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特許7625303工業プロセスインテリジェント制御方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】工業プロセスインテリジェント制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20250127BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20250127BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G06N3/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023532804
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2020132679
(87)【国際公開番号】W WO2022110115
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】322003134
【氏名又は名称】株式会社SmartLaser&PlasmaSystems
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】王 珍珍
(72)【発明者】
【氏名】厳 俊傑
(72)【発明者】
【氏名】出口 祥啓
(72)【発明者】
【氏名】神本 崇博
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-028502(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107622276(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105974793(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00- 23/02
G06N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止条件に達していない場合、制御対象の生の測定データを測定装置によって取得するステップと、
前記生の測定データを分析して、分析後の第1の測定データを取得するステップと、
前記第1の測定データと異なる時間に測定され、分析された複数の第2の測定データ及び前記複数の第2の測定データに対応する温度場及び濃度場の複数のCFDデータを教師データとして用いて学習した深層学習モデルに、前記第1の測定データを入力することによって、前記深層学習モデルから出力される温度場及び濃度場の最適なCFDデータを取得し、取得した前記最適なCFDデータに基づいて制御スキームを決定するステップと、
前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御するステップと、を含むことを特徴とする工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項2】
データベースに前記複数の第2の測定データ及び前記複数の第2の測定データに対応する前記複数のCFDデータを記憶するステップと
前記データベースに記憶された前記複数の第2の測定データ及び前記複数のCFDデータ教師データとして用いて、前記深層学習モデルに学習させるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項3】
前記生の測定データを分析して、分析後の第1の測定データを取得するステップは、
リアルタイムで収集された測定装置の生の測定データに基づいて、分析モデルを決定することと、
決定された分析モデルによって、分析後の測定データを取得することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項4】
前記生の測定データは、温度、圧力、流量、液位、成分、濃度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項5】
前記測定装置はレーザ測定装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項6】
前記測定装置は、コンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法のレーザ測定装置であることを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項7】
前記停止条件は、生産時間の終了または制御目標の達成のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスインテリジェント制御方法。
【請求項8】
制御対象を制御するための工業プロセスインテリジェント制御システムであって、
前記工業プロセスインテリジェント制御システムは、測定装置、分析モジュール、プロセス制御プラットフォーム及び自動制御装置を含み、
前記測定装置は、停止条件に達していない場合、制御対象の生の測定データを取得するためのものであり、
前記分析モジュールは、前記生の測定データを分析して、分析後の第1の測定データを取得するためのものであり、
前記プロセス制御プラットフォームは、前記第1の測定データと異なる時間に測定され、分析された複数の第2の測定データ及び前記複数の第2の測定データに対応する温度場及び濃度場の複数のCFDデータを教師データとして用いて学習した深層学習モデルに、前記第1の測定データを入力することによって前記深層学習モデルから出力される温度場及び濃度場の最適なCFDデータを取得し、取得した前記最適なCFDデータに基づいて制御スキームを決定するためのものであり、
前記自動制御装置は、前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御するためのものであることを特徴とする工業プロセスインテリジェント制御システム。
【請求項9】
前記プロセス制御プラットフォームは、
前記複数の第2の測定データ及び前記複数の第2の測定データに対応する前記複数のCFDデータを記憶するためのデータベースユニットと、
前記データベースユニットに記憶された前記複数の第2の測定データ及び前記複数のCFDデータを教師データとして用いて、前記深層学習モデルに学習させる深層学習モデルユニットと、を含むことを特徴とする請求項に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム。
【請求項10】
前記分析モジュールは、
リアルタイムで収集された測定装置の生の測定データに基づいて、分析モデルを決定するための分析モデル決定ユニットと、
決定された分析モデルによって分析し、分析後の測定データを取得するための分析ユニットと、を含むことを特徴とする請求項に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム。
【請求項11】
前記生の測定データは、温度、圧力、流量、液位、成分、濃度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム
【請求項12】
前記測定装置はレーザ測定装置を含むことを特徴とする請求項9に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム
【請求項13】
前記測定装置はコンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術に基づくレーザ測定装置又はレーザ誘起ブレークダウン分光法技術に基づくレーザ測定装置であることを特徴とする請求項に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム
【請求項14】
前記停止条件は、生産時間の終了または制御目標の達成のいずれかを含むことを特徴とする請求項に記載の工業プロセスインテリジェント制御システム
【請求項15】
端末デバイスであって、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに請求項1-の1つ又は複数に記載の方法を実行させる命令が記憶されている1つ又は複数の機械可読媒体とを含むことを特徴とする端末デバイス。
【請求項16】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、端末デバイスに請求項1-の1つ又は複数に記載の方法を実行させる命令が記憶されている1つ又は複数の機械可読媒体。
【請求項17】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、端末デバイスに請求項1-8の1つ又は複数に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は工業プロセス制御分野に関し、特に工業プロセスインテリジェント制御方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス制御は、電力、石油、化学工業、冶金等の工業生産で幅広い用途がある。温度、圧力、流量、液位、成分、濃度等のプロセスパラメータを制御することにより、工業プロセスの効率を向上させ、エネルギー消費を削減し、生産量を増やすことができる。技術革新の継続的な進歩に伴い、工業生産プロセスは、さらなるエネルギー節約とインテリジェンスに向けて発展している。
【0003】
プロセスパラメータの迅速で正確な測定は、工業プロセス制御を実現するための基本的な前提条件である。非接触レーザ測定技術は、潜在的で前向きなオンライン分析技術として、既存の検出技術と比較して、大きな利点がある。高精度の非接触レーザ測定は、高温で過酷な環境でのオンラインの正確で迅速な測定の要件を満たすことができ、その測定データは、統合されたインテリジェントな工業生産システムを構築するための基礎となり、情報システムと物理システムの効率的な統合とインテリジェントな制御の基盤を築く。
【0004】
従って、コンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術(CT-TDLAS)及びレーザ誘起ブレークダウン分光法技術(LIBS)等のレーザ測定技術の発展により、工業プロセスでの温度と材料組成のその場、非接触及び高時間・空間分解能のオンライン測定が実現される。高精度レーザ測定と数値シミュレーションとを結合した工業プロセスインテリジェント監視制御プラットフォームは、工業測定制御分野におけるプロセス監視制御の重要な開発方向となり、実用性が高い。
【0005】
しかしながら、今日の工業プロセス制御には、さまざまな問題があり、例えば、測定において発生しやすい問題は、表面測定ではなく点測定のみが実現可能であること、非オンライン測定、非高速であり、制御において発生しやすい問題は、測定方法の欠陥により、制御の遅延や調整の遅れがある問題、CFDシミュレーションで検証・最適化のための測定データが必要であり、シミュレーション結果の精度が不十分である問題、データ量が不足である等の問題である。
【0006】
例えば、CFDシミュレーション分析の応答速度が遅く、シミュレーション時間が長すぎ、シミュレーション結果が十分に正確でないため、調整の遅れや不正確なシミュレーション分析などの問題が発生し、間接的にプロセス制御プラットフォームによって出力されるパラメータの精度が不十分になり、正確な制御を実現できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に鑑み、本発明の一実施例は、従来技術に存在する問題を解決するように、工業プロセスインテリジェント制御方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本願の一実施例は工業プロセスインテリジェント制御方法を開示し、当該方法は、
停止条件に達していない場合、制御対象の生の測定データを取得するステップと、
前記生の測定データを分析して、分析後の測定データを取得するステップと、
深層学習モデルによって、前記分析後の測定データを学習し、制御スキームを決定するステップと、
前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御するステップと、を含む。
【0009】
上記問題を解決するために、本願の一実施例は、端末デバイスを更に開示し、当該端末デバイスは、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに前記方法を実行させる命令が記憶されている1つ又は複数の機械可読媒体とを含む。
【0010】
上記問題を解決するために、本願の一実施例は、工業プロセスインテリジェント制御システムを更に開示し、前記工業プロセスインテリジェント制御システムは、測定装置、分析モジュール、プロセス制御プラットフォーム及び自動制御装置を含み、
前記測定装置は、停止条件に達していない場合、制御対象の生の測定データを取得するためのものであり、
前記分析モジュールは、前記生の測定データを分析して、分析後の測定データを取得するためのものであり、
前記プロセス制御プラットフォームは、深層学習モデルによって、分析後の測定データを学習し、制御スキームを決定するためのものであり、
前記自動制御装置は、前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御するためのものである。
【0011】
本願の一実施例は、端末デバイスを更に開示し、当該端末デバイスは、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに上記方法を実行させる命令が記憶されている1つ又は複数の機械可読媒体とを含む。
【0012】
本願の一実施例は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、端末デバイスに上記方法を実行させる命令が記憶される1つ又は複数の機械可読媒体を開示した。
【発明の効果】
【0013】
上記から、本願の実施例は、以下の利点を有することが分かっている。
【0014】
本発明の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法によれば、前記新世代のプロセス制御プラットフォームにより、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び前記制御対象の工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、要件と期待に応える制御効果を得ることができる。
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれら実施例に基づいてその他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の一実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムのブロック図である。
図2図2は、本発明実施例に係る深層学習プロセス1と対応する深層学習モデルのアーキテクチャの模式図である。
図3図3は、本発明実施例に係る深層学習プロセス2と対応する深層学習モデルのアーキテクチャの模式図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法のフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る火力発電所でのインテリジェント制御システムのブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る半導体工業プロセスでのインテリジェント制御システムのブロック図である。
図7図7は、本発明に係る方法を実行するための端末デバイスを模式的に示すブロック図である。
図8図8は、本発明の方法を実現するプログラムコードを保持または携帯するための記憶ユニットを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。説明する実施例がすべての実施例ではなく、本願の実施例の一部に過ぎないことは明らかである。当業者が本願における実施例に基づいて得るすべての他の実施例は、本願の保護範囲に属する。
第1の実施例
【0017】
本発明の第1の実施例は、工業プロセスインテリジェント制御システムを提供する。図1は、本発明の一実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムのブロック図である。本発明実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムは、幅広い用途があり、例えばレーザによって温度場および濃度場を測定することに適用することができ、前記工業プロセスインテリジェント制御システムは、制御対象を制御するためのものであり、測定装置10、分析モジュール20、プロセス制御プラットフォーム30及び自動制御装置40を含む。
【0018】
前記測定装置10は、制御対象の生の測定データを取得するためのものであり、
前記分析モジュール20は、前記生の測定データを分析して、分析後の測定データを取得するためのものであり、
前記プロセス制御プラットフォーム30は、前記分析後の測定データに従って、制御スキームを決定するためのものであり、
前記自動制御装置40は、前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御するためのものであり、
停止条件に達していない場合、前記測定装置10は、前記生の測定データを測定する操作を繰り返して実行する。
【0019】
測定装置10は、例えばコンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術、レーザ誘起ブレークダウン分光法技術等の様々なレーザ測定技術を実施するレーザ測定装置であり、従来の測定装置であってもよい。生の測定データは測定によって得られたデータである。しかし、この装置に限定されず、測定要件を満たす他の測定装置は、いずれも本発明に係る工業プロセスインテリジェント制御システムに適用可能である。本発明の実施例では、レーザ測定装置は、取得された生の測定データをリアルタイムで測定し、測定装置及び測定パラメータ要求に基づいて、対応する測定方法の分析モジュール20を選択する。分析モジュール20は、分析モデルであってもよく、リアルタイムで収集された測定装置の生の測定データを分析し、分析後の測定データ、つまり取得する必要のある工業プロセスのプロセスパラメータを取得する。
【0020】
本発明の実施例では、工業プロセス特徴、及び迅速かつ正確に測定する必要のある工業プロセスパラメータに基づいて、制御対象に必要な測定装置を構築する。上記工業プロセスは、例えば火力発電所、半導体工業、エンジン、ガスタービン及び冶金工業等の分野が温度、圧力、流量、液位、成分、濃度等のプロセスパラメータを取得する必要がある工業プロセスである。本発明の実施例のモジュール20によって分析された後の測定データは、例えば温度、圧力、流量、液位、成分、濃度等のプロセスパラメータである。以下、これを例として説明する。
【0021】
図1に示すように、プロセス制御プラットフォーム30は、深層学習モデル50により分析後の測定データを学習し、ここでの分析後の測定データのソースは、レーザ測定方法に限定されず、他の測定方法によって取得された他のプロセスパラメータも含む。学習結果に応じて制御対象のCFDシミュレーションモジュール70を最適化して、最適化されたCFDデータを取得し、CFDデータベース60を確立し、CFDビッグデータ分析プラットフォームを開発する。
【0022】
分析後の測定データと既存のCFDデータとを組み合わせて、深層学習モデル50の深層学習により、最適化されたCFDデータを取得し、更に最適化されたCFDデータに基づいて、プロセス制御プラットフォーム30により制御スキームを提供する。
【0023】
自動制御装置40は、プロセス制御プラットフォーム30によって提供された制御スキームに従ってクチュエーターを作動させて、制御作用量を調整し、さらに制御対象100の被制御変数を変更する。
停止条件に達していない場合、測定装置10により制御対象100を繰り返し測定し、前記プロセス制御プラットフォーム30により、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、条件を満たすプロセスパラメータを取得して、期待される制御効果を達成する。
【0024】
工業プロセスにおけるプロセスパラメータの測定と制御は、動的調整状態にあり、プロセスパラメータをリアルタイムで監視することができ、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って、自動制御装置40によって制御対象100を制御する必要があるかどうかを分析する。
【0025】
レーザ測定に基づく工業プロセスインテリジェント制御システムの制御プロセスでの評価は、1.レーザ測定方法自体の評価指標、2.CFDシミュレーションモデル自体の評価指標、3.測定結果とシミュレーション結果との誤差、4.被制御変数の測定値と被制御変数の設定値との誤差、及び、5.工業プロセスの効率やエネルギー消費などの総合評価指標、という5つの側面から分析できる。各評価指標、誤差及び総合評価指標がグローバルに最適である場合、期待される制御効果が達成される。いくつかの実施例では、停止条件は、期待される制御条件に到達すること、または生産時間に到達すること等であってもよい。停止条件に到達したと判断されると、サイクル測定を停止する。
【0026】
図1はプロセス制御プラットフォーム30に係る2つの深層学習プロセスを示し、それぞれ断線で示す深層学習プロセス1と深層学習プロセス2である。制御対象100の異なる動作状況下での測定データ及びCFDデータの最適化並びにCFDデータベースに対してビッグデータを形成することは、深層学習プロセス1であり、この学習プロセスは長期プロセスであり、データ蓄積は数ヶ月または数年がかかり、データ量は非常に重要である。リアルタイム測定データとCFDデータベース内の既存のCFDデータによりCFDデータを最適化し、更にプロセス制御プラットフォームにより制御スキームを提供することは、深層学習プロセス2であり、本学習プロセスは、過渡リアルタイムプロセスであり、適時性は非常に重要である。
【0027】
上記2つの深層学習のプロセスは、それぞれ異なる深層学習モデルで実行されてもよく、同一の深層学習モデルで実行されてもよい。本発明では、深層学習モデル50のみで2つの異なる深層学習プロセス1と2を実行する実行機構を表す。他の実施例では、例えば、深層学習プロセス2は1つの深層学習モデルで実行され得るとともに、深層学習プロセス1は別の深層学習モデルで実行され得る。
【0028】
深層学習プロセス1に対して、図2は深層学習プロセス1に対するモデルアーキテクチャの模式図である。図2に示すように、深層学習モデルでは、入力層1は異なる時間の測定データ及び深層学習プロセス2の結果誤差であり、入力層2はCFDモデルの様々なパラメータであり、出力層はCFDモデルに従って計算された最適化されたCFDデータである。出力されたCFDデータに基づいて、CFDデータベースを確立し、CFDビッグデータを形成する。
【0029】
深層学習プロセス2に対して、図3は、深層学習プロセス2に対するモデルアーキテクチャの模式図である。図3に示すように、深層学習モデルでは、入力層1はリアルタイム測定データであり、入力層2は、既存のCFDデータに対して単純な代数演算を行った結果を含む既存のCFDデータベース内のCFDデータであり、出力層は、既存のCFDデータに基づいて計算された最適化されたCFDデータであり、さらに最適化されたCFDデータに基づいて、プロセス制御プラットフォームにより制御スキームを提供する。
【0030】
オプションの実施形態では、前記プロセス制御プラットフォーは、それぞれ下記操作を実行するための第1のデータベースユニットと第1の深層学習モデルユニットとを更に含んでもよく、
第1のデータベースユニットは、複数の分析後の測定データを記憶するためのものであり、
第1の深層学習モデルユニットは、第1の深層学習モデルによって、記憶された複数の分析後の測定データを学習し、前記第1の深層学習モデルによって処理されたCFDデータを出力するためのものである。
【0031】
オプションの実施形態では、前記プロセス制御プラットフォームは、それぞれ下記操作を実行するための第2のデータベースユニットと第2の深層学習モデルユニットとを更に含んでもよく、
第2のデータベースユニットは、複数の分析後の測定データと履歴CFDデータを記憶するためのものであり、
第1の深層学習モデルユニットは、第2の深層学習モデルによって、記憶された複数の分析後の測定データと履歴CFDデータを学習し、CFDシミュレーションモジュールを最適化するためのものである。
【0032】
オプションの実施形態では、前記分析モジュールは、それぞれ下記操作を実行するための分析モデル決定ユニットと分析ユニットとを更に含んでもよく、
分析モデル決定ユニットは、リアルタイムで収集された測定装置の生の測定データに基づいて、分析モデルを決定するためのものであり、
分析ユニットは、決定された分析モデルによって分析し、分析後の測定データを取得するためのものである。
【0033】
上記から分かるように、本発明の第1の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムは、少なくとも下記の技術効果を有する。
【0034】
本発明の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムによれば、前記新世代のプロセス制御プラットフォームにより、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び前記制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、要件と期待に応える制御効果を得ることができる。
【0035】
さらに、本実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムは、少なくとも下記の利点を更に有する。
【0036】
本発明の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御システムによれば、プロセス制御プラットフォームの内部では、深層学習などの人工知能アルゴリズムにより、分析後の測定データを学習し、ここでの分析後の測定データのソースは、レーザ測定方法に限定されず、他の測定方法によって取得された他のプロセスパラメータも含む。学習結果に応じて制御対象のCFDシミュレーションモジュールを最適化して、最適化されたCFDデータを取得し、CFDデータベースを確立し、CFDビッグデータ分析プラットフォームを開発する。分析後のリアルタイム測定データと既存のCFDデータとを組み合わせて、プロセス制御プラットフォームの深層学習により、最適化されたCFDデータを取得し、更に最適化されたCFDデータに基づいて、プロセス制御プラットフォームにより制御スキームを提供する。自動制御装置は、プロセス制御プラットフォームによって提供された制御スキームに従ってクチュエーターを作動させて、制御作用量を調整し、更に制御対象の被制御変数を変更する。測定装置により制御対象を繰り返し測定し、前記プロセス制御プラットフォームにより、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、条件を満たすプロセスパラメータを取得して、期待される制御効果を達成する。
【0037】
工業プロセスにおけるプロセスパラメータの測定と制御は、動的調整状態にあり、プロセスパラメータをリアルタイムで監視することができ、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って、自動制御装置によって制御対象を制御する必要があるかどうかを分析する。
【0038】
本発明の制御システム及び方法は、火力発電所および半導体工業プロセスに適しているだけでなく、工業プロセスのインテリジェント制御を実現するように、エンジン、ガスタービン及び冶金工業等の分野にも普及させることができる。しかし、これらの分野に限定されない。
【0039】
本発明は、制御対象のCFDシミュレーションモデルを確立し、制御対象の異なる動作状況下でのCFDデータを計算し、計算されたCFDデータをデータベースの形でプロセス制御プラットフォームに提供する。プロセス制御プラットフォームの内部では、深層学習などの人工知能アルゴリズムにより、分析後の測定データを蓄積して学習し、学習結果に応じて制御対象のCFDシミュレーションモジュールを最適化して、最適化されたCFDデータを取得する。制御対象の異なる動作状況下でのCFDデータ及び深層学習によって最適化されたCFDデータに基づいて、CFDデータベースを確立し、プロセス制御プラットフォームではCFDビッグデータ分析プラットフォームを開発する。制御対象のリアルタイムプロセスパラメータは動的測定状態にあり、深層学習によって最適化されたCFDデータも動的調整状態にあり、確立されたCFDデータベースは常に更新および改善されている。プロセス制御プラットフォームでは、分析後の測定データ、CFDデータ及び最適化されたCFDデータの間で、深層学習などの人工知能アルゴリズムによりデータ分析が実行される。
第2の実施例
【0040】
本発明の第2の実施例は工業プロセスインテリジェント制御方法を提供する。図4は本発明の第2の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法のステップのフローチャートである。図4に示すように、本発明実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法は、下記のステップを含む。
【0041】
S101、停止条件に達していない場合、制御対象の生の測定データを取得する。
【0042】
このステップでは、実行機構は、例えば工業プロセスインテリジェント制御システムの測定装置10であり、測定装置10は、例えばコンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術、レーザ誘起ブレークダウン分光法技術等の様々なレーザ測定技術を実施するレーザ測定装置であり、従来の測定装置であってもよいが、この装置に限定されず、測定要件を満たす他の測定装置は、いずれも本発明に係る工業プロセスインテリジェント制御方法に適用可能である。生の測定データは例えば測定によって得られたデータである。
【0043】
レーザ測定に基づく工業プロセスインテリジェント制御システムの制御プロセスでの評価は、1.レーザ測定方法自体の評価指標、2.CFDシミュレーションモデル自体の評価指標、3.測定結果とシミュレーション結果との誤差、4.被制御変数の測定値と被制御変数の設定値との誤差、及び、5.工業プロセスの効率やエネルギー消費などの総合評価指標、という5つの側面から分析できる。各評価指標、誤差及び総合評価指標がグローバルに最適である場合、期待される制御効果が達成される。いくつかの実施例では、停止条件は、期待される制御条件に到達すること、または生産時間に到達すること等であってもよい。停止条件に到達したと判断されると、サイクル測定を停止する。
【0044】
S102、前記生の測定データを分析して、分析後の測定データを取得する。
【0045】
このステップでは、実行機構は、例えば工業プロセスインテリジェント制御システムの分析モジュール20である。分析モジュール20は、分析モデルであってもよく、リアルタイムで収集された測定装置の生の測定データを分析し、分析後の測定データ、つまり取得する必要のある工業プロセスのプロセスパラメータを取得する。
【0046】
S103、深層学習モデルによって、分析後の測定データを学習し、制御スキームを決定する。
【0047】
このステップを実行する主体は、例えば工業プロセスインテリジェント制御システムのプロセス制御プラットフォーム30である。プロセス制御プラットフォーム30は、深層学習モデル50により分析後の測定データを学習し、分析後の測定データを深層学習モデルによって最適化し、最適化されたCFDデータに従って制御スキームを生成する。
【0048】
S104、前記制御スキームから取得された制御作用量に基づいて、前記制御対象を制御する。
【0049】
このステップでは、実行機構は、例えば工業プロセスインテリジェント制御システムの自動制御装置40である。自動制御装置40は、プロセス制御プラットフォーム30によって提供された制御スキームに従ってクチュエーターを作動させて、制御作用量を調整し、さらに制御対象100の被制御変数を変更する。
【0050】
上記から分かるように、本発明の第2の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法は、少なくとも下記の技術効果を有する。
【0051】
本発明の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法によれば、前記新世代のプロセス制御プラットフォームにより、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び前記制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、要件と期待に応える制御効果を得ることができる。
【0052】
さらに、本実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法は、少なくとも下記の利点を更に有する。
【0053】
本発明の実施例に係る工業プロセスインテリジェント制御方法によれば、プロセス制御プラットフォームの内部では、深層学習などの人工知能アルゴリズムにより、分析後の測定データを学習し、ここでの分析後の測定データのソースは、レーザ測定方法に限定されず、他の測定方法によって取得された他のプロセスパラメータも含む。学習結果に応じて制御対象のCFDシミュレーションモジュールを最適化して、最適化されたCFDデータを取得し、CFDデータベースを確立し、CFDビッグデータ分析プラットフォームを開発する。分析後のリアルタイム測定データと既存のCFDデータとを組み合せて、プロセス制御プラットフォームの深層学習により、最適化されたCFDデータを取得し、更に最適化されたCFDデータに基づいて、プロセス制御プラットフォームにより制御スキームを提供する。自動制御装置は、プロセス制御プラットフォームによって提供された制御スキームに従ってクチュエーターを作動させて、制御作用量を調整し、更に制御対象の被制御変数を変更する。測定装置により制御対象を繰り返し測定し、前記プロセス制御プラットフォームにより、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って分析して判断し、条件を満たすプロセスパラメータを取得して、期待される制御効果を達成する。
【0054】
工業プロセスにおけるプロセスパラメータの測定と制御は、動的調整状態にあり、プロセスパラメータをリアルタイムで監視することができ、被制御変数の設定値と被制御変数の測定値との間の誤差、及び制御対象工業プロセスの様々な評価指標に従って、自動制御装置によって制御対象を制御する必要があるかどうかを分析する。
【0055】
本発明の制御システム及び方法は、火力発電所および半導体工業プロセスに適しているだけでなく、工業プロセスのインテリジェント制御を実現するように、エンジン、ガスタービン及び冶金工業等の分野にも普及させることができる。しかし、これらの分野に限定されない。
第3の実施例
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る火力発電所でのインテリジェント制御システムのブロック図である。図5に示すように、火力発電所のボイラー制御を例とし、工業プロセスの温度場と組成濃度場のレーザ測定と数値シミュレーションとを結合したインテリジェント監視制御システム及び方法を具体的に説明する。コンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術を使用して、ボイラーの燃焼室とテール煙道の温度分布及び他の成分の濃度分布を測定することにより、ビッグデータ、モノのインターネット、クラウドプラットフォーム等のハイエンドテクノロジーの火力発電所への適用を実現し、これにより火力発電所の効率を向上させ、火力発電所の省エネと排出削減を実現して、火力発電所のプロセスインテリジェント制御を実現する。
【0057】
図5に示すシステムは、主に測定制御システムとインテリジェント監視制御プラットフォームの2つの部分を含む。測定制御システム部分では、ボイラーの燃焼室構造とテール煙道構造に基づいてCT-TDLAS測定装置が構築され、それぞれ燃焼室の内部温度場とガス組成濃度場、テール煙道の温度場及び脱窒装置前後の窒素酸化物とアンモニアの濃度場等を測定する。各測定装置の生の測定データをリアルタイムで収集し、分析モジュールにより生の測定データを分析して燃焼室とテール煙道の測定断面の温度場とガス濃度場を取得し、且つディスプレイに分析後の測定データを表示することができる。新世代のプロセス制御プラットフォームの分析により制御スキームを提供する。燃焼室とテール煙道の温度とガス濃度が設定値を満たして、期待される制御効果を達成するように、自動制御装置によりボイラーの粉末供給量と二次風量等を調整する。
【0058】
インテリジェント監視制御プラットフォーム部分では、CT-TDLASの測定データをaiで表し、CT-TDLASの履歴測定データからCT-TDLASデータベースAiを確立する。ボイラー構造に基づいて、異なる動作状況下でのボイラー燃焼プロセスのCFDシミュレーションモデルを確立する。CFDモデルパラメータを設定することにより、CFDのシミュレーション結果を取得し、例えば温度場と濃度場のCFDデータを取得し、CFDデータベースDiを確立する。CT-TDLAS測定装置のレーザ光路構造に基づいて、CT-TDLASデータとCFDデータの温度と濃度分布の各経路上の平均値、変動値及び確率密度関数をそれぞれ取得し、それぞれBiとB^iで表し、CT-TDLAS測定結果経路統計値のデータベースBiとCFDシミュレーション結果経路統計値のデータベースB^iを比較する。CFDモデルパラメータデータベースCiとCFDデータベースDiにより補正関数を構成し、及び測定結果経路統計値のデータベースBiとシミュレーション結果経路統計値のデータベースB^iとの差値によりラベルを構成し、深層学習方法でデータの前処理、特徴の選択、モデルの構築及びパラメータ最適化及び評価等のプロセスを実行する。深層学習を経たモデル誤差が設定値誤差ε以上である場合、深層学習プロセスにおけるモデルパラメータの最適化を継続する。深層学習を経たモデル誤差が設定値誤差ε未満である場合、シミュレーション結果と測定結果との誤差が最小のCFDモデルパラメータを出力し、確立されたモデルパラメータデータベースCiを更新して改善して、最適化されたCFDデータを取得し、さらに確立されたCFDデータベースDiを更新して改善する。
【0059】
インテリジェント監視制御プラットフォーム部分では、長期蓄積プロセスと過渡リアルタイムプロセスの2種類の深層学習プロセスが含まれている。長期蓄積プロセスは、測定データとCFDシミュレーションデータの蓄積でCFDデータベースを取得してCFDビッグデータを形成することである。過渡リアルタイムプロセスは、リアルタイム測定データと既存のCFDデータに基づいて、最適化されたCFDデータを取得して、制御スキームbiを提供することである。
【0060】
この例では、CT-TDLASレーザ測定に基づく火力発電所インテリジェント制御システムの、制御プロセスでの評価は、深層学習プロセスでのモデル誤差分析測定結果とシミュレーション結果から評価されることに加えて、火力発電所インテリジェント制御システムは、
TDLAS測定温度と測定濃度の精度及びCTアルゴリズムの再構築精度等のCT-TDLAS測定方法の評価、
グリッドスケール誤差、タイムステップ誤差、反復誤差及び入力パラメータ誤差等のCFDシミュレーション誤差、
燃焼室内部温度とガス組成濃度、テール煙道温度及び脱窒装置前後の窒素酸化物とアンモニアの濃度等の、測定値と設定値との間の誤差、
ガスタービンユニットの蒸気消費量と熱消費量、発電所の熱消費量、発電所の石炭消費量と発電効率等の発電所熱経済指標、
などの側面から分析および評価することもできる。各評価指標、誤差及び総合評価指標がグローバルに最適である場合、期待される制御効果が達成される。
第4の実施例
【0061】
図6は本発明の実施形態に係る半導体工業プロセスでのインテリジェント制御システムのブロック図である。図6に示すように、半導体製造プロセスにおける成膜装置制御を例とし、工業プロセス温度場と組成濃度場のレーザ測定と数値シミュレーションとを結合したインテリジェント監視制御システム及び方法を具体的に説明する。コンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術を使用して、成膜装置内の温度場とガス濃度場分布を測定することにより、半導体材料の性能を制御する目的を達成する。
【0062】
ただし、本発明の制御システム及び方法は、火力発電所および半導体工業プロセスに適しているだけでなく、工業プロセスのインテリジェント制御を実現するように、エンジン、ガスタービン及び冶金工業等の分野にも普及させることができる。しかし、これらの分野に限定されない。なお、本発明に採用されるレーザ測定技術は、コンピュータ断層撮影-波長可変半導体レーザ吸収分光法技術を含むだけでなく、レーザ誘起ブレークダウン分光法技術等も含む。
【0063】
図7は、本願の一実施例に係る端末デバイスのハードウェア構造の模式図である。図7に示すように、当該端末デバイスは入力デバイス90、プロセッサ91、出力デバイス92、メモリ93及び少なくとも1つの通信バス94を含んでもよい。通信バス94は、素子間の通信接続を実現するためのものである。メモリ93は、高速RAMメモリを含んでもよく、例えば少なくとの1つのディスクメモリなどの不揮発性メモリNVMを更に含んでもよく、メモリ93には、様々な処理機能を完了し、本実施例の方法のステップを実現するための、様々なプログラムが記憶さてもよい。
【0064】
オプションとして、上記プロセッサ91は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPUと略称される)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の電子素子によって実現され、当該プロセッサ91は、有線または無線接続により上記入力デバイス90及び出力デバイス92に結合される。
【0065】
オプションとして、上記入力デバイス90は、複数の入力デバイスを含んでもよく、例えば、ユーザー向けのユーザーインターフェース、デバイス向けのデバイスインターフェース、ソフトウェアのプログラム可能なインターフェイス、カメラ、およびセンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。オプションとして、当該デバイス向けのデバイスインターフェースは、デバイスとデバイス間のデータ送信用の有線インターフェイスであってもよく、デバイスとデバイス間のデータ送信用のハードウェア挿入インターフェイス(例えばUSBインターフェイス、シリアルポート等)であってもよい。オプションとして、当該ユーザー向けのユーザーインターフェースは、例えばユーザー向けの制御ボタン、音声入力を受信するための音声入力デバイス及びユーザータッチ入力を受信するためのタッチ検知デバイス(例えばタッチ検知機能を備えたタッチスクリーン、タッチパッド等)であってもよい。オプションとして、上記ソフトウェアのプログラム可能なインターフェイスは、例えばユーザープログラムを編集または変更するためのエントリであってもよく、例えばチップの入力ピンインターフェイス又は入力インターフェイス等である。マイクなどの音声入力デバイスは、音声データを受信できる。出力デバイス92はディスプレイ、オーディオ機器などの出力デバイスを含んでもよい。
【0066】
本実施例では、当該端末デバイスのプロセッサは、各デバイスにおけるデータ処置装置の各モジュールを実行するための機能を有し、具体的な機能及び技術効果は、上記実施例を参照すればよく、ここでは繰り返さない。
【0067】
図8は本願の別の実施例に係る端末デバイスのハードウェア構造の模式図である。図8は、図7の実現プロセスにおける1つの具体的な実施例である。図8に示すように、本実施例の端末デバイスはプロセッサ101及びメモリ102を含む。
【0068】
プロセッサ101は、メモリ102に格納されたコンピュータプログラムコードを実行し、上記実施例における図4の工業プロセスインテリジェント制御方法を実現するためのものである。
【0069】
メモリ102は、端末デバイスでの操作をサポートするように様々なタイプのデータを記憶するように配置されている。これらのデータの例には、例えばメッセージ、写真、ビデオなど等のような、端末デバイスで操作する如何なるアプリケーションまたは方法の命令が含まれる。メモリ102は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAMと略称される)を含んでもよく、例えば少なくとの1つのディスクメモリなどの不揮発性メモリ(non-volatile memory)を更に含んでもよい。
【0070】
オプションとして、プロセッサ101は、処理コンポーネント100に設置されている。当該端末デバイスは、通信コンポーネント103、電源コンポーネント104、マルチメディアコンポーネント105、オーディオコンポーネント106、入力/出力インターフェイス107及び/又はセンサコンポーネント108を更に含んでもよい。端末デバイスに含まれる具体的なコンポーネント等は実際の需要に応じて設定され、本実施例はこれを限定しない。
【0071】
処理コンポーネント100は、通常、端末デバイスの全体的な操作を制御する。処理コンポーネント100は、上記図4の全部又は一部のステップを完成するように、命令を実行するための1つ又は複数のプロセッサ101を含んでもよい。なお、処理コンポーネント100は、処理コンポーネント100と他のコンポーネントとの間のインタラクティブを容易にするように、1つ又は複数のモジュールを含んでもよい。例えば、処理コンポーネント100は、マルチメディアコンポーネント105と処理コンポーネント100との間のインタラクティブを容易にするように、マルチメディアモジュールを含んでもよい。
【0072】
電源コンポーネント104は端末デバイスの様々なコンポーネントに電力を供給する。電源コンポーネント104は、電源管理システムと、1つ又は複数の電源と、端末デバイスのために電力を生成、管理、分配することに関連する他のコンポーネントを含んでもよい。
【0073】
マルチメディアコンポーネント105は、端末デバイスとユーザーとの間にある、出力インターフェイスを提供する表示画面を含む。いくつかの実施例では、表示画面は、液晶ディスプレイ(LCD)及びタッチパネル(TP)を含んでもよい。表示画面はタッチパネルを含む場合、表示画面は、ユーザーからの入力信号を受信するように、タッチスクリーンとして実現されてもよい。タッチパネルは、タッチ、スライドおよびタッチパネル上のジェスチャーを検知するように、1つ又は複数のタッチセンサを含む。前記タッチセンサは、タッチ又はスライド動作の境界を検知するだけでなく、前記タッチ又はスライド操作と関連する持続時間と圧力を検出することができる。
【0074】
オーディオコンポーネント106は、オーディオ信号を出力及び/又は入力するように配置されている。例えば、オーディオコンポーネント106は、1つのマイクロ(MIC)を含む。端末デバイスが例えば音声認識モードなどの操作モードにある場合、マイクロは、外部オーディオ信号を受信するように配置されている。受信されたオーディオ信号は、さらにメモリ102に記憶するか、通信コンポーネント103を介して送信することができる。いくつかの実施例では、オーディオコンポーネント106は、オーディオ信号を出力するためのスピーカーをさらに含む。
【0075】
入力/出力インターフェイス107は、処理コンポーネント100と周辺インターフェイスモジュールとの間にインターフェイスを提供し、上記周辺インターフェイスモジュールは、クリックホイール、ボタンなどであってもよい。これらのボタンは、音量ボタン、開始ボタン、ロックボタンを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0076】
センサコンポーネント108は、端末デバイスに様々な方面の状態評価を提供するための1つ又は複数のセンサを含む。例えば、センサコンポーネント108は、端末デバイスの起動/停止状態、コンポーネントの相対位置、ユーザーと端末デバイスとの接触の有無を検出することができる。センサコンポーネント108は、物理的接触がないときに近くの物体の存在を検出するように配置されている近接センサを含んでもよく、上記検出は、ユーザーと端末デバイスとの間の距離の検出を含む。いくつかの実施例では、当該センサコンポーネント108はカメラなどを更に含んでもよい。
【0077】
通信コンポーネント103は、端末デバイスと他のデバイスとの間の有線または無線通信を容易にするように配置されている。端末デバイスは、例えばWiFi、2G又は3G、又はそれらの組み合わせなどの、通信規格に基づく無線ネットワークにアクセスすることができる。1つの実施例では、当該端末デバイスは、SIMカードを挿入するためのSIMカードスロットを含んでもよく、その結果、端末デバイスはGPRSネットワークにログインして、インターネットを介してサーバーとの通信を確立することができる。
【0078】
上記から、図8の実施例に係る通信コンポーネント103、オーディオコンポーネント106、入力/出力インターフェイス107、及びセンサコンポーネント108は、いずれも図7の実施例における入力デバイスの実現形態とすることができることが分かっている。
【0079】
本願の実施例は、端末デバイスを提供し、当該端末デバイスは、1つ又は複数のプロセッサと、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに本願の実施例のうちの1つ又は複数に係る方法を実行させる命令が記憶されている1つ又は複数の機械可読媒体とを含む。
【0080】
本明細書における各実施例は、漸進的に記載されている。各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を合わせ、各実施例間の同じまたは類似の部分は互いに参照することができる。
【0081】
本願の実施例の好ましい実施例が説明されているが、当業者は、基本的な、進歩性のある概念を知ったら、これらの実施例に他の変更および修正を加えることができる。従って、添付の特許請求の範囲は、好ましい実施例及び本願の実施例の範囲内にあるすべての変更および修正を含むものとして解釈されることを意図している。
【0082】
最後に、本明細書では、第1および第2などの関係用語は、あるエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためのものに過ぎず、これらのエンティティまたは操作の間にそのような実際の関係または順序があることを、必ずしも要求または暗示するわけではない。「含む」、「備える」などの用語又はそれらの他の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図しているので、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または端末デバイスは、それらの要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含み、又はそのようなプロセス、方法、物品又は端末デバイスに固有の要素も含む。これ以上の制限がない場合、「1つの…を含む」という文で定義された要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は端末デバイス内の他の同じ要素の存在を除外しない。
【0083】
以上、本願に係る工業プロセスインテリジェント制御方法及びシステムを詳しく説明した。本明細書には具体的な例を使用して本願の原理及び実施形態を説明したが、上記実施例の説明は、本願の方法および主な思想を理解するのを助けるためのものに過ぎない。当業者にとっては、本願の思想に基づいて、具体的な実施形態および適用範囲に変更を加えることができる。以上のように、本明細書の内容は、本願の制限として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8