(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】ソケットとその使用方法
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20250127BHJP
B25F 3/00 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
B25B21/00 Q
B25F3/00 Z
(21)【出願番号】P 2019110903
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】517096084
【氏名又は名称】薪螢企業有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】503200361
【氏名又は名称】株式会社イチネンアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】江 文宏
(72)【発明者】
【氏名】長船 勝己
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07252022(US,B1)
【文献】実開昭52-119193(JP,U)
【文献】実開昭59-008766(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203787(JP,U)
【文献】登録実用新案第3136113(JP,U)
【文献】特開2017-164898(JP,A)
【文献】米国特許第05157995(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
B25F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の第1部材と、前記第1部材内に嵌められた筒状の第2部材と、前記第1部材の外側に嵌められた筒状の第3部材と、弾性部材とを備え、
前記第1部材は、軸方向における一端部に、駆動工具に連結するための結合部を有し、前記軸方向における他端部に所定の内径を有する第1嵌め部を有し、
前記第2部材は、前記第1嵌め部に収容されかつ前記第1嵌め部の内径よりも小さい内径を有する第2嵌め部を有し、
前記第3部材は、前記第1嵌め部の外側に設けられかつ前記第1嵌め部の内径よりも大きい内径を有する第3嵌め部を有し、
前記第1部材、前記第2部材および前記第3部材は一体的に回転し、
前記軸方向において、前記第1嵌め部から前記結合部に向かう方向を第1方向とし、前記結合部から前記第1嵌め部に向かう方向を第2方向として、
前記第2部材および前記第3部材は、前記第1部材に対して前記第1方向および前記第2方向へ移動させられることが可能であり、
前記弾性部材は、前記第2部材を前記第2方向へ付勢し、
前記第2部材は、前記弾性部材によ
る前記第2方向への移動が
第1規制手段により規制され
て、第1規制位置に位置付けられ、
前記第2部材を前記第1部材に対して前記第1方向へ移動させることによって、前記第2嵌め部は、前記第1嵌め部に対して前記第1方向へ移動し、
前記第3部材を前記第1部材に対して前記軸方向に移動させることによって、前記第3部材を、前記第1部材に対して前記第1方向へ移動することが
第2規制手段により規制された第2規制位置、または前記第1部材に対して前記第2方向へ移動することが
第3規制手段により規制された第3規制位置に位置付けることが可能であり、
前記第3部材を前記第1部材に対して前記第2方向へ移動させることによって、前記第3嵌め部は、前記第1嵌め部に対して前記第2方向へ移動し、
前記第2部材が前記第1規制位置に位置付けられ、かつ前記第3部材が前記第2規制位置に位置付けられた状態では、前記第1嵌め部と前記第2嵌め部と前記第3嵌め部とが重なっており、
前記第2部材を前記第1規制位置から前記第1方向へ移動させた状態において前記第1嵌め部に第1被駆動部材を嵌めることができ、
前記第2部材の前記第1規制位置において前記第2嵌め部に第2被駆動部材を嵌めることができ、
前記第3部材を前記第2規制位置から前記第2方向へ移動させた状態において前記第3嵌め部に第3被駆動部材を嵌めることができ、
前記軸方向に直交する方向において、前記第1被駆動部材の寸法は、前記第2被駆動部材よりも大きく、前記第3被駆動部材よりも小さいことを特徴とする、ソケット。
【請求項2】
前記第1部材は、更に、収容空間と、前記収容空間を囲む第1裏壁と、を備え、
前記第2部材は、前記軸方向に移動可能に前記収容空間に差し込まれており、
前記弾性部材は、前記収容空間に設けられており、
前記第2部材を前記第2方向へ付勢するように、前記軸方向における前記弾性部材の一端が前記第1裏壁に接続され、他端が前記第2部材に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記第1規制手段は、
規制部材
と、
前記第2部材の第2外壁に
突出するように設けられた止め部
と、を備え、
前記止め部と前記第2嵌め部は前記軸方向において距離を置いて設けられ、
前
記規制部材は、前記第1裏壁から内側に突出するように前記第1部材に設けられ、かつ前記止め部と前記第2嵌め部との間で前記第2外壁に対してスライドすることが可能であり、
前記第2部材が前記第1規制位置よりも前記第2方向へ移動することは、前記止め部と前記規制部材とが引っ掛かることによって規制されることを特徴とする、請求項2に記載のソケット。
【請求項4】
前記第1部材に、前記規制部材と同数の貫通孔が設けられており、
前記規制部材は、前記第1裏壁から突出するように前記貫通孔に嵌められていることを特徴とする、請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
嵌めリングを更に備え、
前記嵌めリングは、前記第1部材の外側に嵌められて位置決めされ、前記規制部材を外側から内側に向かって押し付けることにより、前記規制部材が前記第1裏壁から突出する状態を保持することを特徴とする、請求項4に記載のソケット。
【請求項6】
前記第2規制手段および前記第3規制手段は、
スライド部材
と、
前記第1部材の第1外壁に前記軸方向に距離を置いて設けられた二つの環状溝と、を備え、
前記第3部材は前記第1部材に移動可能に嵌められてお
り、
前記スライド部材は、前記第3部材において位置決められ、前記第3部材の第3裏壁から突出し、前記二つの環状溝の間で前記第1外壁に対してスライドすることが可能であり、かつ選択的に前記二つの環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であり、
前記二つの環状溝のうちの前記第1方向側の前記環状溝に前記スライド部材が嵌め込まれることによって、前記第3部材が前記第2規制位置から前記第1方向へ移動することが規制され、
前記二つの環状溝のうちの前記第2方向側の前記環状溝に前記スライド部材が嵌め込まれることによって、前記第3部材が前記第3規制位置から前記第2方向へ移動することが規制されることを特徴とする、請求項1から5のうちの何れかの1項に記載のソケット。
【請求項7】
前記二つの環状溝のうちの前記第1方向側の前記環状溝において、前記第2方向側の側面が斜めガイド面として構成されるとともに、前記第2方向側の環状溝において、前記第1方向側の側面が斜めガイド面として構成され、
前記第1方向側の前記環状溝の前記斜めガイド面は、前記第2方向側に行くほど外側に位置するように、当該環状溝の底面から斜め外側に向かって広がるように延び、
前記第2方向側の前記環状溝の前記斜めガイド面は、前記第1方向側に行くほど外側に位置するように、当該環状溝の底面から斜め外側に向かって広がるように延び、
前記斜めガイド面により、前記スライド部材がガイドされて前記環状溝に入り、又は前記環状溝から抜け出すことを特徴とする、請求項6に記載のソケット。
【請求項8】
前記第2規制手段および前記第3規制手段は、
スライド部材
と、
前記第1部材の第1外壁に前記軸方向に距離を置いて設けられた二つの環状溝と、を備え、
前記第3部材は前記第1部材に移動可能に嵌められてお
り、
前記スライド部材は、前記第3部材において位置決められ、前記第3部材の第3裏壁から突出し、前記二つの環状溝の間で前記第1外壁に対してスライドすることが可能であり、かつ選択的に前記二つの環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であり、
前記二つの環状溝のうちの前記第1方向側の前記環状溝に前記スライド部材が嵌め込まれることによって、前記第3部材が前記第2規制位置から前記第1方向へ移動することが規制され、
前記二つの環状溝のうちの前記第2方向側の前記環状溝に前記スライド部材が嵌め込まれることによって、前記第3部材が前記第3規制位置から前記第2方向へ移動することが規制され、
前記二つの環状溝のうちの前記第1方向側の前記環状溝において、前記第2方向側の側面が斜めガイド面として構成されるとともに、前記第2方向側の環状溝において、前記第1方向側の側面が斜めガイド面として構成され、
前記第1方向側の前記環状溝の前記斜めガイド面は、前記第2方向側に行くほど外側に位置するように、当該環状溝の底面から斜め外側に向かって広がるように延び、
前記第2方向側の前記環状溝の前記斜めガイド面は、前記第1方向側に行くほど外側に位置するように、当該環状溝の底面から斜め外側に向かって広がるように延び、
前記斜めガイド面により、前記スライド部材がガイドされて前記環状溝に入り、又は前記環状溝から抜け出し、
前記第1部材の前記二つの環状溝が設けられている部分を第2区域とし、前記第2区域及び前記結合部を連接する部分を第1区域として、
前記第1嵌め部は、前記第2区域の前記第1区域とは反対側の端部と連接し、
前記第1区域、前記第2区域及び前記第1嵌め部のうち、前記第2区域の厚さが最も厚く、前記第1嵌め部の厚さが最も薄く、前記第2区域の外径が最も大きく、
前記貫通孔が前記第1区域に設けられており、
前記軸方向において前記嵌めリングと前記第2区域とが並ぶように、かつ前記嵌めリングの側面が前記第2区域に当接するように、前記嵌めリングが前記第1区域に嵌められており、
前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部のうち、前記第3嵌め部の肉厚が最も厚く、前記第1嵌め部の肉厚が最も薄く、
前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部のそれぞれの肉厚は、1.5mmより大きく、
前記軸方向における前記第1嵌め部の長さと前記第3嵌め部の長さとの比は、0.9~1.1の範囲であり、前記第2嵌め部の長さと前記第1嵌め部の長さの比は、0.5~0.7の範囲であり、
前記第2嵌め部は前記第1嵌め部から突出しないことを特徴とする、請求項5に記載のソケット。
【請求項9】
前記第1嵌め部に第1多角穴が形成され、前記第2嵌め部に第2多角穴が形成され、前記第3嵌め部に第3多角穴が形成され、前記第1多角穴、前記第2多角穴及び前記第3多角穴は、それぞれ六角穴及び十二角穴のうちの一つであることを特徴とする、請求項1から8のうちの何れかの1項に記載のソケット。
【請求項10】
請求項1から9のうちの何れかの1項に記載のソケットを採用し、
回転させる対象である前記第1被駆動部材、前記第2被駆動部材及び前記第3被駆動部材の寸法に応じて、前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部の中で一つを選ぶ選択ステップと、
前記第1被駆動部材、前記第2被駆動部材及び前記第3被駆動部材の中の一つを回転させる回転ステップと、を含み、
前記選択ステップでは、前記対象が前記第1被駆動部材である場合には前記第1嵌め部を選択し、前記対象が前記第2被駆動部材である場合には前記第2嵌め部を選択し、前記対象が前記第3被駆動部材である場合には前記第3嵌め部を選択し、
前記選択ステップにおいて前記第1嵌め部を選んだ場合、前記回転ステップでは、前記第1方向へ前記第2嵌め部を押し付けることによって、前記第2嵌め部を前記第1嵌め部に対して内側に後退するように前記結合部側へ移動させ、前記第1嵌め部内において前記第2嵌め部が移動することによって空いた空間に前記第1被駆動部材を嵌めて、前記第1被駆動部材を回転させ、
前記選択ステップにおいて前記第2嵌め部を選んだ場合、前記回転ステップでは、前記第2嵌め部に前記第2被駆動部材を嵌めて、前記第2被駆動部材を回転させ、
前記選択ステップにおいて前記第3嵌め部を選んだ場合、前記回転ステップでは、前記第2方向へ前記第3嵌め部を引くことにより、前記第3嵌め部を前記第1嵌め部から突出させ、前記第3嵌め部を前記第3被駆動部材に嵌めて、前記第3被駆動部材を回転させることを特徴とするソケットの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソケットは、ネジ、ボルト及びナットなどの締結部材を駆動するためのものである。ソケットの嵌め部は、その寸法および形状が一定であり、寸法および輪郭がそれに合う締結部材だけを嵌めることが可能である。このため、工場では、各寸法のソケットを用意することが必要であり、コストが高くなる。また、異なる寸法および形状を有する複数のソケットは収納しにくく、携帯が不便である。このような問題を解決するために、あるメーカーは、二種の寸法を持つソケットを開発し、更に、三種以上の寸法を持つソケットを開発した。このようなソケットは、例えば、特許文献1(台湾発明I576208号)及び特許文献2(米国特許US5157995号)などにおいて提案されている。
【0003】
このようなソケットは、最も外側にありかつ寸法が一定である嵌め部を基準とし、その他の寸法がより小さい嵌め部を上記最も外側の嵌め部の内部に入れた構造を有している。使用時には、締結部材による押付により、小さい寸法を持つ嵌め部を後退させて、締結部材がそれに合う嵌め部と結合する。すなわち、このようなソケットの構造は、複数の嵌め部を後退させる技術を採用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】台湾発明I576208号公報
【文献】米国特許US5157995号公報
【文献】台湾実用新案M348666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構造によれば、多種の寸法を持つ嵌め部および多種の弾力を有するバネが必要となり、そしてソケットの内部には、多種の移動規制機構を設けることにより部材の離脱を防止することが必要であるため、各部材を合わせるための精度が要請され、加工が難しくなり、組付け作業がしにくくなり、作製コストが高くなる。
【0006】
もう一つのタイプのソケットの構造は、例えば特許文献3(台湾実用新案M348666号)において提案されている。このようなソケットは、最も外側にありかつ寸法が一定であるケースを基準とし、ケースの内部に複数の円筒状部材を重なるように入れた構造を有している。これにより、嵌め部の寸法が多種となる。各円筒状部材には、長さが互いに異なるガイド溝がそれぞれ設けられており、スライド可能な複数の横ロッドにより各円筒状部材が連結される。使用時には、利用しようとする円筒状部材をケースから押し出す。
【0007】
しかしながら、上記のソケットによれば、各部材を合わせるための精度が要請され、加工が難しくなり、例えばガイド溝の長さの設計、側辺の位置決め溝の位置の選定、及び連結ロッドの細かい構造の設計などは難しい。そして、使用時には、ソケットを回転することによるトルクが横ロッドに集中しやすいため、利用回数が多くなると変形しやすい。
【0008】
本発明の主な目的は、内部の構造を簡素化することが可能であると共に、全体の体積を大幅に減少することが可能であり、操作が便利となるソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るソケットによると、互いに対向する、結合部と、第1嵌め部と、を備え、第1嵌め部は選択的に第1被駆動部材を駆動することが可能である第1部材と、
第1部材に差し込まれており、第2被駆動部材を駆動する第2嵌め部を備え、第2嵌め部は第1嵌め部に収容され、第2嵌め部は、第1嵌め部に対して結合部に近接する方向へ移動することが可能であり、これにより、第1嵌め部は第1被駆動部材を駆動することが可能である第2部材と、
第1部材に嵌められており、第3嵌め部を備え、第3嵌め部は、第1嵌め部に対して結合部から離れる方向へ移動することが可能であり、ひいては第3嵌め部の一部は、第1嵌め部から突出して第3被駆動部材を駆動することが可能である第3部材と、
を備え、
第1嵌め部、第2嵌め部及び第3嵌め部の内径の寸法は、互いに異なることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るソケットによると、第1部材は、更に、収容空間と、収容空間を囲む第1裏壁と、を備え、第2部材は、収容空間に移動可能に差し込まれており、弾性部材は、収容空間に設けられており、両端がそれぞれ第1裏壁及び第2部材と連接し、これにより、第2部材は結合部から離れる方向へ付勢されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るソケットによると、第2部材の第2外壁に止め部が突出するように設けられており、止め部と第2嵌め部は距離を置いて設けられ、少なくとも一つの規制部材は、第1部材に位置決められ、第1裏壁から突出し、止め部と第2嵌め部との間にスライドすることが可能であり、第2部材の移動方向には、止め部と規制部材は互いに干渉することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るソケットによると、第1部材に貫通孔が少なくとも一つ設けられており、貫通孔の数量は規制部材の数量と同じ、規制部材は、貫通孔を挿通して第1裏壁から突出することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るソケットによると、嵌めリングは、第1部材を嵌めて位置決め、規制部材に押し付けることにより、規制部材が第1裏壁から突出する状態が保持されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るソケットによると、第3部材は第1部材に移動可能に嵌め設けられており、第1部材の第1外壁に環状溝が二つ設けられており、第1部材の長手方向には、二つの環状溝が距離を置いて設けられ、スライド部材は、第3部材に位置決められ、第3部材の第3裏壁から突出し、二つの環状溝の間にスライドすることが可能であり、選択的に環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るソケットによると、二つの環状溝の互いに隣接する側辺に斜めガイド面がそれぞれ設けられており、二つの斜めガイド面の伸び方向は、傾斜して互いに近接し、斜めガイド面により、スライド部材がガイドされて環状溝に入り、又は環状溝から離脱することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るソケットによると、第3部材は第1部材に移動可能に嵌め設けられており、第1部材の第1外壁に環状溝が二つ設けられており、第1部材の長手方向には、二つの環状溝が距離を置いて設けられ、スライド部材は、第3部材に位置決められ、第3部材の第3裏壁から突出し、二つの環状溝の間にスライドすることが可能であり、選択的に環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であり、二つの環状溝の互いに隣接する側辺には、斜めガイド面がそれぞれ設けられており、二つの斜めガイド面の伸び方向は傾斜して互いに近接し、斜めガイド面により、スライド部材がガイドされて環状溝に入り、又は環状溝から離脱し、第1部材の二つの環状溝が設けられている部分を第2区域とし、第1区域は第2区域及び結合部と連接し、第1嵌め部は、第2区域の第1区域に対向する一端と連接し、第1区域、第2区域及び第1嵌め部のうちに、第2区域の厚さが最も厚く、第1嵌め部の厚さが最も薄く、第2区域の外径が最も大きく、貫通孔が第1区域に設けられており、嵌めリングが第1区域に嵌め設けられているときには、嵌めリングが、第2区域と揃い、側辺が第2区域に当接し、第1嵌め部、第2嵌め部及び第3嵌め部のうちに、第3嵌め部の肉厚が最も厚く、第1嵌め部の肉厚が最も薄く、第1嵌め部、第2嵌め部及び第3嵌め部のそれぞれの肉厚は、1.5mmより大きく、第1部材の長手方向には、第1嵌め部の長さが第3嵌め部の長さと同じ、第2嵌め部の長さと第1嵌め部の長さの比は、0.5~0.7範囲であり、第2嵌め部は第1嵌め部から突出しないことを特徴とする。
【0017】
本発明に係るソケットによると、第1嵌め部に第1多角穴が形成され、第2嵌め部に第2多角穴が形成され、第3嵌め部に第3多角穴が形成され、第1多角穴、第2多角穴及び第3多角穴は、それぞれ六角穴及び十二角穴のうちの一つであることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るソケットの使用方法によると、請求項1から8のうちの何れかの1項に記載のソケットを採用し、
回転しようとする、第1被駆動部材、第2被駆動部材及び第3被駆動部材の異なる寸法によって、第1嵌め部、第2嵌め部及び第3嵌め部の中で一つを選ぶステップと、
第1嵌め部を選んだ場合、結合部に向く方向へ第2嵌め部に押し付けて、第2嵌め部が第1嵌め部に対して内側に後退して結合部へ移動し、第1嵌め部の空いている空間は、第1被駆動部材を嵌めて駆動するステップ、
又は第2嵌め部を選んだ場合、第2嵌め部を第2被駆動部材に嵌めて駆動するステップ、
又は第3嵌め部を選んだ場合、結合部から離れる方向へ第3嵌め部を引くことにより、第3嵌め部が第1嵌め部から突出して、第3嵌め部を第3被駆動部材に嵌めて駆動するステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るソケットによれば、ユーザーは三種の異なる寸法を選ぶことができ、そして第2部材と第3部材との操作の移動方向は互いに逆であるため、構造を大幅に簡単化することができ、全体の体積を有効に減少することができ、組立作業の工数を減少することができ、収納および携帯が便利となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態において、使用しようとする第2嵌め部の位置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態において、使用しようとする第1嵌め部の位置を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態において、使用しようとする第3嵌め部の位置を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るソケットを示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態において、使用しようとする第2嵌め部に第2被駆動部材が嵌められている状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態において、使用しようとする第1嵌め部に第1被駆動部材が嵌められている状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態において、使用しようとする第3嵌め部に第3被駆動部材が嵌められている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1から
図7を参照する。本発明の一実施形態に係るソケットは、筒状の第1部材1と、筒状の第2部材2と、筒状の第3部材3と、を備える。なお、以下においては、第1被駆動部材91、第2被駆動部材92および第3被駆動部材93がそれぞれ、締結部材(より具体的には、ボルト)である場合について説明する。また、以下においては、
図1に示すソケットにおける第2部材2および第3部材3のそれぞれの位置を初期位置とする。本実施形態では、第2部材2の初期位置では、第2部材2が後述する結合部11から離れる方向に移動することが規制され、第3部材3の初期位置では、第3部材3が後述する係合部11に近付く方向に移動することが規制される。
【0023】
第1部材1は、互いに対向する、結合部11と、第1嵌め部12と、を備える。本実施形態では、第1部材1の軸方向において、第1嵌め部12から結合部11に向かう方向が第1方向に対応し、結合部11から第1嵌め部12に向かう方向が第2方向に対応する。本実施形態では、第1部材1の軸方向において、第1部材1の一方の端部に結合部11が設けられ、第1部材1の他方の端部に第1嵌め部12が設けられている。結合部11は、図示しない駆動工具(例えば、トルクレンチ、エアポンプ、電動工具など)に、直接または間接的に取り付けられる。本実施形態では、駆動工具によって結合部11が回転駆動されることによって、第1部材1、第2部材2および第3部材3が一体的に回転する。第1嵌め部12には、所定の寸法の第1被駆動部材91を嵌めることができる。上記駆動工具によって第1部材1を回転駆動することによって、第1嵌め部12に嵌められた第1被駆動部材91を回転させることができる。第2部材2は、第1部材1に差し込まれており、所定の寸法の第2被駆動部材92を嵌めることができる第2嵌め部21を備える。第2嵌め部21に第2被駆動部材92を嵌めた状態で、上記駆動工具によって第1部材1を回転駆動することによって、第2嵌め部21に嵌められた第2被駆動部材92を回転させることができる。第2嵌め部21は第1嵌め部12に収容される。
図1および
図2に示すように、第2嵌め部21は、第1嵌め部12に対して、第1部材1の軸方向に移動することができる。言い換えると、第2嵌め部21は、第1嵌め部12に対して、結合部11に近接する方向(第1方向)および結合部11から離隔する方向(第2方向)へ移動することが可能である。
図1、
図2および
図6に示すように、初期位置の第2嵌め部21(第2部材2)を結合部11側に移動させることによって、第1嵌め部12に第1被駆動部材91を嵌めることができる。これにより、第1被駆動部材91を回転駆動することが可能になる。
【0024】
第3部材3は、第1部材1の外側に嵌められており、第3被駆動部材93を嵌めることができる第3嵌め部31を備える。
図1および
図3に示すように、第3嵌め部31は、第1嵌め部12に対して、第1部材1の軸方向に移動することができる。第3嵌め部31は、第1嵌め部12に対して、結合部11から離れる方向および結合部11に近接する方向へ移動することが可能である。
図1、
図3および
図7に示すように、初期位置の第3嵌め部31(第3部材3)を結合部11から離れる方向に移動させることによって、第3嵌め部31の一部を、第1嵌め部12から突出させることができる。これにより、第3嵌め部31に第3被駆動部材93を嵌めることができる。第3嵌め部31に第3被駆動部材93を嵌めた状態で、上記駆動工具によって第1部材1を回転駆動することによって、第3嵌め部31に嵌められた第3被駆動部材93を回転させることができる。第1嵌め部12、第2嵌め部21及び第3嵌め部31の内径は、互いに異なる。なお、本明細書において嵌め部の内径とは、嵌め部の軸方向から見て嵌め部に内接する円の直径のことをいう。
【0025】
上記の内側の差し込み及び外側の嵌めという結合方式により、第2嵌め部21及び第3嵌め部31は、中央に位置し動かない第1嵌め部12を基準として、独立に内側(結合部11側)へ後退し、又は外側(第1部材1の軸方向における外側)へ伸びることができる。このため、第2嵌め部21又は第3嵌め部31を選んで移動させるときに、第2嵌め部21と第3嵌め部31とが干渉したり、連動したりすることはない。したがって、ユーザーは、所望の寸法の嵌め部を迅速に選ぶことができる。
【0026】
また、操作を簡単化し、ユーザーが前記ソケットを直観的に利用することが可能となるために、前記ソケットの使用方法は下記のステップを含む。まず、回転させようとする被駆動部材(第1被駆動部材91、第2被駆動部材92又は第3被駆動部材93)の寸法に応じて、第1嵌め部12、第2嵌め部21及び第3嵌め部31の中で一つを選ぶ。例えば、第1嵌め部12を選んだ場合には、初期位置の第2嵌め部21(第2部材2)を結合部11に近接する方向へ押し付ける。これにより、第2嵌め部21が第1嵌め部12に対して内側に後退(結合部11側へ移動)する。第1嵌め部12内において第2嵌め部21が移動することによって空いた空間に第1被駆動部材91を嵌めて、第1被駆動部材91を駆動する。なお、第2嵌め部21を選んだ場合には、第2嵌め部21に第2被駆動部材92を嵌めて、第2被駆動部材を駆動する。第3嵌め部31を選んだ場合には、初期位置の第3嵌め部31(第3部材3)を結合部11から離れる方向へ引くことにより、第3嵌め部31が第1嵌め部12から突出する。そして、第3嵌め部31に第3被駆動部材93を嵌めて、第3被駆動部材93を駆動する。
【0027】
上記の使用方式の説明により、第1嵌め部12が第2嵌め部21及び第3嵌め部31を離隔して、第2嵌め部21及び第3嵌め部31が第1部材1の軸方向に移動する際に互いに干渉しないという長所を有することが分かる。第2嵌め部21が第1嵌め部12から突出しないことが好ましい。この場合、動かない第1嵌め部12により、異物による第2嵌め部21の意図しない押し込みを防止することができる。
【0028】
次に、前記ソケットの構造をより詳細に説明する。本実施形態では、第1部材1の周方向(軸周りの方向)において、第1嵌め部12は、第2嵌め部21および第3嵌め部31と噛み合っている。このような構成により、図示しない駆動工具によって第1部材1(結合部11)が回転駆動されることによって、第1嵌め部12、第2嵌め部21および第3嵌め部31が一体的に回転する。第1嵌め部12に第1多角穴81が形成されている。第2嵌め部21に第2多角穴82が形成されている。第3嵌め部31に第3多角穴83が形成されている。第1多角穴81、第2多角穴82及び第3多角穴83は、それぞれ六角穴または十二角穴である。これにより、ユーザーの各種の要求を満足することができる。本実施形態では、内から外へ、第2嵌め部21、第1嵌め部12及び第3嵌め部31が採用する多角穴が、六角、六角、十二角であるが、本発明はこれらに限定されない。もちろん、内から外へ、六角、六角、六角でもよく、六角、六角、十二角でもよく、六角、十二角、六角でもよく、十二角、六角、六角でもよく、六角、十二角、十二角でもよく、十二角、六角、十二角でもよく、十二角、十二角、六角でもよく、十二角、十二角、十二角でもよい。
【0029】
本実施形態では、第1部材1は、更に、収容空間14と、収容空間14を囲む第1裏壁(内壁)16と、を備える。第2部材2は、収容空間14に移動可能に差し込まれている。収容空間14に、弾性部材4が設けられている。本実施形態では、弾性部材4として、コイルバネが用いられる。第1部材1の軸方向において、弾性部材4の一端が第1裏壁16に接続され、他端が第2部材2に接続されている。これにより、第2部材2は結合部11から離れる方向へ付勢される。第1被駆動部材91が第1嵌め部12から抜き出されるときには、弾性部材4により第2部材2が初期の位置に戻される。一方、第1嵌め部12に第1被駆動部材91を嵌めるときには、弾性部材4により、第2嵌め部21が第1被駆動部材91に緊密に押し付けられる。これにより、前記ソケットと第1被駆動部材91の接触面積を増加することができ、ひいては第1被駆動部材91を安定的に駆動することができる。特に、前記ソケットを上方に向けた状態で第1被駆動部材91を嵌めるときに、第1被駆動部材91を安定的に駆動することができる。
【0030】
また、具体的には、第2部材2の第2外壁(外周面)22に止め部23が突出するように設けられている。本実施形態では、第2外壁22の結合部11側の端部において、外側(第1部材1の軸方向に直交する方向(径方向)における外側)に突出するように、フランジ状の止め部23が設けられている。止め部23と第2嵌め部21とは、第2部材2の軸方向に距離を置いて設けられている。少なくとも一つの規制部材5は、第1部材1において位置決めされて設けられている。規制部材5は、止め部23と第2嵌め部21との間において第1裏壁16から内側に突出し、第2外壁22に対してスライドすることが可能である。第1部材1の軸方向における第2部材2の外側への移動は、止め部23と規制部材5とが互いに干渉する(引っ掛かる)ことにより規制される。その結果、第2部材2が第1部材1から抜け落ちることを防止することができる。これにより、第2部材2は、第1部材1に対して一定の距離だけ移動することができる。本実施形態では、規制部材5および止め部23が請求項1における「第1規制手段」に相当する。
【0031】
より具体的には、第1部材1に貫通孔13が少なくとも一つ設けられている。本実施形態では、貫通孔13の数量は、規制部材5の数量(本実施形態では二つ)と同じである。規制部材5は、貫通孔13に挿通され、第1裏壁16から突出する。そして嵌めリング6は、第1部材1の外側に嵌められて位置決めされ、規制部材5を外側から内側に向かって押し付けることにより、規制部材5が第1裏壁16から突出する状態を保持する。
【0032】
本実施形態では、第3部材3は、第1部材1に対して移動可能であるように第1部材1の外側に嵌められる。第3嵌め部31に第3被駆動部材93が嵌め込まれているときには、第1嵌め部12が第3被駆動部材93に当接するため、支持力が安定的となる。
【0033】
詳細には、第1部材1の第1外壁(外周面)15に環状溝17が二つ設けられている。二つの環状溝17は、第1部材1の長手方向(軸方向)に距離を置いて設けられる。スライド部材7は、第3部材3において位置決められ、第3部材3の第3裏壁(内壁)32から突出する。本実施形態では、第3裏壁32において第3嵌め部31よりも結合部11側に、環状溝33が設けられ、環状溝33にスライド部材7が嵌められている。スライド部材7は、例えばCリングである。スライド部材7は、二つの環状溝17の間において、第1外壁15に対してスライドすることが可能であり、選択的に、二つの環状溝17のうちの一つに嵌め込むことができる。これにより、第3部材3が第1部材1から抜け落ちることを防止することができ、そして第3部材3を位置決めすることもできる。二つの環状溝17には、斜めガイド面171がそれぞれ設けられている。より具体的には、一方の環状溝17において、他方の環状溝17側の側面が斜めガイド面171として構成され、他方の環状溝17において、一方の環状溝17側の側面が斜めガイド面171として構成されている。一方の環状溝17の斜めガイド面171は、他方の環状溝17に近付くほど外側に位置するように、環状溝17の底面から斜め外側に向かって広がるように延び、他方の環状溝17の斜めガイド面171は、一方の環状溝17に近付くほど外側に位置するように、環状溝17の底面から斜め外側に向かって広がるように延びている。斜めガイド面171により、スライド部材7がガイドされて環状溝17に入り、又は環状溝17から抜け出る。本実施形態では、スライド部材7と、二つの環状溝17のうちの結合部11側の環状溝17とが請求項1における「第2規制手段」に相当する。また、スライド部材7と、二つの環状溝17のうちの第1嵌め部12側の環状溝17とが請求項1における「第3規制手段」に相当する。
【0034】
特に、第2部材2の移動は、第2外壁22の止め部23と、第1部材1に挿通された少なくとも一つの規制部材5とにより規制される。なお、第3部材3の移動は、第3裏壁32に嵌められているスライド部材7と、第1外壁15に形成された二つの環状溝17とによりが規制される。加工するときに、加工をする作業者は、第1外壁15及び第2外壁22に対する加工を容易に制御することが可能であり、第3裏壁32だけに対して切削を行うことが必要である。換言すると、本発明に係るソケットの構造によれば、作製のプロセスが簡単となり、組付け作業の工数を減少することができる。
【0035】
第1部材1の二つの環状溝17が設けられている部分(二つの環状溝17の間の部分を含む)を第2区域19とする。第1部材1の第1区域18は、第2区域19及び結合部11と連接し、第1嵌め部12は、第2区域19の第1区域18とは反対側の端部と連接する。第1区域18、第2区域19及び第1嵌め部12のうち、第2区域19の厚さ(本実施形態では、平均厚さ)が最も厚く、第1嵌め部12の厚さ(本実施形態では、平均厚さ)が最も薄い。そして第2区域19の外径が最も大きく、貫通孔13が第1区域18に設けられている。本実施形態では、第1部材1の軸方向において嵌めリング6と第2区域19とが並ぶように、かつ嵌めリング6の側面が第2区域19に当接するように、嵌めリング6が第1区域18に嵌められる。
【0036】
本実施形態では、第1嵌め部12、第2嵌め部21及び第3嵌め部31のうち、第3嵌め部31の肉厚(本実施形態では、平均肉厚)が最も厚く、第1嵌め部12の肉厚(本実施形態では、平均肉厚)が最も薄い。なお、ソケットの使用時に要求される強度を確保するために、第1嵌め部12、第2嵌め部21、および第3嵌め部31の肉厚はそれぞれ、1.5mmより大きいことが好ましい。また、第1部材1が第3被駆動部材93に当接することを可能にするために、第1部材1の長手方向(軸方向)における、第1嵌め部12の長さと第3嵌め部31の長さとの比(第1嵌め部12の長さ/第3嵌め部31の長さ)は、0.9~1.1であることが好ましく、第1嵌め部12の長さが第3嵌め部31の長さと同じであることがより好ましい。同じように、第2部材2が第1被駆動部材91に当接することを可能にするために、第2嵌め部21の長さと第1嵌め部12の長さの比(第2嵌め部21の長さ/第1嵌め部12の長さ)は、0.5~0.7であることが好ましい。
【0037】
本発明に係るソケットによれば、第2嵌め部を直接に使用することができ、且つ第2部材が第1部材に対して内側に後退することにより、第1嵌め部を使用することができ、第3部材が第1部材に対して外側に突出することにより、第3嵌め部を使用することができる。これにより、ユーザーは三種の異なる寸法の嵌め部を選ぶことができる。第2部材と第3部材との操作の移動方向(初期位置からの移動方向)は互いに逆であるため、構造を大幅に簡単化することができ、全体の体積を有効に減少することができ、組立作業の工数を減少することができ、収納および携帯が便利となる。
【0038】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記10)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。なお、下記の(付記1)~(付記10)において物件とは、ソケットに嵌めて回転させる対象となる物を意味する。物件としては、例えば、ボルト等の締結部材を挙げることができる。
【0040】
(付記1)
互いに対向する、結合部と、第1嵌め部と、を備え、前記第1嵌め部は選択的に第1物件を駆動することが可能である第1部材と、
前記第1部材に差し込まれており、第2物件を駆動する第2嵌め部を備え、前記第2嵌め部は前記第1嵌め部に収容され、前記第2嵌め部は、前記第1嵌め部に対して前記結合部に近接する方向へ移動することが可能であり、これにより、前記第1嵌め部は前記第1物件を駆動することが可能である第2部材と、
前記第1部材に嵌められており、第3嵌め部を備え、前記第3嵌め部は、前記第1嵌め部に対して前記結合部から離れる方向へ移動することが可能であり、ひいては前記第3嵌め部の一部は、前記第1嵌め部から突出して第3物件を駆動することが可能である第3部材と、
を備え、
前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部の内径の寸法は、互いに異なることを特徴とするソケット。
【0041】
(付記2)
前記第1部材は、更に、収容空間と、前記収容空間を囲む第1裏壁と、を備え、前記第2部材は、前記収容空間に移動可能に差し込まれており、弾性部材は、前記収容空間に設けられており、両端がそれぞれ前記第1裏壁及び前記第2部材と連接し、これにより、前記第2部材は前記結合部から離れる方向へ付勢されることを特徴とする、付記1に記載のソケット。
【0042】
(付記3)
前記第2部材の第2外壁に止め部が突出するように設けられており、前記止め部と前記第2嵌め部は距離を置いて設けられ、少なくとも一つの規制部材は、前記第1部材に位置決められ、前記第1裏壁から突出し、前記止め部と前記第2嵌め部との間にスライドすることが可能であり、前記第2部材の移動方向には、前記止め部と前記規制部材は互いに干渉することを特徴とする、付記2に記載のソケット。
【0043】
(付記4)
前記第1部材に貫通孔が少なくとも一つ設けられており、前記貫通孔の数量は前記規制部材の数量と同じ、前記規制部材は、前記貫通孔を挿通して前記第1裏壁から突出することを特徴とする、付記3に記載のソケット。
【0044】
(付記5)
嵌めリングは、前記第1部材を嵌めて位置決め、前記規制部材に押し付けることにより、前記規制部材が前記第1裏壁から突出する状態が保持されることを特徴とする、付記4に記載のソケット。
【0045】
(付記6)
前記第3部材は前記第1部材に移動可能に嵌め設けられており、前記第1部材の第1外壁に環状溝が二つ設けられており、前記第1部材の長手方向には、前記二つの環状溝が距離を置いて設けられ、スライド部材は、前記第3部材に位置決められ、前記第3部材の第3裏壁から突出し、前記スライド部材は、前記二つの環状溝の間にスライドすることが可能であり、選択的に前記環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であることを特徴とする、付記1に記載のソケット。
【0046】
(付記7)
前記二つの環状溝の互いに隣接する側辺に斜めガイド面がそれぞれ設けられており、二つの前記斜めガイド面の伸び方向は、傾斜して互いに近接し、前記斜めガイド面により、前記スライド部材がガイドされて前記環状溝に入り、又は前記環状溝から離脱することを特徴とする、付記6に記載のソケット。
【0047】
(付記8)
前記第3部材は前記第1部材に移動可能に嵌め設けられており、前記第1部材の第1外壁に環状溝が二つ設けられており、前記第1部材の長手方向には、前記二つの環状溝が距離を置いて設けられ、スライド部材は、前記第3部材に位置決められ、前記第3部材の第3裏壁から突出し、前記二つの環状溝の間にスライドすることが可能であり、選択的に前記環状溝のうちの一つに嵌め込むことが可能であり、前記二つの環状溝の互いに隣接する側辺には、斜めガイド面がそれぞれ設けられており、二つの前記斜めガイド面の伸び方向は傾斜して互いに近接し、前記斜めガイド面により、前記スライド部材がガイドされて前記環状溝に入り、又は前記環状溝から離脱し、前記第1部材の前記二つの環状溝が設けられている部分を第2区域とし、第1区域は前記第2区域及び前記結合部と連接し、前記第1嵌め部は、前記第2区域の前記第1区域に対向する一端と連接し、前記第1区域、前記第2区域及び前記第1嵌め部のうちに、前記第2区域の厚さが最も厚く、前記第1嵌め部の厚さが最も薄く、前記第2区域の外径が最も大きく、前記貫通孔が前記第1区域に設けられており、前記嵌めリングが前記第1区域に嵌め設けられているときには、前記嵌めリングが、前記第2区域と揃い、側辺が前記第2区域に当接し、前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部のうちに、前記第3嵌め部の肉厚が最も厚く、前記第1嵌め部の肉厚が最も薄く、前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部のそれぞれの肉厚は、1.5mmより大きく、前記第1部材の長手方向には、前記第1嵌め部の長さが前記第3嵌め部の長さと同じ、前記第2嵌め部の長さと前記第1嵌め部の長さの比は、0.5~0.7範囲であり、前記第2嵌め部は前記第1嵌め部から突出しないことを特徴とする、付記5に記載のソケット。
【0048】
(付記9)
前記第1嵌め部に第1多角穴が形成され、前記第2嵌め部に第2多角穴が形成され、前記第3嵌め部に第3多角穴が形成され、前記第1多角穴、前記第2多角穴及び前記第3多角穴は、それぞれ六角穴及び十二角穴のうちの一つであることを特徴とする、付記1から8のうちの何れかに記載のソケット。
【0049】
(付記10)
付記1から9のうちの何れかに記載のソケットを採用し、
回転しようとする、前記第1物件、前記第2物件及び前記第3物件の異なる寸法によって、前記第1嵌め部、前記第2嵌め部及び前記第3嵌め部の中で一つを選ぶステップと、
前記第1嵌め部を選んだ場合、前記結合部に向く方向へ前記第2嵌め部に押し付けて、前記第2嵌め部が前記第1嵌め部に対して内側に後退して前記結合部へ移動し、前記第1嵌め部の空いている空間は、前記第1物件を嵌めて駆動するステップ、
又は前記第2嵌め部を選んだ場合、前記第2嵌め部を前記第2物件に嵌めて駆動するステップ、
又は前記第3嵌め部を選んだ場合、前記結合部から離れる方向へ前記第3嵌め部を引くことにより、前記第3嵌め部が前記第1嵌め部から突出して、前記第3嵌め部を前記第3物件に嵌めて駆動するステップと、
を含むことを特徴とするソケットの使用方法。
【符号の説明】
【0050】
1 第1部材
2 第2部材
3 第3部材
4 弾性部材
5 規制部材
6 嵌めリング
7 スライド部材
11 結合部
12 第1嵌め部
13 貫通孔
14 収容空間
15 第1外壁
16 第1裏壁
17 環状溝
18 第1区域
19 第2区域
21 第2嵌め部
22 第2外壁
23 止め部
31 第3嵌め部
32 第3裏壁
81 第1多角穴
82 第2多角穴
83 第3多角穴
91 第1被駆動部材
92 第2被駆動部材
93 第3被駆動部材
171 斜めガイド面