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特許7624947補正情報アカウント設定システム、及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】補正情報アカウント設定システム、及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/07 20100101AFI20250124BHJP
   G01S 19/43 20100101ALI20250124BHJP
   G01S 19/40 20100101ALI20250124BHJP
【FI】
G01S19/07
G01S19/43
G01S19/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022088112
(22)【出願日】2022-05-30
(65)【公開番号】P2023175585
(43)【公開日】2023-12-12
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】境目 賢義
(72)【発明者】
【氏名】谷川原 誠
(72)【発明者】
【氏名】白根 一登
(72)【発明者】
【氏名】柳原 徳久
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077136(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105024913(CN,A)
【文献】特開2020-067358(JP,A)
【文献】特開2005-241517(JP,A)
【文献】特開2003-149319(JP,A)
【文献】特開平09-171071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0267836(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0035840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00 - G01S 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられ、前記移動体の位置と前記移動体の測位された位置の誤差を補正する補正情報を補正情報サーバから受信する通信機と、
前記通信機と通信する管理サーバと、を有する補正情報アカウント設定システムであって、
前記管理サーバは、
前記通信機から前記通信機が要求する前記移動体の測位条件を満たす補正情報を提供する補正情報アカウントを割り当てるための前記移動体の要求測位条件を取得し、
前記要求測位条件に基づいて前記移動体の測位された位置の誤差を補正するための補正情報を前記補正情報サーバから受け取るための補正情報アカウントを選択し、
前記通信機は、
選択された補正情報アカウントを設定し、前記管理サーバに対し所定の周期で前記移動体の位置情報を送信し、
前記管理サーバは、前記位置情報を受信できなかった場合、前記通信機に設定されている補正情報アカウントを前記通信機から前記管理サーバへ返上させる補正情報アカウント設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
前記要求測位条件は、前記移動体の測位精度の閾値、測位方式および基準局と前記通信機の距離である基線長の閾値のうち少なくとも一つを含む補正情報アカウント設定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
選択された補正情報アカウントは、前記要求測位条件を満たす補正情報アカウント設定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
補正情報アカウントとして、第1のアカウントが、前記通信機に設定されており、
第1のアカウントが前記要求測位条件を満たさなくなった場合に、
前記通信機は、
前記管理サーバに、補正情報アカウントの切り替え要求をする補正情報アカウント設定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
前記通信機は、
前記要求測位条件を登録する設定項目を表示する表示部を有する補正情報アカウント設定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
前記要求測位条件には、補正情報アカウントを使用する期間が設定されており、
前記期間に基づいて前記通信機に設定されている補正情報アカウントを前記通信機から前記管理サーバへ返上させる補正情報アカウント設定システム。
【請求項7】
請求項1に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
前記通信機は、
人工衛星から発信される前記移動体の位置を測位するための信号を受信する第1受信部と、
前記移動体の位置と前記人工衛星から発信される前記移動体の位置情報を求めるための信号を用いて求めた前記移動体の位置との誤差を補正する補正情報を受信する第2受信部とを有する補正情報アカウント設定システム。
【請求項8】
請求項7に記載の補正情報アカウント設定システムにおいて、
前記通信機からの要求により、設定された補正情報アカウントの前記移動体の測位条件を満たす前記補正情報を前記通信機に配信する補正情報サーバを有する補正情報アカウント設定システム。
【請求項9】
移動体に取り付けられ、前記移動体の位置と前記移動体の測位された位置の誤差を補正する補正情報を補正情報サーバから受信する通信機と、
前記通信機と通信する管理サーバとからなるシステムの補正情報アカウント設定方法であって、
前記通信機から前記通信機が要求する前記移動体の測位条件を満たす補正情報を提供する補正情報アカウントを割り当てるための前記移動体の要求測位条件を取得するステップと、
前記通信機が前記要求測位条件に基づいて前記補正情報サーバから前記移動体の測定された位置の誤差を補正する補正情報を受取るための補正情報アカウントを選択するステップと、
前記通信機が選択された補正情報アカウントを設定し、前記管理サーバに対し所定の周期で前記移動体の位置情報を送信するステップと、
前記管理サーバは、前記位置情報を受信できなかった場合、前記通信機に設定されている補正情報アカウントを前記通信機から前記管理サーバへ返上させるステップ
を有する補正情報アカウント設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正情報アカウントの設定の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両などの移動体に受信機を取り付け、受信機によって取得した移動体の位置情報に基づいて、位置情報の誤差を補正する補正情報を利用し、移動体の位置情報を高精度に検出する技術がある。
【0003】
具体的に述べると、例えば、移動体は、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、GALILEO等の人工衛星から発信される位置情報を受信できる受信機、及び、位置情報の誤差を補正する補正情報サーバから配信される補正情報を受信できる受信機を備える。移動体の位置を、人工衛星から発信された位置情報と補正情報サーバから配信された補正情報に用いて測位することをGNSS(Global Navigation Satellite System)測位と称する。また、更に高精度な測位方法として、取得した位置情報と補正情報に基づいてリアルタイムで移動体の位置をcmオーダで測位し続けるRTK(Rial Time Kinematic)測位がある。RTK測位はRTK‐GNSS測位とも称されており、RTK測位を実現させるには、移動体に備えた受信機の他に、位置情報の基準となる基準局が必要となる場合もある。このような高精度の位置測位は、例えば自動車、農機、建機あるいはドローンなどの自動運転への活用が期待されている。高精度の測位方法として、特許文献1には、送信するべき補正データのデータ形式を変更し、受信する補正情報のデータの通信容量が小さい場合でも高精度に測位を可能にできる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-155917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、補正情報のデータ量や品質に関わるものではあるが、補正情報を利用するために必要な補正情報アカウントについては記載されていない。
【0006】
補正情報サーバへ補正情報配信をリクエストする補正情報アカウントは、1台の通信機に対して1つのアカウントしか使用できない。そのため、通信機を備えた移動体を複数台有しており、且つ、それらの中で1台以上の任意台数の移動体で補正情報を利用しようとする場合は、補正情報を利用する移動体の台数分の補正情報アカウントが必要になる。また、補正情報アカウントは、補正情報配信会社あるいはその契約形態等により、それぞれ仕様が異なる。よって、ユーザは目的に応じて、使用したい測位方式に対応したアカウントを移動体に備えられた通信機に登録しておく。そして、測位精度が落ちた場合は適宜、使用した測位方式に対応した他のアカウントに切り替えることができる。
【0007】
ここで、補正情報アカウントを通信機に登録する、あるいは、切り替える際は、利用者はどのアカウントが使用可能であるかを調べる必要がある。そのため、即座に補正情報アカウントを利用することができないだけでなく、補正情報アカウントを即時に切り替えることができないため、位置測位が十分な精度でできず、自動運転等の安全性に影響を与えてしまうという課題があった。また、複数の利用者の間で、求める測位精度に対応した補正情報アカウントが競合してしまうという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、補正情報アカウントの割り当て、あるいは切り替え等の設定を簡便に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一例としては、移動体に取り付けられ、前記移動体の位置の誤差を補正する補正情報を受信する通信機と、
前記通信機と通信するサーバと、を有する補正情報アカウント設定システムであって、
前記サーバは、
前記通信機から前記移動体の要求測位条件を取得し、
前記要求測位条件に基づいて補正情報アカウントを選択し、
前記通信機は、
選択された補正情報アカウントを設定する補正情報アカウント設定システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補正情報アカウントを簡便に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】補正情報アカウント設定システムの概略構成図である。
図2】通信機のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図3】通信機の制御部の構成例を示すブロック図である。
図4】補正情報アカウント設定画面の一例を示したものである。
図5】補正情報アカウントの割り当て方法を示す概略図である。
図6】補正情報アカウントの切り替え、および返上方法を示す概略図である。
図7】通信機が実行する処理フローを示すフロー図である。
図8】通信機が実行する処理フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、フローチャート図を除く図面において、符号のない矢印は接続関係を示すものである。一方で符号の付いた矢印はデータのやり取りを示すものである。いずれの矢印においても、矢印の方向は矢印が示す方向にある対象部に対してのデータのやり取りを示す。また、本明細書において、補正情報アカウントのことを略してアカウントとして説明する場合がある。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1における補正情報アカウント設定システム100は、図1に示すように移動体102と、移動体102に搭載される通信機101とを備えている。通信機101は外部の各種サーバと情報のやり取りをしている。ここでは、1つの移動体に対して、1つの通信機を取り付けた場合を例に説明する。1つの移動体に対して、複数の通信機を取り付けた構成であってもよい。
【0014】
図2は、通信機101のハードウェアの構成例を示した図であり、通信機101は、GNSS受信部202と補正情報受信部203を備えている。GNSS受信部202は、GNSS情報を受信できるアンテナを有した通信端末である。GNSS情報とは、本明細書においてGPS、GLONASS、GALILEO等の人工衛星から発信される移動体102の位置情報を指す。補正情報受信部203は、移動体の位置情報の誤差を補正する補正情報を受信できるアンテナを有した通信端末である。
【0015】
なお通信機101は移動体102に取り付けられており、移動体102の位置情報を出力する。通信機101は移動体102により電源が供給される構成であってもよい。
【0016】
移動体102は、車輪等の移動機構を有した自動車等の車両であってもよく、例えば、パワーショベル、トラクター、ロードローラなどの産業用車両であってもよい。また、走行機能を備えたロボットや台車等でもよい。
【0017】
通信機101は、GNSS受信部202と補正情報受信部203の他に、コントローラ部204を備えている。コントローラ部204は、GNSS受信部202が受信したGNSS情報を処理するGNSS信号処理部205と、補正情報受信部203が受信した補正情報を処理する補正情報処理部206とを備える。
【0018】
コントローラ部204は、例えば、図3に示すように、コンピュータを用いて構成される。コンピュータは、CPU204a、ROM204b、RAM204c及びインターフェース(I/F)204d等を含む。これらは、バス204eを介して接続されている。CPU204aはROM204bに格納されたインストラクション(ソフトウェア)を実行することにより、GNSS信号処理部205や補正情報処理部206が実行され、インターネット104への接続や位置情報の出力などの機能を実現するようになっている。なお、コントローラ部204は、複数のGNSS信号処理部205で構成されてもよい。
【0019】
図2に再び戻って説明する。コントローラ部204は、機能ブロックとしてGNSS信号処理部205、補正情報処理部206を含む構成である。GNSS信号処理部205はコントローラ部204内部以外の場所に設置してもよい。具体的には、GNSS信号処理部205をクラウド上に設置する構成であってもよい。コントローラ部204は、ROM204bに格納されたソフトウェアをCPU204aが実行することによって、GNSS信号処理部205と補正情報処理部206の処理が実行される。通信機101の設定やデータの確認は操作デバイス208に出力される。操作デバイス208としては、タブレット、PC(Personal Computer)などがある。
【0020】
次に、通信機101と各種サーバ(コンピュータ)との情報のやり取りについて説明する。図1に示すように、本明細書においては、3つのサーバを使用した場合の構成で説明する。通信機101は、稼働状況をキャリア網103、ゲートウェイ105およびインターネット104を経由して管理サーバ106へ送信する。なお、稼働状況とは、例えば測位状態や補正情報アカウントの情報などを指す。
【0021】
管理サーバ106は、複数の移動体102に搭載された複数の通信機101の稼働状況を、通信機101毎にそれぞれ管理している。また、通信機101は、移動体102の稼働情報を、稼働情報収集サーバ110へ送信する構成としてもよい。なお、稼働情報とは、例えばエラー情報や走行経路などを指す。
【0022】
稼働情報収集サーバ110は、稼働情報収集サーバ110に集められた稼働情報111を、ユーザが利用することで、移動体102の状況を遠隔で監視することを可能とする。稼働情報収集サーバ110を利用することで、移動体102で補正情報アカウントが使用されているか否かなどを、遠隔でユーザが確認することができる。
【0023】
補正情報サーバ108は、補正情報アカウントに対応する補正情報を算出し、通信機101からの要求により、補正情報を通信機101に対して送信する。補正情報サーバ108から補正情報を受信するには、通信機101へ補正情報アカウントを登録する必要があり、ユーザは移動体102へ搭載された通信機101に補正情報アカウントの情報を事前に登録する。登録された補正情報アカウントの測位設定に基づいて、補正情報を算出する。
【0024】
補正情報アカウントを登録する方法としては、通信機101に有線または無線で接続を試み、ユーザ自身が設定する方法、あるいは、管理サーバ106へ接続し、管理サーバ106が有している補正情報アカウントから、自動で設定する方法が挙げられる。本実施例では、通信機101は補正情報サーバ108から補正情報を受信するため、インターネット104へ接続している。なお、通信機101は移動体102へ搭載されている場合は、キャリア網103からゲートウェイ105を用いてインターネット104へ接続を行う構成としてもよい。
【0025】
図4は、通信機101の補正情報アカウント設定画面の一例を示したものである。本実施例では補正情報アカウント設定画面を表示する表示部401としてGUI(Graphic User Interface)の画面を示している。操作デバイス208の表示部を補正情報アカウント設定画面として使うようにしてもよい。設定画面としてはCLI(Command Line Interface)であってもよく、ユーザからの入力を受け付けられる手段であれば限定されるものではない。補正情報を自動で割り当てずに使用する場合は、利用者自身が通信機101に補正情報アカウントを登録する必要がある。補正情報アカウントの登録に必要な情報としては、例えばホスト名(URL)402、ポート番号403、ユーザ名404、パスワード405、マウントポイント406などがある。これらの情報を通信機101へ登録することで、補正情報を使用することができるようになる。
【0026】
<補正情報アカウントの割り当て方法について>
本実施形態においては、利用者の補正情報アカウントを自動で割り当てる。通信機101の表示部401には、要求測位条件を登録するための設定項目を有する。補正情報アカウントを自動で割り当てるための要求測位条件の設定項目として、例えば、測位精度入力欄407、RTK測位、VRS(Virtual Reference Station)測位、あるいは基準局を使用しないSSR(state space representation)測位などの使用したい測位方式の選択欄408を設ける。測位精度入力欄407には、例えば、測位精度、基準局と通信機101の距離である基線長、あるいは捕捉している人工衛星601の数の閾値などがある。他にも、使用したい補正情報サーバの選択欄409等を設けてもよく、これらの項目は適宜追加してもよい。通信機101は、これら入力欄への入力情報とともに、管理サーバ106へ要求測位条件に基づく補正情報アカウントの割り当てを要求する。
【0027】
これらの要求測位条件の設定項目は、後述する補正情報アカウントの切り替え、もしくは返却する際の条件にも使用できる。割り当てられた補正情報アカウントで測位していた場合、移動体102の移動などで常に位置情報が変動する。その結果、測位精度入力欄407に登録した閾値が要求条件を満たさなくなる場合がある。よって、入力情報を用いて、補正情報アカウントの切り替えを行うことで、要求を満たす測位を継続することができる。補正情報アカウントの返却については、例えば、自動で割り当てられた補正情報アカウントの使用期間410を登録できるようにすることで、アカウント使用期間410を補正情報アカウントの返却日として使用することができる。
【0028】
補正情報アカウントの割り当ての説明に戻る。通信機101でその有無を選択できるように、表示部401で、チェックボックス411のような設定項目を有していてもよい。その他、アカウントの自動切り替えやアカウントの自動返却についても同様に、チェックボックス等で選択する構成であってもよい。
【0029】
表示部401内に管理サーバからのメッセージを表示するメッセージ欄412等を設ける構成であってもよい。管理サーバからのメッセージとしては、例えば、アカウントが切り替わる際のログを表示する、通信機101に登録されている補正情報アカウントを表示する等が挙げられる。ユーザはそのメッセージ欄412を表示部401から確認することで、使用する通信機101にどのアカウントが割り当てられているかを認識することができる。
【0030】
次に、図5を参照して、通信機101への補正情報アカウントの割り当てと、対応する補正情報を取得する流れを説明する。
【0031】
通信機101が起動した際、通信機101は、管理サーバ106に対し、補正情報のアカウント割り当て要求502を要求測位条件とともに管理サーバ106宛に送信する。また、通信機101は、管理サーバ106がリアルタイムでアカウント管理を行うために必要な情報、例えば、移動体102の位置情報などを送信する。
【0032】
補正情報のアカウント割り当て要求502を受けた管理サーバ106は、管理サーバ106が保有している複数のアカウント情報の中から、通信機101に割り当てるアカウント情報503を選択し、通信機101へ送信する。通信機101は、管理サーバ106より割り当てられたアカウント情報503を登録する。
【0033】
このとき、管理サーバ106より割り当てられる補正情報アカウントについては、通信機101に設定された入力条件を加味して要求測位条件を満たしているアカウントを選択する。このような構成を備える補正情報アカウント設定システムは、ユーザが保有しているアカウントを確認することなく、目的に合った補正情報アカウントを簡便に設定することができる。
【0034】
次に、管理サーバ106より割り当てられたアカウント情報503を設定した通信機101は、補正情報サーバ108へアカウント情報問い合わせ要求504を送信する。補正情報サーバ108は、通信機101より受信したアカウント情報503を確認後、補正情報505を算出し、通信機101へ送信する。なお、管理サーバ106は、登録された要求測位条件は満たしてはいないものの、アカウントを切り替えた方が、測位精度の向上に繋がることが明らかな場合は要求測位条件を満たしていないアカウントを選択するように構成されていてもよい。このような構成である補正情報アカウント設定システム100であれば、利用可能なアカウントの中から最も精度の高いアカウントを用いて移動体102の位置情報の測位をすることができる。
【0035】
<補正情報アカウントの切り替え方法について>
図6は通信機101に登録された補正情報アカウントの切り替え方法及び補正情報アカウントの返上方法について説明する概略図である。まずは通信機101に登録された補正情報アカウント切り替え方法について説明する。ここで、補正情報アカウントの切り替えは、補正情報アカウントの割り当てと比較して既に割り当てられた補正情報アカウント(第1のアカウント)から要求測位条件に合った補正情報アカウント(第2のアカウント)に切り替える点で異なる。通信機101は、管理サーバ106より割り当てられ、登録された補正情報アカウントを切り替えるための設定項目を有する。設定項目としては補正情報アカウントの割り当て方法で説明した設定項目を使用する。
【0036】
通信機101は、設定された要求測位条件を、補正情報アカウント切り替え条件のトリガーとして常に監視する。なお、監視は通信機101のコントローラ部204が行うように構成されていてもよい。通信機101が設定された閾値を監視する中で、登録しているアカウントが要求測位条件を満たさなくなった場合、管理サーバ106へ補正情報アカウント切り替え要求602を管理サーバ106へ送信する。管理サーバ106は、通信機101に対して新しい補正情報アカウント603を通信機101へ送信する。
【0037】
なお、本実施例では通信機101が設定した閾値を常に監視し、補正情報アカウント切り替え条件を満たした場合のみ、管理サーバ106へ補正情報アカウント切り替え要求602を送信する例を示した。その例に限らず、通信機101は、任意の周期で監視し、管理サーバ106へ補正情報アカウント切り替え要求602を送信する構成でもよい。このような構成である補正情報アカウント設定システム100は、管理サーバ106が処理するデータ量を削減することができる。
【0038】
通信機101は、既に登録されていた補正情報アカウントを管理サーバ106に返上し、管理サーバ106より新たに割り当てられた補正情報アカウント603を、通信機101へ設定する。通信機101が自動で設定後、今度は新たに割り当てられた補正情報アカウントの設定完了メッセージを管理サーバ106に送信する。この際、管理サーバ106は、通信機101がアカウントの切り替え前に使用していた補正情報アカウントを未使用のアカウントとして管理する。このような構成である補正情報アカウント設定システム100であれば、利用可能なアカウントの中から最も精度の高いアカウントを用いて移動体102の位置情報の測位をすることができる。
【0039】
<補正情報アカウントの返上方法について>
次に補正情報アカウント返上方法について説明する。ここで説明するアカウント返上とは、アカウントの切り替えを伴わない返上処理を説明するものである。補正情報アカウントの返上方法としては、例えば、通信機101の電源が切断された時に行われる。切断状態の確認としては、通信機101が一定の周期で管理サーバ106へ位置情報をアップロードする構成であれば、位置情報のアップロードが一定時間途切れた時、管理サーバ106は通信機101の電源が切断されたと判断でき、管理サーバ106側で、通信機101に登録されているアカウント返上処理を行うことができる。
【0040】
なお、通信機101に内部バッテリ等を搭載するように構成し、電源が切断されても管理サーバ106へアカウント返上処理が行えるようにしていてもよい。通信機101に内部バッテリ等の電源が搭載されていない場合、通信機101への電源切断で、通信機101は動作を停止するため、通信機101は管理サーバ106へ位置情報をアップロードできなくなる。一定時間に渡って、通信機101からの位置情報がアップロードされない場合に、管理サーバ106は、通信機101に登録されているアカウントの返上を行う。
【0041】
このような構成である補正情報アカウント設定システム100であれば、利用していないアカウントを回収できるため、他の移動体102の位置情報の測位精度を向上させることができる。
【0042】
他にも、補正情報アカウントの要求測位条件の設定項目において、アカウントを使用する期間を通信機101へ設定しておけば、その期間をアカウント返上のトリガーとして、通信機101に登録されているアカウントの返上処理を実行することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、図7を用いて、実施例2における通信機101が実行する処理フローを説明する。
【0044】
ステップS700では、補正情報アカウントの自動割り当てを開始する。ステップS700は、例えば通信機101が搭載された移動体102の電源が投入された時、もしくは通信機101へ直接電源が投入された時などに生じるステップとなる。
【0045】
ステップS701では、通信機101は、補正情報のアカウントを自動で割り当てるか判断を行う。例えば、図4の補正情報アカウントを自動で割り当てるチェックボックス411で判断することができる。既に補正情報アカウントの情報を通信機101が有していた場合であっても、アカウント自動割り当ての条件を参照し、既に有しているアカウント情報が、アカウント自動で割り当て条件と合致するか判断する。
【0046】
ここで補正情報アカウント自動割り当てが必要ない、もしくは既に保有している補正情報のアカウントが、アカウント自動で割り当ての条件に合致していたと判定された場合は「No」と判定してステップS706へ進み、処理を終了する。なお、補正情報アカウントが既に通信機101へ登録されていた場合は、別の処理フローとして、通信機101は、補正情報サーバ108へ補正情報の配信リクエストを行う。補正情報のアカウント自動で割り当てが必要と判定された場合、ステップS701にて「Yes」と判定してS702へ進む。
【0047】
S702では、通信機101に登録された要求測位条件を、通信機101が、管理サーバ106へ送る処理を行う。
【0048】
ステップS703では、通信機101より送られた要求測位条件に合致する補正情報アカウントを管理サーバ106が検索する。その後、合致する補正情報のアカウントを管理サーバ106が有していた場合には、管理サーバ106は、通信機101へその補正情報アカウントの情報を送る。管理サーバ106が合致する補正情報のアカウントを保有していなかった、もしくは既に使用していた場合は、その趣旨を通信機101へ送信する。
【0049】
なお、登録された要求測位条件は満たしてはいないものの、アカウントを切り替えた方が、測位精度の向上に繋がることが明らかな場合はアカウントの切り替えを行ってもよい。要求測位条件を満たしていない際のアカウント切り替えについては、その機能の有効・無効を事前に通信機101へ登録しておく構成でもよい。これらの条件を入れることで、アカウント切り替え条件の正確な閾値がわからないエンドユーザであってもアカウントの自動切り替えを行うことができる。
【0050】
管理サーバ106から通信機101へ送信された情報は、管理サーバ106からのメッセージを表示する欄412へ表示される構成でもよい。管理サーバ106より補正情報アカウントが送られてきた場合はS704へ進む。
【0051】
ステップS704では、管理サーバ106から送られてきた補正情報アカウントを、通信機101が、自身の記憶部などに記憶し、補正情報アカウントを設定する。その後、補正情報サーバ108へ補正情報の配信をリクエストする処理を行う。
【0052】
ステップS705では、通信機101より送られてきた補正情報の配信リクエストについて、通信機101へ登録された補正情報アカウントを基に、補正情報サーバ108が、通信機101へ補正情報の配信をスタートする。そして、次のステップS706へ進み、本処理フローを終了する。
【0053】
図8は、実施例2の変形例を説明する図であり、補正情報アカウントの切り替えを実施する際に通信機が実行する処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS800では、通信機101に補正情報アカウントが既に登録済であり、補正情報サーバより、通信機101が補正情報を受信している状態を示す。
【0055】
ステップS801では、通信機101が、補正情報アカウントの切り替えを自動で行うか判定を行う。判定基準としては、通信機101の設定で補正情報アカウントの切り替えを行うかの要求測位条件の設定項目より判定してもよい。ここで補正情報アカウントの切り替えが必要ない、場合は「No」と判定してステップS808へ進み、本処理を終了する。補正情報のアカウントの自動切り替えが必要と判定された場合、ステップS801にて「Yes」と判定してステップS802へ進む。
【0056】
ステップS802では、通信機101へ登録された要求測位条件を、通信機101のコントローラ部204が監視する。監視した結果についてはステップS803で処理を行う。なお監視する頻度については、本実施例では規定しない。
【0057】
ステップS803では、ステップS802で処理した要求測位条件の監視結果を基に、管理サーバ106中の他の補正情報アカウントが、自動切り替え条件を満たすかを、通信機101が、判定する。ここで要求測位条件を満たさなかった場合は「No」と判定してステップS801へ戻り、本処理を終了する。要求測位条件を満たした場合、ステップS803にて「Yes」と判定してステップS804へ進む。
【0058】
なお、通信機101の電源断によりアカウントの返上が行われた場合は、ステップS803でアカウント切り替え条件を判断できないため「No」と判定し、ステップS801へ進む。ステップS801においても、通信機101の電源が入っておらず、補正情報アカウントが返上の返上処理がされている場合は、補正情報アカウントの自動切り替えは行わないとし、「No」と判定、そのままステップS808へ進み本処理を終了する。
【0059】
ステップS804、ステップS805、ステップS806、ステップS807では、図7で説明した補正情報アカウントの自動割り当てのステップと同様の処理を行う。ステップS807の処理が終了した場合、再びステップS802へ戻る。
【0060】
以上、実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
100…補正情報アカウント設定システム、101…通信機、102…移動体、106…管理サーバ、108…補正情報サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8