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特許7625197剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法
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  • 特許-剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
B65H41/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024139665
(22)【出願日】2024-08-21
【審査請求日】2024-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518153346
【氏名又は名称】株式会社ウエーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】白子 善久
(72)【発明者】
【氏名】白子 なおみ
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-154110(JP,A)
【文献】特開2009-227358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シート付き粘着シートの粘着シートから剥離シートを剥離する装置であって、
剥離シート付き粘着シートは、矩形状に形成されて、剥離シートが粘着シートからはみ出したはみ出し部を少なくとも一方端部に有しており、
前記剥離シート付き粘着シートが上面に載置される剥離台と、
前記粘着シートの表面を吸着して前記粘着シートを移動させる吸着搬送装置と、
前記はみ出し部を挟持して前記剥離シートを移動させる挟持搬送装置とを備え、
前記剥離台は、直線状の縁部からなる剥離縁を有しており、
前記吸着搬送装置は、前記粘着シートを前記剥離台の上面に沿って前記剥離縁に向けて移動させ、
前記挟持搬送装置は、挟持した前記はみ出し部の先端縁を前記剥離縁に対して平面視で傾斜させた状態から、前記剥離シートを前記剥離縁で折り曲げて下方に引き込むように移動させ、
前記粘着シートおよび前記剥離シートを同じ速度で移動させることにより、前記粘着シートから前記剥離シートを剥離し、
前記吸着搬送装置および前記挟持搬送装置は、いずれも多関節ロボットを備える剥離シート付き粘着シートの剥離装置。
【請求項2】
前記挟持搬送装置は、前記剥離シートの角部を挟持して、前記剥離シートを前記剥離縁と直交方向に下降させる請求項1に記載の剥離シート付き粘着シートの剥離装置。
【請求項3】
剥離シート付き粘着シートの粘着シートから剥離シートを剥離する方法であって、
剥離シート付き粘着シートは、矩形状に形成されて、剥離シートが粘着シートからはみ出したはみ出し部を少なくとも一方端部に有しており、
前記剥離シート付き粘着シートを、直線状の縁部からなる剥離縁を備える剥離台の上面に載置する載置工程と、
多関節ロボットを備える吸着搬送装置により前記粘着シートの表面を吸着して前記粘着シートを移動させる吸着搬送工程と、
多関節ロボットを備える挟持搬送装置により前記はみ出し部を挟持して前記剥離シートを移動させる挟持搬送工程とを備え、
前記吸着搬送工程は、前記粘着シートを前記剥離台の上面に沿って前記剥離縁に向けて移動させ、
前記挟持搬送工程は、挟持した前記はみ出し部の先端縁を前記剥離縁に対して平面視で傾斜させた状態から、前記剥離シートを前記剥離縁で折り曲げて下方に引き込むように移動させ、
前記粘着シートおよび前記剥離シートを同じ速度で移動させることにより、前記粘着シートから前記剥離シートを剥離する剥離シート付き粘着シートの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界を始めとするさまざまな業種においては、多数の剥離シート付き粘着シートを積層状態で予めストックしておき、使用時に上から順に一枚ずつ取り出して粘着シートから剥離シートを剥離し、対象物に貼り付けることが従来から行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下面に貼着された離型紙をシート部材から剥離させる剥離装置が開示されている。この剥離装置は、離型紙を下側に向けつつシート部材を水平な姿勢に吸引保持する保持装置と、作業台の台端を通じて下方に引き出された離型紙を挟みながら回転することにより引き取るローラ装置と、保持装置を作業台上にて水平移動させる移動装置とを備えている。この剥離装置によれば、保持装置に吸引保持されたシート部材を作業台上に静止させた後、シート部材の離型紙に対して、保持装置によるシート部材の水平保持力よりも小さな引き取り力をローラ装置により作用させた状態で、移動装置によって保持装置を移動操作してシート部材を作業台の台端に向けて送ることで、シート部材の送り動作の開始と離型紙の引き取り開始のタイミングをほぼ一致させて、離型紙の引き剥がしを安定的に行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-227358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の剥離装置は、ローラ装置の引き取り力を調整手段により調整可能に構成されているが、調整が煩雑になり易いだけでなく、調整が不十分な場合には剥離後のシート部材に折れやシワ等が生じるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、粘着シートから剥離シートを容易且つ確実に剥離することができる剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、剥離シート付き粘着シートの粘着シートから剥離シートを剥離する装置であって、剥離シート付き粘着シートは、矩形状に形成されて、剥離シートが粘着シートからはみ出したはみ出し部を少なくとも一方端部に有しており、前記剥離シート付き粘着シートが上面に載置される剥離台と、前記粘着シートの表面を吸着して前記粘着シートを移動させる吸着搬送装置と、前記はみ出し部を挟持して前記剥離シートを移動させる挟持搬送装置とを備え、前記剥離台は、直線状の縁部からなる剥離縁を有しており、
前記吸着搬送装置は、前記粘着シートを前記剥離台の上面に沿って前記剥離縁に向けて移動させ、前記挟持搬送装置は、挟持した前記はみ出し部の先端縁を前記剥離縁に対して平面視で傾斜させた状態から、前記剥離シートを前記剥離縁で折り曲げて下方に引き込むように移動させ、前記粘着シートおよび前記剥離シートを同じ速度で移動させることにより、前記粘着シートから前記剥離シートを剥離し、前記吸着搬送装置および前記挟持搬送装置は、いずれも多関節ロボットを備える剥離シート付き粘着シートの剥離装置により達成される。
【0008】
この剥離シート付き粘着シートの剥離装置において、前記挟持搬送装置は、前記剥離シートの角部を挟持して、前記剥離シートを前記剥離縁と直交方向に下降させることが好ましい。
【0010】
また、本発明の前記目的は、剥離シート付き粘着シートの粘着シートから剥離シートを剥離する方法であって、剥離シート付き粘着シートは、矩形状に形成されて、剥離シートが粘着シートからはみ出したはみ出し部を少なくとも一方端部に有しており、前記剥離シート付き粘着シートを、直線状の縁部からなる剥離縁を備える剥離台の上面に載置する載置工程と、多関節ロボットを備える吸着搬送装置により前記粘着シートの表面を吸着して前記粘着シートを移動させる吸着搬送工程と、多関節ロボットを備える挟持搬送装置により前記はみ出し部を挟持して前記剥離シートを移動させる挟持搬送工程とを備え、前記吸着搬送工程は、前記粘着シートを前記剥離台の上面に沿って前記剥離縁に向けて移動させ、前記挟持搬送工程は、挟持した前記はみ出し部の先端縁を前記剥離縁に対して平面視で傾斜させた状態から、前記剥離シートを前記剥離縁で折り曲げて下方に引き込むように移動させ、前記粘着シートおよび前記剥離シートを同じ速度で移動させることにより、前記粘着シートから前記剥離シートを剥離する剥離シート付き粘着シートの剥離方法により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の剥離シート付き粘着シートの剥離装置および剥離方法によれば、粘着シートから剥離シートを容易且つ確実に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る剥離シート付き粘着シートの剥離装置の平面図である。
図2】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の正面図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4図2の要部拡大図である。
図5】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動中の状態を示す要部拡大平面図である。
図6図5の正面図である。
図7】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動中の他の状態を示す要部拡大平面図である。
図8図7の正面図である。
図9】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動中の更に他の状態を示す要部拡大平面図である。
図10図9の正面図である。
図11】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動中の更に他の状態を示す平面図である。
図12図11の要部拡大図である。
図13】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動中の更に他の状態を示す要部拡大平面図である。
図14図13の矢示A方向の側面図である。
図15】前記剥離シート付き粘着シートの剥離装置の作動の要部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、 本発明の一実施形態に係る剥離シート付き粘着シートの剥離装置(以下、単に「剥離装置」という)の平面図である。また、図2は、図1に示す剥離装置の正面図である。図1および図2に示すように、剥離装置1は、保持装置10、吸着装置20、押圧装置30、挟持搬送装置40、剥離台50および吸着搬送装置60を備えており、これらが制御装置(図示せず)により作動制御される。
【0014】
図3は、図1の要部拡大図であり、図4は、図2の要部拡大図である。図3および図4に示すように、剥離シート付き粘着シート101は、矩形状の剥離シート102の上面側に、矩形状の粘着シート103が剥離可能に貼着されている。粘着シート103は、上記特許文献1に開示されたシート材と同様にブチル系やエポキシ系の熱硬化性樹脂等からなり、図3の左右方向の両端から剥離シート102がはみ出すように、剥離シート102の左右方向中央に配置されている。粘着シート103の幅(図3の上下方向長さ)は、剥離シート102の幅(図3の上下方向長さ)と略同じである。
【0015】
剥離シート付き粘着シート101は、載置台2の上面である載置面に複数が積層状態で載置されることにより、剥離シート付き粘着シートの積層体(以下、単に「積層体」という)100を構成する。積層体100の幅方向両側は、一対のガイド部材3,4により保持される。
【0016】
保持装置10は、図4に示す正面視が左右逆L字状に形成された保持部材11と、保持部材11を上下動可能に支持するエアシリンダ12とを備えている。保持部材11は、水平部の下面が積層体100の最上面に当接することにより、積層体100の一端部(図4の右側)を保持する。保持部材11の高さは、高さセンサ(図示せず)による積層体100の最上面の検出に基づくエアシリンダ12の作動により、積層体100の厚みに応じて調整される。保持部材11は、自重によって積層体100の一端部を保持するように構成してもよい。
【0017】
吸着装置20は、積層体100の最上面を吸着可能な吸着部材21を備えている。吸着部材21は、真空吸着パッドからなる複数の吸引部22と、吸引部22を上下動可能に支持するエアシリンダ23とを備えている。吸引部22は、剥離シート付き粘着シート101の幅方向全体を吸着できるように、剥離シート付き粘着シート101の幅方向に沿って複数(本実施形態では4個)配置されている。吸着部材21は、エアシリンダ24のロッドの先端に取り付けられて、斜め方向に進退可能に支持されている。
【0018】
押圧装置30は、複数のリニアアクチュエータにより図4の上下方向および左右方向に進退可能に支持された押圧部材31を備えている。押圧部材31は、図4に示す正面視が上下逆L字状に形成されており、剥離シート付き粘着シート101の他端部から一端部(図4の左側から右側)に向けて進出させて、高さセンサ(図示せず)による積層体100の検出に基づき降下させることにより、押圧部材31の水平部の下面が積層体100を下方に押圧する。
【0019】
挟持搬送装置40は、多関節ロボット43と、多関節ロボット43のエンドエフェクタ43aが備える一対の挟持部41,42とを備えており、下側の挟持部42が支持部44を介してエンドエフェクタ43aに支持されている。支持部44には、下側の挟持部42に対して上側の挟持部41を上下動させるリニアアクチュエータ45が取り付けられている。多関節ロボット43は、複数のアームが関節を介して回動自在に連結された多軸(例えば4軸から7軸)構造を有しており、アーム先端の回動機構部にエンドエフェクタが着脱可能に装着される。一対の挟持部41,42は、剥離シート付き粘着シート101の他端側において粘着シート103から剥離シート102がはみ出したはみ出し部を挟持して、多関節ロボット43の作動により剥離シート付き粘着シート101を搬送する。上側の挟持部41には、吸着部材21が剥離シート付き粘着シート101の他端部を吸着した状態で挟持することができるように、吸引部22と干渉する位置に切欠部32が形成されている。
【0020】
図1および図2に示すように、剥離台50は、挟持搬送装置40により搬送された剥離シート付き粘着シート101が載置される上面が、平面視矩形状に形成されており、直線状の上面縁部からなる剥離縁51を、搬送方向先端側に備えている。
【0021】
吸着搬送装置60は、多関節ロボット61と、多関節ロボット61のエンドエフェクタ61aが備える吸着部材62とを備えている。吸着部材62は、真空吸着パッドからなる複数(本実施形態では5個)の吸引部62aを備えており、剥離シート付き粘着シート101の粘着シート103を吸着する。多関節ロボット61は、挟持搬送装置40の多関節ロボット43と同様に、多軸構造を有している。
【0022】
次に、上記の構成を備える剥離装置1により、剥離シート付き粘着シート101の粘着シート103から剥離シート102を剥離する方法を説明する。まず、図3および図4に示すように、載置台2の載置面に積層体100を搭載し、積層体100の一端部を保持部材11により保持する保持工程を行う。
【0023】
ついで、図5および図6に示すように、エアシリンダ24の作動によりロッド24aを進出させて、吸着部材21を積層体100の他端部の直上に移動させ、エアシリンダ23の作動により吸引部22を降下させる。これにより、吸引部22は、積層体100の最上面において露出する剥離シート102の他端部に当接する。
【0024】
そして、図7および図8に示すように、吸引部22による真空吸引を開始して剥離シート102の他端部を吸着した後、エアシリンダ23の作動により吸引部22を上昇させる。これにより、積層体100の最上部の剥離シート付き粘着シート101の他端部を吸着部材21により引き上げる吸着工程が行われる。
【0025】
この後、図8に示すように、挟持搬送装置40を作動させて、剥離シート付き粘着シート101の引き上げられた他端部の幅方向全体を、一対の挟持部41,42により挟持する。また、押圧装置30のリニアアクチュエータ32,33を作動させて、押圧部材31を図8の右側に向けて進出させて降下させることにより、他端部が引き上げられた剥離シート付き粘着シート101の下方において、積層体100の他端部を押圧部材31により上方から押圧する押圧工程が行われる。本実施形態においては、剥離シート付き粘着シート101の他端部を一対の挟持部41,42により挟持した後に上記の押圧工程を行っているが、一対の挟持部41,42による挟持と同時に、あるいは、一対の挟持部41,42による挟持の前に、上記の押圧工程を行ってもよい。
【0026】
ついで、図9および図10に示すように、吸着部材21による剥離シート付き粘着シート101の吸着を解除して、エアシリンダ24の作動により吸着部材21をもとの位置に退避させた後、挟持搬送装置40の作動により、挟持した剥離シート付き粘着シート101を剥離台50に向けて搬送する。これにより、一対の挟持部41,42に挟持された剥離シート付き粘着シート101の一端部を保持部材11から引き抜く挟持搬送工程が行われる。押圧部材31は、次の剥離シート付き粘着シート101の取り出しに備えて、もとの位置に退避する。
【0027】
本実施形態の剥離装置1は、積層体100から剥離シート付き粘着シート101を確実に取り出せるように、保持装置10、吸着装置20および押圧装置30を備えているが、挟持搬送装置40のみで積層体100から剥離シート付き粘着シート101を1枚ずつ取り出すことも可能であり、この場合は、保持装置10、吸着装置20および押圧装置30を備えない構成にすることもできる。
【0028】
図11の平面図、および、図12の要部拡大図に示すように、挟持搬送装置40により剥離台50に搬送された剥離シート付き粘着シート101は、剥離台50に対して傾斜するように剥離台50の上面に載置される載置工程が行われる。剥離台50に載置された剥離シート付き粘着シート101は、剥離シート102のはみ出し部の先端縁102aが、剥離台50の剥離縁51から突出するように配置される。
【0029】
この後、一対の挟持部41,42は、剥離シート102の挟持を一旦解除した後、剥離シート102の剥離縁から遠い方の先端角部(すなわち、挟持搬送装置40側の先端角部)を挟持する。また、吸着搬送装置60の吸着部材62は、剥離シート付き粘着シート101の粘着シート103を吸着する。そして、吸着搬送装置60が、粘着シート103の表面を吸着して粘着シート103を移動させる吸着搬送工程を行い、挟持搬送装置40が、剥離シート102のはみ出し部を挟持して剥離シート102を移動させる挟持搬送工程を行う。吸着搬送装置60は、粘着シート103の搬送先で吸着を解除する。
【0030】
上記の吸着搬送工程は、粘着シート103を剥離台50の上面に沿って剥離縁51に向けて移動させることにより行われ、吸着部材62の先端が剥離縁51を通過した辺りから、吸着部材62を徐々に傾けながら上昇させる。粘着シート103に移動方向は、剥離縁51と直交する平面に沿う方向である。
【0031】
一方、上記の挟持搬送工程は、一対の挟持部41,42が挟持した剥離シート102の先端縁102aを剥離縁51に対して平面視で傾斜させた状態から、剥離シート102を剥離縁51で折り曲げて下方に引き込むように移動させることにより行われる。剥離シート102の移動方向も、剥離縁51と直交する平面に沿う方向であり、水平な剥離縁51に対して鉛直下方である。これにより、図13および図14に示すように、粘着シート103から剥離シート102が徐々に剥離される。なお、図14は、図13の矢示A方向の側面図である。
【0032】
図15(a)に平面図で模式的に示すように、粘着シート103は、剥離縁51における剥離シート102の折り曲げによって、ハッチングを施した剥離領域Pが、角部から三角形状に形成される。そして、粘着シート103および剥離シート102を同じ速度で移動させることにより、図15(b)に示すように、剥離縁51と剥離シート102との接触長さが徐々に大きくなりながら、三角形状の剥離領域Pが広がっていく。これにより、粘着シート103からの剥離シート102の剥離を、容易且つ確実に行うことができる。
【0033】
図12に示す平面視において、剥離シート102の先端縁102aと剥離縁51とのなす角度αは、剥離シート102が粘着シート103の角部から確実に剥離を開始して、粘着シート103の最後までスムーズに剥離されるように、20~30度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1 粘着シートの剥離装置
40 挟持搬送装置
41,42 挟持部
43 多関節ロボット
50 剥離台
51 剥離縁
60 吸着搬送装置
61 多関節ロボット
62 吸着部材
100 剥離シート付き粘着シートの積層体
101 剥離シート付き粘着シート
102 剥離シート
103 粘着シート
【要約】
【課題】 粘着シートから剥離シートを容易且つ確実に剥離することができる剥離装置を提供する。
【解決手段】 剥離シート付き粘着シート101の粘着シート103から剥離シート102を剥離する装置であって、剥離シート付き粘着シート101が上面に載置される剥離台50と、粘着シート103の表面を吸着して粘着シート103を移動させる吸着搬送装置60と、剥離シート102のはみ出し部を挟持して剥離シート102を移動させる挟持搬送装置40とを備え、吸着搬送装置60は、粘着シート103を剥離台50の上面に沿って剥離縁51に向けて移動させ、挟持搬送装置40は、挟持したはみ出し部の先端縁102aを剥離縁51に対して傾斜させた状態から剥離シート102を剥離縁51で折り曲げて下方に引き込むように移動させ、粘着シート103および剥離シート102を同じ速度で移動させて剥離する。
【選択図】 図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15