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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-23
(45)【発行日】2025-01-31
(54)【発明の名称】消火スティック用エンドキャップ
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/76 20060101AFI20250124BHJP
   A62C 13/22 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A62C13/76 Z
A62C13/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024190791
(22)【出願日】2024-10-30
【審査請求日】2024-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599053713
【氏名又は名称】株式会社ホワイトハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 文夫
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0371862(KR,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0103710(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111686388(CN,A)
【文献】特開2015-123277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
A62D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火スティック(1)のハンドル(5)の中空円筒部(15)に脱着可能に取り付けられるエンドキャップ本体(9)と、
前記エンドキャップ本体に設けられた照明部(66)と、
を備え
前記消火スティックは、スティック本体(3)の先端部に設置された着火剤(7)に側薬(10)を擦って点火することにより前記スティック本体の内部に封入された消火薬剤が噴射するものであり、
前記側薬は、前記エンドキャップ本体において前記ハンドルの前記中空円筒部に取り付けられる側の端部である先端部に設けられている消火スティック用エンドキャップ。
【請求項2】
前記エンドキャップ本体において前記ハンドルの前記中空円筒部に取り付けられる側の端部を先端部とすると、前記照明部は、前記エンドキャップ本体の先端部とは軸方向の反対側に設けられている請求項1に記載の消火スティック用エンドキャップ。
【請求項3】
前記照明部は、
照明ハウジング(67)と、
前記照明ハウジングの内部に保持された一つ以上のLED(69)と、
前記LEDに電力を供給する電池(68)と、
を有する請求項1または2に記載の消火スティック用エンドキャップ。
【請求項4】
前記エンドキャップ本体は、
前記ハンドルに取り付けられたとき、前記中空円筒部の開口(151)の外に露出し、使用者が把持可能な把持部(91)と、
前記中空円筒部の内壁(152)に外壁が嵌合する嵌合部(92)と、
前記中空円筒部の穴底(153)に対向し、頂部に前記側薬が設置された突出部(93)と、
を有する請求項に記載の消火スティック用エンドキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火スティックに用いられるエンドキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般の粉末消火器にLEDが設けられたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、粉末消火器のレバーを固定しているロックピン近くにLEDが設けられた構成が開示されている。LEDによりロックピンの領域及び使用者の手が照らされることで、使用者は、ロックピンを容易に即座に見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2007-508885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術の適用対象は、レバーを握って粉末消火剤を噴射する従来の一般消火器に限られる。また、特許文献1のLEDは、ロックピンの位置を示す表示装置に過ぎず、暗所での避難や消火作業時に周囲を照明することを目的としていない。
【0006】
従来の一般消火器に比べ、消火スティックは、先端から消火薬剤を噴射する小型軽量の棒状消火器具であり、火災発生直後(例えば2分以内)の初期消火に適している。しかし、暗所での避難や消火作業を支援する照明機能を備えた補助具は従来知られていない。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、暗所での避難や消火作業を支援する照明機能を備えた消火スティック用エンドキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による消火スティック用エンドキャップは、消火スティック(1)のハンドル(5)の中空円筒部(15)に脱着可能に取り付けられるエンドキャップ本体(9)と、エンドキャップ本体に設けられた照明部(66)と、を備える。
【0009】
例えば住宅で火災が発生し、電源ブレーカーの遮断等によって屋内が暗い環境で、使用者である住人は、まずエンドキャップの照明部を点灯させることで周囲の状況を把握し、避難や消火作業を行うことができる。小型軽量な消火スティックは使用者が片手で持つことができ、懐中電灯のような照明具として使用可能である。
【0010】
火スティックは、スティック本体(3)の先端部に設置された着火剤(7)に側薬(10)を擦って点火することによりスティック本体の内部に封入された消火薬剤が噴射するものである。側薬は、エンドキャップ本体においてハンドルの中空円筒部に取り付けられる側の端部である先端部に設けられている。
【0011】
ハンドルから取り外したエンドキャップで着火剤に点火して消火薬剤の噴射を開始した後、使用者は、片手で消火スティックを持ち、もう片方の手に持ったエンドキャップの照明部を前方に向けて照らしながら、噴射先の狙いを定めることができる。したがって、消火スティックでの初期消火作業を効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】保護キャップ及び第1実施形態のエンドキャップが取り付けられた状態の消火スティックの図。
図2図1の状態から保護キャップを取り外した状態を示す図。
図3図2の状態からエンドキャップを取り外した状態を示す図。
図4】消火スティックの使用方法を説明する図。
図5】第1実施形態によるエンドキャップを構成するエンドキャップ本体の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図。
図6】エンドキャップ本体がハンドルの中空円筒部に取り付けられた状態を示す断面図。
図7】照明部付きエンドキャップの(a)平面図、(b)正面図。
図8】第2実施形態においてハンドルの収容空間にホイッスルが収容された状態を示す断面図。
図9】火災時等にホイッスルを使用して救助を求める状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による消火スティック用エンドキャップの複数の実施形態について図面に基づいて説明する。このエンドキャップが適用される消火スティックは、先端から消火薬剤を噴射可能な小型軽量の棒状消火器具である。消火スティックは、例えば個人住宅や事業所、車両等に常備され、火災発生時に消火作業のため使用される。本実施形態では100秒噴射タイプの消火スティックを代表例として説明する。
【0014】
(消火スティックの構成)
図1図3を参照し、消火スティック1の構成を説明する。消火スティック1は、中心軸Oに沿って同軸に配置されたスティック本体3、保護キャップ4及びハンドル5で構成されている。ハンドル5はスティック本体3に一体に連結されている。保護キャップ4はスティック本体3から脱着可能である。また、ハンドル5のスティック本体3とは反対側に、エンドキャップ60が脱着可能に取り付けられている。スティック本体3は金属製であり、保護キャップ4、ハンドル5及びエンドキャップ60は樹脂で形成されている。
【0015】
図1に、保護キャップ4及びエンドキャップ60が取り付けられた状態を示す。図2に、図1の状態から保護キャップ4を取り外した状態を示す。図3に、図2の状態からエンドキャップ60を取り外した状態を示す。図1図3の紙面左側である、消火薬剤が噴射される側を先端側と定義する。消火スティック1の先端側とは反対側を基端側という。
【0016】
スティック本体3は円筒状の金属管で構成され、消火薬剤が封入されたカートリッジが内部に収納されている。スティック本体3の先端部には、マッチの頭薬に相当する着火剤7が塗布や貼付により設置されている。ハンドル5は、先端側がスティック本体3に連結されており、基端側に開口する中空円筒部15を有している。使用者は消火スティック1を使用時にハンドル5を把持可能である。
【0017】
保護キャップ4は先端側が閉塞された有底筒状であり、スティック本体3に先端側から被せられ、スティック本体3の外側を覆う。保護キャップ4の基端側の外壁には、軸方向の突条が形成された保護キャップ把持部13が設けられている。使用者は、保護キャップ把持部13を持って保護キャップ4を先端側に取り外すことができる。
【0018】
エンドキャップ60は、消火スティック1の基端側からハンドル5の中空円筒部15に脱着可能に取り付けられている。本実施形態のエンドキャップ60は、エンドキャップ本体9と、照明部66とを備える。照明部66の詳細な構成については後述する。
【0019】
エンドキャップ本体9の先端部には側薬10が塗布や貼付により設置されている。エンドキャップ本体9の外壁には、軸方向の突条が形成されたエンドキャップ把持部91が設けられている。使用者は、エンドキャップ把持部91を持ってエンドキャップ本体9を中空円筒部15に嵌め込むことができる。エンドキャップ本体9の外壁が中空円筒部15の内壁に軽い締まり嵌めで嵌合することで脱落が防止される。
【0020】
エンドキャップ60が中空円筒部15に取り付けられた状態で、側薬10はハンドル5の内部に収容される。エンドキャップ60を取り外す時、使用者は、エンドキャップ把持部91を持って引き抜くことで、ハンドル5の中空円筒部15からエンドキャップ60を取り外すことができる。
【0021】
(消火スティックの使用方法)
図4を参照し、消火スティックの使用方法について説明する。第1段階で使用者は、消火スティック1のスティック本体3から保護キャップ4を取り外す。第2段階で使用者は、ハンドル5からエンドキャップ60を取り外す。これにより、保管時に覆われていた着火剤7及び側薬10が露出する。第3段階で使用者は、エンドキャップ60の側薬10をスティック本体3の着火剤7に擦って点火すると、スティック本体3の内部に封入された消火薬剤が噴射する。第4段階で使用者は、噴射口を炎の底に向けて消火する。
【0022】
第3段階でスティック本体3の着火剤7に点火すると、カートリッジ内部の成分が化学反応を起こし、スティック本体3の先端部から消火薬剤が噴射する。詳しくは、硝酸カリウムとジシアンジアミドとが化学反応により燃焼し、白い蒸気状のカリウム微粒子を含んだ不活性ガスが噴射する。大量のカリウムラジカルが炎の内部及び周囲の酸素を枯渇させる窒息効果及び抑制効果で燃焼の連鎖が遮断される。
【0023】
(消火スティックと比較形態の消火器との対比)
従来の一般的な粉末消火器(一般消火器)を比較形態とし、消火スティックの特徴を比較形態と対比して説明する。例えば、付属品を含まない100秒噴射タイプの消火スティックのサイズは直径4cm×全長33cm、重量は365gであり、小型軽量である。
【0024】
比較形態の一般消火器は、大径の筒状金属製の容器を使用し、重さが例えば5kgの重量物である。重量物の消火器を用いて高所や隙間空間の火炎発生源に消火剤を噴射することは困難である。また、片手で消火器本体を持ちながら、もう片方の手でレバーを握って噴射する必要があるため、両手がふさがり操作性が悪い。比較形態に対し、本実施形態が使用される消火スティックは、小型軽量で、片手で使用することができるため、操作性、利便性に優れている。以下、項目毎に対比する。
【0025】
(1)噴射時間:消火スティックは例えば最大100秒間連続噴射可能である。火災発生から2分間以内の消火と言われる初期消火の実現に効果がある。
(2)重量:消火スティック(付属品を含まない)は365gと軽量である。このため、火災時に持ち運びが容易である。
(3)残留物:消火スティックは不活性ガスを噴射するため有害な残留物が残らない。このため、消火後の被災箇所の物品や設備の復旧が容易である。
(4)消火スティックは、一般消火器が対応できない可燃性ガス火災に対応可能である。
【0026】
(5)使用期限:消火スティックの使用期限は15年であり一般消火器に比べて長い。
(6)耐久性:消火スティックは非加圧式であるため耐久性と耐衝撃性に優れている。
(7)定期点検:消火スティックは法定資格者による定期点検を必要としない。
(8)安全・環境:消火スティックは、噴射ガスが不活性ガスである。このため、操作者及び周囲の者の呼吸や視力に悪影響を与えず、地球温暖化やオゾン層の破壊の原因にもならない。
【0027】
これに対し比較形態の一般消火器についての諸元は、参考までに次のとおりである。
(1)噴射時間:一般消火器は噴射期間が例えば約15秒である。初期消火を達成できないことが多い。
(2)重量:一般消火器は重量が約5kgであり、火災時に持ち運びが困難である。
(3)残留物:一般消火器は噴射後に薬剤残留物や汚れが残る。このため、消火後の被災箇所の物品や設備の復旧が困難である。
(4)一般消火器は、可燃性ガス火災に対応できない。
【0028】
(5)使用期限:一般消火器は劣化が速く、使用期限が短い。
(6)耐久性:一般消火器は加圧式であるため耐久性と耐衝撃性が劣る。
(7)定期点検:一般消火器は法定資格者による定期点検を必要とし、取扱いが煩雑である。
(8)安全・環境:一般消火器が噴射する薬剤は、操作者及び周囲の者に対し呼吸や視力に影響を与えやすく、地球温暖化やオゾン層の破壊の原因にもなっている。
【0029】
<第1実施形態>
続いて第1実施形態による消火スティック用エンドキャップ60の構成について説明する。本実施形態のエンドキャップ60は、エンドキャップ本体9に照明部66が組み付けられて構成されている。まず、図5(a)~(c)及び図6を参照し、エンドキャップ本体9の構成を説明する。ハンドル5の中空円筒部15の開口151が上に向いた状態でハンドル5に取り付けられるエンドキャップ本体9の向きを想定し、図5(a)、(b)、(c)をそれぞれ、平面図、正面図、底面図と称する。
【0030】
エンドキャップ本体9は、樹脂で形成され、中心軸Oを中心とする有底の円筒容器状を呈している。本実施形態のエンドキャップ60は黄色の樹脂で形成されているため、黒色のハンドル5に対してコントラストが強く、暗所で目立ちやすい。エンドキャップ本体9においてハンドル5の中空円筒部15に取り付けられる側の端部を先端部とする。エンドキャップ本体9は、開口側から先端側に向かう順に、把持部91、嵌合部92及び突出部93を有している。
【0031】
把持部91は嵌合部92よりも大径の円筒状であり、嵌合部92と段差を介して接続されている。把持部91の外周壁には、軸方向に延びる複数本の突条912が形成されている。図6に示すようにハンドル5の中空円筒部15に取り付けられたとき、把持部91と嵌合部92との段差が中空円筒部15の開口151の縁部に干渉するため、把持部91は開口151の外に露出し、使用者が把持可能である。使用者は、把持部91を持ってエンドキャップ本体9を中空円筒部15から取り外すことができる。このとき、突条912に指を引っ掛けて捩ることで、エンドキャップ本体9が抜けやすくなる。
【0032】
嵌合部92は、軸方向の中間部において、外径一定のストレート状に形成されている。嵌合部92の外径は、中空円筒部15の開口151の内径とほぼ同等であり、詳しくは開口151の内径に対しわずかに大きい。ハンドル5に取り付けられたとき、嵌合部92の外壁が中空円筒部15の内壁152に嵌合する。この嵌合の度合いは、樹脂部材同士の軽い締り嵌めによりエンドキャップ本体9が自重で脱落することなく、且つ、使用者が容易に取り外すことができる程度に設定されている。
【0033】
突出部93は、嵌合部92から先端部に向かって縮径するように、例えば半球状に形成されている。ハンドル5に取り付けられたとき、突出部93は中空円筒部15の穴底153に対向する。突出部93の頂部には、半球面からさらに突出し、端面が平面である台座部94が形成されている。台座部94の端面には側薬10が塗布や貼付により設置されている。突出部93の半球面から突出した台座部94の端面に側薬10が設置されることで、側薬10を擦る作業時に狙いポイントが絞りやすくなっている。
【0034】
このようにエンドキャップ本体9の基本的な機能は、側薬10の設置部材としての機能である。エンドキャップ本体9は、側薬10が設置された突出部93を、保管時には外部から触れないように保護し、使用時にはハンドル5から容易に取り外し可能とする。ところで、把持部91、嵌合部92及び突出部93を通じて、エンドキャップ本体9の内側にはキャップ内空間90が形成されている。そこで、キャップ内空間90のスペースを利用して照明部66を付設することで、照明機能を備えたエンドキャップ60が提供される。
【0035】
次に図7(a)、(b)を参照し、照明部66の構成について説明する。照明部66は、エンドキャップ本体9の基端側、すなわちハンドル5とは反対側に設けられている。照明部66は、照明ハウジング67、一つ以上のLED69、及び、LED69に電力を供給する電池68等を有する。照明ハウジング67は、外筒部671及び内筒部672を含む円筒状を呈しており、軸方向の一部がエンドキャップ本体9のキャップ内空間90に嵌合して同軸に接続されている。
【0036】
外筒部671は、エンドキャップ本体9の把持部91と外径が同程度の円筒状に黒色樹脂で形成されている。黄色の把持部91に対して黒色であるため視覚的に区別しやすい。内筒部672の表面には、LED69の光を透過する透明のカバーが設けられている。
【0037】
照明ハウジング67の内部には、LED69及び電池68の他、LED69を点灯させる回路が実装された基板が設けられている。LED69は照明ハウジング67の内部に保持されている。図7(a)に示す構成例では、照明ハウジング67の内筒部672に三つのLED69が中心軸Oに対して対称に配置されている。電池68は、例えばボタン型電池が用いられる。
【0038】
例えば、照明ハウジング67の外筒部671は内筒部672に対して回動可能であり、外筒部671を一方向に回動させるとLED69がONし、他方向に回動させるとLED69がOFFするように構成されている。つまり本実施形態の照明ハウジング67は、LED69を保持すると共に、ON/OFFを切り替えるスイッチとしても機能する。回転式に限らず、プッシュ式、レバー式等、どのような方式のスイッチが用いられてもよい。また、ON時の明るさを2段階以上に切り替えられるようにしてもよい。
【0039】
本実施形態による照明機能付き消火スティックは、マンションやアパートでは共同の廊下でなく、各部屋に常備されることが好ましい。火災発生時には電源ブレーカーが遮断されることが多く、夜間に限らず昼間でも避難経路となる廊下や階段が暗くなるため、迅速な避難が困難となる。例えば住宅で火災が発生し、電源ブレーカーの遮断等によって屋内が暗い環境で、使用者は、まずエンドキャップ60の照明部66を点灯させることで周囲の状況を把握し、避難や消火作業を行うことができる。小型軽量な消火スティック1は使用者が片手で持つことができ、懐中電灯のような照明具として使用可能である。
【0040】
ハンドル5から取り外したエンドキャップ60で着火剤7に点火して消火薬剤の噴射を開始した後、使用者は、片手で消火スティック1を持ち、もう片方の手に持ったエンドキャップ60の照明部66を前方に向けて照らしながら、噴射先の狙いを定めることができる。したがって、特に小型軽量で不活性ガスを100秒間連続噴射可能であるという消火スティック1の特性を活かし、火災発生直後(例えば2分以内)の初期消火作業を効果的に支援することができる。
【0041】
<第2実施形態>
図8図9を参照し、第2実施形態について説明する。図8に示すように、ハンドル5の中空円筒部15においてエンドキャップ60が取り付けられる部分より奥に、直径3cm×深さ5cm程度の収容空間154が形成されている。収容空間154には首紐が付いたホイッスル88が収容されている。使用者がハンドル5からエンドキャップ60を取り外したとき、ホイッスル88を取り出すことができる。
【0042】
このように、第2実施形態のエンドキャップ60は、側薬10の設置部材としての機能、及び、照明部66としての機能に加え、ホイッスル88が収容された収容空間154の蓋としての機能を有している。消火スティック1とは別の場所にホイッスル88を保管した場合、緊急時にそれぞれ取り出すのに時間がかかるおそれがある。第2実施形態では、エンドキャップ60をハンドル5から外すと同時にホイッスル88が取り出せるので迅速に使用することができる。
【0043】
図9を参照し、ホイッスル88が使用される状況について説明する。例えば住宅で火災が発生した時、2階以上の部屋に居た住人は、まず消火スティック1のハンドル5からエンドキャップ60を取り外してホイッスル88を取り出す。住人は、例えば2階の窓から外に向かって、ホイッスル88を吹く。消火スティック1は小型軽量であるため、片手で消火スティック1を持って消火しながら、もう片方の手でホイッスル88を持って救助を求めることが可能である。また、ホイッスル88の首紐を首に掛けることで、使用者は両手を自由に使うことができる。
【0044】
部屋に2人以上の住人が居る場合、1人がホイッスル88を吹いて救助を求め、別の1人が消火スティック1で消火作業を行うことで、迅速な対応が可能となる。したがって、消火スティック1による初期消火作業をより効果的に支援することができる。
【0045】
さらに火災以外に、集中豪雨や河川の氾濫で周囲が冠水した場合、地震等で家屋が倒壊し部屋に取り残された場合、強盗や不審者が侵入した場合等にも、ホイッスル88を吹いて救助を求めることができる。
【0046】
<その他の実施形態>
(a)消火スティックは上記実施形態の構成に限らず、先端から消火薬剤を噴射可能であり、エンドキャップが脱着可能に取り付けられるハンドルの中空円筒部が設けられた棒状の消火器具であればよい。
【0047】
(b)照明部は、エンドキャップ本体9の先端部とは軸方向の反対側に設けられているものに限らない。例えば照明部は、エンドキャップ本体9の把持部91の側壁に設けられてもよい。
【0048】
(c)照明部の照明手段はLEDに限らず、電球や化学反応を利用した発光物質等が使用されてもよい。照明部の電池はボタン型電池に限らず、太陽光発電により充電可能な蓄電池等が使用されてもよい。
【0049】
(d)本実施形態の照明機能付き消火スティックが車両に常備され、車両火災の消火作業に使用される場合、特に夜間の消火作業や、トラックの車体下等の暗所を照らしながらの消火作業に好適である。
【0050】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ・・・消火スティック、
5 ・・・ハンドル、 15・・・中空円筒部、
60・・・(消火スティック用)エンドキャップ、
66・・・照明部、
9 ・・・エンドキャップ本体、
91・・・把持部、
92・・・嵌合部、
93・・・突出部。
【要約】
【課題】暗所での避難や消火作業を支援する照明機能を備えた消火スティック用エンドキャップを提供する。
【解決手段】消火スティック用エンドキャップ60は、消火スティックのハンドルの中空円筒部に脱着可能に取り付けられるエンドキャップ本体9と、エンドキャップ本体9に設けられた照明部66と、を備える。照明部66は、エンドキャップ本体9の先端部とは軸方向の反対側に設けられている。照明部66は、照明ハウジング67と、照明ハウジング67の内部に保持された一つ以上のLED69と、LED69に電力を供給する電池68と、を有する。使用者は、まずエンドキャップ60の照明部66を点灯させることで周囲の状況を把握し、避難や消火作業を行うことができる。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9