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特許7625502インサイドウエザーストリップの端末構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】インサイドウエザーストリップの端末構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/74 20160101AFI20250127BHJP
   B60J 10/50 20160101ALI20250127BHJP
   B60J 10/20 20160101ALI20250127BHJP
【FI】
B60J10/74
B60J10/50
B60J10/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021158603
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049079
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 達也
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-040609(JP,A)
【文献】特開2019-209833(JP,A)
【文献】特開2020-104708(JP,A)
【文献】特開2004-098768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/74
B60J 10/50
B60J 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアのうちドアパネルのウエストフランジ部に近接しつつドアウエスト開口部に臨む前記ドアパネルのドアインナーパネルに装着されて、昇降式のドアガラスと摺接すると共に、長手方向の前端および後端のうちいずれか一方の端部が少なくともドアサッシュと突き合わされるインサイドウエザーストリップの端末構造であって、
前記インサイドウエザーストリップは、前記ドアインナーパネルに装着されるベース部と、前記ベース部側から前記ドアガラス側に向かって突出形成された少なくとも上下二段のガラスシールリップと、前記長手方向の端部に型成形によって形成され、前記ドアサッシュと突き合わされる端末シール部を有し、
前記端末シール部は、前記上下二段のガラスシールリップのうち、下段のガラスシールリップの端部側にのみ設けられていると共に、薄肉な基部と、該基部の外周縁に一体に設けられた環状のリップと、を有し、
前記環状のリップは、前記基部の外周縁からほぼ均一でかつ低い突出高さに形成されていることを特徴とするインサイドウエザーストリップの端末構造。
【請求項2】
請求項1に記載のインサイドウエザーストリップの端末構造であって、
インサイドウエザーストリップは、前記ベース部の車内側の背面側に前記ドアインナーパネルのウエストフランジ部に係止する取付基部を有すると共に、前記ベース部と前記取付基部との間に設けられて、ドアトリムの端部が上方から嵌合する嵌合部を有し、
前記端末シール部は、前記下段のガラスシールリップの端部外面と前記嵌合部の底壁の端部外面にわたって連続して設けられていることを特徴とするインサイドウエザーストリップの端末構造。
【請求項3】
請求項2に記載のインサイドウエザーストリップの端末構造であって、
前記インサイドウエザーストリップを、前記取付基部を介して前記ドアインナーパネルに長手方向から取り付けた際に、前記取付基部の一側壁の一端部の外面がドアサッシュの対向面に当接して位置決めされることを特徴とするインサイドウエザーストリップの端末構造。
【請求項4】
請求項3に記載のインサイドウエザーストリップの端末構造であって、
前記端末シール部は、前記嵌合部の底壁の端部外面からさらに前記取付基部の一側壁の一端部外面のほぼ全体に設けられていることを特徴とするインサイドウエザーストリップの端末構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサイドウエザーストリップの端末構造に関し、特に車両用ドアにおけるドアウエスト開口部に臨むドアパネルのドアインナーパネルに取り付けられて、長手方向の前端部または後端部が少なくともドアサッシュと突き合わされるインサイドウエザーストリップの端末構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインサイドウエザーストリップとしては、例えば以下の特許文献1などに記載されたものが提供されている。なお、インサイドウエザーストリップは、車両用ドアでの取付位置に着目して、ドアウエスト部のインナーウエザーストリップ、ウエストインナーシール、ベルトラインウエザーストリップ、あるいはドアウエストインサイドシール部材等と称されることもある。
【0003】
特許文献1などに記載されたインサイドウエザーストリップは、押出成形によって長尺に形成され、図7に示すように、車両用のフロントドアのうち室内側のドアウエスト開口部に臨むドアインナーパネル01のウエストフランジ部02に取り付けられている。このインサイドウエザーストリップ31は、図7及び図8に示すように、板状のベース部32と、このベース部32からドアガラス03側に向かって斜め上向きに突出形成された互いに平行な上下二段のガラスシールリップ32a、32bと、ベース部32の下端部から前記ガラスシールリップ32a,32bとは反対向きに突出形成されたほぼ逆U字形状の取付基部33と、該取付基部33の車外側の一側壁33aとベース部32とによって構成されU字形状の嵌合部34と、を備えている。前記取付基部32は、前記ウエストフランジ部02に対して上方から係合して該ウエストフランジ部02にインサイドウエザーストリップ31が取り付けられるようになっている。前記嵌合部34には、ドアトリム35の端末フランジ35aが上方から嵌合保持されている。
【0004】
また、インサイドウエザーストリップ31は、図8にも示すように、長手方向の一端部にドアサッシュ36の縦辺部36aや図外のドアガラスランの一部と突き合わされて当接する端末シール部37が設けられている。
【0005】
この端末シール部37は、型成形によって一体に形成されて、外周縁に円弧状の薄肉なリップ37aを有していると共に、前記上段のガラスシールリップ32aの長手方向の一端部外面と前記嵌合部34の端部外面及び取付基部33の一側壁33aの端部外面にわたって設けられている。この端末シール部37は、インサイドウエザーストリップ31の長手方向の一端部がドアサッシュ36の縦辺部36aやドアガラスランと突き合わされて、これらの間の隙間を埋めてフロントドアの下側から車室内への外部騒音の侵入経路を遮断するようになっている。なお、ここでの外部騒音とは、例えば走行中のロードノイズや風切り音等を指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6747999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたインサイドウエザーストリップの端末構造にあっては、前述したように、端末シール部37がインサイドウエザーストリップ31の上段のガラスシールリップ32aの端部外面と前記嵌合部34の端部外面などにわたって設けられていることから、インサイドウエザーストリップ31を、ドアインナーパネル01のウエストフランジ部02に取り付ける際に、端末シール部37の薄肉なリップ37aが外側に捲れ変形してしまう場合がある。
【0008】
すなわち、端末シール部37は、前述のように、上段のガラスシールリップ32a側に設けられていることから、インサイドウエザーストリップ31をドアインナーパネル01のウエストフランジ部02に取り付ける際、つまり、端末シール部37をドアサッシュ36の縦辺部36aに斜めに当接させてからインサイドウエザーストリップ31を水平方向へ押し下げた際に、前記リップ37aが外側に捲れ変形してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、前記従来のインサイドウエザーストリップの端末構造の技術的課題に鑑みて案出されたもので、車室内への外部騒音の侵入を一段と抑制することができるようにしたインサイドウエザーストリップの端末構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両用ドアのうちドアパネルのウエストフランジ部に近接しつつドアウエスト開口部に臨む前記ドアパネルのドアインナーパネルに装着されて、昇降式のドアガラスと摺接すると共に、長手方向の前端および後端のうちいずれか一方の端部が少なくともドアサッシュと突き合わされるインサイドウエザーストリップの端末構造であって、
前記インサイドウエザーストリップは、前記ドアインナーパネルに装着されるベース部と、前記ベース部側から前記ドアガラス側に向かって突出形成された少なくとも上下二段のガラスシールリップと、前記長手方向の端部に型成形によって形成され、前記ドアサッシュと突き合わされる端末シール部を有し、
前記端末シール部は、前記上下二段のガラスシールリップのうち、下段のガラスシールリップの端部側にのみ設けられていると共に、薄肉な基部と、該基部の外周縁に一体に設けられた環状のリップと、を有し、
前記環状のリップは、前記基部の外周縁からほぼ均一でかつ低い突出高さに形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、端末シール部を下段のガラスシールリップ側に設けたことにより、インサイドウエザーストリップの取り付け時における端末シール部の外周部の外側への捲れ変形が抑制される。このため、車室内への外部騒音の侵入を一段と抑制でき、さらなる車室内の静粛性向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るインサイドウエザーストリップの端末構造のより具体的な実施の形態を示す図で、自動車のフロントドアを開いた状態を示す説明図である。
図2図1のA線に沿った拡大矢視図である。
図3】本実施形態に供されるインサイドウエザーストリップを端末シール部側の背面側から視た斜視図である。
図4】本実施形態に供されるインサイドウエザーストリップを端末シール部側の正面側から視た斜視図である。
図5】ドアインナーパネルに取り付けられた本実施形態のインサイドウエザーストリップの端末シール部がドアサッシュの縦辺部に当接している状態を示す俯瞰図である。
図6】本発明の第2実施形態のインサイドウエザーストリップを端末シール部側から視た斜視図である。
図7】従来のインサイドウエザーストリップを示す図1のA-A線断面図である。
図8】従来のインサイドウエザーストリップを端末シール部側から視た斜視図である。
図9】従来のインサイドウエザーストリップの端末シール部がドアサッシュの縦辺部に当接した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るインサイドウエザーストリップの端末構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は自動車のフロントドア(以下、単にドアと言う。)を開いた状態を示している。このドア1は、周知のように共にドアパネルであるドアアウターパネルとドアインナーパネルとをヘミング結合等により一体化したものであって、ドアウエスト開口部2から下側のドア本体3と、ドアウエスト開口部2から上側のアーチ状のドアサッシュ4と、で構成されている。なお、ドアウエスト開口部2とは、ドア本体3の上端において、後述するドアインナーパネル12のウエストフランジ部12aと図外のドアアウターパネルのウエストフランジ部とで形成された開口部であって、後述するドアガラス6が臨んでいる部分をいう。また、ドアサッシュ4は、ドア閉時に車体ルーフ部からフロントピラーに沿う形となる上辺部4aと、ドア閉時にセンターピラーに沿うかたちとなる後側の縦辺部4bと、から構成される。
【0015】
ドアサッシュ4の内周には、ドアグラスラン7が装着されていて、このドアグラスラン7にドアガラス6が昇降可能に案内支持されている。
【0016】
なお、ドア本体3の内側(室内側の面)には、表面に所定の加飾が施された樹脂製のドアトリム(内張り)8が装着されている。また、ドア本体3およびドアサッシュ4を含むドア1の室内側の周縁部には、中空ゴム紐状をなすドアウエザーストリップ9が閉ループ状に装着されている。そして、周知のように、ドア閉時にドアウエザーストリップ9が車体側のドア開口部周縁に弾接することで車室内外がシールされる。これにより、気密性、水密性および遮音性等が確保される。
【0017】
図2図1のA線に沿った拡大矢視図、図3は本実施形態に供されるインサイドウエザーストリップを端末シール部側の背面側から視た斜視図、図4は本実施形態に供されるインサイドウエザーストリップを端末シール部側の正面側から視た斜視図、図5はドアインナーパネルに取り付けられた本実施形態のインサイドウエザーストリップの端末シール部がドアサッシュの縦辺部に当接している状態を示す俯瞰図である。
【0018】
図1に示すように、ドアサッシュ4の後側の縦辺部4bは、例えばロールフォーミング等により中空閉断面形状の本体部に隣接して凹形状のグラスラン受容部が一体に形成されたものであって、図1に示したドアウエスト開口部2よりも下側の部分において溶接等によりドア本体3に不離一体に固定されている。そして、グラスラン受容部には、前記ドアグラスラン7が嵌合保持されている。
【0019】
ドアグラスラン7は、例えばEPDMその他の樹脂系あるいはゴム系の弾性体により形成されていると共に、断面略コ字状をなし、その開口縁に内側に向けて左右一対のシールリップが突出形成されている。そして、それら一対のシールリップ同士の間にドアガラス6を受容するようになっている。
【0020】
図1に示したドアウエスト開口部2では、図2に示すように、該ドアウエスト開口部2を形成しているドアインナーパネル12側のウエストフランジ部12aが起立形成されていて、このウエストフランジ部12aの内側(室外側)にドアトリム8側の端末フランジ部8aが近接するように配置されている。つまり、ドアウエスト開口部2にドアトリム8側の端末フランジ部8aが臨んでいる。
【0021】
そして、ドアインナーパネル12のウエストフランジ部12aには、EPDMその他の樹脂系あるいはゴム系の弾性体によりなるインサイドウエザーストリップ13が取り付けられている。ウエストフランジ部12aは、ドアウエスト開口部2の全長に及んでいるのに対して、インサイドウエザーストリップ13は、長手方向の一端部である後端部13aが後述する端末シール部20を介してドアウエスト開口部2のうちドアサッシュ4の後側の縦辺部4bの対向面とドアグラスラン7の一部に突き合わされている一方、他端部である前端部13bがドアサッシュ4の前側の下端部やドアグラスラン7の一部に突き合わされている。
【0022】
前記インサイドウエザーストリップ13は、図2図4に示すように、板状のベース部14と、このベース部14からドアガラス6側に向かって斜め上向きに突出形成された互いに平行な上下二段のガラスシールリップ15,16と、ベース部14の下端部から上下二段のガラスシールリップ15,16とは反対向きに突出形成された取付基部17と、該取付基部17の車外側の一側壁17aとベース部14との間に設けられた嵌合部18と、を備えている。インサイドウエザーストリップ13は、長手方向で均一断面形状のものとして押出成形法により成形されている。
【0023】
インサイドウエザーストリップ13の上下二段のガラスシールリップ15,16は、ほぼ平坦な襞状に形成され、ベース部14の室内側側面から斜め上方に向けて突出している。また、この両ガラスシールリップ15,16は、横断面形状がほぼ同じに形成され、外面にシリコーン系樹脂材やフッ素系樹脂材またはパイルなどからなる低摩擦材層19a、19bで被覆されており、これらがドアガラス6の内外面に弾接して、ドアガラス6の昇降動作時には当該ドアガラス6と相対摺動しつつその昇降動作を許容することになる。
【0024】
前記取付基部17は、逆U字形状に形成されて車外側の一側壁17aと車内側の他側壁17bと、該両側壁17a、17bの上端縁を連結する上壁17cと、を有しており、前記他側壁17bの内面には、上下3段の保持リップ17dが上壁17cに向かって傾斜状に突出形成されている。また、この取付基部17は、内部に前記ドアインナーパネル12のウエストフランジ部12aが係合し、つまり、前記各保持リップ17dと一側壁17aとの間にウエストフランジ部12aが挟持状態に係合してインサイドウエザーストリップ13の全体がウエストフランジ部12aに取り付け固定されるようになっている。
【0025】
また、取付基部17の一側壁17aは、図3にも示すように、長手方向の一端部が他側壁17bの長手方向の一端部よりも延出して形成されて、インサイドウエザーストリップ13をウエストフランジ部12aに取り付けた際に、一側壁17aの一端部の外面17eが縦辺部4bの対向面に当接(突き合わせ)して位置決め機能を発揮するようになっている。
【0026】
前記嵌合部18は、ベース部14と取付基部17の一側壁17aとの間にU字形状に形成されて、前記ドアトリム8の端末フランジ部8aが上方から嵌合している。
【0027】
なお、図2中、21は車外側のドアアウターパネル22に設けられたアウトサイドウエザーストリップであって、前記インサイドウエザーストリップ13と協働して上下二段のガラスシールリップ21a、21bを介してドアガラス6の内外面を上下方向へ摺動案内しつつシールするようになっている。
【0028】
そして、インサイドウエザーストリップ13の長手方向の後端部13aには、端末シール部20が設けられている。この端末シール部20は、予め押出成形によって形成された前記インサイドウエザーストリップ13の長手方向の後端部13aに例えばEPDMその他の樹脂系あるいはゴム系の材料により型成形によって一体に設けられている。
【0029】
この端末シール部20は、薄肉な基部20aと、該基部20aの外周縁に一体に設けられたリップ20bと、を有し、インサイドウエザーストリップ13の上下二段のガラスシールリップ15,16のうち、下段のガラスシールリップ16の長手方向の一端部(後端部)外面とベース部14の下端部外面及び嵌合部18の底壁18aの端部外面まで連続して設けられている。
【0030】
換言すれば、端末シール部20は、上下二段のガラスシールリップ15,16のうち上段のガラスシールリップ15の後端部には設けられず、下段のガラスシールリップ16の長手方向の一端部の外面とベース部14の下端部外面及び嵌合部18の底壁18aの端部外面に倣って連続的に設けられ、これらの各外面全体を覆う形で形成されている。
【0031】
また、この端末シール部20は、基部20aや環状のリップ20bがインサイドウエザーストリップ13の後端部13aから所定長さで突出形成されている。この端末シール部20の基部20aは、突出量は数ミリ程度であって、縦辺部4bの対向面に突き合わされた際に、上段のガラスシールリップ15の端面と段差が生じない程度の大きさに設定されている。また、薄肉なリップ20bは、自由に撓み変形可能であって、縦辺部4bの対向面やグラスランの一部の対向面に馴染んだ形で当接するようになっている。
〔本実施形態の端末シール部による作用効果〕
以下、インサイドウエザーストリップ13の端末シール部20による作用効果について説明する。
【0032】
端末シール部20を一体に有するインサイドウエザーストリップ13を、ドアインナーパネル12のウエストフランジ部12aに取り付けるには、インサイドウエザーストリップ13全体を手で持って、インサイドウエザーストリップ13の長手方向の後端部13a側を下方へ傾斜状に降ろした状態で取付基部17をウエストフランジ部12aに係合させつつドアサッシュ4の縦辺部4b方向へスライド移動させる。
【0033】
これによって、端末シール部20は、上端部が縦辺部4bとドアグラスラン7の一部に突き当てられ、その後、インサイドウエザーストリップ13全体を押し下げて取付基部17をウエストフランジ部12aに係合させ、インサイドウエザーストリップ13全体をウエストフランジ部12aに取り付ける。
【0034】
このとき、図5に示すように、端末シール部20は、取付基部17の一側壁17aの一端部の外面17eが縦辺部4bの対向面に突き当たって位置決めされる。同時に、端末シール部20の基部20aとリップ20bが、図5の網掛けで示すように、縦辺部4bの対向面やグラスランの一部に長手方向から突き合わされて密着状態になる。
【0035】
そして、端末シール部20を下段のガラスシールリップ16側に設けたことによって、前述のインサイドウエザーストリップ13の取り付け時における端末シール部20の上端部が外側へ捲れ変形することが無くなる。つまり、端末シール部20は、下段のガラスシールリップ16側に設けられていることから、上端部の外側への捲れ変形がなくなり隙間の発生を防止できる。この結果、ドア本体3内から車室内への外部騒音の侵入を抑制でき、さらなる車室内の静粛性向上に寄与することができる。
【0036】
また、前述のように、端末シール部20は、下段のガラスシールリップ16側に設けられているので外部に露出することがなく、外部からは視認できないことから外観品質の低下を抑制できる。
【0037】
つまり、前記従来の技術では、端末シール部が上側のガラスシールリップ側に設けられていることから外部に露出して外観品質が低下するおそれがあるが、本実施形態では、端末シール部20が外部に露出しないので、外観品質の低下を抑制できるのである。
【0038】
さらに、従来の技術では、インサイドウエザーストリップの車体への取り付け時に、インサイドウエザーストリップの端部に設けられたシールリップによって位置決めを行っていた。しかし、本実施形態では、シールリップを廃しして取付基部17の一側壁17aによって長手方向の位置決めを行うようにしたことから、前述したシールリップの捲れによる位置決めの節度感の低下を抑制でき、安定かつ節度感のある位置決めが可能になった。
〔第2実施形態〕
は本発明の第2実施形態を示し、端末シール部20の形成範囲を第1実施形態のものから取付基部17の一側壁17a側へさらに広げたものである。
【0039】
すなわち、端末シール部20は、下段のガラスシールリップ16の端部から前記嵌合部18の底壁18aの端部、さらには取付基部17の一側壁17aの長手方向一端部の外面17eの上方向まで延びてこれら端部全体を覆う形で設けられている。
【0040】
したがって、この実施形態によれば、端末シール部20による第1実施形態の作用効果の他に、該端末シール部20を取付基部17の一側壁17aの外面17eの上方向まで延長したことによって、インサイドウエザーストリップ13の取り付け後における端末シール部20の縦辺部4bに対する接触面積が大きくなって、シール性能のさらなる向上が図れると共に、ドア本体3内から車室内への外部騒音の侵入をさらに効果的に抑制でき、さらなる車室内の静粛性を得ることが可能になる。
【0041】
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、インサイドウエザーストリップ13の前端部13bにも各実施形態と同じ端末シール部20を設けることも可能である。また、端末シール部20は、その突出量や形成範囲をインサイドウエザーストリップ13の仕様や大きさ、形状などに応じて任意に変更することが可能である。
【0042】
また、インサイドウエザーストリップ13は、その横断面形状が前記第1、第2実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、取付基部17や嵌合部18の形成位置や構造などを変更することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…フロントドア
2…ドアウエスト開口部
3…ドア本体
4…ドアサッシュ
6…ドアガラス
8…ドアトリム
8a…端末フランジ部
11…ドアグラスラン
12…ドアインナーパネル
12a…ウエストフランジ部
13…インサイドウエザーストリップ
13a…後端部(一端部)
13b…前端部(他端部)
14…ベース部
15…上段のガラスシールリップ
16…下段のガラスシールリップ
17…取付基部
17a…一側壁
17b…他側壁
17e…一側壁の一端部の外面
18…嵌合部
18a…底壁
20…端末シール部
20a…基部
20b…リップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9