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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】クリップ取付座
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20250124BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20250124BHJP
   F16B 19/10 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B60R13/02 B
F16B5/06 Q
F16B19/10 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021099641
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022191032
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古藤 翔
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-62752(JP,A)
【文献】実開平1-174612(JP,U)
【文献】特開平7-257290(JP,A)
【文献】特開2009-275835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60J 5/00
F16B 5/00 ー 5/12
F16B 17/00 ー 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂パネル(1)を相手物(101)に組み付けるための、クリップ(61)が取り付けられるクリップ取付座(13)であって、
前記樹脂パネル(1)の裏側に立てて設けられ、前記クリップ(61)が挟んで装着される被装着板(31)と、
前記被装着板(31)と連結した状態に設けられ、先端が前記相手物(101)と当接することで前記樹脂パネル(1)と前記相手物(101)との相対位置を決める当てリブ(41)とを有し、
前記被装着板(31)には、板厚方向に貫通し、前記クリップ(61)を掛け止める掛止孔(33)が形成され、
前記当てリブ(41)は、前記被装着板(31)の板幅方向における片方の端部から当該被装着板(31)の板厚方向における一側へ延びる第1リブ部(43)と、該第1リブ部(43)から前記被装着板(31)の板幅方向に沿って延びる第2リブ部(45)とを含み、
前記第1リブ部(43)および前記第2リブ部(45)は、前記被装着板(31)と共に空間(S1)を仕切り、
前記掛止孔(33)および前記空間(S1)は、互いに同じ方向に向けて開放される
ことを特徴とするクリップ取付座。
【請求項2】
請求項1に記載されたクリップ取付座において、
前記樹脂パネル(1)の裏面に設けられ、一側面が開口したドッグハウス形状の基部(21)をさらに有し、
前記被装着板(31)は、前記基部(21)の天面部分(23)に板幅方向を前記基部(21)の開口(27)が臨む開口方向(Da)に向けて設けられ、
前記掛止孔(33)および前記空間(S1)は、前記開口方向(Da)に向けて開放される
ことを特徴とするクリップ取付座。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたクリップ取付座において、
前記被装着板(31)は、前記第2リブ部(45)と平行に延びるか、または、前記空間(S1)が前記第1リブ部(43)側から開放側に向かうほど広がるように前記第2リブ部(45)に対して0°超且つ45°以下の角度で傾斜する
ことを特徴とするクリップ取付座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ取付座に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂パネルの相手物への組付けにクリップ取付座が使用されている。クリップ取付座は、樹脂パネルの裏面に一体に設けられる。クリップ取付座には、クリップが装着される。樹脂パネルは、クリップ取付座に取り付けられたクリップを相手物に形成された取付孔に挿入することで、相手物に組み付けられる。このようなクリップ取付座は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のクリップ取付座は、クリップにより挟まれる被クリップ板と、被クリップ板の両側端部に設けられた補強板とを有する。被クリップ板と一方の補強板には、クリップの係止用凸部が係止される係止溝が形成される。係止溝の内部空間は、クリップ板の板厚方向における一方向と当該板厚方向に垂直な一方向(一方の補強板側の方向)との間の90度に亘る放射方向に開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-62752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のクリップ取付座では、係止溝が形成された補強板は、被クリップ板の板厚方向における片側一方向のみに延びる。このようなクリップ取付座において、樹脂パネルと相手物との相対位置を決める当てリブとして補強板を機能させる場合、被クリップ板の一方側の端部では、補強板が被クリップ板の板厚方向における片側にしか設けられないため、樹脂パネルが相手物に組み付けた状態で安定しないおそれがある。
【0006】
そこで、被クリップ板に対して、係止溝が形成された補強板を係止溝よりも基部側のみで係止溝が開放される側にも設けることが考えられる。しかし、そのようにすると、係止溝の延びる方向に対向する一対の補強板の間の空間と係止溝とがそれぞれアンダーカットになるので、スライド型を増やすなどする必要がある。このため、樹脂パネルを成形するための金型構造の複雑化を招く。
【0007】
本発明の目的は、金型構造を複雑にすることなく、樹脂パネルを相手物に安定して組み付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、アンダーカットを増やさず、クリップ取付座を相手物にバランス良く宛がえるように、樹脂パネルと相手物との相対位置を決める当てリブの設け方を工夫した。
【0009】
具体的には、本発明は、樹脂パネルを相手物に組み付けるための、クリップが取り付けられるクリップ取付座を対象とし、次のような解決手段を講じたものである。
【0010】
第1の発明は、前記樹脂パネルの裏側に立てて設けられ、前記クリップが挟んで装着される被装着板と、前記被装着板と連結した状態に設けられ、先端が前記相手物と当接することで前記樹脂パネルと前記相手物との相対位置を決める当てリブとを有する、クリップ取付座である。前記被装着板には、板厚方向に貫通し、前記クリップを掛け止める掛止孔が形成される。前記当てリブは、前記被装着板の板幅方向における片方の端部から当該被装着板の板厚方向における一側へ延びる第1リブ部と、該第1リブ部から前記被装着板の板幅方向に沿って延びる第2リブ部とを含む。前記第1リブ部および前記第2リブ部は、前記被装着板と共に空間を仕切る。前記掛止孔および前記空間は、互いに同じ方向に向けて開放される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のクリップ取付座において、前記樹脂パネルの裏面に設けられ、一側面が開口したドッグハウス形状の基部をさらに有する、クリップ取付座である。前記被装着板は、前記基部の天面部分に板幅方向を前記基部の開口が臨む開口方向に向けて設けられる。そして、前記掛止孔および前記空間は、前記開口方向に向けて開放される。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明のクリップ取付座において、前記被装着板が、前記第2リブ部と平行に延びるか、または、前記空間が前記第1リブ部側から開放側に向かうほど広がるように前記第2リブ部に対して0°超且つ45°以下の角度で傾斜する、クリップ取付座である。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、当てリブが被装着板の一端部から板厚方向へ延びる第1リブ部に加え、第1リブ部から被装着板の板面に沿う方向へ延びる第2リブ部を含むので、相手物に対する樹脂パネルのガタつきを第2リブ部で抑制できる。これにより、樹脂パネルを相手物に安定して組み付けることができる。そして、第1リブ部、第2リブ部および被装着板により仕切られた空間と掛止孔とは共に、互いに同じ方向に向けて開放されるので、これら空間および掛止孔は、共通のスライド型を用いて形成できる。これにより、第2リブ部を設けてもスライド型を増やす必要がないから、樹脂パネルを成形するための金型構造を複雑にせずに済む。
【0014】
第2の発明によれば、被装着板がドッグハウス形状の基部の天面部分に立てて設けられるので、基部のうち樹脂パネルの裏面との接続部分を比較的薄肉に形成することで、樹脂パネルの表面にヒケが生じるのを抑制できる。また、第1リブ部、第2リブ部および被装着板により仕切られた空間と掛止孔とが開放される方向は、基部の開口が臨む開口方向であるので、これら空間および掛止孔は、基部の内部空間を形成する金型と共通のスライド型を用いて形成できる。
【0015】
第3の発明によれば、被装着板と第2リブ部とのなす角度が0°以上且つ45°以下であるので、第1リブ部、第2リブ部および被装着板により仕切られた空間と掛止孔とを共通のスライド型で形成可能としつつ、相手物に対する樹脂パネルのガタつきを第2リブ部で好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、自動車用のセンターパネルのクリップ取付座が設けられた裏面を例示する平面図である。
図2図2は、図1のIIで囲んだクリップ取付座の平面図である。
図3図3は、図2の矢視IIIの方向から見たクリップ取付座の側面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線におけるクリップ取付座の断面図である。
図5図5は、クリップを装着した状態でのクリップ取付座の平面図である。
図6図6は、図5の矢視VIの方向から見たクリップ取付座の側面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線におけるクリップ取付座およびクリップの断面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線におけるクリップ取付座およびクリップの断面図である。
図9図9は、センターパネルをインパネ本体に組み付けた状態でのクリップ取付座に装着されたクリップおよびその周辺を例示する、図7に相当する箇所の断面図である。
図10図10は、センターパネルをインパネ本体に組み付けた状態でのクリップ取付座に装着されたクリップおよびその周辺を例示する、図8に相当する箇所の断面図である。
図11図11は、センターパネルをインパネ本体に組み付けた状態でのクリップ取付座の当てリブおよびクリップならびにその周辺を例示する斜視図である。
図12図12は、図2に相当する比較例のクリップ取付座の平面図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII線におけるクリップ取付座の断面図である。
図14図14は、センターパネルをインパネ本体に組み付けた状態での、図11に相当する比較例のクリップ取付座の当てリブおよびクリップならびにその周辺を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
この実施形態1では、本発明に係るクリップ取付座について自動車用のセンターパネルを例に挙げて説明する。
【0019】
センターパネル1は、インストルメントパネルの中央部分に配置されるセンタークラスターの内装部品である。センターパネル1は、樹脂パネルの一例である。センターパネル1は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの合成樹脂からなり、例えば射出成形によって成形される。図1に示すように、センターパネル1には、オーディオのヘッドユニットやエアコンのスイッチ類などを設置するための複数の開口3が形成される。
【0020】
センターパネル1の裏面には、複数のクリップ取付座11が一体に設けられる。複数のクリップ取付座11は、センターパネル1の外縁に沿って互いに間隔をあけて配置される。例えば、センターパネル1の上辺に沿う部分と下辺に沿う部分にはそれぞれ、3つのクリップ取付座11が配置される。また、センターパネル1の左辺に沿う部分と右辺に沿う部分にはそれぞれ、2つのクリップ取付座11が配置される。
【0021】
複数のクリップ取付座11は、センターパネル1をインストルメントパネル本体(以下、インパネ本体と称する)101に組み付けるために使用される。インパネ本体101は、相手物の一例である。複数のクリップ取付座11には、と、第2取付座15とが含まれる。センターパネル1の上辺および下辺に沿う部分において、3つのクリップ取付座11のうち中間に位置するクリップ取付座11が第2取付座15である。複数のクリップ取付座11のうち第2取付座15以外のクリップ取付座11が第1取付座13である。
【0022】
第1取付座13は、本発明に係るクリップ取付座11である。センターパネル1の上辺および下辺に沿う部分に配置された各第1取付座13は、成形に用いるスライド型201のスライド方向がセンターパネル1の左右方向における内側に向く形状とされる。センターパネル1の左辺および右辺に沿う部分に配置された各第1取付座13は、成形に用いるスライド型201のスライド方向がセンターパネル1の上方に向く形状とされる。
【0023】
図2図4に示すように、第1取付座13は、基部21と、被装着板31と、当てリブ41とを有する。基部21は、センターパネル1の裏面に設けられる。被装着板31および当てリブ41はいずれも、センターパネル1の裏側において、基部21上に立てて一体に設けられる。基部21は、一側面が開口したドッグハウス形状に形成される。
【0024】
基部21は、天面部分23と、周壁部分25とによって構成される。天面部分23は、平面視で台形状に形成される。周壁部分25は、天面部分23の長辺を除く3辺をなす周縁からセンターパネル1の裏面に延びる。周壁部分25におけるセンターパネル1の裏面との接続部分は、比較的薄肉に形成される。基部21の内部空間Siは、天面部分23の長辺に対応する部分に形成された開口27から開放される。
【0025】
被装着板31は、クリップ61が挟んで装着される板体である。被装着板31は、基部21の天面部分23における長辺と短辺の間に配置され、それら両辺に垂直な方向に延びる。被装着板31は、基部21の天面部分23に板幅方向を基部21の開口27が臨む開口方向Daに向けて設けられる。ここで、開口方向Daは、第1取付座13の成形に用いるスライド型201のスライド方向に相当する方向である。
【0026】
被装着板31の高さ方向における中程には、掛止孔33が形成される。掛止孔33は、被装着板31の板幅方向に延びるスリット状の開口である。掛止孔33は、被装着板31を板厚方向に貫通する。掛止孔33は、クリップ61を掛け止めるための孔である。掛止孔33は、基部21の開口方向Daに開放される。掛止孔33は、開放側に向かって僅かに広がる。
【0027】
当てリブ41は、被装着板31と連結した状態に設けられる。当てリブ41の先端は、センターパネル1をインパネ本体101に組み付けた状態で、インパネ本体101と当接する(図6図9および図10参照)。そのことで、当てリブ41は、センターパネル1とインパネ本体101との相対位置を決める。当てリブ41は、被装着板31と合わせて見たときに、平面視でy状をなすように設けられる。当てリブ41は、第1リブ部43と、第2リブ部45と、第3リブ部47と、第4リブ部49とを含む。
【0028】
第1リブ部43は、被装着板31の板幅方向における片方の端部、具体的には基部21の開口27とは反対側に位置する端部から被装着板31の板厚方向における一側(図2中で上側)へ延びる。第2リブ部45は、第1リブ部43の被装着板31とは反対側に位置する端部から被装着板31の板幅方向に沿って延びる。第1リブ部43および第2リブ部45は、被装着板31と共に第1空間S1を仕切る。
【0029】
この第1空間S1は、掛止孔33と同じ方向、つまり開口方向Daに向けて開放される。第2リブ部45は、第1空間S1が第1リブ部43側から開放側に向かうほど広がるように被装着板31に対して傾斜する。第2リブ部45の延びる方向(図2中で二点鎖線に沿う方向)と被装着板31の延びる方向(図2中で一点鎖線に沿う方向)とが基部21の開口27側になす角度αは、例えば、0°超且つ45°以下の角度である。
【0030】
前記角度αは、0.5°以上であることが好ましい。当該角度αが0.5°よりも小さいと、スライド型201がスライドし難いことがある。また、当該角度αが45°よりも大きいと、第1取付座13が大きくなりすぎて、第1取付座13の設置場所が制限される。本例において、前記角度αは、3°に設定される。第2リブ部45は、被装着板31と平行に延びてもよい。
【0031】
第3リブ部47は、被装着板31の板幅方向における第1リブ部43が接続された片方の端部から被装着板31の板厚方向における他側(図2中で下側)へ延びる。第3リブ部47は、被装着板31を介して第1リブ部43と対称となるように設けられる。第4リブ部49は、被装着板31の板幅方向における基部21の開口27側に位置する端部から第3リブ部47と同じ方向へ延びる。第3リブ部47および第4リブ部49は、被装着板31と共に第2空間S2を仕切る。
【0032】
基部21の内部空間Siと、第1空間S1と、掛止孔33とは、センターパネル1の成形時に、共通のスライド型201(図4参照)を用いて設けられる。スライド型201は、第1型部203と、第2型部205とで構成される。第1型部203は、基部21の内面を成形する。第2型部205は、被装着板31における掛止孔33よりも基部21側の部分、第1リブ部43および第2リブ部45の第1空間S1に臨む面と、掛止孔33の内面とを成形する。第1型部203および第2型部205は、一体の金型部品である。
【0033】
複数の第1取付座13には、基準取付座13Rが含まれる。基準取付座13Rは、センターパネル1をインパネ本体101に組み付ける際の上下方向における基準位置を決める。例えば、センターパネル1の上辺に沿って位置する左右両側の第1取付座13が基準取付座13Rとされる。被装着板31の第1リブ部43および第3リブ部47が接続された端部には、補強リブ51が設けられる。補強リブ51は、被装着板31の板厚方向における両側に突出する。
【0034】
補強リブ51の突出長さは、基準取付座13Rと、基準取付座13R以外の第1取付座13とで異なる。具体的には、基準取付座13Rの補強リブ51の突出長さは、基準取付座13R以外の第1取付座13の補強リブ51の突出長さよりも長い。基準取付座13Rの補強リブ51は、インパネ本体101に形成された取付孔103に挿入されると、その取付孔103に対して上下方向に止り嵌めされる。基準取付座13R以外の第1取付座13の補強リブ51は、取付孔103に挿入されると、その取付孔103に隙間嵌めされる。
【0035】
第2取付座15は、第1取付座13とは異なる構成のクリップ取付座11である。各第2取付座15は、基準取付座15Rを構成する。この基準取付座15Rは、センターパネル1をインパネ本体101に組み付ける際の左右方向における基準位置を決める。基準取付座15Rは、いずれか1つの第2取付座15によって構成されてもよい。第2取付座15は、基部21と、被装着板31と、当てリブ41と、補強リブ(不図示)とを有する。
【0036】
第2取付座15の基部21は、第1取付座13の基部21と同様なドッグハウス形状に形成される。第2取付座15の被装着板31には、スリット状の掛止孔が形成される。掛止孔は、被装着板31の板幅方向における側方へは開放されない。当てリブ41は、被装着板31と合わせて見たときに、平面視でH状をなすように設けられる。第2取付座15の補強リブは、取付孔103に対して左右方向に止り嵌めされるように形成される。
【0037】
図5図8に示すように、第1取付座13には、クリップ61が取り付けられる。クリップは、合成樹脂からなる。第2取付座15にも、クリップ61が取り付けられる。クリップ61は、クリップ取付座11の被装着板31に被せて装着される。クリップ61は、一対の第1クリップ片65と、一対の第2クリップ片69とを有する。一対の第1クリップ片65および一対の第2クリップ片69はそれぞれ、可撓性を有する。
【0038】
一対の第1クリップ片65は、互いに離間する方向に広げることが可能である。一対の第1クリップ片65の互いに対向する部分には、掛止爪67が設けられる。これら一対の第1クリップ片65は広げられると、クリップ61の弾性力により互いに接近する方向に復帰しようと付勢される。一対の第2クリップ片69は、一対の第1クリップ片65の両側に設けられる。
【0039】
一対の第2クリップ片69は、クリップ61が被装着板31に装着されてインパネ本体101の取付孔103に挿入されない状態では、被装着板31との間に隙間を設けるように形成される。一対の第2クリップ片69は、互いに接近する方向に狭めることが可能である。これら一対の第2クリップ片69は狭められると、クリップ61の弾性力により互いに離間する方向に復帰しようと付勢される。
【0040】
センターパネル1をインパネ本体101に組み付けるときには、まず、各クリップ取付座11(第1取付座13および第2取付座15)の被装着板31にクリップ61を装着する。このとき、図7に示すように、掛止爪67が掛止孔33に挿入される。そのことで、クリップ61が被装着板31に掛け止められる。そして、図9および図10に示すように、各クリップ取付座11に装着したクリップ61を、インパネ本体101の対応する取付孔103に挿入する。
【0041】
各クリップ61がインパネ本体101の取付孔103に挿入されると、一対の第2クリップ片69が、取付孔103の内側で広がり、取付孔103の周縁に突っ張る。そのことで、各クリップ61がインパネ本体101の取付孔103から抜け止めされる。このようにして、センターパネル1がインパネ本体101に取り付けられると、図11に示すように、当てリブ41がインパネ本体101に当接される。インパネ本体101において、取付孔103の一方側(図11中で左側)には第1リブ部43および第2リブ部45が当接し、取付孔103の他方側(図11中で右側)には第3リブ部47および第4リブ部49が当接する。
【0042】
-実施形態の特徴-
この実施形態の第1取付座13によれば、金型構造を複雑にすることなく、センターパネル1をインパネ本体101に安定して組み付けることができる。
【0043】
図12および図13に示すように、クリップ取付座11が第2リブ部45を有しないと、センターパネル1をインパネ本体101に組み付けたときに、図14に示すように、インパネ本体101に対する当てリブ41の当接箇所が被装着板31の板幅方向においてアンバランスになる。そのため、センターパネル1がインパネ本体101に組み付けた状態で安定しないおそれがある。
【0044】
これに対して、この実施形態の第1取付座13では、当てリブ41が被装着板31の片方の端部から板厚方向へ延びる第1リブ部43に加え、第1リブ部43から被装着板31の板幅方向へ延びる第2リブ部45を含む。第2リブ部45は、インパネ本体101に対するセンターパネル1のガタつきを抑制できる。これにより、センターパネル1をインパネ本体101に安定して組み付けることができる。
【0045】
そして、第1リブ部43、第2リブ部45および被装着板31により仕切られた第1空間S1と掛止孔33とは共に、互いに同じ方向に向けて開放される。これら第1空間S1および掛止孔33は、共通のスライド型201を用いて形成できる。これにより、第2リブ部45を設けてもスライド型201を増やす必要がないから、センターパネル1を成形するための金型構造を複雑にせずに済む。
【0046】
この実施形態のクリップ取付座11では、被装着板31がドッグハウス形状の基部21の天面部分23に立てて設けられる。そして、基部21におけるセンターパネル1の裏面との接続部分が比較的薄肉に形成されるので、センターパネル1の表面にヒケが生じるのを抑制できる。
【0047】
また、第1リブ部43、第2リブ部45および被装着板31により仕切られた第1空間S1と掛止孔33とが開放される方向は、基部21の開口27が臨む開口方向Daである。これら第1空間S1および掛止孔33は、基部21の内部空間Siを形成する金型と共通のスライド型201を用いて形成できる。
【0048】
この実施形態のクリップ取付座11では、被装着板31と第2リブ部45とのなす角度αが0°以上且つ45°以下である。これによれば、第1リブ部43、第2リブ部45および被装着板31により仕切られた第1空間S1と掛止孔33とを共通のスライド型201で形成可能としつつ、インパネ本体101に対するセンターパネル1のガタつきを第2リブ部45で好適に抑制できる。
【0049】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記実施形態において、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【0050】
例えば、第1取付座13は、基部21を有しなくてもよい。第1取付座13について、基部21を有する構成は一例に過ぎない。このことは、第2取付座15についても同じである。要は、第1取付座13では、第2リブ部45が設けられ、且つ掛止孔33および第1空間S1が互いに同じ方向に向けて開放されればよい。
【0051】
本発明に係るクリップ取付座11(第1取付座13)は、フロントピラーガーニッシュなどの種々のボディサイドトリムやドアトリムなど、その他の自動車用の内装パネルの組み付けにも適用することが可能である。また、当該クリップ取付座11(第1取付座13)は、自動車以外の用途に使用される樹脂パネルにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本開示の技術は、樹脂パネルを相手物に組み付けるのに使用されるクリップ取付座について有用である。
【符号の説明】
【0053】
Da 開口方向
S1 第1空間(空間)
1 センターパネル(樹脂パネル)
13 第1取付座(クリップ取付座)
21 基部
31 被装着板
33 掛止孔
41 当てリブ
43 第1リブ部
45 第2リブ部
61 クリップ
101 インパネ本体(相手物)
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