(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】印刷装置およびそのメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20250127BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/165 203
B41J2/165 207
B41J2/01 207
(21)【出願番号】P 2021049700
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晋
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-044756(JP,A)
【文献】特開2015-193217(JP,A)
【文献】特開2020-016355(JP,A)
【文献】特開2016-022683(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163087(WO,A1)
【文献】特開2009-178868(JP,A)
【文献】特開2013-111794(JP,A)
【文献】特開2005-186404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査装置による検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシング量を前回フラッシングを実行した際のフラッシング量よりも大きくするという内容を含めることを特徴とする、印刷装置。
【請求項2】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査装置による検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシングシートの数を前回フラッシングを実行した際のフラッシングシートの数よりも大きくするという内容を含めることを特徴とする、印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記印刷媒体を加速させている期間中に前記印刷部のフラッシングが行われるよう、前記印刷部の動作を制御することを特徴とする、印刷装置。
【請求項4】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と、
印刷を中断すべき事象を検出するための監視部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第2検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後に印刷され、
前記印刷制御部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出されると、印刷中のシートの次に前記第2検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、
前記検査装置による前記第2検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定することを特徴とする、印刷装置。
【請求項5】
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第1検査パター
ンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第1検査パターンは、
前記処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われる前に印刷され
ることを特徴とする、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と、
印刷を中断すべき事象を検出するための監視部と、
前記印刷媒体を前記印刷部に供給するための印刷媒体供給部
と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定し、
前記監視部は、前記印刷媒体供給部に残存している印刷媒体の量が所定値以下となる事象を印刷を中断すべき事象として検出することを特徴とする
、印刷装置。
【請求項7】
前記メンテナンス内容決定部は、さらに、前記印刷部に対するメンテナンスの実行が必要であるか否かを決定することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記搬送速度を0で維持している期間中に前記印刷部のクリーニングが行われるよう、前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御することを特徴とする、請求項1~3および7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第1検査パターンおよび第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第1検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われる前に印刷され、
前記第2検査パターンは、前記処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後、本画像の印刷が中断された後または本画像の印刷が停止された後のいずれかの際に印刷されることを特徴とする、請求項1~3、7および8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するとともにクリーニング情報を送信するメンテナンス内容決定部と、
前記メンテナンス内容決定部から送信される前記クリーニング情報をクリーニング履歴として蓄積するクリーニング履歴保持部と
を備え、
前記クリーニング機構によって前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、前記クリーニング履歴を参照することにより把握することが可能であり、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果と前記クリーニング履歴とに基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されるメンテナンスの内容には、前記クリーニング機構が前記印刷部のクリーニングを実行するときのクリーニング強度が含まれ、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御することを特徴とする、印刷装置。
【請求項11】
インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査ステップでの検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシング量を前回フラッシングを実行した際のフラッシング量よりも大きくするという内容が含められることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【請求項12】
インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査ステップでの検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシングシートの数を前回フラッシングを実行した際のフラッシングシートの数よりも大きくするという内容が含められることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【請求項13】
インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と前記印刷媒体を搬送する搬送機構と前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記印刷媒体を加速させている期間中に前記印刷部のフラッシングが行われるよう、前記印刷部の動作を制御することを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【請求項14】
インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と
前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と印刷を中断すべき事象を検出するための監視部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含
み、
前記印刷制御部は、前記検査パターン印刷ステップにおいて前記印刷媒体が前記一定速度で搬送されている期間中に前記検査パターンとして第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第2検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後に印刷され、
前記印刷制御部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出されると、印刷中のシートの次に前記第2検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記検査ステップでの前記第2検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容が決定されることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【請求項15】
インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するとともにクリーニング情報をクリーニング履歴として蓄積するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記クリーニング機構によって前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、前記クリーニング履歴を参照することにより把握することが可能であり、
前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果と前記クリーニング履歴とに基づいて、前記印刷部に対するメンテナンスの内容が決定され
、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されるメンテナンスの内容には、前記クリーニング機構が前記印刷部のクリーニングを実行するときのクリーニング強度が含まれることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置およびそのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷用紙などの基材(印刷媒体)にインクを吐出することにより印刷を行うインクジェット印刷装置が知られている。インクジェット印刷装置では、吐出間隔が長くなると、印刷が行われている期間中に、ノズル近傍における溶媒の蒸発によるインクの乾燥、ノズル内部への気泡の混入、ノズルへの塵埃の付着などが生じることがある。このような現象が発生すると、正常な吐出等が行えず、印刷不良を生じる可能性がある。そこで、このような問題を回避するためのメンテナンスが随時行われている。
【0003】
メンテナンスは、インクジェットヘッド(印刷ヘッド)のノズル面を専用の機構を用いてワイピングする(汚れを拭き取る)などのクリーニングと、印刷内容とは無関係なインクの吐出動作を強制的に実行するフラッシングとに大別される。フラッシングについては印刷用紙の搬送中に実行することができるが、クリーニングについては印刷用紙の搬送停止中に実行する必要がある。フラッシングの手法には様々な態様があるが、印刷を行うページに対し全体に薄くインクを吐出するスターフラッシング(離散的フラッシング)、或るページの所定行に対し複数個のノズルから一斉にインクを吐出するラインフラッシングなどが知られている。なお、以下においては、印刷用紙の搬送測度についての加速、減速のことをそれぞれ単に「加速」、「減速」という。
【0004】
上記のようなメンテナンスに関し、特開2012-45854号公報には、印刷開始前の加速時と印刷終了後の減速時とにテストパターンを印刷し、その印刷されたテストパターンをスキャナーで読み取ることによって得られた結果に基づいてメンテナンスを実行することが記載されている。また、特開2017-24287号公報には、印刷開始前の加速時には比較的多いインク吐出量でのスターフラッシングを行い、印刷中には比較的少ないインク吐出量でのスターフラッシングを行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-45854号公報
【文献】特開2017-24287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、クリーニングの実行の要否は、ジョブの実行(印刷の実行)前に検査パターンを印刷して、その印刷された検査パターンをスキャナーで読み取ることによって得られた結果に基づいて決定されている。その作業はオペレータによって行われているが、オペレータにとっては作業負担が大きい。また、ノズル欠けなどの欠け(欠点)が生じやすいインクジェットヘッドを特定することはオペレータにとっては困難であるので、必要以上にオペレータがクリーニングを実行することが考えられる。上述したように印刷用紙の搬送停止中でなければクリーニングを実行することはできないので、必要以上にクリーニングが実行されると印刷効率が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、オペレータのメンテナンスに係る作業負担を軽減するとともにメンテナンスを効率的に実行することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査装置による検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシング量を前回フラッシングを実行した際のフラッシング量よりも大きくするという内容を含めることを特徴とする、印刷装置。
第2の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査装置による検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシングシートの数を前回フラッシングを実行した際のフラッシングシートの数よりも大きくするという内容を含めることを特徴とする、印刷装置。
第3の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がフラッシングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記印刷媒体を加速させている期間中に前記印刷部のフラッシングが行われるよう、前記印刷部の動作を制御することを特徴とする、印刷装置。
第4の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と、
印刷を中断すべき事象を検出するための監視部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第2検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後に印刷され、
前記印刷制御部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出されると、印刷中のシートの次に前記第2検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、前記検査装置による前記第2検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定することを特徴とする、印刷装置。
第5の発明は、第4の発明において、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第1検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第1検査パターンは、前記処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われる前に印刷されることを特徴とする。
第6の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定部と、
印刷を中断すべき事象を検出するための監視部と、
前記印刷媒体を前記印刷部に供給するための印刷媒体供給部と
を備え、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定し、
前記監視部は、前記印刷媒体供給部に残存している印刷媒体の量が所定値以下となる事象を印刷を中断すべき事象として検出することを特徴とする、印刷装置。
【0009】
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明において、
前記メンテナンス内容決定部は、さらに、前記印刷部に対するメンテナンスの実行が必要であるか否かを決定することを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、第1~第3および第7のいずれかの発明において、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容がクリーニングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記搬送速度を0で維持している期間中に前記印刷部のクリーニングが行われるよう、前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1~第3、第7および第8のいずれかの発明において、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記検査パターンとして第1検査パターンおよび第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第1検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われる前に印刷され、
前記第2検査パターンは、前記処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後、本画像の印刷が中断された後または本画像の印刷が停止された後のいずれかの際に印刷されることを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、印刷媒体を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と、
前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と、
印刷で得られた印刷画像の検査を行う検査装置と、
前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部と、
前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するとともにクリーニング情報を送信するメンテナンス内容決定部と、
前記メンテナンス内容決定部から送信される前記クリーニング情報をクリーニング履歴として蓄積するクリーニング履歴保持部と
を備え、
前記クリーニング機構によって前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、前記クリーニング履歴を参照することにより把握することが可能であり、
前記搬送制御部は、各ジョブに基づく印刷の開始前に前記搬送速度が0から予め定められた基準速度に変化するまで前記印刷媒体を加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間において、前記印刷媒体の前記搬送速度が前記基準速度を含む一定の速度で維持される期間を含むように前記印刷媒体を搬送させ、各ジョブに基づく印刷の終了後に前記搬送速度が前記一定の速度から0に変化するまで前記印刷媒体を減速させ、
前記印刷制御部は、前記搬送速度が前記一定の速度で維持されている期間中に前記印刷媒体に検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定部は、前記印刷部に対するメンテナンスの内容を、前記検査装置による前記検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果と前記クリーニング履歴とに基づいて決定し、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されるメンテナンスの内容には、前記クリーニング機構が前記印刷部のクリーニングを実行するときのクリーニング強度が含まれ、
前記メンテナンス内容決定部によって決定されたメンテナンスの内容に応じて、前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御することを特徴とする、印刷装置。
【0022】
第11の発明は、インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査ステップでの検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシング量を前回フラッシングを実行した際のフラッシング量よりも大きくするという内容が含められることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
第12の発明は、インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであって、かつ、前記検査ステップでの検査で得られた検査結果に基づき同じ印刷ヘッドについて予め定められた回数連続して欠けが検出された場合、前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記印刷部に対するメンテナンスの内容に、フラッシングを実行する際のフラッシングシートの数を前回フラッシングを実行した際のフラッシングシートの数よりも大きくするという内容が含められることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
第13の発明は、インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御する印刷制御部と前記印刷媒体を搬送する搬送機構と前記搬送機構が前記印刷媒体を搬送する搬送速度を制御する搬送制御部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容として、クリーニングおよびフラッシングが用意され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がクリーニングであれば、前記印刷部のクリーニングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御し、前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングであれば、前記印刷部のフラッシングが行われるよう前記印刷制御部が前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容がフラッシングである場合、前記印刷制御部は、前記搬送制御部が前記印刷媒体を加速させている期間中に前記印刷部のフラッシングが行われるよう、前記印刷部の動作を制御することを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
第14の発明は、インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構と前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と印刷を中断すべき事象を検出するための監視部とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出された後に、前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記印刷制御部は、前記検査パターン印刷ステップにおいて前記印刷媒体が前記一定速度で搬送されている期間中に前記検査パターンとして第2検査パターンが印刷されるよう、前記印刷部の動作を制御し、
前記第2検査パターンは、処理対象のジョブに基づく本画像の印刷が行われた後に印刷され、
前記印刷制御部は、前記監視部によって印刷を中断すべき事象が検出されると、印刷中のシートの次に前記第2検査パターンが印刷されるよう前記印刷部の動作を制御し、
前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記検査ステップでの前記第2検査パターンについての印刷画像の検査で得られた検査結果に基づいて前記印刷部に対するメンテナンスの内容が決定されることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
第15の発明は、インクを吐出することにより印刷媒体への印刷を行う複数の印刷ヘッドからなる印刷部と前記印刷部のクリーニングを行うクリーニング機構とを備えた印刷装置のメンテナンス方法であって、
前記印刷媒体が一定速度で搬送されている状態において前記印刷部が前記印刷媒体に検査パターンを印刷する検査パターン印刷ステップと、
前記検査パターンの印刷で得られた印刷画像を検査する検査ステップと、
前記印刷部に対するメンテナンスの内容を決定するとともにクリーニング情報をクリーニング履歴として蓄積するメンテナンス内容決定ステップと、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されたメンテナンスの内容に応じて前記印刷部および前記クリーニング機構の動作を制御するメンテナンスステップと
を含み、
前記クリーニング機構によって前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、前記クリーニング履歴を参照することにより把握することが可能であり、
前記メンテナンス内容決定ステップでは、前記検査ステップでの前記印刷画像の検査で得られた検査結果と前記クリーニング履歴とに基づいて、前記印刷部に対するメンテナンスの内容が決定され、
前記メンテナンス内容決定ステップで決定されるメンテナンスの内容には、前記クリーニング機構が前記印刷部のクリーニングを実行するときのクリーニング強度が含まれることを特徴とする、印刷装置のメンテナンス方法。
【発明の効果】
【0023】
上記第1~上記第4および上記第6の発明によれば、メンテナンス内容決定部によって、印刷部に対するメンテナンスの内容が決定される。オペレータの判断を要することなくメンテナンスの内容が決定されるので、オペレータのメンテナンスに係る作業負担が軽減される。また、メンテナンス内容を決定する処理に関して各種判定の条件をクリーニングが必要以上に実行されないように設定しておくことにより、メンテナンスの効率を高めることが可能となる。以上のように、オペレータのメンテナンスに係る作業負担を軽減するとともにメンテナンスを効率的に実行することができる印刷装置が実現される。また、検査パターンの印刷は、印刷媒体が一定の速度で搬送されている状態で行われる。すなわち、検査パターンの印刷は、本画像(本来の印刷すべき画像)の印刷が行われる状態に近い状態で行われる。従って、欠けの検出が精度良く行われる。
また、上記第1および上記第2の発明によれば、例えば、大きな欠けが存在する場合にはクリーニングを実行し、軽微な欠けのみが存在する場合にはフラッシングを実行することによって、印刷品質を維持しつつ印刷効率の低下を抑制することが可能となる。さらに、欠けが改善されるよう効果的にフラッシングを実行することが可能となる。
また、上記第3の発明によれば、例えば、大きな欠けが存在する場合にはクリーニングを実行し、軽微な欠けのみが存在する場合にはフラッシングを実行することによって、印刷品質を維持しつつ印刷効率の低下を抑制することが可能となる。さらに、例えば、或るジョブに基づく印刷の終了後、次のジョブに基づく印刷が開始されるまでに確実に印刷部のフラッシングを実行することが可能となる。
また、上記第4および上記第5の発明によれば、印刷を中断すべき事象が発生したときに、必要なメンテナンスが確実に行われる。これにより、良好な印刷品質を維持することが可能となる。また、直前に印刷された検査パターンについての検査結果に基づいてメンテナンスの内容が決定される。このため、欠けの改善が確実に行われるようにメンテナンスを実行することが可能となる。また、印刷を中断すべき事象が発生した際、本画像の印刷が途中で中止される。このため、損紙の発生量を低減することが可能となる。
また、上記第6の発明によれば、印刷媒体(典型的にはロール紙)の切り替えが行われる際に、必要なメンテナンスが確実に行われる。これにより、良好な印刷品質を維持することが可能となる。
【0024】
上記第7の発明によれば、必要以上にメンテナンスが実行されることを抑制することができる。これにより、メンテナンスが効率的に行われ、結果的に印刷効率が向上する。
【0028】
上記第8の発明によれば、印刷部のクリーニングを印刷媒体の搬送停止中に確実に実行することが可能となる。
【0031】
上記第9の発明によれば、上記第1~上記第4の発明と同様の効果が得られる。
【0037】
上記第11~上記第14の発明によれば、それぞれ、上記第1~上記第4の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
【
図2】上記第1の実施形態におけるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。
【
図3】上記第1の実施形態における印刷部の一構成例を示す平面図である。
【
図4】上記第1の実施形態における印刷制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】上記第1の実施形態における制御部の概略機能構成を示すブロック図である。
【
図6】上記第1の実施形態において、印刷用紙の搬送とメンテナンスとの関係について説明するための図である。
【
図7】上記第1の実施形態において、メンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。
【
図8】上記第1の実施形態において、メンテナンスの制御に関わる処理の概略手順を示すフローチャートである。
【
図9】上記第1の実施形態において、メンテナンス内容決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2の実施形態において、メンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。
【
図11】上記第2の実施形態において、メンテナンスの制御に関わる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】上記第2の実施形態において、印刷中断時の処理について説明するための図である。
【
図13】上記第2の実施形態において、印刷中断時の処理について説明するための図である。
【
図14】上記第2の実施形態の変形例において、メンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。
【
図15】上記第2の実施形態の変形例において、メンテナンスの制御に関わる処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0040】
<1.第1の実施形態>
<1.1 印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置40とによって構成されている。インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置40とは通信回線5によって互いに接続されている。印刷データ生成装置40は、PDFファイルなどの入稿データに対してRIP処理等を施して印刷データを生成する。印刷データ生成装置40で生成された印刷データは、通信回線5を介してインクジェット印刷装置10に送信される。インクジェット印刷装置10は、印刷版を用いることなく、印刷データ生成装置40から送信された印刷データに基づいて、印刷媒体としての印刷用紙に印刷画像を出力する。インクジェット印刷装置10は、印刷機本体200と、印刷機本体200の動作を制御する印刷制御装置100と、印刷状態を検査する画像検査装置300とによって構成されている。すなわち、このインクジェット印刷装置10は、検査機能付きの印刷装置である。画像検査装置300の一部の構成要素は、印刷機本体200に内蔵されている。
【0041】
なお、
図1に示す構成では画像検査装置300はインクジェット印刷装置10の一構成要素である(すなわち、画像検査装置300はインクジェット印刷装置10に含まれている)が、これには限定されない。画像検査装置300がインクジェット印刷装置10とは独立した1つの装置であっても良い。
【0042】
<1.2 インクジェット印刷装置の構成>
図2は、インクジェット印刷装置10の一構成例を示す模式図である。上述したように、このインクジェット印刷装置10は、印刷制御装置100と印刷機本体200と画像検査装置300とによって構成されている。
【0043】
印刷機本体200は、印刷用紙(例えばロール紙)PAを供給する用紙送出部21と、印刷用紙PAへの印刷を行う印刷機構20と、印刷後の印刷用紙PAを巻き取る用紙巻取部28とを備えている。印刷機構20は、印刷用紙PAを内部へと搬送するための第1の駆動ローラ22と、印刷機構20の内部で印刷用紙PAを搬送するための複数個の支持ローラ23と、印刷用紙PAにインクを吐出して印刷を行う印刷部24と、印刷部24のクリーニング(例えば、後述するノズルからのインクの吸引やノズル面のワイピング)を行うクリーニング機構25と、印刷後の印刷用紙PAを乾燥させる乾燥部26と、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)を撮像する撮像部310と、印刷用紙PAを印刷機構20の内部から出力するための第2の駆動ローラ27とを備えている。撮像部310は、画像検査装置300の構成要素であって、CCDまたはCMOS等のイメージセンサを用いて構成されている。
【0044】
印刷制御装置100は、以上のような構成の印刷機本体200の動作を制御する。印刷制御装置100に印刷出力の指示コマンドが与えられると、印刷制御装置100は、印刷用紙PAが用紙送出部21から用紙巻取部28へと搬送されるよう、印刷機本体200の動作を制御する。そして、まず印刷部24によって印刷用紙PAへの印刷が行われ、次に乾燥部26によって印刷用紙PAの乾燥が行われ、最後に撮像部310によって印刷画像の撮像が行われる。また、必要に応じて、クリーニング機構25による印刷部24のクリーニングが行われる。
【0045】
画像検査装置300は、撮像部310と画像検査コンピュータ320とによって構成されている。撮像部310による印刷画像の撮像によって得られた撮像画像データDiは、画像検査コンピュータ320に送られる。画像検査コンピュータ320では、撮像画像データDiを画像解析して欠け(欠点)を検出する検査が行われる。なお、このような手法に限らず、撮像画像データDiと印刷データ生成装置40から送信された印刷データDpとを比較照合することによって、もしくは、撮像画像データDiと検査画像データDcとを比較照合することによって、欠け(欠点)を検出する検査などが行われるようにしてもよい。画像検査コンピュータ320で得られた検査結果Drは印刷制御装置100に送られる。
【0046】
図3は、印刷部24の一構成例を示す平面図である。
図3に示すように、印刷部24は、印刷用紙PAの搬送方向に列置されたC色(シアン色)、M色(マゼンタ色)、Y色(黄色)、およびK色(黒色)のインクジェットヘッド列240C、240M、240Y、および240Kから構成されている。各インクジェットヘッド列は、千鳥状に配置された複数個のインクジェットヘッド(印刷ヘッド)241により構成されている。各インクジェットヘッド241には、インクを吐出する多数のノズルが含まれている。C色のインクジェットヘッド列240Cに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはC色のインクを吐出し、M色のインクジェットヘッド列240Mに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはM色のインクを吐出し、Y色のインクジェットヘッド列240Yに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはY色のインクを吐出し、K色のインクジェットヘッド列240Kに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはK色のインクを吐出する。
【0047】
なお、ここではカラー印刷を行うインクジェット印刷装置10の構成を例示したが、モノクロ印刷を行うインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。また、ここでは水性インクを用いるインクジェット印刷装置10の構成を例示したが、例えばラベル印刷向けインクジェット印刷装置のようにUVインク(紫外線硬化インク)を用いるインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。以上のように、クリーニングが必要となる印刷部を備えていれば、印刷装置の種類については特に限定されない。
【0048】
<1.3 印刷制御装置のハードウェア構成>
図4は、印刷制御装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、印刷制御装置100は、本体110、補助記憶装置121、光ディスクドライブ122、表示部123、キーボード124、およびマウス125などを備えている。本体110は、CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、出力インタフェース部117、およびネットワークインタフェース部118を含んでいる。CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、出力インタフェース部117、およびネットワークインタフェース部118は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部113には補助記憶装置121が接続されている。第2ディスクインタフェース部114には光ディスクドライブ122が接続されている。表示制御部115には、表示部(表示装置)123が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボード124およびマウス125が接続されている。出力インタフェース部117には、通信ケーブルを介して印刷機本体200が接続されている。ネットワークインタフェース部118には通信回線5が接続されている。補助記憶装置121は磁気ディスク装置などである。光ディスクドライブ122には、CD-ROMやDVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク6が挿入される。表示部123は液晶ディスプレイなどである。表示部123は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。キーボード124およびマウス125は、この印刷制御装置100に対して作業者が指示を入力するために使用される。
【0049】
補助記憶装置121には、印刷制御プログラム(印刷機本体200による印刷処理の実行を制御するためのプログラム)Pが格納されている。CPU111は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをメモリ112に読み出して実行することにより、印刷制御装置100の各種機能を実現する。メモリ112は、RAMおよびROMを含んでいる。メモリ112は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをCPU111が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷制御プログラムPは、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。すなわち、ユーザーは、例えば、印刷制御プログラムPの記録媒体としての光ディスク6を購入して光ディスクドライブ122に挿入し、光ディスク6から印刷制御プログラムPを読み出して補助記憶装置121にインストールする。また、これに代えて、通信回線5を介して送信される印刷制御プログラムPをネットワークインタフェース部118で受信して、それを補助記憶装置121にインストールするようにしてもよい。
【0050】
<1.4 制御部>
図5は、印刷制御装置100で印刷制御プログラムPが実行されることによって実現される制御部150の概略機能構成を示すブロック図である。制御部150は、概略的には、メンテナンス内容決定部151と搬送制御部152と印刷制御部153と乾燥制御部154と検査制御部155とを含んでいる。
【0051】
メンテナンス内容決定部151は、画像検査装置300による検査の結果(画像検査コンピュータ320で得られた検査結果Dr)に基づいて印刷部24(より詳しくはインクジェットヘッド241)に対するメンテナンスの内容を決定する。
【0052】
搬送制御部152は、搬送機構210が印刷用紙PAを搬送する速度(搬送速度)を制御する。なお、本実施形態においては、用紙送出部21と第1の駆動ローラ22と複数個の支持ローラ23と第2の駆動ローラ27と用紙巻取部28とによって搬送機構210が実現される(
図2参照)。
【0053】
印刷制御部153は、印刷部24を構成する各インクジェットヘッド241に含まれる各ノズルからのインクの吐出を制御する。例えば、インクの吐出タイミングやインクの吐出量の制御が行われる。印刷制御部153は、さらに、クリーニング機構25の動作を制御する。なお、印刷部24のメンテナンスが行われる際には、メンテナンス内容決定部151によって決定されたメンテナンスの内容に応じて印刷制御部153が印刷部24およびクリーニング機構25の動作を制御する。
【0054】
乾燥制御部154は、乾燥部26が印刷用紙PAを乾燥させる際の温度(乾燥温度)を制御する。検査制御部155は、撮像部310による印刷画像の撮像タイミングを制御する。
【0055】
ところで、各ジョブの処理が実行される際、まず停止状態の印刷用紙PAの搬送が開始されるよう搬送制御部152が搬送機構210の動作を制御する。搬送速度は、徐々に上昇し、予め設定された基準速度(印刷に適した速度)に到達すると当該基準速度で一定に維持される。そして、通常の場合は、搬送速度が基準速度で維持されている状況下(すなわち、印刷用紙PAが一定速度で搬送されている状況下)において印刷用紙PAへの印刷が行われる。印刷終了後、搬送制御部152は搬送速度が徐々に低下するように搬送機構210の動作を制御する。これにより、印刷用紙PAの搬送が停止する。なお、基準速度で搬送されている印刷用紙PAに対して印刷が行われている期間中において、インクジェット印刷装置10にインライン接続された図示しない後加工装置側から後加工の進捗状況に応じて、インクジェット印刷装置10に印刷速度を低下させるようにスローリクエスト信号が通知される場合がある。かかる通知をインクジェット印刷装置10が受信した場合には、搬送制御部152は、搬送機構210の動作を制御し、印刷用紙PAの搬送速度を基準速度から所定の低速度まで減速させ、当該低速度を一定に維持して印刷用紙PAの搬送を継続させる。かかる低速で印刷用紙PAが搬送されている間も印刷が継続される。そして、スローリクエスト信号が解除されれば、搬送制御部152は、搬送機構210の動作を制御し、印刷用紙PAの搬送速度を低速度から基準速度まで加速させた後、搬送速度を基準速度で一定に維持して印刷用紙PAを搬送させ、基準速度を維持して搬送されている印刷用紙PAに対して印刷が引き続き行われる。印刷が終了すると、搬送制御部152は基準速度から搬送速度が徐々に低下するように搬送機構210の動作を制御する。これにより、印刷用紙PAの搬送が停止する。一方、スローリクエスト信号の解除が行われない場合は、搬送制御部152は、搬送速度を低速度で一定に維持して印刷用紙PAの搬送を継続するように搬送機構210の動作を制御し、一定の低速度で搬送される印刷用紙PAへの印刷も継続される。そして、印刷が終了すると、搬送制御部152は一定の低速度からさらに搬送速度が徐々に低下するように搬送機構210の動作を制御する。これにより、印刷用紙PAの搬送が停止する。
【0056】
以上のように、搬送制御部152は、各ジョブに基づく印刷の開始前に搬送速度が0から基準速度に変化するまで印刷用紙PAを加速させ、少なくとも各ジョブに基づく印刷が実行されている期間を通じて搬送速度を一定の速度で維持し、各ジョブに基づく印刷の終了後に搬送速度が一定の速度から0に変化するまで印刷用紙PAを減速させる。
【0057】
<1.5 メンテナンスの制御>
本実施形態に係るインクジェット印刷装置10では、印刷部24(より詳しくはインクジェットヘッド241)に対するメンテナンスは、画像検査装置300による検査の結果に基づいて行われる。これに関し、本実施形態では、各ジョブに基づく印刷の終了後に、メンテナンスの実行の要否やメンテナンスの種類を決定する処理(以下「メンテナンス内容決定処理」という。)が行われる。そして、メンテナンス内容決定処理の結果に応じて印刷制御部153による印刷部24およびクリーニング機構25の動作の制御が行われることによって、印刷部24に対する所望のメンテナンスが行われる。
【0058】
ところで、本実施形態においては、各ジョブに基づく印刷が実行される際に、各ジョブの印刷データDpに、欠け(ノズル欠けなどの欠点)についての検査を行うための検査パターンが付加される。詳しくは、各ジョブの印刷データDpの先頭および末尾のそれぞれに検査パターンが付加される。印刷データDpの先頭に付加される検査パターンと印刷データDpの末尾に付加される検査パターンとは、同じパターンであっても良いし、異なるパターンであっても良い。なお、以下においては、印刷データDpの先頭に付加される検査パターンを「第1検査パターン」といい、印刷データDpの末尾に付加される検査パターンを「第2検査パターン」という。また、便宜上、印刷データ生成装置40から送られる印刷データDpに基づく画像(本来の印刷すべき画像)を「本画像」という。
【0059】
第1検査パターン、本画像、および第2検査パターンの印刷は、いずれも印刷用紙PAが一定の速度で搬送されているときに行われる。詳しくは、通常の場合は、印刷用紙PAの搬送速度が0から基準速度に変化した後に、第1検査パターンの印刷、本画像の印刷、および第2検査パターンの印刷が順に行われ、その後、印刷用紙PAの搬送速度が基準速度から0に変化する。また、基準速度で搬送されている印刷用紙PAに対して印刷が行われている時点で、前述したスローリクエスト信号をインクジェット印刷装置10が受信し、印刷用紙PAの搬送速度が基準速度から所定の低速度に減速され、かかる低速度を一定に維持した状態で印刷用紙PAへの印刷が最後まで行われるような場合もありうる。かかる場合にも、少なくとも本画像の一部の印刷と第2検査パターンの印刷は、基準速度より低い速度ではあるものの、一定の速度で搬送されている状態で行われる。そして、第2検査パターンの印刷が行われた後、印刷用紙PAの搬送速度が基準速度より低い低速度から0に変化する。
【0060】
図6を参照しつつ、印刷用紙PAの搬送とメンテナンスとの関係について説明する。ここでは、時刻t1~時刻t6の期間にジョブJ1の処理が行われて時刻t8~時刻t13の期間にジョブJ2の処理が行われるものと仮定し、ジョブJ1に基づく印刷の終了後に行われるメンテナンス内容決定処理に着目する。
【0061】
時刻t0にジョブJ1についての印刷指示が行われた後、時刻t1から搬送速度が徐々に上昇し、時刻t2に搬送速度が上述した基準速度に到達する。その後、時刻t3~時刻t4の期間に、第1検査パターン、本画像、および第2検査パターンの印刷が行われる。詳しくは、符号71を付した矢印で示す期間に第1検査パターンの印刷が行われ、符号72を付した矢印で示す期間に本画像の印刷が行われ、符号73を付した矢印で示す期間に第2検査パターンの印刷が行われる。このように、搬送速度が基準速度で維持されている期間中に、第1検査パターン、本画像、および第2検査パターンの印刷が行われる。
【0062】
ジョブJ1に基づく印刷の終了後、時刻t5から搬送速度が徐々に低下し、時刻t6に印刷用紙の搬送が停止する。時刻t4~時刻t6の期間には、符号73を付した矢印で示す期間に印刷された第2検査パターンの検査が行われ、さらに当該検査の結果に基づいてメンテナンス内容決定処理が行われる。メンテナンス内容決定処理でクリーニングを実行する旨の決定がなされた場合には、時刻t6の直後にクリーニング機構25による印刷部24のクリーニングが実行される。
【0063】
時刻t7にジョブJ2についての印刷指示が行われた後、時刻t8から搬送速度が徐々に上昇し、時刻t9に搬送速度が基準速度に到達する。ジョブJ1に基づく印刷の終了後に行われたメンテナンス内容決定処理でフラッシングを実行する旨の決定がなされた場合には、時刻t8~時刻t10の期間中に、印刷制御部153による印刷部24の制御に基づきフラッシングが実行される。
【0064】
その後、時刻t10~時刻t11の期間に、第1検査パターン、本画像、および第2検査パターンの印刷が行われる。詳しくは、符号74を付した矢印で示す期間に第1検査パターンの印刷が行われ、符号75を付した矢印で示す期間に本画像の印刷が行われ、符号76を付した矢印で示す期間に第2検査パターンの印刷が行われる。そして、ジョブJ2に基づく印刷の終了後、時刻t12から搬送速度が徐々に低下し、時刻t13に印刷用紙の搬送が停止する。
【0065】
図7は、メンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。制御部150には、メンテナンス内容決定処理の実行に必要な構成要素として、上述したメンテナンス内容決定部151に加えて検査結果保持部156とクリーニング履歴保持部157とが設けられている。また、印刷制御部153、印刷部24、クリーニング機構25、撮像部310、および画像検査コンピュータ320がメンテナンスの制御に関わる。
【0066】
検査結果保持部156は、画像検査コンピュータ320から送られる検査結果Drを保持する。メンテナンス内容決定処理では、画像検査コンピュータ320から送られた検査結果Drのうちノズル欠けなどの欠け(欠点)に関する検査結果である欠け情報LIが使用される。クリーニング履歴保持部157は、メンテナンス内容決定部151から送られるクリーニング情報CIを保持する。クリーニング履歴保持部157に蓄積されたクリーニング情報CIは、メンテナンス内容決定処理の際にメンテナンス内容決定部151によってクリーニング履歴CHとして参照される。メンテナンス内容決定部151は、欠け情報LIとクリーニング履歴CHとに基づいて、詳しくは後述するメンテナンス内容決定処理を行う。そして、メンテナンス内容決定処理で決定された内容のメンテナンスが実行されるよう、印刷制御部153が印刷部24およびクリーニング機構25の動作を制御する。
【0067】
図8を参照しつつ、メンテナンスの制御に関わる処理の概略手順について説明する。まず、処理対象のジョブに基づく印刷の終了後、印刷部24によって印刷用紙PAへの第2検査パターンの印刷が行われる(ステップS100)。なお、上述したように、第2検査パターンの印刷は、印刷用紙PAの搬送速度が基準速度で維持されている期間中に行われる。
【0068】
次に、画像検査装置300によって、第2検査パターンについての印刷画像の検査が行われる(ステップS110)。これについては、まず、ステップS100での印刷(印刷用紙PAへの第2検査パターンの印刷)で得られた印刷画像を撮像部310が撮像する。次に、撮像部310による撮像で得られた撮像画像データDiが画像検査コンピュータ320に送られる。そして、画像検査コンピュータ320において、撮像画像データDiの画像解析が行われる。以上のようにして、第2検査パターンについての印刷画像に基づいて欠け(欠点)の検出が行われる。
【0069】
第2検査パターンについての印刷画像の検査が行われた後、メンテナンス内容決定処理が行われる(ステップS120)。これにより、次のジョブに基づく印刷が開始されるまでに実行すべきメンテナンスの内容が決定される。メンテナンス内容決定処理についての詳しい説明は後述する。なお、典型的には、ステップS110の処理は、印刷用紙PAの搬送速度が基準速度で維持されている期間中に行われ、ステップS120の処理は、印刷用紙PAの搬送速度の減速中に行われる。
【0070】
メンテナンス内容決定処理の終了後、当該メンテナンス内容決定処理で決定された内容のメンテナンスが実行される(ステップS130)。但し、メンテナンス内容決定処理でメンテナンスが必要ではない旨の判断がなされた場合には、メンテナンスは実行されない。メンテナンス内容決定処理によってクリーニングを実行する旨の決定がなされた場合には、印刷用紙PAの搬送が停止している期間中に、印刷制御部153による印刷部24およびクリーニング機構25の動作の制御に基づき印刷部24のクリーニングが実行される。メンテナンス内容決定処理によってフラッシングを実行する旨の決定がなされた場合には、印刷用紙PAの搬送が再開してから次のジョブに基づく印刷が開始されるまでの期間中に、印刷制御部153による印刷部24の制御に基づきフラッシング(例えば、ラインフラッシング)が実行される。
【0071】
なお、本実施形態においては、ステップS100によって検査パターン印刷ステップが実現され、ステップS110によって検査ステップが実現され、ステップS120によってメンテナンス内容決定ステップが実現され、ステップS130によってメンテナンスステップが実現されている。
【0072】
次に、
図9を参照しつつ、メンテナンス内容決定処理(
図8のステップS120の処理)の手順について説明する。このメンテナンス内容決定処理はメンテナンス内容決定部151によって行われる。上述したように、本実施形態においては、メンテナンス内容決定処理は各ジョブに基づく印刷の終了後に行われる。なお、以下に説明する手順は一例であって、これには限定されない。
【0073】
メンテナンス内容決定処理の開始後、まず、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて、印刷部24のメンテナンスが必要であるか否かが判定される(ステップS121)。例えば、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果が示す欠けの数と予め定められた閾値とが比較され、欠けの数が閾値以上であればメンテナンスが必要である旨の判定が行われ、欠けの数が閾値未満であればメンテナンスが必要ではない旨の判定が行われる。また、例えば、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果が示す最大の欠けのサイズ(面積)と予め定められた閾値とが比較され、最大の欠けのサイズが閾値以上であればメンテナンスが必要である旨の判定が行われ、最大の欠けのサイズが閾値未満であればメンテナンスが必要ではない旨の判定が行われる。
【0074】
ステップS121でメンテナンスが必要ではないと判定された場合には、このメンテナンス内容決定処理は終了する。この場合、印刷部24のメンテナンスが実行されることなく次のジョブに基づく印刷が開始される。ステップS121でメンテナンスが必要であると判定された場合には、処理はステップS122に進む。
【0075】
ステップS122では、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて、印刷部24のクリーニングが必要であるか否かが判定される。この判定についても、例えば、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果が示す欠けの数や最大の欠けのサイズと予め定められた閾値との比較結果に基づいて行われる。これに関し、仮にステップS121およびステップS122での判定を欠けの数と閾値との比較結果に基づいて行うという構成を採用する場合、ステップS122で使用される閾値はステップS121で使用される閾値よりも大きな値に設定される。
【0076】
ステップS122でクリーニングが必要であると判定された場合、クリーニングを実行することに決まり、処理はステップS123に進む。一方、ステップS122でクリーニングが必要ではないと判定された場合、フラッシングを実行することに決まり、処理はステップS124に進む。
【0077】
ステップS123では、印刷部24のクリーニングを実行する際の強度(クリーニング強度)が決定される。この決定は、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果と過去に印刷された第2検査パターンについての検査結果とに基づいて行われる。例えば、予め定められた回数以上連続して同じインクジェットヘッドで欠けが検出されていれば、今回のクリーニング強度は前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度よりも高い強度に設定され、そうでなければ、今回のクリーニング強度は前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度と同じ強度に設定される。なお、前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、上述したクリーニング履歴CHを参照することによって把握することができる。高くしたクリーニング強度を低くすることについては、例えば、最大強度でのクリーニングの実行後に欠けが改善されていることが判明した場合に次のクリーニング時のクリーニング強度を通常の強度に低下させるというルールが考えられる。
【0078】
ステップS123の処理が終了すると、このメンテナンス内容決定処理は終了する。この場合、印刷対象が直前のジョブから次のジョブへと移行する際における印刷用紙PAの搬送停止期間中に、ステップS123で設定されたクリーニング強度でクリーニングが実行される。
【0079】
ステップS124では、フラッシングを実行する際のフラッシングシートの数を増やすことが可能であるか否かが判定される。これについては、フラッシングシートを使用する旨の設定がなされていれば、フラッシングシートの数を増やすことが可能であると判定され、フラッシングシートを使用する旨の設定がなされていなければ、フラッシングシートの数を増やすことはできないと判定される。なお、フラッシングシートとは、欠けを改善(解消)するための特別なパターン(以下、「欠け改善パターン」という。)を印刷したシートのことである。従って、上記の「フラッシングシートを使用する」とは、「欠け改善パターンを印刷する」という意味である。ステップS124でフラッシングシートの数を増やすことが可能であると判定された場合、処理はステップS125に進む。一方、ステップS124でフラッシングシートの数を増やすことができないと判定された場合、処理はステップS126に進む。
【0080】
ステップS125では、今回のフラッシング時のフラッシングシートの数が前回のフラッシング時のフラッシングシートの数よりも大きな数に設定される。その際、今回のフラッシング時のフラッシングシートの数と前回のフラッシング時のフラッシングシートの数との差は、例えば、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて決定される。なお、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果と過去に印刷された第2検査パターンについての検査結果とに基づいて、予め定められた回数以上連続して同じインクジェットヘッドで欠けが検出されていれば今回のフラッシング時のフラッシングシートの数を更に大きな数に設定するようにしても良い。ステップS125の処理が終了すると、このメンテナンス内容決定処理は終了する。この場合、次のジョブに基づく印刷を開始するための印刷用紙PAの搬送速度の加速期間中に、ステップS125で設定された数に応じて、欠け改善パターンの印刷(欠け改善パターンを印刷するフラッシング)が行われる。
【0081】
ステップS126では、今回のフラッシング時のフラッシング量が前回のフラッシング時のフラッシング量よりも大きな量に設定される。その際、今回のフラッシング時のフラッシング量と前回のフラッシング時のフラッシング量との差は、例えば、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて決定される。なお、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果と過去に印刷された第2検査パターンについての検査結果とに基づいて、予め定められた回数以上連続して同じインクジェットヘッドで欠けが検出されていれば今回のフラッシング時のフラッシング量を更に大きな量に設定するようにしても良い。ステップS126の処理が終了すると、このメンテナンス内容決定処理は終了する。この場合、次のジョブに基づく印刷を開始するための印刷用紙PAの搬送速度の加速期間中に、ステップS126で設定されたフラッシング量でのラインフラッシングが実行される。なお、もちろん、次のジョブに基づく印刷を開始するための印刷用紙PAの搬送速度が基準速度に到達した以降にラインフラッシングを行ってもかまわないが、本印刷に適した基準速度に到達する前の加速期間中を利用してラインフラッシングを行うことで、印刷用紙PAの搬送速度が印刷に適した一定の速度で維持されている期間を、本印刷に効率的に利用することができる。
【0082】
ところで、メンテナンス(クリーニングやフラッシング)は、全てのインクジェットヘッド241に対して共通的に行われるようにしても良いし、欠けが検出されたインクジェットヘッド241のみに対して行われるようにしても良い。
【0083】
なお、フラッシングシートを使用する旨の設定がなされている場合には、このメンテナンス内容決定処理でメンテナンスが必要ではない旨の判断がなされても、次のジョブに基づく印刷の実行前に、ユーザーが設定しているフラッシングシートの数に応じた最低限のフラッシングが実行される。また、フラッシングシートを使用する旨の設定がなされていない場合には、このメンテナンス内容決定処理でメンテナンスが必要ではない旨の判断がなされても、次のジョブに基づく印刷の実行前に、最低限のフラッシング量でのラインフラッシングが実行される。
【0084】
<1.6 効果>
本実施形態によれば、メンテナンス内容決定部151によって、印刷部24に対するメンテナンスの実行の要否およびメンテナンスの実行が必要である場合のメンテナンスの種類が決定される。これにより、オペレータの判断を要することなくメンテナンスの内容が決定されるので、オペレータのメンテナンスに係る作業負担が軽減される。また、クリーニングが必要以上に実行されないようにメンテナンス内容決定処理における各種判定の条件を設定しておくことにより、メンテナンスの効率を高めることが可能となる。以上のように、本実施形態によれば、オペレータのメンテナンスに係る作業負担を軽減するとともにメンテナンスを効率的に実行することができるインクジェット印刷装置10が実現される。
【0085】
また、本実施形態によれば、欠けの検出に用いられる第2検査パターンの印刷は、印刷用紙PAが一定の速度で搬送されている状態で行われる。すなわち、第2検査パターンの印刷は、本画像の印刷が行われる状態に近い状態で行われる。従って、欠けの検出が精度良く行われる。
【0086】
<2.第2の実施形態>
<2.1 概要および構成>
上記第1実施形態では、各ジョブに基づく印刷が問題なく終了するものとして説明している。しかしながら、何らかの理由で印刷を中断する場合においても上記第1の実施形態と同様の効果が得られるような構成が望まれる。そこで、そのような構成の印刷システムを本発明の第2の実施形態として以下に説明する。
【0087】
本実施形態では、印刷機本体200が原因で印刷の中断が生じたときに、上記第1の実施形態において各ジョブに基づく印刷が終了したときと同様に、メンテナンス内容決定処理およびそれによって決定された内容のメンテナンスが実行される。ここでは、用紙送出部21(
図2参照)内のロール紙の残量が所定値以下になるという事象を、印刷の中断が生じる事象の例として挙げる。なお、用紙送出部21によって印刷媒体供給部が実現される。
【0088】
印刷システムの全体構成、インクジェット印刷装置10の構成、印刷部24の構成、印刷制御装置100のハードウェア構成、および制御部150の概略機能構成については、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する(
図1~
図5を参照)。
【0089】
<2.2 メンテナンスの制御>
図10は、メンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。本実施形態においては、制御部150には、上記第1の実施形態における構成要素(
図7参照)に加えて、ロール残量監視部158が設けられている。ロール残量監視部158は、例えば印刷機本体200の内部に設けられたセンサから得られるデータSDに基づいて、用紙送出部21内のロール紙の残量が所定値以下になっているか否かを監視する。ロール残量監視部158は、ロール紙の残量が所定値以下になったことを検知すると、印刷制御部153に対して印刷停止の指示を与えるとともにメンテナンス内容決定部151に対してメンテナンス内容決定処理の実行を指示する。本実施形態においては、このロール残量監視部158によって、印刷を中断すべき事象を検出するための監視部が実現されている。
【0090】
図11を参照しつつ、本実施形態におけるメンテナンスの制御に関わる処理の手順について説明する。なお、ここで説明する手順は一例であって、これには限定されない。
【0091】
印刷が実行されている期間中、印刷を中断すべき事象が発生したか否かの判定が繰り返し行われる(ステップS200)。本実施形態においては、具体的には、ロール残量監視部158によって、ロール紙の残量が所定値以下になっているか否かの判定が行われる。ロール紙の残量が所定値以下になっていなければ、印刷を中断する必要はなく、処理はステップS200に戻る。ロール紙の残量が所定値以下になっていれば、印刷を中断する必要があり、処理はステップS210に進む。
【0092】
ステップS210では、本画像の印刷が停止され、上述した第2検査パターンの印刷が行われる。これについて、
図12および
図13を参照しつつ、説明する。本実施形態においては、印刷を中断すべき事象が発生すると、印刷制御部153は、処理対象のジョブに基づく印刷が停止し、かつ、印刷中のシートの次に第2検査パターンが印刷されるよう、印刷部24の動作を制御する。例えば、印刷が正常に終了した場合に模式的に
図12に示すような印刷結果が得られると仮定する。なお、
図12において、符号C(S)は第1検査パターンを表し、1~20は本画像の1~20シート目を表し、符号C(E)は第2検査パターンを表している。ここで、例えば本画像の13シート目の印刷中に印刷を中断すべき事象が発生すると(具体的には、本画像の13シート目の印刷中にロール紙の残量が所定値以下になったことが検知されると)、本画像の14~20シート目の印刷は行われず、模式的に
図13に示すように本画像の13シート目の次に第2検査パターンが印刷される。そして、搬送制御部152による搬送機構210の制御により、印刷用紙PAの搬送速度は徐々に低下する。
【0093】
第2検査パターンの印刷の終了後、画像検査装置300によって、第2検査パターンについての印刷画像の検査が行われる(ステップS220)。このステップS220では、上記第1の実施形態におけるステップS110(
図8参照)と同様にして、第2検査パターンについての印刷画像に基づいて欠け(欠点)の検出が行われる。
【0094】
その後、メンテナンス内容決定処理が行われる(ステップS230)。メンテナンス内容決定処理の手順については、上記第1の実施形態と同様である(
図9参照)。すなわち、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて、印刷部24のメンテナンスが必要であるか否かが判定される。そして、印刷部24のメンテナンスが必要であると判定された場合には、直前に印刷された第2検査パターンについての検査結果に基づいて、印刷部24のクリーニングが必要であるか否かが判定される。
【0095】
なお、上記の例では本画像の13シート目の印刷中に印刷が中断した。この場合、該当のジョブに関し、新たなロール紙への本画像の印刷は、再度1シート目からやり直しても良いし、14シート目から行うようにしても良い。
【0096】
<2.3 効果>
本実施形態によれば、印刷機本体200が原因で印刷の中断が生じたときに、上記第1の実施形態と同様にして、印刷部24に対するメンテナンスの実行の要否およびメンテナンスの実行が必要である場合のメンテナンスの種類が決定される。従って、上記第1の実施形態と同様、本実施形態においても、オペレータのメンテナンスに係る作業負担を軽減するとともにメンテナンスを効率的に実行することができるインクジェット印刷装置10が実現される。
【0097】
ところで、近年、用紙送出部21内の残量の少なくなったロール紙を新しいロール紙に人手を介さずに自動的に切り替える機能(例えば「オートスプライス」と呼ばれる)を有するインクジェット印刷装置10が開発されている。このような機能を有するインクジェット印刷装置10に本実施形態の構成を適用すると、ロール紙の切り替えが行われる際に、必要なメンテナンスが確実に行われる。具体的には、新しいロール紙への印刷の準備中に、印刷部24のクリーニングやフラッシングが自動的に行われる。これにより、良好な印刷品質を維持することが可能となる。
【0098】
<2.4 変形例>
上記第2の実施形態においては、印刷機本体200が原因で印刷の中断が生じたときにメンテナンス内容決定処理が行われていた。しかしながら、印刷機本体200以外のことが原因で印刷の中断が生じることもある。そこで、印刷データDpの先頭に付加された第1検査パターンについての検査結果に基づき印刷が中断されるケースについて、上記第2の実施形態の変形例として以下に説明する。
【0099】
図14は、本変形例におけるメンテナンスの制御に関わる機能構成を示すブロック図である。本変形例においては、制御部150には、上記第2の実施形態におけるロール残量監視部158(
図10参照)に代えて欠け監視部159が設けられている。欠け監視部159は、検査結果保持部156に保持されている欠け情報LIを参照して、第1検査パターンについての検査結果がユーザーによる設定済みの欠け条件に該当するか否かを監視する。欠け監視部159は、第1検査パターンについての検査結果が欠け条件に該当することを検知すると、印刷制御部153に対して印刷停止の指示を与えるとともにメンテナンス内容決定部151に対してメンテナンス内容決定処理の実行を指示する。本実施形態においては、この欠け監視部159によって、印刷を中断すべき事象を検出するための監視部が実現されている。なお、メンテナンス内容決定処理の内容については、上記第1の実施形態や上記第2の実施形態とは大きく異なる。これについての説明は後述する。
【0100】
ここで、欠け条件について説明する。欠け条件については、ジョブの実行前にユーザーが印刷制御装置100において登録することが可能となっている。欠け条件の具体例としては、NおよびMを自然数として例えば次のような条件を挙げることができる。
欠け条件:インクジェットヘッド内にN本以上連続して欠けがある、または、インクジェットヘッド内に合計M本以上の欠けがある。
【0101】
図15を参照しつつ、本変形例におけるメンテナンスの制御に関わる処理の手順について説明する。なお、ここで説明する手順は一例であって、これには限定されない。
【0102】
印刷が実行されている期間中、検査結果が設定済みの条件に該当するか否かの判定が繰り返し行われる(ステップS300)。本変形例においては、具体的には、欠け監視部159によって、第1検査パターンについての検査結果がユーザーによる設定済みの欠け条件に該当するか否かの判定が行われる。検査結果が欠け条件に該当しなければ、印刷を中断する必要はなく、処理はステップS300に戻る。検査結果が欠け条件に該当すれば、印刷を中断する必要があり、処理はステップS310に進む。
【0103】
ステップS310では、上記第2の実施形態におけるステップS210(
図11参照)と同様、本画像の印刷が停止され、第2検査パターンの印刷が行われる。ステップS320では、上記第2の実施形態におけるステップS220(
図11参照)と同様、画像検査装置300によって、第2検査パターンについての印刷画像の検査が行われる
【0104】
その後、クリーニング履歴CHを参照して、欠け条件に該当するインクジェットヘッドに関して、予め設定された回数連続してクリーニングが実行されているか否かが判定される(ステップS330)。ステップS330で予め設定された回数連続してクリーニングが実行されていると判定された場合には、処理はステップS340に進む。一方、ステップS330で予め設定された回数連続してクリーニングが実行されてはいないと判定された場合には、処理はステップS342に進む。
【0105】
ステップS340では、今回のクリーニング強度が、前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度よりも高い強度に設定される。ステップS342では、今回のクリーニング強度が、前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度と同じ強度に設定される。なお、前回クリーニングが実行されたときのクリーニング強度は、上述したクリーニング履歴CHを参照することによって把握することができる。ステップS340やステップS342では、さらに、ステップS300で欠け条件に該当する旨の判断がなされたインクジェットヘッドの情報と第2検査パターンについての検査結果とに基づいてクリーニング強度の調整が行われても良い。例えば、ステップS300で欠け条件に該当する旨の判断がなされたインクジェットヘッドに関して第2検査パターンについての検査結果も欠けがある旨を示している場合に当該インクジェットヘッドのクリーニング強度を高めるようにしても良い。
【0106】
本変形例においては、ステップS330、ステップS340、およびステップS342の処理がメンテナンス内容決定処理に該当する。すなわち、本変形例におけるメンテナンス内容決定処理では、クリーニング履歴CHに基づきクリーニングの強度が決定されるだけであって、メンテナンスの種類の決定は行われない。本変形例では、印刷の中断が生じると、第1検査パターンについての検査結果に関わらず、印刷部24のフラッシングではなく印刷部24のクリーニングが実行される。
【0107】
<3.その他>
本発明は、上記各実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記各実施形態(変形例を含む)では先行するジョブの処理と後続のジョブの処理との間にクリーニングおよびフラッシングの双方が行われることはないが、先行するジョブの処理と後続のジョブの処理との間にクリーニングおよびフラッシングの双方が行われるケースがあっても良い。
【0108】
上記第2の実施形態および上記変形例では、本画像の印刷の中断後・停止後にそれぞれ第2検査パターンの印刷を行い、かかる第2検査パターンを検査して、その検査結果に基づいてメンテナンス内容の決定を行うようにしていた。しかし、本画像の印刷の中断や停止の原因の発生状況によっては、印刷の中断時や停止時に第2検査パターンの印刷を行えない場合もある。また、印刷装置の印刷プログラムの組み方によっては、ジョブの実行途中に検査パターンを印刷しながらジョブの進行を進める場合も存在する。そこで、本画像の印刷の中断時や停止時に第2検査パターンの印刷を行えない場合には、本画像の印刷前に印刷媒体PAに印刷された第1検査パターンの検査結果に基づき本発明のメンテナンス内容の決定を行うようにしてもよい。またジョブの実行途中に検査パターンを印刷しながらジョブの進行を進めていたような場合には、本画像の印刷の中断時や停止時にもっとも近接した時期に印刷された検査パターンに対する検査結果に基づき本発明のメンテナンス内容の決定を行うようにしてもよい。このようにすれば、たとえ本画像の印刷の中断時や停止時に第2検査パターンの印刷を行えない場合であっても、適切に最適なメンテナンスを施すことができる。
【符号の説明】
【0109】
10…インクジェット印刷装置
24…印刷部
25…クリーニング機構
100…印刷制御装置
150…制御部
151…メンテナンス内容決定部
152…搬送制御部
153…印刷制御部
156…検査結果保持部
157…クリーニング履歴保持部
158…ロール残量監視部
159…欠け監視部
200…印刷機本体
210…搬送機構
300…画像検査装置
310…撮像部
320…画像検査コンピュータ