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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】エレベーターの据付用型板装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20250124BHJP
   B66B 7/02 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B66B7/00 M
B66B7/00 L
B66B7/02 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024082387
(22)【出願日】2024-05-21
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 哲
(72)【発明者】
【氏名】開 和洋
(72)【発明者】
【氏名】前阪 尚輝
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-133623(JP,A)
【文献】特開2023-043729(JP,A)
【文献】特開2003-212451(JP,A)
【文献】特開2012-057408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00- 7/12
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に取り付けられるサポート部材と、
前記サポート部材に取り付けられる定規部材と
を備え、
前記定規部材は、定規部材本体と、前記定規部材本体にそれぞれ取り付けられており、昇降路に設置される対象物の位置決めの基準となる一対の下げ振り線が個別に接続される一対の接続具とを有しており、
前記定規部材本体は、前記定規部材の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結された複数の定規ブロックを有しており、
前記定規部材本体の長さは、前記定規ブロックの数の調整によって調整可能になっており、
前記一対の接続具のうち、一方の接続具は、前記定規部材本体の一端部に位置する前記定規ブロックに取り付けられており、
前記一対の接続具のうち、他方の接続具は、前記定規部材本体の他端部に位置する前記定規ブロックに取り付けられているエレベーターの据付用型板装置。
【請求項2】
前記定規部材は、互いに隣り合う2つの前記定規ブロックを連結する連結具を有しており、
前記連結具は、前記2つの定規ブロックの境界を跨って配置される連結具本体と、前記2つの定規ブロックのうち一方の定規ブロックに前記連結具本体を締結する第1ブロック締結部材と、前記2つの定規ブロックのうち他方の定規ブロックに前記連結具本体を締結する第2ブロック締結部材とを有している請求項1に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【請求項3】
前記一対の接続具の少なくともいずれかは、前記定規部材の長手方向へ前記定規部材本体から突出した状態で前記定規ブロックに着脱可能に取り付けられている突出部材と、前記突出部材に着脱可能に取り付けられており、前記下げ振り線が接続される接続具本体とを有しており、
前記突出部材には、複数の調整穴が前記定規部材の長手方向において互いに間隔をあけて設けられており、
前記接続具本体は、前記複数の調整穴のいずれかに選択的に配置された状態で前記突出部材に取り付けられている請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【請求項4】
前記サポート部材を前記固定部材に取り付けるサポート取付具を備え、
前記サポート取付具は、サポート押さえ部材と、前記サポート押さえ部材を前記サポート部材に保持する保持構造体とを有しており、
前記サポート押さえ部材は、前記固定部材の一部を前記サポート部材との間で挟む掛かり部と、前記サポート部材に保持される保持部とを有しており、
前記保持構造体は、前記サポート部材の長手方向に沿ってスライド可能に前記サポート部材に取り付けられているスライド部材と、前記スライド部材に取り付けられており、前記保持部を前記サポート部材に押し付けることにより前記保持部を前記サポート部材に保持するサポート締結部材とを有しており、
前記保持部は、弾性変形可能な弾性部であり、
前記サポート押さえ部材は、前記保持部が前記サポート締結部材と前記サポート部材との間で弾性変形された状態で、前記掛かり部によって前記固定部材の一部を前記サポート部材に押さえる請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【請求項5】
互いに隣り合う2つの前記定規ブロックの境界には、嵌合構造部が設けられており、
前記嵌合構造部は、前記2つの定規ブロックのうち、一方の定規ブロックから突出している突起部と、他方の定規ブロックに形成されており、前記突起部が嵌る窪み部とを有している請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【請求項6】
各前記定規ブロックは、前記定規部材の長手方向に沿って配置された背板部と、前記背板部の両縁部に設けられており、前記背板部の幅方向において互いに対向している一対の側板部とを有しており、
前記嵌合構造部は、前記2つの定規ブロックのそれぞれにおける前記背板部同士の境界と、前記2つの定規ブロックのそれぞれにおける前記側板部同士の境界とのそれぞれに設けられている請求項5に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【請求項7】
前記定規部材を前記サポート部材に取り付ける定規取付具を備え、
前記定規取付具は、前記サポート部材に着脱可能に取り付けられるサポート取付構造体と、前記サポート取付構造体に着脱可能に取り付けられており、前記定規部材本体を前記サポート部材に押さえる定規押さえ部材と、前記定規押さえ部材を前記サポート取付構造体に取り付ける定規結合部材とを有している請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの据付用型板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの据付時には、昇降路において乗場敷居、かごガイドレールなどの位置決めを行うために、昇降路の上方に据付用型板装置が設置された後、据付用型板装置から複数の下げ振り線が昇降路に鉛直方向に沿って張られる。乗場敷居、かごガイドレールなどの位置決めは、昇降路において各下げ振り線の位置を基準にして行われる。
【0003】
特許文献1には、エレベーターの種類、サイズなどの違いに応じて各下げ振り線の位置設定を自在にするために、各下げ振り線を吊り下げる定規材を伸縮可能にしたエレベーターの据付用型板装置が開示されている。定規材は、複数の分割片がスライド可能に嵌合することにより構成されている。定規材は、複数の分割片同士がスライドすることにより伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-133623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来のエレベーターの据付用型板装置では、複数の分割片同士がスライド可能に重なった状態で嵌合されている。このため、定規材の重さが増加してしまい、定規材の取り扱いに手間がかかってしまう。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、定規部材の軽量化を図ることができるエレベーターの据付用型板装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーターの据付用型板装置は、固定部材に取り付けられるサポート部材と、サポート部材に取り付けられる定規部材とを備え、定規部材は、定規部材本体と、定規部材本体にそれぞれ取り付けられており、昇降路に設置される対象物の位置決めの基準となる一対の下げ振り線が個別に接続される一対の接続具とを有しており、定規部材本体は、定規部材の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結された複数の定規ブロックを有しており、定規部材本体の長さは、定規ブロックの数の調整によって調整可能になっており、一対の接続具のうち、一方の接続具は、定規部材本体の一端部に位置する定規ブロックに取り付けられており、一対の接続具のうち、他方の接続具は、定規部材本体の他端部に位置する定規ブロックに取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベーターの据付用型板装置によれば、定規部材の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの据付用型板装置が昇降路の頂部に設置されている状態を示す縦断面図である。
図2図1の据付用型板装置を示す斜視図である。
図3図2の各定規部材に含まれるベース定規ブロックを示す斜視図である。
図4図2の各定規部材に含まれる拡張定規ブロックを示す斜視図である。
図5図2の乗場敷居用定規部材における定規部材本体及び接続具を示す拡大斜視図である。
図6図5の拡張定規ブロックがベース定規ブロックから外れた状態を示す拡大斜視図である。
図7図6のベース定規ブロックの端部を示す拡大斜視図である。
図8図2の乗場敷居用定規部材における連結具を示す拡大斜視図である。
図9図8の連結具が定規部材本体から外れた状態を示す分解斜視図である。
図10図2の接続具を示す斜視図である。
図11図10の接続具が定規部材本体に取り付けられた状態を示す拡大斜視図である。
図12図2のサポート取付具がサポート部材を揚重ビームに取り付けている状態を示す拡大側面図である。
図13図12のサポート取付具を示す拡大斜視図である。
図14図2の定規取付具を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターの据付用型板装置が昇降路の頂部に設置されている状態を示す縦断面図である。図において、建物101には、昇降路102が設けられている。建物101における各階の乗場には、乗場出入口103がそれぞれ設けられている。各階では、乗場出入口103を通して昇降路102の空間が乗場に開放されている。各階における乗場出入口103の間口方向は、昇降路102の幅方向と平行な方向である。
【0012】
昇降路102の頂部には、固定部材としての複数の揚重ビーム104が固定されている。各揚重ビーム104は、水平かつ互いに平行に配置されている。本実施の形態では、各揚重ビーム104が昇降路102の幅方向に沿って配置されている。また、本実施の形態では、2本の揚重ビーム104が昇降路102の奥行き方向において互いに離して配置されている。昇降路102の奥行き方向は、昇降路102の幅方向に直交する水平な方向である。本実施の形態では、H形鋼が揚重ビーム104として用いられている。
【0013】
エレベーターを昇降路102に据え付けるときには、昇降路102に設置される対象物の位置決めを行うために、据付用型板装置1が複数の揚重ビーム104に取り付けられる。本実施の形態では、各階の乗場出入口103の下部にそれぞれ設置される不図示の乗場敷居と、昇降路102の幅方向において互いに対向して設置される不図示の一対のかごガイドレールとが位置決めの対象物となっている。据付用型板装置1は、各揚重ビーム104に取り付けられることにより、昇降路102の頂部に配置される。
【0014】
据付用型板装置1には、おもり2を個別に吊り下げる複数の下げ振り線3が接続される。これにより、各下げ振り線3は、据付用型板装置1から鉛直方向に沿って昇降路102に張られる。下げ振り線3としては、例えばピアノ線が用いられる。昇降路102を上から見たときの各下げ振り線3の位置は、昇降路102において各対象物の位置決めの基準となる位置に個別に設定される。これにより、各下げ振り線3は、各対象物の位置決めの基準となる。
【0015】
本実施の形態では、複数の下げ振り線3のうち、乗場敷居の位置決めの基準となる一対の下げ振り線3が一対の乗場敷居用下げ振り線3aとして昇降路102に張られる。また、本実施の形態では、複数の下げ振り線3のうち、一対のかごガイドレールの位置決めの基準となる一対の下げ振り線3が一対のかごレール用下げ振り線3bとして昇降路102に張られる。
【0016】
図2は、図1の据付用型板装置1を示す斜視図である。据付用型板装置1は、複数のサポート部材4と、複数の定規部材5と、複数のサポート取付具6と、複数の定規取付具7とを有している。
【0017】
各サポート部材4は、複数の揚重ビーム104に跨って各揚重ビーム104に載せられている。本実施の形態では、2本のサポート部材4が2本の揚重ビーム104に跨って各揚重ビーム104に載せられている。各サポート部材4は、昇降路102の奥行き方向に沿って配置されている。各サポート部材4は、昇降路102の幅方向において互いに離して配置されている。各サポート部材4は、各揚重ビーム104に複数のサポート取付具6によって取り付けられている。
【0018】
各定規部材5は、2本のサポート部材4に跨って各サポート部材4に載せられている。各定規部材5は、昇降路102の幅方向に沿って配置されている。複数の定規部材5は、昇降路102の奥行き方向において互いに離して配置されている。各定規部材5は、各サポート部材4に複数の定規取付具7によって取り付けられている。
【0019】
本実施の形態では、2本の定規部材5が各サポート部材4に取り付けられている。また、本実施の形態では、2本の定規部材5のうち、一方の定規部材5が乗場敷居用定規部材5aとされ、他方の定規部材5がかごレール用定規部材5bとされている。本実施の形態では、昇降路102を上から見たとき、乗場敷居用定規部材5aがかごレール用定規部材5bよりも乗場出入口103に近い位置に配置されている。また、本実施の形態では、一対の乗場敷居用下げ振り線3aが乗場敷居用定規部材5aに接続され、一対のかごレール用下げ振り線3bがかごレール用定規部材5bに接続される。
【0020】
各定規部材5は、定規部材本体51と、複数の連結具52と、一対の接続具53とを有している。複数の連結具52及び一対の接続具53は、定規部材本体51に取り付けられている。
【0021】
定規部材本体51は、複数の定規ブロック54を有している。複数の定規ブロック54は、定規部材5の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結されている。各定規ブロック54は、定規部材5の長手方向に沿って配置されている。定規部材本体51の長さは、定規ブロック54の数の調整によって調整可能になっている。
【0022】
各定規部材5では、複数の定規ブロック54のうち、1つの定規ブロック54がベース定規ブロック54aとなっており、ベース定規ブロック54a以外の定規ブロック54が拡張定規ブロック54bとなっている。ベース定規ブロック54aの長さは、拡張定規ブロック54bの長さよりも長くなっている。各拡張定規ブロック54bの長さは、互いに同じである。定規部材本体51の長さは、拡張定規ブロック54bの数の調整によって調整される。
【0023】
本実施の形態では、乗場敷居用定規部材5aの定規部材本体51の長さは、かごレール用定規部材5bの定規部材本体51の長さよりも短くなっている。
【0024】
乗場敷居用定規部材5aの定規部材本体51では、ベース定規ブロック54aの両端部に拡張定規ブロック54bが1つずつ連結されている。これにより、乗場敷居用定規部材5aの定規部材本体51では、3つの定規ブロック54が連続して連結されている。
【0025】
一方、かごレール用定規部材5bの定規部材本体51では、ベース定規ブロック54aの両端部に拡張定規ブロック54bが2つずつ連続して連結されている。これにより、かごレール用定規部材5bの定規部材本体51では、5つの定規ブロック54が連続して連結されている。
【0026】
各連結具52は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54を連結する。各連結具52は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界を覆った状態で定規部材本体51に取り付けられている。
【0027】
一対の接続具53は、定規部材本体51の両端部に締結ボルト530によって個別に取り付けられている。従って、一対の接続具53のうち、一方の接続具53は、定規部材本体51の一端部に位置する拡張定規ブロック54bに取り付けられている。また、一対の接続具53のうち、他方の接続具53は、定規部材本体51の他端部に位置する拡張定規ブロック54bに取り付けられている。各接続具53には、下げ振り線3が個別に接続される。なお、ベース定規ブロック54aが定規部材本体51の端部に位置している場合、接続具53は、ベース定規ブロック54aに取り付けられる。
【0028】
乗場敷居用定規部材5aでは、一対の乗場敷居用下げ振り線3aが一対の接続具53に個別に接続される。かごレール用定規部材5bでは、一対のかごレール用下げ振り線3bが一対の接続具53に個別に接続される。
【0029】
図3は、図2の各定規部材5に含まれるベース定規ブロック54aを示す斜視図である。図4は、図2の各定規部材5に含まれる拡張定規ブロック54bを示す斜視図である。ベース定規ブロック54a及び拡張定規ブロック54bのそれぞれ、即ち各定規ブロック54は、背板部541と、一対の側板部542とを有している。
【0030】
背板部541及び一対の側板部542のそれぞれは、定規部材5の長手方向に沿って配置されている。側板部542は、背板部541の両縁部に個別に設けられている。一対の側板部542は、背板部541の幅方向において空間を介して互いに対向している。これにより、定規部材5の長手方向に直交する平面における定規ブロック54の断面形状は、背板部541及び一対の側板部542によってC字状となっている。各定規ブロック54では、定規部材5の長手方向に沿った開放部が一対の側板部542の縁部の間に形成されている。各定規ブロック54は、背板部541を上方に向け、定規グロック54の開放部を下方に向けて配置される。各定規ブロック54の幅方向は背板部541の幅方向と一致しており、各定規ブロック54の厚さ方向は背板部541の厚さ方向と一致している。
【0031】
各定規ブロック54の両端部では、接続具用取付穴56が背板部541に設けられており、連結用取付穴57が一対の側板部542のそれぞれに設けられている。接続具用取付穴56は、背板部541の厚さ方向に沿って背板部541を貫通する貫通穴である。連結用取付穴57は、側板部542の厚さ方向に沿って側板部542を貫通する貫通穴である。本実施の形態では、連結用取付穴57がねじ穴となっている。
【0032】
図5は、図2の乗場敷居用定規部材5aにおける定規部材本体51及び接続具53を示す拡大斜視図である。図6は、図5の拡張定規ブロック54bがベース定規ブロック54aから外れた状態を示す拡大斜視図である。図7は、図6のベース定規ブロック54aの端部を示す拡大斜視図である。
【0033】
ここで、かごレール用定規部材5bの構成と乗場敷居用定規部材5aの構成との違いは、拡張定規ブロック54bの数が異なっていることのみである。従って、乗場敷居用定規部材5a及びかごレール用定規部材5bのそれぞれに共通する構成については、定規部材5の構成として説明する。また、ベース定規ブロック54aの長さが拡張定規ブロック54bの長さよりも長いことを除き、ベース定規ブロック54aの構成は拡張定規ブロック54bの構成と同様である。従って、以後、ベース定規ブロック54aと拡張定規ブロック54bとを区別して説明する必要がある場合を除き、ベース定規ブロック54a及び拡張定規ブロック54bをいずれも定規ブロック54として説明する。
【0034】
各定規部材5において、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界では、図5に示すように、2つの定規ブロック54の端面同士が接触している。即ち、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界では、2つの定規ブロック54のそれぞれにおける背板部541の端面同士が接触し、2つの定規ブロック54のそれぞれにおける側板部542の端面同士が接触している。これにより、各定規部材5では、複数の定規ブロック54が直線上に配置される。
【0035】
各定規部材5において、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界には、複数の嵌合構造部58が設けられている。各嵌合構造部58は、図6に示すように、突起部581と、窪み部582とを有している。突起部581は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54のうち、一方の定規ブロック54から突出している。窪み部582は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54のうち、他方の定規ブロック54に形成されている。2つの定規ブロック54が互いに連結されている状態では、各嵌合構造部58において、突起部581が窪み部582に嵌っている。
【0036】
嵌合構造部58は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54のそれぞれにおける背板部541同士の境界と、互いに隣り合う2つの定規ブロック54のそれぞれにおける側板部542同士の境界とのそれぞれに設けられている。
【0037】
ここで、定規部材本体51において、定規ブロック54の幅方向をX方向とし、定規ブロック54の厚さ方向をY方向とする。定規部材5の長手方向は、X方向及びY方向のいずれにも直交するZ方向となる。この場合、2つの定規ブロック54が互いに連結されている状態では、背板部541同士の境界に設けられた嵌合構造部58によってX方向における2つの定規ブロック54同士の位置ずれが防止される。また、2つの定規ブロック54が互いに連結されている状態では、側板部542同士の境界に設けられた嵌合構造部58によってY方向における2つの定規ブロック54同士の位置ずれが防止される。
【0038】
図8は、図2の乗場敷居用定規部材5aにおける連結具52を示す拡大斜視図である。図9は、図8の連結具52が定規部材本体51から外れた状態を示す分解斜視図である。各連結具52の構成は、乗場敷居用定規部材5a及びかごレール用定規部材5bのそれぞれにおいて同様である。各連結具52は、連結具本体521と、第1締結ボルト522と、第2締結ボルト523とを有している。
【0039】
連結具本体521は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界を跨って配置される。連結具本体521は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界を覆った状態で定規部材本体51に嵌っている。連結具本体521が定規部材本体51に嵌っている状態では、連結具本体521の長手方向が定規部材5の長手方向と一致している。
【0040】
連結具本体521は、第1重ね板部521aと、一対の第2重ね板部521bとを有している。第1重ね板部521aは、連結具本体521の長手方向に沿った板状部である。第2重ね板部521bは、第1重ね板部521aの両縁部に個別に設けられている。一対の第2重ね板部521bは、第1重ね板部521aの幅方向において互いに対向している。これにより、連結具本体521の長手方向に直交する平面における連結具本体521の断面形状は、第1重ね板部521a及び一対の第2重ね板部521bによってU字状となっている。本実施の形態では、一枚の原料板を曲げて連結具本体521が形成されている。
【0041】
連結具本体521では、第1通し穴524及び第2通し穴525が一対の第2重ね板部521bのそれぞれに設けられている。第1通し穴524及び第2通し穴525のそれぞれは、第2重ね板部521bを貫通する貫通穴である。
【0042】
第1通し穴524は、連結具本体521の長手方向の一端部に設けられている。第2通し穴525は、連結具本体521の長手方向の他端部に設けられている。連結具本体521が2つの定規ブロック54の境界を覆って定規部材本体51に嵌った状態では、一方の定規ブロック54の連結用取付穴57に第1通し穴524が重なり、他方の定規ブロック54の連結用取付穴57に第2通し穴525が重なる。
【0043】
第1締結ボルト522は、2つの定規ブロック54のうち一方の定規ブロック54に連結具本体521を締結する第1ブロック締結部材である。連結具本体521は、第1通し穴524に通された第1締結ボルト522が一方の定規ブロック54の連結用取付穴57にねじ込まれることにより、一方の定規ブロック54に締結されている。本実施の形態では、連結具本体521に設けられた2つの第1通し穴524のいずれかに通された第1締結ボルト522のみによって連結具本体521が一方の定規ブロック54に締結されている。
【0044】
第2締結ボルト523は、2つの定規ブロック54のうち他方の定規ブロック54に連結具本体521を締結する第2ブロック締結部材である。連結具本体521は、第2通し穴525に通された第2締結ボルト523が他方の定規ブロック54の連結用取付穴57にねじ込まれることにより、他方の定規ブロック54に締結されている。本実施の形態では、連結具本体521に設けられた2つの第2通し穴525のいずれかに通された第2締結ボルト523のみによって連結具本体521が他方の定規ブロック54に締結されている。
【0045】
2つの定規ブロック54が連結具52によって互いに連結されている状態では、Z方向において2つの定規ブロック54が互いに離れることが防止される。これにより、各嵌合構造部58では、突起部581が窪み部582に嵌った状態が維持される。
【0046】
図10は、図2の接続具53を示す斜視図である。図11は、図10の接続具53が定規部材本体51に取り付けられた状態を示す拡大斜視図である。なお、図11では、接続具53の一部が省略されている。各接続具53は、突出部材531と、接続具本体532とを有している。
【0047】
突出部材531は、定規部材5の長手方向に沿って配置される板状部材である。突出部材531は、定規部材5の長手方向へ定規部材本体51から突出した状態で定規ブロック54に着脱可能に取り付けられている。本実施の形態では、突出部材531が拡張定規ブロック54bに取り付けられている。突出部材531の一部は、定規部材本体51の端部に位置する定規ブロック54の内側に挿入されている。突出部材531の残りの部分は、定規部材本体51の端部に位置する定規ブロック54から突出している。
【0048】
突出部材531には、図10に示すように、ねじ穴533と、複数の調整穴534とが設けられている。ねじ穴533は、突出部材531のうち、定規ブロック54の内側に挿入される部分に設けられている。複数の調整穴534は、突出部材531のうち、定規ブロック54から突出する部分に設けられている。
【0049】
各調整穴534は、突出部材531を貫通する貫通穴である。複数の調整穴534は、定規部材5の長手方向において互いに間隔をあけて突出部材531に設けられている。複数の調整穴534の間隔は、定規部材5の長手方向における拡張定規ブロック54bの寸法よりも短くなっている。本実施の形態では、複数の調整穴534が定規部材本体51の長手方向において等間隔に並んでいる。また、本実施の形態では、互いに隣り合う2つの調整穴534の中心間距離が数十mmに設定されている。
【0050】
突出部材531は、定規ブロック54の接続具用取付穴56に通された締結ボルト530が突出部材531のねじ穴533にねじ込まれることにより、定規部材本体51の端部に位置する定規ブロック54に取り付けられている。これにより、突出部材531は、定規ブロック54に対して着脱可能になっている。
【0051】
接続具本体532は、突出部材531に着脱可能に取り付けられている。接続具本体532は、複数の調整穴534のいずれかに選択的に配置された状態で突出部材531に取り付けられている。突出部材531に対する接続具本体532の位置は、複数の調整穴534のうち、接続具本体532が配置される調整穴534の変更によって調整される。定規部材本体51の端部から接続具本体532までの距離は、突出部材531に対する接続具本体532の位置の調整によって調整される。
【0052】
下げ振り線3は、接続具本体532に接続される。接続具53に対する下げ振り線3の接続位置は、突出部材531に対する接続具本体532の位置の調整によって調整される。各定規部材5では、拡張定規ブロック54bの数の調整と、各接続具53における突出部材531に対する接続具本体532の位置の調整とによって、一対の下げ振り線3の間の距離が調整されている。
【0053】
接続具本体532は、図10に示すように、取付ボルト532aと、取付ナット532bと、接続ナット532cとを有している。
【0054】
取付ボルト532aのねじ部は、複数の調整穴534のいずれかに通されている。取付ボルト532aのねじ部には、取付ナット532bがねじ込まれている。取付ボルト532aは、取付ボルト532aの頭部と取付ナット532bとの間で突出部材531が締め付けられることにより、突出部材531に取り付けられている。これにより、接続具本体532は、突出部材531に着脱可能になっている。
【0055】
接続ナット532cは、突出部材531に取り付けられた取付ボルト532aのねじ部にねじ込まれている。本実施の形態では、蝶ナットが接続ナット532cとして用いられている。下げ振り線3は、接続ナット532cを取付ナット532bに締め付けることにより接続具本体532に接続される。
【0056】
各サポート部材4は、図2に示すように、サポート部材本体41と、連結具42とを有している。連結具42は、サポート部材本体41に取り付けられている。
【0057】
サポート部材本体41は、複数のサポートブロック43を有している。複数のサポートブロック43は、サポート部材4の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結されている。各サポートブロック43は、サポート部材4の長手方向に沿って配置されている。サポート部材本体41の長さは、サポートブロック43の数の調整によって調整可能になっている。
【0058】
各サポート部材4では、複数のサポートブロック43のうち、1つのサポートブロック43がベースサポートブロック43aとなっており、ベースサポートブロック43a以外のサポートブロック43が拡張サポートブロック43bとなっている。ベースサポートブロック43aの長さは、拡張サポートブロック43bの長さよりも長くなっている。
【0059】
本実施の形態では、各サポート部材4の長さが互いに同じ長さに設定されている。また、本実施の形態では、各サポート部材4において、1つのベースサポートブロック43aに1つの拡張サポートブロック43bが連結されている。ベースサポートブロック43aの構成はベース定規ブロック54aの構成と同様であり、拡張サポートブロック43bの構成は拡張定規ブロック54bの構成と同様である。各サポート部材4は、サポートブロック43の開放部を下方に向けて配置されている。
【0060】
連結具42は、互いに隣り合う2つのサポートブロック43を連結する。連結具42は、互いに隣り合う2つのサポートブロック43の境界を覆った状態でサポート部材本体41に取り付けられている。サポート部材4における連結具42の構成は、定規部材5における連結具52の構成と同様である。
【0061】
各サポート取付具6は、図2に示すように、サポート部材本体41が揚重ビーム104と交差する位置に配置されている。各サポート取付具6は、サポート部材本体41に着脱可能に取り付けられている。各サポート取付具6は、サポート部材本体41が揚重ビーム104と交差する位置において、揚重ビーム104にサポート部材4を取り付ける。
【0062】
図12は、図2のサポート取付具6がサポート部材4を揚重ビーム104に取り付けている状態を示す拡大側面図である。図13は、図12のサポート取付具6を示す拡大斜視図である。各サポート取付具6は、サポート押さえ部材61と、保持構造体62とを有している。保持構造体62は、サポート部材4にサポート押さえ部材61を保持している。
【0063】
サポート押さえ部材61は、図12に示すように、掛かり部611と、保持部612と、繋ぎ部613とを有している。サポート押さえ部材61の形状は、掛かり部611、保持部612及び繋ぎ部613によってZ字状となっている。サポート押さえ部材61は、1つの原料板を曲げることにより形成されている。
【0064】
サポート押さえ部材61は、H形鋼である揚重ビーム104における上部フランジの下面に掛かり部611を重ねた状態で配置されている。これにより、掛かり部611は、揚重ビーム104の一部をサポート部材4との間で挟んだ状態になっている。即ち、サポート部材4と掛かり部611との間に揚重ビーム104の一部が挟まれた状態でサポート押さえ部材61が配置されている。
【0065】
保持部612は、サポートブロック43の内側に配置されている。また、保持部612は、保持構造体62によってサポートブロック43に保持されている。本実施の形態では、ベースサポートブロック43aに保持部612が保持されている。
【0066】
繋ぎ部613は、サポートブロック43の外側に配置された掛かり部611と、サポートブロック43の内側に配置された保持部612とを互いに繋いでいる。これにより、繋ぎ部613は、掛かり部611からサポートブロック43の開放部を通って保持部612に達している。
【0067】
保持構造体62は、スライド部材621と、サポート締結ボルト622とを有している。
【0068】
スライド部材621は、サポート部材4の長手方向に沿ってスライド可能にサポート部材4に取り付けられている。サポート部材4の長手方向に直交する平面におけるスライド部材621の断面形状は、図13に示すように、C字状となっている。スライド部材621は、サポートブロック43をスライド部材621の内側に通した状態でサポート部材4に取り付けられている。
【0069】
サポート締結ボルト622は、図12に示すように、スライド部材621に取り付けられたサポート締結部材である。サポート締結ボルト622のねじ部は、スライド部材621に設けられたねじ穴にねじ込まれている。スライド部材621に対するサポート締結ボルト622のねじ込み量は、サポート締結ボルト622を回すことにより調整される。サポート押さえ部材61の保持部612は、サポート締結ボルト622によってサポート部材4に押し付けられることによりサポート部材4に保持される。
【0070】
サポート締結ボルト622は、スライド部材621からサポートブロック43の開放部を通ってサポートブロック43の内側に挿入されている。サポート締結ボルト622は、サポートブロック43の内側において保持部612をサポート部材4に押し付けている。
【0071】
保持部612は、弾性変形可能な弾性部である。これにより、保持部612は、板ばねとして機能する。保持部612は、サポート締結ボルト622とサポート部材4との間で弾性変形されている。サポート部材4に押し付けられるときの保持部612の弾性変形量は、スライド部材621に対するサポート締結ボルト622のねじ込み量の調整によって調整される。
【0072】
サポート押さえ部材61は、保持部612がサポート締結ボルト622とサポート部材4との間で弾性変形された状態で、掛かり部611によって揚重ビーム104の一部をサポート部材4に押さえる。これにより、揚重ビーム104の一部は、掛かり部611とサポート部材4との間で把持される。揚重ビーム104の一部が掛かり部611とサポート部材4との間で把持されることにより、サポート部材4は揚重ビーム104に取り付けられている。掛かり部611とサポート部材4との間で揚重ビーム104の一部を把持するときの把持力は、サポート部材4に押し付けられるときの保持部612の弾性変形量の調整によって調整される。
【0073】
各定規取付具7は、図2に示すように、定規部材5がサポート部材4と交差する位置に配置されている。各定規取付具7は、サポート部材本体41に着脱可能に取り付けられている。各定規取付具7は、定規部材5がサポート部材4と交差する位置において、サポート部材4に定規部材5を取り付けている。
【0074】
図14は、図2の定規取付具7を示す拡大斜視図である。各定規取付具7は、サポート取付構造体71と、定規押さえ部材72と、定規結合ボルト73とを有している。
【0075】
サポート取付構造体71は、サポート部材4に着脱可能に取り付けられている。サポート取付構造体71は、取付部材711と、挟み板712と、締結ボルト713とを有している。
【0076】
取付部材711は、サポート部材4に嵌る本体部711aと、本体部711aから互いに逆方向へ突出している一対の受け板部711bとを有している。取付部材711は、本体部711aをサポート部材4に嵌めた状態でサポート部材4に取り付けられる。
【0077】
挟み板712は、サポート部材4のサポートブロック43の内側に配置されている。挟み板712には、ねじ穴が設けられている。挟み板712のねじ穴には、本体部711aに設けられた貫通穴に通された締結ボルト713がねじ込まれている。本体部711aをサポート部材4に嵌めた状態では、挟み板712のねじ穴に締結ボルト713を締め込むことにより、本体部711aと挟み板712との間でサポートブロック43の一部が把持される。本体部711aと挟み板712との間でサポートブロック43の一部が把持されることにより、サポート取付構造体71はサポート部材4に着脱可能に取り付けられる。
【0078】
定規結合ボルト73は、定規押さえ部材72をサポート取付構造体71に取り付ける定規結合部材である。定規押さえ部材72は、定規結合ボルト73によってサポート取付構造体71に締結されている。これにより、定規押さえ部材72は、サポート取付構造体71に着脱可能に取り付けられている。本実施の形態では、定規結合ボルト73として蝶ねじが用いられている。
【0079】
定規押さえ部材72は、取付板部721と、押さえ部722とを有している。押さえ部722は、取付板部721に繋がっている。定規押さえ部材72は、1つの原料板を曲げることにより形成されている。
【0080】
取付板部721は、取付部材711における一方の受け板部711bに取り付けられている。取付板部721には、ねじ穴が設けられている。一対の受け板部711bのそれぞれには、貫通穴が通し穴711cとして設けられている。一方の受け板部711bの通し穴711cに通された定規結合ボルト73が取付板部721のねじ穴に締め込まれることにより、取付板部721は一方の受け板部711bに取り付けられる。これにより、定規押さえ部材72は、サポート取付構造体71に着脱可能に取り付けられる。
【0081】
定規押さえ部材72は、サポート取付構造体71に取り付けられることにより、押さえ部722によって定規部材5をサポート部材4に押さえる。これにより、定規部材5は、サポート部材4に取り付けられる。
【0082】
次に、エレベーターの据付用型板装置1を昇降路102の頂部に配置するときの手順について説明する。据付用型板装置1は、複数の揚重ビーム104に取り付けることにより昇降路102の頂部に配置する。複数の揚重ビーム104に据付用型板装置1を取り付けるときには、まず、複数の揚重ビーム104の間隔に合わせて長さを調整した各サポート部材4を準備する。各サポート部材4の長さは、ベースサポートブロック43aに連結されている拡張サポートブロック43bの数を調整することにより調整する。この後、サポート部材4が複数の揚重ビーム104に跨るようにサポート部材4を各揚重ビーム104に載せる。この後、サポート取付具6によって各サポート部材4を各揚重ビーム104に取り付ける。
【0083】
この後、位置決めの対象物のサイズ及び設置位置に合わせて長さを調整した各定規部材5を準備する。本実施の形態では、乗場敷居のサイズ及び設置位置に合わせて長さを調整した乗場敷居用定規部材5aと、一対のかごガイドレールのサイズ及び設置位置に合わせて長さを調整したかごレール用定規部材5bとを準備する。各定規部材5の長さは、ベース定規ブロック54aに連結されている拡張定規ブロック54bの数を調整することにより調整する。
【0084】
この後、各定規部材5が複数のサポート部材4に跨るように各定規部材5を各サポート部材4に載せる。この後、定規取付具7によって各定規部材5を各サポート部材4に取り付ける。このとき、各対象物の位置決め、即ち乗場敷居及び一対のかごガイドレールのそれぞれの位置決めを行う箇所に合わせて、水平方向における各定規部材5の位置を調整する。
【0085】
この後、おもり2を吊り下げる下げ振り線3を各定規部材5の接続具53にそれぞれ接続する。これにより、乗場敷居用定規部材5aの各接続具53に接続された一対の下げ振り線3が乗場敷居用下げ振り線3aとして昇降路102に鉛直方向に沿って張られる。また、かごレール用定規部材5bの各接続具53に接続された一対の下げ振り線3がかごレール用下げ振り線3bとして昇降路102に鉛直方向に沿って張られる。このとき、一対の乗場敷居用下げ振り線3aの間の距離を調整する必要がある場合、乗場敷居用定規部材5aの接続具53において、突出部材531に対する接続具本体532の位置を調整する。また、一対のかごレール用下げ振り線3bの間の距離を調整する必要がある場合、かごレール用定規部材5bの接続具53において、突出部材531に対する接続具本体532の位置を調整する。このようにして、据付用型板装置1を昇降路102の頂部に配置する。
【0086】
このようなエレベーターの据付用型板装置1では、各定規部材5の定規部材本体51が複数の定規ブロック54を有している。複数の定規ブロック54は、定規部材5の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結されている。定規部材本体51の長さは、定規ブロック54の数の調整によって調整可能になっている。各定規部材5において、定規部材本体51の一端部に位置する定規ブロック54には一方の接続具53が取り付けられており、定規部材本体51の他端部に位置する定規ブロック54には他方の接続具53が取り付けられている。このため、定規部材本体51の長さを調整するために定規ブロック54同士を重ねてスライドさせる必要がなくなる。これにより、定規部材本体51において定規ブロック54同士の重なり部分をなくすことができる。従って、定規部材本体51の軽量化を図ることができ、定規部材5の軽量化を図ることができる。これにより、定規部材5の取り扱いを容易にすることができる。
【0087】
さらに、定規ブロック54の数の調整によって定規部材5の長さを調整することができるため、例えば、別の種類又は別のサイズのエレベーターを据え付けるときに対象物の位置決めを行う場合でも、共通の据付用型板装置1を用いることができる。これにより、エレベーターを据え付ける場合、エレベーターの種類、サイズごとに互いに異なる複数種類の据付用型板装置を準備する必要がなくなる。従って、据付用型板装置1の製造管理及び在庫管理の負担を軽減することができる。
【0088】
また、定規部材5の連結具52は、連結具本体521と、第1締結ボルト522と、第2締結ボルト523とを有している。連結具本体521は、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界を跨って配置される。第1締結ボルト522は、一方の定規ブロック54に連結具本体521を締結する。第2締結ボルト523は、他方の定規ブロック54に連結具本体521を締結する。このため、互いに隣り合う2つの定規ブロック54をより確実に連結することができる。また、2つの定規ブロック54の境界において連結具本体521にならって2つの定規ブロック54を配置することができ、2つの定規ブロック54の境界において定規部材5が折れ曲がることを防止することができる。これにより、定規部材5が直線に沿った状態をより確実に維持することができる。
【0089】
また、各接続具53では、下げ振り線3が接続される接続具本体532が突出部材531に着脱可能に取り付けられている。突出部材531には、複数の貫通穴が複数の調整穴534として定規部材5の長手方向において互いに間隔をあけて設けられている。接続具本体532は、複数の調整穴534のいずれかに選択的に配置された状態で突出部材531に取り付けられている。このため、接続具本体532を通す調整穴534を変更することにより、定規部材5に接続される下げ振り線3の位置の調整を定規部材5の長手方向において行うことができる。従って、複数の調整穴534の間隔を定規ブロック54の寸法よりも短くすることにより、下げ振り線3の位置の調整を定規ブロック54の数の調整よりも細かくかつ容易に行うことができる。
【0090】
また、サポート取付具6では、保持構造体62がサポート押さえ部材61をサポート部材4に保持している。保持構造体62は、サポート部材4にスライド可能に取り付けられたスライド部材621と、スライド部材621に取り付けられたサポート締結ボルト622とを有している。サポート締結ボルト622は、サポート押さえ部材61の保持部612をサポート部材4に押し付けることにより保持部612をサポート部材4に保持する。サポート押さえ部材61は、保持部612がサポート締結ボルト622とサポート部材4との間で弾性変形された状態で、掛かり部611によって揚重ビーム104の一部をサポート部材4に押さえる。このため、サポート押さえ部材61における保持部612の弾性復元力によって、掛かり部611とサポート部材4との間で揚重ビーム104の一部を把持することができる。これにより、揚重ビーム104にサポート部材4を容易に取り付けることができる。また、揚重ビーム104及びサポート部材4に過剰な力が加わることを回避することができるため、揚重ビーム104及びサポート部材4が破損してしまうことを防止することができる。さらに、サポート締結ボルト622に保持部612の弾性復元力が加わった状態を維持することができるため、サポート締結ボルト622が緩むことを抑制することができる。
【0091】
また、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界には、嵌合構造部58が設けられている。嵌合構造部58は、一方の定規ブロック54から突出している突起部581と、他方の定規ブロック54に形成されている窪み部582とを有している。窪み部582には、突起部581が嵌っている。このため、2つの定規ブロック54の境界に沿って一方の定規ブロック54が他方の定規ブロック54に対してずれることを防止することができる。これにより、定規部材5が直線に沿った状態をより確実に維持することができる。
【0092】
また、嵌合構造部58は、2つの定規ブロック54のそれぞれにおける背板部541同士の境界と、2つの定規ブロック54のそれぞれにおける側板部542同士の境界とのそれぞれに設けられている。このため、2つの定規ブロック54の境界に沿った複数の方向への各定規ブロック54のずれを各嵌合構造部58によって防止することができる。これにより、定規部材5が直線に沿った状態をさらに確実に維持することができる。
【0093】
また、定規取付具7は、サポート取付構造体71と、定規押さえ部材72と、定規結合ボルト73とを有している。サポート取付構造体71は、サポート部材4に着脱可能に取り付けられる。定規押さえ部材72は、定規部材本体51をサポート部材4に押さえる。定規結合ボルト73は、定規押さえ部材72をサポート取付構造体71に取り付ける。このため、サポート部材4に定規部材5を容易にかつより確実に取り付けることができる。
【0094】
なお、上記実施の形態では、サポート部材4の数が2本となっており、定規部材5の数が2本となっている。しかし、サポート部材4の数は、3本以上としてもよい。また定規部材5の数も、位置決めの対象物の数に合わせて3本以上としてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、各定規部材5における一対の接続具53のいずれにおいても、突出部材531に複数の調整穴534が設けられることによって、定規部材5に対する下げ振り線3の接続位置が調整可能になっている。しかし、一対の接続具53のうち、一方の接続具53においてのみ、定規部材5に対する下げ振り線3の接続位置を調整可能にしてもよい。また、一対の接続具53のいずれにおいても、定規部材5に対する下げ振り線3の接続位置を調整できないように固定してもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、互いに隣り合う2つの定規ブロック54が連結具52によって連結されている。しかし、連結具52がなくても2つの定規ブロック54同士が連結可能であれば、連結具52はなくてもよい。例えば、各定規ブロック54の一部を永久磁石とし、永久磁石の磁力によって2つの定規ブロック54同士が連結されるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、互いに隣り合う2つの定規ブロック54の境界に嵌合構造部58が設けられている。しかし、嵌合構造部58はなくてもよい。嵌合構造部58がなくても、定規部材5において複数の定規ブロック54を連続して互いに着脱可能に連結することができ、定規ブロック54の数の調整によって定規部材本体51の長さを調整することができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、サポート部材4において複数のサポートブロック43が連続して連結されている。しかし、サポート部材4の構成は、これに限定されない。例えば、継ぎ目がなく長さ調整ができない棒をサポート部材4として用いてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、ベース定規ブロック54aの長さが拡張定規ブロック54bの長さよりも長くなっている。しかし、ベース定規ブロック54aの長さを拡張定規ブロック54bの長さと同じ長さとし、各定規部材5における複数の定規ブロック54の長さをすべて同じ長さとしてもよい。このようにすれば、各定規ブロック54の長さを統一することができ、定規ブロック54の製造を容易にすることができる。
【0100】
上記実施の形態では、定規部材5において各拡張定規ブロック54bの長さがすべて同じ長さとなっている。しかし、定規部材5における各拡張定規ブロック54bの長さを互いに異なる長さとしてもよい。このようにすれば、各拡張定規ブロック54bの長さの組み合わせの調整によって、定規部材本体51の長さの調整をさらに細かく行うことができる。
【0101】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0102】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
固定部材に取り付けられるサポート部材と、
前記サポート部材に取り付けられる定規部材と
を備え、
前記定規部材は、定規部材本体と、前記定規部材本体にそれぞれ取り付けられており、昇降路に設置される対象物の位置決めの基準となる一対の下げ振り線が個別に接続される一対の接続具とを有しており、
前記定規部材本体は、前記定規部材の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結された複数の定規ブロックを有しており、
前記定規部材本体の長さは、前記定規ブロックの数の調整によって調整可能になっており、
前記一対の接続具のうち、一方の接続具は、前記定規部材本体の一端部に位置する前記定規ブロックに取り付けられており、
前記一対の接続具のうち、他方の接続具は、前記定規部材本体の他端部に位置する前記定規ブロックに取り付けられているエレベーターの据付用型板装置。
(付記2)
前記定規部材は、互いに隣り合う2つの前記定規ブロックを連結する連結具を有しており、
前記連結具は、前記2つの定規ブロックの境界を跨って配置される連結具本体と、前記2つの定規ブロックのうち一方の定規ブロックに前記連結具本体を締結する第1ブロック締結部材と、前記2つの定規ブロックのうち他方の定規ブロックに前記連結具本体を締結する第2ブロック締結部材とを有している付記1に記載のエレベーターの据付用型板装置。
(付記3)
前記一対の接続具の少なくともいずれかは、前記定規部材の長手方向へ前記定規部材本体から突出した状態で前記定規ブロックに着脱可能に取り付けられている突出部材と、前記突出部材に着脱可能に取り付けられており、前記下げ振り線が接続される接続具本体とを有しており、
前記突出部材には、複数の調整穴が前記定規部材の長手方向において互いに間隔をあけて設けられており、
前記接続具本体は、前記複数の調整穴のいずれかに選択的に配置された状態で前記突出部材に取り付けられている付記1又は付記2に記載のエレベーターの据付用型板装置。
(付記4)
前記サポート部材を前記固定部材に取り付けるサポート取付具を備え、
前記サポート取付具は、サポート押さえ部材と、前記サポート押さえ部材を前記サポート部材に保持する保持構造体とを有しており、
前記サポート押さえ部材は、前記固定部材の一部を前記サポート部材との間で挟む掛かり部と、前記サポート部材に保持される保持部とを有しており、
前記保持構造体は、前記サポート部材の長手方向に沿ってスライド可能に前記サポート部材に取り付けられているスライド部材と、前記スライド部材に取り付けられており、前記保持部を前記サポート部材に押し付けることにより前記保持部を前記サポート部材に保持するサポート締結部材とを有しており、
前記保持部は、弾性変形可能な弾性部であり、
前記サポート押さえ部材は、前記保持部が前記サポート締結部材と前記サポート部材との間で弾性変形された状態で、前記掛かり部によって前記固定部材の一部を前記サポート部材に押さえる付記1から付記3までのいずれか一項に記載のエレベーターの据付用型板装置。
(付記5)
互いに隣り合う2つの前記定規ブロックの境界には、嵌合構造部が設けられており、
前記嵌合構造部は、前記2つの定規ブロックのうち、一方の定規ブロックから突出している突起部と、他方の定規ブロックに形成されており、前記突起部が嵌る窪み部とを有している付記1から付記4までのいずれか一項に記載のエレベーターの据付用型板装置。
(付記6)
各前記定規ブロックは、前記定規部材の長手方向に沿って配置された背板部と、前記背板部の両縁部に設けられており、前記背板部の幅方向において互いに対向している一対の側板部とを有しており、
前記嵌合構造部は、前記2つの定規ブロックのそれぞれにおける前記背板部同士の境界と、前記2つの定規ブロックのそれぞれにおける前記側板部同士の境界とのそれぞれに設けられている付記5に記載のエレベーターの据付用型板装置。
(付記7)
前記定規部材を前記サポート部材に取り付ける定規取付具を備え、
前記定規取付具は、前記サポート部材に着脱可能に取り付けられるサポート取付構造体と、前記サポート取付構造体に着脱可能に取り付けられており、前記定規部材本体を前記サポート部材に押さえる定規押さえ部材と、前記定規押さえ部材を前記サポート取付構造体に取り付ける定規結合部材とを有している付記1から付記6までのいずれか一項に記載のエレベーターの据付用型板装置。
【符号の説明】
【0103】
3 下げ振り線、3a 乗場敷居用下げ振り線、3b かごレール用下げ振り線、4 サポート部材、5 定規部材、5a 乗場敷居用定規部材、5b かごレール用定規部材、6 サポート取付具、7 定規取付具、51 定規部材本体、52 連結具、53 接続具、54 定規ブロック、54a ベース定規ブロック、54b 拡張定規ブロック、58 嵌合構造部、61 サポート押さえ部材、62 保持構造体、71 サポート取付構造体、72 定規押さえ部材、73 定規結合ボルト(定規結合部材)、102 昇降路、104 揚重ビーム(固定部材)、521 連結具本体、522 第1締結ボルト(第1ブロック締結部材)、523 第2締結ボルト(第2ブロック締結部材)、531 突出部材、532 接続具本体、534 調整穴、541 背板部、542 側板部、581 突起部、582 窪み部、611 掛かり部、612 保持部、621 スライド部材、622 サポート締結ボルト(サポート締結部材)。
【要約】
【課題】定規部材の軽量化を図ることができるエレベーターの据付用型板装置を提供する。
【解決手段】エレベーターの据付用型板装置1において、定規部材5は、定規部材本体51と、定規部材本体51にそれぞれ取り付けられた一対の接続具53とを有している。一対の接続具53には、一対の下げ振り線3が個別に接続される。定規部材本体51は、定規部材5の長手方向へ連続して互いに着脱可能に連結された複数の定規ブロック54を有している。定規部材本体51の長さは、定規ブロック5の数の調整によって調整可能になっている。一方の接続具53は、定規部材本体51の一端部に位置する定規ブロック54に取り付けられている。他方の接続具53は、定規部材本体51の他端部に位置する定規ブロック54に取り付けられている。
【選択図】図2
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