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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】スリーブ溶接部の検査
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20250127BHJP
   G01N 29/28 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
G01N29/265
G01N29/28
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020181580
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2021071486
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】19206221
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ヴェアメリンガー
(72)【発明者】
【氏名】リッカード バーボーン
(72)【発明者】
【氏名】パウル カフタン
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103512954(CN,A)
【文献】特開平09-061406(JP,A)
【文献】特開2000-162195(JP,A)
【文献】特開昭50-073689(JP,A)
【文献】中国実用新案第207923789(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N29/00-G01N29/52
G01B17/00-G01B17/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック管(11)用の電気溶接スリーブ(10)の溶接部を超音波検査する方法であって、以下のステップ、すなわち:
溶接された前記プラスチック管(11)の外周面に、全周にわたり延在する取付け部材(2)と、支持部(7)、キャリア(8)およびグリッパ(9)を有するホルダ(3)と、中心領域に一貫して延びる切抜き部(5)を備えた案内部材(4)と、前記案内部材(4)の下面に配置された圧縮可能な滞留部材(6)と、を有する検査装置(1)を取り付けるステップと、
前記案内部材(4)の前記切抜き部(5)に液体を供給するステップと、
を有する方法において、
前記案内部材(4)に設けられた前記切抜き部(5)を前記液体で完全に満たし、超音波を伝達するために、超音波検査中は前記案内部材(4)内に一定の液柱を保つことを特徴とする、方法。
【請求項2】
検査過程中、前記案内部材(4)内へ常に液体を供給する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶接部を検査する前記検査装置(1)に、前記プラスチック管(11)および前記電気溶接スリーブ(10)の周りを回らせる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記検査装置(1)は少なくとも360°回る、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
プラスチック管(11)用の電気溶接スリーブ(10)の溶接部を超音波検査するための検査装置(1)であって、全周にわたり延在する取付け部材(2)と、ホルダ(3)と、案内部材(4)とを有しており、該案内部材(4)は、超音波を前記溶接部に案内する働きをし、前記ホルダ(3)は、前記全周にわたり延在する取付け部材(2)と前記案内部材(4)との間の結合手段である、検査装置(1)において、
前記案内部材(4)は、中心領域に一貫して延びる切抜き部(5)を有しており、前記案内部材(4)の下面には、圧縮可能な滞留部材(6)が配置されており、該滞留部材(6)は、前記案内部材(4)内に供給され、前記切抜き部(5)を完全に満たし、超音波検査中は前記案内部材(4)内に一定の液柱を保つ液体を滞留させる働きをすることを特徴とする、検査装置(1)。
【請求項6】
前記一貫して延びる切抜き部(5)の表面はポリアミド(PA)から成る、請求項5記載の検査装置(1)。
【請求項7】
前記滞留部材(6)は、海綿状の材料から成る、請求項5または6記載の検査装置(1)。
【請求項8】
前記全周にわたり延在する取付け部材は、チェーンとして形成されており、各標準チェーン部材は、フックとフック受容部とを有しており、互いにフック係合している、請求項5から7までのいずれか1項記載の検査装置(1)
【請求項9】
前記ホルダ(3)は支持部(7)を有しており、該支持部(7)は、チェーン部材として形成されており、フック係合することによって前記チェーンに組み込まれている、請求項8記載の検査装置(1)。
【請求項10】
前記ホルダ(3)はグリッパ(9)を有しており、該グリッパ(9)は前記案内部材(4)を支持している、請求項5から9までのいずれか1項記載の検査装置(1)。
【請求項11】
該グリッパ(9)は、ガイドを介して位置決め可能である、請求項10記載の検査装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック管用の電気溶接スリーブの溶接部を超音波検査する方法および装置であって、以下のステップおよび構成部材、すなわち:
溶接されたプラスチック管の外周面に、全周にわたり延在する取付け部材と、ホルダと、案内部材とを有する検査装置を取り付けるステップおよび構成部材と、
案内部材の切抜き部に液体を供給するステップおよび構成部材と、
を有する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波による検査対象の非破壊検査は従来技術であり、例えば航空機製造等の多くの分野において使用される。この方法は、主に金属材料に適用される。なぜなら、金属材料は良好な音波伝導性を有しているからである。超音波検査は、検査対象を破壊すること無しには認識し得ないであろう内外の欠陥の発見に用いられることが望ましい。
【0003】
中国特許出願公開第110031549号明細書には、互いに突合せ溶接された管の溶接シームを検査する装置が開示されている。この実施形態には、電気溶接スリーブの超音波検査には適さないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電気溶接スリーブを用いて溶接された管の超音波検査を実施することを可能にする方法およびこの方法に関連する装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に基づき、案内部材が中心領域に一貫して延びる切抜き部を有しており、案内部材の下面に圧縮可能な滞留部材が配置されており、滞留部材は、案内部材に供給された液体を滞留させる働きをし、案内部材に設けられた切抜き部は液体で完全に満たされており、超音波を伝達するために、超音波検査中は案内部材内に一定の液柱が保たれることによって解決される。
【0006】
検査過程中、案内部材内へ液体が常に供給されると有利である。検査中は、案内部材と、案内部材を支持しかつその周面に沿って案内部材が回る電気溶接スリーブとの間に絶対的な密閉性は存在しないが、それでもなお必然的に、検査過程全体にわたり案内部材の切抜き部には既存の液柱が存在しており、これにより超音波を電気溶接スリーブまたは溶接箇所に案内することができるようになっている。
【0007】
管における電気溶接スリーブの溶接部の検査を実施するために、検査装置は、好適にはスリーブひいては溶接された管の周りを回される。これにより、このような検査を、導管システムに既に取り付けられた電気溶接スリーブにおいて行うことができる。
【0008】
好適には、検査装置は少なくとも360°回る。このことは、溶接部の完全な検査を保証する。
【0009】
プラスチック管用の電気溶接スリーブの溶接部を超音波検査するための、本発明による検査装置は、全周にわたり延在する取付け部材と、ホルダと、案内部材とを有しており、案内部材は、超音波を溶接部に案内する働きをし、ホルダは、全周にわたり延在する取付け部材と案内部材との間の結合手段である。案内部材は、中心領域に一貫して延びる切抜き部を有しており、案内部材の下面には、圧縮可能な滞留部材が配置されており、滞留部材は、案内部材内に供給された液体を滞留させる働きをする。案内部材は、溶接シーム全体を検査するために、検査装置によって電気溶接スリーブの外周面の周りを回される。案内部材の、一貫して開いたひいては液体が電気溶接スリーブの周面に接触するようになっている切抜き部内には液体が存在しているため、周回によって液体の損失が発生する。案内部材と電気溶接スリーブの外周面との間の絶対的な密閉性は、外周面における凹凸に基づきほぼ実現不可能である。ただし、切抜き部内に一定の液柱を保つために、液体の損失は滞留部材により最小限に抑えられる。
【0010】
一貫して延びる切抜き部の表面がポリアミド(PA)から成っていると有利である。このことは、液柱がポリアミドによって包囲されていることを意味する。案内部材はポリアミドから製造されていてもよいが、案内部材が別の材料から形成されており、この場合はポリアミドから成るインサートが案内部材内に挿入されており、インサートが一貫して延びる切抜き部を形成するという可能性もある。好適には、縁部の形態のポリアミドが滞留部材内に突入しているか、または、突出した狭幅の縁部を滞留部材が包囲しており、これにより、縁部はスリーブに支持されかつ滞留部材は主に凹凸を架橋することになる。ポリアミドから成る均一な表面が液体を包囲していることにより、超音波の信号の質は、一定の同じ音波特性に基づき極めて良好である。
【0011】
好適には、滞留部材は海綿状の材料から製造されており、特に好適には海綿である。これにより、電気溶接スリーブの周面における凹凸を補償することができる。つまり、滞留部材は周面に設けられた凹溝および隆起部に支持されておりかつ切抜き部内に液体を滞留させるようになっており、案内部材内に液体が常に供給され、これにより、滞留部材が設けられているにもかかわらず流出する液体を補償しかつ液柱を保つことができるようになっている。
【0012】
全周にわたり延在する取付け部材がチェーンとして形成されていると有利であり、この場合、各標準チェーン部材は、好適にはフックとフック受容部とを有していて、互いにフック係合している。取付け部材がチェーンとして形成されていることにより、取付け部材を既存の導管に取り付けてまたは巻き付けて締めることができると共に、チェーンを任意に延長・短縮することができるようになっている。フックおよびフック受容部に基づき、標準チェーン部材は互いに係合し合うことのみによって、互いに結合されることができる。
【0013】
本発明による検査装置の1つの有利な構成は、ホルダが支持部を有しており、この場合、支持部はチェーン部材として形成されていて、フック係合することによってチェーンに組み込まれているという点にある。支持部は、好適には検査装置の回転角度を監視する角度センサを有している。ホルダに複数の滑り止め部材が配置されていると有利であることも判った。これにより、鉛直に設置された導管において、検査装置の滑落が防止される。好適には、これらの滑り止め部材は円盤としてホルダのヒンジに配置されており、導管の周面に接触する。
【0014】
好適には、ホルダにグリッパが配置されており、この場合、グリッパに案内部材が取り付けられている。好適には、グリッパは取付け支柱を有しており、取付け支柱に案内部材が取り付けられ、適宜に位置決めされる。なぜなら、検査装置は複数の異なる電気溶接スリーブおよび複数の異なる直径に使用可能だからである。
【0015】
好適には、ホルダは、グリッパが配置されたガイドを有している。このガイドを介して、グリッパを導管軸線に対して平行に調節することができる。案内部材を溶接シーム(溶接シームはスリーブと管外周部との間においてスリーブに生じるため見えない)の高さに位置決めするために、案内部材は、好適にはスリーブに当接するストッパを有しており、これにより、案内部材が正しく位置決めされるようになっている。
【0016】
全ての構成の可能性は互いに自由に組み合わせることができると共に、方法に関して言及した特徴を検査装置と組み合わせることも可能であり、その逆も可能である。
【0017】
本発明の1つの実施例を図面に基づき説明する。この場合、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】取り付けられた本発明による検査装置を示す立体図である。
図2】本発明による検査装置を示す立体図である。
図3】本発明による検査装置を示す立体図である。
図4】取り付けられた検査装置の案内部材を備えたホルダを示す立体図である。
図5】案内部材を備えたホルダを示す立体図である。
図6】案内部材を示す立体図である。
図7】案内部材の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す図面には、プラスチック管11用の電気溶接スリーブ10の溶接部を超音波検査するための、本発明による検査装置1が示されている。検査装置1は、全周にわたり延在する取付け部材2を有しており、この取付け部材2は検査用に、プラスチック管11を取り囲むように装着される。好適には、取付け部材2はチェーンとして形成されていて、標準チェーン部材12を有している。チェーン部材12は、好適にはフック13とフック受容部14とを有しており、これにより、各部材12はフック係合のみによって互いに結合されており、手間をかけてねじ締結部を締め付けたり緩めたりする必要は一切ない。このことは、チェーン2を迅速に取り付けたり長さに適合させたりすることができるという利点を有している。本発明による検査装置1はホルダ3を有しており、ホルダ3は、全周にわたり延在する取付け部材2に配置されている。好適には、ホルダ3は、チェーン部材として形成されていることによりチェーン2に簡単に適合可能またはフック係合可能な支持部7を有している。好適には、ホルダ3には角度センサ15も配置されており、角度センサ15は、検査が行われる角度を検出しかつ360度検査が行われることを保証もする。ホルダ3は、好適にはキャリア8を有しており、キャリア8は、調節ユニット16を介して電気溶接スリーブ10の周面に対する案内部材4の圧着圧力の調節手段を調節すると共に、液体を案内部材4に供給するホースおよび弁(図示せず)がキャリア8に取り付けられていることにより、液体制御・供給用の支援手段としても働く。検査装置1に配置された案内部材4は、電気溶接スリーブ10への超音波の伝達または電気溶接スリーブ10における溶接に用いられる。案内部材4はホルダ3に取り付けられており、これにより調節可能である。超音波検査装置(見えていない)が、案内部材4の上面に取り付けられており、これにより超音波は、電気溶接スリーブ10の周面に対してほぼ垂直向きに、案内部材4に設けられた(図6においてよく見える)切抜き部5を通走するようになっており、この場合、この切抜き部5は液体で満たされている。案内部材4の下面には滞留部材6が配置されており、滞留部材6は、超音波伝達用の液体を切抜き部5内に滞留させ、これにより液柱を保っている。さらに、検査中の液体の損失を補償するために、液体は供給部17を介して案内部材4内へ供給されるようになっている。
【0020】
案内部材4は、好適にはグリッパ9に調節可能に配置されている。グリッパがガイド18に配置されていると有利であり、この場合、ガイド18は、管軸線に対して平行に延在しておりかつ好適にはキャリア8と結合されている。ホルダ3には、好適には複数の滑り止め部材19が配置されており、滑り止め部材19は、鉛直に延在する導管において本発明による検査装置1が滑落することを防止する。
【0021】
案内部材4は、電気溶接スリーブ10における正確な位置決め用にストッパ20を有しており、これにより、案内部材4は溶接シームの直上に位置決めされている。
【0022】
図7には、案内部材4が長手方向断面図で示されている。切抜き部5の表面21はポリアミドから成っており、案内部材4は一体に形成されている。代替的に、表面21は、案内部材4に挿入されたインサートによって形成されていてもよく、したがって案内部材は必ずしも同一の材料を有していなくてもよい。縁部22が滞留部材6内に突入していると有利である。これにより、液柱がPAのみによって包囲されることになり、これは良質な信号を保証する。
【符号の説明】
【0023】
1 検査装置
2 全周にわたり延在する取付け部材
3 ホルダ
4 案内部材
5 切抜き部 案内部材
6 滞留部材
7 支持部
8 キャリア
9 グリッパ
10 電気溶接スリーブ
11 プラスチック管
12 標準チェーン部材
13 フック
14 フック受容部
15 角度センサ
16 調節ユニット
17 供給部
18 ガイド
19 滑り止め部材
20 ストッパ
21 切抜き部の表面 PA
22 縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7