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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】光学部品取付システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20250124BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
G02B7/00 F
G02B6/42
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021570172
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 IB2020055024
(87)【国際公開番号】W WO2020240435
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】62/853,872
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ ミルセパッシ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハリソン ファーリー
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-056237(JP,A)
【文献】特表2018-500599(JP,A)
【文献】実開昭62-142714(JP,U)
【文献】特開2007-304162(JP,A)
【文献】実開昭62-140508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18-7/24
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を支持するための光学部品取付システムであって、前記光学部品取付システムは、前記光学部品を支持するための構成要素スタックを含み、前記構成要素スタックは、
第1表面を含む第1構成要素と、
前記第1表面に対向する第2表面を含む第2構成要素と、
前記第1構成要素及び前記第2構成要素の一方に隣接する第3構成要素と、
前記第3構成要素と前記第1構成要素及び前記第2構成要素の前記一方との間にある、はんだ層と、
前記第1構成要素の前記第1表面と前記第2構成要素の前記第2表面との間にある、前記第1構成要素と前記第2構成要素とを互いに接着する接着剤と、
を含み、
前記第1構成要素は、前記第1表面から延びる少なくとも3つの取付パッドを含み、前記第1構成要素の前記取付パッドは前記第2構成要素の前記第2表面と接触し、前記第1構成要素と前記第2構成要素との間に直接支持を提供する、
光学部品取付システム。
【請求項2】
前記構成要素スタック内で、前記第1構成要素は前記第2構成要素よりも上にある、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項3】
前記構成要素スタック内で、前記第1構成要素は前記第2構成要素よりも下にある、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項4】
前記第1構成要素は下部取付台であり、前記第2構成要素は下部結合部品である、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項5】
前記第1構成要素は下部結合部品であり、前記第2構成要素は下部取付台である、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項6】
前記第1構成要素は上部クランプ式取付台であり、前記第2構成要素は上部結合部品である、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項7】
前記第1構成要素は上部結合部品であり、前記第2構成要素は上部クランプ式取付台である、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項8】
前記光学部品は、半導体レーザを含む、請求項1に記載の光学部品取付システム。
【請求項9】
レーザを支持するためのレーザ取付システムであって、前記レーザ取付システムは、前記レーザを支持するための構成要素スタックを含み、前記構成要素スタックは、
下部取付台と、
上部取付台と、
下部結合部品と、
上部結合部品と、
前記下部結合部品と前記上部結合部品との間のはんだ層と、
前記下部取付台と前記下部結合部品との間にある、前記下部取付台と前記下部結合部品とを互いに接着する接着剤と、
前記上部取付台と前記上部結合部品との間にある、前記上部取付台と前記上部結合部品とを互いに接着する接着剤と、
を含み、
前記構成要素スタック内の構成要素の少なくとも1つは第1構成要素であり、前記第1構成要素は、前記構成要素スタック内の隣接構成要素である第2構成要素に向けて延びる少なくとも3つの取付パッドを含み、前記第1構成要素の前記取付パッドは前記第2構成要素と接触し、前記第1構成要素と前記第2構成要素との間に直接支持を提供する、
レーザ取付システム。
【請求項10】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記下部取付台であり、前記第2構成要素は前記下部結合部品である、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項11】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記下部結合部品であり、前記第2構成要素は前記下部取付台である、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項12】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記上部取付台であり、前記第2構成要素は前記上部結合部品である、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項13】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記上部結合部品であり、前記第2構成要素は前記上部取付台である、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項14】
前記上部取付台は上部クランプ式取付台である、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項15】
前記レーザは半導体レーザを含む、請求項9に記載のレーザ取付システム。
【請求項16】
光学部品を支持するための光学部品取付システムを組み立てる方法であって、前記光学部品取付システムは、前記光学部品を支持するための構成要素スタックを含み、前記方法は、
下部取付台と、
下部結合部品と、
上部取付台と、
上部結合部品と、
前記下部結合部品と前記上部結合部品との間のはんだ層と、
を含む前記構成要素スタックを互いに積み重ねる工程であって、
前記下部取付台と前記下部結合部品と前記上部結合部品と前記上部取付台との少なくとも1つは第1構成要素であり、前記第1構成要素に隣接する、前記下部取付台と前記下部結合部品と前記上部結合部品と前記上部取付台との少なくとも他の1つは第2構成要素であり、前記第1構成要素は第1表面を含み、前記第2構成要素は前記第1表面に対向する第2表面を含み、前記第1構成要素は、前記第1表面から延びる少なくとも3つの取付パッドを含み、前記第1構成要素及び前記第2構成要素が互いに積み重ねられると、前記第1構成要素の前記取付パッドが前記第2構成要素の前記第2表面と接触する、工程と、
前記下部取付台と前記下部結合部品とを互いに接着するように、前記下部取付台と前記下部結合部品との間に接着剤を付与する工程と、
前記上部取付台と前記上部結合部品とを互いに接着するように、前記上部取付台と前記上部結合部品との間に接着剤を付与する工程と、
前記下部結合部品又は前記上部結合部品に対して電気端子を取り付ける工程であって、電流が前記電気端子に流れて、前記電気端子が取り付けられた前記下部結合部品又は前記上部結合部品が加熱され、前記電気端子による加熱によって、前記下部結合部品及び前記上部結合部品との間の前記はんだ層の温度を、前記はんだ層のはんだ材料が流動するレベルに上昇させ、前記上部取付台及び前記上部結合部品を、前記下部取付台及び前記下部結合部品に対して移動させることができる、工程と、
前記上部取付台に取り付けられた半導体レーザから発せられるレーザ光が光ファイバコアに適切に誘導されるまで、前記上部取付台の細かな移動を行うように、精密機器を前記上部取付台に取り付ける工程と、
前記光学部品取付システムの予想温度動作範囲の上限以上の温度で前記接着剤を硬化させる工程と、
前記はんだ層を冷却して硬化させるように、前記電気端子を通る前記はんだ層の流れを止める工程と、
を含む、光学部品を支持するための光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項17】
前記接着剤を硬化させる前記工程は、摂氏35度以上で前記接着剤を硬化させることを含む、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項18】
前記第1構成要素及び前記第2構成要素を互いに積み重ねる前記工程は、前記第2構成要素の上に前記第1構成要素を積み重ねることを含む、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項19】
前記第1構成要素及び前記第2構成要素を互いに積み重ねる前記工程は、前記第1構成要素の上に前記第2構成要素を積み重ねることを含む、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項20】
前記光学部品が半導体レーザを含む、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項21】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記下部取付台であり、前記第2構成要素は前記下部結合部品である、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項22】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記下部結合部品であり、前記第2構成要素は前記下部取付台である、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項23】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記上部取付台であり、前記第2構成要素は前記上部結合部品である、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項24】
前記少なくとも3つの取付パッドを含む前記第1構成要素は前記上部結合部品であり、前記第2構成要素は前記上部取付台である、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【請求項25】
前記上部取付台は、上部クランプ式取付台である、請求項16に記載の光学部品取付システムを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科処置で使用されるレーザ用のレーザ取付システムなどの光学部品取付システムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
レーザは、多くの異なる眼科処置を含む多くの異なる医療処置に使用されている。例えば、治療用レーザは、網膜裂孔などの事象及び糖尿病性網膜症の影響を治療するための、網膜組織の光凝固に使用されている。そのような処置の一例では、レーザプローブの遠位端は、トロカールカニューレを通して眼球に導入される。レーザシステムが作動され、赤色などの第1の色であり得る照準レーザビームが照射され、レーザプローブがどこに向けられているかを示すことができる。術者(例えば、眼科外科医)が照準レーザビームを目的のスポットに向けると、次いで、術者はレーザシステムを作動させて、緑色などの第2の色であり得る治療用レーザビームを目的のスポット又は目的のスポットの周囲の領域に照射し、治療(例えば、光凝固)を行うことができる。
【0003】
あるレーザ構成では、複数のレーザからの光が1つの光ファイバへと結合され得る。例えば、上記のような眼科処置用の構成では、照準レーザから発せられた光と治療用レーザから発せられた光とが、レーザプローブの1つの光ファイバへと共に結合され得る。このように、治療用レーザからのビームは、照準スポットと同じ位置に向けられるように位置合わせされる。
【0004】
これらの及び他の関連するレーザ構成においては、レーザを正確に位置合わせすることが重要である。例えば、レーザのビームをファイバコアへと結合するためにレーザを正確に位置合わせすることが重要である。更に、レーザが一旦位置合わせされると、レーザビームが安定したままとなり、方向のドリフト又は他の運動がないことが重要である。ビームスプリッタ、レンズ、及びミラーなどの他の光学部品が機械的に安定なままであることも重要である。レーザ及び他の光学部品は、温度、湿度及び/又は振動などの外部要因により位置合わせ不良になる可能性がある。レーザ又は別の光学部品の位置合わせを可能にする一方で、レーザ又は他の光学部品が一旦位置合わせされると、レーザ又は他の光学部品の安定性を維持し、レーザ又は他の光学部品の方向のドリフトを防止する及び/又は最小限にする、改良された光学部品取付システムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、眼科処置で使用されるレーザ用のレーザ取付システムなどの光学部品取付システムの改良された設計を対象とする。本開示はまた、改良された光学部品取付システムに関する方法を対象とする。
【0006】
いくつかの実施形態では、光学部品取付システムは、光学部品を支持するための構成要素スタックを含み、構成要素スタックは、第1表面を含む第1構成要素と、第1表面に対向する第2表面を含む第2構成要素と、第1構成要素の第1表面と第2構成要素の第2表面との間にある、第1構成要素と第2構成要素とを互いに接着する接着剤と、を含み、第1構成要素は、第1表面から延びる少なくとも3つの取付パッドを含み、第1構成要素の取付パッドは第2構成要素の第2表面と接触し、第1構成要素と第2構成要素との間に直接支持を提供する。
【0007】
少なくとも3つの取付パッドを含む第1構成要素は、構成要素スタック内で、第2構成要素より上にあっても下にあってもよい。一例では、第1構成要素は下部取付台であり、第2構成要素は下部結合部品である。別の例では、第1構成要素は下部結合部品であり、第2構成要素は下部取付台である。別の例では、第1構成要素は上部クランプ式取付台であり、第2構成要素は上部結合部品である。別の例では、第1構成要素は上部結合部品であり、第2構成要素は上部クランプ式取付台である。光学部品は、半導体レーザ、又はビームスプリッタ、レンズ若しくは折り返しミラーなどのミラーなど別の光学部品を含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、光学部品取付システムを組み立てる方法は、(i)第1構成要素と第2構成要素とを互いに積み重ねる工程であって、第1構成要素は第1表面を含み、第2構成要素は、第1表面に対向する第2表面を含み、第1構成要素は、第1表面から延びる少なくとも3つの取付パッドを含み、第1構成要素と第2構成要素とが互いに積み重ねられると、第1構成要素の取付パッドが第2構成要素の第2表面と接触し、第1構成要素と第2構成要素とを互いに積み重ねる工程は、第1構成要素の第1表面と第2構成要素の第2表面との間に接着剤を配置することを含む、工程と、(ii)光学部品取付システムの予想温度動作範囲の上限以上の温度で接着剤を硬化させる工程とを含む。例えば、接着剤を硬化させる工程は、摂氏35度以上で接着剤を硬化させる工程を含み得る。第1構成要素と第2構成要素とを互いに積み重ねる工程は、第2構成要素の上に第1構成要素を積み重ねること又は第1構成要素の上に第2構成要素を積み重ねることを含み得る。光学部品は、半導体レーザ、又はビームスプリッタ、レンズ若しくは折り返しミラーなどのミラーなど別の光学部品を含んでもよい。
【0009】
これらの実施形態及びその他の実施形態並びにそれらの利点は、当業者であれば、本明細書の記載及び添付の図面に鑑みて認識及び理解するであろう。
【0010】
添付図面は、本明細書中に開示する装置及び方法の実装態様を示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する目的を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、レーザ取付システムの形態の、本発明による光学部品取付システムの一例の斜視図を示す。
図2図2は、図1のレーザ取付システムの側面図を示す。
図3図3は、図1のレーザ取付システムの端面図を示す。
図4図4は、図1のレーザ取付システムの下部取付台の斜視図を示す。
図5図5は、本発明によるレーザ取付システムの上部クランプ式取付台の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な記述を参照することにより、添付の図面に対する理解が深まり得る。
【0013】
本開示の原理の理解を促すことを目的として、図面に示す実装形態を以下で参照し、特定の文言を用いてこれらの実装形態を記述する。但し、本開示の範囲を一切限定するものではないことを理解されたい。説明するシステム、デバイス、機器、方法に対するあらゆる変更及び更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関連する当業者であれば通常想起されるものと十分に考えられる。特に、ある実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程は、開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせてもよい。簡略化のために、場合によっては、全図面を通じて同じ参照番号を用いて同一又は類似部品を参照する。
【0014】
図1は、本発明による光学部品取付システム100の一例の斜視図を示す。この例では、光学部品取付システム100はレーザ取付システムであり、半導体レーザ30を位置合わせ及び支持し、半導体レーザ30が一旦位置合わせされると、その安定性を維持するために使用される。図1は半導体レーザ30を示すが、図1に示され、本明細書に図示及び記載されるものなどの光学系取付システムはまた、他のレーザ、ビームスプリッタ、レンズ、又は折り返しミラーなどのミラーなど他の光学部品の安定性を支持及び維持するために使用されてもよい。
【0015】
レーザ取付システム100などの光学部品取付システムは、眼科処置に使用される眼科システム用の独立型レーザシステム又はレーザモジュールであり得る眼科処置用のレーザシステムの一部であってもよい。例えば、レーザ取付システム100などの光学部品取付システムは、Fort Worth、Texasに本社があるAlconのPUREPOINT(登録商標)Vision Systemに類似するレーザシステムに組み込まれてもよく、このレーザシステムは、同じくAlconのCONSTELLATION(登録商標)Vision Systemの制御コンソールなどの制御コンソールのための独立型レーザシステム又はレーザモジュールとして使用され得る。
【0016】
レーザ取付システム100などの光学部品取付システムは、レーザシステムの他の光学部品と共に光学プレート上に取り付けられてもよい。例えば、レーザ光を誘導する光ファイバも光学プレート上に取り付けられてもよい。半導体レーザ30に給電するために及び半導体レーザ30を制御するために電線34を使用してもよい。
【0017】
図1図3に示すように、例示的な光学部品取付システム100は、構成要素スタックを含む。構成要素スタックは、半導体レーザ30を光学プレートに取り付け、半導体レーザ30の位置を調整し、次いで固定することを可能にする機能、及び半導体レーザ30を安定位置に保持する機能を共に果たす。例示的なレーザ取付システム100は、その下端部に、レーザ取付システム100の構成要素スタックの基部としての役割を果たす下部取付台10を含む。下部取付台10は、1つ以上の締結具54、56によって光学プレートに取り付けられてもよい。
【0018】
例示的なレーザ取付システム100は、その上端部に、半導体レーザ30を保持するためのクランプとしての役割を果たす上部クランプ式取付台22を含む。この例では、上部クランプ式取付台22は、その顎の間に半導体レーザ30を固定するように構成されている。顎間における半導体レーザ30の配置を容易にするために、上部クランプ式取付台22の顎を分離できるようにするために、1つ以上の締結具52を緩めることができると共に、上部クランプ式取付台22の顎の間に半導体レーザ30を固定するために、1つ以上の締結具52を締めることができる。
【0019】
レーザ取付システム100は、上部クランプ式取付台22と下部取付台10との間に構成要素を含む。構成要素は、半導体レーザ30の位置を調整し、その後、半導体レーザ30の所望の位置(角度方向を含む)が得られると、安定位置に固定することを可能にする。これらの構成要素は、接着剤12によって下部取付台10に固定され得る下部結合部品14と、接着剤20によって上部クランプ式取付台22に固定され得る上部結合部品18と、下部結合部品14と上部結合部品18との間のはんだ層16とを含む。下部結合部品14は、下部取付台10の上方に位置し、上部結合部品18は、上部クランプ式取付台22の下方に位置する。
【0020】
はんだ層16は、溶融温度を超えて加熱されると流動するが、室温を含む低温では固体であり、固定する接着剤であるはんだ材料を含む。スタックが組み立てられると、半導体レーザ30の位置を調整できるように、はんだ層16を加熱する。例えば、レーザ取付システム100は、下部結合部品14又は上部結合部品18に取り付けられた電気端子42、44を含んでもよく、電気端子42、44に電流を流すと、電気端子42、44が取り付けられている結合部品14又は結合部品18が加熱される。これにより更に、はんだ層16の温度が、はんだ材料が流動するレベルに上昇し、スタックの上部分(半導体レーザ30、上部クランプ式取付台22、及び上部結合部品18)をスタックの下部分(下部結合部品14及び下部取付台10)に対して移動させることができる。この時点で、精密機器(例えば、マニピュレータ)を使用し、スタックの上部分(半導体レーザ30、上部クランプ式取付台22、及び上部結合部品18)の位置をスタックの下部分(下部結合部品14及び下部取付台10)に対して調整してもよい。精密機器は、上部クランプ式取付台22又はスタックの上部の別の部分に取り付けることができ、スタックの上部が所望の位置になるまで、例えば、半導体レーザ30から発せられるレーザ光が光ファイバコアに適切に誘導されるまで、スタックの上部の細かな移動(例えば、並進移動及び角移動の両方)を行うために使用され得る。スタックの上部が所望の位置になると、はんだ層16を冷却して硬化させ、この時点で、下部結合部品14に対する上部結合部品18の位置は固定され、結果的に、半導体レーザ30の位置が固定される。
【0021】
図4は、レーザ取付システム100の下部取付台10の斜視図を示す。図4からわかるように、3つの取付パッド62、64、66が下部取付台10の上面から延びる。上面は、スタックが組み立てられると下部結合部品14に対向する表面である。スタックが組み立てられると、下部結合部品14の対向表面はこれらの取付パッド62、64、66と接触し、下部結合部品14と下部取付台10との間の残りの空間を接着剤12が塞ぐ。
【0022】
図4からわかるように、取付パッド62、64、66は、三角形に配置されてもよい。このようにして、取付パッド62、64、66は、この実施形態では平坦な下部結合部品14の対向表面のための3つの接触点又は接触領域を提供する。三脚のように、これらの3つの接触点又は接触領域は、下部取付台10(下部)上における下部結合部品14(上部)の安定な支持を可能にする。同時に、下部取付台10の対向表面と下部結合部品14の対向表面との間に、この2つの部品を互いに固定するための接着剤12のための領域が存在するように、空間が残される。
【0023】
別の構成では、下部結合部品14に対向する下部取付台10の上面は平坦であってもよく、下部結合部品14の対向表面が3つの取付パッドを備えてもよい。図示実施形態と同様に、これらの3つの取付パッドは、下部取付台10の対向表面に対する3つの接触点又は接触領域を提供する。三脚のように、これらの3つの接触点又は接触領域は、下部取付台10(下部)上における下部結合部品14(上部)の安定な支持を可能にする。図示実施形態と同様に、下部取付台10の対向表面と下部結合部品14の対向表面との間に、この2つの部品を互いに固定するための接着剤12のための領域が存在するように、空間が残される。
【0024】
図5は、本発明によるレーザ取付システムの上部クランプ式取付台23の一例を示す。上部クランプ式取付台23は、図1図3に関して説明した上部クランプ式取付台22に類似し、図1図3のレーザ取付システム100の上部クランプ式取付台として、上部クランプ式取付台22の代わりに使用することができる(他の全ての部品は同じままである)。
【0025】
図5からわかるように、3つの取付パッド72、74、76が上部クランプ式取付台23の下面から延びる。下面は、スタックが組み立てられると上部結合部品18に対向する表面である。図1には見えないが、上部クランプ式取付台22は、上部クランプ式取付台22の下面から延びる、図5の取付パッド72、74、76に類似する3つの取付パッドを有してもよい。スタックが組み立てられると、上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23のこれらの取付パッド72、74、76は上部結合部品18の対向表面と接触し、上部結合部品18と上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23との間の残りの空間を接着剤20が塞ぐ。
【0026】
図5からわかるように、取付パッド62、64、66と同様に、取付パッド72、74、76は、三角形に配置されてもよい。このようにして、取付パッド72、74、76は、この実施形態では平坦な上部結合部品18の対向表面のための3つの接触点又は接触領域を提供する。三脚のように、これらの3つの接触点又は接触領域は、上部結合部品18(下部)上における上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23(上部)の安定な支持を可能にする。同時に、上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23の対向表面と上部結合部品18の対向表面との間に、この2つの部品を互いに固定するための接着剤20のための領域が存在するように、空間が残される。
【0027】
別の構成では、上部結合部品18に対向する上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23の下面は平坦であってもよく、上部結合部品18の対向表面が3つの取付パッドを備えてもよい。図示実施形態と同様に、これらの3つの取付パッドは、上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23の対向表面に対する3つの接触点又は接触領域を提供する。三脚のように、これらの3つの接触点又は接触領域は、上部結合部品18(下部)上における上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23(上部)の安定な支持を可能にする。図示実施形態と同様に、上部クランプ式取付台22又は上部クランプ式取付台23の対向表面と上部結合部品18の対向表面との間に、この2つの部品を互いに固定するための接着剤20のための領域が存在するように、空間が残される。
【0028】
本明細書に図示及び記載される取付パッドの使用を伴う上述の実施形態は、従来技術の光学部品取付システムを上回る利点を提供する。本明細書に図示及び記載される取付パッドを有する光学部品取付システムは、レーザ又は他の光学部品が一旦位置合わせされると、レーザの安定性を維持し、そのドリフトを防止する及び/又は最小限にする。従来技術の光学部品取付システムでは、温度、湿度及び/又は振動などの外部要因によってレーザ又は他の光学部品が位置合わせ不良になる可能性がある。これは、2つの固体部品が、この2つの固体部品の間に直接接触がない状態で接着剤層により接合される場合に特に当てはまる。温度、湿度及び/若しくは振動などの外部要因が変化する又は導入されると、接着剤が変形し、固体部品の互いに対する位置がずれる可能性がある。接着剤の変形は、接着剤の上に質量が不均一に配分される状況によっても起こり得る又は悪化し得る。これは、接着剤の変形及び部品のずれの原因ともなり得る。例えば、図1に示されるように取り付けられている半導体レーザは、上部クランプ式取付台の一方の側に他方の側に比べてより多くの質量を有し、接着剤の上に質量が不均一に配分される原因となる。接着剤の変形は、他の力によっても起こり得る又は悪化し得る。例えば、図1に示されるものなどの電気ケーブルは、半導体レーザの一方の側に対して上向きの力を生じさせ、接着剤に不均一な荷重をかける可能性がある。本明細書に図示及び記載される取付パッドを有する光学部品取付システムは、接着剤によって接合される固体部品の間の直接接触を可能にする。この直接接触は、接着剤の変化に起因するレーザ又は他の光学部品のドリフトを防止する及び/又は最小限にする。
【0029】
3つの取付パッドを使用すると、一方の構成要素の他方の構成要素上における3点接触及び安定な支持を可能にすることは理解されるであろう。しかしながら、別の実施形態では、3つより多い取付パッドが使用されてもよい。
【0030】
取付パッドは、本明細書に記載されるような安定な支持を提供するための任意の適切な形状を有してもよい。図4には、四角形のフットプリントを有する取付パッド62、64、66が示されている。これらの取付パッド62、64、66は、構成要素スタックの隣接構成要素に接触するための四角形の平坦な接触表面を有する。図5には、2つ又は3つの直線の辺と1つの半円状又は曲線の辺とを有するフットプリントを有する取付パッド72、74、76が示されている。取付パッドは、異なる接触表面又は接触点を有するように成形されてもよい。例えば、各取付パッドは、半球形又は角錐形を有してもよく、構成要素スタックの隣接構成要素に接触するための単一の接触点を呈してもよい。
【0031】
取付パッドを有する構成要素は、任意の適切な製造方法で製造してもよい。例えば、取付パッドは、構成要素の機械加工によって製造されてもよい。或いは、取付パッドを有する構成要素は一体成形されてもよく、又は取付パッドは構成要素に固定されてもよい。
【0032】
光学部品取付システムの構成要素に対して任意の適切な材料を使用してもよい。一例として、上部クランプ式取付台は、セラミック材料又はガラス繊複合材料で作られてもよく、下部取付台は、セラミック材料又はガラス繊維複合材料で作られてもよく、上部結合部品及び下部結合部品は、はんだ温度に耐えることができるセラミック材料で作られてもよい。上部クランプ式取付台及び下部取付台は、低い熱伝導率を有し得る。
【0033】
接着剤の領域において追加的な支持を提供するために、レーザ取付システムの接着剤層のうちの1つ以上は、球形ガラス又はサファイアビーズなどの小さな固体粒子を接着剤中に含んでもよい。固体粒子(例えば、ビーズ)は、所望の層厚さに一致する直径を有し得る。このように、固体粒子は、接着剤の変化にかかわらず層の厚さを維持し、それによりスタック内の構成要素の位置及びレーザ又は他の光学部品の安定性を維持する。固体粒子はまた、アセンブリが高温になったときに、隣接硬質構成要素に対する接着剤層の熱誘起膨張(thermally-induced expansion)を最小限にすることができる。
【0034】
光学部品取付システムの製造方法の一例において、構成要素スタックが互いに組み立てられ、第1構成要素は第1表面を含み、第2構成要素は、第1表面に対向する第2表面を含み、第1構成要素は、第1表面から延びる少なくとも3つの取付パッドを含む。第1構成要素の第1表面と第2構成要素の第2表面との間に接着剤が配置され、構成要素は互いに積み重ねられ、第1構成要素の取付パッドは第2構成要素の第2表面に接触する。接着剤は、予想温度動作範囲の上限以上の温度で硬化される。一例として、予想温度動作範囲が摂氏10度~摂氏35度であれば、接着剤は、摂氏35度以上、例えば、摂氏40度で硬化され得る。したがって、光学部品取付システムの使用中、システム、それゆえ、接着剤は、常時、接着剤が硬化された温度以下の温度である。このように、熱的効果によって接着剤は収縮し得るが、その硬化させた体積を超えて膨張しない。したがって、接着剤は、熱膨張により構成要素を互いに押しのけることはなく、取付パッドは、第1構成要素と第2構成要素との間に直接接触及び支持を提供する。
【0035】
当業者には、本開示が包含する実装形態が、上述の特定の例示的実装形態に限定されないことが認識されよう。この点に関して、例示的な実装形態を図示及び記述してきたが、前述した開示においては、広範囲の修正、変更、及び置換が考えられる。このような変形が、本開示の範囲から逸脱しない限り、前述のものに対してなされてもよいと理解されている。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く且つ開示と整合するように解釈されることが適切である。
図1
図2
図3
図4
図5