(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】カメラ搭載構造
(51)【国際特許分類】
B60R 1/20 20220101AFI20250124BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B60R1/20
F16B5/10 B
(21)【出願番号】P 2021046434
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】伊知地 紀公
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-111390(JP,A)
【文献】特開2002-233034(JP,A)
【文献】特開2017-124732(JP,A)
【文献】特開平07-181580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、
カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、
前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、
前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、
前記支持部材は、
前記内側面及び前記外側面に亘って連通すると共に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能なカメラ開口部と、
前記内側面において前記カメラ開口部の開口領域の外側に外れた位置に形成された被係合部と、
当該支持部材の下方側において、前記カメラ開口部の開口縁に沿う方向に長手方向が向くように形成された溝と、を有しており、
前記取付部は、前記被係合部に嵌め込まれる係合部を有しており、
前記係合部が、先端をなす先端部を境界として、前記被係合部に嵌め込まれた状態において前記外側面側を向く表側部、及び前記内側面側を向く裏側部を有し、
前記係合部が前記被係合部に嵌め込まれた状態において、前記表側部から前記先端部を経て前記裏側部に至る部分、あるいは前記先端部を経て前記裏側部に至る部分において、前記係合部と前記被係合部との間に前記止水部材が挟持され、
前記溝は、当該溝の短手方向に対向する一対の溝壁を有し、
前記被係合部と基端部とを有する受部のうち、前記基端部が、前記一対の溝壁の間を橋渡しするように配置されていること、を特徴とするカメラ搭載構造。
【請求項2】
前記取付部が、前記表側部から連なる表側面、及び前記裏側部から連なる裏側面を有するものであり、
前記止水部材が、前記取付部の前記裏側面において、前記被係合部の深さよりも長く形成された延設部を有していること、を特徴とする請求項1に記載のカメラ搭載構造。
【請求項3】
前記延設部が、前記取付部の前記裏側面と接触していること、を特徴とする請求項2に記載のカメラ搭載構造。
【請求項4】
前記支持部材の前記車両への搭載状態において、前記被係合部が、上方に向けて形成されており、
前記係合部が、前記被係合部と向き合うように形成されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のカメラ搭載構造。
【請求項5】
前記取付部が、前記係合部から外れた位置に支持部を有するものであり、
前記支持部材が、前記支持部と向き合う位置に締結部を有するものであり、
前記支持部及び前記締結部が、締結部材により締結されること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のカメラ搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両へのカメラ搭載構造に関する。さらに詳しくは、車両に搭載されるバックハンドル等の部材へのカメラの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、運転者を支援するための各種のカメラが搭載されている。前記カメラとして、例えば、車両のバックドアに搭載されるバックカメラが知られている。また、最近では、車両の意匠性を高めるために、バックドアハンドルの支持部材(インナーガーニッシュに相当)にバックカメラを内蔵させたバックドアハンドルが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したバックハンドルのように、車両のドアハンドルにカメラを搭載する場合は、ドアハンドルの支持部材にカメラを露出させるための開口を設ける必要がある。また、ドアハンドルの内部やカメラ等への水の侵入を抑制するために前記開口の周りを止水部材により封止する必要がある。
【0005】
ところで、上述した特許文献1の発明に係るバックドアハンドルは、カメラが、バックドアハンドルの支持部材に対して、車両の内側を向く内側面方向から2か所のネジ止めにより固定されている。従って、ネジ止めのための固定箇所を設けるスペースを広く取る必要がある。そのため、カメラの支持部材が大型化し、車両の意匠を損ねる問題が生じている。また、カメラの支持部材に対する固定に際し、止水部材が支持部材とカメラの取付部材との間に挟み込まれる構造を採用している。すなわち、平面状態で止水部材が支持部材に接することにより、水の侵入を抑制している。そのため、外部からの水の侵入が生じやすい問題がある。このように、特許文献1の発明に係るバックドアハンドルは、大型化して車両の意匠を損ねる問題や止水性の問題を有している。
【0006】
そこで、本発明は、省スペースで設置することができ、止水性が確保できる車両のカメラ搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のカメラ搭載構造は、車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、前記支持部材は、前記内側面及び前記外側面に亘って連通すると共に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能なカメラ開口部と、前記内側面において前記カメラ開口部の開口領域の外側に外れた位置に形成された被係合部と、を有しており、前記取付部は、前記被係合部に嵌め込まれる係合部を有しており、前記係合部が、先端をなす先端部を境界として、前記被係合部に嵌め込まれた状態において前記外側面側を向く表側部、及び前記内側面側を向く裏側部を有し、前記係合部が前記被係合部に嵌め込まれた状態において、前記表側部から前記先端部を経て前記裏側部に至る部分、あるいは前記先端部を経て前記裏側部に至る部分において、前記係合部と前記被係合部との間に前記止水部材が挟持されること、を特徴とするものである。
【0008】
上述したカメラ搭載構造は、カメラの取付部に設けられた係合部を、支持部材の被係合部に嵌め込むことにより、取付部を介してカメラを支持部材に搭載するものである。すなわち、係合部と被係合部との嵌め込みにより取付部を支持部材に固定することができる。従って、取付部を介して省スペースでカメラを支持部材に搭載することができる。
【0009】
また、上述したカメラ搭載構造は、係合部が被係合部に嵌め込まれた状態において、前記係合部の表側部から先端部を経て裏側部に至る部分、あるいは前記先端部を経て前記裏側部に至る部分において、前記係合部と前記被係合部との間に止水部材が挟持されている。そのため、係合部と被係合部との間に入り組んだ複雑な構造が形成される。また、止水部材が、前記係合部の表側部から先端部を経て前記係合部の裏側部に至る部分まで、あるいは前記先端部を経て前記裏側部に至る部分まで設けられているので、止水部材の面積を広く確保することができる。これらにより、支持部材の外側面側から内側面側に向けての水の侵入を効果的に抑制することができる。ここで、支持部材や取付部は、各種の素材のものを使用することができる。例えば、支持部材や取付部が、樹脂素材であるとよい。また、止水部材の材質は、ウレタンゴムなどの防水性を有する各種の素材のものを使用することができる。また、被係合部は、例えば、横長の溝として形成されているものや突出形成した先端側を折り曲げ形成したものなど、係合部と係合させることが可能な各種の形状のものを採用できる。
【0010】
(2)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記取付部が、前記表側部から連なる表側面、及び前記裏側部から連なる裏側面を有するものであり、前記止水部材が、前記取付部の前記裏側面において、前記被係合部の深さよりも長く形成された延設部を有しているとよい。
【0011】
かかる構成によれば、止水部材の面積を広く確保することができる。また、係合部や被係合部の周りにおいて、止水部材を複雑な経路で配置することができる。そのため、水が支持部材の外側面側から内側面側に向けて侵入することを抑制することができる。
【0012】
(3)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記延設部が、前記取付部の前記裏側面と接触しているとよい。
【0013】
かかる構成によれば、延設部を止水部材の固定代とすることができる。そのため、止水部材の面積や固定代を広く確保することができる。これにより、取付部と止水部材とを確実に固定することが可能である。また、止水部材の面積が確保されることにより、止水効果を高めることができる。
【0014】
(4)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材の前記車両への搭載状態において、前記被係合部が、上方に向けて形成されており、前記係合部が、前記被係合部と向き合うように形成されているとよい。
【0015】
かかる構成によれば、上方から下方に向けて係合部を被係合部に係合させることにより、カメラの取付部を支持部材に固定することができる。これにより、確実にカメラを支持部材に固定することができ、カメラによる撮影精度を高めることができる。また、支持部材に新たにネジ穴を形成することなく、カメラを固定することができるので、省スペースでカメラを搭載することができる。これにより、支持部材の設計自由度の向上と意匠性向上が期待できる。また、係合部を被係合部に係合させる際に、係合部によって止水部材を被係合部方向に押し込むことができる。そのため、止水部材が、被係合部からはみ出すことを抑制できる。ここで、被係合部は、例えば、横長の溝として形成されているものや突出形成した先端側を折り曲げ形成したものなど、係合部と係合させることが可能な各種の形状のものを採用できる。
【0016】
(5)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記止水部材が、多孔質及び弾性を有する素材で形成されているとよい。
【0017】
かかる構成によれば、水を止水部材に含ませつつ、徐々に揮発させることができる。これにより、水が表面張力によって、支持部材の内側面側に侵入することを抑制できる。また、止水部材の面積を広く確保することにより、止水部材による保水効果をより一層高めることができ、止水部材から水が滴り落ちることを抑制できる。ここで、止水部材は、例えば、ウレタンゴムを素材としたスポンジ状の部材で形成するとよい。
【0018】
(6)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記取付部が、前記係合部から外れた位置に支持部を有するものであり、前記支持部材が、前記支持部と向き合う位置に締結部を有するものであり、前記支持部及び前記締結部が、締結部材により締結されるとよい。
【0019】
かかる構成によれば、少なくとも2点で、カメラを支持部材に支持することができる。これにより、確実にカメラを支持部材に固定することができ、カメラによる撮影精度を高めることができる。ここで、支持部は、例えば、円形孔やU字形状の開口など各種の形状に形成することができる。また、締結部は、締結部材として例えば、ネジを用いる場合は、当該ネジを螺合させることが可能なネジ穴とすればよい。上述した、支持部、締結部、及び締結部材は、各種の形状やものを使用することができる。また、支持部は、係合部から外れた各種の位置に設けることができる。例えば、支持部が、カメラ開口部の開口領域を介して被係合部の反対側に設けられるとよい。これにより、カメラの支持位置をより離間させることができるので、確実にカメラを支持することができ、カメラの撮影精度向上が期待できる。また、支持部や締結部は、一又は複数設けることができる。
【0020】
(7)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材が、前記車両のバックドアに搭載されるものであるとよい。
【0021】
かかる構成によれば、後方撮影用カメラをバックドアに省スペースで搭載することができる。また、バックドアの内部への水の侵入を抑制することができる。そのため、バックドアの意匠性の向上が期待できる。
【0022】
(8)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材が、ドアハンドルを操作可能に支持するものであり、前記カメラ開口部が、前記ドアハンドルから外れた位置に配置されているとよい。
【0023】
かかる構成によれば、ドアハンドル及びカメラを共通の支持部材で支持することができる。そのため、ドアハンドルと別途にカメラを搭載する場合に比べて、カメラを目立たなくすることができる。これにより、車両の意匠性向上が期待できる。ここで、カメラ開口部は、ドアハンドルと干渉しない各種の位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、省スペースで設置することができ、止水性が確保できる車両のカメラ搭載構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るカメラ搭載構造が採用された車両を後方側から見た正面図である。
【
図2】本発明に係るカメラ搭載構造を採用する車両のドアハンドルの拡大正面図である。
【
図5】本発明に係るカメラ搭載構造に用いられるカメラ及び取付部の拡大図である。
【
図6】本発明に係るカメラ搭載構造における説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るカメラ搭載構造の一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら以下に詳細を説明する。本実施形態では、カメラ20が、車両1のバックドア2におけるドアハンドル10に搭載されている場合を例として説明する。
【0027】
図1は、車両1の後方側を正面視したものである。車両1は、上下に開閉が可能なバックドア2を有している。バックドア2は、本発明のカメラ搭載構造を採用するドアハンドル10と、後部窓3等を有している。
【0028】
図2及び
図3に示すように、ドアハンドル10は、バックドア2に固定される支持部材11と、カメラ20を支持部材11に対して取り付けるための取付部22と、支持部材11及び取付部22の間に配置される止水部材30(
図3参照)等を有している。また、本実施形態では、取付部22にカメラ20が搭載されている場合を例として説明する。
【0029】
支持部材11は、バックドア2の外側面(車両1の外側に向く面)に固定されるものである。従って、
図3に示すように、支持部材11は、車両1への固定状態において、車両1の外側に向く外側面11R、及び車両1の内側に向く内側面11Fを備えるものである。また、支持部材11は、樹脂を素材とし、射出成型等の樹脂成型により略矩形状に形成されている。そのため、支持部材11は、軽量に形成されている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、支持部材11は、支持部材11の上半部分に設けられたハンドル操作部12と、ハンドル操作部12の左側下方(
図2参照)に形成されたカメラ開口部13と、を有している。また、支持部材11は、内側面11F(
図3参照)にヒケ抑制溝17と、受部14に形成された被係合部14aと、締結部15等を備えている。
【0031】
ハンドル操作部12は、上端側が支持部材11に対して揺動機構(図示せず)により揺動可能に支持されており、操作者による操作が可能である。ハンドル操作部12を操作することにより、バックドア2を開閉することができる。ハンドル操作部12は、支持部材11と同様に樹脂成型により形成されている。そのため、ドアハンドル10は、軽量に形成されている。
【0032】
図3に示すように、カメラ開口部13は、支持部材11における内側面11F及び外側面11Rに亘って連通するように形成されている。また、カメラ開口部13は、後述するカメラ20よりも僅かに大きく形成されている。従って、支持部材11に対して、カメラ20を、内側面11Fから外側面11Rに向けて嵌め込むことが可能である。
【0033】
ヒケ抑制溝17(凹溝17とも称する)は、支持部材11の下方側において、カメラ開口部13の開口縁に沿う方向に長手方向が向くように形成されている。本実施形態では、ヒケ抑制溝17の両端側が上方に延びるように形成されている。ヒケ抑制溝17は、凹状に形成された溝であり、樹脂成型時に支持部材11に発生するヒケを抑制するために設けられている。また、ヒケ抑制溝17は、
図4及び
図6に示すように、短手方向に対向する一対の溝壁17a,17aを有している。なお、ヒケ抑制溝17の大きさ、形状、深さは、ヒケを考慮して各種のものとすることが可能である。
【0034】
図6に示すように、ヒケ抑制溝17には、内側面11Fから突出するように2つの受部14,14が形成されている。受部14は、後述する係合部23と係合可能な被係合部14aと、内側面11F側に位置する基端部14bと、を有している。
【0035】
図4及び
図6に示すように、基端部14bは、ヒケ抑制溝17の長手方向中間部において、一対の溝壁17a,17aとそれぞれ接続されている。すなわち、基端部14bは、溝壁17a,17aの間を橋渡しするように配置されている。これにより、ヒケ抑制溝17の剛性を高めることができ、ヒケ抑制溝17の変形が抑制される。また、ヒケの発生を効果的に抑制することができる。なお、受部14を設ける個数は、単数のものや複数のものなど各種の個数とすることができる。また、受部14は、ヒケ抑制溝17と一体的に形成されるものや、ヒケ抑制溝17とは異なる別部材として後からヒケ抑制溝17に搭載されるものなど、各種の形態のものを採用することができる。また、受部14は、ヒケ抑制溝17とは異なる場所に設けられていてもよい。かかる場合は、ヒケ抑制溝17の溝壁17a,17a間を橋渡しするようにリブ等を形成するとよい。
【0036】
被係合部14aは、受部14の先端側を上方側に向けて折り曲げられることにより形成されている。すなわち、被係合部14aは、車両1への搭載状態において上方に向けて形成されている。被係合部14aは、後述する取付部22の係合部23と向き合うように形成されており、係合部23を嵌め込んで係合させることが可能である。なお、被係合部14aを設ける個数は、後述する係合部23の形状や個数に合わせて、適宜変更することができる。また、被係合部14aは、各種の形状とすることができる。例えば、被係合部14aの形状は、受部14に代えて、横長の溝として形成してもよい。
【0037】
図3に示すように、締結部15は、支持部材11の内側面11Fに、隆起するように形成されている。締結部15は、本実施形態では、ネジ16(締結部材16とも称する)を螺合させることが可能な雌ネジが形成されている。締結部15は、後述する取付部22の支持部24と、ネジ16により締結される。
【0038】
図5に示すように、カメラ20は、本実施形態では、車両1の後方を撮影可能なバックカメラが用いられている。カメラ20は、例えば、車両1の駐車の際に車両1の後方を撮影することにより、運転者の支援を行うことができる。カメラ20は、箱状の支持枠を有しており、当該支持枠に撮影のためのレンズ21が設けられている。カメラ20の下面には、カメラ20を支持すると共に、支持部材11に対して取り付けるための取付部22が装着される。なお、本実施形態では、カメラ20を搭載する場合を例示するが、取付部22にカメラ20が搭載されていないものでもよい。また、カメラ20と取付部22が一体的に形成されていてもよい。
【0039】
図3に示すように、取付部22は、樹脂や金属等を素材とした板状の部材で形成されており、支持部材11に取り付けた状態において、車両1の外側を向く表側面22R、及び車両1の内側を向く裏側面22Fを有している。表側面22Rは、後述する係合部23における表側部23R(
図4参照)から連なって形成されており、裏側面22Fは、係合部23における裏側部23F(
図4参照)から連なって形成されている。
【0040】
また、取付部22は、支持部材11に取り付けた状態において、カメラ開口部13と向き合う位置にカメラ20を支持することができる。取付部22は、外形がカメラ開口部13よりも大きく形成されている。また、取付部22は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、カメラ開口部13の開口領域の周囲において、内側面11Fとの間に後述する止水部材30を挟持することができる。また、取付部22は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、レンズ21が斜め下方を向くように途中が折り曲げ形成されている。また、取付部22の下端側には、被係合部14aと向き合うように下方側に係合部23が突出形成されている。
【0041】
図4及び
図6に示すように、係合部23は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、被係合部14aに係合させることができる。また、係合部23は、先端をなす先端部23Tを有している。係合部23は、先端部23Tを境界として、被係合部14aに嵌め込まれた状態において支持部材11の外側面11R側を向く表側部23R、及び支持部材11の内側面11F側を向く裏側部23Fを有している。
【0042】
上述したように、取付部22は、係合部23と被係合部14aとの嵌め込みにより、支持部材11に固定することができる。従って、取付部22を介して省スペースでカメラ20を支持部材11に搭載することができる。また、ヒケ抑制溝17を利用して被係合部14aが形成されているので、新たにネジ穴等を形成することに比べて、省スペースで取付部22を支持部材11に固定することが可能である。
【0043】
図3及び
図5に示すように、取付部22は、上方側に延びるように形成された支持部24を有している。支持部24には、締結部15と向き合うように円形孔が形成されている。支持部24と締結部15とは、ネジ16により締結が可能である。すなわち、カメラ20は、支持部材11に対して、係合部23及び支持部24の少なくとも2点で支持される。これにより、確実にカメラ20を支持部材11に固定することができ、カメラ20による撮影精度を高めることができる。なお、上述した支持部24や締結部15の形状や大きさは、各種のものに変更することが可能である。例えば、支持部24は、円形孔ではなく、長孔やU字形状の切込みとしてもよい。また、締結部材16は、ネジだけではなく、係合ピン等を用いてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、支持部24が、カメラ開口部13に対して上方に外れた位置に設けられている。すなわち、取付部22の上端側に支持部24が設けられ、取付部22の下端側に係合部23が設けられている。これにより、カメラ20の支持位置を離間させることができるので、確実にカメラ20を支持することができ、カメラ20の撮影精度向上が期待できる。なお、支持部24は、係合部23から外れた各種の位置に設けることができる。例えば、支持部24が、カメラ開口部13の開口領域を介して被係合部14aの反対側に設けられるとよい。これにより、カメラ20の支持位置をより離間させることができるので、確実にカメラ20を支持することができ、カメラ20の撮影精度向上が期待できる。また、支持部24や締結部15は、一又は複数設けることができる。
【0045】
次に、本発明のカメラ搭載構造に用いられる止水部材30について、
図3及び
図4を参照しながら以下に説明する。止水部材30は、例えば、ウレタンゴム等の防水性部材で形成されている。止水部材30は、例えば、多孔質で弾性を有する部材(スポンジ状部材とも称する)で形成されている。このように、止水部材30をスポンジ状の部材で形成することにより、水を止水部材30に含ませつつ、徐々に揮発させることができる。これにより、水が表面張力によって、支持部材11の内側面11F側に侵入することを抑制できる。
【0046】
止水部材30は、カメラ開口部13の開口領域を取り囲むように配置されている(
図5参照)。すなわち、止水部材30は、カメラ開口部13の開口領域の外側に外れた位置に設けられている。
【0047】
止水部材30の下端側は、係合部23の表側部23Rから先端部23Tを経て、裏側部23F方向に折り返しされている。また、本実施形態では、止水部材30が、取付部22の裏側面22Fにおいて、被係合部14aの深さよりも長く形成された延設部30aを有している。
【0048】
止水部材30は、係合部23を被係合部14aに嵌め込んだ際に、表側部23Rから先端部23Tを経て裏側部23Fに至る部分において、係合部23と被係合部14aとの間に挟持される。これにより、係合部23と被係合部14aとの間に入り組んだ複雑な構造が形成される。また、止水部材30が、係合部23の表側部23Rから先端部23Tを経て、係合部23の裏側部23Fに至る部分まで設けられているので、止水部材30の面積を広く確保することができる。これらにより、支持部材11の外側面11R側から内側面11F側に向けての水の侵入を効果的に抑制することができる。また、止水部材30の面積が広く確保されているので、止水部材30をスポンジ状部材で形成した場合において、止水部材30による保水効果をより一層高めることができる。これにより、止水部材30から水が滴り落ちることを抑制できる。
【0049】
止水部材30における延設部30aは、係合部23の裏側部23Fから取付部22の裏側面22Fにかけて延びるように形成されている。これにより、止水部材30の面積を広く確保することができる。また、係合部23や被係合部14aの周りにおいて、止水部材30を複雑な経路で配置することができる。そのため、水が支持部材11の外側面11R側から内側面11F側に向けて侵入することを抑制することができる。
【0050】
延設部30aは、本実施形態では、上端側に向かうにつれて、厚みが厚くなるように形成されている。また、延設部30aは、取付部22の裏側面22Fと接触している。従って、延設部30aを止水部材30の固定代とすることができる。そのため、止水部材30の面積や固定代を広く確保することができる。これにより、取付部22と止水部材30とを確実に固定することが可能である。また、止水部材30の面積が確保されることにより、止水効果を高めることができる。
【0051】
なお、本実施形態では、止水部材30が、カメラ開口部13の周囲全体を取り囲むように一体的に設けられているが、断片的な止水部材30を組み合わせて、カメラ開口部13の周囲に配置することもできる。また、止水部材30は、カメラ20が支持部材11を介して車両1に搭載された状態において、カメラ開口部13を外側面11Rから正面視した際に視認されない位置に配置するとよい。以上が、本発明のカメラ搭載構造の実施形態である。
【0052】
≪変形例≫
次に、止水部材30の配置についての変形例について、
図7に基づいて、以下に説明する。本変形例では、止水部材30の構成以外は、上述した実施形態と同様であるので、同様部分の説明は省略する。また、同一の部材には同一の符号を用いていることに留意されたい。
【0053】
止水部材30は、係合部23を被係合部14aに嵌め込んだ際に、先端部23Tを経て裏側部23Fに至る部分において、係合部23と被係合部14aとの間に挟持される。すなわち、本変形例では、係合部23の表側部23R側には、止水部材30が配置されていない。これにより、例えば、係合部23と被係合部14aとの間の隙間が少ない場合であっても、止水部材30を係合部23と被係合部14aとの間に配置することができる。
【0054】
以上が、本発明のカメラ搭載構造の変形例であるが、本発明のカメラ搭載構造は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0055】
本実施形態では、バックドア2にカメラ20が搭載されているが、本発明のカメラ搭載構造は、これには限定されない。例えば、カメラ20が、車両1の前方側に設けられるラジエーターグリルやフロントバンパー等に搭載されるものでもよい。また、カメラ20が、車両1の側方やドアミラー等に搭載されるものでもよい。また、本実施形態では、カメラ20がバックドア2のドアハンドル10に搭載されているが、本発明のカメラ搭載構造は、これには限定されず、各種のものにカメラ20を搭載することができる。例えば、ドアハンドル10とは独立して、カメラ20が、別途の支持部材に搭載されてもよい。また、カメラ20をドアハンドル10に搭載する場合は、ハンドル操作部12の操作に影響を及ぼさない各種の位置に搭載することができる。また、ドアハンドル10は、バックドア2に搭載されるものだけではなく、車両1に搭載される各種のドアハンドルに搭載することが可能である。
【0056】
また、本実施形態では、カメラ20が取付部22に搭載されているが、取付部22にカメラ20が搭載されていなくてもよい。かかる場合は、カメラ開口部13を塞ぐ適宜の部材をカメラ20に代えて取付部22に搭載すればよい。これにより、カメラ20を搭載しない(カメラレス)車両と、カメラ20を搭載する車両とにおいて、部品を共通化することができる。また、支持部材11やカメラ20の形状や大きさは、各種の形状や大きさのものに変更することが可能である。また、カメラ開口部13やカメラ20の取付部22の形状や大きさも適宜変更することが可能である。また、取付部22に設けられる係合部23の形状、大きさ、数も適宜変更することができる。また、支持部材11に設けられる被係合部14aの形状、大きさ、数も適宜変更することが可能である。
【0057】
また、本実施形態では、被係合部14aが、車両1への搭載状態において上方に向けて形成されているが、被係合部14aの形成方向は、係合部23の配置に応じて各種の方向とすることができる。また、被係合部14aは、受部14に形成されているものだけではなく、横長の溝として形成されているものでもよい。また、受部14の形状や大きさは、適宜変更することができる。例えば、受部14を横長に形成することも可能である。また、受部14は、単数だけではなく複数設けることもできる。また、受部14は、先端側を分岐させて、複数の被係合部14aを設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、受部14の基端側が、ヒケ抑制溝17の内部において、溝壁17a,17aの間を橋渡しするように形成されているが、受部14が溝壁17a,17aの間を橋渡ししないものでもよい。
【0058】
また、本実施形態では、受部14が、ヒケ抑制溝17を利用して形成されているが、受部14がヒケ抑制溝17を利用しないものとしてもよい。また、支持部材11がヒケ抑制溝17を有しないものとしてもよい。また、係合部23や被係合部14aは、単数だけではなく複数設けてもよい。また、支持部材11や取付部22の材質は、樹脂だけではなく各種の素材を用いることができる。また、係合部23及び被係合部14aが、互いに入れ替わって形成されていてもよい。
【0059】
本実施形態では、止水部材30が、延設部30aを有するものとしたが、延設部30aが設けられていなくてもよい。また、延設部30aは、取付部22の形状に合わせて、各種の長さや大きさ(厚みを含む)のものとすることができる。また、延設部30aは、取付部22の裏側面22Fと接触しているものだけではなく、取付部22の裏側面22Fと離間していてもよい。また、本実施形態では、止水部材30が、多孔質及び弾性を有する素材で形成されているものを例示したが、止水部材30は、これに限定されず、防水が可能な各種の材質のものを使用することができる。また、止水部材30は、環状のものや断片状のものなど、各種の形状や大きさのものを使用することができる。
【0060】
また、本実施形態では、取付部22が、係合部23から外れた位置に支持部24を有するものとしたが、支持部24は、締結部15が形成される位置に応じて、各種の位置に配置することができる。例えば、支持部24や締結部15が、カメラ開口部13の横方向に配置されていてもよい。上述した支持部24及び締結部15を配置する位置は、搭載する部材の形状や大きさに合わせて、省スペースとなる配置とすることが望ましい。また、支持部24や締結部15は、ネジ16により締結するものだけではなく、各種の締結手段を採用することができる。例えば、支持部24と締結部15とが、係合ピン等で締結されるものであってもよい。また、支持部24や締結部15の形状や大きさは、各種のものに変更することが可能である。例えば、支持部24は、円形孔ではなく、長孔やU字形状の切込みとしてもよい。
【0061】
以上が、本発明に係るカメラ搭載構造の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のカメラ搭載構造は、各種の車両における車室外にカメラを搭載する際に利用することができる。また、本発明のカメラ搭載構造は、バックドア等に設けられるドアハンドルにカメラを搭載する際に好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 :車両
2 :バックドア
10 :ドアハンドル
11 :支持部材
11R:外側面
11F:内側面
12 :ハンドル操作部
13 :カメラ開口部
14 :受部
14a:被係合部
14b:基端部
15 :締結部
16 :締結部材(ネジ)
17 :ヒケ抑制溝(凹溝)
17a:溝壁
20 :カメラ
21 :レンズ
22 :取付部
22R:表側面
22F:裏側面
23 :係合部
23R:表側部
23T:先端部
23F:裏側部
24 :支持部
30 :止水部材