(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】精算端末および精算処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20250124BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20250124BHJP
【FI】
G16H40/20
G07D11/60
(21)【出願番号】P 2021106019
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】松原 真司
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144682(JP,A)
【文献】国際公開第2020/067490(WO,A1)
【文献】特開2012-113523(JP,A)
【文献】特開2014-191476(JP,A)
【文献】特開2014-157416(JP,A)
【文献】特開2010-146464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
G07D 11/00-11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、
報知部と、を備え、
前記制御部は、
前記精算処理の際に、精算対象の診療に係る処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する記憶部から、当該判断情報を取得し、
前記判断情報に基づいて前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、発行済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる、
精算端末。
【請求項2】
前記記憶部は、前記処方箋の発行履歴に係る情報を、さらに保持し、
前記制御部は、前記記憶部から前記発行履歴に係る情報を取得し、前記報知に、前記発行履歴に係る情報の報知を含める、
請求項1に記載の精算端末。
【請求項3】
前記処方箋を受け取るための引換券または前記処方箋である出力媒体を出力する出力部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記処方箋が発行済みでないと判断した場合に、前記出力部に前記出力媒体を出力させ、
前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、前記出力部に前記出力媒体を出力させない、
請求項1または2に記載の精算端末。
【請求項4】
前記制御部は、
前記処方箋の有効期限が切れているか否かを判断し、
前記処方箋が発行済みでなくても前記有効期限が切れている場合は、前記出力部に前記出力媒体を出力させず、前記報知部に、有効期限切れを知らせる報知を行わせる、
請求項3に記載の精算端末。
【請求項5】
診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、
記憶部と、
報知部と、を備え、
前記記憶部は、精算対象の診療に係る処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報を保持し、
前記制御部は、
前記精算処理の際に、前記記憶部から前記判断情報を取得し、
前記判断情報に基づいて前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、発行済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる、
精算処理システム。
【請求項6】
診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、
報知部と、を備え、
前記制御部は、
前記精算処理の際に、精算対象の診療に係る電子処方箋情報が、当該電子処方箋情報を管理するサーバへ送信済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する記憶部から、当該判断情報を取得し、
前記判断情報に基づいて前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、送信済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる、
精算端末。
【請求項7】
前記サーバは、前記電子処方箋情報に対応付けて調剤結果に係る情報を保持し、
前制御部は、前記サーバから前記調剤結果に係る情報を取得し、前記報知に、調剤結果の報知を含める、
請求項6に記載の精算端末。
【請求項8】
前記調剤結果に係る情報には、調剤履歴に係る情報が含まれ、
前記制御部は、前記調剤結果の報知に、調剤履歴に係る情報の報知を含める、
請求項7に記載の精算端末。
【請求項9】
前記電子処方箋情報により提供される薬剤を受け取るための引換情報を出力する出力部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記電子処方箋情報が送信済みでないと判断した場合に、前記出力部に前記引換情報を出力させ、
前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、前記出力部に前記引換情報を出力させない、
請求項6ないし8の何れか一項に記載の精算端末。
【請求項10】
操作を受け付ける操作部を、さらに備え、
前記制御部は、前記電子処方箋情報が送信済みであっても前記操作部が前記引換情報を出力するための操作を受け付けた場合、前記出力部に前記引換情報を出力させる、
請求項9に記載の精算端末。
【請求項11】
前記制御部は、
前記電子処方箋情報の有効期限が切れているか否かを判断し、
前記電子処方箋情報が送信済みでなくても前記有効期限が切れている場合は、前記出力部に前記引換情報を出力させず、前記報知部に、有効期限切れを知らせる報知を行わせる、
請求項9または10に記載の精算端末。
【請求項12】
電子処方箋情報を管理するサーバと外部通信網を介して通信可能な精算処理システムにおいて、
診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、
記憶部と、
報知部と、を備え、
前記記憶部は、精算対象の診療に係る前記電子処方箋情報が前記サーバへ送信済みであるか否かを判断するための判断情報を保持し、
前記制御部は、
前記精算処理の際に、前記記憶部から前記判断情報を取得し、
前記判断情報に基づいて前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、送信済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる、
精算処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療費の精算を行う精算端末および精算処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において診療がなされると、適宜、診療内容に応じた薬剤の処方箋が発行される。従来、処方箋は、医療機関の窓口において発行されている。たとえば、精算端末において診療費の支払いがなされると、処方箋の提供を受けるための引換券が精算端末から出力される。患者は、この引換券を窓口に提示することにより、処方箋の提供を受ける。その後、患者は、発行された処方箋を調剤薬局に持ち込んで、薬剤の提供を受ける。
【0003】
上記の精算端末の一例として、診療費の支払いの際に、薬引換券を発行する診療費支払機が、以下の特許文献1に記載されている。
【0004】
最近では、処方箋を電子化する運用が採られつつある。たとえば、電子処方箋サーバを用いた電子処方箋運用ガイドラインが厚生労働省から発行されている。このシステムでは、電子化された処方箋(電子処方箋)が、外部ネットワークを介して、医療機関の医事システムからサーバに登録される。この登録において、サーバは、電子処方箋の登録に先立ち、管理情報(アクセスコードおよび確認番号)を医事システムに発行する。医事システムは、受信した管理情報とともに診療内容に応じた電子処方箋をサーバに送信する。これに応じて、サーバは、受信した管理情報に紐づけて、受信した電子処方箋を登録する。これにより、サーバに対する電子処方箋の登録が完了する。
【0005】
医療機関では、サーバから受信した管理情報を患者に提供する。たとえば、精算端末において、診療費の支払いがなされた際に、引換券に替えて、当該管理情報が印刷された用紙を出力することができる。患者は、提供された管理情報を、調剤薬局に提示する。調剤薬局の担当者は、調剤薬局内の端末を介してサーバにアクセスし、提示された管理情報を用いて電子処方箋を取得する。担当者は、取得した電子処方箋に基づく薬剤を、患者に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療機関において、財布を忘れるなどの事情により、診療を受けた患者が診療費の支払いを行えない状況が生じた場合に、やむを得ず支払いが後日となる場合がある。このとき、その診療に関して薬剤が必要な場合は、当日、支払いなしで処方箋のみが発行されることが起こり得る。
【0008】
従来、精算端末では、処方箋を発行する端末あるいはシステムとの間で処方箋の発行の状況についての連携がとられておらず、処方箋が未発行なのか発行済みなのかがわからない。このため、後日に診療費の精算が行われるような場合、精算端末での精算時に、処方箋を発行すべきか否か判断できない。たとえば、上記のような精算時に引換券を発行する精算端末では、処方箋が発行済みか否かに関わらず、引換券が発行される。
【0009】
よって、後日に診療費の支払いが行われる場合、医療機関では、患者への確実な処方箋の交付が行えるよう、精算前に患者に窓口に行ってもらい、窓口スタッフが精算端末とは別の端末を用いて処方箋の発行の有無を確認する、という運用が採られることになる。これにより、窓口スタッフ等、医療機関側の負担が増えること懸念される。
【0010】
なお、処方箋が電子処方箋である場合にも、上記の課題が同様に生じ得る。
【0011】
かかる課題に鑑み、本発明は、患者への確実な処方箋の交付が行えつつ、医療機関側の負担を軽減でき得る精算端末および精算処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、精算端末に関する。本態様に係る精算端末は、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、報知部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記精算処理の際に、精算対象の診療に係る処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する記憶部から、当該判断情報を取得し、前記判断情報に基づいて前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、発行済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる。
【0013】
本態様に係る精算端末によれば、患者は、精算の際に、当該精算の前に既に処方箋が発行されているか否かを把握できる。よって、医療機関では、診療費の精算が診療の後日に行われるような場合に、精算の前に窓口で処方箋の発行の有無を確認するといった運用を採らなくてよくなり、窓口スタッフ等、医療機関側の負担を軽減できる。
【0014】
本態様に係る精算端末において、前記記憶部は、前記処方箋の発行履歴に係る情報を、さらに保持するような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記記憶部から前記発行履歴に係る情報を取得し、前記報知に、前記発行履歴に係る情報の報知を含めるような構成とされ得る。
【0015】
この構成によれば、患者等の利用者は、発行履歴に係る情報を確認することにより、既に発行されている処方箋について、詳細な情報を得ることができる。
【0016】
本態様に係る精算端末において、前記処方箋を受け取るための引換券または前記処方箋である出力媒体を出力する出力部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記処方箋が発行済みでないと判断した場合に、前記出力部に前記出力媒体を出力させ、前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、前記出力部に前記出力媒体を出力させないような構成とされ得る。
【0017】
この構成によれば、重複した引換券または処方箋の出力が防止される。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記処方箋の有効期限が切れているか否かを判断し、前記処方箋が発行済みでなくても前記有効期限が切れている場合は、前記出力部に前記出力媒体を出力させず、前記報知部に、有効期限切れを知らせる報知を行わせるような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、患者は、有効期限切れにより診療当日の処方では処方箋を受け取れないことを把握でき、窓口スタッフに相談するなど、処方箋を受け取るための対応をとることができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、精算処理システムに関する。本態様に係る精算処理システムは、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、記憶部と、報知部と、を備える。ここで、前記記憶部は、精算対象の診療に係る処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する。前記制御部は、前記精算処理の際に、前記記憶部から前記判断情報を取得し、前記判断情報に基づいて前記処方箋が発行済みであると判断した場合に、発行済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる。
【0021】
本態様に係る精算処理システムによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0022】
本発明の第3の態様は、精算端末に関する。本態様に係る精算端末は、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、報知部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記精算処理の際に、精算対象の診療に係る電子処方箋情報が、当該電子処方箋情報を管理するサーバへ送信済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する記憶部から、当該判断情報を取得し、前記判断情報に基づいて前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、送信済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる。
【0023】
本態様に係る精算端末によれば、患者は、精算の際に、当該精算の前に既に電子処方箋情報が送信されているか否か、即ち電子処方箋が発行されているか否かを把握できる。よって、医療機関では、診療費の精算が診療の後日に行われるような場合に、精算の前に窓口で電子処方箋の発行の有無を確認するといった運用を採らなくてよくなり、窓口スタッフ等、医療機関側の負担を軽減できる。
【0024】
本態様に係る精算端末において、前記サーバは、前記電子処方箋情報に対応付けて調剤結果に係る情報を保持するような構成とされ得る。この場合、前制御部は、前記サーバから前記調剤結果に係る情報を取得し、前記報知に、調剤結果の報知を含めるような構成とされ得る。
【0025】
この構成によれば、患者は、電子処方箋情報が送信済みであるか否かのみならず、調剤済みであるか否かを把握できる。
【0026】
上記の構成とされた場合、さらに、前記調剤結果に係る情報には、調剤履歴に係る情報が含まれ得る。この場合、前記制御部は、前記調剤結果の報知に、調剤履歴に係る情報の報知を含めるような構成とされ得る。
【0027】
このような構成とされれば、患者は、調剤履歴に係る情報を確認することにより、既に行われた調剤について、詳細な情報を得ることができる。
【0028】
本態様に係る精算端末において、前記電子処方箋情報により提供される薬剤を受け取るための引換情報を出力する出力部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記電子処方箋情報が送信済みでないと判断した場合に、前記出力部に前記引換情報を出力させ、前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、前記出力部に前記引換情報を出力させないような構成とされ得る。
【0029】
この構成によれば、重複した引換情報の出力が防止される。
【0030】
上記の構成とされた場合、操作を受け付ける操作部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記電子処方箋情報が送信済みであっても前記操作部が前記引換情報を出力するための操作を受け付けた場合、前記出力部に前記引換情報を出力させるような構成とされ得る。
【0031】
このような構成とされれば、紛失等により引換情報が必要になった場合に、患者は、精算端末に対して操作を行うことで、新たに引換情報を受け取ることができる。
【0032】
上記のように引換情報を出力する出力部を備える構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記電子処方箋情報の有効期限が切れているか否かを判断し、前記電子処方箋情報が送信済みでなくても前記有効期限が切れている場合は、前記出力部に前記引換情報を出力させず、前記報知部に、有効期限切れを知らせる報知を行わせるような構成とされ得る。
【0033】
このような構成とされれば、患者は、有効期限切れにより診療当日の処方によるサーバへの電子処方箋情報の登録が行われないことを把握でき、窓口スタッフに相談するなど、電子処方箋情報の登録のための対応をとることができる。
【0034】
本発明の第4の態様は、電子処方箋情報を管理するサーバと外部通信網を介して通信可能な精算処理システムに関する。本態様に係る精算処理システムは、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部と、記憶部と、報知部と、を備える。ここで、前記記憶部は、精算対象の診療に係る前記電子処方箋情報が前記サーバへ送信済みであるか否かを判断するための判断情報を保持する。前記制御部は、前記精算処理の際に、前記記憶部から前記判断情報を取得し、前記判断情報に基づいて前記電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、送信済であることに対応する報知を前記報知部に行わせる。
【0035】
本態様に係る精算処理システムによれば、上記第3の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0036】
上記のように、本発明によれば、患者への確実な処方箋の交付が行えつつ、医療機関側の負担を軽減でき得る精算端末および精算処理システムを提供することができる。
【0037】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1(a)は、実施形態1に係る、精算処理システムの構成を示す図である。
図1(b)は、実施形態1に係る、精算端末および医事システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る、医事システムの記憶部に保持された診療データベースの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る、診療費の精算の際に医事システムの制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、報知画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態1の変更例1に係る、記憶部に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図6(b)は、実施形態1の変更例1に係る、報知画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、実施形態1の変更例2に係る、記憶部に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図7(b)は、実施形態1の変更例2に係る、報知画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の変更例2に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る、電子処方箋管理システムの構成を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、実施形態2に係る、医事システムの記憶部に保持された診療データベースの構成を示す図である。
図10(b)は、実施形態2に係る、サーバに構築された電子処方箋データベースの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る、診療費の精算の際に医事システムの制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態2の変更例1に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2の変更例1に係る、調剤済みである場合の報知画面および調剤済みでない場合の報知画面の一例を示す図である。
図14(c)は、実施形態2の変更例1に係る、調剤済みである場合の報知画面の他の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態2の変更例2に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態2の変更例2に係る、問合せ画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17(a)は、実施形態2の変更例3に係る、記憶部に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図17(b)は、実施形態2の変更例3に係る、診療費の精算の際に精算端末の制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図18】
図18(a)および(b)は、その他の変更例に係る、記憶部に保持された診療データベースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0040】
<実施形態1>
図1(a)は、実施形態1に係る精算処理システム1の構成を示す図である。
【0041】
図1(a)に示すように、精算処理システム1は、精算端末10と、医事システム20とを備える。精算端末10と医事システム20は、病院等の医療機関に設置され、医療機関内に敷設されたLAN(Local Area Network)で通信可能に接続されている。医療機関には、1つないし複数の精算端末10が設置されている。
図1(a)には、2つの精算端末10が示されているが、設置される精算端末10の数は、これに限られるものではない。
【0042】
精算端末10は、診療費や、医療機関の利用により生じたその他の費用を、患者等の利用者が精算するためのものであり、たとえば、病院のロビー等に設置される診療費支払機である。医事システム20は、患者情報や、各患者のカルテ情報、診療に応じた薬剤の処方箋情報、診療費といった精算情報等を管理するためのものである。医事システム20は、必ずしも1つの装置により構成されなくてもよく、複数のパーソナルコンピュータやサーバが組み合わされて構成されてもよい。
【0043】
図1(b)は、精算端末10および医事システム20の構成を示すブロック図である。
【0044】
精算端末10は、制御部101と、記憶部102と、紙幣処理部103と、硬貨処理部104と、カード処理部105と、操作表示部106と、音声出力部107と、印刷部108と、バーコードリーダ109と、通信部110とを備える。なお、紙幣処理部103と硬貨処理部104については、精算端末10と別体になっていてもよい。たとえば、精算端末10が、医院、クリニック等のためのPOS端末である場合、POS端末が紙幣処理部103と硬貨処理部104を備える貨幣処理装置に通信ケーブル等で接続され得る。
【0045】
精算端末10が、自動支払機である診療費支払機である場合は、利用者が操作を行う。精算端末10がPOS端末の場合、少なくともPOS端末装置の操作は、医院等の受付係により行われるが、貨幣処理装置がセミセルフタイプであれば、貨幣処理装置の操作は、利用者により行われる。
【0046】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部102に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を備え、制御部101が実行するプログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部102は、制御部101が制御を行う際のワーク領域として利用される。
【0047】
紙幣処理部103は、各金種の紙幣を収容するための紙幣収容部および紙幣を搬送する搬送部を備え、制御部101からの制御により、紙幣収容部と紙幣の入出金部との間で紙幣を搬送する。硬貨処理部104は、各金種の硬貨を収容するための硬貨収容部および硬貨を搬送する搬送部を備え、制御部101からの制御により、硬貨収容部と硬貨の入出金部との間で硬貨を搬送する。
【0048】
カード処理部105は、カード挿入口から挿入されたカード(診察券、クレジットカード等)からカード番号等のカード情報を読み取る。操作表示部106は、所定の情報を表示するとともに、利用者からの操作を受け付ける。操作表示部106は、たとえば、液晶表示器を備えたタッチパネルにより構成される。音声出力部107は、スピーカ等の音声出力手段を備え、制御部101からの制御に応じて、所定の音声を出力する。
【0049】
印刷部108は、クレジットカード等による決済が行われた場合に、利用者控えを送出する。また、印刷部108は、診療費の支払いが行われた場合に領収書を送出し、また、操作表示部106に対して診療明細書の発行操作がなされた場合に、診療明細書を送出する。利用者控え、領収書および診療明細書は、患者等の利用者に領収される領収書類である。さらに、印刷部108は、処方箋を受け取るための引換券を送出(発行)する。印刷部108は、領収書類、引換券等の出力媒体を出力する出力部である。
【0050】
バーコードリーダ109は、診療費を精算するための用紙に印字されたバーコードを読み取る。たとえば、診療を受け付けるための受付機で発行された整理券に、精算のためのバーコードが印字される。患者は、このバーコードを用いて、診療費の精算を行える。バーコードには、診療ごとに付与される診療IDが含まれる。
【0051】
通信部110は、医事システム20および外部通信網(図示せず)と通信を行うための通信インタフェースである。通信部110は、LANを介して、医事システム20の通信部205に接続される。また、通信部110は、ルータ(図示せず)を介して、外部通信網に接続される。制御部101は、患者等の利用者がクレジットカードを用いて精算を行う場合、外部通信網を介してカード情報処理センター(図示せず)と通信を行い、カード決済の処理を行う。
【0052】
医事システム20は、制御部201と、記憶部202と、操作表示部203と、印刷部204と、通信部205と、を備える。
【0053】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路を備え、記憶部202に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を備え、制御部201が実行するプログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部202は、制御部201が制御を行う際のワーク領域として利用される。記憶部202は、患者情報、カルテ情報、精算情報および処方箋情報等の診療情報を更新記憶するための診療データベースを保持している。
【0054】
操作表示部203は、所定の情報を表示するとともに、使用者からの操作を受け付ける。操作表示部203は、たとえば、液晶表示器を備えたタッチパネルにより構成される。印刷部204は、制御部201からの制御により、処方箋等の印刷物を送出する。
【0055】
通信部205は、精算端末10および外部通信網と通信を行うための通信インタフェースである。通信部205は、LANを介して、精算端末10の通信部110に接続される。また、通信部205は、ルータを介して、外部通信網に接続される。
【0056】
なお、医事システム20が複数のパーソナルコンピュータ等で構成される場合、制御部201が複数のCPUで構成され得るとともに、記憶部202が複数のROM、RAM等で構成され得る。
【0057】
図2は、医事システム20の記憶部202に保持された診療データベースの構成を示す図である。
【0058】
診療データベースは、患者情報、カルテ情報、精算情報および処方箋情報を対応付けた構造である。これらの情報には、診療ごとに付与される、各診療を識別するための診療IDが対応付けられる。
【0059】
患者情報には、患者氏名、患者を識別するための患者ID(診察券番号)などが含まれる。カルテ情報には、診療日時、診療内容などが含まれる。精算情報には、診療明細、診療費、未精算および精算済みのいずれの状態であるかを示す精算有無情報などが含まれる。処方箋情報には、各処方箋を識別する処方箋ID、薬の処方内容(種類、量等)、処方箋が未発行または発行済みのいずれの状態にあるかを示す発行有無情報などが含まれる。発行有無情報は、処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報であり、未発行を示す「未発行」の情報と発行済みを示す「発行済み」の情報とを含む。
【0060】
なお、診療データベースは、一つのデータベースで構成されてもよいし、患者情報、カルテ情報などの情報の種別で分けられた複数のデータベースで構成されてもよい。
【0061】
医事システム20では、制御部201が、記憶部202の診療データベースから処方内容を読み出し、印刷部204で紙の処方箋を印刷して出力する発行処理を実行する。発行処理が行われる際に、引換券等から入手される処方箋IDが操作表示部203に入力される。処方箋が発行されると、診療データベースの発行有無情報が、「未発行」の情報から「発行済み」の情報に更新される。
【0062】
ところで、医療機関において、財布を忘れるなどの事情により、診療を受けた患者が診療費の支払いを行えない状況が生じた場合に、やむを得ず支払いが後日となる場合がある。このとき、その診療に関して薬剤が必要な場合は、当日、支払いなしで処方箋のみが発行されことが起こり得る。
【0063】
精算を行う精算端末10と処方箋を発行する医事システム20との間で処方箋の発行の状況についての連携がとられていない場合、精算端末10では、処方箋が未発行なのか発行済みなのかがわからない。このため、後日に診療費の精算が行われるとき、精算端末10では、処方箋を発行すべきか否か判断できない。よって、医療機関では、患者への確実な処方箋の交付が行えるよう、精算前に患者に窓口に行ってもらい、窓口スタッフが医事システム20の端末を用いて処方箋の発行の有無を確認する、という運用が採られることになる。これにより、窓口スタッフ等、医療機関側の負担が増えること懸念される。
【0064】
そこで、本実施形態では、患者への確実な処方箋の交付が行えつつ医療機関側の負担を軽減でき得る制御が、精算端末10の制御部101により実行される。以下、この制御について説明する。
【0065】
図3は、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。
図4は、診療費の精算の際に医事システム20の制御部201が行う制御を示すフローチャートである。
図5は、報知画面310の一例を示す図である。
【0066】
まず、
図3を参照して、精算端末10の制御部101は、診療費の精算に関する取引処理が開始されたか否かを判定する(S101)。たとえば、制御部101は、操作表示部106を介して精算のための操作を受け付けた後、さらに、診察券をカード処理部105が読み取り、あるいは、診療費を精算するための用紙に印字されたバーコードをバーコードリーダ109が読み取った場合に、診療費の精算に関する取引処理が開始されたと判定する。
【0067】
精算取引が開始されると(101:YES)、制御部101は、精算開始通知を、通信部110を介して、医事システム20に送信する(S102)。精算開始通知には、診療費を特定するための識別情報、即ち、診察券の診察券番号(患者ID)またはバーコードに含まれる診療ID情報が含まれる。
【0068】
図4を参照して、医事システム20の制御部201は、精算端末10から精算開始通知を受信すると(S201:YES)、当該通知に含まれる識別情報を参照し、当該識別情報に対応する、精算に必要な診療情報を、記憶部202、即ち診療データベースから読み出して当該通知の送信元の精算端末10に送信する(S202)。送信される診療情報は、診療費および診療明細を含んでいる。また、当該識別情報に対応する処方箋情報が診療データベースに存在する場合、送信される診療情報は、処方箋IDおよび発行有無情報を含んでいる。
【0069】
図3を参照して、精算端末10の制御部101は、診療情報を受信したか否かを監視する(S103)。医事システム20からの診療情報に発行有無情報が含まれていれば、制御部101は、診療情報を受信することにより、判断情報である発行有無情報を取得する。
【0070】
精算端末10の制御部101は、診療情報を受信すると(S103:YES)、受信した診療情報に基づいて、診療費の精算処理を行う(S104)。具体的には、制御部101は、操作表示部106に診療費を表示させて、患者に診療費の精算を促す。そして、制御部101は、患者が現金またはクレジットカード等により診療費の精算を行うと、現金の受取りおよびつり銭の払出しまたはカード決済等を行う。
【0071】
次に、制御部101は、精算完了通知を医事システム20に送信する(S105)。
【0072】
図4を参照して、医事システム20の制御部201は、精算完了通知を受信すると(S203:YES)、記憶部202の診療データベースの精算有無情報を、「未精算」の情報から「精算済み」の情報に更新する(S204)。
【0073】
図3を参照して、精算端末10の制御部101は、精算完了通知を医事システム20に送信すると(S105)、精算対象の診療に関して処方箋が存在するか否かを判定する(S106)。制御部101は、処方箋IDと発行有無情報を取得している場合、処方箋が存在すると判定し(S106:YES)、発行有無情報に基づいて処方箋が発行済みであるか否かを判定する(S107)。
【0074】
診療費の精算が診療の当日に行われる場合、精算時には、通常、処方箋は未発行となる。一方、上述のように、診療費の精算が診療の後日に行われる場合、診療の当日に既に処方箋が発行されていれば、精算時、処方箋は発行済みとなる。処方箋が未発行である場合は、発行有無情報が「未発行」の情報となり、処方箋が発行済みである場合は、発行有無情報が「発行済み」の情報となる。
【0075】
制御部101は、処方箋が未発行である場合(S107:NO)、印刷部108に領収書、診療明細等の領収書類と引換券とを出力させる(S108)。引換券には、処方箋IDが印字されている。
【0076】
なお、領収書類と引換券とが一枚の用紙となっていて、引換券が切り取れるようになっていてもよい。また、引換券には、処方箋IDが印字されなくてもよい。この場合、たとえば、引換券に診察券番号(患者ID)が印字されてもよい。さらに、これら処方箋IDや診察券番号は、バーコード等で表記されてもよい。
【0077】
患者は、出力された引換券を窓口に提示して、処方箋を受け取る。そして、患者は、受け取った処方箋を調剤薬局に持参して提示することにより、自身の薬剤を受け取ることができる。
【0078】
一方、制御部101は、処方箋が発行済みである場合(S107:YES)、発行済みであることに対応する報知を行うための報知処理を実行する(S109)。即ち、制御部101は、
図5に示すような報知画面310を、報知部である操作表示部106に表示させる。報知画面310は、処方箋が既に発行されていることを報知するためのメッセージ311と、OKボタン312とを含んでいる。患者は、メッセージ311を参照して、処方箋が発行済みであることを把握する。その上で、患者は、OKボタン312を操作する。これに応じて、制御部101は、操作表示部106に報知画面310を閉じさせる。
【0079】
次に、制御部101は、印刷部108に領収書類を出力させる(S110)。制御部101は、印刷部108に引換券を出力させない。
【0080】
なお、制御部101は、S106において、精算対象の診療に関して処方箋が存在しないと判定したときも(S106:NO)、印刷部108に領収書類のみを出力させる(S110)。
【0081】
こうして、ステップS108またはS110の処理が終了すると、精算端末10において、診療費の精算に関する取引処理が終了する。
【0082】
なお、ステップS109の処方箋が発行済みである場合の報知は、必ずしも、報知画面310により行われなくともよく、たとえば、音声出力部107から同様のメッセージ内容の音声を出力させてもよい。あるいは、報知画面310の表示とともに、音声出力部107から所定のメッセージやチャイム音を出力させて、より確実に、患者に報知してもよい。
【0083】
また、
図3のステップS108では、上記のように処方箋の引換券が出力(発行)されたが、これに代えて、精算端末10の印刷部108から処方箋が直接発行されてもよい。この場合には、ステップS103で制御部101が受信する診療情報に、処方内容が含まれる。
【0084】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0085】
精算端末10は、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部101と、操作表示部106と、を備える。制御部101は、精算処理の際に、医事システム20の記憶部202から、精算対象の診療に係る処方箋が発行済みであるか否かを判断するための判断情報である発行有無情報を取得し、当該発行有無情報に基づいて処方箋が発行済みであると判断した場合に、発行済であることに対応する報知を操作表示部106に行わせる。これにより、患者は、精算の際に、当該精算の前に既に処方箋が発行されているか否かを把握できる。よって、医療機関では、診療費の精算が診療の後日に行われるような場合に、精算の前に窓口で処方箋の発行の有無を確認するといった運用を採らなくてよくなり、窓口スタッフ等、医療機関側の負担を軽減できる。
【0086】
精算端末10は、処方箋を受け取るための引換券(または処方箋)を出力する印刷部108を、さらに備える。制御部101は、処方箋が発行済みでないと判断した場合に、印刷部108に引換券(または処方箋)を出力させ、処方箋が発行済みであると判断した場合に、印刷部108に引換券(または処方箋)を出力させない。これにより、重複した引換券(または処方箋)の出力が防止され、患者が重複して処方箋を受け取ることを防止できる。
【0087】
<実施形態1の変更例1>
図6(a)は、実施形態1の変更例1に係る、記憶部202に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図6(b)は、実施形態1の変更例1に係る、報知画面320の一例を示す図である。
【0088】
本変更例では、
図6(a)に示すように、記憶部202の診療データベースに保持される処方箋情報に、処方箋の発行履歴に係る情報が含まれる。発行履歴に係る情報には、処方箋の発行日時、処方箋の画像等が含まれる。なお、発行時期を示す情報は、発行日時でなく、時刻まで含まない発行日であってもよい。発行履歴に係る情報は、処方箋の詳細な内容を示す情報である。
【0089】
医事システム20の制御部201は、発行処理により処方箋を発行すると、診療データベースに、発行した処方箋の発行日時と画像を登録する。そして、
図4の制御のステップS202において、制御部201は、精算端末10に送信する診療情報に、発行履歴に係る情報(発行日時、処方箋画像)を加える。
【0090】
精算端末10では、制御部101は、
図3の制御のステップS103の診療情報の受信により、発行履歴に係る情報を取得する。そして、制御部101は、ステップS109の報知処理において、処方箋が発行済みであることに対応する報知に、発行履歴に係る情報の報知を含める。具体的には、制御部101は、
図6(b)に示すような報知画面320を操作表示部106に表示させる。報知画面320は、処方箋が既に発行されていることを報知するためのメッセージ321とOKボタン322とに加え、処方箋の発行日時323と画像324とを含んでいる。報知画面320と同様な内容の報知が、音声出力部107からの音声により行われてもよい。
【0091】
なお、発行履歴に係る情報として、処方箋の画像324でなく、処方内容(薬の種類、量などの項目)が、報知画面320に含まれてもよい。
【0092】
本変更例によれば、患者等の利用者は、発行履歴に係る情報(発行日時、処方箋画像)を確認することにより、既に発行されている処方箋について、詳細な情報を得ることができる。
【0093】
<実施形態1の変更例2>
図7(a)は、実施形態1の変更例2に係る、記憶部202に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図7(b)は、実施形態1の変更例2に係る、報知画面330の一例を示す図である。
図8は、実施形態1の変更例2に係る、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。なお、
図8では、便宜上、ステップS101~S105の処理の図示が省略されている。
【0094】
本変更例では、
図7(a)に示すように、記憶部202の診療データベースに保持される処方箋情報に、処方箋の有効期限が含まれる。当該有効期限は、診療日から所定期間(たとえば4日間)に設定される。
【0095】
精算端末10の制御部101は、診療費の精算の際に、
図3の制御に替えて
図8の制御を実行する。
図8のフローチャートでは、
図3のフローチャートに対しステップS121~S123の処理が追加されている。
【0096】
図8を参照して、制御部101は、ステップS107において処方箋が未発行であると判定すると(S107:NO)、処方箋の有効期限が切れているか否かを判定する(S121)。有効期限は、
図4のステップS202の処理により医事システム20から送信され、制御部101がステップS103の診療情報の受信により取得する。
【0097】
診療当日に診療費の精算が行われる場合、有効期限切れは生じない。制御部101は、有効期限内であると判定すると(S121:YES)、印刷部108に領収書類と引換券とを出力させる(S108)。
【0098】
診療当日に診療費の精算が行われることなく処方箋も発行されず、後日に精算が行われるような場合、精算が行われる日に有効期限が切れていることが起こり得る。制御部101は、有効期限が切れていると判定すると(S121:NO)、有効期限切れを知らせる報知を行うための報知処理を実行する(S122)。即ち、制御部101は、
図7(b)に示すような報知画面330を、操作表示部106に表示させる。報知画面330は、処方箋が有効期限切れであることを知らせて患者を窓口へ誘導するためのメッセージ331と、OKボタン332とを含んでいる。患者は、メッセージ331を参照して、処方箋を発行してもらうために窓口へ行かなければならないことを把握する。その上で、患者は、OKボタン332を操作する。これに応じて、制御部101は、操作表示部106に報知画面330を閉じさせる。
【0099】
その後、制御部101は、印刷部108に領収書類のみを出力させる(S123)。
【0100】
本変更例によれば、患者は、有効期限切れにより診療当日の処方では処方箋を受け取れないことを把握でき、窓口スタッフに相談するなど、処方箋を受け取るための対応をとることができる。
【0101】
なお、上記の例では、診療データベースに処方箋の有効期限が登録され、当該有効期限が精算端末10に送信された。しかしながら、診療データベースに処方箋の有効期限が登録されず、有効期限に替えて、診療データベースに登録されている診療日時が精算端末10に送信され、精算端末10の制御部101が、診療日時から有効期限を算出するようにしてもよい。即ち、有効期限を判断するための情報は、有効期限自体でなく、有効期限の起算のもとになる診療日時や診療日であってもよい。
【0102】
また、本変更例の構成に、上記実施形態1の変更例1の構成を適用することもできる。
【0103】
<実施形態2>
図9は、実施形態2に係る電子処方箋管理システム2の構成を示す図である。
【0104】
本実施形態では、精算処理システム1を構成する精算端末10および医事システム20が、それぞれ、ルータ60を介して、外部通信網50に接続されている。外部通信網50は、インターネット、専用回線または公衆回線等からなっている。外部通信網50には、サーバ30と薬局端末40が接続されている。精算処理システム1、即ち精算端末10および医事システム20と、サーバ30と、薬局端末40とにより、電子処方箋管理システム2が構成される。
【0105】
電子処方箋管理システム2では、医事システム20が電子処方箋に関する情報(以下、「電子処方箋情報」という)を、サーバ30に送信する。即ち、医事システム20の制御部201が、診療に応じて生成される電子処方箋情報を、外部通信網50を介して、サーバ30に登録する処理を行う。
【0106】
サーバ30は、電子処方箋情報を管理する。サーバ30は、医事システム20から受信した電子処方箋情報を記憶するためのデータベースを有する。
図9に示した医事システム20以外の医事システムも外部通信網50に接続されている。サーバ30は、これらの医事システムから受信する電子処方箋情報も、同様に管理する。
【0107】
薬局端末40は、調剤薬局等の、処方箋に基づき患者に薬剤を提供する施設に設置される。薬局端末40は、パーソナルコンピュータやタブレット等の情報処理端末である。薬局端末40が、調剤を管理する専用端末であってもよい。薬局端末40は、サーバ30にアクセスして患者の電子処方箋情報を取得し、取得した電子処方箋情報を表示する。薬剤師等の担当者は、表示された電子処方箋情報に基づいて薬剤を調剤し、調剤した薬剤を患者に提供する。
【0108】
図10(a)は、医事システム20の記憶部202に保持された診療データベースの構成を示す図である。
【0109】
本実施形態では、診療データベースを構成する処方箋情報に、上記実施形態1の処方箋情報に含まれた発行有無情報に替えて、サーバ30に対して電子処方箋情報が未送信の状態にあるのか送信済みの状態にあるのかを示す送信有無情報が含まれる。送信有無情報は、電子処方箋情報が送信済みであるか否かを判断するための判断情報であり、未送信を示す「未送信」の情報と送信済みを示す「送信済み」の情報とを含む。本実施形態の診療データベースを構成するその他の診療情報は、上記実施形態1の診療データベースの場合と同様である。
【0110】
図10(b)は、サーバ30に構築された電子処方箋データベースの構成を示す図である。
【0111】
電子処方箋データベースは、アクセスコードおよび確認番号と、処方箋情報および調剤結果とを対応付けた構造である。アクセスコードおよび確認番号は、電子処方箋情報を管理するための管理情報である。アクセスコードおよび確認番号は、医事システム20からの要求に応じて、サーバ30が発行する。処方箋情報は、医事システム20から受信する電子処方箋情報である。電子処方箋情報は、たとえば、処方箋の印刷イメージを電子化したものである。たとえば、電子処方箋情報は、薬剤の種類、量、服用タイミング等といった、処方箋に記載される内容をテキストデータ化したものである。調剤結果は、処方箋に基づく薬剤の調剤結果を示す情報である。調剤結果は、患者に薬剤を提供したことに伴い、薬局端末40からサーバ30に送信される。
【0112】
なお、ここでは、サーバ30で管理される電子処方箋に関する情報がデータベース構造であったが、この情報は、必ずしもデータベース構造でなくてもよく、各情報が互いに紐づけられて管理されればよい。
【0113】
本実施形態においても、上記実施形態1と同様、患者への確実な処方箋の交付が行えつつ医療機関側の負担を軽減でき得る制御が、精算端末10の制御部101により実行される。以下、この制御について説明する。
【0114】
図11は、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。
図12は、診療費の精算の際に医事システム20の制御部201が行う制御を示すフローチャートである。
【0115】
まず、
図11を参照して、精算端末10の制御部101は、診療費の精算に関する取引が開始されると(S301:YES)、精算開始通知を医事システム20に送信する(S302)。そして、制御部101は、医事システム20から診療情報を受信すると(S303:YES)、受信した診療情報に基づいて、診療費の精算処理を行う(S304)。医事システム20からの送信された診療情報に送信有無情報が含まれている場合、制御部101は、診療情報を受信することにより、判断情報である送信有無情報を取得する。
【0116】
図12を参照して、医事システム20の制御部201は、精算端末10から精算開始通知を受信すると(S401:YES)、当該通知に含まれる識別情報に対応する診療情報を、当該通知の送信元の精算端末10に送信する(S402)。送信される診療情報には、診療費および診療明細の他、当該識別情報に対応する処方箋情報が診療データベースに存在する場合に、処方箋IDおよび送信有無情報が含まれる。その後、制御部201は、精算完了通知を受信すると(S403:YES)、診療データベースの精算有無情報を、「未精算」の情報から「精算済み」の情報に更新する(S404)。
【0117】
次に、制御部201は、精算完了通知を受信した診療に関し、診療データベースの送信有無情報に基づいて、電子処方箋情報が既にサーバ30に送信されているか否かを判定する(S405)。
【0118】
電子処方箋情報が未だ送信されていない場合(S405:NO)、制御部201は、電子処方箋情報を登録するための管理情報(アクセスコード、確認番号)の発行要求を、通信部205を介して、サーバ30に送信する(S406)。その後、制御部201は、サーバ30から管理情報(アクセスコード、確認番号)を含む応答を受信するのを待つ(S407)。
【0119】
なお、管理情報(アクセスコード、確認番号)の発行要求は、必ずしも、このタイミングでサーバ30に送信されなくてもよく、たとえば、診療前に、受付端末で患者の診察券を受け付けたタイミングで、管理情報(アクセスコード、確認番号)の発行要求がサーバ30に送信されてもよい。この場合、
図12のフローチャートから、ステップS406、S407が省略される。また、この場合、診療において薬剤が処方されなかった場合は、発行された管理情報をキャンセルする処理がなされてもよい。
【0120】
制御部201は、管理情報の発行要求に対する応答を受信すると(S407:YES)、電子処方箋情報を、通信部205を介してサーバ30に送信する(S408)。送信される電子処方箋情報には、応答に含まれた管理情報が付加される。管理情報は、診療データベースに登録される。
【0121】
その後、制御部201は、送信した電子処方箋情報の登録が完了したことを示す応答をサーバ30から受信するのを待つ(S409)。そして、制御部201は、この応答を受信すると(S409:YES)、記憶部202に保持されている診療データベースの送信有無情報を、「未送信」の情報から「送信済み」の情報に更新する(S410)。さらに、制御部201は、電子処方箋情報の登録が完了したこと示す登録済み通知と、当該電子処方箋情報の管理情報(アクセスコード、確認番号)を、精算端末10に送信する(S411)。これにより、制御部201は、
図12の処理を終了する。
【0122】
通常の場合は、精算が完了した後に、上述のS406~S411の登録処理によって電子処方箋情報がサーバ30に送信され、登録される。しかしながら、診療費の精算が診療の後日に行われるような場合に、診療当日に薬剤が必要になれば、精算が行われないまま、サーバ30への電子処方箋情報の送信が行われ得る。この場合、医事システム20の操作表示部203への所定の操作により、上述のS406~S410の処理と同様の登録処理が実行され、電子処方箋情報の送信が完了すると、診療データベースの送信有無情報が、「未送信」の情報から「送信済み」の情報に更新される。
【0123】
このように診療費の精算前にサーバ30への電子処方箋情報の送信が行われた場合、ステップS405で、制御部201は、電子処方箋情報が既に送信されていると判定し(S405:YES)、
図12の処理を終了する。
【0124】
図11を参照して、精算端末10では、制御部101は、医事システム20への精算完了通知の送信が完了すると(S305)、精算対象の診療に関して処方箋が存在するか否かを判定する(S306)。制御部101は、処方箋IDと送信有無情報を取得している場合、処方箋が存在すると判定し(S306:YES)、送信有無情報に基づいてサーバ30へ電子処方箋情報が送信済みであるか否かを判定する(S307)。
【0125】
制御部101は、送信有無情報が「未送信」の情報である場合、電子処方箋情報が未送信であると判定し(S307:NO)、医事システム20からの管理情報の受信を待つ(S308)。制御部101は、管理情報を受信すると(S308:YES)、印刷部108に領収書類と引換証とを出力させる(S309)。引換証には、管理情報(アクセスコード、確認番号)が印字されている。なお、領収書類と引換証とが一枚の用紙となっていて、引換証が切り取れるようになっていてもよい。管理情報は、電子処方箋情報により提供される薬剤を受け取るための引換情報であり、このように引換証に印字された形態で出力される。
【0126】
患者は、出力された引換証を調剤薬局に持参して提示することで、自身の薬剤を受け取ることができる。
【0127】
一方、ステップS307において、制御部101は、送信有無情報が「送信済み」の情報である場合、電子処方箋情報が送信済みであると判定する。この場合(S307:YES)、制御部101は、送信済みであることに対応する報知を行うための報知処理を実行する(S310)。即ち、制御部101は、
図5に示すような報知画面310を、報知部である操作表示部106に表示させる。患者は、報知画面310に含まれるメッセージ311を参照して、処方箋が発行済みである、即ち電子処方箋情報が送信済みであることを把握する。
【0128】
次に、制御部101は、印刷部108に領収書類を出力させる(S311)。制御部101は、印刷部108に引換証を出力させない。
【0129】
なお、制御部101は、S306において、精算対象の診療に関して処方箋が存在しないと判定したときも(S306:NO)、印刷部108に領収書類のみを出力させる(S311)。
【0130】
こうして、ステップS309またはS311の処理が終了すると、精算端末10において、診療費の精算に関する取引処理が終了する。
【0131】
なお、報知画面310による報知に替えて、あるいはこれに加えて、音声出力部107から報知画面310と同様のメッセージ内容の音声を出力させてもよい。
【0132】
また、
図11のステップS309では、上記のように処方箋の引換証が出力(発行)されたが、管理情報が出力される形態は、これに限られない。たとえば、管理情報が診察券に書き込まれる(記憶される)形態で出力されてもよい。この場合、診察券は、メモリ等の記憶手段を備える。そして、カード処理部105は、情報を書き込む機能と備え、管理情報の出力部となる。
【0133】
<実施形態2の効果>
実施形態2によれば、以下の効果が奏され得る。
【0134】
精算端末10は、診療費を精算するための精算処理を実行する制御部101と、操作表示部106と、を備える。制御部101は、精算処理の際に、医事システム20の記憶部202から、精算対象の診療に係る電子処方箋情報がサーバ30へ送信済みであるか否かを判断するための判断情報である送信有無情報を取得し、当該送信有無情報に基づいて電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、送信済であることに対応する報知を操作表示部106に行わせる。これにより、患者は、精算の際に、当該精算の前に既に電子処方箋情報が送信されているか否か、即ち電子処方箋が発行されているか否かを把握できる。よって、医療機関では、診療費の精算が診療の後日に行われるような場合に、精算の前に窓口で電子処方箋の発行の有無を確認するといった運用を採らなくてよくなり、窓口スタッフ等、医療機関側の負担を軽減できる。
【0135】
精算端末10は、電子処方箋情報により提供される薬剤を受け取るための引換情報である管理情報を出力する印刷部108を、さらに備える。制御部101は、電子処方箋情報が送信済みでないと判断した場合に、印刷部108に管理情報を出力させ、電子処方箋情報が送信済みであると判断した場合に、印刷部108に管理情報を出力させない。これにより、重複した管理情報の出力が防止され、患者が重複して薬剤を受け取ることを防止できる。
【0136】
<実施形態2の変更例1>
図13は、実施形態2の変更例1に係る、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。
図14(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2の変更例1に係る、調剤済みである場合の報知画面340および調剤済みでない場合の報知画面350の一例を示す図である。
図14(c)は、実施形態2の変更例1に係る、調剤済みである場合の報知画面340の他の一例を示す図である。なお、
図13では、便宜上、ステップS301~S305の処理の図示が省略されている。
【0137】
本変更例では、精算端末10の制御部101が、診療費の精算の際に
図13の制御を実行する。
図13のフローチャートでは、上記実施形態2の
図11のフローチャートのステップS310の処理が、ステップS321~S324の処理に置き換えられる。
【0138】
図13を参照して、ステップS307において、精算端末10の制御部101は、電子処方箋情報が送信済みであると判定すると(S307:YES)、電子処方箋情報が送信済みであることに対応する報知を行う報知処理として、ステップS321~S324の処理を行い、送信済みである旨の報知に、電子処方箋情報に基づく薬剤の調剤結果の報知を含める。
【0139】
具体的には、制御部101は、調剤結果を医事システム20に要求する(S321)。この要求に基づき、医事システム20(制御部201)は、サーバ30から調剤結果を取得する。調剤が済んでいる場合は調剤結果を取得でき、調剤が済んでいない場合は調剤結果を取得できない。医事システム20は、調剤結果を取得できた場合、精算端末10へ応答を行うとともに調剤結果を送信し、調剤結果を取得できなかった場合、精算端末10へ応答のみを行う。
【0140】
制御部101は、医事システム20から応答があると、調剤結果の有無に基づいて調剤済みであるか否かを判定する(S322)。調剤済みである場合(S322:YES)、制御部101は、電子処方箋情報が送信済みであって調剤済みであることを報知するための報知画面340を操作表示部106に表示させる(S323)。
図14(a)に示すように、報知画面340は、電子処方箋が発行済み、即ち電子処方箋情報が送信済みであって調剤済みである旨のメッセージ341と、報知画面340を閉じるためのOKボタン342とを含む。
【0141】
一方、調剤済みでない場合(S322:NO)、制御部101は、電子処方箋情報は送信済みであるが調剤済みでないことを報知するための報知画面350を操作表示部106に表示させる(S324)。
図14(b)に示すように、報知画面350は、電子処方箋は発行済み、即ち電子処方箋情報は送信済みであるが調剤済みでない旨のメッセージ351と、報知画面350を閉じるためのOKボタン352とを含む。
【0142】
このように、本変更例によれば、患者は、電子処方箋情報が送信済みであるか否か、即ち電子処方箋の発行済みであるか否かのみならず、調剤済みであるか否かを把握できる。
【0143】
なお、制御部101は、調剤結果の報知に、調剤履歴に係る情報の報知を含めてもよい。調剤履歴に係る情報は、調剤日時(調剤日)、調剤の対象となった処方箋の画像等を含み、調剤結果として、サーバ30の電子処方箋データベースに登録される。調剤履歴に係る情報は、調剤の詳細な内容を示す情報である。制御部101は、ステップS321の処理により、サーバ30から医事システム20を介して調剤履歴に係る情報、たとえば調剤日時および処方箋画像を取得し、
図14(c)に示すように、ステップS323において、操作表示部106に表示される報知画面340に、調剤日時343と処方箋画像344とを含める。報知画面340に、処方箋画像344に替えて、電子処方箋に記載された内容をテキスト形式で表示するようにしてもよい。
【0144】
このようにすれば、患者等の利用者は、調剤履歴に係る情報(調剤日時、処方箋画像)を確認することにより、既に行われた調剤について、詳細な情報を得ることができる。
【0145】
<実施形態2の変更例2>
図15は、実施形態2の変更例2に係る、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。
図16は、実施形態2の変更例2に係る、問合せ画面360の一例を示す図である。なお、
図15では、便宜上、ステップS301~S305の処理の図示が省略されている。
【0146】
本変更例では、精算端末10の制御部101が、診療費の精算の際に
図15の制御を実行する。
図15のフローチャートでは、上記実施形態2の
図11のフローチャートに対し、ステップS331~S333の処理が追加されている。
【0147】
図15を参照して、ステップS310の報知処理が終了すると、精算端末10の制御部101は、
図16に示すような問合せ画面360を操作表示部106に表示させて、引換証の再発行を行うか否かを問い合わせる(S331)。問合せ画面360には、問合せのメッセージ361、はいボタン362およびいいえボタン363が含まれる。操作表示部106は、操作部として、はいボタン362により、引換証を再発行する、即ち管理情報を出力するための操作を受け付ける。
【0148】
患者は、引換証の再発行を希望する場合、はいボタン362を操作し、再発行を希望しない場合、いいえボタン363を操作する。
【0149】
制御部101は、はいボタン362が操作され、当該操作に基づき引換証を再発行すると判定すると(S332:YES)、医事システム20へ管理番号を要求し、当該管理番号を取得する(S333)。その後、制御部101は、印刷部108に領収書類と、引換証、即ち管理番号とを出力させる(S309)。
【0150】
一方、制御部101は、いいえボタン363が操作され、当該操作に基づき引換証を再発行しないと判定すると(S332:NO)、印刷部108に領収書類のみを出力させる(S311)。
【0151】
本変更例によれば、診療の後日に精算に訪れた患者が、調剤薬局へ行く前に先に受けていた引換証(管理番号)を紛失してしまったなどの理由で、引換証(管理番号)が必要となった場合に、再発行のための操作を行うことで、新たな引換証(管理番号)を受け取ることができる。
【0152】
なお、制御部101は、引換証を再発行すると判定した場合に、電子処方箋情報として送信された処方箋の有効期限を確認し、有効期限が切れていた場合、引換証を発行せずに期限切れであることを操作表示部106での表示等により報知してもよい。有効期限は、診療日から所定期間(たとえば、4日)あるいは電子処方箋情報の送信日から所定期間とされ得る。この場合、医事システム20の診療データベースに有効期限が登録され、この有効期限が精算端末10に取得されるとよい。あるいは、診療データベースに診療日あるいは電子処方箋情報の送信日が登録され、診療日あるいは送信日が精算端末10に取得されて、診療日あるいは送信日から有効期限が算出されてもよい。
【0153】
さらに、本変更例の構成を、上記実施形態2の変更例1の構成に適用できる。この場合、たとえば、上記変更例1の
図13のステップS324の処理に続いて、ステップS331~S333の処理が実行される。即ち、調剤済みでない場合に、問合せに基づく引換証の再発行が行われる。
【0154】
<実施形態2の変更例3>
図17(a)は、実施形態2の変更例3に係る、記憶部202に保持された診療データベースの構成の一部を示す図である。
図17(b)は、実施形態2の変更例3に係る、診療費の精算の際に精算端末10の制御部101が行う制御を示すフローチャートである。なお、
図17(b)では、便宜上、ステップS301~S305の処理の図示が省略されている。
【0155】
本変更例では、
図17(a)に示すように、記憶部202の診療データベースに保持される処方箋情報に、電子処方箋情報の有効期限、即ち電子処方箋の有効期限が含まれる。当該有効期限は、診療日から所定期間(たとえば4日間)に設定される。
【0156】
精算端末10の制御部101は、診療費の精算の際に、
図11の制御に替えて
図17(b)の制御を実行する。
図17(b)のフローチャートでは、
図11のフローチャートに対しステップS341~S343の処理が追加されている。
【0157】
図17(b)を参照して、制御部101は、ステップS307において電子処方箋情報が未送信であると判定すると(S307:NO)、電子処方箋情報の有効期限が切れているか否かを判定する(S341)。有効期限は、
図12のステップS402の処理により医事システム20から送信され、制御部101がステップS303の診療情報の受信により取得する。
【0158】
制御部101は、有効期限内であると判定すると(S341:YES)、管理情報を受信した後(S308:YES)、印刷部108に領収書類と引換証とを出力させる(S309)。
【0159】
一方、制御部101は、有効期限が切れていると判定すると(S341:NO)、有効期限切れを知らせる報知を行うための報知処理を実行する(S342)。即ち、制御部101は、
図7(b)に示すような報知画面330を、操作表示部106に表示させる。その後、報知画面330が閉じられると、制御部101は、印刷部108に領収書類のみを出力させる(S343)。
【0160】
医事システム20では、
図12の制御のS405において、制御部201が、電子処方箋情報が未だ送信されていないと判定した場合に(S405:NO)、電子処方箋情報の有効期限が切れているか否かを判定する。そして、制御部101は、有効期限が切れていない場合には、S406の処理に進んで、管理情報をサーバ30に要求し、有効期限が切れていない場合には、
図12の制御を終了する。
【0161】
本変更例によれば、患者は、有効期限切れにより診療当日の処方によるサーバ30への電子処方箋情報の登録が行われないことを把握でき、窓口スタッフに相談するなど、電子処方箋情報の登録のための対応をとることができる。
【0162】
なお、上記の例では、診療データベースに電子処方箋情報の有効期限が登録され、当該有効期限が精算端末10に送信された。しかしながら、診療データベースに電子処方箋情報の有効期限が登録されず、有効期限に替えて、診療データベースに登録されている診療日時が精算端末10に送信され、精算端末10の制御部101が、診療日時から有効期限を算出するようにしてもよい。即ち、有効期限を判断するための情報は、有効期限自体でなく、有効期限の起算のもとになる診療日時(診療日)であってもよい。この場合、
図12の制御において、医事システム20の制御部201も、診療日時から電子処方箋情報の有効期限を算出する。
【0163】
また、本変更例の構成に、上記実施形態2の変更例1、2の構成を適用することができる。
【0164】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施形態1、2およびそれらの変更例について説明したが、上記以外にも、種々の変更が可能である。
【0165】
たとえば、上記実施形態1において、
図18(a)に示すように、医事システム20の記憶部202に保持された診療データベースが、処方箋が発行されたときに、発行の操作を行った担当者の情報、たとえば、氏名やIDを、処方箋情報の一つとして登録できるような構成とされてもよい。同様に、上記実施形態2において、
図18(b)に示すように、記憶部202に保持された診療データベースが、電子処方箋情報がサーバ30へ送信されたときに、送信の操作を行った担当者の情報を、処方箋情報の一つとして登録できるような構成とされてもよい。
【0166】
このような構成とされれば、処方箋の発行や電子処方箋情報の送信(登録)を行った担当者を把握できるので、後日必要となった場合に担当者へ問合せを行うことができる。
【0167】
さらに、上記実施形態1において、精算端末10(特に、POS端末)は、操作表示部106の操作画面等により、精算を行うことなしに処方箋の発行のみを行う操作を受け付け可能な構成とされてもよい。この場合、操作が受け付けられると、精算端末10から医事システム20に発行の指示がなされ、医事システム20が発行処理を行って処方箋を発行する。同様に、上記実施形態2において、精算端末10は、操作表示部106の操作画面等により、精算を行うことなしに電子処方箋情報のサーバ30への登録(送信)のみを行う操作を受け付け可能な構成とされてもよい。この場合、操作が受け付けられると、精算端末10から医事システム20に登録の指示がなされ、医事システム20が登録処理を行って電子処方箋情報をサーバ30に送信する。
【0168】
さらに、上記実施形態1では、医事システム20の記憶部202に保持された診療データベースに、処方箋が発行済みであるか否かを判断するため判断情報として、発行有無情報が登録された。しかしながら、判断情報は、発行有無情報に限られず、処方箋が発行済みであるか否かを精算端末10の制御部101が判断できれば、如何なる情報でもよい。たとえば、判断情報として、処方箋の発行日や発行日時が診療データベースに登録されてもよい。この場合、制御部101は、医事システム20から発行日や発行日時を取得できたか否かにより、処方箋が発行済みであるか否かを判断できる。
【0169】
さらに、上記第2実施形態では、医事システム20の記憶部202に保持された診療データベースに、電子処方箋情報が送信済みであるか否かを判断するため判断情報として、送信有無情報が登録された。しかしながら、判断情報は、送信有無情報に限られず、電子処方箋情報が送信済みであるか否かを精算端末10の制御部101が判断できれば、如何なる情報でもよい。たとえば、判断情報として、電子処方箋情報の送信日や送信日時が診療データベースに登録されてもよい。この場合、制御部101は、医事システム20から送信日や送信日時を取得できたか否かにより、電子処方箋情報が送信済みであるか否かを判断できる。
【0170】
さらに、上記実施形態1、2において、精算端末10の記憶部102に、医事システム20の診療データベースに登録される診療情報のうち、少なくとも
図3および
図11の制御のために必要な診療情報が登録されるデータベースが保持されてもよい。この場合、精算端末10の制御部101は、判断情報である発行有無情報および送信有無情報を、記憶部102のデータベースから取得する。
【0171】
さらに、
図1(a)の構成例では、医事システム20と精算端末10とがLANで接続されて、医療機関内に精算処理システム1が構成された。しかしながら、小規模の病院やクリニック等のように、診療情報の管理と診療費の精算の両方が、窓口に設置された単一の精算端末にて行われる場合、この精算端末が、医事システム20が行っていた処方箋の発行処理や電子処方箋情報の登録処理を行ってもよい。この場合、診療データベースは、精算端末の記憶部に保持されてもよく、精算端末の外部の記憶装置に保持されてもよい。
【0172】
さらに、上記実施形態2では、管理情報(アクセスコード、管理番号)が紙媒体に印刷されて患者に交付されたが、管理情報の交付方法はこれに限られるものではない。たとえば、マイナンバーカード等の患者が所有する書き込み可能媒体に管理情報を記憶させてもよい。あるいは、データ送信やQRコード(登録商標)を活用して、患者の携帯端末に対し必要な情報を取得させる形式でもよい。
【0173】
さらに、上記実施形態2では、調剤薬局において、薬局端末40が、管理情報をキーとして、サーバ30から電子処方箋情報を取得するような構成とされた。しかしながら、薬局端末40が、マイナンバーをキーとして、サーバ30から電子処方箋情報を取得するような構成とされてもよい。この場合、1つのマイナンバーに複数の電子処方箋情報が紐づけられている場合、患者に対し、処方を希望する電子処方箋情報を選択させてもよい。
【0174】
さらに、診療費の精算のための制御は、
図3および
図4の制御、
図11および
図12の制御に限られるものではなく、所定のステップの順序が変更されてもよい。たとえば、
図3のフローチャートにおいて、ステップS105の処理がステップS108とステップS110の処理の後に実行されてもよい。
【0175】
さらに、精算端末10および医事システム20の構成も、上記実施形態1、2に記載の構成に限られるものではない。たとえば、上記実施形態1、2では、操作表示部106、203によって、情報の入力と情報の表示とが行われたが、ディスプレイ等からなる表示部と、マウスやキーパッド等からなる操作部とが個別に配置されてもよい。
【0176】
さらに、病院によっては、診察券をマイナンバーカードに切り替えているところもある。そのような場合、精算端末が診察券を受け付けたときに、所定条件に基づいて、診察券をマイナンバーカードに切り替えるよう患者に促す報知を行ってもよい。前記所定条件の例として、患者が子供や高齢患者(15歳未満、70歳以上)でないこと、通院回数や通院頻度が所定値以上である常連患者であること、などが挙げられる。
【0177】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 精算処理システム
10 精算端末
30 サーバ
50 外部通信網
101 制御部
106 操作表示部(報知部、操作部)
108 印刷部(出力部)
202 記憶部