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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250124BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/00 L
H04N1/04 106A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021039377
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139131
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】大和久 剛志
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-011359(JP,A)
【文献】特開2001-103303(JP,A)
【文献】特開2017-017659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るスキャナユニットと、
読み取られた各頁の画像について頁毎の画像の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行う画像処理ユニットと、
画像処理された各頁の画像をプレビュー表示する表示デバイスと、
前記画像処理の設定およびプレビューの指示を受付ける操作検出デバイスと、
前記プレビューの指示に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記画像処理に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出し、抽出された頁を先頭に表示させ、続いて全頁あるいは残りの頁のプレビュー画像を頁順に表示させる制御部とを備える画像読取装置。
【請求項2】
複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るスキャナユニットと、
読み取られた各頁の画像について頁毎の画像の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行う画像処理ユニットと、
画像処理された各頁の画像をプレビュー表示する表示デバイスと、
前記画像処理の設定、判定ミス確認の指示、および全画像確認の指示を受付ける操作検出デバイスと、
前記判定ミス確認の指示に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記画像処理に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出し、先頭に判定ミスの虞がある頁を表示させそれに続いて全頁あるいは残りの頁のプレビュー画像を頁順に表示させ、前記全画像確認の指示を受け付けた場合は、頁順に全頁のプレビュー画像を表示させる制御部とを備える画像読取装置。
【請求項3】
前記判定の確度は、前記特性の判定に用いるために画像から抽出した特徴量と判定に用いる閾値との距離として算出され、
前記制御部は、算出された距離が予め定められた基準値に満たない頁の読取画像をプレビュー表示させる請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記特性に係る頁毎の判定が、カラーかモノクロかの判定、ブランクか否かの判定、上下の方向に係る判定、サイズの判定に係る判定の少なくとも何れかである請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は前記操作検出デバイスを介して、プレビュー表示した頁の何れかのユーザーによる指定および指定された頁に係る判定の修正を受け付け、修正された画像をプレビュー表示させて判定の修正または承認を受付け、承認を受けた画像を読取画像として出力または印刷する請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
制御部が、
画像処理の設定を受付けるステップと
スキャナユニットを制御して複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るステップと、
読み取られた各頁の画像について頁毎の画像の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行うステップと、
プレビューの指示を受付けるステップと
前記プレビューの指示に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記画像処理に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出し、前記確度が前記基準に満たない頁を先頭に表示し、続いて全頁あるいは残りの頁のプレビュー画像を頁順に表示するステップとを備える画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿を読み取ってプレビューする機能を備えた画像読取装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿送り装置等を用いて複数頁の原稿を読み取って画像処理を施した後に、データとして出力したり印刷したりする画像読み取り装置が知られている。例えば、オフィス用の複合機ではA4サイズの片面印刷原稿を毎分100頁(両面印刷原稿であれば毎分200頁/分)の速さで読み取る能力を備えたものもある。
【0003】
それらの画像読取装置は、読み取った原稿を出力する前に、仕上がり状態を操作画面上で確認できるようにプレビュー機能を備えたものが多い。しかし、読み取る原稿の面数が多いと、読み取られた原稿画像の色、サイズ等がユーザーの望む状態になっているかを1頁ずつプレビュー画面上で確認するのに時間を要し、ユーザーにとって煩雑な作業になる。その結果、ユーザーの注意が散漫になりがちであり、特に似た画像の原稿が多い場合、要修正の頁を見落としてしまうリスクが増大する。
そこで、文字、写真、文字写真混在等原稿画像の種別を頁毎に判別して画像処理を施す画像処理装置において、一の原稿種別と判定された頁のみをプレビューする機能が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-258798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法は、特定の判定結果を得た頁のみをプレビューする機能であるが、誤って判定された頁を修正することを目的としてプレビューする場合は、誤判定された頁がどの判定結果に属することになったかを捜し出さなければ、その頁をプレビュー確認できないという側面がある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、誤った特性に判定された原稿の頁を修正するために、誤判定の可能性が高い頁に絞り込んだプレビューが可能な画像読取装置および画像読取方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るスキャナユニットと、読み取られた各頁の画像について頁毎の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理された各頁の画像をプレビュー表示する表示デバイスと、前記特性に関連した抽出条件の設定を受付ける操作検出デバイスと、設定された抽出条件に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記特性に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出してプレビュー表示させる制御部とを備える画像読取装置を提供する。
【0007】
また、異なる観点からこの発明は、制御部が、スキャナユニットを制御して複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るステップと、読み取られた各頁の画像について頁毎の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行うステップと、前記特性に関連した抽出条件の設定を受付けるステップと、設定された抽出条件に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記特性に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出してプレビュー表示させるステップとを備える画像読取方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明による画像読取装置は、設定された抽出条件に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記特性に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出してプレビュー表示させる制御部を備えるので、誤った特性に判定された原稿の頁を修正するために、誤判定の可能性が高い頁に絞り込んだプレビューが可能である。
この発明による画像読取方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この実施形態における画像読取装置の一態様として、複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示す複合機の全体構成を示すブロック図である。
図3図2に示す画像処理ユニットの詳細を示すブロック図である。
図4A】実施の形態1において、画像読み取り処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図4B】実施の形態1において、画像読み取り処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図5】実施の形態1において、プレビュー表示を行わせる操作の例を示す説明図である。
図6図5に示す操作の結果として抽出された頁がプレビュー表示される例を示す説明図である。
図7図6に示すプレビュー表示から、カラー/モノクロ判定の修正を行う操作の例を示す説明図である。
図8図6に示すプレビュー表示から、ブランク判定の修正を行う操作の例を示す説明図である。
図9図6に示すプレビュー表示から、上下判定の修正を行う操作の例を示す説明図である。
図10図6に示すプレビュー表示から、頁サイズ判定の修正を行う操作の例を示す説明図である。
図11A】実施の形態2において、画像読み取り処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図11B】実施の形態2において、画像読み取り処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図12A】実施の形態2において、判定項目を指定して絞り込まれた頁のプレビュー表示を行わせる操作の例を示す第1の説明図である。
図12B】実施の形態2において、判定項目を指定して絞り込まれた頁のプレビュー表示を行わせる操作の例を示す第2の説明図である。
図13】実施の形態3において、抽出された頁がプレビュー表示される例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
≪画像読取装置の構成≫
まず、この実施形態における画像読取装置について述べる。
図1は、この実施形態における画像読取装置の一態様として、複合機の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す複合機の全体構成を示すブロック図である。
図2のブロック図に示すように、複合機100は、制御部11、記憶デバイスとしてのメモリ13、印刷ユニット14、スキャナユニット15、操作ユニット19、画像処理ユニット40および通信回路24を備える。
操作ユニット19は、操作検出デバイスとしてのタッチパネルユニット19tおよび表示デバイス19dを含む。制御部11は、操作認識部11o、表示制御部11D、ジョブ制御部11Jおよび文字認識処理部11Cを含む。
【0011】
図1に示すように、操作ユニット19は、複合機100の筐体上に設けられる。
タッチパネルユニット19tは、表示デバイス19dの表示画面に対するユーザーの操作を検出する。操作認識部11oは、タッチパネルユニット19tが検出する操作の信号を認識して表示デバイス19dに表示された画面の何れの要素に対する操作がなされたかを認識する。
表示デバイス19dは、例えば、液晶ディスプレイ装置で構成される。表示デバイス19dは、表示制御部11Dの制御に従った画面を表示する。
【0012】
ジョブ制御部11Jは、操作認識部11oが認識した操作や、複合機100の状態に基づいて表示制御部11Dが表示デバイス19dに表示させるべき内容を決定し、また、その内容を更新する。
さらに、ジョブ制御部11Jは、スキャナユニット15および印刷ユニット14に配置された図示しないセンサーが検出した状態を認識する。そして、スキャナユニット15および印刷ユニット14に配置された図示しないモータ、アクチュエータ、デバイス等の動作を制御する。また、画像処理ユニット40の画像に係る処理を制御して、原稿の画像の読み取り、印刷およびプレビューを行う。
【0013】
文字認識処理部11Cは、メモリ13に格納された原稿の画像に対する文字認識やレイアウト認識の処理を行う。
制御部11は、具体的な構成態様として、例えばCPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unitを中心に構成される。以下この明細書でCPU、MPUを総称してプロセッサと呼ぶ。プロセッサに加えて、メモリ、入出力インターフェース回路、タイマ回路等のハードウェア資源で構成される。前記プロセッサがメモリに格納された制御プログラムを実行することによって操作の認識、表示の制御、原稿画像の読取りや画像の印刷等に係る各種のジョブ、言い換えると画像形成に係る一連の処理が実現される。
【0014】
メモリ13は、プログラム機能に係る機能設定を格納する不揮発性メモリを備える。不揮発性メモリを構成するハードウェアの一例として、フラッシュメモリが挙げられる。メモリ13が、制御部11に含まれてもよい。即ち、制御部が備えるメモリと一体に構成されてもよい。前述のプロセッサは、制御部11が備えるメモリあるいはメモリ13に格納された制御プログラムに従って処理を実行し、複合機100の制御を行う。即ち、ソフトウェア資源とハードウェア資源とが協働して制御部11としての機能が実現される。
【0015】
制御部11と印刷ユニット14、制御部11とスキャナユニット15とはそれぞれデータ転送可能に接続されている。
通信回路24は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うための回路である。
図1に示すように、複合機100は、原稿搬送ユニット16を備える。また、原稿搬送ユニット16に隠れて図1に図示しない原稿台を備える。
スキャナユニット15は、ジョブ制御部11Jの制御下で原稿の画像を読取って、RGB(レッド、グリーンおよびブルー)のカラー画像信号(RGBアナログ信号)に変換する。即ち、コピー、ファックスおよびスキャナーのジョブにおける画像読取の処理を実行する。
画像処理ユニット40は、スキャナユニット15が出力する画像信号に基づいて画像データを生成する。あるいは、通信回路24を介して受信した印刷データに基づいて印刷用の画像データを生成する。そして、生成された画像データは、印刷ユニット14で印刷され、あるいは通信回路24を介して外部の機器へ送信される。
【0016】
図1に示すように、複合機100は、用紙トレイ17a、17bおよび排出トレイ18a、18bおよび18cを備える。
用紙トレイ17aは、各種サイズのシートを個別に収容する。用紙トレイ17bは手差しトレイであって、ユーザーが簡便に用紙を交換できるように用紙を置く部分が露出している。
図1および図2に図示しない給紙機構は、ジョブ制御部11Jの制御下で、選択された用紙トレイ17aまたは17bにセットされたシートを印刷ユニット14へ搬送する。
印刷ユニット14は、ジョブ制御部11Jの制御下で、用紙トレイ17aまたは17bから給送されたシートに、指定された画像データを印刷する。印刷に係るジョブは、例えばプリンターとしてのプリントジョブ、コピアとしてのコピージョブあるいはファックス受信に係るファクシミリ受信ジョブ等が挙げられる。
図1および図2に図示しない排紙機構は、ジョブ制御部11Jの制御下で、印刷ユニット14で印刷されたシートを選択された排出トレイ18a、18bおよび18cの何れかへ排出する。
【0017】
≪画像処理ユニットの構成≫
続いて、読み取られた原稿の各頁の画像に対して画像処理を行う画像処理ユニット40について述べる。
図3は、図2に示す画像処理ユニットの詳細を示すブロック図である。
この実施形態において、画像処理ユニット40は、画像データ(画像信号)に対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成される。画像処理ユニット40は、図3に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部42、シェーディング補正部43、入力処理部44、原稿種別自動判定部45、領域分離処理部46、圧縮部47、領域分離信号圧縮部48の各ブロックを含む。さらに、復号部49、領域分離信号復号部50、画質調整部51、色補正部53、黒生成/下色除去部54、空間フィルタ部55、変倍部56、出力階調補正部57、中間調生成部58の各ブロックを含む。画像処理ユニット40の各ブロックにて実行される処理の内容を、コピージョブの読み取り動作を例に説明する。コピージョブは、原稿を読み取って印刷するジョブである。
【0018】
A/D変換部42は、スキャナユニット15から送られてくるカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部43は、A/D変換部42から送られてきた画像データに対して、スキャナユニット15の照明、光学系、撮像回路で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部44は、シェーディング補正部43より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してガンマ補正処理などの階調変換処理を施すブロックである。
【0019】
原稿種別自動判定部45は、入力処理部44にてガンマ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、スキャナユニット15で読み取られた原稿の種別の判定を行う。判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。文字原稿、印刷写真原稿、文字印刷写真原稿等の判定は、原稿種別自動判定部45の原稿種別判定部45aにより行われる。また、図3に示すように、原稿種別自動判定部45は、上記原稿種別判定部45aに加えて、原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるかの判定を行う処理である自動カラー判定処理(ACS:Auto Color Selection)を行うカラー/モノクロ判定部45bとブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理を行うブランク原稿判定部45cとを備えている。そして、原稿種別自動判定部45から出力されるRGBの画像データが、領域分離処理部46および圧縮部47に入力するようになっている。さらに、カラー/モノクロ判定部45bによる判定結果を示すカラー/モノクロ判定信号、原稿自動判定部45aによる判定結果を示す原稿種別判定信号、およびブランク原稿判定部45cによる判定結果を示すブランク原稿判定信号が、領域分離処理部46および圧縮部47に入力するようになっている。
【0020】
領域分離処理部46は、原稿種別自動判定部45から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、その画素がどのような画像領域に分類されるのかを判定し、この判定結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部46において判定される画像領域には、黒文字領域,色文字領域,網点領域等がある。
【0021】
圧縮部47は、原稿種別自動判定部45から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
【0022】
領域分離信号圧縮部48は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部48における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Read)方式、MR(Modified Read)方式に基づいて行われる。
【0023】
制御部11は、圧縮部47から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部48から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを関連づける。さらに、カラー/モノクロ判定信号およびブランク原稿判定信号に基づいて生成される原稿種別データを関連づけてメモリ13に一旦保存し、ファイリングデータとして管理する。ここで、本実施形態における原稿種別データは、カラー/モノクロ判定信号およびブランク原稿判定信号に基づいて生成されるが、原稿種別データは、カラー/モノクロ判定信号、ブランク原稿判定信号、および原稿種別判定信号の少なくとも1種類の信号に基づいて生成されるものであればよい。そして、制御部11は、コピー出力動作が指示された場合、メモリ13から上記の符号化コードおよび当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部49、領域分離信号復号部50にそれぞれ引き渡す。なお、原稿種別データがブランク原稿を表わす場合には上記読み出しを行わない。すなわち、この原稿は印刷または出力されないことになる。
【0024】
なお、制御部11は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部11は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
【0025】
復号部49は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部50は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部54、空間フィルタ部55、中間調生成部58に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部54、空間フィルタ部55、中間調生成部58においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
【0026】
画質調整部51は、復号部49から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部51は、ユーザーによって操作ユニット19のタッチパネルユニット19tから入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
【0027】
さらに、画質調整部51は、白黒モードが選択されている場合、または自動判定モードにおいてモノクロ原稿と判定された場合、RGBの画像データを、K(ブラック)単色の画像データに変換する処理を行う。
【0028】
つまり、フルカラーモードの場合、または自動判定モードにおいてカラー原稿と判定された場合の画質調整部51からの出力は、図3に示されるように、RGBの画像データとなる。一方、白黒モードが選択されている場合、または自動判定モードにおいてモノクロ原稿と判定された場合の画質調整部51からの出力は、RGBに代えてKの画像データとなる。
【0029】
色補正部53は、フルカラーモードの場合、または、自動判別モードにおいてフルカラー原稿であると判定された原稿について、RGBの画像データをCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施すブロックである。なお、上記の色補正処理は、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0030】
また、色補正部53は、白黒モードの場合、または自動判別モードにおいてモノクロ原稿と判定された場合には、Kの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部54へ引き渡す(スルーする)。
【0031】
黒生成/下色除去部54は、フルカラーモードの場合、または自動判別モードにおいてカラー原稿と判定された場合には、色補正部53から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う。また、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行う。これにより、フルカラーモードの場合、または自動判別モードにおいてカラー原稿と判定された場合、図3に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部54によってCMYKの4色の画像データに変換される。
【0032】
また、黒生成/下色除去部54は、白黒モードの場合、または自動判別モードにおいてモノクロ原稿と判定された場合、色補正部53から出力されたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部55へ引き渡す(スルーする)。
【0033】
なお、フルカラーモードが選択されている場合、または自動判別モードにおいてフルカラー原稿であると判定された原稿については、黒生成/下色除去部54の出力、および、黒生成/下色除去部54よりも後段の各ブロックの入出力は、図3のように、CMYKの画像データとなる。しかし、白黒モードまたは自動判別モードにおいてモノクロ原稿であると判定された原稿については、黒生成/下色除去部54の出力、および、黒生成/下色除去部54よりも後段の各ブロックの入出力は、図3とは異なり、Kの画像データとなる。
【0034】
空間フィルタ部55は、黒生成/下色除去部54より出力されるCMYKまたはKの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部55では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
変倍部56は、操作ユニット19を介してユーザーによって入力される変倍操作(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
【0035】
出力階調補正部57は、変倍部56から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力ガンマ補正処理を行うブロックである。中間調生成部58は、誤差拡散法やディザ法を用いて、印刷ユニット14において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するものである。
そして、中間調生成部58から出力されるCMYKまたはKの画像データは印刷ユニット14に引き渡され、印刷ユニット14は、当該画像データの画像をシート上に印刷する。
以上が、読み取った原稿を印刷するコピーモードにおける画像処理の説明である。
【0036】
これに対して、例えばコピージョブで印刷対象の画像をプレビュー表示する場合、画像処理ユニット40は、スキャナユニット15で読み取った画像を操作ユニット19の表示デバイス19dへ出力するための画像処理を行う。
各ブロックにおける処理の内容は、概ねコピアジョブと同様であるが、色補正部53は、入力されたRGBの画像データを表示デバイス19dの色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
以降の各ブロックは、図3に示すCMYKの画像データに代えて、R’G’B’の画像データに対する処理を表示デバイス19dの特性(解像度、階調特性他)に合わせて行う。なお、中間調生成部58は何も処理を行わずに画像データを出力する(スルーする)。この実施形態におけるプレビュー表示では、誤差拡散法やディザ法を用いた階調再現処理は行わない。
【0037】
また、文字認識処理を行う場合、画像処理ユニット40から出力される画像データをメモリ13に格納し、格納された画像データに対して文字認識処理部11Cが頁毎にレイアウトおよび文字を認識する処理を行う。認識された文字の上下の方向に基づいて、頁の上下の方向を判定する。また、認識された文字の並びに基づいて、画像の傾きを判定してもよい。
【0038】
≪抽出された頁のプレビュー表示および誤判定修正の処理≫
図4Aおよび図4Bは、この実施の形態において、ジョブ制御部11Jとして制御部11が実行する画像読み取り処理の流れを示すフローチャートである。図5図10は、操作ユニット19に対する操作の例を示す説明図である。
まず、図4Aおよび図4Bのフローチャートを用いて、この実施形態における画像読み取りの処理について全体の流れを説明する。
【0039】
操作認識部11oとして制御部11は、図5に示すコピー基本画面70で、原稿の読み取りを伴うジョブの設定を受付ける。そして、[判定ミス確認]キー71がタッチされたか否かを調べる(図4AのステップS11参照)。
ジョブの設定がなされて[判定ミス確認]キー71がユーザーの手指Fによってタッチされた場合(ステップS11のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、スキャナユニット15に、原稿を1頁ずつ読み取らせる。そして、各頁の画像に対して設定されたジョブに応じた画像処理を画像処理ユニット40に行わせる(ステップS21)。すべての頁を読み取り終えたら(ステップS23のYes)、読み取った各原稿の頁の中で、画像処理に係る誤判定の可能性が高い頁の読取画像を表示デバイス19dにプレビュー表示させる(ステップS25)。表示されるプレビューの画面およびプレビュー表示後の処理については後述する。
【0040】
前述のステップS11の判定で、[判定ミス確認]キー71がタッチされていない場合、続いて操作認識部11oとして制御部11は、コピー基本画面70の[全画像確認]キー72がタッチされたか否かを判定する(ステップS31)。[全画像確認]キー72がタッチされた場合(ステップS31のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、スキャナユニット15に、原稿を1頁ずつ読み取らせ、各頁の画像に対して設定されたジョブに応じた画像処理を、画像処理ユニット40に行わせる(ステップS33)。すべての頁を読み取り終えたら(ステップS35のYes)、読み取った各原稿の頁を表示デバイス19dにプレビュー表示させる(ステップS37)。その後の処理については後述する。
【0041】
なお、図5に示す操作画面の例では、プレビューに係る選択肢として[判定ミス確認]キー71と[全画像確認]キー72の2つを提示している。即ち、判定ミスの虞がある頁のみかあるいは全頁のプレビューを行う選択肢がユーザーに提供されている。異なる態様として、図5に示す[判定ミス確認]キー71および[全画像確認]キー72の2つの操作キーに代えて、[プレビュー]キーを提示することが考えられる。その場合、制御部11は、図6に示すプレビューの一覧表示の先頭に判定ミスの虞がある頁を表示させ、それに続いて全頁あるいは残りの頁のプレビュー画像を頁順に表示させる様にしてもよい。
あるいは、図5と同様にプレビューに係る選択肢を提示し、[判定ミス確認]キー71がタッチされた場合は一覧表示の先頭に判定ミスの虞がある頁を表示させそれに続いて全頁あるいは残りの頁のプレビュー画像を頁順に表示させる様にしてもよい。[全画像確認]キー72がタッチされた場合は頁順に全頁のプレビュー画像を表示させる。
【0042】
前述のステップS31の判定で、[全画像確認]キー72がタッチされていない場合、続いて操作認識部11oとして制御部11は、コピー基本画面70の[スタート]キー76がタッチされたか否かを判定する(ステップS41)。[スタート]キー76がタッチされた場合、ジョブ制御部11Jとして制御部は、スキャナユニット15に、原稿を1頁ずつ読み取らせ、各頁の画像に対して設定されたジョブに応じた画像処理を、画像処理ユニット40に行わせる(ステップS43)。
【0043】
すべての頁を読み取り終えたら(ステップS45のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、設定されたジョブの種類に応じて、読み取った各原稿の画像を印刷または出力する。即ち、コピージョブの場合は印刷ユニット14に印刷させる。スキャンジョブの場合は、設定された送信先あるいは格納先へ読み取った画像のデータを、通信回路24を介して外部の機器へ送る。なお、ジョブの設定によっては、メモリ13に格納する場合もある。そして、処理を終了する。
【0044】
続いて、プレビュー後の処理について述べる。
前述のステップS25またはS37で、読み取った画像を表示デバイス19dにプレビュー表示させたら、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、何れかの頁のプレビュー画像に対して修正の指示がなされたか否かを監視する(図4BのステップS51)。
何れのプレビュー画像についても修正の指示がないと判断したら(ステップS51のNo)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、設定されたジョブの種類に応じて、読み取った各原稿の画像を印刷または出力する(ステップS61)。そして、処理を終了する。
【0045】
一方、表示されたプレビュー画像の何れかに対して修正の指示を受付けた場合(ステップS51のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、修正の指示に従って該当する頁の画像処理を修正する(ステップS53)。そして、修正した頁について修正後の画像をプレビュー表示させる(ステップS55)。
修正した頁の画像を表示デバイス19dにプレビュー表示させたら、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、何れかの頁のプレビュー画像に対して修正の指示がなされたか否かを監視する(ステップS57)。
【0046】
何れのプレビュー画像についても修正の指示がないと判断したら(ステップS57のNo)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、設定されたジョブの種類に応じて、読み取った各原稿の画像を印刷または出力する(ステップS61)。そして、処理を終了する。
表示されたプレビュー画像の何れかに対して修正の指示を受付けた場合(ステップS57のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、処理を前述のステップS53へ戻し、該当する頁の画像処理を修正して修正後の画像をプレビュー表示させる(ステップS55)。
以上が、画像の読み取りおよびプレビューに係る処理の全体的な流れである。
【0047】
続いて、図5図10を用いて、具体的な操作の例を述べる。
図5は、コピージョブに係る設定およびジョブ開始を受付けるコピー基本画面70の説明図である。図5に示す[判定ミス確認]キー71の操作を受付けると、制御部11は、全頁の原稿を読み取って、設定された画像処理を適用する。原稿を読み取る間、[判定ミス確認]キー71を反転表示させて、誤判定の可能性が高い頁をプレビューすることを示す。全ての頁を読み取ったら、画像処理に係る判定の確度が予め定められた基準に満たない頁の画像を表示デバイス19dに表示させる。言い換えると、誤判定の可能性が高い頁についてプレビュー画像を表示する。
例えば、各頁の画像がカラーかモノクロかを判定するカラー/モノクロ判定の場合、その頁を読み取った全ての画素について、R、G、Bの画素数の差分を特徴量として算出する。そして、特徴量として得たR、G、Bの画素数の差分を予め定められた閾値と比較して、対象の頁がカラーかモノクロかを判定する。ジョブ制御部11Jは、得られた特徴量と閾値との距離(特徴量がスカラーであれば差分)が、予め定められた基準に満たない(特徴量が閾値に近い)頁を抽出してプレビュー表示する。
ブランク判定に係る特徴量の例は、下色除去した各画素のうちブランクの画素の割合である。上下判定に係る特徴量の例は、文字認識された各文字の方向のうち、同じ方向を向いている文字の割合である。サイズ判定に係る特徴量の例は、原稿の送り方向の長さの検出値である。原稿幅の検出値をそれに加えたものを特徴量としてもよい。
図6は、ジョブ制御部11Jが表示デバイス19dに表示させるプレビュー画面77の例を示す説明図である。
【0048】
図6は、4つの頁のプレビュー画像79a、79b、79cおよび79dが表示された例を示している。プレビュー画像79aは、カラー/モノクロ判定に係る確度が低いために抽出されたものである。プレビュー画像79bは、ブランク判定に係る確度が低いために抽出されたものである。プレビュー画像79cは、上下判定に係る確度が低いために抽出されたものである。プレビュー画像79dは、原稿のサイズ判定に係る確度が低いために抽出されたものである。ここで、プレビュー画像79a、79b、79cおよび79dに係る判定は、何れも読み取った原稿のコピージョブに係る設定がなされたものである。
【0049】
即ち、カラー/モノクロ判定は、[カラーモード]キー73で「自動」が設定されている場合に、画像処理ユニット40のカラー/モノクロ判定部45bが実行する判定である。原稿のサイズ判定は、[原稿]キー74で「自動」が設定されている場合に、ジョブ制御部11Jがスキャナユニット15の原稿サイズセンサー(不図示)の検出に基づいて実行する判定である。ブランク判定および上下判定はいずれも、[他の機能]キー75のタッチに応答して表示制御部11Dが表示させる不図示の機能設定画面でそれぞれの設定を受付けた場合に、ジョブ制御部11Jが実行する判定である。
【0050】
制御部11は、それぞれのプレビュー画像79a、79b、79cおよび79dの下に、それぞれに対応するプレビューコメント81を表示し、さらにその下に、それぞれに対応する[修正]キー83a,83b,83c,83dを表示する。
[修正]キー83a,83b,83c,83dの何れかがユーザーの手指Fによってタッチされたら、制御部11は、対応するプレビュー画像に係る判定処理の修正を受付ける。
【0051】
例えば、[修正]キー83aがタッチされた場合、ジョブ制御部11Jは、対応するプレビュー画像79aに係るその頁のカラー/モノクロ判定について修正を受付ける。具体的には、図7に示すように、[修正]キー83aの操作に応答して、修正メッセージ87a、[はい」キー85aおよび[いいえ]キー86aを表示させる。
[いいえ]キー86aがタッチされたら元の図6の画面に表示を戻すが、[はい]キー85aがタッチされたら、それに応答して判定を修正する。図7に示す例では元の判定結果であるカラーをモノクロに修正している。そして、プレビュー画像79aを修正後の画像に更新し、プレビューコメント81aに修正を行った旨を表示する。そして、[OK]キー88aおよび[戻す]キー89aを表示する。
[戻す]キー89aがタッチされたら、その頁を修正前の画像に戻す。即ち、図6に示す表示(図7の左端に示す表示と同じ)に戻す。一方、[OK]キー88aがタッチされたら、修正後の画像を採用する。画面表示としては、図6に示す画面でプレビュー画像79aおよびプレビューメッセージ81aを修正後の内容に置き換えたものになる。
【0052】
また、[修正]キー83bがタッチされた場合、ジョブ制御部11Jは、対応するプレビュー画像79bに係るその頁のブランク判定について修正を受付ける。具体的には、図7に示すように、[修正]キー83bの操作に応答して、修正メッセージ87b、[はい」キー85aおよび[いいえ]キー86aを表示させる。
[いいえ]キー86bがタッチされたら元の図6の画面に表示を戻すが、[はい]キー85bがタッチされたら、それに応答して判定を修正する。図8に示す例では元の判定結果であるブランク頁をブランクでない頁に修正している。そして、プレビューコメント81bに修正を行った旨を表示する。そして、[OK]キー88bおよび[戻す]キー89bを表示する。
[戻す]キー89bがタッチされたら、その頁を修正前の画像に戻す。即ち、図6に示す表示(図8の左端に示す表示と同じ)に戻す。一方、[OK]キー88bがタッチされたら、修正後の画像を採用する。画面表示としては、図6に示す画面でプレビューコメント81bを修正後の内容に置き換えたものになる。
【0053】
さらに、[修正]キー83cがタッチされた場合、ジョブ制御部11Jは、対応するプレビュー画像79cに係るその頁の上下判定について修正を受付ける。具体的には、図9に示すように、[修正]キー83cの操作に応答して、修正メッセージ87c、[はい」キー85cおよび[いいえ]キー86cを表示させる。
[いいえ]キー86cがタッチされたら元の図6の画面に表示を戻すが、[はい]キー85cがタッチされたら、それに応答して判定を修正する。図9に示す例では元の判定結果と上下を逆に修正している。そして、プレビュー画像79cを修正後の画像に更新し、プレビューコメント81cに修正を行った旨を表示する。そして、[OK]キー88cおよび[戻す]キー89cを表示する。
[戻す]キー89cがタッチされたら、その頁を修正前の画像に戻す。即ち、図6に示す表示(図9の左端に示す表示と同じ)に戻す。一方、[OK]キー88cがタッチされたら、修正後の画像を採用する。画面表示としては、図6に示す画面でプレビュー画像79cおよびプレビューコメント81cを修正後の内容に置き換えたものになる。
【0054】
さらにまた、[修正]キー83dがタッチされた場合、ジョブ制御部11Jは、対応するプレビュー画像79dに係るその頁のサイズ判定について修正を受付ける。具体的には、図10に示すように、[修正]キー83dの操作に応答して、修正メッセージ87dおよびドロップダウンリスト90dを表示させる。
ドロップダウンリスト90dで、判定と異なるサイズが選択されたら、それに応答して判定を修正する。図9に示す例では元の判定結果と異なるサイズに修正している。そして、プレビュー画像79dを修正後の画像に更新し、プレビューコメント81dに修正を行った旨を表示する。そして、[OK]キー88dおよび[戻す]キー89dを表示する。
[戻す]キー89dがタッチされたら、その頁を修正前の画像に戻す。即ち、図6に示す表示(図10の左端に示す表示と同じ)に戻す。一方、[OK]キー88dがタッチされたら、修正後の画像を採用する。画面表示としては、図6に示す画面でプレビュー画像79dおよびプレビューコメント81dを修正後の内容に置き換えたものになる。
【0055】
なお、図6には、4種類の判定に係るプレビュー画像を示しているが、それ以外の判定についても同様の処理を行えばよい。例えば、文字認識を行って文字の並びから原稿画像の傾きを検出し補正する傾き補正に係る判定や、下地除去に係る判定が挙げられる。それらは一例であって、ここに記載しないその他の画像処理に係る判定を限定するものでない。
図6に示す[すべてを承認]キー84がタッチされたら、ジョブ制御部11Jは、プレビュー表示された内容で、即ち、修正された頁は修正を反映した全頁の画像を印刷しあるいは出力する。
【0056】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ジョブの設定に係るすべての判定について、誤判定の可能性が高い頁をプレビュー表示させているが、判定に係る項目のユーザーによる選択を受付け、選択された項目に絞って誤判定の可能性が高い頁をプレビュー表示させてもよい。
図11Aおよび図11Bは、この実施の形態において、画像読み取り処理の流れを示すフローチャートである。図4Aおよび図4Bと対応する処理には、同じ符号を付している。
【0057】
図11Aに示す各処理のうち図4Aにない処理は、ステップS13およびS15である。即ち、[判定ミス確認]キー71がタッチされた場合(ステップS11のYes)、ジョブ制御部11Jとして制御部は、判定に係る項目のユーザーによる選択を受付ける(ステップS13)。選択がなされたら(ステップS15のYes)図4Aと同様に、ジョブ制御部11Jとして制御部11は、スキャナユニット15に、原稿を1頁ずつ読み取らせ、各頁の画像に対して設定されたジョブに応じた画像処理を、画像処理ユニット40に行わせる(ステップS21)。他の処理は図4Aおよび図4Bと同様であるが、ステップS13での項目選択の結果、ステップS25でプレビュー表示されるのは、選択された項目について誤判定の可能性が高い頁に絞られる。
【0058】
図12Aおよび図12Bは、図11AのステップS13およびS15に対応する操作の例を示す説明図である。図12Aに示すように、この実施形態においてコピー基本画面70の[判定ミス確認]キー71がユーザーの手指Fによってタッチされ、操作認識部11oとして制御部11がそれを認識すると、操作されたキーにオーバーラップする位置に、判定項目の選択メニューを表示させる。図12Aに示す例では、[カラー/モノクロ判定]キー91、[ブランク判定]キー92、[上下判定]キー93、[サイズ判定]キー94および[OK]キー95が判定項目の選択メニューに含まれる。
【0059】
判定項目の選択メニューに表示された何れかがタッチされると、制御部11は、選択されたキーを反転表示させて選択された状態を表示する。図12Aの例では、カラー/モノクロ判定が選択された状態を示している。さらに、12Bでは、上下判定も選択された状態を示している。[OK]キー95がタッチされたら、制御部11は、判定項目の選択メニューを消して原稿の読み取りを開始する。原稿の全ての頁を読み取る間、[判定ミス確認]キー71を反転表示させて、誤判定の可能性が高い頁をプレビューすることを示す。
以上が、この実施形態において、選択された判定項目について誤判定の可能性が高い頁をプレビューする処理の流れである。
【0060】
(実施の形態3)
実施の形態1では、図6に示すように頁全体の画像のみをプレビュー表示する態様を示しているが、誤判定の可能性が高い部分をさらに拡大して表示するようにしてもよい。
図13は、この実施形態におけるプレビュー画面77の例を示す説明図である。図13に示すように、誤判定の可能性が高い頁について、ページ全体のプレビュー画像79aおよび79bの隣に、誤判定に関連しそうな箇所の拡大画像95aおよび95bをそれぞれ表示させる。誤判定に関連しそうな箇所は、カラー/モノクロ判定についてカラー判定された頁において色画素と判定された部分である。また、ブランク判定でブランクと判定された頁においてブランクでない画素の部分である。
【0061】
(実施の形態4)
実施の形態1~3では、読み取った原稿画像のプレビューを行うことなく印刷や送信を行わせる選択肢としての[スタート]キー76と、印刷や送信を行う前にプレビューを行う選択肢としての[判定ミス確認]キー71および[全画像確認]キー72を、原稿の読み取りの開始前にユーザーに提示して選択を求めている。
それに代えてこの実施形態では、原稿を読み取りが終了した後に、制御部11が読み取った原稿画像のプレビューを行うか否かの選択肢を表示させるようにする。この実施形態によれば、プレビューに係る選択肢を提示する際、読み取られた原稿画像の頁数が既に判明している。そこで、原稿画像の頁数が所定の頁数未満であれば全頁のプレビューを表示させるか否かの選択肢を提示し、所定の頁数以上であれば判定ミスの虞がある頁のみをプレビュー表示させる様にすればよい。あるいは、原稿画像の頁数が所定の頁数以上の場合に限って、実施の形態1~3で述べたようなプレビューに係る選択肢を提示してもよい。所定の頁数は、例えば、図6あるいは図13に示すような一覧表示が可能な頁数に設定されてもよいし、ユーザーが設定および変更できるようにしてもよい。
【0062】
以上に述べたように、
(i)この発明による画像読取装置は、複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るスキャナユニットと、読み取られた各頁の画像について頁毎の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行う画像処理ユニットと、画像処理された各頁の画像をプレビュー表示する表示デバイスと、前記特性に関連した抽出条件の設定を受付ける操作検出デバイスと、設定された抽出条件に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記特性に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出してプレビュー表示させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0063】
この発明において、スキャナユニットは、複数の頁の原稿の画像を読み取るものである。その具体的な態様は、例えば、原稿送り装置とイメージセンサを備えた複合機におけるイメージスキャナの部分である。
また、画像の特性は、各ページの画像に所定の画像処理を施すか否か、あるいは画像処理に適用するパラメータを決める根拠となる性質である。
さらにまた、画像処理ユニットは、各頁の原稿を読み取った画像に対して所定の処理を施すものである。その具体的な態様は、例えば、カラー/モノクロ判定に基づいて各ページの画像をモノクロ画像とするかカラー画像とするかの処理である。あるいは、ブランクか否かの判定に基づいて、ブランクと判定された頁を削除して出力する処理である。また、別の態様では、文字の方向や文字の並びから傾き角度を含んであるいは含まずに原稿の方向を判定して画像を回転させる処理である。
【0064】
プレビューは、画像読取装置が備える表示デバイスに、あるいは通信可能な外部の機器に、原稿の各頁が読み取られ画像処理された画像を表示するものである。
また、制御部は、画像読取装置の動作を制御するものである。その具体的な態様は、例えば、プロセッサを中心とする回路であり、ハードウェアとソフトウェアが協働してその機能が実現される。
【0065】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記判定の確度は、前記特性の判定に用いるために画像から抽出した特徴量と判定に用いる閾値との距離として算出され、前記制御部は、算出された距離が予め定められた基準値に満たない頁の読取画像をプレビュー表示させてもよい。
このようにすれば、判定を行うために各頁の画像から抽出された特徴量と判定の閾値との距離を用いて判定の確度が所定の基準に満たない頁の絞り込みを行うことができる。
【0066】
(iii)前記特性に係る頁毎の判定が、カラーかモノクロかの判定、ブランクか否かの判定、上下の方向に係る判定、サイズの判定の少なくとも何れかであってもよい。
この態様によれば、各頁の画像の特性に基づくカラー/モノクロ判定、ブランク判定、上下の方向に係る上下判定、頁サイズ判定の少なくとも何れかの判定について、誤判定の可能性が高いページを抽出してプレビューすることが可能である。
【0067】
(iv)前記制御部は、設定を受付ける抽出条件を、前記判定の種類に対応したものとし、何れの判定についてプレビュー表示させるかの設定を、前記操作検出デバイスを介して受付けてもよい。
このようにすれば、何れの種類の判定について誤判定の可能性が高い頁を絞り込んでプレビュー表示させるかをユーザーが指定できる。
【0068】
(v)前記制御部は前記操作検出デバイスを介して、プレビュー表示した頁の何れかのユーザーによる指定および指定された頁に係る判定の修正を受け付け、修正された画像をプレビュー表示させて判定の修正または承認を受付け、承認を受けた画像を読取画像として出力または印刷してもよい。
このようにすれば、プレビュー表示させた頁について判定の修正とその結果のプレビュー表示による確認を繰り返した後、承認された画像を出力させることができる。
【0069】
(vi)この発明の一態様は、制御部が、スキャナユニットを制御して複数の頁からなる原稿を走査して頁毎に画像を読み取るステップと、読み取られた各頁の画像について頁毎の特性を判定し、その特性に応じた画像処理を行うステップと、前記特性に関連した抽出条件の設定を受付けるステップと、設定された抽出条件に基づいて、頁毎に画像処理された画像のうち前記特性に係る判定の確度が所定の基準に満たない頁の読取画像を抽出してプレビュー表示させるステップとを備える画像読取方法を含む。
【0070】
この発明の態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0071】
11:制御部、 11C:文字認識処理部、 11D:表示制御部、 11J:ジョブ制御部、 11o:操作認識部、 13:メモリ、 14:印刷ユニット、 15:スキャナユニット、 16:原稿搬送ユニット、 17a,17b,17c:用紙トレイ、 18a,18b,18c:排出トレイ、 19:操作ユニット、 19d:表示デバイス、 19t:タッチパネルユニット、 24:通信回路
40:画像処理ユニット、 42:A/D変換部、 43:シェーディング補正部、 44:入力処理部、 45:原稿種別自動判定部、 45a:原稿種別判定部、 45b:カラー/モノクロ判定部、 45c:ブランク原稿判定部、 46:領域分離処理部、 47:圧縮部、 48:領域分離信号圧縮部、 49:復号部、 50:領域分離信号復号部、 51:画質調整部、 53:色補正部、 54:黒生成/下色除去部、 55:空間フィルタ部、 56:変倍部、 57:出力階調補正部、 58:中間調生成部
70:コピー基本画面、 71:[判定ミス確認]キー、 72:[全画像確認]キー、 73:[カラーモード]キー、 74:[原稿]キー、 75:[他の機能]キー、 76:[スタート]キー、 77:プレビュー画面、 79a,79b,79c,79d:プレビュー画像、 81,81a,81b,81c,81d:プレビューコメント、 83a,83b,83c,83d:[修正]キー、 84:[すべてを承認]キー、 85a,85b,85c:[はい]キー、 86a,86b,86c:[いいえ]キー、 87a,87b,87c,87d:修正メッセージ、 88a,88b,88c,88d,95:[OK]キー、 89a,89b,89c,89d:[戻す]キー、 90d:ドロップダウンリスト、 91:[カラー/モノクロ判定]キー、 92:[ブランク判定]キー、 93:[上下判定]キー、 94:[サイズ判定]キー、 95a,95b:拡大画像
100:複合機
F:手指
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13