(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】アトラセンタンによるIGA腎症を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4025 20060101AFI20250124BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A61K31/4025
A61P13/12
(21)【出願番号】P 2022537007
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020065311
(87)【国際公開番号】W WO2021126977
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-18
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521197483
【氏名又は名称】チヌーク セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】フローリヒ, フィリップ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】キング, アンドリュー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン, チダンバラム
(72)【発明者】
【氏名】ヌーンバーグ, サラ ベス
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530311(JP,A)
【文献】特表2016-530238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0319333(US,A1)
【文献】特表2019-530713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IgA腎症を治療するための、アトラセンタン、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
前記組成物が、
原発性糸球体疾患としてIgA腎症と診断された
ヒト対象に、
経口投与により、1日1回、約
0.75mgのアトラセンタン
遊離塩基の用量で投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
IgA腎症の前記診断が、腎生検を含む、IgA腎症を治療するための請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
IgA腎症の前記診断が、前記対象の血清もしくは尿における、または前記対象由来の腎生検試料におけるIgA免疫複合体の沈着を検出することを含む、IgA腎症を治療するための請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
IgA腎症の前記診断が、前記対象の前記血清におけるガラクトース欠損IgAまたは抗グリカン自己抗体を検出することを含む、IgA腎症を治療するための請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記対象が、約15歳~約40歳である、IgA腎症を治療するための請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記対象が、IgA腎症以外の慢性腎臓病とこれまでに診断されたことがない、IgA腎症を治療するための請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、IgA腎症を治療するための請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の投与が、IgA腎症のメサンギウム細胞の活性化を阻害することを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
IgA腎症のメサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の炎症を低減させること、および/または前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む、IgA腎症を治療するための請求項9に記載の組成物。
【請求項10】
前記対象が、末期腎疾患
に進行するリスクが高い、IgA腎症を治療するための請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、前記対象が、1日当たり平均約0.3グラム~約2グラム、または約0.5グラム~約1.5グラム、または約1グラム~約1.5グラム、または約1.5グラム~約2グラムのタンパク質を尿中に排泄していることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
10いずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、前記対象が、1日当たり平均約0.75グラム以上、または約1グラム以上のタンパク質を尿中に排泄していることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の第1の投与の前に、1年間
に3回の連続した測定のうちの少なくとも2回で、前記対象が、1日当たり少なくとも約1グラムのタンパク質を尿中に排泄していることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の投与の前に、1年間にわたって、3回の連続した測定値のうちの少なくとも2回で、前記対象が、少なくとも約1g/日のタンパク尿を有することを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物による治療後、IgA腎症と診断された前記対象の前記尿におけるタンパク質の量が、少なくとも約20%低減されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物による治療後、IgA腎症と診断された前記対象の前記尿におけるタンパク質の量が、少なくとも約40%低減されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物による治療後、IgA腎症と診断された前記対象の前記尿におけるタンパク質の量が、少なくとも約50%低減されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
15に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物による治療後、IgA腎症を有する対象が、約1.0グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する、IgA腎症を治療するための請求項1~
17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物による治療後、IgA腎症を有する対象が、約0.3グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する、IgA腎症を治療するための請求項
18に記載の組成物。
【請求項20】
前記タンパク尿が、アルブミン尿を含む、IgA腎症を治療するための請求項
1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記対象が、有意な体液貯留を経験しない、IgA腎症を治療するための請求項1~
20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記対象が、6週間にわたって、約1kg~約4kgの有意な体液貯留を経験しない、IgA腎症を治療するための請求項
21に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物の投与の前に、前記対象が、少なくとも30mL/分/1.73m
2の推定糸球体濾過率(eGFR)を有することを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物の投与の前に、少なくとも約3カ月間、前記対象が、約30mL/分/1.73m
2~約90mL/分/1.73m
2の平均eGFRを有することを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
23に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物による治療後、eGFRの減少率が、少なくとも20%減衰されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物による治療後、eGFRの減少率が、少なくとも30%減衰されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物による治療後、eGFRの減少率が、少なくとも40%減衰されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
25に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物の投与が、前記対象の血尿の発生を減少させることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項
1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記血尿が、顕微鏡的血尿、肉眼的血尿、症候性血尿、または無症候性血尿である、IgA腎症を治療するための請求項
28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、前記対象に、
1日1回、約0.75mgのアトラセンタン遊離塩基の用量の錠剤で投与されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
アトラセンタンが、アトラセンタンマンデル酸塩またはアトラセンタン塩酸塩のもので投与されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記対象に、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、またはその組み合わせと同時に投与されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記対象に、SGLT-2阻害剤と同時に投与されることを特徴とする、IgA腎症を治療するための請求項1~
32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記対象が、前記組成物の第1の投与の前に、少なくとも約12週間、最大耐性の安定した用量のレニンアンギオテンシン系(RAS)阻害剤を受けている、IgA腎症を治療するための請求項1~
31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記RAS阻害剤が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、またはその組み合わせである、IgA腎症を治療するための請求項
34に記載の組成物。
【請求項36】
前記対象が、SGLT-2阻害剤を同時に受けている、IgA腎症を治療するための請求項
34または請求項
35に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月17日に出願された米国仮出願第62/949,115号、2020年4月3日に出願された米国仮出願第63/005,003号、2020年8月31日に出願された米国仮出願第63/072,699号、2020年9月29日に出願された米国仮出願第63/084,739号、および2020年12月14日に出願された米国仮出願第63/125,205号の優先権を主張し、これらは、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
IgA腎症(IgAN)は、世界中で最も一般的な原発性糸球体腎炎である。IgA1の異常なグリコシル化は、グリカン特異的IgAおよびIgG自己抗体によって認識されるガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)の増加した血清レベルをもたらす。免疫複合体の凝集体は、その場で形成され、および/または糸球体メサンギウムに沈着する。これは、メサンギウム細胞の増殖、細胞外マトリックスタンパク質、サイトカイン、ケモカインの増加した合成、および免疫細胞の周囲組織への浸潤を促進する。したがって、疾患の進行には、(1)Gd-IgA1の産生、(2)抗グリカン自己抗体によるその認識、(3)腎臓における免疫複合体の形成、および(4)メサンギウム細胞の活性化が含まれる。例えば、Penfold et al.,Int.J.Nephrol.and Renovascular Dis.11,pp.137-148(2017)を参照のこと。
糖尿病性腎症などの他の進行性腎疾患とは異なり、IgANは、主に20代および30代の健常な対象に発生する。患者は、様々な症状を呈し、典型的にはミクロまたはマクロ血尿および尿中のタンパク質の増加した排泄を含む。患者はまた、持続的な腎障害の結果として高血圧を呈し得る。現在の治療アプローチは、アンギオテンシン変換酵素阻害薬またはアンギオテンシン受容体遮断薬の最大耐量の投与、または免疫抑制薬の投与を含む支持的ケアを提供するだけであり、その利点は副作用が大きく上回っている。最終的に、患者の30~40%は、IgANの診断から20~30年以内に末期腎疾患(ESRD)を発症する。その間に、患者は、腎機能の低下に加えて、生活の質を著しく低下させる多くの症状を経験する。IgAN患者は、しばしば、腎臓においてエンドセリン1(ET-1)およびET-RAの大幅に増加した発現を示す。エンドセリンの増加した発現は、IgANの特徴的な症状のうちの1つであるタンパク尿と正に相関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Penfold et al.,Int.J.Nephrol.and Renovascular Dis.11,pp.137-148(2017)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
アトラセンタンは、選択的エンドセリンA(ETA)受容体アンタゴニスト(ETA Ki約34pM、ETB Ki約63nM、ETA選択性約1800x)である。例えば、Wu-Wong et al.,Clin.Sci.(Lond.),103(48),pp.107s-111s(2002)を参照のこと。選択的ETA受容体アンタゴニストは、ETB受容体への影響を最小限に抑えながら、ETA機能を遮断し、血管拡張および炎症の低減などの腎臓への有益な作用をもたらすと同時に、ET-1のクリアランスを可能にする。例えば、Jandeleit-Dahm and Watson,Curr.Opin.Nephrol.Hypertens.,21(1),pp.66-71(2012)を参照されたく、Nakamura,et al.,Nephron,Vol.72,pp.454-460(1996)も参照のこと。ETA受容体アンタゴニストは、腎臓によるナトリウムおよび水貯留を増加させるが、これは通常、臨床的に管理可能である。例えば、Saleh,et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,338(1),pp.263-270(2011)を参照のこと。アトラセンタンは、糖尿病性腎疾患(DKD)の患者において、血清クレアチニンの倍増または末期腎疾患として定義される腎臓イベントのリスクを大幅に低減する効果が示されている。例えば、Heerspink,et al.,The Lancet,393,pp1937-1947(2019)を参照のこと。DKDは、二次性糸球体疾患と呼ばれ、特定された全身的原因により二次的に腎臓病が発症し、DKDの場合、長年の糖尿病に微小血管が合併することで発症する。例えば、Dattani and McAdoo,Medicine,47(10),pp.644-648(2019)を参照のこと。DKDの病因は、多因子で複雑である。腎細胞、特に腎内皮細胞にグルコース毒性を引き起こす糖尿病による慢性的な上昇した血糖値、ならびにせん断応力が常在糸球体細胞に伝達される高血圧に伴う全身および腎性の血行力学的因子は、DKDの主要な発症要因である。例えば、Thomas et al.,Nat.Rev.Disease Primers.1,pp.15018-15026(2015)を参照のこと。高血糖、脂質異常症、および酸化的ストレスなどの代謝成分、ならびに高血圧と関連する血管作用物質などの血行力学的因子を含む、糖尿病環境における複数の調節異常因子はすべて、腎のET-1形成を刺激する。加えて、DKDは、通常、DKDの発現前に長期にわたる糖尿病が必要であるため、一般的に高齢集団において観察され、加齢は、腎臓での増加したET-1産生とも関連している。例えば、Kohan,Kidney Int.,86(5),pp.896-904(2014)を参照のこと。組み合わせることで、これはすべて、ETA受容体遮断薬アトラセンタンによるDKD治療の確かな科学的根拠を得る。Dhaun,et al.,Hypertension,Vol.57,pp.772-779(2011)を参照のこと。
【0005】
DKDとは対照的に、IgA腎症は、局所的または内因性の腎病変が存在する原発性糸球体疾患と考えられる。IgA腎症の発症のピークは、生後20年または30年の若い個人に見られ、DKDとは異なり、自己免疫性の疾患である。IgA腎症は、糸球体メサンギウムにおける病原性IgA/免疫複合体の沈着に起因する。例えば、Lai,et al.,Nature Reviews Disease Primers,2,pp.16001,2016を参照のこと。確定診断は、腎生検を行い、免疫蛍光顕微鏡でメサンギウムIgAの沈着が確認される必要である。IgA腎症を引き起こす起因事象の理解における最近の進歩により、異常な粘膜免疫応答が、循環する抗グリカン自己抗体によって自己抗原として認識されるガラクトース欠損IgA1の産生を刺激することが明らかにされた。免疫認識は、腎臓に沈着してメサンギウム細胞を活性化する腎炎誘発性免疫複合体の形成をもたらす。活性化されたメサンギウム細胞は、増殖し、過剰な量の細胞外マトリックス成分、サイトカインおよびケモカインを産生する。例えば、Suzuki,et al.,J.Am.Soc.Nephrol.,Vol.22,pp.1795-1803(2011)を参照のこと。生検で証明されたIgA腎症患者の最大40%が、長期間のフォローアップ中にいずれかの時点で末期腎不全に進行する。メサンギウム細胞の活性化におけるET-1またはETA受容体の役割は、これまでに報告されておらず、アトラセンタンは、IgA腎症でこれまで試験されていない。本明細書でさらに記載されるように、アトラセンタンは、許容される毒性を有する有効な用量で投与することができ、望ましくない副作用を最小限に抑えつつ、基礎となるIgANを治療し、対象の生活の質を改善するために適切な選択性を有する。いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるメサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるメサンギウム細胞におけるPDGFを阻害する(例えば、PIK3R1、PDGFRA、NFKBIA、PIK3CG、PLA2G4A、TIAM1、PDGFB、NFKB1、およびMAP3K1のうちの1つ以上の活性および/または発現を低減する)方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上を有していない、方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない、方法を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない、方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない、方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象における腎臓の炎症および/または線維症を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象における血尿の発生を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるeGFRを安定化させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるIgA腎症関連疾患フレアの数を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるESRDの発症を遅延させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるタンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象の倦怠感を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していないと判定されている、方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態は、サンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、メサンギウム細胞を、有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態は、IgA免疫複合体と接触しているメサンギウム細胞の活性化を低減する方法であって、メサンギウム細胞を、有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が、上昇した血清Gd-IgA1レベルを有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が上昇したレベルのメサンギウム活性化を有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が、腎臓において上昇したレベルのIgA免疫複合体を有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】アトラセンタンによる治療は、IgANを有する対象に由来する免疫複合体に曝露された初代ヒトメサンギウム細胞の増殖を低減させることを示す。
【
図1B】IgANまたは健常対照血清から免疫複合体を精製した後のガラクトース欠損(Gd)-IgAおよび総IgAの含有量を示す。
【
図2A】対数スケールで示されるアトラセンタンの濃度を増加させて処理したときのエンドセリン1(ET-1)で刺激された初代ヒトメサンギウム細胞の増殖(48時間後)の減少を示し、約5.1nMのIC
50を示す。
【
図2B】対数スケールで示されるアトラセンタンの濃度を増加させて処理したときのエンドセリン1(ET-1)で刺激された初代ヒトメサンギウム細胞の増殖(72時間後)の減少を示し、約50.8nMのIC
50を示す。
【
図3A】48時間にわたってET-1に曝露された初代ヒトメサンギウム細胞によるIL-6産生の増加(約6倍の増加)および対数スケールで示されるアトラセンタンの濃度を増加させて処理したときのIL-6レベルの減少を示し、約1nMのIC
50を示す。
【
図3B】72時間にわたってET-1に曝露された初代ヒトメサンギウム細胞によるIL-6産生の増加(約2.2倍の増加)および対数スケールで示されるアトラセンタンの濃度を増加させて処理したときのIL-6レベルの減少を示し、約1nMのIC
50を示す。
【
図4】ベースライン時、アトラセンタンの投与前、および飲料水中の0(対照)、10、20、または30mg/kg/日で約5日間アトラセンタンで治療した後のg-ddYマウスのUACRレベルを示す。(*P<0.05、ベースラインレベルと比較、対t検定)。
【
図5】飲料水中の0(対照)、10、20、または30mg/kg/日でアトラセンタンを約5日間投与した後のg-ddYマウスのUACRレベル(ベースラインの%)の変化を示す。(*P<0.05、対照群(0mg/kg/日)と比較、不対t検定)。
【
図6】0(対照)、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の腎臓組織における差次的に発現された遺伝子の上位100を示す。ヒートマップは、上位100の差次的に発現された遺伝子の各々について、行型z変換したcounts per million(CPM)値を示す。
【
図7A】0(対照)および10mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の腎臓組織における差次的遺伝子発現を示す。黒色の点は、著しく差次的に発現されていない遺伝子を示す。0対数倍率変化を超える灰色の点は、上方調節された遺伝子を示す。0対数倍率変化を下回る灰色の点は、下方調節された遺伝子を示す。
【
図7B】0(対照)および20mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の腎臓組織における差次的遺伝子発現を示す。黒色の点は、著しく差次的に発現されていない遺伝子を示す。0対数倍率変化を超える灰色の点は、上方調節された遺伝子を示す。0対数倍率変化を下回る灰色の点は、下方調節された遺伝子を示す。
【
図7C】0(対照)および30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の腎臓組織における差次的遺伝子発現を示す。黒色の点は、著しく差次的に発現されていない遺伝子を示す。0対数倍率変化を超える灰色の点は、上方調節された遺伝子を示す。0対数倍率変化を下回る灰色の点は、下方調節された遺伝子を示す。
【
図8A】0(対照)および10mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のET1遺伝子シグネチャーと関連する遺伝子のサブセットの腎臓組織における差次的に発現された遺伝子を示す。
【
図8B】0(対照)および20mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のET1遺伝子シグネチャーと関連する遺伝子のサブセットの腎臓組織における差次的に発現された遺伝子を示す。
【
図8C】0(対照)および30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のET1遺伝子シグネチャーと関連する遺伝子のサブセットの腎臓組織における差次的に発現された遺伝子を示す。
【
図9A】0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンの治療と比較した、10mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の有意に濃縮された(FDR<0.05)特徴的な遺伝子セットを示す。負の正規化された濃縮スコア(NES)は、過少発現(under-expression)を示し、正のNESは、過剰発現を示す。
【
図9B】0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンの治療と比較した、20mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の有意に濃縮された(FDR<0.05)特徴的な遺伝子セットを示す。負の正規化された濃縮スコア(NES)は、過少発現(under-expression)を示し、正のNESは、過剰発現を示す。
【
図9C】0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンの治療と比較した、30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の有意に濃縮された(FDR<0.05)特徴的な遺伝子セットを示す。負の正規化された濃縮スコア(NES)は、過少発現(under-expression)を示し、正のNESは、過剰発現を示す。
【
図10】1nMおよび25nMのアトラセンタンによるET-1で刺激したHRMCの治療、ならびに未治療のHRMC(対照)と比較したET-1で刺激したHRMCの治療後、0(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日によるg-ddYマウスの治療後の有意に濃縮された(FDR<0.05)特徴的な遺伝子セット経路の一致を示す。
【
図11A】公開されたヒトメサンギウム単一細胞シグネチャー(Lake et al.,A single-nucleus RNA-sequencing pipeline to decipher the molecular anatomy and pathophysiology of human kidneys.Nat.Comm.,10(1),1-15(2018);メサンギウムとして標識)、30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の差次的に発現された遺伝子(g-ddYとして標識)、およびET1の存在下での25nMのアトラセンタンによるHRMCの治療後の差次的に発現された遺伝子(HRMCとして標識)、の間での遺伝子シグネチャーの重複を示す。
【
図11B】30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後、ヒトメサンギウム単一細胞シグネチャーと差次的に発現された遺伝子との間で重複する44遺伝子の発現レベル(行型z変換値の対数2counts per million)を示す。
【
図12A】ヒトおよびマウスに基づく潜在的なバイオマーカー間の比較を示し、「x」は翻訳可能性を示し、潜在的なバイオマーカーが血漿/血清および/または尿にあるかどうかを示す。特に、関連するマーカーの各々は、ヒトおよびマウス(例えば、g-ddYマウス)の両方に見出される。
【
図12B】0(対照)、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の各潜在的バイオマーカーの対数2(CPM)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
表1 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療における上位40のDEG(25が上方制御および15が下方制御)。
【0029】
表2 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、20mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療における上位50のDEG(25が上方制御および25が下方制御)。
【0030】
表3 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療における上位50のDEG(25が上方制御および25が下方制御)。
【0031】
表4 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の濃縮されたシグナル伝達経路。Zスコア値は、各投薬量で見られる効果の大きさを示す。
【0032】
表5 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の特徴的な遺伝子セットの濃縮を示す遺伝子セット濃縮分析。NESは、遺伝子セット内のDEGの表現を示し、遺伝子セットのサイズを考慮した正規化された濃縮スコアである。<-1.5または>1.5のNESは、生物学的に有意であるとみなされる。Adj p値は、所与の濃縮された遺伝子セットの計算されたNESが偽陽性の結果である推定確率である。
【0033】
表6 サイトカインおよび成長因子の分子タイプごとに分類された上流調節因子の一覧である。重複のP値は、データセットとIPKBの遺伝子ターゲットとの間で重複する遺伝子の数に基づいた濃縮の有意性を示す。<-2または>2の活性化zスコア閾値および<0.05の重複閾値のp値は、有意であるとみなされた。
【0034】
表7 膜貫通型受容体、Gタンパク質共役型受容体、およびタンパク質複合体の分子タイプごとに分類された上流調節因子の一覧。重複のP値は、データセットとIPKBの遺伝子ターゲットとの間で重複する遺伝子の数に基づいた濃縮の有意性を示す。<-2または>2の活性化zスコア閾値および<0.05の重複閾値のp値は、有意であるとみなされた。
【0035】
表8 転写調節因子およびリガンド依存性核内受容体分子タイプごとに分類された上流調節因子の一覧。重複のP値は、データセットとIPKBの遺伝子ターゲットとの間で重複する遺伝子の数に基づいた濃縮の有意性を示す。<-2または>2の活性化zスコア閾値および<0.05の重複閾値のp値は、有意であるとみなされた。
【0036】
表9 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のNF-kBシグナル伝達経路の構成要素の遺伝子発現。
【0037】
表10 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のIL6シグナル伝達経路の構成要素の遺伝子発現。
【0038】
表11 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のPDGFシグナル伝達経路の構成要素の遺伝子発現。
【0039】
表12 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の細胞増殖シグナル伝達経路の構成要素(有糸分裂紡錘体およびG2M細胞周期チェックポイント)の遺伝子発現。
【0040】
表13 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の炎症応答シグナル伝達経路の構成要素の遺伝子発現。
【0041】
表14 0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンと比較した、10、20、または30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後のメサンギウム細胞シグネチャーと関連する44遺伝子の遺伝子発現。
[発明を実施するための形態]
【0042】
A.定義
本開示をより容易に理解することができるように、ある特定の用語が最初に定義される。この出願で使用される場合、本明細書で別途明示的に規定されている場合を除き、以下の各用語は、以下に記載されている意味を有するものとする。追加の定義は、出願全体を通して説明される。
【0043】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、この開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。本開示の目的のために、以下の用語が定義される。
【0044】
単位、接頭辞、および記号は、Systeme International de Unites(SI)に認められている形式で示される。数値範囲には、範囲を定義する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって有することができる本開示の様々な態様を制限しない。したがって、直下で定義される用語は、明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
【0045】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」という用語は、1つのメンバーを有する態様を含むだけでなく、2つ以上のメンバーを含む態様も含む。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で明確に別途指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「薬剤」への言及は、当業者に既知の1つ以上の薬剤への言及などを含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、一般に、非排他的に解釈されるべきである。例えば、「AまたはBを含む組成物」に対する主張は、典型的には、AおよびBの両方を含む組成物を有する態様を提示するであろう。しかしながら、「または」は、矛盾なしに組み合わせることができない(例えば、9~10または7~8の組成物pH)提示された態様を除外するように解釈されるべきである。
【0047】
群「AまたはB」は、典型的には、「AおよびBからなる群から選択される」群と同等である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、他方の有無にかかわらず、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの特定の開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書の「Aおよび/またはB」などの句で使用される場合、「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(のみ)、および「B」(のみ)を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの句で使用される場合、「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(のみ);B(のみ);ならびにC(のみ)のそれぞれを包含することを意図している。
【0049】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な誤差の程度を意味する。典型的な例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、10%以内、5%以内である。「約X」への言及は、少なくとも値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを具体的に示す。したがって、「約X」は、例えば「0.98X」の特許請求の範囲の制限に対して書面による説明の補足を提供することを意図している。「約」および「およそ」という用語は、特に所与の量に関して、所与の量自体を包含および説明する。
【0050】
数値範囲の始めに「約」を適用する場合、範囲の両端に適用される。したがって、「約5~20%」は「約5%~約20%」と等しい。値のセットの最初の値に「約」が適用される場合、そのセットのすべての値に適用される。したがって、「約0.5、0.75、または1.0mg」は、「約0.5、約0.75、または約1.0mg」に相当する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、X線粉末回折の一連のピーク位置(例えば、2θ値)に先行する場合、先行する群のすべてのピークが、±0.1°の変動を有する角度位置に関して報告されることを意味する。したがって、例えば、約8.3°、9.7°、10.0°、13.0°、15.6°、17.2°、または19.5°という句は、8.3°±0.1°、9.7°±0.1°、10.0°±0.1°、13.0°±0.1°、15.6°±0.1°、17.2°±0.1°、または19.5°+0.1°を意味する。
【0052】
対象の「治療」または「療法」は、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発症、進行、発達、重症度、または再発を逆転、緩和、改善、阻害、または減速することを目的として、対象に対して行われるあらゆる種類の介入もしくはプロセス、または対象への活性剤の投与を指す。
【0053】
「投与すること」または「投与」は、当業者に既知の様々な方法および送達系のいずれかを使用して、対象に治療薬を物理的に導入することを指す。投与経路には、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、または他の非経口投与経路、例えば、注射もしくは注入(例えば、静脈内注入)が含まれ得る。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1期間以上の長期間にわたって行うことができる。
【0054】
「予防的」または「予防的に」という用語は、副作用の発達などにおいて、疾患または状態が発達するのを防止もしくは予防するか、または少なくとも完全に発達させない(例えば、疾患または状態の症状または重症度を低減するため)ことを目的として、対象に対して行われるあらゆる種類の介入もしくはプロセス、または対象への活性剤の投与を指す。
【0055】
「対象」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類などの脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。「対象」および「患者」および「個体」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0056】
薬物または治療薬の「有効量」または「治療有効量」または「治療有効投薬量」は、単独でまたは別の治療薬と併用して使用された場合、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度および持続時間の増加、もしくは疾患の苦痛による機能障害または能力障害の改善によって証明される疾患の退縮を促進する任意の薬物の量である。疾患の退縮を促進する治療薬の能力は、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトでの有効性を予測する動物モデルシステムにおいて、またはインビトロアッセイにおける薬剤の活性を評価することにより、熟練の実践者に既知の様々な方法を使用して評価され得る。
【0057】
「薬学的に許容される」という句は、物質または組成物が、化学的および/または毒物学的に、製剤を含む他の成分、および/またはそれで治療される哺乳動物に適合しなければならないことを示す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「多形」は、同じ分子式を共有する別個の固体を指すが、各多形は、別個の固体状態の物理的特性を有し得る。単一の化合物は、様々な多形形態を生じ得、各形態は、異なる溶解度プロファイル、融点温度、流動性、溶解速度、および/または異なるX線回折ピークなどの異なる別個の固体状態の物理特性を有する。これらの実際の物理的特徴は、物質の特定の多形形態を定義する単位格子内の分子の立体構造および配向によって影響を受ける。化合物の多形形態は、実験室で、X線粉末回折(「XRPD」)などのX線回折分光法、および赤外線分光法などの他の方法によって区別することができる。追加的に、同じ原薬または医薬品有効成分の多形形態は、それ自体で投与されるか、または医薬品(薬学的組成物)として製剤化することができ、例えば、原薬の溶解度、安定性、流動性、取り扱いやすさ、および圧縮性、ならびに医薬品の安全性および有効性に影響を与えることが製薬分野でよく知られている。詳細については、Hilfiker,Rolf(ed.),Polymorphism in the Pharmaceutical Industry.Weinheim,Germany:Wiley-VCH 2006を参照のこと。
【0059】
本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、非結晶状態である固体状態の固体を意味する。非晶質固体は一般に、結晶のような短距離分子配列を有するが、結晶性固体に見られるような長距離秩序の分子充填は有しない。固体の固体状態の形態は、偏光顕微鏡学、X線粉末回折(「XRPD」)、示差走査熱量測定(「DSC」)、または当業者に既知の他の標準的な技法によって決定することができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「結晶性」という用語は、分子または外部面の規則的に繰り返される配列を有する固体状態の固体を意味する。固体の固体状態の形態は、偏光顕微鏡学、X線粉末回折(「XRPD」)、示差走査熱量測定(「DSC」)、または当業者に既知の他の標準的な技法によって決定することができる。したがって、本明細書で使用される「結晶性純度」という用語は、非晶質アトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩を含み得る試料中のアトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩の特定の結晶性多形、アトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物のうちの1つ以上の追加の結晶性多形のパーセンテージを意味する。アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の結晶性多形が「実質的な結晶純度」を有すると記載される場合、それは、多形が他の多形(非晶質および/または結晶性)を実質的に含んでいないこと(例えば、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、または0.05%未満)を意味する。
【0061】
本明細書で使用される「化学的純度」という用語は、試料中の特定の化合物(例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩)のパーセンテージを意味する。したがって、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびそれを含むまたはそれから作製される組成物は、水、酢酸エチル、エタノール、(2R,3R,4S)-2-(4-メトキシフェニル)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-(N-(n-ブチル)アミノカルボニルメチル)ピロリジン-3-カルボン酸、(2R,3R,4S)-2-(4-メトキシフェニル)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-((N-(n-ブチル)-N-エチル)アミノカルボニルメチル)ピロリジン-3-カルボン酸、(2R,4S)-2-(4-メトキシフェニル)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-(N,N-ジ(n-ブチル)アミノカルボニルメチル)ピロリジン、またはエチル(2R,3R,4S)-2-(4-メトキシフェニル)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-(N,N-ジ(n-ブチル)アミノカルボニルメチル)ピロリジン-3-カルボキシレートを含むが、これらに限定されない、1つ以上の不純物を含み得る。アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の試料が、「実質的な純度」を有すると記載される場合、試料は、不純物を実質的に含まない(例えば、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、または0.05%未満を含有する)。
【0062】
本明細書で使用される「ジアステレオマー過剰率」という用語は、混合物中に同じ化合物の他のジアステレオマーを有し得る混合物中の化合物(例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩)のうちの1つのジアステレオマーの量を意味する。本明細書で使用される「実質的なジアステレオマー純度」という用語は、約90%、95%、99%、99.5%、99.9%、または100%を超えるジアステレオマー過剰率を意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、細胞、生物、または対象への活性剤の投与を補助する物質を指す。「薬学的に許容される担体」とは、本開示の組成物に含めることができ、対象に重大な有害な毒物学的作用を引き起こさない担体または賦形剤を指す。薬学的に許容される担体の非限定的な例には、水、NaCl、通常の食塩水、乳酸リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味料、香味料および着色料、リポソーム、分散媒体、マイクロカプセル、カチオン性脂質担体、等張剤、ならびに吸収遅延剤などが挙げられる。担体はまた、安定性、無菌性、および等張性を製剤に提供するための(例えば、抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤)、微生物の作用を防止するための(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの抗菌剤および抗真菌剤)、または食用香味料などを製剤に提供するための物質であり得る。いくつかの実施形態において、担体は、標的細胞または組織への小分子薬物または抗体の送達を容易にする薬剤である。当業者は、他の医薬担体が本開示において有用であることを認識するであろう。
【0064】
本明細書で使用される「発現」という用語は、哺乳動物細胞におけるタンパク質またはmRNAのレベルを指す。
【0065】
本明細書で使用される「活性」という用語は、結合または酵素活性(例えば、リン酸化、脱リン酸化、核内への輸送、転写活性化、転写抑制、および/または基質もしくは結合パートナーへの結合活性のうちの1つ以上)などのタンパク質の1つ以上の活性を指す。
【0066】
本明細書で使用される「IL-6シグナル伝達」という用語は、IL-6受容体の活性化で始まり、遺伝子発現で終わるシグナル伝達経路における1つ以上のタンパク質の発現および/または活性を意味する。IL-6受容体の活性化で始まり、遺伝子発現で終わるシグナル伝達経路におけるタンパク質の非限定的な例には、IL-6受容体、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、およびERKが含まれる。
【0067】
本明細書で使用される「NF-kBシグナル伝達」という用語は、IKKα、IKKβ、IkB、およびNF-kBの1つ以上、ならびに/またはNF-kBの活性によって上方調節する1つ以上の遺伝子(例えば、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、およびiNOSのうちの1つ以上)の発現および/または活性を意味する。
【0068】
本明細書で使用される「PDGFシグナル伝達」という用語は、PDGF受容体、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、およびcPLA2のうちの1つ以上の発現および/または活性を意味する。
【0069】
本明細書で使用される「SGLT-2阻害剤」という用語は、ナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT-2)を阻害する化合物を指す。SGLT-2阻害剤は、腎臓によるブドウ糖の再吸収を妨害し、したがって、ブドウ糖低下効果を発揮する。SGLT-2阻害剤は、インスリンとは無関係に糖尿を増強することにより、2型糖尿病を治療し、心血管転帰を改善することが示されている。Wright,2001,Am.J.Physiol.Renal Physiol.280:F10およびScheen,2018,Circ.Res.122:1439を参照のこと。いくつかの実施形態において、「SGLT-2阻害剤」という用語は、主な効果がSGLT-2の阻害である化合物を指すが、SGLT-2のみを阻害する化合物に限定されず、したがって、SGLT-2阻害(例えば、SGLT-1阻害)に加えて他の活性を有する化合物を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、グリフロジンとして知られる薬物のクラスの化合物を含む。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、FDAまたはEMAなどの規制当局によってSGLT-2阻害剤として承認されている化合物を含む。SGLT-2阻害剤の非限定的な例には、ベキサグリフロジン、カナグリフロジン(INVOKANA(登録商標))、ダパグリフロジン(FARXIGA(登録商標))、エンパグリフロジン(JARDIANCE(登録商標))、エルツグリフロジン(STEGLATRO(商標))、イプラグリフロジン(SUGLAT(登録商標))、ルセオグリフロジン(LUSEFI(登録商標))、レモグリフロジン、セルグリフロジン、リコグリフロジン、ソタグリフロジン(ZYNQUISTA(商標))、およびトホグリフロジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤には、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリホジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、ヘナグリフロジン(SHR-3824)、エナボグリフロジン(DWP-16001)、TA-1887(3-(4-シクロプロピルベンジル)-4-フルオロ-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、インドール-N-グリコシド18(3-(4-エチルベンジル)-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、ソタグリフロジン、ルセオグリフロジン、セルグリフロジンエタボネート(炭酸エチル)、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、およびT-1095(((2R,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-(ベンゾフラン-5-イル)プロパノイル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)エタボネート)が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリホジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、ヘナグリフロジン(SHR-3824)、エナボグリフロジン(DWP-16001)などのC-グリコシドを含む。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、およびヘナグリフロジン(SHR-3824)などの、二環式またはスピロピラン基を有するC-グリコシドを含む。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリフロジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、およびエナボグリフロジン(DWP-16001)などの、二環式またはスピロピラン基を有しないC-グリコシドを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、TA-1887(3-(4-シクロプロピルベンジル)-4-フルオロ-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)およびインドール-N-グリコシド18(3-(4-エチルベンジル)-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)などのN-グリコシドを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ソタグリフロジンなどの2-メチルチオ-C-グリコシドを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ルセオグリフロジンなどのチオピラン-C-グリコシドを含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、セルグリフロジンエタボネート(炭酸エチル)、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、およびT-1095(((2R,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-(ベンゾフラン-5-イル)プロパノイル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)エタボネート)などのO-グリコシドおよびO-グリコシドプロドラッグを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書で定義されるSGLT-2阻害剤は、SGLT-2阻害活性を示す任意の化合物を含む。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、例えば、SGLT-1に対してよりもSGLT-2に対してより大きな活性を約2倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約750倍、約1,000倍、約1,250倍、約1,500倍、約1,750倍、約2,000倍、約2,500倍、またはそれらの間の任意の値を有することにより、SGLT-1を上回ってSGLT-2に対して選択的である。例示的なSGLT-2阻害剤は、本明細書に記載のアッセイで測定した場合、約1000nM未満、約500nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約50nM未満、約25nM、約10nM未満、または約1nM未満のSGLT-2に対して阻害活性(IC50)を示すことができる。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、本明細書で提供されるアッセイで測定した場合、約25nM未満、約10nM未満、約5nM未満、または約1nM未満のSGLT-2に対して阻害活性(IC50)を示すことができる。SGLT-2阻害活性を判定するための例示的なアッセイは、Ryan,et al.,Kidney International,Vol.45,pp.48-57(1994)に記載されている。簡言すれば、CHO細胞は、ヒトSGLT-2(GenBankM95549)をコードするcDNAで安定的にトランスフェクトされる。細胞を洗浄し、次いで、10μMの[14C]α-メチルグルコピラノシド(AMG)および10μMの阻害剤を用いてインキュベートする。[14C]AMGの取り込みは、フロリジンを含む冷緩衝液でクエンチし、細胞を溶解する。次いで、好適な試薬を使用して、[14C]AMGの取り込みを定量化する。
【0078】
SGLT-2阻害剤には、薬学的に許容される塩、溶媒和物、複合体、およびそれらの溶媒和物の塩が含まれ、例えば、「ダパグリフロジン」には、ダパグリフロジンの塩(塩酸塩など)ならびに溶媒和物(プロピレングリコール水和物など)が含まれ、同様に、「カナグリフロジン」には、溶媒和物(カナグリフロジン半水和物など)および溶媒和物の塩(水和物の塩酸塩など)が含まれる。同様に、ヘナグリフロジン(SHR-3824)およびダパグリフロジンには、複合体(それぞれ、複合体ヘナグリフロジンプロリンおよびダパグリフロジンプロリンなど)が含まれる。
【0079】
本明細書で使用される場合、対象が「制御された血清グルコースレベル」を有すると記載される場合、それは、対象が正常または健常な範囲内の血清グルコースレベルを有することを意味する。いくつかの実施形態において、対象は、約70mg/dL~約130mg/dLの空腹時血清グルコースレベルを有する。例えば、対象は、約130mg/dL、125mg/dL、120mg/dL、115mg/dL、110mg/dL、105mg/dL、100mg/dL、95mg/dL、90mg/dL、85mg/dL、80mg/dL、または75mg/dL未満の空腹時血清グルコースレベルを有すると判定されている。
【0080】
本明細書に記載の方法で使用される場合、「低減する」という用語は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の開始前に行われた対象における同じパラメータのベースライン測定値(または複数の測定値)と比較して示されたパラメータの低減、または健常な対象(例えば、IgA腎症を有しない対象)における同じパラメータのベースライン測定値(または複数の測定値)と比較して示されたパラメータの低減を指す。同様に、本明細書で使用される「増加する」という用語は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の開始前に行われた対象における同じパラメータのベースライン測定値(または複数の測定値)と比較して示されたパラメータの増加、または健常な対象(例えば、IgA腎症を有しない対象)における同じパラメータのベースライン測定値(または複数の測定値)と比較して示されたパラメータの増加を指す。
【0081】
「糸球体濾過率(GFR)」という用語は、腎(腎臓)糸球体毛細血管から単位時間当たりにボーマン嚢に濾過される流体の容量として定義される。それは、全般的な腎臓機能を示す。糸球体濾過率(GFR)は、血液中の一定のレベルを有し、腎臓によって自由に濾過され、再吸収も分泌もされない任意の化学物質を測定することによって算出することができる。したがって、測定される比率は、計算量の血液に由来する尿中の物質の量である。GFRは、一般的には、一時間当たりの容量の単位、例えばミリリットル/分で記録され、下記式を使用することができる:GFR=(尿中濃度×尿量)/血漿中濃度。GFRは、イヌリンを血漿中に注入することによって測定することができる。イヌリンは、糸球体濾過後に腎臓によって再吸収も分泌もされないため、その排泄率は、糸球体フィルターを通過する水および溶質の濾過速度に正比例する。正常値は、GFR=90~125mL/分/1.73m2、特にGFR=100~125mL/分/1.73m2である。GFRを測定するための他の原理は、51Cr-EDTA、[125I]イオタラマートまたはイオヘキソールの測定を含む。「推定糸球体濾過率(eGFR)」は、Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration(CKD-EPI)式、Cockcroft-Gault式、またはModification of Diet in Renal Disease(MDRD)式に基づく、血清クレアチニン値からのスクリーニングによって導かれると定義され、これらはすべて、当該技術分野で公知である。本明細書で使用される「eGFRを安定化すること」は、eGFRの減少率を低減させること、および/またはeGFRの低下率を減衰させることを意味する。いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、またはそれらの間の任意の値減衰させ得る。この減衰は、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後であり得る。いくつかの実施形態において、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。いくつかの実施形態において、対象は、約6カ月~約1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0082】
「ESRD」は、末期腎疾患の略語である。本明細書で使用される場合、ESRDの発症は、対象が約15mL/分/1.73m2未満のeGFRを有する時点、および/または対象が慢性透析を開始した時点として定義される。対象が「ESRDに進行するリスクが高い」と定義されている場合、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1g/日超のタンパク質を尿中におよび/または60未満のeGFRを有する。
【0083】
本明細書で使用される「IgA腎症関連疾患フレア」は、血尿、タンパク尿の悪化、全身症状、およびeGFRの低下と関連する疾患フレアを指す。疾患フレアと関連する他の症状には、増加した浮腫、倦怠感、増加した血尿、肉眼的血尿、および一般に疾患の進行に悪影響を与える他の症状が含まれる。
【0084】
本明細書で使用される場合、対象が「正常な生理学的範囲内のカリウムレベルを維持する」と記載される場合、対象は、約3.5mEq/L~約5.2mEq/Lの血中カリウムレベルを有する。
【0085】
本明細書で使用される場合、対象が「正常な生理学的範囲内のナトリウムレベルを維持する」と記載される場合、対象は、約135~約145mEq/Lの血中ナトリウムレベルを有する。
【0086】
本明細書で使用される場合、「タンパク尿」という用語は、正常レベルを超える尿中のタンパク質の存在を指す。「タンパク尿」には、「アルブミン尿」および「微量アルブミン尿」が含まれる。正常なヒトのタンパク質レベルは、尿中に約0~30mg/Lの範囲で見られるが、任意の所与の尿試料では、レベルが約80mg/Lに達し得る。24時間の採尿の場合、正常なヒト尿タンパク質レベルは、約0~150mgの範囲である。タンパク尿は、尿中の総タンパク質/クレアチニン比(UPCR)によって、または約30mg/g超の尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)などの特定のタンパク質の比率によって示され得る。典型的には、mg/gの尿中UACR値は、mg/日の対象によるアルブミン排泄量にほぼ等しい。アルブミン尿および微量アルブミン尿を含むタンパク尿は、しばしば、疾患を引き起こすか、または疾患を示すが、疾患の発生に限定されない。タンパク尿は、生理的タンパク尿、機能性タンパク尿、および過剰筋肉労作後の機能性タンパク尿の一形態に関連する運動性タンパク尿、を含むがこれらに限定されない、あらゆる形態のタンパク尿を包含することを意図している。さらに、タンパク尿は、腎臓における病理学的変化の結果ではないタイプまたはタンパク尿を指す良性タンパク尿(「必須」タンパク尿としても知られている)を網羅する。タンパク尿はまた、病理学的なタンパク尿、例えば、正常な生理学的レベルよりも高い尿中のタンパク質のレベルを網羅する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「アルブミン尿」(「マクロアルブミン尿」としても知られる)という用語は、正常レベルを超える尿中のアルブミンの存在を指す。尿中タンパク質は、主にアルブミンであるため、正常なヒト尿中UACRレベルは、約0~30mg/mmolの範囲である。本明細書で使用される場合、「微量アルブミン尿症」という用語は、ヒトにおいて約20~200μg/分の速度または約30~300mg/Lのレベルで排泄される、尿中のアルブミンの存在を指す。尿中ACRで定義される場合、「微量アルブミン尿症」とは、約30mg/g超の尿中UACR、または女性の場合は約3.5mg/mmol以上、男性の場合は約2.5mg/mmol以上の尿中UACRを指す。微量アルブミン尿症は、しばしば、腎臓病の早期警戒であるが、他の理由も現れ得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「血尿」という用語は、尿中の血液の存在を指す。尿中の肉眼的血尿(血球の目に見える痕跡)または顕微鏡的血尿(血液の顕微鏡的痕跡)として現れ得る。顕微鏡的血尿の確認された兆候は、少なくとも3つの適切に収集された尿試料に顕微鏡的高倍率視野(HPF)ごとに存在する3つ以上の赤血球として定義される。顕微鏡的血尿はまた、診療所でディップスティック試験法(比色比較推定値)によっても検出され得る。血尿(顕微鏡的または肉眼的のいずれか)は、無症候性(血尿に関連する追加の症状がない)または症候性であり得る。追加の症状には、排尿障害(痛みを伴う排尿)、不完全な膀胱を空にする感覚、増加した頻度もしくは排尿、または側腹痛が含まれる。
【0089】
本明細書で使用される「ALT」は、アラニントランスアミナーゼを指す。本明細書で使用される「AST」は、アスパラギン酸トランスアミナーゼを指す。
【0090】
「相乗作用」または「相乗的な」という用語は、本明細書では、2つの治療薬の組み合わせの効果が、単独で投与された場合の各薬剤の効果の合計よりも大きいことを意味するように使用される。例えば、Chou and Talalay,Advances in Enzyme Regulation(1984),22,27-55を参照のこと。「相乗的有効量」は、(「相乗的な」が本明細書で定義されるように)相乗効果をもたらす2つ以上の治療剤の組み合わせの量である。いくつかの実施形態において、相乗的に有効な量の組み合わせは、組み合わせ中の1つ以上の化合物が、化合物が単独で投与される場合に治療量以下であり得る用量で投与される場合でさえ、治療的に有効であり得る。
【0091】
様々な当該技術分野で認識されている要因、例えば、患者の身長、体重、性別、年齢、および病歴に対して、各化合物の異なる濃度を使用することができることが理解されよう。例示的な相乗効果には、治療効果の増強、効力の同等または増加レベルでの投与量の減少、薬剤耐性の発生の低減または遅延、および同時の増強または同等の治療作用(例えば、治療薬の少なくとも1つと同じ治療効果)および治療剤の少なくとも1つの望ましくない薬物効果(例えば、副作用および有害事象)の低減が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用される「相乗効果」は、効果、例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤が単独で投与される場合に観察される効果の合計よりも大きい、本明細書に記載の臨床結果を含む有益なまたは所望の結果のうちのいずれかをもたらす、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、および1つ以上の追加の治療剤(例えば、SGLT-2阻害剤)の組み合わせを指す。かかる臨床結果には、IgA腎症を治療すること、腎炎症および/または線維症を減少させること、血尿を減少させること、タンパク尿(例えば、アルブミン尿)を減少させること、eGFRを安定化させること、IgA腎症に関連する疾患フレアの数を減少させること、ESRDの発症を遅延させること、倦怠感を減少させること、メサンギウム細胞の活性化を低減させることが含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用される「相乗効果」は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤が単独で投与される場合に観察される効果の合計よりも大きい、アルブミン尿などのタンパク尿のより大きい低減をもたらす、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤の組み合わせを指す。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用される「相乗効果」は、望ましい治療効果と、望ましくない薬物効果、副作用、または有害事象の発生および/または重症度の低減とをもたらす、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤の組み合わせを指す。いくつかの実施形態において、望ましくない薬物効果、副作用、または有害事象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤の単剤療法に関連するか、またはそれらにおいて観察される。いくつかの実施形態において、望ましくない薬物効果、副作用、または有害事象は、体液貯留、貧血、悪心、便秘、喉の渇き、骨折、排尿の増加、尿路感染症、酵母感染症、膣のかゆみ、増加したLDLコレステロールレベル、増加した脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベル、急性ナトリウム貯留、およびクレアチニンレベルの急激な増加のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態において、体液貯留は、約3kgを超える体重増加と関連する。いくつかの実施形態において、増加したBNPレベルは、約300pg/mLよりも大きい。
【0095】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別途指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0096】
特に明記しない限り、本開示におけるアトラセンタンの量への任意の言及は、アトラセンタンの遊離当量に基づいている。例えば、0.75mgのアトラセンタンは、遊離形態の0.75mgのアトラセンタンまたは等量の塩形態のアトラセンタンを指す。
【0097】
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
【0098】
B.序論
IgANのほとんどの対象は、単一または一時的な肉眼的血尿で、あるいはルーチン尿検査中に顕微鏡的血尿および/またはタンパク尿の検出後に、初めて発症する。場合によっては、対象は、半月体型IgANまたは尿細管閉塞を引き起こす肉眼的血尿の結果などの急性腎障害を呈する。IgANの確定診断は、典型的には、腎生検によって確立され、IgA沈着物の免疫蛍光および/または免疫ペルオキシダーゼ研究が行われる。メサンギウム内および糸球体毛細血管壁に沿ったあまり目立たないIgAの顕著な球状沈着物(C3およびIgGを伴う場合もある)は、IgANの特徴である。長期転帰と相関する特定の組織病理学的特徴には、メサンギウム増殖、毛細血管内増殖、分節性瘢痕化、および尿細管萎縮が含まれる。
【0099】
C.治療の方法
正常で健常なヒトの腎臓では、ET-1およびET-RAの発現は維管束組織でより強く、糸球体構造ではそれほど強くない。対照的に、IgANの対象は、腎臓においてET-1およびET-RAの増加した発現を示す。その集団では、ET-1の発現は、タンパク尿と正の相関があり、ACE阻害薬の投与によって少なくとも部分的に改善される。実際、IgANの現在の治療法は、降圧薬および抗タンパク尿薬(例えば、アンギオテンシン変換酵素阻害剤および/またはアンギオテンシンII受容体遮断薬)をコルチコステロイドのコースとともに最適化して、疾患の進行を抑制する。例えば、Penfold et al.,Int.J.Nephrol.and Renovascular Dis.11,pp.137-148(2017)を参照のこと。ただし、これらの薬剤の組み合わせは、高カリウム血症などの重大な用量制限副作用を示し得、より深刻な場合にはさらなる免疫抑制が必要になり得る。
【0100】
臨床的には、IgANは、腎生検によって診断され、メサンギウム細胞の増殖および/またはマトリックスの拡大(または進行期の巣状分節性糸球体硬化症)の存在を示し、免疫蛍光でIgA(2+以上)のメサンギウム顆粒沈着が優勢である。この病態は、糖尿病性腎症などの他の進行性腎疾患とは異なり、糖尿病性腎症は、典型的には、末梢のヒアリンPAS陽性結節を伴うびまん性毛細血管基底膜肥厚、進行期の分節性または全体的な糸球体硬化症、ヒアリン沈着を伴う肥厚した動脈を呈する。例えば、Zanatta,et al.,Renal Failure,34(3),pp.308-315(2012)を参照のこと。
【0101】
したがって、一態様では、IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0102】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちのいずれかとこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病性腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV/AIDSとこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、前立腺がんとこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、急性腎不全とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)とこれまでに診断されたことがある。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病とこれまでに診断されたことがあり、糖尿病性腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病とこれまでに診断されたことがある。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病とこれまでに診断されたことがあり、糖尿病性腎症とこれまでに診断されたことがない。
【0103】
いくつかの実施形態において、対象は、現在、がんと診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、現在、がんの治療を受けていない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。
【0104】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちのいずれも有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV/AIDSを有しない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、がんを有しない。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんである。いくつかの実施形態において、対象は、急性腎不全を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、がん、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)を有する。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病を有し、糖尿病性腎症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病を有していない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病を有し、糖尿病性腎症を有しない。
【0105】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちのいずれにも罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV/AIDSに罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、がんに罹患していない。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんである。いくつかの実施形態において、対象は、急性腎不全に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、1型糖尿病または2型糖尿病などの糖尿病に罹患しているが、糖尿病性腎症には罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病に罹患しているが、糖尿病性腎症には罹患していない。
【0106】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちのいずれの治療も受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV/AIDSの治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、前立腺がんの治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、急性腎不全の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、HIV関連腎症、がん、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)の治療を受けている。いくつかの実施形態において、対象は、1型糖尿病または2型糖尿病などの糖尿病の治療を受けているが、糖尿病性腎症の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病の治療を受けている。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病の治療を受けているが、糖尿病性腎症の治療を受けていない。
【0107】
特定の実施形態において、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。いくつかの実施形態において、制御された血清グルコースレベルを有する対象は、糖尿病の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、制御された血清グルコースレベルを有する対象は、糖尿病の治療を受けている。いくつかの実施形態において、制御された血清グルコースレベルを有する対象は、2型糖尿病の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、制御された血清グルコースレベルを有する対象は、2型糖尿病の治療を受けている。いくつかの実施形態において、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。例えば、対象は、約130mg/dL、約125mg/dL、約120mg/dL、約115mg/dL、約110mg/dL、約105mg/dL、約100mg/dL、約95mg/dL、約90mg/dL、約85mg/dL、約80mg/dL、もしくは約75mg/dL未満、またはそれらの間の任意の値の空腹時血清グルコースレベルを有すると判定されている。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。
【0108】
別の態様では、IgA腎症を有する対象における腎臓の炎症および/または線維症を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0109】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象における腎臓の炎症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%減少する。特定の実施形態において、対象における腎臓の炎症は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0110】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象における腎線維症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%減少する。特定の実施形態において、対象における腎線維症は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0111】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象における腎線維症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、罹患した腎臓の皮質領域の約50%未満まで減少する。特定の実施形態において、対象における腎線維化については、皮質領域の約40%未満まで減少する。例えば、いくつかの実施形態において、対象における腎線維症は、皮質領域の約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、もしくは約10%未満、またはそれらの間の任意の値まで減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0112】
別の態様では、IgA腎症を有する対象における血尿の発生を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0113】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象における高倍率(顕微鏡)視野(rbc/hpf)当たりの尿中赤血球の数は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%減少する。特定の実施形態において、対象における尿中rbc/hpfは、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0114】
別の態様では、IgA腎症を有する対象におけるeGFRを安定化させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0115】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象におけるeGFRの減少率を低減させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%低減する。いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、またはそれらの間の任意の値低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約6カ月~約1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0116】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、約10mL/分/1.73m2未満低減する。例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)。特定の実施形態において、対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩により約6カ月~約1年間治療した後、約9mL/分/1.73m2、約8mL/分/1.73m2、約7mL/分/1.73m2、約6mL/分/1.73m2、約5mL/分/1.73m2、約4mL/分/1.73m2、約3mL/分/1.73m2、約2mL/分/1.73m2、約1mL/分/1.73m2、もしくは約0.75mL/分/1.73m2未満、またはそれらの間の任意の値低減する。年齢に伴うeGFRの典型的な低下は、例えば、約20~約30歳の対象では、年間約1mL/分/1.73m2である。
【0117】
別の態様では、IgA腎症を有する対象におけるIgA腎症関連疾患フレアの数を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、血尿に関連する疾患のフレアを減少させる。いくつかの実施形態において、本方法は、タンパク尿に関連する疾患のフレアを減少させる。いくつかの実施形態において、本方法は、全身症状に関連するIgA腎症に関連する疾患のフレアを減少させる。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書の他の箇所に記載されるように、eGFRの低下を減少させる。いくつかの実施形態において、本方法は、浮腫、倦怠感、血尿、または肉眼的血尿のうちの1つ以上を減少させる。いくつかの実施形態において、本方法は、疾患の進行にプラスの影響を与える。
【0118】
別の態様では、IgA腎症を有する対象におけるESRDの発症を遅延させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0119】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を増加させる。特定の実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約10%増加させる。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、約450%、または約500%、またはそれらの間の任意の値増加させる。
【0120】
特定の実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約1年増加させる。例えば、本方法は、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間を、少なくとも約1.5年、2年、2.5年、3年、3.5年、4年、4.5年、5年、5.5年、6年、6.5年、7年、7.5年、8年、8.5年、9年、9.5年、10年、11年、12年、13年、15年、15年、16年、17年、18年、19年、または20年遅延させ得る。
【0121】
別の態様では、IgA腎症を有する対象のタンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0122】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%低減する。いくつかの実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、少なくとも約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0123】
特定の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約2日~約30日後、約20%~約80%低減する。特定の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約20%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約25%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約30%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約35%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約40%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約45%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約50%~約80%低減する。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量に関連している。
【0124】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約100mg/dL~約3,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約2,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約2,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約1,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約1,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約400mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約300mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約200mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約2,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約2,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約1,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約1,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約800mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約600mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約700mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約1,000mg/dL~約2,000mg/dL低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量に関連している。
【0125】
特定の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約100mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約200mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約300mg/dL~約500mg/dL低減する。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量に関連している。
【0126】
特定の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約500mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約600mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約700mg/dL~約900mg/dL低減する。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量に関連している。
【0127】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、20週間、30週間、40週間、50週間、60週間、70週間、80週間、90週間、100週間、110週間、120週間、130週間、140週間、150週間、160週間、170週間、180週間、190週間、または200週間治療後)、約1.0グラム/日未満の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.9グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.8グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.7グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.6グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.5グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.4グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.3グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。特定の実施形態において、対象は、約0.2グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量に関連している。
【0128】
別の態様では、IgA腎症を有する対象の倦怠感を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していないと判定されている。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症に罹患していないと判定されている。特定の実施形態において、対象は、HIV関連の神経障害に罹患していないと判定されている。特定の実施形態において、対象は、前立腺がんに罹患していないと判定されている。特定の実施形態において、対象は、急性腎不全に罹患していないと判定されている。
【0129】
いくつかの実施形態において、IgA腎症を有する対象の倦怠感は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約5%~約80%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約60%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約55%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約50%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約45%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約40%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約35%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約30%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約25%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約20%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約15%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約60%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約55%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約50%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約45%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約40%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約35%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約20%~約30%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約60%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約55%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約50%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約45%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約30%~約40%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約60%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約55%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約40%~約50%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約50%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約50%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約50%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約50%~約60%低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。特定の実施形態において、倦怠感の減少は、倦怠感重症度スケール、Chalder倦怠感スケール、FACIT倦怠感スケール、簡易倦怠感一覧表、FACT-Fサブスケール、全体的な活力および影響、May and Kline形容詞チェックリスト、Pearson-Byars倦怠感感情チェックリスト、Rhoten倦怠感スケール、倦怠感およびアネルギーのスケジュール、視覚的アナログスケール、またはチェックリストの個々の強さ、のうちの1つ以上のスコアの減少を含む。前述の実施形態において、IgA腎症を有する対象が経験する倦怠感の低減は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の開始前に対象が経験する倦怠感に関連している。いくつかの実施形態において、倦怠感の減少は、簡易倦怠感一覧表のスコアの減少を含む。
【0130】
対象の選択
本明細書の他の箇所に記載されるようなIgA腎症を有する対象は、当技術分野で既知である1つ以上の方法を使用して診断することができる。非限定的な例には、腎生検、ガラクトース欠損IgA(例えば、Gd-IgA1)を検出すること、抗グリカン抗体を検出すること、腎臓におけるIgA免疫複合体の沈着を検出すること、または前述のうちのいずれかの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態において、IgA腎症の診断は、腎臓におけるIgA免疫複合体の沈着を検出することを含む。特定の実施形態において、IgA腎症の診断は、腎生検を含む。特定の実施形態において、IgA腎症の診断は、ガラクトース欠損IgAを検出することを含む。特定の実施形態において、IgA腎症の診断は、抗グリカン抗体(例えば、KM55)を検出することを含む。特定の実施形態において、IgA腎症の診断は、腎生検と、それに続く(例えば、光学顕微鏡法および/または免疫蛍光顕微鏡法によって)腎臓におけるIgA免疫複合体の沈着を検出することを含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、対象における特定のタンパク質の存在および/またはレベルは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に判定される。例えば、Gd-IgA1の血清レベル、Gd-IgA1に特異的な自己抗体の血清レベル、ならびに/またはIgA1含有免疫複合体の血清および/もしくは尿レベル。例えば、Knoppova,et al.,Front.Immunol.,Vol.17,Art.117(2016)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与前に、90パーセンタイル以上のGd-IgAレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与前に、95パーセンタイル以上のGd-IgAレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象のGd-IgAレベルは、約6カ月~1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、90パーセンタイル未満に減少する。
【0132】
特定の実施形態において、対象は、糸球体の約50%以上(例えば、約60%以上、約70%以上、または約80%以上)にメサンギウム細胞性を有し、メサンギウム細胞性は、糸球体の任意のメサンギウム領域において4つを超えるメサンギウム細胞として定義される。特定の実施形態において、管内性細胞増多(endocapillary hypercellularity)は、対象に存在し、管内性細胞増多は、糸球体毛細血管管腔内の増加した細胞数による細胞増多として定義される。特定の実施形態において、分節性硬化症は、対象に存在し、分節性硬化症は、糸球体房全体ではなく一部における接着または硬化症(マトリックスによる毛細血管管腔の閉塞)として定義される。特定の実施形態において、対象は、皮質領域の約50%以上(例えば、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、または約80%以上)に尿細管萎縮/間質性線維症を有し、尿細管萎縮/間質性線維症は、尿細管萎縮または間質性線維症を示す皮質領域の推定パーセンテージとして定義される。特定の実施形態において、対象は、糸球体上に三日月形が存在する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、糸球体の約25%未満(例えば、約20%、約15%、約10%、または約5%未満)に三日月形が存在する。特定の実施形態において、対象は、Oxford MEST-C分類体系の下で、M1、E1、S1、T1もしくはT2、および/またはC0もしくはC1のMEST-Cスコアを有する。Oxford MEST-C分類体系は、Kidney International(2009)76,546-556およびNature Reviews Nephrology(2017)13,385-386で定義されており、これらの各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(Kidney Research and Clinical Practice(2016)35,197-203;およびIgA Nephropathy in Medscape(2019年11月4日にアクセスされる)も参照されたく、これらの各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる))。
【0133】
いくつかの実施形態において、対象は、ESRDに進行するリスクが高い。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1日当たり平均約1グラム以上のタンパク質を尿中に排泄している。特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、60mL/分/1.73m2以下(例えば、約55以下、約50以下、約45以下、約40以下、約35以下)の平均eGFRを有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、30mL/分/1.73m2超のeGFRを有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、1日当たり平均約1グラム以上のタンパク質を尿中に排泄している。例えば、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1日当たり平均約1.1グラム、1.2グラム、1.3グラム、1.4グラム、1.5グラム、1.6グラム、1.7グラム、1.8グラム、1.9グラム、2.0グラム、2.1グラム、2.2グラム、2.3グラム、2.4グラム、2.5グラム、2.6グラム、2.7グラム、2.8グラム、2.9グラム、3.0グラム、3.1グラム、3.2グラム、3.3グラム、3.4グラム、3.5グラム、5グラム、7.5グラム、もしくは10グラム、またはそれらの間の任意の値のタンパク質を尿中に排泄し得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、1日当たり平均約0.3グラム~約2グラムのタンパク質を尿中に排泄している。例えば、対象は、少なくとも約3カ月間、1日当たり約0.3グラム~0.5グラム、0.5グラム~1グラム、約0.5グラム~1.5グラム、約1グラム~1.5グラム、または約1.5グラム~2グラムのタンパク質を尿中に排泄し得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、1年間、3回の連続した測定のうちの少なくとも2回で、1日当たり少なくとも約1グラムのタンパク質を尿中に排泄している。例えば、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、1年間、3回の連続した測定のうちの少なくとも2回で、1日当たり約1.1グラム、1.2グラム、1.3グラム、1.4グラム、1.5グラム、1.6グラム、1.7グラム、1.8グラム、1.9グラム、2.0グラム、2.1グラム、2.2グラム、2.3グラム、2.4グラム、2.5グラム、2.6グラム、2.7グラム、2.8グラム、2.9グラム、3.0グラム、3.1グラム、3.2グラム、3.3グラム、3.4グラム、3.5グラム、5グラム、7.5グラム、もしくは10グラムのタンパク質、またはそれらの間の任意の値のタンパク質を尿中に排泄している。
【0137】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、少なくとも約300mg/g、例えば、300mg/g~約5,000mg/gのUACR値を有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約800mg/g、例えば、800mg/g~約5,000mg/gのUACR値を有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、少なくとも約500mg/g、約600mg/g、約700mg/g、約800mg/g、約900mg/g、約1,000mg/g、約1,500mg/g、約2,000mg/g、約2,500mg/g、約3,000mg/g、約3,500mg/g、約4,000mg/g、約4,500mg/g、または約5,000mg/g、またはそれらの間の任意の値のUACR値を有する。
【0138】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、対象の平均UACR値と比較して、少なくとも約30%のUACR値の減少、例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、対象の平均UACR値と比較して、約30%~約100%の減少を有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、対象の平均UACR値と比較して、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%、またはそれらの間の任意の値のUACR値の減少を有する。いくつかの実施形態において、UACR値の減少を有する対象はまた、有意なナトリウム貯留および/または有意な体液貯留を経験しない。いくつかの実施形態において、有意な体液貯留は、6週間にわたって、約1kg~約4kg、例えば、約4kg、約3.5kg、約3kg、約2.5kg、約2kg、約1.5kg、もしくは約1kg、または6週間以上にわたって任意の値であり得る。いくつかの実施形態において、有意な体液貯留を有する対象は、浮腫の臨床症状を示す。
【0139】
特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、約3カ月間、約4カ月間、約5カ月間、約6カ月間、約7カ月間、約8カ月間、約9カ月間、約10カ月間、約11カ月間、約12カ月間、約1.5年間、または約2年間)、約20~約90mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する。例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、約20~約50mL/分/1.73m2、約30~約60mL/分/1.73m2、約40~約70mL/分/1.73m2、約50~約80mL/分/1.73m2、または約60~約90mL/分/1.73m2。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、60mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、55mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、50mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、45mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、40mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、35mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、25mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。特定の実施形態において、対象は、少なくとも約3カ月間、20mL/分/1.73m2以下の平均eGFRを有する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも3カ月間、約30mL/分/1.73m2~約60mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する。例えば、対象は、約30mL/分/1.73m2~約55mL/分/1.73m2、約30mL/分/1.73m2~約50mL/分/1.73m2、約30mL/分/1.73m2~約45mL/分/1.73m2、または約30mL/分/1.73m2~約40mL/分/1.73m2の平均eGFRを有し得る。
【0140】
特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、約30mL/分/1.73m2~約45mL/分/1.73m2、例えば、約45以下、約40以下、約35以下、または約30以下の平均eGFRを有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約25mL/分/1.73m2~約75mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する。例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間、約25mL/分/1.73m2、約30mL/分/1.73m2、約35mL/分/1.73m2、約40mL/分/1.73m2、約45mL/分/1.73m2、約50mL/分/1.73m2、約55mL/分/1.73m2、約60mL/分/1.73m2、約65mL/分/1.73m2、約70mL/分/1.73m2、約75mL/分/1.73m2、またはそれらの間の任意の値。
【0141】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、約4%~約6%の平均HbA1cを有する。例えば、対象は、約4.2%、約4.4%、約4.6%、約4.8%、約5.0%、約5.2%、約5.4%、約5.6%、約5.8%、もしくは約6、またはそれらの間の任意の値の平均HbA1cを有し得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、約125mg/dL以下の平均空腹時血糖値を有する。例えば、対象は、約120mg/dL、約115mg/dL、約110mg/dL、約105mg/dL、約100mg/dL、約95mg/dL、約90mg/dL、約85mg/dL、約80mg/dL、もしくは約75mg/dL、またはそれらの間の任意の値の平均空腹時血糖値を有し得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、対象は、カリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する。特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、カリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する。特定の実施形態において、対象は、カリウムレベルを3.5~5.2mEq/L以内に維持する。例えば、対象は、約3.5mEq/L、約3.6mEq/L、約3.7mEq/L、約3.8mEq/L、約3.9、約mEq/L、約4.0mEq/L、約4.1mEq/L、約4.2mEq/L、約4.3mEq/L、約4.4mEq/L、約4.5mEq/L、約4.6mEq/L、約4.7mEq/L、約4.8mEq/L、約4.9mEq/L、約5.0mEq/L、約5.1mEq/L、もしくは約5.2mEq/L、またはそれらの間の任意の値の平均カリウムレベルを維持する。
【0144】
いくつかの実施形態において、対象は、ナトリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する。特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、カリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する。特定の実施形態において、対象は、ナトリウムレベルを135~145mEq/L以内に維持する。例えば、対象は、約135mEq/L、約136mEq/L、約137mEq/L、約138mEq/L、約139mEq/L、約140mEq/L、約141mEq/L、約142mEq/L、約143mEq/L、約144mEq/L、約もしくは145mEq/L、またはそれらの間の任意の値の平均ナトリウムレベルを維持する。
【0145】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、ALT/ASTレベルとほぼ同じであるALT/ASTレベルを、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する。例えば、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、レベルの約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約もしくは2.5%、またはそれらの間の任意の値の範囲内のALT/ASTレベルをアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する。
【0146】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、ビリルビンレベルとほぼ同じであるビリルビンレベルを、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する。例えば、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、レベルの約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、もしくは約2.5%、またはそれらの間の任意の値の範囲内のビリルビンレベルを、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する。
【0147】
いくつかの実施形態において、対象における体液貯留は、(例えば、アトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩による治療中、および/またはアトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩の第1の投与前に)利尿薬で管理可能である。例えば、体液貯留は、6週間にわたって約3キログラム(kg)未満の体重増加であり得る。いくつかの実施形態において、体液貯留は、6週間以上にわたって、約4kg、約3.5kg、約3kg、約2.5kg、約2kg、約1.5kg、もしくは約1kg未満、またはそれらの間の任意の値である。
【0148】
いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に開示されるように、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、実質的に同時に、または投与の後に、手術および/または他のレジメンを受ける。いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に開示されるように、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、実質的に同時に、または投与の後に、他の化学的および/または生物学的治療剤を投与される。
【0149】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約60週間、レニン-アンギオテンシン系のうちの1つ以上の阻害剤を受けている。例えば、いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約12週間、約24週間、約48週間、もしくは約60週間、またはそれらの間の任意の値の間、レニン-アンギオテンシン系のうちの1つ以上の阻害剤を受けている。
【0150】
いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上のレニン-アンギオテンシン系阻害剤の最大に許容される安定した用量を受けている。例えば、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約25週間、約30週間、約35週間、約40週間、約45週間、もしくは約50週間、またはそれらの間の任意の値の間、1つ以上のレニン-アンギオテンシン系阻害剤の最大に許容される安定した用量を受け得る。いくつかの実施形態において、レニン-アンギオテンシン系のうちの1つ以上の阻害剤は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、レニン阻害剤、およびアルドステロンアンタゴニストからなる群から選択される。例えば、レニン-アンギオテンシン系のうちの1つ以上の阻害剤は、ACE阻害剤、ARB、またはそれらの組み合わせであり得、ACE阻害剤またはARBは、本明細書の他の箇所でも記載され得る。例えば、ACE阻害薬は、キナプリル、フォシノプリル ペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル、リシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル、レシナミン、およびピボプリルから選択することができる。例えば、ARBは、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、アジルサルタンメドキソミル、およびBRA-657から選択することができる。
【0151】
いくつかの実施形態において、対象はまた、1つ以上の追加の薬剤を投与されている。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、カルシニューリン阻害剤、プロテアソーム阻害剤、アミノキノリン、補体阻害剤、B細胞阻害剤、細胞毒性剤、mTOR阻害剤、およびステロイドから選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤の投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、減少する。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、免疫抑制剤である。
【0152】
いくつかの実施形態において、対象は、現在、1つ以上の追加の薬剤を受けていない。特定の実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、6カ月以内に2週間以上、1つ以上の追加の薬剤を使用しなかった。
【0153】
いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、カルシニューリン阻害剤、プロテアソーム阻害剤、アミノキノリン、補体阻害剤、B細胞阻害剤、細胞毒性剤、mTOR阻害剤、およびステロイドから選択される。
【0154】
特定の実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ステロイドである。例えば、1つ以上の追加の薬剤は、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、シクロスポリン、および前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0155】
特定の実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、アミノキノリンである。例えば、1つ以上の追加の薬剤は、ヒドロキシクロロキンであり得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンによる治療時に1つ以上の追加の薬剤を受けている。特定の実施形態において、1つ以上の追加の薬剤の投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、20週間、30週間、40週間、50週間、60週間、70週間、80週間、90週間、100週間、110週間、120週間、130週間、140週間、150週間、160週間、170週間、180週間、190週間、または200週間の治療後)に、減少する。これらの実施形態のいくつかにおいて、1つ以上の追加の薬剤の投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、追加の薬剤の投与量は、約10%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約15%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約20%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約25%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約30%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約35%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約40%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約45%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約50%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約55%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約60%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約65%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約70%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約75%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約80%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約85%~約100%減少する。特定の実施形態において、追加の薬剤の投与量は、約90%~約100%減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、1つ以上の追加の薬剤の投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日(例えば、約15日、約20日、約25日、または約30日)後に、減少する。本明細書に記載されるように追加の薬剤の投与量が100%減少すると、対象は、もはや追加の薬剤を必要としない。
【0157】
特定の実施形態において、1つ以上のステロイドの投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、減少する。いくつかの実施形態において、ステロイドの投与量は、本明細書に記載されるように、約10%~約100%減少する。いくつかの実施形態において、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、シクロスポリン、または前述のうちのいずれかの組み合わせの投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に、約10%~約100%低減する。
【0158】
特定の実施形態において、1つ以上のアミノキノリンの投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、例えば、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、減少する。いくつかの実施形態において、アミノキノリンの投与量は、本明細書に記載されるように、約10%~約100%減少する。いくつかの実施形態において、ヒドロキシクロロキンの投与量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に、約10%~約100%低減する。
【0159】
いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上の追加の治療剤を同時に受けている。1つ以上の追加の治療剤が、本明細書に記載されている。例えば、対象は、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系のうちの1つ以上の要素の阻害剤を同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、SGLT-2阻害剤、ACE阻害剤、ARB、スタチン、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、魚油、ヒドロキシクロロキン、または前述のいずれかの組み合わせを同時に受けている。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、SGLT-2阻害剤を同時に受けている。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、ACE阻害剤、ARB、またはそれらの組み合わせを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびピタバスタチンなどの1つ以上のスタチンを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、キネタゾン、メトラゾン、クロロチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メチクロチアジドベメタニド、トルセミド、ピレタニド、エタクリン酸、ブメタニド、フロセミド、トリアムテレン、スピロノラクトン、エプレレノン、およびアミロリドなどの1つ以上の利尿薬を同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、またはエルツグリフロジンなどのSGLT-2阻害剤を同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、キナプリル、フォシノプリル ペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル、リシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル、レシナミン、およびピボプリルなどの1つ以上のACE阻害剤を同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、アジルサルタンメドキソミル、およびBRA-657などのARBを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、利尿薬およびACE阻害剤またはARBを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、利尿薬、ACE阻害剤、およびARBを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、利尿薬およびSGLT-2阻害剤、ならびにACE阻害剤またはARBを同時に受けている。特定の実施形態において、対象は、利尿薬、SGLT-2阻害剤、ACE阻害剤、およびARBを同時に受けている。特定の実施形態において、1つ以上の追加の治療剤を同時に受けている対象は、1つ以上の治療剤をこれまでに受けたことがなかった。例えば、SGLT-2阻害薬をこれまでに受けたことがなかったSGLT-2阻害薬を同時に受けている対象。
【0160】
いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に記載されるものなどの1つ以上の追加の治療剤をこれまで受けたことがあるが、同時に受けていない。例えば、対象は、本明細書に記載されるように、SGLT-2阻害剤、ACE阻害剤、ARB、スタチン、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、魚油、ヒドロキシクロロキン、または前述のいずれかの組み合わせをこれまでに受けたことがあるが、同時に受けていない。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象は、SGLT-2阻害剤をこれまでに受けたことがあるが、同時に受けていない。
【0161】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、6カ月以内に糸球体の約25%以下に存在する細胞性糸球体半月体を有する。例えば、対象は、糸球体の約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、もしくは約1%、またはそれらの間の任意の値に存在する細胞性糸球体半月体を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、糸球体に存在する細胞性糸球体半月体を有しない。特定の実施形態において、対象は、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の臨床的疑いの下ではない。
【0162】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、臓器移植を受けていない。
【0163】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、約160mmHg未満の収縮期血圧を有する。例えば、対象は、約155mmHg未満、約150mmHg未満、約145mmHg未満、または約140mmHg未満の収縮期血圧であり得る。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、約100mmHg未満の拡張期血圧を有する。例えば、対象は、約100mmHg未満、約95mmHg未満、または約90mmHg未満の拡張期血圧を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、約100mmHg~約130mmHgの収縮期血圧および約70mmHg~約90mmHgの拡張期血圧を有する。
【0164】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、心不全と診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、体液過剰に関連する状態のためにこれまでに入院したことがない。状態の非限定的な例には、制御されていない末梢浮腫、胸水、または腹水が含まれる。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、臨床的に重要な肝疾患と診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象のトランスアミナーゼまたはビリルビン値は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、通常の上限の2倍以下である。例えば、対象のALTレベルは、約110U/L未満(例えば、約100U/L未満、90U/L未満、約80U/L未満、約70U/L未満、約60U/L未満、約50U/L未満、もしくは約40U/L未満、またはそれらの間の任意の値)である。別の例として、対象のASTレベルは、100U/L未満(例えば、90U/L未満、約80U/L未満、約70U/L未満、約60U/L未満、約50U/L未満、もしくは約40U/L未満、またはそれらの間の任意の値)である。さらに別の例として、対象のビリルビンレベルは、約2.5mg/dL未満(例えば、約2mg/dL未満、約1.5mg/dL未満、約1.4mg/dL未満、約1.3mg/dL未満、約1.2mg/dL未満、約1.1mg/dL未満、約1.0mg/dL未満、もしくは約0.9mg/dL未満、またはそれらの間の任意の値)である。
【0165】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、約9g/dL超(例えば、約10g/dL、約11g/dL、約12g/dL、もしくは約13g/dL超、またはそれらの間の任意の値)のヘモグロビンレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間(例えば、約4カ月間、約5カ月間、約6カ月間、または約1年間)、貧血に対して輸血を受けたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも5年間、がんと診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも5年間、がん(例えば、肺がんまたは前立腺がん)と診断されたことがない。いくつかの実施形態において、がんが進行中の治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも5年間、がんと診断されたことがない。いくつかの実施形態において、がんが進行中の治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、がんを有しない。いくつかの実施形態において、対象は、がんが進行中の治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、がんに罹患していない。いくつかの実施形態において、がんが進行中の治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも5年間、がんの治療を受けていない。
【0166】
本明細書の方法、使用、または使用のための製品のいくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。本明細書の方法、使用、または使用のための製品のいくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、がん(例えば、前立腺がんまたは肺がん)、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、がん(例えば、肺がん、または前立腺がん)、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、HIV/AIDSとこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、急性腎不全とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、がんと診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、前立腺がんと診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、肺がんと診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、および急性腎不全のうちのいずれか1つとこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つとこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つとこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、および急性腎不全のうちのいずれか1つとこれまでに診断されたことがない。本明細書の方法、使用、または使用のための製品のいくつかの実施形態において、対象は、糖尿病とこれまでに診断されたことがない。本明細書の方法、使用、または使用のための製品のいくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病とこれまでに診断されたことがない。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。
【0167】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症を有していない。特定の実施形態において、対象は、HIV/AIDSを有していない。特定の実施形態において、対象は、急性腎不全を有していない。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症を有していない。特定の実施形態において、対象は、前立腺がんを有していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、および急性腎不全のうちのいずれか1つも有していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つも有していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つも有していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、および急性腎不全のうちのいずれか1つも有していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病を有していない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病を有していない。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。
【0168】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、HIV/AIDSに罹患していない。特定の実施形態において、対象は、急性腎不全に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、前立腺がんに罹患していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、および急性腎不全のうちのいずれか1つも罹患していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つも罹患していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つも罹患していない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、および急性腎不全のうちのいずれか1つも罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病に罹患していない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病に罹患していない。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。
【0169】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、HIV/AIDSの治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、急性腎不全の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、前立腺がんの治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、および急性腎不全のうちのいずれか1つの治療も受けていない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つの治療も受けていない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、および急性腎不全のうちのいずれか1つの治療も受けていない。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、および急性腎不全のうちのいずれか1つの治療も受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、対象は、2型糖尿病の治療を受けていない。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。
【0170】
いくつかの実施形態において、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されているか、または対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されている。例えば、対象は、約130mg/dL、約125mg/dL、約120mg/dL、約115mg/dL、約110mg/dL、約105mg/dL、約100mg/dL、約95mg/dL、約90mg/dL、約85mg/dL、約80mg/dL、もしくは約75mg/dL未満、またはそれらの間の任意の値の空腹時血清グルコースレベルを有すると判定されている。特定の実施形態において、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、本明細書の他の箇所に記載されるように、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、対象は、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上と診断されたことがない。
【0171】
いくつかの実施形態において、対象は、IgA腎症以外の慢性腎臓病とこれまでに診断されたことがない。非限定的な例には、糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、またはIgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症が含まれる。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎疾患とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、高血圧性腎疾患とこれまでに診断されたことがない。特定の実施形態において、対象は、IgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症と診断されたことがない。
【0172】
いくつかの実施形態において、対象は、IgA腎症以外の慢性腎臓病を有しない。非限定的な例には、糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、またはIgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症が含まれる。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎疾患を有しない。特定の実施形態において、対象は、高血圧性腎疾患を有しない。特定の実施形態において、対象は、IgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症を有しない。
【0173】
いくつかの実施形態において、対象は、IgA腎症以外の慢性腎臓病に罹患していない。非限定的な例には、糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、またはIgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症が含まれる。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎疾患に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、高血圧性腎疾患に罹患していない。特定の実施形態において、対象は、IgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症に罹患していない。
【0174】
いくつかの実施形態において、対象は、IgA腎症以外の慢性腎臓病の治療を受けていない。非限定的な例には、糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、またはIgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症が含まれる。特定の実施形態において、対象は、糖尿病性腎疾患の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、高血圧性腎疾患の治療を受けていない。特定の実施形態において、対象は、IgA腎症と関連しないと判定される原発性糸球体症の治療を受けていない。
【0175】
治療成果
本明細書の方法、使用、または使用のための製品のいくつかの実施形態において、腎炎症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少する。いくつかの実施形態において、対象における腎臓の炎症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%減少する。いくつかの実施形態において、対象における腎臓の炎症は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0176】
いくつかの実施形態において、腎線維症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少する。いくつかの実施形態において、対象における腎線維症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%減少する。特定の実施形態において、対象における腎線維症は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0177】
いくつかの実施形態において、対象における腎線維症は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、皮質領域の約50%未満減少する。特定の実施形態において、対象における腎線維症は、皮質領域の約40%未満減少する。例えば、いくつかの実施形態において、対象における腎線維症は、皮質領域の約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、もしくは約10%未満、またはそれらの間の任意の値まで減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0178】
いくつかの実施形態において、血尿の発生は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後、対象において減少する。いくつかの実施形態において、対象における高倍率(顕微鏡)視野(rbc/hpf)当たりの尿中赤血球の数は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、または約200週間の治療後)、少なくとも約10%減少する。特定の実施形態において、対象における尿中rbc/hpfは、少なくとも約20%減少する。例えば、いくつかの実施形態において、対象における尿中rbc/hpfは、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値減少する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0179】
いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、2週間、3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%低減する。特定の実施形態において、対象のeGFRの減少率は、少なくとも約20%低減する。例えば、いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約6カ月~約1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0180】
いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、年間約10mL/分未満低減する。いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、年間約9mL/分未満低減する。例えば、いくつかの実施形態において、対象のeGFRの減少率は、年間約8mL/分未満、年間約7mL/分未満、年間約6mL/分未満、年間約5mL/分未満、年間約4mL/分未満、年間約3mL/分未満、年間約2mL/分未満、もしくは年間約1mL/分未満、またはそれらの間の任意の値低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約6カ月~約1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0181】
いくつかの実施形態において、ESRDを発症する対象のリスクは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約20%~約99%低減する。例えば、ESRDを発症する対象のリスクは、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、もしくは約99%、またはそれらの間の任意の値低減し得る。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約90日~約180日間、治療を受けている。特定の実施形態において、ESRDを発症する対象のリスクは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約90日~約180日後、約20%~約99%低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約6カ月~約1年間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0182】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが約15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間増加させる。特定の実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約10%増加させる。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、約450%、もしくは約500%、またはそれらの間の任意の値増加させる。
【0183】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象におけるIgA腎症の診断と、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間との間の時間を少なくとも約1年増加させる。例えば、本方法は、対象のeGFRが15mL/分/1.73m2を下回る時間を、少なくとも約1.5年、約2年、約2.5年、約3年、約3.5年、約4年、約4.5年、約5年、約5.5年、約6年、約6.5年、約7年、約7.5年、約8年、約8.5年、約9年、約9.5年、約10年、約11年、約12年、約13年、約15年、約15年、約16年、約17年、約18年、約19年、もしくは約20年、またはそれらの間の任意の値遅延させ得る。
【0184】
いくつかの実施形態において、本方法は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間(例えば、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11カ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約1.5年間、または少なくとも約2年間)、eGFRの平均減少率を、約0.75mL/分/年~約6mL/分/年低減する。例えば、本方法は、eGFRの平均減少率を、約0.75mL/分/年、約1mL/分/年、約1.5mL/分/年、約2mL/分/年、約2.5mL/分/年、約3mL/分/年、約3.5mL/分/年、約4mL/分/年、約4.5mL/分/年、約5mL/分/年、約5.5mL/分/年、または約6mL/分/年低減する。いくつかの実施形態において、本方法は、アトラセンタンまたは薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、eGFRの平均減少率を約4mL/分/年~約5mL/分/年低減する。いくつかの実施形態において、本方法は、アトラセンタンまたは薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、eGFRの平均減少率を約3mL/分/年~約6mL/分/年低減する。いくつかの実施形態において、本方法は、アトラセンタンまたは薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、eGFRの平均減少率を約4mL/分/年~約5mL/分/年低減する。いくつかの実施形態において、mL/分/年でのeGFRの減少は、1.73m2当たりの単位を指す。
【0185】
いくつかの実施形態において、本方法は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月~約24カ月後に、eGFRの平均減少率を約15%~約30%低減する。いくつかの実施形態において、eGFRの平均減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、または24カ月後に、約15%低減し得る。いくつかの実施形態において、eGFRの平均減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、または24カ月後に、約20%低減し得る。いくつかの実施形態において、eGFRの平均減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、または24カ月後に、約25%低減し得る。いくつかの実施形態において、eGFRの平均減少率は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、または24カ月後に、約30%低減し得る。
【0186】
別の態様では、タンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0187】
いくつかの実施形態において、対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、少なくとも約10%低減する。いくつかの実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、少なくとも約15%低減する。例えば、いくつかの実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの間の任意の値低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0188】
特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約20%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約25%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約30%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約35%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約40%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約45%~約80%低減する。これらの実施形態のいくつかにおいて、対象の尿中のタンパク質の量は、約50%~約80%低減する。
【0189】
いくつかの実施形態において、対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約100mg/dL~約3,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約2500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約2,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約1,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約1,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約400mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約300mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約100mg/dL~約200mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約2,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約2,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約1,500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約1,000mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約500mg/dL~約800mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約600mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約700mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、約1,000mg/dL~約2,000mg/dL低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0190】
特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約100mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約200mg/dL~約500mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約300mg/dL~約500mg/dL低減する。
【0191】
特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約500mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約600mg/dL~約900mg/dL低減する。特定の実施形態において、対象の尿中のタンパク質の量は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後、約700mg/dL~約900mg/dL低減する。
【0192】
いくつかの実施形態において、対象は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、または約200週間の治療後)、約1.0グラム/日未満の尿中のタンパク質(例えば、アルブミン)の低減したレベルを有する。いくつかの実施形態において、対象は、約0.9グラム/日未満の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。例えば、いくつかの実施形態において、対象は、約0.8グラム/日未満、約0.7グラム/日、約0.6グラム/日、0.5グラム/日、約0.4グラム/日、約0.3グラム/日、もしくは約0.2グラム/日、またはそれらの間の任意の値の尿中のタンパク質の低減したレベルを有する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。
【0193】
いくつかの実施形態において、対象は、約15歳~約40歳である。いくつかの実施形態において、対象は、約15~約25歳、約20~約30歳、約25~約35歳、約30~約40歳、またはそれらの間の任意の年齢である。いくつかの実施形態において、対象は、約20~約30歳、またはそれらの間の任意の年齢である。いくつかの実施形態において、対象は、約20歳、約21歳、約22歳、約23歳、約24歳、約25歳、約26歳、約27歳、約28歳、約29歳、または約30歳である。
【0194】
いくつかの実施形態において、患者の倦怠感のレベルは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に低減する。いくつかの実施形態において、倦怠感は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約5%~約80%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約75%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約70%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約65%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約60%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約55%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約50%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約45%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約40%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約35%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約30%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約25%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約20%低減する。特定の実施形態において、倦怠感は、約10%~約15%低減する。前述の実施形態のいくつかにおいて、対象は、約15日~約30日間、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩で治療されている。特定の実施形態において、倦怠感の減少は、倦怠感重症度スケール、Chalder倦怠感スケール、FACIT倦怠感スケール、簡易倦怠感一覧表、FACT-Fサブスケール、全体的な活力および影響、May and Kline形容詞チェックリスト、Pearson-Byars倦怠感感情チェックリスト、Rhoten倦怠感スケール、倦怠感およびアネルギーのスケジュール、またはチェックリストの個々の強さ、のうちの1つ以上のスコアの減少を含む。
【0195】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるメサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態は、IgA腎症を有する対象におけるメサンギウム細胞におけるPDGFシグナル伝達活性を阻害する(例えば、PIK3R1、PDGFRA、NFKBIA、PIK3CG、PLA2G4A、TIAM1、PDGFB、NFKB1、およびMAP3K1のうちの1つ以上の発現および/または活性を低減する)方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法を提供する。
【0197】
いくつかの実施形態は、サンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、メサンギウム細胞を、有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態において、メサンギウム活性化は、IgA免疫複合体によって誘導される。いくつかの実施形態において、メサンギウム活性化は、IgA免疫複合体の存在と関連している。IgA免疫複合体の存在および/または量は、様々な方法によって検出され得る。例えば、複合体は、血清または尿で検出され得、腎生検試料中でも検出され得る。
【0199】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を阻害することは、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を阻害することは、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を低減させることは、IL6、MCP1、またはメサンギウム細胞の炎症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を低減させることは、IL-6の発現および/または活性を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約25%~約99%低減する。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性は、約25%~約50%、約40%~約60%、約50%~約75%、約60%~約80%、約75%~約90%、約85%~約99%、またはそれらの間の任意の値低減する。例えば、いくつかのそのような実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、IL-6であり得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を阻害することは、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を低減させることは、IL-6シグナル伝達を低減させること(例えば、IL-6シグナル伝達経路に関与する1つ以上のタンパク質における発現および/または活性を低減させること、例えば、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、およびIl1r1のうちの1つ以上の低減)を含む。いくつかの実施形態において、メサニアル細胞の炎症を低減させることは、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の発現および/または活性を低減させることを含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を阻害することは、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることは、NF-κB、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、NF-κB、TGF、PDGF、CTGF、MMP、およびTIMPSのうちの1つ以上の発現および/または活性は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前の発現および/または活性と比較して、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約25%~約99%低減する。いくつかの実施形態において、NF-κB、TGF、PDGF、CTGF、MMP、およびTIMPSのうちの1つ以上の発現および/または活性は、約25%~約50%、約40%~約60%、約50%~約75%、約60%~約80%、約75%~約90%、約85%~約99%、またはそれらの間の任意の値低減する。
【0202】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を阻害することは、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、線維性反応を低減させることは、NF-κBシグナル伝達を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、線維性反応を低減させることは、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の発現および/または活性を低減させること、ならびに/あるいはEhd1、Snn、Tnfaip8、Ackr3、Id2、Ccn1、Efna1、Ccnd1、Cdkn1a、Pnrc1(構成要素がNF-κBシグナル伝達を阻害する場合)のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の発現および/または活性を増加させることを含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、線維性反応を低減させることは、PDGFシグナル伝達を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、線維性反応を低減させることは、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、Pdgfb、Nfkb1のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の発現および/または活性を低減させること、ならびに/あるいはHras(構成要素がPDGFシグナル伝達を阻害する場合)のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の発現および/または活性を増加させることを含む。
【0204】
いくつかの実施形態において、NF-κBおよび/またはPDGFの発現および/または活性の発現および/または活性は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前の発現および/または活性と比較して、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約25%~約99%低減する。いくつかの実施形態において、NF-κBおよび/またはPDGFの発現および/または活性は、約25%~約50%、約40%~約60%、約50%~約75%、約60%~約80%、約75%~約90%、約85%~約99%、またはそれらの間の任意の値低減する。
【0205】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることは、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることは、メサンギウム細胞による1つ以上の過剰なマトリックス分泌の発現および/または活性を低減させることを含む。
【0206】
いくつかの実施形態は、IgA免疫複合体と接触しているメサンギウム細胞の活性化を低減させる方法であって、メサンギウム細胞を、有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法を提供する。メサンギウム細胞の活性化を低減することは、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を低減させることは、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の炎症を低減させることは、IL6、MCP1、またはメサンギウム細胞の炎症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を低減させることは、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることは、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることは、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることは、メサンギウム細胞による過剰なマトリックス分泌を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を低減させることは、望ましくないメサンギウム細胞の遊走を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞遊走を低減させることは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に生じる。いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞遊走を低減させることは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約3カ月~約6カ月後に生じる。
【0211】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化を低減させることは、望ましくないメサンギウム細胞の増殖を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞の増殖を低減させることは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日から約30日後に生じる。いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞の増殖を低減させることは、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約3カ月~約6カ月後に生じる。
【0212】
いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞の増殖は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後)、約25%~約99%低減する。いくつかの実施形態において、望ましくないメサンギウム細胞の増殖は、約25%~約50%、約40%~約60%、約50%~約75%、約60%~約80%、約75%~約90%、約85%~約99%、またはそれらの間の任意の値低減する。
【0213】
いくつかの実施形態において、メサンギウム細胞の活性化は、血清分析、尿分析、および腎生検試料の顕微鏡検査(例えば、光学顕微鏡検査および/または免疫蛍光顕微鏡検査)のうちの1つ以上によって評価することができる。
【0214】
いくつかの実施形態において、接触は、インビトロで起こる。いくつかの実施形態において、接触は、インビボで起こる。
【0215】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が、上昇した血清Gd-IgA1レベルを有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、がんとこれまでに診断されていない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。
【0216】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が、上昇したレベルのメサンギウム活性化を有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【0217】
いくつかの実施形態において、上昇したレベルのメサンギウム活性化の判定は、対象から試料を得ることと、同じものにおけるメサンギウム活性化のレベルを評価することと、を含む。いくつかの実施形態において、試料は、腎生検試料である。いくつかの実施形態において、試料は、血液試料、尿試料、腎生検試料、または前述の2つもしくは3つの組み合わせから選択される。
【0218】
いくつかの実施形態において、試料は、上昇したレベルの、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌、IgA免疫複合体沈着、メサンギウム細胞の増殖、および毛細血管内細胞の増殖のうちの1つ以上を示す。いくつかの実施形態において、試料は、上昇したレベルのIgA免疫複合体沈着を示す。
【0219】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、1年間にわたって、3回の連続した測定値のうちの少なくとも2回で、少なくとも約1g/日のタンパク尿を有すると判定されている。例えば、約1g/日、約1.2g/日、約1.4g/日、約1.6g/日、約1.8g/日、または少なくとも約2g/日。
【0220】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与されている。いくつかの実施形態において、対象は、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤および治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を同時に投与される。いくつかの実施形態において、RAS阻害剤は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS阻害剤は、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)である。
【0221】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、血尿を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、血尿は、顕微鏡的血尿である。いくつかの実施形態において、血尿は、肉眼的血尿である。
【0222】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、約30mL/分/1.73m2~約60mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている。
【0223】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、がんとこれまでに診断されていない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。
【0224】
いくつかの実施形態は、IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、a)対象が、腎臓において上昇したレベルのIgA免疫複合体を有すると判定することと、b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【0225】
いくつかの実施形態において、腎臓における上昇したレベルのIgA免疫複合体の判定は、対象から試料を得ることと、同じものにおけるIgA免疫複合体のレベルを評価することと、を含む。いくつかの実施形態において、試料は、腎生検試料である。いくつかの実施形態において、試料は、血液試料、尿試料、腎生検試料、または前述の2つもしくは3つの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、IgA免疫複合体は、メサンギウムに沈着する。
【0226】
いくつかの実施形態において、IgA免疫複合体のレベルは、血清分析、尿分析、および腎生検試料の顕微鏡検査(例えば、光学顕微鏡検査および/または免疫蛍光顕微鏡検査)のうちの1つ以上によって評価することができる。
【0227】
いくつかの実施形態において、試料は、上昇したレベルの、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌、メサンギウムにおけるIgA免疫複合体沈着、メサンギウム細胞の活性化、メサンギウム細胞の増殖、および毛細血管内細胞の増殖のうちの1つ以上を示す。
【0228】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、1年間にわたって、3回の連続した測定値のうちの少なくとも2回で、少なくとも約1g/日のタンパク尿を有すると判定されている。例えば、約1g/日、約1.2g/日、約1.4g/日、約1.6g/日、約1.8g/日、または少なくとも約2g/日。
【0229】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与されている。いくつかの実施形態において、対象は、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤および治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を同時に投与される。いくつかの実施形態において、RAS阻害剤は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤である。いくつかの実施形態において、RAS阻害剤は、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)である。
【0230】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、血尿を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、血尿は、顕微鏡的血尿である。いくつかの実施形態において、血尿は、肉眼的血尿である。
【0231】
いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、約30mL/分/1.73m2~約60mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている。
【0232】
いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない。いくつかの実施形態において、対象は、がんとこれまでに診断されていない。いくつかの実施形態において、がんは、肺がんまたは前立腺がんである。
【0233】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象において、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、およびNF-kBのうちの1つ以上の発現および/または活性を判定することを含む。いくつかの実施形態において、発現および/または活性は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に判定されている。いくつかの実施形態において、発現および/または活性は、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与後に判定されている。
【0234】
いくつかの実施形態において、発現および/または活性を判定することは、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に行われる。いくつかの実施形態において、発現および/または活性を判定することは、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与後、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約110週間、約120週間、約130週間、約140週間、約150週間、約160週間、約170週間、約180週間、約190週間、もしくは約200週間、またはそれらの間の任意の値の治療後に行われる。
【0235】
いくつかの実施形態において、対象は、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、およびNF-kBのうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、およびSLC6A19のうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定されている。
【0236】
いくつかの実施形態は、対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、(a)対象が、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定されることと、(b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法を提供する。
【0237】
いくつかの実施形態は、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の上昇した発現および/または活性を有すると判定された対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0238】
D.アトラセンタン
(2R,3R,4S)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-[2-(ジブチルアミノ)-2-オキソエチル]-2-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸、ABT-627、A-147627、またはA-127722としても知られているアトラセンタンは、以下の化学構造の小分子である。
【化1】
【0239】
アトラセンタンおよびその調製方法は、米国特許第7,208,517号および国際特許出願公開第1997/030045号(例えば、実施例501を参照)に記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0240】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、遊離塩基として投与される。いくつかの他の実施形態において、アトラセンタンは、本明細書の他の箇所に記載されるように、薬学的に許容される塩として投与される。
【0241】
アトラセンタンは、ETA阻害剤であり、ETBと比較してETAに対して約1,860倍選択的である。本明細書で使用される場合、「ETA」は、エンドセリン受容体Aの略語であり、「ETB」は、エンドセリン受容体Bの略語である。例えば、Ann Rheum Dis.,66(11),pp.1467-1472(2007)、Eur.Resp.J.,37,pp.475-476(2011)、Plos One,9,e87548(2014)、J.Clin.Oncol.,10,31(14),pp.1740-7(2013)、Pharmacol.Rev.,68(2)pp.357-418(2016)、およびNephrol.Dial.Transplant.,29,pp.i69-i73(2014)を参照のこと。
【0242】
塩
いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、薬学的に許容される塩の形態である。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という句は、本開示の化合物(例えば、アトラセンタン)の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩には、アトラセンタンと酸(例えば、有機酸または無機酸)との間の反応によって形成される酸付加塩が含まれる。非限定的な例には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、マンデレート(例えば、(S)-マンデレートまたは(R)-マンデレート)、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびp-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、4,4’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が含まれる。例示的な塩はまた、アトラセンタンと塩基との間の反応によって形成される塩基付加塩も含む。非限定的な例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、ならびにアンモニウム塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機部分または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。アトラセンタンに言及する場合、「塩(複数可)」という用語は、単独でまたは遊離アトラセンタンとの混合物中に存在し得るアトラセンタンの塩であると理解される。
【0243】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、塩酸塩の形態である。アトラセンタンの塩酸塩、別名アトラセンタン塩酸塩(CAS番号:195733-43-8);アトラセンタン塩化水素;アトラセンタン塩酸塩;アトラセンタン塩化物塩;アトラセンタンHCl;アトラセンタン一塩酸塩;(2R,3R,4S)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-[2-(ジブチルアミノ)-2-オキソエチル]-2-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸、一塩酸塩;3-ピロリジンカルボン酸、4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-[2-(ジブチルアミノ)-2-オキソエチル]-2-(4-メトキシフェニル)-、塩酸塩(1:1)、(2R,3R,4S)-;(2R,3R,4S)-1-[(ジブチルカルバモイル)メチル]-2-(p-メトキシフェニル)-4-[3,4-(メチレンジオキシ)フェニル]-3-ピロリジンカルボン酸、一塩酸塩;3-ピロリジンカルボン酸、4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-[2-(ジブチルアミノ)-2-オキソエチル]-2-(4-メトキシフェニル)-、一塩酸塩、[2R-(2α,3β,4α)];ABT-627;A-147627.1;アボット-147627.1は、以下の構造を有し、
【化2】
アトラセンタン対塩化物のモル比は、1:1である。アトラセンタン塩酸塩およびその調製方法は、米国特許第7,208,517号および国際特許出願公開第1997/030045号(例えば、実施例501を参照)にさらに記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0244】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、マンデル酸塩の形態である。特定の実施形態において、アトラセンタンは、(S)-マンデル酸塩の形態である。特定の実施形態において、アトラセンタンは、(R)-マンデル酸塩の形態である。特定の実施形態において、アトラセンタンマンデル酸塩において、アトラセンタンおよびマンデル酸塩は、1:1のモル比を有する。特定の実施形態において、アトラセンタンマンデル酸塩において、アトラセンタンおよびマンデル酸塩は、2:1のモル比を有する。アトラセンタンマンデル酸塩およびその調製方法は、米国特許第8,962,675号および同第9,637,476号にさらに記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0245】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、ヘミ硫酸塩の形態である。ヘミ硫酸塩およびその調製方法は、米国特許第8,962,675号および同第9,637,476号にさらに記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0246】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、無水石膏の形態である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、水和物の形態である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、溶媒和物の形態である。
【0247】
立体化学
アトラセンタンは、3つの非対称中心を有し、米国特許第7,208,517号および国際特許出願公開第1997/030045号に記載されるように、個々の立体異性体(例えば、エナンチオマーもしくはジアステレオマー)またはそれらの混合物として産生することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるアトラセンタンは、(2R,3R,4S)-4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-1-[2-(ジブチルアミノ)-2-オキソエチル]-2-(4-メトキシフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸である、(2R,3R,4S)-立体異性体を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンは、他の立体異性体を実質的に含まない(2R,3R,4S)-立体異性体である(例えば、他の立体異性体の<10%、<5%、<2%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。
【0248】
多形体
本明細書に記載されるように、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の多形体形態であり得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に非晶質(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の非晶質)である。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に結晶性(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の結晶性)である。
【0249】
特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的にアトラセンタン塩酸塩結晶形態1(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の形態1)である。アトラセンタン塩酸塩結晶形態1およびそれを作製する方法は、国際特許出願公開第2006/034094号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0250】
いくつかの実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約8.3°、9.7°、10.0°、13.0°、15.6°、17.2°、または19.5°の2θ値を有する少なくとも3つ(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ)のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約8.3°、9.7°、10.0°、13.0°、15.6°、17.2°、または19.5°の2θ値を有する少なくとも3つのピークを有し、本質的に、約6.2°未満および/または約6.6°~8.0°の2θ値を有するピークがない、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0251】
いくつかの実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、斜方晶系およびP2l2l2l空間群において、約25℃でCu-Kα放射線を用いて測定した場合、それぞれ17.663ű0.005Å、21.24ű0.01Å、および8.005ű0.002Åの格子定数a、b、およびcによって特徴付けられる。
【0252】
いくつかの実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、実質的な結晶純度を有する。いくつかの実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、実質的な化学的純度を有する。いくつかの実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1は、実質的なジアステレオマー純度を有する。
【0253】
アトラセンタン塩酸塩結晶形態IのX線粉末回折パターンの代表的な特徴的なピーク位置は、2θに対する角度で表され、Cu-Ka放射線で約25℃で測定した場合、約8.3°((020)、77.35%)、9.7°((120)、76.37%)、10.0°((200)、14.53%)、13.2°((220)、28.03%)、13.6°((130)、16.71%)、14.9°((121)、38.93%)、15.8°((310)、13.11%)、16.2°((230)、18.09%)、17.4°((320)、15.87%)、17.5°((131)、37.80%)、19.6°((240)、28.77%)、20.8°((141)、46.26%)、23.3°((112)、100.0%)、24.3°((151)、52.6%)、25.3°((341)、13.08%)、および25.9°((132)、33.98%)である。各ピーク位置は、その付随するミラー指数(hkl)値およびその積分強度(ピーク高さ)とともに示される。ピーク高さは変わり得、温度、結晶のサイズまたは形態の大きさ、試料の調製、またはScintag×2回折パターンシステムの分析ウェルの試料の高さなどの変数に依存することが理解されるものとする。異なる放射線源で測定した場合、ピーク位置は変わり得ることも理解されるものとする。例えば、それぞれ、1.54060Å、0.7107Å、1.7902Å、および1.9373Åの波長を有するCu-Kα1、Mo-Kα、Co-Kα、およびFe-Kαの放射線は、Cu-Kα放射線で測定したものとは異なるピーク位置を提供することができる。
【0254】
特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的にアトラセンタン塩酸塩結晶形態2(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の形態2)である。アトラセンタン塩酸塩結晶形態2およびそれを作製する方法は、国際特許出願公開第2006/034094号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0255】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約6.7°および22.05°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0256】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、実質的な結晶純度を有し、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約6.7°および22.05°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0257】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、実質的な結晶純度および実質的な化学的純度を有し、当該アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、約25℃でCu-Kα放射線を用いて測定した場合、それぞれ約6.7°および22.05°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0258】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、実質的な結晶純度、実質的な化学的純度、および実質的なジアステレオマー純度を有し、当該アトラセンタン塩酸塩結晶形態2は、約25℃でCu-Kα放射線を用いて測定した場合、それぞれ約6.7°および22.05°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0259】
特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的にアトラセンタン塩酸塩結晶形態3(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の形態3)である。アトラセンタン塩酸塩結晶形態3およびそれを作製する方法は、国際特許出願公開第2006/034234号および米国特許第9,051,301号(これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0260】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約6.7°および21.95°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0261】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、実質的な結晶純度を有し、Cu-Kα放射線を用いて約25℃で測定した場合、それぞれ約6.7°および21.95°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0262】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、実質的な結晶純度および実質的な化学的純度を有し、当該アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、約25℃でCu-Kα放射線を用いて測定した場合、それぞれ約6.7°および21.95°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0263】
特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、実質的な結晶純度、実質的な化学的純度、および実質的なジアステレオマー純度を有し、当該アトラセンタン塩酸塩結晶形態3は、約25℃でCu-Kα放射線を用いて測定した場合、それぞれ約6.7°および21.95°の2θ値を有するピークおよびそれぞれ約8.4°、15.6°、18.0°、18.5°、19.8°、または20.6°の2θ値を有する少なくとも1つのピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0264】
特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、非晶質アトラセンタン塩酸塩を含む。特定の実施形態において、アトラセンタン塩酸塩は、実質的に非晶質(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の非晶質)である。非晶質アトラセンタン塩酸塩およびそれを作製する方法は、国際特許出願公開第2006/034085号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0265】
特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン塩酸塩は、実質的な化学的純度を有する。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン塩酸塩は、実質的なジアステレオマー純度を有する。
【0266】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、結晶性アトラセンタンマンデル酸塩を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に結晶性アトラセンタンマンデル酸塩(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の結晶性アトラセンタンマンデル酸塩)である。
【0267】
特定の実施形態において、結晶性アトラセンタンマンデル酸塩は、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、アセトニトリル溶媒和物、エタノール溶媒和物、およびピリジン溶媒和物からなる群から選択される溶媒和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、水和塩である。
(a)(S)-マンデル酸塩(1:1化学量論)
【0268】
特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、アセトニトリル溶媒和物、エタノール溶媒和物、およびピリジン溶媒和物からなる群から選択される溶媒和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、水和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%)の結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。
【0269】
特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.5±0.2、9.7±0.2、および19.4±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.5±0.2、9.7±0.2、12.1±0.2、および19.4±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。放射線。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.5±0.2、9.7±0.2、12.1±0.2、18.0±0.2、18.4±0.2、および19.4±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、上記の様々な実施形態で列挙されたX線粉末回折ピーク値と関連する実験誤差は、±0.1度2θである。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。
【0270】
特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、斜方晶系の格子型を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、P212121空間群を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、それぞれ、約9.954Å、約11.049Å、および約30.861Åの単位格子a、b、およびc値を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、それぞれ、約90°、約90°、および約90°の単位格子α、β、およびγ値を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、特性:(a)斜方晶系格子型、(b)P212121空間群、(c)それぞれ、約9.954Å、約11.049Å、および約30.861Åの単位格子a、b、およびcの値、ならびに/または(d)それぞれ、約90°、約90°、および約90°の単位格子α、β、およびγの値、のうちの少なくとも3つ以上を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、(a)斜方晶系格子型、(b)P212121空間群、(c)それぞれ、約9.954Å、約11.049Å、および約30.861Åの単位格子a、b、およびcの値、ならびに/または(d)それぞれ、約90°、約90°、および約90°の単位格子α、β、およびγの値、を有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。
(b)(S)-マンデル酸塩(2:1化学量論)
【0271】
特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約2:1である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、水和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%)の結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(S)-マンデル酸塩のモル比は、約2:1である。
【0272】
特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、4.5±0.2、8.6±0.2、および18.1±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、4.5±0.2、8.6±0.2、18.1±0.2、および18.7±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、4.5±0.2、8.6±0.2、9.1±0.2、18.1±0.2、および18.7±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、上記の様々な実施形態で列挙されたX線粉末回折ピーク値と関連する実験誤差は、±0.1度2θである。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、結晶性(S)-マンデル酸塩は、水和塩である。
【0273】
特定の実施形態において、結晶性アトラセンタンマンデル酸塩は、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、水和塩である。
(c)(R)-マンデル酸塩(1:1化学量論)
【0274】
特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(R)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、水和塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%)の結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩であり、アトラセンタン対(R)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。
【0275】
特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.7±0.2、11.8±0.2、および20.9±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.7±0.2、8.2±0.2、11.8±0.2、および20.9±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、5.7±0.2、8.2±0.2、8.6±0.2、11.8±0.2、および20.9±0.2度2θのピークを含むX線粉末回折パターンを有する。特定の実施形態において、上記の様々な実施形態で列挙されたX線粉末回折ピーク値と関連する実験誤差は、±0.1度2θである。特定の実施形態において、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、無水塩である。
【0276】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、非晶質アトラセンタンマンデル酸塩を含む。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、実質的に非晶質アトラセンタンマンデル酸塩(例えば、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、>98%、>99%、または>99.5%の非晶質アトラセンタンマンデル酸塩)である。
【0277】
特定の実施形態において、非晶質アトラセンタンマンデル酸塩は、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、アセトニトリル溶媒和物、エタノール溶媒和物、およびピリジン溶媒和物からなる群から選択される溶媒和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩は、水和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩において、アトラセンタンおよび(S)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩において、アトラセンタンおよび(S)-マンデル酸塩のモル比は、約2:1である。
【0278】
特定の実施形態において、非晶質アトラセンタンマンデル酸塩は、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、無水塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、溶媒和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、アセトニトリル溶媒和物、エタノール溶媒和物、およびピリジン溶媒和物からなる群から選択される溶媒和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩は、水和塩である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩において、アトラセンタンおよび(R)-マンデル酸塩のモル比は、約1:1である。特定の実施形態において、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩において、アトラセンタンおよび(R)-マンデル酸塩のモル比は、約2:1である。
【0279】
結晶性および非晶質アトラセンタンマンデル酸塩は、米国特許第8,962,675号および同第9,637,476号にさらに記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0280】
E.製剤
本明細書で使用される「薬学的組成物」という用語は、活性成分、および担体を構成する不活性成分を含む生成物、ならびに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、錯体化、または凝集からか、または1つ以上の成分の解離からか、または1つ以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接的または間接的に得られる任意の生成物を含むものとする。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物、または薬学的に許容される塩、またはその塩の溶媒和物もしくは溶媒和物、および薬学的に許容される担体を混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
【0281】
投与された量は、化合物の配合、投与の経路などにより異なり、一般的には実験的に決定されており、標的、宿主、投与経路などにより必然的に変動する。製剤の単位用量の活性化合物の量は、特定の用途に応じて、約0.1ミリグラム(mg)~約10mgまたは約0.5mg~約2mgに変動または調整され得る。便宜上、1日の総投与量を分割して、1日中に分割して投与され得る。
【0282】
注射用の本開示の薬学的組成物は、薬学的に許容される滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、ならびに使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合に必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0283】
これらの薬学的組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましくあり得る。注射可能な剤形の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。化合物は、ポリマーマトリックス、リポソーム、およびミクロスフェアなどの徐放または標的化送達システムに組み込むことができる。かかる製剤は、化合物のより効果的な分布を提供し得る。
【0284】
注射可能な製剤である薬学的組成物は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体に溶解または分散することができる滅菌固体の薬学的組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0285】
経口投与用の即時薬学的組成物の固形剤形には、カプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒が含まれる。かかる固形剤形において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸着剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑剤と任意に混合することができる。カプセル、錠剤、およびピルの場合、剤形はまた、緩衝剤も含み得る。
【0286】
同様のタイプの固形薬学的組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用するソフトおよび硬ゼラチンカプセルの充填剤として使用され得る。
【0287】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒の即時薬学的組成物の固形剤形は、腸溶コーティングおよび他の薬学的コーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、任意選択的に乳白剤を含有してもよく、それらが、活性成分のみ、または優先的に、任意選択的に遅延した方法で、腸管の特定の部分において、製剤のものであり得る。使用することができる包埋薬学的組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
【0288】
活性化合物はまた、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ以上を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。
【0289】
経口投与用の即時薬学的組成物の液体剤形には、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有し得る。
【0290】
不活性希釈剤に加えて、経口薬学的組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤などのアジュバントも含むことができる。
【0291】
本化合物の懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタヒドロキシアルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカントなどの懸濁剤、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0292】
本明細書に記載の化合物および組成物は、例えば、経口または非経口的に、4~120時間ごとに、または特定の薬物、剤形、および/もしくは投与経路の必要性に応じて、キログラム当たり約0.01ミリグラム(mg/kg)~約0.05mg/kgの範囲の投薬量で、投与することができる。動物およびヒトの投薬量の相互関係(体表面の平方メートル当たりのミリグラムに基づく)は、Freireich et al.,Cancer Chemother.Rep.50,219-244(1966)により記載されている。体表面積は、概ね、患者の身長および体重から決定され得る。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,N.Y.,537(1970)を参照のこと。特定の実施形態において、組成物は、経口投与または注射によって投与される。本明細書の方法は、所望のまたは記載された効果を達成するために、有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図している。典型的には、本開示の薬学的組成物は、1日当たり約1~約6回、または、連続注入として投与されるであろう。かかる投与は、慢性または急性の治療法として使用され得る。
【0293】
上記に列挙したものよりも低いまたは高い用量が必要とされることがある。任意の特定の患者のための特定の投薬量および治療レジメンは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態、または症状の重症度および経過、疾患に対する患者の素因、および治療している担当医の判定を含む様々な要因に依存する。
【0294】
剤形には、約0.01mg~約10mg(約0.1mg~約5mg、約0.2mg~約4mg、約0.3mg~約3mg、約0.4mg~約2mg、約0.5mg~約1.5mg、または約0.6mg~約1mgを含む)の、アトラセンタンの化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる。いくつかの実施形態において、剤形は、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.65、約0.7mg、約0.75、約0.8mg、約0.85、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2mg、またはそれらの間の任意の値の、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、約0.75mgのアトラセンタンの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0295】
剤形は、薬学的に許容される担体および/または追加の治療剤をさらに含むことができる。
【0296】
好適な投薬量レベルは、任意の適切な方法によって決定され得る。好ましくは、活性物質は、局所投与のために1日1~4回の頻度で投与されるか、または薬物送達システムが使用される場合はより少ない頻度で投与される。それにもかかわらず、本開示の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルおよび投与の時間経過は、患者に耐えられないほど毒性を持たずに、特定の患者、組成物、および投与方法に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るために変えることができる。場合によっては、投薬量は、特に年齢、性別、体重、食事、および患者の一般的な健康状態、投与経路、活性成分に対する個々の反応、製剤の性質、および投与が行われる時間または間隔に応じて、記載された量から逸脱し得る。したがって、ある場合には、上記で指定した最小量未満を用いることが十分であり得る一方、他の場合には、指定した上限を超える場合もある。大量に投与する場合、これらを1日間にわたる複数の個別の用量に分割することが推奨され得る。
【0297】
アトラセンタンの例示的な剤形
いくつかの実施形態において、(a)約0.25mg~約1.25mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩(剤形中のアトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.05重量パーセント~約2.0重量パーセントである)と、(b)薬学的に許容される希釈剤と、を含む、安定な固体薬学的剤形が、本明細書で提供される。
【0298】
いくつかの実施形態において、(a)約0.25mg~約1.25mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩(剤形中のアトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.05重量パーセント~約2.0重量パーセントである)と、(b)薬学的に許容される抗酸化剤(抗酸化剤とアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約10:1~約1:10である)と、(c)薬学的に許容される希釈剤と、を含む、安定な固体薬学的剤形が、本明細書で提供される。
【0299】
これらの実施形態のいくつかにおいて、剤形中のアトラセンタンの分解は、剤形が約40℃で、約75%の相対湿度で6カ月の貯蔵期間で保存される場合、抗酸化剤を欠く他の点では同一の剤形中のアトラセンタンの分解よりも少ない。
【0300】
いくつかの実施形態において、剤形は、貯蔵期間中、半透性容器または実質的に不浸透性の容器に貯蔵される。いくつかの実施形態において、剤形は、貯蔵期間中、密封されたHDPEボトルまたはブリスターパッケージに貯蔵される。いくつかの実施形態において、剤形は、貯蔵期間中、密封されたHDPEボトルに貯蔵される。いくつかの実施形態において、剤形は、貯蔵期間中、ブリスターパッケージに貯蔵される。
【0301】
(i)アトラセンタン
剤形は、アトラセンタンの遊離塩基、アトラセンタンの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタンの遊離塩基を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタンの薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタン塩酸塩、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2、およびアトラセンタン塩酸塩結晶形態3からなる群から選択される多形形態を有するアトラセンタン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタンマンデル酸塩を含む。特定の実施形態において、剤形は、結晶性アトラセンタンマンデル酸塩(例えば、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩および/または結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩)を含む。特定の実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタンマンデル酸塩(例えば、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩および/または非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩)を含む。前述の実施形態のいくつかにおいて(剤形が結晶性および/または非晶質のアトラセンタン(S)-および/または(R)-マンデル酸塩を含む場合)、アトラセンタンとマンデル酸塩とのモル比は、1:1である。特定の他の実施形態において、アトラセンタンとマンデル酸塩とのモル比は、2:1である。
【0302】
特定の実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタン塩酸塩を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態1を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態2を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない。特定の実施形態において、剤形は、アトラセンタン塩酸塩結晶形態3を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、結晶性アトラセンタン(S)-マンデル酸塩を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、結晶性アトラセンタン(R)-マンデル酸塩を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタン(S)-マンデル酸塩を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。特定の実施形態において、剤形は、非晶質アトラセンタン(R)-マンデル酸塩を含み、アトラセンタンの他の形態(例えば、他の塩および/または他の多形体)を実質的に含まない(例えば、<10%、<5%、<1%、<0.5%、<0.1%、<0.05%含有する)。
【0303】
いくつかの実施形態において、剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.40重量パーセント~約0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.60重量パーセント~約0.65重量パーセントである。
【0304】
いくつかの実施形態において、剤形は、約0.40mg~約1.00mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、約0.50mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、剤形は、約0.75mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0305】
(ii)希釈剤
開示された剤形で使用するのに適した希釈剤には、ラクトース(ラクトース一水和物、ラクトース無水物、およびPHARMATOSE(登録商標)DCL21など)、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、イソマルト、微結晶性セルロース(AVICEL(登録商標)PH101およびAVICEL(登録商標)PH102など)、ケイ化微結晶性セルロース(PROSOLV(登録商標)SMCC50およびSMCC 90など)、第二リン酸カルシウム、デンプン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、希釈剤は、ラクトース、マンニトール、イソマルト、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、希釈剤は、ラクトースである。
【0306】
いくつかの実施形態において、剤形中の希釈剤の重量パーセントは、約70重量パーセント~約99重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の希釈剤の重量パーセントは、約80重量パーセント~約99重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の希釈剤の重量パーセントは、約85重量パーセント~約99重量パーセントである。前述の実施形態のいくつかにおいて、希釈剤は、ラクトース、マンニトール、イソマルト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。非限定的な例として、希釈剤は、ラクトースであり得る。
【0307】
(iii)結合剤
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される結合剤(例えば、ポリマー結合剤)をさらに含む。開示される剤形で使用するのに適した結合剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒプロメロースE5(プレミアムLV))、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース、ならびに凝集特性を有する他の薬学的に許容される物質が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。いくつかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。いくつかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシエチルプロピルセルロースである。
【0308】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される結合剤をさらに含み、剤形中の結合剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の結合剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の結合剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントである。前述の実施形態のいくつかにおいて、結合剤は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択されるポリマー結合剤である。
【0309】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される結合剤をさらに含み、結合剤とアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約2:1~約25:1である。いくつかの実施形態において、結合剤とアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約1:1~約20:1である。いくつかの実施形態において、結合剤とアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約1:1~約15:1である。特定の実施形態において、結合剤は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択されるポリマー結合剤である。
【0310】
(iv)崩壊剤
いくつかの実施形態において、剤形は、任意選択的に、薬学的に許容される崩壊剤を含む。開示された剤形で使用するのに適した崩壊剤には、架橋ポリビニルピロリドン(POLYPLASDONE(商標)XLなど)、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および加工デンプン(デンプングリコレートナトリウムを含む)、寒天アルギン酸、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドンである。いくつかの実施形態において、崩壊剤は、クロスポビドンである。
【0311】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される崩壊剤をさらに含む。特定の実施形態において、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントである。前述の実施形態のいくつかにおいて、崩壊剤は、クロスポビドンである。
【0312】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される崩壊剤をさらに含み、崩壊剤と抗酸化剤(例えば、L-システイン)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルとの重量対重量比は、約60:1~約3:1である。いくつかの実施形態において、崩壊剤と抗酸化剤(例えば、L-システイン)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルとの重量対重量比は、約50:1~約4:1である。いくつかの実施形態において、崩壊剤と抗酸化剤(例えば、L-システイン)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルとの重量対重量比は、約35:1~約5:1である。
【0313】
(v)追加の賦形剤
さらなる実施形態において、剤形は、任意選択的に、薬学的に許容される潤滑剤および/または流動促進剤を含む。開示される剤形で使用するのに適した潤滑剤および流動促進剤には、二酸化ケイ素(SYLOID(登録商標)244FPおよびAEROSIL(登録商標)200など)、ベヘン酸グリセリル(COMPRITOL(登録商標)など)、タルク、ステアリン酸、固体ポリエチレングリコール、シリカゲルおよびそれらの混合物、ならびに潤滑性または滑走性を有する他の物質が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、潤滑剤は、ベヘン酸グリセリル(COMPRITOL(登録商標)など)である。特定の実施形態において、流動促進剤は、二酸化ケイ素(SYLOID(登録商標)244FPなど)である。特定の実施形態において、潤滑剤は、ベヘン酸グリセリルであり、流動促進剤は、二酸化ケイ素である。
【0314】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される流動促進剤をさらに含む。別の態様では、剤形中の流動促進剤の重量パーセントは、約0.1重量パーセント~約1.5重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の流動促進剤の重量パーセントは、約0.1重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の流動促進剤の重量パーセントは、約0.1重量パーセント~約0.8重量パーセントである。いくつかの実施形態において、流動促進剤は、二酸化ケイ素である。
【0315】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される潤滑剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容される疎水性潤滑剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、剤形中の潤滑剤の重量パーセントは、約0.05重量パーセント~約5.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の潤滑剤の重量パーセントは、約0.2重量パーセント~約3.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の潤滑剤の重量パーセントは、約0.5重量パーセント~約2.0重量パーセントである。特定の実施形態において、潤滑剤は、ベヘン酸グリセリルである。
【0316】
いくつかの実施形態において、剤形は、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤をさらに含む。
【0317】
(vi)抗酸化剤
開示された剤形で使用するのに適した抗酸化剤には、還元剤として機能し、剤形で薬学的に許容される還元生成物に酸化される抗酸化剤が含まれる。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、アトラセンタンの酸化還元電位よりも低く(すなわち、約900mV未満の酸化還元電位)、および約550mVよりも大きい酸化還元電位を有する。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、約550mV未満の酸化還元電位を有する。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、約1mV~約550mVの酸化還元電位を有する。いくつかの実施形態において、約25℃での抗酸化剤の水への溶解度は、約24mg/mLよりも大きい。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、アミノ酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、システインである。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、L-システイン塩酸塩一水和物、L-システイン塩酸塩無水物、およびL-システインエチルエステルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、剤形は、L-システイン塩酸塩一水和物を含む。
【0318】
いくつかの実施形態において、剤形中の抗酸化剤の重量パーセントは、約0.05重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の抗酸化剤の重量パーセントは、約0.07重量パーセント~約0.7重量パーセントである。いくつかの実施形態において、剤形中の抗酸化剤の重量パーセントは、約0.09重量パーセント~約0.5重量パーセントである。
【0319】
いくつかの実施形態において、抗酸化剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約10:1~約1:10である。いくつかの実施形態において、剤形中の抗酸化剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約5:1~約1:5である。いくつかの実施形態において、抗酸化剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約2:1~約1:2である。いくつかの実施形態において、抗酸化剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約1:1である。
【0320】
いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、L-システインまたはその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、剤形中のL-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルの重量パーセントは、約0.05重量パーセント~約1.0重量パーセントである。特定の実施形態において、剤形中のL-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルの重量パーセントは、約0.07重量パーセント~約0.7重量パーセントである。特定の実施形態において、剤形中のL-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルの重量パーセントは、約0.09重量パーセント~約0.5重量パーセントである。
【0321】
特定の実施形態において、剤形中のL-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルと、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約10:1~約1:10である。特定の実施形態において、剤形中のL-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルと、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約5:1~約1:5である。特定の実施形態において、L-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルと、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約2:1~約1:2である。特定の実施形態において、L-システインまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルと、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約1:1である。
【0322】
特定の実施形態において、抗酸化剤は、L-システイン塩酸塩一水和物、L-システイン塩酸塩無水物、およびL-システインエチルエステルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、剤形は、L-システイン塩酸塩一水和物を含む。
【0323】
(vii)追加の実施形態
いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩および抗酸化剤を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、抗酸化剤は、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態において、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)のモル比は、約5:1~約1:5である。前述の実施形態のいくつかにおいて、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤をさらに含み、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約5:1~約1:5であり、結合剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約1:1~約20:1である。いくつかの実施形態において、この剤形は、崩壊剤をさらに含み、崩壊剤と、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)との重量対重量比は、約60:1~約3:1である。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0324】
いくつかの実施形態において、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤を含み、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約2:1~約1:2であり、結合剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約1:1~約15:1である。いくつかの実施形態において、剤形は、崩壊剤をさらに含み、崩壊剤と、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)との重量対重量比は、約50:1~約4:1である。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0325】
いくつかの実施形態において、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤を含み、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とのモル比は、約1:1であり、結合剤と、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩との重量対重量比は、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約1:1~約15:1である。いくつかの実施形態において、この剤形は、崩壊剤をさらに含み、崩壊剤と、抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)との重量対重量比は、約35:1~約5:1である。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0326】
いくつかの実施形態において、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤を含み、剤形は、約0.05重量パーセント~約1.0重量パーセントの抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)を含み、剤形は、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの結合剤を含む。いくつかの実施形態において、この剤形は、崩壊剤をさらに含み、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0327】
いくつかの実施形態において、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤を含み、剤形は、約0.07重量パーセント~約0.70重量パーセントの抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)を含み、剤形は、結合剤の約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントを含む。いくつかの実施形態において、この剤形は、崩壊剤をさらに含み、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0328】
いくつかの実施形態において、剤形は、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される薬学的に許容されるポリマー結合剤を含み、剤形は、約0.09重量パーセント~約0.80重量パーセントの抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)を含み、剤形は、結合剤の約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントを含む。いくつかの実施形態において、この剤形は、崩壊剤をさらに含み、剤形中の崩壊剤の重量パーセントは、約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形中のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の重量パーセントは、アトラセンタン遊離塩基当量ベースで約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントである。いくつかの実施形態において、この剤形は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0329】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.05重量パーセント~約1.0重量パーセントの抗酸化剤(例えば、L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)、
(c)約75重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.5重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0330】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.05重量パーセント~約1.0重量パーセントの抗酸化剤(L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)、
(c)約75重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.5重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0331】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.07重量パーセント~約0.7重量パーセントの抗酸化剤(L-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル)、
(c)約82重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.0重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約3.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0332】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.07重量パーセント~約0.70重量パーセントのL-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、
(c)約82重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.0重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約3.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0333】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.09重量パーセント~約0.50重量パーセントのL-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、
(c)約87重量パーセント~約99重量パーセントの薬学的に許容される希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約0.75重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約2.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0334】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約0.09重量パーセント~約0.50重量パーセントのL-システイン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、
(c)約87重量パーセント~約99重量パーセントの薬学的に許容される希釈剤、
(d)約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(e)約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約0.75重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(g)任意選択的に、約0重量パーセント~約2.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0335】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約75重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.5重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0336】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.1重量パーセント~約2.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約75重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)約1.0重量パーセント~約10.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.5重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0337】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約82重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.0重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約3.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0338】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.2重量パーセント~約1.0重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約82重量パーセント~約99重量パーセントの希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約8.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約1.0重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約3.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0339】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約87重量パーセント~約99重量パーセントの薬学的に許容される希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)任意選択的に、約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約0.75重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約2.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0340】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)アトラセンタン遊離塩基当量ベースで、約0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約87重量パーセント~約99重量パーセントの薬学的に許容される希釈剤、
(c)約1.0重量パーセント~約5.0重量パーセントの薬学的に許容される結合剤、
(d)約1.0重量パーセント~約4.0重量パーセントの薬学的に許容される崩壊剤、
(e)任意選択的に、約0重量パーセント~約0.75重量パーセントの薬学的に許容される流動促進剤、および
(f)任意選択的に、約0重量パーセント~約2.0重量パーセントの薬学的に許容される潤滑剤、を含み、
剤形のすべての成分の累積重量パーセントは、100パーセントに等しい。
【0341】
いくつかの実施形態において、剤形は、
(a)希釈剤は、ラクトースである、
(b)剤形は、薬学的に許容される結合剤を含み、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、
(c)剤形は、薬学的に許容される崩壊剤を含み、崩壊剤は、クロスポビドンである、
(d)剤形は、薬学的に許容される流動促進剤を含み、流動促進剤は、二酸化ケイ素である、
(e)剤形は、薬学的に許容される潤滑剤を含み、潤滑剤は、ベヘン酸グリセリルである、の条件のうちの1つ以上を満たす。
【0342】
いくつかの実施形態において、剤形は、アトラセンタン親当量ベースで、約0.25mg~約1.25mgのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)を含む固体薬学的剤形である。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、アトラセンタン親当量ベースで、約0.40mg~約1.00mgのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、アトラセンタン親当量ベースで、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、アトラセンタン親当量ベースで、約0.50mgのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、アトラセンタン親当量ベースで、約0.75mgのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)を含む。前述の実施形態のいくつかにおいて、剤形は、錠剤である。
【0343】
いくつかの実施形態において、剤形は、錠剤である。いくつかの実施形態において、錠剤は、約37.5mg~約1500mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約50mg~約750mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約50mg~約250mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約75mg~約500mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約75mg~約150mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約100mg~約250mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約100mg~約230mgの重量を有する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約10%未満の水分含有量を有する。特定の実施形態において、錠剤は、約4%~6%(例えば、約4%~5%)の水分含有量を有する。
【0344】
一般に、錠剤は、任意選択的に、少なくとも1つの非速度制御層で囲むか、またはコーティングすることができる。非速度制御層は、単層、コーティング、もしくは膜、または複数の単層、コーティング、もしくは膜として形成することができる。非速度制御層の機能には、例えば、アトラセンタンのさらなる安定性を提供すること、製剤のプロセス補助剤および/もしくは化粧品増強剤として機能すること、ならびに/または製剤と関連するあらゆる望ましくない臭い(L-システインに一般に関連する臭いなど)を低減するためのマスキング剤として機能することが含まれ得る。
【0345】
剤形が非速度制御層を含む場合、非速度制御層は、1つ以上のポリマー、ならびに、可塑剤、顔料/乳化剤、ワックスなどであるが、これらに限定されない、当該技術分野で知られている他の成分から作製され得る。使用することができるポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。使用することができる可塑剤の例には、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、L-システイン、および鉱油が含まれるが、これらに限定されない。使用することができる顔料/乳白剤の例には、水溶性染料(例えば、サンセットイエロー、キノリンイエロー、エリスロシン、およびタートラジン)、顔料(例えば、アルミニウムレーキ、酸化チタン、酸化鉄、およびタルク)、ならびに天然産物(例えば、リボフラビン、カロテノイド、クロロフィル、アントシアニン、およびカーマイン)が含まれるが、これらに限定されない。使用することができるワックスの例には、パラフィンワックスが含まれるが、これに限定されない。
【0346】
いくつかの実施形態において、剤形は、薬学的に許容されるポリマーでコーティングされた錠剤である。
【0347】
いくつかの実施形態において、剤形は、カプセルである。
【0348】
いくつかの実施形態において、剤形は、半透性容器に包装される。いくつかの実施形態において、半透性容器は、ブリスターパックである。
【0349】
いくつかの実施形態において、剤形は、実質的に不浸透性の容器に包装される。
【0350】
いくつかの実施形態において、剤形は、即時放出剤形である。いくつかの実施形態において、剤形は、即時放出錠剤であり、USP溶解装置2(Paddle装置)、0.01N塩酸溶出溶媒、および50RPMのパドル回転を使用して実施されるインビトロ溶解試験で決定されるように、約45分以内に、少なくとも約85%のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を放出する。いくつかの実施形態において、剤形は、即時放出錠剤であり、約30分以内に、少なくとも約75%のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を放出する。
【0351】
いくつかの実施形態において、剤形は、約40℃で、約75%の相対湿度で6カ月の貯蔵期間後、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解から生じる、約1.0重量パーセント未満の総不純物を含む。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解は、高速液体クロマトグラフィーを使用して分析される。
【0352】
いくつかの実施形態において、剤形は、約40℃で、約75%の相対湿度で6カ月の貯蔵期間後、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解から生じる、約0.6重量パーセント未満の任意の単一不純物を含む。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解は、高速液体クロマトグラフィーを使用して分析される。
【0353】
いくつかの実施形態において、剤形は、約40℃で、約75%の相対湿度で6カ月の貯蔵期間後、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解から生じる、約1.0重量パーセント未満の総不純物および約0.6重量パーセント未満の任意の単一不純物を含む。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の分解は、高速液体クロマトグラフィーを使用して分析される。
【0354】
特定の実施形態において、剤形は、以下からなる群から選択される:
【表1】
【表2】
【表3】
【0355】
特定の実施形態において、剤形は、以下からなる群から選択される:
【表4】
【表5】
【表6】
【0356】
アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の製剤およびそれを作製する方法は、米国特許第9,364,458号および米国特許第10,016,393号にさらに記載されており、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0357】
F.投薬量および投与
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、対象の体重1kg当たり約0.001mg~0.1mg(例えば、対象の体重1kg当たり約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.01、約0.015、約0.02、約0.025、約0.03、約0.035、約0.04、約0.045、約0.05、約0.055、約0.06、約0.065、約0.07、約0.075、約0.08、約0.085、約0.09、約0.095、もしくは約0.10mg/kg、またはそれらの間の任意の値)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。
【0358】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.1mg~10mg(例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、または約10.0mg、またはそれらの間の任意の値)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.75mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.25mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.35mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約1.0mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約1.25mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約1.5mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約1.75mg(例えば、1日1回投与される場合)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩である。これらの実施形態のいくつかにおいて、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、0.75mg(例えば、1×0.75mgの錠剤;または1.5×0.50mgの錠剤)のアトラセンタンまたは等量のその薬学的に許容される塩であり、1日1回投与される。
【0359】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその塩もしくは溶媒和物の用量は、治療有効量のアトラセンタンまたはその塩もしくは溶媒和物を含む。他の実施形態において、アトラセンタンまたはその塩もしくは溶媒和物の用量は、治療有効量未満のアトラセンタンまたはその塩もしくは溶媒和物を含む(例えば、所望の臨床的または治療的効果を達成するために複数の用量が与えられる場合)。
【0360】
いくつかの実施形態において、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.20mg~約1.5mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である。例えば、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.20mg、約0.30mg、約0.40mg、約0.50mg、約0.60mg、約0.70mg、約0.80mg、約0.90mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、または約1.5mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩であり得る。特定の実施形態において、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.25mg~約1.25mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である。例えば、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.50mg、約0.55mg、約0.60mg、約0.65mg、約0.70mg、約0.75mg、約0.80mg、または約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩であり得る。非限定的な例として、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、約0.75mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩であり得る。
【0361】
アトラセンタン、またはその塩もしくは溶媒和物は、任意の好適な経路および様式によって投与され得る。本開示の抗体および/または抗体-薬物コンジュゲートを投与する好適な経路は、当技術分野で周知であり、当業者によって選択され得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩が、非経口投与された。非経口投与は、経腸以外の投与様式および通常注射による局所投与を指し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外、および胸骨内注射および注入を含む。いくつかの実施形態では、アトラセンタンの投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの実施形態では、アトラセンタンの投与経路は、静脈内注入である。いくつかの実施形態において、アトラセンタンの投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、静脈内注入である。いくつかの実施形態において、アトラセンタンの投与経路は、経口である。
【0362】
本明細書で提供される方法もしくは使用または使用のための生成物の一実施形態において、アトラセンタンは、毎日、1日2回、1日3回、または1日4回、対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、隔日、約1週間ごとに1回、または約3週間ごとに1回、対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約0.75mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、0.75mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約0.25mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、0.25mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約0.35mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、0.35mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約0.5mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、0.5mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約1.0mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、1.0mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、約1.75mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンは、1日1回、1.75mgの用量で対象に投与される。
【0363】
G.併用療法
本開示の方法はまた、本開示の実施形態のいずれかに記載されるように、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の追加の治療剤(例えば、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の1つ以上の要素の阻害剤など)と組み合わせて投与することを含む治療が企図されている。したがって、本明細書の他の箇所に記載されるように、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、単独でまたは1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することができる。1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される場合、別個の剤形が、対象に投与され得るか、またはアトラセンタンもしくはその薬学的に許容される塩および追加の治療剤の両方を含む単一の剤形が、対象に投与され得る。別個の剤形として投与される場合、追加の治療剤は、本開示のアトラセンタン剤形と同時に、または本開示のアトラセンタン剤形と連続して(いずれかの順序で)投与され得る。2つ以上の薬剤を組み合わせて投与することは、本明細書では「同時投与」と称され得る。
【0364】
代表的な追加の治療剤には、例えば、利尿薬、降圧薬、糖尿病または糖尿病性合併症の治療剤、および高脂血症の治療剤が含まれる。
【0365】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ヒドロクロロチアジド(MICROZIDE(商標)またはORETIC(商標)など)、ヒドロフルメチアジド(SALURON(商標)など)、ベメタニド(BUMEX(商標)など)、トルセミド(DEMADEX(商標)など)、メトラゾン(ZAROXOLYN(商標)など)、クロロチアジド(DIURIL(商標)、ESIDRIX(商標)、またはHYDRODIURIL(商標)など)、トリアムテレン(DYRENIUM(商標)など)、エタクリン酸(EDECRIN(商標)など)、クロロチアジド(HYGROTON(商標)など)、フロセミド(LASIX(商標)など)、インダパミド(LOZOL(商標)など)、またはアミロリド(MIDAMOR(商標)もしくはMODURETIC(商標)など)などの1つ以上の利尿薬と同時投与され得る。
【0366】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、1つ以上のチアジド利尿薬、例えば、クロロチアジド、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、インダパミド、またはメトラゾンと同時投与され得る。
【0367】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、またはトルセミドなどの1つ以上のループ利尿薬と同時投与され得る。
【0368】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、アミロライド、エプレレノン、スピロノラクトン、およびトリアムテレンなどの1つ以上のカリウム保持性利尿薬と同時投与され得る。
【0369】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、キナプリル(ACCUPRIL(商標)など)、フォシノプリル、ペリンドプリル(ACEON(商標)など)、カプトプリル(CAPOTEN(商標)など)、エナラプリル(VASOTEC(商標)など)、ENALAPRILAT(商標)、ラミプリル(ALTACE(商標)など)、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル(MONOPRIL(商標)など)、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル(LOTENSIN(商標)など)、リシノプリル(PRINIVIL(商標)もしくはZESTRIL(商標)など)、スピラプリル、トランドラプリル(MAVIK(商標)など)、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル(UNIVASC(商標)など)、ピボプリル、テモカプリル、オマパトリラート、イミダプリル、レシナミン、ベナゼプリラート、フォシノプリラート、ラミプリラート、ペリンドプリラート、キナプリラート、トランドラプリラート、モエキシプリラート、キノリンイエローWS、またはシラザプリラートなどの1つ以上のアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と同時投与され得る。特定の実施形態において、ACE阻害剤は、キナプリル、フォシノプリル ペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル、リシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル、レシナミン、およびピボプリルから選択される。
【0370】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、カンデサルタン(ATACAND(商標)など)、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン(TEVETEN(商標)など)、イルベサルタン(AVEPRO(商標)など)ロサルタン(COZAAR(商標)など)、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル(BENICAR(商標)など)タソサルタン、テルミサルタン(MICARDIS(商標)など)、バルサルタン(DIOVAN(商標)など)、ゾラサルタン、アジルサルタンメドキソミル、F1-6828K、RNH-6270、UR-7198、Way-126227、KRH-594、TAK-536、BRA-657、またはTA-606などの1つ以上のアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)と同時投与され得る。特定の実施形態において、ARBは、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、アジルサルタンメドキソミル、およびBRA-657から選択される。
【0371】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ニフェジピン(ADALAT(商標)、ADALAT CC(商標)、もしくはPROCARDIA(商標)など)、ベラパミル(GALAN(商標)、COVERA-HS(商標)、ISOPTIN SR(商標)、もしくはVERELAN(商標)など)、ジルチアゼム(CARDIZEM(商標)、CARDIZEM CD(商標)、CARDIZEM LA(商標)、CARDIZEM SR(商標)、DILACOR(商標)、TIAMATE(商標)、もしくはTIAZAC(商標)など)、イスラジピン(DYNACIRC(商標)もしくはDYNACIRC CR(商標)など)、アムロジピン(NORVASC(商標)など)、フェロジピン(PLENDIL(商標)など)、ニソルジピン(SULAR(商標)など)、ベプリジル(VASCOR(商標)など)、バタニジピン、クレビジピン、レルカニジピン、またはジルチアゼムなどの1つ以上のカルシウムチャネル遮断薬と同時投与され得る。
【0372】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、アリスキレン(例えば、TEKTURNA(商標))などの1つ以上のレニン阻害剤と同時投与され得る。
【0373】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、エプレレノン(INSPRA(商標)など)またはスピロノラクトン(ALDACTONE(商標)など)などの1つ以上のアルドステロン受容体アンタゴニストと同時投与され得る。
【0374】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ドキサゾシン(CARDURA(商標)など)、フェノキシベンザミン(DIBENZYLINE(商標)など)、テラゾシン(HYTRIN(商標)など)、CDR1-93/478、またはCR-2991などの1つ以上のアルファ遮断薬と同時投与され得る。
【0375】
いくつかの実施形態において、アテノロールまたはその薬学的に許容される塩は、チモロール(BLOCARDEN(商標)など)、カルテオロール(CARTROL(商標)など)、カルベジロール(COREG(商標)など)、ナドロール(CORGARD(商標)など)、プロプラノロール(INNOPRAN XL(商標)など)、ベタキソロール(KERLONE(商標)など)ペンブトロール(LEVATOL(商標)など)、メトプロロール(LOPRESSOR(商標)もしくはTOPROL-XL(商標)など)、アテノロール(TENORMIN(商標)など)、ピンドロール(VISKEN(商標)など)、またはビソプロロールなどの1つ以上のベータ遮断薬と同時投与され得る。
【0376】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ラベタロール(NORMODYNE(商標)またはTRANDATE(商標)など)などの1つ以上のアルファ-ベータ遮断薬と同時投与され得る。
【0377】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、メチルドパ(ALDOMET(商標)など)、クロニジン(CATAPRES(商標)またはCATAPRES-TTS(商標)など)、グアンファシン(TENEX(商標)など)、またはグアナベンズ(WYTENSIN(商標)など)などの1つ以上の中枢抗アドレナリン作動薬と同時投与され得る。
【0378】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ジゴキシン(LANOXIN(商標)など)などの1つ以上のグリコシド/変力薬と同時投与され得る。
【0379】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ミグリトール(GLYSET(商標)など)またはアカルボース(PRECOSE(商標)など)などの1つ以上のアルファグルコシダーゼ阻害剤と同時投与され得る。
【0380】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ロゼイグリタゾン(AVANDAMET(商標)など)またはメトホルミン(GLUCOPHAGE(商標)またはGLUCOPHAGE XR(商標)など)などの1つ以上のビグアニドと同時投与され得る。
【0381】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、1つ以上のインスリン、例えば、HUMALOG(商標)、HUMALOG 50/50(商標)、HUMALOG 75/25(商標)、HUMULIN 50/50(商標)、HUMALIN 75/25(商標)、HUMALIN L(商標)、HUMALIN N(商標)、HUMALIN R(商標)、HUMALIN R U-500(商標)、HUMALIN U(商標)、ILETIN II LENTE(商標)、ILETIN II NPH(商標)、ILETIN II REGULAR(商標)、LANTUS(商標)、NOVOLIN 70/30(商標)、NOVILIN N(商標)、NOVILIN R(商標)、NOVOLOG(商標)、またはVELOSULIN BR(商標)、およびEXUBERA(商標)などと同時投与され得る。
【0382】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、レパグリニド(PRANDIN(商標)など)またはナテグリニド(STARLIX(商標)など)などの1つ以上のメグリチニドと同時投与され得る。
【0383】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、グリメピリド(AMARYL(商標)など)、グリブリド(DIABETA(商標)、GLYNASE PRESTAB(商標)、もしくはMICRONASE(商標)など)、またはグリピジド(GLUCOTROL(商標)、もしくはGLUCOTROL XL(商標)など)などの1つ以上のスルホニル尿素と同時投与され得る。
【0384】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ピオグリタゾン(ACTOS(商標)など)またはロシグリタゾン(AVANDIA(商標)など)などの1つ以上のチアゾリジンジオンと同時投与され得る。
【0385】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、ナイアシン、またはNIACOR(商標)、NIASPAN(商標)、NICOLAR(商標)、またはSLO-NIACIN(商標)などの1つ以上のニコチン酸誘導体と同時投与され得る。
【0386】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、クロフィブラート(ATROMID-S(商標)など)、ゲムフィブロジル(LOPID(商標)など)、またはフェノフィブラート(TRICOR(商標)など)などの1つ以上の布酸誘導体と同時投与され得る。
【0387】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、コレスチポール(COLESTID(商標)など)、コレスチラミン(LOCHOLEST(商標)、PREVALITE(商標)、QUESTRAN(商標)、またはQUESTRAN LIGHT(商標)など)、またはコレセベラム(WELCHOL(商標)など)などの1つ以上の胆汁酸封鎖剤と同時投与され得る。
【0388】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、エゼチミブ(例えば、ZETIA(商標)など)などの1つ以上のコレステロール吸収阻害剤と同時投与され得る。
【0389】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼ阻害剤(スタチン)、例えばフルバスタチン(LESCOL(商標)など)、アトルバスタチン(LIPITOR(商標)など)、ロバスタチン(ALTOCOR(商標)もしくはMEVACOR(商標)など)、プラバスタチン(PRAVACHOL(商標)など)、ロスバスタチン(CRESTOR(商標)など)、シンバスタチン(ZOCOR(商標)など)、またはピタバスタチンと同時投与され得る。
【0390】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の追加の薬剤と同時投与され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、免疫抑制剤である。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、アミノプテリン、アザチオプリン、シクロスポリンA、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキサート、ミノサイクリン、ラパマイシン、スルファサラジン、タクロリムス(FK506)、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される。非限定的な例として、1つ以上の追加の薬剤は、ヒドロキシクロロキンであり得る。
【0391】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、SGLT-2阻害剤(カナグリフロジンなど)、GR免疫抑制剤(ブデソニドなど)、MASP-2抗体(OMS721など)、デュアルET1A/ARB阻害剤(スパルセンタンなど)、B細胞モジュレーター(例えば、アタシセプト、APL-2、VIS649などのAPRILモジュレーター)、SYK阻害剤(フォサマチニブなど)、補体因子3転換酵素阻害剤(LNP023など)、NRF2アクチベーター(バルドキソロンなど)、および補体経路のC5成分を標的とするRNAi治療薬(セムジシラム(cemdisiram)など)からなる群を選択した1つ以上の追加の治療剤と同時投与され得る。
【0392】
いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、SGLT-2阻害剤である。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリホジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、ヘナグリフロジン(SHR-3824)、エナボグリフロジン(DWP-16001)、TA-1887(3-(4-シクロプロピルベンジル)-4-フルオロ-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、インドール-N-グリコシド18(3-(4-エチルベンジル)-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、ソタグリフロジン、ルセオグリフロジン、セルグリフロジンエタボネート、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、およびT-1095(((2R,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-(ベンゾフラン-5-イル)プロパノイル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)エタボネート)から選択されるSGLT-2阻害剤である。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ベキサグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、セルフリフロジン、リコフリグロジン、ソタグリフロジン、およびトホグリフロジンから選択されるSGLT-2阻害剤である。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ベキサグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、カナグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ダパグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、エンパグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、エルツグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、イプラグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ルセオグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、レモグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、セルフリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、リコフリグロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、ソタグリフロジンである。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、トホグリフロジンである。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物である。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、カナグリフロジン半水和物である。
【0393】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤の量は、約1mg~約350mgである。例えば、約1mg~約175mg、約175mg~約350mg、または約90mg~約260mg。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤の量は、約85mg~約325mgである。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤の量は、約1mg~約50mg、約20mg~約70mg、約50mg~約100mg、約70mg~約120mg、約90mg~約140mg、約110mg~約160mg、約130mg~約180mg、約150mg~約200mg、約170mg~約220mg、約190mg~約240mg、約210mg~約260mg、約230mg~約280mg、約250mg~約300mg、約270mg~約320mg、または約290mg~約350mgである。例えば、約100mgまたは約300mg。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤の量は、約1~約15mgである。例えば、約1~約10mgまたは約5~約15mg。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤の量は、1mg~約3mg、約2mg~約4mg、約3mg~約5mg、約4mg~約6mg、約5mg~約7mg、約6mg~約8mg、約7mg~約9mg、約8mg~約10mg、約9mg~約11mg、約10mg~約12mg、約11mg~約13mg、約12mg~約14mg、または約13mg~約15mgである。
【0394】
いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、カナグリフロジンである。いくつかの実施形態において、100mgまたは300mgのカナグリフロジンが投与される。いくつかの実施形態において、100mgまたは300mgのカナグリフロジン半水和物が投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ダパグリフロジンである。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物である。いくつかの実施形態において、5mgまたは10mgのダパグリフロジンが、投与される。いくつかの実施形態において、5mgまたは10mgのダパグリフロジンプロピレングリコール水和物が、投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、エンパグリフロジンである。いくつかの実施形態において、10mgまたは25mgのエンパグリフロジンが投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、エルツグリフロジンである。いくつかの実施形態において、5mgまたは15mgのエルツグリフロジンが、投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、イプラグリフロジンである。いくつかの実施形態において、25mgまたは50mgのイプラグリフロジンが、投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ベキサグリフロジンである。いくつかの実施形態において、20mgのベキサグリフロジンが投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、ソタグリフロジンである。いくつかの実施形態において、200mgまたは400mgのソタグリフロジンが、投与される。いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤は、リコグリフロジンである。いくつかの実施形態において、15mg、50mg、75mgまたは150mgのリコグリフロジンが、投与される。
【0395】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、効果をもたらす、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩、およびSGLT-2阻害剤の様々な組み合わせが企図されている。いくつかの実施形態において、効果、例えば、本明細書に記載の有益または所望の結果のうちのいずれかは、同量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を同時投与した場合に観察される効果の合計よりも大きく、同時投与した場合の同量のSGLT-2阻害剤が、単剤療法として投与される。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩とSGLT-2阻害剤との同時投与は、効果、例えば、単剤療法として化合物のうちのいずれかまたは両方のより少ない用量を使用する治療効果をもたらす。例えば、単剤療法で使用される量と比較して、より少ない用量のアトラセンタン、もしくはその薬学的に許容される塩、および/またはSGLT-2阻害剤を使用して治療効果をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、SGLT-2阻害剤と組み合わせて投与されるアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、同じ治療効果、例えば、本明細書に記載の有益または所望の結果のうちのいずれかをもたらす、単剤療法として投与されるアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の用量の約50%~約90%であり得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与されるSGLT-2阻害剤の用量は、同じ治療効果、例えば、本明細書に記載の有益または所望の結果のうちのいずれかをもたらす、単剤療法として投与されるSGLT-2阻害剤の用量の約50%~約90%であり得る。例えば、IgA腎症を治療すること、腎炎症および/または線維症を減少させること、血尿を減少させること、タンパク尿を減少させること、eGFRを安定化させること、IgA腎症に関連する疾患フレアの数を減少させること、ESRDの発症を遅延させること、倦怠感を減少させること、ならびにメサンギウム細胞の活性化を低減させること。
【0396】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示の様々な実施形態に記載の状態を治療するための第2の治療薬と組み合わせたアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0397】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示の様々な実施形態に記載の状態を治療するためのアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の使用に関し、その使用は、1つ以上の追加の治療剤を含む。
【0398】
いくつかの実施形態において、本開示は、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を含み、かつ1つ以上の追加の治療剤をさらに含む、薬学的組成物に関する。
【0399】
いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の1つ以上の要素を阻害する。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、利尿薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体(ARB)遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、レニン阻害薬、およびアルドステロン拮抗薬からなる群から選択される。特定の特定の実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)からなる群から選択される。特定の実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、1つ以上のアンギオテンシン変換酵素阻害剤から選択される。特定の実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、1つ以上のアンギオテンシンII受容体遮断薬から選択される。特定の実施形態において、1つ以上の追加の治療剤は、1つ以上のACE阻害剤および1つ以上のARBを含む。例えば、レニン-アンギオテンシン系のうちの1つ以上の阻害剤は、ACE阻害剤、ARB、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、ACE阻害薬は、キナプリル、フォシノプリル ペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル、リシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル、レシナミン、およびピボプリルから選択することができる。例えば、ARBは、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、アジルサルタンメドキソミル、およびBRA-657から選択することができる。
【0400】
いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、SGLT-2阻害剤、ならびに1つ以上のACE阻害剤および/または1つ以上のARBと同時投与され得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、SGLT-2阻害剤および1つ以上のACE阻害剤と同時投与され得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、SGLT-2阻害剤および1つ以上のARBと同時投与され得る。いくつかの実施形態において、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩は、SGLT-2阻害剤、ACE阻害剤、およびARBと同時投与され得る。
【0401】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、単に例示を目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および配列受入番号は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0402】
以下の実施例を参照することにより、本開示がより完全に理解されるであろう。したがって、それらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および実施形態は、単に例示を目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれるべきであることが理解される。
選択された実施形態
実施形態1:IgA腎症を有する対象においてメサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態2:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態3:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない、方法。
実施形態4:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない、方法。
実施形態5:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態6:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態7:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態8:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない、方法。
実施形態9:IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、
対象が、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
実施形態10:IgA腎症を有する対象における腎臓の炎症および/または線維症を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態11:IgA腎症を有する対象における血尿の発生を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態12:IgA腎症を有する対象におけるeGFRを安定化させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態13:IgA腎症を有する対象におけるIgA腎症関連疾患フレアの数を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態14:IgA腎症を有する対象におけるESRDの発症を遅延させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態15:IgA腎症を有する対象におけるタンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態16:メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体によって誘導される、実施形態1に記載の方法。
実施形態17:メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体の存在と関連している、実施形態1に記載の方法。
実施形態18:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態19:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態20:メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、メサンギウム細胞の炎症を示すIL6、MCP1、または他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:メサンギウム細胞の炎症を低減することが、IL-6シグナル伝達を低減させることを含む、実施形態19または20に記載の方法。
実施形態22:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態23:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態22に記載の方法。
実施形態24:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態22または23に記載の方法。
実施形態25:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、NF-κBシグナル伝達および/またはPDGFシグナル伝達を低減させることを含む、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む、実施形態23~27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29:メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることが、メサンギウム細胞による1つ以上の過剰なマトリックス分泌の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態28に記載の方法。
実施形態30:対象が、現在1つ以上の免疫抑制剤を投与されていない、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31:対象が、1つ以上の追加の薬剤も投与されている、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32:1つ以上の追加の薬剤が、アルシニューリン阻害剤、プロテアソーム阻害剤、アミノキノリン、補体阻害剤、B細胞阻害剤、細胞毒性剤、mTOR阻害剤、およびステロイドから選択される、実施形態31に記載の方法。
実施形態33:1つ以上の追加の薬剤が、免疫抑制剤である、実施形態31または32に記載の方法。
実施形態34:1つ以上の追加の薬剤が、ステロイドである、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35:ステロイドが、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、シクロスポリン、および前述のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、実施形態34に記載の方法。
実施形態36:1つ以上の追加の薬剤が、アミノキノリンである、実施形態31または32に記載の方法。
実施形態37:1つ以上の追加の薬剤が、ヒドロキシクロロキンである、実施形態31、32、または36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38:1つ以上の追加の薬剤の投与量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日から約30日後に、減少する、実施形態31~37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39:1つ以上の追加の薬剤の投薬量が、約25%~約100%減少する、実施形態33~38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40:1つ以上の追加の薬剤の投薬量が、約50%~約100%減少する、実施形態33~39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41:1つ以上の追加の薬剤の投薬量が、約75%~約100%減少する、実施形態33~40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42:IgA腎症を有する対象における倦怠感を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していないと判定されていた、方法。
実施形態43:倦怠感が、約10%~約20%低減する、実施形態42に記載の方法。
実施形態44:倦怠感の減少が、倦怠感重症度スケール、Chalder倦怠感スケール、FACIT倦怠感スケール、簡易倦怠感一覧表、FACT-Fサブスケール、全体的な活力および影響、May and Kline形容詞チェックリスト、Pearson-Byars倦怠感感情チェックリスト、Rhoten倦怠感スケール、倦怠感およびアネルギーのスケジュール、またはチェックリストの個々の強さ、のうちの1つ以上のスコアの減少を含む、実施形態42または43に記載の方法。
実施形態45:対象が、ACE阻害剤、ARB、スタチン、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、魚油、ヒドロキシクロロキン、または前述のいずれかの組み合わせを同時に受けている、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46:対象が、ACE阻害剤、ARB、またはそれらの組み合わせを同時に受けている、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態47:スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびピタバスタチンから選択される、実施形態45または46に記載の方法。
実施形態48:利尿薬が、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、キネタゾン、メトラゾン、クロロチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メチクロチアジドベメタニド、トルセミド、ピレタニド、エタクリン酸、ブメタニド、フロセミド、トリアムテレン、スピロノラクトン、エプレレノン、およびアミロリドから選択される、実施形態45~47のいずれか1つに記載の方法。
実施形態49:ACE阻害剤が、キナプリル、フォシノプリル ペリンドプリル、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、シラザプリル、デラプリル、フォセノプリル、ゾフェノプリル、インドラプリル、ベナゼプリル、リシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、ペリンデプ、ペントプリル、モエキシプリル、レシナミン、およびピボプリルから選択される、実施形態45~48のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50:ACE阻害剤が、キナプリル、フォシノプリル、カプトプリル、エナラプリル、およびリシノプリルから選択される、実施形態45~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51:ACE阻害剤が、キナプリルである、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52:ACE阻害剤が、フォシノプリルである、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態53:ACE阻害剤が、カプトプリルである、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54:ACE阻害剤が、エナラプリルである、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55:ACE阻害剤が、リシノプリルである、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態56:ARBが、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、アジルサルタンメドキソミル、およびBRA-657から選択される、実施形態45~55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57:ARBが、カンデサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、およびバルサルタンから選択される、実施形態45~56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58:ARBが、カンデサルタンである、実施形態45~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59:ARBが、ロサルタンである、実施形態45~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60:ARBが、オルメサルタンである、実施形態45~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61:ARBが、バルサルタンである、実施形態45~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62:ACE阻害剤、ARB、スタチン、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、魚油、ヒドロキシクロロキン、または前述のいずれかの組み合わせの投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に減少する、実施形態45~61のいずれか1つに記載の方法。
実施形態63:投薬量が、約25%~約100%減少する、実施形態45~62のいずれか1つに記載の方法。
実施形態64:投薬量が、約50%~約100%減少する、実施形態45~63のいずれか1つに記載の方法。
実施形態65:投薬量が、約75%~約100%減少する、実施形態45~64のいずれか1つに記載の方法。
実施形態66:ACE阻害剤、ARB、および/または利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少する、実施形態46または49~65のいずれか1つに記載の方法。
実施形態67:ACE阻害剤、ARB、および/または利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に減少する、実施形態46または49~66のいずれか1つに記載の方法。
実施形態68:ACE阻害剤、ARB、および/または利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に約25%~約100%減少する、実施形態46または49~67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態69:ACE阻害剤、ARB、および/または利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に約50%~約100%減少する、実施形態46または49~68のいずれか1つに記載の方法。
実施形態70:ACE阻害剤、ARB、および/または利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に約75%~約100%減少する、実施形態46または49~69のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71:ACE阻害剤の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少される、実施形態66に記載の方法。
実施形態72:ARBの投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少される、実施形態66に記載の方法。
実施形態73:利尿薬の投薬量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療後に減少される、実施形態66に記載の方法。
実施形態74:アトラセンタンが、薬学的に許容される塩として投与される、実施形態1~73のいずれか1つに記載の方法。
実施形態75:アトラセンタンが、アトラセンタン塩酸塩またはアトラセンタンマンデル酸塩として投与される、実施形態1~74のいずれか1つに記載の方法。
実施形態76:アトラセンタンが、アトラセンタン塩酸塩として投与される、実施形態1~75のいずれか1つに記載の方法。
実施形態77:アトラセンタンが、遊離塩基として投与される、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法。
実施形態78:対象が、ESRDに進行するリスクが高い、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法。
実施形態79:対象が、IgA腎症と診断されている、実施形態1~78のいずれか1つに記載の方法。
実施形態80:IgA腎症の診断が、腎生検、抗グリカン抗体を検出すること、腎臓におけるIgA免疫複合体の沈着を検出すること、または前述のいずれかの組み合わせを含む、実施形態79に記載の方法。
実施形態81:IgA腎症の診断が、腎生検を含む、実施形態79または80に記載の方法。
実施形態82:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1日当たり平均約0.5グラム以上のタンパク質を尿中に排泄している、実施形態1~81のいずれか1つに記載の方法。
実施形態83:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1日当たり平均約0.75グラム以上のタンパク質を尿中に排泄している、実施形態1~82のいずれか1つに記載の方法。
実施形態84:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、1日当たり平均約1グラム以上のタンパク質を尿中に排泄している、実施形態1~82のいずれか1つに記載の方法。
実施形態85:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約20~約90mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する、実施形態1~84のいずれか1つに記載の方法。
実施形態86:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約30~約90mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
実施形態87:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約20~約60mL/分/1.73m2の平均eGFRを有する、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
実施形態88:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約4%~約6%の平均HbA1cを有する、実施形態1~87のいずれか1つに記載の方法。
実施形態89:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約125mg/dL以下の平均空腹時血糖値を有する、実施形態1~88のいずれか1つに記載の方法。
実施形態90:対象が、カリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する、実施形態1~89のいずれか1つに記載の方法。
実施形態91:対象が、ナトリウムレベルを正常な生理学的範囲内に維持する、実施形態1~90のいずれか1つに記載の方法。
実施形態92:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、ALT/ASTレベルとほぼ同じであるALT/ASTレベルを、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する、実施形態1~91のいずれか1つに記載の方法。
実施形態93:対象が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、ビリルビンレベルとほぼ同じであるビリルビンレベルを、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与中に有する、実施形態1~92のいずれか1つに記載の方法。
実施形態94:対象における体液貯留が、利尿薬で管理可能である、実施形態1~93のいずれか1つに記載の方法。
実施形態95:対象の尿中のタンパク質の量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約20%~約80%低減する、実施形態1~94のいずれか1つに記載の方法。
実施形態96:対象の尿中のタンパク質の量が、約35%~約80%低減する、実施形態95に記載の方法。
実施形態97:対象の尿中のタンパク質の量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約100mg/dL~約500mg/dL低減する、実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法。
実施形態98:対象の尿中のタンパク質の量が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約15日~約30日後に、約500mg/dL~約900mg/dL低減する、実施形態1~97のいずれか1つに記載の方法。
実施形態99:対象がESRDを発症するリスクが、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約6カ月~約24カ月後に、約20%~約99%低減する、実施形態1~98のいずれか1つに記載の方法。
実施形態100:対象がESRDを発症するリスクが、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療から約12カ月~約24カ月後に、約20%~約99%低減する、実施形態1~99のいずれか1つに記載の方法。
実施形態101:eGFRの平均減少速度が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約0.75mL/分/年~約6mL/分/年である、実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法。
実施形態102:eGFRの平均減少速度が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約3mL/分/年~約6mL/分/年である、実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法。
実施形態103:eGFRの平均減少速度が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の第1の投与の前に、少なくとも約3カ月間、約4mL/分/年~約5mL/分/年である、実施形態1~102のいずれか1つに記載の方法。
実施形態104:eGFRの平均減少率が、アトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩による治療の約6カ月~約24カ月後に、約15%~約30%低減する、実施形態1~103のいずれか1つに記載の方法。
実施形態105:治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩が、約0.20mg~約1.5mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である、実施形態1~104のいずれか1つに記載の方法。
実施形態106:治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩が、約0.25mg~約1.25mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である、実施形態1~105のいずれか1つに記載の方法。
実施形態107:治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩が、約0.40mg~約0.85mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である、実施形態1~106のいずれか1つに記載の方法。
実施形態108:治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩が、約0.75mgのアトラセンタン、または等量のその薬学的に許容される塩である、実施形態1~107のいずれか1つに記載の方法。
実施形態109:ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を判定することをさらに含む、実施形態1~108のいずれか1つに記載の方法。
実施形態110:ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の発現および/または活性を判定することをさらに含む、実施形態1~109のいずれか1つに記載の方法。
実施形態111:Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を判定することをさらに含む、実施形態1~110のいずれか1つに記載の方法。
実施形態112:対象におけるET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、NF-kB、およびIL6のうちの1つ以上の発現および/または活性を判定することをさらに含む、実施形態1~108のいずれか1つに記載の方法。
実施形態113:発現および/または活性を判定することが、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に行われる、実施形態109に記載の方法。
実施形態114:発現および/または活性を判定することが、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の後に行われる、実施形態109に記載の方法。
実施形態115:治療有効量のSGLT-2阻害剤を投与することをさらに含む、実施形態1~114のいずれか1つに記載の方法。
実施形態116:SGLT-2阻害剤が、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリホジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、ヘナグリフロジン(SHR-3824)、エナボグリフロジン(DWP-16001)、TA-1887(3-(4-シクロプロピルベンジル)-4-フルオロ-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、インドール-N-グリコシド18(3-(4-エチルベンジル)-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、ソタグリフロジン、ルセオグリフロジン、セルグリフロジンエタボネート、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、およびT-1095(((2R,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-(ベンゾフラン-5-イル)プロパノイル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)エタボネート)から選択される、実施形態115に記載の方法。
実施形態117:SGLT-2阻害剤が、ベキサグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、セルフリフロジン、リコフリグロジン、ソタグリフロジン、およびトホグリフロジンから選択される、実施形態115または116に記載の方法。
実施形態118:SGLT-2阻害剤が、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、またはエルツグリフロジンである、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
実施形態119:SGLT-2阻害剤が、カナグリフロジンである、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
実施形態120:SGLT-2阻害剤が、ダパグリフロジンである、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
実施形態121:SGLT-2阻害剤が、エンパグリフロジンである、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
実施形態122:SGLT-2阻害剤が、エルツグリフロジンである、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
実施形態123:対象に、SGLT-2阻害剤および1つ以上のACE阻害剤および/または1つ以上のARBを投与する、実施形態115~122のいずれか1つに記載の方法。
実施形態124:対象に、SGLT-2阻害剤および1つ以上のACE阻害剤を投与する、実施形態115~123のいずれか1つに記載の方法。
実施形態125:対象に、SGLT-2阻害剤および1つ以上のARBを投与する、実施形態115~123のいずれか1つに記載の方法。
実施形態126:対象に、SGLT-2阻害剤およびACE阻害剤を投与する、実施形態115~123のいずれか1つに記載の方法。
実施形態127:対象に、SGLT-2阻害剤およびARBを投与する、実施形態115~123のいずれか1つに記載の方法。
実施形態128:対象に、SGLT-2阻害剤、ACE阻害剤、およびARBを投与する、実施形態115~123のいずれか1つに記載の方法。
実施形態129:メサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、メサンギウム細胞を有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
実施形態130:メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体によって誘導される、実施形態129に記載の方法。
実施形態131:メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体の存在と関連している、実施形態129に記載の方法。
実施形態132:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態129に記載の方法。
実施形態133:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む、実施形態129に記載の方法。
実施形態134:メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、IL6、MCP1、またはメサンギウム細胞の炎症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態133に記載の方法。
実施形態135:メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、IL-6シグナル伝達を低減させることを含む、実施形態134に記載の方法。
実施形態136:メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む、実施形態129に記載の方法。
実施形態137:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態136に記載の方法。
実施形態138:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態136または137に記載の方法。
実施形態139:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態136または137に記載の方法。
実施形態140:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態136または137に記載の方法。
実施形態141:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、NF-κBシグナル伝達および/またはPDGFシグナル伝達を低減させることを含む、実施形態136または137に記載の方法。
実施形態142:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む、実施形態136~141のいずれか1つに記載の方法。
実施形態143:メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることが、メサンギウム細胞による1つ以上の過剰なマトリックス分泌の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態142に記載の方法。
実施形態144:IgA免疫複合体と接触しているメサンギウム細胞の活性化を低減させる方法であって、メサンギウム細胞を有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
実施形態145:メサンギウム細胞の活性化を低減させることが、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態144に記載の方法。
実施形態146:メサンギウム細胞の活性化を低減させることが、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む、実施形態144に記載の方法。
実施形態147:メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、IL6、MCP1、またはメサンギウム細胞の炎症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態146に記載の方法。
実施形態148:メサンギウム細胞の活性化を低減させることが、メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む、実施形態144に記載の方法。
実施形態149:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態148に記載の方法。
実施形態150:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態148または149に記載の方法。
実施形態151:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA2、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態148または149に記載の方法。
実施形態152:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態148または149に記載の方法。
実施形態153:メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む、実施形態148~152のいずれか1つに記載の方法。
実施形態154:メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることが、メサンギウム細胞による過剰なマトリックス分泌を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む、実施形態153に記載の方法。
実施形態155:メサンギウム細胞の活性化を低減させることが、望ましくないメサンギウム細胞の遊走を低減させることを含む、実施形態144に記載の方法。
実施形態156:接触することが、インビトロで起こる、実施形態129~155のいずれか1つに記載の方法。
実施形態157:接触することが、インビボで起こる、実施形態129~155のいずれか1つに記載の方法。
実施形態158:IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)対象が、腎臓においてIgA免疫複合体沈着を有すると判定することと、
b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
実施形態159:対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、実施形態158に記載の方法。
実施形態160:対象が、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない、実施形態158に記載の方法。
実施形態161:対象が、がんと現在診断されていない、実施形態158~160のいずれか1つに記載の方法。
実施形態162:対象が、がんの治療を現在受けていない、実施形態158~160のいずれか1つに記載の方法。
実施形態163:対象が、がんとこれまでに診断されたことがない、実施形態158~160のいずれか1つに記載の方法。
実施形態164:がんが、肺がんまたは前立腺がんである、実施形態163に記載の方法。
実施形態165:IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)対象が、上昇したレベルのメサンギウム活性化を有すると判定することと、
b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
実施形態166:上昇したレベルのメサンギウム活性化の判定が、対象から試料を得ることと、同じものにおけるメサンギウム活性化のレベルを評価することと、を含む、実施形態165に記載の方法。
実施形態167:試料が、腎生検試料である、実施形態166に記載の方法。
実施形態168:試料が、上昇したレベルの、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌、IgA免疫複合体沈着、メサンギウム細胞の増殖、および毛細血管内細胞の増殖のうちの1つ以上を示す、実施形態166または167に記載の方法。
実施形態169:試料が、上昇したレベルのIgA免疫複合体沈着を示す、実施形態166~168のいずれか1つに記載の方法。
実施形態170:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、1年間にわたって、3回の連続した測定値のうちの少なくとも2回で、少なくとも約1g/日のタンパク尿を有すると判定されている、実施形態165~169のいずれか1つに記載の方法。
実施形態171:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与されている、実施形態165~170のいずれか1つに記載の方法。
実施形態172:対象が、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤および治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を同時に投与される、実施形態165~171のいずれか1つに記載の方法。
実施形態173:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、血尿を有すると判定されている、実施形態165~171のいずれか1つに記載の方法。
実施形態174:血尿が、顕微鏡的血尿である、実施形態173に記載の方法。
実施形態175:血尿が、肉眼的血尿である、実施形態173に記載の方法。
実施形態176:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたは薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている、実施形態165~175のいずれか1つに記載の方法。
実施形態177:対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、実施形態165~176のいずれか1つに記載の方法。
実施形態178:対象が、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない、実施形態165~177のいずれか1つに記載の方法。
実施形態179:対象が、がんと現在診断されていない、実施形態165~178のいずれか1つに記載の方法。
実施形態180:対象が、がんの治療を現在受けていない、実施形態165~178のいずれか1つに記載の方法。
実施形態181:対象が、がんとこれまでに診断されたことがない、実施形態165~178のいずれか1つに記載の方法。
実施形態182:がんが、肺がんまたは前立腺がんである、実施形態181に記載の方法。
実施形態183:試料中のメサンギウム活性化のレベルを評価することが、血清分析、尿検査、光学顕微鏡学、および免疫蛍光顕微鏡学のうちの1つ以上を含む、実施形態165~182のいずれか1つに記載の方法。
実施形態184:IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)対象が、腎臓において上昇したレベルのIgA免疫複合体を有すると判定することと、
b)対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
実施形態185:腎臓における上昇したレベルのIgA免疫複合体の判定が、対象から試料を得ることと、同じものにおけるIgA免疫複合体のレベルを評価することと、を含む、実施形態184に記載の方法。
実施形態186:試料が、上昇したレベルの、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌、IgA免疫複合体沈着、メサンギウム細胞の増殖、および毛細血管内細胞の増殖のうちの1つ以上を示す、実施形態184または185に記載の方法。
実施形態187:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、1年間にわたって、3回の連続した測定値のうちの少なくとも2回で、少なくとも約1g/日のタンパク尿を有すると判定されている、実施形態184~186のいずれか1つに記載の方法。
実施形態188:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与されている、実施形態184~187のいずれか1つに記載の方法。
実施形態189:対象が、最大許容安定用量のRAS阻害剤および治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を同時に投与される、実施形態184~188のいずれか1つに記載の方法。
実施形態190:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、血尿を有すると判定されている、実施形態184~189のいずれか1つに記載の方法。
実施形態191:血尿が、顕微鏡的血尿である、実施形態190に記載の方法。
実施形態192:血尿が、肉眼的血尿である、実施形態190に記載の方法。
実施形態193:対象が、治療有効量のアトラセンタンまたは薬学的に許容される塩の投与の前に、少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFRを有すると判定されている、実施形態184~192のいずれか1つに記載の方法。
実施形態194:対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、実施形態184~193のいずれか1つに記載の方法。
実施形態195:対象が、HIV関連腎症とこれまでに診断されたことがない、実施形態184~194のいずれか1つに記載の方法。
実施形態196:対象が、がんと現在診断されていない、実施形態184~195のいずれか1つに記載の方法。
実施形態197:対象が、がんの治療を現在受けていない、実施形態184~196のいずれか1つに記載の方法。
実施形態198:対象が、がんとこれまでに診断されたことがない、実施形態184~197のいずれか1つに記載の方法。
実施形態199:がんが、肺がんまたは前立腺がんである、実施形態196~198のいずれか1つに記載の方法。
実施形態200:試料中のIgA免疫複合体のレベルを評価することが、血清分析、尿検査、光学顕微鏡学、および免疫蛍光顕微鏡学のうちの1つ以上を含む、実施形態185~199のいずれか1つに記載の方法。
実施形態201:SGLT-2阻害剤を投与することをさらに含む、実施形態158~200のいずれか1つに記載の方法。
実施形態202:SGLT-2阻害剤が、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリホジン、ベキサグリフロジン、リコグリフロジン、ジャナグリフロジン(XZP-5695)、トホグリフロジン、エルツグリフロジン、ヘナグリフロジン(SHR-3824)、エナボグリフロジン(DWP-16001)、TA-1887(3-(4-シクロプロピルベンジル)-4-フルオロ-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、インドール-N-グリコシド18(3-(4-エチルベンジル)-1-(β-D-グルコピラノシル)-1H-インドール)、ソタグリフロジン、ルセオグリフロジン、セルグリフロジンエタボネート、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、およびT-1095(((2R,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-(ベンゾフラン-5-イル)プロパノイル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)エタボネート)から選択される、実施形態201に記載の方法。
実施形態203:SGLT-2阻害剤が、ベキサグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、セルフリフロジン、リコフリグロジン、ソタグリフロジン、およびトホグリフロジンから選択される、実施形態200または201に記載の方法。
実施形態204:SGLT-2阻害剤が、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、またはエルツグリフロジンである、実施形態201~203のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0403】
実施例1.ヒトIgA腎症の細胞モデルを使用したインビトロ研究
培養物中の初代ヒトメサンギウム細胞は、ヒトIgA腎症患者から単離された、またはインビトロで生成された病原性dgIgA免疫複合体で刺激される。免疫複合体を引き起こすこれらの疾患に対する増殖ならびに炎症誘発性および線維性反応が、48時間以内にメサンギウム細胞で観察される。細胞は、適切な培地中でアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩(例えば、アトラセンタン塩酸塩)で処理される。増殖、炎症誘発性応答、および/または線維性反応の変化が、測定される。この研究の結果は、アトラセンタンがインビトロモデルにおいてIgA腎症の基礎疾患の過程を弱める程度を示す。
【0404】
実施例2.IgA腎症患者におけるアトラセンタンの無作為化二重盲検プラセボ対照有効性および安全性研究
この実施例は、持続性タンパク尿および急速な腎進行のリスクを伴うレニンアンギオテンシン系(RAS)阻害剤におけるIgA腎症患者に対するアトラセンタンの無作為化二重盲検プラセボ対照有効性および安全性研究について説明する。
【0405】
研究概要
このプロトコルには、2つの期間が含まれる。第1の期間は、約20~30人のIgA腎症を有する患者の非盲検治療を含み、6週間にわたって毎日0.75mgのアトラセンタンの安全性および耐容性を確認する。すべての患者が少なくとも6週間の治療を完了した後、独立したデータ監視委員会(DMC)が、有害事象、臨床検査、およびバイタルサインを含むすべての利用可能な安全性データを検討し、安全性プロファイルがこれまでの臨床経験と一致しているかどうかについて勧告し、安全性データは、より大規模な無作為化研究での継続的な評価を支援する。DMCが無作為化研究に進むことを推奨する場合、初期の非盲検患者は、110週間(約2年間)非盲検治療を受け続ける。
【0406】
第2の期間は、0.75mgのアトラセンタンを毎日または対応するプラセボを110週間投与するために、1:1で無作為化された約350~400人の患者の二重盲検プラセボ対照研究である。患者は、定期的に腎機能の血液および尿マーカーならびに安全性評価を追跡される。
【0407】
初期の非盲検コホートおよび無作為化二重盲検コホートの両方が、110週まで割り当てられた治療を受けている。その後、すべての患者は、110週目に治験薬を中止し、114週目に安全性のフォローアップ/研究完了のため再訪問する。114週目より前に治療を中止した任意の患者は、治験薬の最後の投与から約4週間後に安全性のフォローアップ訪問を受ける。安全性のフォローアップ訪問後、治療を時期尚早に中止した患者は、研究のエンドポイントのデータを提供するために、四半期ごとの有効性評価のために研究を続けることが奨励される。
【0408】
目的:
この研究の主な目的は、
(1)IgA腎症患者における0.75mgのアトラセンタンの短期間の安全性および耐容性を確認すること、および
(2)プラセボと比較した24週目のタンパク尿レベルに対するアトラセンタンの効果を評価すること、である。
【0409】
二次的な目的は、
(3)ベースラインから114週目(無作為化治療の中止後4週間)までの推定糸球体濾過率(eGFR)損失の遅延に対するアトラセンタンの効果を評価すること、
(4)アトラセンタンとプラセボとの間のeGFRの2年間の治療中の変化率を比較する(無作為化治療の6週目~110週目のeGFR勾配)こと、および
(5)アトラセンタンとプラセボとの間で、24週目に1g/日未満のタンパク尿が低減した部分的な臨床反応を達成した患者の割合を比較すること、である。
【0410】
探索的な目的は、
(6)6週目~114週目の各時点で部分的および完全な奏効を達成した患者の割合を評価すること、
(7)プラセボと比較して、アトラセンタンを投与されている患者の生活の質(QOL)を評価すること、および
(8)探索的曝露反応分析を支持するアトラセンタンの定常状態の薬物動態を評価すること、である。
【0411】
対象の数
約20~30人の患者は、第2相安全期間に登録され、約350~400人の患者は、無作為化二重盲検期間に登録される。
【0412】
安全性以外の理由で初期の非盲検期間を中止した患者は、少なくとも6週間の治療後に適切な安全性データの検討を確実にするために、治験依頼者の裁量で代替され得る。
【0413】
研究施設の数:全世界で約120の施設
【0414】
試験対象患者基準:
以下は、試験対象患者基準である。患者は、登録される以下の試験対象患者基準のすべてを満たす必要がある:
(1)18歳以上の男性および女性の患者、
(2)二次的原因によるものではないIgA腎症の生検で証明された診断、
(3)スクリーニングの前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与している、
(4)スクリーニング時および前年の3回の連続した測定値のうち少なくとも2回で、少なくとも1g/日のタンパク尿、
(5)スクリーニング時に少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFR、
(6)研究全体を通してプロトコルで特定されているように、非常に効果的な避妊方法を順守することをいとわないこと、ならびに
(7)書面によるインフォームドコンセントを提供し、すべての研究訪問および研究手順に従う意思および能力。
【0415】
除外基準
以下は、除外基準であり、患者は、登録される以下の除外基準のいずれも満たさない必要がある:
(1)糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、または別の原発性糸球体症を含む慢性腎疾患の別の原因の同時診断。よく制御された高血圧の病歴が、許容される、
(2)腎生検(スクリーニングから6カ月以内に生検が利用可能な場合)または急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の臨床上の疑いで、糸球体の25%超の細胞性糸球体半月体の存在、
(3)臓器移植の病歴、
(4)過去6カ月間に少なくとも2週間、全身性免疫抑制薬(または治験薬)の使用、
(5)スクリーニング時の血圧が160超の収縮期血圧または100超の拡張期血圧、
(6)制御不能な末梢浮腫、胸水、または腹水などの体液過剰に関連する状態のための心不全の病歴またはこれまでの入院歴、
(7)臨床的に有意な肝疾患の病歴および正常値の上限の2倍を超えるトランスアミナーゼまたはビリルビン値、
(8)スクリーニング時またはスクリーニングから3カ月以内の貧血に対する輸血の既往歴のある9g/dL未満のヘモグロビン、
(9)少なくとも5年間がんがない場合、または継続的な治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、悪性腫瘍の病歴、
(10)女性については、妊娠、授乳、または研究期間中に妊娠する意向、
(11)男性については、研究期間中に子供の父親になる意向、
(12)スクリーニング前の1カ月以内(または薬剤の5半減期のいずれか長い方)に任意の治験薬または生物学的薬剤を受容したことがある、
(13)臨床的に有意な、不安定な、または制御されていない心臓血管、肺、肝臓、腎臓、胃腸、泌尿生殖器、血液学的、凝固、免疫、内分泌/代謝、または研究者の意見において研究の結果を狂わせ得る、または研究への参加によって患者に追加のリスクをもたらし得る他の医学的障害の同時発生、あるいは、
(14)アルコールまたは違法薬物関連障害の病歴。
注記:以前は不適格だった患者のスクリーニングは、医療モニターの承認を得て繰り返され得る。
【0416】
試験製品、用量、および投与方法:
非盲検期間の患者は、経口投与によって0.75mgのアトラセンタンを1日1回投与される。無作為化二重盲検期間の患者は、経口投与によって0.75mgのアトラセンタンを1日1回、または経口投与によって対応するプラセボを1日1回のいずれかが投与される。
【0417】
無作為化研究期間中の治療の割り当ては、対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)によって決定される。患者、治験責任医師、および治験依頼者は、割り当てられた研究治療にアクセスすることができる。医学的な緊急事態の場合、治験責任医師は、患者の最適なケアを提供するために必要である場合、IXRSシステムを介して治療の割り当てを受けることができる。無作為化は、地域(北米対他のすべての地域)およびスクリーニング時のベースライン尿タンパク質レベル(>2g/日対<2g/日)によって階層化される。
【0418】
治療期間:
スクリーニング期間:最大4週間
【0419】
治療期間:110週間
【0420】
安全性のフォローアップ:4週間
【0421】
個々の患者の総研究期間:最大118週間(約2.3年)
【0422】
評価基準:有効性
主要な有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから24週目までのタンパク尿(24時間の蓄尿に基づいた尿タンパク質/クレアチニン比)の変化である。
【0423】
主要な二次有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから安全性フォローアップ/研究完了訪問(114週目)までの値から計算された勾配によって測定されたeGFRの変化率である。
【0424】
追加の二次有効性エンドポイントには、プラセボ治療を受けた患者と比較したアトラセンタン治療を受けた患者における6週目から110週目までの値から計算された慢性勾配によって測定された、治療中の2年間のeGFRの変化率、ならびに部分的および完全な臨床反応を達成する患者の割合が含まれる。
【0425】
評価基準:安全性
安全性のエンドポイントには、以下が含まれる:
(1)有害事象および重篤な有害事象の頻度および重症度、
(2)心不全および/または体液過剰の事象を含む、特に関心のある有害事象の頻度および重症度、ならびに
(3)安全検査室、ECG、または理学的検査所見(バイタルサインを含む)の臨床的に重要な変化。
【0426】
停止基準
独立したデータ監視委員会(DMC)が研究を監視するように任命されている。DMCは、定期的に会合を開き、安全性データを確認し、研究の継続、変更、一時停止、または終了に関して勧告する。DMCはまた、非盲検期間中のすべての患者に対して少なくとも6週間の治療が完了した後、無作為化研究に進むことを正式に勧告する。
【0427】
唯一必要な治験薬の停止基準は、妊娠の証拠、またはプロトコルで特定された避妊の不遵守、または妊娠モニタリングである。他の治験薬の停止基準は、利尿薬および医学的管理で制御できない体液過剰症候群、ならびに許容できない毒性を表す任意の疑わしい治験薬関連の有害事象を含み得る治験責任医師および患者の裁量に基づき得る。
【0428】
110週目より前に治験薬を停止するすべての患者は、有効性評価のためにのみ、114週目まで四半期ごとの訪問を継続することが推奨される。
【0429】
評価基準:薬物動態および薬力学
薬物動態学的および薬力学的エンドポイントは、以下のとおりである:
(1)アトラセンタン血漿レベル、および
(2)探索的バイオマーカー。
注記:PKサンプリングは、母集団PKの開発を支援するようにスパースである。
統計的方法
治療母集団の定義:
●すべての非盲検参加者は、安全性分析および記述的非比較有効性分析のための非盲検母集団を構成する
●任意の量の治験薬が投与されたすべての無作為化された参加者は、安全性および曝露分析のための安全性集団を構成する
●すべての無作為化された参加者は、有効性分析のための治療企図解析対象集団を構成する
●任意の量の治験薬が投与され、少なくとも1つのベースライン後のPK試料を有するすべての無作為化された参加者は、PK母集団を構成する
【0430】
安全性および耐容性:
連続的な安全性データは、治療群ごとの記述統計学(算術平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)で要約される。カテゴリー別の安全性データは、治療群ごとの頻度数およびパーセンテージで要約される。有害事象は、入手可能な最新の国際医薬用語集(MedDRA)バージョンを使用してコード化される。治療中に発生した有害事象を経験している参加者の数、ならびに最大の重症度および治験薬との関係が、要約される。
【0431】
検査室評価、バイタルサイン評価、およびECGパラメータは、治療群およびプロトコルで特定された収集時点ごとに要約される。治療群ごとの各プロトコルで特定された時点でのベースラインからの変化量の要約も、提示される。併用薬は、参加者ごとに一覧表示され、最新の世界保健機関の薬物辞書を使用してコード化されている。病歴は、対象ごとに一覧表示されている。安全性データの提示および分析に関するさらなる詳細は、解析計画書(SAP)に詳述されている。
【0432】
薬物動態:
個々の定常状態のアトラセンタン濃度データが、一覧表示され、記述統計学(試料サイズ、算術平均、SD、中央値、最小、最大、幾何平均、および幾何変動係数)とともに要約される。これらのデータは、アトラセンタンのより大きな母集団のPKモデルに供給され得る。アトラセンタンの薬物レベルと安全性または有効性の反応との相関関係が、調査され得る。薬物動態データの統計分析に関する詳細は、SAPで提供される。
【0433】
有効性の評価:
記述統計学は、人口統計学的およびベースライン特性の差を評価するために使用される。主要な有効性エンドポイントは、24時間の蓄尿試料から判定された、ベースラインから各ベースライン後の24週目までの訪問への尿タンパク質/クレアチニン比の変化である。一次分析は、対数変換されたデータを使用して実行され、反復測定分析は、ベースライン、12週目、および24週目に収集されたすべてのデータを使用して実行される。主要エンドポイントで追加の感度分析を実行して、ロバスト性および欠測データの影響を評価する。SAPで特定されているように、サブグループ分析を実行する。24週目の主要エンドポイントデータの収集および分析に続いて、無作為化研究の患者は、研究が114週目で完了するまで、割り当てられた研究治療を受け続ける。
【0434】
実施例3.ヒトIgA腎症の細胞モデルを使用したインビトロ研究
培養物中の初代ヒトメサンギウム細胞は、ヒトIgA腎症患者から単離された病原性ガラクトース欠損(Gd)-IgA含有免疫複合体で刺激された。免疫複合体を引き起こすこれらの疾患に対する増殖ならびに炎症誘発性および線維性反応が、48~72時間以内にメサンギウム細胞で観察された。細胞を、アトラセンタンで処理し、増殖、炎症誘発性応答、および/または線維性反応の変化が、測定された。
【0435】
具体的には、病原性IgA含有免疫複合体は、IgA腎症患者、または年齢、性別、および民族性が一致する健常な個人の血清から分離された。凍結血清は、BioIVTから購入し、IgA含有免疫複合体は、ジャカリン親和性クロマトグラフィーを使用して精製された。簡言すれば、2mLの血清を、ジャカリン-アガロース親和性カラム(ThermoFisher)に適用し、IgAを0.1Mメリビオース(Sigma Aldrich)で溶出した。精製されたIgA含有免疫複合体は、100K Amicon濾過ユニットを使用して濃縮され、免疫複合体中の総IgAおよびガラクトース欠損IgA(Gd-IgA)の量は、ELISA(それぞれ、ThermoFisherおよびIBL America)によって測定された。23歳の男性ドナーからの初代ヒト腎メサンギウム細胞(HRMC)は、ScienCell Research Laboratoriesから購入した。HRMCは、2%FBSおよび独自の成長因子を含有するMCM培地で、供給業者の推奨されるように培養された。増殖およびサイトカイン産生実験では、ウェル当たり5,000個の細胞を、96ウェルプレートにプレーティングし、完全培地で一晩培養し、次いで成長因子の不在下で0.5%FBSを含有するMCM培地に取り替えた。低血清処理から1日後、培地を、アトラセンタンの有無にかかわらず、精製された免疫複合体の存在下で0.5%FBSを含有するMCMと最大72時間交換した。例えば、Novak et.al.,Kidney International,67,pp.504-516;2005、Novak et.al.,Nephrol.Dial.Transplant,26,pp.3451-3457;2011、Liang et.al.,Cell Physiol.Biochem.,36,pp.1793-1808;2015、Nguyen et.al.,Clin.Kidney J.,12(2),pp,232-238;2019を参照のこと。メサンギウム細胞の活性化は、BrdUの取り込み(Abcam)による増殖を測定することによって評価され、IL-6を含む炎症性サイトカインの分泌は、ELISA(R&D Systems)によって測定された。
【0436】
健常な対照からのIgA含有血清画分と比較して、IgA腎症を有する3人の別々の患者から精製されたIgA含有免疫複合体で処理されたHRMCは、病原性IgA免疫複合体に応答したメサンギウム細胞の活性化の特徴である増加した細胞増殖を示した(
図1A)。アトラセンタンは、健常な対照からのIgA含有血清画分で処理されたHRMCの基底細胞増殖に影響を与えなかったが、アトラセンタンは、IgA腎症を有する3人の別々の患者から精製されたIgA含有免疫複合体によって誘発されたHRMCの過剰増殖を有意に減衰した(
図1A)。正常ドナーおよびIgANドナーから精製された免疫複合体には、それぞれ、平均1.9および4.4μg/mLのGd-IgAが含まれた(
図1B)。
【0437】
実施例4.アトラセンタンは、初代ヒトメサンギウム細胞におけるET-1誘導性増殖およびIL-6産生を阻害する
23歳の男性ドナーからの初代ヒト腎メサンギウム細胞(HRMC)は、ScienCell Research Laboratoriesから購入した。HRMCは、2%FBSおよび独自の成長因子(ScienCell)を含有するMCM培地で、供給業者の推奨されるように培養された。増殖およびサイトカイン産生実験では、ウェル当たり5,000個の細胞を、96ウェルプレートにプレーティングし、完全培地で一晩培養し、次いで成長因子の不在下で0.5%FBSを含有するMCM培地に取り替えた。低血清処理から1日後、培地を、10ng/mLのET-1、様々な範囲のアトラセンタン濃度の有無にかかわらず、0.5%FBSを含有するMCMと最大72時間交換した。メサンギウム細胞の活性化は、ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込み(Abcam)による増殖を測定することによって評価され、IL-6を含む炎症性サイトカインの分泌は、ELISA(R&D Systems)によって測定された。IC50値は、可変勾配4パラメータフィットを使用してGraphPad Prismで計算された。
【0438】
ET-1は、48時間(
図2A)および72時間(
図2B)の両方でHRMCの増殖を誘発した。ET-1によって誘発されたHRMCの増殖は、それぞれ、48時間(
図2A)および72時間(
図2B)の処置後、4.2nMおよび50.8nMのIC
50値を有する、アトラセンタンによって濃度依存的な様式でブロックされた。ET-1はまた、48時間(
図3A)および72時間(
図3B)でHRMCにおけるIL-6の産生も刺激し、これは、それぞれ、48時間および72時間の時点(
図3Aおよび3B)で、1.0nMおよび0.65nMのIC
50値を有する、アトラセンタンによって濃度依存的な様式で阻害された。
【0439】
実施例5.腎機能の進行性消失のリスクがあるIgA腎症を有する患者におけるアトラセンタンの第3相無作為化二重盲検プラセボ対照研究(ALIGN研究)
この実施例は、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤による治療にもかかわらず、腎機能の進行性消失のリスクがあるアトラセンタンの第3相無作為化二重盲検プラセボ対照研究を説明する。
【0440】
研究概要
IgA腎症を有する約320人の患者が、0.75mgのアトラセンタンを1日1回(QD)または対応するプラセボを132週間投与するために、1:1で無作為化される。無作為化は、地域およびスクリーニングのUPCRレベルに応じて階層化される。対象は、安全性、ならびにタンパク尿およびeGFRのベースラインからの変化について評価される。対象ごとの研究参加の合計期間は、スクリーニングのための4週間、治療の132週間、およびフォローアップの4週間を含む最大140週間になると予想される。
【0441】
独立したデータ監視委員会(IDMC)が定期的に招集され、盲検化されていない全体的な安全性および新たな有効性の結果を検討する。同様に、主要な二次エンドポイントを支援する試料サイズの暫定的な再推定は、最大450人の合計対象の増加をもたらし得る。
【0442】
研究を完了した対象は、別個のプロトコルの下でアトラセンタンによる非盲検治療を受けるための延長研究に登録する資格があり得る。
【0443】
目的:
この研究の主な目的は、
(1)プラセボと比較した24週目のタンパク尿レベルに対するアトラセンタンの効果を評価することである。
【0444】
二次的な目的は、
(2)ベースラインから136週目まで(無作為化治療の中止から4週間後)の変化に対するアトラセンタン対プラセボの効果を評価すること、
(3)アトラセンタンとプラセボとの間のeGFRの2年間の治療中の変化率(無作為化治療の12週目から120週目までのeGFR勾配)を比較すること、および
(4)アトラセンタンとプラセボとの間のeGFRの研究中の変化率の合計(ベースラインから136週目までのeGFR勾配)を比較すること、である。
【0445】
探索的な目的は、
(5)プラセボと比較して、アトラセンタンを投与されている患者の生活の質(QOL)を評価すること、および
(6)探索的曝露反応分析を支持するアトラセンタンの定常状態の薬物動態を評価すること、である。
【0446】
対象の数
約320人の患者が、登録される。
研究施設の数:全世界で約150の施設
【0447】
試験対象患者基準:
以下は、試験対象患者基準である。患者は、登録される以下の試験対象患者基準のすべてを満たす必要がある:
1.任意の研究特異的な活性/手順を開始する前にICFを署名した時点での18歳以上の男性および女性の対象。
2.治験責任医師の意見では、二次的な原因によるものではない生検で証明されたIgAN。
●生検は、研究前の任意の時点で発生し得る。
●診断レポートは、治験依頼者または被指名人による検討のために使用可能である必要がある。
3.スクリーニングの前に、少なくとも12週間安定しているRAS阻害剤の最大耐性の最適化された用量のRAS阻害剤を投与している。
●最大耐量および最適化された用量を決定する際には、治験責任医師の裁量を使用する必要がある。
●RAS阻害剤に耐性がない対象は、適格であるが、無作為化された総集団の約5%を超えることはない。
4.スクリーニング時に収集された朝一番の排尿の中央検査室評価に基づいた1g/g以上のUPCR。
5.CKD-EPI方程式に基づいたスクリーニング時に、少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFR。
6.研究全体を通して、その後1カ月間、プロトコルで特定されているように、非常に効果的な避妊方法を順守することをいとわないこと。WOCBPでは、ホルモン性避妊薬の使用
7.書面によるインフォームドコンセントを提供し、すべての研究訪問および研究手順に従う意思および能力。
【0448】
除外基準
以下は、除外基準であり、患者は、登録される以下の除外基準のいずれも満たさない必要がある:
1.糖尿病性腎疾患または別の原発性糸球体症を含む慢性腎疾患の別の原因の同時診断。
2.KDIGOガイドラインに基づく急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の臨床的疑い、またはヘノッホシェーンライン紫斑病の臨床的疑い。
3.スクリーニング時の3g/dL未満の血清アルブミンによるネフローゼ症候群の診断。
4.スクリーニング時の200pg/mL超のBNP値。
5.スクリーニング時の80,000/μL超の血小板数
6.臓器移植の病歴(角膜移植の病歴を有する対象は除外されない)。
7.ミコフェノレート、アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムスなどを含む全身性免疫抑制薬の使用、Tripterygium Wilfordii Hook F、Caulis sinomenii、およびSinomenium acutumなどのハーブの使用、過去3カ月間に2週間超。過去6カ月以内のリツキシマブの使用。
8.スクリーニング時に得られた3回の測定値の平均に基づいて、収縮期血圧が150mmHg超または拡張期血圧が95mmHg超であることを確認した。
9.肺水腫、制御不能な末梢浮腫、胸水、または腹水などの体液過剰に関連する状態のための既知の心不全またはこれまでの入院歴。
10.臨床的に有意な肝疾患の既知の病歴あるいは正常値の上限の2倍を超えるトランスアミナーゼまたはビリルビン値。治療を受けたC型肝炎を有する対象は、治験依頼者の医療モニター(または被指名人)と相談して、研究に含めることを検討され得る。
11.スクリーニング時またはスクリーニングから3カ月以内の貧血に対する輸血の既往歴のある9g/dL未満のヘモグロビン。
12.少なくとも5年間がんがない場合、または継続的な治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、悪性腫瘍の病歴。その場で治癒的に治療された子宮頸がんを有する対象は、この研究に資格がある。
13.女性については、妊娠、授乳、または研究期間中および少なくとも1カ月後に妊娠する意向。
14.男性については、研究期間中および少なくとも1カ月後に、子供の父親になる意向。
15.スクリーニング前の1カ月以内(または薬剤の5半減期のいずれか長い方)に任意の治験薬を受容したことがある。治験薬が細胞毒性薬または免疫抑制薬である場合、このウォッシュアウト期間は、6カ月である。
16.臨床的に有意な、不安定な、または制御されていない心臓血管、肺、肝臓、腎臓、胃腸、泌尿生殖器、血液学的、凝固、免疫、内分泌/代謝、または治験責任医師もしくは治験依頼者の医療モニター(または被指名人)の意見において研究の結果を狂わせ得る、または研究への参加によって対象に追加のリスクをもたらし得る他の医学的障害の同時発生。
17.過去3年以内のアルコールまたは違法薬物関連の障害の病歴。
【0449】
試験製品、用量、および投与方法:
対象は、経口投与によって0.75mgのアトラセンタンを1日1回、または経口投与によって対応するプラセボを1日1回のいずれかが投与される。
【0450】
治療の割り当ては、対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)によって決定される。患者、治験責任医師、および治験依頼者は、割り当てられた研究治療にアクセスすることができる。医学的な緊急事態の場合、治験責任医師は、患者の最適なケアを提供するために必要である場合、IXRSシステムを介して治療の割り当てを受けることができる。無作為化は、地域(アジア対他のすべての地域)およびスクリーニング時のUPCRレベル(≧2g/日対<2g/日)によって階層化される。
【0451】
治療期間:
スクリーニング期間:最大4週間
【0452】
治療期間:132週間
【0453】
安全性のフォローアップ:4週間
【0454】
個々の患者の総研究期間:最長140週間(約2.3年)
【0455】
評価基準:有効性
主要な有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから24週目までのタンパク尿(24時間の蓄尿に基づいた尿タンパク質/クレアチニン比)の変化である。
【0456】
各対象のeGFRのベースラインからの変化である主要な二次エンドポイントは、ベースラインからの136週目のeGFRの差によって決定される。ベースラインからのeGFRの変化は、MMRMモデルを使用して分析される。
追加の二次有効性エンドポイントには、以下が含まれる:
●12週目から120週目までの値から計算された慢性勾配によって測定された、治療中の2年間のeGFRの変化率
●ベースラインから136週目までの値から計算された合計勾配によって測定された、研究中のeGFRの変化率
●24週目に1g/日未満のタンパク尿の低減、およびUPCRにおいてベースラインから40%の減少を達成している対象の割合
●研究中にeGFRの少なくとも30%の低減を経験している、またはESKDに達する対象の割合
●研究中にeGFRの少なくとも40%の低減を経験している、またはESKDに達する対象の割合二次エンドポイントは、ITT分析セットの約320人の対象が136週目の訪問を完了した後、または研究を中止した後、136週目の最終分析で階層的に試験される。二次分析は、0.05の両側有意水準に基づいて(上記のように)階層的に試験される。
【0457】
評価基準:安全性
安全性のエンドポイントには、以下が含まれる:
(1)有害事象および重篤な有害事象の頻度および重症度、
(2)心不全および/または体液過剰の事象を含む、特に関心のある有害事象の頻度および重症度、ならびに
(3)安全検査室、ECG、または理学的検査所見(バイタルサインを含む)の臨床的に重要な変化。
【0458】
停止基準
独立したデータ監視委員会(DMC)が研究を監視するように任命されている。DMCは、定期的に会合を開き、安全性データを確認し、研究の継続、変更、一時停止、または終了に関して勧告する。
【0459】
対象は、以下の理由で治験薬を永久に中止する必要がある。
●妊娠の証拠、またはプロトコルで特定された避妊の不遵守、または妊娠モニタリング
●ESKDの慢性透析または腎臓移植
●他の治験薬の停止基準は、利尿薬および医学的管理で制御できない体液過剰症候群、ならびに許容できない毒性を表す任意の疑わしい治験薬関連の有害事象を含み得る治験責任医師および対象の裁量に基づき得る。
【0460】
132週目より前に治験薬を中止したすべての対象は、治験薬中止時にEoT訪問を行い、その後、治験薬を中止してから2週間後に訪問し、治験薬を中止してから4週間後に安全フォローアップ訪問を行う。その後、対象は、136週目/EoSまでの訪問について四半期ごとの有効性評価を継続する必要がある。
【0461】
評価基準:薬物動態および薬力学
薬物動態学的および薬力学的エンドポイントは、以下のとおりである:
(1)アトラセンタン血漿レベル、および
(2)IgAN疾患活性の潜在的なバイオマーカー(ガラクトース欠損IgA(gd-IgA)およびgd-IgA自己抗体など)または有効性、耐容性、および安全性に関してアトラセンタンに対する対象の反応に寄与する要因についての血液および尿のプロテオミクス、メタボロミクス、およびトランスクリプトミクス分析が、行われる。
(3)薬理遺伝学的(PGx)分析は、PGxサンプリングに同意した対象からの任意のバイオ試料に対して実行され得る。対象の守秘義務が、維持される。この分析は、任意である。
【0462】
統計的方法
治療母集団の定義:
登録済み:インフォームドコンセント用紙(ICF)に署名するすべての対象。
【0463】
治療企図:すべての対象が無作為に治験薬に割り当てられた。対象は、無作為に割り当てられた介入に従って分析される。
【0464】
安全性 治験薬に無作為に割り当てられ、治験薬を少なくとも1回服用しているすべての対象。対象は、実際に受けた介入に従って分析される
【0465】
薬物動態(PK)母集団任意の量の治験薬が投与され、少なくとも1つのベースライン後のPK試料を有するすべての無作為化された対象は、PK母集団を構成するであろう。データは、受けた治療に基づいて分析される
【0466】
安全性および耐容性:
連続的な安全性データは、治療群ごとの記述統計学(算術平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)で要約される。カテゴリー別の安全性データは、治療群ごとの頻度数およびパーセンテージで要約される。有害事象は、入手可能な最新の国際医薬用語集(MedDRA)バージョンを使用してコード化される。治療中に発生した有害事象を経験している参加者の数、ならびに最大の重症度および治験薬との関係が、要約される。
【0467】
検査室評価、バイタルサイン評価、およびECGパラメータは、治療群およびプロトコルで特定された収集時点ごとに要約される。治療群ごとの各プロトコルで特定された時点でのベースラインからの変化量の要約も、提示される。併用薬は、参加者ごとに一覧表示され、最新の世界保健機関の薬物辞書を使用してコード化されている。病歴は、対象ごとに一覧表示されている。安全性データの提示および分析に関するさらなる詳細は、解析計画書(SAP)に詳述されている。
【0468】
薬物動態:
個々の定常状態のアトラセンタン濃度データが、一覧表示され、記述統計学(試料サイズ、算術平均、SD、中央値、最小、最大、幾何平均、および幾何変動係数)とともに要約される。これらのデータは、アトラセンタンのより大きな母集団のPKモデルに供給され得る。アトラセンタンの薬物レベルと安全性または有効性の反応との相関関係が、調査され得る。薬物動態データの統計分析に関する詳細は、SAPで提供される。
【0469】
有効性の評価:
記述統計学は、人口統計学的およびベースライン特性の差を評価するために使用される。
【0470】
主要な有効性エンドポイントは、ベースラインから24週目までの24時間の蓄尿)に基づいたタンパク尿(UPCR)の変化である。一次分析は、治療企図(ITT)分析セットの約270人の対象が24週目の訪問を完了するか、研究を中止した後に実施される。一次分析は、0.01の両側有意水準に基づいて試験される。ベースラインおよび24週目のUPCR値は、任意の治験薬の値の前に14日以内に収集された2つの別々の試料の自然対数の平均として推定される。
【0471】
主要エンドポイントは、混合効果モデルの反復測定(MMRM)モデルを使用して分析される。MMRMモデルには、結果として、各ベースライン後の測定での自然対数UPCRのベースラインからの変化が含まれる。モデルには、治療、訪問、および訪問による治療の相互作用の固定効果も含まれ、連続変数としてのベースライン自然対数UPCRとベースラインeGFRの共変量、および地域無作為化階層化因子(地域:アジア対他のすべての地域)が含まれる。共分散構造は、非構造化されていると考えられている。欠落データは、無作為に欠落していると考えられている。透析、SGLT-2阻害剤の使用、または禁止されている全身性コルチコステロイドの使用後に収集されたUPCRデータは、分析に含まれない。24週間で得られた分析は、有効性を評価するために使用される。
【0472】
データのロバスト性を評価し、欠落データの影響を評価するために、主要エンドポイントの支持分析および感度分析が、実施される。自然対数UPCRのベースラインから24週目までの変化の推定値について、共分散分析(ANCOVA)手法を使用して、支持分析が、実施される。欠落データは帰属されないため、無作為に欠落していると考えられている。一次分析で説明されるように、MMRMモデルを使用した24週間のエンドポイント分析を通じて、すべてのオンおよびオフ治療データを含む感度分析が、実施される。追加的に、最終エンドポイントに対する欠落するデータの影響を評価するために、転換点分析が、実施される。これらの感度分析は、SAPで詳しく説明する。ベースラインUPCRが欠落している対象は、有効性分析から除外される。臨床的に関連する人口統計学的およびベースラインの疾患特性のサブグループ分析は、SAPで特定されているように実行され得る。
【0473】
実施例6.腎機能の進行性消失のリスクがあるIgA腎症を有する患者におけるアトラセンタンの無作為化二重盲検プラセボ対照研究
研究概要
この研究は、腎機能の進行性消失のリスクがあるIgA腎症を有する患者におけるプラセボへのアトラセンタン、選択的エンドセリン-A受容体アンタゴニストの有効性および有効性と比較するための第3相無作為化二重盲検プラセボ対照研究である。約320人の患者が、0.75mgのアトラセンタンを毎日または対応するプラセボを最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤(医師の選択)中で132週間投与するために、1:1で無作為化される。RAS阻害に耐えられない患者(治験対象母集団の最大5%)が、含まれ得、研究群は、地域およびベースラインの尿中タンパク質レベルに応じて階層化される。
【0474】
患者は、1週目に安全性評価に関して電話で連絡し、2、4、6、12週目に診療所に戻り、その後、安全性および有効性の評価に関して132週目に治療が完了するまで12週間ごとに連絡する。避妊の要件に関する妊娠検査および患者カウンセリングは、出産の可能性のある女性の場合、研究全体を通して毎月行われる。妊娠検査の結果が陰性であることを、医療従事者が確認した上で、患者の投与継続が承認される。妊娠検査の結果が陽性または不確定であると、直ちに治験薬の投与を中止し、2日以内に臨床試験実施施設において再度血清検査を行う。任意の血清妊娠検査が陽性であれば、永久に治療を中止する。特定の地域では、治験責任医師者の承認と治験依頼者との取り決めにより、患者は、地域のポイントオブケア施設/ラボでの毎月の尿妊娠検査、またはビデオ/オーディオによる仮想サイト訪問を可能にする在宅での妊娠検査の選択を有し得る。
【0475】
132週目前に、治療を時期尚早に中止した患者は、研究のエンドポイントのデータを提供するために、四半期ごとの有効性評価のために研究を続ける必要がある。患者は、治験薬の最後の投与から約4週間後に診療所に戻る。追加の採血は、治験薬の最後の投与から約2週間後に収集する必要がある。最終研究訪問は、約136週目に行われる。136週までに試験を完了した患者は、別個のプロトコルの下でアトラセンタンによる非盲検治療を受けるための延長研究に登録する資格があり得る。
【0476】
目的:
この研究の主な目的は、
(1)プラセボと比較した24週目のタンパク尿レベルに対するアトラセンタン対プラセボの効果を評価することである。
【0477】
二次的な目的は、
(2)ベースラインから136週目まで(無作為化治療の中止から4週間後)の変化に対するアトラセンタン対プラセボの効果を評価すること、
(3)アトラセンタンとプラセボとの間のeGFRの2年間の治療中の変化率(無作為化治療の12週目から120週目のeGFR勾配)を比較すること、および
(4)アトラセンタンとプラセボとの間のeGFRの研究中の変化率の合計(ベースラインから136週目までのeGFR勾配)を比較すること、である。
【0478】
探索的な目的は、
(5)アトラセンタンとプラセボとの間で、ベースラインから少なくとも50%のタンパク尿の低減および24週目に1g/日未満の値の低減を達成した患者の割合を比較すること、
(6)24週目に0.3g/日未満のタンパク尿レベルを達成した患者の割合を評価すること、
(7)研究中にeGFRの少なくとも30%の低減を経験している患者の割合を評価すること、
(8)研究中にeGFRの少なくとも40%の低減を経験している患者の割合を評価すること、
(9)プラセボと比較して、アトラセンタンを投与されている患者の生活の質(QOL)を評価すること、および
(10)探索的曝露反応分析を支持するアトラセンタンの定常状態の薬物動態を評価すること、である。
【0479】
対象の数
約320人の患者が、登録される。安全性以外の理由で中止した患者は、少なくとも6週間の治療後に適切な安全性データの検討を確実にするために、治験依頼者の裁量で代替され得る。
【0480】
研究施設の数:全世界で約120の施設
【0481】
試験対象患者基準:
以下は、試験対象患者基準である。患者は、登録される以下の試験対象患者基準のすべてを満たす必要がある:
(1)18歳以上の男性および女性の患者、
(2)二次的原因によるものではないIgA腎症の生検で証明された診断、
(3)スクリーニングの前に、少なくとも12週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与している、
(4)スクリーニング時に少なくとも1g/gの尿タンパク質/クレアチニン(UPCR)。
(5)スクリーニング時に少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFR、
(6)研究全体を通してプロトコルで特定されているように、非常に効果的な避妊方法を順守することをいとわないこと、ならびに
(7)書面によるインフォームドコンセントを提供し、すべての研究訪問および研究手順に従う意思および能力。
【0482】
除外基準
以下は、除外基準であり、患者は、登録される以下の除外基準のいずれも満たさない必要がある:
(1)糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、または別の原発性糸球体症を含む慢性腎疾患の別の原因の同時診断。よく制御された高血圧の病歴が、許容される、
(2)腎生検(スクリーニングから6カ月以内に生検が利用可能な場合)または急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の臨床上の疑いで、糸球体の25%超の細胞性糸球体半月体の存在、
(3)臓器移植の病歴、
(4)過去6カ月間に少なくとも2週間、全身性免疫抑制薬(または治験薬)の使用、
(5)スクリーニング時の血圧が160超の収縮期血圧または100超の拡張期血圧、
(6)制御不能な末梢浮腫、胸水、または腹水などの体液過剰に関連する状態のための心不全の病歴またはこれまでの入院歴、
(7)臨床的に有意な肝疾患の病歴および正常値の上限の2倍を超えるトランスアミナーゼまたはビリルビン値、
(8)スクリーニング時またはスクリーニングから3カ月以内の貧血に対する輸血の既往歴のある9g/dL未満のヘモグロビン、
(9)少なくとも5年間がんがない場合、または継続的な治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、悪性腫瘍の病歴、
(10)女性については、妊娠、授乳、または研究期間中に妊娠する意向、
(11)男性については、研究期間中に子供の父親になる意向、
(12)スクリーニング前の1カ月以内(または薬剤の5半減期のいずれか長い方)に任意の治験薬または生物学的薬剤を受容したことがある。治験薬が細胞毒性薬または免疫抑制薬である場合、このウォッシュアウト期間は、6カ月である。
(13)臨床的に有意な、不安定な、または制御されていない心臓血管、肺、肝臓、腎臓、胃腸、泌尿生殖器、血液、凝固、免疫、内分泌/代謝、または研究者の意見において研究の結果を狂わせ得る、または研究への参加によって患者に追加のリスクをもたらし得る他の医学的障害の同時発生、
(14)アルコールまたは違法薬物関連障害の病歴、
(15)スクリーニング時の3g/dL未満の血清アルブミンによるネフローゼ症候群の診断、あるいは
(16)スクリーニング時の200pg/mL超の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値。
注記:以前は不適格だった患者のスクリーニングは、医療モニターの承認を得て繰り返され得る。
【0483】
試験製品、用量、および投与方法:
患者は、経口投与によって0.75mgのアトラセンタンを1日1回、または経口投与によって対応するプラセボを1日1回のいずれかが投与される。
【0484】
アトラセンタンまたはプラセボの錠剤は、4週間の供給(訪問ウィンドウに対応するために35錠)のボトルで盲検下で供給される。患者は、ほぼ同時に、好ましくは、朝に、毎日1錠を服用するように指示される。研究訪問のある日には、患者は、必要に応じて、用量投与の前に薬物動態学的サンプリングを可能にするために、診療所に入るまで投薬を保持する必要がある。薬は、食べ物の有無にかかわらず服用することができる。治験中の治験薬の低減は、許可されていない。支持的手段では管理できない許容できない毒性が生じた場合は、治験薬を一時的に中止するか、永久に中止する必要がある。
【0485】
治療の割り当ては、対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)によって決定される。患者、治験責任医師、および治験依頼者は、割り当てられた研究治療にアクセスすることができない。医学的な緊急事態の場合、治験責任医師は、患者の最適なケアを提供するために必要である場合、IXRSシステムを介して治療の割り当てを受けることができる。無作為化は、地域(アジア対他のすべての地域)、スクリーニング時のベースライン尿タンパク質レベル(≧2g/日対<2g/日)およびベースラインeGFR(≧60mL/分/1.73m2対<60mL/分/1.73m2)によって階層化される。すべての患者は、標準治療に従って、医師が選択した最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤またはアンギオテンシン受容体遮断薬)を引き続き投与される。研究を通して安定した投薬レジメンを維持するためにあらゆる努力がなされる必要がある。
【0486】
治療期間:
個々の患者の研究期間は、約2年7カ月(136週間)で、スクリーニングに最大4週間、盲検研究治療に132週間、治療外のフォローアップに4週間が含まれる。患者は、予定されるベースライン訪問の最大6カ月前に、事前スクリーニングを行うための追加の同意を提供することができるが、28日間のスクリーニング期間外に実施した場合は、スクリーニングのために事前スクリーニング評価を繰り返す必要がある。全研究期間は、4~5年を予定している。登録は、2年~2.5年で、最後の患者さんが治療および安全性のフォローアップを完了するのは約2年7カ月後と予想される。
【0487】
評価基準:有効性
主要な有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから24週目までのタンパク尿(24時間の蓄尿に基づいた尿タンパク質/クレアチニン比)の変化である。
【0488】
主要な二次有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから研究完了訪問(136週目)までの値からCKD-EPIクレアチニン等式を使用したeGFRの変化率である。追加の二次有効性エンドポイントには、プラセボ治療を受けた患者と比較したアトラセンタン治療を受けた患者におけるベースラインから136週目までの値から計算された治療中の2年間のeGFRの変化率が含まれる。
【0489】
探索的エンドポイントには、24週目に1g/日未満のタンパク尿の低減、ベースラインから50%減少した患者の割合、24週目に0.3g/日未満のタンパク尿の低減した患者の割合、研究中にeGFRの少なくとも30%の低減を経験している患者の割合、および研究中にeGFRの少なくとも40%の低減を経験している患者の割合が含まれる。
【0490】
評価基準:安全性
安全性のエンドポイントには、以下が含まれる:
(1)有害事象の種類、発生率、重症度、等級付け、重症度、および関連性、
(2)体液過剰の事象を含む、特に関心のある有害事象の発生率、重症度、重症度、および関連性、ならびに
(3)安全検査室、ECG、または理学的検査所見(バイタルサインを含む)の臨床的に重要な変化。
【0491】
停止基準
独立したデータ監視委員会(DMC)が研究を監視するように任命されている。DMCは、定期的に会合を開き、安全性を確認し、研究の継続、変更、一時停止、または終了に関して勧告する。
【0492】
対象は、以下の理由で治験薬を中止する必要がある:
(1)妊娠の証拠、またはプロトコルで特定された避妊の不遵守、または妊娠モニタリング、
(2)IgANの治療のための高用量ステロイドまたは他の免疫抑制剤もしくは細胞毒性剤の開始、あるいは
(3)ESRDの慢性透析。
【0493】
他の治験薬の停止基準は、利尿薬および医学的管理で制御できない体液過剰症候群、ならびに許容できない毒性を表す任意の疑わしい治験薬関連の有害事象を含み得る治験責任医師および患者の裁量に基づき得る。132週目より前に治験薬を中止したすべての患者は、中止から2週間後に採血し、4週間後に安全性のフォローアップ訪問を行う。患者は、有効性評価のためにのみ、136週目まで四半期ごとの訪問を継続することが必要がある。
【0494】
統計的方法
治療母集団の定義:
安全性集団:任意の量の治験薬が投与されたすべての無作為化された参加者は、安全性および曝露分析のための安全性集団を構成するデータは、受けた治療に基づいて分析される。
【0495】
治療企図解析対象集団:無作為化されたすべての参加者は、有効性分析のための治療企図解析対象集団を構成する。データは、無作為化された治療の割り当てに基づいて分析される。
【0496】
PK母集団:任意の量の治験薬が投与され、少なくとも1つのベースライン後のPK試料を有するすべての無作為化された参加者は、PK母集団を構成する。データは、受けた治療に基づいて分析される。
【0497】
安全性および耐容性:
連続的な安全性データは、治療群ごとの記述統計学(算術平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)で要約される。カテゴリー別の安全性データは、治療群ごとの頻度数およびパーセンテージで要約される。有害事象は、入手可能な最新の国際医薬用語集(MedDRA)バージョンを使用してコード化される。治療中に発生した有害事象を経験している参加者の数、ならびに最大の重症度および治験薬との関係が、要約される。
【0498】
検査室評価、バイタルサイン評価、およびECGパラメータは、治療群およびプロトコルで特定された収集時点ごとに要約される。治療群ごとの各プロトコルで特定された時点でのベースラインからの変化量の要約も、提示される。併用薬は、参加者ごとに一覧表示され、最新の世界保健機関の薬物辞書を使用してコード化されている。病歴は、対象ごとに一覧表示されている。安全性データの提示および分析に関するさらなる詳細は、解析計画書(SAP)に詳述されている。
【0499】
薬物動態:
個々の定常状態のアトラセンタン濃度データが、一覧表示され、記述統計学(試料サイズ、算術平均、SD、中央値、最小、最大、幾何平均、および幾何変動係数)とともに要約される。これらのデータは、アトラセンタンのより大きな母集団のPKモデルに供給され得る。アトラセンタンの薬物レベルと安全性または有効性の反応との相関関係が、調査され得る。
【0500】
有効性の評価:
試験の一次および主要な二次有効性エンドポイントは、階層的に順序付けられ、ゲートキーピング手順で順番に試験される。主要エンドポイントが、最初に試験され、ゲートキーパーとして機能し、帰無仮説が1%の有意水準(アルファ=0.01)で棄却された場合、主要な二次エンドポイントが試験される。主要な二次エンドポイントの帰無仮説が5%の有意水準(アルファ=0.05)で棄却された場合、研究は陽性とみなされる。
【0501】
主要な有効性エンドポイントは、24時間の蓄尿試料から判定された、ベースラインから各ベースライン後の24週目までの訪問への尿タンパク質/クレアチニン比(UPCR)の変化である。一次分析が長期的な結果を考慮しているため、分析方法は、ベースラインから対数UPCRの各ベースライン後の測定までの変化の混合効果モデル反復測定(MMRM)分析になる。モデルには、治療、訪問、および訪問による治療の相互作用の固定効果も含まれ、共変量が無作為化階層化因子(地域:アジア対他のすべての地域;スクリーニング時のベースライン尿タンパク質レベル:≧2g/日対<2g/日、およびベースラインeGFR≧60mL/分/1.73m2対<60mL/分/1.73m2)が含まれる。共分散構造は、非構造化されていると考えられている。24週間で得られた分析は、有効性を評価するために使用される。対数UPCRのベースラインから24週目までの変化の推定値について、共分散分析(ANCOVA)手法を使用して、支持分析が、実施される。データのロバスト性を評価するために、主要エンドポイントのこの分析が、実施される。欠落データは帰属されないため、無作為に欠落していると考えられている。ベースラインUPCRが欠落している患者は、有効性分析から除外される。欠落データの影響を評価するために、さらなる感度分析が、実施され得る。臨床的に関連する人口統計学的およびベースラインの疾患特性のサブグループ分析は、統計分析計画で特定されているように実行される。
【0502】
24週目の主要エンドポイントデータの収集および分析に続いて、患者は、研究が132週目まで割り当てられた盲検研究治療を受け続け、eGFR低下に関する追加のデータを収集するために、136週目の研究終了までさらに4週間、試験薬を中止して追跡調査を行う。
【0503】
ベースラインと最終のeGFR値は、変動を低減するために、各時点での2つの試料の平均値として推定される。ベースライン参照eGFR値は、スクリーニングとベースライン(任意の治験薬の前)値の平均から決定され、最終eGFR値は、治験薬の最終投与後7日~35日(訪問を含む)までに採取した2つの別個の試料の平均値として推定される。推定GFRは、慢性腎臓病疫学コラボレーション方程式を使用して決定される。各患者のベースラインからのeGFRの変化は、ベースラインと136週目で平均された値の絶対差によって決定され、早期の研究中止のタイミングの発生率における任意の群間差によるバイアスリスクを低下するため、個々の研究時間に対して正規化される。エンドポイントは、独立変数として含まれる治療群および無作為化階層化因子などの因子を使用したANCOVAによって分析される。
【0504】
実施例7.IgA腎症を有する患者におけるアトラセンタンおよびダパグリフロジンの第3相無作為化プラセボ対照研究
この実施例は、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤による治療にもかかわらず、腎機能の進行性消失のリスクがあるアトラセンタンの第3相無作為化二重盲検プラセボ対照研究を説明する。
【0505】
研究概要
この実施例は、IgA腎症を有する患者における、ナトリウム-グルコース結合トランスポーター2(SGLT-2)阻害剤であるダパグリフロジンと組み合わせた選択的エンドセリンA受容体アンタゴニストであるアトラセンタンの無作為化プラセボ対照有効性および安全性研究について説明する。約36人の患者が、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤に加えて、0.75mgのアトラセンタンを毎日、0.75mgのアトラセンタンを毎日および10mgのダパグリフロジンを毎日、または対応するプラセボ(アトラセンタンとダパグリフロジンの両方)を4週間(2週間のウォッシュアウト期間を含む)投与するために、1:1:1で無作為化される。
【0506】
患者は、1週目に安全性評価に関して電話で連絡し、3週目とウォッシュアウト期間の終わり(6週目)に安全性および有効性の評価に関して診療所に戻る。
【0507】
目的:
この研究の主な目的は、
(1)プラセボと比較したタンパク尿レベルに対する、ダパグリフロジンと組み合わせたアトラセンタンとアトラセンタン単独の効果を評価することである。
【0508】
二次的な目的は、
(2)積極的な治療期間およびウォッシュアウト期間にわたる、アルブミン対クレアチニン比へのベースラインから変化への影響を評価すること、
(3)積極的な治療期間およびウォッシュアウト期間にわたる、体重のベースラインからの変化への影響を評価すること、
(4)積極的な治療期間およびウォッシュアウト期間にわたる、(例えば、生体インピーダンス分光法(Impedimed)によって測定される)細胞外液のベースラインからの変化への影響を評価すること、
(5)積極的な治療期間およびウォッシュアウト期間にわたる、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルのベースラインからの変化への影響を評価すること、ならびに
(6)積極的な治療期間およびウォッシュアウト期間にわたる、収縮期血圧のベースラインからの変化への影響を評価すること、である。
【0509】
探索的な目的は、
(7)ベースラインから積極的治療の終了までのヘマトクリット値の変化を比較すること、
(8)ベースラインから積極的治療の終了までのeGFRの変化を比較すること、および
(9)ベースラインからウォッシュアウト期間の終了(治験薬の最後の投与から2週間後)までのeGFRの変化を比較すること、である。
【0510】
対象の数
約36人の患者が、登録される。安全性以外の理由で中止した患者は、少なくとも6週間の治療後に適切な安全性データの検討を確実にするために、治験依頼者の裁量で代替され得る。
【0511】
研究施設の数:全世界で約6の施設
【0512】
試験対象患者基準:
以下は、試験対象患者基準である。患者は、登録される以下の試験対象患者基準のすべてを満たす必要がある:
(1)18歳以上の男性および女性の患者、
(2)二次的原因によるものではないIgA腎症の生検で証明された診断、
(3)スクリーニングの前に、少なくとも4週間、最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤を投与している、
(4)スクリーニング時に少なくとも30mL/分/1.73m2のeGFR、
(5)研究全体を通してプロトコルで特定されているように、非常に効果的な避妊方法を順守することをいとわないこと、ならびに
(6)書面によるインフォームドコンセントを提供し、すべての研究訪問および研究手順に従う意思および能力。
【0513】
除外基準
以下は、除外基準であり、患者は、登録される以下の除外基準のいずれも満たさない必要がある:
(1)糖尿病性腎疾患、高血圧性腎疾患、または別の原発性糸球体症を含む慢性腎疾患の別の原因の同時診断。よく制御された高血圧の病歴が、許容される、
(2)1型糖尿病または2型糖尿病の同時診断、
(3)スクリーニング時の200pg/mL超の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値、
(4)スクリーニング前の3カ月以内の心血管事象、
(5)制御不能な末梢浮腫、胸水、または腹水などの体液過剰に関連する状態のための心不全の病歴またはこれまでの入院歴、
(6)過去6カ月間に少なくとも2週間、全身性免疫抑制薬(または治験薬)の使用、
(7)スクリーニング時の血圧が160超の収縮期血圧または100超の拡張期血圧、
(8)臨床的に有意な肝疾患の病歴および正常値の上限の2倍を超えるトランスアミナーゼまたはビリルビン値、
(9)スクリーニング時またはスクリーニングから3カ月以内の貧血に対する輸血の既往歴のある9g/dL未満のヘモグロビン、
(10)少なくとも5年間がんがない場合、または継続的な治療を必要としない非黒色腫皮膚がんでない限り、悪性腫瘍の病歴、
(11)スクリーニング前の1カ月以内(または薬剤の5半減期のいずれか長い方)に任意の治験薬または生物学的薬剤を受容したことがある。治験薬が細胞毒性薬または免疫抑制薬である場合、このウォッシュアウト期間は、6カ月である、
(12)臨床的に有意な、不安定な、または制御されていない心臓血管、肺、肝臓、腎臓、胃腸、泌尿生殖器、血液、凝固、免疫、内分泌/代謝、または研究者の意見において研究の結果を狂わせ得る、または研究への参加によって患者に追加のリスクをもたらし得る他の医学的障害の同時発生、
(13)アルコールまたは違法薬物関連障害の病歴、あるいは
(14)スクリーニング時の3g/dL未満の血清アルブミンによるネフローゼ症候群の診断。
注記:以前は不適格だった患者のスクリーニングは、医療モニターの承認を得て繰り返され得る。
【0514】
試験製品、用量、および投与方法:
患者は、経口投与によって0.75mgのアトラセンタンを1日1回、または0.75mgのアトラセンタンおよび10mgのダパグリフロジン(各々、経口投与によって1日1回)、または経口投与によって対応するプラセボを1日1回のいずれかが投与される。
【0515】
治療の割り当ては、対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)によって決定される。患者、治験責任医師、および治験依頼者は、割り当てられた研究治療にアクセスすることができない。医学的な緊急事態の場合、治験責任医師は、患者の最適なケアを提供するために必要である場合、IXRSシステムを介して治療の割り当てを受けることができる。無作為化は、地域(アジア対他のすべての地域)、スクリーニング時のベースライン尿タンパク質レベル(≧2g/日対<2g/日)およびベースラインeGFR(≧60mL/分/1.73m2対<60mL/分/1.73m2)によって階層化される。すべての患者は、標準治療に従って、医師が選択した最大耐性の安定した用量のRAS阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤またはアンギオテンシン受容体遮断薬)を引き続き投与される。研究を通して安定した投薬レジメンを維持するためにあらゆる努力がなされる必要がある。
【0516】
評価基準:有効性
主要な有効性エンドポイントは、プラセボ治療を受けた患者と比較した、アトラセンタン治療を受けた患者、およびアトラセンタン+ダパグリフロジン治療を受けた患者におけるベースラインから4週目までのタンパク尿(24時間の蓄尿に基づいた尿タンパク質/クレアチニン比)の変化である。
【0517】
評価基準:安全性
安全性のエンドポイントには、以下が含まれる:
(1)有害事象の種類、発生率、重症度、等級付け、重症度、および関連性、
(2)体液過剰の事象を含む、特に関心のある有害事象の発生率、重症度、重症度、および関連性、ならびに
(3)安全検査室、ECG、または理学的検査所見(バイタルサインを含む)の臨床的に重要な変化。
【0518】
停止基準
独立したデータ監視委員会(DMC)が研究を監視するように任命されている。DMCは、定期的に会合を開き、安全性を確認し、研究の継続、変更、一時停止、または終了に関して勧告する。
【0519】
安全性および耐容性:
連続的な安全性データは、治療群ごとの記述統計学(算術平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)で要約される。カテゴリー別の安全性データは、治療群ごとの頻度数およびパーセンテージで要約される。有害事象は、入手可能な最新の国際医薬用語集(MedDRA)バージョンを使用してコード化される。治療中に発生した有害事象を経験している参加者の数、ならびに最大の重症度および治験薬との関係が、要約される。
【0520】
検査室評価、バイタルサイン評価、およびECGパラメータは、治療群およびプロトコルで特定された収集時点ごとに要約される。治療群ごとの各プロトコルで特定された時点でのベースラインからの変化量の要約も、提示される。併用薬は、参加者ごとに一覧表示され、最新の世界保健機関の薬物辞書を使用してコード化されている。病歴は、対象ごとに一覧表示されている。
【0521】
有効性の評価:
主要な有効性エンドポイントは、24時間の蓄尿試料から判定された、ベースラインから研究タンパク尿レベルの終了までの変化である。4週目の主要エンドポイントデータの収集および分析に続いて、患者は、タンパク尿レベルに関する追加データを収集するために、さらに2週間(ウォッシュアウト期間)治験薬の追跡調査を行う。
【0522】
実施例8.IgA腎症のマウスモデルを使用したインビボ研究
分類されたddY(g-ddY)マウスは、腎臓のメサンギウムにおけるIgA免疫複合体沈着を特徴とする早期発症型IgA腎症の自発的モデルであり、有意なタンパク尿、糸球体の過形成、メサンギウム増殖性糸球体病変、糸球体硬化症、および腎機能の低減をもたらし、ヒトIgA腎症のすべての特徴である(J Am Soc Nephrol 23:1364-1374,2012)。ヒトIgA腎症と一致して、g-ddYマウスにおけるメサンギウムIgA沈着は、IgGおよび補体C3の沈着も伴う。
【0523】
方法
約6週齢のg-ddYマウスに、飲料水中の様々な用量のアトラセンタン塩酸塩(10、20、または30mg/kg/日、n=3/群)を約5日間投与した。6週齢のオスの対照g-ddYマウス(n=2)の別個の群に、アトラセンタンを含まない通常の飲料水を投与した。タンパク尿は、アトラセンタン投与前のベースライン時およびアトラセンタン投与の最終日に、尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)として評価された。UACRに対するアトラセンタンの効果を、ベースライン、個々のマウス内、およびアトラセンタンを投与しなかった対照群と比較した。
【0524】
RNAシークエンシング(RNA-seq)を使用して、0(対照)、10、20、または30mg/kg/日でg-ddYマウスにアトラセンタンを投与した後、腎臓組織における遺伝子発現の変化を評価した。RNAの分離とシークエンシングのライブラリは、標準的なプロトコルを使用して生成された。シークエンシングは、Illumina NextSeq500を使用して、リード長75bp、リード深度3,000万の製造業者の指示を使用して実施された。生データは、FASTQファイルにアセンブルされた。QC分析に続いて、高品質のシークエンシングリード(例えば、36超のPhred品質スコアを有するリード)を、アラインアルゴリズムのデフォルトパラメータを使用してマウス参照ゲノム(GRCm38-mm10)にアラインさせ、各ライブラリの転写カウント表を、RSubreadパッケージ(Liao Y,Smyth GK,Shi W,2019)のfeatureCountsアルゴリズムのデフォルトパラメータを使用して生成した。高品質のシークエンシングリードは、27,129個の遺伝子にマッピングされた。低カウントのフィルタリングの追加のQC(すなわち、すべての試料にわたって10未満のカウントの転写産物)に続いて、16,207個の遺伝子を、特定し、さらなる分析のために使用した。含まれている16,207個の遺伝子の残りのシークエンシングリードカウントは、ライブラリサイズに正規化され、対数変換され、counts per million(CPM)として定量化された。選択的なRNA-seqカウントは、qPCRを使用して実証された。
【0525】
シークエンシングリードカウント(CPM)は、edgeRパッケージの擬似尤度手法を使用して、特定母集団間の差次的遺伝子発現を特定するために使用された。遺伝子が調整されたp値(0.05未満のFDR)を有した場合、遺伝子は、母集団間で差次的に発現されているとみなされた。MAプロットは、edgeRを使用して生成された。ヒートマップおよび他のプロットは、gplotsおよびggplot2パッケージを使用して生成された。
【0526】
遺伝子経路の分析は、QiagenのIngenuity Pathway Analysis(IPA)および遺伝子セット濃縮分析(Subramanian,et al.,Gene set enrichment analysis:A knowledge-based approach for interpreting genome-wide expression profiles.Proc.Nat.Acad.Sci.USA,102(43),15545-15550(2005)を使用して実施された。差次的遺伝子発現分析からの結果は、コア分析のためにIPAシステムにアップロードされ、Ingenuity pathway knowledge base(IPKB)のグローバル分子ネットワークとオーバーレイされた。IPAは、上記の分析を使用して特定された差次的に発現された遺伝子にとって最も重要な標準経路および遺伝子ネットワークを特定するために実施された。IPAに入力された遺伝子発現データには、倍率変化の閾値が含まれず、P値フィルターは、0.001未満で設定された。得られた濃縮された遺伝子経路は、0.001未満のBenjamin-Hochberg法で調整されたp値で有意であるとみなされた。IPA分析の出力は、様々な母集団の経路濃縮を表す活性化zスコアを含むヒートマップに要約した。
図6を参照のこと。GSEAの場合、edgeRからの差次的に発現された遺伝子の一覧(Robinson et al.,A Bioconductor package for differential expression analysis of digital gene expression data.Bioinformatics,26(1),139-140(2009)は、任意の対数FCまたはp値の閾値を含まないF統計に基づいて順位付けされた。GSEAは、fgseaパッケージ(Korotkevich,et al.,BioRxiv 2016,Fast gene set enrichment analysis.1-29.https://doi.org/10.1101/060012)およびMSigDBのHallmark gene set collection(Liberzon et al.,The Molecular Signatures Database Hallmark Gene Set Collection.Cell Systems,1(6),417-425(2015))を使用して実施された。
【0527】
結果
IgA腎症を有しない健常なBalb/cマウス(g-ddYマウスに適した対照株)は、2歳でも、UACRのレベルが非常に低く、ほとんど検出できない(Tsaih et al.,2010,Kidney International)。ベースラインでは、この研究で使用された分類されたg-ddYマウスは、293.1±16mg/gの平均(±平均の標準誤差(SEM))UACRレベルで実質的なタンパク尿を示した。ベースラインのアルブミン尿は、治療群間でよく一致しており、いかなる群間の有意差はなかった(
図4)。
【0528】
UACRに対するアトラセンタンの効果:ベースラインとの比較
30mg/kg/日の約5日間のアトラセンタン治療は、ベースラインからアルブミン尿を有意に低減させた(P=0.0002、対応のある両側t検定)(
図4)。アルブミン尿は、20mg/kg/日のアトラセンタンによる治療によってベースラインから同程度に低減させたが、この効果は、統計的有意性に到達しなかった(P=0.0593)(
図4)。アルブミン尿は、アトラセンタンを投与されなかった対照g-ddYマウス、または10mg/kg/日のアトラセンタンで治療されたマウスの群でベースラインから有意に変化なかったが、この10mg/kg/日の群では2/3のマウスにおいてアルブミン尿を低減させた(
図4)。
【0529】
UACRに対するアトラセンタンの効果:対照との比較
アトラセンタンまたは対照による治療から約5日後の、ベースラインからのアルブミン尿の変化(ベースラインからの変化率(%))を、
図5に示す。アトラセンタンは、ベースラインからのUACRを、それぞれ、10、20、および30mg/kg/日で28±44%、62±8%、および63±6%低減させた。20mg/kg/日(P=0.0498、不対t検定)および30mg/kg/日(P=0.029)のベースラインからUACRを低減させるためのアトラセンタンの効果は、対照群(0mg/kg/日)と比較して統計的に有意であった(
図5)。しかしながら、10mg/kg/日でのアトラセンタンの効果は、有意ではなかったが、この10mg/kg/日群の2/3のマウスにおいてタンパク尿を再び低減させた(
図5)。
【0530】
アトラセンタンによる治療後の遺伝子発現分析
図6および表5に示すように、RNA-seqデータの分析により、疾患およびアトラセンタン治療条件に応じてクラスター化された0(対照)、10、20、または30mg/kg/日でg-ddYマウスにアトラセンタンを投与した後、腎臓組織における上位100の差次的に発現された遺伝子が得られた。10mg/kg/日対対照、20mg/kg/日対対照、および30mg/kg/日対対照の間の一対比較は、用量依存的な遺伝子発現変化を示した(
図7A~7C)。
図7Aは、25個の遺伝子が上方調節され(+対数倍率変化)、15個の遺伝子が下方調節される(-対数倍率変化)場合、10mg/kg/日で差次的に発現された遺伝子対対照を示す。
図7Aからの上方調節および下方調節された遺伝子を、表1に示す。
図7Bは、214個の遺伝子が上方調節され(+対数倍率変化)、281個の遺伝子が下方調節される(-対数倍率変化)場合、20mg/kg/日で差次的に発現する遺伝子対対照を示す。
図7Bからの上位25の上方調節された遺伝子および上位25の下方調節された遺伝子を、表2に示す。
図7Cは、910個の遺伝子が上方調節され(+対数倍率変化)、768個の遺伝子が下方調節される(-対数倍率変化)場合、30mg/kg/日で差次的に発現された遺伝子対対照を示す。
図7Cからの上位25の上方調節された遺伝子および上位25の下方調節された遺伝子を、表3に示す。
【0531】
アトラセンタンで治療されたマウスにおける遺伝子発現変化と、60個の遺伝子のうち53個の遺伝子が重複していることを示したヒト特異的Atra/ET1遺伝子シグネチャーとの比較。具体的には、
図8A~8Cは、ET1遺伝子シグネチャーに関連する60個の遺伝子の一部として注釈が付けられ、アトラセンタンで治療したマウスにおいて差次的に発現されている差次的遺伝子発現遺伝子(p値<0.05)を示す。遺伝子発現分析は、ET1(End1)が3つの用量すべてにわたって下方調節されたことを示した(
図8A~8C)。加えて、EdnraおよびEdnrbは、30mg/kg/日で下方調節された。マウスとヒトとの間で重複し、10mg/kg/日のアトラセンタン治療を未治療の対照と比較したときに差次的に発現された遺伝子のうち、Ccnd1、Ppara、Agt、Map2k2、およびHoxa9は、上方調節されたが、Grk5、Mllt3、Klf2、Pparg、Hgf、Edn1、Fos、Ptgs2、およびIL-1bは、下方調節された(
図8A)。20mg/kg/日のアトラセンタン治療を未治療の対照と比較したときに差次的に発現された重複する遺伝子から判定すると、
図8Bは、Ccdn1、Cat、Ppara、Map2k2、Hoxa9、Agt、およびEgfrが上方調節されたが、Nfatc1、Grk5、Klf2、Cav1、Pparg、Itga5、Myc、Ednra、Sell、Hgf、Mmp2、Edn1、Syk、Fos、およびIL-1bが下方調節されたことを示す。最後に、30mg/kg/日のアトラセンタン治療を未治療の対照と比較したときに種間で重複した差次的に発現された遺伝子には、上方調節された遺伝子Ccnd1、Agt、Cat、Map2k2、Hoxa9、およびPparaと、下方調節された遺伝子Ednrb、Myc、Mllt3、Hdac7、Ednra、Itga5、Grk5、Pparg、Klf2、Hgf、Mmp2、Sell、Sphk1、Fos、Syk、Edn1、およびIL-1bが含まれた(
図8C)。
【0532】
創意工夫経路分析(IPA)および遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を適用して、アトラセンタンの様々な投与量で差次的に発現された遺伝子と関連する経路を系統的に特定した。IPAでは、活性化zスコアにフィルターを適用せずに0.001未満の調整されたp値を含む、有意に濃縮された正規経路を、表4に示す。IPA分析は、30mg/kg/日のアトラセンタン治療が、NF-κBシグナル伝達、IL-6経路シグナル伝達(例えば、STAT3)、およびPDGFシグナル伝達を低減させたことが示した。表9~11は、NF-κBシグナル伝達(表9)、IL-6シグナル伝達(表10)、およびPDGFシグナル伝達(表11)の各々についてアトラセンタン治療によって影響を受ける特定のシグナル伝達構成要素を示す。加えて、IPAは、アトラセンタン治療が、例えば、炎症性および増殖性経路の低減を含む救助経路で相乗的に作用する遺伝子発現変化を誘発することを実証した。アトラセンタン治療後のGSEAからの陽性および陰性の濃縮遺伝子セットを、表5に示す。表5に示すように、GSEAは、NF-κBを介したTNFαシグナル伝達、上皮間葉転換、炎症反応、IL6-JAK-STAT3シグナル伝達を含む特徴的なシグナル伝達経路の過少発現を示す一致する負の濃縮(NES<-1.5および調整されたp値<0.05)、ならびに10、20、および30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の細胞増殖(紡錘体およびG2Mチェックポイント)に関連する遺伝子セットを特定した。
【0533】
創意工夫経路を使用した上流調節因子分析は、30mg/kg/日のアトラセンタンで差次的に調節されることがわかった生物学的プロセスおよび経路に関連して、潜在的な上流調節分子の予測される活性化/不活性化状態が特定された(表6、7、および8)。表6、7、および8は、炎症誘発性、線維症、および細胞増殖の低減が、炎症、線維症、および細胞増殖の1つ以上の正の調節因子の予測される阻害ならびに/または炎症、線維症、および細胞増殖の1つ以上の負の調節因子の予測される活性化の結果であったことを示す。サイトカイン、成長因子、転写調節因子、リガンド依存性核受容体、膜貫通受容体、およびG結合タンパク質受容体の予測される阻害および活性化には、EDN1、CCL5、CD40LG、CSF2、CSF3、CXCL2、IFNA2、IFNG、OSM、PF4、PRL、腫瘍壊死ファミリー(TNF、TNFSF11、TNFSF12)、TSLP、WNT3A、インターロイキンサイトカインファミリー(IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL6、IL10、IL21、IL33)、TGFB1、TGFB2、TGFB3、IGF1、HGF、AGT、EGF、NRG1、PDGFB、VEGFA、FGF23、BMP2、GDF2、FGF2、IL6R、EDNRA、トール様受容体ファミリー(TLR3、TLR4、TLR9)、JUNB、YAP1、TEAD1、TEAD2、TEAD3、TEAD4、NFKB1、JUNB、STAT1、STAT3、STAT4、SMAD2、SMAD3、およびSMAD4が含まれるが、これらに限定されない。
【0534】
表4、5、および8に示すように、30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療は、NF-κBシグナル伝達を低減させた。30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療後に差次的に発現されたNF-κBシグナル伝達の構成要素が、表9に見られ得る。表9は、NK-κBシグナル伝達の低減が、NF-κBシグナル伝達のうちの1つ以上の正の調節因子の減少および/またはNF-κBシグナル伝達のうちの1つ以上の負の調節因子の増加の結果であったことを示す。表9はまた、NK-κBシグナル伝達の低減が、NF-κBシグナル伝達が低減させたようにNF-κBシグナル伝達のうちの1つ以上のコア構成要素の調節の結果であることも示す。NF-κBシグナル伝達経路の構成要素には、CHUK、FADD、IKBKB、IKBKG、IL1A、IL1R1、MAP3K1、MAP3K14、MAP3K7、MYD88、NFKB1、NFKBIA、RELA、RIPK1、TAB1、TNF、TNFAIP3、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TRADD、およびTRAF6(例えば、BIOCARTA NFKB_PATHWAYを参照のこと)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0535】
表5および10に示すように、30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療は、IL-6シグナル伝達を低減させた。30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療後に差次的に発現されたIL-6シグナル伝達の構成要素が、表10に見られ得る。表10は、IL-6シグナル伝達の低減が、IL-6シグナル伝達のうちの1つ以上の正の調節因子の減少および/またはIL-6シグナル伝達のうちの1つ以上の負の調節因子の増加の結果であったことを示す。表10はまた、IL-6シグナル伝達の低減が、IL-6シグナル伝達が低減させたように、IL-6シグナル伝達のうちの1つ以上のコア構成要素の調節の結果であったことも示す。IL-6シグナル伝達経路の構成要素には、AGT、AKT1、BAD、BCL2L1、CREBBP、CRP、GAB1、GRB2、GSK3B、HCK、HDAC1、IL6、IL6R、IL6ST、IRF1、JAK1、JAK2、JUNB、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K4、MAP3K7、MAPK1、MAPK3、NCOA1、NLK、NR2F6、PIK3R1、PIK3R2、PRDM1、PRKCD、PTPN11、RAC1、RPS6KB1、SHC1、SOCS3、SOS1、STAT1、STAT3、TIMP1、TYK2、VAV1、およびVIP(例えば、Wiki Pathway IL6_SIGNALING_PATHWAYを参照のこと)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0536】
表4および11に示すように、30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療は、PDGFシグナル伝達を低減させた。30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療後に差次的に発現されたPDGFシグナル伝達の構成要素が、表11に見られ得る。表11は、PDGFシグナル伝達の低減が、PDGFシグナル伝達のうちの1つ以上の正の調節因子の減少および/またはPDGFシグナル伝達のうちの1つ以上の負の調節因子の増加の結果であったことを示す。表11はまた、PDGFシグナル伝達の低減が、PDGFシグナル伝達が低減させたように、PDGFシグナル伝達のうちの1つ以上のコア構成要素の調節の結果であることも示す。PDGFシグナル伝達経路の構成要素には、ARFIP2CDC42、CHUK、ELK1、FOS、GRB2、HRAS、JAK1、JUN、MAP2K1、MAP2K4、MAP3K1、MAPK1、MAPK3、MAPK8、MT-CO2、NFKB1、NFKBIA、PAK1、PDGFA、PDGFB、PDGFRB、PIK3R1、PLA2G4A、PLCG1、PTPN11、RAC1、RAF1、RASA1、RHOA、SHC1、SOS1、SRC、SRF、STAT1、STAT3、TIAM1、VAV1、VAV2、およびWASL(例えば、Wiki Pathway PDGF_PATHWAYを参照のこと)が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、アトラセンタンは、ARFIP2CDC42、CHUK、ELK1、FOS、GRB2、HRAS、JAK1、JUN、MAP2K1、MAP2K4、MAP3K1、MAPK1、MAPK3、MAPK8、MT-CO2、NFKB1、NFKBIA、PAK1、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PIK3CG、PIK3R1、PLA2G4A、PLCG1、PTPN11、RAC1、RAF1、RASA1、RHOA、SHC1、SOS1、SRC、SRF、STAT1、STAT3、TIAM1、VAV1、VAV2、およびWASLの群から選択された1つ以上のPDGFシグナル伝達経路の構成要素の発現および/または活性を阻害することができる。
【0537】
表5および12に示すように、30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療は、細胞増殖に関連するシグナル伝達を低減させた。30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療後に差次的に発現された細胞増殖関連シグナル伝達の構成要素(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)が、表12に見られ得る。表12は、細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)の低減が、細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)のうちの1つ以上の正の調節因子の減少および/または細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)のうちの1つ以上の増加の結果であったことを示す。表12はまた、細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)の低減が、細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)のうちの1つ以上のコア構成要素の調節の結果であったことも示したため、細胞増殖関連シグナル伝達(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)が低減されたことも示す。細胞増殖関連シグナル伝達経路(有糸分裂紡錘体およびG2Mチェックポイント)の構成要素には、CCDC88A、SORBS2、RHOT2、EPB41L2、CEP192、BCAR1、PPP4R2、TUBA4A、OPHN1、CNTRL、TIAM1、NIN、MYH10、FLNA、RAPGEF5、FGD6、MYO1E、VCL、ITSN1、SMC3、MYH9、SLC12A2、DMD、CCND1、ARID4A、KMT5A、ATRX、SLC38A1、SLC7A1、YTHDC1、およびMEIS1(例えば、MSigDB HALLMARK_G2M_CHECKPOINT and HALLMARK_MITOTIC_SPINDLEを参照のこと)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0538】
表5および13に示すように、30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療は、炎症反応のシグナル伝達を低減させた。30mg/kg/日のアトラセンタンによる治療後に差次的に発現された炎症反応シグナル伝達の構成要素が、表13に見られ得る。表13は、炎症反応シグナル伝達の低減が、細胞増殖に関連する炎症反応シグナル伝達のうちの1つ以上の正の調節因子の減少および/または炎症反応シグナル伝達のうちの1つ以上の負の調節因子の増加の結果であったことを示す。表13はまた、炎症反応シグナル伝達の低減が、炎症反応シグナル伝達のうちの1つ以上のコア構成要素の調節の結果であったため、炎症反応シグナル伝達を低減させたことを示す。炎症反応シグナル伝達経路の構成要素には、RNF144B、ROS1、SLC7A2、F3、NFKBIA、HPN、SLC4A4、CHST2、IL1B、CDKN1A、BTG2、CSF1、SLC11A2、EIF2AK2、EDN1、NFKB1、セルピン1、SLC7A1、CCL20、IL1R1、LY6E、およびGABBR1(例えば、MSigDB HALLMARK_INFLAMMATORY_RESPONSEを参照のこと)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0539】
2つのモデル(IgANおよびET-1で治療したHRMCのg-ddYマウスモデル)にわたる特徴的な遺伝子セットに対するアトラセンタン治療の影響の相互検証を、
図10に示す。
図10は、g-ddYおよびHRMCモデルシステムにおけるアトラセンタン治療の結果として特徴的な遺伝子セット(すなわち、NF-κBを介したTNFαシグナル伝達、有糸分裂紡錘体、炎症反応、上皮間葉転換、IL2-STAT5シグナル伝達、IL6-JAK-STAT3シグナル伝達、G2Mチェックポイント、E2F標的、補体、アポトーシス、および同種移植片拒絶)の過少発現を示す負の濃縮スコアの一致を示す。未治療のHRMC(対照)と比較したET-1によるHRMCの治療後の濃縮遺伝子セットは、同じ特徴的な遺伝子セット(すなわち、NF-κBを介したTNFαシグナル伝達、有糸分裂紡錘体、炎症反応、上皮間葉転換、IL2-STAT5シグナル伝達、IL6-JAK-STAT3シグナル伝達、G2Mチェックポイント、E2F標的、補体、アポトーシス、および同種移植片拒絶)の過剰発現を示す正の濃縮スコアを示す。
【0540】
メサンギウム細胞関連遺伝子シグネチャーの分析を、
図11Aおよび
図11Bに示す。
図11Aは、0mg/kg/日のアトラセンタンの治療(対照)、ET-1の存在下での25nMのアトラセンタンによるHRMCの治療後の差次的に発現された遺伝子、および公開されたヒトメサンギウム単一細胞シグネチャー(Lake et al.,2018)と比較した、30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の差次的に発現された遺伝子の間の重複する遺伝子を示す。
図11Bは、0mg/kg/日(対照)のアトラセンタンで治療されたg-ddYマウスにおけるメサンギウム細胞シグネチャーと関連する44遺伝子の増加および/または減少した発現レベル、ならびに10、20、および30mg/kg/日のアトラセンタンによるg-ddYマウスの治療後の減少および/または増加した発現レベルを示す。メサンギウム細胞関連遺伝子シグネチャーの構成要素を、表14に示す。
【0541】
RNA-seqデータに基づく潜在的なバイオマーカーの評価を、
図12A~12Bに示す。
図12Aは、選択したバイオマーカー:ALPL、AMN、ASL、CRYL1、DPEP1、GAPDH、IGF1、PDZK1IP1、PEBP1、SELENBP1、SLC19A1、およびSLC6A19の間のマウス対ヒトの翻訳可能性を要約する。
図12Aは、血漿/血清および/または尿に存在する可能性のあるバイオマーカーのどれか、ならびに潜在的なバイオマーカーがマウスおよびヒトの両方で発現されたかどうかを示す。RNA-seqデータは、マウスで生成されたため、
図12Aに示すように、一連の基準に基づいた潜在的なバイオマーカーをフィルタリングすることが、翻訳可能性の欠如による潜在的な将来の問題を制限するために使用された。各潜在的なバイオマーカーの遺伝子発現変化(log2(CPM))を、10mg/kg/日、20mg/kg/日、および30mg/kg/日での対照およびアトラセンタン治療についてプロットした(
図12B)。
図12Aの基準および
図12BのRNA-seqデータに基づいて、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、およびSLC6A19が、潜在的なバイオマーカーとして特定された。
【0542】
要約すると、アトラセンタン治療後の遺伝子発現分析は、救助経路で相乗的に作用する遺伝子の治療誘発性の変化(例えば、炎症経路および増殖経路の低減)を示した。加えて、RNA-seqデータは、ET-1(EDN1)、TNF、およびFGF-2と一緒に使用することができる潜在的なバイオマーカー(例えば、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、およびSLC6A19など)を特定した。治療後の遺伝子発現の全体的な用量依存的変化は、バイオマーカーおよび機能的UACR読み出しを組み合わせて使用することができることを示唆していることに留意する。
表
【表7】
【表8】
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表12-1】
【表12-2】
【表13-1】
【表13-2】
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表15-1】
【表15-2】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20-1】
【表20-2】
【0543】
結論
したがって、自発性IgA腎症のg-ddYマウスモデルでは、20および30mg/kg/日でのアトラセンタン治療は、アトラセンタンで治療されていない対照g-ddYマウスと比較して、約5日間の治療後のアルブミン尿を有意に低減させた。これらの用量で観察されたアルブミン尿の減少の大きさ(ベースラインから>60%の低減)は、アトラセンタンがIgA腎症モデルマウスにおいてアルブミン尿を低減させることを示し、臨床的に非常に有意義であると考えられる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
IgA腎症を有する対象においてメサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、前記対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目2)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目3)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上を有しない、方法。
(項目4)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していない、方法。
(項目5)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV/AIDS、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目6)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目7)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目8)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、または急性腎不全のうちの1つ以上の治療を受けていない、方法。
(項目9)
IgA腎症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、制御された血清グルコースレベルを有すると判定されており、
前記対象が、HIV関連腎症または急性腎不全のうちの1つ以上とこれまでに診断されたことがない、方法。
(項目10)
IgA腎症を有する対象における腎臓の炎症および/または線維症を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目11)
IgA腎症を有する対象における血尿の発生を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目12)
IgA腎症を有する対象におけるeGFRを安定化させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目13)
IgA腎症を有する対象におけるIgA腎症関連疾患フレアの数を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目14)
IgA腎症を有する対象におけるESRDの発症を遅延させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目15)
IgA腎症を有する対象におけるタンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
(項目16)
前記メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体によって誘導される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記メサンギウム活性化が、IgA免疫複合体の存在と関連している、項目1に記載の方法。
(項目18)
メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の増殖を示す1つ以上のバイオマーカーの発現および/または活性を低減させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、メサンギウム細胞の炎症を低減させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、メサンギウム細胞の炎症を示すIL6、MCP1、または他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
メサンギウム細胞の炎症を低減させることが、IL-6シグナル伝達を低減させることを含む、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
メサンギウム細胞の活性化を阻害することが、前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、またはメサンギウム細胞線維症を示す他のバイオマーカーのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、NF-kB、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA
2
、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、MCP1、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、項目22または23に記載の方法。
(項目25)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、ET1、TGF、PDGF、CTGF、MMP、TIMPS、IGF1、DPEP1、ASL、AMN、ALPL、SLC6A19、IL-6、PKC、PI3K、Src、Ras、ERK1/2、Rho、Rac、Akt、mTOR、NAPDHオキシダーゼ、MAPK、cPLA
2
、TNF-α、IL-1、CAM、COX-2、iNOS、JAK、STAT3、PI3K、Akt/PKB、IKKs、IkBs、NF-kB、MAPK、Ras、Raf、MEK、ERK、およびMCP1のうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、項目22~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、Cntfr、Il1b、Csf1、Il2ra、Map3k8、Il1r1、Pfkfb3、Nr4a1、Gem、Fosl2、Klf4、F3、Nfkbia、Ifit2、Nr4a2、Klf2、Jag1、Dnajb4、Il1b、Spsb1、Btg2、Atf3、Csf1、Trib1、Zbtb10、Btg1、Rhob、Nfat5、Edn1、Rel、Nr4a3、Nfkb1、セルピン1、Ccl20、Per1、Cxcl2、Map3k8、Traf1、Pik3r1、Pdgfra、Nfkbia、Pik3cg、Pla2g4a、Tiam1、およびPdgfbのうちの1つ以上の発現および/または活性を低減させることを含む、項目22~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、NF-κBシグナル伝達および/またはPDGFシグナル伝達を低減させることを含む、項目22~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記メサンギウム細胞における線維性反応を低減させることが、メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることを含む、項目23~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
メサンギウム細胞によるマトリックス分泌を低減させることが、メサンギウム細胞による1つ以上の過剰なマトリックス分泌の発現および/または活性を低減させることを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
IgA腎症を有する対象における倦怠感を減少させる方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記対象が、糖尿病性腎症、HIV関連腎症、前立腺がん、または急性腎不全のうちの1つ以上に罹患していないと判定されていた、方法。
(項目31)
IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)前記対象が前記腎臓においてIgA免疫複合体沈着を有すると判定することと、
b)前記対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
(項目32)
IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)前記対象が上昇したレベルのメサンギウム活性化を有すると判定することと、
b)前記対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
(項目33)
IgA腎症の治療を必要とする対象におけるIgA腎症を治療する方法であって、
a)前記対象が前記腎臓において上昇したレベルのIgA免疫複合体を有すると判定することと、
b)前記対象に、治療有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法。
(項目34)
前記アトラセンタンが、薬学的に許容される塩として投与される、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記アトラセンタンが、アトラセンタン塩酸塩またはアトラセンタンマンデル酸塩として投与される、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記アトラセンタンが、アトラセンタン塩酸塩として投与される、項目1~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記アトラセンタンが、遊離塩基として投与される、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記対象が、1つ以上の追加の薬剤も投与されている、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記1つ以上の追加の薬剤が、カルシニューリン阻害剤、プロテアソーム阻害剤、アミノキノリン、補体阻害剤、B細胞阻害剤、細胞毒性剤、mTOR阻害剤、およびステロイドから選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記対象が、ACE阻害剤、ARB、スタチン、利尿薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、魚油、ヒドロキシクロロキン、または前述のいずれかの組み合わせを同時に受けている、項目1~39いずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記対象が、ACE阻害剤、ARB、またはそれらの組み合わせを同時に受けている、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
治療有効量のSGLT-2阻害剤を投与することをさらに含む、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
メサンギウム細胞の活性化を阻害する方法であって、メサンギウム細胞を有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
(項目44)
IgA免疫複合体と接触しているメサンギウム細胞の活性化を低減させる方法であって、メサンギウム細胞を有効量のアトラセンタンまたはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。