(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】輪番充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20250127BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/04 C
H02J7/02 G
(21)【出願番号】P 2020212756
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3228538(JP,U)
【文献】特許第6774000(JP,B1)
【文献】国際公開第2014/017463(WO,A1)
【文献】特開2012-095463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された機器に充電電力を供給する複数の電源供給部を有し、前記電源供給部はグループ分けされて、グループ毎に前記電源供給部をオン/オフする開閉器と、
前記グループ毎の
充電を実施する曜日及び充電時間帯を設定する充電時間設定部と、
前記開閉器をオン/オフ操作して、個々に設定された充電時間にグループ毎の充電を実施する充電制御部と、
設定内容を表示する表示部とを有し、
前記充電制御部は、前記充電時間設定部で設定された充電時間帯に、グループ間で重なりがあったら、前記表示部に警報を表示させることを特徴とする輪番充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備えた複数の機器を順番に充電する輪番充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット型端末等の蓄電池を具備する機器を複数同時に充電する充電装置がある。例えば、学校で使用されるタブレット型端末は、一度に数十台が使用されるため、充電も数十台が同時に行われる。この充電は、タブレット型端末を保管する保管庫に充電機能を具備させて、保管している状態で充電が行われるよう構成されている。
そのため、充電時はコンセントに流れる電流が定格を超えないよう制御する必要があった。例えば特許文献1では、保管庫に機器を収容して充電する際に、1つのコンセントに複数の保管庫を接続しても、同時に充電状態にするのではなく、保管庫毎に順に充電電力を切り替えることで、コンセント電路に定格を超える電流が流れることが無いよう制御した。
また特許文献2では、電流が電路の定格を超えるかどうか事前に判断し、超えると判断した場合はグループ毎に輪番充電するよう構成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-171729号公報
【文献】特開2016-108122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、保管庫毎に収納した機器の充電が完了しなければ次の保管庫の充電に切り替わらなかったため、最後の保管庫の充電が完了する前に、保管した機器の使用時間を迎える場合があった。その場合、充電が行われなかった機器が存在した。
また特許文献2の技術は、輪番充電することで、充電電流が電路の定格を超えないよう制御するが、最初にグループ毎の電流を計測して、輪番にするか一括にするか判断する工程があり、制御が複雑であるし、充電電路の電流情報や電圧情報を必要とするため、複雑な回路構成となっていた。
このように、自動で輪番充電する構成はコスト高であったし、充電状況に不具合が発生することがあった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、複数の機器をグループ分けして輪番充電する制御をマニュアルで設定する簡易な制御構成であっても、簡易な操作で良好に輪番充電を実施できる輪番充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、接続された機器に充電電力を供給する複数の電源供給部を有し、電源供給部はグループ分けされて、グループ毎に電源供給部をオン/オフする開閉器と、グループ毎の充電を実施する曜日及び充電時間帯を設定する充電時間設定部と、開閉器をオン/オフ操作して、個々に設定された充電時間にグループ毎の充電を実施する充電制御部と、設定内容を表示する表示部とを有し、充電制御部は、充電時間設定部で設定された充電時間帯に、グループ間で重なりがあったら、表示部に警報を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、輪番充電する個々のグループに対して充電時間帯を設定するが、設定された充電時間帯に重なりがあったらそれが表示される。そのため、重なっていることを認識でき、必要があれば再設定することで重なりを回避できる。よって、簡単な設定操作及び制御構成で輪番充電を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る輪番充電装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】輪番充電を設定する操作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】輪番充電の一例を示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る輪番充電装置の一例を示す機能ブロック図である。輪番充電装置は、複数の電源供給部としてのコンセントタップ1、コンセントタップ1へ電力を供給する電路を開閉する開閉部2、充電の切替時間等を設定する操作部3、設定内容や異常を表示する表示部4、設定に従い充電制御する制御部(充電制御部)5、各回路に電源を供給する電源回路6等を備えている。また、7は商用電源等から電源の供給を受けるための電源プラグである。各コンセントタップ1へは、電源プラグ7、開閉部2を介して商用電力が供給される。
【0010】
尚、ここでは、コンセントタップ1は4個のコンセント(プラグ接続部)を有し、1つのコンセントタップ1で4台のタブレット端末等の機器の接続を可能としている。結果、1台の輪番充電装置で16台の機器の接続を可能としている。また、コンセントタップ1毎に1つの充電グループを構成しており、第1~第4の4つの充電グループ(1a~1d)を備えた構成としている。
【0011】
このように構成された輪番充電装置は次のように設定されて動作する。
図2は輪番充電を設定する操作の流れを示すフローチャートであり、この図を参照して説明する。まず、設定対象のグループを設定(選択)する(S1)。ここで、例えば第1グループが設定される。
次に、充電を実施する曜日が設定(S2)され、その後充電開始時間(S3)、充電終了時間が設定(S4)される。こうして、曜日と充電時間帯が設定される。尚、曜日の設定は充電を不可とする曜日がある場合に、充電可能な曜日が入力される。
【0012】
これらの設定が終了すると、重複設定の判定(S5)が成される。最初のグループの設定であれば、重複は発生しないため、次の設定に進み(S5でYes、S6でNo)、次のグループの設定を行う(S1~S4)。
【0013】
こうして複数のグループの曜日設定、充電時間帯が設定されたら、重複設定が無いか判定される(S5)。この判定で重複設定があったら(S5でNo)、表示部4に重複してきる旨が表示される(S7)。例えば、「重複有り」等の文言が表示される。また、再設定有無の表示が成され、再設定する場合(S8でYes)は、所定の再設定操作をすることで曜日設定(S2)に戻る。
重複が発生した状態でも電流容量に問題無いと判断したら重複を回避せずに、所定の操作で次のグループの設定に進み(S8でNo)、充電に使用する全てのグループの設定が終了したら(S6でYes)、設定実行処理に進む(S9)。全グループの設定が完了していなければ、次のグループの設定に入る(S1)。
こうして全てのグループの設定が終了したら設定実行処理に入り(S9)、設定を終了する。
【0014】
尚、この実施形態では輪番充電するグループが4グループまで可能であるが、その中の3グループの充電路しか使用しない場合は3グループまでの設定で終了となる。
【0015】
その後、設定された充電時間帯に入っていれば充電が実施され、設定された切替時間が経過したら、順次充電グループが切り替わり輪番充電が実施される。設定された充電時間帯でなければ、充電時間帯まで充電動作せず、充電時間帯に入るのを待つ。
【0016】
図3は操作部3及び表示部4の説明図であり、操作部3は、設定ボタンM1、上下移動キーボタンM2,M3、確定ボタンM4を備えている。
充電を開始する時間、終了する時間等の設定は、設定ボタンM1の操作で設定したい項目を選択し、開始時間、終了時間等を表示部4に表示させる。そして、上下移動キーボタンM2,M3の操作で時間を変更して、所望する時間になったら確定ボタンM4を操作して設定する。
曜日の設定も同様の操作であり、操作部3の操作で順次設定される。尚、充電不可とする曜日が無い場合は、曜日設定の必要は無い。
【0017】
図4は、こうして設定した輪番充電の一例を示すタイミングチャート図である。
図4では、第1のグループ1aの充電開始時間を8時、充電終了時間を10時として充電時間を2時間とし、他の第2グループ1bから第4グループ1dの充電時間帯も同様に設定して一律2時間に設定した場合を示している。また充電する曜日は月曜日から金曜日までとした設定状態を示している。こうして、4つのコンセントタップ1で構成される4つの充電グループ(1a~1d)は8時から16時の間に1巡して充電が行われる制御となる。
【0018】
このように、輪番充電する個々のグループに対して充電時間帯を設定するが、設定された充電時間帯に重なりがあったらそれが表示される。そのため、重なっていることを認識でき、必要があれば再設定することで重なりを回避できる。よって、簡単な設定操作及び制御構成で輪番充電を実施できる。
【0019】
尚、1グループを構成するコンセントは例えば10個でも良く、充電電路の容量と充電機器1台あたりの充電電流を考慮して設定すれば良い。またグループ数も同様で例えば8グループを有しても良く、充電する機器の数に応じて設定すれば良い。
【符号の説明】
【0020】
1・・コンセントタップ(電源供給部)、2・・開閉器(開閉部)、3・・操作部(充電時間設定部)、4・・表示部、5・・制御部(充電制御部)。