(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】遠隔式避難誘導システム、陸上避難誘導システム及び遠隔式避難誘導方法
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20250124BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20250124BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B21/24
G06F3/01 510
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2021144905
(22)【出願日】2021-09-06
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】口木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】武田 信玄
(72)【発明者】
【氏名】小宮 敏行
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103081(JP,A)
【文献】特開2008-257385(JP,A)
【文献】特開2017-103509(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0096454(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00 - 31/00
G06F 3/01
H04M 11/04
H04M 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサと、
前記船内に設けられた避難誘導装置と、
陸上に設けられた陸上避難誘導システムと、
を備え、
前記陸上避難誘導システムは、
前記センサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部と、
再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部と、
前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部と、
前記避難誘導指示情報を前記避難誘導装置へ送信する送信部と、
を備える遠隔式避難誘導システム。
【請求項2】
前記陸上避難誘導システムは、
前記船内の乗客の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記乗客の前記船内における位置を示した乗客マップ情報を生成する乗客マップ情報生成部と、
をさらに備え、
前記避難ルート設定部は、前記乗客マップ情報と前記船内の状況とに基づいて、前記避難ルートを設定する、
請求項1に記載の遠隔式避難誘導システム。
【請求項3】
前記船内状況再現部は、仮想現実空間情報および体感情報のうちの少なくとも一方を生成する、
請求項1または請求項2に記載の遠隔式避難誘導システム。
【請求項4】
前記避難誘導装置は、表示装置、スピーカ、方向指示器、ロボットのうちの少なくとも一つであり、前記センサは、カメラ、マイク、振動センサ、臭いセンサ、傾きセンサ、加速度センサ、温度センサ、湿度センサのうちの複数である、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の遠隔式避難誘導システム。
【請求項5】
前記船内の乗客が所持する携帯端末、をさらに備え、
前記送信部は、前記避難誘導指示情報を前記携帯端末に送信する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の遠隔式避難誘導システム。
【請求項6】
前記陸上避難誘導システムと前記携帯端末とが、各々から画像または音声のうちの少なくとも一方を送受信することにより、双方向コミュニケーションが可能である、
請求項5に記載の遠隔式避難誘導システム。
【請求項7】
船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部と、
再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部と、
前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部と、
前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信する送信部と、
を備える陸上避難誘導システム。
【請求項8】
陸上に設けられた陸上避難誘導システムが、船内の複数の位置のそれぞれに設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するステップと、
前記陸上避難誘導システムが、前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現するステップと、
前記陸上避難誘導システムが、再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定するステップと、
前記陸上避難誘導システムが、前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成するステップと、
前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信するステップと、
を有する遠隔式避難誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔式避難誘導システム、陸上避難誘導システム及び遠隔式避難誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船内で火災、浸水などが発生すると船内放送により乗客に避難を呼びかけ、乗組員が乗客の避難誘導を行う。特許文献1には、船内放送等による避難誘導を支援し、乗客を確実に避難させるためのシステムが開示されている。例えば、特許文献1に開示されたシステムでは、管理装置から乗組員が所持する携帯端末へ、乗客の避難誘導に必要な情報(例えば、近くにいる船客の人数や位置、避難する方向や場所等)を送信し、乗組員が、この情報に基づいて乗客を避難場所へ誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された避難誘導の支援システムを用いることによって、乗客の避難誘導が可能となるが、無人運航船もしくは乗組員の数が制限された省人化船では、乗組員による乗客に対する避難誘導が制限される状況となるため、乗組員による避難誘導の代替手段が必要となる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる遠隔式避難誘導システム、陸上避難誘導システム及び遠隔式避難誘導方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の遠隔式避難誘導システムは、船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサと、前記船内に設けられた避難誘導装置と、陸上に設けられた陸上避難誘導システムと、を備え、前記陸上避難誘導システムは、前記センサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部と、再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部と、前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部と、前記避難誘導指示情報を前記避難誘導装置へ送信する送信部と、を備える。
【0007】
本開示の陸上避難誘導システムは、船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部と、再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部と、前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部と、前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信する送信部と、を備える。
【0009】
本開示の遠隔式避難誘導方法は、陸上に設けられた陸上避難誘導システムが船内の複数の位置のそれぞれに設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するステップと、前記陸上避難誘導システムが前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現するステップと、前記陸上避難誘導システムが再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定するステップと、前記陸上避難誘導システムが前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成するステップと、前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上述の遠隔式避難誘導システム、陸上避難誘導システム及び遠隔式避難誘導方法によれば、陸上から船内の乗客の避難誘導を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る避難誘導システムの一例を示す第1の図である。
【
図2】実施形態に係る避難誘導システムの一例を示す第2の図である。
【
図3】実施形態に係る避難誘導システムの動作の一例を示す第1の図である。
【
図4】実施形態に係る避難誘導システムの動作の一例を示す第2の図である。
【
図5】実施形態に係る避難誘導システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の避難誘導システムについて、
図1~
図5を参照して説明する。
(システム構成)
図1、
図2は、それぞれ実施形態に係る避難誘導システムの一例を示す第1の図、第2の図である。
避難誘導システム100は、一つ又は複数の船舶1の各々に搭載された船内システム10、センサ15および避難誘導装置20と、船舶1に乗船している乗客や乗組員が所持している携帯端末30と、地上の監視局に設けられた陸上システム40および疑似体験装置50を含む。避難誘導システム100は、陸上システム40から複数の船舶1の船内の様子を監視し、監視対象の船舶1のうちの1つ又は複数にて火災や浸水などが発生すると、災害が発生した船舶1の乗客に向けて、陸上システム40から避難誘導を行うシステムである。陸上システム40と船舶1の船内システム10とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。また、船内システム10と、センサ15、避難誘導装置20、携帯端末30とは通信可能に接続されている。また、陸上システム40と携帯端末30とが通信可能に接続されている。
【0013】
船内システム10は、乗客の避難誘導に係る情報の管理や陸上システム40との船陸間通信を行う。センサ15は、船内の各所に設けられたセンサ類であって、船内の状況を多面的に検出できるように、カメラ15a、マイク15b、傾きセンサ15c、温度センサ15d、湿度センサ15e、臭いセンサ15g、振動センサ15f、加速度センサなど多様な種類のセンサを含んでいる。避難誘導装置20は、表示装置20a、スピーカ20b、方向指示器20c、ロボット20dなど避難方向や避難ルートを乗客に知らせる機能を有する各種のデバイスである。乗客等が所持するスマートフォン30aやウェアラブル端末30bなどの携帯端末30は、乗客の位置の把握や避難中の乗客とのコミュニケーションに用いられるほか、センサ15や避難誘導装置20としても機能する。なお、乗客と陸上の監視員は、船内に設けられたカメラ15a、マイク15b、表示装置20a、スピーカ20b、ロボット20dなどを通じてコミュニケーションをとることができてもよい。
【0014】
(陸上システム)
陸上システム40は、各船舶1のセンサ15が検出した情報を収集し、取集した情報に基づいて、船舶1別に船内の様子をVR(Virtual Reality)技術や4DX(登録商標)技術などを用いてリアルタイムに再現する機能を有している。陸上の監視局には、監視員が存在し、監視員は、複数の船舶1内の様子を疑似体験しながら監視することができる。監視員は、ヘッドマウントディスプレイ50aや椅子50bなどの疑似体験装置50を利用して、陸上システム40が再現した船内各所の様子を疑似的に体験する。ヘッドマウントディスプレイ50aは、例えば、3次元的に再現された船内の映像や音、臭いの疑似体験を監視員に提供する。椅子50bは、上下、前後、左右に動くことができ、船内の傾きや揺れの疑似体験を監視員に提供する。椅子50bには、さらに、煙、香り、風、ミスト(水)の噴射器が設けられていて、これらの噴射機から煙、臭いなどを噴射することにより、船内の煙、臭い、風、水しぶきの状態を再現し、それらを疑似的に体験できるように構成されていてもよい。監視員は、船内の各所で検出された複数種類のセンサ15が検出した情報に基づいて、再現された船内の状況を疑似体験して、船内全体の被害状況を把握し、乗客が避難しやすい避難ルートや適切な避難場所を設定する。
【0015】
陸上システム40は、センサ情報取得部41と、制御部42と、船内状況再現部43と、入力部44と、出力部45と、記憶部46と、通信部47と、を備える。
センサ情報取得部41は、船舶1のセンサ15が検出したセンサ情報を取得する。また、センサ情報取得部41は、乗客が所持する携帯端末30の位置情報を取得する。また、センサ情報取得部41は、船内に設けられた安全検出装置が検出した火災などの発生状況や、通報装置が発報したアラーム情報、安全維持装置の作動状況などの情報を取得する。
【0016】
制御部42は、乗客の避難誘導に必要な処理を行う。例えば、制御部42は、携帯端末30の位置情報を船内の地図情報にマッピングして、船内の乗客位置が把握できる乗客マップ情報を生成する。また、制御部42は、監視員の指示に基づいて、乗客の避難ルートを算出する。例えば、監視員は、船内各所の疑似体験に基づいて、避難中に通過することが好ましくない船内位置や範囲の情報、安全な位置や範囲の情報を陸上システム40に入力する。制御部42は、入力された情報に基づいて、安全な避難ルートを算出する。あるいは、制御部42は、予め定められた複数の避難ルートの中から、監視員によって入力された上記の情報に基づいて安全な避難ルートを決定したり、安全な避難ルートの候補を幾つか選択して提示し、監視員がその中から適切な避難ルートを指定することで避難ルートを決定してもよい。また、例えば、制御部42は、算出された避難ルートに基づいて、避難誘導装置20を制御する制御信号を生成する。例えば、船体の長手方向に沿って設けられた通路について、算出された避難ルートでは、船尾側から船首方向へ移動することが定められている場合、制御部42は、当該経路に設けられた方向指示器20cや表示装置20aに、船尾側から船首方向への移動を誘導する表示を行うような制御信号を生成する。また、制御部42は、当該通路に設けられたスピーカ20bに対し、船尾側から船首方向への移動を誘導する音声を出力するような制御信号を生成する。また、例えば、制御部42は、携帯端末30と音声、映像を用いたコミュニケーションが可能な機能を備えている。このコミュニケーション機能は、例えば、一般的なテレビ電話やWeb会議システムのようなものであってもよい。そのほかにも、制御部42は、乗客が存在する位置から避難ルートを少し進んだ位置の様子や、その乗客に関係する他の乗客の様子を知らせる動画などを作成するための画像や音声の加工、編集機能を備えている。
【0017】
船内状況再現部43は、一般的に提供されているVR技術や4DX(登録商標)技術によって、センサ情報取得部41が取得した映像、音声、振動、臭いなどの情報から仮想現実空間情報を生成したり、疑似体験装置50へ出力する制御情報を生成したりする。船内状況再現部43は、VR技術および4DX(登録商標)技術のうちの少なくとも1つ又は両方を用いて、監視員が、疑似体験装置50を用いて船内の状況を疑似体験できるような情報を生成する。
【0018】
入力部44は、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン、マイク、カメラ等の入力装置を用いて構成される。入力部44は、陸上システム40に対する利用者の入力を受け付ける。入力部44は、受け付けた入力の内容を制御部42へ出力する。
【0019】
出力部45は、陸上システム40に接続された図示しない表示装置やスピーカなどに情報を出力する。例えば、出力部45は、乗客マップ情報、算出された避難ルートの情報などを表示装置へ出力する。また、乗客と監視員が、避難誘導装置20や携帯端末30を用いて乗客とコミュニケーションをとる場合、出力部45は、携帯端末30から送信された画像や音声をそれぞれ表示装置やスピーカに出力する。
【0020】
記憶部46は、HDD,フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、センサ情報や各種情報を記憶する。
通信部47は、船内システム10や携帯端末30との通信を行う。
【0021】
(船内システム)
船内システム10は、センサ情報取得部11と、制御部12と、記憶部13と、通信部14とを備える。センサ情報取得部11は、船内の各所に設けられたセンサ15から、そのセンサ15が検出したセンサ情報を取得する。センサ情報取得部11は、携帯端末30から、その携帯端末30の位置情報を取得する。また、センサ情報取得部11は、船内に設けられた安全検出装置(火災探知警報装置、浸水探知装置など)が検出した火災などの発生状況や、通報装置が発報したアラーム情報、安全維持装置(防火戸、水密戸、スプリンクラなど)の作動状況を示す情報を各装置から取得する。
【0022】
制御部12は、避難誘導装置20、携帯端末30、陸上システム40との通信制御などを行う。また、制御部12は、陸上システム40からの指示に基づいて、避難誘導装置20を制御する。記憶部13は、HDD,フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、センサ情報や各種情報を記憶する。通信部14は、他装置との通信を行う。
【0023】
(携帯端末)
携帯端末30は、測位センサ31と、カメラ32と、マイク33と、表示部34と、スピーカ35と、制御部36と、記憶部37と、通信部38と、を備える。測位センサ31は、携帯端末30の位置情報を計測する。測位センサ31は、GPS(Global Positioning System)受信機などの衛星測位システムの受信機である。カメラ32は、携帯端末30の周囲の映像を撮影する。マイク33は、携帯端末30の周囲の音声を収音する。表示部34は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成され、例えば、避難ルートや避難方向を表示する。スピーカ35は、避難方向などの情報を音声で出力する。制御部36は、携帯端末30の動作を制御する。記憶部13は、HDD,フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、各種情報を記憶する。通信部14は、船内システム10や陸上システム40との通信を行う。
【0024】
(動作)
次に避難誘導システム100の動作について
図3、
図4を参照して説明する。
図3、
図4はそれぞれ、実施形態に係る避難誘導システムの動作の一例を示す第1の図、第2の図である。船舶1には、火災探知警報装置、浸水探知装置が設けられている。船内で火災が発生すると火災探知警報装置が作動し、浸水が発生すると浸水探知装置が作動する。これらの安全検出装置が作動すると、その情報は、船内システム10から陸上システム40へ送信され、出力部45が、火災や浸水の発生を表示装置へ出力する。船舶1の船長または陸上の監視員の判断で、乗客の避難誘導が開始され、避難誘導システム100は動作を開始する。
【0025】
<多数の乗客を対象とする避難誘導>
まず、
図3を参照して、多数の乗客を対象とした避難誘導を行う場合の動作の一例について説明する。携帯端末30は、測位センサ31が測位した自装置の位置情報と識別情報を、通信部38を通じて、船内システム10へ送信する(ステップS1)。船内システム10では、制御部12の指示に基づいて、通信部14が送信された位置情報などを受信して、陸上システム40へ送信する(ステップS2)。陸上システム40では、制御部42が、通信部47を通じて位置情報と携帯端末30の識別情報を取得し、取得した情報を記憶部46に保存する。制御部42は、取得した複数の携帯端末30の位置情報を、船舶1の地図情報にマッピングして、各乗客が船内のどの位置に存在するかを示した乗客マップ情報を生成する(ステップS3)。なお、船舶1の位置情報は別途、陸上システム40へ送信されており、船内の地図情報へのマッピングは可能である。出力部45は、乗客マップ情報を表示装置へ出力する。
【0026】
また、船舶1では、センサ15が検出したセンサ情報と自装置の識別情報を船内システム10へ送信する(ステップS4)。また、乗客や乗組員が、自分が所持する携帯端末30のカメラ32やマイク33が検出した画像や音声(センサ情報)を自装置の船内システム10へ送信してもよい(ステップS4´)。船内システム10では、制御部12の指示に基づいて、通信部14が送信されたセンサ情報を受信して、陸上システム40へ送信する(ステップS5)。陸上システム40では、制御部42が、通信部47を通じてセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を記憶部46に保存する。制御部42は、船内の様々な位置で検出されたセンサ情報について、センサの識別情報に基づいて、そのセンサが設置されている位置ごとにまとめて、船内状況再現部43へ出力する。船内状況再現部43は、例えば、VR技術を用いて仮想現実空間情報などを生成し(ステップS6)、ヘッドマウントディスプレイ50aなどの疑似体験装置50へ出力する。監視員は、陸上システム40又は疑似体験装置50に対して所定の操作を行って、船内位置を切替え、船内状況再現部43が再現した船内各所の状況を疑似体験する。これにより、例えば、通路Aは火炎が迫っていて、乗客の避難ルートには適さない、通路Bは煙が充満している箇所があるが避難が可能であるといった検討を行う。また、監視員は、ステップS6で生成された乗客マップ情報を参照して、乗客位置を確認し、例えば、ある範囲に存在する乗客ごとに避難ルートを設定したり、エリアにおける乗客数に応じて、どのように乗客を導くと効率よく乗客を避難させることができるか等の検討を行う。そして、監視員は、通行できない通路、安全な通路、避難ルートの一部として推奨する通路などの情報を陸上システム40へ入力する。入力部44は、入力された情報を制御部42へ出力する。制御部42は、船内の地図情報(船内の通路の情報)、乗客マップ情報、監視員から指定された通行できない通路の情報などに基づいて、例えば、船内の通路を繋ぎ合わせるなどして、乗客が存在する各エリアから所定の避難場所までの避難ルートを算出する(ステップS7)。制御部42は、算出した避難ルートを、出力部45を通じて表示装置に表示し、監視員の承認を得て、避難ルートを決定してもよい。
【0027】
避難ルートを算出すると、制御部42は、船内の避難誘導指示情報を生成する(ステップS8)。例えば、船内の地図情報には、表示装置20a、スピーカ20b、方向指示器20cなどの避難誘導装置20の設置位置が含まれていて、制御部42は、ステップS7で算出した避難ルートと、各位置の避難誘導装置20とを照らし合わせて、各位置の表示装置20a、スピーカ20b、方向指示器20cによって乗客を誘導すべき方向を算出し、それぞれの避難誘導装置20について、表示内容(例えば、進行方向を示した矢印)、音声出力内容(例えば、“○○の方向へ進んでください”)、指示方向を設定する。制御部42は、船内の避難誘導指示情報の送信を通信部47に指示する。通信部47は、船内の避難誘導指示情報を船内システム10へ送信する(ステップS9)。船内システム10では、制御部12が、通信部14を通じて、避難誘導装置20ごとの避難誘導指示情報を取得する。制御部12は、避難誘導装置20ごとの避難誘導指示情報に基づいて、各避難誘導装置20へ出力する制御信号を生成する(ステップS10)。例えば、通路Bに設けられた表示装置20aに対して、陸上システム40から送信された船内の避難誘導指示情報には、乗客を誘導する方向と煙に注意すべきことが含まれていれば、制御部12は、乗客を誘導する方向を指し示す矢印および“煙に注意して矢印の方向に進んでください”といったテキスト情報と当該テキスト情報の表示を指示する指令信号を生成する。制御部12は、他の避難誘導装置20についても制御信号を生成する。通信部14は、制御部12が生成した制御信号を各避難誘導装置20へ送信する(ステップS11)。船内の各位置に設けられた避難誘導装置20は制御信号を受信し、避難誘導を開始する(ステップS12)。例えば、通路Bに設けられた表示装置20aは、誘導方向を指し示す矢印と“煙に注意して矢印の方向に進んでください”といったメッセージが表示された画像を表示する。なお、ステップS8の処理は、船内システム10の制御部12が実行するように構成されていてもよい。
【0028】
<個別の乗客に対する避難誘導>
次に
図4を参照して、個別の乗客を対象とした避難誘導を行う場合の動作の一例について説明する。
図3に例示する処理と並行して、陸上では、監視員が、逃げ遅れた乗客、他の乗客とは離れた位置に存在する乗客、周囲に避難誘導装置20が存在しない乗客などを対象として、個別の避難誘導指示情報を生成する(ステップS20)。例えば、監視員は、乗客マップ情報に基づいて、孤立した乗客とその位置を特定し、特定した乗客を他の大勢の乗客が利用する避難ルートまで導く移動ルートを計画する。あるいは、監視員が、特定した乗客の位置と、その乗客を避難ルートに合流させる位置を指定すると、制御部42が、先に疑似体験に基づいて監視員が設定した通行できない通路、安全な通路の情報に基づいて、ステップS7と同様の処理を行って、孤立した乗客が避難ルートまで移動する為の移動ルートを算出してもよい。孤立した乗客の移動ルートが算出されると、制御部42は、個別の避難誘導指示情報を生成する。例えば、制御部42は、ロボット20dを孤立した乗客の位置に向かわせ、その位置から乗客を移動ルートに沿って移動させることを指示する情報を生成し、この避難誘導指示情報を船内システム10へ送信する(ステップS21)。船内システム10では、制御部12が、受信した避難誘導指示情報に基づいて、ロボット20dに上記の経路を移動させるような制御信号を生成する。また、制御部12は、ロボット20dが孤立した乗客の位置に到着したら、乗客に向けてロボット20dの後を追いかけて避難するよう呼びかける動作(例えば、ロボット20dがそのような内容の音声を出力する。)を行うような制御信号を生成する(ステップS22)。制御部12は、生成した制御信号をロボット20dへ送信する(ステップS23)。制御信号を受信したロボット20dは避難誘導を実行する(ステップS24)。
【0029】
また、個別の避難誘導指示情報は、携帯端末30ごとに生成されてもよい(ステップS20)。例えば、監視員は、疑似体験装置50を用いて、逃げ遅れた乗客が存在する位置の周辺の状況を疑似体験し、どのようなルートであれば避難できるか、また、周囲の状況はどのような状態かを確認する。制御部42は、監視員の指示に基づいて、逃げ遅れた乗客ごとにその乗客の避難ルートや他の大勢の乗客が利用する避難ルートまで移動する為の移動ルートを示した地図情報(避難誘導指示情報)を生成し、その情報を当該乗客の携帯端末30へ送信する(ステップS25)。携帯端末30では、表示部34が、避難誘導指示情報を出力する(ステップS26)。乗客は、表示部34に表示された移動ルートに沿って、避難を開始する。避難中の乗客は、陸上の監視員とコミュニケーションすることができてもよい。例えば、携帯端末30が、スマートフォンの場合、監視員から携帯端末30へ電話をかけ、疑似体験装置50を用いて疑似体験した周囲の状況や、他の乗客の避難状況、船内の災害の状況などを伝えつつ、乗客を避難誘導してもよい。
【0030】
また、乗客は、携帯端末30を通じて、陸上の監視員に避難誘導を求めることができる。避難誘導を求める場合、乗客は、携帯端末30に対して所定の操作を行って、陸上システム40が備えるコミュニケーション機能(コミュニケーション用のソフトウェア等)を使った陸上システム40との相互通信を行い、避難誘導を要求する(ステップS27)。例えば、乗客は、カメラ32で周囲の様子を撮影して、陸上システム40へ送信しつつ、音声により、どの方向に逃げればよいか、移動ルートはどのような状況か等を問い合わせる。これに対し、監視員は、コミュニケーション機能を用いて、音声や画像などを含む避難誘導指示情報を送信して(ステップS28)、避難誘導を実行する。例えば、監視員は、その乗客用に設定した移動ルートの状況(視界が悪い、煙の臭いが強い等)を、疑似体験装置50を用いて疑似体験する等して、疑似体験した内容を乗客に口頭で伝え、移動ルートを案内する。携帯端末30では、これらの音声情報をスピーカ35から出力する。例えば、船舶1が大きく傾いたり激しく揺れたりしている状況であれば、監視員はその状況を疑似体験したうえで、乗客が、提示した移動ルートをスムーズに移動できる状態ではないことを理解し、例えば、手すりの位置などを伝えながら、手すりにつかまってゆっくり進んでください等の助言を行うことができる。また、例えば、監視員は、移動ルートに沿って設けられたカメラ15aが撮影した映像を、陸上システム40を用いて加工する等して、加工した画像を、コミュニケーション機能を利用して携帯端末30へ送信し、乗客が存在する位置から移動ルートに沿って進んだ場合の船内の様子を前もって案内してもよい。また、例えば、乗客が避難中に家族や友人から離れてしまった場合、監視員は、その家族や友人の所持する携帯端末30の位置情報から、友人等の避難状況や安否を乗客へ案内することができる。これにより、乗客は安心して避難を行うことができる。このようにして、陸上システム40からの避難誘導によって、乗客は避難場所まで避難する。
【0031】
なお、
図3、
図4では、監視員が、避難ルートの算出前に、適切な避難ルートを策定するために船内の状況を疑似体験することとしたが、災害の状況は時々刻々と変化する為、監視員は、その後も継続して、最新のセンサ情報に基づいて再現された船内の状況を疑似体験し、
図3、
図4に例示した処理によって、適宜、避難ルートの変更等を行ってもよい。また、
図4では、逃げ遅れた乗客や孤立した乗客の携帯端末30へ個別の避難誘導指示情報を通知することとしたが、全ての乗客に対して、各自が避難すべき避難ルートの情報を携帯端末30へ送信するようにしてもよい。
【0032】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、船内の各所に設けられたカメラ15a及び他の情報(例えば、音、熱、匂い、傾き、振動など)を検出する各種のセンサ15が収集した情報を、船舶1(例えば、船舶1は無人運航船、省人化船であってもよい。)の船陸間通信システム(通信部14)を使用して、陸上システム40に送信する。そして、陸上システム40では、VR技術や4DX(登録商標)技術を使って船内の状況を再現する。これにより、監視員は、陸上に存在しながら、あたかも乗船しているかのようにして船内の状況を把握することができる。また、船内の各所に設けられたセンサ15が検出した情報に基づき、船内各所の状況を再現することができるので、監視員は、船内の特定の場所だけではなく、あらゆる場所の状況を体験的に把握することができる。これにより、監視員は、単に火災探知警報装置が火災を検出した位置などを避けるだけでなく、船内各所のセンサ15によって検出された危険な場所を回避する避難ルートを決定することができる。また、本実施形態によれば、陸上システム40と携帯端末30とを用いて、陸上の監視員と各乗客とが双方向にコミュニケーションをとることができる。監視員は、乗客が存在する場所について再現された船内状況に基づいて、乗客のおかれた状況に即した避難誘導を行うことができる。また、乗客が存在する位置から離れた場所について再現された船内状況に基づいて、その乗客では分からない船内の様子を伝えたり、避難ルートの少し先の情報を教えてあげたりすることによって、スムーズに乗客を避難させることができる。また、本実施形態によれば、陸上システム40から船内の避難誘導装置20に対して、避難誘導指示情報を送信し、避難誘導装置20の動作を制御することができる。これにより、避難誘導装置20が出力する情報を見聞きできる大勢の乗客をまとめて避難誘導することができる。このように陸上システム40から船上の乗客に対する避難誘導を実施することによって、例えば、船舶1が無人運行船や省人化船であって、乗組員が乗客の避難誘導を行うことができない場合や人手が足りない場合であっても、陸上システム40によって乗組員の不在もしくは省人化を補い、船上の乗組員による避難誘導と同じように避難誘導を行うことができる。また、陸上システム40にて、船上よりも多くの人員を避難誘導に投入するようにしてもよい。これにより、通常の乗組員による避難誘導以上の人的リソースを充てることができ、より効率的で迅速な避難誘導が期待できる。また、陸上システム40では、船内の状況をリアルに体験しつつも、火炎や浸水の影響を受けることなく、冷静に避難誘導を行うことが可能となる。また、陸上システム40では、同時並行的に複数の船舶1の監視・避難誘導を行うことができるので、船舶1の無人化や省人化に貢献することができる。
【0033】
図5は、実施形態に係る避難誘導システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の船内システム10、携帯端末30、陸上システム40は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0034】
なお、船内システム10、携帯端末30、陸上システム40の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0035】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0036】
<付記>
各実施形態に記載の遠隔式避難誘導システム、陸上避難誘導システム、船内避難誘導システム及び遠隔式避難誘導方法は、例えば以下のように把握される。
【0037】
(1)第1の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサ15と、船内に設けられた避難誘導装置20と、陸上に設けられた陸上避難誘導システム(陸上システム40)と、を備え、前記陸上避難誘導システム(陸上システム40)は、前記センサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部41と、前記センサ情報に基づいて船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部43と、再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部(制御部42)と、前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部(制御部42)と、前記避難誘導指示情報を前記避難誘導装置へ送信する送信部(通信部47)と、を備える。
これにより、陸上システム40から船内の乗客の避難誘導を行うことができる。
【0038】
(2)第2の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、(1)の遠隔式避難誘導システムであって、前記陸上避難誘導システム(陸上システム40)は、船内の乗客の位置情報を取得する位置情報取得部(センサ情報取得部41)と、前記位置情報に基づいて、前記乗客の船内における位置を示した乗客マップ情報を生成する乗客マップ情報生成部(制御部42)と、をさらに備え、前記避難ルート設定部は、前記乗客マップ情報と前記船内の状況とに基づいて、前記避難ルートを設定する。
これにより、乗客の位置を考慮して避難ルートを設定することができる。
【0039】
(3)第3の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、(1)~(2)の遠隔式避難誘導システムであって、前記船内状況再現部43は、仮想現実空間情報(VR)および体感情報(4DX)のうちの少なくとも一方を生成する。
仮想現実空間情報や体感情報(椅子を動かすことで船体の傾きや揺れを再現したり、煙、臭い、風、水しぶきを噴射することでそれらを再現するにあたり、椅子の動きや煙等の噴射を実現する為の椅子の動きや噴射量などの制御情報)を生成することで、監視員は、船内の状況を疑似的に体験することができる。
【0040】
(4)第4の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、(1)~(3)の遠隔式避難誘導システムであって、前記避難誘導装置20は、表示装置20a、スピーカ20b、方向指示器20c、ロボット20dのうちの少なくとも一つであり、前記センサは、カメラ15a、マイク15b、振動センサ15f、臭いセンサ15g、傾きセンサ15c、加速度センサ、温度センサ15d、湿度センサ15eのうちの複数である。
船内に設けられた表示装置20a、スピーカ20b、方向指示器20cを地上から制御することができる。また、ロボット20dを避難誘導に用いることができる。上記のセンサを用いることで、船内の視覚的情報に加え、音、臭い、傾き、揺れ、温度(熱)などを再現することができる。
【0041】
(5)第5の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、(1)~(4)の遠隔式避難誘導システムであって、前記船内の乗客が所持する携帯端末30、をさらに備え、前記送信部は、前記避難誘導指示情報を前記携帯端末に送信する。
これにより各乗客に対して、個別に避難ルートを案内する等して避難誘導することができる。
【0042】
(6)第6の態様に係る遠隔式避難誘導システム(避難誘導システム100)は、(5)の遠隔式避難誘導システムであって、前記陸上避難誘導システム(陸上システム40)と前記携帯端末30とが、各々から画像または音声のうちの少なくとも一方を送受信することにより、双方向コミュニケーションが可能である。
これにより、陸上から乗客の一人ひとりに対して、個人単位で避難誘導することができる。
【0043】
(7)第7の態様に係る陸上避難誘導システム(陸上システム40)は、船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部41と、前記センサ情報に基づいて前記船内の状況を疑似体験可能に再現する船内状況再現部43と、再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定する避難ルート設定部(制御部42)と、前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成する誘導情報生成部(制御部42)と、前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信する送信部(通信部47)と、を備える。
これにより、陸上から船内の譲許を体験的に把握し、船内の避難誘導装置を制御することで陸上から避難誘導を行うことができる。
【0044】
(8)第8の態様に係る船内避難誘導システム(船内システム10)は、船内の複数の位置に設けられた複数種類のセンサ15と、前記船内に設けられた避難誘導装置20と、前記センサが検出したセンサ情報を取得するセンサ情報取得部11と、前記避難誘導装置を制御する制御部12と、前記センサ情報取得部が取得した前記センサ情報を陸上避難誘導システムへ送信し、前記陸上避難誘導システムから前記避難誘導装置を制御する制御信号を受信する通信部14と、を備える。
センサ15が検出した船内の状況を陸上避難誘導システムへ送信し、陸上避難誘導システムから取得した制御信号に基づいて船内の避難誘導装置を制御することで、陸上避難誘導システムと連携して乗客の避難誘導を行うことができる。
【0045】
(9)第9の態様に係る遠隔式避難誘導方法は、陸上に設けられた陸上避難誘導システムが船内の複数の位置のそれぞれに設けられた複数種類のセンサが検出したセンサ情報を取得するステップと、前記陸上避難誘導システムが前記センサ情報に基づいて船内の状況を疑似体験可能に再現するステップと、前記陸上避難誘導システムが再現された前記船内の状況に基づいて避難ルートを設定するステップと、前記陸上避難誘導システムが前記避難ルートに沿った乗客の避難を誘導する避難誘導指示情報を生成するステップと、前記避難誘導指示情報を前記船内に設けられた避難誘導装置へ送信するステップと、を有する。
【符号の説明】
【0046】
100・・・避難誘導システム、1・・・船舶、10・・・船内システム、11・・・センサ情報取得部、12・・・制御部、13・・・記憶部、14・・・通信部、15・・・センサ、15a・・・カメラ、15b・・・マイク、15c・・・傾きセンサ、15d・・・温度センサ、15e・・・湿度センサ、15g・・・臭いセンサ、15f・・・振動センサ、20・・・避難誘導装置、20a・・・表示装置、20b・・・スピーカ、20c・・・方向指示器、20d・・・ロボット、30・・・携帯端末、30a・・・スマートフォン、30b・・・ウェアラブル端末、31・・・測位センサ、32・・・カメラ、33・・・マイク、34・・・表示部、35・・・スピーカ、36・・・制御部、37・・・記憶部、38・・・通信部、40・・・陸上システム、41・・・センサ情報取得部、42・・・制御部、43・・・船内状況再現部、44・・・入力部、45・・・出力部、46・・・記憶部、47・・・通信部、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース