(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】洪水対策用早期警報方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250124BHJP
G01W 1/10 20060101ALN20250124BHJP
【FI】
G06Q50/26
G01W1/10 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024105429
(22)【出願日】2024-06-28
【審査請求日】2024-07-22
(31)【優先権主張番号】202311455087.7
(32)【優先日】2023-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524248094
【氏名又は名称】長江三峡集団実業発展(北京)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA THREE GORGES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.1 Liuhe Road, Jiang’an District, Wuhan, Hubei, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】呂 振豫
(72)【発明者】
【氏名】董 義陽
(72)【発明者】
【氏名】梁 犁麗
(72)【発明者】
【氏名】徐 志
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲昆▼
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬翔
(72)【発明者】
【氏名】▲濯▼ 然
(72)【発明者】
【氏名】楊 恒
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-210201(JP,A)
【文献】特開2022-098917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01W 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洪水対策用早期警報方法であって、
ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得するステップであって、前記複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定され、前記ターゲット区域は都市区域であり、前記複数の異なる早期警報ノードは、河川水系が都市の境界を出入りする交差点、都市内の雨水井戸、排水管網と溝渠や河川との交差点及び河川水系の本流と支流との合流点を含むステップと、
前記異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算するステップであって、前記影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表すステップと、
前記影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定するステップと、
前記キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定するステップと、
キー早期警報区域内の水位情報を取得するステップと、
前記キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップと、を含み、
前記キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップは、
各早期警報ノードに対応する早期警報区域情報、各早期警報ノードに対応する早期警報区域の早期警報応答レベル及び各早期警報応答レベルに対応する所定の水位閾値を取得するステップと、
前記キー早期警報区域内の水位情報を異なる早期警報応答レベルにそれぞれ対応する所定の水位閾値と比較し、ターゲット早期警報応答レベルを決定するステップと、
前記ターゲット早期警報応答レベル及び各早期警報ノードに対応する早期警報区域の早期警報応答レベルに基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域から少なくとも1つのターゲット早期警報区域を決定するステップと、
前記ターゲット早期警報区域に基づいて前記ターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップと、を含
み、
それぞれのステップをコンピュータが実行することを特徴とする洪水対策用早期警報方法。
【請求項2】
前記異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算するステップは、
前記異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定するステップであって、前記早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成されるステップと、
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップであって、前記ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに洪水が発生するときに前記第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられるステップと、
前記ターゲット確率に基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データを取得するステップは、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得するステップと、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、前記流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、各早期警報ノードの位置情報に基づいて、対応する早期警報区域を決定するステップと、
ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び各早期警報ノードの所定の流出閾値を取得するステップと、
ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成するステップと、を含
み、
それぞれのステップをコンピュータが実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程を取得するステップは、
ターゲット降雨情報を取得するステップと、
前記ターゲット降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに入力し、前記流出シミュレーションモデルがターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程データを出力するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップは、
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び前記第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定するステップと、
所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び前記第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立するステップと、
前記各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記キー早期警報ノードに基づいてキー早期警報区域を決定するステップは、
ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報を取得するステップと、
前記ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報に基づいて、前記キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを決定するステップと、
前記キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアに基づいて、キー早期警報区域を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
洪水対策用早期警報装置であって、
ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得することに用いられ、前記複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定され、前記ターゲット区域は都市区域であり、前記複数の異なる早期警報ノードは、河川水系が都市の境界を出入りする交差点、都市内の雨水井戸、排水管網と溝渠や河川との交差点及び河川水系の本流と支流との合流点を含む第1取得モジュールと、
前記異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算することに用いられ、前記影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す計算モジュールと、
前記影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定することに用いられる第1決定モジュールと、
前記キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定することに用いられる第2決定モジュールと、
キー早期警報区域内の水位情報を取得することに用いられる第2取得モジュールと、
前記キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成することに用いられる第1処理モジュールと、を含み、
前記キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップは、
各早期警報ノードに対応する早期警報区域情報、各早期警報ノードに対応する早期警報区域の早期警報応答レベル及び各早期警報応答レベルに対応する所定の水位閾値を取得するステップと、
前記キー早期警報区域内の水位情報を異なる早期警報応答レベルにそれぞれ対応する所定の水位閾値と比較し、ターゲット早期警報応答レベルを決定するステップと、
前記ターゲット早期警報応答レベル及び各早期警報ノードに対応する早期警報区域の早期警報応答レベルに基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域から少なくとも1つのターゲット早期警報区域を決定するステップと、
前記ターゲット早期警報区域に基づいて前記ターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップと、を含むことを特徴とする洪水対策用早期警報装置。
【請求項9】
前記計算モジュールは、
前記異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定することに用いられ、前記早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成される第1決定サブモジュールと、
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられ、前記ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに洪水が発生するときに前記第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられる第1計算サブモジュールと、
前記ターゲット確率に基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算することに用いられる第2計算サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1取得モジュールは、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得することに用いられる第1取得サブモジュールと、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、前記流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力することに用いられる処理サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
各早期警報ノードの位置情報に基づいて、対応する早期警報区域を決定することに用いられる第3決定モジュールと、
ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び各早期警報ノードの所定の流出閾値を取得することに用いられる第2取得モジュールと、
ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成することに用いられる処理モジュールと、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記第2取得モジュールは、
ターゲット降雨情報を取得することに用いられる第2取得サブモジュールと、
前記ターゲット降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに入力し、前記流出シミュレーションモデルがターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程データを出力することに用いられる処理サブモジュールと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1計算サブモジュールは、
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び前記第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定することに用いられる決定ユニットと、
所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の前記第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び前記第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立することに用いられる確立ユニットと、
前記各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられる計算ユニットと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
コンピュータ機器であって、
メモリと、プロセッサとを含み、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することによって、請求項1~7のいずれか一項に記載の洪水対策用早期警報方法を実行することを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の洪水対策用早期警報方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水早期警報の技術分野に関し、具体的には、洪水対策用早期警報方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動や急速な都市化の進行の影響で、豪雨や洪水による都市の内水氾濫が頻繁になり、被害が深刻化している。都市の豪雨による洪水の正確な早期警報は、水害の損失を軽減する効果的な方法である。
【0003】
関連技術では、一般的に、都市に対して行政区域の区画を行うことによって、都市の降雨予報データを降水-流出・合流モデルに入力してシミュレーションを行い、異なる行政区域の冠水状況を得て、各々の行政区域の冠水状況及び該行政区域の冠水閾値に基づいて、該行政区域に対して洪水早期警報を行うか否かを判断する。しかしながら、都市の排水管網などや河川水系が存在するため、1つの行政区域の洪水過程は他の行政区域の影響を受けることになり、行政区域の冠水状況のシミュレーション結果のみに基づいて洪水早期警報を行い、他の区域の洪水過程の影響を考慮しない場合、洪水対策用早期警報の正確性が低く、的確性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情に鑑みて、本発明は、従来の洪水対策用早期警報スキームの早期警報の正確性が低く、的確性が低いという問題を解決するために、洪水対策用早期警報方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本発明は、ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得するステップであって、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定されるステップと、異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算するステップであって、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表すステップと、影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定するステップと、キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定するステップと、キー早期警報区域内の水位情報を取得するステップと、キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成するステップと、を含む、洪水対策用早期警報方法を提供する。
【0006】
本発明に係る洪水対策用早期警報方法は、異なる早期警報ノード間の接続関係及び各々の早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算し、影響寄与値に基づいて、複数の異なる早期警報ノードからキー早期警報ノードを決定し、キー早期警報ノードに基づいてキー早期警報区域を決定し、キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成し、洪水対策用早期警報を行う際、洪水過程における各早期警報ノードの下位の早期警報ノードへの影響を考慮し、決定されたキー早期警報区域に基づいてターゲット区域に洪水対策用早期警報を行い、洪水対策用早期警報の正確性、的確性及び適時性を効果的に向上させ、関連技術では洪水対策用早期警報を行う際、行政区域の冠水状況のシミュレーション結果のみに基づいて洪水早期警報を行い、他の区域の洪水過程の影響を考慮しないため、洪水対策用早期警報の正確性が低く、的確性が低いという問題を解決する。
【0007】
1つの選択可能な実施形態では、異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算するステップは、異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定するステップであって、早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成されるステップと、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップであって、ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに洪水が発生するときに第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられるステップと、ターゲット確率に基づいて各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算するステップと、を含む。
【0008】
この選択可能な実施形態に係る方法は、各々の早期警報ノードに洪水が発生するときに対応する下位の早期警報ノードに洪水が発生するターゲット確率に基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を決定し、それにより、影響寄与値の計算結果がより正確である。
【0009】
1つの選択可能な実施形態では、ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データを取得するステップは、各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得するステップと、各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力するステップと、を含む。
【0010】
この選択可能な実施形態に係る方法は、事前に構築された流出シミュレーションモデルに基づいて、各早期警報ノードの流出過程のシミュレーションを正確に実現することができる。
【0011】
1つの選択可能な実施形態では、該方法は、各早期警報ノードの位置情報に基づいて、対応する早期警報区域を決定するステップと、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び各早期警報ノードの所定の流出閾値を取得するステップと、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成するステップと、をさらに含む。
【0012】
この選択可能な実施形態に係る方法は、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成し、早期警報区画別の洪水予報を正確に実現する。
【0013】
1つの選択可能な実施形態では、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程を取得するステップは、ターゲット降雨情報を取得するステップと、ターゲット降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに入力し、流出シミュレーションモデルがターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程データを出力するステップと、を含む。
【0014】
この選択可能な実施形態に係る方法は、事前に構築された流出シミュレーションモデルを用いて、ターゲット降雨条件の下でのキー早期警報区域の流出過程を正確にシミュレーションすることができ、後続の洪水早期警報を容易にする。
【0015】
1つの選択可能な実施形態では、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップは、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定するステップと、所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立するステップと、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算するステップと、を含む。
【0016】
この選択可能な実施形態に係る方法は、所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立し、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算し、それによって、ターゲット確率の計算を実現することができる。
【0017】
1つの選択可能な実施形態では、キー早期警報ノードに基づいてキー早期警報区域を決定するステップは、ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報を取得するステップと、ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報に基づいて、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを決定するステップと、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアに基づいてキー早期警報区域を決定するステップと、を含む。
【0018】
この選択可能な実施形態に係る方法は、ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報に基づいて、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを正確に決定し、キー早期警報区域を決定することができる。
【0019】
第2態様では、本発明は、ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得することに用いられ、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定される第1取得モジュールと、異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算することに用いられ、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す計算モジュールと、影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定することに用いられる第1決定モジュールと、キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定することに用いられる第2決定モジュールと、キー早期警報区域内の水位情報を取得することに用いられる第2取得モジュールと、キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成することに用いられる第1処理モジュールと、を含む洪水対策用早期警報装置を提供する。
【0020】
1つの選択可能な実施形態では、計算モジュールは、異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定することに用いられ、早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成される第1決定サブモジュールと、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられ、ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに洪水が発生するときに第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられる第1計算サブモジュールと、ターゲット確率に基づいて各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算することに用いられる第2計算サブモジュールと、を含む。
【0021】
1つの選択可能な実施形態では、第1取得モジュールは、各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得することに用いられる第1取得サブモジュールと、各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力することに用いられる処理サブモジュールと、を含む。
【0022】
1つの選択可能な実施形態では、該装置は、各早期警報ノードの位置情報に基づいて、対応する早期警報区域を決定することに用いられる第3決定モジュールと、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び各早期警報ノードの所定の流出閾値を取得することに用いられる第2取得モジュールと、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成することに用いられる処理モジュールと、をさらに含む。
【0023】
1つの選択可能な実施形態では、第2取得モジュールは、ターゲット降雨情報を取得することに用いられる第2取得サブモジュールと、ターゲット降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに入力し、流出シミュレーションモデルがターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程データを出力することに用いられる処理サブモジュールと、を含む。
【0024】
1つの選択可能な実施形態では、第1計算サブモジュールは、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定することに用いられる決定ユニットと、所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立することに用いられる確立ユニットと、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられる計算ユニットと、を含む。
【0025】
第3態様では、本発明は、メモリと、プロセッサとを含み、メモリとプロセッサは互いに通信可能に接続され、メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、プロセッサはコンピュータ命令を実行することによって、上記第1態様又はそれに対応するいずれか1つの実施形態における洪水対策用早期警報方法を実行するコンピュータ機器を提供する。
【0026】
第4態様では、本発明は、上記第1態様又はそれに対応するいずれか1つの実施形態における洪水対策用早期警報方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づき他の図面を得ることができる。
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係る洪水対策用早期警報方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例における早期警報ノードの位置及び接続関係の模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係る別の洪水対策用早期警報方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例に係るさらに別の洪水対策用早期警報方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例における各早期警報ノードに対応する早期警報区画の分布模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る洪水対策用早期警報装置の構造框図である。
【
図7】本発明の実施例に係るコンピュータ機器のハードウェア構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照して本発明の実施例の技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得る他の実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0030】
関連技術では、一般的に、都市に対して行政区域の区画を行うことによって、都市の降雨予報データを降水-流出・合流モデルに入力してシミュレーションを行い、異なる行政区域の冠水状況を得て、各々の行政区域の冠水状況及び該行政区域の冠水閾値に基づいて、該行政区域に対して洪水早期警報を行うか否かを判断する。しかしながら、都市の排水管網などや河川水系が存在するため、1つの行政区域の洪水過程は他の行政区域の影響を受けることになり、行政区域の冠水状況のシミュレーション結果のみに基づいて洪水早期警報を行い、他の区域の洪水過程の影響を考慮しない場合、洪水対策用早期警報の正確性が低く、的確性が低い。
【0031】
上記事情に鑑みて、本発明の実施例は、プロセッサ実現がターゲット区域の洪水対策用早期警報を実現することに適用できる洪水対策用早期警報方法を提供する。本発明に係る方法は、洪水対策用早期警報を行う際に、洪水過程における各早期警報ノードの下位の早期警報ノードへの影響を考慮し、洪水対策用早期警報の正確性、的確性及び適時性を効果的に向上させ、関連技術では洪水対策用早期警報を行う際、行政区域の冠水状況のシミュレーション結果のみに基づいて洪水早期警報を行い、他の区域の洪水過程の影響を考慮しないため、洪水対策用早期警報の正確性が低く、的確性が低いという問題を解決する。
【0032】
本発明の実施例では、洪水対策用早期警報方法の実施例を提供し、なお、図面のフローチャートに示されるステップは、1組のコンピュータ実行可能命令などのコンピュータシステムにおいて実行されてもよく、そして、フローチャートに論理的順序が示されているが、場合によっては、示される又は説明されるステップをここでの順序とは異なる順序実行してもよい。
【0033】
本実施例では、洪水対策用早期警報方法を提供し、上記プロセッサに適用でき、
図1は本発明の実施例に係る洪水対策用早期警報方法のフローチャートであり、
図1に示すように、該プロセスは、以下のステップを含む。
【0034】
ステップS101:ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得し、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定される。
【0035】
例示的には、ターゲット区域は、洪水対策用早期警報を必要とするいずれかの区域であってもよく、排水管網情報は、排水管網計画データであってもよく、河川水系情報は、ターゲット区域内の河川水系のベクトル情報であってもよく、ここでのベクトル情報とは、一般的に、GISにおいて読み取られる空間データのオープンフォーマット(ESRI Shapefile、shp)ファイルを指し、複数の異なる早期警報ノードは、ターゲット区域の排水管網情報、河川水系情報及び地表面の基本情報に応じて決定される。複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データは、対応する早期警報ノードの履歴降雨条件での流出過程によって決定されてもよい。本願の実施例では、ターゲット区域は、所定の1つの都市区域であってもよく、河川水系が都市の境界を出入りする交差点P1、都市内の雨水井戸P2、排水管網と溝渠や河川との交差点P3、及び河川水系の本流と支流の合流点P4などを早期警報ノードとして決定し、早期警報ノードの位置及び接続関係の模式図は以下の
図2に示されてもよい。
【0036】
ステップS102:異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算し、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す。
【0037】
例示的には、本願の実施例では、1つの早期警報ノードに洪水が発生すると、その下位の早期警報ノードの流出過程に一定の影響を与え、下位の早期警報ノードに洪水が発生することにつながる可能性があり、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を分析することができる。
【0038】
ステップS103:影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定する。
【0039】
例示的には、本願の実施例では、下位の早期警報ノードでの洪水発生への影響寄与量が最も大きい上位の早期警報ノードをキー早期警報ノードとする。
【0040】
ステップS104:キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定する。
【0041】
例示的には、本願の実施例では、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを分析し、該集水エリアをキー早期警報区域として決定することができる。
【0042】
ステップS105:キー早期警報区域内の水位情報を取得する。
【0043】
例示的には、本願の実施例では、キー早期警報区域内の水位情報は、キー区域内の所定の位置に事前に設置された水位監視装置によって収集され、所定の位置は、キー早期警報区域内の洪水が発生しやすい場所の位置であってもよい。
【0044】
ステップS106:キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成する。
【0045】
例示的には、キー早期警報区域内の水位情報を所定の水位閾値と比較し、キー早期警報区域内の水位情報が所定の流出閾値よりも大きい場合、キー区域内に洪水が発生する可能性があると判定でき、対応する洪水早期警報情報を生成し、本願の実施例では、履歴台帳に記録された豪雨洪水過程及びシミュレーション流出閾値に応じて、キー早期警報区画特徴サイトに対応する冠水の水位閾値を決定し、キー区画特徴サイトには豪雨に対応する冠水水位値履歴が設計されている場合、冠水水深閾値として決定し、キー区画特徴サイトには関連履歴に関する閾値がない場合、シミュレーションされたキー区画の出口ノードの流出閾値で逆計算することによって取得し、具体的な計算過程は下記式(1)に示される。
【0046】
式中、Hは所定の豪雨条件でのキー早期警報区域の冠水の水深平均値であり、h
iはキー早期警報区域内の格子点iに対応する標高値を表し、q
k、シミュレーションは、時刻kにおいてシミュレーションされた所定の豪雨条件の下でのキーノードの流出量値を表し、q
排水はノードの排水管網に対応する最大排水能力を表し、hは設計された豪雨条件特徴サイトに対応する冠水の水位閾値を表す。具体的には、各早期警報ノードに基づいて、対応する早期警報区域を決定し、各降雨条件に基づいて、対応する水位閾値を設定し、また、各早期警報区域の早期警報応答レベルを決定し、例えば、上下流の水理関係に応じて、上から下に、河川水系が都市に入る境界点の制御集水エリアを、第1レベル応答早期警報ユニットD1、都市の雨水井戸の制御集水エリアを第2レベルユニットD2、排水管網と河川水系との交差点の制御集水エリアを第3レベルユニットD3、河川水系の本流と支流の制御集水エリアを第4レベル応答早期警報ユニットD4として決定し、異なる水位閾値及びキー早期警報区域の水位情報に基づいて、ターゲット区域内の早期警報区域の洪水対策用早期警報に応答し、例えば、キー早期警報区域の水位がレベル1の水位閾値を超えると、第1レベル応答早期警報ユニットに対して洪水対策用早期警報を行う。
【0047】
本実施例に係る洪水対策用早期警報方法は、異なる早期警報ノード間の接続関係及び各々の早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算し、影響寄与値に基づいて、複数の異なる早期警報ノードからキー早期警報ノードを決定し、キー早期警報ノードに基づいてキー早期警報区域を決定し、キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成し、洪水対策用早期警報を行う際、洪水過程における各早期警報ノードの下位の早期警報ノードへの影響を考慮し、決定されたキー早期警報区域に基づいてターゲット区域に洪水対策用早期警報を行い、洪水対策用早期警報の正確性、的確性及び適時性を効果的に向上させ、関連技術では洪水対策用早期警報を行う際、行政区域の冠水状況のシミュレーション結果のみに基づいて洪水早期警報を行い、他の区域の洪水過程の影響を考慮しないため、洪水対策用早期警報の正確性が低いという問題を解決する。
【0048】
本実施例では、洪水対策用早期警報方法を提供し、上記プロセッサに適用でき、
図3は、本発明の実施例に係る洪水対策用早期警報方法のフローチャートであり、
図3に示すように、該プロセスは以下のステップを含む。
【0049】
ステップS301:ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得し、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定される。詳しくは
図1に示す実施例のステップS101を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0050】
具体的には、上記ステップS301はステップS3011~S3012を含む。
【0051】
ステップS3011:各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得する。
【0052】
例示的には、本願の実施例では、各々の早期警報ノードの履歴降雨情報は、気象水位監視データベースにおける関連データによって取得することができる。
【0053】
ステップS3012:各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力する。
【0054】
例示的には、本願の実施例では、事前に構築された流出シミュレーションモデルは、分布型水文モデル及び都市の降雨-流出シミュレーションモデルを含み、ターゲット区域の履歴降雨過程、気象及び地表面の基本情報を分布型水文モデル(Soil and Water Assessment Tool、SWAT)に出力することで、河川内の早期警報ノードの流出過程をシミュレーションすることができ、ターゲット区域の履歴降雨過程、気象及び地表面の基本情報を都市の降雨-流出シミュレーションモデル(Storm water management model、SWMM)に出力することで、排水管網などの早期警報ノードの流出過程をシミュレーションすることができる。
【0055】
ステップS302:異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算し、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す。詳しくは
図1に示す実施例のステップS102を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0056】
具体的には、上記ステップS302は、ステップS3021~S3022を含む。
【0057】
ステップS3021:異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定し、早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成される。
【0058】
例示的には、異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて、直接接続される2つの早期警報ノードを1つの早期警報ノードペアとして、複数の早期警報ノードペアを得て、1つの早期警報ノードペアは第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードからなり、本願の実施例では、第2早期警報ノードは、第1早期警報の下流側に位置する下位の早期警報ノードであってもよい。
【0059】
ステップS3022:異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算し、ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに洪水が発生するときに第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられる。
【0060】
例示的には、各早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに洪水が発生するときに第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を算出する。
【0061】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記ステップS3022はステップa1~a3を含む。
【0062】
ステップa1:異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定する。
【0063】
例示的には、各早期警報ノードの流出過程に基づいて、各早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定し、本願の実施例では、第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数は、u1で表され、第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数は、u2で表されてもよい。
【0064】
ステップa2:所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立する。
【0065】
例示的には、本願の実施例では、所定の接続関数は、Copula関数であってもよく、Copula関数を用いて各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立し、基本原理は下記式(2)に示される。
【0066】
式中、C
n(u
1,u
2,…,u
n)は、確率変数のn次元同時分布関数であり、変数間の関連構造を表すことに用いられ、u
1,u
2,…,u
nは変数1~nの周辺分布関数であり、流出過程について、一般的に、P-III型分布関数などを選択し、φはアルキメデス生成演算子であり、連続単調減少関数であり、φ(0)=∞、φ(1)=0である。
【0067】
本願の実施例では、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数の同時分布関数を確立するために、二次元同時分布関数として決定することができ、即ち、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数は下記式(3)及び(4)で表されてもよい。
【0068】
式中、φ(1)=0であり、φ
-1はφの逆関数であり、xは流出シーケンス値であり、残りの変数の意味については、上記式(2)を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0069】
ステップa3:各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算する。
【0070】
例示的には、本願の実施例では、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、上流から下流に、水理関係を有する応答早期警報ノードの洪水遭遇確率を順に計算し、その基本原理は下記式(5)及び(6)に示される。
【0071】
式中、xとyはキーノードの流出のシーケンス値であり、x
fとy
fはキーノードの分位数fに対応する特徴流量値であり、P(*,*)は計算確率を表し、F
X(u
x)は、フィッティング周波数曲線に対応するP(x<xf)の累積周波数値を表し、u
xとu
fはそれぞれ上位、下位のノードの流出の周辺分布関数であり、C(*,*)は同時分布関数である。
【0072】
ステップS3023:ターゲット確率に基づいて各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算する。
【0073】
例示的には、本願の実施例では、下流から上流に上位の応答早期警報ノードの洪水過程の下位ノードへの影響寄与値を逆計算し、寄与値の降順で、下位ノードでの洪水形成への影響が大きいキー上位ノードを決定し、影響寄与値の計算過程は下記式(7)に示されてもよい。
【0074】
式中、SS
iは上位の早期警報ノードiの下位の早期警報ノードの洪水形成への寄与値を表し、q
iはシミュレーションによって取得される上位ノードiの流出量のロングシーケンスの平均値であり、Qはシミュレーションによって取得される下位ノードの流出量のロングシーケンスの平均値であり、p
iは、上位の早期警報ノードiとその下位の早期警報ノードの洪水遭遇確率値を表し、ω
1とω
2はそれぞれ上位の早期警報ノードの洪水量及び遭遇確率の下位の洪水への影響寄与重みを表す。
【0075】
ステップS303:影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS103を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0076】
ステップS304:キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0077】
ステップS305:キー早期警報区域内の水位情報を取得する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS105を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0078】
ステップS306:キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS106を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0079】
本実施例では、洪水対策用早期警報方法を提供し、上記プロセッサに適用でき、
図4は本発明の実施例に係る洪水対策用早期警報方法のフローチャートであり、
図4に示すように、該プロセスは、以下のステップを含む。
【0080】
ステップS401:ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得し、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定される。詳しくは
図1に示す実施例のステップS101を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0081】
ステップS402:異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算し、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す。詳しくは
図1に示す実施例のステップS102を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0082】
ステップS403:影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS103を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0083】
ステップS404:キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS104を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0084】
ステップS405:キー早期警報区域内の水位情報を取得する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS105を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0085】
ステップS406:キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成する。詳しくは
図1に示す実施例のステップS106を参照すればよく、ここで重複説明を省略する。
【0086】
ステップS4061:ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報を取得する。
【0087】
例示的には、本願の実施例では、ターゲット区域の都市-流域の基本情報を取得し、都市-流域の基本情報は、高精度数値標高(DEM)情報、気象水文監視データ、地表面の基本データ、都市の排水管網計画データ、河川水系ベクトルデータ及び履歴豪雨洪水の台帳情報などを含み、排水管網、河川水系ベクトル情報及び応答早期警報キーノードの地理位置情報に応じて、都市-流域DEMのプログラミング処理を行い、即ち、排水管網、及び河川水系の水理関係に従って、上流から下流に、応答早期警報キーノードを境界として、順にDEMの標高低減処理を行い、下流の管網、河道のDEM値を上流側よりも小さく確保し、ターゲット区域の数値標高データを得る。
【0088】
ステップS4062:ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報に基づいて、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを決定する。
【0089】
例示的には、本願の実施例では、プログラミング後のDEMデータに基づいて、応答早期警報キーノードの位置情報と組み合わせて、水文分析ツールを用いてキー早期警報ノードの集水エリア範囲を生成する。
【0090】
ステップS4063:キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアに基づいてキー早期警報区域を決定する。本願の実施例では、キー早期警報ノードに対応する集水エリアをキー早期警報区域とする。
【0091】
ステップS407:各早期警報ノードの位置情報に基づいて、対応する早期警報区域を決定する。
【0092】
例示的には、本願の実施例では、プログラミング後のDEMデータに基づいて、応答早期警報キーノードの位置情報と組み合わせて、ARCGIS水文分析ツールを用いて各応答早期警報ノードの集水エリア範囲を生成し、上下流の水力関係に応じて、上から下に、河川水系が都市に入る境界点の制御集水エリアを、第1レベル応答早期警報ユニットD1、都市の雨水井戸の制御集水エリアを第2レベルユニットD2、排水管網と河川水系との交差点の制御集水エリアを第3レベルユニットD3、河川水系の本流と支流の制御集水エリアを第4レベル応答早期警報ユニットD4として決定し、各早期警報ノードに対応する冠水エリアの分布模式図は
図5に示される。
【0093】
ステップS408:ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び各早期警報ノードの所定の流出閾値を取得する。
【0094】
例示的には、本願の実施例では、所定の流出閾値の計算過程は、都市の履歴台帳に記録される様々な豪雨による内水氾濫のレベル基準に対応する降雨過程をスクリーニングし、事前に設計された豪雨過程を、確立された分布型水文モデル及び都市の降雨-流出シミュレーションモデルに入力し、シミュレーションして設計された降雨に対応する各レベルの早期警報ノードの流出閾値を取得してし、同じレベルの応答早期警報ノードの流出閾値の計算原理は下記式(8)に示される。
【0095】
式中、q
1i~q
4iは設計された豪雨条件レベル1~4の応答早期警報ノードiに対応する流出閾値を表し、Q
1i~Q
4iはシミュレーションによって、設計された豪雨条件レベル1~4の応答早期警報ノードiに対応するシミュレーション流出値を表す。
【0096】
いくつかの選択可能な実施形態では、上記ステップS308はステップb1~b2を含む。
【0097】
ステップb1:ターゲット降雨情報を取得する。例示的には、ターゲット降雨過程は、ターゲット区域内のいずれか1つの降雨過程であり、本願の実施例では、該降雨過程は天気予報システムによって予報される降雨過程であってもよい。
【0098】
ステップb2:ターゲット降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに入力し、流出シミュレーションモデルがターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程データを出力する。例示的には、ターゲット降雨過程を流出シミュレーションモデルに入力し、流出シミュレーションモデルは各早期警報ノードの流出過程を出力する。
【0099】
ステップS409:ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程及び対応する早期警報ノードの所定の流出閾値に基づいて、異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する早期警報区域の早期警報情報を生成する。
【0100】
例示的には、本願の実施例では、ターゲット降雨過程における各早期警報ノードに対応する流出過程を対応する所定の流出閾値と比較し、比較結果に基づいて対応するノードに洪水のリスクがあるか否かを判断し、洪水のリスクがあると、該早期警報ノードに対応する早期警報区域の早期警報情報を生成する。
【0101】
本実施例では、洪水対策用早期警報装置をさらに提供し、該装置は、上記実施例及び好ましい実施形態を実現することに用いられ、説明済みの部分については、重複説明を省略する。以下で使用されるように、用語「モジュール」は、所定機能のソフトウェア及び/又はハードウェアの組み合わせを実現することができる。以下の実施例で説明される装置は、好ましくはソフトウェアで実現されるが、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせでの実現も可能であり、構想される。
【0102】
本実施例は、洪水対策用早期警報装置を提供し、
図6に示すように、
ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得することに用いられ、複数の異なる早期警報ノードはターゲット区域の排水管網情報及び河川水系情報によって決定される第1取得モジュール601と、
異なる早期警報ノード間の接続関係及び異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値をそれぞれ計算することに用いられ、影響寄与値は各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードでの洪水形成への寄与量を表す計算モジュール602と、
影響寄与値に応じてキー早期警報ノードを決定することに用いられる第1決定モジュール603と、
キー早期警報ノードに応じてキー早期警報区域を決定することに用いられる第2決定モジュール604と、
キー早期警報区域内の水位情報を取得することに用いられる第2取得モジュール605と、
キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成することに用いられる第1処理モジュール606と、を含む。
【0103】
いくつかの選択可能な実施形態では、計算モジュール602は、異なる早期警報ノード間の接続関係に基づいて少なくとも1つの早期警報ノードペアを決定することに用いられ、早期警報ノードペアは直接接続される第1早期警報ノード及び第2早期警報ノードの両方から構成される第1決定サブモジュールと、異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられ、ターゲット確率は、早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに洪水が発生するときに第2早期警報ノードに洪水が発生する確率を表すことに用いられる第1計算サブモジュールと、ターゲット確率に基づいて各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算することに用いられる第2計算サブモジュールと、を含む。
【0104】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1取得モジュール601は、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を取得することに用いられる第1取得サブモジュールと、
各々の早期警報ノードの履歴降雨情報を、事前に構築された流出シミュレーションモデルに順に入力し、流出シミュレーションモデルが対応する早期警報ノードの流出過程データを出力することに用いられる処理サブモジュールと、を含む。
【0105】
いくつかの選択可能な実施形態では、該装置は、
キー早期警報区域の水位過程を取得することに用いられる第3取得モジュールと、
水位過程を所定の水位閾値と比較し、比較結果を得ることに用いられる比較モジュールと、
比較結果に基づいてターゲット区域の警報情報を生成することに用いられる第2処理モジュールと、をさらに含む。
【0106】
いくつかの選択可能な実施形態では、第2取得モジュール605は、
キー早期警報区域の水位過程を取得することに用いられる第2取得サブモジュールと、
水位過程を所定の水位閾値と比較し、比較結果を得ることに用いられる比較サブモジュールと、
比較結果に基づいてターゲット区域の警報情報を生成することに用いられる第2処理モジュールと、を含む。
【0107】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1計算サブモジュールは、
異なる早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数及び第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数を決定することに用いられる決定ユニットと、
所定の接続関数及び各々の早期警報ノードペア中の第1早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数と第2早期警報ノードに対応する流出過程の周辺分布関数に基づいて、各々の早期警報ノードペアの同時分布関数を確立することに用いられる確立ユニットと、
各々の早期警報ノードペアの同時分布関数に基づいて、対応する早期警報ノードペアのターゲット確率を計算することに用いられる計算ユニットと、を含む。
【0108】
いくつかの選択可能な実施形態では、第2決定モジュール604は、
ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報を取得することに用いられる第2取得サブモジュールと、
ターゲット区域の数値標高データ及びキー早期警報ノードの位置情報に基づいて、キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアを決定することに用いられる第2決定サブモジュールと、
キー早期警報ノードに洪水が発生するときの対応する集水エリアに基づいてキー早期警報区域を決定することに用いられる第3決定サブモジュールと、を含む。
【0109】
上記各モジュール及びユニットのさらなる機能説明については、上記対応する実施例と同じであり、ここで重複説明を省略する。
【0110】
本実施例における洪水対策用早期警報装置は、機能ユニットの形態で提示され、ここでのユニットとは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)回路、1つ又は複数のソフトウェア又は固定プログラムを実行するプロセッサ及びメモリ、及び/又は上記機能を提供できる他のデバイスを指す。
【0111】
本発明の実施例は、コンピュータ機器をさらに提供し、上記
図6に示す洪水対策用早期警報装置を有する。
【0112】
図7に参照されるように、
図7は、本発明の選択可能な実施例に係るコンピュータ機器の構造模式図であり、
図7に示すように、該コンピュータ機器は、1つ又は複数のプロセッサ10と、メモリ20と、高速インターフェース及び低速インターフェースを含み、各部材を接続するためのインターフェースと、を含む。各部材は、異なるバスを介して互いに通信可能に接続され、共通のマザーボードに取り付けられるか又は必要に応じて他の方法で取り付けられてもよい。プロセッサは、コンピュータ機器内で実行される命令を処理することができ、外部入力/出力装置(例えば、インターフェースに結合された表示機器)にGUIのグラフィック情報を表示するための、メモリ又はメモリ上に記憶される命令を含む。いくつかの選択可能な実施形態では、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを複数のメモリ及び複数のメモリとともに使用することができる。同様に、複数のコンピュータ機器を接続してもよく、各機器は、部分的に必要な操作(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバのセット、又はマルチプロセッサシステムとして)を提供する。
図7では、1つのプロセッサ10を例とする。
【0113】
プロセッサ10は、中央処理装置、ネットワークプロセッサ又はこれらの組み合わせであってもよい。プロセッサ10はハードウェアチップをさらに含んでもよい。上記ハードウェアチップは、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス又はこれらの組み合わせであってもよい。上記プログラマブルロジックデバイスはコンプレックスプログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルロジックゲートアレイ、汎用アレイロジック又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0114】
前記メモリ20は、少なくとも1つのプロセッサ10に実行可能な命令が記憶されていることで、上記実施例に示す方法を前記少なくとも1つのプロセッサ10に実行及び実現させる。
【0115】
メモリ20は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶するためのプログラム記憶領域と、コンピュータ機器の使用に応じて作成されるデータなどを記憶するためのデータ記憶領域とを含んでもよい。また、メモリ20は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的ソリッドステート記憶デバイスなどの非一時的メモリをさらに含んでもよい。いくつかの選択可能な実施形態では、メモリ20は選択可能にプロセッサ10に対して遠隔で設置されるメモリを含み、これらのリモートメモリはネットワークを介して該コンピュータ機器に接続され得る。上記ネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク及びその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0116】
メモリ20はランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含んでもよく、メモリはフラッシュメモリメモリ、ハードウェア又はソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリを含んでもよく、メモリ20は上記種類のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0117】
該コンピュータ機器は、該コンピュータ機器が他の機器又は通信ネットワークと通信するための通信インターフェース30をさらに含む。
【0118】
本発明の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、上記本発明の実施例に係る方法はハードウェア、ファームウェアにおいて実現されてもよいし、記憶媒体に記録可能に実現されてもよいし、ネットワークによってダウンロードされた、元々リモート記憶媒体又は非一時的機械読み取り可能な記憶媒体に記憶されるがローカル記憶媒体に記憶されるコンピュータコードとして実現されてもよく、それによって、ここで説明される方法は汎用コンピュータ、専用プロセッサ又はプログラマブル又は専用ハードウェアを用いた記憶媒体に記憶されるようなソフトウェアによって処理されてもよい。記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリメモリ、ハードウェア又はソリッドステートドライブなどであってもよく、さらに、記憶媒体は、上記種類のメモリの組み合わせをさらに含んでもよい。理解できる点として、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサコントローラ又はプログラマブルハードウェアは、ソフトウェア又はコンピュータコードを記憶又は受信可能な記憶コンポーネントを含み、ソフトウェア又はコンピュータコードがコンピュータ、プロセッサ又はハードウェアによりアクセスされて実行されると、上記実施例に示す方法を実現する。
【0119】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに種々の変更や変形を行うことができ、このような変更や変形はすべて添付特許請求の範囲に定められる範囲に属する。
【要約】 (修正有)
【課題】洪水対策用早期警報を行う際に、洪水過程における各早期警報ノードの下位の早期警報ノードへの影響を考慮し、洪水対策用早期警報の正確性、的確性及び適時性を効果的に向上させる洪水対策用早期警報方法、装置、コンピュータ機器及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、ターゲット区域内の複数の異なる早期警報ノードにそれぞれ対応する流出過程データ及び異なる早期警報ノード間の接続関係を取得し、異なる早期警報ノード間の接続関係及び各々の早期警報ノードの流出過程データに基づいて、各早期警報ノードに洪水が発生するときの下位の早期警報ノードへの影響寄与値を計算し、影響寄与値に基づいて、複数の異なる早期警報ノードからキー早期警報ノードを決定し、キー早期警報ノードに基づいてキー早期警報区域を決定し、キー早期警報区域内の水位情報及び所定の水位閾値に基づいてターゲット区域の洪水早期警報情報を生成する。
【選択図】
図1