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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】無機酸化物中空粒子
(51)【国際特許分類】
   C03C 11/00 20060101AFI20250124BHJP
   C01B 33/26 20060101ALI20250124BHJP
   C01B 35/12 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
C03C11/00
C01B33/26
C01B35/12 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021107838
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2022153224
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2021056111
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】三崎 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】末松 諒一
(72)【発明者】
【氏名】館山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢太
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-26543(JP,A)
【文献】特開2016-23095(JP,A)
【文献】特開昭49-30609(JP,A)
【文献】特開2015-48297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
C03C 1/00-14/00
C03B 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を備え、
10質量%以上40質量%以下のホウ素酸化物と、5質量%以下の第1族元素酸化物と、5質量%以上50質量%以下のカルシウム酸化物と、14質量%未満のアルミニウム酸化物とを含む無機酸化物により構成されている、
無機酸化物中空粒子。
【請求項2】
空洞率が55%以上である、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項3】
非球状である、請求項1又は2記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項4】
外殻が無気孔である、請求項1~3のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項5】
無機酸化物として、更に20質量%以上70質量%以下のケイ素酸化物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項6】
平均粒子径が10μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項7】
膜厚が50nm以上1μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機酸化物中空粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
無機酸化物中空粒子は、外殻に包囲された空洞を有するため、非中空粒子に比べて軽量性、熱伝導率が小さく、熱安定性に優れており、断熱性材料、遮熱性材料、触媒担体、建築材料、電子材料等として広く普及している。
【0003】
無機酸化物中空粒子として、例えば、真珠岩、黒曜石等の天然ガラス質岩石を原料とし、内部空間が隔壁によって区切られたシリカ質の中空微粒子であって、容重が0.15~0.35g/cm3であり、最も薄い部分の殻の膜厚が0.5~5μmであるシリカ質中空微粒子(特許文献1)が知られている。また、平均粒子径が5~300nmであり、かつ比表面積が50~1500m2/gである中空シリカ微粒子が集合・結着してなる球状
シリカ粒子(特許文献2)や、シリカを含むシェル(外殻部)を有し、該シェルに内包された金属及び/又は金属化合物のナノ粒子を具備するシリカ含有中空粒子(特許文献3)も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-172863号公報
【文献】特開2009-114010号公報
【文献】特開2016-150880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、情報ネットワーク技術の著しい進歩、情報ネットワークを活用したサービスの拡大により、電子機器には情報量の大容量化、処理速度の高速化が進んでいる。大容量のデジタル信号を高速で伝達するためには、電子機器のプリント配線板の伝送損失の低減が重要であり、プリント配線板に用いられる無機酸化物中空粒子には、比誘電率がより低いことが求められている。
本発明の課題は、比誘電率が従来よりも低い無機酸化物中空粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み検討したところ、特定の無機酸化物を特定量含み、かつ特定構造を有する無機酸化物中空粒子が、従来よりも比誘電率を低くできることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔7〕を提供するものである。
〔1〕外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を備え、
10質量%以上40質量%以下のホウ素酸化物と、5質量%以下の第1族元素酸化物と、5質量%以上50質量%以下のカルシウム酸化物と、14質量%未満のアルミニウム酸化物とを含む無機酸化物により構成されている、
無機酸化物中空粒子。
〔2〕空洞率が55%以上である、前記〔1〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔3〕非球状である、前記〔1〕又は〔2〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔4〕外殻が無気孔である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔5〕無機酸化物として、更に20質量%以上70質量%以下のケイ素酸化物を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔6〕平均粒子径が10μm以下である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔7〕膜厚が50nm以上1μm以下である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比誘電率が従来よりも低い無機酸化物中空粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1で得られた無機酸化物中空粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
図2】実施例1で得られた無機酸化物中空粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際のスケッチである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「中空粒子」とは、外殻の内部に空洞を有する粒子をいう。本発明の無機酸化物中空粒子は、図1、2に示されるように、外殻に覆われた空洞が更に1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を有しており、独立した空間はそれぞれ隔壁によって隔てられた互いに連通しない気泡(以下、「独立気泡」ともいう。)によって形成されている。本明細書において「外殻」とは、粒子の最も表面側に位置する壁であって、粒子内部の1つの独立気泡のみ接する壁をいう。「隔壁」とは、粒子内部の隣接する2つの独立気泡を互いに区画する壁をいう。また、本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻に開口がなく、無気孔であるため、独立気泡は完全に閉じられている。本発明の無機酸化物中空粒子は、このような独立気泡を有し、かつ無気孔であることにより、低比誘電率化だけでなく、優れた断熱性、遮熱性を発現し、また独立気泡の複数の隔壁によって粒子強度がより一層高められている。更に、本発明の無機酸化物中空粒子は、低比誘電率化の観点から、凝集していない一次粒子であることが好ましい。なお、外殻が無気孔であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)像や、水に浮かぶことにより確認できる。したがって、本発明の無機酸化物中空粒子は、粒子表面から内部へ延びる複数の細孔を有する多孔質粒子とは異なる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)像により、多孔質粒子や二次粒子と明確に区別することが可能である。
【0011】
本明細書において、以下において説明する無機酸化物の各含有量は、蛍光X線分析法にて酸化物換算で測定し化学成分を算出した値である。分析対象である元素の酸化物の合計値が100%となるよう、下記式により補正することで、各々の化学成分を算出する。なお、蛍光X線分析装置として、例えば、ZSX primus II(リガク社製)を用いることができる。
【0012】
化学組成(補正後)(%)=化学組成(補正前)×100/(100-不純物(%))
なお、不純物(%)は、100から上述した酸化物の化学組成の合計値を差し引いたものである。
【0013】
本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻及び隔壁がホウ素酸化物、第1族元素酸化物、カルシウム酸化物及びアルミニウム酸化物を含む無機酸化物により形成されている。このような無機酸化物によって外殻及び隔壁を構成することにより、従来よりも比誘電率を低くすることができる。
【0014】
ホウ素酸化物としては、低比誘電率化の観点から、B23が好ましい。
第1族元素酸化物としては、例えば、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、ルビジウム酸化物、セシウム酸化物を挙げることができる。中でも、低比誘電率化の観点から、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物が好ましく、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物がより好ましく、ナトリウム酸化物が更に好ましい。ナトリウム酸化物としては、低比誘電率化の観点から、Na2Oが好ましい。なお、第1族元素酸化物は、1種又は2種以上含有することができる。
カルシウム酸化物としては、低比誘電率化の観点から、CaOが好ましい。
アルミニウム酸化物としては、低比誘電率化の観点から、Al23が好ましい。
【0015】
ホウ素酸化物の含有量は10質量%以上40質量%以下であるが、低比誘電率化の観点から、11質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましく、そして37.5質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、32.5質量%以下が更に好ましく、30質量%以下がより更に好ましい。
第1族元素酸化物の含有量は5質量%以下であるが、低比誘電率化の観点から、4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましい。なお、第1族元素酸化物の含有量の下限値は特に限定されず、0質量%であっても構わないが、ガラス成分の軟化点を適正に制御する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。なお、第1族元素酸化物の含有量は、第1族元素酸化物の総量であり、第1族元素酸化物として1種のみを含有する場合にも上記含有量が適用される。
カルシウム酸化物の含有量は5質量%以上50質量%以下であるが、低比誘電率化の観点から、5.1質量%以上が好ましく、5.2質量%以上がより好ましく、7質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が更に好ましく、13質量%以上がより更に好ましく、15質量%以上が殊更に好ましく、そして48.5質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45.5質量%以下が更に好ましい。
アルミニウム酸化物の含有量は14質量%未満であるが、低比誘電率化の観点から、13.5質量%以下が好ましい。なお、アルミニウム酸化物の含有量の下限値は特に限定されず、0質量%であっても構わないが、強度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上が更に好ましい。
【0016】
また、本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻及び隔壁を構成する無機酸化物としてケイ素酸化物を含んでいてもよい。
ケイ素酸化物としては、低比誘電率化の観点から、SiO2が好ましい。
ケイ素酸化物の含有量は、低比誘電率化の観点から、20質量%以上が好ましく、22質量%以上がより好ましく、24質量%以上が更に好ましく、そして70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、55質量%以下がより更に好ましく、50質量%未満が殊更に好ましい。
【0017】
本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻及び隔壁を構成する無機酸化物として上記以外の無機酸化物を更に含んでいてもよい。例えば、カルシウム酸化物以外の2族元素酸化物、4族元素酸化物を挙げることができる。
カルシウム酸化物以外の2族元素酸化物としては、例えば、MgO、SrO、BaO、RaOを挙げることができる。また、4族元素酸化物としては、例えば、TiO2、ZrO2、HfO2を挙げることができる。中でも、マグネシウム酸化物(MgO)を含有することが好ましい。
なお、これら無機酸化物の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜選択することができる。例えば、マグネシウム酸化物の含有量は、低比誘電率化の観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましい。マグネシウム酸化物の含有量の下限値は特に限定されず、0質量%であっても構わないが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。
【0018】
本発明の無機酸化物中空粒子の空洞率は55%以上であるが、低比誘電率化の観点から、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、75%以上がより更に好ましく、80%以上が殊更に好ましい。なお、かかる空洞率の上限値は、十分な強度を確保する観点から、95%以下が好ましく、90%以下が更に好ましい。ここで、本明細書において「空洞率」は、乾式自動密度計を使用して粒子の嵩密度と真密度とを測定し、その値から下記式により算出される値である。なお、個々の粒子について計測することが難しいため、粒子群としての空洞割合である。また、「真密度」は、空洞部分を取り除くために、箱型電気炉にて融点以上で6時間加熱した後、冷却して乾式自動密度計で測定するものとする。乾式自動密度計として、例えば、アキュピック(島津製作所)を使用することができる。
【0019】
空洞率=(真密度-嵩密度)×100/真密度
【0020】
本発明の無機酸化物中空粒子は、微小な粒子であるため、小型化や薄型化が必要とされる電子機器部品への適用が容易である。より具体的には、本発明の無機酸化物中空粒子の平均粒子径は、通常10μm以下であり、好ましくは8.5μm以下であり、より好ましくは7.0μm以下であり、更に好ましくは6.5μm以下である。なお、かかる平均粒子径の下限値は、空洞を十分確保する観点から、0.6μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、0.8μm以上が更に好ましい。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、JIS R 1629に準拠して試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(D50)を意味する。なお、粒子径分布測定には、例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置を使用することができる。
【0021】
本発明の無機酸化物中空粒子の膜厚は、強度向上、軽量化の観点から、50nm以上1μm以下が好ましく、55~750nmがより好ましく、60~500nmが更に好ましい。膜厚とは、粒子の外殻の厚さと隔壁の厚さとの平均値をいい、後掲の実施例に記載方法により測定するものとする。ここで、本明細書において「外殻の厚さ」とは、粒子の最も表面側に位置する壁であって、粒子内部の1つの独立気泡のみ接する壁の厚さをいう。また、「隔壁の厚さ」とは、粒子内部の隣接する2つの独立気泡を互いに区画する壁の厚さをいう。本発明の無機酸化物中空粒子は外殻の厚さと隔壁の厚さがほぼ等しく、例えば、隔壁と外殻の厚さの比(隔壁/外殻)は、通常0.5~2.0であり、好ましくは0.8~1.5である。このような膜厚とすることで、空洞が十分確保されるため、低比誘電率化しやすくなるだけでなく、作製時に焼成熱が付与されやすいため、効率よく製造することができる。なお、膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し測定することが可能であり、具体的には後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。なお、走査型電子顕微鏡として、例えば、JSM-7001F(日本電子社製)を使用することができる。
【0022】
本発明の無機酸化物中空粒子の形状は、非球状であることが好ましい。非球状とすることで、樹脂等に添加した場合に粒子同士の接地面積が少なく、より一層の熱伝導性の低下を期待できる。
【0023】
粒子形状が非球状であることは、アスペクト比から判断することができる。本明細書において「アスペクト比」とは、次の方法により算出される値をいう。即ち、光学顕微鏡や接写機能付きデジタルカメラで粒子の写真を撮影し、光学顕微鏡写真やデジタルカメラの写真を市販の画像解析ソフトを用いて、無作為に採取した粒子30個の長径a、直径bを解析する。そして、粒子30個について長径aの直径bに対する比(a/b)を算出し、その平均値を求める。ここで、「長径a」とは粒子の最も長い径を意味し、「直径b」とは粒子の厚み方向の径を意味する。
【0024】
本発明の無機酸化物中空粒子のアスペクト比は、低比誘電率化、フィラーとして添加した際の強度保持の観点から、1.1以上が好ましく、1.13以上がより好ましく、1.16以上が更に好ましく、1.20以上が殊更に好ましい。なお、アスペクト比の上限値は特に限定されないが、低比誘電率化、フィラーとして混合した時の分散性の観点から、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下が更に好ましい。
【0025】
本発明の中空粒子の50%残存強度は、強度向上の観点から、3~500MPaが好ましく、5~100MPaがより好ましく、10~50MPa更に好ましく、12~30MPaが殊更好ましい。ここで、本明細書において「50%残存強度」とは、特開2018-136160号公報に記載される粉体加圧法により測定した値をいう。
【0026】
本発明の無機酸化物中空粒子は、低誘電率化の観点から、1GHzにおける比誘電率が2.0以下であることが好ましく、1.9以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下がより更に好ましく、1.6以下が殊更に好ましい。ここで、本明細書において「比誘電率」は、温度25℃、湿度60%の環境下、1GHzにおいて測定するものとする。なお、比誘電率は、例えば、摂動方式空洞共振器(KEYCOM社製)を用いて測定することができる。
【0027】
本発明の無機酸化物中空粒子は、断熱材料、遮熱材料、触媒担体、建築材料、電子材料等に適用することができるが、比誘電率が低く、高強度の微小粒子であることから、電子材料、とりわけ配線回路基板、半導体封止材等に有用である。
【0028】
また、本発明の無機酸化物中空粒子は、微小な粒子であるため、媒体への分散性にも優れる。
媒体としては特に限定されないが、本発明の効果を享受しやすい点で、例えば、樹脂、塗料、ゴム、溶剤を挙げることができる。
媒体として樹脂を用いた場合には、電子材料、例えば、配線回路基板や半導体封止材等を形成するための樹脂組成物とすることができる。なお、樹脂としては、配線回路や半導体封止材の分野において一般的に使用されているものであれば、特に限定されない。
【0029】
樹脂組成物中の無機酸化物中空粒子の含有量は、その用途により適宜選択可能であるが、通常1~97質量%であり、好ましくは5~60質量%であり、更に好ましくは15~40質量%である。
【0030】
また、樹脂組成物は、有機溶媒に溶解又は分散したワニスの形態であってもよく、該ワニスを基材に含浸させてプリプレグとすることもできる。
ワニス中の固形分(不揮発分)濃度は、その用途に応じて適宜選択可能であるが、通常5~80質量%であり、好ましくは10~70質量%である。
ワニスを含浸させる基材としては特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、炭素繊維等が挙げられる。なお、含浸は、浸漬(ディッピング)や塗布等によって行うことができる。
【0031】
更に、例えば、金属箔付基板上に、上記したワニスを塗布した後、加熱・硬化を行って金属箔付基板上に樹脂層を形成した後、金属箔をエッチングにより除去して導体パターンを形成することにより配線回路基板を製造することもできる。なお、ワニスを基材上に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができる。
【0032】
媒体と無機酸化物中空粒子との混合方法は特に限定されないが、例えば、各成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練すればよい。なお、混合条件は、混合方法により適宜設定することができる。
【0033】
本発明の無機酸化物中空粒子の製造方法は、上記構成を有する無機酸化物中空粒子を得ることができれば特に限定されないが、例えば、原料化合物を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴(ミスト)を熱分解する方法を挙げることができる。
【0034】
原料化合物としては、酸化物を構成する元素としてホウ素、第1族元素、カルシウム及びアルミニウムから選択される1又は2以上の元素を含有する化合物を挙げることができる。かかる化合物としては、水に溶解する化合物であれば特に限定されないが、例えば、無機塩、有機塩、アルコキシドを挙げられ、1又は2以上を含有することができる。無機塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物を挙げられる。有機塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩を挙げることができる。
第1族元素化合物としては、第1族元素を含む化合物であれば特に限定されないが、リチウム含有化合物、ナトリウム含有化合物、カリウム含有化合物、ルビジウム含有化合物、セシウム含有酸化物を挙げることができる。中でも、低比誘電率化の観点から、リチウム含有化合物、ナトリウム含有化合物、カリウム含有化合物が好ましく、リチウム含有化合物、ナトリウム含有化合物がより好ましく、ナトリウム含有化合物が更に好ましい。ナトリウム含有化合物の具体例としては、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩が挙げられる。なお、リチウム含有化合物、カリウム含有化合物、ルビジウム含有化合物及びセシウム含有酸化物においても、ナトリウム含有化合物と同様の無機塩を使用することができる。
ホウ素含有化合物としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のメタホウ酸塩、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム等の四ホウ酸塩、五ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウム等の五ホウ酸塩等のホウ酸塩、ホウ酸を挙げることができる。
カルシウム含有化合物としては、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等のカルシウム塩が挙げられる。
アルミニウム含有化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、燐酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等の無機塩、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドを挙げることができる。また、アルミノケイ酸塩や、アルミニウム酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物のゾル溶液も原料化合物溶液として用いることができる。アルミノケイ酸塩としては、例えば、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸カルシウムを挙げられる。
【0035】
本発明においては、原料化合物として、ホウ素、第1族元素、カルシウム及びアルミニウム以外の元素を含有する化合物が更に含まれていてもよい。
このような化合物としては水に溶解する金属化合物であれば特に限定されないが、例えば、チタン塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、イットリウム塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1又は2以上を挙げることができる。これら金属の塩としては、例えば、無機塩、有機塩、アルコキシドが挙げられる。なお、無機塩及び有機塩の具体例は上記において説明したとおりである。
【0036】
チタン塩としては、例えば、硝酸チタン、硫酸チタン、塩化チタンを挙げることができる。
マグネシウム塩としては、例えば、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、燐酸マグネシウム、水酸化マグネシウムを挙げることができる。
ストロンチウム塩としては、例えば、酢酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウムを挙げることができる。
亜鉛塩としては、例えば、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛が挙げられる。
ジルコニウム塩としては、例えば、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムを挙げることができる。
バリウム塩としては、例えば、硝酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウムが挙げられる。
イットリウム塩としては、例えば、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、塩化イットリウムが挙げられる。
ケイ酸アルコキシドとしては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラプロピル(TPOS)、テトラブトキシシランを挙げることができる。また、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、ケイ素酸化物のゾル溶液も原料化合物溶液として用いることができる。
中でも、本発明の効果を享受しやすい点で、マグネシウム塩及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1以上を含むことが好ましい。
【0037】
これら原料化合物から得られる酸化物としては、例えば、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化リチウム等の第1族元素酸化物、酸化カルシウム、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカが挙げられ、これら酸化物を組み合せた複合酸化物も挙げることができる。
【0038】
被噴霧液体は、原料化合物を、水又はエタノール等の有機溶媒と混合して調製できる。なお、原料化合物の配合割合は、上記した組成の無機酸化物中空粒子となるように、原料化合物の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0039】
被噴霧液体中の原料化合物濃度は、各元素の総量として、0.01mol/L~2.0mol/Lが好ましく、0.1mol/L~1.0mol/Lがより好ましい。
【0040】
噴霧熱分解装置は、熱分解炉の形状が堅型円筒状であることが好ましく、熱分解炉の大きさは、製造スケールにより適宜選択することができる。
【0041】
噴霧装置としては、例えば、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズル等の流体ノズルを挙げることができる。ここで、流体ノズルの方式には、気体と原料溶液とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で気体と原料溶液を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用できる。ノズルに供給する気体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。なお、噴霧装置は、1基又は2基以上設置することができる。
【0042】
被噴霧液体の流量は、通常1~100L/hであり、好ましくは3~80L/hであり、更に好ましくは5~60L/hである。
【0043】
噴霧装置から噴霧された液滴は、熱分解炉内の加熱装置により加熱されて無機化合物を含む膜が形成され、それを起点に無機酸化物中空粒子が形成される。
液滴の噴出速度は、通常1~50m/sであり、好ましくは5~35m/sであり、更に好ましくは10~20m/sである。
【0044】
加熱装置は、例えば、燃焼バーナー、熱風ヒータ、電気ヒータ等を挙げることができる。加熱装置は、1基又は2基以上設置することが可能である。なお、燃焼バーナー、熱風ヒータ及び電気ヒータは、一般的に販売されているものあれば、いずれも使用することができる。
加熱装置の温度は、400~1800℃が好ましく、600~1500℃がより好ましく、700~1400℃が更に好ましく、800~1200℃がより更に好ましい。このような温度であれば、熱分解が十分となり、また粒子が熱分解炉外に排出されたときに粒子同士が凝集し難くなる。
【0045】
熱分解反応によって生じた無機酸化物中空粒子は、熱分解炉の下流側から回収される。無機酸化物中空粒子の回収は、高性能サイクロン粉体回収機やバグフィルターを用いた粉体回収装置を用いることができる。
【0046】
また、本発明においては、回収した無機酸化物中空粒子をエタノールと撹拌混合し、該粒子をエタノールに一旦浸漬させた後、液面に浮遊した粒子のみを採取してもよい。これにより、粒子内部の空洞が独立気泡を有する無機酸化物中空粒子を高純度で得ることができる。なお、エタノールの使用量は、無機酸化物中空粒子に対して、通常5~20質量倍であり、好ましくは10~15質量倍である。
【実施例
【0047】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0048】
1.化学組成の分析
無機酸化物中空粒子をプレス機で成型してブリケットを作製し、そのブリケットを蛍光X線分析装置(ZSX primus II、リガク社製)にて酸化物換算で測定し化学成分を算出した。分析対象である元素の酸化物(SiO2、Al23、CaO、MgO、B23、Na2O、Li2O)の合計値が100%となるよう、下記式により補正することで、各々の化学成分を算出した。
【0049】
化学組成(補正後)(%)=化学組成(補正前)×100/(100-不純物(%))
〔式中、不純物(%)は、100から上述した酸化物の化学組成の合計値を差し引いたものである。〕
【0050】
2.空洞率の分析
乾式自動密度計としてアキュピック(島津製作所製)を使用し、粒子の嵩密度と真密度を測定し、下記式により算出した。なお、真密度は、空洞部分を取り除くために、箱型電気炉にて融点以上で6時間加熱した後、冷却して乾式自動密度計で測定した。
【0051】
空洞率=(真密度-嵩真密度)×100/真密度
【0052】
3.平均粒子径の分析
粒子径分布測定装置(MT3000II、マイクロトラックベル社製)を用い、JIS R 1629に準拠して体積基準の粒度分布を作成し、積算分布曲線の50%に相当する粒子径(D50)を求めた。
【0053】
4.隔壁の有無の分析、並びに膜厚の分析
走査型電子顕微鏡(SEM)にて粒子を観察し、隔壁の有無を確認した後、次の方法により隔壁と外殻の厚さを測定した。試料0.05gをエポキシ樹脂9gと混合し乾燥して固めた硬化物ものを切断し、断面(10mm×5mm)を研磨した。研磨した断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、次の方法により膜厚を測定した。即ち、無作為に採取した粒子30個について、1粒子ずつSEM像を撮影し、SEM像から隔壁を無作為に3点抽出し、3点それぞれの中央部の厚みを計測し、その平均値を算出して、その粒子の隔壁の厚さとした。外殻についても同様にSEM像から無作為に3点抽出し、3点それぞれの中央部の厚みを計測し、その平均値を算出して、その粒子の外殻の厚さとした。30個の粒子について隔壁の厚さと外殻の厚さを求めた後、その平均値を膜厚として算出した。
なお、走査型電子顕微鏡として、JSM-7001F(日本電子社製)を使用した。
【0054】
5.アスペクト比の分析
上記で得た走査型電子顕微鏡写真から粒子の長径(a)と直径(b)を測定し、a/bとして算出した。この操作を無作為に採取した30個の粒子に対して行い、その平均値を求めた。
【0055】
6.比誘電率の分析
摂動方式空洞共振器(KEYCOM社製)を用いて、温度25℃、湿度60%の環境下、1GHzにおいて測定した。
【0056】
実施例1
反応容器内に原料無機化合物含有水溶液を投入し、原料無機化合物含有水溶液を3時間攪拌した。なお、原料無機化合物含有水溶液は、硝酸カルシウム(大崎工業製)を0.019mol/L、硝酸マグネシウム(赤穂化成製)を0.024mol/L、硝酸アルミニウム(博光化学工業製)を0.052mol/L、オルトケイ酸テトラエチル(多摩化学工業製)を0.192mol/L、ホウ酸(米山化学工業)を0.184mol/Lとなるように水道水に溶解して調製した。続いて、この原料無機化合物含有水溶液を2流体ノズルに送液し、ノズルから噴霧熱分解炉内に原料無機化合物含有水溶液を噴霧し、1100℃で焼成して無機酸化物中空粒子を回収した。回収した無機酸化物中空粒子20gをエタノール300gと撹拌混合し、該粒子をエタノールに一旦浸漬させた後、液面に浮遊した粒子のみを採取した。そして、採取した無機酸化物中空粒子について分析を行った。その結果を表1に示す。採取した無機酸化物中空粒子とその断面のSEM像を図1に示し、その断面を観察した際のスケッチを図2に示す。
【0057】
実施例2~4及び比較例1
表1に示す化学組成となるように、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、オルトケイ酸テトラエチル及びホウ酸を水道水で溶解したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を採取した。採取した無機酸化物中空粒子について分析を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
表1に示す化学組成となるように、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、オルトケイ酸テトラエチル及びホウ酸を水道水で溶解し、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造した。そして、実施例1と同様の操作によりエタノールを用いた処理を行ったところ、液面に粒子が浮遊しなかったため、製造後の無機酸化物粒子について分析を行った。その結果を表1に示す。
【0059】
比較例3
原料化合物として、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、オルトケイ酸テトラエチル及び四ホウ酸ナトリウムを用い、表1に示す化学組成となるように各化合物を水道水で溶解したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を採取した。採取した無機酸化物中空粒子について分析を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
実施例5
反応容器内に原料無機化合物含有水溶液を投入し、原料無機化合物含有水溶液を3時間攪拌した。なお、原料無機化合物含有水溶液は、硝酸リチウム(富士フィルム和光純薬)を0.012mol/L、硝酸カルシウム(大崎工業製)を0.050mol/L、硝酸アルミニウム(博光化学工業製)を0.074mol/L、オルトケイ酸テトラエチル(多摩化学工業製)を0.223mol/L、ホウ酸(米山化学工業)を0.295mol/Lとなるように水道水に溶解して調製した。続いて、この原料無機化合物含有水溶液を2流体ノズルに送液し、ノズルから噴霧熱分解炉内に原料無機化合物含有水溶液を噴霧し、1100℃で焼成して無機酸化物中空粒子を回収した。回収した無機酸化物中空粒子20gをエタノール300gと撹拌混合し、該粒子をエタノールに一旦浸漬させた後、液面に浮遊した粒子のみを採取した。そして、採取した無機酸化物中空粒子について分析を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
比較例1は、粒子内部に空洞を有する中空粒子であるものの、カルシウム酸化物の含有量が5質量%未満であるため、空洞が隔壁によって区切られていなかった。また、アスペクト比が1.06であることから、粒子形状が略球状であった。このような特性を具備する比較例1の無機酸化物中空粒子は、比誘電率が3.74と高くなることがわかる。
比較例2は、カルシウム酸化物の含有量が50質量%を超えるため、配合バランスが崩れガラス化せず、中空粒子とならなかった。そのため、膜厚及び比誘電率の分析を断念した。
比較例3は、粒子内部に空洞を有する中空粒子であるものの、第1族元素酸化物の含有量が5質量%を超えるため、空洞が隔壁によって区切られていなかった。また、アスペクト比が1.07であることから、粒子形状が略球状であった。このような特性を具備する比較例3の無機酸化物中空粒子は、比誘電率が2.31と高くなることがわかる。
一方、実施例1~5は、ホウ素酸化物、第1族元素段化物及びカルシウム酸化物を特定量含む無機酸化物によって構成されるため、空洞が独立気泡を有する中空粒子が得られた。また、実施例1~5の無機酸化物中空粒子は、いずれもアスペクト比が1.20以上であり、粒子形状が非球状であった。このような特性を具備する実施例1~5の無機酸化物中空粒子は、いずれも比誘電率が2.0以下であり、従来に比べて低くなることがわかる。
【符号の説明】
【0063】
1 無機酸化物中空粒子の断面
2 独立気泡
3 外殻
4 隔壁
図1
図2