(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】微細光学ガラス素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 8/02 20060101AFI20250124BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
C03B8/02 D
C03B8/02 G
G02B1/00
(21)【出願番号】P 2022502226
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 CN2020135096
(87)【国際公開番号】W WO2021135882
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】201911414447.2
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514073097
【氏名又は名称】深▲せん▼市繹立鋭光科技開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】YLX INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】6A-1155, Science And Technology Building, Haijing 2nd Road, Pengwan Community, Haishan Street, Yantian District, Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】リウ,インイン
(72)【発明者】
【氏名】リ,キアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユサン
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/056291(WO,A1)
【文献】特表2010-502554(JP,A)
【文献】特開2009-137836(JP,A)
【文献】特表2011-530468(JP,A)
【文献】特開平03-137027(JP,A)
【文献】特開2013-233584(JP,A)
【文献】特開昭62-292642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 8/02
C03B 19/02
C03B 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細光学ガラス素子の製造方法であって、
シリカ分散液を取得し、前記シリカ分散液のpH値が調整されるように酸性溶液を前記シリカ分散液に添加し、撹拌するステップ1と、
テトラエトキシシランを前記シリカ分散液に添加して撹拌し、ゾルを取得し、前記ゾルのpH値が調整されるようにアルカリ性溶液を前記ゾルに添加し、撹拌して静置するステップ2と、
静置された前記ゾルを金型に注入して熟成させ、ウェットゲルを得るステップ3と、
前記ウェットゲルを離型して洗浄して乾燥し、ドライゲルを得るステップ4と、
前記ドライゲルを焼結し、微細光学ガラス素子を得るステップ5と、を含み、
原料中のシリカの固形分含有量は、
20.3%~25.5%であることを特徴とする微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ1は、モル体積が予め設定されたシリカ分散液原液を取得し、前記シリカ分散液原液を前記シリカの固形分含有量を調整するための脱イオン水と混合し、前記シリカ分散液を得ることを含むことを特徴とする請求項
1に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項3】
前記原料中において、前記シリカ分散液に含まれるシリカと前記テトラエトキシシランとのモル比は、2.8~4.7であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項4】
前記シリカ分散液に含まれるシリカと前記テトラエトキシシランとのモル比は、3.8~4.7であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ1において、前記酸性溶液は、塩酸溶液であり、前記シリカ分散液は、pH値調整後のpH値が1.3~2.8であることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ2において、前記アルカリ性溶液は、アンモニア水溶液であり、前記ゾルは、pH値調整後のpH値が2.5~5であることを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項7】
前記金型は、シリカゲル金型であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ5において、焼結温度は、1100℃以下であることを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の微細光学ガラス素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製造の技術分野に関し、特に微細光学ガラス素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、投影分野の光学設計技術の急速な発展に伴い、大きくて嵩張るプロジェクタの代わりに、構造が精巧且つ小型である携帯型プロジェクタが用いられるようになっており、また、投影技術がスマート端末、例えば携帯電話、スマートグラスにさらに移行する傾向にある。それに伴い、光学エンジンの体積の減少及び光のスポットサイズの減少により、光ビーム微細整形と変調への要求はますます高まっている。また、高輝度レーザ光源の普及に伴い、上記した光微細整形・変調の条件を満たす場合に、光学素子はますます高まる熱エネルギーにも耐えるので、耐熱性もより高く要求されてきており、樹脂系光学素子は現在の光学エンジン設計の要件を満たすことができなくなり、ガラス光学素子は既に必須オプションとなっている。
【0003】
微細光学素子(例えばマイクロレンズアレイ)を製造する場合、ガラス全面に微細構造を加工(例えばラッピング)する方法は、設備コストが高く、プロセス難易度が大きく、大量生産に不利である一方、ゾルゲル法は比較的経済的な製造方法である。高固形分含有量、低収縮率の従来のゾルゲル法は、大サイズのガラス素子を製造するのに適するものであって、金型の加工寸法の影響を受けて、マイクロオーダーの微細光学構造を直接製造することができない。これに対し、特許文献1には、複数回の転写で微細ガラス構造を製造する方法であって、高精密のダイヤモンド旋盤により大きなサイズのアルミニウム合金金型を精密加工し、そしてシリコーンゴムの刻印により逆対称構造を複製し、ゾルをこのシリコーンゴム型に注入して成形し、焼結成形されたガラス製品(アルミニウム合金金型に対して一定の倍数で体積収縮する)をさらに金型とし、シリコーンゴムを刻印して逆対称構造のシリコーンゴム型を形成し、以降同様に、複数回転写することにより、ミクロンオーダーの微細ガラス構造を実現する方法が提案されている。しかしながら、薄利多売の民生用マイクロプロジェクションシステムは、上記技術的解決手段にかかりすぎる材料コストや時間コストに耐えることが困難である。したがって、より経済的な微細光学ガラス素子の製造方法は、早急に開発しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高コスト且つプロセスが複雑であるという上記従来技術における欠点に対して、低コストでプロセスが簡単な微細光学ガラス素子の製造方法を提供する。当該製造方法は、シリカ分散液を取得し、前記シリカ分散液のpH値が調整されるように酸性溶液を前記シリカ分散液に添加し、撹拌するステップ1と、テトラエトキシシランを前記シリカ分散液に添加して撹拌し、ゾルを取得し、前記ゾルのpH値が調整されるようにアルカリ性溶液を前記ゾルに添加し、撹拌して静置するステップ2と、静置された前記ゾルを金型に注入して熟成させ、ウェットゲルを得るステップ3と、前記ウェットゲルを離型して洗浄して乾燥し、ドライゲルを得るステップ4と、前記ドライゲルを焼結し、微細光学ガラス素子を得るステップ5とを含み、原料中のシリカの固形分含有量が25.5%以下である。
【0006】
一実施形態において、原料中のシリカの固形分含有量は、25%以下である。
【0007】
一実施形態において、原料中のシリカの固形分含有量は、20.3%以下である。
【0008】
一実施形態において、前記ステップ1は、モル体積が予め設定されたシリカ分散液原液を取得し、前記シリカ分散液原液を前記シリカの固形分含有量を調整するための脱イオン水と混合し、前記シリカ分散液を得ることを含む。
【0009】
一実施形態において、前記原料中において、前記シリカ分散液に含まれるシリカと前記テトラエトキシシランとのモル比は、2.8~4.7である。
【0010】
一実施形態において、前記シリカ分散液に含まれるシリカと前記テトラエトキシシランとのモル比は、3.8~4.7である。
【0011】
一実施形態において、前記ステップ1において、前記酸性溶液は、塩酸溶液であり、前記シリカ分散液は、pH値調整後のpH値が1.3~2.8である。
【0012】
一実施形態において、前記ステップ2において、前記アルカリ性溶液は、アンモニア水溶液であり、前記ゾルは、pH値調整後のpH値が2.5~5である。
【0013】
一実施形態において、前記金型は、シリカゲル金型である。
【0014】
一実施形態において、前記ステップ5において、焼結温度は、1100℃以下である。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。低シリカ固形分含有量の原料を用いてゾルゲル法で微細光学ガラス素子を製造することにより、大きな収縮率のガラス製造が図られ、表面微細光学構造付きのガラス素子を1回限り製造することが可能であり、低収縮率で複数回転写するということが回避され、コストが大幅に低減され、プロセスが簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る微細光学ガラス素子の製造方法を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面及び実施形態を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0018】
本発明において、主な発明構想は、ゾルゲル法で製造するガラス素子の原料を制御する点にあり、2種類のシリカ源を結合する方式を採用し、同時にシリカの固形分含有量を制御することにより、原料の固形分含有量が低い値であり、ゾルゲル法製造による大収縮率が図られ、高固形分含有量での従来のゾルゲル法製造の限界が突破された。さらに、2種類のシリカ源の比率を制御することにより、低固形分含有量での製造における歩留まり問題を解決した。
【0019】
本発明に記載の固形分含有量は、全原料に占める原料中のシリカ(テトラエトキシシランを加水分解したシリカを含む)の割合(重量%)を意味する。
【0020】
本発明に係る微細光学ガラス素子の製造方法を示すフローチャートである
図1を参照して、シリカ分散液を取得し、pH値を調整するステップ1と、ゾルを製造するステップ2と、ウェットゲルを製造するステップ3と、ドライゲルを製造するステップ4と、焼結し、微細光学ガラス素子を得るステップ5とが含まれる。以下、各ステップを詳しく述べる。
【0021】
<ステップ1>
本ステップにおいて、シリカ分散液を取得し、シリカ分散液のpH値が調整されるように酸性溶液をシリカ分散液に添加し、撹拌し、最終的に、pH値が予め設定されたシリカ分散液を第1シリカ源として得ることを含む。
【0022】
本発明において、初期のシリカ分散液(即ちpH値を調整しないもの)は、フュームドシリカと脱イオン水を混合し撹拌して得られるものであって、マグネチックスターラー、ホモジナイザー及び/又は超音波分散により、フュームドシリカを水に均一に分散させる。そして、シリカ分散液を濾過し、不純物及び分散されていない凝集粒子を除去する。
【0023】
本発明におけるフュームドシリカは、D50が20nm~150nmの範囲内である粒径サイズとし、大きな比表面積を有する。
【0024】
通常、シリカ分散液の均一性を保証するために、長時間の上記処理過程を必要とし、毎回製造する時間が長い。したがって、本発明の一実施形態において、モル体積を予め設定された大量のシリカ分散液原液を事前に配置し、製造する度に一定量のシリカ分散液原液を取得し、シリカ固形分含有量を調整するための脱イオン水と混合希釈して、当該製造ロットのシリカ分散液を得る。それにより、シリカ固形分含有量への調整が簡単になり、均一に混合するのに必要な時間が短くなり、製造する度に濾過して不純物を除去する必要がなくなり、製造効率が向上し、異なるロットの製造において原料の安定性が向上する。
【0025】
例えば希塩酸溶液であってもよい酸性溶液をシリカ分散液に加えて均一に撹拌することにより、シリカ分散液は、pH値調整後に1.3~2.8である。理解できるように、酸性溶液は、pH値を調整するための他の酸性溶液であってもよい。
【0026】
<ステップ2>
酸性のシリカ分散液を得た後、テトラエトキシシランをこのシリカ分散液に添加し、撹拌し、テトラエトキシシランを加水分解し、ゾルを得、さらに、ゾルのpH値が調整されるようにアルカリ性溶液をゾルに添加し、撹拌して静置する。静置過程では、ゾルがゲルを徐々に形成し初め、この過程が長すぎることが好ましくなく、短時間静置して撹拌過程での気泡を排出すればよい。
【0027】
本発明の実施形態において、アルカリ性溶液は、アンモニア水溶液であってもよく、ゾルは、pH値調整後にpH値が上昇し、最終的に2.5~5である。理解できるように、アルカリ性溶液は、pH値を調整するための他のアルカリ性溶液であってもよい。
【0028】
<ステップ3>
静置されたゾルを金型に注入して熟成させ、ウェットゲルを得る。
【0029】
このステップにおいて、金型は、必要に応じて、様々な形状、様々なサイズであってもよく、それにより様々な形状、サイズのガラス光学素子が得られる。熟成後、ウェットゲルは、一定の強度を有し、金型から離型することが可能であり、離型を容易にするために、本発明において、好ましくはシリカゲル金型を採用し、ウェットゲルは、シリカゲル金型の一定の歪みの範囲内で剥離することができる。剛性金型を採用すると、微細な光学表面構造を損傷することにより、バリ、クラックが発生するおそれがある一方、ウェットゲルを抜きにくい。
【0030】
<ステップ4>
ウェットゲルを離型して洗浄して乾燥し、ドライゲルを得る。
【0031】
離型後、転写微細構造付きのウェットゲル塊を得る。このウェットゲル塊に存在する可能性がある一定の不均一な不純物を、洗浄して表面不純物を除去し、それにより透明度がより高い製品を得ることに役立つ。
【0032】
ウェットゲル塊を乾燥する時、温度が高すぎることが好ましくなく、そうでなければ脱水が激しすぎ、サンプルが割れるおそれがある。
【0033】
乾燥後、ウェットゲル塊に対して体積が縮小したドライゲル塊を得る。このステップは、微細光学ガラス素子を製造する過程における体積収縮の要部である。
【0034】
<ステップ5>
ドライゲルを焼結し、微細光学ガラス素子を得る。このステップにおいて、サンプルは、2回目体積が収縮し、不透明から透明ガラス素子になる。
【0035】
通常、従来の技術でゾルゲル法で光学ガラスを製造する技術的解決手段において、焼結は、1200℃以上で行う必要があり、発明者は、高温で焼結すると、光学ガラス素子のエッジや表面を損傷することにより、光学ガラス素子がわずかに歪み、ひいては割れることを見出した。大きなサイズの従来のガラス光学素子(例えばミリオーダーの光学素子)では、このような表面欠陥の影響は大きくないが、微細光学ガラス素子では、素子の光学性能に悪影響を与える。本発明において、発明者は、原料中のシリカの固形分含有量を低減することにより、焼結温度を低くしても透明度の高い光学素子を得ることができることを見出した。本発明の好ましい実施形態において、焼結温度が1100℃以下であることにより、ガラス表面のマイクロ光学構造が割れないように保護するだけでなく、低固形分含有量で内部において結晶化し、透明度が低下するリスクを低減し、製品歩留まりを向上させることができる。なお、焼結温度の低下により、エネルギー消費と製造コストの低減も図れる。
【0036】
以上、製造ステップを詳細に説明した。以下、具体的な実施例を参照しながら、各技術的解決手段の効果の対比を容易にするために、同じ実験条件で異なる固形分含有量、シリカ源比率を選択して対比検討する。
【0037】
実施例
まず、フュームドシリカ粒子と脱イオン水を秤量し、混合撹拌し、ホモジナイザーを用いて均一に分散させ、希塩酸を添加して、pH=2となるように調整し、撹拌後、テトラエトキシシランを添加し、撹拌してゾル溶液を形成し、次にアンモニア水を添加して、ゾルをpH=4となるように調整し、撹拌後に静置し、微細構造付き金型に注入し、10h後にすでにゲル化し、48h後に離型した。
【0038】
上記微細構造付きのウェットゲルを純水(脱イオン水)に入れ、循環洗浄を行い、水洗後に温度が45℃の定温定湿箱に入れて乾燥させ、サンプルを乾燥後に1050℃で12h保温し、焼結して微細構造を有する光学素子を得た。
【0039】
下の表において、各実施例、比較例のデータテーブルを示し、ここで、固形分含有量の意味について上記説明を参照し、比率は、フュームドシリカ粒子又はシリカ分散液原液に含まれるシリカ(SiO2)物質の量とテトラエトキシシラン(TEOS)物質の量との比であり、収縮率は、焼結後ガラス素子の離型後ゲルに対する体積収縮率であって、アルキメデス法により測定しうるものであり、歩留まりは、割れ、傷、汚れ、気泡及び透過率が極めて低い場合に不良品である。
【0040】
【0041】
上記リストデータから分かるように、固形分含有量の収縮率への影響が大きく、できる限り微細なサイズの光学ガラス素子を取得しようとすると、原料中のシリカの固形分含有量を低減する必要がある。本発明において、原料中のシリカ固形分含有量は、25.5%以下である。好ましくは、原料中のシリカ固形分含有量は、25%以下である。さらに好ましくは、原料中のシリカ固形分含有量は、収縮率が89%以上に達しうるように、20.3%以下である。
【0042】
発明者は、本発明において、異なる2種類のシリカ源の比率は、製品の歩留まり及び製造時間に大きく影響することを見出した。同じ比率、例えばnSiO2/nTEOS=3.8の場合に、固形分含有量は、製品の歩留まり(両方が60%程度)に大きく影響せず、収縮率のみに明らかな影響を与える。したがって、2種類のシリカ源の比率の決定は、実際の製品量産に関して重要な意義を有する。
【0043】
テトラエトキシシラン(TEOS)は、ゲル化過程に寄与するものであり、シリカ分散液のみをシリカ源とすると、ゲルが形成される過程が極めて遅く、製品量産に適用不可能であり、テトラエトキシシランの量を増加させるにつれて、必要なゲル化時間が徐々に短縮する。発明者の検討によれば、シリカ分散液に含まれるシリカとテトラエトキシシランとのモル比nSiO2/nTEOSが4.7以下である場合に、量産の要件を満たすことができる。
【0044】
しかしながら、テトラエトキシシランが多過ぎると、ゲルが収縮時に割れるおそれがある。表におけるデータから分かるように、nSiO2/nTEOSが小さいほど、歩留まりが徐々に低くなり、nSiO2/nTEOSが2.8にまで低くなると、歩留まりが40%まで低下し、それよりも小さい比率の場合、経済的価値は大きくない。
【0045】
本発明では、歩留まり100%の方案のみが採用されることを要求するものではなく、歩留まりと生産時間を総合的に考慮する必要があり、歩留まりが高いということは、常にゲル化時間がより長いことを意味するものであり、単位時間内の良品数が多ければよい。
【0046】
したがって、本発明において、シリカ分散液に含まれるシリカとテトラエトシキシランとのモル比は、2.8~4.7である。好ましくは、シリカ分散液に含まれるシリカとテトラエトシキシランとのモル比は、60%以上の歩留まりが保証されるように3.8~4.7である。
【0047】
本明細書における各実施例では、徐々に進むように説明し、各実施例において、他の実施例との相違点を重点に説明し、各実施例間の同一または類似の部分について、互いに参照すればよい。
【0048】
以上の説明はあくまで本発明の実施形態であり、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の記載による同等の構造又は同等のフローを変形するか、又は他の相関技術分野に直接的又は間接的に適用するものは、いずれも同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。