が最小化されて製作及び組立が簡単である。潜在的漏油箇所の数が最小限に抑えられてメンテナンスが容易であり、タンク内の圧力調節及び循環のための別途の流体貯蔵装置が不要であり、液浸タンク100の外部での流体移動距離が短いため、熱管理の面でより効率的である。
【0072】
したがって、本発明は、バッテリーモジュール2と冷却媒体(cooling medium)としての流体3とを効果的に含浸させるために設計された液浸タンク100で構成され、バッテリーの冷却効率を最大化し、漏油箇所を最小化してバッテリーシステム全体の安全性と信頼性を向上させる。
【0073】
上述した構造は、液浸タンク100において発生しうる漏油に備えて外部へ流出しないように保護機能を提供するために、液浸タンク100を囲む二重筐体の形態で設計された外箱200を含むことにより、非常時の漏油に対処するための流体貯蔵機能を備える。
【0074】
図2に示すように、本発明は、前記液浸タンクとBMS(Battery Management System)とその他の電気保護装置を収容する空間と熱交換器を1つの空間として統合した筐体と一体化された液浸冷却方式のバッテリーシステムの実施形態及び概略的な空間構成図を示す。外箱の一側面に位置し、取り付けられるBMS又はその他の電気保護装置を収容する空間を設けるスペースである付属ボックス1-1を含む。前記熱交換器9は、液浸タンク100から吸入した流体の熱エネルギーを調節した後、再び液浸タンクに戻す機能を行うように外部循環ループ上に位置し、外部における流体の流動距離を最小化するために、前記熱交換器は、前記外箱の一側面に構成して熱交換器と一体化されたバッテリーシステムを収容する筐体を提供する。
【0075】
熱交換器9は、クーリング部と循環ポンプとを含み、必要に応じてヒッティング部が追加されたりもする。クーリング部(図示せず)は、流体を冷却し、冷たくなった流体は、バッテリーの熱を除去する。循環ポンプ7は、流体を強制循環させて冷却の効率を高める。ヒッティング部(図示せず)は、流体を加熱してバッテリーが低温環境下でも最適な性能を維持することができるように支援する。
【0076】
前記熱交換器9は、バッテリーシステムと一体化されて一つの空間である筐体に収容されて統合されることにより、システムの複雑性を減少させ、システムの効率性を向上させ、メンテナンスの容易性を提供する。このように、熱交換器9は、バッテリーシステムの性能を最適化し、様々な運営条件においても安定的な作動を保障し、全体的なエネルギー管理効率を増進させる機能を果たす。
【0077】
図3のグラフは、液浸冷却方式の効率性と火災安全性を確認するための自己実験結果である。
【0078】
図3の上側グラフ(a)、(b)、(c)、(d)は、液浸冷却と内部流体循環によるバッテリー熱制御効果を調べる自己実験結果である時間履歴データである。合計10個のバッテリーモジュールをタンク内に並べて配列し、タンクを絶縁流体で満たした後、3つの条件でバッテリー充放電運転を行った。
【0079】
第1の条件は、流体を循環しない単純液浸状態であり、第2の条件は、流体を循環ポンプを用いて強制循環させ、第3の条件では、循環する流体を熱交換器を介して冷却して充放電運転を行った。
【0080】
比較のために、7つのバッテリーモジュールを別途のバッテリーラックに積層した後、自然対流冷却方式を利用して同じC-rateで充放電を行った。
【0081】
全ての実験において、モジュール当たりそれぞれ異なる2箇所でバッテリーセルの温度を測定し、充放電が終わった後も9時間程度推移を観察した。
【0082】
図3の(a)に示すように、自然対流方式の場合、バッテリーの最高温度は40度を上回ったが、図3の(b)に示すように、単純液浸状態の場合、バッテリーの最高温度は30度前半を記録した。図3の(c)に示すように、流体を循環させる場合、バッテリーの最高温度は平均的に単純液浸状態とは大きく異ならなかったが、バッテリーセル間の温度偏差は遥かに減少した。最後に、図3の(d)に示すように、熱交換器を介した循環と冷却を同時に行った場合、バッテリーの最高温度は27度を超えず、バッテリーセル間の温度偏差も図3の(a)と(b)の場合よりも遥かに減少した。
【0083】
したがって、単純液浸でもかなりの冷却効果を得ることができ、流体循環でバッテリー間の温度偏差を画期的に減らすことができ、流体を冷却する場合、高いC-rate運転においてもバッテリーの最高温度を効果的に制御することが可能であることを確認することができた。
【0084】
図3の下側グラフと写真は、火災安全性評価実験のための試験体とその結果である。
【0085】
火災安全性評価試験では、特定のバッテリーセルを外部から電源を介して加熱して熱暴走を引き起こした後、周辺セルに転移するかを確認した。熱暴走が発生した時点でバッテリーセルの温度は急激に上昇し、瞬間最高温度は600度以上を記録する。したがって、周辺セルの胴体の温度を観察して熱暴走転移(thermal runaway propagation)如何を判断することができる。
【0086】
図3の(e)に示すように、一番目の実験では、試験体のチャンバー内に複数のバッテリーセルを垂直に配列し、試験チャンバーの内部を完全に流体で満たした後、予め指定した2つの隣接するバッテリーセルを同時加熱した結果、一番目の熱暴走が発生(600度以上)した後、二番目の熱暴走が発生すると、瞬時に周辺セルの胴体の温度も800度超過の高温を記録し、周辺セルに熱暴走現象が転移したことが分かった。一番目の熱暴走が発生するとき、圧力と共に流体の一部がチャンバーの外部に抜け出し、このとき、残りのバッテリーセルの胴体の一部が流体の外に露出した。2番目のセルにおいて熱暴走が発生すると、高温に周辺セルが露出して熱暴走転移を触発させたものと判断された。
【0087】
図3の(f)に示すように、二番目の試験では、バッテリーセルを水平に配列した後、実験中にバッテリーセルが完全浸漬状態を維持するように、最上段のバッテリーセルと試験体チャンバーの上端蓋まで一定距離を確保してチャンバーの内部を完全に流体で満たした。予め指定した2つの隣接バッテリーセルを同時加熱した結果、指定したセルにおいて熱暴走が発生した間も、周辺バッテリーセルの胴体の温度は100度未満を維持して熱暴走が転移しなかった。熱暴走中に流体の一部が外に抜け出しても、残りのバッテリーセルは完全浸漬状態を維持することにより、熱的衝撃から保護されて転移が発生しなかったことが分かった。
【0088】
この実験結果は、火災の危険性を下げる重要な考慮要因として、流体の油面と最上段のバッテリーセルとの距離をある程度確保して流体損失にも拘らず完全浸漬状態を維持しなければならないことが分かる。
【0089】
図3の火災安全性評価実験結果に基づいて、図4に示すように、本発明において流体3の油面と最上段に位置したバッテリーセルとの安全距離dを確保して火災安全性を高める重要構成要素を示す。図4の(a)及び(b)に示すように、安全距離dをラック方式及びタンク方式において実現することができる。ところが、図3の(a)に示すように、ラック方式の場合、一定距離dを確保することが空間制約により難しく、これを解決するためにはモジュールの容積を増やすしかないから、空間効率の面で不利である。これに対し、タンク方式では、一定長さの安全距離dを確保するのに一層空間的な自由がある。
【0090】
また、タンク方式では、タンク100の最上端に一定深さDの空気層を有する自由空間を確保することができる。このような自由空間は、流体3の体積膨張及び収縮によりタンク内の過圧を防止するのに非常に効果的である。
【0091】
本発明では、バッテリーの熱をより効果的に制御するために、前記バッテリーモジュール2の設計は、流体3の流れを均一に維持させてモジュール内部のバッテリーセルを同じ流量で冷却することができるようにする。
【0092】
図5に示すように、本発明によるバッテリーモジュール2の熱を効果的に除去することができるように、流動方向に応じてモジュールの内部に均等に引き込み、外部へ吐出するようにする。
【0093】
本発明の実施形態において、バッテリーモジュールの両端のいずれか一方には、複数の第1吐出口2~6が形成される。第1吐出口は、流体が引き込まれる入口であり、流体をバッテリーモジュール2の内部へ供給してバッテリーセルと直接接触して熱を吸収し移動させる役割を果たす。前記第1吐出口2~6は、バッテリーモジュールの効率的な冷却のためにバッテリーモジュールに流体を供給する重要な部分である。
【0094】
第1吐出口2~6を介してバッテリーモジュールの内部に引き込まれた流体3は、モジュールの下部から上部へ移動して複数の第2吐出口2~7を介してモジュールの外部に抜け出す。第2吐出口2~7は、第1吐出口2~6から引き込んだ流体の移動方向に対応して形成され、これは、バッテリーモジュール2を通過した後、熱を吸収した流体が出る出口の役割を果たし、さらに上部側面に第3吐出口2~8を形成することができる。
【0095】
したがって、このような吐出口の配置は、流体がバッテリーモジュールの内部を均等に通過しながら主流動距離を最小化して内部の熱を効果的に吸収し、これをバッテリーモジュールの外部へ伝達することにより、バッテリーモジュール内のバッテリーセルの温度をより均一且つ効果的に保つようにする。
【0096】
本発明では、液浸タンク100内に収容されたそれぞれのバッテリーモジュール2の熱を均等に制御するために、前記液浸タンク100の内部で流動方向に均一な流量を維持させて、冷却効果が各モジュールに同様に適用できるようにする。
【0097】
図6に示すように、前記液浸タンク100の底面に、外部から流体が引き込まれる引き込み口を介して内部に移動して分配する引き込み分配管11を設け、前記液浸タンク100の上部には、流体を外部に戻す吸入管12を設け、前記引き込み分配管11と吸入管12には、長手方向に大きさの異なる一定数のホール13が一連に形成される。このような構成は、液浸タンク100内に引き込んだ流体3が内側へ移動しながら前記タンクの上側部に均等な流量を分配するようにして、各モジュールに均等な冷却効果を与えることができる。
【0098】
図7では、より効率的な流量分配のための本発明の一実施形態を示す。前記液浸タンク100の底面に、引き込み分配管11の代わりにモジュールの下に位置して流体を上側部へ均一に伝達する複数のホール13を含む多孔パネル15を設け、前記多孔パネルの下に、始端から終端に向かって傾く傾斜を有するパネルで形成した流量制御装置16をさらに設ける。
【0099】
具体的には、本発明の液浸タンクの内部は、外部から引き込んだ流体が内側へ移動する間、均等な流量で上側部に分配する機能を行い、各モジュール間で同じ冷却効果を提供してバッテリーの温度偏差を減らすことにより、バッテリーシステムの高い信頼性、安全性、及び寿命延長効果を期待することができる。
【0100】
図8の(a)と(c)は、液浸タンク100の下部に引き込み分配管11を備え、前記タンクの内部に引き込まれる流体が内側へ移動しながら上側部へ均等に分配されるかを調べる3D流体解析モデル(3D fluid dynamic model)、及びタンクの下部から60mmの高さで計算された流量流れ(fluid mass flow)分布結果であり、図8の(b)と(d)は、液浸タンクの下部に多孔パネル15を備え、前記多孔パネルの下面には傾いた流量制御装置16を設けて、タンクの内部で流体が移動しながら上側部へ均等に分配されるかを調べるための3D流体解析モデル(3D fluid dynamic model)、及びタンクの底面から60mmの高さで計算された流量流れ(fluid mass flow)分布結果グラフである。
【0101】
図8の(a)と(b)の流量分布結果グラフに示すように、引き込み分配管11から構成されたモデルよりも、多孔パネル15と流量制御装置16から構成されたモデルにおいて流量の分布がさらに均一であることを示しており、多孔パネルと流量制御装置を介して流体を効率よく分配することができることを示した。このような構成は、配管結合のための溶接作業が不要となって製作が単純になり、効率的な流体分配を実現することができるという利点がある。
【0102】
図9に示すように、本発明の一実施形態によって、前記液浸タンク100の周囲には、水平と垂直方向に補強する多数の水平フレーム110、140と垂直フレーム120とを含んでいる。
【0103】
このような構成は、液浸タンク100の構造的安定性を向上させ、水平フレーム110、140と垂直フレーム120は、二重筐体形式の外箱を構成する要素となり、周辺環境から液浸タンク100を保護するようにする。
【0104】
フレーム110、120、140は、液浸タンク100を支持する役割を果たし、外箱を構成するパネルと結合して二重筐体構造を形成し、非常時に前記液浸タンクから漏れる流体を外部へ抜け出さないように閉じ込める役割を果たして、流体の外部流出による環境汚染を防止する。
【0105】
図10に示すように、パネル210、211とフレーム110、120、140との間にはガスケット251が取り付けられる。前記ガスケット251は、結合部材252によって互いに強固に結合される。前記結合部材は、スクリュー、セルフタッピングスクリュー、又はネイルガンを含むことができ、これは、パネルとフレームとの間のガスケットを圧着してシール効果を提供するようにし、液浸タンクと外部パネルから構成された二重筐体形式を完成するようにする。
【0106】
このような二重筐体形式は、竜巻による衝撃から液浸タンクを保護することができ、ガスケットシール結合により漏油を防止し、外部熱が内部に侵入する熱伝導経路を遮断する効果を提供し、液浸冷却方式のバッテリーシステムの信頼性と安全性を向上させ、熱管理の効率性を向上させる。
【0107】
図11の(a)及び(b)に示すように、本発明の実施形態において、外箱パネルとフレームとの間に挟まれたガスケット251、及びこれを結合する結合部材252の断面を示している。
【0108】
図11の(c)に示すように、液浸タンク100の外側及び底面と外箱のパネル210、211との間に形成される空き空間には、断熱材142を収容する。前記断熱材は、外部熱から液浸タンクを保護して液浸方式の熱管理効率と性能の一貫性を維持する上で重要な役割を果たす。
【0109】
前記断熱材142は、液浸タンク100の外面全体を囲むように配置されており、外部からの熱的影響を最小限に抑える。このような構成は、外部環境の影響を最小限に抑えて液浸タンクの温度を安定的に維持するようにする。
【0110】
したがって、本発明の筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムは、バッテリー使用中に発生しうる様々な熱関連問題に対応してバッテリーの信頼性と安全性を向上させる。
【0111】
図12に示すように、本発明の二重筐体形式の外箱200を効果的に支持するために前記外箱を支持する支持台の結合装置は、底部に設置されるベースフレーム303と支持足305を含む。前記ベースフレームは、システム全体の重量を前記支持足へ伝達する役割を果たし、前記支持足は、前記ベースフレームに伝達される垂直水平荷重を床へ伝達する機能を行う。
【0112】
図13の(a)に示すように、本発明の一実施形態において、メンテナンス目的で、内部流体を外部へ容易に排出するために液浸タンクの底面150と外箱底パネル210を貫通するドレーン配管222を設置し、前記ドレーン配管と前記外箱底パネルは、タンクフィッティング221を用いて漏油防止仕上げを行う。
【0113】
前記ドレーン配管の終端部には、流体3の維持及び交換作業の際に、必要に応じて開閉ができるように開閉式ロックバルブ223(図示せず)で仕上げる。
【0114】
図13の(b)に示すように、液浸タンクの上端蓋1-2を開かずに流体3を給油する装置を含む。給油装置である給油口19を含み、前記給油口は、前記上端蓋の一定位置に設置する。
【0115】
上端蓋1-2に形成した給油口19は、給油中に流体を流しても外箱の側面に沿って外部へ漏れなくなる。また、給油口を介して給油することにより、液浸タンクの内部を開放しなくてもよく、これは、給油中に周囲環境との接触により流体が汚染されることを極力防止するようにする。
【0116】
また、図13の(b)に示すように、本発明の液浸タンク100は、バッテリーの故障による内部圧力の急激な上昇を感知して安全を確保する装置である防爆ディスク1-21又は圧力排出弁を含む。防爆ディスク1-21は、液浸タンクの上蓋1-2に配置され、内部圧力が開放圧力に達したときに開放されて液浸タンク内の圧力を素早く外部へ排出する。開放圧力は、0.2~0.4barが好ましく、開放圧力で内部圧力の蓄積を防止してタンクの内部構造を保護する役割を果たす。
【0117】
このような本発明の構成は、安全性、効率性、製作簡便性、メンテナンス容易性を同時に考慮した設計を反映して筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムの機能性と信頼性を向上させる。
【0118】
図14の(a)に示すように、前記二重筐体形式の外箱200は、着脱式屋根201を含み、液浸タンク100と前記屋根との間の空間への太陽熱による蓄熱を防止するように、前記屋根の側面には屋根開口部1-22を形成するようにする。図14の(b)に示すように、前記屋根開口部を介して雨水などの外部流体が内部に流入するのを防止するために、前記屋根の内側面に沿って、前記屋根開口部に対応する区間には斜めな雨水流入防止仕切り1-24を設置し、その下方には排水孔203を備える。
【0119】
雨水流入防止仕切り1-24は、雨水が外箱の内部に入るのを効果的に遮断する。前記仕切りにより集められた雨水が外部へ排出されるように、一つ以上の排水孔203が設けられている。この排水孔は、雨水が外箱屋根の底面に蓄積されるのを防ぐとともに、外箱内部への流体の流入を効果的に防ぐ役割を果たす。
【0120】
本発明の外箱屋根構造は、雨水の流入を防止するとともに、自然対流を利用して、内部に熱が蓄積するのを防止することにより、外部環境の変化による悪影響を最小限に抑えることができる。
【0121】
図15の(a)に示すように、屋根開口部1-22は、液浸タンク100の上端蓋に設置された防爆ディスク1-21が開放されて排出されるガスと圧力を迅速に外部へ誘導する役割を果たすようにする。このとき、前記屋根開口部の総面積は、外部へ迅速に排出することができるように、防爆ディスクの開放面積よりも十分に大きくなければならない。
【0122】
また、図15の(b)に示すように、筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムにおいて、外箱屋根の側面にはボリュームダンパ225が設置されている。前記ダンパー225は、防爆ディスクが開放されて排出されるガスと圧力を迅速に外部へ誘導する役割を果たす。
【0123】
前記ダンパー225は、防爆ディスク1-21の開放圧力でダンパーの羽根(damper blade)225-1が開かれ、圧力を速やかに外部へ排出する。このような圧力排出は、爆発からバッテリーを安全に保護するのに必須的である。
このような構造は、二重筐体形式で構成した本発明の外箱構造において重要な安全設計要素として機能する。
【0124】
図16及び図17に示すように、本発明の別の例として、前記外装屋根201と外箱側面パネル211との結合構造を用いて爆発圧力によって自動開放するメカニズムについて詳細に説明する。
【0125】
外箱屋根201は、液浸タンク100に位置する防爆ディスクが内部圧力の上昇によって開放される状況が発生したときに、前記屋根が開かれて圧力を排出するように設計された。
【0126】
このために、外箱屋根201の背面は、これに当接する外箱側面パネル211とヒンジ218によって結合することができる。当該ヒンジを軸として前記外箱屋根が開かれるようにする装置である。このとき、外箱ルーフ201の側面と外箱側面パネル211とが出会う箇所で形成される固定プレート212の下部は、前記外箱側面パネルと固定されており、前記固定プレートの上部と対応する屋根側面には、ボルト1-27が固定されているようにする。
【0127】
前記ボルト1-27にナット1-28を結合して前記固定プレートを圧着し、このとき、固定プレートの上部には、外箱屋根が開かれ、ボルトが移動する経路Hに沿って形成したガイド溝(guide groove)を備える。前記ガイド溝は、前記外箱屋根に固定されたボルト1-27を収容する役割を果たす。前記ボルトは、ナット1-28と締結されるが、この過程で、前記固定プレートと前記ナットとが接触する面に形成する圧着力で、平常時には屋根が固定されている。非常時には、前記ヒンジを軸として前記屋根が開かれるように、前記ナットが固定プレートとの接触面で摺動するようにナットに加わる圧着力を定めることができる。
【0128】
図17に示すように、屋根を押し出す力によるモーメントが、屋根自重(self weight)と摩擦力によるモーメントよりも大きくなるように、条件式を作って最大摩擦力を求めることができる。摩擦力は、ナット1-28に加わる圧着力と金属表面摩擦係数によって求めることができ、このような関係式を前記条件式に代入して、ナットに加わる最大圧着力を下記数式1のように求めることができる。
【0129】
【数1】
【0130】
図18及び図19に示すように、筐体と統合した液浸冷却方式のバッテリーシステムの主要構成要素を含んでいる。
【0131】
バッテリーの運転中に発生しうる熱によって流体3が膨張又は収縮することにより、タンクの内外の圧力差が発生する可能性がある。このような圧力差を管理するために、前記液浸タンクには圧力均等装置161がさらに備えられている。
【0132】
前記圧力均等装置は、タンク内の圧力が上昇するときに内外の圧力差を感知して、空気の流入と排出を調節する。これは、流体3の熱膨張と収縮により液浸タンク内の過圧を防止して液浸タンク内の電気装置を保護し、液浸タンクの構造的安定性を維持するためである。
【0133】
また、圧力均等装置161には、空気の移動通路の経路上に湿気を除去する除湿剤を含むことにより、外部から引き込まれる空気の湿気を除去して内部電気装置と流体3を湿気から保護する。
【0134】
また、液浸タンクの外部に位置し、外箱側面パネル211に連結されて流体と分離されるように、パワー及び通信ケーブル、保護装備とBMSとを収容する空間である付属ボックス1-1を置いて安定的な管理を実現する。
【0135】
前記付属ボックスは、外箱側面パネル211に取り付けられ、前記付属ボックスが取り付けられる前記パネルとこれに対応する付属ボックスの背面に開口が形成された付属ボックス接近部290を備える。前記接近部290は、液浸タンクの上層部に形成された自由空間Dに対応するように位置し、液浸タンクから出てくるパワーケーブル及び通信ケーブルが付属ボックス内に汚染されることなく接近可能にする。
【0136】
前記液浸タンクの油面状態をモニタリングするために、前記開口部に対応する液浸タンクの一面に油面計162が設置されるようにする。
【0137】
付属ボックス1-1の底面には複数の開口部174が設けられることにより、冷たい外部空気が前記付属ボックス内の電気装置の熱を除去するように引き込む。また、前記付属ボックスの側面上端には、ルーバータイプの複数の開口部172を形成することにより、熱エネルギーの交換後に暖められた空気を外部へ排出するようにする。マッシュ網171は、各開口部の内側面に設けられ、外部の昆虫又は異物の入り込みを防止する。前記ルーバータイプの上部側面開口部を介して流入する雨水を遮断するために、付属ボックス内に位置し、前記側面開口部に面するように斜めに設置した雨水流入防止仕切り173を備えている。
【0138】
また、液浸タンクの内部に引き込まれて外部に戻る外部循環ループを構成する循環配管11、12と連結することで、循環する流体の熱エネルギーを交換する熱交換器9は、外箱側面パネル211に位置し、筐体と統合されて構成する。
【0139】
以下、本発明の様々な構成例に従って具体的に実現した筐体と統合された液浸方式のバッテリーシステムの例示を示す。
【0140】
実施形態
図20の(a)に示すように、本発明は、複数のバッテリーセルを収容するバッテリーモジュール2が収容され、絶縁特性を有する流体3で満たした空間を設ける液浸タンク100状のバッテリー筐体と、前記バッテリーモジュールを引き込むことができるように液浸タンクの上端に位置した開閉式上端蓋1-2と、を含む。
【0141】
前記バッテリーモジュール2の外面には複数の開口部2-6、2-7、2-8が設けられることにより、バッテリーモジュールの内部に対して流体の流出入を可能にする。前記液浸タンクの上部には、一定深さDの空気層で形成された自由空間を備える。
【0142】
図20の(b)に示すように、本発明の一実施形態において、液浸タンク100状のバッテリー収容体の周囲を垂直水平補強フレーム110、120、140に囲んで構造的安全性を高める。さらに、液浸タンクの上端蓋1-2には、バッテリーセルの故障により発生しうるガス及び圧力を迅速に排出する防爆ディスク1-21が含まれる。この防爆ディスクは、一定圧力によって開放されて液浸タンクと内部電気機器を保護する。
【0143】
液浸タンクの上端蓋には給油口19を備えることにより、タンクカバー1-2を開かずに内部に流体3を供給する。
【0144】
図20の(c)に示すように、本発明の一実施形態において、液浸タンクの周囲を囲むフレームとパネル211とを連結し、このとき、前記パネルとフレームとの接合は、ガスケットと結合部材252を用いて二重筐体形式の外箱を構成する。このような構成は、バッテリーを収容する液浸タンクを外部環境(気候や竜巻など)から保護し、液浸タンクから漏れる流体を閉じ込めて周囲環境の汚染を防止する機能を果たすことが特徴である。
【0145】
さらに、上部には、必要に応じて外箱の内部に接近できるように着脱可能な屋根201を構成する。前記屋根には側面開口部1-22を設けることで、太陽熱で暖められた内部空間の放熱を助ける。
【0146】
前記外箱は、最終的にベースフレーム303及び支持足305を介して地面に荷重を伝達するようにする。
【0147】
図20の(d)に示すように、本発明の一実施形態において、付属ボックス1-1を含む液浸方式のバッテリーシステムと熱交換器9とを一つの空間である筐体200に統合して構成したバッテリーシステムである。
【0148】
前記付属ボックス内には、BMS及び各種電気安全装置等を収容し、液浸タンク100内のバッテリーシステムから出てくるパワー及び通信ケーブルは、付属ボックス接近部290を介して付属ボックス内の各種装置と接続する。
【0149】
また、液浸タンクの自由空間に連結され、前記付属ボックス接近部290を介して付属空間内に形成した圧力均等装置161を含む。
【0150】
図21では、本発明の実施形態によって液浸方式のバッテリーシステムと熱交換器を統合して構成した二重筐体形式の外箱断面と主要構成要素を示す詳細断面を示している。図21では、説明のために一部の構成要素が省略された。
【0151】
図21の(a)に示すように、前記外箱内に位置した液浸タンクの底面には、引き込む流体が均等な流量で分配するように大きさの異なる一連のホール13が形成された引込分配管11が位置している。
【0152】
図21の(b)は、外箱屋根側面開口部1-22、雨水流入防止仕切り1-24、及び排水孔を示す詳細断面図である。
【0153】
図21の(c)は、フレーム110、120、140と外箱パネル210、211との結合構造の断面を示す詳細断面図である。前記フレームと前記パネルとの間に挟まれたガスケット251を、結合部材252を用いて圧着して液浸タンク100を保護する二重筐体形式の外箱を構成する。
【0154】
図21の(d)は、外箱の底部に形成した開閉式ロックバルブ223とタンクフィッティング221とからなるドレーン配管222を示す詳細断面図である。
【0155】
図21の(e)では、本発明の一実施形態によって、液浸タンク100の底面に多孔パネル15と流量制御装置16を形成して構成した筐体200を示す。このような内部構成は、タンク内に引き込んだ流体が移動する間に均等な流量で分配されてタンクの上部へ移動するようにする。
【0156】
また、本発明は、液浸タンク100と外箱パネル210、211との間に形成された空間には断熱材142を含むようにして、外部環境からバッテリーシステムを保護して熱管理性能と効率を高める、筐体と統合された液浸方式のバッテリーシステムである。
【符号の説明】
【0157】
1-1 付属ボックス
1-2 上端蓋
1-27 ボルト
1-28 ナット
2 バッテリーモジュール
2-6、2-7、2-8 開口部又は吐出口
3 流体、液浸溶液
7 循環ポンプ
9 熱交換器
11 引き込み分配管
15 多孔パネル
16 流量制御装置
100 液浸タンク
142 断熱材
161 圧力均等装置
162 油面計
200 外箱
201 外箱屋根
212 固定プレート
218 ヒンジ
221 タンクフィッティング
222 ドレーン配管
251 ガスケット
252 結合部材
290 付属ボックス接近部
【要約】
【課題】筐体と統合された液浸冷却方式のバッテリーシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、液浸方式を適用したバッテリーシステムの欠点を補完し、生産コストの削減、製作の簡便性、メンテナンスの容易さ、効率的な熱管理、及び高い火災安全性を備えた液浸方式と一体化したバッテリーシステムであって、外部環境条件を問わずにバッテリー運転が可能であり、液浸流体の漏れによる周辺環境汚染の防止を考慮した、筐体と統合された液浸方式のバッテリーシステムに関する。
【選択図】図20
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21