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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】座面用クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/10 20060101AFI20250127BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
A47C27/10 A
A47C27/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021545590
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2020034323
(87)【国際公開番号】W WO2021049577
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2019167779
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138244
【氏名又は名称】株式会社モルテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 真季
(72)【発明者】
【氏名】安原 修平
(72)【発明者】
【氏名】大野 博
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆司
(72)【発明者】
【氏名】民秋 清史
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000401(JP,A)
【文献】特開2010-063744(JP,A)
【文献】特表2013-518620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0125094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/10
A47C 27/08
A61G 5/12
A61G 7/057
A47C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面用クッションであって、
座面の後部に配置された第2のエアセル部と、
前記第2のエアセル部よりも更に後方に配置された第3のエアセル部と、を備え、
前記第2のエアセル部及び前記第3のエアセル部の両者は、前記座面に対し前後方向に斜めに延在する前方に向かって尖った境界をもって隣接しており、使用者の坐骨部が前記境界に収まり、
前記第2のエアセル部は、前記使用者の坐骨部よりも前の臀部を支持し、
前記第3のエアセル部は、前記使用者の坐骨部よりも後の臀部を支持し、
制御ユニットを更に備え、
前記制御ユニットは、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部が交互に除圧されるように制御する、ことを特徴とする座面用クッション。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部が交互に除圧される際、前記第2のエアセル部又は前記第3のエアセル部の除圧時間が3秒から120秒以内となるように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の座面用クッション。
【請求項3】
前記制御ユニットは、除圧動作によって、前記境界に対応する位置の内部に設けられている、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部の間を隔てるスリットと前記座面用クッションの基材に形成された溝を通じて換気作用を発生させ、前記使用者の坐骨部周辺のむれを抑制する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の座面用クッション。
【請求項4】
前記座面の前部であって前記第2のエアセル部よりも前方に配置された第1のエアセル部を更に備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の座面用クッション。
【請求項5】
前記第1のエアセル部は、前記使用者の大腿部を支持する、ことを特徴とする請求項4に記載の座面用クッション。
【請求項6】
前記座面の前部であって前記第2のエアセル部よりも前方に配置された第1のエアセル部を更に備え、
前記第1のエアセル部は、前記使用者の大腿部を支持し、
前記制御ユニットは、前記第1のエアセル部が前記使用者の大腿部を常時支持する、ことを特徴とする請求項1に記載の座面用クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面用クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座者の臀部の位置を安定させることができ、しかも褥瘡の発生を効果的に防止することのできるクッションが提案されている。例えば、特許文献1は、各第1エアセルによって坐骨の近傍を上下方向及び水平方向に軟らかく支持することが可能で、また、エアセル群よりも着座面前後方向の前側に凸状部が設けられ、凸状部に対して着座面幅方向の両側に傾斜凸状部が設けられていることから、両大腿の着座面幅方向への動きが凸状部によって抑制されるとともに、臀部の前方への移動が凸状部及び各傾斜凸状部によって抑制され、着座者の臀部の位置を安定させることができるとともに、褥瘡の発生を効果的に防止することができるクッションを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-63744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のクッションにおけるエアセルの配置では、使用者の坐骨部の体圧分散性と安定性を両立することが難しく、従来の縦配置、横配置、碁盤目配置、千鳥状配置などでは、安定性がなく、前方に姿勢が崩れやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、使用者の坐骨部の体圧分散性と安定性を両立し、しかも、使用者の所望に応じてクッション性を制御可能な座面用クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の第1の観点は、座面用クッションであって、座面の後部に配置された第2のエアセル部と、前記第2のエアセル部よりも更に後方に配置された第3のエアセル部と、を備え、前記第2のエアセル部及び前記第3のエアセル部は、前記座面に対し前後方向に斜めに延在する境界をもって隣接しており、使用者の坐骨部が前記境界に収まる、ことを特徴とする。
【0007】
(2)上記(1)の構成において、前記第2のエアセル部は、前記使用者の坐骨部よりも前の臀部を支持し、前記第3のエアセル部は、前記使用者の坐骨部よりも後の臀部を支持する。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、制御ユニットを更に備え、前記制御ユニットは、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部が交互に除圧されるように制御する。
【0009】
(4)上記(3)の構成において、前記制御ユニットは、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部が交互に除圧される際、前記第2のエアセル部又は前記第3のエアセル部の除圧時間が3秒から120秒以内となるように制御する。
【0010】
(5)上記(3)又は(4)の構成において、前記制御ユニットは、除圧動作によって、前記境界に対応する位置の内部に設けられている、前記第2のエアセル部と前記第3のエアセル部の間を隔てるスリットと前記座面用クッションの基材に形成された溝を通じて換気作用を発生させ、前記使用者の坐骨部周辺のむれを抑制する。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つの構成において、前記座面の前部であって前記第2のエアセル部よりも前方に配置された第1のエアセル部を更に備える。
【0012】
(7)上記(6)の構成において、前記第1のエアセル部は、前記使用者の大腿部を支持する。
【0013】
(8)上記(3)の構成において、前記座面の前部であって前記第2のエアセル部よりも前方に配置された第1のエアセル部を更に備え、前記第1のエアセル部は、前記使用者の大腿部を支持し、前記制御ユニットは、前記第1のエアセル部が前記使用者の大腿部を常時支持する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者の坐骨部の体圧分散性と安定性を両立し、しかも、使用者の所望に応じてクッション性を制御可能な座面用クッションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る座面用クッションを示す斜視図であって、(a)はカバー付きの外観を、(b)はカバーなしの外観を、(c)はエアセルの区分を、それぞれ示す。
図2】座面用クッションの操作パネルを説明する図である。
図3】座面用クッションの制御ユニットのブロック図である。
図4】除圧コントロールにおける内圧のタイムチャートである。
図5】エアセル内圧の圧力値の一例を示す表である。
図6】除圧モードの排気/切替の時間の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
【0017】
(実施形態)
図1(a)は、本実施形態に係る座面用クッション10の外観を示しており、通気性、伸縮性を有するカバー11によって覆われており、その前面には、制御ユニット20の操作パネル21が露出している。カバー11を取った外観を示すと、図1(b)のとおりであり、基材30(例えば、ウレタンフォーム)上に、給気及び排気が可能なエアセル40が配置されている。詳しくは後述するが、座面用クッション10の内部には、制御ユニット20が内蔵されており、エアセル40への給気/排気などの制御を行う。
【0018】
エアセル40は、座面SAの前部に配置された第1のエアセル部41と、第1のエアセル部41よりも後方に配置された第2のエアセル部42と、第2のエアセル部42よりも後方に配置された第3のエアセル部43と、を含む。第2のエアセル部42及び第3のエアセル部43は、座面SAに対し前後方向に斜めに延在する境界50をもって隣接しており、使用者が着座したとき、使用者の坐骨部が境界50に収まるように形成されている。境界50に対応する位置の内部には、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43の間を隔てるスリット(不図示)と、基材30に形成された溝(不図示)が設けられている。
【0019】
ここでは、図1(c)に示すように、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43を前方に向かって尖ったV字状に形成しており、両者の境界50もV字状となっている。使用者の坐骨部を境界50の谷間に収めるためには、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43は、必ずしもV字状に形成しなくてもよく、座面SAに対し前後方向に斜めに延在する境界50をもって隣接していれば、形状に限定はない。
【0020】
第1のエアセル部41は、使用者の大腿部を支持し、第2のエアセル部42は、使用者の坐骨部よりも前の臀部を支持し、第3のエアセル部43は、使用者の坐骨部よりも後の臀部を支持することとなり、坐骨部が斜めに延在する境界50の谷間に収まることから、坐骨部が前方と後方から包み込まれるようになり、坐骨部の体圧分散性と安定性を両立させることができる。
【0021】
座面用クッション10は、前述したように、それぞれのエアセル40に給気し、又はそれぞれのエアセル40から排気するため、制御ユニット20を備えている。詳しくは後述するが、制御ユニット20は、第1のエアセル部41が使用者の大腿部を常時支持し、かつ、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43が交互に除圧(排気)されるように制御する。座面用クッション10は、坐骨部の直下を支持していないので、第2のエアセル部42又は第3のエアセル部43を除圧しても臀部が沈み込むことを抑制することができ、使用者の姿勢が崩れにくい。これにより、座面用クッション10は、移動するもの、例えば車いすなどの着座部としても好ましく利用できることとなる。
【0022】
制御ユニット20は、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43が交互に除圧される際、第2のエアセル部42又は第3のエアセル部43の除圧時間は、3秒から120秒以内となるように制御する。これは、安定性を保つために、除圧状態の時間を短く設定するものである。また、第2のエアセル部42を排気して、その後給気して圧力が安定したころに、第3のエアセル部43を排気するように制御する。これにより、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43を交互に除圧する際の除圧時間を短くして、安定性を確保することができる。
【0023】
図2は、座面用クッション10の前面に設けられている制御ユニット20の操作パネル21を拡大して示している。操作パネル21には、電源入力のための電源入力部22(図2では、microUSBとして例示)、電源のON/OFFを行うPOWERスイッチ23とその操作に応じて点灯/消灯するPOWERランプ231、座面用クッション10の支持モードを選択するMOVEスイッチ24とその操作に応じて点灯/消灯するMOVEランプ241、クッションのかたさを選択するFITスイッチ25とその選択されたかたさを示す3つのFITランプ251(L,M,H)が設けられている。これらの具体的な操作と機能については、以下に制御ユニットとしてあらためて説明する。
【0024】
(制御ユニット)
上記した構成の座面用クッション10をもとに、制御ユニット20の詳細について、図3から図6を用いて説明する。図3は、座面用クッションの制御ユニット20のブロック図を、図4は、除圧コントロールにおける内圧のタイムチャートを、図5は、エアセル内圧の圧力値の一例を、図6は、除圧モードの排気/切替の時間の一例を、それぞれ示す。ここで、制御ユニット20の構成は、図3に示すものに限定されないことに留意されたい。座面用クッション10の動作を実現する手段は他にも考えられるが、図3を参照して以下に説明する態様は、省電力、コンパクト、低コストを実現するうえで好ましい構成となっている。
【0025】
座面用クッション10の制御ユニット20は、図3に示すように、前述した操作パネル21における操作に基づいて、エアポンプ、電磁弁1~3、エアノズルを介して、エアセルDT41(前述の第1のエアセル部)、エアセルZF42(前述の第2のエアセル部)、エアセルZB43(前述の第3のエアセル部)に加圧/減圧を行う。電磁弁1はコネクタ1を介して、エアポンプはコネクタ2を介して、電磁弁2及び電磁弁3はコネクタ3を介して、基板に接続される。以下、座面用クッション10の制御の構成及び手順について、詳しく説明する。
【0026】
(入力仕様)
制御ユニット20は、各種の入力手段を備えており、まず、操作パネル21には、図3に示すように、電源入力のための電源入力部22(図3では、microUSBメスTypeCとして例示)、前述の起動/停止スイッチ1(前述のPOWERスイッチ23)、支持モード選択スイッチ2(前述のMOVEスイッチ24)、かたさ選択スイッチ3(前述のFITスイッチ25)が設けられている。内部の基板には、エアセルの内圧を判定する圧力センサ1が設けられている。
【0027】
(出力仕様)
制御ユニット20は、各種の出力手段を備えており、まず、操作パネル21には、電源の起動時に点灯するLED1(前述のPOWERランプ231)、支持モードとして選択された安定モード時に点灯するLED2(安定モードの報知については、次のLED3の消灯をもって代えてもよく、以下では、LED2を省略して説明する)、支持モードとして選択された除圧モード時に点灯するLED3(前述のMOVEランプ241)、かたさ選択として選択された「ソフト」に応じて点灯するLED4(前述のFITランプ251のL)、同じく選択された「ふつう」に応じて点灯するLED5(前述のFITランプ251のM)、同じく選択された「ハード」に応じて点灯するLED6(前述のFITランプ251のH)が設けられている。制御ユニット20の内部には、エアセル40(41~43)へ給気するエアポンプ、エアポンプの開閉を行う電磁弁1(2方弁)、エアセルZB43系統の排気を行う電磁弁2(3方弁)、エアセルZF42系統の排気を行う電磁弁3(3方弁)が設けられている。さらに、操作やエラー時の警告を行うブザーが設けられている。
【0028】
(制御手順<入力>)
入力に関する制御手順は、次のとおりである。起動/停止スイッチ1は、停止時において、長押しで制御ユニット20を起動してLED1を点灯させ、待機の状態へ移行する。逆に、起動/停止スイッチ1は、起動時において、長押しで制御ユニット20を停止してLED1を消灯させ、“停止コントロール”へ移行する。
【0029】
支持モード選択スイッチ2は、前回起動時の支持モードで起動する。「除圧モード」時にはLED3が点灯し、「安定モード」時にはLED3が消灯する。支持モード選択スイッチ2が押されるごとに、「安定」⇒「除圧」⇒「安定」⇒…と、支持モードが切り替わる。
【0030】
かたさ選択スイッチ3は、前回起動時のかたさで起動し、LED4~6のうち該当するものが点灯する。かたさ選択スイッチ3が押されるごとに、「ふつう」⇒「ハード」⇒「ソフト」⇒「ふつう」⇒…と、かたさが切り替わる。
【0031】
(制御手順<動作モードコントロール>
“通常コントロール”の安定モードは、使用者が座っている状態で、安定モード時のエアセル内圧を行う処理である。該当するエアセル40の内圧を調整する“内圧調整コントロール”へ移行し、圧力センサ1を取得して、設定圧力値が-0.5kPa未満、又は設定圧力値が+0.5kPa以上で30秒間経過のとき、“内圧調整コントロール”へ戻る。また、支持モードが変更されたときは、除圧モードへ移行する。なお、ここで述べる設定圧力値及び経過時間などの数値は一つの例を示すものであり、本実施形態において限定されるものではない。
【0032】
“通常コントロール”の除圧モードは、使用者が座っている状態で、自動モード時のエアセル内圧を行う処理である。該当するエアセル40の内圧を調整する“内圧調整コントロール”へ移行し、さらに、前回の“除圧コントロール”から15分間以上経過し、“除圧コントロール”へ移行し、圧力センサ1を取得して、設定圧力値が-0.5kPa未満、又は設定圧力値が+0.5kPa以上で30秒間経過のとき、“内圧調整コントロール”へ戻る。支持モードが変更されたときは、安定モードへ移行する。
【0033】
“停止コントロール”は、停止状態にする処理である。該当するエアセル40の内圧を調整する“内圧調整コントロール”へ移行して、スイッチ1、2、3の入力待ち状態となり、出力はすべてOFFになる。
【0034】
(制御手順<エアセル内圧コントロール>)
“除圧コントロール”は、エアセル40を除圧動作する処理である。除圧コントロール”における内圧のタイムチャートの例を図4に示すように、まず、エアセルZF42を設定時間の間、排気する。設定切替時間の間、該当するエアセル40の内圧を“内圧調整コントロール”で調整する。そして、エアセルZB43を設定時間の間、排気する。その際にも、該当するエアセル40の内圧を“内圧調整コントロール”で調整する。
【0035】
“内圧調整コントロール”は、該当するエアセル40の内圧を調整する処理である。圧力センサ1で該当するエアセル40の内圧を取得し、エアセル40の内圧が設定圧力値-0.5kPa未満で1秒間継続のとき、“給気コントロール”へ移行し、エアセル40の内圧が設定圧力値+0.5kPa以上で1秒間継続のとき、“排気コントロール”へ移行する。その他のときは、元のコントロールへ戻る。
【0036】
“給気コントロール”は、該当するエアセル40の内圧を上げる処理である。エアポンプを「ON」にし、エアセル40の内圧が設定圧力値+0.5kPa以上でエアポンプを「OFF」にする。
【0037】
“排気コントロール”は、エアセル40の内圧を下げる処理である。対応する電磁弁を開き、排気する。圧力センサ1と設定圧力値の差のXkPaをX秒とし、X秒後に対応する電磁弁を閉じる。
【0038】
(制御手順<設定値表>)
本実施形態に係る制御ユニット20では、圧力値として、例えば図5に示すように、エアセル40の内圧を設定している。すなわち、かたさが「ソフト」の場合は、“安定モード”で4.0kPa、“除圧モード”で4.2kPa、かたさが「ふつう」の場合は、それぞれ、5.2kPa、5.5kPa、かたさが「ハード」の場合は、それぞれ、6.5kPa、6.8kPaに設定されている。ただし、座面用クッション10を提供するにあたり、これらの数値に限定されるものではない。
【0039】
また、本実施形態に係る制御ユニット20では、“除圧モード”における排気/切替の時間として、例えば図6に示すように、かたさが「ソフト」の場合は、“エアセルZF42”で12秒,“切替”で20秒、“エアセルZB43”で10秒、かたさが「ふつう」の場合は、それぞれ、13秒,22秒、11秒、かたさが「ハード」の場合は、それぞれ、14秒,24秒、12秒に設定されている。このように、本実施形態では、“エアセルZF42”と“エアセルZB43”の切替時間(「ソフト」の場合は20秒、「ふつう」の場合は22秒、「ハード」の場合は24秒)は、エアセルZF42の給気が完了した直後にエアセルZB43が排気するように制御される。これによって、“エアセルZF42”と“エアセルZB43”を交互に除圧しても、坐骨部の除圧と安定性を両立させることができる。なお、座面用クッション10を提供するにあたり、これらの数値に限定されるものではない。
【0040】
制御ユニット20は、以上説明した除圧動作によって、境界50に対応する位置の内部に設けられている、第2のエアセル部42と第3のエアセル部43の間を隔てるスリットと基材30に形成された溝を通じて換気作用を発生させ、使用者の坐骨部周辺のむれを抑制する。
【0041】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0042】
10…座面用クッション
11…カバー
20…制御ユニット
21…操作パネル
22…電源入力部
23…POWERスイッチ(起動/停止スイッチ1)
231…POWERランプ(LED1)
24…MOVEスイッチ(支持モード選択スイッチ2)
241…MOVEランプ(LED3)
25…FITスイッチ(かたさ選択スイッチ3)
251…FITランプ(LED4~6)
30…基材(ウレタンフォーム)
40…エアセル
41…エアセルDT(第1のエアセル部)
42…エアセルZF(第2のエアセル部)
43…エアセルZB(第3のエアセル部)
50…境界(エアセルZFとエアセルZBの)
図1
図2
図3
図4
図5
図6