(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
H04L25/02 W
(21)【出願番号】P 2024093841
(22)【出願日】2024-06-10
【審査請求日】2024-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322014392
【氏名又は名称】株式会社M3
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-244586(JP,A)
【文献】特開2018-033130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/00-25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多データ伝送による低消費電力回路であって、
第1の立ち上がり時間を有する第1信号を出力する低電流ハイレベル電圧出力回路と、
前記第1の立ち上がり時間より小さい第2の立ち上がり時間を有する第2信号を出力する高電流ハイレベル電圧出力回路
と、を含む波形出力部と、
前記第1及び前記第2信号を受信する波形入力部
と、
前記波形出力部と前記波形入力部とを電気的に接続し、前記第1及び第2信号を伝送するための伝送路
と、を備え、
前記波形出力部は、前記
第1信号と前記第2信号のいずれか一つの信号を出力し、
前記波形入力部
は、前記伝送路に、入力端子を介して直列に接続され容量性部品と前記容量性部品に直列に電気的に接続された抵抗部品を含む微分回路と、前記微分回路
の容量性部品と抵抗部品との間に接続された第1の波形検出部と、
前記微分回路の前記入力端子に接続された第2の波形検出部を有し、
前記微分回路により、前記第2信号は、所定の閾値レベルを越える電圧値を有する電圧波形に変換され、
前記第1の波形検出部により、第2信号を選択的に検出可能に構成されたことを特徴とする
多データ伝送による低消費電力回路。
【請求項2】
多データ伝送による低消費電力回路であって、
第1の立ち下がり時間を有する第1信号を出力する低電流ローレベル電圧出力回路と、
前記第1の立ち下がり時間より小さい第2の立ち下がり時間を有する第2信号を出力する高電流ローレベル電圧出力回路
と、を含む波形出力部と、
前記第1及び前記第2信号を受信する波形入力部
と、
前記波形出力部と前記波形入力部とを電気的に接続し、前記第1及び第2信号を伝送するための伝送路
と、を備え、
前記波形出力部は、前記
第1信号と前記第2信号のいずれか一つの信号を出力し、
前記波形入力部
は、前記伝送路に、入力端子を介して直列に接続され容量性部品と前記容量性部品に直列に電気的に接続された抵抗部品を含む微分回路と、前記微分回路
の容量性部品と抵抗部品との間に接続された第1の波形検出部と、
前記微分回路の前記入力端子に接続された第2の波形検出部を有し、
前記微分回路により、前記第2信号は、所定の閾値レベルを越える電圧値を有する電圧波形に変換され、
前記第1の波形検出部により、第2信号を選択的に検出可能に構成されたことを特徴とする
多データ伝送による低消費電力回路。
【請求項3】
前記微分回路により変換される前記電圧波形は、前記第1信号及び前記第2信号が前記容量性部品と前記抵抗部品の特性に応じて変換されるものであり、
前記第2信号の検出は、前記微分回路により変換された前記電圧波形のピーク電圧により行われることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の
多データ伝送による低消費電力回路。
【請求項4】
前記高電流ハイレベル電圧出力回路
は、電源供給部の出力端子に、直接に接続された第1のMOSトランジスタを含み、
前記低電流ハイレベル電圧出力回路
は、前記電源供給部の前記出力端子に、抵抗部品を介して接続された第2のMOS
トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載の
多データ伝送による低消費電力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流変化を利用した低消費電力の電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
現状、半導体、コンピュータなどの伝送方式は、波形電圧のハイレベル、ローレベルを基準として、データの01(ゼロイチ)の判断をする仕組みとなっており、データを多く伝送するためには、データの周波数を増加させることが必要となっている。また、周波数が増加させることで、高周波ノイズの発生という課題や、消費電力が上がり、CO2の排出量が増えてしまうという課題が発生している。
【0003】
それらの解決の手段として、伝送する波形の電圧を下げるという手段が取られており、電圧レベルも、5Vから3.3V、3.3Vから1.8V、1.8Vから1.5Vへと低電圧化が進んできている。また、その一方で、電圧レベルを下げることによって、周囲からの電磁ノイズなどの影響を受けやすくなってしまうという課題も発生している。
【0004】
更には、このような高周波化や低電圧化の技術を使っても、将来に予見されている全世界レベルでのデータ量の更なる増大や、電力供給不足の問題や、地球温暖化に直結するCO2の排出量問題には、対策として不十分と考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1では、出力電圧調整を考慮した構造が提案されているが、低消費電力を実現するための波形の出力方式や、波形の入力方式などに関する構成が開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、波形出力部に、低電流ハイレベル電圧出力回路と、高電流ハイレベル電圧出力回路を有し、波形入力部に、第1の波形検出部と、第2の波形検出部と、微分回路を有し、波形出力部と、波形入力部を伝送路で接続した電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路であり、前記波形出力部は、前記低電流ハイレベル電圧出力回路からは、低電流のハイレベル電圧を出力し、前記高電流ハイレベル電圧出力回路からは高電流のハイレベル電圧を出力し、出力した波形を、前記伝送路を通じて波形入力部に伝送し、第1の波形検出部にて波形を検出し、微分回路における波形を第2の波形検出部にて検出することを特徴とする電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、波形出力部に、低電流ハイレベル電圧出力回路と、高電流ハイレベル電圧出力回路を有し、波形入力部に、第1の波形検出部と、第2の波形検出部と、微分回路を有し、波形出力部と、波形入力部を伝送路で接続した電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路であり、前記波形出力部は、前記低電流ハイレベル電圧出力回路からは、低電流のハイレベル電圧を出力し、前記高電流ハイレベル電圧出力回路からは高電流のハイレベル電圧を出力し、出力した波形を、前記伝送路を通じて波形入力部に伝送し、第1の波形検出部にて波形を検出し、微分回路における波形を第2の波形検出部にて検出することを特徴とする電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路である。
【0009】
このようにして、従来の半導体、コンピュータなどの伝送方式は、波形のHigh/Lowの電圧を基準として、データの01(ゼロイチ)の判断をしており、1度あるいは1周期の間の波形伝送の際に、High/Lowの電圧変化を伝送するだけであるが、本発明では、それらに追加して波形電流のハイレベル、ローレベルを伝送し、受信し電流変化を電圧に変換してデータの判断を可能とさせることとなり、1度あるいは1周期の間に、電圧に加えて電流の変化も検知することができるため複数の波形データを送受信することが可能となり、周波数を増加させなくても、伝送できるデータ送信量を増大させることができるため、将来に予見されている全世界レベルでのデータ量の更なる増大や、電力供給不足の問題や、地球温暖化に直結するCO2の排出量問題に、対処することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【
図4】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【
図5】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【
図6】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【
図7】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【
図8】本発明の1実施例に関するシミュレーション波形
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。
【0012】
尚、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複の説明を省略する。
また、図面は理解することを目的としており、実際の寸法比率は実際のものと必ずしも一致しない。
【0013】
図1は、本発明の1実施例に関する回路構成図である。
【0014】
ここにおいて、波形出力部1には、低電流ハイレベル電圧出力回路3と、高電流ハイレベル電圧出力回路4を有し、波形入力部2には、第1の波形検出部6と、第2の波形検出部7と、微分回路8を有し、波形出力部1と波形入力部2は、伝送路5で接続されている。
【0015】
ここで
図2に示すように、
図1における低電流ハイレベル電圧出力回路3の機能を持つ回路として、
図2の第1の抵抗部品16と
図2の第2のPMOS17を割当て、
図1における高電流ハイレベル電圧出力回路4の機能を持つ回路として、
図2の第1のPMOS15を割当て、
図1の微分回路8として、
図2の容量製部品21と
図2の第2の抵抗部品22を割当てる。
【0016】
さらに
図2において、波形出力部1においては、第1の電源供給部11と、グランド12と、波形供給部13と、セレクタ回路14と、第1のPMOS15と、第1の抵抗部品16と、第2のPMOS17と、NMOS18と、波形出力端子19を有している。
【0017】
このとき、第1の電源供給部11には、第1のPMOS15のソース部と、第1の抵抗部品16の一方の端子が接続されており、波形供給部13は、セレクタ回路14の入力端子とNMOS18のゲート部に接続されており、セレクタ回路14の一方の出力端子は、第1のPMOS15のゲート部に接続されており、セレクタ回路14の他方の出力端子は、第2のPMOS17のゲート部に接続されており、第1の抵抗部品16の他方の端子は、第2のPMOS17のソース部に接続されており、NMOS18のソース部はグランド12に接続されており、第1のPMOS15のドレイン部と、第2のPMOS17のドレイン部と、NMOS18のドレイン部は、波形出力端子19に接続されている。
【0018】
また、波形入力部2においては、第1の波形検出部6と、第2の波形検出部7と、第2の電源供給部20と、容量製部品21と、第2の抵抗部品22を有している。
【0019】
このとき、第2の電源供給部20には、第2の抵抗部品22の一方の端子が接続されており、第2の波形検出部7には、第2の抵抗部品22の他方の端子と、容量製部品21の一方の端子が接続されており、容量製部品21の他方の端子には第1の波形検出部6が接続されている。
【0020】
更に、波形検出部1の波形出力端子19は、伝送路5の一方の端子と接続されており、波形入力部2の第1の波形検出部6は、伝送路5の他方の端子と接続されている。
【0021】
このとき、
図2において、波形供給部13から立ち下がり波形がセレクタ回路14の入力端子とNMOS18のゲート部に供給される場合を考える。
【0022】
ここで、セレクタ回路14からセレクタ回路14の一方の出力端子に接続される第1のPMOS15のゲート部に、波形供給部13の波形が供給される時、第1のPMOS15は、ゲート部の立ち下がり波形によってON動作し、第1のPMOS15のドレイン部から、立ち上がり波形が出力される。この時出力される電流変化を、X(A/sec)と仮定する。また、このとき同時に、NMOS18はOFF動作する。
【0023】
次に、
図2において、波形供給部13から立ち下がり波形がセレクタ回路14の入力端子とNMOS18のゲート部に供給される場合で、かつ、セレクタ回路14からセレクタ回路14の他方の出力端子に接続される第2のPMOS17のゲート部に、波形供給部13の波形が供給される場合には、第2のPMOS17は、ゲート部の立ち下がり波形によってON動作し、第2のPMOS17のドレイン部から、立ち上がり波形が出力される。この時出力される電流変化を、Y(A/sec)と仮定する。また、このとき同時に、NMOS18はOFF動作する。
【0024】
ここで、第1のPMOS15と、第2のPMOS17は同等性能を持つPMOSであると仮定すると、第1の抵抗部品16と第2のPMOS17は低電流ハイレベル電圧出力回路3の機能を形成するが、第1のPMOS15が形成する高電流ハイレベル電圧出力回路4に比べて、抵抗成分が大きくなるため、PMOSがONしたときのドレイン部における立ち上がり波形の電流変化が小さくなる。
そのため、電流変化Xと、電流変化Yを比較すると、 X > Y となる。
【0025】
また、波形入力部2においては、第1の波形検出部6と、第2の波形検出部7と、第2の電源供給部20と、容量製部品21と、第2の抵抗部品22を有している。
【0026】
このとき、第2の電源供給部20には、第2の抵抗部品22の一方の端子が接続されており、第2の波形検出部7には、第2の抵抗部品22の他方の端子と、容量製部品21の一方の端子が接続されており、容量製部品21の他方の端子には第1の波形検出部6が接続されている。
【0027】
ここでは、容量製部品21と、第2の抵抗部品22によって微分回路が構成されている。
【0028】
更に、波形出力部1の波形出力端子19は、伝送路5の一方の端子と接続されており、波形入力部2の第1の波形検出部6は、伝送路5の他方の端子と接続されている。
【0029】
これら全体の波形について検証するために、LTspiceシミュレーションを利用した波形について定量的に説明する。
【0030】
図2における、波形出力部1の第1の電源供給部11として5V、波形出力部1の第1のPMOS15と第2のPMOS17としてROHM製のRSD160P05のSPICEモデル、波形出力部1のNMOS18としてROHM製のRSR025N03のSPICEモデル、波形出力部1の第1の抵抗部品16として5Ω、波形出力部1の波形供給部13としてHigh側5VかつLow側0Vかつ立ち下がり時間1nsの波形を設定する。
【0031】
また、
図2における、伝送路5のパラメータとして遅延時間5nsかつ特性インピーダンス50Ωを設定する。
【0032】
更に、
図2における、波形入力部2の第2の電源供給部20として2.5V、第2の抵抗部品22として500Ω、容量製部品21として10pFを設定する。
【0033】
このとき、第1のケースとして、セレクタ回路14からセレクタ回路14の一方の出力端子に接続される第1のPMOS15のゲート部に、波形供給部13の波形が供給される場合について考える。第1のPMOS15はゲート部の立ち下がり波形によってON動作し、第1のPMOS15のドレイン部から立ち上がり波形が出力され、NMOS18はOFF動作し、波形は、波形出力端子19から、伝送路5を通じて、波形入力部2の第1の波形検出部6に到達する。
【0034】
この時の、第1の波形検出部6における電圧として縦軸は電圧、横軸は時間である波形を、
図3に示す。
【0035】
また、伝送路5の他方の端子と容量製部品21の他方の端子との間に流れる電流として縦軸は電流、横軸は時間である波形を、
図4に示す。
【0036】
ここで、容量製部品21と第2の抵抗部品22とで微分回路を形成しているが、この2つの部品の間にある第2の波形検出部7における電圧として、縦軸は電圧、横軸は時間である波形を、
図5に示す。
【0037】
このとき、
図3における波形のLowレベルを0V、Highレベルを5Vとすると、電圧振幅の20%~80%のレベルは、1V~4Vとなり、1Vから4Vまでに遷移する時間は、
図3のシミュレーション波形から、約4.0nsであることがわかる。
【0038】
また、
図4において、ピーク値は6.27mAとなっている。0.1mAの時121.56nsecであり、6.27mAの時130.00nsecとなっており、この間の電流変化は、0.73mA/nsecとなる。
【0039】
更に、
図5において、波形のピーク電圧は、5.63Vとなっている。
【0040】
次に、第2のケースとして、セレクタ回路14からセレクタ回路14の他方の出力端子に接続される第2のPMOS17のゲート部に、波形供給部13の波形が供給される場合について考える。第2のPMOS17は、ゲート部の立ち下がり波形によってON動作し、第2のPMOS17のドレイン部から、立ち上がり波形が出力され、NMOS18はOFF動作し、波形は、波形出力端子19から、伝送路5を通じて、波形入力部2の第1の波形検出部6に到達する。
【0041】
この時の、第1の波形検出部6における電圧として縦軸は電圧、横軸は時間である波形を、
図6に示す。
【0042】
また、伝送路5の他方の端子と容量製部品21の他方の端子との間に流れる電流として縦軸は電流、横軸は時間である波形を、
図7に示す。
【0043】
ここで、容量製部品21と第2の抵抗部品22とで微分回路を形成しているが、この2つの部品の間にある第2の波形検出部7における電圧として、縦軸は電圧、横軸は時間である波形を、
図8に示す。
【0044】
このとき、
図6における波形のLowレベルを0V、Highレベルを5Vとすると、電圧振幅の20%~80%のレベルは、1V~4Vとなり、1Vから4Vまでに遷移する時間は、
図6のシミュレーション波形から、約6.6nsであることがわかる。
【0045】
また、
図7において、ピーク値は3.80mAとなっている。0.1mAの時126.35nsecであり、3.80mAの時132.66nsecとなっており、この間の電流変化は、0.59mA/nsecとなる。
【0046】
更に、
図8において、波形のピーク電圧は、4.40Vとなっている。
【0047】
ここで、第1のケースと第2のケースにおける波形入力部2における波形について考えてみる。
【0048】
第1のケースでは、第1の波形検出部6において、Lowレベルを0V、Highレベルを5Vとして、LowからHighに変化する波形が検出できており、第2の波形検出部7において、ピーク電圧は、5.63Vとなっている。
【0049】
また、第2のケースでは、第1の波形検出部6において、Lowレベルを0V、Highレベルを5Vとして、LowからHighに変化する波形が検出できており、第2の波形検出部7において、ピーク電圧は、4.40Vとなっている。
【0050】
1度あるいは1周期の間の波形伝送において、第1の波形検出部6においては、第1のケース、第2のケースとも電圧Low/Highの電圧変化を検知している。また、第2の波形検出部7においては、第1のケースではピーク電圧が5.63Vと、第2のケースではピーク電圧が4.40Vの波形を検出している。
【0051】
ここで、第2の波形検出部7における、波形のスレッショルド電圧を、第1のケースにおけるピーク電圧5.63Vと、第2のケースにおけるピーク電圧4.40Vのおよその中間電圧である5.00Vと仮に規定すると、第1のケースと第2のケースでは、第2の波形検出部7においては、異なるデータとして検出することが可能である。
【0052】
以上、説明したように、波形出力部1におけるセレクタ回路14により、第1のPMOS15、あるいは第2のPMOS17を選択することで、1度あるいは1周期の間の波形伝送の際に、複数の波形データを伝送することが可能となり、
【0053】
波形入力部2に、容量製部品21や第2の抵抗部品22で構成するような微分回路を設けることにより、1度あるいは1周期の間の波形伝送の際に、第1の波形検出部6と第2の波形検出部7で波形を検出したように、複数の波形データを受信することが可能となる。
【0054】
今回の説明では、特定の構成について説明しているが、他の変化例としての説明を加える。
【0055】
波形出力部1において、波形出力端子19からの波形伝送のための、第1のPMOS15と、第1の抵抗部品16と第2のPMOS17の構成を説明しているが、異なる特性を持つ複数のPMOSの適用や、PMOSでなくNPNトランジスタの適用も可能である。
【0056】
また、波形出力部1において、波形出力端子19からの波形伝送のための、第1の抵抗部品16の構成を説明しているが、単体あるいは複数の容量製部品や、単体あるいは複数の抵抗部品や、単体あるいは複数のインダクタ部品を、直列あるいは並列に組込むことも可能である。
【0057】
更に、波形出力部1の第1の電源供給部11として、単一のDC電源の構成を説明しているが、可変のDC電源、AC電源の適用も可能である。
【0058】
伝送路5として、特性インピーダンスと遅延時間を持つ構成を説明しているが、電気波形を伝送できるものであれば、金属の伝送路以外のもの、たとえばカーボンでも代用可能である。
【0059】
波形入力部2において、微分回路として、容量製部品21と第2の抵抗部品22の構成を説明しているが、単体あるいは複数の容量製部品や、単体あるいは複数の抵抗部品や、単体あるいは複数のインダクタ部品を直列あるいは並列に、組込むことも可能であり、その際には、複数の部品間の接続点から複数の波形を検出することが可能である。
【0060】
また、波形入力部2の第2の電源供給部20として、単一のDC電源の構成を説明しているが、可変のDC電源、AC電源の適用も可能である。
【0061】
更に、本発明では、波形出力部1の波形出力端子19における立ち上がりの構成について説明しているが、立ち上がり波形を構成する第1のPMOS15や、第1の抵抗部品16や第2のPMOS17と同様に、波形出力端子19に接続されるNMOS18を、複数のNMOSに代替えすることや抵抗部品を接続することで、波形出力端子19における立ち下がり波形の構成の場合も対応が可能となる。
【0062】
この場合は、
図9に示すように、波形出力部1には、低電流ローレベル電圧出力回路9と、高電流ローレベル電圧出力回路10が構成されることになる。
【0063】
また、更に、立ち上がりと立ち下がりの回路を同時に組み込むことも可能である。この場合は、
図10に示すように、波形出力部1には、低電流ハイレベル電圧出力回路3と、高電流ハイレベル電圧出力回路4と、低電流ローレベル電圧出力回路9と、高電流ローレベル電圧出力回路10が構成されることになる。
【0064】
以上、説明したように、本発明は、波形出力部に、低電流ハイレベル電圧出力回路と、高電流ハイレベル電圧出力回路を有し、波形入力部に、第1の波形検出部と、第2の波形検出部と、微分回路を有し、波形出力部と、波形入力部を伝送路で接続した電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路であり、前記波形出力部は、前記低電流ハイレベル電圧出力回路からは、低電流のハイレベル電圧を出力し、前記高電流ハイレベル電圧出力回路からは高電流のハイレベル電圧を出力し、出力した波形を、前記伝送路を通じて波形入力部に伝送し、第1の波形検出部にて波形を検出し、微分回路における波形を第2の波形検出部にて検出することを特徴とする電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路である。
【0065】
このようにして、従来の半導体、コンピュータなどの伝送方式は、波形のHigh/Lowの電圧を基準として、データの01(ゼロイチ)の判断をしており、1度あるいは1周期の間の波形伝送の際に、High/Lowの電圧変化を伝送するだけであるが、本発明では、それらに追加して波形電流のハイレベル、ローレベルを伝送し、受信し電流変化を電圧に変換してデータの判断を可能とさせることとなり、1度あるいは1周期の間に、電圧に加えて電流の変化も検知することができるため複数の波形データを送受信することが可能となり、周波数を増加させなくても、伝送できるデータ送信量を増大させることができるため、将来に予見されている全世界レベルでのデータ量の更なる増大や、電力供給不足の問題や、地球温暖化に直結するCO2の排出量問題に、対処することが可能となるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力回路においては、従来の半導体、コンピュータなどの伝送方式は、波形のHigh/Lowの電圧を基準として、データの01(ゼロイチ)の判断をしており、1度あるいは1周期の間の波形伝送の際に、High/Lowの電圧変化を伝送するだけであるが、本発明では、それらに追加して波形電流のハイレベル、ローレベルを伝送し、受信し電流変化を電圧に変換してデータの判断を可能とさせることとなり、1度あるいは1周期の間に、電圧に加えて電流の変化も検知することができるため複数の波形データを送受信することが可能となり、周波数を増加させなくても、伝送できるデータ送信量を増大させることができるため、将来に予見されている全世界レベルでのデータ量の更なる増大や、電力供給不足の問題や、地球温暖化に直結するCO2の排出量問題に、対処することが可能となり、SDGsの流れに大きく貢献でき、半導体業界、コンピュータ業界に大きく貢献できるという効果がある。
【符号の説明】
【0067】
1・・・波形出力部
2・・・波形入力部
3・・・低電流ハイレベル電圧出力回路
4・・・高電流ハイレベル電圧出力回路
5・・・伝送路
6・・・第1の波形検出部
7・・・第2の波形検出部
8・・・微分回路
9・・・低電流ローレベル電圧出力回路
10・・・高電流ローレベル電圧出力回路
11・・・第1の電源供給部
12・・・グランド
13・・・波形供給部
14・・・セレクタ回路
15・・・第1のPMOS
16・・・第1の抵抗部品
17・・・第2のPMOS
18・・・NMOS
19・・・波形出力端子
20・・・第2の電源供給部
21・・・容量製部品
22・・・第2の抵抗部品
【要約】 (修正有)
【課題】周波数を増加させなくても、伝送できるデータ送信量を増大させることができるため、将来に予見されている全世界レベルでのデータ量の更なる増大や、電力供給不足の問題や、地球温暖化に直結するCO2の排出量問題に、対処することが可能となるという効果がある電流変化を利用した多データ伝送による低消費電力の電気回路を提供する。
【解決手段】波形出力部は、低電流ハイレベル電圧出力回路と、高電流ハイレベル電圧出力回路と、を有し、波形入力部は、第1の波形検出部と、第2の波形検出部と、微分回路を有し、波形出力部と波形入力部とを伝送路で接続して電流変化を利用し、電圧変化と電流変化を同時に多くのデータを伝送することを可能とする。
【選択図】
図1