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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】ユーザー端末及び探索システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20250124BHJP
   A63B 43/00 20060101ALI20250124BHJP
   G01S 1/68 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A63B71/06 R
A63B43/00 D
G01S1/68
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019104521
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020195669
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 修
(72)【発明者】
【氏名】岸本 進也
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 裕史
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】道祖土 新吾
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-81128(JP,A)
【文献】特開2014-217049(JP,A)
【文献】特開2006-159311(JP,A)
【文献】特開平03-210838(JP,A)
【文献】特開2018-46469(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 57/00
A63B 37/00-47/04
A63B 71/06
G01S 1/68
A63B102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールに備えられた無線通信タグに対し電波を送信し、前記電波を受信することによって生じる電力で電波を送信する前記無線通信タグから送信された電波を受信する通信部と、
ユーザーに画像情報を出力する出力部と、
ゴルフボールに備えられた無線通信タグから受信された電波に応じて前記出力部を制御して画像情報を出力する制御部と、
自装置の現在の位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、ゴルフボールを登録する状態である場合には、前記通信部から送信される電波の強度を、前記ゴルフボールを探索する状態である場合に比べて低い強度に設定し、
前記制御部は、前記ゴルフボールを探索する状態である場合には、前記通信部において受信された前記電波の受信強度と、前記位置取得部によって取得された前記位置情報と、に基づいて、前記位置情報が示す位置における前記ゴルフボールが位置する可能性のある領域を推定する推定処理を行い、前記推定処理を複数の前記位置情報が示す位置において行うことで前記ゴルフボールが位置する可能性のある複数の領域を推定し、複数の領域の全てに含まれる領域を登録された前記ゴルフボールが位置する領域として推定し、
前記制御部は、前記出力部を制御することによって、前記ゴルフボールが位置する領域の推定結果に応じて、前記領域を示す画像情報を出力するユーザー端末。
【請求項2】
前記通信部は、電波を出力可能であり、
前記制御部は、前記無線通信タグから受信された電波の受信強度が高いほどより長い出力周期となるように前記通信部から電波を出力する、請求項1に記載のユーザー端末。
【請求項3】
前記通信部が出力する電波は2.4GHz帯の電波である、請求項2に記載のユーザー端末。
【請求項4】
電波を送信する無線通信タグを備えたゴルフボールと、ユーザー端末と、を備える探索システムであって、
前記ユーザー端末は、
前記ゴルフボールに備えられた無線通信タグに対し電波を送信し、前記電波を受信することによって生じる電力で電波を送信する前記無線通信タグから送信された電波を受信する通信部と、
ユーザーに画像情報を出力する出力部と、
前記ゴルフボールに備えられた無線通信タグから受信された電波に応じて前記出力部を制御して画像情報を出力する制御部と、
自装置の現在の位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
を備え、
前記制御部は、ゴルフボールを登録する状態である場合には、前記通信部から送信される電波の強度を、前記ゴルフボールを探索する状態である場合に比べて低い強度に設定し、
前記制御部は、前記ゴルフボールを探索する状態である場合には、前記通信部において受信された前記電波の受信強度と、前記位置取得部によって取得された前記位置情報と、に基づいて、前記位置情報が示す位置における前記ゴルフボールが位置する可能性のある領域を推定する推定処理を行い、前記推定処理を複数の前記位置情報が示す位置において行うことで前記ゴルフボールが位置する可能性のある複数の領域を推定し、複数の領域の全てに含まれる領域を登録された前記ゴルフボールが位置する領域として推定し、
前記制御部は、前記出力部を制御することによって、前記ゴルフボールが位置する領域の推定結果に応じて、前記領域を示す画像情報を出力する、探索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールを探し出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのプレーヤーは、プレーの最中にクラブの選択、ボールの探索、スコアの管理など様々な作業を並行して行う必要がある。そのためプレーヤーの作業負担を軽減することを目的として、様々なゴルフツールが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ゴルフのプレーでは、ボールを200ヤード以上飛ばすことが頻繁に発生する。ボールが飛んだ後にフェアウェイで止まれば、比較的容易にボールを探し出すことが可能となる。一方、ボールがラフへ飛んでしまうと、その後にボールを探し出すことが困難になることがある。特に、深いラフや林の中へボールが飛んでしまうと、ボールの大凡の位置すら判断が困難になってしまうことがある。このような問題に対し、ボールから匂いを発生させることやボールから光や音を発生させることなどによってボールの探索を容易にする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-338336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゴルフ場には、例えば木や草などの匂いが立ちこめているため、匂いでボールを探し出すことは難しいことが多い。また、ボールが深いラフに入ってしまった場合には、ボールから発せられる光や音を感知することは非常に困難となる。そのため、依然としてゴルフボールをいかに探し出すかという課題は残っている。
上記事情に鑑み、本発明は、より容易にゴルフボールを探し出すことができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ゴルフボールに備えられた無線通信タグから送信された電波を受信する通信部と、ユーザーに情報を出力する出力部と、ゴルフボールに備えられた無線通信タグから受信された電波に応じて前記出力部を制御して情報を出力する制御部と、を備えるユーザー端末である。
【0007】
本発明の一態様は、上記のユーザー端末であって、前記制御部は、前記電波の受信強度に応じて前記出力部による出力態様を決定する。
【0008】
本発明の一態様は、上記のユーザー端末であって、前記無線通信タグは、前記通信部から送信された電波を受信することによって生じる電力で電波を送信し、前記通信部は、電波を出力可能であり、前記制御部は、前記無線通信タグから受信された電波の受信強度に応じて、前記通信部から電波を出力するタイミングを決定する。
【0009】
本発明の一態様は、上記のユーザー端末であって、前記通信部が出力する電波は2.4GHz帯の電波である。
【0010】
本発明の一態様は、電波を送信する無線通信タグを備えたゴルフボールと、ユーザー端末と、を備える探索システムであって、前記ユーザー端末は、前記ゴルフボールに備えられた無線通信タグから送信された電波を受信する通信部と、ユーザーに情報を出力する出力部と、前記ゴルフボールに備えられた無線通信タグから受信された電波に応じて前記出力部を制御して情報を出力する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、より容易にゴルフボールを探し出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の探索システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図2】ユーザー端末20の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3】出力態様テーブルの具体例を示す図である。
図4】出力部24における表示例を示す図である。
図5】ユーザー端末20の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
図6】ユーザー端末20と情報提供装置30とが連携して動作する場合のシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の探索システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。探索システム100は、ゴルフボール10、ユーザー端末20及び情報提供装置30を備える。ゴルフボール10とユーザー端末20とは無線通信を行う。ユーザー端末20と情報提供装置30とは、ネットワーク40を介して通信する。ネットワーク40は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク40は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0014】
ゴルフボール10は、無線通信タグを備える。無線通信タグは、ゴルフボール10の外側に貼られてもよいし、ゴルフボール10の内部に埋め込まれてもよい。無線通信タグは、予め割り当てられた識別情報を記憶している。無線通信タグは、例えばパッシブタイプのICタグやRFID(Radio Frequency IDentification)タグを用いて構成されてもよい。無線通信タグは、例えばパッシブタイプのBluetooth(登録商標)のチップを用いて構成されてもよい。特にパッシブタイプのタグやチップが用いられることによって、ゴルフボール10が電池を備える必要が無くなり、安全性や可用性を向上させることができる。パッシブタイプのICタグやRFIDタグやBluetooth(登録商標)のチップが用いられる場合には、無線通信タグはユーザー端末20から放射された電波を反射することによって識別情報を送信してもよい。ゴルフボール10の識別情報は、固有の情報であることが望ましい。ただし、ゴルフボール10の識別情報は、同一の識別情報が割り当てられたゴルフボール10が同一のラウンドで使用される可能性が非常に低い値(例えば1%以下)となる程度に多数の候補の値の中から一つが選ばれるように構成されてもよい。ゴルフボール10の無線通信タグは、ユーザー端末20との間で無線通信をすることによって、ユーザー端末20に対して識別情報を送信する。
【0015】
ユーザー端末20は、ゴルフボール10の無線通信タグと無線通信する装置である。ユーザー端末20は、ユーザーによって携帯可能となるように重さや大きさが設計された装置である。ユーザー端末20は、例えばスマートフォンやタブレット装置やウェアラブルコンピューター等の、携帯可能な情報処理装置であってもよい。ウェアラブルコンピューターの具体例として、例えばスマートウォッチやスマートグラス等の装置がある。ユーザー端末20は、図2は、ユーザー端末20の機能構成を示す概略ブロック図である。ユーザー端末20は、第1通信部21、第2通信部22、入力部23、出力部24、位置取得部25、記憶部26及び制御部27を備える。
【0016】
第1通信部21は、通信装置を用いて構成される。第1通信部21は、ゴルフボール10の無線通信タグとの間で無線通信する。第1通信部21は、例えばBluetoothのプロトコルにしたがって所定の周波数の電波を出力する。第1通信部21は、例えばRFIDのプロトコルにしたがって所定の周波数の電波を出力する。第1通信部21は、指向性のある電波を出力するように構成されてもよいし、指向性の無い電波を出力するように構成されてもよい。第1通信部21は、ゴルフボール10の無線通信タグがパッシブタイプである場合には、パッシブタイプの無線通信タグと通信可能な装置を用いて構成される。第1通信部21は、例えば2.4GHz帯の周波数帯の電波を用いて通信を行ってもよい。第1通信部21がBluetoothのプロトコルにしたがってゴルフボール10と無線通信する場合には、ゴルフボール10を打つ前に、ゴルフボール10とユーザー端末20との間でペアリングの処理が行われることが望ましい。
【0017】
第2通信部22は、通信装置を用いて構成される。第2通信部22は、ネットワーク40を介して他の通信装置や情報処理装置と通信する。第2通信部22は、例えば情報提供装置30との間でデータを送受信する。
【0018】
入力部23は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部23は、ユーザーの指示をユーザー端末20に入力する際にユーザーによって操作される。入力部23は、入力装置をユーザー端末20に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部23は、入力装置においてユーザーの入力に応じ生成された入力信号をユーザー端末20に入力する。
【0019】
出力部24は、ユーザーに対して情報を通知することができる出力装置を用いて構成される。出力部24は、例えばLED等のランプを用いて構成されてもよい。出力部24は、例えばスピーカーを用いて構成されてもよい。出力部24は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等の画像表示装置を用いて構成されてもよい。出力部24は、振動を出力する装置(バイブレーター)を用いて構成されてもよい。出力部24は、ユーザーに対して情報を通知することが可能であればどのような装置を用いて構成されてもよい。
【0020】
位置取得部25は、ユーザー端末20の現在の位置を示す位置情報を取得する。位置取得部25は、例えばGPS(Global Positioning System)装置を用いて構成されてもよい。位置取得部25は、例えば移動体通信の複数の基地局から受信される信号の受信強度等に基づいて位置情報を取得するように構成されてもよい。この場合、位置取得部25の機能の一部は制御部27に実装されてもよい。
【0021】
記憶部26は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部26は、制御部27の処理に必要となる情報を記憶する。記憶部26は、例えば探索対象テーブルを記憶する。探索対象テーブルは、ユーザーによって探索対象のゴルフボール10の識別情報として登録される1又は複数の識別情報を有する。
【0022】
記憶部26は、例えば出力態様テーブルを記憶する。図3は、出力態様テーブルの具体例を示す図である。出力態様テーブルは、出力態様レコード261を複数有する。出力態様レコード261は、受信強度及び出力態様の値を有する。受信強度は、ゴルフボール10から受信された電波の第1通信部21における受信強度を示す。出力態様レコード261における受信強度の値は、値の範囲を示す情報であってもよい。
【0023】
出力態様は、第1通信部21における受信強度がその出力態様レコード261における受信強度の値の範囲内である場合に、出力部24によって行われる出力の態様を示す。出力態様は、第1通信部21における受信強度の値が高いほど、ボールが近くにあることを示す出力態様として定義される。
【0024】
例えば、出力態様は、出力部24がスピーカーである場合には、出力される音量を示してもよい。この場合、受信強度の値が高いほど大きな音量の音が出力されるように出力態様テーブルが定義されてもよい。出力態様は、出力部24がスピーカーである場合には、出力される音程を示してもよい。この場合、受信強度の値が高いほど高い音程の音が出力されるように出力態様テーブルが定義されてもよい。ただし、出力される音程は、人の耳で十分に聞くことが可能な音程である。出力態様は、出力部24がスピーカーである場合には、出力される音声の種類を示してもよい。例えば、受信強度の値に応じてボールまでの距離の程度を示す音声が出力されてもよい。例えば、受信強度の値が最も高い範囲である場合には「すぐ近くにボールがあります」という人の声が出力され、受信強度の値が中程度の範囲である場合には「近くにボールがあります」という人の声が出力され、受信強度の値が低い範囲である場合には「ボールが近くにあるかもしれません」という人の声が出力され、受信強度が最も低い範囲である場合には「ボールは近くにはありません」という人の声が出力されてもよい。出力態様は、出力部24が画像表示装置を用いて構成される場合には、画像の表示態様を示してもよい。例えば、受信強度の値に応じてボールの画像の大きさが変化して表示されてもよい。
【0025】
出力態様は、出力部24がランプである場合には、ランプから出力される光の明るさを示してもよい。この場合、受信強度の値が高いほど明るい光が出力されるように出力態様テーブルが定義されてもよい。出力態様は、出力部24が複数のランプである場合には、点灯するランプの数を示してもよい。この場合、受信強度の値が高いほど多くのランプが点灯するように出力態様テーブルが定義されてもよい。出力態様は、出力部24が複数のランプである場合には、点灯するランプの位置を示してもよい。この場合、受信強度の値が高いほど、ボールがより近いことを示すランプが点灯するように出力態様テーブルが定義されてもよい。上述した出力態様テーブルの例は、一具体例にすぎない。出力態様テーブルは、どのように定義されてもよい。
【0026】
図2の説明に戻る。制御部27は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部27は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、対象ボール情報登録部271及び探索部272として機能する。なお、制御部27の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0027】
対象ボール情報登録部271は、ユーザーの操作に応じて、ゴルフボール10の無線通信タグの識別情報を探索対象テーブルに登録する。例えば、予め定められている登録操作が入力部23に対してなされることに応じて、対象ボール情報登録部271が登録対象の識別対象の入力を受け付ける状態(以下「登録状態」という。)になってもよい。このような登録状態である間は、対象ボール情報登録部271は、第1通信部21を動作させることによって、通信可能な距離に位置するゴルフボール10の無線通信タグから識別情報を受信してもよい。登録状態である場合には、対象ボール情報登録部271は、第1通信部21から出力される電波の強度を、探索状態である場合に比べて低い強度に設定してもよい。このように構成されることで、ユーザーが登録しようと意図しているゴルフボール10の無線通信タグのみから識別情報を受信することが可能となり、誤ってユーザーが意図しないゴルフボール10の無線通信タグから識別情報を受信して登録してしまうことを防止できる。対象ボール情報登録部271は、登録状態の間に受信された識別情報を、探索対象テーブルに登録する。このように無線通信タグの識別情報を探索対象テーブルに登録する処理は、Bluetoothのペアリングとして実装されてもよい。この場合、上記の登録状態は、Bluetoothのペアリングの接続待機の状態として実装されてもよい。
【0028】
探索部272は、ユーザーの操作に応じて、ゴルフボール10の探索を行う。例えば、予め定められている開始操作が入力部23に対してなされることに応じて、探索部272は探索を行う状態(以下「探索状態」という。)に移行し、探索を開始する。探索状態である場合には、探索部272は、第1通信部21を動作させることによって、通信可能な距離に位置するゴルフボール10の無線通信タグから識別情報を受信する。識別情報が含まれる電波が受信されると、探索部272は、受信された電波の受信強度に応じた出力態様を出力態様テーブルに基づいて決定する。探索部272は、決定された出力態様にしたがって出力部24を動作させる。
【0029】
探索部272は、探索対象テーブルに識別情報が登録されている場合には、探索対象テーブルに登録されている識別情報を含む電波が受信された場合にのみ、出力部24を動作させる。このように構成されることによって、周囲に多くのゴルフボールが存在しているような状況であっても、予め探索対象テーブルに登録されたゴルフボール10についてのみ探索を行うことが可能となり、より容易に所望のゴルフボール10を発見することが可能となる。
【0030】
探索部272は、電波の受信強度と、位置取得部25によって取得される地位情報と、に基づいてゴルフボール10の位置を推定する。例えば、位置取得部25によって取得された位置情報を中心として、受信強度に応じた半径の円の内側の領域が、ゴルフボール10が位置する位置として推定されてもよい。探索部272は、例えば複数の位置における推定結果の領域の全てに含まれる領域を、ゴルフボール10が位置する位置として推定してもよい。探索部272は、推定結果を示す情報を、出力部24を介して出力する。例えば、探索部272は、地図情報を提供する情報提供装置30から地図情報を受信し、その地図情報上に推定結果の位置を重畳させた画面を出力部24に表示させてもよい。
【0031】
図4は、出力部24における表示例を示す図である。図4の例では、出力部24には、ユーザー端末20が位置しているゴルフコースのホール(12番ホール)の地図と、推定された位置(領域)を示す枠241と、ユーザー端末20の位置を示す点242と、が表示されている。図4の例では、枠241は円形であるが、必ずしも円形である必要は無い。上述したように、複数の位置における推定結果の領域の全てに含まれる領域がゴルフボール10の位置として推定される場合には、その領域の形状を示す枠241が表示される。
【0032】
情報提供装置30は、サーバーやパーソナルコンピューター等の情報処理装置を用いて構成される。情報提供装置30は、ネットワーク40を介して他の情報処理装置と通信可能に構成される。情報提供装置30は、ユーザー端末20を用いた探索に関するサービスを提供する。例えば、情報提供装置30は、ユーザー端末20や、ユーザー端末20で動作するアプリケーションを利用可能にするための認証処理やオンラインアクティベーションを行うように構成されてもよい。情報提供装置30は、例えばゴルフ場の地図を提供している他のアプリケーションとの連携を実現するための処理を行ってもよい。このような連携に応じて、情報提供装置30は、ユーザー端末20に対してゴルフ場の地図を示す情報を提供してもよい。
【0033】
図5は、ユーザー端末20の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。制御部27は、ユーザーによって入力部23に対し所定の開始操作がなされるまでは、第1通信部21から電波を出力させずに待機する(ステップS101-NO)。制御部27は、ユーザーによって入力部23に対し所定の開始操作がなされると(ステップS101-YES)、第1通信部21から電波を出力させる(ステップ102)。制御部27は、ゴルフボール10の無線通信タグから送信された電波を受信すると、受信された受信強度を判定する(ステップS103)。制御部27は、受信強度の判定結果に応じて出力態様を決定する(ステップS104)。制御部27は、決定された出力態様で出力部24を制御し出力を行う(ステップS105)。その後に、終了操作がなされるまでは、制御部27は所定の周期でステップS102~ステップS105の処理を繰り返し実行する(ステップS106-NO)。終了操作がなされると(ステップS106-YES)、制御部27は探索状態の処理を終了する。
【0034】
制御部27は、所定の識別情報が含まれる電波が受信された場合にのみ、ステップS105の処理を行うように構成されてもよい。所定の識別情報とは、予めゴルフボール10の無線通信タグの識別情報に用いられている所定のフォーマットの識別情報(例えば最初のn文字に所定の文字列が含まれる識別情報)であってもよい。制御部27は、探索対象テーブルに登録されている識別情報が含まれる電波が受信された場合にのみ、ステップS105の処理を行うように構成されてもよい。
【0035】
このように構成された探索システム100では、ゴルフボール10に予め付与された無線通信タグとの通信に応じてユーザー端末20の出力部24が動作する。そのため、ユーザーは、出力部24による出力に基づいて、目に見えていないゴルフボール10であっても容易にその位置を推定することが可能となる。その結果、ゴルフボール10をより短い時間で探し出すことが可能となる。その結果、ゴルフボール10が見つからないことや他人に自分のゴルフボール10を探して貰うというユーザーの不安な気持ちを軽減することができ、ゴルフのプレーに臨むユーザーのメンタル状態を向上させることができる。
【0036】
また、このように構成された探索システム100では、ゴルフボール10を探索するための装置として、専用装置ではなく、汎用的なユーザー端末20が用いられてもよい。具体的には、普段からユーザーが携帯しているようなスマートフォンやウェアラブルコンピューター等の装置を用いてゴルフボール10を探索することができる。そのため、専用装置が用いられる場合に比べて、ユーザーの負担を軽減し、利便性を向上させることができる。
【0037】
(変形例)
探索部272は、受信強度に応じて第1通信部21による電波の出力周期を可変に制御するように構成されてもよい。例えば、第1通信部21による電波の出力周期は、受信強度が高いほど、より長い出力周期となるように制御されてもよい。このように構成されることによって、まだゴルフボール10の大凡の位置も判明していない状態(受信強度がゼロである状態)では、相対的に短い周期で電波を出力することによって、少しでも早いタイミングで大凡の位置を判明させる事が可能となる。一方、既に探索対象のゴルフボール10からの電波が高い受信強度で受信できている場合には、殆どその位置の目処がたっているため、相対的に長い周期で電波を出力したとしても十分にユーザーはゴルフボール10を探し出すことが可能である。また、相対的に長い周期で電波を出力することによって、消費電力を抑える事が可能となる。
【0038】
探索システム100は、ゴルフボール10及びユーザー端末20を備えるシステムとして構成されてもよい。
【0039】
ユーザー端末20は、出力態様を変えずに1パターンの出力態様のみで構成されてもよい。このように構成されたユーザー端末20を用いた場合であっても、従来よりも容易にゴルフボール10を探し出すことが可能となる。
【0040】
ユーザー端末20の制御部27が行う処理の一部又は全部は、情報提供装置30によって行われてもよい。その場合、ユーザー端末20は受信強度等の情報を情報提供装置30に送信し、情報提供装置30における処理の結果をユーザー端末20が受信するように構成されてもよい。
【0041】
図6は、ユーザー端末20の制御部27が行う処理の一部が情報提供装置30によって行われる場合のシーケンスチャートである。図6の例では、ゴルフボール10の位置はユーザー端末20ではなく情報提供装置30で推定される。
【0042】
ユーザー端末20は、受信強度が得られると、受信強度を示すデータ(受信強度情報)を生成する。ユーザー端末20は、自装置の位置情報を取得する(ステップS202)。ユーザー端末20は、受信強度情報及び位置情報を含む要求情報を生成する。そして、ユーザー端末20は、要求情報を情報提供装置30に送信する(ステップS203)。
【0043】
情報提供装置30は、情報要求を受信すると、情報要求に含まれる位置情報と受信強度とに基づいて、ゴルフボール10の位置を推定する(ステップS204)。このとき、ゴルフボール10の位置は領域として推定されてもよい。情報提供装置30は、ユーザー端末20が位置しているゴルフコースのホールの画像と、ゴルフボール10の位置の推定結果と、を含む応答情報を生成する。そして、情報提供装置30は、応答情報をユーザー端末20に送信する(ステップS205)。
【0044】
ユーザー端末20は、応答情報を受信すると、応答情報に含まれる画像と推定結果とに基づいてゴルフボール10の位置を示す画像を生成する(ステップS206)。そして、ユーザー端末20は、生成された画像を出力部24に表示する(ステップS207)。
【0045】
ゴルフボール10は、1又は複数のセンサーを備えてもよい。例えば、ゴルフボール10は、重量センサーを備えてもよい。重量センサーによって圧力が計測されると、無線通信によって計測結果がユーザー端末20に送信される。ユーザー端末20は、第1通信部21を介して計測結果を受信すると、受信結果に応じてゴルフにおける打数をカウントする。例えば、ショットの際に生じる衝撃によって重量センサーの計測結果が所定の閾値を超えると、ユーザー端末20の探索部272は、1回のショットがあったものとして打数をカウントし、スコアを計数してもよい。その場合、ユーザー端末20と連携する他の装置(例えばゴルフ関連デバイス)が誤検知情報を修正してもよい。また、探索部272は、他の装置によって記録されるパット情報にも基づいて、プレー全体のスコアの記録を行ってもよい。
【0046】
ユーザー端末20の探索部272は、重量センサーの計測結果に基づいて、ショットやスイングの強さを示す情報を判定してもよい。探索部272は、判定結果を出力部24に出力してもよい。ユーザーは、この結果に基づいて、各スイングの良し悪しを判断することができる。一般的にドライバー等の飛ばし系クラブを利用した場合には、値が大きい方がよい。探索部272は、ユーザーのスコアの最高値をランキング形式で記録し表示してもよい。
【0047】
ゴルフボール10は、加速度センサーを備えてもよい。ユーザー端末20の探索部272は、加速度センサーの計測結果に基づいて、ゴルフボール10の動きを判定してもよい。例えば、探索部272は、加速度センサーの計測結果に基づいてゴルフボール10の回転数を判定してもよい。
【0048】
ゴルフボール10は、MCU(Micro Controller Unit)にメモリーを備えてもよい。メモリーは、センサーの計測結果を記録してもよい。
【0049】
探索部272は、センサーの計測結果に基づいて得られる種々の情報を出力部24において出力してもよい。例えば、ゴルフボールの飛距離の要素は「ボール初速」、「打ち出し角」、「バックスピン」であるが、上記3要素についてスイング時に記録し、理想値との差分を出力してもよい。例えば、一説によれば、ボール初速は速ければ速いほど良いし、打ち出し角は12度~14度程度の値が適正といわれており、バックスピンは2200~2500回転が適正といわれている。このような理想値との差分が出力されてもよい。また、左右への過度な曲がりを抑えるために、横回転が500回転以下となっているか否かについて判定し、ユーザーに出力してもよい。
【0050】
ユーザー端末20は、ボールが発見される度にユーザーの入力を受け付けて登録するように構成されてもよい。このように構成されることによって、ボールの打数をプレー後に容易に計数することが可能となる。
【0051】
ユーザー端末20の探索部272は、同一のゴルフボール10との間でBluetoothのペアリングが行われた回数を計数してもよい。探索部272は、この計数結果を、打数として取り扱ってもよい。例えば、探索部272は、あるゴルフボール10との間でペアリングが行われ、他のゴルフボール10との間でペアリングが行われるまでの計数結果を、ゴルフボール10を失う(ロストする)までの打数として判定してもよい。探索部272は、このようなロストするまでの打数の平均値等の統計値を算出してもよい。
【0052】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100…探索システム, 10…ゴルフボール, 20…ユーザー端末, 21…第1通信部、 22…第2通信部、 23…入力部、 24…出力部、 25…位置取得部、 26…記憶部、 27…制御部、 271…対象ボール情報登録部、 272…探索部、30…情報提供装置, 40…ネットワーク
図1
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図6