(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3287 20190101AFI20250124BHJP
G06F 1/3231 20190101ALI20250124BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20250124BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20250124BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20250124BHJP
【FI】
G06F1/3287
G06F1/3231
G06F3/041 640
G06F3/041 570
G06F3/0487
G06F3/0346 424
(21)【出願番号】P 2021562200
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2020061110
(87)【国際公開番号】W WO2021111248
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2019221483
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020038834
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 治樹
(72)【発明者】
【氏名】向尾 恭一
(72)【発明者】
【氏名】野中 大旗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕太
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200834(JP,A)
【文献】特開2014-071517(JP,A)
【文献】特開2018-206441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/32-1/3296
G06F3/0346;3/041;3/0487
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算回路と、入力部と、第2入力部
と、電源管理装置と、を有し、
前記入力部は、センサ素子を有し、
前記電源管理装置は、前記演算回路への電源の供給と、遮断と、を制御する機能を有し、
前記電源管理装置は、前記センサ素子から出力される信号が第1の条件を満たす場合には、前記演算回路への電源を供給する機能を有し、
前記センサ素子は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有し、
前記演算回路は、レジスタを有し、
前記レジスタは、第1回路と、第2回路と、を有し、
前記レジスタは、前記電源管理装置が前記演算回路への電源を供給する期間に前記第1回路へ格納される第1データを、前記電源管理装置が前記演算回路への電源の供給を遮断する期間に前記第2回路へ格納し、保持する機能を有し、
前記演算回路は、前記センサ素子から出力される信号データと、前記第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、
前記第2入力部は、タッチセンサとして機能する領域を含む表示部を有し、
前記表示部は可撓性を有し、
前記電源管理装置は、
前記入力部が検出する信号が前記第1の条件を満たさず、かつ、前記第2入力部から出力される信号が第2の条件を満たさない場合には、前記演算回路への電源の供給を遮断する機能を有し、
前記第2入力部から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、または前記第2入力部から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、前記第2の条件を満たすと判断する操作装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2回路は、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを有する操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記演算回路は、前記第2データに基づき、位置データ、振動強度データまたは前記位置データに基づく画像データを生成する機能を有する操作装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
演算用のキャッシュを有し、
前記キャッシュは、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2トランジスタを有し、
前記キャッシュは、前記電源管理装置が前記演算回路への電源の供給を遮断する期間に第3データを格納し、保持する機能を有し、
前記演算回路は、前記センサ素子から出力される前記信号データと、前記第3データと、を用いて第4データを生成する機能を有する操作装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記演算回路は、前記第4データに基づき、位置データ、振動強度データまたは前記位置データに基づく画像データを生成する機能を有する操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記センサ素子から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、または前記センサ素子から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、前記第1の条件を満たすと判断する操作装置。
【請求項7】
請求項
1乃至請求項6のいずれか一において、
前記表示部は、第1可撓性基板と、第2可撓性基板と、前記第1可撓性基板と前記第2可撓性基板との間の複数の発光素子と、を有する操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、操作装置および情報処理システムに関する。また、本発明の一態様は、半導体装置に関する。また、本発明の一態様は、コントローラに関する。また、本発明の一態様は、ゲームコントローラに関する。また、本発明の一態様はゲーム機に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうるもの全般を指す。よって、トランジスタやダイオードなどの半導体素子や、半導体素子を含む回路は半導体装置である。また、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、通信装置および電子機器などは、半導体素子や半導体回路を含む場合がある。よって、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、撮像装置、通信装置および電子機器なども、半導体装置と呼ばれる場合がある。また、本発明の一態様の操作装置は半導体装置と呼ばれる場合がある。
【背景技術】
【0004】
スマートフォンやタブレット端末などに代表される持ち運びが容易な情報端末の普及が進んでいる。情報端末の普及に伴い、様々な通信規格が制定されている。例えば、第4世代移動通信システム(4G)と呼ばれるLTE-Advanced規格の運用が開始されている。
【0005】
近年、IoT(Internet of Things)などの情報技術の発展により、情報端末で扱われるデータ量は増大する傾向にある。また、情報端末などの電子機器に通信速度の向上が求められている。
【0006】
IoTなどの様々な情報技術に対応するため、4Gよりも速い通信速度、多くの同時接続、短い遅延時間を実現する第5世代移動通信システム(5G)と呼ばれる新たな通信規格が検討されている。5Gでは、3.7GHz帯、4.5GHz帯、および28GHz帯の通信周波数が使用される。
【0007】
5Gに対応する半導体装置は、Siなど1種類の元素を主成分として用いる半導体や、GaとAsなど複数種類の元素を主成分として用いる化合物半導体を用いて作製される。さらに、金属酸化物の一種である酸化物半導体が注目されている。
【0008】
酸化物半導体では、単結晶でも非晶質でもない、CAAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(nanocrystalline)構造が見出されている(非特許文献1および非特許文献2参照)。
【0009】
非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術が開示されている。
【0010】
また、半導体装置の消費電力削減の技術として、例えば、パワーゲーティング(PG:Power Gating)、クロックゲーティング(CG:Clock Gating)、ボルテージスケーリング等が知られている。例えば、特許文献1には、DVFS(Dynamic Voltage and Frequency Scaling)手法とPG手法のうち電力削減に有利となる手法を実施することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【文献】S.Yamazaki et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2012,volume 43,issue 1,p.183-186
【文献】S.Yamazaki et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2014,volume 53,Number 4S,p.04ED18-1-04ED18-10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一態様は、新規な半導体装置、または新規な半導体装置の動作方法を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、新規な操作装置、または新規な操作装置の動作方法を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、新規な情報処理装置、または新規な情報処理装置の動作方法を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、新規な情報処理システム、または新規な情報処理システムの動作方法を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、消費電力を削減すること、例えば休止状態の電力を削減することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、休止状態から通常状態へ復帰する処理に要する時間を短縮すること、あるいは、それに要するエネルギーを削減することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、センサ素子を制御する回路の消費電力を低減することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、センサ素子により監視する対象物の安全性を高めることを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、対象物の監視を簡便に行うシステムを提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、表示部を有する情報処理システムの消費電力を削減することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、電子機器へ信号を与える操作装置の消費電力を削減することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、電子機器の操作を簡便に行うシステムを提供することを課題の一つとする。
【0014】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発明の一態様の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は操作装置である。または、本発明の一態様は情報処理装置である。または、本発明の一態様は、操作装置および情報処理装置を有する情報処理システムである。また、本発明の一態様の操作装置は例えば、ゲームコントローラに適用することができる。また、本発明の一態様の情報処理システムは例えば、ゲーム機に適用することができる。
【0016】
本発明の一態様は、演算回路と、入力部と、電源管理装置と、を有し、入力部は、センサ素子を有し、電源管理装置は、演算回路への電源の供給と、遮断と、を制御する機能を有し、電源管理装置は、センサ素子から出力される信号が第1の条件を満たす場合には、演算回路への電源を供給する機能を有し、センサ素子は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有し、演算回路は、レジスタを有し、レジスタは、第1回路と、第2回路と、を有し、レジスタは、電源管理装置が演算回路への電源を供給する期間に第1回路へ格納される第1データを、電源管理装置が演算回路への電源の供給を遮断する期間に第2回路へ格納し、保持する機能を有し、演算回路は、センサ素子から出力される信号データと、第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有する操作装置である。
【0017】
ここで第1の条件を満たす、とは例えば、センサ素子により検知される信号の値を判定基準に基づいて判定し、所望の信号が検知されている場合には、第1の条件を満たす、という。より具体的には例えば、センサ素子710から出力される値が所定のしきい値を超える場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値の絶対値が所定のしきい値を超える場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値が、所定の範囲内である場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値が、所定の範囲外である場合を指す。
【0018】
また上記構成において、第2回路は、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを有することが好ましい。
【0019】
また上記構成において、演算回路は、第2データに基づき、位置データ、振動強度データまたは位置データに基づく画像データを生成する機能を有することが好ましい。
【0020】
また上記構成において、演算用のキャッシュを有し、キャッシュは、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2トランジスタを有し、キャッシュは、電源管理装置が演算回路への電源の供給を遮断する期間に第3データを格納し、保持する機能を有し、演算回路は、センサ素子から出力される信号データと、第3データと、を用いて第4データを生成する機能を有することが好ましい。
【0021】
また上記構成において、演算回路は、第4データに基づき、位置データ、振動強度データまたは位置データに基づく画像データを生成する機能を有することが好ましい。
【0022】
また上記構成において、センサ素子から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、またはセンサ素子から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、第1の条件を満たすと判断することが好ましい。
【0023】
また上記構成において、第2入力部を有し、第2入力部は、ハードウェアボタン、キーボード、ポインティングデバイス、タッチセンサ、音声入力装置、視線入力装置、撮像装置および照度センサから選ばれる一以上を有し、電源管理装置は、入力部が有するセンサ素子から出力される信号が第1の条件を満たさず、かつ、第2入力部から出力される信号が第2の条件を満たさない場合には、演算回路への電源の供給を遮断する機能を有し、第2入力部から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、または第2入力部から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、第2の条件を満たすと判断することが好ましい。
【0024】
また上記構成において、第2入力部を有し、第2入力部は、タッチセンサとして機能する領域を含む表示部を有し、表示部は可撓性を有し、第1入力部が検出する信号が第1の条件を満たさず、かつ、第2入力部から出力される信号が第2の条件を満たさない場合には、演算回路への電源の供給を遮断する機能を有し、第2入力部から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、または第2入力部から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、第2の条件を満たすと判断することが好ましい。
【0025】
また上記構成において、表示部は、第1の可撓性基板と、第2の可撓性基板と、第1の可撓性基板と第2の可撓性基板との間の複数の発光素子と、を有することが好ましい。
【0026】
また上記構成において、第2入力部を有し、第2入力部は撮像装置を有し、撮像装置により指紋または掌紋を撮像し認証を行う機能を有し、入力部が検出する信号が第1の条件を満たさず、かつ、第2入力部から出力される信号が第2の条件を満たさない場合には、演算回路への電源の供給を遮断する機能を有し、第2入力部から出力される信号の大きさが所望の範囲内である場合、または第2入力部から出力される信号の時間に伴う変化量が所望の範囲内である場合において、第2の条件を満たすと判断することが好ましい。
【0027】
または、本発明の一態様は、第1筐体と、第2筐体と、演算回路と、入力部と、電源管理装置と、情報処理装置と、を有し、入力部は、センサ素子を有し、演算回路、入力部および電源管理装置はそれぞれ、第1筐体の内部に少なくとも一部が配置され、情報処理装置は、第2筐体の内部に少なくとも一部が配置され、電源管理装置は、演算回路への電源の供給と、遮断と、を制御する機能を有し、電源管理装置は、センサ素子から出力される信号が第1の条件を満たす場合には、演算回路への電源を供給する機能を有し、センサ素子は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有し、演算回路は、レジスタを有し、レジスタは、電源管理装置が演算回路への電源を供給する期間に第1回路へ格納される第1データを、電源管理装置が演算回路への電源の供給を遮断する期間に第2回路へ格納し、保持する機能を有し、演算回路は、センサ素子から出力される信号データと、第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、演算回路は、演算用のキャッシュを有し、キャッシュは、電源管理装置が演算回路への電源の供給を遮断する期間に第3データを格納し、保持する機能を有し、演算回路は、第2データおよび第3データを無線により情報処理装置へ送信する機能を有し、情報処理装置は、第2データおよび第3データを用いて画像データを生成する機能を有する情報処理システムである。
【0028】
また上記構成において、可撓性を有する表示部を有し、表示部は、第1筐体の表面に沿うように配置され、表示部は、タッチセンサとして機能する領域を有することが好ましい。
【0029】
また上記構成において、表示部は、第1の可撓性基板と、第2の可撓性基板と、第1の可撓性基板と第2の可撓性基板との間の複数の発光素子と、を有することが好ましい。
【0030】
また上記構成において、第2データは、複数の時刻と、該複数の時刻のそれぞれに対応するデータと、を有し、画像データには、オブジェクトが配置され、オブジェクトが配置される位置は、複数の時刻のそれぞれに対応するデータを用いてそれぞれ生成されることが好ましい。
【0031】
また上記構成において、第3筐体を有し、第3筐体は、第2表示部を有し、第2表示部は画像データを表示する機能を有することが好ましい。
【0032】
また上記構成において、第3筐体は、第1筐体に着脱可能なことが好ましい。
【0033】
または本発明の一態様は、コントローラと、ヘッドマウントディスプレイと、情報処理装置と、を有し、コントローラは、第1筐体と、入力部と、処理装置と、を有し、入力部は、センサ素子を有し、処理装置は、第1データを格納し、処理装置への電源が遮断される第1の期間において第1データを保持する機能を有し、ヘッドマウントディスプレイは、表示部と、駆動回路と、を有し、処理装置は、第1の期間の後、電源が供給される第2の期間において、センサ素子から出力される信号データと、第1の期間に保持された第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、情報処理装置は、第1画像データと、第2データと、を用いて第2画像データを生成する機能を有し、表示部は、第2画像データを表示する機能を有する情報処理システムである。
【0034】
または本発明の一態様は、コントローラと、ヘッドマウントディスプレイと、発光素子と、情報処理装置と、を有し、コントローラは、第1筐体と、入力部と、処理装置と、を有し、入力部は、センサ素子を有し、処理装置は、第1データを格納し、処理装置への電源が遮断される第1の期間において第1データを保持する機能を有し、ヘッドマウントディスプレイは、表示部と、撮像装置と、を有し、処理装置は、第1の期間の後、電源が供給される第2の期間において、センサ素子から出力される信号データと、第1の期間に保持された第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、撮像装置は、発光素子からの電磁波を含む第2画像データを撮影する機能を有し、情報処理装置は、第1画像データと、第2データと、第2画像データと、を用いて第3画像データを生成する機能を有し、表示部は、第3画像データを表示する機能を有する情報処理システムである。
【0035】
または本発明の一態様は、処理装置と、入力部と、電源管理装置と、発光素子と、を有し、入力部は、センサ素子を有し、電源管理装置は、処理装置への電源の供給と、遮断と、を制御する機能を有し、電源管理装置は、センサ素子から出力される信号が第1の条件を満たす場合には、処理装置および発光素子への電源を供給する機能を有し、センサ素子は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有し、処理装置は、電源管理装置が処理装置への電源を供給する第1の期間に処理装置へ格納される第1データを、電源管理装置が処理装置への電源の供給を遮断する第2の期間に保持する機能を有し、処理装置は、前記第2の期間の後、電源が供給される第3の期間において、センサ素子から出力される信号データと、前記第2の期間に保持された第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有する操作装置である。
【0036】
または、本発明の一態様は、センサ素子と、処理装置と、表示部と、情報処理装置と、を有し、処理装置は、第1データを格納し、処理装置への電源が遮断される第1の期間において第1データを保持する機能を有し、処理装置は、第1の期間の後、電源が供給される第2の期間において、センサ素子から出力される信号データと、第1の期間に保持された第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、情報処理装置は、第1画像データと、第2データと、を用いて第2画像データを生成する機能を有し、表示部は、第2画像データを表示する機能を有する情報処理システムである。
【0037】
また、上記構成において、第1筐体を有し、センサ素子および処理装置のいずれかまたは両方は、第1筐体の内部に配置されることが好ましい。
【0038】
また、上記構成において、駆動回路を有し、駆動回路は、表示部に画像データを与える機能を有することが好ましい。
【0039】
または、本発明の一態様は、センサ素子と、処理装置と、表示部と、撮像装置と、発光素子と、情報処理装置と、を有し、処理装置は、第1データを格納し、処理装置への電源が遮断される第1の期間において第1データを保持する機能を有し、処理装置は、電源が供給される第2の期間において、センサ素子から出力される信号データと、第1の期間に保持された第1データと、を用いて第2データを生成する機能を有し、撮像装置は、発光素子からの電磁波を含む第2画像データを撮影する機能を有し、情報処理装置は、第1画像データと、第2データと、第2画像データと、を用いて第3画像データを生成する機能を有し、表示部は、第3画像データを表示する機能を有する情報処理システムである。
【0040】
また、上記構成において、センサ素子、発光素子および撮像装置から選ばれる一または複数は、第1筐体の内部に配置されることが好ましい。
【0041】
また、上記構成において、駆動回路と、を有し、駆動回路は、表示部に画像データを与える機能を有することが好ましい。
【0042】
また、上記構成において、第1レンズおよび第2レンズを有し、表示部は、第1画像を表示する第1領域と、第2画像を表示する第2領域と、を有し、第1レンズを通過した第1画像と、第2レンズを通過した第2画像の視差により、立体画像を表示する機能を有することが好ましい。
【0043】
例えば、情報処理システムの使用者は、第1レンズを通して第1画像を視認し、第2レンズを通して第2画像を視認することにより、視差効果により、立体画像を視認することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一態様は、新規な半導体装置、または新規な半導体装置の動作方法を提供することを可能にする。また、本発明の一形態は、消費電力を削減すること、例えば休止状態の電力を削減することが可能である。また、本発明の一形態は、休止状態から通常状態へ復帰する処理に要する時間を短縮すること、あるいは、それに要するエネルギーを削減することが可能である。また、本発明の一態様は、センサ素子を制御する回路の消費電力を低減することを可能にする。また、本発明の一態様は、センサ素子により監視する対象物の安全性を高めることを可能にする。また、本発明の一態様は、対象物の監視を簡便に行うシステムを提供することを可能にする。また、本発明の一態様は、表示部を有する情報処理システムの消費電力を削減することを可能にする。また、本発明の一態様は、電子機器へ信号を与える操作装置の消費電力を削減することを可能にする。また、本発明の一態様は、電子機器の操作を簡便に行うシステムを提供することを可能にする。
【0045】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、例示した効果の全てを有する必要はない。また、本発明の一態様について、上記以外の課題、効果、および新規な特徴については、本明細書の記載および図面から自ずと明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1は本発明の一態様を示す図である。
図2Aは本発明の一態様を示す図である。
図2Bは本発明の一態様を示す図である。
図3Aは本発明の一態様を示す図である。
図3Bは本発明の一態様の構成を用いた動作例を説明する図である。
図4Aは本発明の一態様を示す図である。
図4Bは本発明の一態様を示す図である。
図5Aおよび
図5Bは、半導体装置の構成例を示すブロック図である。
図6A乃至
図6Dは、半導体装置の電源管理の動作例を説明する図である。
図7は、半導体装置の電源管理の動作例を示すフローチャートである。
図8Aおよび
図8Bは、半導体装置の構成例を示すブロック図である。
図9は、プロセッサコアの構成例を示すブロック図である。
図10は、記憶回路の構成例を示す回路図である。
図11は、記憶回路の動作例を説明するタイミングチャートである。
図12は、キャッシュのメモリセルの構成例を示す回路図である。
図13は、メモリセルの動作例を説明するタイミングチャートである。
図14Aは、NOSRAMの構成例を示す機能ブロック図である。
図14Bは、メモリセルの構成例を示す回路図である。
図15Aは、メモリセルアレイの構成例を示す回路図である。
図15B、
図15Cは、メモリセルの構成例を示す回路図である。
図16Aは、DOSRAMのメモリセルの構成例を示す回路図である。
図16Bは、DOSRAMの積層構造例を示す図である。
図17は、半導体装置の構成例を示す図である。
図18は、半導体装置の構成例を示す図である。
図19A乃至
図19Cは、トランジスタの構成例を示す図である。
図20A乃至
図20Cは、トランジスタの構成例を示す図である。
図21A乃至
図21Cは、トランジスタの構成例を示す図である。
図22AはIGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図22BはCAAC-IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。
図22CはCAAC-IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。
図23Aは、は、半導体ウエハの上面図である。
図23Bは、チップの上面図である。
図24Aは、電子部品の作製工程例を説明するフローチャートである。
図24Bは、電子部品の斜視模式図である。
図25Aは本発明の一態様の適用例を説明する図である。
図25Bは本発明の一態様の適用例を説明する図である。
図25Cは本発明の一態様の適用例を説明する図である。
図25Dは本発明の一態様の適用例を説明する図である。
図26Aはコントローラの一例を説明する図である。
図26Bはヘッドマウントディスプレイの一例を説明する図である。
図26Cは本発明の一態様の構成を説明する図である。
図26Dおよび
図26Eは、ヘッドマウントディスプレイの一例を説明する図である。
図27はヘッドマウントディスプレイの一例を説明する図である。
図28Aは実施例を説明する図である。
図28Bは実施例を説明する図である。
図29Aは実施例を説明する図である。
図29Bは実施例を説明する図である。
図30Aは実施例を説明する図である。
図30Bは実施例を説明する図である。
図30Cは実施例を説明する図である。
図30Dは実施例を説明する図である。
図30Eは実施例を説明する図である。
図31Aは実施例を説明する図である。
図31Bは実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その説明の繰り返しは省略する。
【0048】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。
【0049】
また、上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、図面をわかりやすくするために、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。
【0050】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0051】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流の入力または出力、電圧の入力または出力、もしくは、信号の受信または送信が行なわれる部位を言う。よって、配線または電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0052】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0053】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0054】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0055】
また、本明細書などにおいて、「平行」とは、例えば、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」および「直交」とは、例えば、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0056】
なお、本明細書などにおいて、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0057】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位は互いに言い換えることが可能な場合が多い。本明細書などでは、特段の明示が無いかぎり、電圧と電位を言い換えることができるものとする。
【0058】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「絶縁体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「絶縁体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「絶縁体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0059】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「導電体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「導電体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「導電体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0060】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0061】
なお、本明細書等において、トランジスタの「オン状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡しているとみなせる状態(「導通状態」ともいう。)をいう。また、トランジスタの「オフ状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断しているとみなせる状態(「非導通状態」ともいう。)をいう。
【0062】
また、本明細書等において、「オン電流」とは、トランジスタがオン状態の時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オフ電流」とは、トランジスタがオフ状態である時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。
【0063】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」、「H電位」、または「H」ともいう)とは、低電源電位VSS(以下、単に「VSS」、「L電位」、または「L」ともいう)よりも高い電位の電源電位を示す。また、VSSとは、VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(以下、単に「GND」、または「GND電位」ともいう)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0064】
また、本明細書等において、ゲートとは、ゲート電極およびゲート配線の一部または全部のことをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0065】
また、本明細書等において、ソースとは、ソース領域、ソース電極、およびソース配線の一部または全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをいう。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0066】
また、本明細書等において、ドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、及びドレイン配線の一部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0067】
また、図面などにおいて、配線および電極などの電位をわかりやすくするため、配線および電極などに隣接してH電位を示す“H”、またはL電位を示す“L”を付記する場合がある。また、電位変化が生じた配線および電極などには、“H”または“L”を囲み文字で付記する場合がある。また、トランジスタがオフ状態である場合、当該トランジスタに重ねて“×”記号を付記する場合がある。
【0068】
なお端子は、複数の端子の集合体を指す場合がある。複数の端子の集合体が有するそれぞれの端子には例えば独立した信号が与えられ、それぞれの端子に一以上の配線が電気的に接続される。
【0069】
トランジスタは、ゲート、ソース、およびドレインと呼ばれる3つの端子(ノード)を有する。ゲートは、トランジスタの導通状態を制御する制御端子として機能する端子である。ソースまたはドレインとして機能する一対の入出力端子(ノード)は、トランジスタの型及び各端子(ノード)に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。一般的に、n型トランジスタでは、低い電位が与えられるノードがソースと呼ばれ、高い電位が与えられるノードがドレインと呼ばれる。逆に、p型トランジスタでは、低い電位が与えられるノードがドレインと呼ばれ、高い電位が与えられるノードがソースと呼ばれる。本明細書では、ゲート以外の2つの端子(ノード)を第1端子(ノード)、第2端子(ノード)と呼ぶ場合がある。
【0070】
本明細書では、回路構成やその動作の理解を容易にするため、トランジスタの2つの入出力端子(ノード)の一方をソースに、他方をドレインに限定して説明する場合がある。もちろん、駆動方法によっては、トランジスタの3つの端子に印加される電位の大小関係が変化し、ソースとドレインが入れ替わる場合がある。したがって、本発明の一態様において、トランジスタのソースとドレインの区別は、明細書および図面での記載に限定されるものではない。
【0071】
本明細書等において、能動素子(例えば、トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(例えば、容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定されている態様が、本明細書等に記載されている場合、接続先が特定されていない発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数のケース考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0072】
本明細書等において、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能が特定できれば、発明の態様が明確であると言える。そして、機能が特定された発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。したがって、ある回路について、機能を特定しなくても接続先を特定すれば、発明の一態様が開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定することで、発明の一態様が開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0073】
(実施の形態1)
本発明の一態様の操作装置700は、処理装置21、入力部301および電源回路10を有する。
図5に示す処理装置20や
図8に示す処理装置21の構成を、
図1等に示す処理装置21に適用することができる。
【0074】
操作装置700が有する処理装置21は、データを生成し、生成した該データを情報処理装置799に送信する機能を有する。
【0075】
処理装置21は、演算回路21aと、電源管理装置21bと、を有する。
【0076】
演算回路21aとして後述するプロセッサコアを適用することができる。または例えば、演算回路21aとして、後述するプロセッサコアを有する構成を用いることができる。
【0077】
演算回路21aは、レジスタ22を有する。本発明の一態様のレジスタは例えば、後述する
図5等に示す記憶回路31を有する。後述する記憶回路31は例として、回路MemC1および回路BKC1を有する。回路MemC1は例えば、演算回路21aが生成したデータを保持する機能を有し、回路BKC1は例えば、回路MemC1のバックアップ回路として機能することができ、電源が遮断されていても、またはクロック信号が遮断されていても長時間データを保持することが可能な回路である。電源が遮断された状態において回路BKC1は例えば、好ましくは1分以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは10時間以上、データを保持することができる。
【0078】
電源管理装置21bとして、後述する電源管理装置(PMU)60等を適用することができる。電源管理装置21bは、演算回路21aへの電源の供給と、遮断と、を制御する機能を有する。より具体的には例えば、電源管理装置21bは、電源回路10から演算回路21aへの電源電位の供給と、遮断と、を制御する機能を有する。
【0079】
電源回路10は、処理装置21および入力部301に電源を与える機能を有する。より具体的には例えば、電源回路10は、処理装置21および入力部301に電源電位VDDを与える機能を有する。また、電源回路10は電源電位VDDの値を変更した後に、処理装置21および入力部301に与えてもよい。
【0080】
また電源回路10は例えば、二次電池から与えられる電圧を適宜変換し、他の回路に与える機能を有することが好ましい。
【0081】
操作装置700が二次電池から与えられる電力により駆動する場合には、操作装置700は無線給電により電力を受信する機能、および受信した電力を二次電池に供給する機能を有することが好ましい。
【0082】
また、処理装置21は、記憶装置21cを有してもよい。記憶装置21cには、処理装置21が演算で用いるパラメータを格納することができる。あるいは記憶装置21cには、操作装置の操作に用いるパラメータを格納することができる。なお、記憶装置21cはキャッシュとして機能してもよい。記憶装置21cとして、後述するNOSRAMおよびDOSRAMの構成を適用することができる。また、記憶装置21cとして、後述するキャッシュ40等の構成を用いることができる。電源が遮断された状態において記憶装置21cは例えば、好ましくは1分以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは10時間以上、データを保持することができる。
【0083】
入力部301は、センサ素子710、検出部711および判定回路712を有する。
【0084】
本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、位置データを取得する機能を有する。あるいは、本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、位置データを生成するためのデータを取得する機能を有する。
【0085】
位置データはオブジェクトの位置に関するデータである。一例として、位置データは、操作装置の使用者の位置に関するデータである。
【0086】
あるいは、上記位置データは例えば、操作装置が有するセンサ素子の測定値を用いて生成される、仮想空間における位置に関するデータである。より具体的には一例として、ゲームに用いる仮想空間を表す映像データ内において配置される、オブジェクトの位置に関するデータである。
【0087】
また、本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、位置データに加えて、姿勢データを取得する機能を有してもよい。ここで姿勢データとは例えば、オブジェクトの向きに関するデータである。また、本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、位置データに加えて、姿勢データを生成するためのデータを取得する機能を有してもよい。
【0088】
また、本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、振動データを取得する機能を有してもよい。また、本発明の一態様の操作装置は、加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて、振動データを生成するためのデータを取得する機能を有してもよい。
【0089】
入力部301が有するセンサ素子710は加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有することが好ましい。
【0090】
検出部711は、センサ素子710が検出する信号を判定回路712等に与える機能を有する。検出部711はセンサ素子710から与えられた信号に増幅、圧縮、等の処理を加えてから各回路に与えてもよい。また、検出部711はアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有してもよい。
【0091】
判定回路712はセンサ素子710から検出部711を介して与えられた信号(以下、信号Se1)の判定を行う機能を有する。判定回路712は例えば、センサ素子710において所望の信号が検知されたと判断した場合には処理装置21に対して、割り込み処理を要求する信号である信号INTを与える。
【0092】
ここで判定回路712は、検知される信号の値を判定基準に基づいて解析し、所望の信号が検知されているか否かを判定する。より具体的には例えば、センサ素子710から出力される値が所定のしきい値を超える場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値の絶対値が所定のしきい値を超える場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値が、所定の範囲内である場合を指す。あるいは例えば、センサ素子710から出力される値が、所定の範囲外である場合を指す。
【0093】
判定回路712はセンサ素子710において所望の信号が検知されないと判断した場合、具体的には例えばセンサ素子710の検出信号が検出下限以下である場合、あるいは定められた検出レベル以下である場合等においては、信号INTを与えない。処理装置21は、信号INTが与えられない期間においては例えば、演算回路21a等を休止状態とすればよい。ここで信号INTを与えるとは例えば、信号として高電位信号を与えることを含む。また信号INTを与えないとは例えば、信号として低電位信号を与えることを含む。高電位信号と低電位信号を入れ替えてもよい。
【0094】
処理装置21は判定回路712から信号INTが与えられると、休止状態から通常状態に復帰し、処理を開始する。当該処理として例えば、演算回路21aが信号Se1を受信し、信号Se1に対して、レジスタ22に保持されるパラメータ等を用いて演算を行い、データの生成を行う。生成されるデータをデータPs1とする。
【0095】
処理装置21は短時間で休止状態への移行や通常状態への復帰を行うことができる。処理装置21において退避シークエンスを実行して演算回路21a等のパワーゲーティングを行うことにより、演算回路21a等を休止状態とすることができる。演算回路21a等への電源電位の供給を再開した後、記憶回路31が有する回路BKC1に保持されているデータを回路MemC1に書き戻す、等の操作を行うことにより、処理装置21の演算回路21a等を休止状態から通常状態へ復帰させることができる。
【0096】
本発明の一態様の処理装置は、休止状態から通常状態への復帰に要する時間を短縮することができる。
【0097】
本発明の一態様の処理装置が有する演算回路は、休止状態から通常状態への復帰に要する時間を短縮することができる。
【0098】
処理装置21において生成されたデータPs1は、情報処理装置799に送信される。送信は無線通信により行われてもよい。あるいは処理装置21と情報処理装置799が電気的に接続され、配線を通じてデータPs1が情報処理装置799に信号として与えられてもよい。
【0099】
無線通信は例えば、アンテナを介した通信を行うことができる。アンテナを介した無線通信として例えばWorld Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行う場合、通信プロトコル又は通信技術として、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0100】
無線通信として、赤外線通信を用いてもよい。
【0101】
処理装置21が無線通信を行う場合には、処理装置21は通信回路を有することが好ましい。該通信回路は例えば、信号の変調を行う機能、信号の復調を行う機能、等を有する。該通信回路はアンテナに電気的に接続されることが好ましい。
【0102】
情報処理装置799は、画像データを生成する機能を有することが好ましい。画像データにおいて、1つ、または複数のオブジェクトが配置される。情報処理装置799は、データPs1を用いて、画像データにおいて配置されるオブジェクトの、画像内の位置データ、姿勢データ、等を生成する機能を有する。
【0103】
画像データは例えば、ゲームに用いられる画像である。オブジェクトは例えば、プレーヤーオブジェクトである。
【0104】
あるいは画像データは例えば、ナビゲーションシステムに用いられる画像である。オブジェクトは例えば、車両である。
【0105】
記憶装置21cは、演算回路21aが演算に用いるパラメータを保持することができる。また、記憶装置21cに、位置データの初期値を保持してもよい。あるいは、記憶装置21cに、情報処理装置799が位置データ等を生成する際に用いるパラメータを保持してもよい。また、複数の操作装置700が情報処理装置799と通信する場合には、記憶装置21cはそれぞれの操作装置700の固有IDを保持してもよい。
【0106】
処理装置21は、データPs1に加えて、記憶装置21cに保持されるデータ(以降、データCh1)を合わせて、情報処理装置799に送信してもよい。情報処理装置799は、データPs1とデータCh1を用いて、位置データ、姿勢データ、等を生成することができる。
【0107】
加速度センサは例えば、並進の加速度成分の検知を行うことができる。また角速度センサは例えば、回転の加速度成分の検知を行うことができる。
【0108】
磁気センサは例えば、操作装置700が2つの構成部を有する場合において、その相対位置の変化を検知することができる。例えば、操作装置700の第1の構成部を使用者の一方の手で操作し、第2の構成部を他方の手で操作する。あるいは例えば、第1の構成部を身体の第1の箇所に装着し、第2の構成部を身体の第2の箇所に装着する。あるいは例えば、第2の構成部を据え置きとしてもよい。
【0109】
操作装置700は、入力部301に加えて入力部301bを有してもよい。入力部301bは、センサ素子710b、検出部711bおよび判定回路712bを有する。
【0110】
センサ素子710bは、ハードウェアボタン、キーボード、ポインティングデバイス、タッチセンサ、音声入力装置、視線入力装置、撮像装置および照度センサから選ばれる一以上を有する。またセンサ素子710bは、光照射を用いた距離検知センサを有してもよい。距離検知センサは、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ミラーを用いた構成としてもよい。距離検知センサは例えば、操作装置700が2つの構成部を有する場合において、その相対位置の変化を検知することができる。例えば、操作装置700の第1の構成部を使用者の一方の手で操作し、第2の構成部を他方の手で操作する。あるいは例えば、第1の構成部を身体の第1の箇所に装着し、第2の構成部を身体の第2の箇所に装着する。あるいは例えば、第2の構成部を据え置きとしてもよい。
【0111】
操作装置700をゲームのコントローラとして用いる場合の一例として、プレーヤーオブジェクトの動作パターンを信号として情報処理装置に与えることが想定される。動作パターンをハードウェアボタンの各々に対応させる場合、コントローラに配置できるハードウェアボタンの数が少ないと、パターンの種類もボタンの数に限られてしまう。
【0112】
そこで、入力部301および入力部301bが有するセンサ素子の様々な組み合わせ、例えば複数のハードウェアボタンを同時に押す、あるいはハードウェアボタンとコントローラの傾き変化を組み合わせた動作を行う、等の組み合わせを動作パターンに対応させることにより、情報処理装置に送信できる動作パターンの種類を増やすことができる。
【0113】
このような組み合わせと対応する動作パターンのデータを、処理装置21が有する記憶装置21cに格納することにより、操作装置700と情報処理装置799のデータの送受信を減らすことができ、ゲームの操作性が向上する場合がある。また組み合わせと対応する動作パターンのデータは、使用者が自由に作成してもよく、記憶装置21cは操作装置に固有のデータを格納することができる。
【0114】
入力部301bは表示部を有してもよい。表示部はセンサ素子710bとして、タッチセンサとして機能する領域を有することが好ましい。表示部には例えば、操作装置700に対応するオブジェクトの情報を表示してもよい。例えば、オブジェクトの位置に関連する情報、オブジェクトのプレイ時間、走行時間、等の時間に関する情報、操作装置700から情報処理装置799へ送信されるデータに関する情報、操作装置700の固有IDに関する情報、等が表示されてもよい。あるいは表示部には後述する映像17A等の、情報処理装置799が生成する画像データを表示してもよい。
【0115】
表示部が有する表示素子として例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LEDチップ(白色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電子放出素子、カーボンナノチューブを用いた表示素子、液晶素子、電子インク、エレクトロウェッティング素子、電気泳動素子、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェロメトリック・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、又は、量子ドットなどの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的又は磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。量子ドットを各画素に用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドットは、表示素子としてではなく、バックライトの一部に設けてもよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示を行うことができる。
【0116】
表示部を可撓性を有する構成としてもよい。可撓性を有する表示部は例えば、可撓性を有する第1の基板上に設けられる表示素子を有する。
【0117】
また、表示部を撮像装置として機能させることもできる。表示部に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0118】
検出部711bは、センサ素子710bが検出する信号を判定回路712b等に与える機能を有する。検出部711bはセンサ素子710bから与えられた信号に増幅、圧縮、等の処理を加えてから各回路に与えてもよい。また、検出部711bはアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有してもよい。
【0119】
判定回路712bはセンサ素子710bから検出部711bを介して与えられた信号(以下、信号Se2)の判定を行う機能を有する。判定回路712bは例えば、センサ素子710bにおいて所望の信号が検知されたと判断した場合には処理装置21に対して、割り込み処理を要求する信号である信号INT2を与える。
【0120】
判定回路712bはセンサ素子710bにおいて所望の信号が検知されないと判断した場合は信号INT2を与えない。処理装置21は、信号INTおよび信号INT2が与えられない期間においては例えば、演算回路21a等を休止状態とすればよい。
【0121】
操作装置700は発光部を有してもよい。
【0122】
処理装置21は判定回路712から信号INTまたは信号INT2のいずれかが与えられると、休止状態から通常状態に復帰し、処理を開始する。
【0123】
信号INTおよび信号INT2の両方が与えられる場合には、処理装置21が行う処理として例えば、信号Se1および信号Se2を受信し、信号Se1および信号Se2を用いた演算を行い、データの生成を行う。生成されるデータをデータPs2とする。
【0124】
情報処理装置799は処理装置99を有する。処理装置99は演算回路等を有する。処理装置99に、電源管理装置と、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いた演算回路と、を用いた構成を適用してもよい。該構成を用いることにより、休止状態から通常状態への復帰が極めて速い処理装置を実現することができる。また該構成を用いることにより、処理装置99の消費電力を低減できる。
【0125】
情報処理装置799はセンサ素子96を有する。センサ素子96は例えば、ハードウェアボタン、キーボード、ポインティングデバイス、タッチセンサ、音声入力装置、視線入力装置、撮像装置および照度センサから選ばれる一以上を有する。情報処理装置799は、データPs1、Ch1等に加えて、センサ素子96により検知される信号を用いて位置データ、姿勢データ、等を生成してもよい。
【0126】
例えばセンサ素子96として撮像装置を用い、操作装置700および周辺環境の撮影を行い、撮影された画像を用いて、位置データ、姿勢データ、等を生成してもよい。操作装置700の撮影を行う際には例えば、操作装置700の発光部を発光させることにより操作装置700の位置等が解析しやすくなる場合がある。
【0127】
また、情報処理装置799には表示部97が接続されることが好ましい。情報処理装置799と表示部97の接続方法は有線による電気的接続や、無線信号の送信による接続等が挙げられる。また、表示部97が操作装置700に接続されてもよい。
【0128】
表示部97には、情報処理装置799が生成する画像データが表示されることが好ましい。例えば、表示部97には後述する映像17Aが表示されることが好ましい。
【0129】
<動作例>
以下に、操作装置700が有するセンサ素子に与えられる検出信号を用いて、情報処理装置799が画像データを生成する一例を、
図3Bに示すフロー図等を用いて示す。
【0130】
情報処理装置799はゲームに用いる仮想空間の映像を生成する。使用者は操作装置700を用いて、仮想空間を表す映像17A内におけるプレーヤーオブジェクト23Aの動作を指示する。
【0131】
ここでは、使用者は操作装置700の傾きを変えることにより、入力部301が有するセンサ素子710に検出信号(信号Se1)を与える(
図3Bに示すステップS001参照)。
図2Bに示す方向26A、すなわち奥側に傾けることによりプレーヤーオブジェクト23Aの前方移動を指示する。傾ける角度はプレーヤーオブジェクトの移動速度に対応する。方向26B、すなわち手前側に傾けることによりプレーヤーオブジェクトの後方移動を指示する。方向26C、すなわち左方に傾けることによりプレーヤーオブジェクトの左回転を指示し、方向26D、すなわち右方に傾けることによりプレーヤーオブジェクトの右回転を指示する。
【0132】
使用者の操作装置700の操作は、センサ素子710により検出される。ここで、処理装置21が休止状態である場合には、通常状態に復帰する(
図3BのステップS002参照)。処理装置21は、演算回路21aにおいて、センサ素子710の検出信号である信号Se1と、レジスタ22に保持されるパラメータ、あるいは記憶装置21cに保持されるパラメータを用いた演算を行い、データPs1を生成する(
図3BのステップS003参照)。データPs1は情報処理装置799に随時、送信される。ここで、ある時間間隔で信号Se1を複数回取得し、取得した複数のデータを用いて平均値を算出してもよい。その際に、複数のデータを記憶装置21cに格納した後、格納されたデータを読みだして算出を行うことができる。
【0133】
情報処理装置799は随時送信されるデータPs1を受信し、データPs1を用いて、プレーヤーオブジェクトの移動距離を算出し、映像17A内のプレーヤーオブジェクトの位置、および装備を随時、更新する(ステップS004参照)。
【0134】
図3Aは、
図2Aに示す映像17Aに対して操作装置700により指示を与え、プレーヤーオブジェクト23Aを移動させた映像を示す。また、
図3Aにおいては、プレーヤーオブジェクト23Aは装備24Aを装着している。装備24Aは例えば、装備一覧25Aから所望の一つまたは複数を選択することができる。
図3Aの映像17Aの下部には、装備一覧25Aが示されている。装備一覧として例えば、武器、防具、ゲーム内において所望の効果を発揮するアイテム、等が挙げられる。装備24Aは例えば、入力部301あるいは入力部301bを用いて指令を与えて、装着させればよい。具体的には例えば、入力部301bにハードウェアボタン、音声入力装置、等のセンサ素子を設け、指令を与えることができる。プレーヤーオブジェクト23Aが装着する装備24Aの情報はデータとして、記憶装置21cに格納されることが好ましい。
【0135】
使用者は、ゲームを中断する場合には、操作装置700を用いた指示入力を中断する(
図3(B)のステップS005参照)。指示入力を中断すると、操作装置700の入力部301および入力部301bのそれぞれにおいて、センサ素子による検出が行われなくなる。あるいは、検出される信号のレベルが低くなる。このとき、判定回路712は所望の信号が検出されないと判断し信号INTを処理装置21に与えない。
【0136】
処理装置21には信号INTおよび信号INT2が与えられないため、処理装置21は休止状態に移行する(
図3BのステップS006参照)。より具体的には、処理装置21が有する演算回路21a、記憶装置21c等への電源の供給を遮断し、操作装置700の消費電力を低減する。
【0137】
使用者がゲームを再開する場合には、使用者は再び操作装置700を用いて指示を入力する。判定回路712は信号INTを処理装置21に与える。あるいは判定回路712bが信号INT2を処理装置21に与える。処理装置21は休止状態から通常状態へ復帰する。
【0138】
本発明の一態様の処理装置は、演算回路21aのレジスタ22において、電源の復旧に伴いすみやかに回路BKC1から回路MemC1へのデータの読み込みを行い、演算を再開することができる。よって、休止状態から通常状態への復帰に要する時間を短縮することができ、使用者がゲームを再開する際の起動時間を極めて短くすることができる。また、演算回路21aのレジスタ22や、記憶装置21cにゲームを中断した際のパラメータを記憶しておき、ゲームの再開に伴って情報処理装置799へ送信することにより、ゲームの再開のための情報処理装置799の処理量を低減できる場合がある。
【0139】
複数の操作装置700が情報処理装置799と通信してもよい。
図4Aに示す例は、2つの操作装置700(以下、操作装置700(1)および操作装置700(2))が情報処理装置799と通信する例を示す。操作装置700(1)から情報処理装置799に与えられるデータPs1およびデータCh1をそれぞれデータPs1(1)およびデータCh1(1)と表す。操作装置700(2)から情報処理装置799に与えられるデータPs1およびデータCh1をそれぞれデータPs1(2)およびデータCh1(2)と表す。データCh(1)には操作装置700(1)の固有IDが、データCh(2)には操作装置700(2)の固有IDが、それぞれ含まれていてもよい。
【0140】
図4Bには、映像17Aにおいて、データPs1(1)およびデータCh1(1)に基づき配置されるプレーヤーオブジェクト23A(以下、プレーヤーオブジェクト23A(1)と表す)と、データPs1(2)およびデータCh1(2)に基づき配置されるプレーヤーオブジェクト23A(以下、プレーヤーオブジェクト23A(2)と表す)を示す。
【0141】
<処理装置の構成例1>
以下に、パワーゲーティングが可能な処理装置、およびその電源管理機構等について説明する。
【0142】
図5を参照して、半導体装置、およびその電源管理を説明する。
図5Aに示す半導体装置は、電源回路10、および処理装置(PU:Processing Unit)20を有する。PU20は命令を実行する機能を有する回路である。PU20は、1つのチップに集積された複数の機能回路を有する。PU20は、プロセッサコア30、電源管理装置(PMU)60、クロック制御回路65、パワースイッチ(PSW)70、並びに、端子80乃至端子83を有する。
図5Aには、電源回路10が、PU20と異なるチップに設けられている例を示している。端子80は、電源回路10から電源電位MVDDが入力される端子である。端子81は、外部から基準クロック信号CLKMが入力される端子である。端子82は、外部から信号INTが入力される端子である。信号INTは割り込み処理を要求する割り込み信号である。信号INTは、PU20およびPMU60に入力される。端子83は、PMU60で生成された制御信号が出力される端子であり、電源回路10と電気的に接続されている。
【0143】
本発明の一態様の半導体装置において、処理装置が演算回路等で扱えるビット数は例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0144】
<プロセッサコア30、記憶回路31>
プロセッサコア30は、命令を処理することができる機能を有する回路であり、演算処理回路と呼ぶことが可能である。記憶回路31、および複数の組み合わせ回路32等を有しており、これらにより、各種の機能回路が構成されている。例えば、記憶回路31は、レジスタに含まれる。
【0145】
図5Bに示すように、記憶回路31は、回路MemC1および回路BKC1を有する。回路MemC1は、プロセッサコア30が生成したデータを保持する機能を有し、例えば、フリップフロップ回路(FF)、ラッチ回路等で構成することができる。回路BKC1は、回路MemC1のバックアップ回路として機能することができ、電源が遮断されていても、またはクロック信号が遮断されていても長期間データを保持することが可能な回路である。このような記憶回路31を有することで、プロセッサコア30のパワーゲーティングを行うことが可能となる。電源を遮断する前に、記憶回路31において、回路MemC1のデータを回路BKC1に退避しておくことで、電源遮断時のプロセッサコア30の状態を保持することができるからである。電源供給が再開されると、回路BKC1で保持されているデータが回路MemC1に書き込まれるので、プロセッサコア30を電源遮断時の状態に復帰させることができる。よって、電源供給の再開後、PU20は直ちに通常処理動作を行うことができる。
【0146】
回路BKC1は、1のトランジスタ(MW1)および1の容量素子(CB1)を有する保持回路を少なくとも有する。
図5Bに示す保持回路は、標準的なDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)の1T1C(1トランジスタ1容量素子)型メモリセルと同様な回路構成を有しており、書き込み、読み出し動作も同様に行うことができる。トランジスタMW1の導通状態を制御することで、容量素子CB1の充電、放電が制御される。トランジスタMW1をオフ状態とすることで、ノードFN1は電気的に浮遊状態となる。トランジスタMW1のオフ状態におけるドレイン電流(オフ電流)を極めて小さくすることで、ノードFN1の電位の変動を抑えることができるため、回路BKC1のデータ保持時間を長くすることができる。回路BKC1のデータ保持時間は、トランジスタMW1のリーク電流や、容量素子CB1の静電容量等で決まる。トランジスタMW1をオフ電流が極めて小さなトランジスタとすることで、PU20が稼働している期間は、回路BKC1をリフレッシュする必要がない。よって、回路BKC1を不揮発性記憶回路として用いることが可能となる。
【0147】
トランジスタMW1としてチャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体(Oxide Semiconductor:OS)を含むトランジスタ(「OSトランジスタ」または「OS-FET」ともいう。)を用いることが好ましい。酸化物半導体はバンドギャップが2eV以上であるため、オフ電流が著しく少ない。OSトランジスタでは、ソースードレイン間電圧が10Vの状態で、チャネル幅1μmあたりの規格化されたオフ電流を10×10-21A(10ゼプトA)以下とすることが可能である。トランジスタMW1をOSトランジスタとすることで、PU20が動作している期間は、回路BKC1は実質的に不揮発性記憶回路として機能させることができる。実施の形態2でOSトランジスタについて説明する。
【0148】
チャネルが形成される半導体層に用いる酸化物半導体膜は単層の酸化物半導体膜で形成してもよいし、積層の酸化物半導体膜で形成してもよい。チャネルが形成される半導体層を構成する酸化物半導体は、少なくともIn、Ga、SnおよびZnのうちの1種以上の元素を含有する酸化物であることが好ましい。このような酸化物としては、In-Sn-Ga-Zn酸化物や、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、In-Al-Zn酸化物、Sn-Ga-Zn酸化物、Al-Ga-Zn酸化物、Sn-Al-Zn酸化物、In-Zn酸化物、Sn-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、Zn-Mg酸化物、Sn-Mg酸化物、In-Mg酸化物や、In-Ga酸化物、In酸化物、Sn酸化物、Zn酸化物等を用いることができる。
【0149】
回路BKC1は、電圧によってデータの書き込みを行うため、電流により書き込みを行うMRAM(磁気抵抗RAM)よりも書き込み電力を抑えることができる。また、ノードFN1の負荷容量でデータを保持しているため、フラッシュメモリのようなデータの書き換え回数の制限がない。
【0150】
回路BKC1において、データの書き込みに要するエネルギーは、容量素子CB1への電荷の充放電に伴うエネルギーに相当する。一方、MRAMなどの2端子の記憶素子を用いた記憶回路では、データの書き込みに要するエネルギーは、当該記憶素子に電流が流れる際に消費されるエネルギーに相当する。MRAMではデータの書き込み期間中に電流が流れ続けるため、データの書き込みに要するエネルギーが高くなる。このようなMRAMと比較して、回路BKC1は、データの書き込みで消費されるエネルギーを小さくすることができる。したがって、バックアップ回路をMRAMで構成した記憶回路と比較して、記憶回路31は、消費されるエネルギーを低減できるボルテージスケーリングおよびパワーゲーティングを行うことが可能な機会が多くなるため、PU20の消費電力を低減することができる。
【0151】
<電源管理>
PMU60は、パワーゲーティング動作、クロックゲーティング動作、およびボルテージスケーリング動作等を制御する機能を有する。より具体的には、PMU60は、電源回路10を制御することができる機能、記憶回路31を制御することができる機能、クロック制御回路65を制御することができる機能、およびPSW70を制御することができる機能を有する。そのため、PMU60は、これら回路(電源回路10、記憶回路31、クロック制御回路65、PSW70)を制御する制御信号を生成する機能を有する。PMU60は回路61を有する。回路61は、時間を計測することができる機能を有する。PMU60は、回路61で得られる時間に関するデータをもとに、電源管理を行うことができる機能を有する。
【0152】
PSW70は、PMU60の制御信号に従い、PU20への電源電位MVDDの供給を制御することができる機能を有する。ここでは、PSW70を介してPU20に供給される電源電位を電源電位VDDと呼ぶこととする。プロセッサコア30は複数の電源ドメインを有していてもよい。この場合、PSW70により、複数の電源ドメインへの電源供給を独立に制御できるようにすればよい。また、プロセッサコア30は、パワーゲーティングを行う必要のない電源ドメインを有していてもよい。この場合、この電源ドメインにPSW70を介さずに電源電位を供給してもよい。
【0153】
クロック制御回路65は、基準クロック信号CLKMが入力され、ゲーテッドクロック信号を生成し、出力する機能を有する。クロック制御回路65は、PMU60の制御信号に従い、プロセッサコア30へのクロック信号を遮断することができる機能を有している。電源回路10は、PMU60の制御信号に従い、電源電位VDDの電位の大きさを変更できる機能を有する。
【0154】
プロセッサコア30からPMU60に出力される信号SLPは、プロセッサコア30を休止状態に移行するトリガーとなる信号である。PMU60は、信号SLPが入力されると、休止状態に移行するための制御信号を生成し、制御対象の機能回路に出力する。電源回路10は、PMU60の制御信号に基づいて、電源電位MVDDを通常動作時よりも低くする。休止状態が一定時間経過すると、PMU60は、PSW70を制御して、プロセッサコア30への電源供給を遮断する。プロセッサコア30が通常状態から休止状態に移行すると、PMU60は、プロセッサコア30の電源電位VDDを下げるボルテージスケーリング動作を行う。休止状態の期間が設定された時間を超えると、プロセッサコア30の消費電力をさらに低減するため、プロセッサコア30への電源電位VDDの供給を停止するパワーゲーティング動作を行う。以下、
図6、
図7を参照して、
図5に示す半導体装置の電源管理について説明する。
【0155】
図6は、電源線の電位の変化を模式的に表している。電源線35は、PSW70を介して電源電位VDDが供給される配線である。図の横軸は通常状態から休止状態になった経過時間(time)であり、t0、t1等は時間を表している。
図6Aは、休止状態でパワーゲーティングのみを実行した例であり、
図6Bは、休止状態でボルテージスケーリングのみを実行した例である。
図6C、
図6Dは、ボルテージスケーリングとパワーゲーティングとを実行する例である。通常状態では、電源回路10から供給される電源電位MVDDの大きさはVH1であるとする。
【0156】
また、以下では、PU20の電源モードを、電源オン(power on)モード、電源オフ(power off)モード、低電源(low power)モードの3つのモードに区別する。電源オンモードとは、通常処理が可能な電源電位VDDをPU20に供給するモードである。電源オフモードとは、PSW70によりVDDの供給を停止するモードである。低電源モードは、電源オンモードよりも低い電源電位VDDを供給するモードである。
【0157】
図6Aの例を説明する。時間t0で、プロセッサコア30において休止状態に移行する処理が開始される。例えば、記憶回路31のバックアップが行われる。PMU60はPSW70を制御し、時間t1でプロセッサコア30への電源供給を遮断する。電源線35は自然放電して、その電位は0Vまで低下する。これにより、休止状態でのプロセッサコア30のリーク電流を大幅に低下することができるので、休止状態での消費電力(以下、待機電力と呼ぶ場合がある。)を削減することができる。外部からの割り込み要求等により通常状態に復帰する場合は、PMU60はPSW70を制御し、VDDの供給を再開させる。ここでは、時間t4で、VDDの供給が再開されている。電源線35の電位は上昇し、時間t6でVH1になる。
【0158】
図6Bの例の場合は、ボルテージスケーリングを行うため、時間t1で、PMU60が電源回路10を制御し、電源電位MVDDの電位をVH2に低下している。電源線35の電位はやがてVH2になる。時間t4で、電源電位MVDDがVH2からVH1に戻ると、電源線35の電位は上昇し、時間t5でVH1になる。
【0159】
図6Aの例の場合、休止状態から通常状態に復帰するのにかかる時間(オーバーヘッド時間)は、電源線35の電位が0VからVH1に上昇するのにかかる時間であり、また、復帰に要するエネルギーオーバヘッドは、電源線35の負荷容量を0VからVH1に充電するのに必要なエネルギーである。電源オフモードの期間(t1-t4)が十分に長ければ、PU20の待機電力の削減には、パワーゲーティングが有効である。他方、期間(t1-t4)が短いと、電源が遮断されることで削減できる電力よりも、通常状態に復帰するのに要する電力の方が大きくなり、パワーゲーティングの効果を得ることができない。
【0160】
図6Bに示すボルテージスケーリングの例では、休止状態では電源線35の電位はVH2であるため、
図6Aのパワーゲーティングの例よりも待機電力の削減量は少ない。他方、
図6Bの例では、電源線35の電位の変動が小さいため、
図6Aの例よりも通常状態に復帰するのにかかる時間は短く、かつ復帰に要するエネルギーが少ない。そこで、
図5に示す半導体装置では、PU20の待機電力の削減をより効率よく行うため、パワーゲーティングとボルテージスケーリングとを組み合わせた電源管理を可能とする。
図6C、および
図6Dに電源管理の例を示す。
【0161】
図6Cに示すように、まず、休止状態ではボルテージスケーリング動作が行われ、電源オンモードから低電源モードに移行する。
図6Bと同様に、時間t1で、PMU60が電源回路10を制御し、電源電位MVDDをVH2に低下させるため、電源線35の電位はやがてVH2になる。低電源モードに移行してから一定期間(t1-t3)経過後、PMU60はPSW70を制御し、電源オフモードとする。期間(t3-t4)は、PU20にVH2を供給しているよりも、通常状態に復帰するのに消費される電力を含んでもパワーゲーティングによってPU20の電源を遮断した方が電力を削減することが可能な期間である。
【0162】
例えば、電位VH2は、記憶回路31の回路MemC1でデータを保持することができる大きさの電源電位であり、電位VH3は、回路MemC1のデータが失われてしまう電位であるとする。
図5AのPU20では、回路BKC1は、電源の供給が停止されている期間でもデータを保持することが可能な回路である。期間(t0-t1)で、記憶回路31のデータを回路BKC1に退避しておくことで、低電源モードにおいて、回路MemC1のデータが失われてしまう電位VH3までVDDを低下させることが可能である。これにより、PU20の待機電力をさらに削減することができる。
【0163】
PMU60は、割り込み要求等に基づいて、PU20を通常状態に復帰させることができる機能を有する。PMU60は、電源回路10を制御しMVDDの大きさをVH1に昇圧し、また、PSW70を制御しPU20のVDDの供給を再開する。時間t4以降は電源オンモードである。時間t6で電源線35の電位が安定することで、時間t6以降に、PU20は通常動作が可能となる。
【0164】
図6Dには、時間t3よりも前に通常動作に復帰させる割り込み要求がある例を示す。時間t2以降は、電源オンモードである。時間t2で、PMU60は、電源回路10を制御しMVDDの大きさを電源オンモードの電位VH1に変更する。時間t3で、電源線35の電位はVH1まで上昇する。
【0165】
図6Cおよび
図6Dに示すように、休止状態において、電源線35の電位をVH1に戻すのに要する時間は、電源オフモードから電源オンモードに復帰させる方が、低電源モードから電源オンモードに復帰させるより長い。そのため、PMU60は、電源モードに応じて、プロセッサコア30を休止状態から通常状態に復帰させる動作のタイミングを調節できる機能を有している。これにより、プロセッサコア30を最短時間で休止状態から通常状態に復帰させることが可能になる。
【0166】
また、休止状態において、低電源モードから電源オフモードへの移行は、PMU60に設けられている回路61で時間を計測することで可能となる。PMU60は、PU20から信号SLPが入力されると、回路61で時間の計測を開始する。低電源モードにしてから所定の時間が経過すると、PMU60は、電源オフモードに移行する。PMU60の制御信号によりPSW70はオフとなり、VDDの供給を遮断する。このように、回路61の計測データに基づく割り込み要求により、低電源モードから電源オフモードへ移行することが可能である。以下、
図7を参照して、PMU60の電源管理動作例を説明する。
【0167】
開始段階では、PU20が通常動作を行っている。電源モードは電源オンモードであり、また、PMU60はアイドル状態(ステップS10)である。PMU60は信号SLPが入力されるまでアイドル状態であり、信号SLPの入力をトリガーに退避シークエンスを実行する(ステップS11)。
図7の退避シークエンスの例では、まず、PMU60は、クロック制御回路65に制御信号を出力し、クロック信号の出力を停止させる(ステップS12)。次に、データの退避を行わせるための制御信号を記憶回路31に出力する(ステップS13)。記憶回路31では、PMU60の制御信号に従い、回路MemC1で保持しているデータを回路BKC1に退避する。最後に、PMU60は、電源回路10を制御し、MVDDを低下させる。これらの動作により、電源モードは低電源モードに移行する(ステップS14)。信号SLPが入力されると、PMU60は内蔵している回路61を制御し、低電源モードの時間Taを計測する(ステップS15)。回路61を動作させるタイミングは、退避シークエンスを実行している間であれば任意であり、例えば、信号SLPが入力された時、クロック制御回路65に制御信号を出力する時、データ退避を開始する時、データ退避を終了した時、電源回路10に制御信号を出力する時などが挙げられる。
【0168】
退避シークエンスの実行後、PMU60はアイドル状態となり(ステップS16)、信号INTの入力の監視、クロック制御回路65の測定時間Taを監視する。信号INTが入力されると復帰シークエンスに移行する(ステップS17)。時間Taが設定した時間Tvsを超えているか否を判定している(ステップS18)。PMU60は、時間Taが時間Tvsを超えていると、電源モードを電源オフモードに移行させる制御を行い(ステップS19)、超えていなければアイドル状態が維持される(ステップS16)。時間Tvsは、低電源モードであるよりも電源オフモードにした方が、プロセッサコア30の待機電力を削減できるような時間にすればよい。
【0169】
ステップS19では、PMU60はPSW70にプロセッサコア30への電源供給を遮断させる制御信号を出力する。電源オフモードにした後は、再びPMU60は、アイドル状態となり(ステップS20)、信号INTの入力を監視する(ステップS21)。信号INTが入力されると、PMU60は復帰シークエンスを実行する。
【0170】
復帰シークエンスでは、まず、PMU60は電源オフモードから電源オンモードに移行させる(ステップS22)。PMU60は電源回路10を制御し、通常動作の電源電位を出力させる。かつ、PMU60はPSW70を制御し、プロセッサコア30へのVDDの供給を再開させる。次に、記憶回路31に制御信号を出力し、記憶回路31のデータを復帰させる(ステップS23)。記憶回路31は、PMU60の制御信号に従い、回路BKC1で保持されているデータを回路MemC1に書き戻す。PMU60は、クロック信号を出力させる制御信号をクロック制御回路65に出力する(ステップS24)。クロック制御回路65はPMU60の制御信号に従い、クロック信号の出力を再開する。
【0171】
ステップS17の判定処理から復帰シークエンスを実行する場合は、低電源モードから電源オンモードに復帰することとなり、ステップS21の判定処理から復帰シークエンスを実行する場合よりも、電源線35の電位を速く安定させることができる。そのため、PMU60では、ステップS17から復帰シークエンスに移行する場合は、ステップS21から復帰シークエンスに移行する場合よりも、ステップS23を実行するタイミングを早くしている。これにより、プロセッサコア30を休止状態から通常状態へ復帰させる時間を短くすることができる。
【0172】
以上述べたように、
図5に示す半導体装置の電源管理では、PU20が休止状態になると、まず、ボルテージスケーリング動作により、プロセッサコア30へ供給する電源電位を低くすることでリーク電流を削減しつつ、休止状態から通常状態へ復帰する処理の時間およびエネルギーのオーバーヘッドを抑えている。休止状態が一定期間続くと、パワーゲーティング動作を行い、プロセッサコア30のリーク電流を可能な限り抑えるようにしている。これにより、PU20の処理能力を低下させずに、PU20の休止状態での消費電力を削減することが可能になる。
【0173】
<<処理装置の構成例2>>
図8Aに、
図5Aの処理装置の変形例を示す。
図8Aに示す処理装置(PU)21は、PU20にキャッシュ40、およびパワースイッチ(PSW)71を追加したものである。キャッシュ40は、PU20と同様にパワーゲーティングおよびボルテージスケーリングが可能とされており、PU21の電源モードと連動してキャッシュ40の電源モードも変化する。PSW71は、キャッシュ40への電源電位MVDDの供給を制御する回路であり、PMU60により制御される。ここでは、PSW71を介してキャッシュ40に入力される電源電位をVDD_MEMとしている。キャッシュ40には、プロセッサコア30と同様にPMU60からの制御信号、およびクロック制御回路65からゲーテッドクロック信号が入力される。
【0174】
<キャッシュ40>
キャッシュ40は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する記憶装置である。キャッシュ40は、メモリアレイ41、周辺回路42、および制御回路43を有する。メモリアレイ41は、複数のメモリセル45を有する。制御回路43は、プロセッサコア30の要求に従って、キャッシュ40の動作を制御する。例えば、メモリアレイ41の書き込み動作、読み出し動作を制御する。周辺回路42は、制御回路43からの制御信号に従い、メモリアレイ41を駆動する信号を生成する機能を有する。メモリアレイ41は、データを保持するメモリセル45を有する。
【0175】
図8Bに示すように、メモリセル45は、回路MemC2および回路BKC2を有する。回路MemC2は、通常動作においてアクセス対象となるメモリセルである。例えば、SRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)のメモリセルを適用すればよい。回路BKC2は、回路MemC2のバックアップ回路として機能することができ、電源が遮断されていても、またはクロック信号が遮断されていても長期間データを保持することが可能な回路である。このようなメモリセル45を設けることで、キャッシュ40のパワーゲーティングを行うことが可能となる。電源を遮断する前に、メモリセル45において、回路MemC2のデータをBKC2に退避する。電源供給を再開した後、回路BKC2で保持されているデータを回路MemC2に書き戻すことで、PU21を電源遮断前の状態に高速に復帰させることが可能である。
【0176】
メモリセル45の回路BKC2も
図5Bの回路BKC1と同様に、1のトランジスタ(MW2)および1の容量素子(CB2)を有する保持回路を少なくとも有する。つまり、回路BKC2も標準的なDRAMの1T1C型メモリセルと同様な構成の保持回路を有する。トランジスタMW2はオフ電流が極めて低いものである。トランジスタMW2には、トランジスタMW1と同様に、OSトランジスタを適用すればよい。このような構成により、回路BKC2も、電気的に浮遊状態であるノードFN2の電位の変動を抑えることができるため、回路BKC2は長期間データを保持することが可能である。回路BKC2のデータ保持時間は、トランジスタMW2のリーク電流や、容量素子CB2の静電容量等で決まる。トランジスタMW2をオフ電流が極めて小さなトランジスタとすることで、回路BKC2を、リフレッシュ動作が不要な不揮発性記憶回路として用いることが可能となる。
【0177】
図8Aに示すPU21においても、PU20と同様に、PMU60が電源管理を行う。(
図7参照)。
図7に示すステップS13では、記憶回路31およびキャッシュ40のデータの退避動作が行われる。ステップS19では、PSW70およびPSW71を制御し、プロセッサコア30およびキャッシュ40への電源供給を停止する。ステップS22では、PSW70およびPSW71を制御し、プロセッサコア30およびキャッシュ40への電源供給を再開する。ステップS23では、記憶回路31およびキャッシュ40のデータの復帰動作が行われる。
【0178】
そのため、
図8に示す半導体装置も、
図5に示す半導体装置と同様に、ボルテージスケーリングとパワーゲーティングとを組み合わせた電源管理が行われることで、PU21の処理能力を低下させずに、PU21の休止状態での電力を削減することが可能である。
【0179】
<<プロセッサコアの構成例>>
図9にプロセッサコアの構成例を示す。
図9に示すプロセッサコア130は、制御装置131、プログラムカウンタ132、パイプラインレジスタ133、パイプラインレジスタ134、レジスタファイル135、算術論理演算装置(ALU)136、およびデータバス137を有する。プロセッサコア130とPMUやキャッシュ等の周辺回路とのデータのやり取りは、データバス137を介して行われる。
【0180】
制御装置131は、プログラムカウンタ132、パイプラインレジスタ133、パイプラインレジスタ134、レジスタファイル135、ALU136、データバス137の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。ALU136は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。プログラムカウンタ132は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。
【0181】
パイプラインレジスタ133は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。レジスタファイル135は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、またはALU136の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。パイプラインレジスタ134は、ALU136の演算処理に利用するデータ、またはALU136の演算処理により得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
【0182】
図5Bの記憶回路31は、プロセッサコア130に含まれているレジスタに用いられている。
【0183】
<記憶回路の構成例>
図5Bに示す記憶回路31のより具体的な構成例を説明する。
図10は、記憶回路の構成の一例を示す回路図である。
図10に示す記憶回路100はフリップフロップ回路として機能する。
【0184】
回路MemC1に標準的なフリップフロップ回路(FF)を適用することが可能であり、例えば、マスタースレーブ型のFFを適用することができる。そのような構成例を
図10に示す。FF110は、トランスミッションゲート(TG1、TG2、TG3、TG4、TG5)、インバータ回路(INV1、INV2、INV3、INV4)、およびNAND回路(NAND1、NAND2)を有する。信号RESETおよび信号OSRは、PMU60から出力される制御信号である。TG5には、信号OSRとその反転信号が入力される。TG1-TG4は、クロック信号CLKとその反転信号が入力される。TG1とINV1の代わりに1つのクロックドインバータ回路を設けてもよい。TG2とNAND2との代わりに、1つのクロックドNAND回路を設けてもよい。TG3とINV3との代わりに、クロックドインバータ回路を設けてもよい。TG5は、NAND1の出力ノードとノードNR1との間の導通状態を制御するスイッチとして機能する。ノードNB1は、回路BKC10の入力ノードと電気的に接続され、ノードNR1は回路BKC10の出力ノードと電気的に接続されている。
【0185】
図10に示す回路BKC10は、FF110のバックアップ回路として機能する。回路BKC10は、回路RTC10、および回路PCC10を有する。回路BKC10に入力される信号(OSG、OSC、OSR)は、PMU60から出力される制御信号である。電源電位VSSは、低電源電位であり、例えば接地電位(GND)や0Vとすればよい。FF110にも、BKC1と同様に電源電位VSS、電源電位VDDが入力されている。記憶回路100において、VDDの供給はPMU60により管理されている。
【0186】
回路RTC10は、トランジスタMW1、トランジスタMA1、およびトランジスタMR1、ノードFN1、ノードNK1を有する。回路RTC10はデータを保持する機能を有し、ここでは、3T型のゲインセル構造の記憶回路で構成している。トランジスタMW1は書き込みトランジスタであり、OSトランジスタである。トランジスタMR1は読み出しトランジスタであり、トランジスタMA1は、増幅トランジスタでありかつ読み出しトランジスタである。ノードFN1でデータが保持される。ノードNK1はデータの入力ノードである。ノードNR1は、回路RTC10のデータの出力ノードである。
【0187】
図10には、回路BKC10が、退避動作でFF110のスレーブ側ラッチ回路のデータを読み出し、かつ、復帰動作で保持しているデータをマスタ側のラッチ回路に書き戻す構成例を示す。退避するデータはマスタ側のラッチ回路のデータでもよい。また、スレーブ側のラッチ回路にデータを復帰してもよい。この場合、スレーブ側のラッチ回路にTG5を設ければよい。
【0188】
また、回路RTC10のトランジスタMR1およびトランジスタMA1は、n型でもp型でもよく、トランジスタMR1およびトランジスタMA1の導電型によって、信号OSRの電位および、トランジスタMA1に供給する電源電位のレベルを変更すればよい。また、FF110の論理回路を適宜設定すればよい。例えば、トランジスタMR1およびトランジスタMA1がp型トランジスタである場合は、マスタ側ラッチ回路で、NAND1とINV3とを入れ替え、スレーブ側ラッチ回路でINV2とNAND2とを入れ替えればよい。また、トランジスタMA1にVSSに変えてVDDを入力するようにすればよい。
【0189】
回路BKC10は、電圧によってデータの書き込みを行うため、電流により書き込みを行うMRAMよりも書き込み電力を抑えることができる。また、ノードFN1の負荷容量でデータを保持しているため、フラッシュメモリのようなデータの書き換え回数の制限がない。
【0190】
回路RTC10において、データの書き込みに要するエネルギーは、容量素子CB1への電荷の充放電に伴うエネルギーに相当する。一方、MRAMなどの2端子の記憶素子を用いた記憶回路では、データの書き込みに要するエネルギーは、当該記憶素子に電流が流れる際に消費されるエネルギーに相当する。よって、データの書き込み期間中に電流が流れ続けるMRAMなどを用いた場合に比べて、回路BKC10は、データの退避により消費されるエネルギーを小さくすることができる。そのため、バックアップ回路に回路BKC10を設けることで、MRAMを設ける場合と比較して、BET(損益分岐点到達時間,Break Even Time)を短くすることができる。その結果、消費されるエネルギーを低減できるパワーゲーティングを行う機会が増加し、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0191】
回路PCC10は、トランジスタMC1およびトランジスタMC2を有する。回路PCC10は、ノードFN1をプリチャージする機能を有する。回路PCC10は、設けなくてもよい。後述するように、回路PCC10を設けることで、回路BKC10のデータ退避時間を短くすることができる。
【0192】
<記憶回路の動作例>
図11は、記憶回路100の動作の一例を示すタイミングチャートであり、制御信号(信号SLP、信号RESET、クロック信号CLK、信号OSG、信号OSR、信号OSC)の波形、並びに、電源電位VDD、ノードFN1およびノードNR1の電位の変化を示す。
【0193】
[通常動作]
「通常動作(Normal operation)」の期間について説明する。記憶回路100には、電源電位VDD、およびクロック信号CLKが供給されている。FF110が順序回路として機能している。信号RESETは高レベルが維持されるため、NAND1およびNAND2はインバータ回路として機能する。回路BKC1では、トランジスタMC1がオフ状態であり、トランジスタMC2およびトランジスタMW1がオン状態であるため、ノードFN1の電位は高レベルにプリチャージされている。
【0194】
[データ退避]
次に、「バックアップ(Backup)」の期間について説明する。まず、クロック信号CLKが停止される。これにより、ノードNB1のデータの書き換えが停止される。
図11の例では、ノードNB1の電位レベルは、ノードNR1の電位が高レベル(”1”)であれば、低レベル(”0”)であり、低レベル(”0”)であれば高レベル(”1”)である。信号OSCが高レベルの期間に、ノードNB1のデータがノードFN1に退避される。具体的には、トランジスタMC1およびトランジスタMW1がオン状態であるため、ノードFN1とノードNB1が電気的に接続されている。信号OSGを低レベルにして、トランジスタMW1がオフ状態にすることで、ノードFN1が電気的に浮遊状態となり、回路BKC10はデータの保持状態となる。ノードFN1の電位は、ノードNR1が低レベル(“0”)であれば高レベルであり、高レベル(”1”)であれば低レベルである。
【0195】
信号OSGを低レベルにすることでデータの退避が終了するので、信号OSGを低レベルにした後、直ちに、PU20のボルテージスケーリング動作を行うことができる。また、トランジスタMC2により、通常動作時にノードFN1を高レベルにプリチャージしているので、ノードFN1を高レベルにするデータ退避動作では、ノードFN1の電荷の移動が伴わない。このため、回路BKC10は、短時間で退避動作を完了させることができる。
【0196】
データ退避動作では、クロック信号CLKが非アクティブであればよく、
図11の例では、クロック信号CLKの電位を低レベルとしているが、高レベルとしてもよい。
【0197】
[ボルテージスケーリング、低電源モード]
次に、「低電源(Low power)」の期間について説明する。信号OSCの立下りに連動して、PMU60は、ボルテージスケーリング動作を行う。これにより記憶回路100は低電源モードに移行する。
【0198】
[パワーゲーティング、電源オフモード]
次に、「電源オフ(Power off)」の期間について説明する。低電源モードに移行してから一定期間経過したら、PMU60は、パワーゲーティング動作を行い、記憶回路100を電源オフモードにする。
【0199】
[電源オンモード]
次に、「電源オン(Power on)」の期間について説明する。割り込み要求に従い、PMU60は、記憶回路100を電源オンモードに復帰させる。
図11の例では、VDDを供給する電源線の電位が安定すると、クロック信号CLKは高レベルになるようにしている。
【0200】
[データ復帰]
信号OSRが高レベルの期間にデータ復帰動作が行われる。信号RESETを高レベルとすることで、ノードNR1の電位は高レベル(”1”)にプリチャージされる。信号OSRを高レベルとすることで、TG5がハイインピーダンス状態となり、かつトランジスタMR1が導通状態となる。トランジスタMA1の導通状態はノードFN1の電位で決まる。ノードFN1が高レベルであれば、トランジスタMA1が導通状態であるため、ノードNR1の電位は低下し、低レベル(”0”)となる。ノードFN1が低レベルであれば、ノードNR1の電位は高レベルが維持される。つまり、休止状態に移行する前の状態に、FF110の状態が復帰される。
【0201】
以上述べたように、信号RESET、および信号OSRの立ち上がりにより、ノードNR1に高レベルのデータの書き戻し(Restore)ができる。そのため、記憶回路100は、復帰動作期間を短くすることができる。
【0202】
図11では、電源オフモードから電源オンモードに復帰している例を示している。低電源モードから電源オンモードに復帰する場合は、VDDを供給する電源線の電位が安定するまでの期間T
onが短くなる。この場合は、電源オフモードから復帰する場合よりも信号OSRの立ち上がりを早くするとよい。なお、「バックアップ(Backup)」、「低電源(Low power)」、「電源オフ(Power off)」および「電源オン(Power on)」の期間を「休止(Sleep)」期間と呼ぶ場合がある。
【0203】
[通常動作]
次に、「通常動作(Normal operation)」の期間について説明する。クロック信号CLKの供給を再開することで、通常動作が可能な状態に復帰する。信号OSGを高レベルにすることで、ノードFN1は、回路PCC10によりプリチャージされ、高レベルとなる。
【0204】
<<キャッシュ>>
以下に、キャッシュ40をSRAMで構成する例を説明する。
【0205】
<メモリセルの構成例>
図12にキャッシュのメモリセルの構成の一例を示す。
図12に示すメモリセル120は、回路SMC20および回路BKC20を有する。回路SMC20は、標準的なSRAMのメモリセルと同様な回路構成とすればよい。
図12に示す回路SMC20は、インバータ回路INV11、インバータ回路INV12、トランジスタM11、およびトランジスタM12を有する。
【0206】
回路BKC20は、回路SMC20のバックアップ回路として機能する。回路BKC20は、トランジスタMW11、トランジスタMW12、容量素子CB11、容量素子CB12を有する。トランジスタMW11、MW12はOSトランジスタである。回路SMC20は2つの1T1C型の保持回路を有しており、ノードSN1とノードSN2にそれぞれデータが保持される。トランジスタMW11および容量素子CB11とでなる保持回路は、ノードNET1のデータをバックアップできる機能を有する。トランジスタMW12および容量素子CB12とでなる保持回路は、ノードNET2のデータをバックアップできる機能を有する。
【0207】
メモリセル120は電源電位VDDMC、VSSが供給されている。メモリセル120は、配線(WL、BL、BLB、BRL)と電気的に接続されている。配線WLには、信号SLCが入力される。データ書き込み時には、配線BL、配線BLBには、データ信号D、データ信号DBが入力される。データの読み出しは、配線BLと配線BLBの電位を検出することで行われる。配線BRLには信号OSSが入力される。信号OSSはPMU60から入力される信号である。
【0208】
<メモリセルの動作例>
メモリセル120の動作の一例を説明する。
図13は、メモリセル120のタイミングチャートの一例である。
【0209】
[通常動作]
回路SMC20にアクセス要求が行われ、データの書き込みおよび読み出しが行われる。回路BKC20では、信号OSSは低レベルであるため、ノードSN1およびノードSN2が電気的に浮遊状態となっており、データ保持状態である。
図13の例では、ノードSN1の電位は低レベル(”0”)であり、他方ノードであるノードSN2の電位は、高レベル(”1”)である。
【0210】
[データ退避]
信号OSSを高レベルにすることで、トランジスタMW11、MW12が導通状態となり、ノードSN1、SN2は、それぞれ、ノードNET1、NET2と同じ電位レベルとなる。
図13の例では、ノードSN1、SN2の電位は、それぞれ、高レベル、低レベルとなる。信号OSSが低レベルとなり、回路BKC20がデータ保持状態となり、データ退避動作が終了する。
【0211】
[ボルテージスケーリング、低電源モード]
信号OSSの立下りに連動して、PMU60は、ボルテージスケーリング動作を行う。これによりキャッシュ40は低電源モードに移行する。
【0212】
[パワーゲーティング、電源オフモード]
低電源モードに移行してから一定期間経過したら、PMU60は、パワーゲーティング動作を行い、キャッシュ40を電源オフモードにする。
【0213】
[データ復帰、電源オンモード]
割り込み要求に従い、PMU60はキャッシュ40を通常状態に復帰させる。信号OSSを高レベルにして、回路BKC20で保持されているデータを、回路SMC20に書き戻す。信号OSSが高レベルである期間中に、PMU60は、ボルテージスケーリング動作およびパワーゲーティング動作を行い、記憶回路100を電源オンモードに復帰させる。
図13の例では、VDDを供給する電源線の電位が安定すると、クロック信号CLKは高レベルになるようにしている。VDDMCを供給する電源線の電位が安定したら、信号OSSを低レベルに戻し、データ復帰動作を終了させる。ノードSN1、SN2の状態は、休止状態になる直前の状態に復帰している。
【0214】
[通常動作]
VDDMCの供給が再開されることで、回路SMC20は通常動作が可能な通常モードに復帰する。
【0215】
以上述べたように、OSトランジスタを用いることで、電源が遮断されていても長期間データを保持することが可能なバックアップ回路を構成することができる。このバックアップ回路を備えることで、プロセッサコアおよびキャッシュのパワーゲーティングが可能となる。また、休止状態において、ボルテージスケーリングとパワーゲーティングを組み合わせた電源管理を行うことで、休止状態から通常状態へ復帰する処理に要するエネルギーおよび時間のオーバーヘッドを削減することができる。よって、処理装置の処理能力を低下させずに、電力の削減を効率よく行うことが可能となる。
【0216】
<メモリの一例>
以下に、本発明の一態様のOSトランジスタを用いたメモリについて説明する。
【0217】
本発明の一態様が有する蓄電装置は、メモリを有することが好ましい。メモリとして、OSトランジスタを用いたメモリ装置を適用することができる。例えば、以下に説明するNOSRAM(登録商標)、DOSRAM(登録商標)等を適用することができる。
【0218】
NOSRAMとは、メモリセルの書き込みトランジスタがOSトランジスタで構成されているゲインセル型DRAMのことである。NOSRAMはNonvolatile Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下にNOSRAMの構成例を示す。
【0219】
図14AはNOSRAMの構成例を示すブロック図である。NOSRAM240には、パワードメイン242、243、パワースイッチ245乃至247が設けられている。パワードメイン242には、メモリセルアレイ250が設けられ、パワードメイン243にはNOSRAM240の周辺回路が設けられている。周辺回路は、制御回路251、行回路252、列回路253を有する。
【0220】
外部からNOSRAM240に電圧VDDD、電圧VSSS、電圧VDHW、電圧VDHR、電圧VBG2、クロック信号GCLK2、アドレス信号、信号CE、信号WE、信号PSE5が入力される。信号CE、信号WEはチップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号である。信号PSE5は、パワースイッチ245乃至247のオンオフを制御する。パワースイッチ245乃至247は、パワードメイン243への電圧VDDD、電圧VDHW、電圧VDHRの入力をそれぞれ制御する。
【0221】
なお、NOSRAM240に入力される電圧、信号等は、NOSRAM240の回路構成、動作方法に応じて適宜取捨される。例えば、NOSRAM240にパワーゲーティングされないパワードメインを設け、信号PSE5を生成するパワーゲーティング制御回路を設けてもよい。
【0222】
メモリセルアレイ250は、メモリセル11、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、ソース線SLを有する。
【0223】
図14Bに示すように、メモリセル11は2T1C(2トランジスタ1容量)型のゲインセルであり、ノードSN1、トランジスタM1、M2、容量素子C1を有する。トランジスタM1は書き込みトランジスタであり、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM1のバックゲートは、電圧VBG2を供給する配線BGL2に電気的に接続されている。トランジスタM2は読出しトランジスタであり、pチャネル型Siトランジスタである。容量素子C1はノードSN1の電圧を保持する保持容量である。
【0224】
電圧VDDD、VSSSはデータ“1”、“0”を表す電圧である。なお、書込みワード線WWL、読出しワード線RWLの高レベル電圧はそれぞれ、電圧VDHW、電圧VDHRである。
【0225】
図15Aにメモリセルアレイ250の構成例を示す。
図15に示すメモリセルアレイ250では、隣接する2行で1本のソース線が供給されている。
【0226】
メモリセル11は原理的に書き換え回数に制限はなく、データの書き換えを低エネルギーで行え、データの保持に電力を消費しない。トランジスタM1が極小オフ電流のOSトランジスタであるため、メモリセル11は長時間データを保持することが可能である。よって、NOSRAM240で、キャッシュを構成することで、不揮発性の低消費電力なキャッシュとすることができる。
【0227】
メモリセル11の回路構成は、
図14Bの回路構成に限定されない。例えば、読出しトランジスタM2は、バックゲートを有するOSトランジスタ、またはnチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、メモリセル11は3T型ゲインセルでもよい。例えば、
図15B、
図15Cに3T型ゲインセルの例を示す。
図15Bに示すメモリセル15は、トランジスタM3乃至M5、容量素子C3、ノードSN3を有する。トランジスタM3乃至M5は、書込みトランジスタ、読出しトランジスタ、選択トランジスタである。トランジスタM3はバックゲートを有するOSトランジスタであり、トランジスタM4、M5はpチャネル型Siトランジスタである。トランジスタM4、M5を、nチャネル型Siトランジスタまたはバックゲートを有するOSトランジスタで構成してもよい。
図15Cに示すメモリセル16では、3個のトランジスタはバックゲートを有するOSトランジスタで構成されている。
【0228】
ノードSN3は保持ノードである。容量素子C3はノードSN3の電圧を保持するための保持容量である。容量素子C3を意図的に設けず、トランジスタM4のゲート容量などで保持容量を構成してもよい。配線PDLには固定電圧(例えば、VDDD)が入力される。配線PDLはソース線SLに代わる配線であり、例えば、電圧VDDDが入力される。
【0229】
制御回路251は、NOSRAM240の動作全般を制御する機能を有する。例えば、制御回路251は、信号CE、信号WEを論理演算して、外部からのアクセスが書き込みアクセスであるか読み出しアクセスであるかを判断する。
【0230】
行回路252は、アドレス信号が指定する選択された行の書込みワード線WWL、読出しワード線を選択する機能をもつ。列回路253は、アドレス信号が指定する列の書込みビット線にデータを書き込む機能、および当該列の書込みビット線WBLからデータを読み出す機能をもつ。
【0231】
DOSRAMとは、1T1C型のメモリセルを有するRAMのことであり、Dynamic Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下、
図16を参照して、DOSRAMについて説明する。
【0232】
図16Aに示すように、DOSRAM351のメモリセル16は、ビット線BL1(またはBLB1)、ワード線WL1、配線BGL6、配線PLに電気的に接続される。ビット線BLB1は、反転ビット線である、例えば、配線BGL6、配線PLには、電圧VBG6、電圧VSSSがそれぞれ、入力される。トランジスタM6、および容量素子C6を有する。トランジスタM6はバックゲートを有するOSトランジスタである。
【0233】
容量素子C6の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM351には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル16の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。メモリセル16の書込みトランジスタがOSトランジスタであるので、DOSRAM351の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できる、あるいは、リフレッシュ動作を不要にすることができるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。
【0234】
図16Bに示すように、DOSRAM351において、メモリセルアレイ361は、周辺回路365上に積層することができる。これは、メモリセル16のトランジスタM6がOSトランジスタであるからである。
【0235】
メモリセルアレイ361には、複数のメモリセル16が行列状に配置され、メモリセル16の配列に応じて、ビット線BL1、BLB1、ワード線WL1、配線BGL6、PLが設けられている。周辺回路365には、制御回路、行回路、列回路が設けられる。行回路は、アクセス対象のワード線WL1の選択等を行う。列回路は、BL1とBLB1とでなるビット線対に対して、データの書き込みおよび読出し等を行う。
【0236】
周辺回路365をパワーゲーティングするために、パワースイッチ371、373が設けられている。パワースイッチ371、373は、周辺回路365への電圧VDDD、VDHW6の入力をそれぞれ制御する。なお、電圧VDHW6はワード線WL1の高レベル電圧である。パワースイッチ371、373のオンオフは、信号PSE6で制御される。
【0237】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0238】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に適用可能なトランジスタの構成について説明する。一例として、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設ける構成について説明する。当該構成とすることで、半導体装置の設計自由度を高めることができる。また、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設けることで、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0239】
半導体装置の断面構造の一部を
図17に示す。
図17に示す半導体装置は、トランジスタ550と、トランジスタ500と、容量600と、を有している。
図19Aはトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、
図19Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、
図19Cはトランジスタ550のチャネル幅方向の断面図である。
【0240】
トランジスタ500は、OSトランジスタである。トランジスタ500は、オフ電流が極めて少ない。よって、トランジスタ500を介して記憶ノードに書き込んだデータ電圧あるいは電荷を長期間保持することが可能である。つまり、記憶ノードのリフレッシュ動作頻度を低減、あるいは、リフレッシュ動作を必要としないため、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0241】
図17では、トランジスタ500はトランジスタ550の上方に設けられ、容量600はトランジスタ550、およびトランジスタ500の上方に設けられている。
【0242】
トランジスタ550は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0243】
図19Cに示すように、トランジスタ550は、半導体領域313の上面およびチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ550をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ550のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ550のオフ特性を向上させることができる。
【0244】
なお、トランジスタ550は、pチャネル型のトランジスタ、あるいはnチャネル型のトランジスタのいずれでもよい。
【0245】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ550をHEMTとしてもよい。
【0246】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0247】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0248】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0249】
トランジスタ550は、SOI(Silicon on Insulator)基板などを用いて形成してもよい。
【0250】
また、SOI基板としては、鏡面研磨ウエハに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて形成されたSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板や、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法、ELTRAN法(登録商標:Epitaxial Layer Transfer)などを用いて形成されたSOI基板を用いてもよい。単結晶基板を用いて形成されたトランジスタは、チャネル形成領域に単結晶半導体を有する。
【0251】
なお、
図17に示すトランジスタ550は一例であり、その構成に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみの単極性回路(nチャネル型トランジスタのみ、などと同極性のトランジスタを意味する)とする場合、
図18に示すように、トランジスタ550の構成を、トランジスタ500と同様の構成にすればよい。なお、トランジスタ500の詳細については後述する。
【0252】
トランジスタ550を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0253】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0254】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0255】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ550などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0256】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ550などから、トランジスタ500が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0257】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0258】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0259】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0260】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量600、またはトランジスタ500と接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330は、プラグまたは配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構成をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0261】
各プラグ、および配線(導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0262】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図17では、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0263】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0264】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ550からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構成であることが好ましい。
【0265】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図17では、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0266】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0267】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図17では、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0268】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0269】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図17では、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0270】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0271】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0272】
絶縁体384上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0273】
例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、例えば、基板311、またはトランジスタ550を設ける領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物に対するバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0274】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。
【0275】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0276】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0277】
また、例えば、絶縁体512、および絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、および絶縁体516として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0278】
また、絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516には、導電体518、およびトランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれている。なお、導電体518は、容量600、またはトランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0279】
特に、絶縁体510、および絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0280】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0281】
図19Aおよび
図19Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514および絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516および導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542aおよび導電体542bと、導電体542aおよび導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面および側面に配置された絶縁体545と、絶縁体545の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0282】
また、
図19Aおよび
図19Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、および導電体542bと、絶縁体580の間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、
図19Aおよび
図19Bに示すように、導電体560は、絶縁体545の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、
図19Aおよび
図19Bに示すように、絶縁体580、導電体560、および絶縁体545の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0283】
なお、本明細書などにおいて、酸化物530a、および酸化物530bをまとめて酸化物530という場合がある。
【0284】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、および酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、または3層以上の積層構成を設ける構成にしてもよい。
【0285】
また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構成として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構成であってもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。また、
図17、
図18、および
図19Aに示すトランジスタ500は一例であり、その構成に限定されず、回路構成や駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0286】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542aおよび導電体542bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542aおよび導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0287】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542aまたは導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542aおよび導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0288】
導電体560は、第1ゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2ゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧をより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0289】
導電体503は、酸化物530、および導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、および導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0290】
本明細書等において、一対のゲート電極(第1のゲート電極、および第2のゲート電極)の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構成を、surrounded channel(S-channel)構成とよぶ。また、本明細書等で開示するS-channel構成は、Fin型構成およびプレーナ型構成とは異なる。S-channel構成を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0291】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514および絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503aおよび導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構成として設ける構成にしてもよい。
【0292】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0293】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0294】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では導電体503を導電体503aと導電体503bの積層で図示したが、導電体503は単層構成であってもよい。
【0295】
絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0296】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該酸素は、加熱により膜中から放出されやすい。本明細書などでは、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」と呼ぶ場合がある。つまり、絶縁体524には、過剰酸素を含む領域(「過剰酸素領域」ともいう。)が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。なお、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、当該欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の水分、水素などの不純物を除去すること(「脱水」または「脱水素化処理」ともいう。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(「加酸素化処理」ともいう。)が重要である。VOHなどの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0297】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0298】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と酸化物530とが接した状態で加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VOH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542にゲッタリングされる場合がある。
【0299】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0300】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0301】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「Vo+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0302】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0303】
絶縁体522が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524や、酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0304】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0305】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0306】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0307】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成の絶縁体520を得ることができる。
【0308】
なお、
図19Aおよび
図19Bのトランジスタ500では、3層の積層構成からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、または4層以上の積層構成を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構成に限定されず、異なる材料からなる積層構成でもよい。
【0309】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いる。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。
【0310】
酸化物半導体として機能する金属酸化物の形成は、スパッタリング法で行なってもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法で行なってもよい。なお、酸化物半導体として機能する金属酸化物については、他の実施の形態で詳細に説明する。
【0311】
また、酸化物530においてチャネル形成領域にとして機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上のものを用いることが好ましく、2.5eV以上のものを用いることがより好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0312】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構成物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0313】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構成を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0314】
また、酸化物530aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0315】
ここで、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0316】
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0317】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530aを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0318】
酸化物530b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体542a、および導電体542bが設けられる。導電体542a、および導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0319】
また、
図19Aでは、導電体542a、および導電体542bを単層構成として示したが、2層以上の積層構成としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構成、銅-マグネシウムーアルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構成、チタン膜上に銅膜を積層する二層構成、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構成としてもよい。
【0320】
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構成、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構成等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0321】
また、
図19Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、および領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域またはドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0322】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア密度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0323】
絶縁体544は、導電体542a、および導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、および導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0324】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタンまたは、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなども用いることができる。
【0325】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、およびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、および導電体542bが耐酸化性を有する材料、または、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0326】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、および水素などの不純物が絶縁体545を介して、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体560が酸化するのを抑制することができる。
【0327】
絶縁体545は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体545は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0328】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0329】
過剰酸素を含む絶縁体を絶縁体545として設けることにより、絶縁体545から、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体545中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体545の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0330】
また、絶縁体545が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体545と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体545から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体545から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0331】
なお、絶縁体545は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構成としてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構成とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成とすることができる。
【0332】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、
図19Aおよび
図19Bでは2層構成として示しているが、単層構成でもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。
【0333】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体545に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0334】
また、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構成としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層構成としてもよい。
【0335】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、および導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0336】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を設けることで、絶縁体580中の酸素を酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0337】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0338】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
【0339】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、および絶縁体545の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体545、および絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0340】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0341】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0342】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0343】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、および導電体540bを配置する。導電体540aおよび導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。導電体540aおよび導電体540bは、後述する導電体546、および導電体548と同様の構成である。
【0344】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体582には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0345】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0346】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体586として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0347】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、および絶縁体586には、導電体546、および導電体548等が埋め込まれている。
【0348】
導電体546、および導電体548は、容量600、トランジスタ500、またはトランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体546、および導電体548は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0349】
また、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体522または絶縁体514に達する開口を形成し、絶縁体522または絶縁体514に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522または絶縁体514と同様の材料を用いればよい。
【0350】
続いて、トランジスタ500の上方には、容量600が設けられている。容量600は、導電体610と、導電体620と、絶縁体630とを有する。
【0351】
また、導電体546、および導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体610は、容量600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、および導電体610は、同時に形成することができる。
【0352】
導電体612、および導電体610には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0353】
本実施の形態では、導電体612、および導電体610を単層構成で示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構成でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0354】
絶縁体630を介して、導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構成と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0355】
導電体620、および絶縁体630上には、絶縁体640が設けられている。絶縁体640は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体640は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0356】
本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
【0357】
本発明の一態様の半導体装置に用いることができる基板としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板(例えば、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板など)、半導体基板(例えば、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、または化合物半導体基板など)SOI(SOI:Silicon on Insulator)基板、などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0358】
または、基板として、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどを用いることができる。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
【0359】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ、抵抗、および/または容量などを形成してもよい。または、基板と、トランジスタ、抵抗、および/または容量などの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタ、抵抗、および/または容量などは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構成の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成、水素を含むシリコン膜等を用いることができる。
【0360】
つまり、ある基板上に半導体装置を形成し、その後、別の基板に半導体装置を転置してもよい。半導体装置が転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、可撓性を有する半導体装置の製造、壊れにくい半導体装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
【0361】
可撓性を有する基板上に半導体装置を設けることで、重量の増加を抑え、且つ破損しにくい半導体装置を提供することができる。
【0362】
<トランジスタの変形例1>
図20A、
図20B、および
図20Cに示すトランジスタ500Aは、
図19A、
図19Bに示す構成のトランジスタ500の変形例である。
図20Aはトランジスタ500Aの上面図であり、
図20Bはトランジスタ500Aのチャネル長方向の断面図であり、
図20Cはトランジスタ500Aのチャネル幅方向の断面図である。なお、
図20Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素の記載を省略している。
図20A、
図20B、および
図20Cに示す構成は、トランジスタ550等、本発明の一態様の半導体装置が有する他のトランジスタにも適用することができる。
【0363】
図20A、
図20B、および
図20Cに示す構成のトランジスタ500Aは、絶縁体552、絶縁体513および絶縁体404を有する点が、
図19A、
図19Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。また、導電体540aの側面に接して絶縁体552が設けられ、導電体540bの側面に接して絶縁体552が設けられる点が、
図19A、
図19Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。さらに、絶縁体520を有さない点が、
図19A、
図19Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。
【0364】
図20A、
図20B、および
図20Cに示す構成のトランジスタ500Aは、絶縁体512上に絶縁体513が設けられる。また、絶縁体574上、および絶縁体513上に絶縁体404が設けられる。
【0365】
図20A、
図20B、および
図20Cに示す構成のトランジスタ500Aでは、絶縁体514、絶縁体516、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、および絶縁体574がパターニングされており、絶縁体404がこれらを覆う構成になっている。つまり、絶縁体404は、絶縁体574の上面、絶縁体574の側面、絶縁体580の側面、絶縁体544の側面、絶縁体524の側面、絶縁体522の側面、絶縁体516の側面、絶縁体514の側面、絶縁体513の上面とそれぞれ接する。これにより、酸化物530等は、絶縁体404と絶縁体513によって外部から隔離される。
【0366】
絶縁体513および絶縁体404は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)または水分子の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。例えば、絶縁体513および絶縁体404として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることが好ましい。これにより、酸化物530に水素等が拡散することを抑制することができるので、トランジスタ500Aの特性低下を抑制できる。よって、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0367】
絶縁体552は、絶縁体581、絶縁体404、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に接して設けられる。絶縁体552は、水素または水分子の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。たとえば、絶縁体552として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素バリア性が高い材料であるので、絶縁体552として用いると好適である。絶縁体552として水素バリア性が高い材料を用いることにより、水または水素等の不純物が、絶縁体580等から導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580に含まれる酸素が導電体540aおよび導電体540bに吸収されることを抑制することができる。以上により、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0368】
<トランジスタの変形例2>
図21A、
図21Bおよび
図21Cを用いて、トランジスタ500Bの構成例を説明する。
図21Aはトランジスタ500Bの上面図である。
図21Bは、
図21Aに一点鎖線で示すL1-L2部位の断面図である。
図21Cは、
図21Aに一点鎖線で示すW1-W2部位の断面図である。なお、
図21Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素の記載を省略している。
【0369】
トランジスタ500Bはトランジスタ500の変形例であり、トランジスタ500に置き換え可能なトランジスタである。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ500Bのトランジスタ500と異なる点について説明する。
【0370】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、導電体560a、および導電体560a上の導電体560bを有する。導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0371】
導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電体560aを有することで、導電体560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0372】
また、導電体560の上面および側面と絶縁体545の側面を覆うように、絶縁体544を設けることが好ましい。なお、絶縁体544は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0373】
絶縁体544を設けることで、導電体560の酸化を抑制することができる。また、絶縁体544を有することで、絶縁体580が有する水、および水素などの不純物がトランジスタ500Bへ拡散することを抑制することができる。
【0374】
トランジスタ500Bは、導電体542aの一部と導電体542bの一部に導電体560が重なるため、トランジスタ500よりも寄生容量が大きくなりやすい。よって、トランジスタ500に比べて動作周波数が低くなる傾向がある。しかしながら、絶縁体580などに開口を設けて導電体560や絶縁体545などを埋めこむ工程が不要であるため、トランジスタ500と比較して生産性が高い。
【0375】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0376】
(実施の形態3)
本実施の形態では、金属酸化物の一種である酸化物半導体について説明する。
【0377】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0378】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図22Aを用いて説明を行う。
図22Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0379】
図22Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0380】
なお、
図22Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0381】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを
図22Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図22Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、
図22Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図22Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0382】
図22Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、
図22Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0383】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、
図22Cに示す。
図22Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、
図22Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0384】
図22Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0385】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図22Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0386】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0387】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0388】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0389】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0390】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0391】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0392】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0393】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0394】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0395】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0396】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0397】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0398】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0399】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0400】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0401】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0402】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0403】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0404】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0405】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0406】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0407】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0408】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0409】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0410】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0411】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0412】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0413】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0414】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0415】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0416】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0417】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0418】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0419】
(実施の形態4)
本実施の形態では上述した半導体装置の応用例について説明する。
【0420】
〔半導体ウエハ、チップ〕
図23Aは、ダイシング処理が行なわれる前の基板701の上面図を示している。基板701としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう。)を用いることができる。基板701上には、複数の回路領域702が設けられている。回路領域702には、本発明の一態様に係る半導体装置や、CPU、RFタグ、またはイメージセンサなどを設けることができる。
【0421】
複数の回路領域702は、それぞれが分離領域703に囲まれている。分離領域703と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)704が設定される。分離線704に沿って基板701を切断することで、回路領域702を含むチップ705を基板701から切り出すことができる。
図23Bにチップ705の拡大図を示す。
【0422】
また、分離領域703に導電層や半導体層を設けてもよい。分離領域703に導電層や半導体層を設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程の歩留まり低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に流しながら行なわれる。分離領域703に導電層や半導体層を設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
【0423】
分離領域703に設ける半導体層としては、バンドギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.7eV以上3.5eV以下の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いると、蓄積された電荷をゆっくりと放電することができるため、ESDによる電荷の急激な移動が抑えられ、静電破壊を生じにくくすることができる。
【0424】
〔電子部品〕
チップ705を電子部品に適用する例について、
図24Aおよび
図24Bを用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。
【0425】
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
【0426】
図24Aに示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において上記実施の形態に示した半導体装置を有する素子基板が完成した後、該素子基板の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS721)。研削により素子基板を薄くすることで、素子基板の反りなどを低減し、電子部品の小型化を図ることができる。
【0427】
次に、素子基板を複数のチップ(チップ705)に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS722)。そして、分離したチップを個々ピックアップしてリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS723)。ダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接合は、樹脂による接合や、テープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップを接合してもよい。
【0428】
次いで、リードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS724)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
【0429】
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップに内蔵される回路部やチップとリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分や埃による特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
【0430】
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形工程」を行なう(ステップS727)。
【0431】
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS728)。そして外観形状の良否や動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS729)を経て、電子部品が完成する。
【0432】
また、完成した電子部品の斜視模式図を
図24Bに示す。
図24Bでは、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。
図24Bに示す電子部品750は、リード755および半導体装置753を示している。半導体装置753としては、上記実施の形態に示した半導体装置などを用いることができる。
【0433】
図24Bに示す電子部品750は、例えばプリント基板752に実装される。このような電子部品750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板754)が完成する。完成した実装基板754は、電子機器などに用いられる。
【0434】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0435】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の応用例について説明する。
【0436】
本発明の一態様は例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、録画再生装置、ナビゲーションシステム、ゲーム機など)に適用してもよい。また、イメージセンサ、IoT(Internet of Things)端末機器、ヘルスケアなどに適用してもよい。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。
【0437】
以下に、本発明の一態様の操作装置を適用した電子機器の一例について説明する。
【0438】
図25Aに家庭用の据え置き型ゲーム機の一例を示す。なお、本発明の一態様の電子機器はこれに限定されない。本発明の一態様の電子機器としては、例えば、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
【0439】
図25Aに示す据え置き型ゲーム機7500は、コントローラ7522と、本体7520を有する。
【0440】
コントローラ7522として、本発明の一態様の操作装置を用いることができ、例えば先の実施の形態に示す操作装置700を適用することができる。コントローラ7522は処理装置等が搭載された半導体チップ4700を有する。半導体チップ4700に搭載される処理装置として例えば先の実施の形態に示す処理装置21を用いることができる。
【0441】
操作装置は入力部を有する。該入力部として例えば、先の実施の形態に示す入力部301および入力部301bを適用することができる。例えば入力部として加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上が搭載されたセンサチップ4701を有する。また例えば入力部としてボタン7522bを有する。
【0442】
本体7520として、本発明の一態様の情報処理装置を用いることができ、例えば先の実施の形態に示す情報処理装置799を用いることができる。
図25Aに示す本体7520は、表示部7520aに画像データを送信し、表示させることができる。
【0443】
コントローラ7522は
図25Bに示すように、表示部7522aを有してもよい。表示部7522aは、タッチセンサとして機能する領域を有してもよい。
【0444】
また本体7520はカメラ7520bを有してもよい。カメラ7520bは、コントローラ7522およびその周辺の環境を撮影することができる。
【0445】
図25Aにおいては本体7520が情報処理装置を有する例について説明したが、コントローラ7522に情報処理装置が内蔵されてもよい。例えば、
図25Bに示すコントローラ7522が情報処理装置を内蔵する場合には、該情報処理装置から表示部7522aに画像データが送信される。コントローラ7522に情報処理が搭載されることにより、コントローラ7522を携帯型ゲーム機とすることができる。
【0446】
コントローラ7522は、入力部として、ボタン以外の入力インターフェースとなるタッチパネルやスティック、回転式つまみ、スライド式つまみなども備えることができる。また、コントローラ7522は、
図25A等に示す形状に限定されず、ゲームのジャンルに応じて、コントローラ7522の形状を様々に変更してもよい。例えば、FPS(First Person Shooter)などのシューティングゲームでは、トリガーをボタンとし、銃を模した形状のコントローラを用いることができる。また、例えば、音楽ゲームなどでは、楽器、音楽機器などを模した形状のコントローラを用いることができる。更に、据え置き型ゲーム機は、コントローラを使わず、代わりにカメラ、深度センサ、マイクロフォンなどを備えて、ゲームプレイヤーのジェスチャー、および/または音声によって操作する形式としてもよい。
【0447】
また
図25Cに示すように、マウス5200をゲーム機のコントローラとして用いてもよい。マウス5200は位置を移動させ、移動距離や方向の信号を本体7520等に送信することができる。また、マウス5200は入力部として機能するボタン5203等を有する。またマウス5200は例えば、半導体チップ4700およびセンサチップ4701を有する。マウス5200の傾きを変化させると、センサチップ4701が傾きの変化を検知し、信号を本体7520に送信する。
【0448】
図25Dには、ウェアラブル端末の一例である情報端末5900が図示されている。
図25Aに示すコントローラ7522に替えて情報端末5900を用いることができる。情報端末5900は、筐体5901、バンド5905などを有する。筐体5901内には操作装置および情報処理装置が配置される。
【0449】
図25Dには操作装置が有する構成の一例として、筐体5901の内部に配置される半導体チップ4700およびセンサチップ4701を示す。情報端末5900はウェアラブル端末であり、使用者が身につけることができ、位置を移動させる、傾きを変化させる、等の動作がしやすい。また落下による破損を防止することができる。
【0450】
また、情報端末5900は入力部として操作スイッチ5903および操作スイッチ5904を有する。また情報端末5900は、表示部5902を有する。表示部にタッチセンサとして機能する領域を設けることにより、入力部として機能させることができる。また表示部には様々な画像を表示させることができ、例えばゲームに用いる設定の入力画面、ゲームに用いる設定値の表示、等を表示させることができる。また、入力部が有する各センサが検知するデータを用いて画像データを生成し、表示部に表示させてもよい。
【0451】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0452】
(実施の形態6)
図26Aには、本発明の一態様の操作装置を適用したコントローラ8400の外観を示す。また、
図26Bには、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す。コントローラ8400は、ヘッドマウントディスプレイ8300へ制御信号を与える機能を有する。
図26Dおよび
図26Eはそれぞれ、
図26Bに示すヘッドマウントディスプレイ8300を異なる方向からみた図である。
【0453】
コントローラ8400は、ヘッドマウントディスプレイ8300と信号の授受を行う機能を有する。また、コントローラ8400は、ヘッドマウントディスプレイ8300と無線で通信する機能を有することが好ましい。
【0454】
コントローラ8400は筐体と、回路基板8401と、発光素子8402と、を有する。回路基板8401および発光素子8402はそれぞれ、少なくとも一部が該筐体の内部に配置される。
【0455】
発光素子8402は例えば、電磁波を放出する素子である。発光素子8402は例えば、可視光、赤外光、紫外光、電波から選ばれる一以上を放射する機能を有する。また、発光素子8402として、音波を発する素子を用いてもよい。
【0456】
図26Cに示す回路基板8401は、処理装置を有するチップ8403と、制御部を有するチップ8404と、を有する。
【0457】
チップ8404が有する制御部は、発光素子8402を制御する機能を有する。チップ8404は例えば、発光素子8402から放出される電磁波の放出期間、電磁波強度、等の制御を行う。
【0458】
また回路基板8401は入力部8405を有する。入力部8405および入力部が有する各構成について、先の実施の形態の記述を参照することができ、入力部8405は例えば、センサ素子と、検出部と、判定回路と、を有する。
【0459】
入力部8405は加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を有する。コントローラ8400は入力部8405が有する加速度センサ、角速度センサおよび磁気センサから選ばれる一以上を用いて位置データを取得する機能を有する。
【0460】
チップ8403が有する該処理装置として、先の実施の形態に示す処理装置を参照することができる。処理装置は先の実施の形態に示すように例えば、通信規格化された様々な仕様に対応することができる。また、先の実施の形態に示す処理装置を用いることにより、使用者がコントローラ8400の使用を中断する場合、コントローラ8400の動きがない、あるいは極めて小さい場合、コントローラ8400への入力が検出されない場合、等において、コントローラ8400を休止状態とすることができる。よって消費電力を極めて低くすることができる。
【0461】
次に、
図26B、
図26Dおよび
図26Eを用いて、本発明の一態様のヘッドマウントディスプレイについて説明する。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0462】
また、
図26B、
図26Dおよび
図26Eに示すように、ヘッドマウントディスプレイ8300が回路部8306と、撮像装置8307と、を有することが好ましい。
【0463】
回路部8306は例えば、表示部8302の駆動回路を有する。該駆動回路は表示部8302に画像データを与える機能、制御信号を与える機能、等を有する。
【0464】
また、回路部8306は撮像装置8307の駆動回路を有することが好ましい。
【0465】
また、ヘッドマウントディスプレイ8300は、先の実施の形態に示す情報処理装置が有する構成の、少なくとも一部を有することが好ましい。一例として、ヘッドマウントディスプレイ8300は、先の実施の形態に示す処理装置の構成の、少なくとも一部を有する。
【0466】
ヘッドマウントディスプレイ8300が有する表示部8302には、画像データ(以下、画像データA1)が与えられる。画像データA1は、ヘッドマウントディスプレイ8300が有する回路部8306により生成される画像データ(以下、画像データB1)と、情報処理装置が生成するデータ(以下、データC1)と、を用いて構成される。あるいは、画像データB1は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外部の回路により生成されてもよい。データC1は、コントローラ8400に関する情報であり、使用者がコントローラ8400を操作することにより随時、更新されるデータである。
【0467】
画像データB1に、随時、更新されるデータC1を組み合わせて画像データA1を生成し、ヘッドマウントディスプレイ8300が有する表示部8302に表示することにより、ヘッドマウントディスプレイ8300を、VR(Virtual Reality)向け機器、AR(Augmented Reality)向け機器、またはMR(Mixed Reality)向け機器、等として用いることができる。
【0468】
また、ヘッドマウントディスプレイ8300は、視線入力装置を有してもよい。情報処理装置は、画像データA1の生成の際に、画像データB1およびデータC1に加えて、視線入力装置により検知される信号を用いてもよい。
【0469】
視線入力装置は、視線の検知を行うことができる。視線の検知は例えば、ヒトの瞳の虹彩、あるいは瞳孔を検出することにより行うことができる。また、眼球やまぶたの動きを捉えることにより、視線を検知することができる。また、使用者に触れるように電極を設け、眼球の動きに伴って該電極に流れる電流を検知することにより、視線を検知することができる。
【0470】
画像データA1と、音声データと、を合わせて映像データを生成することができる。表示部8302は、該映像データを表示する機能を有する。
【0471】
またヘッドマウントディスプレイ8300は、発光素子8402が放出する電磁波を受信する機能を有するセンサ素子を、有することが好ましい。ここでは、発光素子8402が放出する電磁波を受信する機能を有するセンサ素子を、有する構成として、撮像装置8307を用いることができる。
【0472】
撮像装置8307は、コントローラ8400が有する発光素子8402が発する電磁波を受光する機能を有する。ヘッドマウントディスプレイ8300の装着者は、コントローラ8400を広い範囲にわたって動かしながら用いる場合がある。そのような場合においても、
図26D等に示すように、撮像装置8307を、あるいは撮像装置8307の受光部を、左右、上下、などにわたり、複数個所に配置することにより、ヘッドマウントディスプレイ8300の装着者の周辺を広く撮影することができるため、発光素子8402が発する電磁波を受光しやすい。
【0473】
ヘッドマウントディスプレイ8300が有する撮像装置8307により撮影されるデータは、先の実施の形態に示す情報処理装置を用いて解析されることが好ましい。
【0474】
情報処理装置は、撮像装置8307により撮影されたデータを用いて、データC1を生成する機能を有する。ここでデータC1は、コントローラ8400の位置情報、表示部8302に表示されるオブジェクト等の構成要素に関する情報、等である。また、該情報処理装置は、データC1を生成する際に、撮像装置8307により撮影されたデータに加えて、コントローラ8400が有するセンサ素子により観測されるデータを用いることが好ましい。また、これらのデータに加えてさらに、コントローラ8400が有する処理装置21に設けられるレジスタ、記憶装置、等に保持されるデータを用いてもよい。
【0475】
情報処理装置は、データC1の生成に演算回路を用いることができる。該演算回路は回路部8306に設けられてもよいし、ヘッドマウントディスプレイ8300の外部の回路に設けられてもよい。
【0476】
ヘッドマウントディスプレイ8300において、使用者はレンズ8305を通して表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。
【0477】
また、表示部が使用者の目を概略中心とした円弧状に湾曲することにより、使用者の目から表示部の表示面までの距離が一定となるため、使用者はより自然な映像を見ることができる。また、表示部からの光の輝度や色度が見る角度によって変化してしまうような場合であっても、表示部の表示面の法線方向に使用者の目が位置するため、実質的にその影響を無視することができるため、より現実感のある映像を表示することができる。
【0478】
また、表示部8302の異なる領域に表示された別の映像を、レンズ8305を通して視認することで、視差を用いた3次元表示等を行うこともできる。
【0479】
なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者は片方の目につき1つの表示部を見ることができる。これにより、視差を用いた3次元表示等を行う際であっても、高い解像度の映像を表示することができる。
【0480】
表示部8302が有する表示素子として様々な表示素子を用いることができる。表示部8302として、精細度の高い構成を用いることにより、
図26Eのようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より臨場感の高い映像を表示することができる。例えば、1000ppi以上、2000ppi以上、5000ppi以上の高精細の表示部を用いればよい。
【0481】
また、表示素子としてEL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)を用いることにより、ヘッドマウントディスプレイ8300の重量を軽くすることができ、使用者が快適に装着することができる。また、可撓性を有する基板上にEL素子を設けることにより、表示部を、曲げることが可能な構成とすることができる。
【0482】
また、可撓性を有する基板として例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。これらの基板を用いることにより、軽くて丈夫な表示部を実現することができる。
【0483】
またヘッドマウントディスプレイはスピーカを有してもよい。あるいはヘッドフォン、イヤフォン等に出力するための音声出力端子を有してもよい。
【0484】
ヘッドマウントディスプレイ8300およびコントローラ8400の少なくとも一方に、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサを設けることが好ましい。人体センサにより使用者の状態を把握し、使用者の状態に合わせた画像、音声、映像、等を提供することができる。
【0485】
図27に示すヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
【0486】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ、映像データ等に対応する画像、映像等を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視線の座標を算出することにより、使用者の視線を入力手段として用いることができる。
【0487】
装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動き等を検出し、表示部8204に表示する画像、および映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
【0488】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0489】
以下に、本発明の一態様の操作装置の適用例について説明する。
【0490】
図28Aには本発明の一態様のゲームシステムの一例を示す。
図28Aには先の実施の形態の操作装置を適用した構成として、コントローラ901およびコントローラ902を示す。また
図28Aには先の実施の形態の情報処理装置を適用した構成としてパーソナルコンピュータ903を示す。モニター904はパーソナルコンピュータ903から与えられる画像信号を表示している。
【0491】
図28Aでは、コントローラ901およびコントローラ902は、ともに使用者からの操作が行われず、休止状態である。このとき、モニター904に表示されるゲーム画面においてプレーヤーオブジェクトも休止状態である。
【0492】
休止状態におけるモニター904の拡大図を
図28Bに示す。プレーヤーオブジェクト905は休止状態である。なお、
図28Bには1つのプレーヤーオブジェクトのみが表示されているが、コントローラ901に対応するプレーヤーオブジェクトと、コントローラ902に対応するプレーヤーオブジェクトの2つのオブジェクトをモニター904に表示される仮想空間に配置することができる。
【0493】
プレーヤーオブジェクト905は武器、鎧などの装備を装着している。モニター904には装備一覧906が表示されている。装備一覧906からいずれの装備を選択し、装着するかの情報データは、それぞれのプレーヤーオブジェクトに対応するコントローラが有する記憶装置(例えば、後述する
図29Aに示すプロセッサユニット907が有するNOSRAM)に記憶される。
【0494】
図29Aは、コントローラ901の筐体を開けた状態の図である。また、
図29Bは、コントローラ901が有する構成のさらに内部を見やすくするため、積層されたプリント基板の1段目を取り外した状態である。
【0495】
図29Aに示すように、コントローラ901はプロセッサユニット907を有する。プロセッサユニット907は、先の実施の形態に示す処理装置20を適用した構成であり、記憶装置として先の実施の形態に示すNOSRAMを有する。NOSRAMは書き込み時間、読み出し時間がフラッシュメモリと比較して極めて速く、低電圧での書き込みを行うことができ、書き換えによる劣化も小さく、かつ、電源遮断後もデータを保持することができるため、高速かつ低消費電力であり、不揮発性の高いメモリを実現することができる。
【0496】
また
図29Bに示すように、コントローラ901はセンサチップ908を有する。本実施例では例として、センサチップ908としてANALOG DEVICESのADXL362を用いた。ADXL362はMEMS加速度センサを有する回路である。また、ADXL362は12bitのアナログデジタル変換回路を有する。加速度センサにより検出されたデータが、センサ回路のアナログデジタル変換回路等で処理された後、プロセッサユニット907に与えられる。
【0497】
またコントローラ901には電池が搭載されている。
【0498】
センサチップ908が取得したデータはプロセッサユニット907に与えられる。プロセッサユニット907に与えられたデータは、プロセッサユニット907のキャッシュに保持されているパラメータを乗算して変換される。変換された値はBluetooth(登録商標)によりパーソナルコンピュータ903に与えられる。
【0499】
コントローラ901を傾けると、センサチップ908が傾きの方向および傾きの大きさを検知し、信号を出力する。例えば
図30Aに示すように奥に傾けると、プレーヤーオブジェクト905が前進し、その移動スピードは傾きの大きさによりコントロールすることができる。
図30Bに示すように手前に傾けるとプレーヤーオブジェクト905は後退する。
図30Cに示すように左に傾けるとプレーヤーオブジェクト905は反時計回りに回転し、
図30Dに示すように右に傾けるとプレーヤーオブジェクト905は時計回りに回転する。
図30Eに示すようにモニター904に表示される仮想空間に配置されたプレーヤーオブジェクト905は、コントローラ901を操作することにより移動する。
【0500】
図31Aにはコントローラ902の拡大写真を示す。コントローラ902の筐体はマウスの形状を有する。
図31Bに示すように、コントローラ902はプロセッサユニット907およびセンサチップ908を有する。
【0501】
コントローラ901またはコントローラ902への操作が中断されると、センサチップ908からプロセッサユニット907に与えられる割り込み信号は低電位となり、プロセッサユニット907は休止状態となり、プロセッサユニット907の消費電力を低減することができる。よって、コントローラに搭載された電池の持続時間を長くすることができる。
【0502】
コントローラ901が操作されるとセンサチップ908により操作が検知され、センサチップ908は高電位の割り込み信号をプロセッサユニット907に与え、プロセッサユニット907が通常状態に復帰する。
【0503】
以上に示した通り、本発明の一態様を適用したゲームシステムの動作を確認することができた。
【符号の説明】
【0504】
:BGL2:配線、BGL6:配線、BKC1:回路、BKC2:回路、BKC10:回路、BKC20:回路、BL:配線、BLB:配線、BL1:ビット線、BLB1:ビット線、BRL:配線、C1:容量素子、C3:容量素子、C6:容量素子、CB1:容量素子、CB2:容量素子、CB11:容量素子、CB12:容量素子、INV1:インバータ回路、INV2:インバータ回路、INV3:インバータ回路、INV4:インバータ回路、INV21:インバータ回路、INV22:インバータ回路、M1:トランジスタ、M2:トランジスタ、M3:トランジスタ、M4:トランジスタ、M5:トランジスタ、M6:トランジスタ、MA1:トランジスタ、MC1:トランジスタ、MC2:トランジスタ、MemC1:回路、MemC2:回路、MR1:トランジスタ、MW1:トランジスタ、MW2:トランジスタ、MW11:トランジスタ、MW12:トランジスタ、PCC10:回路、PDL:配線、PL:配線、RBL:ビット線、RWL:ワード線、RTC10:回路、SMC20:回路、WBL:ビット線、WL:配線、WL1:ワード線、WWL:ワード線、10:電源回路、11:メモリセル、15:メモリセル、16:メモリセル、17A:映像、20:処理装置、21:処理装置、21a:演算回路、21b:電源管理装置、21c:記憶装置、22:レジスタ、23A:プレーヤーオブジェクト、24A:装備、25A:装備一覧、26A:方向、26B:方向、26C:方向、26D:方向、30:プロセッサコア、31:記憶回路、32:回路、35:電源線、40:キャッシュ、41:メモリアレイ、42:周辺回路、43:制御回路、45:メモリセル、60:PMU、61:回路、65:クロック制御回路、70:PSW、71:PSW、80:端子、81:端子、82:端子、83:端子、96:センサ素子、97:表示部、99:処理装置、100:記憶回路、110:FF、120:メモリセル、130:プロセッサコア、131:制御装置、132:プログラムカウンタ、133:パイプラインレジスタ、134:パイプラインレジスタ、135:レジスタファイル、136:ALU、137:データバス、240:NOSRAM、242:パワードメイン、243:パワードメイン、245:パワースイッチ、247:パワースイッチ、250:メモリセルアレイ、251:制御回路、252:行回路、253:列回路、301:入力部、301b:入力部、311:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、326:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、351:DOSRAM、352:絶縁体、354:絶縁体、356:導電体、360:絶縁体、361:メモリセルアレイ、362:絶縁体、364:絶縁体、365:周辺回路、366:導電体、370:絶縁体、371:パワースイッチ、372:絶縁体、373:パワースイッチ、374:絶縁体、376:導電体、380:絶縁体、382:絶縁体、384:絶縁体、386:導電体、404:絶縁体、500:トランジスタ、500A:トランジスタ、500B:トランジスタ、503:導電体、503a:導電体、503b:導電体、510:絶縁体、512:絶縁体、513:絶縁体、514:絶縁体、516:絶縁体、518:導電体、520:絶縁体、522:絶縁体、524:絶縁体、526:絶縁体、530:酸化物、530a:酸化物、530b:酸化物、540a:導電体、540b:導電体、542:導電体、542a:導電体、542b:導電体、543a:領域、543b:領域、544:絶縁体、545:絶縁体、546:導電体、548:導電体、550:トランジスタ、552:絶縁体、560:導電体、560a:導電体、560b:導電体、574:絶縁体、580:絶縁体、581:絶縁体、582:絶縁体、586:絶縁体、600:容量、610:導電体、612:導電体、620:導電体、630:絶縁体、640:絶縁体、700:操作装置、701:基板、702:回路領域、703:分離領域、704:分離線、705:チップ、710:センサ素子、710b:センサ素子、711:検出部、711b:検出部、712:判定回路、712b:判定回路、750:電子部品、752:プリント基板、753:半導体装置、754:実装基板、755:リード、799:情報処理装置、901:コントローラ、902:コントローラ、903:パーソナルコンピュータ、904:モニター、905:プレーヤーオブジェクト、906:装備一覧、907:プロセッサユニット、908:センサチップ、4700:半導体チップ、4701:センサチップ、5200:マウス、5203:ボタン、5900:情報端末、5901:筐体、5902:表示部、5903:操作スイッチ、5904:操作スイッチ、5905:バンド、7500:型ゲーム機、7520:本体、7520a:表示部、7520b:カメラ、7522:コントローラ、7522a:表示部、7522b:ボタン、8200:ヘッドマウントディスプレイ、8201:装着部、8202:レンズ、8203:本体、8204:表示部、8205:ケーブル、8206:バッテリ、8300:ヘッドマウントディスプレイ、8301:筐体、8302:表示部、8304:固定具、8305:レンズ、8306:回路部、8307:撮像装置、8400:コントローラ、8401:回路基板、8402:発光素子、8403:チップ、8404:チップ、8405:入力部