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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/43 20200101AFI20250127BHJP
   D06F 33/34 20200101ALI20250127BHJP
   D06F 33/42 20200101ALI20250127BHJP
   D06F 101/20 20200101ALN20250127BHJP
   D06F 103/18 20200101ALN20250127BHJP
   D06F 105/02 20200101ALN20250127BHJP
   D06F 105/08 20200101ALN20250127BHJP
   D06F 105/48 20200101ALN20250127BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F33/34
D06F33/42
D06F101:20
D06F103:18
D06F105:02
D06F105:08
D06F105:48
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021074074
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168538
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間宮 春夫
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130376(JP,A)
【文献】特開2000-308793(JP,A)
【文献】特開2016-002263(JP,A)
【文献】特開2013-226241(JP,A)
【文献】特開平07-227492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0040567(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111962249(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00-34/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生するモータと、
排水口と、前記排水口よりも高い位置に配置された溢水口と、前記溢水口よりも高い位置に配置された開口とが設けられて水が溜められる外槽と、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴と、前記開口に対向する出入口とが設けられて前記外槽内に配置され、前記開口及び前記出入口を介して洗濯物が出し入れされ、前記モータの駆動力を受けて回転する内槽とを有する洗濯槽と、
前記排水口に接続され、前記洗濯槽内の水を排出する排水路と、
前記溢水口に接続され、前記洗濯槽内の水を前記溢水口から前記排水路に導く溢水路と、
前記排水路を開閉する排水弁と、
前記洗濯槽内に給水する給水部と、
前記洗濯槽内の水位を検出する水位検出部と、
前記モータ、前記排水弁及び前記給水部を制御し、前記水位検出部の検出結果が入力される制御部であって、前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物を洗う洗い工程と、前記洗い工程後に、前記内槽内の洗濯物の量に基づいて決定された洗濯水位まで前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物をすすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程後に前記洗濯槽を洗浄する槽洗浄工程とを有する洗濯運転を実行する制御部とを含み、
前記制御部は、前記排水弁を閉じて前記洗濯槽に水を溜めた状態で前記すすぎ工程を終了し、前記槽洗浄工程では、前記洗濯槽内の水位が前記洗濯水位以上の場合、前記洗濯槽内の水位が前記洗濯水位未満になるまで前記排水弁を開閉し、前記洗濯槽内の水位が、前記洗濯水位未満であり、前記溢水口より下の水位であり、引き続き前記排水弁を閉じた状態で前記内槽の回転を前記モータによって開始させることにより、前記洗濯槽内の水位を、前記溢水口以上であって前記開口よりも低い槽洗浄水位まで上昇させる、洗濯機。
【請求項2】
駆動力を発生するモータと、
排水口と、前記排水口よりも高い位置に配置された溢水口と、前記溢水口よりも高い位置に配置された開口とが設けられて水が溜められる外槽と、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴と、前記開口に対向する出入口とが設けられて前記外槽内に配置され、前記開口及び前記出入口を介して洗濯物が出し入れされ、前記モータの駆動力を受けて回転する内槽とを有する洗濯槽と、
前記排水口に接続され、前記洗濯槽内の水を排出する排水路と、
前記溢水口に接続され、前記洗濯槽内の水を前記溢水口から前記排水路に導く溢水路と、
前記排水路を開閉する排水弁と、
前記洗濯槽内に給水する給水部と、
前記洗濯槽内の水位を検出する水位検出部と、
前記モータ、前記排水弁及び前記給水部を制御し、前記水位検出部の検出結果が入力される制御部であって、前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物を洗う洗い工程と、前記洗い工程後に前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物をすすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程後に前記洗濯槽を洗浄する槽洗浄工程とを有する洗濯運転を実行する制御部と、
洗濯物の種類についての選択を受け付ける受付部を含み、
前記制御部は、前記排水弁を閉じて前記洗濯槽に水を溜めた状態で前記すすぎ工程を終了し、前記槽洗浄工程では、引き続き前記排水弁を閉じた状態で前記内槽を前記モータによって回転させることにより、前記洗濯槽内の水位を、前記溢水口以上であって前記開口よりも低い槽洗浄水位まで上昇させ、
前記受付部が受け付けた選択に係る洗濯物が毛布である場合には、前記制御部は、前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数、及び、前記槽洗浄工程の開始時における前記洗濯槽内の水位の少なくともいずれかを、毛布以外の洗濯物の場合よりも低くする洗濯機。
【請求項3】
前記槽洗浄工程において、前記洗濯槽内の水位が前記槽洗浄水位を上回ると、前記制御部は、前記モータの回転数を下げる、請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、前記槽洗浄工程を複数回実行し、
前記制御部は、少なくとも1回目の前記槽洗浄工程の終盤に、前記排水弁を開いて前記洗濯槽内の水の一部を排出する排水処理を実行し、
前記制御部は、2回目以降の前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数を、1回目の前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数よりも高くする、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御部は、前記排水処理中において前記モータの回転を継続する、請求項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機は、底部に排水口が形成された水槽と、排水口に接続された排水ホースと、排水ホースを開閉する排水弁と、水槽内に縦軸状で収容された回転槽とを含む。洗濯機は、水槽及び回転槽を洗浄するための槽洗浄コースを実行できる。槽洗浄コースにおける槽回転洗浄工程では、排水弁が開放されて水槽内からの排水が継続された状態で、回転槽が回転される。これにより、水槽及び回転槽内の水が、溢水しない水位まで、すり鉢状にせり上がる。このときの遠心力による脱水と、回転槽の回転に伴って生じる水流とによって、水槽及び回転槽が洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-2263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗濯機に限らず、一般的な洗濯機の洗濯槽内では、洗濯運転後に残った洗剤カスや汚れ(以下、単に「汚れ」という。)によるバイオフィルムを栄養としてカビが発生することがある。バイオフィルムは、洗濯運転中に洗濯槽内に溜まる水の水面付近に発生することが多いので、バイオフィルムの発生つまりカビの発生を防止するためには、洗濯槽内において比較的高い位置にある汚れを除去する必要がある。しかし、特許文献1のように槽回転洗浄工程中において下側の排水口から常に排水する場合には、回転槽を回転させても水槽及び回転槽内の水位が汚れまで届きにくいので、この汚れを水流によって効果的に除去することが困難である。また、せっかく除去されて水流に取り込まれた汚れが、排水口からの排水による水位低下に応じて水槽や回転槽に再付着するおそれがある。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、洗濯槽を効果的に洗浄することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動力を発生するモータと、排水口と、前記排水口よりも高い位置に配置された溢水口と、前記溢水口よりも高い位置に配置された開口とが設けられて水が溜められる外槽と、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴と、前記開口に対向する出入口とが設けられて前記外槽内に配置され、前記開口及び前記出入口を介して洗濯物が出し入れされ、前記モータの駆動力を受けて回転する内槽とを有する洗濯槽と、前記排水口に接続され、前記洗濯槽内の水を排出する排水路と、前記溢水口に接続され、前記洗濯槽内の水を前記溢水口から前記排水路に導く溢水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、前記洗濯槽内に給水する給水部と、前記洗濯槽内の水位を検出する水位検出部と、前記モータ、前記排水弁及び前記給水部を制御し、前記水位検出部の検出結果が入力される制御部であって、前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物を洗う洗い工程と、前記洗い工程後に前記給水部によって前記洗濯槽内に給水して前記内槽内の洗濯物をすすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程後に前記洗濯槽を洗浄する槽洗浄工程とを有する洗濯運転を実行する制御部とを含む洗濯機であって、前記制御部が、前記排水弁を閉じて前記洗濯槽に水を溜めた状態で前記すすぎ工程を終了し、前記槽洗浄工程では、引き続き前記排水弁を閉じた状態で前記内槽を前記モータによって回転させることにより、前記洗濯槽内の水位を、前記溢水口以上であって前記開口よりも低い槽洗浄水位まで上昇させる、洗濯機である。
【0007】
また、本発明は、前記槽洗浄工程において、前記洗濯槽内の水位が前記槽洗浄水位を上回ると、前記制御部が、前記モータの回転数を下げることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記制御部が、前記槽洗浄工程を複数回実行し、前記制御部が、少なくとも1回目の前記槽洗浄工程の終盤に、前記排水弁を開いて前記洗濯槽内の水の一部を排出する排水処理を実行し、前記制御部が、2回目以降の前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数を、1回目の前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数よりも高くすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記制御部が、前記排水処理中において前記モータの回転を継続することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記洗濯機が、洗濯物の種類についての選択を受け付ける受付部を含み、前記受付部が受け付けた選択に係る洗濯物が毛布である場合には、前記制御部が、前記槽洗浄工程における前記モータの最大回転数、及び、前記槽洗浄工程の開始時における前記洗濯槽内の水位の少なくともいずれかを、毛布以外の洗濯物の場合よりも低くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗濯機において外槽と外槽内の内槽とを有する洗濯槽では、給水部の給水による水が、内槽の貫通穴を通って外槽と内槽との間で行き来することによって外槽及び内槽、つまり洗濯槽全体に溜まる。排水弁が排水路を開くと、洗濯槽内の水が外槽の排水口から排水路を通って排出される。洗濯槽内の水位が、外槽において排水口よりも高い位置に配置された溢水口まで上昇すると、洗濯槽内において水面側つまり上側の水が、溢水口から溢水路を通って排水路に導かれ、排水路を通って排出される。洗濯物は、外槽において溢水口よりも高い位置に配置された開口と、内槽の出入口とを介して内槽に出し入れされる。
【0012】
洗濯機の制御部は、洗濯運転の一環として、洗濯槽を洗浄する槽洗浄工程をすすぎ工程後に実行する。具体的には、制御部は、排水弁を閉じて洗濯槽に水を溜めた状態ですすぎ工程を終了し、その後の槽洗浄工程では、引き続き排水弁を閉じて洗濯槽に水を溜めた状態で内槽をモータによって回転させることにより、洗濯槽内の水位を、内槽の回転に伴う遠心力によって、溢水口以上であって外槽の開口よりも低い槽洗浄水位まで上昇させる。このように途中で排水することなく内槽を回転させると、洗濯槽内で槽洗浄水位まで上昇した水による水流は、開口から洗濯槽の外に漏れることなく、洗濯槽内において溢水口以上の高さ位置にある汚れに到達する。そのため、このような水流及び遠心力によって洗濯槽内の汚れを除去することができる。除去された汚れは、洗濯槽内において水面側の水とともに溢水口から溢水路を通って排水路に導かれて排出されるので、この汚れが洗濯槽に再付着することを防止できる。このような槽洗浄工程によって、洗濯槽を効果的に洗浄することができる。
【0013】
また、本発明によれば、槽洗浄工程において、洗濯槽内の水位が槽洗浄水位を上回ると、制御部がモータの回転数を下げるので、洗濯槽内の水が、外槽の開口から洗濯槽の外に漏れることを防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、槽洗浄工程を複数回実行する場合には、制御部は、少なくとも1回目の槽洗浄工程の終盤に排水処理を実行することによって、洗濯槽内の水の一部を排出する。そして、制御部は、2回目以降の槽洗浄工程におけるモータの最大回転数を、1回目の槽洗浄工程におけるモータの最大回転数よりも高くする。この場合、2回目以降の槽洗浄工程では、少ない水が内槽の高回転による遠心力によって一層高く押し上げられることより、槽洗浄水位が、1回目の槽洗浄工程での槽洗浄水位よりも高くなる。そのため、2回目以降の槽洗浄工程では、洗濯槽内において溢水口以上の高さ位置にある汚れのうち、開口の近くにある汚れも漏れなく除去することができる。このような複数の槽洗浄工程によって、洗濯槽を一層効果的に洗浄することができる。
【0015】
また、本発明によれば、制御部が、複数の槽洗浄工程間における排水処理中においてモータの回転を継続することによって水流を発生させ続けるので、洗濯槽から除去された汚れを水流内に取り込むことにより、洗濯槽への汚れの再付着を防止できる。
【0016】
また、本発明によれば、吸水性の高い毛布が洗濯物である場合には、制御部は、槽洗浄工程におけるモータの最大回転数、及び、槽洗浄工程の開始時における洗濯槽内の水位の少なくともいずれかを、毛布以外の洗濯物の場合よりも低くする。これにより、毛布についての洗濯運転における槽洗浄工程において、洗濯槽内の水位が急上昇して洗濯槽内の水が外槽の開口から洗濯槽の外に漏れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面図である。
図2】洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
図3】洗濯機において実行される洗濯運転を示すフローチャートである。
図4】洗濯運転における槽洗浄工程を示すフローチャートである。
図5】連続して実行される複数回の槽洗浄工程を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面図である。図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zといい、上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。洗濯機1は、その外殻をなす筐体2と、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3内に収納された内槽4と、内槽4内に配置された回転翼の一例としてのパルセータ5と、内槽4やパルセータ5を回転させる駆動力を発生させるモータ6と、モータ6の駆動力の伝達先を切り替える切替部の一例としてのクラッチ7とを含む。外槽3及び内槽4のまとまりを、洗濯槽8という。
【0019】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。上面2Aにおける開口2Bの周囲には、液晶操作パネルなどで構成された表示操作部11が設けられる。洗濯機1の使用者は、表示操作部11を操作することによって、洗濯機1で実行される洗濯運転についての運転条件を選択したり、洗濯機1に対して洗濯運転の開始や停止などを指示したりすることができる。表示操作部11には、使用者向けの情報が表示される。
【0020】
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞いだ底壁3Bと、円周壁3Aの上端縁に沿って円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、円周壁3Aの中空部分に上側Z1から連通した開口3Dが設けられる。開口3Dは、筐体2の開口2Bに対して下側Z2から対向して連通した状態にある。環状壁3Cには、開口3Dを開閉する扉12が設けられてもよい。円周壁3Aの上部には、円周壁3Aを径方向に貫通した溢水口3Eが設けられる。底壁3Bは、略水平に延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通した貫通穴3Fが設けられる。底壁3Bにおいて貫通穴3Fを避けた位置には、排水口3Gが設けられる。外槽3において、溢水口3Eは、排水口3Gよりも高い位置に配置され、開口3Dは、溢水口3Eよりも高い位置に配置される。
【0021】
外槽3の環状壁3Cには、水道水の蛇口につながった給水路13が上側Z1から接続される。給水路13の途中には、給水弁14が設けられる。給水弁14は、例えば電磁弁によって構成される。外槽3の底壁3Bの排水口3Gには、排水路15が下側Z2から接続される。排水路15は、洗濯機1の外、つまり機外に引き出される。排水路15の途中には、排水弁16が設けられる。排水弁16は、例えばトルクモータ(図示せず)によって開閉される。開いてON状態にある給水弁14は、給水路13の途中を開放することによって給水路13の全体を開通させる。閉じてOFF状態にある給水弁14は、給水路13の途中を閉鎖することによって給水路13を途中で遮断する。開いてON状態にある排水弁16は、排水路15の途中を開放することによって排水路15の全体を開通させる。閉じてOFF状態にある排水弁16は、排水路15の途中を閉鎖することによって排水路15を途中で遮断する。
【0022】
排水弁16が閉じた状態で給水弁14が開くと、給水路13から外槽3内に給水されることによって、外槽3内に水が溜められる。給水路13及び給水弁14は、外槽3内つまり洗濯槽8内に給水する給水部の一例として機能する。給水弁14が閉じると、給水が停止する。排水弁16が開くと、外槽3内の水が排水口3Gから排水路15を通って機外に排出される。洗濯機1は、円周壁3Aの溢水口3Eに接続された一端17Aと、排水路15において排水弁16よりも排水口3Gから離れた下流部分につながった他端17Bとを有する溢水路17をさらに含む。
【0023】
内槽4は、例えば金属製であり、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。内槽4は、外槽3内に同軸状で配置される。外槽3内に収容された状態の内槽4は、その中心軸をなして上下方向Zに延びる軸線Jを中心として回転可能である。このように内槽4つまり洗濯槽8が縦に配置された洗濯機1は、縦型洗濯機である。内槽4は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞いだ底壁4Bと、円周壁4Aの上端縁に沿って軸線J側へ張り出したリング状の環状壁4Cとを有する。前述した径方向は、軸線Jを基準とする径方向Rである。
【0024】
円周壁4Aの内周面は、内槽4の内周面である。円周壁4Aは、外槽3の円周壁3Aによって取り囲まれた状態にある。底壁4Bは、内槽4の下端に設けられる。環状壁4Cは、外槽3の環状壁3Cに対して下側Z2から対向した状態にある。環状壁4Cの内側には、出入口4Dが設けられる。出入口4Dは、内槽4の上端に位置し、円周壁4Aの中空部分を上側Z1に露出させる。出入口4Dは、外槽3の開口3Dに対して下側Z2から対向して連通した状態にある。使用者は、開放された開口2B、開口3D及び出入口4Dを介して、内槽4に対して上側Z1から洗濯物Qを出し入れする。
【0025】
内槽4の円周壁4A及び底壁4Bには、貫通穴4Eが複数設けられ、外槽3内の水は、貫通穴4Eを介して外槽3と内槽4との間で行き来して、内槽4内にも溜められる。そのため、水が、外槽3及び内槽4、つまり洗濯槽8全体に溜まり、外槽3内の水位と内槽4内の水位とは、一致する。なお、貫通穴4Eは、円周壁4Aには設けられずに、底壁4Bだけに設けられてもよい。
【0026】
内槽4の底壁4Bは、円板状に形成され、外槽3の底壁3Bに対して上側Z1に間隔を隔てて略平行に延びる。底壁4Bにおいて軸線Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通した貫通穴4Fが設けられる。底壁4Bには、貫通穴4Fを取り囲みつつ軸線Jに沿って下側Z2へ延び出た管状の支持軸18が設けられる。支持軸18は、外槽3の底壁3Bの貫通穴3Fに挿通されて、支持軸18の下端部は、底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0027】
パルセータ5は、軸線Jを円中心とする円盤状に形成され、内槽4内において底壁4B上に配置される。パルセータ5において内槽4の出入口4Dを臨む上面には、放射状に配置される複数の羽根5Aが設けられる。パルセータ5には、その円中心から軸線Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸19が設けられる。回転軸19は、支持軸18の中空部分に挿通されて、回転軸19の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0028】
モータ6は、インバータモータなどの電動モータである。モータ6は、筐体2内において、外槽3の下側Z2に配置される。モータ6は、軸線Jを中心として回転する出力軸20を有し、発生した駆動力を出力軸20から出力する。
【0029】
クラッチ7は、支持軸18及び回転軸19のそれぞれの下端部と、モータ6から上側Z1に突出した出力軸20の上端部との間に介在される。クラッチ7は、モータ6が出力軸20から出力する駆動力を、支持軸18及び回転軸19の一方又は両方に対して選択的に伝達する。モータ6からの駆動力が支持軸18に伝達されると、内槽4が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。モータ6からの駆動力が回転軸19に伝達されると、パルセータ5が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。クラッチ7として、公知の電動の伝達機構が用いられる。前述したトルクモータ(図示せず)がクラッチ7を作動させてもよい。
【0030】
図2は、洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯機1は、給水部及び制御部の一例としてのマイクロコンピュータ21を含む。マイクロコンピュータ21は、例えば、CPU22と、ROMやRAMなどのメモリ23と、計時用のタイマ24とを含み、筐体2内に内蔵される(図1参照)。
【0031】
前述したモータ6、クラッチ7、給水弁14及び排水弁16のそれぞれは、例えば駆動回路25を介してマイクロコンピュータ21に対して電気的に接続され、前述した表示操作部11もマイクロコンピュータ21に対して電気的に接続される。マイクロコンピュータ21は、モータ6をONにして駆動させたり、OFFにして停止させたりする。マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転方向を制御することもできる。そのため、モータ6は、正転したり逆転したりすることができる。マイクロコンピュータ21は、クラッチ7を制御することによって、モータ6の駆動力の伝達先を内槽4及びパルセータ5の一方又は両方へと切り替える。マイクロコンピュータ21は、給水弁14及び排水弁16の開閉つまりON・OFFを制御する。使用者が表示操作部11を操作して運転条件などについて選択すると、マイクロコンピュータ21は、その選択を受け付ける。マイクロコンピュータ21は、表示操作部11の表示内容を制御する。
【0032】
洗濯機1は、マイクロコンピュータ21に対して電気的に接続されたブザー26、回転数読取装置27及び水位検出部28をさらに含む。マイクロコンピュータ21は、所定の音をブザー26で発生させることによって、洗濯運転の開始や終了などを使用者に知らせる。
【0033】
回転数読取装置27は、モータ6の回転数、厳密には、モータ6における出力軸20の回転数を読み取る装置であり、例えばホールICで構成される。回転数読取装置27が読み取った回転数は、リアルタイムでマイクロコンピュータ21に入力される。マイクロコンピュータ21は、入力された回転数に基いて、モータ6に印加する電圧のデューティ比を制御することによって、所望の回転数で回転するようにモータ6を制御する。なお、内槽4及びパルセータ5のそれぞれの回転数は、モータ6の回転数と同じであってもよいし、クラッチ7での減速比などの所定の定数をモータ6の回転数に乗じて得られる値であってもよい。
【0034】
水位検出部28は、外槽3内の水位つまり洗濯槽8内の水位を検出する水位センサである。水位検出部28の一例として、洗濯槽8内の圧力に基いて洗濯槽8内の水位を検出する圧力式水位センサを採用できる。洗濯槽8内に溜まった水の水面は、全域にわたって水平とは限らず、水位検出部28は、水面において最も高い部分の水位を、現時点における洗濯槽8内の水位として検出する。現時点における洗濯槽8内の水位、つまり水位検出部28の検出結果は、マイクロコンピュータ21に入力される。
【0035】
マイクロコンピュータ21は、モータ6、クラッチ7、給水弁14及び排水弁16の動作を制御することによって、洗濯運転を実行する。洗濯運転は、給水弁14を開くことによって洗濯槽8内に給水して内槽4内の洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程後に給水弁14を開くことによって洗濯槽8内に給水して内槽4内の洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯槽8を洗浄する槽洗浄工程とを少なくとも有する。本実施形態では、すすぎ工程が2回実行され、1回目のすすぎ工程を第1すすぎ工程といい、2回目のすすぎ工程を第2すすぎ工程という。本実施形態における洗濯運転は、内槽4を回転させて洗濯物Qを脱水する脱水工程も有する。脱水工程には、洗濯運転の途中に実行される中間脱水工程と、洗濯運転の最後に実行される最終脱水工程とが存在する。なお、洗濯機1は、脱水工程の後に洗濯物Qを乾燥させる乾燥工程も実行する洗濯乾燥機であってもよい。
【0036】
使用者が洗濯物Qを内槽4内に投入して洗濯運転の開始を指示すると、マイクロコンピュータ21は、洗濯運転を開始する。なお、使用者は、洗濯物Qの投入に前後して、洗剤を内槽4内に投入してもよい。図3のフローチャートを参照して、まず、マイクロコンピュータ21は、内槽4内の洗濯物Qの量、つまり負荷量を検出する(ステップS1)。負荷量検出の一例として、マイクロコンピュータ21は、内槽4を低速で定常回転させたときのモータ6の回転数のばらつきによって負荷量を検出する。マイクロコンピュータ21は、これから給水して洗濯槽8内に溜める水の水位である洗濯水位W1(図1参照)を、先ほど検出した負荷量に基いて決定する。洗濯水位W1と負荷量との関係は、実験などで予め求められてメモリ23に記憶される。
【0037】
そして、マイクロコンピュータ21は、洗い工程の一環の給水処理として、給水弁14を連続的に開いて洗濯槽8内に給水する(ステップS2)。排水弁16が閉じた状態にあるので、洗濯槽8内の水位が上昇する。洗濯槽8内の水位が、先ほど決定した洗濯水位W1まで上昇すると、マイクロコンピュータ21は、給水弁14を閉じることによって給水を停止する。これにより、給水処理が終了する。
【0038】
次に、洗濯槽8内に水が溜まった状態において、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力がパルセータ5に伝達されるように必要に応じてクラッチ7を切り替えてから、モータ6を駆動させることによってパルセータ5を回転させる(ステップS3)。パルセータ5は、同じ方向に連続回転してもよいが、本実施形態では、モータ6の間欠駆動によって、パルセータ5は、1秒~2秒の間隔で正転及び逆転を交互に繰り返すように反転する。攪拌処理では、内槽4内の洗濯物Qが、反転するパルセータ5によって攪拌洗いされる。なお、ステップS2での給水処理中においてもパルセータ5が回転してもよく、これにより、洗剤が水に溶けやすくなる。水に溶けた洗剤によって洗濯物Qの汚れが分解される。所定の攪拌時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を終了する。これにより、洗い工程が終了する。
【0039】
洗い工程後に、マイクロコンピュータ21は、中間脱水工程として、排水弁16を開いた状態で、内槽4を高速回転させる(ステップS4)。この高速回転により生じた遠心力によって、内槽4内の洗濯物Qが脱水される。脱水により洗濯物Qから染み出た水は、排水路15から機外に排出される。中間脱水工程の終盤において、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力が内槽4に伝わらないようにクラッチ7を切り換えてモータ6を停止するので、内槽4が惰性回転する。中間脱水工程の最後に、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を閉じる。
【0040】
次に、マイクロコンピュータ21は、第1すすぎ工程として、シャワーすすぎを実行する(ステップS5)。具体的には、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を閉じた状態で、給水弁14を間欠的に開くことによって、内槽4内にシャワー給水する。この状態で、マイクロコンピュータ21は、洗濯物Qの隅々にシャワーが行き渡るように内槽4を例えば30rpmで低速回転させる。これにより、内槽4内の洗濯物Qが満遍なくすすがれる。その後、マイクロコンピュータ21は、ステップS4と同じ中間脱水工程を実行する(ステップS6)。なお、各中間脱水工程を、直後のすすぎ工程における一部の処理とみなしてもよい。
【0041】
次に、マイクロコンピュータ21は、第2すすぎ工程を実行する。第2すすぎ工程の内容は、洗剤が存在しない以外において、洗い工程と実質的に同じである。具体的には、マイクロコンピュータ21は、ステップS2と同様に給水してから(ステップS7)、ステップS3と同様に洗濯物Qを攪拌すすぎする(ステップS8)。その後、所定の攪拌時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を閉じて洗濯槽8に水を溜めた状態でモータ6を停止させることによって、第2すすぎ工程を終了する。
【0042】
次に、マイクロコンピュータ21は、槽洗浄工程を実行して(ステップS9)、最後に、マイクロコンピュータ21は、中間脱水工程と同様の最終脱水工程を実行する(ステップS10)。ただし、内槽4の回転条件は、中間脱水工程と最終脱水工程とで異なってもよく、特に、最終脱水工程における内槽4の最大回転数は、中間脱水工程における内槽4の最大回転数よりも高い。最終脱水工程の終了により、洗濯運転が終了する。
【0043】
次に、図4のフローチャートを参照して、ステップS9の槽洗浄工程について説明する。槽洗浄工程に関し、洗濯槽8内の水位には、前述した洗濯水位W1以外に、外槽3の溢水口3Eと同じ高さの溢水水位W2と、溢水水位W2以上であって外槽3の開口3Dよりも低い槽洗浄水位W3と、槽洗浄水位W3よりも高い異常水位W4が存在する(図1参照)。溢水水位W2は、洗濯水位W1よりも高く、本実施形態では溢水口3Eの下端3Hと同じ高さ位置に設定される。槽洗浄水位W3は、一定の水位でなくてもよく、溢水水位W2と異常水位W4との間で変動してもよい。異常水位W4は、外槽3の開口3Dよりもある程度低くなるように設定される。また、槽洗浄工程中では、給水弁14は、常に閉じた状態にある。
【0044】
マイクロコンピュータ21は、槽洗浄工程の最初に、モータ6の駆動力が内槽4に伝達されるようにクラッチ7を切り替える(ステップS11)。次に、マイクロコンピュータ21は、現在の洗濯槽8内の水位を確認する(ステップS12)。洗濯槽8内の水位が洗濯水位W1以上であれば(ステップS12でNO)、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を開いて内槽4の排水を行うことによって洗濯槽8内の水位を下げる(ステップS13)。
【0045】
洗濯槽8内の水位が洗濯水位W1未満であれば(ステップS12でYES)、このタイミングt0において、マイクロコンピュータ21は、引き続き排水弁16を閉じた状態でモータ6を作動させることによって内槽4の回転を開始する(ステップS14)。すると、内槽4の回転に伴う遠心力によって、洗濯槽8内に渦が発生し、洗濯槽8内の水面Sが、図1の2点鎖線で示すように、軸線J側つまり径方向Rの内側の中央部が低くなって径方向Rの外側の外周部が高くなるようにU字状に湾曲する。これにより、洗濯槽8内の水位が、洗濯水位W1及び溢水水位W2を順に上回って槽洗浄水位W3まで上昇する。すると、洗濯槽8内において水面S側つまり上側Z1の水が、溢水口3Eから溢水路17を通って排水路15に導かれ、排水路15を通って機外に排出される。
【0046】
槽洗浄工程において、洗濯槽8内の水位が槽洗浄水位W3を上回って異常水位W4に到達すると(ステップS15でYES)、マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転数を下げることによって洗濯槽8内の水位を下げる(ステップS16)。これにより、洗濯槽8内の水が、外槽3の開口3Dから洗濯槽8の外に漏れることを防止できる。
【0047】
洗濯槽8内の水位が異常水位W4未満である状態において(ステップS15でNO)、ステップS14でのモータ6の回転開始タイミングt0から所定時間t1が経過すると(ステップS17でYES)、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽8内の水位を確認する(ステップS18)。洗濯槽8内の水位が溢水水位W2未満であれば(ステップS18でYES)、マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転数を上げることによって、洗濯槽8内の水位を上昇させる(ステップS19)。洗濯槽8内の水位が溢水水位W2であれば(ステップS18でNO)、マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転数を維持することによって、洗濯槽8内の水位を溢水水位W2で維持する(ステップS20)。
【0048】
洗濯槽8内の水位が溢水水位W2で維持された状態にあるときのモータ6の回転数は、槽洗浄工程中における最大回転数である。最大回転数は、洗濯機1の共振点よりも低い回転数、例えば240rpm以下に設定される。本実施形態では、洗濯槽8内の水位が順調に溢水水位W2に到達した場合の最大回転数は、120rpmであり、所定時間t1の経過時にモータ6の回転数を上昇させた場合(ステップS19)の最大回転数は、150rpmである。洗濯槽8内の水位が異常水位W4に到達することによってモータ6の回転数を低下させた場合(ステップS16)の最大回転数は、70rpmである。
【0049】
このように途中で排水することなく内槽4を回転させると、洗濯槽8内で槽洗浄水位W3まで上昇した水による水流は、開口3Dから洗濯槽8の外に漏れることなく、洗濯槽8内において溢水口3Eの下端3H以上の高さ位置にある汚れに到達する。下端3H以上の高さ位置にある汚れは、外槽3の円周壁3Aの内周面の上部や、内槽4の円周壁4Aの外周面の上部などに存在する。そのため、このような水流及び遠心力によって、特に溢水口3E以上の汚れまで漏れなく除去することができる。除去された汚れは、洗濯槽8内において水面S側の水とともに溢水口3Eから溢水路17を通って排水路15に導かれて排出されるので、この汚れが洗濯槽8に再付着することを防止できる。このような槽洗浄工程によって、洗濯槽8を効果的に洗浄することができる。また、槽洗浄工程は、洗濯運転の度に実行されるので、洗濯槽8が清潔な状態を長期間維持することができる。
【0050】
使用者は、洗濯運転の開始に先立って表示操作部11を操作することによって、洗濯物Qの種類を選択することができる。マイクロコンピュータ21及び表示操作部11は、受付部の一例として機能することによって、洗濯物Qの種類についての選択を受け付ける。マイクロコンピュータ21が受け付けた選択に係る洗濯物Qが毛布である場合には、マイクロコンピュータ21は、槽洗浄工程におけるモータ6の最大回転数、及び、槽洗浄工程の開始時における洗濯槽8内の水位つまり洗濯水位W1の少なくともいずれかを、毛布以外の洗濯物Qの場合よりも低くする。これにより、吸水性の高い洗濯物Qである毛布についての洗濯運転における槽洗浄工程において、洗濯槽8内の水位が異常水位W4まで急上昇して洗濯槽8内の水が外槽3の開口3Dから洗濯槽8の外に漏れることを防止できる。
【0051】
ステップS14でのモータ6の回転開始タイミングt0から、例えば10秒~20秒の所定時間t2が経過すると(ステップS21でYES)、マイクロコンピュータ21は、槽洗浄工程の終盤の排水処理として、排水弁16を開いて洗濯槽8内の水を排出する(ステップS22)。マイクロコンピュータ21は、ステップS22の排水処理中において、モータ6の回転を、例えば30rpmにて継続する。これにより、排水処理中も洗濯槽8内に水流が発生し続けるので、洗濯槽8から除去された汚れを水流内に取り込むことにより、洗濯槽8への汚れの再付着を防止できる。そして、マイクロコンピュータ21は、モータ6を停止させて(ステップS23)、槽洗浄工程を終了する。
【0052】
マイクロコンピュータ21は、槽洗浄工程を複数回実行してもよい。図5は、槽洗浄工程が2回実行される場合のタイムチャートである。図5のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示し、縦軸が、上から順に、水位検出部28の検出結果である洗濯槽8内の水位、モータ6の回転数、及び、排水弁16のON・OFF状態を示す。なお、図5における2回目の槽洗浄工程におけるt0’、t1’、t2’、W1’及びW3’は、1回目の槽洗浄工程における前述したt0、t1、t2、W1及びW3にそれぞれ対応する。
【0053】
マイクロコンピュータ21は、少なくとも1回目の槽洗浄工程の終盤の排水処理(ステップS22)において、排水弁16を開いて洗濯槽8内の水の一部を排出する。そして、マイクロコンピュータ21は、2回目以降の槽洗浄工程におけるモータ6の最大回転数を、1回目の槽洗浄工程におけるモータ6の最大回転数よりも高くする。一例として、1回目の槽洗浄工程におけるモータ6の最大回転数は、70rpmであり、2回目以降の槽洗浄工程におけるモータ6の最大回転数は、120rpmである。
【0054】
この場合、2回目以降の槽洗浄工程では、少ない水が内槽4の高回転による遠心力によって一層高く押し上げられることより、槽洗浄水位W3’が、1回目の槽洗浄工程での槽洗浄水位W3よりも高くなる。そのため、2回目以降の槽洗浄工程では、洗濯槽8内において溢水口3Eの下端3H以上の高さ位置にある汚れのうち、開口3Dに近くにある汚れも漏れなく除去することができる。このような複数の槽洗浄工程によって、洗濯槽8を一層効果的に洗浄することができる。なお、最後の槽洗浄工程の終盤の排水処理(ステップS22)では、洗濯槽8内の水位が零になるまで洗濯槽8内の水が排出される。
【0055】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、洗濯機1における内槽4の軸線Jは、前述した実施形態では上下方向Zに沿って垂直に延びるように配置されるが(図1参照)、縦型洗濯機である洗濯機1には、軸線Jが上下方向Zに対して若干傾斜して配置された構成も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 洗濯機
3 外槽
3D 開口
3E 溢水口
3G 排水口
4 内槽
4D 出入口
4E 貫通穴
6 モータ
8 洗濯槽
11 表示操作部
13 給水路
14 給水弁
15 排水路
16 排水弁
17 溢水路
21 マイクロコンピュータ
28 水位検出部
Q 洗濯物
W3 槽洗浄水位
図1
図2
図3
図4
図5