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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20250124BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20250124BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20250124BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20250124BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20250124BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 K
G06T7/70 A
G06T7/60 180B
G08B25/00 510M
G08B21/02
G08B25/04 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023190303
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 恒幸
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-043932(JP,A)
【文献】国際公開第2021/124553(WO,A1)
【文献】特開2020-155882(JP,A)
【文献】特開2006-127240(JP,A)
【文献】特開2020-127225(JP,A)
【文献】国際公開第2020/000886(WO,A1)
【文献】特開2020-092447(JP,A)
【文献】特開2021-095839(JP,A)
【文献】国際公開第2012/098609(WO,A1)
【文献】特開2016-009448(JP,A)
【文献】特開2001-204007(JP,A)
【文献】特開2017-184082(JP,A)
【文献】特開2007-249953(JP,A)
【文献】国際公開第2022/168626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/70
G06T 7/60
G08B 25/00
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラそれぞれによって取得された画像データを対象の画像データとして、前記対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、前記物体の種類を示す物体情報を取得する物体情報取得部と、
前記物体情報取得部が取得した前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンであって、前記複数のカメラそれぞれに対応して設けられた検知パターンを参照して、前記複数のカメラそれぞれを対象のカメラとして、前記対象のカメラによって取得された画像データについての前記物体情報が、前記対象のカメラに対応する前記検知パターンを満たすか否かを判定する判定部と、
異なるカメラに対応する複数の検知パターンであって、異なる種類の物体を用いた条件を示す複数の検知パターンがグループ化されており、前記判定部によって同じグループに含まれる全ての検知パターンを満たすと、過去基準時間内に閾値回数以上判定された場合に、通知を行う通知部と
を備える監視装置。
【請求項2】
前記物体情報は、前記物体の種類を示し、
前記検知パターンは、指定された種類の物体の検知有無を組合せた条件を示す
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記物体情報は、前記物体の種類及び位置を示し、
前記検知パターンは、指定された2つの種類の物体の間の距離を用いた条件を示す
請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
前記検知パターンは、物体が検知されたエリアを用いた条件を示す
請求項1に記載の監視装置。
【請求項5】
同じ領域を異なる角度から撮影するカメラに対応する複数の検知パターンがグループ化されている
請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
前記監視装置は、さらに、
指定された2つの種類の物体の間の距離を計測する計測部であって、検知された前記物体のサイズと、検知された前記物体の種類に対応する基準サイズとの比を用いて、前記画像データにおける前記物体の間の距離を補正することにより、前記物体の間の距離を計測する計測部
を備える請求項に記載の監視装置。
【請求項7】
前記監視装置は、さらに、
前記検知パターンマスタの編集を受け付ける操作部
を備える請求項1に記載の監視装置。
【請求項8】
コンピュータが、複数のカメラそれぞれによって取得された画像データを対象の画像データとして、前記対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、前記物体の種類を示す物体情報を取得し、
コンピュータが、前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンであって、前記複数のカメラそれぞれに対応して設けられた検知パターンを参照して、前記複数のカメラそれぞれを対象のカメラとして、前記対象のカメラによって取得された画像データについての前記物体情報が、前記対象のカメラに対応する前記検知パターンを満たすか否かを判定し、
異なるカメラに対応する複数の検知パターンであって、異なる種類の物体を用いた条件を示す複数の検知パターンがグループ化されており、コンピュータが、同じグループに含まれる全ての検知パターンを満たすと、過去基準時間内に閾値回数以上判定された場合に、通知を行う監視方法。
【請求項9】
複数のカメラそれぞれによって取得された画像データを対象の画像データとして、前記対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、前記物体の種類を示す物体情報を取得する物体情報取得処理と、
前記物体情報取得処理が取得した前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンであって、前記複数のカメラそれぞれに対応して設けられた検知パターンを参照して、前記複数のカメラそれぞれを対象のカメラとして、前記対象のカメラによって取得された画像データについての前記物体情報が、前記対象のカメラに対応する前記検知パターンを満たすか否かを判定する判定処理と、
異なるカメラに対応する複数の検知パターンであって、異なる種類の物体を用いた条件を示す複数の検知パターンがグループ化されており、前記判定処理によって同じグループに含まれる全ての検知パターンを満たすと、過去基準時間内に閾値回数以上判定された場合に、通知を行う通知処理と
を行う監視装置としてコンピュータを機能させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像データを用いた監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工場及び建設現場といった場所では、様々な機器が用いられており、作業員等が注意しなければ安全が脅かされる可能性がある。作業員等の安全性を高めるため、カメラにより監視を行い、安全でない状態等が発生した場合に警告が行われている。
【0003】
以前は、監視カメラにより得られた画像データを人が目視して、安全でない状態等が発生していないか監視していた。近年では、監視カメラによって得られた画像データを、AIを用いた画像解析システムにより解析して、安全でない状態等が検知された場合に警告するといったことが検討されている。AIは、Artificial Intelligenceの略である。例えば、特許文献1には、画像解析により工事現場の作業員等が、ヘルメット及び手袋といった装備を装着しているか否かを判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-043932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工場及び建設現場といった場所における安全でない状態等は、新たな機器の導入と、機器の配置の変更と、安全に対する基準の変更といった要因により変化する。AIを用いた画像解析システムは、検知条件をユーザ側で変更することは困難であり、検知条件を変更するにはベンダーに依頼して、画像解析システムを改修してもらう必要がある。画像解析システムを改修してもらうには、時間及び費用がかかり、ユーザにとって利便性が悪い。
本開示は、AIを用いた画像解析システム等を利用して安全でない状態の検知を行いつつ、ユーザ側で検知条件を容易に変更可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る監視装置
対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、物体情報を取得する物体情報取得部と、
前記物体情報取得部が取得した前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う通知部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、画像データから検知された1つ以上の物体についての物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かが判定される。これにより、安全でない状態等であるか否かが判定され、通知するか否かが判定される。検知パターンマスタは編集可能に設けられており、ユーザ側で編集することにより、検知パターンを変更可能である。そのため、検知条件を容易に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る監視システム100の構成図。
図2】実施の形態1に係る監視装置10の構成図。
図3】実施の形態1に係る設定ファイル31の説明図。
図4】実施の形態1に係る検知パターンマスタ32の説明図。
図5】実施の形態1に係る結果ファイル33の説明図。
図6】実施の形態1に係る監視装置10の動作の流れを示すフローチャート。
図7】実施の形態1に係る検知パターンマスタ32の例を示す図。
図8】実施の形態1に係る安全でない状態の例を示す図。
図9】実施の形態1に係る安全でない状態の例を示す図。
図10】実施の形態1に係る安全でない状態の例を示す図。
図11】実施の形態1における計測処理の説明図。
図12】実施の形態2に係る監視装置10の構成図。
図13】実施の形態2に係る関連パターンマスタ34の説明図。
図14】実施の形態2に係る検知パターンマスタ32の例を示す図。
図15】実施の形態2に係る監視装置10の動作の流れを示すフローチャート。
図16】実施の形態2に係る関連パターンの説明図。
図17】実施の形態3に係る選択画面の説明図。
図18】実施の形態3に係る作業監視の画面の説明図。
図19】実施の形態3に係る検知パターン設定の画面の説明図。
図20】実施の形態3に係る距離基準値の設定の説明図。
図21】実施の形態3に係る組合せ設定の画面の説明図。
図22】実施の形態3に係る関連パターン設定の画面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る監視システム100の構成を説明する。
監視システム100は、監視装置10と、複数のカメラ50と、1つ以上の警報機60とを備える。監視装置10は、各カメラ50及び各警報機60とネットワーク70を介して接続されている。
監視装置10は、安全でない状態等を検知して、通知を行うコンピュータである。各カメラ50は、監視対象のエリアを撮影するように設置された監視カメラである。警報機60は、安全でない状態等であることを作業員等に音声及び光により通知するための装置である。
【0010】
図2を参照して、実施の形態1に係る監視装置10の構成を説明する。
監視装置10は、コンピュータである。
監視装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0011】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0012】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0013】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、SSD又はHDDである。SSDは、Solid State Driveの略である。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0014】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0015】
監視装置10は、機能構成要素として、映像取得部21と、物体情報取得部22と、判定部23と、計測部24と、通知部25と、操作部26とを備える。監視装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、監視装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、監視装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0016】
ストレージ13には、設定ファイル31と、検知パターンマスタ32と、結果ファイル33とが記憶される。
【0017】
図2では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0018】
***動作の説明***
図3から図11を参照して、実施の形態1に係る監視装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る監視装置10の動作手順は、実施の形態1に係る監視方法に相当する。また、実施の形態1に係る監視装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る監視プログラムに相当する。
【0019】
図3を参照して、実施の形態1に係る設定ファイル31を説明する。
設定ファイル31には、監視装置10の基本的な情報が設定される。設定ファイル31には、映像切替フラグと、閾値回数と、動画保存フォルダと、動画保存パターンと、動画保存時間と、動画保存期間と、動画保存フレーム数と、カメラ台数と、設定情報と、警告音声と、基準サイズとが含まれる。
映像切替フラグは、映像データの取得先を、カメラ50と、外部の記憶装置との間で切り替えるフラグである。閾値回数は、安全でない状態と判定するための基準となる回数である。動画保存フォルダは、映像データの保存先のフォルダである。動画保存パターンは、映像データを保存する条件である。動画保存時間は、1つの動画ファイルとして保存する映像データの時間である。動画保存期間は、保存された映像データを残しておく期間である。動画保存フレーム数は、保存する映像データのフレームレートである。カメラ台数は、監視システム100が備えるカメラ50の数である。設定情報は、カメラ50毎に、カメラ50の映像データのファイルの識別情報である動画ファイル名と、カメラNo.と、カメラ名称と、カメラ50の接続先である接続URLとが設定される。警告音声は、安全でない等と判定された場合に出力する音声である。警告音声は、1つ以上設定され、警告音声番号が割り振られる。基準サイズは、基準となる物体のサイズであり、後述する距離の計測で使用される。基準サイズは、物体の種類毎に設定される。
【0020】
図4を参照して、実施の形態1に係る検知パターンマスタ32を説明する。
検知パターンマスタ32には、警告を行う対象を検知する条件を示す1つ以上の検知パターンが設定される。各検知パターンには、パターン番号と、カメラ番号と、警告音声番号と、判定条件とが含まれる。
パターン番号は、検知パターンの識別番号である。カメラ番号は、検知パターンが対応するカメラ50の識別番号である。つまり、検知パターンは、カメラ50毎に設定される。警告音声番号は、検知パターンに対応する警告音声の識別番号である。判定条件は、検知パターンに該当するか否かの条件である。
カメラ50毎に複数の検知パターンマスタ32を設定することができる。また1つの検知パターンマスタ32を複数のカメラ50で共有することもできる。カメラ50と検知パターンマスタ32の対応付けは、1対1、1対多、多対1、多対多が可能である。
【0021】
判定条件には、1つ以上の検知物と、エリアと、距離とが含まれる。
各検知物は、検知対象の物体についての条件である。各検知物には、検知対象の物体の種類と、検知対象の物体の検知の有無区分とが含まれる。物体の種類は、検知対象の物体が何であるかを示す。物体の種類は、例えば、人、マスク、クレーンのような種類が設定される。有無区分は、検知された場合に条件を満たすか、検知されなかった場合に条件を満たすかを示す。
エリアは、検知対象の物体が検知される領域についての条件である。エリアが示す領域における検知の有無により条件を満たすか否かが判定される。エリアが未設定の場合には、カメラ50の撮影領域全体における検知の有無により条件を満たすか否かが判定される。
距離は、2つの物体の間の距離についての条件である。距離には、距離基準値と、遠近区分とが含まれる。距離基準値は、2つの物体の間の距離の基準値である。遠近区分は、計測された距離が距離基準値よりも遠い場合に条件を満たすか、計測された距離が距離基準値よりも近い場合に条件を満たすかを示す。なお、距離基準値には、検知物1と検知物2とについての位置を示す座標値も合わせて設定される。この位置は、どの位置の検知物を用いて距離基準値が設定されたかを示すための情報である。
【0022】
ここで、操作部26は、必要に応じて検知パターンマスタ32の編集を受け付ける。例えば、新たに安全でない状態として定義したい状態ができた場合には、操作部26は、その状態を示す検知パターンの追加を受け付ける。また、操作部26は、既存の検知パターンの定義の変更を受け付けてもよい。
【0023】
図5を参照して、実施の形態1に係る結果ファイル33を説明する。
結果ファイル33には、警告を行う対象が検知された際の情報が設定される。結果ファイル33には、カメラ番号と、検知日時と、パターン番号と、警告音声番号と、動画ファイルとが含まれる。
カメラ番号は、警告を行う対象の検知元の映像データを撮影したカメラ50のカメラ番号である。検知日時は、警告を行う対象が検知された日時である。パターン番号は、警告を行う対象を検知した検知パターンのパターン番号である。警告音声番号は、パターン番号が示す検知パターンに対応する警告音声の警告音声番号である。動画ファイルは、警告を行う対象が検知された映像データの動画ファイルである。
【0024】
図6を参照して、実施の形態1に係る監視装置10の動作の流れを説明する。
各カメラ50を対象のカメラ50として、ステップS101からステップS111の処理が実行される。
【0025】
(ステップS101:映像取得処理)
映像取得部21は、設定ファイル31に従い、対象のカメラ50によって撮影された映像データの新しいフレームである画像データを取得する。
具体的には、映像取得部21は、設定ファイル31の映像切替フラグに応じて、映像データの取得先を、対象のカメラ50と、外部の記憶装置とのどちらかに設定する。映像取得部21は、設定された映像データの取得先から、画像データを取得する。
【0026】
(ステップS102:画像記憶処理)
映像取得部21は、設定ファイル31に従い、ステップS101で取得された画像データをストレージ13に記憶する。
具体的には、映像取得部21は、設定ファイル31の動画保存パターンが示す条件に合致する場合には、設定ファイル31の動画保存フォルダが示す保存先のフォルダに、画像データを記憶する。この際、映像取得部21は、設定ファイル31の動画保存時間が示す時間毎に別の動画ファイルに区切りながら画像データを記憶する。また、映像取得部21は、設定ファイル31の動画保存フレーム数が示すフレームレートになるように、必要に応じて画像データを間引きながら記憶する。
【0027】
(ステップS103:物体情報取得処理)
物体情報取得部22は、ステップS101で取得された画像データを対象の画像データとして、対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、前記物体の種類及び位置を示す物体情報を取得する。
具体的には、物体情報取得部22は、対象の画像データを物体検知モデルに入力する。物体検知モデルは、AI技術を用いて検知対象の種類の物体を検知するモデルである。物体検知モデルは、例えば、CNNを用いて構成されたモデルである。CNNは、Convolutional Neural Networkの略である。物体検知モデルは、入力された画像データから、検知対象の種類の物体を検知して、検知された各物体について種類及び位置を示す物体情報を出力する。物体検知モデルは、位置として、物体を囲った検知枠を出力する。物体情報取得部22は、物体検知モデルから出力された各物体についての種類及び位置を示す物体情報を取得する。
【0028】
検知パターンマスタ32における対象のカメラ50に対応する1つ以上の検知パターンそれぞれを対象の検知パターンとしてステップS104からステップS111の処理が実行される。
【0029】
(ステップS104:領域内物体抽出処理)
判定部23は、ステップS103で取得された物体情報が示す物体について、対象の検知パターンにおけるエリアが示す領域内に位置が含まれるか否かを判定する。判定部23は、物体情報が示す物体のうち、対象の検知パターンにおけるエリアが示す領域内に位置が含まれる物体を抽出する。
なお、判定部23は、対象の検知パターンにおけるエリアが未設定の場合には、ステップS103で取得された物体情報が示す全ての物体を抽出する。
【0030】
(ステップS105:物体判定処理)
判定部23は、ステップS104で抽出された物体について、物体情報が示す物体の種類と有無との組合せが、対象の検知パターンにおける1つ以上の検知物それぞれの種類と有無区分との組合せと合致するか否かを判定する。
判定部23は、物体情報が示す物体の種類と有無との組合せが対象の検知パターンにおける検知物の種類と有無区分との組合せに合致する場合には、処理をステップS106に進める。一方、判定部23は、合致しない場合には、対象の検知パターンについての処理を終了する。
【0031】
図7に示すパターン番号1の検知パターンが対象の検知パターンであったとする。対象の検知パターンには、検知物1と検知物2との2つの検知物が設定されている。検知物1は、種類が人であり、有無区分が有である。検知物2は、種類がクレーンであり、有無区分が有である。この場合には、判定部23は、物体情報が示す物体として、種類が人の物体が有り、かつ、物体情報が示す物体として、種類がクレーンの物体が有る場合に、物体情報が示す物体の種類と有無との組合せが対象の検知パターンにおける検知物の種類と有無区分との組合せに合致すると判定する。
【0032】
図7に示すパターン番号2の検知パターンが対象の検知パターンであったとする。対象の検知パターンには、検知物1と検知物2との2つの検知物が設定されている。検知物1は、種類がヘルメットであり、有無区分が有である。検知物2は、種類がマスクであり、有無区分が有である。この場合には、判定部23は、物体情報が示す物体として、種類がヘルメットの物体が有り、かつ、物体情報が示す物体として、種類がマスクの物体が有る場合に、物体情報が示す物体の種類と有無との組合せが対象の検知パターンにおける検知物の種類と有無区分との組合せに合致すると判定する。
【0033】
図7に示すパターン番号3の検知パターンが対象の検知パターンであったとする。対象の検知パターンには、検知物1と検知物2との2つの検知物が設定されている。検知物1は、種類がヘルメットであり、有無区分が無である。検知物2は、種類が人であり、有無区分が有である。この場合には、判定部23は、物体情報が示す物体として、種類がヘルメットの物体が無く、かつ、物体情報が示す物体として、種類が人の物体が有る場合に、物体情報が示す物体の種類と有無との組合せが対象の検知パターンにおける検知物の種類と有無区分との組合せに合致すると判定する。
【0034】
(ステップS106:計測判定処理)
判定部23は、対象の検知パターンにおける距離が設定されているか否かを判定する。
判定部23は、対象の検知パターンにおける距離が設定されている場合には、計測部24に対して距離の計測を指示して、処理をステップS107に進める。一方、判定部23は、対象の検知パターンにおける距離が設定されていない場合には、安全でない状態等が検知されたとして、処理をステップS109に進める。この際、判定部23は、対象の検知パターンのパターン番号と、安全でない状態等が検知された時刻をメモリ12に記憶しておく。
【0035】
対象の検知パターンが図7に示すパターン番号1,2の検知パターンである場合には、距離が設定されているため、処理がステップS107に進められる。一方、対象の検知パターンが図7に示すパターン番号3の検知パターンである場合には、距離が設定されていないため、処理がステップS109に進められる。つまり、パターン番号3の検知パターンの場合には、図8に示すように、ヘルメットが検知されず人が検知された、つまりヘルメットを装着していない人が検知されたとして、安全でない状態が発生していると判定される。
【0036】
(ステップS107:計測処理)
計測部24は、対象の検知パターンにおける検知物1の種類の物体と、検知物2の種類の物体との間の距離を計測する。なお、検知物1の種類の物体と検知物2の種類の物体との少なくともいずれかが複数存在する場合には、計測部24は、検知物1の種類の物体と検知物2の種類の物体と全ての組合せについて距離を計測する。2つの物体の距離は、例えば、2つの物体それぞれの検知枠の事前に決められた位置間の距離である。実施の形態1では、2つの物体それぞれの検知枠の左上の点の間の距離とする。なお、2つの物体の距離は、2つの物体それぞれの検知枠の間の最短距離であってもよい。このときは、図4に示した検知パターンマスタ32の距離基準値の設定に2つの物体の検知枠により最短距離を基準とすることを設定する。具体的には、1つの物体の検知枠で決まる4隅の点と、もう1つの物体の検知枠で決まる4隅の点の距離を16通り算出し、そのうちの最短距離をステップS107での算出結果とすることを検知パターンマスタ32に定める。
距離の計測方法については後述する。
【0037】
(ステップS108:距離判定処理)
判定部23は、ステップS107で計測された距離を、対象の検知パターンにおける距離基準値と比較して、遠近区分の条件を満たすか否かを判定する。判定部23は、遠近区分の条件を満たす場合には、安全でない状態等が発生していると判定する。この際、判定部23は、対象の検知パターンのパターン番号と、安全でない状態等が検知された時刻をメモリ12に記憶しておく。
図7に示すパターン番号1の検知パターンが対象の検知パターンであったとする。この場合には、図9に示すように、判定部23は、ステップS107で計測された距離が距離基準値よりも近い場合には、条件を満たすと判定する。つまり、クレーンと人との距離が近い場合に条件を満たし、安全でない状態が発生していると判定される。
図7に示すパターン番号2の検知パターンが対象の検知パターンであったとする。この場合には、図10に示すように、判定部23は、ステップS107で計測された距離が距離基準値よりも遠い場合には、条件を満たすと判定する。つまり、ヘルメットとマスクとの距離が遠い場合に条件を満たし、安全でない状態が発生していると判定される。
【0038】
(ステップS109:閾値判定処理)
判定部23は、設定ファイル31における閾値回数以上、安全でない状態が発生しているか否かを判定する。
具体的には、判定部23は、過去基準時間内に、設定ファイル31における閾値回数以上、対象の検知パターンについて安全でない状態が発生していると判定されたか否か判定する。
判定部23は、設定ファイル31における閾値回数以上、安全でない状態が発生している場合には、安全でない状態が確定したとして、処理をステップS110に進める。一方、判定部23は、設定ファイル31における閾値回数以上、安全でない状態が発生していない場合には、対象の検知パターンについての処理を終了する。
【0039】
(ステップS110:結果記憶処理)
判定部23は、結果ファイル33に検知結果を記憶する。
具体的には、判定部23は、対象のカメラ50のカメラ番号と、現在日時と、対象の検知パターンのパターン番号と、対象の検知パターンに対応する警告音声の警告音声番号と、ステップS102で画像データを記憶した先の動画ファイルの識別情報とを結果ファイル33に書き込む。
【0040】
(ステップS111:通知処理)
通知部25は、作業員等に安全でない状態が発生していることを通知する。
具体的には、通知部25は、対象の検知パターンに対応する警告音声を警報機60に出力する。これにより、警報機60を点灯させるとともに、警報機60から警告音声を出力させる。
【0041】
図11を参照して、実施の形態1における計測処理(図6のステップS107)での距離の計測方法を説明する。
まず、計測部24は、対象の画像データにおける2つの物体の間の距離を計測する。ここでの距離は、例えばピクセル数である。実施の形態1では、2つの物体の間の距離は、2つの物体それぞれの検知枠の左上の点の間の距離である。そのため、図11では、計測部24は、2つの物体それぞれの検知枠の左上の点の間のピクセル数を計測している。ここでは、2つの物体の間の距離は、40ピクセルであったとする。
【0042】
次に、計測部24は、検知された物体のサイズと、検知された物体の種類に対応する基準サイズとの比を用いて、計測された物体の間の距離を補正する。ここでは、対象の検知パターンの検知物1の基準サイズが横30ピクセル、縦40ピクセルであったとする。これに対して、検知された検知物1の物体のサイズが横40ピクセル、縦55ピクセルであったとする。
まず、計測部24は、次のように比を計算する。
(1)基準サイズの対角線の距離=√(30+40)=50
(2)検知された物体のサイズの対角線の距離=√(40+55)=68.00・・・
(3)比=68.00/50=1.36・・・
次に、計測部24は、対象の画像データにおける2つの物体の間の距離を比により補正する。
(4)補正後の距離=40/1.36・・・=29.41・・・
このような計算に基づき、40ピクセルが29.41ピクセルに補正される。
距離判定処理(図6のステップS108)では、補正後の距離と距離基準値とが比較され、遠近区分の条件を満たすか否かが判定される。
【0043】
なお、ここでは、検知物1の基準サイズと、検知された検知物1の物体のサイズとから比が計算された。しかし、検知物2の基準サイズと、検知された検知物2の物体のサイズとから比が計算されてもよい。また、検知物1の基準サイズと検知された検知物1の物体のサイズと比と、検知物2の基準サイズと検知された検知物2の物体のサイズとの比とを用いて、補正に使用する比を計算してもよい。例えば、検知物1の基準サイズと検知された検知物1の物体のサイズと比と、検知物2の基準サイズと検知された検知物2の物体のサイズとの比との平均値を、補正に使用する比としてもよい。
【0044】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る監視装置10は、画像データから検知された1つ以上の物体について物体の種類を示す物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタ32が示す検知パターンを満たすか否かを判定する。これにより、安全でない状態等であるか否かが判定され、通知するか否かが判定される。検知パターンマスタ32は編集可能に設けられており、ユーザ側で編集することにより、検知パターンを変更可能である。そのため、検知条件を容易に変更可能である。
【0045】
実施の形態1に係る監視装置10は、種類毎の物体の有無と、指定された種類の物体の間の距離と、物体が検知されたエリアとを組み合わせて、安全でない状態等であるか否かを判定する検知パターンが定義される。これにより、様々な状況を適切に判定する検知パターンを設定可能である。
【0046】
実施の形態1に係る監視装置10は、対象の画像データにおける距離をそのまま用いて判定せず、種類毎の物体の基準サイズを用いて対象の画像データにおける距離を補正する。これにより、物体の写り方による距離の誤差が補正され、精度よく安全でない状態等であるか否かを判定可能である。
【0047】
実施の形態1に係る監視装置10は、映像データの取得先を、カメラ50から外部の記憶装置に切り替え可能である。これにより、過去の映像データを用いた物体検知モデルの再学習をユーザ側で行うことが可能である。例えば、新たに検知したい種類の物体がある場合には、物体検知モデルに学習させて、その種類の物体の検知もできるようにすることも可能である。その結果、その種類の物体を用いた検知パターンを設定することもできる。監視装置10は、映像データをカメラ50からのリアルタイムの映像として取得する場合、パターン検知の判定に関する検証をしにくいが動画ファイルを用いる場合、検知パターンの妥当性の確認等が行える。
【0048】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、検知物1と検知物2との間の距離だけが距離を用いた条件として設定された。しかし、3つ以上の検知物の間の距離を用いて条件を設定できるようにしてもよい。例えば、検知物1と検知物2との間の距離と、検知物2と検知物3との間の距離とを用いて条件を設定できるようにしてもよい。
具体例としては、検知物1と検知物2との間の距離と、検知物2と検知物3との間の距離とのどちらが長いかによって条件を設定できるようにしてもよい。
<変形例2>
実施の形態1では、管理装置10での処理の流れを図6を用いて説明した。図6におけるステップS109の閾値判定処理については、ステップS103における物体情報取得時に物体検知モデルの誤検知が一定回数起きることを想定して、安全でない状態が発生しているか否かを正しく判定するための処理となる。ステップS109の後であり、ステップS110の前に、ステップS109aを追加してもよい。ステップS109aでは、判定部23は、最初にステップS109の処理が終了した後、ステップS109でYESとなる時間が所定の状況継続時間以上であるか否かの判定を加えてもよい。ステップS109aでYESとなれば、状況継続時間によっても安全でない状態が発生していると正しく判定できる。ステップS109aでNOとなれば、状況継続時間によって安全でない状態が発生していないと判定し、対象の検知パターンについての処理は終了する。ステップS109aでYESとなれば、ステップS110以降の処理は実施の形態1で説明したとおりである。
【0049】
<変形例3>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例3として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例3について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0050】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、監視装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0051】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0052】
<変形例4>
変形例4として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0053】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0054】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態2は、複数の検知パターンの組について同時に条件を満たした場合に通知を行う点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0056】
***構成の説明***
図12を参照して、実施の形態2に係る監視装置10の構成を説明する。
監視装置10は、ストレージ13に関連パターンマスタ34が記憶されている点が図2に示す監視装置10と異なる。
【0057】
***動作の説明***
図13から図16を参照して、実施の形態2に係る監視装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る監視装置10の動作手順は、実施の形態2に係る監視方法に相当する。また、実施の形態2に係る監視装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る監視プログラムに相当する。
【0058】
図13を参照して、実施の形態2に係る関連パターンマスタ34を説明する。
関連パターンマスタ34には、異なるカメラ50に対応する複数の検知パターンが関連パターンとしてグループ化されて設定される。
図13では、パターン番号4の検知パターンと、パターン番号5の検知パターンとが関連パターンとしてグループ化されている。図14に示すように、パターン番号4の検知パターンは、カメラ番号1のカメラ50に対応する検知パターンである。パターン番号5の検知パターンは、カメラ番号2のカメラ50に対応する検知パターンである。
【0059】
図15を参照して、実施の形態2に係る監視装置10の動作の流れを説明する。
ステップS201からステップS209の処理は、図6のステップS101からステップS109の処理と同じである。ステップS212からステップS213の処理は、図6のステップS110からステップS111の処理と同じである。
【0060】
(ステップS210:関連有無判定処理)
判定部23は、対象の検知パターンに関連パターンが存在するか否かを判定する。対象の検知パターンが他の検知パターンとグループ化されている場合には、対象の検知パターンに関連パターンが存在することになる。
判定部23は、対象の検知パターンに関連パターンが存在する場合には、処理をステップS211に進める。一方、判定部23は、対象の検知パターンに関連パターンが存在しない場合には、安全でない状態が確定したとして、処理をステップS212に進める。
【0061】
(ステップS211:関連パターン判定処理)
判定部23は、対象の検知パターンと同じグループの全ての検知パターンについて、ステップS209の処理で設定ファイル31における閾値回数以上、安全でない状態が発生していると判定されているか否かを判定する。
判定部23は、同じグループの全ての検知パターンについて閾値回数以上、安全でない状態が発生していると判定されている場合には、安全でない状態が確定したとして、処理をステップS212に進める。一方、判定部23は、そうでない場合には、対象の検知パターンについての処理を終了する。
【0062】
判定部23は、対象の検知パターンについての処理を終了する際、対象の検知パターンについて、閾値回数以上、安全でない状態が発生していると判定されていることを関連パターン結果としてメモリ12に記憶しておく。判定部23は、関連パターン結果を参照することにより、同じグループの他の検知パターンについて、閾値回数以上、安全でない状態が発生していると判定されているか否かを判定することが可能である。
なお、古い関連パターン結果を参照して誤った判定をすることを防止するために、判定部23は、一定時間経過した関連パターン結果については削除してもよい。
【0063】
図16を参照して、実施の形態2に係る関連パターンについて説明する。
同じ領域を異なる角度から撮影するカメラ50に対応する複数の検知パターンが関連パターンとしてグループ化される。
具体例としては、指定された2つの種類の物体の間の距離を用いた条件を示し、指定された組合せが同じ条件を示す複数の検知パターンが関連パターンとしてグループ化される。これは、1つの方向から撮影された画像データだけでは、2つの物体の間の距離を正確に判定することが難しい場合があるためである。
【0064】
図16に示すように、カメラ番号1のカメラ50は、領域Xを右側から撮影し、カメラ番号2のカメラ50は、領域Xを正面側から撮影するとする。カメラ番号2のカメラ50で撮影された画像データでは、HPとトーチとの間の距離が近いが、カメラ番号1のカメラ50で撮影された画像データでは、HPとトーチとの間の距離が遠い。HPは、Hand Planerの略である。
HPとトーチとの距離が近い場合には、安全でない状態と判定したいとする。この場合に、カメラ番号2のカメラ50で撮影された画像データだけで判定してしまうと、HPとトーチとの間の距離が近いので、安全でない状態であると判定される。しかし、カメラ番号2のカメラ50とは別の角度から撮影するカメラ番号1のカメラ50で撮影された画像データでは、HPとトーチとの間の距離が遠い。つまり、カメラ番号2のカメラ50の角度からではHPとトーチとは近く見えてしまうが、実際にはHPとトーチとの間には十分な距離がある。
したがって、カメラ番号2のカメラ50で撮影された画像データだけで判定してしまうと、正しく判定ができない。そこで、カメラ番号1のカメラ50についての検知パターンと、カメラ番号2のカメラ50についての検知パターンとを関連パターンとしてグループ化する。これにより、カメラ番号2のカメラ50で撮影された画像データだけでなく、カメラ番号1のカメラ50で撮影された画像データでも近いと判定された場合にのみ通知がされるようになる。その結果、誤った判定がされ難くなる。
【0065】
他の具体例としては、あるカメラ50に対応する特定の色のボタンを検知する検知パターンと、他のカメラ50に対応する特定の機器等を検知する検知パターンとを、関連パターンとしてグループ化することが考えられる。これにより、例えば、特定の色のボタンにより作業が禁止状態であるにも関わらず、作業を行おうとしていることを検知可能になる。
【0066】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る監視装置10は、複数のカメラ50に対応する検知パターンの組について同時に条件を満たした場合に通知を行う。これにより、判定の精度を高くすること、複雑な判定をすることが可能になる。
【0067】
***他の構成***
<変形例5>
実施の形態2では、管理装置10での処理の流れを図15を用いて説明した。図15における処理においても、実施の形態1の変形例2で示したように、ステップS211の関連パターンについて、安全でない状態が発生しているか否かを正しく判定するための処理を行った後、ステップS211の後であり、ステップS212の前に、ステップS211aを追加してもよい。ステップS211aでは、判定部23は、最初にステップS211の処理が終了した後、ステップS211でYESとなる時間が所定の状況継続時間以上であるか否かの判定を加えてもよい。ステップS211aでYESとなれば、状況継続時間によっても安全でない状態が発生していると正しく判定できる。ステップS211aでNOとなれば、状況継続時間によって安全でない状態が発生していないと判定し、対象の検知パターンについての処理は終了する。ステップS211aでYESとなれば、ステップS212以降の処理は実施の形態2で説明したとおりである。
【0068】
実施の形態3.
実施の形態3では、検知パターンマスタ32及び関連パターンマスタ34等の編集画面について説明する。
【0069】
***動作の説明***
図17から図22を参照して、実施の形態3に係る監視装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る監視装置10の動作手順は、実施の形態3に係る監視方法に相当する。また、実施の形態3に係る監視装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係る監視プログラムに相当する。
【0070】
図17に示すように、操作部26は、作業監視と、検知パターン設定と、組合せ設定との選択画面を表示する。作業監視は、各カメラのライブ映像を見るための項目である。検知パターン設定は、検知パターンマスタ32を編集するための項目である。組合せ設定は、関連パターンマスタ34を編集するための項目である。
【0071】
図18を参照して、実施の形態3に係る作業監視の画面を説明する。
操作部26は、選択画面で作業監視が選択されると、図18の左上の画面を表示する。左上の画面では、複数のカメラ50の映像が小さく表示されている。図18では、カメラ番号が1から4の4つのカメラ50の映像が小さく表示されている。次へのボタンが押下されると、操作部26は、左下の画面を表示する。左下の画面では、左上の画面に表示されたカメラ50に続く複数のカメラ50の映像が小さく表示される。図18では、カメラ番号が5から8の4つのカメラ50の映像が小さく表示される。次へのボタンがさらに押下されると、左下の画面に表示されたカメラ50に続く複数のカメラ50の映像が小さく表示される。一方、戻るのボタンが押下されると、左上の画面に戻る。
左上又は左下の画面のように、複数のカメラ50の映像が小さく表示されている状態で、いずれかのカメラ50についてのライブ表示のボタンが押下されると、ライブ表示のボタンに対応するカメラ50の映像が拡大表示される。拡大表示された画面で戻るのボタンが押下されると、複数のカメラ50の映像が小さく表示されている元の画面に戻る。拡大表示された画面がクリック等されると、拡大された画面を全画面表示して、さらに大きく表示する。全画面表示されている状態でキーボードのEsc等のボタンが押下されると、拡大表示された画面に戻る。
【0072】
操作部26は、選択画面で検知パターン設定が選択されると、図19の検知パターン設定の画面を表示する。検知パターン設定の画面では、検知パターンマスタ32に登録された各検知パターンが表示され、各検知パターンの各項目について編集できるようになっている。また、追加ボタンを押下することにより、新たな検知パターンを追加できる。また、削除のボタンを押下することにより既存の検知パターンを削除できる。
図19の選択画面において、物1-2の距離とは、矩形の4隅いずれかの点からのX軸の長さ×Y軸の長さ、幅、高さ、距離が設定される。
【0073】
ここで、距離基準値を設定する場合には、図20に示すように、操作部26は、実際に危険と認められた際等の画像データを表示する。表示される画像データは、ユーザによって選択される。そして、検知物1の位置から、検知物2の位置までドラッグ操作を行うことにより、検知物1の位置から検知物2の位置までの距離が計測され、計測された距離が距離基準値として設定される。また、合わせて、検知物1の位置及び検知物2の位置が設定される。
距離基準値を編集する場合には、操作部26は、設定されている検知物1の位置及び検知物2の位置と、その間の距離とを表示する。そして、検知物1の位置から、検知物2の位置までドラッグ操作をやり直す等して、距離基準値が編集される。
【0074】
操作部26は、選択画面で組合せ設定が選択されると、図21の組合せ設定の画面を表示する。組合せ設定の画面では、カメラ50毎及び検知パターン毎に、関連パターンマスタ34に登録された関連パターンが表示される。操作部26は、編集したい検知パターンの修正ボタンが押下されると、図22に示す、現在の設定内容を初期表示した編集画面を表示する。図22の編集画面では、関連パターンの編集とともに、カメラ50の名称と、カメラ50の接続先のURLの編集も可能である。URLは、Uniform Resource Locatorの略である。なお、操作部26は、図21で追加ボタンが押下されると、初期表示として全て空欄とした図22の編集画面を表示する。
また図19の示す検知パターン設定の画面については、遠近区分の欄に、近いNGと遠いNGが表示されているが、不安全な状態だけではく安全な状態検知にも用いることができる。その場合は、近いOK、遠いOKが選択でき、図4に示した検知パターンマスタ34には、3:近いOK,4:遠いOKも表示される。また検知パターンマスタ34の警告音声番号には、安全を認知させる音声が選ばれる。
【0075】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る監視装置10は、各カメラ50のライブ映像の確認と、検知パターンマスタ32及び関連パターンマスタ34の設定を行うことができる。これにより、監視装置10を用いた運用を適切に行うことが可能である。
【0076】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、物体情報を取得する物体情報取得部と、
前記物体情報取得部が取得した前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う通知部と
を備える監視装置。
(付記2)
前記物体情報は、前記物体の種類を示し、
前記検知パターンは、指定された種類の物体の検知有無を組合せた条件を示す
付記1に記載の監視装置。
(付記3)
前記物体情報は、前記物体の種類及び位置を示し、
前記検知パターンは、指定された2つの種類の物体の間の距離を用いた条件を示す
付記1又は2に記載の監視装置。
(付記4)
前記検知パターンは、物体が検知されたエリアを用いた条件を示す
付記1から3までのいずれか1項に記載の監視装置。
(付記5)
前記物体情報取得部は、複数のカメラそれぞれによって取得された画像データを前記対象の画像データとして物体情報を取得し、
前記検知パターンは、前記複数のカメラそれぞれに対応して設けられており、
前記判定部は、前記複数のカメラそれぞれを対象のカメラとして、前記対象のカメラによって取得された画像データについての前記物体情報が、前記対象のカメラに対応する前記検知パターンを満たすか否かを判定する
付記1から4までのいずれか1項に記載の監視装置。
(付記6)
異なるカメラに対応する複数の検知パターンがグループ化されており、
前記通知部は、グループ化された検知パターンについては、同じグループに含まれる全ての検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う
付記5に記載の監視装置。
(付記7)
同じ領域を異なる角度から撮影するカメラに対応する複数の検知パターンがグループ化されている
付記6に記載の監視装置。
(付記8)
同じ2つの種類が指定され、指定された2つの種類の物体の間の距離を用いた条件を示す複数の検知パターンがグループ化されている
付記7に記載の監視装置。
(付記9)
前記監視装置は、さらに、
指定された2つの種類の物体の間の距離を計測する計測部であって、検知された前記物体のサイズと、検知された前記物体の種類に対応する基準サイズとの比を用いて、前記画像データにおける前記物体の間の距離を補正することにより、前記物体の間の距離を計測する計測部
を備える付記2に記載の監視装置。
(付記10)
前記監視装置は、さらに、
前記検知パターンマスタの編集を受け付ける操作部
を備える付記1から9までのいずれか1項に記載の監視装置。
(付記11)
コンピュータが、対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、物体情報を取得し、
コンピュータが、前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かを判定し、
コンピュータが、前記検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う監視方法。
(付記12)
対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、物体情報を取得する物体情報取得処理と、
前記物体情報取得処理が取得した前記物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理によって前記検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う通知処理と
を行う監視装置としてコンピュータを機能させる監視プログラム。
【0077】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
100 監視システム、10 監視装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、21 映像取得部、22 物体情報取得部、23 判定部、24 計測部、25 通知部、26 操作部、31 設定ファイル、32 検知パターンマスタ、33 結果ファイル、34 関連パターンマスタ、50 カメラ、60 警報機。
【要約】
【課題】AIを用いた画像解析システム等を利用して安全でない状態の検知を行いつつ、ユーザ側で検知条件を容易に変更可能にする。
【解決手段】物体情報取得部22は、対象の画像データから検知された1つ以上の物体について、物体情報を取得する。判定部23は、物体情報取得部22が取得した物体情報が、編集可能に設けられた検知パターンマスタが示す検知パターンを満たすか否かを判定する。通知部25は、判定部23によって検知パターンを満たすと判定された場合に、通知を行う。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22