(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】新型T字型拡幅凸条、ローラ及びローラの応用
(51)【国際特許分類】
B65H 23/022 20060101AFI20250127BHJP
D06C 3/06 20060101ALI20250127BHJP
B65H 23/025 20060101ALN20250127BHJP
【FI】
B65H23/022
D06C3/06 B
B65H23/025
(21)【出願番号】P 2022516699
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 CN2020101658
(87)【国際公開番号】W WO2021103573
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】201922099081.6
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521493374
【氏名又は名称】山▲東▼▲廣▼泰▲環▼保科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】高 毓成
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110422677(CN,A)
【文献】特開2002-086206(JP,A)
【文献】実開昭52-080294(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/022-23/025
D06C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸条として形成されており、下向きに
凸のベースを含み、
前記ベースの上表面に第1の拡布部が垂直に接続され
ことによって、前記ベースと前記第1の拡布部とが逆T字型構造を形成しており、前記第1の拡布部の頂部
から突出した弧状の支持部が設けられ、かつ前記第1の拡布部の横断面積がベースの横断面積よりも小さいことを特徴とする、新型T字型拡幅凸条。
【請求項2】
前記ベースの幅が5~40mmであり、前記ベースの厚さが5mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の新型T字型拡幅凸条。
【請求項3】
前記ベースの下表面は、下向きに突起している場合に、左側面と右側面とを接続する弧状面であり、かつ前記弧状面の矢高が0.28mm以下であることを特徴とする、請求項2に記載の新型T字型拡幅凸条。
【請求項4】
前記第1の拡布部と支持部との間に設けられ、
前記支持部から前記第1の拡布部に向かう方向において断面が大きくなる円錐形であり、一端が支持部に接続され、他端が第1の拡布部に接続される第2の拡布部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の新型T字型拡幅凸条。
【請求項5】
前記ベースの上表面の幅が下表面の幅よりも小さく、前記ベースの側面が上表面と下表面とを接続する平面又は上向きに
凸の弧状面であることを特徴とする、請求項1に記載の新型T字型拡幅凸条。
【請求項6】
前記第1の拡布部の幅が2~25mmであり、及び/又は、
前記支持部の半径が4~125mmであり、かつ前記支持部の頂端と前記ベースの下表面との間の距離が2~18mmであることを特徴とする、請求項1に記載の新型T字型拡幅凸条。
【請求項7】
表面に、らせん状の順方向拡幅凸条及び/又はらせん状の逆方向拡幅凸条が設けられ、前記拡幅凸条が請求項1~6のいずれか1項に記載の新型T字型拡幅凸条を備えることを特徴とする、ローラ。
【請求項8】
前記ローラは、管体を含み、前記管体の両端にそれぞれ軸ヘッドが設けられ、前記軸ヘッドが支持部材により前記ローラの内壁に接続され、
前記支持部材は、本体
と、前記本体の外縁に位置する接続部から斜めに延在する管体接続部とを含み、
前記管体接続部が、前記ローラの前記内壁に接続され、前記
管体接続部と水平面との夾角が鋭角であり、かつ
前記管体接続部の外縁で囲まれた円の直径が、
前記本体の外縁で囲まれた円の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項7に記載のローラ。
【請求項9】
前記管体は、素管を含み、前記素管がステンレス鋼管で覆われ、かつ前記管体の壁の厚さが4mm以上であり、前記ステンレス鋼管の壁の厚さが0.3~3mmであることを特徴とする、請求項8に記載のローラ。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載のローラを備える、アイロン
機。
【請求項11】
請求項7~9のいずれか1項に記載のローラを備える、拡布機。
【請求項12】
請求項7~9のいずれか1項に記載のローラを備える、送出し機。
【請求項13】
請求項7~9のいずれか1項に記載のローラを備える、折り畳み機。
【請求項14】
請求項7~9のいずれか1項に記載のローラを備える、スタッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術分野に関し、特に、新型T字型拡幅凸条、ローラ及びローラの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、開口幅の織物又はフィルムを広げるために使用される部品は2つのタイプある:1つは曲げエキスパンダーロールであり、もう1つはネジエキスパンダーロールである。エキスパンダローラを薄手な生地に応用すると、生地が滑りやすく重量が小さいため、エキスパンド効果が低く、エキスパンド効果を高めるには、1つの対策は、エキスパンダローラの数を増加させるか、又は接触面積を増加させることである。ただし、これによりエキスパンド能力は向上するが、半径方向の引っ張り力が大きすぎるか又は中部に大きすぎる力を受けることにより、生地が損傷しやすい。もう1つの対策は、エキスパンダローラの回転速度を上げることである。ただし、回転速度を上げるには、エキスパンダローラの半径方向のランアウトに対して高い要求があり、ローラの半径方向のランアウトが大きいことにより揺動が発生すれば、生地の損傷を引き起こすこともある。
中国特許はエキスパンダローラ用のT字型凸条を開示し、T字型凸条本体の断面は逆T字型構造であり、前記T字型凸条本体は、拡布部及び接続部を含み、前記拡布部の頂部は円弧状構造であり、前記接続部の上部は前記拡布部の底部に接続され、前記接続部の底部は上向きに湾曲した弧状構造であり、接続部の底部の弧状構造は比較的薄く、ローラの表面にらせん状に巻き付けられるときに、巻き付けによる引っ張り力の影響を受けて平らに引っ張られ、ローラの表面と接触し、接続部の両側がローラの表面と接触し、応力の作用で、両側がローラの表面にしっかり留められ、摩擦力が大きくなることにより、凸条の滑りの問題を解決する。しかし、T字型凸条の拡布部は接続部の中部に配置されるため、接続部の弧状構造の変形を防止することがあり、実際の応用では、接続部の底部を平らにしてローラの表面と完全に接触させることができないため、拡幅凸条とローラの表面との間の摩擦力でも凸条の滑りの問題をうまく解決することはできず、拡幅凸条を不連続はんだ接合で固定する必要があり、凸条の滑りの問題を解決し拡布効果を向上させるために、拡幅凸条及び巻き取りプロセスを改善する。そこで、凸条の滑りの問題を解決するとともに拡布効果を向上させる新型拡幅凸条を開発する。
【発明の概要】
【0003】
上記技術的課題を解決するために、本発明の目的は、新型T字型拡幅凸条、ローラ及びローラの応用を提供することである。
【0004】
本発明の一態様に係る拡幅凸条は、
下表面が平面であるか又は下向きに突起しているベースを含み、
前記ベースの上表面に第1の拡布部が垂直に接続され、前記第1の拡布部の頂部に弧状の支持部が設けられ、かつ前記第1の拡布部の横断面積がベースの横断面積よりも小さい。
【0005】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである:ベースの上表面に第1の拡布部が垂直に接続されるため、拡幅凸条の効果的な拡布高さが増加し、拡布部と布地との接触面積が増加することにより、拡布効果が向上し、第1の拡布部の下表面が平面である場合に上向きに湾曲した弧状構造に比べて、一方で、第1の拡布部の横断面積はベースの横断面積よりも小さく、拡幅凸条は、巻き付けによる引っ張り力の作用で、ベースが、ローラの表面のラジアンに適応して、完全な接触に対応する変形を発生させ、ローラ表面との接触面積を増加させることができ、拡幅凸条を巻き付ける前に加熱することができ、巻き付けが終了すると、拡幅凸条は、温度が低下しながら収縮し、拡幅凸条の熱膨張収縮及び巻き付けによる引っ張り力の作用を十分に利用してローラの表面と緊密に接触させ、加熱温度が摂氏400度を超えると、ベースは、ベースに適したグルーブ痕跡をローラの表面に押し付けることがあり、ベースの底部がローラの表面のグルーブに係止し、第1の拡布部の下表面が下向きに突起している弧状面である場合、ベースの突起している弧状面がローラの表面のグルーブに係止し、拡幅凸条とローラとの間の摩擦力をさらに増加させ、使用時の凸条の滑り現象を効果的に防止し、これは上向きに湾曲した弧状ベースでは達成できない効果であり、また、拡幅凸条は、ローラ表面と完全に接触して隙間の発生を回避し、ローラ及び拡幅凸条を清潔に保ち、布地のエキスパンド効果及び製品の品質に影響を与えず、また、頂部に弧状の支持部が設けられるため、拡幅凸条が布地に傷を付けるのを防止することができる。
【0006】
さらに、前記ベースの幅は5~40mmであり、前記ベースの厚さは5mm以下である。
【0007】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:ベースの幅を増加させ、ベースの厚さを減少させることは、ベースがローラの表面のラジアンに適応して、完全な接触に対応する変形を発生させることができることに役立つ。
【0008】
さらに、前記ベースの下表面は、下向きに突起している場合に、左側面と右側面とを接続する弧状面であり、かつ前記弧状面の矢高が0.28mm以下である。
【0009】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:弧状面の矢高を0.28mm以内に制御することは、加熱後の拡幅凸条がローラ表面に完全に係止できないことにより隙間が発生することを防止することができる。
【0010】
さらに、前記第1の拡布部と支持部との間に設けられ、下部が大きく上部が小さい円錐形であり、一端が支持部に接続され、他端が第1の拡布部に接続される第2の拡布部をさらに含む。
【0011】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:第2の拡布部は下部が大きく上部が小さい円錐形であることにより、第一に、第2の拡布部の側面が傾斜した面であるため、拡幅凸条と布地との間の接触面積をさらに増加させ、拡布効果を向上させることができ、第二に、拡幅凸条の頂部の横断面積を減少させることができ、拡幅凸条の先端はフランネルの表面のウール層に突き出すことができるため、フランネルに対する拡布効果を大幅に向上させる。
【0012】
さらに、前記ベースの上表面の幅が下表面の幅よりも小さく、前記ベースの側面が上表面と下表面とを接続する平面又は上向きに突起している弧状面である。
【0013】
さらに、前記第2の拡布部の側面は弧状面であり、前記第2の拡布部の側面と、第1の拡布部及び支持部との間の接続箇所は角張りがなく滑らかである。
【0014】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:拡幅凸条が作業しているときに布地を傷つけないようにすることができる。
【0015】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:ベースの側面や側面と上下底面との接続部にほこりがたまらないようにすることができ、拡幅凸条を清潔に保つのに役立つ。
【0016】
さらに、前記第1の拡布部の幅は2~25mmであり、及び/又は、
前記支持部の半径は4~125mmであり、かつ前記支持部の頂端と前記ベースの下表面との間の距離は2~18mmである。
【0017】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:具体的なパラメータの設定では、ローラの表面との接触面積を増加させ、大きな摩擦力を維持して凸条の滑りを回避するために、直径の異なるエキスパンダローラに応じて、適切なベースを選択し、ベースの上表面に第1の拡布部が垂直に接続され、拡幅凸条の効果的な拡布高さを増加させることにより、拡布部と布地との接触面積を増加させ、拡布効果を向上させる。また、支持部のラジアンは比較的に緩やかで、作業時に布地に傷を付けるのを防止する。
【0018】
本発明の他の一態様に係るローラは、表面に、らせん状の順方向拡幅凸条及び/又はらせん状の逆方向拡幅凸条が設けられ、前記拡幅凸条は上記のいずれか1項に記載の拡幅凸条を採用する。
【0019】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。第2の拡布部は下部が大きく上部が小さい円錐形であることにより、第2の拡布部の側面は支持部に向かって傾斜しているため、垂直な第1の拡布部と弧状支持部とを直接接続する形態に比べて、拡幅凸条と布地との接触面積をさらに増加させ、拡布効果を向上させることができ、ローラをローラ表面と完全に接触させることができるため、拡幅凸条とローラとの間の摩擦力を増加させ、凸条の滑りを回避する。
【0020】
さらに、前記ローラは、管体を含み、前記管体は、素管を含み、前記素管がステンレス鋼管で覆われ、かつ前記管体の壁の厚さが4mm以上であり、前記ステンレス鋼管の壁の厚さが0.3~3mmである。
【0021】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:ステンレス鋼は熱延性に優れ、拡幅凸条は加熱されている状態で高い温度で巻き付けを完了し、ローラの表面に拡幅凸条に適応するグルーブを形成するため、突起している弧状面が表面に係止して、凸条の滑り現象を回避する。
【0022】
さらに、前記管体の両端にそれぞれ軸ヘッドが設けられ、前記軸ヘッドが支持部材により前記ローラの内壁に接続され、
前記支持部材は、本体を含み、前記本体の外縁が接続部に接続され、前記接続部の他端が支持部に接続され、前記支持部と水平面との夾角は鋭角であり、かつ支持部の外縁で囲まれた円の直径は、接続部の外縁で囲まれた円の直径よりも大きく、
又は、前記支持部材はフランジプレートである。
【0023】
上記のさらなる技術手段を採用することによる有益な効果は以下のとおりである:支持部と水平面との夾角は鋭角であり、支持部材が半径方向の外力(半径方向の内向きの圧力、外向きの引っ張り力など)を受ける場合、接続部が変形を発生させることにより、支持部の傾斜角が増大又は減少することを引き起こし、管体支持部材が管体内に貫入する時に管壁からの半径方向の圧力を受けることにより、支持部の傾斜角が減少することを引き起こし、このとき、接続部の回復応力は解消されず、接続部の回復応力の作用で弾性支持が形成され、設計時に、管体支持部材の直径を管体空洞の直径よりも大きくすることができ、管体支持部材は、管体に貫入した後に締り嵌めを形成して、管体と支持部との間に隙間がないため、管体支持部材の管壁への支持力を増加させ、管体の変形を効果的に防止するとともに、弾性支持を提供し、支持部の傾斜角を減少させるだけでなく、管体支持部材が管体を変形させるのを防止することができ、使用過程で、使用環境により管が弾性変形(曲げ変形など)を発生させた場合、支持部は、管の管径の増大及び減少につれて適応変形を発生させて管を支持することにより、繰り返しの弾性変形による管の塑性変形を防止することができ、管の出荷時の真円度公差を保ち、エキスパンダローラの強度を高め、重量を小さくし、ランアウトを小さくする。
【0024】
本発明の他の態様は、上記ローラを応用するアイロン機、拡布機、送出し機、折り畳み機、スタッカーのうちのいずれか1つを提供し、使用時に、拡幅及び拡布の作用を果たすために、従来のエキスパンダローラを本発明に係るエキスパンダローラに直接置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の新型T字型拡幅凸条の第1の概略断面図である。
【
図2】本発明の新型T字型拡幅凸条の第2の概略断面図である。
【
図3】新型T字型拡幅凸条の第3の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の技術手段をよりよく理解するために、以下、具体的な実施例及び図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0027】
本実施例の新型T字型拡幅凸条は、
ベースを含み、上記ベースの幅が5~40mmであり、上記ベースの厚さが0.5~5mmの範囲である。上記ベースの幅を増加させ、ベースの厚さを減少させることは、ベースがローラの表面のラジアンに適応して、完全な接触に対応する変形を発生させて、拡幅凸条に大きな摩擦力を与えることにより凸条の滑りを防止できることに役立つ。上記ベースの上表面の幅は下表面の幅よりも小さく、上記ベースの側面は上表面と下表面とを接続する平面又は上向きに突起している弧状面であり、拡幅凸条とローラの表面との接触箇所に隙間がなく、ローラ及び拡幅凸条を清潔に保ち、布地のエキスパンド効果及び製品の品質に影響を与えず、上記ベースの下表面は平面であるか又は下向きに突起し、上記ベースの上表面の幅は下表面の幅よりも小さく、上記ベースの側面は上表面と下表面とを接続する平面であるか又は上向きに突起している弧状面である。選択可能な解決手段として、上記ベースの下表面は、下向きに突起している場合に左側面と右側面とを接続する弧状面であり、かつ上記弧状面の矢高が0.28mm以下である。上記ベースの上表面に第1の拡布部が垂直に接続され、上記第1の拡布部の幅は2~25mmであり、第1の拡布部の高さが0.5~8mmに制御され、上記第1の拡布部の頂部に弧状の支持部が設けられ、上記支持部の半径が4~125mmであり、かつ上記支持部の頂端と上記ベースの下表面との距離が2~18mmであり、かつ上記第1の拡布部の横断面積がベースの横断面積よりも小さい。
【0028】
第1の拡布部の下表面が平面である場合に上向きに湾曲した弧状構造に比べて、一方で、第1の拡布部の横断面積はベースの横断面積よりも小さく、拡幅凸条は、巻き付けによる引っ張り力の作用で、ベースが、ローラの表面のラジアンに適応して、完全な接触に対応する変形を発生させ、ローラ表面との接触面積を増加させることができる。拡幅凸条を巻き付ける前に加熱し、巻き付けが終了すると、拡幅凸条は、温度が低下しながら収縮し、拡幅凸条の熱膨張収縮及び巻き付けによる引っ張り力の作用を十分に利用してローラの表面と緊密に接触させ、加熱温度が摂氏400度を超えると、ベースは、ベースに適したグルーブ痕跡をローラの表面に押し付けることがあり、ベースの底部がローラの表面のグルーブに係止し、第1の拡布部の下表面が下向きに突起している弧状面である場合、ベースの突起している弧状面がローラの表面のグルーブに係止し、グルーブ痕跡の両側には外向きに突起が形成され、ベースの突起の両側の凹部と互いに相補するため、凸条の滑りを防止するだけでなく、ローラ表面の美しさに影響を与えない。拡幅凸条とローラとの間の摩擦力をさらに増加させ、使用時中の凸条の滑り現象を効果的に防止し、これは上向きに湾曲した弧状ベースでは達成できない効果であり、その理由について、上向きに湾曲した弧状ベースが加熱及び冷却の前後で変形を発生させることがあり、加熱によって形成されたグルーブ痕跡が、冷却後に隙間が生じることで、第一に、拡幅凸条の緩みを引き起こし、拡布効果を低下させることがあり、第二に、隙間が生じると、生地を傷つけ、拡布効果を低下させることがあり、第三に、隙間が生じると布地を傷つけるリスクがあり、これはお客様に受け入れられないことである。巻き付けが終了すると、拡幅凸条は、温度が低下しながら収縮し、ローラの表面と緊密に接触して、使用時の凸条の滑り現象を効果的に防止する。また、拡幅凸条は、ローラ表面と完全に接触して隙間の発生を回避し、ローラ及び拡幅凸条を清潔に保ち、布地のエキスパンド効果及び製品の品質に影響を与えず、また、頂部に弧状の支持部が設けられるため、拡幅凸条が布地に傷を付けるのを防止することができる。
【0029】
新型T字型拡幅凸条のフランネルに対する拡布効果を向上させるために、上記第1の拡布部と支持部との間に設けられ、下部が大きくて上部が小さい円錐形であり、一端が支持部に接続され、他端が第1の拡布部に接続される第2の拡布部をさらに含み、拡幅凸条の頂部の横断面積を減少させ、拡幅凸条の先端はフランネルの表面のウール層に突き出すことができるため、フランネルに対する拡布効果を大幅に向上させ、上記第2の拡布部の側面と、第1の拡布部及び支持部との間の接続箇所は滑らかであるため、拡幅凸条が作業しているときに布地を傷つけないようにする。
【0030】
本実施例に係るローラは、表面に、らせん状の順方向拡幅凸条及び/又はらせん状の逆方向拡幅凸条が設けられ、上記拡幅凸条は上記のいずれか1項に記載の新型T字型拡幅凸条を採用する。
【0031】
また、上記管体は、素管を含み、上記素管がステンレス鋼管で覆われ、かつ上記管体の壁の厚さが4mm以上であり、上記ステンレス鋼管の壁の厚さが0.3~3mmであるため、ローラの機械的特性及び表面品質を向上させ、ステンレス鋼管は、延展性に優れるため、拡幅凸条を加熱した後、ローラ表面にグルーブ痕跡を押し付け、ローラの表面に滑り止め部材に適合する滑り止め溝を形成し、拡幅凸条とローラとの間の摩擦力を増加させることに役立つことができる。
【0032】
選択可能な手段として、上記ローラは、管体を含み、上記管体の両端にそれぞれ軸ヘッドが設けられ、上記軸ヘッドが支持部材により上記ローラの内壁に接続され、上記支持部材は、本体を含み、上記本体に軸ヘッドに適合する軸孔が設けられ、上記本体の外縁が接続部に接続され、上記接続部の他端が支持部に接続され、支持部と水平面との夾角は鋭角であり(上記支持部と垂直面との夾角αは90°~150°である)、かつ上記支持部の外縁で囲まれた円の直径は、接続部の外縁で囲まれた円の直径よりも大きく、上記支持部材は上記軸ヘッドの外側に固定的に嵌着され、支持部材が半径方向の外力(半径方向の内向きの圧力、外向きの引っ張り力など)を受ける場合、接続部が変形を発生させることにより、支持部と水平面との間の夾角が増大又は減少することを引き起こし、管体支持部材が管体に貫入する際に、管壁からの半径方向の圧力を受けることにより、支持部の傾斜角が減少することを引き起こし、このとき、接続部の回復応力は解消されず、接続部の回復応力の作用により支持部は弾性支持を形成し、設計時に、管体支持部材の直径を管内腔の直径よりも大きくすることができる。管体支持部材は、管体に貫入した後に締り嵌めを形成して、管体と支持部との間に隙間がないため、管体支持部材の管壁に対する支持力を増加させ、管体の変形を効果的に防止するとともに、弾性支持を提供し、支持部の傾斜角を減少させるだけでなく、管体支持部材が管体を変形させるのを防止することができ、使用過程で、使用環境により管が弾性変形(曲げ変形など)を発生させた場合、支持部は、管の管径の増大及び減少につれて適応変形を発生させて管を支持することにより、繰り返しの弾性変形による管の塑性変形を防止することができ、管の出荷時の真円度公差を保ち、ローラのランアウトを減少させ、ローラの高回転速度に適応する。
【0033】
上記ローラを応用するアイロン機、拡布機、送出し機、折り畳み機、スタッカーのうちのいずれか1つを提供し、使用時に、本発明に係るローラは、エキスパンド及び拡布の作用を果たすために、同じ機能を有する従来の拡幅ローラを直接置換すればよい。
【0034】
以上の説明は、本願の好ましい実施例及び応用される技術原理を説明するものにすぎない。当業者であれば、本願に関する実用新案の範囲は、上記技術的特徴の特定の組み合わせによって形成される技術手段に限定されず、また、上記実用新案の概念から逸脱しない場合で、上記技術的特徴又はそれらの同等物の任意の組み合わせによって形成される他の技術手段を含むべきであることを理解すべきである。例えば、上記特徴は、本願で開示されるもの(ただし、これらに限定されない)と同様の機能を有する。
【符号の説明】
【0035】
1 新型T字型拡幅凸条
11 ベース
12 下表面
13 第1の拡布部
14 第2の拡布部
15 支持部
2 ローラ
3 軸ヘッド
4 支持部材
41 本体
42 接続部
43 管体支持部
44 軸孔
5 管体
51 素管
52 ステンレス鋼管