(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】開閉検知機能付き機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H02B 1/38 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
H02B1/38 C
(21)【出願番号】P 2021037191
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 久典
(72)【発明者】
【氏名】今枝 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】外山 裕隆
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036381(JP,A)
【文献】実開平07-023911(JP,U)
【文献】実開昭53-075678(JP,U)
【文献】特開2016-205714(JP,A)
【文献】実公昭48-032049(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 - 21/88
H02B 1/00 - 7/08
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を出し入れ可能な開口部を備えた箱体本体と、箱体本体の開口部を覆うことができるように回動自在に軸支される扉と、を備えた収納用箱と、
扉の開閉を検出するために用いられるスイッチ部を備えた検出部と、
を備えた開閉検知機能付き機器収納用箱であって、
扉は、箱体本体の開口部と対向する正面部と、正面部と略垂直の角度をなすように延びる側面部と、を備えるよう、裏面が凹んでおり、
検出部が収納用箱の軸部側に形成され、
扉を閉じた場合に、
箱体本体の軸部が形成される側面と反軸部側に位置する側面が間隔をあける方向である左右方向に移動するスイッチ部が扉の裏面側で側面部に当接する開閉検知機能付き機器収納用箱。
【請求項2】
扉を閉じた場合に、扉の側面部の内側の面が、箱体本体の側面の内側の面と略同一面上に位置する請求項1に記載の開閉検知機能付き機器収納用箱。
【請求項3】
検出部が箱体本体の側面に固定された請求項2に記載の開閉検知機能付き機器収納用箱。
【請求項4】
機器を出し入れ可能な開口部を備えた箱体本体と、箱体本体の開口部を覆うことができるように回動自在に軸支される扉と、を備えた収納用箱と、
扉の開閉を検出するために用いられるスイッチ部を備えた検出部と、
を備えた開閉検知機能付き機器収納用箱であって、
検出部が収納用箱の軸部側に形成され、
検出部に箱体本体の側面に当接するスペーサを備え、
扉を閉じた場合に扉と当接させるための突出片を箱体本体に備え、
扉を閉じた場合に、スイッチ部が扉の側面部に当接し、
扉を閉じた場合に、突出片が底面となる凹部内に、スペーサの一端が位置する開閉検知機能付き機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉検知機能付き機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉の開閉を検出する検出部を備えた機器収納用箱が使用されている。特許文献1に記載されているように、このような検出部はスイッチ部と扉の前側の部分との当接を検出するものであり、検出した場合にブザーを鳴動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、扉の前側の部分にスイッチ部を当接させようとしても、扉の軸部から距離が離れているため、当接させるための調整が難しい場合がある。これは、箱体本体や扉の成形寸法誤差により、軸部の係合状態が不適切なものとなったり、扉の反りなどが生じ、スイッチ部の取り付け位置の調整が困難となったりするからである。また、スイッチ部のストロークが短いと扉の寸法誤差によってスイッチ部を押圧できない虞があるため、スイッチ部のストロークが長い検出部を使用しなければならず、検出部が大型になるという問題もあった。なお、扉などが樹脂を用いて構成されている場合、特に、寸法誤差が大きくなる傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、スイッチ部を小型にしても扉の開閉を適切に検知可能な機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、機器を出し入れ可能な開口部を備えた箱体本体と、箱体本体の開口部を覆うことができるように回動自在に軸支される扉と、を備えた収納用箱と、扉の開閉を検出するために用いられるスイッチ部を備えた検出部と、を備えた開閉検知機能付き機器収納用箱であって、検出部が収納用箱の軸部側に形成され、扉を閉じた場合に、スイッチ部が扉の側面部に当接する開閉検知機能付き機器収納用箱
とする。
【0007】
また、扉を閉じた場合に、扉の側面部の内側の面が、箱体本体の側面の内側の面と略同一面上に位置する構成とすることが好ましい。
【0008】
また、検出部が箱体本体の側面に固定された構成とすることが好ましい。
【0009】
また、検出部に箱体本体の側面に当接するスペーサを備えた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、扉を閉じた場合に扉と当接させるための突出片を箱体本体に備え、扉を閉じた場合に、突出片が底面となる凹部内に、スペーサの一端が位置する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、スイッチ部を小型にしても扉の開閉を適切に検知可能な機器収納用箱を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における機器収納用箱の斜視図である。ただし、扉を閉じた状態を示している。
【
図2】実施形態における機器収納用箱の斜視図である。ただし、扉を開いており、内部に機器を収納した状態を示している。
【
図3】実施形態における機器収納用箱の断面図である。
【
図4】
図3における検知部周りの部分拡大図である。
【
図5】寸法誤差が軸部側にもたらす影響の大きさと反軸部側にもたらす影響の大きさの違いの例を示す図である。
【
図6】扉を開けた場合に検出部のブザーが鳴動することを表す図である。
【
図7】
図6における検知部周りの部分拡大図である。
【
図8】
図4に示す図に一点鎖線を付することにより、扉を閉じた場合に、扉の側面部の内側の面が、箱体本体の側面の内側の面と略同一面上に位置することを表す図である。
【
図9】検出部を箱体本体の底面に取り付けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図4に示されていることから理解されるように、本実施形態の開閉検知機能付き機器収納用箱1は、機器9を出し入れ可能な開口部12を備えた箱体本体10と、箱体本体10の開口部12を覆うことができるように回動自在に軸支される扉20と、を備えた収納用箱と、扉20の開閉を検出するために用いられるスイッチ部30aを備えた検出部30と、を備えている。また、この開閉検知機能付き機器収納用箱1は、検出部30が収納用箱の軸部41側に形成され、扉20を閉じた場合に、スイッチ部30aが扉20の側面部23に当接するように構成されている。ここで、
図5に示すことから理解されるように、扉20は軸部41から離れるほど、開放状態から閉塞状態に移動する際に、回動距離が大きくなる。一般的に筐体の寸法誤差などを補完するために検出部30の取付位置などを調整する必要があるが、軸部41から離れる位置に検出部30を配置するほど、寸法誤差の影響が大きくなるが、軸部41側は扉20の移動距離が小さいため、生じ得る寸法誤差の影響も抑制することができる。このため、スイッチ部30aを小型にしても扉20の開閉を適切に検知可能な機器収納用箱1を提供することが可能となる。
【0014】
なお、実施形態では、扉20が開き、スイッチ部30aが所定の位置にある状態になった場合、検出部30に備えられたブザー33が鳴るように構成している。
図3及び
図4に示すように、扉20を閉じた状態では、扉20の側面部23から負荷を受けることにより、スイッチ部30aが移動させられ、ブザー33が鳴らない状態となっているが、
図6及び
図7に示すように、扉20の側面部23からの負荷から解放されることにより、自動的にスイッチ部30aが移動することになるが、所定の位置まで移動したら、ブザー33が鳴るように設定している。
【0015】
ここで実施形態における機器収納用箱1の概略から説明をする。機器収納用箱1に収納される機器9は、計測ユニット、HUBの電気機器、サーバや通信機器の電子機器、AEDなどの医療機器、などが典型的なものとして例示できるが、以下では医療機器が収納される機器収納用箱1を例に説明する。なお、実施形態では、箱体本体10に取付板19が備えられており、この取付板19などに機器9が固定される。
【0016】
実施形態の機器収納用箱1は、機器9を出し入れ可能な開口部12を備えた箱体本体10と、箱体本体10の開口部12を覆うことができるように回動自在に軸支される扉20と、を備えた収納用箱を備えている。なお、実施形態におけるこれら収納用箱の箱体本体10及び扉20は樹脂を用いて製造されている。また、扉20は箱体本体10の一方の側面13に対して軸支されており、箱体本体10の他方の側面13に設けられた被係止部60に対して引っ掛けることが可能な係止部50を備えるとともに、鎖錠係止部18に対して鎖錠を行うことが可能な鎖錠部28を備えている。なお、実施形態においては扉20に取手29が設けられており、取手29の一部に鎖錠部28と係止部50が備えられている。また、鎖錠部28は、扉20のおもて面側に図示しない鍵を挿入する錠部28aを備え、錠部28aに挿入した鍵を回動させることで、鎖錠部28が回動可能とするものである。
【0017】
扉20は開口部12と対向する正面部22と、正面部22と略垂直の角度をなすように延びる側面部23と、を備えている。この正面部22と側面部23により断面略コ字状に扉20を構成することにより、箱体本体10から幾分飛び出ている物が収納されていても扉20を閉じることができる。つまり、扉20は裏面が凹んだ構成となっているため、扉20を閉じた際に収納用箱の内部にできる空間を箱体本体10に設けられた空間よりも大きくすることができる。
【0018】
実施形態の側面部23は箱体本体10の側面13と同方向に延びるように構成されている。より具体的には、扉20を閉じた場合に、扉20の側面部23の内側の面が、箱体本体10の側面13の内側の面と略同一面上に位置する構成となっている(
図8参照)。
【0019】
また、扉20の開閉を検出するスイッチ部30aを備えた検出部30が箱体本体10に取り付けられている。実施形態の検出部30は箱体本体10の側面13に設けられているが、側面13の中でも扉20の回動軸となる軸部41側に固定されている。このため、検出部30が複雑な構造となることを抑制することができる。
【0020】
実施形態の検出部30は基板32、ブザー33、リミットスイッチ34、ブザー33などに電源を供給する電池が取り付けられる電池取付部35などが備えられている。なお、実施形態においては基板32にブザー33、リミットスイッチ34、電池取付部35などが取り付けられている。リミットスイッチ34に備えられたスイッチ部30aは、扉20の開閉操作により動かすことが可能なように配置されるが、実施形態においては、左右方向に移動することができるように配置されている。
【0021】
図3に示す検出部30は、リミットスイッチ34が取り付けられる基板32の面が、軸部41が形成される側面13と対向する面となるように構成されている。このため、箱体本体10の中心から見た場合にリミットスイッチ34が基板32に覆われている状態となる。したがって、リミットスイッチ34の誤操作を抑制することができる。なお、基板32に設けられている電子回路も、軸部41が形成される側面13と対向する面に設けられている。
【0022】
なお、箱体本体10の中でも、軸部41が形成される側面13付近は、収納する機器9が配置されることが無いデッドスペースとなりやすい場所である。この場所を検出部30の配置として利用することで、機器収納用箱1の内部空間を有効に利用することができる。
【0023】
上記したように、
図8に示す例では、扉20を閉じた場合に、扉20の側面部23の内側の面が、箱体本体10の側面13の内側の面と略同一面上に位置するように構成されている。このため、扉20を開いた状態としていても、扉20を閉じた際にスイッチ部30aと扉20の側面部23との位置関係がどのようになるのかが推測しやすくなり、スイッチ部30aの位置の調整が容易となる。
【0024】
また、実施形態の検出部30では、箱体本体10の側面13に当接可能なスペーサ38を備えている。このスペーサ38はリミットスイッチ34の近傍に配置されており、扉20を閉じた際の基板32の撓みの抑制やリミットスイッチ34にかかる荷重の抑制などに寄与することができる。
【0025】
実施形態では扉20を閉じた場合に扉20と当接させるための突出片15を箱体本体10に備えているが、スペーサ38の一端は、扉20を閉じた場合に、突出片15が底面14となる凹部内に位置することになる。このようにすることで、スペーサ38を箱体本体10の開口部12の入り口付近に配置することができる。したがって、リミットスイッチ34の近傍にスペーサ38を配置することができる。また、基板32の端部をスペーサ38で支えることができる。
【0026】
ところで、検出部30の取付位置は箱体本体10の側面13だけに限らない。例えば、
図9に示すことから理解されるように、箱体本体10の底面14側に検出部30を取り付けても良い。この場合でも、検出部30が収納用箱の軸部41側に形成される。
【0027】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、検出部は箱体本体の天井面に取り付けても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 機器収納用箱
9 機器
10 箱体本体
12 開口部
13 側面
15 突出片
20 扉
23 側面部
30 検出部
30a スイッチ部
38 スペーサ
41 軸部