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特許7625386交換可能な光学素子を有するライトシート顕微鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】交換可能な光学素子を有するライトシート顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
G02B21/00
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020157720
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2021051306
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】19198728
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ファールバッハ
【審査官】鈴木 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0023784(US,A1)
【文献】特表2019-511013(JP,A)
【文献】特表2019-526829(JP,A)
【文献】特表2016-538584(JP,A)
【文献】国際公開第2018/089865(WO,A1)
【文献】特開2015-011286(JP,A)
【文献】特開昭62-201302(JP,A)
【文献】特開平03-180743(JP,A)
【文献】特開平11-072717(JP,A)
【文献】独国特許発明第102016104534(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00;21/06-21/36
G01N 21/00-21/01;21/17-21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の光学素子(105)と、少なくとも1つの第2の光学素子(113)と、ミラーアセンブリ(114)と、を備えた光学系(104)を有するライトシート顕微鏡(101)であって、
・前記顕微鏡(101)の第1の動作状態(106)において、前記光学系(104)は、第1の照明光路(108)に沿い、前記少なくとも1つの第1の光学素子(105)を通して、第1の試料体積体(109)に照明光(107)を伝送するように構成されており、第1の観察光路(111)に沿い、前記第1の試料体積体(109)から検出装置(112)に観察光(110)を伝送するように構成されており、
・前記顕微鏡(101)の第2の動作状態(115)において、前記光学系(104)は、第2の照明光路(108a)に沿い、前記ミラーアセンブリ(114)を介し、前記少なくとも1つの第2の光学素子(113)を通して、前記第1の試料体積体(109)とは異なる第2の試料体積体(109a)に前記照明光(107)を伝送するように構成されており、第2の観察光路(111a)に沿い、前記第2の試料体積体(109a)から前記検出装置(112)に観察光(110)を伝送するように構成されている、
ライトシート顕微鏡(101)。
【請求項2】
前記ミラーアセンブリ(114)は、前記第1の動作状態(106)において第1の動作位置(116)に位置し、前記第2の動作状態(115)において第2の動作位置(117)に移動される、
請求項1記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項3】
前記第1の動作位置(116)において、前記第1の照明光路(108)は、前記ミラーアセンブリ(114)をバイパスする、
請求項2記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項4】
前記ミラーアセンブリ(114)は、前記第1の動作位置(116)から前記第2の動作位置(117)に、直線式および回転式のうちの少なくとも一方で移動可能であるように構成されている、
請求項2または3記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項5】
前記第1の動作状態(106)では、前記第1の照明光路(108)および前記第1の観察光路(111)は、前記ミラーアセンブリ(114)をバイパスし、前記第2の動作状態(115)では、前記ミラーアセンブリ(114)は、前記第2の照明光路(108a)および前記第2の観察光路(111a)に配置される、
請求項2から4までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項6】
前記ミラーアセンブリ(114)は、挿入方向(120)に沿って前記第1の照明光路(108)に移動されるように構成されており、前記挿入方向(12)は、
・前記第1の照明光路(108)に対して実質的に垂直、
・前記ミラーアセンブリ(114)の反射表面(114a)に対して実質的に平行、および、
・前記第2の動作状態(115)において、前記ミラーアセンブリ(114)における反射面(121)に対して実質的に垂直、
のうちの1つである、
請求項2から5までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項7】
前記光学系(104)は、第1のチューブレンズ(222)および第2のチューブレンズ(223)を有し、
前記第1のチューブレンズ(222)は、前記第1の照明光路(108)に設けられており、前記第2のチューブレンズ(223)は、前記第2の照明光路(108a)に設けられている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項8】
前記光学系(104)は、第1のチューブレンズ(222)および第2のチューブレンズ(223)を有し、
前記第1のチューブレンズ(222)は、前記第1の照明光路(108)に設けられており、前記第2のチューブレンズ(223)は、前記第2の照明光路(108a)に設けられており、
前記第2のチューブレンズ(223)および前記少なくとも1つの第2の光学素子(113)のうちの少なくとも1つは、前記ミラーアセンブリ(114)と共に前記第1の動作位置(116)から前記第2の動作位置(117)に移動するように構成されており、
前記第2の動作位置(117)では、前記第2のチューブレンズ(223)および/または前記少なくとも1つの第2の光学素子(113)は、前記第2の照明光路(108a)に挿入される、
請求項2から6までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項9】
前記第1の照明光路(108)において、前記光学系(104)の前記第1のチューブレンズ(222)は、前記少なくとも1つの第1の光学素子(105)と、前記ミラーアセンブリ(114)の前記第2の動作位置(117)と、の間に配置されている、
請求項8記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項10】
前記第2の光学素子(113)の焦点距離(f)と前記第2のチューブレンズ(223)の焦点距離(f)との比は、前記少なくとも1つの第1の光学素子(105)の焦点距離(f)と前記第1のチューブレンズ(222)の焦点距離(f)との比に実質的に等しい、
請求項7から9までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項11】
前記ミラーアセンブリ(114)は、少なくとも1つの調整可能なミラーを有し、前記調整可能なミラーは、
・前記第2の照明光路(108a)に対する角度、および
・前記第2の照明光路(108a)に沿った位置
のうちの少なくとも1つが調整されるように構成されている、
請求項1から10までいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項12】
前記光学系(104)は、調整ミラーの対を有し、それぞれの前記調整ミラーは、
・前記第1の照明光路(108)および前記第2の照明光路(108a)に対する角度、および
・前記第1の照明光路(108)および前記第2の照明光路(108a)に沿った位置
のうちの少なくとも1つが調整されるように構成されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項13】
前記第1の光学素子(105)は、第1の対物レンズ(124)であり、前記第2の光学素子(113)は、第2の対物レンズ(125)であり、前記第1の対物レンズ(124)および前記第2の対物レンズ(125)は、
・開口数(NA)、
・作動距離(wd)、
・瞳孔径(d)、および
・焦点距離(f)
のうちの少なくとも1つが異なる、
請求項1から12までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項14】
前記第1の光学素子(105)の光軸(126)および前記第2の光学素子(113)の光軸(127)は、
・実質的に互いに平行、
・実質的に互いに逆平行、および
・実質的に互いに垂直
のうちの1つで配向されている、
請求項1から13までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項15】
前記光学系(104)は、前記第1の照明光路(108)および前記第2の照明光路(108a)に対し、角度および位置の少なくとも1つが調整可能に構成されている少なくとも2つのスキャンミラーを有し、
前記スキャンミラーは、前記第1の試料体積体(109)および前記第2の試料体積体(109a)に生成されるライトシート(128)により、前記第1の試料体積体(109)および前記第2の試料体積体(109a)をスキャンするように構成されている、
請求項1から14までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【請求項16】
前記ライトシート顕微鏡(101)は、斜面顕微鏡(102)またはSCAPE顕微鏡(103)である、
請求項1から15までのいずれか1項記載のライトシート顕微鏡(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1の光学素子と、少なくとも1つの第2の光学素子と、ミラーアセンブリと、を備えた光学系を有するライトシート顕微鏡、特に斜面顕微鏡またはSCAPE顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野の複数のライトシート顕微鏡が公知であり、ここでは拡大率、開口数などのような顕微鏡のパラメータは、一般的に固定である。ライトシート顕微鏡のこのようなパラメータを変更することは、非能率的でありかつ時間を浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の一態様は、顕微鏡パラメータの変更を容易にし、顕微鏡の多用性が増大されるライトシート顕微鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
冒頭に述べたライトシート顕微鏡についての上記の課題は、本発明により、顕微鏡の第1の動作状態において、光学系が、第1の照明光路に沿い、少なくとも1つの第1の光学素子を通して、第1の試料体積体に照明光を伝送するように構成されており、かつ第1の観察光路に沿い、第1の試料体積体から検出装置に観察光を伝送するように構成されており、顕微鏡の第2の動作状態において、光学系が、第2の照明光路に沿い、ミラーアセンブリを介し、少なくとも1つの第2の光学素子を通して、第2の試料体積体に照明光を伝送するように構成されており、かつ第2の観察光路に沿い、第2の試料体積体から検出装置に観察光を伝送するように構成されている、ことによって解決される。
【0005】
したがって本発明によるライトシート顕微鏡は、このライトシート顕微鏡により、少なくとも、第1の光学素子および第2の光学素子から光学素子が選択され、この光学素子を通して試料体積体が照明され、またこの光学素子を通して、この試料体積体からの観察光が受光され、検出装置に向かってこれが伝送されることが可能になるという利点を有する。
【0006】
本発明によるライトシート顕微鏡は、以下で説明する付加的な複数の技術的特徴によってさらに改善可能である。それらの付加的な技術的特徴は、互いに任意に組み合わせ可能であるか、または省略される技術的特徴によって得られる技術効果が、本発明に関係しない場合には省略可能である。
【0007】
上記のライトシート顕微鏡は、3つ以上の光学素子を含んでいてよく、本発明により、これらの光学素子のうちの1つを選択可能である。したがってライトシート顕微鏡により、任意の個数の光学素子から1つの光学素子を選択可能である。これらの光学素子のうちの1つを選択することとは、照明光路および観察光路がこの光学素子を通過する、顕微鏡の動作状態を設けることであると理解される。
【0008】
光学素子は、対物レンズであってよい。光学素子は、対応する光軸の方向、拡大率、開口数、ならびに光学素子の材料および対応する光学特性のうちの少なくとも1つが互いに異なっていてよい。特性のこのリストは、すべてが挙げられたものではなく、ライトシート顕微鏡に使用される少なくとも2つの光学素子について、光学素子の別の特性が異なっていてもよい。
【0009】
第1の動作状態または第2の動作状態にあるライトシート顕微鏡とは、ライトシート顕微鏡の1つまたはいくつかの特徴が、第1の位置または第2の位置にあることであると理解される。
【0010】
特にミラーアセンブリは、第1の動作状態において第1の動作位置に位置可能であり、第2の動作状態において第2の動作位置に移動可能である。
【0011】
したがって本発明によるライトシート顕微鏡は、少なくとも2つの異なる照明光路の第1の照明光路と第2の照明光路との間でスイッチング可能である。任意の個数の異なる光路が考えられ、この個数は、顕微鏡の幾何学形状および利用可能な空間によって限定され得る。
【0012】
少なくとも2つの異なる照明光路は、少なくとも部分的に、互いに共線関係を有するように、すなわち同一に配向されていてよい。好ましくは、光路は、照明源からミラーアセンブリの第2の動作位置まで同一であってよい。
【0013】
それぞれの観察光路は、対応する照明光路によって定めることが可能である。したがって照明光が第1の試料体積体に伝送される第1の照明光路は、第1の観察光路を定めるか、または少なくとも第1の観察光路の位置の制限を定めることが可能である。好ましくは、試料体積体において、観察光路は、照明光路に対して実質的に垂直に配向されていてよい。より好ましくは、観察光路と照明光路との間の角度は、0°~90°である。さらにより好ましくは、この角度は、45°~90°であり、例えば約60°である。
【0014】
さらに第1の照明光路および第1の観察光路は、第1の試料体積体に割り当てられる。これに対応して、第2の照明光路および第2の観察光路は、第2の試料体積体に割り当てられる。これに対応して、第3試料体積体または第4試料体積体には、対応する光路が設けられる。考えられ得る試料体積体の個数は、ライトシート顕微鏡の幾何学的な制限だけによって限定される。
【0015】
ミラーアセンブリの第1の動作位置において、第1の照明光路は、ミラーアセンブリをバイパス可能である。
【0016】
本発明によるライトシート顕微鏡の一実施形態において、ミラーアセンブリは、第1の動作位置から第2の動作位置に、直線式および回転式のうちの少なくとも一方で移動可能であるように構成されていてよい。
【0017】
したがって第1の動作状態では、第1の照明光路および第1の観察光路が、ミラーアセンブリをバイパスし得るのに対し、第2の動作状態では、ミラーアセンブリは、第2の照明光路および第2の観察光路に配置可能である。
【0018】
上述のように、2つ以上の照明光路および2つ以上の観察光路は、部分的に重なっていてよく、ミラーアセンブリの第2の動作位置は、照明光路に対する分岐点あるいは観察光路に対する結合点を定めることができる。好ましくは、ライトシート顕微鏡の動作状態に応じて、ミラーアセンブリの動作位置によってただ1つの照明光路およびただ1つの観察光路が選択される。
【0019】
ミラーアセンブリは、少なくとも1つのミラーを有していてよい。ミラーアセンブリが、照明光路および対応する観察光路の向きを、対応する光学素子に変更する2つ以上のミラーを有することも考えられる。第1の照明光路および第1の観察光路(双方ともミラーアセンブリをバイパスする)を除いて、ミラーアセンブリはさらに、第2の動作位置により、少なくとも1つの第2の照明光路および第2の観察光路を定めることが可能である。ライトシート顕微鏡のミラーアセンブリはさらに第3動作位置により、第3照明光路および第3観察光路を定めることが可能である。これに対応して、ミラーアセンブリの第4、第5、第nまでの動作位置が可能であってよい。それぞれの動作位置では、異なるミラー(または異なる個数のミラー)を照明光路および観察光路に設けることができる。
【0020】
ミラーアセンブリは、動作位置毎に、事前調整された状態にあってよい。本発明によるライトシート顕微鏡が2つ以上の動作位置、例えば3つの動作位置を有する場合、ミラーアセンブリの第1のミラーは、ミラーアセンブリの第2の動作位置において、照明光路および観察光路に設けられていてよいのに対し、ミラーアセンブリの第2のミラーは、ミラーアセンブリの第3動作位置において、照明光路および観察光路に設けられていてよい。したがってミラーアセンブリの第3動作位置において、第3照明光路および第3観察光路により、ミラーアセンブリの第1のミラーがバイパスされてよい。結果として、それぞれ事前調整を実現し得る異なるミラーは、第2の、第3、第nまでの照明光路および観察光路に沿って照明光および観察光を配向するために使用可能である。
【0021】
好ましくは、第1の光学素子および第2の光学素子の(また顕微鏡の別の実施形態では第3光学素子、第4光学素子、第n光学素子までの光学素子のような別の光学素子の)後焦平面/瞳は、ライトシート顕微鏡の同じ位置に配置されている。一般的に光学素子の後焦平面は、光学素子の、試料内にある焦平面のフーリエ面であるか、またはこの平面と共役関係にある別の平面内にある。したがって、例えば第1の光学素子に対し、対応する後焦平面は、第1の試料体積体とは反対側に位置する焦平面である。後焦平面のこの定義は、第2の光学素子および第2の試料体積体に適用可能であり、また考えられ得る別の、例えば第3などの光学素子および試料体積体にも適用可能である。すべての光学素子、すなわち第1の光学素子、第2の光学素子、第3光学素子など、第n光学素子の後焦平面が、斜面仮想画像を生成する対物レンズの別の焦平面と一致する場合はさらに特に有利であり、この斜面仮想画像は、その後、別の光学コンポーネントに対して斜めに配向されている光学アセンブリによって検出装置に画像化される。
【0022】
光学素子(第1の、第2の、第3など)の焦点角は同じであってよく、すなわちM_1/n_1=M_2/n_2が当てはまり、ここでMは、チューブレンズと対物レンズとの比によって与えられる拡大率M=f_チューブ/f_対物である。したがって一例として:f_チューブ=200mm、f_対物=10mm→M=20であり、変数nは、レンズが最適化されている屈折率、すなわち水浸レンズについてはn_1=1.33である。上記の式が成り立たない場合、中間の望遠鏡が必要になり得る。この開示によれば、この式が成り立つために提案される仕方は、それぞれのビーム路において、チューブレンズの、適合する焦点距離f_チューブを有することである。
【0023】
上記の複数の光学素子は、好ましくは、それらの位置が固定であり、かつそれらの焦平面/瞳が上述のように重なるように構成されている、すなわち調整されている。したがって光学アセンブリをガイド付きで直線的に移動することにより、再調整を必要とすることなく、ライトシート顕微鏡の動作状態を容易に変更することができる。例えば回転式リボルバを利用する従来技術の解決手段は、このような精度を提供することはできず、非効率的でありかつ時間を浪費する再調整が必要である。
【0024】
ライトシート顕微鏡の別の実施形態において、ミラーアセンブリは、挿入方向に沿って第1の照明光路に移動されるように構成可能であり、この挿入方向は、
・第1の照明光路に対して実質的に垂直、
・ミラーアセンブリの反射表面に対して実質的に平行、および
・第2の動作状態において、ミラーアセンブリにおける反射面に対して実質的に垂直、のうちの1つである。
【0025】
ミラーアセンブリは好ましくは、第1の照明光路内に直線的に移動可能である。
【0026】
ライトシート顕微鏡の別の実施形態において、光学系は、第1のチューブレンズおよび第2のチューブレンズを有していてよく、第1のチューブレンズは、第1の照明光路に設けられていてよく、第2のチューブレンズは、第2の照明光路に設けられていてよい。これに対応して、第3チューブレンズまたは第4チューブレンズはそれぞれ、第3照明光路または第4照明光路に設けられていてよい。好ましくは、ライトシート顕微鏡のそれぞれの動作状態において1つのチューブレンズが利用され、このチューブレンズを通して、照明光路が(好ましくは観察光路も)配向されている。
【0027】
このチューブレンズは、開口数、焦点距離または拡大率について、対応する第1の、第2の、第3または第n光学素子に適合されていてよい。第1の、第2の、第3または第n動作位置におけるミラーアセンブリおよび第1の、第2の、第3または第nチューブレンズは、事前調整されていてよい。このような事前調整により、好ましくは、光源から分岐点(この点にミラーアセンブリの少なくとも第1のミラーが、第2の、第3または第n動作位置に配置される)に至るすべての照明光路の部分的な共軸関係を有する配置と、結合点から検出装置に至るすべての観察光路の部分的な共軸関係を有する配置と、を結果的に生じさせることができる。
【0028】
最も好ましくは、複数の照明光路のうちの1つに設けられている光学素子および/または対応するチューブレンズは、顕微鏡に対して固定位置に装着され、ミラーアセンブリだけが移動される。
【0029】
しかしながら第2のチューブレンズおよび少なくとも1つの第2の光学素子のうちの少なくとも1つは、ミラーアセンブリと共に第1の動作位置から第2の動作位置に移動されるように構成可能であり、第2の動作位置では、第2のチューブレンズおよび/または少なくとも1つの第2の光学素子が、第2の照明光路に挿入される。ミラーアセンブリは、別のチューブレンズ(例えば第3チューブレンズ)を有していてよい。1つ以上の上記の別のチューブレンズは、ミラーアセンブリと共に移動するように構成可能である。
【0030】
ミラーアセンブリが、独立して移動可能な異なるミラーを有することも考えられる。それぞれ独立して移動可能な上記のミラーと共に、それに対応して独立に移動可能なチューブレンズが設けられていてよい。
【0031】
例示的には第1のチューブレンズは、第1の照明光路に(好ましくは第1の観察光路にも)設けることが可能であり、これは、すなわちミラーアセンブリがバイパスされる場合である。ミラーアセンブリの第2の動作位置では、第1のミラーは(選択的に第2のチューブレンズと共に)第1の照明光路に移動されることが可能であり、これにより、第2の照明光路が定められる。ミラーアセンブリの第3動作位置が考えられ、この第3動作位置では、第2のミラーは(選択的に第3チューブレンズと共に)第1の照明光路に移動されることが可能であり、これにより、第3照明光路が定められる。第1のミラー(および第2のチューブレンズ)の移動は、第2のミラー(および第3チューブレンズ)の移動とは、独立していてよい。この移動は、特に、異なる複数の方向に沿って行われてよい。これらの方向は、互いに垂直に配向されていてよい。
【0032】
ライトシート顕微鏡の別の実施形態において、第1の照明光路において、光学系の第1のチューブレンズは、少なくとも1つの第1の光学素子と、ミラーアセンブリの第2の動作位置と、の間に配置されていてよい。これにより、ミラーアセンブリが第2の動作位置に移動される場合、第1のチューブレンズをバイパスすることが可能である。
【0033】
したがって、(別の動作状態を除外することなく)第1の動作状態および第2の動作状態を有する、本発明によるライトシート顕微鏡が考慮される場合、状態間を切り換えるための異なる複数の可能性が考えられる。第1に、第2の照明光路に沿って照明光を伝送するためにミラーアセンブリだけが、第1の動作位置から第2の動作位置に移動され、ミラーアセンブリにより、少なくとも1つの第2の光学素子を通して第2の試料体積体に照明光が伝送される。ここでは、第2の光学素子(対物レンズであってよい)および第2のチューブレンズは、ライトシート顕微鏡に対して固定されており、動作状態を変更する場合に移動されない。第2に、第2のチューブレンズは、ミラーアセンブリと共に移動可能であり、第2の光学素子は固定のままである。第3に、ミラーアセンブリ、チューブレンズおよび第2の光学素子は、全体で第2の動作位置に移動される。
【0034】
したがってライトシート顕微鏡は、動作状態毎にチューブレンズおよび光学素子の組み合わせを用意することが可能である。
【0035】
これらの組み合わせのそれぞれは、試料体積体の観察のために構成されている。試料体積体は、動作状態毎に少なくとも位置および配向のうちの1つが異なっていてよい。
【0036】
例えば、本発明によるライトシート顕微鏡が、3つの動作状態を有することが考えられ、第1の動作状態では、ライトシート顕微鏡は、側方から(すなわち重力によって定められる上下方向に対して垂直に)観察するように構成されているのに対し、第2の動作状態では、第2の試料体積体に用意される試料は、上方から、すなわち重力の向きに沿った照明によって観察可能である。付加的に第3動作状態では、ライトシート顕微鏡は、下方から、すなわち重力の向きとは逆の照明によって試料が観察されるように構成可能である。
【0037】
本発明によるライトシート顕微鏡の別の実施形態において、第2の光学素子の焦点距離と第2のチューブレンズの焦点距離との比は、少なくとも1つの第1の光学素子の焦点距離と第1のチューブレンズの焦点距離との比に実質的に等しい。これにより、2つの動作状態に対し(好ましくはより一般的にすべての動作状態に対し)、照明光路および観察光路の等しい光路長が得られる。
【0038】
さらに、ミラーアセンブリは、少なくとも1つの調整可能なミラーを有していてよく、この調整可能なミラーは、第2の照明光路に対する角度、および第2の照明光路に沿った位置の少なくとも1つが調整可能に構成されている。これにより、第1の動作状態から第2の動作状態にライトシート顕微鏡の動作状態が変化した後に必要な任意の再調整を容易に行うことが可能である。
【0039】
本発明によるライトシート顕微鏡の光学系は、調整ミラーの対を有してよく、それぞれの調整ミラーは、第1の照明光路および第2の照明光路に対する角度、および第1の照明光路および第2の照明光路に沿った位置のうちの少なくとも1つが調整されるように構成されている。このような調整ミラーの対を用いることにより、光学素子またはチューブレンズにおける光路の位置を調整できるだけでなく、この素子を通過する光路の角度も調整もできる。
【0040】
ライトシート顕微鏡の別の有利な実施形態において、第1の光学素は、第1の対物レンズであってよく、第2の光学素子は、第2の対物レンズであってよく、第1の対物レンズおよび第2の対物レンズは、
・開口数、
・作動距離、
・瞳孔径、および
・焦点距離
のうちの少なくとも1つが異なる。
【0041】
さらに、第1の光学素子の光軸および第2の光学素子の光軸は、
・実質的に互いに平行、
・実質的に互いに逆平行、および
・実質的に互いに垂直
のうちの1つで配向可能である。
【0042】
上で説明したように、試料体積体が観察される方向は、ライトシート顕微鏡の異なる動作状態について異なっていてよい。平行な配向では、観察は、ライトシート顕微鏡の2つの(あるいはすべての)動作状態について同じ方向で行われるのに対し、逆平行の配向では、観察の方向は、逆であり、例えば、第1の動作状態および第2の状態についてそれぞれ下方および上方である。上記の3番目のケースは、側方からの試料体積体の観察であり、別の動作状態では、観察は上方または下方に行われる。
【0043】
本発明によるライトシート顕微鏡の別の有利な実施形態において、光学系は、第1の照明光路および第2の照明光路に対し、角度および位置の少なくとも1つが調整可能に構成されている少なくとも2つのスキャンミラーを有していてよく、このスキャンミラーは、試料体積体に生成されるライトシートにより、第1の試料体積体および第2の試料体積体をスキャンするように構成されている。
【0044】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0045】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがってデジタル記憶媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0047】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0048】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0049】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0050】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0051】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0052】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0053】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0054】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【0056】
以下では、図面に添付した図を参照して本発明によるライトシート顕微鏡を説明する。ここでは同じ技術的特徴および同じ技術的効果を有する特徴には、同じ参照符号が付されている。異なる図の技術的特徴は、任意に組み合わせ可能であるかまたは省略可能である。図には本発明の例示的な実施例が示されており、これらの実施例は、特許請求の範囲によって定められる特許保護の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明による斜面顕微鏡の第1の例示的な実施形態を示す図である。
図2】本発明による斜面顕微鏡の第2の例示的な実施形態を示す図である。
図3】本発明によるSCAPE顕微鏡の第1の例示的な実施形態を示す図である。
図4】本発明によるSCAPE顕微鏡の第2の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図の以下の説明において、それぞれの技術的な特徴には、この技術的な特徴がどの図に示されているかを示す先頭の数字が付されている。しかしながらこのことによって除外されないのは、一例を挙げると、例えば参照符号405を有する特徴が、図1図3に存在することである。この参照符号405は、先行する図5図6などにおいてこの特徴が存在することも除外しない。したがって2つ以上の図に存在する同一の技術的な特徴は、参照符号105、205、305、405、…、x05によって参照され、「x」によって図の全体的な番号が示されている。
【0059】
図1には、少なくとも1つの第1の光学素子105と、少なくとも1つの第2の光学素子113と、ミラーアセンブリ114と、を備えた光学系104を有するライトシート顕微鏡101、特に斜面顕微鏡102が示されている。
【0060】
図1には、斜面顕微鏡102の2つの動作状態、すなわち、第1の動作状態106が示されており、ここでは光学系104は、第1の照明光路108に沿い、第1の光学素子105を通し、第1の試料体積体109に、光源107aからの照明光107を伝送するように構成されている。
【0061】
第1の試料体積体109内では、第1の試料体積体109内の平面部分を照明する、ライトシート128が生成されている。
【0062】
図1にはまた、方向yおよびzを示す座標系も示されている。第1の動作状態106では、第1の試料体積体109はz方向に沿って照明され、これは、側方からの照明に対応していてよい。これは、一例を挙げると、例えば根の成長の検査が要求される場合に利用可能である。
【0063】
第1の試料体積体109内では、観察光110が生成され、また第1の観察光路111を介し、第1の光学素子105を通して伝送され、第1の光学素子105により、斜面仮想画像128aが生成され、次に斜面仮想画像128aは、光学検出アセンブリ112aにより、検出装置112に正しく(すなわち平面で、かつ歪められずに)イメージングされる。
【0064】
第1の動作状態106では、ミラーアセンブリ114は、第1の動作位置116にある。第1の動作位置116では、ミラーアセンブリ114は、第1の照明光路108によってバイパスされ、すなわちミラーアセンブリ114は、例えば、図1に示されているバイパス位置114bに配置されていてよい。例えば図平面内または図平面外の異なるバイパス位置114bが考えられる。
【0065】
ミラーアセンブリ114は、挿入方向120に沿って第2の動作位置117に移動可能である。これは、直線並進ステージ119のような並進装置118によって行うことができる。
【0066】
挿入方向120は、反射表面114aに平行に配向可能である。挿入方向120はまた、第2の動作状態115において、第1の照明光路108に対して垂直に、またはミラーアセンブリ114における反射面121に対して実質的に垂直に配向することも可能である。
【0067】
顕微鏡101の第2の動作状態115において、光学系104は、第2の照明光路108aに沿い、ミラーアセンブリ114を介して、照明光107を伝送するように構成されている。照明光107は、少なくとも1つの第2の光学素子113を通して、第2の試料体積体109aに伝送される。第1の試料体積体109と同様に、ライトシート128が生成され、観察光110は、第2の観察光路111aに沿い、第2の試料体積体109aから検出装置112に伝送される。
【0068】
図1に示したように、顕微鏡101の第1の部分129では、第1の照明光路108は、少なくとも部分的に、第2の照明光路108aに対応し、重なり、またこれと共線関係にある。同様に、第1の部分129において、すなわち第1の観察光路111と第2の観察光路111aとは互いに共線関係にある。
【0069】
図2には、図1に示したものと同様の斜面顕微鏡202の第2の実施形態が示されている。
【0070】
図2の斜面顕微鏡202はさらに、第1のチューブレンズ222および第2のチューブレンズ223を有する。第1のチューブレンズ222は、第1の照明光路208にも第1の観察光路211にも共に設けられている。
【0071】
第2のチューブレンズ223は、第2の動作状態215において、すなわちミラーアセンブリ214が第2の動作位置217に移動されている場合に使用される(すなわち光はこれを通って伝送される)。
【0072】
光路の屈折は、概略的に示されていることに注意されたい。さらに、第1の動作状態206と称されている動作状態は、本発明によるライトシート顕微鏡201の別の実施形態において、第2の動作状態215に対応することがある。したがってライトシート顕微鏡201の(図示しない)この別の実施形態において、ミラーアセンブリは、第1の動作状態206において第1の観察光路211に、また第1の照明光路208に設けることができるのに対し、ミラーアセンブリ214は、第2の動作状態215においてバイパスされ得る。
【0073】
図3には、SCAPE顕微鏡303の形態の本発明によるライトシート顕微鏡301が示されている。
【0074】
SCAPE顕微鏡303は、第1の照明光路308に沿って照明光307を供給する光源307aを有する。ここでも第1の部分329において第1の照明光路308は、第2の照明光路308aと共線関係にある。
【0075】
照明光307は、別のチューブレンズ330を介して、調整ミラー332の対331に伝送され、これらの調整ミラー332は同時に、第1の試料体積体309または第2の試料体積体309aをスキャンするためのスキャンミラー333であってよい。
【0076】
図3に示した実施形態には、別の第2のチューブレンズ330aが示されている。
【0077】
ミラーアセンブリ314は、第1の動作位置316および第2の動作位置317において示されている。第1の動作状態306では第1の試料体積体309が下方から観察されるのに対し、第2の動作状態315では第2の試料体積体309aが上方から観察される。
【0078】
動作状態306、315毎に別の光学素子、すなわち第1の光学素子305および第2の光学素子313が設けられている。
【0079】
ミラーアセンブリ314の第1の動作位置316および第2の動作位置317は、重なって描画されており、第1の動作位置316におけるミラーアセンブリ314は、第1のミラー334を示しており、第2の動作位置317におけるミラーアセンブリ314は、第2のミラー335を示している。したがって図3には、異なる位置316、317における同一のミラーが示されているのではない。
【0080】
この実施形態において、図平面の中にある挿入方向320に沿ってミラーアセンブリ314を移動することにより、ミラーアセンブリ314の第1のミラー334または第2のミラー335のいずれかを光路に挿入可能である。
【0081】
ライトシート328の生成およびこの場合に第1の観察光路311または第2の観察光路311aのいずれかを介して伝送される観察光310の収集は、前述の図と同様に行われる。第1の部分329において、第1の照明光路308と第2の照明光路308aとは、また第1の観察光路311と第2の観察光路311aとは互いに共線関係にある。
【0082】
光学検出アセンブリ312aは、斜面仮想画像328aを検出装置312に画像化し、ここではSCAPE顕微鏡303はさらに、斜面仮想画像328aを画像化する別の対物レンズ336を有する。
【0083】
図4にもSCAPE顕微鏡403が示されており、ここでは、図3に設けられているような別の第2のチューブレンズ330aは存在せず、望遠鏡437が存在する。さらに図4のSCAPE顕微鏡403では、第1のチューブレンズ422および第2のチューブレンズ423が、第1の光学素子405とミラーアセンブリ414との間、または第2の光学素子413とミラーアセンブリ414との間に設けられている。
【0084】
この実施形態においても、ミラーアセンブリ414は、挿入方向420に沿って照明光路408、408aに移動される。第1のチューブレンズ422および第2のチューブレンズは、挿入方向420に沿ってミラーアセンブリ414と共に移動可能である。
【0085】
ここでもミラーアセンブリ414は、第1の動作状態406においてビーム路に設けられる第1のミラー434と、第2の動作状態415においてビーム路に設けられる第2のミラー435と、を有する。
【0086】
さらに考えられるのは、顕微鏡101、201、301、401と、特に、第1の試料体積体109~409および第2の試料体積体109a~409aのそれらの位置と、を組み合わせられることである。したがって図4のSCAPE顕微鏡403により、別の実施形態において、3つの動作状態を設けることができ、ゆえにミラーアセンブリ414の3つの動作位置を組み合わせることができ、異なる3つの試料体積体、例えば第1の試料体積体409と、第2の試料体積体409aと、第3試料体積体409bと、を設けることができる。第3試料体積体409bは、図4においては破線で示されている。
【0087】
したがってライトシート顕微鏡101~401により、異なるパラメータによって、かつ/または異なる方向から1つの試料体積体を観察するために、異なる光学素子105~405および113~413の間で(第3試料体積体409bにおいて観察するためには、図示しない第3光学素子が必要になり得る)スイッチングを行うことができる。ライトシート顕微鏡101~401の動作状態が変更される場合、異なる照明光路および観察光路が選択される。これらの異なる光路内では、光学素子およびチューブレンズのような光学コンポーネントが事前調整され、これにより、動作状態が変更された後の再調整は不要である。
【符号の説明】
【0088】
101 ライトシート顕微鏡
102 斜面顕微鏡
103 SCAPE顕微鏡
104 光学系
105 第1の光学素子
106 第1の動作状態
107 照明光
107a 光源
108 第1の照明光路
108a 第2の照明光路
109 第1の試料体積体
109a 第2の試料体積体
110 観察光
111 第1の観察光路
111a 第2の観察光路
112 検出装置
112a 光学検出アセンブリ
113 第2の光学素子
114 ミラーアセンブリ
114a 反射表面
114b バイパス位置
115 第2の動作状態
116 第1の動作位置
117 第2の動作位置
118 並進装置
119 直線並進ステージ
120 挿入方向
121 反射
24 第1の対物レンズ
125 第2の対物レンズ
126 第1の光学素子の光軸
127 第2の光学素子の光軸
128 ライトシート
128a 斜面仮想画像
129 第1の部分
222 第1のチューブレンズ
223 第2のチューブレンズ
330 別のチューブレンズ
330a 別の第2のチューブレンズ
331 対
332 調整ミラー
333 スキャンミラー
334 第1のミラー
335 第2のミラー
336 別の対物レンズ
409b 第3試料体積体
図1
図2
図3
図4