(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】連続シート切断装置及び連続シート切断装置を有するインターフォルダ
(51)【国際特許分類】
B65H 37/06 20060101AFI20250127BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20250127BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20250127BHJP
B65H 45/107 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
B65H37/06
A47K10/16 D
B65H35/04
B65H45/107 Z
(21)【出願番号】P 2021130955
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔悟
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-169558(JP,U)
【文献】特開昭63-267644(JP,A)
【文献】特開2018-192416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0089816(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113211507(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/06
A47K 10/16
B65H 35/04
B65H 45/00-45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフォルダの折り畳み機構部に至る連続シートを切断する装置であって、
一又は複数の連続シートの通紙経路に対面し、かつ、通紙経路を跨いで配置される液含侵又は液付着可能な紐状体と、
前記連続シートの通紙経路を交差する紐状体の移動経路と、
紐状体を移動経路内で往復可能に移動させる駆動手段と、
紐状体の移動経路に配置された含液性を有する多孔質弾性体と、を有し、
多孔質弾性体との接触により紐状体に液体を含侵させ、液体が含侵された紐状体を駆動手段によって通紙経路に位置する連続シートに押し当ることにより、連続シートを切断する、ことを特徴とする連続シート切断装置。
【請求項2】
多孔質弾性体に対して液体を供給する液供給手段を有する、請求項1記載の連続シート切断装置。
【請求項3】
通紙経路を挟んで多孔質弾性体と対向する位置に連続シートを受ける受け部を有し、
連続シートが前記受け部に支持された状態で紐状体が連続シートに接触するように、構成されている請求項1又は2記載の連続シート切断装置。
【請求項4】
多孔質弾性体は、紐状体との接触部分が、通紙経路側に向かって湾曲凸面となっている請求項1~3の何れか1項に記載の連続シート切断装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の連続シート切断装置を複数備えることを特徴とする連続シート切断装置を有するインターフォルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続シートの切断装置及び連続シートの切断方法に関し、特に、ティシュペーパー等の家庭用薄葉紙の原紙である連続シートを巻き取った原反から繰り出されている連続シートを切断する連続シート切断装置及び、この連続シート切断装置を有するインターフォルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパー等の家庭用薄葉紙を複数枚、折り畳み重ねてなる束を、カートンと称される収納箱やフィルム製の包装袋等の収納容器に納めた製品はよく知られている。係る製品は、収納容器に設けられた取り出し口から、衛生薄葉紙を一枚取り出すと、それに連続して次の一枚が取出し口から引き出されるようになっている。
【0003】
そして、このような製品に用いられる束の製造には、インターフォルダと称される折り畳み設備が用いられている。インターフォルダの形式には、いくつかあるが、その一つにマルチスタンド式、スタンド式、折板式又は多連式などと称されるインターフォルダがある。
【0004】
この種のインターフォルダは、折り板を有する折畳み機構部が、ライン流れ方向に多数(例えば50~200機)並設されており、原反ロールから各折畳み機構部対して同時に衛生薄葉紙の製品幅と同幅の連続シートを通常2シート一組で供給し、各折畳み機構部で連続シートの折り畳みが行なわれる。
【0005】
そして、その折り畳みとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた連続シートに、下流側の折畳み機構部で折り畳まれた連続シートを順次積層されるように構成されており、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成されるようになっている。
【0006】
この種のインターフォルダにおいては、製品種の切り替えや原反ロールに巻かれている連続シートの残距離が少なくなり、原反ロールを切り替える際には、50~200機の多数の各折畳機構部に至る各原反ロールについて、その切り替えが必要となる。
【0007】
従来、この原反ロールの切り替えは、古い原反ロールからの連続シートを手動で切断した後、さらに、切り替え後の次の原反ロールからの連続シートを手動で重ね合わせ、さらに、その重ね合わせ部分をエアータガネ、エアーニードルタガネ、ジェットタガネ等と称される空圧工具によって人力によって圧着してつなぎ合わせる操作を行っていた。
【0008】
このように、原反ロールの切り替え時に各折り畳み機構部に至る多数の原反ロールからの連続シートの切断作業等を、全て人手による手動で行っていたため、多大な時間と労力を要しており、操業効率、安全性、省力化の妨げとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許4052048号公報(特公昭55-1215号公報)
【文献】特開2006-240750号公報
【文献】特開2011―121764号公報
【文献】特開昭60-249594号公報
【文献】特開昭62-218367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、インターフォルダにおける原反ロールの切り替え時の安全性と省力化、さらに操業効率の向上を図るべく、特に、原反ロールの切り替え時における連続シートの切断を自動化できる連続シート切断装置及びこの連続シート切断装置を有するインターフォルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段は次記のとおりである。
その第一の手段は、
インターフォルダの折り畳み機構部に至る連続シートを切断する装置であって、
一又は複数の連続シートの通紙経路に対面し、かつ、通紙経路を跨いで配置される液含侵又は液付着可能な紐状体と、
前記連続シートの通紙経路を交差する紐状体の移動経路と、
紐状体を移動経路内で往復可能に移動させる駆動手段と、
紐状体の移動経路に配置された含液性を有する多孔質弾性体と、を有し、
多孔質弾性体との接触により紐状体に液体を含侵させ、液体が含侵された紐状体を駆動手段によって通紙経路に位置する連続シートに押し当ることにより、連続シートを切断する、ことを特徴とする連続シート切断装置である。
【0012】
第二の手段は、
多孔質弾性体に対して液体を供給する液供給手段を有する、上記第一の手段に係る連続シート切断装置である。
【0013】
第三の手段は、
通紙経路を挟んで多孔質弾性体と対向する位置に連続シートを受ける受け部を有し、
連続シートが前記受け部に支持された状態で紐状体が連続シートに接触するように、構成されている、上記第一又は第二の手段に係る連続シート切断装置である。
【0014】
第四の手段は、
多孔質弾性体は、紐状体との接触部分が、通紙経路側に向かって湾曲凸面となっている上記第一~第三の手段に係る連続シート切断装置である。
【0015】
第五の手段は、
上記第一~第四の手段に係る連続シート切断装置を複数備えることを特徴とする、連続シート切断装置を有するインターフォルダである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インターフォルダにおける原反ロールの切り替え時の安全性と省力化、さらに操業効率の向上を図るべく、特に、原反ロールの切り替え時における連続シートの切断を自動化できる連続シート切断装置及びこの連続シート切断装置を有するインターフォルダが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】インターフォルダを説明するための衛生薄葉紙の束の図である。
【
図3】折り板機構部及び連続シート切断装置の例を示す側面図である。
【
図4】連続シートの切断装置の例を示す側面図である。
【
図5】連続シート切断装置の例を示す平面図である。
【
図6】連続シートの切断装置によるシートの切断を説明するための図である。
【
図7】連続シートの切断装置によるシートの切断を説明するための他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
本実施形態に係る連続シート切断装置20は、主に衛生薄葉紙製品に用いられる束1を製造するインターフォルダ10に設けられる。
【0019】
衛生薄葉紙製品は、カートンと称される収納箱やフィルム製の包装袋等の収納容器に衛生薄葉紙の束1を納めたものであり、例えば、収納容器に設けられた取り出し口から、衛生薄葉紙を一組取り出すと、それに連続して次の一組が取出し口から引き出されるようになっている。
【0020】
衛生薄葉紙2の束1は、
図1に示すように、方形の衛生薄葉紙2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他の衛生薄葉紙2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数の衛生薄葉紙2が折り畳み積層されており、各衛生薄葉紙2の折り返し縁2Cが並ぶ一対の長手側面3Bと、折り返し縁2Cが並ばない一対の短手側面3Aとを有し、さらに短手側面3Aと長手側面3Bとに連接する一対の平面(上下面)3Cを有する略直方体形状をなしている。
【0021】
図2は、その衛生薄葉紙2の束1を製造する本実施形態に係るインターフォルダ10の概略図である。このインターフォルダ10は、一対の折り板11,11を具備する折り畳み機構部10Aがライン流れ方向に複数基、例えば80~150基、並設された構造を有しており、マルチスタンド式、スタンド式、折板式、多連式インターフォルダなどとも称されている。本発明及び本明細書では単にインターフォルダ10と称する。
【0022】
このインターフォルダ10では、連続シートS1,S1を、ガイドロール、エキスパンダーロール、ダンサーロール等の適宜のロール12を介して折り畳み機構部10Aの各折り板11,11に送り、各折り板11,11で連続シートS1,S1の端部を重ね合わせながら折り返す。さらに、折り畳み機構部10Aの下方には、よりライン上流側の折り畳み機構部10A…で折り畳みながら積み重ねられた連続束1Aが位置するように構成されており、この連続束1Aに当該折り畳み機構部10Aで折り畳まれた連続シートS1,S1を関連づけて、積み重ねるように構成されている。このようなインターフォルダでは、上流に位置する折り畳み機構部から下流に位置する折り畳み機構部へと行くにしたがって、連続束1Aの積層数が増加するとともに、コンベアによって下流へと送られる。そして、連続束1Aは、最下流の折り畳み機構部10Aの後段で、カッター等14において流れ方向に所定の間隔をおいて裁断(切断)され、個々の束1となる。
【0023】
したがって、本実施形態に係る折り畳み機構部10Aでは、各折り板11,11に供給される連続シートS1,S1が、連続束1Aの裁断の後に一枚の衛生薄葉紙2となるため、折り畳まれる一つの連続シートS1の幅と衛生薄葉紙2の束1を構成する一枚の衛生薄葉紙2の幅が同じとなる。
【0024】
折り畳み機構部10Aに供給する連続シートS1は、ティシュペーパー等の使用時の形態の衛生薄葉紙2の原紙からなり、原反ロール5から折り畳み機構部10Aに供給される。
【0025】
原反ロール5は、衛生薄葉紙2の製品幅又はその複数倍幅以上の幅の連続シートが巻かれたものであり、インターフォルダ10の原反ロール支持部13に回動自在に取付けられる。例えば、原反ロール5から繰り出される連続シートが衛生薄葉紙2の製品幅と同幅である場合には、そのままの幅で、また、衛生薄葉紙の製品幅の複数倍幅以上など製品幅以上である場合には、適宜に衛生薄葉紙の幅にスリットして折り板11に供給される。なお、衛生薄葉紙の製品幅とは、ティシュペーパー、ペーパータオル等の製品種や大判、小判等の規格によって異なるが、概ね170~230mm程度である。
【0026】
図示例のインターフォルダ10は、折り畳み機構部10Aの数に対応する数の原反ロール支持部13を有しており、一つの軸6を共有する二つの原反ロール5,5を一組とする原反ロールユニット5Aの形態で原反ロール5,5を原反ロール支持部13に取り付けるようになっている。この原反ロール5は、衛生薄葉紙の製品幅と同幅の連続シートS1が巻かれたものであり、各原反ロール5,5から製品幅の連続シートS1,S1が繰り出されるようになっている。
【0027】
ただし、本発明に係るインターフォルダ10は、この形態に限定されない。上記のとおり衛生薄葉紙の製品幅以上の連続シートが巻かれた原反ロール5を、原反ロール支持部13に取り付けて、この原反ロール5から繰り出した衛生薄葉紙の製品幅以上の連続シートをスリットして製品幅の連続シートS1とした後に折り板に供給する形態のものでもよい。また、折り畳み機構部10Aにおける連続シートS1の折り畳み動作も限定されるわけではない。
【0028】
ここで、本発明に係る装置は、このような多数の折り畳み機構部10Aを有する形式のインターフォルダ10における、原反ロール5から折り畳み機構部10Aに至る連続シートS1を機械的に切断する装置20であり、好ましくはインターフォルダ10に複数設置される。
【0029】
この連続シート切断装置20は、特に
図3~
図5に示すように、液含侵又は液付着可能な紐状体21と、この紐状体21の移動経路21Rと、紐状体21を移動経路21R内で往復可能に移動させる駆動手段22と、紐状体21の移動経路21Rに配置され紐状体21に液体を付与する含液性を有する多孔質弾性体23と、を有している。
【0030】
紐状体21は、一又は複数の連続シートS1の通紙経路L1に対面し、かつ、通紙経路L1を跨いで配置される。この紐状体21は、柔軟性を有する細長の紐状をなし、液体を十分に含侵又は付着可能であれば、特に素材や構造は限定されない。複数の細紐、短細紐、繊維を編み込んだ網紐、網縄、撚り紐、撚り縄、さらにタオル地等の布地を紐形状に裁断したもの、表面に細かい孔や溝を多数設けて含侵性を付与した合成樹脂素材を紐状に形成したものなどが挙げられる。好適には、表面に細かい孔や溝を多数設けて含侵性を付与した合成樹脂素材を紐状に形成したもの、複数の細紐や繊維を編み込んだ網紐である。紐状体を構成する素材は、限定されない。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、コットン繊維、ヤシ繊維等の天然繊維素材などが挙げられる。特に好適には、合成樹脂素材であるのがよい。液含侵による伸びが少なく、耐腐食性等の点で優れる。太さも、特に限定されない。過度に太いと切断幅が広くなり紙面の無駄が多くなるため、好ましくは、2~4mmである。紐状体21の断面形状も限定されない。丸、楕円、四角、三角等の適宜の形状でよい。
【0031】
図示例の装置20は、衛生薄葉紙の製品幅の二枚の連続シートS1,S1が通る通紙経路L1、L1を紐状体21が跨ぐように構成されているが、紐状体21が跨ぐ連続シートS1の幅や数は必ずしも限定されるものではない。例えば、衛生薄葉紙の製品幅以上の幅の連続シートを跨ぐように構成されていてもよいし、幅に関係なく二枚以上の連続シートを跨ぐように構成されていてもよい。但し、インターフォルダ10は、多数の原反ロール5から連続シートS1を繰り出すため、全ての原反ロール5,5…からの連続シートS1…を一度に跨ぐものは好ましくない。衛生薄葉紙の製品幅と同程度の連続シートであれば、10枚以下、好ましくは6枚以下、より好ましくは4枚以下、特には2枚の通紙経路L1を跨ぐように構成されるのが望ましい。また、好ましくは、一つの折り畳み機構部10Aに至る連続シートS1の通紙経路L1、又は一つの折り板11に至る連続シートS1の通紙経路L1を跨ぐように構成されているのが望ましい。インターフォルダでは、折り畳み機構部10A、又は、折り板11の単位でメンテナンスが求められることがあるため、係る折り畳み機構部10Aや折り板11に至る連続シートS1を切断すると原反ロールの切り替え時の安全性と省力化、さらに操業効率の向上の点で好ましい。また、インターフォルダの多くは、一つの原反ロール5又は原反ロールユニット5Aから折り畳み機構部10Aに連続シートS1が至るように構成されるため、折り畳み機構部10A単位で一又は複数の連続シートS1を同時に切断できるように、紐状体21を配するように構成するのが特に望ましい。
【0032】
紐状体21の移動経路21Rは、紐状体21が所定のテンションを維持した状態で移動する経路であり、この移動経路21Rは、連続シートS1,S1の通紙経路L1、L1を交差するように配されている。よって、紐状体21は、移動経路21Rを移動することで、通紙経路L1に位置する連続シートS1の両側縁間に架橋されるようにして接触するようになっている。なお、紐状体21のテンションは、必ずしも限定されない。過度に緩まない程度であればよい。紐状体21が概ね直線的に維持される程度であればよい。
【0033】
紐状体21を移動させるための駆動手段は、紐状体21を移動可能にする機構であれば公知の機構を用いることができる。好ましい例としては、図示の装置のように、通紙経路L1の両側縁より外方位置において突出するように設けられた、図示しないモータ等の駆動原によって伸縮可能な一対のシリンダー機構22,22である。シリンダー機構22,22は、油圧シリンダー、エアーシリンダー等が例示できる。衛生薄葉紙の汚染の観点からエアーシリンダーであるのが特に望ましい。これらのシリンダー22,22の端部に紐状体21が架橋され、駆動原によって、各シリンダー22,22を同期させて伸長又は収縮することで、紐状体21が所定のテンションを維持した状態で移動経路21Rを往復移動する。但し、駆動手段は、上記のシリンダー機構に限定されるものではない。例えば、通紙経路L1の両側縁より外方位置において突出するように、一対のレール等のガイドを設け、このガイドに沿って移動可能に滑車や係止具等の移動体を設け、ベルト駆動、チェーン駆動又はシリンダー駆動により、この移動体を移動可能に構成した機構なども例示できる。なお、駆動手段の駆動原は、限定されず、エアー圧、電気モータ、磁気モータ等の公知の駆動原を用いることができる。
【0034】
また、本装置20では紐状体21は、交換可能であるのが望ましい。したがって、紐状体は駆動手段や所定の取り付け部に対して着脱自在に取り付けられているのが望ましい。交換可能な方法は公知の技術を用いることができる。例えば、シリンダーや移動体に、ねじ等によって狭窄及び拡幅可能な挟持部を設け、紐状体の挟持と解放を選択できるようにしてもよい。また、カラビナやクリップ等の適宜の固定用治具によりシリンダーや移動体に係止するようにして、着脱自在としてもよい。また、シリンダーや移動体に紐状体を結びつける部位を形成し、直接的に結びつけるようにしてもよい。紐状体を交換可能にすることで、メンテナンス性が向上するとともに、紐状体の太さや素材、含水性を、切断する連続シートS1の厚みや質等に応じて適宜に変更できるようになる。
【0035】
多孔質弾性体23は、通紙経路L1と離間した紐状体21の移動経路21Rに配置される。したがって、この装置20では、駆動手段22による紐状体21の移動により紐状体21と多孔質弾性体23とが接触する。図示の連続シート切断装置20では、一対のシリンダー機構22,22によって、紐状体21が多孔質弾性体23と接触する位置と、通紙経路L1を通過した所定の位置まで移動経路21Rを移動可能に構成されている。
【0036】
紐状体21と多孔質弾性体23との接触は、多孔質弾性体23が弾性変形される程度に、紐状体21が多孔質弾性体23を押圧する程度とすればよい。通紙経路L1と多孔質弾性体23との離間距離は、限定されないが、通紙経路L1を通過する連続シートS1が接触しない程度の離間距離とするのがよい。離間距離は30mm以上あればよく、50~90mmであるのが望ましい。
【0037】
また、多孔質弾性体23は、含液性を有するものであり、紐状体21との接触により紐状体に対して液体を付与可能なものである。多孔質弾性体23の具体的な素材としては、例えば、天然又は合成樹脂製の海綿体等のスポンジ材が挙げられる。布地や繊維素材等を接着剤で有弾性に固めたものであってもよい。好適には、液保持性の調整がしやすく腐食し難い点で合成樹脂製のスポンジ材である。
【0038】
さらに、多孔質弾性体23は、例えば、細長形状をなし、紐状体21の長さの80%以上、好ましくは100%以上の範囲で紐状体21と接触できるようにするのが望ましい。図示の装置20では、紐状体21の駆動手段である一対のシリンダー22,22の間の位置に通紙経路L1,L1に対して100%以上の範囲で対面する細長形状に形成されている。
【0039】
他方で、この多孔質弾性体23は、紐状体21との接触側面23Aが、通紙経路L1側に向かって、かつ、紐状体21の各端部側から中央部側に向かって凸の、湾曲凸面となっているのが特に望ましい。シリンダー機構等の駆動手段22によって、紐状体21が多孔質弾性体23がわに移動させられて接触される操作の際に、紐状体21のテンションに緩みや、紐状体21の各端で移動距離に若干の差が生じるなどすることがあっても、紐状体21の全体が多孔質弾性体23に接触しやすくなり、多孔質弾性体23から紐状体21への液体の付与の確実性が向上する。
【0040】
さらに、この多孔質弾性体23の湾曲凸面23Aは、二種以上、好ましくは
図5に示すように、二種の曲率で構成されているのが望ましい。湾曲凸面23Aの曲率を二種以上で構成することで、紐状体21と多孔質弾性体23との広範な接触のより確実となる。なお、湾曲凸面23Aの曲率は、限定されない。紐状体21が跨ぐ通紙経路L1の幅(連続シートの幅)や数に応じて適宜に設計することができる。170~230mmの衛生薄葉紙の製品幅の連続シートS1の通紙経路L1を二路分を跨ぐ幅の多孔質弾性体23の場合では、曲率R1を1~3m、曲率R2を2~6m程度とするのが望ましい。
【0041】
他方で、本実施形態の連続シート切断装置20では、好ましく多孔質弾性体23に対して、液体を供給する液供給手段24を有している。この液供給手段24は、例えば、多孔質弾性体23に対して液体を滴下、噴霧、噴射等によって付与するノズルや供給口、液体を搬送可能な可撓性素材や金属製のチューブ等の供給路24A、液体を搬送するためのポンプ24Bなどによって構成することができる。液供給手段24は、多孔質弾性体23が過度に乾燥しないように適宜に液体を供給できるものであればよい。
【0042】
本発明に係る上記説明の連続シート切断装置20による連続シートの切断は、さらに
図6及び
図7に示すように、次のようして行われる。すなわち、まず、
図4及び
図5に示す位置から、
図6(A)及び
図7(A)に示すように、液体含侵状態の多孔質弾性体23に対して紐状体21を、シリンダー機構等の駆動手段22によって移動させて接触させ、これによって紐状体21に十分な液体を含侵又は付着させる。多孔質弾性体23は、スポンジ等の素材であり多量の液体を保持可能であり、紐状体21は、網紐等であるため適度の液体を含侵及び付着可能である。
【0043】
次いで、
図6(B)及び
図7(B)に示すように、シリンダー機構等の駆動手段22によって、液体が付与された紐状体21を、移動経路21Rを移動させ、通紙経路L1に存在する連続シートS1に押し当てる。本装置20では、紐状体21の移動経路21Rが、連続シートS1の通紙経路L1と交差するように配されているため、通紙経路L1を横切るように紐状体21を移動させることで通紙経路L1に位置する連続シートS1に、液体が付与された紐状体21が押し当てられる。連続シートS1は衛生薄葉紙であるため、紐状体21との接触により水分が付与され、著しく紙力が低下する。その状態でさらに紐状体21が押し当てられることで、
図6(C)及び
図7(C)に示すように、容易に切断される。なお、連続シートS1を切断した後は、次の原反ロール5の切り替えに備え、シリンダー機構22により、
図4及び
図5に示す多孔質弾性体23と通紙経路L1との間の位置に紐状体21を戻す。
【0044】
なお、連続シートS1の紙力を低下させるために多孔質弾性体23、紐状体21に含侵等させる本装置20に用いる液体は、限定されない。通常の水道水、蒸留水、さらにアルコール等の除菌、防腐剤等の適宜の助剤が含まれていてもよい。但し、折り畳み機構部10Aや衛生薄葉紙2を汚染しないものであるのが当然よく、蒸留水、またこれに適宜の非汚染性の助剤を混合したものとするのが望ましい。
【0045】
ここで、インターフォルダ10では、原反ロール5から折り畳み機構部10Aに至る通紙経路L1は、適宜にシワ伸ばしのためのエキスパンダーロール、テンションコントロール用のダンサーロール、ガイドロール等の適宜のロール12が配置され、連続シートS1が垂直方向や水平方向等に変更されるようになっており、インターフォルダの設置位置等によって種々存在する。本発明に係る連続シート切断装置20においては、インターフォルダ10の通紙経路L1のどの位置に存在するかは必ずしも限定されるものではない。原反ロール5から折り畳み機構部10Aへ至る連続シートS1の通紙経路L1の適宜の位置に設けることができる。但し、好適には、連続シートS1が垂直方向±20°に搬送される位置で、紐状体21の移動経路21Rが水平方向±20°となるように構成されるのが望ましい。図示の形態のインターフォルダ10では、原反ロール支持部13から繰り出された連続シートS1がガイドロール12Aを経て上方に至り、その後に水平方向に連続シートS1を移動させ、折り畳み機構部10Aの上方から連続シートS1を供給する形態となっており、連続シートS1がガイドロール12Aを経てほぼ垂直に上方に搬送される位置に連続シート切断装置20を設けている。このような位置では、多孔質弾性体23や紐状体21で保持しきれなかった液体が意図せず滴下しても連続シートS1に接触するおそれが各段に小さくなる。
【0046】
また、本装置20では、多孔質弾性体23や移動経路21Rの下方位置に滴下した液体を受けるための受け皿25、さらに受け皿で受けた液体を多孔質弾性体や液供給手段に返送する返送手段や返送路等を設けることができる。
【0047】
また、連続シート切断装置20では、図示例のように、通紙経路L1を挟んで多孔質弾性体23と対向する位置に、連続シートS1を受ける受け部26を設けるのが望ましい。この受け部26は例えば、紐状体21の移動経路21Rの直近に設けた一対又は一つのガイドロール26で構成することができる。多孔質弾性体23側から移動経路21Rを紐状体21が移動され。連続シートS1に接触した後、さらに通紙経路L1を超えるように紐状体21を移動させると、受け部26によって連続シートS1が支持され、紐状体21による連続シートS1への加圧が高まり、紐状体21による切断を補助する。
【0048】
なお、以上説明の本発明に係る連続シート切断装置20を複数設けたインターフォルダ10、好適には、折り畳み機構部10Aごとに連続シート切断装置20を設け、各々別途に連続シートS1を切断可能としたインターフォルダもまた関連する発明である。そして、このインターフォルダでは、複数の各切断装置を同時に又は一つの操作によって稼働させるように構成するのが望ましい。
【符号の説明】
【0049】
1…衛生薄葉紙の束、1A…連続束、2…衛生薄葉紙、2A…折り返した内側、2B…折り返した片、2C…折り返し縁、2R…取出口から露出する衛生薄葉紙の根本部分、3A…短手側面、3B…長手側面、3C…束の上下面、5…原反ロール、5A…原反ロールユニット、6…軸、10…インターフォルダ、10A…折り畳み機構部、11…折り板、12…ロール、S1…連続シート、13…原反ロール支持部、L1…通紙経路、14…カッター、20…連続シート切断装置、21…紐状体、21R…移動経路、22…駆動手段(シリンダー機構)、23…多孔質弾性体、23A…湾曲凸面、24…液供給手段、24A…供給路、24B…ポンプ、25…受け皿、26…受け部、R1,R2…湾曲凸面の曲り。