(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物ならびにその用途および使用
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20250131BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20250131BHJP
C08G 77/50 20060101ALI20250131BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20250131BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
C08L83/07
C08F290/06
C08G77/50
C08K5/00
C08L83/05
(21)【出願番号】P 2019567561
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 US2018037707
(87)【国際公開番号】W WO2018236679
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,プラナベシュ
(72)【発明者】
【氏名】サクセナ,アヌバウ
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】北澤 健一
【審判官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-133073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0244571(US,A1)
【文献】特開平07-082379(JP,A)
【文献】特表平8-511814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
C08F283/01
C08F290/00-290/14
C08F299/00-299/08
C08G77/00-77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式のオルガノポリシロキサン:
【化1】
ここでR
1は、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエンテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロプ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンまたはトリシクロ[4.3.1.1
2,5]ウンデカン環から選択されるC4-C30環状含有炭化水素基を含む二価基から選択され;
R
2は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
R
3-R
14は、水素、C1-C10一価炭化水素基、C6-C20一価芳香族基、およびC4からC30の一価飽和または不飽和シクロアルキル基、1から20個のケイ素原子を含むシロキシ基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1-30であり;
yおよびwは独立して0-30であり;そして
nは1-30であり;ならびに
(B)シリコーンのない、反応性官能基を含む有機材料、を含む硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記のシリコーンのない有機材料(B)は、エチレン性不飽和モノマー、エチレン性不飽和芳香族化合物、エチレン性不飽和酸、エチレン性不飽和無水物、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1の硬化性組成物。
【請求項3】
前記のシリコーンのない有機材料(B)は、オレフィン官能基を含む有機モノマー、アクリル官能基を含む有機モノマー、アクリル官能基を含む有機オリゴマー、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1または2の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記モノマーはアルケニル官能基を含むポリイソブテンから選択される、請求項3の硬化性組成物。
【請求項5】
前記ポリイソブテンはビニル末端ポリイソブテンから選択される、請求項4の硬化性組成物。
【請求項6】
前記有機モノマー(B)は、アルキルアクリレート、アルキレングリコールアクリレート、エポキシアクリレート、アルコキシル化エポキシアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アリールアクリレート、ウレタンアクリレート、アミノ化アクリレート、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択されるアクリル官能基を含む有機モノマーである、請求項2の硬化性組成物。
【請求項7】
前記のアクリル官能基を含む有機モノマーは、2-ブトキシエチルアクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジシクロフェンタニルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、アルキルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アルキルアクリレート、2-ヒドロキシアクリレート、トリメトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、3-フルオロエチルアクリレート、4-フルオロプロピルアクリレート、およびトリエチルシロキシルエチルアクリレート、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項6の硬化性組成物。
【請求項8】
R
2は、ビニル官能基を含むC1-C20炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価C4-C20分岐炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価C4-C30環状炭化水素ラジカルから選択される、請求項1-7のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
R
2は式X-R
16-のものであり、ここでXは、ビニル基(CH
2=CH
2-)、不
飽和環式基、不飽和多環式基から選択される硬化性官能基であり、そしてR
16は結合またはC1-C20二価炭化水素ラジカルである、請求項1-8のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.1
2,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、または4-ビニルシクロヘキシルから選択される、請求項9の硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
(C)架橋剤;(D)反応促進剤;(E)阻害剤;および/または(F)1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1-10のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
前記架橋剤(C)を含み、ここで前記架橋剤は、少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、ビニル基、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、エポキシ、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物から選択される、請求項11の硬化性シリコーン組成物。
【請求項13】
前記反応促進剤は、光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項11または12の硬化性シリコーン組成物。
【請求項14】
前記阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または孤立エン-イン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトライト、ジアジリジン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項11-13のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項15】
前記添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、顔料、染料、充填剤処理剤、可塑剤、スペーサー、増量剤、殺生物剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、抗エージング添加剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、界面活性剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項11-14のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項16】
前記接着促進剤は、アミノシラン、エポキシシラン、イソシアヌレートシラン、メルカプトシラン、イミドシラン、無水シラン、カルボキシレート官能化シロキサン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項15の組成物。
【請求項17】
前記組成物は1.40から1.60の屈折率を有する、請求項1-16のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項18】
前記組成物は95%以上の透明度を有する、請求項1-17のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項19】
前記組成物は10
-1から10g/m
2・日のMVTR、WVTR、O透過性を有する、請求項1-18のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項20】
請求項1-19のいずれかの組成物の硬化により形成されてなる硬化物品。
【請求項21】
前記物品は1.40から1.60の屈折率;95%以上の透明度;10
-1から10g/m
2・日のMVTR、WVTR、O透過性、またはそれらの2つ以上の組み合わせを有する、請求項20の硬化物品。
【請求項22】
前記物品は、カプセル材、光導波路、レンズ、接合材、接着剤、フィルムまたはシート、シートの積層フィルム、コーティング、感圧接着剤、創傷ケアパッチから選択される、請求項20または21の硬化物品。
【請求項23】
前記物品は、電子部品または半導体デバイスとの組み合わせにおける、LEDカプセル材、光導波路、光学レンズ、光学接合材、光学接着剤、光学フィルムまたはシート、シートの積層フィルムから選択される、請求項20-22のいずれかの硬化物品。
【請求項24】
請求項1-19のいずれかの硬化性シリコーン組成物を含むパーソナルケア組成物。
【請求項25】
前記パーソナルケア組成物は、化粧調合物、日焼け止め、シャンプー、コンディショナー、ローション、またはクリームから選択される、請求項24のパーソナルケア組成物。
【請求項26】
請求項1-19のいずれかの組成物を加熱および/またはUV照射条件に付して前記組成物の硬化をもたらすことを含む、硬化物品を形成する方法。
【請求項27】
下記式の化合物であって、
【化2】
ここで、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
12、R
13、およびR
14は、メチル基であり、R
5およびR
11はフェニル基であり;R
1は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン基
を含み;R
2は、メタクリレート基
を含み;
xおよびzは独立して1-30であり;
yおよびwは独立して1-30であり;そして
nは1-30である、化合物。
【請求項28】
前記化合物は下記式のものである、
【化3】
請求項27の化合物;ここでnは1-29である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年6月20日に出願された米国出願第15/627,482号の優先権および利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、硬化性シリコーン組成物に関する。特に、本発明は、オルガノポリシロキサンとシリコーンを含まない有機材料とを含む硬化性シリコーン組成物に関する。硬化性シリコーン組成物を使用して、高屈折率、良好な水蒸気透過性、高い耐熱性、耐亀裂性、および光学的透明度のうちの1つ以上を示し得る硬化材料を形成することができる。硬化性組成物は、シーラント、カプセル材、バリアコーティング層などを含む様々な用途で使用されてもよく、また電子デバイスを含むさまざまな環境で用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽光発電ディスプレイ(OPV)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)など、次世代のフレキシブルプリント電子ディスプレイの多くは、大気中の水蒸気と酸素に非常に敏感であり、ディスプレイデバイスの寿命とその広範な商業化を制限する。
【0004】
野外または湿気に敏感な有機電子デバイスで一般に利用可能な現在のカプセル化技術は、エポキシ接着剤によって基材に固定されたゲッター材料を備えたガラス蓋である。酸化カルシウムまたは酸化バリウムなどのゲッター材料をパッケージに入れて、樹脂硬化プロセスの副産物、またはパッケージに入った、または時間と共にエポキシシールを通じて拡散する残留水と反応させる。ガラスは、水蒸気や酸素の透過性が低いため、カプセル材またはバリア層として広く使用されているが、ガラスカプセル化技術の主な欠点は、結果として得られるデバイスが非可撓性で、剛性になり、可撓性デバイスを求める用途を満足できないことである。
【0005】
可撓性バリアフィルムを開発するためにいくつかの試みがなされてきた。これらには、無機層と有機層が交互に配置された多層システム(多くの場合10層以上)が含まれる。そのようなシステムは、例えば、WO00/36665 A1、WO 01/81649 A1、WO 2004/089620 A2、WO 03/094256 A2、およびWO 2008/057045 A1に記載されている。多層薄膜技術は良好なバリア特性を提供し、電子デバイスへのカプセル化の目的を果たすが、薄膜調製の複雑な性質と高コストは、それらを大面積および大規模製造プロセスで実現可能にしない。したがって、ディスプレイデバイスを早期劣化から保護し、寿命を延ばすことができる改善されたバリア特性を持つ基材を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
以下に、いくつかの態様の基本的な理解を提供する本開示の概要を示す。この概要は、主要または重要な要素を特定することも、実施形態または請求項の制限を規定することも意図していない。さらに、この概要は、本開示の他の部分でより詳細に説明され得るいくつかの態様の簡略化された概要を提供し得る。
【0007】
様々な態様および実施形態によれば、本技術は、オルガノポリシロキサンおよびシリコーンを含まない有機材料を含む硬化性シリコーン組成物を提供する。オルガノポリシロキサンは、ポリシロキサンの主鎖に有機官能基を含む。そのようなオルガノポリシロキサンを含む組成物から形成された硬化材料は、比較的高い屈折率、良好な光学的透明度(例えば、低黄変)、可撓性、耐熱性、耐亀裂抵性、および/または透湿性を示すことが判明した。
【0008】
様々な態様にて、本発明は、薄膜可撓カプセル化技術に適した硬化性組成物を提供し、これは全体的な複雑さを低減するだけでなく、大面積ディスプレイデバイスを製造するために拡張可能で容易に処理可能な高品質バリアフィルムも提供する。
【0009】
本発明は、その態様および実施形態において、低透湿性シロキサン組成物を提供し、これは、有機エレクトロルミネセンス表示装置での使用に適した高屈折率および/または改善されたバリア特性を備えた硬化材料を提供し、それらの寿命を延ばすことができる。一態様では、本発明は、二環式変性シリコーン含有化合物の硬化性組成物を提供し、ここで二環式化合物は、末端位置に、ペンダント基として、および/またはシリコーンポリマーの骨格に存在し得る。二環式変性シリコーン含有化合物を製造する方法、および組成物から硬化材料を製造する方法が開示されている。
【0010】
一態様において、本発明は、
(A)下記式を有するオルガノポリシロキサン
【化1】
ここでR
1は、C1-C20二価炭化水素、C4-C20分岐二価炭化水素、またはC4-C30環状含有炭化水素基から選択される二価有機基であり;
R
2は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
R
3-R
14は、水素、C1-C10一価炭化水素基、C6-C20一価芳香族基、およびC4からC30の一価飽和または不飽和シクロアルキル基、1-20個のケイ素原子を含むシロキシ基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1-30であり;
yおよびwは独立して0-30であり;そして
nは1-30であり;ならびに
(B)シリコーンがない、反応性官能基を含む有機材料
を含む硬化性シリコーン組成物を提供する。
【0011】
硬化性シリコーン組成物の一実施形態において、R1は、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエンテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロプ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環、から選択されるC4-C30環状含有炭化水素基を含む二価の基から選択される。
【0012】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、R2は、ビニル官能基を含むC1-C20炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価C4-C20分岐炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価C4-C30環状炭化水素ラジカルから選択される。
【0013】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、R2は式X-R16-のものであり、Xは、ビニル基(CH2=CH2-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択される硬化性官能基であり、R16は結合または一価炭化水素である。一実施形態では、Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、または(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルから選択される。
【0014】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、有機材料(B)は、ビニル末端ポリイソブテンから選択される。前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、ポリイソブテンは200から約40,000の数平均分子量を有する。前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、ポリイソブテンは900から約3,000の数平均分子量を有する。
【0015】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、硬化性シリコーン組成物は、(C)少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物から選択される架橋剤、(D)光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される反応促進剤、(E)阻害剤、および/または(F)1つ以上の添加剤を含む。
【0016】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、架橋剤(C)は、少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物から選択される。一実施形態では、シリコーン含有化合物は、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、分岐シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0017】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、反応促進剤は、金属含有触媒から選択される。
【0018】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、阻害剤は、エチレン化合物、アセチレン化合物、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0019】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0020】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は1.45から1.51の屈折率を有する。
【0021】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は95%以上、さらには98%を超える透明度を有する。
【0022】
前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は10-1から10g/m2日のMVTR、WVTR、O透過性を有する。
【0023】
一態様では、本発明は、前述の実施形態の硬化性組成物から形成されてなる硬化物品を提供する。
【0024】
一態様では、本発明は、硬化性シリコーン組成物から形成された硬化物品を提供し、前記硬化性シリコーン組成物は、
(A)下記式のオルガノポリシロキサン
【化2】
ここでR
1は、C1-C20二価炭化水素、C4-C20分岐二価炭化水素、またはC4-C30環状含有炭化水素基から選択される二価有機基であり;
R
2は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり、
R
3-R
14は、水素、C1-C10一価炭化水素基、C6-C20一価芳香族基、およびC4からC30の一価飽和または不飽和シクロアルキル基から独立して選択され、
xおよびzは独立して1-30であり、
yおよびwは独立して0-30あり、そして
nは1-30であり、
(B)シリコーンのない、反応性官能基を含む有機材料を含む。
任意にて、組成物は、(C)少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物から選択される架橋剤;(D)光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される反応促進剤;(E)阻害剤;および/または(F)1つ以上の添加剤などの他の成分を含んでもよい。
【0025】
一実施形態では、R1は、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエンテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロプ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4-C30環状含有炭化水素基を含む二価有機基から選択される。
【0026】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、R2官能基は、ビニル官能基を含むC1-C20炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価C4-C20分岐炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価C4からC30環状炭化水素ラジカルから選択される。
【0027】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、R2基は式X-R16-のものであり、ここでXは硬化性官能基であり、そしてR16は結合または一価の炭化水素ラジカルである。一実施形態では、R16はC1-C20アルキレン基;C1-C10アルキレン基;さらにはC1-C6アルキレン基であってもよく、Xは、ビニル基(CH2=CH2-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択されてもよい。
【0028】
一実施形態では、Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシル、から選択される。
【0029】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、架橋剤(B)は、少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物から選択される。
【0030】
一実施形態では、シリコーン含有化合物は、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、分岐シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0031】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、反応促進剤は、金属含有触媒から選択される。
【0032】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、阻害剤は、エチレン化合物またはアセチレン化合物またはそれらの組み合わせから選択される。
【0033】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0034】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、物品は1.45から1.51の屈折率を有する。
【0035】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、物品は95%以上、さらには98%を超える透明度を有する。
【0036】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、物品は10-1から10g/m2日のMVTR、WVTR、O透過性を有する。一実施形態では、組成物から形成されてなる硬化物品は、3g/m2日未満の水蒸気透過性を有する。
【0037】
前述の実施形態の硬化物品の一実施形態では、物品は、電子部品または半導体デバイスとの組み合わせにおける、LEDカプセル材、光導波路、光学レンズ、光学接合材、光学接着剤、光学フィルムまたはシート、シートの積層フィルムから選択される。
【0038】
さらに別の態様では、本発明は、前述の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物を含むパーソナルケア組成物を提供する。一実施形態では、パーソナルケア組成物は、化粧調合物、日焼け止め、シャンプー、コンディショナー、ローション、またはクリームから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、例示的な実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。他の実施形態を利用することができ、構造的および機能的な変更を行うことができることが理解されよう。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりすることができる。そのため、以下の説明は例示のみを目的として提示されており、そして例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替形態および修正形態を決して限定するものではない。本開示では、多数の具体的な詳細は、主題の開示の十分な理解をもたらす。本開示の態様は、必ずしも本明細書に記載されるすべての態様などを含むとは限らない他の実施形態で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示的な」という言葉は、例または実例を意味する。「例」または「例示的」という言葉は、主要なまたは好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という言葉は、文脈からそうでないことが示唆されない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例えば、「AはBまたはCを使用する」という語句には、包括的な置換が含まれる(たとえば、AはBを使用する;AはCを使用する;またはAはBとCの両方を使用する)。別の問題として、冠詞「a」および「an」は、文脈からそうでないことが示唆されない限り、一般に「1つ以上」を意味することを意図している。
【0041】
本技術は、(A)硬化性官能基を含むオルガノポリシロキサン;および(B)シリコーンのない有機材料を含む硬化性組成物を提供する。組成物は、例えば、(C)シリルヒドリド基またはチオール基を含む架橋剤;(D)反応促進剤;(E)阻害剤;および/または(F)その他の添加剤などの他の成分も含み得る。
【0042】
オルガノポリシロキサン(A)は、主鎖の一部内のケイ素原子間に有機官能基を有するシロキサンポリマーを含む。オルガノポリシロキサン(A)は、式(I)の化合物を含み:
【化3】
ここでR
1は、C1-C20炭化水素、C4-C20分岐炭化水素、またはC4-C30環状含有炭化水素基から選択される二価有機基であり;
R
2は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
R
3-R
14は、水素、C1-C10一価炭化水素基、C6-C20一価芳香族基、およびC4からC30の一価飽和または不飽和シクロアルキル基、1-20個のケイ素原子を含むシロキシ基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1-30であり;
yおよびwは独立して0-30であり;そして
nは1-30である。
【0043】
R1は、二価のC1-C20炭化水素または二価のC4-C20分岐二価炭化水素基から選択され得る。二価炭化水素基は、アルカンから2つの水素原子(同じ炭素からの2つの水素原子または2つの異なる炭素原子からの1つの水素原子)を除去することによって形成される基である。適切な二価炭化水素基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、イソプロピレン、イソブチレンなどが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、R1は、C1-C6直鎖または分岐鎖アルキレンから選択される。
【0044】
R1はまた、二価の環状炭化水素基から選択することができる。本明細書で使用される「環状」または「環状含有」炭化水素基は、環状含有アルカンから2個の水素原子を除去することにより誘導される基を示し、ここで(i)両方の水素原子が同じ環炭素から除去されることがあり得、(ii)1つの水素原子が1つの環炭素から除去され、もう1つの水素原子が別の環炭素から除去され、(iii)1つの水素が環炭素から除去され、そして1つの水素が鎖に結合した炭化水素基から除去され、(iv)両方の水素原子が、環状基に接続された炭化水素基の同じ炭素から除去され、または(v)1つの水素が環状基に接続された第1の炭化水素基から除去され、そして1つの水素が環状基に接続された第2の炭化水素基から除去される。
【0045】
環状含有炭化水素における環状基は、単環式炭化水素基であってもよく、多環式炭化水素基であってもよい。適切な単環式炭化水素基の例には、限定されるものではないが、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、またはシクロオクチル基などの3から12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはシクロヘキセニル基などの3から12個の炭素原子を有するシクロアルケニル基が含まれる。実施形態において、単環式炭化水素基は、3から7個の炭素原子を有する単環式炭化水素基である。シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が特に適している。
【0046】
多環式炭化水素基には、環集合炭化水素基および架橋環炭化水素基が含まれる。環集合炭化水素基の例には、ビシクロヘキシル基、ペルヒドロナフタレン基などが含まれる。架橋環式炭化水素環の例には、例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンおよびペルヒドロ-1,4-メタノ-5,8-メタノナフタレン環などの二環式炭化水素環、三環式炭化水素環、および四環式炭化水素環が含まれるが、これらに限定されない。さらに、架橋環炭化水素環には、縮合環炭化水素環、例えば、ペルヒドロナフタレン(デカリン)、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフルオレン、ペルヒドロインデンおよびペルヒドロフェナレン環などの複数の5から8員シクロアルカン環の縮合から生じる縮合環が含まれる。
【0047】
R1基の一部であり得るか、またはR1基を提供し得る4から30の適切な多環式炭化水素基の例には、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
実施形態において、環状含有R1基は、式:R15-A-R15により表され得、ここでR15は結合またはC1-C10一価炭化水素ラジカルであり、Aは環状または多環状炭化水素基である。環式または多環式基Aは、上記の環式または多環式基であり得る。R15基は、同じ環炭素原子または環上の異なる炭素原子に結合し得ることが理解されよう。
【0049】
R
1に適した基の例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
【化4】
【0050】
R1の二価有機基または「アルキレン」型基は、水素の除去に関して記載されているが、R1のアルキレン型基が、触媒(例:Karstedt触媒)の存在下で、所望のR1基を含むジエン(共役または非共役)化合物と適切なシロキサンとの反応によるシロキサン骨格から誘導され、そして組み込まれ得ることが、シリコーン含有材料を形成する当業者には理解されよう。
【0051】
R2は、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシまたはエポキシから選択される硬化性官能基を含む基である。R2は、硬化性官能基を含む一価C1-C20炭化水素ラジカル、硬化性官能基を含む一価C4-C20分岐炭化水素ラジカル、または硬化性官能基を含む一価C4-C30環状炭化水素ラジカルから選択され得る。R2基は、実施形態では、式X-R16-で表され得、ここでXは硬化性官能基であり、そしてR16は結合または一価の炭化水素基である。実施形態では、R16はC1-C20アルキレン基:C1-C10アルキレン基;さらにC1-C6アルキレン基であり得る。Xは、ビニル基(CH2=CH2-)、不飽和環式基、不飽和多環式基などから選択され得る。実施形態では、Xは、シクロペネテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルなどから選択される。
【0052】
適切なR
2またはX基の例には、これらに限定されないが以下が含まれる:
【化5】
【0053】
実施形態では、ポリマーは、ケイ素原子の1つに結合した芳香族基、例えばR3-R14を含む。実施形態では、ポリマー中のR5およびR11基は芳香族基を含む。実施形態では、芳香族基はフェニル基である。特定の理論に拘束されるものではないが、アリール基の存在は、ケイ素原子の移動度を制限するために望ましいことがあり得る。
【0054】
実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)は、多環式基および芳香族基を含む。多環式基は、シロキサン鎖(例えば、R
1)中および末端位置(すなわち、R
2)にあってもよい。実施形態では、ポリマー中のR
5およびR
11基は芳香族基を含む。一実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)は、下記式の化合物である:
【化6】
別の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)は、下記式の化合物である:
【化7】
【0055】
シリコーンのない有機材料(B)は、反応性官能基を有する有機モノマーまたはオリゴマーから選択される。本明細書で使用される場合、反応性官能基は、硬化性官能基とも称され得る。反応性官能基は、エチレン性不飽和モノマー(例えば、アリル、ビニルなど)、エチレン性不飽和芳香族化合物、エチレン性不飽和酸、エチレン性不飽和無水物、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択されてもよいが、これらに限定されない。ビニルエーテルモノマーの非限定的な例には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、4-ヒドロキシブチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-(ジエチルアミノ)エチル、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エチルおよびメチルジグリコールビニルエーテル、対応するアリルアルキルエーテル、およびそれらの組み合わせが含まれる。エチレン性不飽和酸およびエチレン性不飽和無水物モノマーの非限定的な例には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、およびマレイン酸、およびそれらの無水物、モノビニルアジペート、およびそれらの組み合わせが含まれる。オレフィンモノマーの非限定的な例には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキサン、シクロヘキセン、オクタン、1-3ブタジエン、クロロプレン、シクロブタジエン、イソプレン、およびそれらの組み合わせが含まれる。エチレン性不飽和芳香族化合物の非限定的な例には、例えば、スチレン、アルキルスチレン、およびクロロスチレンが含まれる。
【0056】
一実施形態では、有機材料(B)は、官能化イソブチレン化合物から選択される。ポリイソブテンは、少なくとも200の数平均分子量Mnを有し得る。実施形態では、ポリイソブテンは、200から40,000、500から15,000、700から7,000、900から3,000、さらに900から1,100の範囲の数平均分子量Mnを有する。本明細書で使用される「ポリイソブテン」という用語は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、および七量体イソブテンなどのオリゴマーイソブテンも含む。
【0057】
ポリイソブテンの反応性は、反応性官能基の濃度が増加するにつれて増加する。実施形態では、ポリイソブテンは、少なくとも50モル%の反応性官能基;少なくとも60モル%の反応性官能基;さらに少なくとも80モル%の反応性官能基を含む。一実施形態では、ポリイソブテンは、ポリイソブテン高分子の総数に基づいて少なくとも50モル%の末端二重結合;ポリイソブテン高分子の総数に基づいて少なくとも60モル%の末端二重結合、さらに少なくとも80モル%の末端二重結合を含む。末端二重結合は、ビニル二重結合[CH=C(CH3)2](β-オレフィン)またはビニリデン二重結合[CH-C(=CH2)-CH3](α-オレフィン)のいずれかであり得る。実質的にホモポリマーのポリイソブテンラジカルは、均一なポリマー骨格を有し得る。実施形態では、ポリイソブテン系は、反復単位[CH2C(CH3)2-]のイソブテン単位から少なくとも85重量%の範囲、少なくとも90重量%の範囲、さらに少なくとも95重量%の範囲で形成される。
【0058】
ポリイソブテンは、実施形態において、1.05から10、1.05から3.0、さらには1.05から2.0の多分散性指数(PDI)を有し得る。多分散性とは、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(PDI=Mw/Mn)を示す。
【0059】
組成物での使用に適したポリイソブテンには、カチオン重合によって得られるすべてのポリマーが含まれ、そして共重合形態では、少なくとも60重量%のイソブテン、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、さらに少なくとも95重量%のイソブテンを含む。加えて、ポリイソブテンは、共重合形態で、1-または2-ブテンなどのさらなるブテン異性体、およびカチオン重合条件下でイソブテンと共重合可能な異なるオレフィン性不飽和モノマーを含んでもよい。
【0060】
ポリイソブテンの調製に適したイソブテン供給原料には、イソブテン自体およびイソブテンC4炭化水素ストリームの両方、例えばC4ラフィネート、イソブテン脱水素からのC4留分、蒸気分解器からのC4留分、FCCクラッカー(FCC:流動接触分解)が含まれ、但しそれらは、その中に存在する1,3-ブタジエンを実質的に含まない。特に適切なC4炭化水素ストリームは、一般に500ppm未満、好ましくは200ppm未満のブタジエンである。C4留分が出発材料として使用される場合、イソブテン以外の炭化水素は不活性溶媒の役割を担う。
【0061】
イソブテンと共重合可能な有用なモノマーには、スチレンおよびα-メチルスチレンなどのビニル芳香族、2-、3-および4-メチルスチレンなどのC1-C4-アルキルスチレン、および4-tert-ブチルスチレン、2-メチルブテン-1、2-メチルペンテン-1、2-メチルヘキセン-1、2-エチルペンテン-1、2-エチルヘキセン-1および2-プロピルヘプテン-1などの5から10個の炭素原子を有するイソオレフィンが含まれる。
【0062】
組成物に適したポリイソブテンの例には、BASF Aktiengesellschaft製のGlissopal(登録商標)ブランド、例えばGlissopal 550、Glissopal 1000、およびGlissopal 2300、またBASF Aktiengesellschaft製のOppanol(登録商標)ブランド、例えばOppanol B10、B12およびB15が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
別の実施形態では、有機材料(B)は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、またはそれらの組み合わせから選択されてもよい。本明細書で使用する場合、アクリレートモノマーまたはアクリレートオリゴマーは、それぞれ、1つまたは複数のアクリロイル基、1つまたは複数のメタクリロイル基、または1つまたは複数のアクリロイル基および1つまたは複数のメタクロイル基を含むモノマーまたはオリゴマーを指す。一実施形態では、アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アミノ化アクリレートなどであり得る。モノマーおよび/またはオリゴマーは、それらがモノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートなどであり得るように1つ以上のアクリロイルまたはメタクリロイル基を含み得ることが理解されよう。
【0064】
一実施形態では、有機材料(B)はアクリレートモノマーを含むことができる。適切なアクリレートモノマーの例としては、2-ブトキシエチルアクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジシクロフェンタニルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、アルキルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アルキルアクリレート、2-ヒドロキシアクリレート、トリメトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、3-フルオロエチルアクリレート、4-フルオロプロピルアクリレート、およびトリエチルシロキシルエチルアクリレート、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
一実施形態では、有機材料(B)は多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。多官能性(メタ)アクリレートモノマーは飽和または不飽和であり得、そして脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、および/またはエポキシ官能基を含むことができる。いくつかの実施形態では、飽和長鎖アルキル(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート/エポキシモノマー、またはそれらの組み合わせをモノマーとして利用できる。多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、非置換であり得、またはヒドロキシまたはアルコキシ基などの様々な基で置換され得る。
【0066】
例示的な長鎖アルキル(メタ)アクリレートには、これらに限定されないが、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、および水素化ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート樹脂が含まれる。例示的な脂環式(メタ)アクリレートには、これらに限定されないが、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジイルメタクリレート、ペンタメチルピペリジイルメタクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリレート化エポキシが含まれる。
【0067】
市販のアクリレートモノマーの例には、例えば、これらに限定されないが、Eternalcompany製のEM210(登録商標)、EM211(登録商標)、EM221(登録商標)、EM2230(登録商標)、EM231(登録商標)、EM235(登録商標)、EM265(登録商標)、EM70(登録商標)、EM215(登録商標)、EM218(登録商標)またはEM2108(登録商標)の商品名によるアクリレートモノマーが含まれる。
【0068】
別の実施形態では、有機材料(B)はアクリレートオリゴマーを含むことができる。適切なアクリレートオリゴマーの例には、限定するものではないが、約1,000から100,000の分子量を有するものが含まれる。実施形態では、アクリレートオリゴマーは、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルコキシ化(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、アミノ化(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート(メタ)アクリル、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択できる。
【0069】
適切なアクリレートオリゴマーの例には、これらに限定されないが、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートなどのアクリレート;メタクリレート;脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート、脂肪族ウレタンヘキサアクリレート、芳香族ウレタンヘキサアクリレートまたはアクリレート末端ウレタンなどのウレタンアクリレート;ビスフェノールAエポキシジアクリレートまたはノボラックエポキシアクリレートなどのエポキシアクリレート;またはそれらの2つ以上の組合せが含まれる。
【0070】
適切な市販のアクリレートオリゴマーの例には、例えば、これらに限定されないが、Sartomer company製のSR454(登録商標)、SR494(登録商標)、SR9020(登録商標)、SR9021(登録商標)またはSR9041(登録商標);Eternalcompany製の6101-100(登録商標)、611A-85(登録商標)、6112-100(登録商標)、6113(登録商標)、6114(登録商標)、6123(登録商標)、6131(登録商標)、6144-100(登録商標)、6145-100(登録商標)、6150-100(登録商標)、6160B-70(登録商標)、621A-80(登録商標)または621-100(登録商標);およびUCBcompany製のEbecryl 600(登録商標)、Ebecryl 830(登録商標)、Ebecryl 3605(登録商標)またはEbecryl6700(登録商標)の商品名のアクリレートオリゴマーが含まれる。
【0071】
適切なポリエステル(メタ)アクリレートの例には、これらに限定されないが、EBECRYL(登録商標)860(Cytec)などのアクリル化エポキシ化大豆油化合物、EBECRYL(登録商標)870、EBECRYL(登録商標)657、EBECRYL(登録商標)450(Cytec)などの脂肪酸含有ポリエステル(メタ)アクリレート、およびEBECRYL(登録商標)800、EBECRYL(登録商標)884、EBECRYL(登録商標)810およびEBECRYL(登録商標)830(Cytec)などのポリエステル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0072】
適切なエポキシ(メタ)アクリレートの例には、これらに限定されないが、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート(BADGED(M)A)、およびそれらの修飾体(例えば、Cytec製のEBECRYL(登録商標)3700またはEBECRYL(登録商標)600、EBECRYL(登録商標)3701、EBECRYL(登録商標)3703、EBECRYL(登録商標)3708およびEBECRYL(登録商標)3639を参照)が含まれる。適切なウレタン(メタ)アクリレートの例には、これらに限定されないが、EBECRYL(登録商標)284、EBECRYL(登録商標)264、EBECRYL(登録商標)210、EBECRYL(登録商標)230、EBECRYL(登録商標)1290(Cytec)が含まれる。適切なアミノ化(メタ)アクリレートの例には、これらに限定されないが、EBECRYL(登録商標)80、EBECRYL(登録商標)81、EBECRYL(登録商標)83、EBECRYL(登録商標)7100、P115およびその他が含まれる。使用できる適切な(メタ)アクリル(コ)ポリマーの例には、これらに限定されないが、EBECRYL(登録商標)745および/またはEBECRYL(登録商標)1200が含まれる。適切な不活性ポリエステルの例には、これらに限定されないが、EBECRYL(登録商標)525、および任意にてその塩素化変異体(例えばEBECRYL(登録商標)436およびその他)が含まれる。
【0073】
架橋剤(C)は、オルガノポリシロキサン(a)の硬化性官能基と反応する官能基を含む。実施形態では、架橋剤(b)は、Si-H基、S-H基、ビニル基、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシ、エポキシ、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。実施形態では、架橋剤は、Si-HまたはS-H基を含む直鎖シリコーン、分岐シリコーン、または環状シリコーン材料から選択される。所望により、異なる架橋剤化合物の組み合わせを使用できることが理解されるであろう。
【0074】
実施形態において、架橋剤(C)は、シリルヒドリドから選択される。シリルヒドリドは特に限定されない。実施形態において、シリルヒドリドは、式R17
gSiH4-g、(R17O)gSiH4-3、HSiR17
g(OR17)3-g、R17
3Si(CH2)f(SiR17
2O)kSiR17
2H、(R17O)3Si(CH2)f(SiR17
2O)kSiR17
2H、QuTvTp
HDtDH
sMH
rMe、R17
3Si(CH2)hSiOSiR17
2(OSiR17
2)jOSiR17
2H、またはそれらの2つ以上の組み合わせの化合物から選択され得る。R17の各存在は、独立して、C1-C18アルキル、C1-C18置換アルキルであり、ここでR17は任意で少なくとも1つのヘテロ原子を含み、gの各存在は、独立して0から3の値を有し、fは1から8の値を有し、kは0から3000の値を有し、p、u、v、r、およびeはそれぞれ独立して0から20の値を有し、tおよびsは0から3000であり、但しp+s+rは1から1000に等しく、そしてシリルヒドリドのすべての元素の原子価が満たされる。本明細書にて使用される、Mは、式R18
3SiO1/2の単官能基を表し、Dは、式R18
2SiO2/2の二官能基を表し、Tは、式R18SiO3/2の三官能基を表し、Qは、式SiO4/2の四官能基を表し、MHはHR18
2SiO1/2を表し、THはHSiO3/2を表し、そしてDHはR18HSiO2/2を表し;R18の各存在は、独立してC1-C18アルキル、C1-C18置換アルキルであり、ここでR18は任意にて少なくとも1つのヘテロ原子を含み;hは1から8であり、そしてjは0から10である。
【0075】
シリルヒドリドのいくつかの非限定的な例には、メチルハイドロジェンシロキシジメチルシロキサンコポリマー、例えばHMS 501HPM-502、HMS-992、HMS-064などのGelest製のもの、ポリヒドロシルセスキオキサン、およびその他のジメチルシロキサンまたはフェニル含有シロキサンのヒドリド含有コポリマーまたはホモポリマーが含まれる。他の適切なシリルヒドリドには、SYLGARD 184(Midland, MichのDowComing製の市販の二液型シリコーン)に存在するものが含まれ、これは、商用版に通常含まれている熱ヒドロシリル化触媒を含まずに提供される。
【化8】
【0076】
以下の構造は、フェニル官能基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(Tullytown, Pa.のGelest Inc.から入手可能なHDP-111-ヒドリド末端ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン)の一例を示す。
【化9】
【0077】
シリルヒドリド剤の他の例には、Q樹脂が含まれ、これは、HQ型樹脂またはヒドリド修飾シリカQ樹脂とも称され得る。これらの化合物の例には、これらに限定されるものではないが、MQH-9(商標)(Clariant LSM, Inc.)、これは900g/モルの分子量と9.5当量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂であり;HQM 105(商標)(Gelest, Inc.)、これは500g/モルの分子量と8-9等量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂であり;およびHQM 107(商標)(Gelest, Inc)、これは900g/モルの分子量と8-9等量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂であり、の商品名で市販されているものが含まれる。
【0078】
適切なメルカプト官能性シロキサンの例には、これらに限定されないが、Shin-EtsuChemical Co., Ltd.製のKF-2001およびKF-2004、Gelest Inc.製の、SMS-022、SMS-042およびSMS-992、United Chemical Corp製のPS848、PS849、PS849.5、PS850、PS850.5およびPS927、およびMomentive Performance Materials Inc.製のB 7610などの製品が含まれる。
【0079】
架橋剤(C)は、下記式の化合物から選択することもできる;
【化10】
ここでR
19は、C1-C20二価炭化水素、C4-C20分岐二価炭化水素、またはC4-C30環状含有二価炭化水素基から選択される二価有機基であり;
R
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオール、またはR
2から選択される官能基であり;
R
21-R
32は、水素、C1-C10一価炭化水素基、C
6-C
20一価芳香族基、およびC4からC30の一価シクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1-30であり;
bおよびcは独立して0-30であり;そして
mは1-30である。
【0080】
R19は、上記のR1基として適切な任意の基から選択され得、そしてR21-R32は、上記のR3-R14として適切な任意の群から選択され得る。しかしながら、簡潔さのために、それらの群の詳細は繰り返さない。
【0081】
組成物は、オルガノポリシロキサン(A)、有機材料(B)、および架橋剤(C)の硬化をもたらす反応促進剤(D)を含む。反応促進剤(D)は、例えば、光開始剤、熱開始剤、金属触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0082】
実施形態において、反応促進剤は、触媒、例えばヒドロシリル化触媒を含む。有用な触媒には、反応性SiH含有部分または置換基と炭素-炭素二重結合などの炭素-炭素結合との間のヒドロシリル化反応を触媒できる化合物または分子が含まれる。また、1つ以上の実施形態において、これらの触媒は反応媒体内で可溶性であってもよい。触媒の種類には、VIII族金属を含む化合物を含む遷移金属化合物が含まれる。例示的なVIII族金属には、パラジウム、ロジウム、ゲルマニウム、および白金が含まれる。例示的な触媒化合物には、塩化白金酸、元素白金、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸とsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、ジクロロ-ビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、シス-ジクロロ-ビス(アセトニトリル)白金(II)、ジカルボニルジクロロ白金(II)、塩化白金、および酸化白金、Karstedt触媒などのゼロ価の白金金属錯体、[Cp*Ru(MeCN)3]PF6、[PtCl2(シクロオクタジエン)]、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラックなど)に担持された固体白金、白金-ビニルシロキサン錯体(例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)nおよびPt[(MeViSiO)4]m))、白金-ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4およびPt(PBU3)4))、および白金ホスファイト錯体(例えばPt[P(Oph)3]4およびPt[P(Obu)3]4))、ここでMeはメチルを表し、Buはブチルを表し、「Vi」はビニルを表し、Phはフェニルを表し、そしてnおよびmは整数を表す。他のものには、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4などが含まれる。
【0083】
実施形態では、光開始剤を反応促進剤として使用して、シロキサンの硬化を促進してもよい。光開始剤は、特定の目的または意図する用途に応じて選択できる。適切な光開始剤の例には、これらに限定されないが、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アシルホスフィン、およびアセトフェノン誘導体が含まれる。
【0084】
一実施形態では、光開始剤はアシルホスフィンから選択される。アシルホスフィンは、モノまたはビスアシルホスフィンであり得る。適切なアシルホスフィンオキシドの例には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,803,392号に記載されているものが含まれる。適切なアシルホスフィン光開始剤の具体例には、これらに限定されないが、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(ESACURE(登録商標)TPO、LAMBERTIChemical Specialties、Gallarate, Italy)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(FIRSTCURE(登録商標)HMPP、AlbemarleCorporation、Baton Rouge, La.から入手可能)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(LUCIRIN(登録商標)TPO、BASF (Ludwigshafen, Germany)から入手可能)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(LUCIRIN(登録商標)TPO-L)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819、Ciba Specialty Chemicals、Tarrytown, N.Y. から入手可能)、およびビス(2,6-ジ-メトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(Ciba Spezialitaetenchemie製のα-ヒドロキシケトンとの混合物におけるIRGACURE(登録商標)1700、IRGACURE(登録商標)1800およびIRGACURE(登録商標)1850として)が含まれる。
【0085】
α-ヒドロキシケトン光開始剤の例には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(登録商標)184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、および2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(IRGACURE(登録商標)2959)、全てCibaSpecialty Chemicals (Tarrytown, N.Y.)から入手可能、が含まれ得る。
【0086】
α-アミノケトン光開始剤の例には、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE(登録商標)369)および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(IRGACURE(登録商標)907)、両方ともCiba Specialty Chemicals(Tarrytown, N.Y.)から入手可能、が含まれ得る。
【0087】
硬化性組成物は、重合禁止剤(E)を任意選択で含むことができる。重合禁止剤は特に限定されず、特定の目的または使用目的に応じて選択することができる。白金族金属触媒の阻害剤(禁止剤)の成分(E)は、有機ケイ素の技術分野でよく知られている。適切な阻害剤の例には、これらに限定されないが、エチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または孤立のエン-イン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトライト、ジアジリジンなどが含まれる。組成物に特に適した阻害剤は、アルキニルアルコールおよびマレエートである。適切な重合禁止剤の例には、これらに限定されないが、ジアリルマレエート、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどが含まれる。
【0088】
組成物に使用される成分(E)の量は重要ではなく、適度に高い温度、すなわち室温より25から125℃高い温度での前記反応を妨げずに、室温で上記の白金触媒によるヒドロシリル化反応を遅延させる任意の量であり得る。室温で特定の浴寿命を得るための阻害剤の特定の量は示唆することができず、なぜなら、使用される特定の阻害剤の望ましい量は、白金金属含有触媒の濃度と種類、成分aおよびbの性質と量に依存することになるからである。成分(E)の範囲は、0から約10重量%、約0.001重量から2重量%、さらには約0.12から約1重量であり得る。ここで、明細書および請求項の他の部分と同様に、数値を組み合わせて、新しい代替の範囲を形成することができる。一実施形態では、組成物は阻害剤成分(E)を含まなくてもよい。
【0089】
硬化性組成物はまた、他の添加剤(F)を含んでもよい。その他の添加剤には、これらに限定されないが、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤、顔料、染料、充填剤処理剤、可塑剤、スペーサー、増量剤、殺生物剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、抗エージング添加剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、界面活性剤またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0090】
無機基材への様々な有機官能性シランおよびシロキサン接着促進剤は、組成物において有用である。適切なシランには、これらに限定されないが、アミノシラン、エポキシシラン、イソシアヌレートシラン、メルカプトシラン、イミドシラン、無水シラン、カルボキシレート官能化シロキサンなどが含まれる。様々なタイプの接着促進剤の組み合わせも使用され得る。そのような成分は、通常、金属触媒によるヒドロシリル化による硬化を妨げる。適切な接着促進剤には、これらに限定されないが、MomentivePerformance Materialsから入手可能なSilquest(登録商標)A-1120シラン、Silquest A-1110シラン、Silquest A-2120シラン、およびSilquest A-1170シランなどの様々なアミノシラン材料;Silquest A-187シランなどのエポキシシラン;Silquest A-597シランなどのイソシアヌレートシラン;およびSilquest A-189シラン、Silquest A-1891シラン、Silquest A-599シランなどのメルカプトシランが含まれる。
【0091】
硬化性組成物はまた、抗酸化化合物を含んでもよい。抗酸化化合物の適切なクラスの例には、これらに限定されないが、ヒンダードアミンおよび/またはヒンダードフェノール化合物が含まれる。
【0092】
ヒンダードアミン酸化防止化合物の例には、これらに限定されないが、ヒンダードアミン系酸化防止剤(N,N′,N′′,N′′′-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-yl)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N′-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、ジメチルスクシネートおよび4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールのポリマー、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンなど)が含まれる。
【0093】
一実施形態では、抗酸化化合物はヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または用途に応じて選択できる。適切なヒンダードフェノールの例には、これらに限定されないが、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノールなどのモノフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)などのビスフェノール;ならびに高分子フェノール、例えば1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス(4’-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなど)が含まれる。
【0094】
IRGANOX 1330は、BASFから市販されている立体障害のあるフェノール系酸化防止剤(「3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)である。Irganox 1010は、BASFから市販されている立体障害のあるフェノール系酸化防止剤(「ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」)であり、または1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンは、ETHANOX(商標)330 (Albemarle Corporation)として市販されており、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox 3114)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートはIrganox 3114として市販されている。
【0095】
硬化性組成物は、任意にて光安定剤を含むことができる。光安定剤は特に限定されず、特定の用途または使用目的に応じて選択することができる。光安定剤に適した材料の例には、これらに限定されないが、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、tinuvin 622LD、Tinuvin 144、CHIMASSORB 119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744などが含まれる。
【0096】
硬化性組成物は、オルガノポリシロキサン(A)を約5から約98質量%;約10から約90質量%;または約20から約80質量%の量で含むことができる。硬化性組成物は、約2から約95質量%;約10から約90質量%;または約20から約80質量%の量の有機材料(B)を含むことができる。架橋剤(C)は、約2から約25質量%;約6から約20質量%;または約6から約12質量%の量で存在してもよい。反応促進剤(C)は、約0.0001から約0.2質量%;約0.0002から約0.05質量%;または約0.0005から約0.02質量%の量で存在してもよい。阻害剤(D)は、約0.0001から約1質量%;約0.0002から約0.6質量%;または約0.0005から約0.3質量%の量で存在してもよい。接着促進剤は、約0.1から約10質量%;約0.3から約5質量%;または約0.5から約3質量%の量で存在し得る。
【0097】
硬化性組成物は、組成物およびそれから形成される硬化材料を様々な用途で有用にすることができる様々な特性を有する。例えば、硬化性組成物は、約1.40、1.45、1.5、1.55、または1.60より大きい屈折率を有し得る。実施形態では、硬化性組成物は、約1.40から約1.6、または約1.45から約1.55の屈折率を有する。
【0098】
硬化性組成物は、優れた光学的透明度も示し得る。実施形態では、硬化性組成物は、400nmから約800nmで約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、さらには約99%以上の透明度を有する。
【0099】
加えて、組成物の粘度は、意図する用途に必要とされ得る組成物の処理における制御を可能にするために、所望の広範囲の粘度にわたって制御または調整され得る。実施形態では、硬化性組成物の粘度は、約0.2から約43Pa・S、約1から約35Pa・S、約5から約25Pa・S、さらには約10から約20Pa・Sであってもよい。
【0100】
本発明の硬化性有機ケイ素組成物を硬化させることにより、高度の硬度および優れた透明性、耐亀裂性および耐熱性を有する硬化生成物が得られる。硬化条件には特に制限はなく、組成物の量によって異なるが、硬化温度は好ましくは60から180℃の範囲内であり、硬化時間は典型的には0.5から10時間の範囲内である。実施形態では、硬化は約100°Cの温度にて30分で達成できる。硬化は、UV照射への暴露の標準的な手順に従って実行されるUV硬化によっても達成できる。
【0101】
硬化性組成物から形成された硬化材料はまた、様々な用途に望ましい特性を示し得る。実施形態では、硬化性組成物は、約1.40より大きい屈折率を有し得る。実施形態では、硬化性組成物は、約1.40から約1.60;約1.42から約1.58;さらに1.45から約1.50の屈折率を有する。
【0102】
硬化材料はまた、優れた光学的透明度を示し得る。実施形態では、硬化材料の厚さ1mmのシートは、400nmから約800nmにて、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、さらには約99%以上の透明度を有する。
【0103】
硬化材料はまた、水浸後の接着、限界歪み、摩耗、微小押込み試験などを含むがこれらに限定されないさまざまな受け入れられた試験方法に関して評価および理解されている、高い熱安定性および耐亀裂性を示し得る。
【0104】
硬化材料は、良好な水蒸気透過性も示し得る。実施形態では、硬化材料の厚さ1mmのシートは、JISZ0208試験方法で約0.1から約15g/m2・日の水蒸気透過性を有している。これは、水蒸気透過率、水蒸気透過率、酸素透過性(MVTR、WVTR、O透過性)とも称される。水蒸気透過率、水蒸気透過率、酸素透過性は、約0.1から約15g/m2・日;約0.5から約10g/m2・日;約1から約7.5g/m2・日;約2から約5g/m2・日であり得る。一実施形態では、水蒸気透過率、水蒸気透過率、酸素透過性は約10から約15g/m2・日である。ここで、明細書および請求項の他の部分と同様に、数値を組み合わせて、新しい開示されていない範囲を形成することができる。
【0105】
本発明の硬化性オルガノシリコン組成物は、硬化性シリコーン材料、光学素子などの光学デバイス用のカプセル材、半導体素子などの他の電子デバイス用のカプセル材、および電気絶縁コーティング材料として有用である。光学デバイスの例には、LED、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、およびCCDなどの光学素子;およびレンズ、接合材、接着剤、フィルム、シートなどの光学部品が含まれる。硬化材料は、カプセル材、例えばLEDカプセル材として使用されてもよい。電子デバイスの例には、ダイオード、トランジスタ、IC、CPU、メモリ素子などの半導体素子が含まれる。
【0106】
硬化性シリコーン組成物は、化粧品、日焼け止め、シャンプーまたはコンディショナーなどのヘア製品、ローション、クリームなどのパーソナルケア組成物に含めることができるが、これらに限定されない。パーソナルケア組成物には、担体、顔料、フィルム形成剤、乳化剤、ビタミン、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、ワックス、油、溶剤などのさまざまな成分を含めることができる。
【0107】
一実施形態では、パーソナルケア製品は、任意に0から90重量部の顔料を含むことができる。本明細書での使用に適した顔料は、すべて無機および有機の色材/顔料である。これらは通常、アルミニウム、バリウムまたはカルシウムの塩またはレーキである。レーキは、固体希釈剤で増量または減量された顔料か、通常はアルミニウム水和物である吸着表面に水溶性染料を沈殿させることで調製された有機顔料である。レーキは、酸性または塩基性染料からの不溶性塩の沈殿からも形成される。本明細書では、カルシウムおよびバリウムレーキも使用される。適切なレーキには、これらに限定されないが、Red 3アルミニウムレーキ、Red 21アルミニウムレーキ、Red 27アルミニウムレーキ、Red 28アルミニウムレーキ、Red 33アルミニウムレーキ、Yellow 5アルミニウムレーキ、Yellow 6アルミニウムレーキ、Yellow 10アルミニウムレーキ、Orange 5アルミニウムレーキ およびBlue 1アルミニウムレーキ、Red 6バリウムレーキ、Red 7カルシウムレーキが含まれる。パール、酸化チタン、Red 6、Red 21、Blue 1、Orange 5およびGreen 5染料、チョーク、タルク、酸化鉄、およびチタン化雲母などの他の色材や顔料も組成物に含めることができる。
【0108】
パーソナルケア組成物は、任意にて、先行技術で知られている0から99重量部の有機フィルム形成剤を含むことができる。フィルム形成剤は、化粧品として許容されるものであればいかなるものでもよい。有用なフィルム形成剤の例には、天然ワックス、ポリエチレンポリマーなどのポリマー、およびPVPのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ジメチコンゴム、およびシェラック、ポリテルペンなどの樹脂が含まれる。
【0109】
パーソナルケア組成物は、任意にて、0-50重量部の遮断または吸収日焼け止め剤のいずれかを含むことができる。遮断日焼け止め剤は、一般に、さまざまな酸化セシウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色ワセリン、シリコーン処理およびその他の処理二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、および/または酸化ジルコニウム、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3およびSiCなどの無機物である。通常有機種である吸収スクリーニング剤は特に有用である。そのような吸収日焼け止め剤には、これらに限定されないが、一般に紫外スペクトルの320から400nm領域の放射を吸収するUV-A吸収剤、例えば、アントラニレート、ベンゾフェノン、およびジベンゾイルメタン;および一般に紫外スペクトルの280から320nm領域の放射線を吸収するUV-B吸収剤、例えば、p-アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、シンナメート、およびサリチレートが含まれる。有機日焼け止め剤の具体例としては、p-アミノ安息香酸、アボベンゾンシノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パジメート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、トロラミンサリチレート、アミノ安息香酸、アミルジメチルp-アミノ安息香酸、ジエタノールアミンp-メトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチルヘキシルp-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモメンチルサリチレート、ホモサレート、3-イミダゾール-4-イルアクリル酸およびそのエチルエステル、メチルアントラニレート、オクチルジメチルPABA、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸および塩、スルイソベンゾン、トリエタノールアミンサリチレート、N,N,N-トリメチル-4-(2-オキソボルン-3-イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート、アミノベンゾエート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、メチルジイソプロピルシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、ジエタノールアミン4-メトキシシンナメート、3-(4’-トリメチルアンモニウム)-ベンジリデン-ボマン-2-オンメチルサルフェート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、ca-(2-オキソボルン-3-イリデン)-トリル-4-スルホン酸およびその可溶性塩、3-(4’-スルホ)ベンジリデン-ボルナン-2-オンおよびその可溶性塩、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ベンゼン1,4-ジ(3-メチリデン-10-カンホスルホン)酸およびその塩、ウロカニン酸、2,4,6-トリス-(2’-エチルヘキシル-1’-オキシカルボニル)-アニリノール1,3,5-トリアジン、2-(p-(tert-ブチルアミド)アニリノール-4,6-ビス-(p-(2’-エチルヘキシル1’-オキシカルボニル)アニリノール1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{1,4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシル-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、N-(2et4)-(2-オキソボルン-3-イリデン)メチルベンジルアクリルアミドのポリマー、1,4-ビスベンズイミダゾリル-フェニレン-3,3’,5,5’-テトラスルホン酸およびその塩、ベンザルマロネート置換ポリオルガノシロキサン、ベンゾトリアゾール置換ポリオルガノシロキサン(ドロメトリゾールトリシロキサン)、可溶化2,2’-メチレン-ビス-1,6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、および上記の日焼け止め剤の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0110】
パーソナルケア組成物は、限定するものではないが、カラー化粧品、日焼け止め、ヘアコンディショナー、保湿剤などとして使用するために特別に調合することができる。そのような用途に適した形態および調合物は、当業者に知られている。例えば、日焼け止めとして使用するために調合される場合、組成物は、ラメラエマルジョン、マイクロエマルジョン、またはナノエマルジョンの形態であり得る。さらに、エマルジョンは、流体単純エマルジョン、流体多重エマルジョン、硬質単純エマルジョン、または硬質多重エマルジョンであり得る。単純エマルジョンまたは多重エマルジョンは、分散した脂質小胞または油滴を含む連続水相、または分散した脂質小胞または水滴を含む連続脂肪相を含んでもよい。一実施形態では、日焼け止め用途は、連続水相を有するエマルジョンであり、スティック、ローション、ゲル、スプレーなどの形態であってもよい。日焼け止めエマルジョンの形成に適した乳化剤には、例えば、当該技術分野で知られているエトキシル化界面活性剤、例えば、SEPPIC製のPolysorbate-20、Laureth-7、Laureth-4、Sepigel(登録商標)305など、植物油や鉱油などの油;蜜蝋、パラフィン、米ぬか蝋、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋およびそれらの誘導体などの動物および/または合成ワックス;およびGel SS71、Gel EA2786、Quaternium-18Bentonite、38 CE、Gel ISD VまたはGel ISDなどの炭化水素ゲルまたはベントン型ゲル;およびGoldschmidtChemical Corporationから入手可能なセチルジメチコンコポリオール-ポリグリセリル4-イソステアレート-ヘキシルラウレート(ABIL(登録商標)WE 09)、ベヘネートジメチコン、セチルジメチコンコポリオール(ABIL(登録商標)EM 90)、(ABIL(登録商標)EM 97)、ラウリルメチコンコポリオール(5200)、シクロメチコンおよびジメチコンコポリオール(DC 5225 CおよびDC 3225 C)、シクロペンタシロキサンおよびジメチコンコポリオール(SF 1528)などの有機シリコーン乳化剤が含まれる。
【0111】
パーソナルケア組成物は、任意でビタミンまたは皮膚栄養剤を含んでもよい。いくつかの適切な薬剤は、セラミド、ヒアルロン酸、パンテノール、ペプチド(銅ヘキサペプチド-3)、AHA(乳酸)、レチノール(レチニルパルミテート)-ビタミンA誘導体、ビタミンC(l-アスコルビン酸)、BHA(サリチル酸)、茶(緑茶、白茶、紅茶)、大豆およびその他の植物誘導体、イソフラボン(ブドウ種子抽出物)、アルギレリン、アサイベリーである。
【0112】
可塑剤も調合物に添加して、得られる調合物の柔軟性および美容特性を改善することができる。可塑剤は、フィルム形成剤の脆さや割れを避けるために頻繁に使用され、そして例えば、レシチン、ポリソルベート、ジメチコンコポリオール、グリコール、シトレートエステル、グリセリン、およびジメチコンを含む。当業者は、所望の特性および想定される用途に基づいて、所望の可塑剤の量を日常的に変えることができる。
【0113】
本発明の組成物は、適用後に迅速に揮発する揮発性担体などの担体に組み込むことができる。揮発性担体は、揮発性炭化水素、揮発性シリコーン、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0114】
パーソナルケア製品に有用な炭化水素油には、約C8から約C20鎖長、さらにはC8からC20イソパラフィンを有する炭化水素油を含む、60-260℃の範囲の沸点を有するものが含まれる。例には、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエオコサン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3-ジメチルヘキサン、およびそれらの2つ以上の混合物が含まれる。
【0115】
適切な揮発性シリコーン流体には、式(R2SiO)xに対応する3、4および5員環構造を有するシクロメチコンが含まれ、ここでxは約3から約6である。
【0116】
上述したものは、本明細書の例を含む。もちろん、本明細書を説明する目的で考えられるすべての成分または方法論の組み合わせを説明することはできないが、当業者は、本明細書の多くのさらなる組み合わせおよび変更が可能であることを認めるであろう。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、「含む」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲で、そのような用語は、「含む」が請求項における移行句として使用された場合に解釈されるように「含む」という用語と同様の方法で包括的であることを意図している。
【実施例】
【0117】
本開示の態様をここで説明し、そして以下の例に関してさらに理解することができる。例は、例示のみを目的とするものであり、材料、またはプロセスパラメータ、機器、または条件に関して、本明細書に開示された本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0118】
例1:成分(A-1)の調製
成分A-1は、以下の手順に従って作製することができる。
【0119】
分子量3kDを有するノルボルネン末端キャップフェニルメチルシリコーンノルボルネニルエチルブロックコポリマー(A-1)は、以下のスキームに従って合成された:
【0120】
還流冷却器、滴下漏斗および機械的撹拌機を備えた窒素環境下の500mLの三口丸底フラスコに、100mLのトルエンおよび5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(128.7g、1.07mol)を加えた。この溶液に0.289gのKarstedt触媒(15ppmの2wt%Pt)を添加した。反応温度を50℃に維持しながら、セットアップ全体を油浴に保持した。滴下漏斗中の3-フェニル-1,1,3,3,5-ペンタメチルトリシロキサン(257.51g、0.95mol)を1時間かけて滴下した。その後、反応温度を80℃に上げ、すべてのヒドリドが消費されるまで継続した。ヒドロシリル化重合の完了後、未反応の出発物質、揮発性化合物および溶媒を減圧下で除去した。最終生成物が黄色の液体として定量的収率で得られ、活性炭で脱色して、所望の生成物を無色の液体として定量的収率で得た(25℃での粘度:6810mPa.s;GPC:M
n=3.06kD;M
w=4.6kD;PDI=1.5)。
【化11】
【0121】
分子量140kDを有するノルボルネン末端キャップフェニルメチルシリコーンノルボルネニルエチルブロックコポリマー(成分A-2)は、A-1について記載された方法と同様に合成された。
【0122】
簡単に説明すると、500mLの三口丸底フラスコに150mLのトルエンと5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(94g、0.78mol)を加えた。この溶液に、0.225gのKarstedt触媒(15ppmの2wt%Pt)を添加した。滴下漏斗中の3-フェニル-1,1,3,3,5-ペンタメチルトリシロキサン(200g、0.74mol)を、50℃で1時間かけて反応混合物に滴下した。その後、反応温度を80℃に上げ、すべてのヒドリドが消費されるまで継続した。ヒドロシリル化重合の完了後、未反応の出発物質、揮発性化合物および溶媒を減圧下で除去した。最終生成物が黄色の液体として定量的収率で得られ、活性炭で脱色して、所望の生成物を無色の液体として定量的収率で得た(25℃での粘度:14200mPa.s;GPC:M
n=5.2kD;M
w=7.8kD;PDI=1.5)。
【化12】
【0123】
例2;成分(A-2)
以下の式の化合物は、成分A-2として提供される。
【化13】
【0124】
例3-10:硬化性組成物
例3
【0125】
硬化性シリコーン組成物は、43.85質量部のA1、41.5質量部のポリイソブテン(Olissopal1000)、0.025質量部の硬化触媒としての白金-ビニルシロキサン錯体、および0.125質量部の反応阻害剤としてのジアリルマレエートを混合することによって調製された。続いて、得られた混合物に、14.5質量部のポリフェリル-イデメチルヒドロシロキシ)シロキサン架橋剤を添加した。成分の均一な分布が達成されるまで、組成物を高速ミキサーで完全に混合した。次いで、この組成物をガラス板から形成された型に注入して1mmの厚さを生成し、次いで150℃で2時間加熱して硬化生成物を得た。
【0126】
例4
【0127】
硬化性シリコーン組成物は、26.75質量部のシロキサン成分A1、63.6質量部のポリイソブテン(Olissopal1000)、0.025質量部の白金-ビニルシロキサン錯体触媒、および0.125質量部の反応阻害剤としてのジアリルマレエートを混合することにより調製された。続いて、得られた混合物に、9.5質量部の架橋剤としてのポリフェリル-イデメチルヒドロシロキシ)シロキサンの成分を添加した。成分の均一な分布が達成されるまで、組成物全体を高速ミキサーで完全に混合した。次いで、この組成物をガラス板から形成された型に注入して1mmの厚さを生成し、次いで150℃で2時間加熱して、硬化生成物を得た。
【0128】
例5
【0129】
硬化性シリコーン組成物は、33.5質量部のA1、60質量部のポリイソブテン(Olissopal1000)、0.025質量部の白金-ビニルシロキサン錯体触媒、および0.125質量部の反応阻害剤としてのジアリルマレエートを混合することにより調製した。続いて、得られた混合物に、6.35質量部の架橋剤としてのポリフェリル-イデメチルヒドロシロキシ)シロキサンの成分を添加した。成分の均一な分布が達成されるまで、組成物全体を高速ミキサーで完全に混合した。次いで、この組成物をガラス板から形成された型に注入して1mmの厚さを生成し、次いで150℃で2時間加熱して、硬化生成物を得た。
【0130】
例6
【0131】
硬化性シリコーン組成物は、25.9質量部のA1、60質量部のポリイソブテン(Olissopal1000)、0.025質量部の白金-ビニルシロキサン錯体触媒、および0.125質量部の反応阻害剤としてのジアリルマレエートを混合することにより調製した。続いて、得られた混合物に、10.35質量部の架橋剤としてのヒドリド修飾MQ樹脂(MQH-9)の成分を添加した。成分の均一な分布が達成されるまで、組成物全体を高速ミキサーで完全に混合した。次いで、この組成物をガラス板から形成された型に注入して1mmの厚さを生成し、次いで150℃で2時間加熱して、硬化生成物を得た。
【0132】
例7
【0133】
硬化性シリコーン組成物は、29.9質量部のコポリマーA-2、59.9質量部のマルチアクリレート(Ebecryl745)、5質量部のイソボルニルアクリレートおよび5質量部の2-エチルヘキシルアクリレートを混合することによって調製された。続いて、得られた混合物に放射線硬化性開始剤0.2質量部を添加した。成分の均一な分布が達成されるまで、組成物全体を高速ミキサーで完全に混合した。次に、組成物を型に注ぎ、紫外線(金属ハロゲン化物、3000mJ/cm2)にさらして、厚さ1mmの硬化生成物を形成した。
【0134】
例8
【0135】
例7に示す組成物と同様に、59.9質量部のコポリマーA-2、29.9質量部のマルチアクリレート(Ebecryl745)、10質量部のイソボルニルアクリレートおよび0.2質量部の放射線硬化性開始剤の添加により、硬化性組成物を調製した。組成物をUV照射下で硬化させることにより、1mmの硬化シートが得られた。
【0136】
例9
【0137】
例7に示す組成物と同様に、49.9質量部のコポリマーA-2、9.9質量部のマルチアクリレート(EM221)、20質量部のイソボルニルアクリレート、20質量部の2-エチルヘキシルアシレートおよび0.2質量部の放射線硬化性開始剤の添加により、硬化性組成物を調製した。例8で前述したように、紫外線下で組成物を硬化させることにより、1mm硬化シートが得られた。
【0138】
例10
【0139】
例4に示す組成物と同様に、39.9質量部のコポリマーA-2、49.9質量部のC1、10質量部のイソボルニルアクリレート、および0.2質量部の放射線硬化性開始剤の添加により、硬化性組成物を調製した。例8で前述したように、紫外線下で組成物を硬化させることにより、1mm硬化シートが得られた。
【0140】
性能評価
例から得られた硬化シートの特性を以下の方法により評価した(1mm)。結果は表1に要約されている。
【表1】
【0141】
硬化性組成物の粘度は、HAAKE RheoStress 600を使用して25℃で測定した。
【0142】
外観に関する情報を得るために、各例の硬化シートを視覚的に検査した。
【0143】
硬化したシートの透明度を分光光度計で測定した(Gretag Macbeth Color Eye7000A 分光光度計)。
【0144】
硬化物品の水蒸気透過性(WVTR)は、方法JIS Z 0208に従って、Yasuda Seiki Seisakusho製の透過性カップテスターを使用して評価された。
【表2】
【0145】
表2に示すように、硬化性組成物から得られた硬化生成物は優れた特性を示した。生成物は無色透明で、高度な可撓性も示した。さらに、この生成物は、熱と光にさらされると着色に対する耐性も示したため、カプセル材およびバリア接着剤としての光電子用途への適用性が示された。
【0146】
前述の説明は、ヒーターアセンブリのさまざまな非限定的な実施形態を特定する。修正は、当業者および本発明を作成および使用し得る者に生じ得る。開示された実施形態は、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図したものではない。