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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】ワイパ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20250124BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021073022
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167298
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 武士
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-290313(JP,A)
【文献】特開2013-193431(JP,A)
【文献】特開2017-144681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0031221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口を有する吐出部の前記吐出口をワイプするワイパを洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液槽と、
前記洗浄液とは異なる液体であって、前記洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、前記洗浄液槽の前記洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体を貯留する貯留部と、
前記洗浄液槽内の洗浄液の粘度が高くなった場合に、前記貯留部に貯留された液体を前記洗浄液槽に供給する供給部とを備えたワイパ洗浄装置。
【請求項2】
液体を吐出する吐出口を有する吐出部の前記吐出口をワイプするワイパを洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液槽と、
前記洗浄液とは異なる液体であって、前記洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、前記洗浄液槽の前記洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体を前記洗浄液槽に供給する供給部と、
前記洗浄液槽に貯留されている洗浄液の量を検出する液量検出部を備え、
前記供給部が、前記液量検出部によって検出された洗浄液の量に基づいて、前記洗浄液槽に前記液体を供給するワイパ洗浄装置。
【請求項3】
液体を吐出する吐出口を有する吐出部の前記吐出口をワイプするワイパを洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液槽と、
前記洗浄液とは異なる液体であって、前記洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、前記洗浄液槽の前記洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体を前記洗浄液槽に供給する供給部と、
経過時間を計測する時間計測部を備え、
前記供給部が、前記時間計測部によって計測された経過時間に基づいて、前記洗浄液槽に前記液体を供給するワイパ洗浄装置。
【請求項4】
前記吐出部の前記吐出口をワイプするように前記ワイパを移動させるとともに、前記ワイプ後のワイパを前記洗浄液槽内に浸漬させて移動させるワイパ搬送部を備え、
前記ワイパ搬送部が、前記貯留部から前記洗浄液槽に前記貯留部内の液体が供給された場合に、前記ワイパを前記洗浄液槽内に浸漬させて移動させ、前記洗浄液槽内を前記ワイパによって攪拌する請求項1から3いずれか1項記載のワイパ洗浄装置。
【請求項5】
前記ワイパ搬送部が、前記吐出部の吐出口をワイプする際の前記ワイパの移動速度よりも、前記洗浄液槽内を前記ワイパによって攪拌する際の前記ワイパの移動速度を速くする請求項4記載のワイパ洗浄装置。
【請求項6】
前記貯留部に貯留される液体が水である請求項1から5いずれか1項記載のワイパ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパを洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液槽を有するワイパ洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙およびフィルムなどの印刷媒体に対して、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を施すインクジェット印刷装置が提案されている。
【0003】
インクジェット印刷装置においては、ノズルのインク吐出口にインクが固着したり、用紙から発生した紙粉などのゴミが付着したりすることがある。ノズルのインク吐出口にインクが固着したり紙粉が堆積したりした場合、ノズルからのインクの吐出方向の乱れや不吐出などの吐出不良が発生することがある。
【0004】
このような吐出不良を低減するため、インクジェットヘッドのノズルからインクを強制的に吐出させる、いわゆるパージを行った後、ワイパによってノズルのインク吐出口上をワイプする一連の動作が知られている。
【0005】
たとえば特許文献1には、洗浄液が貯留された洗浄液槽にワイパを浸漬させた後、ワイパによってインクジェットヘッドをワイプするインクジェット印刷装置が提案されている。特許文献1に記載のように、ワイパを洗浄液に直接浸すことによってワイパの汚れを落とすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-154490号公報
【文献】特開2019-1028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述した洗浄液槽に貯留される洗浄液は、成分の60%~90%が水分であり、大気に放置すると水分が蒸発して粘度が高くなる。たとえば水分量のうち40%が減少すると粘度が約2.5倍に上昇する。
【0008】
このように洗浄液槽に貯留された洗浄液の粘度が高くなると、たとえば洗浄液を交換する場合など洗浄液槽から洗浄液を排出する際、排出経路を詰まらせる問題がある。
【0009】
特許文献2には、洗浄液槽の排出経路の詰まりを防止するため、予め設定されたタイミングで定期的に洗浄液を排出する方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の方法でも、定期期間内の水分の蒸発によって洗浄液の粘度が上昇し、洗浄液の排出性が低下する。また、特許文献2に記載の装置では、たとえば停電などといった装置本体の電源が長期間入れられない場合、洗浄液槽から洗浄液を全て排出しておかなければ、次に電源が入れられたときに洗浄液を排出すると排出経路が詰まってしまう。また、洗浄液槽から洗浄液を全て排出するのは手間がかかる。
【0011】
本発明は、洗浄液槽の排出経路の詰まりを防止することができるワイパ洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のワイパ洗浄装置は、液体を吐出する吐出口を有する吐出部の吐出口をワイプするワイパを洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液槽と、洗浄液とは異なる液体であって、洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、洗浄液槽の洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された液体を洗浄液槽に供給する供給部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明のワイパ洗浄装置は、洗浄液とは異なる液体であって、洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、洗浄液槽の洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された液体を洗浄液槽に供給する供給部とを備えるようにしたので、洗浄液槽内に上記液体を供給することによって、洗浄液の粘度を下げることができ、洗浄液槽の排出経路の詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のワイパ洗浄装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置の概略構成を示す図
図2図1に示すインクジェット印刷装置を矢印A方向から見た図
図3】ヘッドユニットの一例の概略構成を示す図
図4】ワイピングユニットの概略構成を示す斜視図
図5図4に示すワイピングユニットのB-B線断面図
図6】インクジェット印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
図7】ワイピングユニットの水供給動作を説明するためのフローチャート
図8】本発明のワイパ洗浄装置のその他の実施形態を用いたインクジェット印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明のワイパ洗浄装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置について詳細に説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、本発明のワイパ洗浄装置に相当するワイピングユニットの構成に特徴を有するものであるが、まずは、インクジェット印刷装置全体の構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成図である。また、図2は、図1に示すインクジェット印刷装置1を矢印A方向から見た図である。なお、以下に示す実施形態の説明では、図1に矢印で示す上下左右前後を、インクジェット印刷装置1における上下左右前後方向とする。
【0016】
本実施形態のインクジェット印刷装置1は、図1に示すように、基台2と、脚台3と、プラテン4と、レール部5と、ヘッドユニット10と、ワイピングユニット20とを備えている。
【0017】
基台2は、前後方向に延設された柱状部材であって、左右方向に間隔を空けて平行に配置されている。2本の基台2の底面には、それぞれ2つの車輪2aが設けられている。
【0018】
各基台2上には、それぞれ脚台3が立設されている。そして、互いに向かい合う2つの脚台3の上面に、プラテン4が支承されている。
【0019】
プラテン4の前後には、弧状に形成された前方用紙ガイド4aおよび後方用紙ガイド4bが延設されている。また、プラテン4の下部には、図2に示すように、ファン4dが設置されたバキューム室4cが設けられている。なお、図1においては、バキューム室4cは図示省略している。
【0020】
バキューム室4cのファン4dが回転することによってバキューム室4c内が負圧となり、プラテン4に形成された吸引孔(図示省略)に吸引力が発生する。プラテン4の吸引孔に発生した吸引力によって、プラテン4上に印刷用紙Pが吸着する。
【0021】
また、プラテン4の後方には、図2に示すように、駆動ローラ6および加圧ローラ7が対向して設けられている。なお、図1においては、駆動ローラ6および加圧ローラ7は図示省略している。
【0022】
駆動ローラ6は、プラテン4の延伸方向に延設された長尺状のローラであって、後述する搬送駆動モータ61(図6参照)によって回転する。
【0023】
加圧ローラ7は、駆動ローラ6と同様に、プラテン4の延伸方向に延設された長尺状のローラであって、図示省略した昇降機構によって昇降可能に支持されている。
【0024】
そして、後方用紙ガイド4b上の印刷用紙Pが、駆動ローラ6と加圧ローラ7によって挟持され、加圧ローラ7によって印刷用紙Pが押圧された状態で駆動ローラ6が回転することによって、印刷用紙Pが前方に送り出される。
【0025】
インクジェット印刷装置1の基台2の前側には、印刷用紙Pを巻き取る芯体8aを着脱可能に保持する巻き取り側芯体保持部8が設けられている。巻き取り側芯体保持部8は、トルクリミッタ(図示省略)を介して巻き取り駆動モータ81(図6参照)に連係しており、巻き取り駆動モータ81によって巻き取り側芯体保持部8が回転するよう構成されている。
【0026】
また、インクジェット印刷装置1の基台2の後ろ側には、印刷用紙Pがロール状に巻かれたロール紙の芯体9aを着脱可能に保持する供給側芯体保持部9が設けられている。供給側芯体保持部9は、トルクリミッタ(図示省略)を介して供給駆動モータ91(図6参照)に連係しており、供給駆動モータ91によって供給側芯体保持部9が回転するよう構成されている。
【0027】
そして、図2に示すように、供給側芯体保持部9に保持されたロール紙(印刷用紙P)が引き出され、後方用紙ガイド4b、駆動ローラ6と加圧ローラ7との間、プラテン4上、前方用紙ガイド4aを経由して、巻き取り側芯体保持部8に保持された芯体8aに巻き取られるように構成されている。
【0028】
2つの脚台3の上部には、図示省略した支持部材を介してレール部5が架設されている。レール部5は、左右方向に延設されたレール(図示省略)とレール上においてヘッドユニット10を左右方向に往復移動させる主走査駆動モータ54(図6参照)を備えている。
【0029】
また、レール部5の一方の端部には、ワイピングユニット20が設けられている。そして、ヘッドユニット10が、ワイピングユニット20内に配置されることによって、ワイピングユニット20によるワイピングが行われる。なお、本実施形態においては、ワイピングユニット20が、本発明のワイパ洗浄装置に相当する構成を含む。
【0030】
図3は、ヘッドユニット10の概略構成を示す図である。図3に示すように、本実施形態のヘッドユニット10は、第1のヘッド11~第5のヘッド15までの5つのヘッドが設けられている。第1のヘッド11、第2のヘッド12、第3のヘッド13および第4のヘッド14は、それぞれ異なる色のインクを吐出するインクジェットヘッドであり、たとえばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)のインクを吐出する。
【0031】
第5のヘッド15は、第1のヘッド11~第4のヘッド14と同様の構成であるが、吐出する液体がインクではなく、前処理液を吐出する。前処理液とは、印刷用紙Pに対してインクを吐出して印刷処理を行う前に、前処理のための塗布される液体である。前処理液としては、たとえばインクの発色性や均一塗布性を向上させるための液体が用いられるが、既に公知な前処理液を用いることができる。
【0032】
第1~第5のヘッド11~15は、図3に示すように、ヘッドユニット10の移動方向(左右方向)に並べて配列されるものであるが、第1~第4のヘッド11~14と第5のヘッド15はスタガ配列される。
【0033】
すなわち、第1~第4のヘッド11~14は、ヘッドユニット10の移動方向に直交する方向(前後方向)について同じ位置に配置されるが、第1~第4のヘッド11~14と第5のヘッド15とは、ヘッドユニット10の移動方向に直交する方向(前後方向)について異なる位置に配置される。
【0034】
次に、本実施形態のワイピングユニット20について説明する。図4は、本実施形態のワイピングユニット20の概略構成を示す斜視図である。図5は、図4に示すワイピングユニット20のB-B線断面図である。
【0035】
ワイピングユニット20は、洗浄液槽20aと、第1~第5のワイパ21a~21eと、第1および第2のベルト搬送ローラ23,24と、第1および第2の搬送ベルト22,25とを備えている。
【0036】
第1~第4のワイパ21a~21dは、第1~第4のヘッド11~14に対応するワイパであり、第1~第4のヘッド11~14の吐出面をワイプする。吐出面とは、インクジェットヘッドのノズルのインク吐出口が配列された面である。
【0037】
第5のワイパ21eは、第5のヘッド15に対応するワイパであり、第5のヘッド15の吐出面をワイプする。
【0038】
第1~第5のワイパ21a~21eは、ヘッドユニット10の移動方向の第1~第5のヘッド11~15の間隔と同じ間隔で配置されている。
【0039】
第1~第4のワイパ21a~21dは、第1の搬送ベルト22に前後方向に同じ位置に立設されている。第5のワイパ21eは、第2の搬送ベルト25に立設されている。
【0040】
第1~第5のワイパ21a~21eは、可撓性を有するゴムなどから形成されている。
【0041】
洗浄液槽20aは、洗浄液を貯留する。洗浄液槽20aは、第1の洗浄液槽20cと、第2の洗浄液槽20dとの2つの凹部を有し、第1の洗浄液槽20cと第2の洗浄液槽20dとの間には隔壁20bが設けられている。すなわち、第1の洗浄液槽20cと第2の洗浄液槽20dは、完全に独立した洗浄液槽として形成されている。
【0042】
洗浄液は、インクを溶解させる機能を有する液体である。この洗浄液としては、例えば、水および界面活性剤を含む水性溶媒を用いることができる。
【0043】
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α-スルホ脂肪酸エステルナトリウム、アルキル燐酸エステルナトリウム等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、等のカチオン性界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等の両性界面活性剤を用いることができる。また、高分子系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤等も用いることができる。これらのなかでもポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、そのHLB値は11~17、アルキル基の炭素数は8~15、エチレンオキサイドの付加モル数は6~25であることがより好ましい。
【0044】
洗浄液には、さらに増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤としては、水溶性高分子系増粘剤、粘土鉱物系増粘剤を用いることができる。水溶性高分子系増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子を用いることができる。天然高分子としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、コーンスターチ、コンニャクマンナン、寒天等の植物系天然高分子;プルラン、キサンタンガム、デキストリン等の微生物系天然高分子;ゼラチン、カゼイン、にかわ等の動物系天然高分子、を用いることができる。半合成高分子としては、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子;ヒドロキシエチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等のデンプン系半合成高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸系半合成高分子;ヒアルロン酸ナトリウム、を用いることができる。合成高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリN- ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド等のビニル系合成高分子;ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリウレタンを用いることができる。粘土鉱物系の増粘剤としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト系粘土鉱物を用いることができる。これらのなかでも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
【0045】
さらに、洗浄液には、上記の成分に加え、任意に、水溶性有機溶剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含むことができる。洗浄液の粘度は、23℃において3~200mPa・sであることが好ましい。
【0046】
第1の洗浄液槽20c内には、第1~第4のワイパ21a~21dが立設された第1の搬送ベルト22が収容され、第2の洗浄液槽20d内には、第5のワイパ21eが立設された第2の搬送ベルト25が収容される。
【0047】
また、第1の洗浄液槽20c内および第2の洗浄液槽20d内には、第1および第2のベルト搬送ローラ23,24が設けられている。第1および第2のベルト搬送ローラ23,24は、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dに亘って左右方向に延設されている。
【0048】
そして、第1および第2のベルト搬送ローラ23,24は、少なくともヘッドユニット10の前後方向の長さの間隔を空けて平行に配置され、第1のベルト搬送ローラ23と第2のベルト搬送ローラ24との間に、第1の搬送ベルト22および第2の搬送ベルト25が掛け渡されている。
【0049】
そして、図5に示すように、ベルト駆動モータ39(図6参照)によって第1のベルト搬送ローラ23および第2のベルト搬送ローラ24が矢印C方向に回転することにより、第1および第2の搬送ベルト22,25が移動する。これにより、第1~第5のワイパ21a~21eが前後方向(第1~第5のヘッド11~15のノズルの配列方向)に移動し、第1~第5のヘッド11~15の吐出面をワイプする。なお、本実施形態においては、第1および第2のベルト搬送ローラ23,24、第1および第2の搬送ベルト22,25並びにベルト駆動モータ39が、本発明のワイパ搬送部に相当する。
【0050】
また、図5においては、第3のワイパ21cによって第3のヘッド13をワイプする様子のみを代表例として示しているが、第1~第2および第4~第5のワイパ21a,21b、21d,21eによって、第1~第2および第4~第5のヘッド11,12,14,15をワイプする様子も同様である。また、図5に示すLは洗浄液であり、洗浄液Lは、第1および第2の搬送ベルト22,25の下側半分の位置まで貯留されている。
【0051】
また、図4および図5に示すように、洗浄液槽20aの後方には、貯留部26が設けられている。貯留部26は、水貯留槽26aと、蓋部26bとを備えている。水貯留槽26aは、水を貯留する槽であり、蓋部26bは、水貯留槽26aの蓋として機能し、水貯留槽26aからの水の蒸発を抑制する。
【0052】
水貯留槽26aの底部には、水供給管28の一端が接続されており、水供給管28の他端は、洗浄液槽20aの側壁部に形成された水供給孔28aに接続されている。水供給孔28aは、第1の洗浄液槽20cと第2の洗浄液槽20dのそれぞれに形成されている。そして、後述する供給部27と、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dとの間において、水供給管28は、二股に分かれており、第1の洗浄液槽20cに形成された水供給孔28aと第2の洗浄液槽20dに形成された水供給孔28aにそれぞれ接続されている。
【0053】
そして、水供給管28には、上述した供給部27が設けられている。供給部27は、ポンプや弁などを有し、水貯留槽26aに貯留された水を水供給管28を介して第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dのそれぞれに供給する。
【0054】
第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dには、図5に示す液量検出部30が設けられている。なお、図4においては、液量検出部30を図示省略している。液量検出部30は、第1の洗浄液槽20cに貯留されている洗浄液の量を検出する。液量検出部30は、洗浄液の液面を検出するセンサによって構成するようにしてもよいし、洗浄液の量を直接検出するセンサによって構成するようにしてもよい。本実施形態では、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの洗浄液の減少量(水の蒸発量)は同等であるとして、液量検出部30は、第1の洗浄液槽20cのみに設けるようにしたが、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの両方に設けるようにしてもよい。
【0055】
そして、液量検出部30によって第1の洗浄液槽20cに貯留された洗浄液の量(液面の高さ)が、予め設定された閾値以下となったことが検出された場合には、その検出信号が、後述する印刷制御装置16に出力される。
【0056】
印刷制御装置16は、入力された検出信号に基づいて、供給部27に制御信号を出力し、供給部27は、印刷制御装置16から出力された制御信号に応じてポンプや弁などを駆動し、水貯留槽26aから第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dへ水を供給する。
【0057】
このように、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20d内に水を供給することによって、洗浄液の粘度を下げることができ、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの後述する排出管29の詰まりを防止することができる。なお、本実施形態においては、貯留部26に水を貯留し、これを第1および第2の洗浄液槽20c,20dに供給することによって洗浄液の粘度を下げるようにしたが、貯留部26に貯留する液体としては、水に限らず、洗浄液とは異なる液体であって、洗浄液槽内の洗浄液の粘度を下げ、洗浄液槽の洗浄液の排出経路の詰まりを防止する液体であれば良い。たとえば上記のような機能を発揮する液体であれば、水に対してインク成分などの不純物が多少含まれていてもよい。
【0058】
ただし、本実施形態のように水を用いることによって、より高い洗浄効果を得ることができ、また水以外の液体を用いる場合と比較すると、コストを削減することができ、取扱いも容易である。
【0059】
そして、液量検出部30は、水の供給が開始された後、第1の洗浄液槽20cに貯留された洗浄液の量(液面の高さ)が、予め設定された閾値を超えた場合には、その検出信号を印刷制御装置16に出力する。このように、液量検出部30による検出結果に基づいて、水の供給と停止を制御することによって、洗浄液の水の蒸発量に応じた水の供給を行うことができる。
【0060】
そして、印刷制御装置16は、入力された検出信号に応じて供給部27を制御し、水の供給を停止させる。
【0061】
そして、印刷制御装置16は、水の供給を停止した後、第1のベルト搬送ローラ23および第2のベルト搬送ローラ24を矢印C方向に回転させることによって、第1~第5のワイパ21a~21eを移動させ、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20d内の液体の攪拌動作を行うが、この攪拌動作については、後で詳述する。
【0062】
また、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの側壁部には、排出孔29aがそれぞれ設けられており、排出孔29aには、排出管29がそれぞれ接続されている。洗浄液槽20a内の洗浄液Lの交換などを行う際には、排出孔29aから排出管29へ洗浄液が排出される。なお、排出管29にもポンプや弁(図示省略)が設けられており、これらが印刷制御装置16により制御されることによって、洗浄液の排出が制御される。
【0063】
図6は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の制御系の構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置1は、印刷制御装置16からの制御信号に応じて、図6に示す制御対象の各部を動作させる。
【0064】
印刷制御装置16とインクジェット印刷装置1とは、LAN(Local Area Network)またはインターネット回線などの通信回線によって接続されており、互いに通信可能に構成されている。通信回線は、有線でも無線でもよい。
【0065】
印刷制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えたコンピュータから構成される。印刷制御装置16は、入力された印刷ジョブなどに基づいて、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶された印刷制御プログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって図6に示す各部を制御する。
【0066】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1の印刷動作について説明する。なお、ここでは、第5のヘッド15から前処理液を吐出させて印刷用紙Pに塗布し、その後、第1~第4のヘッド11~14からインクを吐出させて前処理液が塗布された印刷用紙Pに印刷を施す場合について説明する。
【0067】
まず、図2に示すように、供給側芯体保持部9にロール紙が設置され、そのロール紙(印刷用紙P)が引き出され、後方用紙ガイド4b、駆動ローラ6と加圧ローラ7との間、プラテン4上、前方用紙ガイド4aを経由して、巻き取り側芯体保持部8に保持された芯体8aに巻き付けられる。
【0068】
そして、印刷制御装置16は、供給側芯体保持部9、巻き取り側芯体保持部8および駆動ローラ6を回転させることによって、印刷用紙Pを送り出し、印刷初期位置まで到達した時点で印刷用紙Pの送り出しを一旦停止する。
【0069】
次に、印刷制御装置16は、主走査駆動モータ54を動作させ、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向(左右方向のいずれかの方向)に移動させる。そして、印刷制御装置16は、ヘッドユニット10の移動とともに、ヘッドユニット10の第5のヘッド15を動作させ、第1の走査ラインに前処理液を塗布する。なお、最初の第1の走査ラインの走査の際には、第1~第4のヘッド11~14からのインク吐出は行わない。
【0070】
次いで、印刷制御装置16は、第1~第4のヘッド11~14の直下に、前処理液を塗布した第1の走査ラインが配置されるように、印刷用紙Pを1走査ライン分だけ送り出す。
【0071】
そして、印刷制御装置16は、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向とは逆の第2の方向に移動させ、その移動とともに、第1~第4のヘッド11~14からインクを吐出させ、第1の走査ラインに印刷を施す。また、印刷制御装置16は、第1の走査ラインに印刷を施すとともに、第5のヘッド15を動作させ、第1の走査ラインの次の第2の走査ラインに前処理液を塗布する。
【0072】
続いて、印刷制御装置16は、印刷用紙Pを1走査ライン分だけ送り出し、第1~第4のヘッド11~14の直下に第2の走査ラインを配置し、第5のヘッド15の直下に、第2の走査ラインの次の第3の走査ラインを配置させる。
【0073】
そして、印刷制御装置16は、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向に移動させ、その移動とともに、第1~第4のヘッド11~14および第5のヘッド15を動作させることによって、第3の走査ラインに前処理液を塗布するとともに、第2の走査ラインに印刷を施す。
【0074】
以後、印刷制御装置16は、上記と同様に、1走査ライン分の印刷用紙Pの送り出しと、レール部5上におけるヘッドユニット10の第1の方向または第2の方向への移動とを交互に繰り返しながら、第n+1の走査ラインへの前処理液の塗布と第nの走査ラインへの印刷を順次行う。
【0075】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1のワイピング動作について説明する。
【0076】
ワイピング動作は、印刷処理を行わない待機期間中において行われ、この際、印刷制御装置16は、レール部5上においてヘッドユニット10を移動させ、図5に示すようにワイピングユニット20の上方に配置する。
【0077】
そして、印刷制御装置16は、第1および第2の洗浄液槽20c,20d内の洗浄液に浸漬された状態の第1~第5のワイパ21a~21eを第1および第2の搬送ベルト22,25によって移動させ、第1~第5のワイパ21a~21eの先端を、対応する第1~第5のヘッド11~15の前端の位置に配置させる。
【0078】
次いで、印刷制御装置16は、そのまま第1~第5のワイパ11~15を移動させ、第1~第5のワイパ21a~21eの先端部が、第1~第5のヘッド11~15の吐出面に押し当てられ、弾性変形した状態となるようにする。この際、印刷制御装置16は、第1~第5のワイパ21a~21eの先端を第1~第5のヘッド11~15の吐出面に押し当てるため、ヘッドユニット10を下方に移動させるか、もしくはワイピングユニット20を上方に移動させるようにしてもよい。
【0079】
そして、印刷制御装置16は、第1~第5のワイパ21a~21eの先端部が、第1~第5のヘッド11~15の吐出面に押し当てられた状態において、さらに第1~第5のワイパ21a~21eを移動させ、これにより第1~第5のヘッド11~15の吐出面のワイピングが行われる。
【0080】
そして、印刷制御装置16は、第1~第5のワイパ21a~21eの先端部が、第1~第5のヘッド11~15の後端まで移動することによってワイピングを終了した後、さらに第1~第5のワイパ21a~21eを移動させ、再び、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの洗浄液に浸漬した状態とする。
【0081】
なお、上述したワイピング動作については、印刷処理を開始する直前に自動的に行うようにしてもよいし、ユーザの指示入力に応じて行うようにしてもよい。また、予め設定された期間毎または予め設定された印刷範囲の長さ(印刷用紙Pの送り出し量)毎に行うようにしてもよい。
【0082】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1のワイピングユニット20における水供給動作について説明する。図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0083】
まず、上述したように第1の洗浄液槽20cに貯留された洗浄液の量が、液量検出部30によって監視される(S10)。
【0084】
そして、第1の洗浄液槽20cに貯留された洗浄液が、予め設定された閾値以下になった場合には(S12,YES)、液量検出部30から印刷制御装置16にその検出信号が出力される。
【0085】
印刷制御装置16は、液量検出部30から検出信号を受け付けた場合には、ワイピングユニット20が待機状態のときに、供給部27を制御することによって、貯留部26から第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dに水を供給する(S14)。なお、ワイピングユニット20が待機状態のときとは、上述したワイピング動作中ではなく、第1~第5のワイパ21a~21eが、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの洗浄液に浸漬した状態のときである。
【0086】
そして、水の供給が開始された後、第1の洗浄液槽20cに貯留された洗浄液の量が、予め設定された閾値を超えたことが液量検出部30によって検出された場合には(S16,YES)、その検出信号が印刷制御装置16に出力され、印刷制御装置16は、供給部27を制御して水の供給を停止する(S18)。
【0087】
次いで、印刷制御装置16は、第1のベルト搬送ローラ23および第2のベルト搬送ローラ24を矢印C方向に回転させ、待機状態の第1~第5のワイパ21a~21eを移動させることによって攪拌動作を行う(S20)。本実施形態では、印刷制御装置16は、第1~第5のワイパ21a~21eが元の待機状態の位置に戻るまで移動させる。すわなち、本実施形態の印刷制御装置16は、第1および第2の搬送ベルト22,25の長さと同じ距離だけ第1~第5のワイパ21a~21eを移動させる。これにより、第1および第2の洗浄液槽20c,20d内の液体が攪拌され、洗浄液と新たに供給された水とを混ぜ合わせることができる。また、第1~第5のワイパ21a~21eの移動によって攪拌するようにしたので、攪拌機構を新たに設ける必要がなく、コストの削減を図ることができる。
【0088】
なお、このように攪拌動作を行う際の第1~第5のワイパ21a~21eの移動速度は、上述したワイピング動作を行う際の移動速度よりも速くすることが好ましい。これにより、第1および第2の洗浄液槽20c,20d内の液体の攪拌性能を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態においては、攪拌動作の際、第1~第5のワイパ21a~21eを1周させるようにしたが、これに限らず、2周以上周回させるようにしてもよい。
【0090】
そして、上述した攪拌動作の後、再び、S10に戻り、液量検出部30によって洗浄液の量が監視される。
【0091】
なお、上記実施形態においては、1つの貯留部26から第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dの2つの洗浄液槽に水を供給するようにしたが、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dのそれぞれに対して、貯留部26および供給部27を設けるようにしてもよい。そして、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dにそれぞれに設けられた液量検出部30の検出信号に基づいて、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dへの水の供給をそれぞれ独立して制御するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、液量検出部30によって検出された洗浄液の液量に基づいて、水の供給を制御するようにしたが、これに限らず、たとえば図8に示すように、印刷制御装置16に時間計測部31を設け、時間計測部31によって計測された経過時間に基づいて、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dに水を供給するようにしてもよい。
【0093】
具体的には、たとえば第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dから洗浄液を全て排出し、新しい洗浄液を供給した時点からの経過時間を時間計測部31によって計測し、その計測した経過時間が予め設定された閾値となった場合に、印刷制御装置16が、供給部27を制御し、第1の洗浄液槽20cおよび第2の洗浄液槽20dに対して予め設定された量(水の蒸発量に相当する量)の水を供給するようにしてもよい。このように、時間計測部31による経過時間の計測結果に基づいて、水の供給と停止を制御することによって、洗浄液の水の蒸発量に応じた水の供給をタイマなどの簡易な構成によって行うことができる。
【0094】
また、上記実施形態においては、第1~第5のワイパ21a~21eによって第1および第2の洗浄液槽20c,20d内の液体を攪拌するようにしたが、第1~第5のワイパ21a~21e以外に、第1および第2の搬送ベルト22,25、第1のベルト搬送ローラ23または第2のベルト搬送ローラ24に対して、攪拌機構を設け、第1および第2のベルト搬送ローラ23,24を回転させることによって、上記攪拌機構も用いて、攪拌動作を行うようにしてもよい。これにより、攪拌性能を向上させることができる。
【0095】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0096】
本発明のワイパ洗浄装置においては、洗浄液槽に貯留されている洗浄液の量を検出する液量検出部を備えることができ、供給部は、液量検出部によって検出された洗浄液の量に基づいて、洗浄液槽に液体を供給することができる。
【0097】
本発明のワイパ洗浄装置においては、経過時間を計測する時間計測部を備えることができ、供給部は、時間計測部によって計測された経過時間に基づいて、洗浄液槽に液体を供給することができる。
【0098】
本発明のワイパ洗浄装置においては、吐出部の吐出口をワイプするようにワイパを移動させるとともに、ワイプ後のワイパを洗浄液槽内に浸漬させて移動させるワイパ搬送部を備えることができ、ワイパ搬送部は、貯留部から洗浄液槽に液体が供給された場合に、ワイパを洗浄液槽内に浸漬させて移動させ、洗浄液槽内をワイパによって攪拌することができる。
【0099】
本発明のワイパ洗浄装置において、ワイパ搬送部は、吐出部の吐出口をワイプする際のワイパの移動速度よりも、洗浄液槽内をワイパによって攪拌する際のワイパの移動速度を速くすることができる。
本発明のワイパ洗浄装置において、貯留部に貯留される液体は水とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0100】
1 インクジェット印刷装置
2 基台
2a 車輪
3 脚台
4 プラテン
4a 前方用紙ガイド
4b 後方用紙ガイド
4c バキューム室
4d ファン
5 レール部
6 駆動ローラ
7 加圧ローラ
8 巻き取り側芯体保持部
8a 芯体
9 供給側芯体保持部
9a 芯体
10 ヘッドユニット
11~15 第1~第5のヘッド
16 印刷制御装置
20 ワイピングユニット
20a 洗浄液槽
20b 隔壁
20c 第1の洗浄液槽
20d 第2の洗浄液槽
21a~21e 第1~第5のワイパ
22 第1の搬送ベルト
23 第1のベルト搬送ローラ
24 第2のベルト搬送ローラ
26 貯留部
26a 水貯留槽
26b 蓋部
27 供給部
28 水供給管
28a 水供給孔
29 排出管
29 排出孔
29a 排出孔
30 液量検出部
31 時間計測部
39 ベルト駆動モータ
54 主走査駆動モータ
61 搬送駆動モータ
81 巻き取り駆動モータ
91 供給駆動モータ
L 洗浄液
P 印刷用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8