(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】ウイルスの製造
(51)【国際特許分類】
C12N 7/02 20060101AFI20250127BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20250127BHJP
C12M 1/12 20060101ALN20250127BHJP
【FI】
C12N7/02
C12M1/00 D
C12M1/12
(21)【出願番号】P 2021528362
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2019062643
(87)【国際公開番号】W WO2020106975
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521244488
【氏名又は名称】カリヴィル イムノセラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ポール アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ワック, ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミンルイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスール, ジャッキー
(72)【発明者】
【氏名】ホリー, スーザン ニコル
(72)【発明者】
【氏名】レンショー, オーガスト アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジュー, グワンユー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンデル, ミシェル キャサリン
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521353(JP,A)
【文献】特表2010-526546(JP,A)
【文献】特開2008-067720(JP,A)
【文献】BMC Proceedings,2013, Vol.7, Suppl.6, #P60, pp.1-3
【文献】Journal of Virological Methods,2017, Vol.243, pp.68-73
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 7/00
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造方法であって、組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を生産するために、バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させることを含み、前記複数のウイルス感染宿主細胞は、約0.0001~約0.01PFU/細胞の感染多重度(m.o.i)でウイルスに感染しており、前記バイオリアクターが約0.2m
2から約500m
2の表面積を含み、前記バイオリアクターが固定床を含
み、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が、約50%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含み、組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団が、10μg/l×10
9
PFU未満の宿主細胞タンパク質および300ng/l×10
9
PFU未満の宿主細胞DNAを含む、方法。
【請求項2】
前記固定床がマイクロキャリアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定床が約0.01Lから約25L、または約20Lから約100Lの体積を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記固定床が少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のウイルス感染宿主細胞が、前記バイオリアクター中に少なくとも約1,000細胞/cm
2から約150,000細胞/cm
2の密度で播種される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物を約24時間から約96時間成長させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が約32℃から約38℃の温度で維持される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が約7.0から約7.5のpHで維持される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アルカリ性緩衝液中でインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
細胞デブリを分解するための酵素とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記インキュベートすることの間の前記酵素の濃度が約50IU/mLから約200IU/mLである、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記インキュベートすることが約2時間から約8時間行われる、請求項
9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インキュベートすることが約22℃から約28℃の温度で行われる、請求項
9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
細胞デブリを分解するための前記酵素がベンゾナーゼ(登録商標)を含む、請求項
10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アルカリ性緩衝液がトリス緩衝液を含む、請求項
9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、およびベロ細胞からなる群から選択される、請求項1から
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスが組換え腫瘍溶解性ポックスウイルスを含む、請求項1から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
濾過した溶解物を生成するための濾過をさらに含む、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物を生成するために、前記濾過した溶解物の1つ以上のタンジェンシャルフロー濾過工程を実施することをさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のタンジェンシャルフロー濾過工程の後に1.2μm濾過をさらに含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
精製された組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団が、前記溶解物中に組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団の少なくとも約50%~約90%を含む、請求項
19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年11月21日に出願された米国特許仮出願第62/770,577号に基づく利益を主張し、この出願はその全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
ウイルスは、多くの分野、例えば治療法、例えば腫瘍溶解性療法における使用が認められ得る。腫瘍溶解性ウイルスは、多くのタイプのがんの処置に大いに有望である。多くの場合では、天然に存在するウイルスの遺伝子工学を介して生成された組換え腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞を根絶するための有効なツールであることが証明されている。しかし、腫瘍溶解性ウイルスの治療適用は、多くの側面において高水準の要件を有する。例えば、臨床的に適用可能なウイルスは高純度であることが必要とされる場合がある。また治療効果を得るために高力価のウイルスが必要とされる場合がある。更に、治療適用のためにウイルス生産をどのようにスケールアップするかも依然として大きな課題のままである。したがって、ウイルスを製造する改善された方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
一態様では、本開示は:バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させて、1宿主細胞あたり少なくとも約50プラーク形成単位(PFU)から約350PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含む製造方法を提供する。
【0004】
一態様では、本開示は(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させること;および(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記回収することが、前記培養物を溶解して、組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団を含む溶解物を生産することを含むこと、および(iii)前記溶解物を清澄化して、精製された組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を生産することであって、精製された組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団が、前記溶解物中に前記集団組換え腫瘍溶解性ウイルスの少なくとも約50%から約90%を含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含む製造方法を提供する。
【0005】
一態様では、本開示は:バイオリアクター中で成長させた複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×1011から約5×1013PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含む製造方法を提供する。
【0006】
一態様では、本開示は:バイオリアクター中で成長させた複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、前記培養物1mLあたり約1.5×108から約2×1010PFUのウイルス力価を含むことを含み、バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含む製造方法を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させること;および(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することがアルカリ性条件で行われる製造方法を提供する。
【0008】
一態様では、本開示は、バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させて、組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を生産することであって、前記複数のウイルス感染宿主細胞が約0.0001から約0.01PFU/細胞の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染していることを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含む製造方法を提供する。
【0009】
一態様では、本開示は、(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させることであって、前記複数のウイルス感染宿主細胞が、約0.0001から約0.01の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染していること、(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×1011から約5×1013PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含む製造方法を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、前記バイオリアクターは固定床を含む。一部の実施形態では、前記固定床はマイクロキャリアを含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.01Lから約25Lの体積を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約96g/Lの圧縮密度を含む。
【0011】
一部の実施形態では、前記複数のウイルス感染宿主細胞は、前記バイオリアクター中に少なくとも約1,000細胞/cm2から約150,000細胞/cm2の密度で播種される。一部の実施形態では、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物は約24時間から約96時間成長させる。一部の実施形態では、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物は約48時間から約72時間成長させる。一部の実施形態では、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物は少なくとも約20%から約100%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む。一部の実施形態では、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物は約32℃から約38℃の温度で維持される。一部の実施形態では、前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物は約7.0から約7.5のpHで維持される。一部の実施形態では、前記複数のウイルス感染細胞は、約0.0005から約0.2の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染している。
【0012】
一部の実施形態では、方法は、アルカリ性緩衝液中でインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、細胞デブリを分解するための酵素とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む。一部の実施形態では、方法は細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む。一部の実施形態では、前記回収することは、アルカリ性緩衝液中でインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む。一部の実施形態では、前記回収することは、細胞デブリを分解するための酵素とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む。一部の実施形態では、前記回収することは、細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む。一部の実施形態では、前記インキュベート中の前記酵素の濃度は、約50IU/mLから約200IU/mLである。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは約2時間から約8時間行われる。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは約22℃から約28℃の温度で行われる。一部の実施形態では、細胞デブリを分解するための前記酵素はベンゾナーゼ(登録商標)を含む。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は8を超えるpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は8.0を超えるpHから約10.0のpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は約9.5のpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液はトリス緩衝液を含む。一部の実施形態では、方法は前記インキュベート中のpHをモニタリングすることを更に含む。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、濾過を行って、濾過した溶解物を生成することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、細胞デブリを分解するための酵素で前記濾過した溶解物を処理することを更に含む。一部の実施形態では、前記処理することはアルカリ性条件で行われる。一部の実施形態では、前記処理することは約10時間から約24時間行われる。一部の実施形態では、前記処理することに続いて前記濾過した溶解物のタンジェンシャルフロー濾過が行われて、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物が生成される。一部の実施形態では、前記タンジェンシャルフロー濾過は、前記濾過した溶解物を濃縮することを含み、続いて透析濾過の少なくとも1巡目および2巡目が行われる。一部の実施形態では、透析濾過の前記1巡目は、約7.0から約7.5のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記1巡目は、約10倍体積の前記緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、約7.0から約7.5のpHを構成する前記緩衝液は、約15mMから約40mMのトリス濃度を含む。一部の実施形態では、約7.0から約7.5のpHを構成する前記緩衝液は、少なくとも約5体積%から少なくとも約20体積%のスクロースを更に含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記2巡目は、7.5を超えるpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記2巡目は、7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液との約6倍体積の前記緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液は、約10mMから約30mMのトリス濃度を含む。一部の実施形態では、7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液は、少なくとも約5体積%から少なくとも約10体積%のスクロースを更に含む。
【0014】
一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約5ngから約100ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約0.1μgから約10μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記単位用量は、約1×109から約1×1013PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり、最大約400ng、約200ng、約100ng、約50ng、または約40ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス1×109PFUのあたり、最大約80ng、約40ng、約20ng、約10ng、または約8ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり、最大約7.5μg、約7μg、約6μg、約5μg、または約4μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス1×109PFUあたり、最大約1.5μg、約1.4μg、約1.2μg、約1μg、または約0.8μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり、最大約100ng、約60ng、約50ng、約30ng、または約25ngの、前記培養物中において使用される血清アルブミンを含む。
【0015】
一部の実施形態では、前記宿主細胞は、HeLa細胞、293細胞、およびベロ細胞からなる群から選択される。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスは組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む。
【0016】
一態様では、本開示は、本明細書において記載する方法によって生産される組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を含む組成物を提供する。
【0017】
一態様では、本開示は、1宿主細胞あたり少なくとも約50PFUから約350PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む宿主細胞の培養物を含むバイオリアクターを提供する。
【0018】
一部の実施形態では、バイオリアクターは固定床を含み、前記固定床は宿主細胞の前記培養物を含む。一部の実施形態では、宿主細胞の前記培養物は、前記固定床内のマイクロキャリア中で増殖される。一部の実施形態では、バイオリアクターは宿主細胞の前記培養物を含み、前記培養物は約1,000細胞/cm2前記固定床から約10,000細胞/cm2前記固定床の宿主細胞密度を含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.01Lから約25Lの体積を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.2m2から約500m2の表面積を含む。
【0019】
一態様では、本開示は、約1.5×1011から約5×1013PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むバイオリアクターを提供する。一部の実施形態では、バイオリアクターは固定床を含み、前記固定床は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む培養物を含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.01Lから約25Lの体積を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.2m2から約500m2の表面積を含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスは組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む。
【0020】
一態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×1011から約5×1013PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することがアルカリ性条件で行われる方法を提供する。
【0021】
一部の実施形態では、前記バイオリアクターは固定床を含む。一部の実施形態では、前記固定床はマイクロキャリアを含む。一部の実施形態では、前記固定床は約0.01Lから約25Lの体積を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む。一部の実施形態では、前記固定床は少なくとも約96g/Lの圧縮密度を含む。一部の実施形態では、前記宿主細胞は、前記バイオリアクター中に少なくとも約1,000細胞/cm2から約150,000細胞/cm2の密度で播種される。一部の実施形態では、前記更なる培養物は、少なくとも約20%から約100%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む。一部の実施形態では、前記更なる培養物は約50%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む。一部の実施形態では、前記更なる培養物は約32℃から約38℃の温度で維持される。一部の実施形態では、前記更なる培養物は約36℃の温度で維持される。一部の実施形態では、前記更なる培養物は約7.0から約7.5のpHで維持される。一部の実施形態では、前記更なる培養物は約7.2のpHで維持される。一部の実施形態では、前記回収することは、細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む。一部の実施形態では、前記インキュベート中の細胞デブリを分解するための前記酵素の濃度は、約50IU/mLから約200IU/mLである。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは約22℃から約28℃の温度で行われる。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは、約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、または最大約30℃の温度で行われる。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは約25℃の温度で行われる。一部の実施形態では、前記インキュベートすることは約27℃の温度で行われる。一部の実施形態では、細胞デブリを分解するための前記酵素はベンゾナーゼ(登録商標)を含む。一部の実施形態では、細胞デブリを分解するための前記細胞酵素はベンゾナーゼ(登録商標)を含み、前記インキュベートすることは、前記ベンゾナーゼ(登録商標)の存在下、約150IU/mLの濃度、約27℃の温度で約5時間行われる。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は8を超えるpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は8.0を超えるpHから約10.0のpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液は約9.5のpHを構成する。一部の実施形態では、前記アルカリ性緩衝液はトリス緩衝液を含む。
【0022】
一部の実施形態では、方法は、前記インキュベート中のpHをモニタリングすることを更に含む。
【0023】
一部の実施形態では、方法は、濾過を行って、濾過した溶解物を生成することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、前記濾過した溶解物を細胞溶解酵素で処理することを更に含む。一部の実施形態では、前記処理することはアルカリ性条件で行われる。一部の実施形態では、前記処理することは約10時間から約24時間行われる。一部の実施形態では、前記処理することは約4℃の温度で約18時間行われる。一部の実施形態では、前記処理することに続いて、前記濾過した溶解物のタンジェンシャルフロー濾過が行われて、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物が生成される。一部の実施形態では、前記タンジェンシャルフロー濾過は、前記濾過した溶解物を濃縮することを含み、続いて透析濾過の少なくとも1巡目および2巡目が行われる。一部の実施形態では、濃縮の2巡目を行ってもよい。一部の実施形態では、透析濾過の前記1巡目は、約9.0から約9.5のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記1巡目は約20倍体積の前記緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、約9.0から約9.5のpHを構成する前記緩衝液は、約40mMから約100mMのトリス濃度を含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記2巡目は、約7.0から約8.0のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、透析濾過の前記2巡目は約10倍体積の前記緩衝液交換を含む。一部の実施形態では、約7.0から約8.0のpHを構成する前記緩衝液は、約15mMから約30mMのトリス濃度を含む。一部の実施形態では、約7.0から約8.0のpHを構成する前記緩衝液は、少なくとも約5体積%から少なくとも約20体積%のスクロースを更に含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約5ngから約100ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約0.1μgから約10μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記単位用量は、約1×109から約1×1013PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり、最大約400ng、約200ng、約100ng、約50ng、または約40ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス1×109PFUあたり、最大約2000ng、約1000ng、約500ng、約250ng、または約200ngの宿主細胞DNAを含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり最大約7.5μg、約7μg、約6μg、約5μg、または約4μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス1×109PFUあたり、最大約37.5μg、約35μg、約30μg、約25μg、または約20μgの宿主細胞タンパク質を含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×109PFUあたり、最大約100ng、約60ng、約50ng、約30ng、または約25ngの前記培養物中において使用される血清アルブミンを含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約36℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.003PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を、約35℃の温度および約45%の溶存酸素圧レベルで約48時間成長させて複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約8.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約32℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約24時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約8.0のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0027】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物は約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約7.8のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0028】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.005PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0029】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約36℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約1012PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0030】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.003PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約35℃の温度および約45%の溶存酸素圧レベルで約48時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約1012PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約8.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0031】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約32℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約24時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約1012PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約8.0のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0032】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約1012PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約7.8のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0033】
別の態様では、本開示は、組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.005PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約1012PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m2から約500m2の表面積を含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法を提供する。
【0034】
一部の実施形態では、方法は、ステップ(iii)で回収された組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団を精製して、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物を生産することを更に含む。一部の実施形態では、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物は、少なくとも約2×1011から約7×1011PFUのウイルスを含む。
参照による組込み
【0035】
この明細書において言及する全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の文献、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的にかつ個々に示された場合と同じ程度に参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0036】
本開示の新規な特徴を添付の特許請求の範囲に特に記載する。本開示の特徴および利点のより良い理解は、開示の原理が利用される例示の実施形態を示す以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られることになる:
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、例示的なウイルスの製造プロセスのフローチャートである。
【0038】
【
図2】
図2は、例示的なウイルスの製造プロセスのフローチャートである。
【0039】
【
図3】
図3は、例示的なウイルスの製造プロセスのフローチャートである。
【0040】
【
図4】
図4は、例示的なウイルスの製造プロセスのフローチャートである。
【0041】
【
図5】
図5は、例示的なウイルスの製造プロセスのフローチャートである。
【0042】
【
図6】
図6は、ウイルスを製造するための例示的な下流プロセスのフローチャートである。
【0043】
【
図7】
図7は、ウイルスを製造するための例示的な下流プロセスのフローチャートである。
【0044】
【
図8】
図8は、ウイルスを製造するための例示的な下流プロセスのフローチャートである。
【0045】
【
図9】
図9は、ウイルスを製造するための例示的な下流プロセスのフローチャートである。
【0046】
【
図10】
図10は、清澄化プロセスのための例示的な設定の概略図を示す。
【0047】
【
図11】
図11は、TFFおよび透析濾過プロセスのための例示的な設定の概略図を示す。
【0048】
【
図12】
図12は、最終的な濾過プロセスのための例示的な設定の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
ある特定の定義
【0050】
本明細書において使用する専門用語は、特定の場合を記載するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数形を含んでいてもよい。更に、「含む(contains)」、「含んでいる(containing)」、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」という用語、またはこれらの変形が発明を実施するための形態および/または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される範囲で、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の様式で包含的であることを意図する。
【0051】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって判定される特定の値に関する許容される誤差範囲内を意味する場合があり、どのように値が測定されたかまたは判定されたか、例えば測定システムの制限に一部依存することになる。例えば、「約」は、所与の値における慣行に従って1以内または1を超える標準偏差を意味する場合がある。特定の値が本出願および特許請求の範囲において記載される場合、特に記載がない限り、「約」という用語は、特定の値に関して許容される誤差範囲、例えば「約」という用語によって修飾された値の±10%を意味することが仮定されるべきである。
【0052】
「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、区別せずに使用してもよい。いずれの用語も、医療従事者(例えば医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師の助手、オーダリ、またはホスピスワーカー)の監督(例えば継続的または断続的な)によって特徴付けられる状況を必要としたり、限定したりするものではない。一部の実施形態では、患者、対象、または個体は医療従事者監督下にあり得る。
【0053】
「突然変異」という用語は、本明細書で使用される場合、欠失、異種核酸の挿入、反転または置換を指す場合があり、当技術分野において通常理解されるようなオープンリーディングフレーム切断突然変異を含む。
【0054】
「遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、個々のタンパク質またはRNAをコードする核酸のセグメント(「コード配列」または「コード領域」とも称される)を、必要に応じて関連する調節領域、例えば、プロモーター、オペレーター、ターミネーターなどとともに指す場合があり、それは、コード配列の上流または下流に位置していてもよい。
【0055】
「組換えウイルス」および「改変ウイルス」という用語は、本明細書において区別せずに使用され、そのゲノム中に1つまたは複数の突然変異を含むウイルスを指す場合があり、これらに限定されないが、欠失、異種核酸の挿入、逆位、置換またはこれらの組合せを含む。
【0056】
「腫瘍溶解性」という用語は、本明細書で使用される場合、がんまたは腫瘍細胞を殺傷することを指す場合があり、その殺傷は、例えば前記細胞の直接的な溶解を介した薬剤、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスによるもの、前記細胞に対する免疫応答、アポトーシス、毒性タンパク質の発現、オートファジーおよびタンパク質合成のシャットダウン、抗腫瘍免疫の誘導、または任意のこれらの組合せを刺激することによるものである。薬剤、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスによる感染したがんまたは腫瘍細胞の直接的な溶解は、前記細胞内のウイルスの複製の結果であり得る。ある特定の例では、「腫瘍溶解性」という用語は、前記細胞を溶解せずにがんまたは腫瘍細胞を殺傷することを指す。
【0057】
「対象」という用語は、これらに限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含む動物を指す場合がある。「対象」および「患者」という用語は、例えば哺乳動物対象、例えばヒト対象への言及で本明細書において区別せずに使用される。
【0058】
「処置する」、「処置すること」、および「処置」という用語は、障害、疾患、もしくは状態;または障害、疾患、もしくは状態と関連する症状のうちの1つまたは複数を軽減または消失させること;または障害、疾患、または状態自体の原因を軽減または根絶することを含むことを意味する場合がある。処置の望ましい効果としては、これらに限定されるものではないが、疾患の出現または再発を阻止すること、症状を緩和させること、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果を減少させること、転移を阻止すること、疾患の進行速度を減少させること、疾患状況を改善または緩和すること、および予後を寛解または改善することがあり得る。
【0059】
本開示の一態様は、ウイルスを製造するための方法およびシステムを提供する。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、ウイルスの製造において効率的および生産的であり得る。例えば、本明細書において記載する方法およびシステムは、ウイルスを1宿主細胞あたり高力価で生産することができる。本明細書において記載する方法およびシステムは、産業規模で、例えば、1生産サイクルあたり高収率で、例えば、宿主細胞の感染、ウイルス感染細胞の培養から、ウイルスの回収ならびにウイルスの清澄化および精製までのウイルスの生産に適用することができる。本明細書において提供する方法は、限られた量のタンパク質または核酸の混入を含むか、これらを全く含まない高純度のウイルス調製物を生産することができる。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、組換えウイルスの生産に適用することができる。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、腫瘍溶解性ウイルスの生産に適用することができる。
【0060】
本明細書において提供するウイルスを製造する方法は、バイオリアクター中でウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養物を成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、固定床バイオリアクターを使用してウイルス感染宿主細胞を培養してもよい。ウイルスを製造する方法は、宿主細胞に感染させて(接種して)、ウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養物を生成することを含んでいてもよい。ウイルスを製造する方法は、細胞培養物からウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含んでいてもよい。一部の場合では、ウイルスの集団を回収することは、アルカリ性条件で行ってもよい。方法は、回収から得られた細胞溶解物の清澄化および精製を行って、精製したウイルス調製物を生成することを含んでいてもよい。一部の場合では、清澄化および精製は、細胞溶解物を濾過することを含んでいてもよい。一部の場合では、清澄化および精製は、細胞溶解物を、細胞デブリを分解するための酵素で処理し、続いて濾過することを含んでいてもよい。方法はまた、濾過を行って、高純度の濃縮ウイルス調製物を生成することを含んでいてもよい。一部の場合では、濾過はタンジェンシャルフロー濾過を含んでいてもよい。
【0061】
本明細書において提供するウイルスを製造する方法は、(a)複数の宿主細胞を感染させて(接種して)、ウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養物を生成すること;(b)バイオリアクター中でウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養物を成長させること;(c)細胞培養物からウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団をアルカリ性条件で回収すること;および(d)回収から得られた細胞溶解物の清澄化および精製を行って、精製したウイルス調製物を生成することを含んでいてもよい。一部の場合では、清澄化および精製は:(i)細胞デブリを分解するための酵素で細胞溶解物を処理すること;および(ii)処理された細胞溶解物の濾過を行って、高純度の濃縮ウイルス調製物を生成することを含んでいてもよい。
【0062】
本明細書において提供する方法は、細胞培養物を成長させて、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスを、1宿主細胞あたり少なくとも約50PFU(PFU/細胞)、少なくとも約60PFU/細胞、少なくとも約70PFU/細胞、少なくとも約80PFU/細胞、少なくとも約90PFU/細胞、少なくとも約100PFU/細胞、少なくとも約110PFU/細胞、少なくとも約120PFU/細胞、少なくとも約140PFU/細胞、少なくとも約160PFU/細胞、少なくとも約180PFU/細胞、少なくとも約200PFU/細胞、少なくとも約220PFU/細胞、少なくとも約240PFU/細胞、少なくとも約250PFU/細胞、少なくとも約260PFU/細胞、少なくとも約280PFU/細胞、少なくとも約290PFU/細胞、少なくとも約300PFU/細胞、少なくとも約320PFU/細胞、少なくとも約340PFU/細胞、少なくとも約350PFU/細胞、少なくとも約360PFU/細胞、少なくとも約380PFU/細胞、少なくとも約400PFU/細胞、少なくとも約450PFU/細胞、少なくとも約500PFU/細胞、少なくとも約600PFU/細胞、少なくとも約700PFU/細胞、少なくとも約800PFU/細胞、少なくとも約900PFU/細胞、少なくとも約1000PFU/細胞、少なくとも約2000PFU/細胞、または少なくとも約5000PFU/細胞の力価で生産することを含んでいてもよい。一部の場合では、方法は、細胞培養物を成長させて、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスを、約50PFU/細胞から約350PFU/細胞の力価で生産することを含んでいてもよい。一部の場合では、方法は、細胞培養物を成長させて、ウイルスを約100PFU/細胞から約300PFU/細胞、150PFU/細胞から約300PFU/細胞、200PFU/細胞から約300PFU/細胞、250PFU/細胞から約300PFU/細胞、100PFU/細胞から約500PFU/細胞、200PFU/細胞から約500PFU/細胞、250PFU/細胞から約500PFU/細胞、300PFU/細胞から約500PFU/細胞、400PFU/細胞から約500PFU/細胞、100PFU/細胞から約1000PFU/細胞、200PFU/細胞から約1000PFU/細胞、300PFU/細胞から約1000PFU/細胞、400PFU/細胞から約1000PFU/細胞、500PFU/細胞から約1000PFU/細胞、600PFU/細胞から約1000PFU/細胞、700PFU/細胞から約1000PFU/細胞、800PFU/細胞から約1000PFU/細胞、または900PFU/細胞から約1000PFU/細胞の力価で生産することを含んでいてもよい。
【0063】
本明細書において提供する方法は、約1.5×1011から約5×1013PFUのウイルスを含む培養物から、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含んでいてもよい。一部の場合では、方法は、少なくとも約1×1011PFU、少なくとも約1.5×1011PFU、少なくとも約2×1011PFU、少なくとも約2.5×1011PFU、少なくとも約3×1011PFU、少なくとも約4×1011PFU、少なくとも約5×1011PFU、少なくとも約7.5×1011PFU、少なくとも約1×1012PFU、少なくとも約1.5×1012PFU、少なくとも約2×1012PFU、少なくとも約2.5×1012PFU、少なくとも約3×1012PFU、少なくとも約4×1012PFU、少なくとも約5×1012PFU、少なくとも約7.5×1012PFU、少なくとも約1×1013PFU、少なくとも約1.5×1013PFU、少なくとも約2×1013PFU、少なくとも約2.5×1013PFU、少なくとも約3×1013PFU、少なくとも約4×1013PFU、少なくとも約5×1013PFU、少なくとも約7.5×1013PFU、または少なくとも約1×1014PFUのウイルスを含む培養物からウイルスの集団を回収することを含んでいてもよい。一部の場合では、方法は、約1×1011から約1×1014PFU、約5×1011から約1×1014PFU、約1×1012から約1×1014PFU、約5×1012から約1×1014PFU、約1×1013から約1×1014PFU、約5×1013から約1×1014PFU、約1×1011から約5×1013PFU、約2×1011から約5×1013PFU、約5×1011から約5×1013PFU、約1×1012から約5×1013PFU、約2×1012から約5×1013PFU、約5×1012から約5×1013PFU、または約1×1013から約5×1013PFUのウイルスを含む培養物からウイルスを回収することを含んでいてもよい。
【0064】
本明細書において提供する方法は、前記培養物1mLあたり約1.5×108から約2×1010PFU、例えば前記培養物1mLあたり約1.5×108から約5×108PFU/mL、2.5×108から約7.5×108PFU/mL、5×108から約2.5×109PFU/mL、1.5×109から約5×109PFU/mL、2.5×109から約1×1010PFU/mL、5×109から約1.5×1010PFU/mL、または約7.5 x109から約2×1010PFUのウイルス力価で、ウイルスを含む培養物から、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含んでいてもよい。
【0065】
本明細書において提供する方法は、培養物から、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収して、ウイルスの集団を含む溶解物を生産し、溶解物を清澄化して、精製したウイルスの集団を生産することを含んでいてもよく、精製したウイルスの集団は、溶解物中に少なくとも約50%から約90%のウイルスの集団を含んでいてもよい。一部の場合では、精製したウイルスの集団は、細胞培養物中に少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%のウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を含んでいてもよい。一部の場合では、精製したウイルスの集団は、細胞培養物中に約40%から約99%、約50%から約99%、約60%から約99%、約70%から約99%、約80%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%、約40%から約90%、約50%から約90%、約60%から約90%、約70%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%、約40%から約80%、約50%から約80%、約60%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%、約40%から約50%、約40%から約60%、約40%から約70%、約50%から約60%、または約50%から約70%のウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を含んでいてもよい。
【0066】
本明細書において提供する方法は、回収したウイルス溶解物を精製して、ウイルスの精製調製物を生成することを含んでいてもよい。本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、ウイルスの単位用量中に多くとも約2ng、多くとも約3ng、多くとも約4ng、多くとも約5ng、多くとも約6ng、多くとも約7ng、多くとも約8ng、多くとも約9ng、多くとも約10ng、多くとも約11ng、多くとも約12ng、多くとも約13ng、多くとも約14ng、多くとも約15ng、多くとも約16ng、多くとも約17ng、多くとも約18ng、多くとも約19ng、多くとも約20ng、多くとも約21ng、多くとも約22ng、多くとも約23ng、多くとも約24ng、多くとも約25ng、多くとも約28ng、多くとも約30ng、多くとも約50ng、多くとも約75ng、多くとも約100ng、多くとも約500ng、多くとも約750ng、多くとも約1μg、または多くとも約2μgの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、ウイルスの単位用量中に約2ng、約3ng、約4ng、約5ng、約6ng、約7ng、約8ng、約9ng、約10ng、約11ng、約12ng、約13ng、約14ng、約15ng、約16ng、約17ng、約18ng、約19ng、約20ng、約21ng、約22ng、約23ng、約24ng、約25ng、約28ng、約30ng、約50ng、約82mg、約100ng、約200ng、約500ng、約750ng、約1μg、または約2μgの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。一部の場合では、ウイルスの精製調製物中の宿主細胞DNAは、シリカベースのカラムを使用したDNAの抽出および精製、または標準的な方法によるDNAの抽出によって測定してもよい。一部の場合では、ウイルスの精製調製物中の宿主細胞DNAは、QuickExtract(商標)またはQiagen(登録商標)キットを用いたプロセシングの後に、宿主細胞ゲノムに特異的なプローブを備えた定量的リアルタイムPCRによって測定してもよい。本明細書において提供する場合、ウイルスの単位用量は、約0.5×109、約1×109、約2×109、約5×109、約7.5×109、約1×1010、約2×1010、約5×1010、約7.5×1010、約1×1011、約2×1011、約5×1011、約7.5×1011、約1×1012、約2×1012、約5×1012、約7.5×1012、約1×1013、約2×1013、約5×1013、約7.5×1013、約1×1014、約2×1014、約5×1014、約7.5×1014、約1×1015、または約1×1016PFUのウイルスを含んでいてもよい。一部の場合では、ウイルスの単位用量は、約1×109から約1×1013PFUのウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスを含んでいてもよい。一部の場合では、ウイルスの単位用量は、約1×109から約1×1013のウイルス、例えば5×109のウイルスを含んでいてもよい。一部の例では、ウイルスの単位用量は、細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞関連エンベロープウイルス(CEV)および細胞外エンベロープウイルス(EEV)を含んでいてもよい。
【0067】
本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、5×109のウイルスの用量中に多くとも約5ng、多くとも約10ng、多くとも約15ng、多くとも約20ng、多くとも約25ng、多くとも約28ng、多くとも約30ng、多くとも約33ng、多くとも約35ng、多くとも約40ng、多くとも約45ng、多くとも約50ng、多くとも約80ng、多くとも約100ng、多くとも約150ng、多くとも約200ng、多くとも約250ng、多くとも約300ng、多くとも約400ng、または多くとも約500ngの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、5×109のウイルスの用量中に約5ng、約10ng、約15ng、約20ng、約25ng、約28ng、約30ng、約33ng、約35ng、約40ng、約45ng、約50ng、約80ng、約100ng、約150ng、約200ng、約250ng、約300ng、約400ng、約500ng、約1μg、約1.5μg、約2μg、約3μg、または約5μgの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、1×109のウイルスの用量中に多くとも約1ng、多くとも約2ng、多くとも約3ng、多くとも約4ng、多くとも約5ng、多くとも約5.6ng、多くとも約6ng、多くとも約6.6ng、多くとも約7ng、多くとも約8ng、多くとも約9ng、多くとも約10ng、多くとも約16ng、多くとも約20ng、多くとも約30ng、多くとも約40ng、多くとも約50ng、多くとも約60ng、多くとも約80ng、または多くとも約100ng、約0.2μg、約0.3μg、約0.4μg、または約1μgの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、1×109のウイルスの用量中に約51ngの宿主細胞DNAを含んでいてもよい。
【0068】
本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、ウイルスの単位用量中に多くとも約0.1μg、多くとも約0.2μg、多くとも約0.3μg、多くとも約0.4μg、多くとも約0.5μg、多くとも約0.6μg、多くとも約0.7μg、多くとも約0.8μg、多くとも約0.9μg、多くとも約1μg、多くとも約1.1μg、多くとも約1.2μg、多くとも約1.3μg、多くとも約1.4μg、多くとも約1.5μg、多くとも約2μg、多くとも約5μg、多くとも約7.5μg、多くとも約10μg、多くとも約20μg、多くとも約30μg、多くとも約50μg、または多くとも約100μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、ウイルスの単位用量中に約0.1μg、約0.2μg、約0.3μg、約0.4μg、約0.5μg、約0.6μg、約0.7μg、約0.8μg、約0.9μg、約1μg、約1.1μg、約1.2μg、約1.3μg、約1.4μg、約1.5μg、約2μg、約5μg、約7.5μg、約10μg、約20μg、または約30μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約0.1μgから約7.5μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、宿主細胞タンパク質の含有量は、1つまたは複数の宿主細胞タンパク質を標的とするELISA(酸素結合免疫吸着アッセイ)によって判定される。
【0069】
一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、5×109のウイルスの用量中に多くとも約0.1μg、多くとも約0.5μg、多くとも約1μg、多くとも約1.5μg、多くとも約2μg、多くとも約2.5μg、多くとも約3μg、多くとも約3.5μg、多くとも約4μg、多くとも約4.5μg、多くとも約5μg、多くとも約5.5μg、多くとも約6μg、多くとも約6.5μg、多くとも約7μg、多くとも約7.5μg、多くとも約10μg、または多くとも約20μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、5×109のウイルスの用量中に約0.1μg、約0.5μg、約1μg、約1.5μg、約2μg、約2.5μg、約3μg、約3.5μg、約4μg、約4.5μg、約5μg、約5.5μg、約6μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約10μg、または約20μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、1×109のウイルスの用量中に約0.02μg、多くとも約0.1μg、多くとも約0.2μg、多くとも約0.3μg、多くとも約0.4μg、多くとも約0.5μg、多くとも約0.6μg、多くとも約0.7μg、多くとも約0.8μg、多くとも約0.9μg、多くとも約1μg、多くとも約1.1μg、多くとも約1.2μg、多くとも約1.3μg、多くとも約1.4μg、多くとも約1.5μg、多くとも約2μg、または多くとも約4μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法に従って生成されたウイルスの精製調製物は、5×109のウイルスの用量中に約0.02μg、約0.1μg、約0.2μg、約0.3μg、約0.4μg、約0.5μg、約0.6μg、約0.7μg、約0.8μg、約0.9μg、約1μg、約1.1μg、約1.2μg、約1.3μg、約1.4μg、約1.5μg、約2μg、または約4μgの宿主細胞タンパク質を含んでいてもよい。
【0070】
ウイルス
【0071】
本明細書において提供する方法およびシステムは、さまざまな異なるウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスの製造に適用可能であり得る。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、ワクシニアウイルス、例えば、組換えワクシニアウイルスの製造に適用可能であり得る。
【0072】
本明細書において提供する方法およびシステムが適用可能である例示的な腫瘍溶解性ウイルスとしては、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水胞性口内炎ウイルス、レオウイルス、ニューカッスル疾患ウイルス、セネカウイルス、レンチウイルス、メンゴウイルス、および粘液腫ウイルスがある。ある特定の例では、腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスであってもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法およびシステムは、ワクシニアウイルスの異なる株のバリアント、例えば、Lister、Dryvax、EM63、ACAM2000、改変ワクシニアアンカラ(Vaccinia Ankara)、LC16m8、CV-1、ウェスタンリザーブ(Western Reserve)、コペンハーゲン(Copenhagen)、コントーノラボラトリー(Connaught Laboratories)、ワイス(Wyeth)、NYCBH、WRΔE3L、および大連I(Dairen I)に適用可能であり得る。本明細書において提供する方法が適用可能であるウイルスは、遺伝的改変、例えば、1つもしくは複数のウイルス性内因性遺伝子の欠失もしくは突然変異、または外因性ウイルスの導入を含んでいてもよい。一部の例では、ウイルスは組換えワクシニアウイルスであってもよい。一部の場合では、組換えワクシニアウイルスは、ウイルスのゲノム中に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20個の、または更にそれを超える改変を含んでいてもよい。ウイルス遺伝子の欠失としては、ウイルス遺伝子の部分的なまたは完全な欠失があり得る。本明細書で使用される場合、「部分的な欠失」または「突然変異」は、内因性ウイルス遺伝子のin situでの部分的な欠失または突然変異をそれぞれ指す場合がある点に留意するべきである。あるいは、それらは、内因性ウイルス遺伝子を、遺伝子の一部を欠いている(「部分的な欠失」)または遺伝子に1つまたは複数のヌクレオチドの変化を有する(「突然変異」)他の同一の外因性核酸で置き換えることを指す場合がある。
【0073】
一部の場合では、本明細書において開示される方法によって製造することができるウイルスは、1つまたは複数の遺伝的改変を含むワクシニアウイルスであってもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼ陰性、C12L(IL18結合タンパク質)ウイルス遺伝子欠失、TRIF遺伝子挿入、HPGD遺伝子挿入であるように、および表面グリコシル化が減少するように、TK(チミジンキナーゼ)ウイルス遺伝子突然変異を含んでいてもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、以下の遺伝子操作された改変:(i)C12L(IL18結合タンパク質)ウイルス遺伝子欠失;(ii)TRIF遺伝子挿入;または(iii)HPGD遺伝子挿入のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、表面グリコシル化の減少を含んでいてもよい。一部の場合では、表面グリコシル化の減少は、ウイルス表面のシアリル化の減少であってもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、改変ワクシニアウイルスと比較してグリコシル化レベルが減少していてもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、本明細書において記載する製造プロセス中または後に、ただし宿主に投与する前に、グリコシル化(例えば、シアリル化)の量を減少させる薬剤で処理してもよい。一部の場合では、ワクシニアウイルスは、A34R Lysl51からGluの突然変異;B5Rの完全なまたは部分的な欠失;A36Rの突然変異/欠失、および/またはA56Rの突然変異/欠失の群から選択される1つまたは複数の改変を更に含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、ワクシニアウイルスは、B5Rの完全なまたは部分的な欠失を含む脱グリコシル化VVであってもよい。
【0074】
任意の好適な宿主細胞を、本開示に従ってウイルスを製造するために選択してもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法において使用する宿主細胞は、付着細胞であってもよい。他の場合では、宿主細胞は懸濁液中で培養してもよい。一部の場合では、宿主細胞は、確立された細胞系、例えばこれらに限定されないが、ヒト胚腎臓(HEK)細胞、例えばHEK293細胞、アフリカミドリサル腎臓(AGMK)細胞、例えばベロ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、およびHela細胞からサブ培養してもよい。一部の場合では、宿主細胞はHela細胞であってもよい。一部の場合では、宿主(hots)細胞は、遺伝子改変細胞、例えば、1つもしくは複数の外因性遺伝子の導入、または1つもしくは複数の内因性遺伝子の欠失もしくは突然変異によって遺伝子改変することができるHela細胞であってもよい。一部の場合では、宿主細胞は、生物、例えばヒトから得られた初代細胞であってもよい。一部の場合では、宿主細胞は、無制限に継代培養(またはサブ培養)することができる不死化細胞であってもよい。
【0075】
一部の例では、本明細書において提供する方法は、宿主細胞をウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスに直接感染させることを含んでいてもよい。例えば、宿主細胞はウイルスに直接接触させて、感染させてもよい。一部の場合では、ウイルスは宿主細胞の培養培地に添加して、接種してもよい。一部の場合では、宿主細胞は、少なくとも約0.0005、少なくとも約0.00075、少なくとも約0.001、少なくとも約0.0015、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、少なくとも約0.005、少なくとも約0.0075、少なくとも約0.01、少なくとも約0.015、少なくとも約0.02、少なくとも約0.025、少なくとも約0.03、少なくとも約0.035、少なくとも約0.04、少なくとも約0.045、少なくとも約0.05、少なくとも約0.075、少なくとも約0.1、少なくとも約0.15、少なくとも約0.2、少なくとも約0.25、少なくとも約0.3、少なくとも約0.35、少なくとも約0.4、少なくとも約0.45、または少なくとも約0.5PFU/細胞の感染多重度(m.o.i.)でウイルスによって感染させてもよい。一部の場合では、感染多重度は、感染のために使用したウイルスのプラーク形成単位を宿主細胞の数で割ったものとして計算してもよい。一部の場合では、宿主細胞は、多くとも約0.0005、多くとも約0.00075、多くとも約0.001、多くとも約0.0015、多くとも約0.002、多くとも約0.003、多くとも約0.005、多くとも約0.0075、多くとも約0.01、多くとも約0.015、多くとも約0.02、多くとも約0.025、多くとも約0.03、多くとも約0.035、多くとも約0.04、多くとも約0.045、多くとも約0.05、多くとも約0.075、多くとも約0.1、多くとも約0.15、多くとも約0.2、多くとも約0.25、多くとも約0.3、多くとも約0.35、多くとも約0.4、多くとも約0.45、または多くとも約0.5PFU/細胞のm.o.i.でウイルスによって感染されてもよい。一部の場合では、約0.0005、約0.00075、約0.001、約0.0015、約0.002、約0.003、約0.005、約0.0075、約0.01、約0.015、約0.02、約0.025、約0.03、約0.035、約0.04、約0.045、約0.05、約0.075、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、または約0.5PFU/細胞のm.o.i.でウイルスによって感染させてもよい。一部の場合では、宿主細胞は、約0.001から約0.02PFU/細胞のm.o.i.でウイルスによって感染させてもよい。
【0076】
ウイルス感染細胞の培養
【0077】
本明細書において提供する方法は、バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させることを含んでいてもよい。本明細書において提供する方法は、上述のように高力価でウイルスを生産することができる。本明細書において提供する方法において使用するバイオリアクターは、培養培地の均一な分布を提供する一体化された混合システムであってもよい。一部の場合では、バイオリアクターは、高密度で細胞を培養することが可能であり得、高い生産収率をもたらす。一部の場合では、バイオリアクターは線形スケーラビリティを有していてもよく、例えば、バイオリアクターの立体配置は、必要に応じてベンチ規模と産業規模の両方の生産に適合し得る。
【0078】
一部の場合では、バイオリアクターは、固定床反応器を含んでいてもよい。本明細書において提供する方法およびシステムは、細胞を固定化するための支持体として使用することができる担体材料が充填またはパックされた容器を含む固定床反応器を含んでいてもよい。固定床反応器は、培養培地を含むコンディショニング容器も含んでいてもよい。一部の場合では、担体材料およびコンディショニング容器を備えた容器は、循環システムを介して結合してもよい。循環システムは循環ループであってもよい。循環システムは、固定床を介してコンディショニング容器からポンプで送り返すことができる酸素富化培地を含んでいてもよい。一部の場合では、酸素は、固定床に直接供給してもよい。固定床反応器では、細胞は固定床に保持することができる。コンディショニング容器中の培地は、バッチ式でまたは連続的に交換することができるため、消耗し、生成物を含む培地を新鮮な培地と交換することができる。一部の場合では、培地は、連続的に交換してもよい。固定床反応器は軸流ベースの固定床システムであってもよく、固定床を介した培地の軸方向のポンプ輸送を使用して、細胞に新鮮な培地および酸素を提供することができる。一部の場合では、固定床反応器は半径方向流ベースの固定床システムであってもよく、培地の半径方向ポンプ輸送は固定床を通過し、例えば培地は固定床を介して中心点から固定床の周囲に向かって半径方向にポンプで送ってもよい。固定床は、マイクロキャリアを含んでいてもよい。マイクロキャリアは適切な材料で作製することができる。一部の場合では、マイクロキャリアはPET(ポリエチレンテレフタレート)で作製することができる。一部の場合では、マイクロキャリアは、合成材料、天然材料、またはその両方で作製することができる。合成材料としては、これらに限定されないが、ガラス(例えば、ナトロン、ボロシリケート)、DEAE-デキストラン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セラミック、アクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリスチレン、およびポリアクリルアミドがある。天然材料としては、これらに限定されないが、コラーゲン、セルロース、ゼラチン、フィブリン、キチンおよびその誘導体、キトサン、アルギネート、ポリサッカライド、ならびにポリグリカンがある。
【0079】
一部の場合では、ウイルス感染宿主細胞を含む細胞培養物は、固定床バイオリアクター中で成長させてもよい。固定床バイオリアクターは、比較的大きな表面対体積比を提供することができるマイクロキャリアを含んでいてもよく、細胞を十分な酸素および栄養に曝露する。固定床バイオリアクターは、排出時間、例えばバイオリアクター中の培養培地を最大限に排出するのに必要な時間が短い場合がある。一部の場合では、排出時間は、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、約30分未満、約20分未満、約15分未満、約14分未満、約13分未満、約12分未満、約11分未満、または約10分未満であってもよい。一部の場合では、排出時間は、約80分、約50分、約30分、約12.5分、約12分、約11.5分、約11分、または約10.5分であってもよい。固定床バイオリアクターは、培地を最大限に排出することができる場合に、残留体積、例えば培養培地の残留体積を小さくすることができる。一部の場合では、バイオリアクターは、約1500ml未満、約1200ml未満、約1000ml未満、約900ml未満、約800ml未満、約700ml未満、約600ml未満、約500ml未満、約400ml未満、約300ml未満、約200ml未満、約150ml未満、または約100ml未満の残留体積を有していてもよい。一部の場合では、バイオリアクターは、約1150ml、約1100ml、約1050ml、約1000ml、約950ml、約900ml、約850ml、約800ml、約750ml、約700ml、約650ml、約600ml、約550ml、約500ml、約450ml、約400ml、約350ml、約300ml、約250ml、約200ml、または約150mlの残留体積を有していてもよい。
【0080】
一部の場合では、方法は、約0.01Lから約25Lの体積を含む固定床中で培養物を成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、少なくとも約0.005L、少なくとも約0.01L、少なくとも約0.05L、少なくとも約0.1L、少なくとも約0.5L、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L、少なくとも約5L、少なくとも約6L、少なくとも約7L、少なくとも約8L、少なくとも約9L、少なくとも約10L、少なくとも約12L、少なくとも約14L、少なくとも約15L、少なくとも約16L、少なくとも約18L、少なくとも約20L、少なくとも約21L、少なくとも約22L、少なくとも約23L、少なくとも約24L、少なくとも約25L、少なくとも約26L、少なくとも約27L、少なくとも約28L、少なくとも約29L、少なくとも約30L、少なくとも約35L、少なくとも約40L、少なくとも約50L、少なくとも約75L、または少なくとも約100Lの体積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約0.005L、約0.01L、約0.05L、約0.1L、約0.5L、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約12L、約14L、約15L、約16L、約18L、約20L、約21L、約22L、約23L、約24L、約25L、約26L、約27L、約28L、約29L、約30L、約35L、約40L、約50L、約60L、約65L、約70L、約75L、または約100Lの体積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約1Lの体積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約70Lの体積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約0.005Lから約25L、約0.01Lから約25L、約0.05Lから約25L、約0.1Lから約25L、約0.15Lから約25L、約0.2Lから約25L、約0.5Lから約25L、約1Lから約25L、約5Lから約25L、約10Lから約25L、約15Lから約25L、約20Lから約25L、約0.005Lから約15L、約0.05Lから約15L、約0.5Lから約15L、約5Lから約15L、約10Lから約15L、約0.005Lから約50L、約0.5Lから約50L、約5Lから約50L、約10Lから約50L、約15Lから約50L、約25Lから約50L、約30Lから約50L、約1Lから約100L、約5Lから約100L、約10Lから約100L、約20Lから約100L、約50Lから約100L、または約75Lから約100Lの体積を含んでいてもよい。
【0081】
一部の場合では、方法は、少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む固定床中で培養物を成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/L、少なくとも約91g/L、少なくとも約92g/L、少なくとも約93g/L、少なくとも約94g/L、少なくとも約95g/L、少なくとも約96g/L、少なくとも約97g/L、少なくとも約98g/L、少なくとも約99g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約110g/L、少なくとも約120g/L、少なくとも約130g/L、少なくとも約140g/L、少なくとも約150g/L、または少なくとも約160g/Lの圧縮密度を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、少なくとも約96g/Lの圧縮密度を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、約141g/L、約142g/L、約143g/L、約144g/L、約145g/L、約146g/L、約147g/L、約148g/L、約149g/L、約150g/L、約155g/L、または約160g/Lの圧縮密度を含んでいてもよい。
【0082】
一部の場合では、方法は、バイオリアクター中で宿主細胞を播種して、ウイルスを接種する前にある特定の期間成長させることを含んでいてもよい。他の場合では、方法は、バイオリアクター中でウイルス感染宿主細胞を播種して、培養物を成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、ウイルスを接種する前の宿主細胞は、バイオリアクター中で少なくとも約1,000細胞/cm2から約50,000細胞/cm2の密度で播種してもよい。一部の場合では、ウイルスを接種する前の宿主細胞は、少なくとも約10,000細胞/cm2から約400,000細胞/cm2の密度で播種してもよい。一部の場合では、ウイルスを接種する前の宿主細胞は、少なくとも約1,000細胞/cm2、少なくとも約1,500細胞/cm2、少なくとも約2,000細胞/cm2、少なくとも約2,500細胞/cm2、少なくとも約3,000細胞/cm2、少なくとも約3,500細胞/cm2、少なくとも約4,000細胞/cm2、少なくとも約4,500細胞/cm2、少なくとも約5,000細胞/cm2、少なくとも約10,000細胞/cm2、少なくとも約20,000細胞/cm2、少なくとも約40,000細胞/cm2、少なくとも約50,000細胞/cm2、少なくとも約60,000細胞/cm2、少なくとも約70,000細胞/cm2、少なくとも約80,000細胞/cm2、少なくとも約90,000細胞/cm2、少なくとも約100,000細胞/cm2、少なくとも約110,000細胞/cm2、少なくとも約120,000細胞/cm2、少なくとも約130,000細胞/cm2、少なくとも約140,000細胞/cm2、少なくとも約150,000細胞/cm2、少なくとも約160,000細胞/cm2、少なくとも約170,000細胞/cm2、少なくとも約180,000細胞/cm2、少なくとも約190,000細胞/cm2、少なくとも約200,000細胞/cm2、少なくとも約210,000細胞/cm2、少なくとも約220,000細胞/cm2、少なくとも約240,000細胞/cm2、少なくとも約260,000細胞/cm2、少なくとも約280,000細胞/cm2、少なくとも約300,000細胞/cm2、少なくとも約340,000細胞/cm2、少なくとも約360,000細胞/cm2、少なくとも約380,000細胞/cm2、少なくとも約400,000細胞/cm2、少なくとも約450,000細胞/cm2、または少なくとも約500,000細胞/cm2の密度で播種してもよい。一部の場合では、宿主細胞は、約2,500細胞/cm2の密度で播種してもよい。一部の場合では、ウイルスを接種する前の宿主細胞は、約1,500細胞/cm2、約1,600細胞/cm2、約1,800細胞/cm2、約2,200細胞/cm2、約2,200細胞/cm2、約2,400細胞/cm2、約2,600細胞/cm2、約2,800細胞/cm2、約3,000細胞/cm2、約3,500細胞/cm2、約4,000細胞/cm2、約4,500細胞/cm2、約5,000細胞/cm2、約6,000細胞/cm2、約7,000細胞/cm2、約8,000細胞/cm2、約9,000細胞/cm2、約10,000細胞/cm2、約15,000細胞/cm2,約20,000細胞/cm2、約30,000細胞/cm2,約40,000細胞/cm2、約50,000細胞/cm2、約60,000細胞/cm2、約70,000細胞/cm2、約80,000細胞/cm2、約90,000細胞/cm2、約100,000細胞/cm2、約110,000細胞/cm2、約120,000細胞/cm2、約130,000細胞/cm2、約140,000細胞/cm2、約150,000細胞/cm2、約160,000細胞/cm2、約170,000細胞/cm2、約180,000細胞/cm2、約190,000細胞/cm2、約200,000細胞/cm2、約210,000細胞/cm2、約220,000細胞/cm2、約240,000細胞/cm2、約260,000細胞/cm2、約280,000細胞/cm2、約300,000細胞/cm2、約340,000細胞/cm2、約360,000細胞/cm2、約380,000細胞/cm2、約400,000細胞/cm2、約450,000細胞/cm2、または約500,000細胞/cm2の密度で播種してもよい。
【0083】
一部の場合では、本明細書において記載する方法は、バイオリアクター中で宿主細胞を決定された期間成長させること、次いでバイオリアクター中で決定された密度で宿主細胞を感染させることを含んでいてもよい。一部の場合では、宿主細胞は、約5日間から約15日間、例えば約5日間から約8日間、約7日間から約10日間、約8日間から約12日間、または約10日間から約15日間バイオリアクター中で成長させてもよい。一部の場合では、宿主細胞は、約5、6、7、8、9、または10日間バイオリアクター中で成長させてもよい。
【0084】
一部の態様では、本開示は、多数のウイルスを含む宿主細胞の培養物を含むバイオリアクターを提供する。一部の場合では、バイオリアクターは、本明細書において提供する方法に従ってウイルス感染宿主細胞を培養するために使用することができるバイオリアクターであってもよい。例示的なバイオリアクターは、1宿主細胞あたり少なくとも約50PFUから約350PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む宿主細胞の培養物を含んでいてもよい。別の例示的なバイオリアクターは、少なくとも約1.5×1011から約5×1013PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む宿主細胞の培養物を含んでいてもよい。一部の場合では、バイオリアクターは、固定床を含んでいてもよく、固定床は、宿主細胞の培養物を含んでいてもよい。一部の場合では、宿主細胞の培養物は、固定床内のマイクロキャリア中で増殖させることができる。一部の場合では、培養物は、約2,000細胞/cm2から約10,000細胞/cm2の宿主細胞密度の固定床を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約0.01Lから約25Lの体積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約0.2m2から約500m2、例えば、約0.2m2から約0.5m2、約0.4m2から約1m2、約0.8m2から約1.5m2、約1m2から約5m2、約4m2から約6m2、約5m2から約20m2、約20m2から約50m2、約50m2から約100m2、約100m2から約200m2、約200m2から約400m2、約250m2から約500m2の表面積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約4m2の表面積を含んでいてもよい。一部の場合では、固定床は、約500m2の表面積を含んでいてもよい。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、ウイルスの生産規模は、本明細書において記載する方法において使用する固定床の表面積に依存する場合がある。例えば、約4m2の表面積を有する固定床を使用してウイルス感染細胞を培養した場合、4×1011から1×1012PFUのウイルスを本明細書において提供する方法を使用して生産することができる。一部の場合では、約500m2の表面積を有する固定床を使用してウイルス感染細胞を培養した場合、1×1013から2.5×1014PFUのウイルスを本明細書において提供する方法を使用して生産することができる。
【0085】
本明細書において提供する方法は、ある特定の期間培養物を成長させることを含んでいてもよく、その間にウイルスを複製することができる。本明細書において提供する方法は、十分な期間培養物を成長させて、培養物中で所望のウイルス力価に到達させることを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、約24時間から約96時間成長させてもよい。一部の場合では、培養物は、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間、約48時間、約50時間、約52時間、約54時間、約56時間、約58時間、約60時間、約62時間、約64時間、約66時間、約68時間、約70時間、約72時間、約74時間、約76時間、約78時間、約80時間、約82時間、約84時間、約86時間、約88時間、約90時間、約92時間、約94時間、約96時間、約100時間、約120時間、約150時間、約160時間、または約180時間成長させてもよい。一部の場合では、培養物は、約72時間成長させてもよい。一部の場合では、培養物は、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約28時間、少なくとも約30時間、少なくとも約32時間、少なくとも約36時間、少なくとも約40時間、少なくとも約42時間、少なくとも約44時間、少なくとも約46時間、少なくとも約48時間、少なくとも約52時間、少なくとも約56時間、少なくとも約60時間、少なくとも約62時間、少なくとも約64時間、少なくとも約66時間、少なくとも約68時間、少なくとも約70時間、少なくとも約72時間、少なくとも約76時間、少なくとも約80時間、少なくとも約84時間、少なくとも約88時間、少なくとも約92時間、少なくとも約94時間、少なくとも約96時間、少なくとも約100時間、または少なくとも約120時間成長させてもよい。一部の場合では、培養物は、多くとも約24時間、多くとも約28時間、多くとも約32時間、多くとも約36時間、多くとも約40時間、多くとも約44時間、多くとも約48時間、多くとも約52時間、多くとも約56時間、多くとも約60時間、多くとも約64時間、多くとも約68時間、多くとも約72時間、多くとも約76時間、多くとも約80時間、多くとも約84時間、多くとも約88時間、多くとも約92時間、多くとも約96時間、多くとも約100時間、多くとも約120時間、多くとも約150時間、多くとも約160時間、または多くとも約180時間成長させてもよい。一部の場合では、培養物は、約3日間成長させてもよい。
【0086】
本明細書において提供する方法は、少なくとも約20%から約100%の溶存酸素圧(DOT)レベルで培養物を成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のDOTレベルを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、約20%、約30%、約40%、約42%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約65%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%のDOTレベルを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、約50%のDOTレベルを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、多くとも約25%、多くとも約30%、多くとも約40%、多くとも約50%、多くとも約60%、多くとも約70%、多くとも約80%、多くとも約90%、多くとも約95%、または多くとも約100%のDOTレベルを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物は、約50%のDOTレベルを含んでいてもよい。
【0087】
本明細書において提供する方法は、ウイルス感染宿主細胞を含む培養物を約32℃から約38℃の温度で成長させることを含んでいてもよい。本明細書において提供する方法は、ウイルス感染宿主細胞を含む培養物を維持された温度で成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、維持された温度は、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約36.2℃、約36.4℃、約36.6℃、約36.8℃、約37℃、約37.2℃、約37.4℃、約37.6℃、約37.8℃、または約38℃であってもよい。一部の場合では、培養物の温度は、ウイルスのライフサイクル、宿主細胞の成長段階、またはその両方に応じて、時々、例えば第1の維持された温度で第1の期間および第2の維持された温度で第2の期間変更してもよい。一部の場合では、維持された温度は、非常に正確に、例えば、±1.5℃未満、±1.2℃未満、±1.0℃未満、±0.9℃未満、±0.8℃未満、±0.7℃未満、±0.6℃未満、±0.5℃未満、±0.4℃未満、±0.3℃未満、±0.2℃未満、±0.1℃未満、または±0.05℃未満の変動で制御することができる。培養物の温度を維持することができる精度は、多数の因子、例えば、ウイルスのライフサイクル、ウイルスおよび宿主細胞の温度感受性、ならびに培養培地に応じて調整してもよい。一部の場合では、培養物は約37℃で維持してもよい。
【0088】
一部の場合では、本明細書において提供する方法は、ウイルス感染宿主細胞を含む培養物を約7.0から約7.5のpHで成長させることを含んでいてもよい。一部の場合では、培養物のpHは、ある特定のレベル、例えば、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、または約8.0で維持してもよい。一部の場合では、維持されたpHは、宿主細胞およびウイルスのタイプに応じて、少なくとも約8.0、または最大で約7.0であってもよい。一部の場合では、培養物のpHは約7.2で維持してもよい。一部の場合では、方法は、約1.2未満、約1.1未満、約1.0未満、約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、約0.08未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.02未満、または約0.01未満の変動で維持されたpHで培養物を成長させることを含んでいてもよい。細胞培養中、ウイルス感染宿主細胞を含む培養物のpHは、培地を十分にpH調整することができる新鮮培地と交換することによって調整してもよい。培養物のpHはpH緩衝液によって維持してもよい。一部の場合では、pHは、CO2ガスを制御することによって、または培養培地に酸もしくはアルカリを補充すること、例えばHClを添加してpHを低下させるかもしくはNaOHを添加してpHを増加させることによって調整して、所望のレベルにしてもよい。一部の態様では、pHはまた、CO2を添加することによって改変してもよい。
【0089】
ウイルスの回収
【0090】
本開示の一部の態様は、複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物から、ウイルス、例えば腫瘍溶解性ウイルス、例えば組換え腫瘍溶解性ウイルスを回収する方法を提供する。ウイルスを回収することは、ウイルス感染宿主細胞の溶解し、その結果ウイルスを溶解物に放出すること、および溶解物を収集することを含んでいてもよい。ウイルスを回収することはまた、バイオリアクターの回収前の洗浄を含んでいてもよい。一部の場合では、回収前の洗浄は、溶解物から混入物質(例えば、タンパク質、核酸、消耗した製品、および培養培地中の他の分子)を除去するために行ってもよい。
【0091】
ウイルス感染宿主細胞を上述のようにある特定の期間培養した後、バイオリアクター、例えば担体を、その後ウイルス回収することに備えて適切な洗浄液によって洗浄してもよい。一部の場合では、洗浄液は、緩衝液、例えばトリス緩衝液であってもよい。一部の場合では、洗浄液は、75mMトリスおよび7.3のpHを含んでいてもよい。洗浄ステップは任意の適切な温度で任意の適切な期間行ってもよい。一部の場合では、洗浄ステップのパラメーター、例えば、洗浄液(例えば、イオン濃度、pH)、温度、洗浄期間は十分に調整してもよく、その結果、宿主細胞をこのステップにおいてほとんど溶解させないようにすることができる。一部の場合では、担体は75mMトリス溶液(pH7.3、25℃)によって30分間洗浄してもよい。
【0092】
一部の態様では、本開示は、培養物からウイルスを回収するためのpHシフト方法を提供する。本開示の一部の態様による回収することは、ウイルス感染宿主細胞をアルカリ性緩衝液中でインキュベートすることを含んでいてもよい。一部の場合では、回収することは、ウイルス感染宿主細胞と細胞デブリを分解するための酵素とをインキュベートすることも含んでいてもよい。一部の場合では、回収することは、ウイルス感染宿主細胞と細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とをインキュベートすることを含んでいてもよい。アルカリ性緩衝液は、少なくとも約8のpHを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、少なくとも約8.0、少なくとも約8.2、少なくとも約8.4、少なくとも約8.5、少なくとも約8.6、少なくとも約8.8、少なくとも約9.0、少なくとも約9.1、少なくとも約9.2、少なくとも約9.3、少なくとも約9.4、少なくとも約9.5、少なくとも約9.6、少なくとも約9.7、少なくとも約9.8、少なくとも約9.9、少なくとも約10.0、少なくとも約10.4、少なくとも約10.8、または少なくとも約11.0のpHを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、約8.0、約8.2、約8.4、約8.5、約8.6、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10.0、約10.2、約10.4、約10.6、約10.8、または約11.0のpHを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、トリスを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、約9.5のpHを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、約9.6のpHを含んでいてもよい。一部の場合では、アルカリ性緩衝液は、約0.2未満、約0.1未満、約0.08未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.02未満、または約0.01未満の変動で決定されたpHを有していてもよい。1つの例において、アルカリ性緩衝液は、75mMのトリス、2mMのMgCl2および9.5のpHを含んでいてもよい。別の例では、アルカリ性緩衝液は、90mMのトリス、2mMのMgCl2および9.5のpHを含んでいてもよい。1つの例において、アルカリ性緩衝液は、75mMのトリス、2mMのMgCl2および9.6のpHを含んでいてもよい。1つの例において、アルカリ性緩衝液は、75mMのトリス、2.5mMのMgCl2および9.6のpHを含んでいてもよい。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、溶解緩衝液の高いpHは、宿主細胞、宿主細胞のエンドソーム、またはその両方の優れた溶解の一因となる可能性があり、その結果、その中に「捕捉された」可能性があるウイルスがより容易に暴露されるようになる場合があり、その結果ウイルスが高収率で得られる。
【0093】
一部の場合では、酵素は、本明細書において提供する方法において細胞デブリを分解するために使用することができる。酵素は、細胞溶解物中で遊離核酸を取り除くためのヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼを含んでいてもよい。一部の場合では、酵素は、プロテアーゼ、例えば、TrypLEまたはトリプシンを含んでいてもよい。
【0094】
ヌクレアーゼは、核酸モノマー間のホスホジエステル結合を切断することができる酵素を指す場合がある。ヌクレアーゼは、その標的分子における一本鎖および二本鎖の切断をもたらすことができる。異なるヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼを本明細書において提供する方法において使用することができ、核酸標的の異なる遺伝子座に作用する。エキソヌクレアーゼは、核酸を末端から消化することができ、同時にエンドヌクレアーゼは標的分子の中央の領域に作用することができる。ヌクレアーゼは、本明細書で使用される場合、天然に存在するヌクレアーゼ、またはそのアミノ酸配列が天然に存在するヌクレアーゼに由来する組換え(遺伝子操作された)ヌクレアーゼであってもよい。例えば、遺伝学的に遺伝子操作されたセラシア属(Serratia)のヌクレアーゼ(例えば、ベンゾナーゼ(登録商標))をこの目的のために使用することができる。一部の場合では、方法は、ウイルス感染宿主細胞と細胞デブリを分解するための酵素とをインキュベートすることを含んでいてもよく、その酵素は約50IU/mLから約200IU/mLであってもよい。一部の場合では、ウイルス回収のインキュベート中、細胞デブリを分解するための酵素は、約20IU/mL、約30IU/mL、約50IU/mL、約75IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約130IU/mL、約140IU/mL、約150IU/mL、約160IU/mL、約170IU/mL、約180IU/mL、約190IU/mL、約200IU/mL、約220IU/mL、約240IU/mL、約260IU/mL、約280IU/mL、約300IU/mL、または約400IU/mLであってもよい。一部の場合では、ウイルス回収のインキュベート中、細胞デブリを分解するための酵素は、少なくとも約20IU/mL、少なくとも約30IU/mL、少なくとも約50IU/mL、少なくとも約75IU/mL、少なくとも約100IU/mL、少なくとも約125IU/mL、少なくとも約130IU/mL、少なくとも約140IU/mL、少なくとも約150IU/mL、少なくとも約160IU/mL、少なくとも約170IU/mL、少なくとも約180IU/mL、少なくとも約190IU/mL、少なくとも約200IU/mL、少なくとも約220IU/mL、または少なくとも約240IU/mLであってもよい。一部の場合では、ウイルス回収のインキュベート中、細胞デブリを分解するための酵素は、多くとも約50IU/mL、多くとも約75IU/mL、多くとも約100IU/mL、多くとも約125IU/mL、多くとも約130IU/mL、多くとも約140IU/mL、多くとも約150IU/mL、多くとも約160IU/mL、多くとも約170IU/mL、多くとも約180IU/mL、多くとも約190IU/mL、多くとも約200IU/mL、多くとも約220IU/mL、多くとも約240IU/mL、多くとも約260IU/mL、多くとも約280IU/mL、多くとも約300IU/mL、または多くとも約400IU/mLであってもよい。本明細書において提供する方法の一部の実施形態では、ウイルスを回収することは、ウイルス感染宿主細胞とベンゾナーゼ(登録商標)とを約150IU/mLでインキュベートすることを含んでいてもよい。
【0095】
ウイルスを回収するための細胞溶解緩衝液中でのウイルス感染宿主細胞のインキュベートは、適切な時間にわたって持続させてもよい。一部の場合では、インキュベートは、約2時間から約8時間であってもよい。一部の場合では、インキュベートは、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約12時間、約15時間、または約20時間であってもよい。一部の場合では、インキュベートは、少なくとも約2時間から少なくとも約8時間であってもよい。一部の場合では、インキュベートは、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約15時間であってもよい。一部の場合では、インキュベートは約2時間から約8時間であってもよい。一部の場合では、インキュベートは、多くとも約2時間、多くとも約3時間、多くとも約4時間、多くとも約5時間、多くとも約6時間、多くとも約7時間、多くとも約8時間、多くとも約9時間、多くとも約10時間、多くとも約12時間、多くとも約15時間、または多くとも約20時間であってもよい。本明細書において提供する方法の一部の実施形態では、ウイルスを回収することは、ウイルス感染宿主細胞を細胞溶解緩衝液中で約4時間インキュベートすることを含んでいてもよい。
【0096】
ウイルスを回収するための細胞溶解緩衝液中でのウイルス感染宿主細胞のインキュベートは、任意の適切な温度、例えば約22℃から約28℃であってもよい。一部の場合では、ウイルスを回収するためのインキュベートに関する温度は、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、または約32℃であってもよい。一部の場合では、温度は、ある特定の温度で維持してもよい。一部の場合では、維持された温度は、非常に正確に、例えば、±1.5℃未満、±1.2℃未満、±1.0℃未満、±0.9℃未満、±0.8℃未満、±0.7℃未満、±0.6℃未満、±0.5℃未満、±0.4℃未満、±0.3℃未満、±0.2℃未満、±0.1℃未満、または±0.05℃未満の変動で制御することができる。本明細書において提供する方法の一部の実施形態では、ウイルスを回収することは、ウイルス感染宿主細胞を約25℃でインキュベートすることを含んでいてもよい。
【0097】
清澄化
【0098】
一部の場合では、本明細書において提供する方法は、清澄化ステップを行って濾過した溶解物を生成することを更に含んでいてもよい。清澄化のステップは、混入物質を消失または減少させ、ウイルスを精製するために行ってもよい。一部の場合では、本明細書において提供する清澄化のステップは、濾過およびヌクレアーゼ処理を含んでいてもよい。一部の場合では、清澄化のステップは、遠心分離によるウイルスの精製を含んでいてもよい。
【0099】
清澄化のステップは、濾過することを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法によって回収した溶解物は、フィルターに通して濾過して、濾過した溶解物を生成してもよい。本明細書において提供する場合、フィルターは、孔径よりも大きいサイズの粒子を保持し、孔径よりも小さいサイズの粒子を通過させる孔径を有していてもよい。任意の適切なフィルターを、ウイルスを単離し、精製する目的で濾過ステップを実施するために選択してもよい。一部の場合では、フィルターは、平均的なフィルターサイズを有していてもよく、そのサイズは、少なくとも約0.15μm、少なくとも約0.18μm、少なくとも約0.2μm、少なくとも約0.22μm、少なくとも約0.25μm、少なくとも約0.28μm、少なくとも約0.3μm、少なくとも約0.35μm、少なくとも約0.4μm、少なくとも約0.45μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約0.55μm、少なくとも約0.6μm、少なくとも約0.65μm、少なくとも約0.7μm、少なくとも約0.75μm、少なくとも約0.8μm、少なくとも約0.85μm、少なくとも約0.9μm、少なくとも約0.95μm、または少なくとも約1μmであってもよい。一部の場合では、フィルターは、平均的なフィルターサイズを有していてもよく、そのサイズは、多くとも約0.18μm、多くとも約0.2μm、多くとも約0.22μm、多くとも約0.25μm、多くとも約0.28μm、多くとも約0.3μm、多くとも約0.35μm、多くとも約0.4μm、多くとも約0.45μm、多くとも約0.5μm、多くとも約0.55μm、多くとも約0.6μm、多くとも約0.65μm、多くとも約0.7μm、多くとも約0.75μm、多くとも約0.8μm、多くとも約0.85μm、多くとも約0.9μm、多くとも約0.95μm、多くとも約1μm、または多くとも約1.5μmであってもよい。一部の場合では、濾過は1個を超えるフィルター、例えば、2、3、4、5、6個、またはそれを超えるフィルターで行ってもよい。一部の場合では、1個を超えるフィルターは、同じ孔径または異なるサイズを有していてもよく、例えば、一部の例では、溶解物は、約5μmの平均サイズを有するフィルターで、続いて約1.2μmの平均サイズを有するフィルターで濾過してもよい。一部の例では、溶解物は、約5μmの平均サイズを有するフィルターで、続いて約2.4μmの平均サイズを有するフィルターで、次いで約1μmのフィルターで濾過してもよい。
【0100】
図10で例示されたように、清澄化プロセスは、フラッシュ緩衝液を用いてフィルターに通して溶解物をフラッシュすることによって行ってもよい。一部の場合では、清澄化プロセスに関する流速は、約50から約500mL/分、例えば、約50から約100mL/分、約75から約120mL/分、約100から約150mL/分、約125から約175mL/分、約150から約200mL/分、約175から約250mL/分、約225から約300mL/分、約250から約325mL/分、約275から約350mL/分、約300から約375mL/分、約325から約400mL/分、約350から約425mL/分、約375から約450mL/分、約400から約475mL/分、または約425から約500mL/分であってもよい。一部の場合では、清澄化プロセスに関する流速は、約70、80、90、100、110、120、130、150、175、200、225、250、275、280、290、300、または320mL/分であってもよい。流速は、LMH(L/m
2/時間)で記載される場合がある。一部の場合では、清澄化プロセスに関する流速は、約100から約750LMH、例えば約100から約175LMH、約125から約200LMH、約150から約225LMH、約175から約250LMH、約200から約275LMH、約225から約300LMH、約250から約325LMH、約275から約350LMH、約300から約375LMH、約325から約400LMH、約350から約425LMH、約375から約450LMH、約400から約475LMH、約425から約500LMH、約450から約525LMH、約475から約550LMH、約500から約575LMH、または約525から約600LMHであってもよい。一部の場合では、清澄化プロセスに関する流速は約150LMHであってもよい。一部の場合では、清澄化プロセスに関する流速は約490LMHであってもよい。一部の場合では、フラッシュ速度は、異なる孔径のフィルターごとに個別に選択してもよく、例えば、より高い流速をより大きい孔径のフィルターに対して使用することができ、同時により低い流速をより小さい孔径のフィルターに対して使用することができる。一部の場合では、フラッシュ緩衝液は、溶解物と同様の構成要素、例えば、同様のイオンおよびイオン濃度、ならびに同様のpHか、または溶解物と異なる構成要素を有していてもよい。一部の場合では、清澄化プロセスは、室温で、または任意の他の適切な温度、例えば、約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、28℃、30℃、32℃、または37℃で行ってもよい。
【0101】
濾過ステップ後、濾過した溶解物は、細胞デブリを分解するための酵素、例えばヌクレアーゼ、例えばベンゾナーゼ(登録商標)で更に処理して、混入物質、例えば核酸を消失させて、深層濾過の濾液を生成してもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、ベンゾナーゼ(登録商標)を含む緩衝液と十分な時間インキュベートしてもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、少なくとも約10U/ml、少なくとも約20U/ml、少なくとも約40U/ml、少なくとも約50U/ml、少なくとも約60U/ml、少なくとも約80U/ml、少なくとも約100U/ml、少なくとも約120U/ml、少なくとも約130U/ml、少なくとも約140U/ml、少なくとも約150U/ml、少なくとも約160U/ml、少なくとも約170U/ml、少なくとも約180U/ml、少なくとも約200U/ml、少なくとも約250U/ml、少なくとも約300U/ml、少なくとも約500U/ml、または少なくとも約1000U/mlのベンゾナーゼ(登録商標)を含む緩衝液とインキュベートしてもよい。一部の場合では、細胞デブリを分解するための酵素による濾過した溶解物の処理は、少なくとも約8.0、少なくとも約8.1、少なくとも約8.2、少なくとも約8.3、少なくとも約8.4、少なくとも約8.5、少なくとも約8.6、少なくとも約8.7、少なくとも約8.8、少なくとも約8.9、少なくとも約9.0、少なくとも約9.1、少なくとも約9.2、少なくとも約9.3、少なくとも約9.4、少なくとも約9.5、少なくとも約9.6、少なくとも約9.7、少なくとも約9.8、または少なくとも約10.0のpHで行ってもよい。一部の場合では、細胞デブリを分解するための酵素による濾過した溶解物の処理は、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、または約10.0のpHで行ってもよい。一部の場合では、細胞デブリを分解するための酵素による濾過した溶解物の処理は、約7.5から約9.5、約7.5から約10.0、約8.0から約10.0、約8.5から約10.0、約8.5から約10.5、約9.0から約10.5、または約9.0から約11.0のpHで行ってもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、細胞デブリを分解するための酵素によって少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約20時間、少なくとも約22時間、少なくとも約24時間、少なくとも約26時間、少なくとも約28時間、少なくとも約30時間、少なくとも約34時間、少なくとも約36時間、または少なくとも約48時間処理してもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、細胞デブリを分解するための酵素によって約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約34時間、約36時間、または約48時間処理してもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、細胞デブリを分解するための酵素によって多くとも約3時間、多くとも約5時間、多くとも約7時間、多くとも約9時間、多くとも約11時間、多くとも約13時間、多くとも約15時間、多くとも約17時間、多くとも約19時間、多くとも約21時間、多くとも約23時間、多くとも約25時間、多くとも約27時間、多くとも約29時間、多くとも約31時間、多くとも約35時間、多くとも約40時間、または多くとも約50時間処理してもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は、ベンゾナーゼ(登録商標)で室温で約18時間処理してもよい。一部の場合では、酵素処理は、モノカチオン、例えばNa+、例えば溶液中の塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で行ってもよい。一部の場合では、酵素処理は、高濃度のモノカチオン、例えばNa+、例えば溶液中の塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で、例えば少なくとも約100mM、少なくとも約120mM、少なくとも約150mM、少なくとも約180mM、少なくとも約200mM、少なくとも約250mM、少なくとも約300mM、少なくとも約350mM、少なくとも約400mM、少なくとも約450mM、少なくとも約500mM、少なくとも約550mM、少なくとも約600mM、少なくとも約700mM、少なくとも約800mM、少なくとも約900mM、または少なくとも約1000mMで行ってもよい。一部の場合では、酵素処理は、高濃度のモノカチオン、例えばNa+、例えば溶液中の塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で、例えば約100mM、約120mM、約150mM、約180mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約600mM、約700mM、約800mM、約900mM、または約1000mMで行ってもよい。
【0102】
一部の場合では、本明細書において提供する方法の一部の態様によれば、濾過されていないウイルス溶解物も濾過されたウイルス溶解物も、低温で貯蔵してから次のステップを行ってもよい。一部の場合では、濾過した溶解物は低温で保存してから細胞デブリを分解するための酵素によって処理してもよい。例えば、濾過した溶解物は、約2から8℃で、ある特定の期間、例えば、6時間、12時間、24時間、2日、3日、または6日間貯蔵してもよい。
【0103】
精製
【0104】
一部の場合では、本明細書において提供する方法は、濾過した溶解物のタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を行って、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物を生成することを含んでいてもよい。一部の場合では、タンジェンシャルフロー濾過に続いて、透析濾過を行って、ウイルスを更に精製してもよい。一部の場合では、1巡を超えるTFFまたは透析濾過を行ってもよい。一部の場合では、2巡の透析濾過を行ってもよい。一部の場合では、2、3、4、5巡、またはそれを超えるTFFまたは透析濾過を行ってもよい。他の場合では、他の技術、例えば、限外濾過もしくはサイズ排除クロマトグラフィー(例えば、Sephadex(登録商標)G25またはSephadex(登録商標)G10または同等の材料を用いて)、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーまたは「逆相」クロマトグラフィーを、本明細書において記載するTFFプロセスの代替としてまたはそれと組み合わせてウイルスを精製するための主題の方法において使用してもよい。
【0105】
タンジェンシャルフロー濾過(TFF)は、クロスフロー濾過としても公知であり、濾過プロセスを指す場合があり、一部(透過液)が膜を通過するときに、供給ストリームがフィルター膜面に対して平行に通過し、同時に残り(保持液)は供給リザーバーに再循環することができる。本明細書において提供する場合、TFFは濾過した溶解物を濃縮するために行ってもよい。一部の場合では、TFF後、濾過した溶解物は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも18倍、少なくとも20倍、または少なくとも30倍に濃縮されていてもよい。一部の場合では、TFF後、濾過した溶解物は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約12倍、約15倍、約18倍、約20倍、または約30倍に濃縮されていてもよい。一部の場合では、TFF後、濾過した溶解物は約10倍に濃縮されていてもよい。
【0106】
一部の場合では、TFFフィルター膜が有する孔径は、約300kDa、約350kDa、約400kDa、約450kDa、約500kDa、約550kDa、約600kDa、約650kDa、約700kDa、約750kDa、約800kDa、約850kDa、約900kDa、または約1000kDaであってもよい。一部の場合では、TFFフィルター膜が有する孔径は、多くとも約300kDa、多くとも約350kDa、多くとも約400kDa、多くとも約450kDa、多くとも約500kDa、多くとも約550kDa、多くとも約600kDa、多くとも約650kDa、多くとも約700kDa、多くとも約750kDa、多くとも約800kDa、多くとも約850kDa、多くとも約900kDa、または多くとも約1000kDaであってもよい。
【0107】
適切なTFFフィルターおよび濾過パラメーターは、これらに限定されないが、製造されることになるウイルスのタイプ、宿主細胞のタイプ、細胞培養培地、およびフィルター緩衝液を含む多数のパラメーターに応じて選択し、調整してもよい。一部の場合では、TFFプロセスは任意の適切な温度で、例えば約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、28℃、30℃、32℃、または37℃で行ってもよい。一部の場合では、TFFに関する負荷は、少なくとも約10L/m2、少なくとも約20L/m2、少なくとも約30L/m2、少なくとも約40L/m2、少なくとも約50L/m2、少なくとも約60L/m2、少なくとも約70L/m2、少なくとも約80L/m2、少なくとも約100L/m2、少なくとも約120L/m2、少なくとも約150L/m2、または少なくとも約200L/m2であってもよい。一部の場合では、TFFに関する負荷は、約10L/m2、約20L/m2、約30L/m2、約40L/m2、約50L/m2、約60L/m2、約70L/m2、約80L/m2、約100L/m2、約120L/m2、約150L/m2、または約200L/m2であってもよい。一部の場合では、TFFプロセスは、約2000から約6000s-1、例えば、約2000から約3500s-1、約2500から約4000s-1、約3000から約4500s-1、約3000から約5000s-1、約3500から約5000s-1、約3500から約5500s-1、約4000から約6000s-1、または約4500から約6000s-1のせん断速度で行ってもよい。一部の場合では、TFFプロセスは、約2000s-1、約2500s-1、約3000s-1、約3500、約3500s-1、約4000s-1、約4500s-1、約5000s-1、約5500s-1、約6000s-1のせん断速度で行ってもよい。一部の場合では、TFFプロセス中、溶解物は、約0.25から約2.5L/分、例えば、約0.25から約0.75L/分、約0.5から約1L/分、約0.75から約1.25L/分、約1から約1.5L/分、約1.25から約1.75L/分、約1.5から約2.0L/分、約1.75から約2.25L/分、または約2から約2.5L/分の速度で流動させてもよい。一部の場合では、流速およびせん断速度は組み合わせて選択してもよく、例えば、溶解物は、約1.5L/分、5000s-1のせん断速度で、または約0.8L/分、3000s-1のせん断速度で流動させてもよい。一部の場合では、透過流束速度は、TFFプロセス全体にわたって制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、5から約50LMHの間、例えば、5から約15LMHの間、10から約20LMHの間、15から約25LMHの間、20から約30LMHの間、25から約35LMHの間、30から約40LMHの間、35から約45LMHの間、または40から約50LMHの間で制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、約15から約20LMHの間で制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、約10から約30LMHの間で制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、約15から約30LMHの間で制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、約15LMHで制御してもよい。一部の場合では、透過流束速度は、約20LMHで制御してもよい。
【0108】
一部の場合では、方法は、濾過した溶解物または精製した溶解物を透析濾過することを更に含んでいてもよい。一部の場合では、透析濾過を行って、溶解物から塩または他の混入物質を除去して、精製したウイルス調製物を生成してもよい。本明細書において提供する場合、透析濾過は、膜を通して小さな分子を洗浄し、大きな分子を保持液中に残し、最終的に濃度は変化させない分画プロセスであり得る。
【0109】
連続的透析濾過または不連続的透析濾過のいずれかを本明細書において提供する方法において使用してもよい。連続的透析濾過では、透析濾過緩衝液を、濾液を生成することができるのと同じ速度で供給リザーバーに添加してもよい。このようにして試料リザーバー中の体積は一定に保持することができるが、膜を自由に通過することができる小分子(例えば塩)は洗い流すことができる。結果的に、緩衝液交換の各追加の体積は、塩濃度を更に低下させる場合がある。本明細書において提供する場合、「緩衝液交換の体積」は、透析濾過溶液が添加され得る前の出発溶液の体積に等しいとすることができる。不連続的透析濾過では、出発溶液は最初に希釈し、次いで濃縮して出発体積に戻してもよい。次いでこのプロセスは、リザーバー中に残留する小分子(例えば塩)が望ましい濃度に到達するまで繰り返してもよい。一部の場合では、初期の濃度プロセスに関しては、透析濾過プロセスは同じTFFシステムを使用して行ってもよい。一部の場合では、透析濾過プロセスは異なるシステムを使用して行ってもよい。本明細書において提供する場合、透析濾過は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも25、または少なくとも30倍体積の緩衝液交換を添加することを含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する透析濾過は、6倍体積の緩衝液交換を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する透析濾過は、10倍体積の緩衝液交換を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する透析濾過は、20倍体積の緩衝液交換を含んでいてもよい。一部の場合では、本明細書において提供する方法は、10倍体積の緩衝液交換を有する1巡目、続いて6倍体積の緩衝液交換を有する2巡目、または20倍体積の緩衝液交換を有する1巡目、続いて10倍体積の緩衝液交換を有する2巡目の、2巡の透析濾過を含んでいてもよい。一部の場合では、緩衝液交換の1巡目は、溶解物と同様の構成要素を有する緩衝液を用いて行うことができ、一方2巡目の緩衝液交換は、溶解物中に含まれるイオンをフィルター除去するために使用する緩衝液、例えばスクロースを含む緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、約7.8のpHを構成する緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、約7.0のpHを構成する緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、約7.0、約7.1、約7.2、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約9.0、または約10.0のpHを構成する緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、少なくとも約7.0、少なくとも約7.1、少なくとも約7.2、少なくとも約7.4、少なくとも約7.5、少なくとも約7.6、少なくとも約7.7、少なくとも約7.8、少なくとも約7.9、少なくとも約8.0、少なくとも約9.0、または少なくとも約10.0のpHを構成する緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、約7または約7.8のpHを構成する緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、トリス緩衝液を用いて行ってもよい。トリス緩衝液は、約5mM、約10mM、約12mM、約15mM、約20mM、約22mM、約24mM、約25mM、約26mM、約28mM、約30mM、約35mM、または約40mMのトリスを含んでいてもよい。一部の例では、緩衝液交換は、約30mM、または約20mMのトリスを含む緩衝液を用いて行ってもよい。一部の例では、緩衝液交換は、緩衝液を用いて行ってもよい。水が緩衝液の溶媒であってもよい。緩衝液は、サッカライドのような非荷電分子、例えばスクロースまたはグルコース、ヒスチジン、ソルビトールを含んでいてもよい。緩衝液は、一部の場合では、MgCl2もしくはNaClのようなイオン構成要素、または他の安定化分子を含んでいてもよい。一部の場合では、透析濾過用の緩衝液は、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約10.5%、約11%、約11.5%、約12%、約13%、約14%、約15%、約20%、または約30%のスクロースを含んでいてもよい。一部の場合では、緩衝液交換は、約10重量/体積%または約8.5重量/体積%のスクロースを含む緩衝液を用いて行ってもよい。一部の場合では、追加の巡の緩衝液交換を行って、所望の濃度を達成してもよい。例えば、標的濃度は、0.5倍、1倍、1.25倍、1.5倍、1.75倍、2倍、2.25倍、2.5倍、2.75倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または最大約20倍であってもよい。
【0110】
一部の場合では、追加の清澄化または濾過ステップは、ウイルス製品の純度、濃度、または力価に関する必要性に応じて行ってもよい。一部の場合では、例えば、最終的な濾過ステップを行ってもよく、TFF保持液は、最終的な製剤緩衝液を用いてフィルターに通して更に濾過してもよい。製剤緩衝液は、例えば最終的なウイルス製品に関して必要とされるようなイオン構成要素を含んでいてもよい。任意の適切なフローパラメーターを上述のように選択してもよい。比較的小さい孔径、例えば1.2μmのフィルターを、最終的なステップで使用してもよい。さまざまな孔径のフィルターを本開示の任意の態様において利用してもよい。一部の態様では、フィルターは、約0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1.0μm、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、4.0μm、または最大約5.0μmの孔径を有していてもよい。
【0111】
【実施例】
【0112】
以下の例は、説明の目的で与えられており、限定を目的とするものではない。
【0113】
(実施例1)
上流プロセス(I)
【0114】
この例では、
図1のフローチャートに図示するように、ウイルス感染宿主細胞の培養から、回収、細胞溶解までの組換えワクシニアウイルスの製造に関する上流プロセスに関する例示的なプロトコールを記載する。
【0115】
1.宿主Hela細胞を、iCELLisナノバイオリアクター(Pall Corporation、Port Washington、NY)中、37℃で5日間培養する。培養培地のpHは7.1で維持され、培養培地の溶存酸素圧(DOT)レベルは50%である;
【0116】
2.6日目に、培養培地を、冒頭の組換えワクシニアウイルスを含む培養培地と0.02の感染多重度(m.o.i.)で交換する。感染後、ウイルス感染したHela細胞は、37℃、pH7.2、50%DOTで3日間培養を継続した;
【0117】
3.9日目に、バイオリアクターをあらかじめ洗浄してから回収し、培養培地を、90mMトリスを含み、pH7.5を有する洗浄緩衝液と25℃で0.5時間交換する;
【0118】
4.あらかじめ洗浄後、洗浄緩衝液を、90mMトリス、2mM MgCl2、および150iU/mLベンゾナーゼ(登録商標)を含み、pH9.5を有する溶解培地と交換する。ウイルス感染細胞を溶解培地と25℃で4~6時間インキュベートし、その後細胞溶解物を含む溶解培地を収集して更なるプロセシングを行う。
【0119】
(実施例2)
上流プロセス(II)
【0120】
この例では、
図2のフローチャートに図示するように、ウイルス感染宿主細胞の培養から、回収、細胞溶解までの組換えワクシニアウイルスの製造に関する上流プロセスに関する例示的なプロトコールを記載する。
【0121】
1.宿主Hela細胞を、iCELLisナノバイオリアクター(Pall Corporation、Port Washington、NY)中、37℃で7日間培養する。培養培地のpHは7.2で維持され、培養培地の溶存酸素圧(DOT)レベルは50%である;
【0122】
2.8日目に、培養培地を、冒頭の組換えワクシニアウイルスを含む培養培地と0.02の感染多重度(m.o.i.)で交換する。感染後、ウイルス感染したHela細胞は、37℃、pH7.2、50%DOTで3日間培養を継続した;
【0123】
3.11日目に、バイオリアクターをあらかじめ洗浄してから回収し、培養培地を、75mMトリスを含み、pH7.3を有する洗浄緩衝液と25℃で0.5時間交換する;
【0124】
4.あらかじめ洗浄後、洗浄緩衝液を、75mMトリス、2mM MgCl2、および150iU/mLベンゾナーゼ(登録商標)を含み、pH9.5を有する溶解培地と交換する。ウイルス感染細胞を溶解培地と25℃で4時間インキュベートし、その後細胞溶解物を含む溶解培地を収集して更なるプロセシングを行う。
【0125】
(実施例3)
上流プロセス(III)
【0126】
この例では、
図3のフローチャートに図示するように、ウイルス感染宿主細胞の培養から、回収、細胞溶解までの組換えワクシニアウイルスの製造に関する上流プロセスに関する例示的なプロトコールを記載する。
【0127】
1.宿主Hela細胞を、iCELLisナノバイオリアクター(Pall Corporation、Port Washington、NY)中、37℃で7日間培養する。培養培地のpHは7.2で維持され、培養培地の溶存酸素圧(DOT)レベルは50%である;
【0128】
2.8日目に、培養培地を、冒頭の組換えワクシニアウイルスを含む培養培地と0.002の感染多重度(m.o.i.)で交換する。感染後、ウイルス感染したHela細胞は、36℃、pH7.2、50%DOTで3日間培養を継続した;
【0129】
3.11日目に、バイオリアクターをあらかじめ洗浄してから回収し、培養培地を、75mMトリスを含み、pH7.3を有する洗浄緩衝液と26℃で10分間交換する;
【0130】
4.あらかじめ洗浄後、洗浄緩衝液を、75mMトリス、2mM MgCl2、および150iU/mLベンゾナーゼ(登録商標)を含み、pH9.5を有する溶解培地と交換する。ウイルス感染細胞を溶解培地と25℃で4時間インキュベートし、その後細胞溶解物を含む溶解培地を収集して更なるプロセシングを行う。
【0131】
(実施例4)
下流プロセス(I)
【0132】
この例では、
図6に図示するように、例示的なワクシニアウイルスを生産するための下流プロセスに関する例示的なプロトコールを記載する。
【0133】
ウイルス感染した宿主Hela細胞をiCELLisナノバイオリアクター中で3日間培養した後に、ウイルスを回収する。
【0134】
1.対照試料の収集:対照として、反応器床から10個の担体をサンプリングし、試料を15mMトリス、pH8.0(0.05ml/cm2)の溶解緩衝液中に30分間入れる(溶解緩衝液の体積:7ml)。
【0135】
2.培養培地を排出してあらかじめ洗浄し、ポンプを停止し、手順に従って全ての培地を除去する:
【0136】
(a)培地をループの流れから出したままにし、培地のプライムが終わる(unprimed)まで反時計回りの方向で流す;
【0137】
(b)培地を止める;
【0138】
(c)再循環ボトル中の培地を廃棄する(開口し、注ぎ出す);
【0139】
(d)調節を停止する;
【0140】
(e)全てのクランプを閉じる;
【0141】
(f)試料ボトルからの流路(2個のクランプ)を開口し、ガス排出クランプを開口する;
【0142】
(g)ガス排出ラインで巨大注射器(または手動ポンプ)を使用して、圧力ポンプで培地をサンプリングボトルに送る。
【0143】
3.床を洗浄する。
【0144】
(a)再循環ループのクランプを外す;
【0145】
(b)90mMトリスを含み、pH7.5±0.2を有する25℃の洗浄緩衝液800mlを、試料ボトルを介して1cm/秒の直線流速、25℃で0.5時間添加する;
【0146】
(c)インキュベート後に洗浄緩衝液を廃棄する。
【0147】
4.洗浄中に、試料を収集してオフラインでpHを測定する。必要に応じてpH調整を行う。
【0148】
5.バイオリアクターから洗浄緩衝液を除去する直前に、別の試料を収集し、オフラインpHを読み取って、iCELLisオンラインpHが正確に読み取られていることを確認する。
【0149】
6.バイオリアクターのpH制御を9.5±0.2に設定する。
【0150】
7.バイオリアクターの温度制御を25℃に設定する。
【0151】
8.90mMトリスおよび150Uベンゾナーゼ(登録商標)/mlを含み、pH9.0±0.2を有する溶解緩衝液600mlを添加し、0.5M MgCl2 2.4mlを添加する。
【0152】
9.pHが低下し、安定化するまで待つ。
【0153】
10.オフラインのpH測定を行い、必要に応じてiCELLisオフセットを調整する:
【0154】
pH制御をオンにし(設定点9.0±0.2)、直線流速を1.25cm/秒に増加させ、25℃で4.0時間流す。
【0155】
11.溶解時間は、バイオリアクターが、pHが9.0に到達したことを示した場合に始まる。別のオフラインのpH読み取りを取得して、その読み取りが正確であることを立証する。
【0156】
12.溶解が始まってから2時間後、試料を採取する。
【0157】
13.溶解が始まってから4時間後、バイオリアクターを排出させる。
【0158】
14.pHを測定し、必要に応じて調整する(pHがあまりにも高い場合、1M HCLを使用する)。調製した場合は記録する。
【0159】
清澄化
【0160】
1.
図10に図示するように濾過システムをセットアップする。
【0161】
2.蠕動ポンプを250ml/分で使用することによって、プライミング緩衝液(75mMトリス、pH9、2mM MgCl2)750mLを用いてフィルターをフラッシュすることにより、Sartopure PP3(5.0μm/1.2μm)フィルターをプライミングする:
【0162】
(a)両方のフィルターの空気ポートを開口し、緩衝液が出るまでフラッシュし、次いで完全にプライミングされるまで閉口する;
【0163】
(b)全てのプライミング緩衝液がなくなるまでポンプで送り、空気ポートを再び開口する(それ以上の液体は出なくなるはずである)。
【0164】
3.蠕動ポンプを250ml/分で使用して、溶解物をフィルターに通してポンプで送ることによって溶解物全体を濾過する。
【0165】
液体がサイド空気ポートから出てくるまで、ウイルス溶解物をゆっくりとポンプで送るのを開始し、次いでキャップを外し、エタノールで拭く;
【0166】
(d)全ての溶解物(約600ml)を250ml/分の速度でフィルターに通してポンプで送る。
【0167】
(e)最後に、空気のみが空気ポートから出てくるまでポンプで通す(開口する);
【0168】
(f)この容器を分離し、試料を収集する。
【0169】
4.フィルターを等体積のフラッシュ緩衝液(75mMトリス、pH9、2mM MgCl2)を用いて250ml/分で別の容器にフラッシュし、フラッシュ緩衝液をサンプリングする。
【0170】
5.濾過した溶解物およびフラッシュ緩衝液をプールし、別の試料を収集する。
【0171】
6.ステップ4のプールされた溶解物のpHを、少量の1M HClを使用してただちに9に調整する。
【0172】
7.pH9.0のプールされた濾液を2~8℃で(必要に応じて週末にわたり)貯蔵する:週末にわたって貯蔵する場合は、6×250μlの資料を採取してから次のステップに進む。
【0173】
8.更に溶解して深層濾過濾液を生成する:ベンゾナーゼ(登録商標)150iU/ml(720μl)および十分な2M NaCl(90mL)を添加して、500mM NaClおよびpH9.0に到達させ、室温で一晩18±4時間インキュベートする。
【0174】
TFFおよび透析濾過
【0175】
1.KrosFlo(登録商標)TFFシステム中の無菌750kD mPES(改変ポリエーテルスルホン)、790cm2中空繊維フィルター(Spectrum)をセットアップする。
【0176】
2.全てがプライミングされるまで、プレフラッシュ緩衝液(75mMトリス、pH9、2mM MgCl2)でTFFシステムをあらかじめフラッシュする。システム中の60~70mlの保持体積をフラッシュアウトし、プレフラッシュ緩衝液を廃棄する。
【0177】
3.深層濾過濾液をはかりに置き、チューブをTFFシステムの入口および出口ラインに連結する。
【0178】
4.試料を10分間再循環させ、せん断がおよそ4000~5000秒-1であることを確実にする。
【0179】
5.深層濾過濾液をフィルター膜に通して流し(せん断速度5000秒-1、TMP(膜通過圧)約1.2psid前後またはそれ未満を継続することを目的とする)、クロスフローが30LMH(L/m2/時間)以下になるまで透過ラインをゆっくりと開口する。試料が約10倍に濃縮されるまで流す。最終的な体積は、リザーバーボトル中で約100~120mlにするべきである。
【0180】
7.VFBラインを開口し、試料容器中で一定の重量を維持することによって透析濾過の1巡目(ウイルス製剤緩衝液「VFB」、pH7)を開始し(せん断速度5000秒-1、最大25~30LMH、約960ml/分を目的とする)、 pH7のVFBと10倍体積の緩衝液交換を行う。
【0181】
8.VFBラインを開口し、試料容器中で一定の重量を維持することによって透析濾過の最終の巡(20mMトリス、pH7.8、8.5%スクロース)を開始し(せん断速度5000秒-1、最大25LMHを再び目的とする)、pH8の20mMトリス、8.5%スクロースと6倍体積の緩衝液交換を行う。
【0182】
9.リザーバー中に15~30mLのみが残されるまで最終濃縮ステップを行い、次いで保持体積がリザーバーに追加されるまでシステムをフラッシュする(60~70ml、最終的に合計75~100mlが得られらる)。
【0183】
10.最終的な保持液を、およそ5mlのアリコートで50mlのコニカルチューブ中に-80℃で貯蔵する。
【0184】
(実施例5)
下流プロセス(II)
【0185】
この例では、
図8に図示するように、例示的なワクシニアウイルスを生産するための下流プロセスに関する例示的なプロトコールを記載する。以下に列挙する記録は、プロトコールの実験を実行したことから取得した記録である。
【0186】
ウイルス感染した宿主Hela細胞をiCELLisナノバイオリアクター中で3日間培養した後にウイルスを回収する。
【0187】
1.対照試料の収集:対照として、反応器床から10個の担体をサンプリングし試料を15mMトリス、pH8.0(0.05ml/cm2)の溶解緩衝液に30分間入れる(溶解緩衝液の体積:7ml)。
【0188】
2.培養培地を排出してあらかじめ洗浄し、ポンプを停止し、手順に従って全ての培地を除去する:
【0189】
(a)培地をループの流れから出したままにし、プライムが終わるまで培地を反時計回りの方向で流す;
【0190】
(b)培地を止める;
【0191】
(c)再循環ボトル中の培地を廃棄する(開口し、注ぎ出す);
【0192】
(d)調節を停止する;
【0193】
(e)全てのクランプを閉じる;
【0194】
(f)試料ボトルからの流路(2個のクランプ)を開口し、ガス排出クランプを開口する;
【0195】
(g)ガス排出ラインで巨大注射器(または手動ポンプ)を使用して、圧力ポンプで培地をサンプリングボトルに送る。
【0196】
3.床を洗浄する。
【0197】
(a)再循環ループのクランプを外す;
【0198】
(b)75mMトリスを含み、pH7.3±0.2を有する25℃の洗浄緩衝液800mlを試料ボトルを介して1cm/秒の直線流速、25℃で0.5時間添加する;
【0199】
(c)インキュベート後に洗浄緩衝液を廃棄する。
【0200】
4.洗浄中に、試料を収集してオフラインでpHを測定する。必要に応じてpH調整を行う。
【0201】
5.バイオリアクターから洗浄緩衝液を除去する直前に、別の試料を収集し、オフラインpHを読み取って、iCELLisオンラインpHが正確に読み取られていることを確認する。
【0202】
6.バイオリアクターのpH制御を9.5±0.2に設定する。
【0203】
7.バイオリアクターの温度制御を25℃に設定する。
【0204】
8.75mMトリスおよび150Uベンゾナーゼ(登録商標)/mlを含み、9.5±0.2のpHを有する溶解緩衝液600mlを添加し、0.5M MgCl2 2.4mlを添加する。
【0205】
9.pHが低下し、安定化するまで待つ。
【0206】
10.オフラインのpH測定を行い、必要に応じてiCELLisオフセットを調整する:
【0207】
pH制御をオンにし(設定点9.5±0.2)、直線流速を1.25cm/秒に増加させ、25℃で4.0時間流す。
【0208】
11.溶解時間は、バイオリアクターが、pHが9.5に到達したことを示した場合に始まる。別のオフラインのpH読み取りを取得して、その読み取りが正確であることを立証する。
【0209】
12.溶解が始まってから2時間後、試料を採取する。
【0210】
13.溶解が始まってから4時間後、バイオリアクターを排出させる。
【0211】
14.pHを測定し、必要に応じて調整する(pHがあまりにも高い場合、1M HCLを使用する)。調製した場合は記録する。
【0212】
清澄化
【0213】
1.
図10に図示するようにフィルター清澄化システムをセットアップする。
【0214】
2.蠕動ポンプを250ml/分で使用することによって、プライミング緩衝液(75mMトリス、pH9、2mM MgCl2)750mLを用いてフィルターをフラッシュすることにより、オートクレーブされたアセンブル済みのSartopure PP3(5.0μm/1.2μm)フィルターをプライミングする:
【0215】
(a)両方のフィルターの空気ポートを開口し、緩衝液が出るまでフラッシュし、次いで完全にプライミングされるまで閉口する;
【0216】
(b)全てのプライミング緩衝液がなくなるまでポンプで送り、空気ポートを再び開口する(それ以上の液体は出なくなるはずである)。
【0217】
3.蠕動ポンプを250ml/分で使用して、溶解物をフィルターに通してポンプで送ることによって溶解物全体を濾過する。
【0218】
(c)液体がサイド空気ポートから出てくるまで、ウイルス溶解物をゆっくりとポンプで送るのを開始し、次いでキャップを外し、エタノールで拭く;
【0219】
(d)全ての溶解物(約600ml)を250ml/分の速度でフィルターに通してポンプで送る。
【0220】
(e)最後に、空気のみが空気ポートから出てくるまでポンプで通す(開口する);
【0221】
(f)この容器を分離し、試料を収集する。
【0222】
4.フィルターを等体積のフラッシュ緩衝液(75mMトリス、pH9、2mM MgCl2)を用いて250ml/分で別の容器にフラッシュし、フラッシュ緩衝液をサンプリングする。
【0223】
5.濾過した溶解物およびフラッシュ緩衝液をプールし、別の試料を収集する。
【0224】
6.ステップ4のプールされた溶解物のpHを、少量の1M HClを使用してただちに9に調整する。
【0225】
7.pH9.0のプールされた濾液を2~8℃で(約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約36時間、約40時間、約45時間、約50時間、約70時間、または約72時間)貯蔵する:長期間にわたって、例えば約36時間貯蔵する場合は、6×250μlの資料を採取してから次のステップに進む。
【0226】
8.更に溶解して深層濾過濾液を生産する:ベンゾナーゼ(登録商標)150U/ml(720μl)および十分な2M NaCl(90mL)を添加して、150mM NaClおよびpH9.0に到達させ、室温で一晩18±4時間インキュベートする。
【0227】
TFFおよび透析濾過
【0228】
1.
図11に図示するように、無菌0.1μm中空繊維フィルター(GE)RTP HFカートリッジTFFシステムをセットアップする。
【0229】
2.プレフラッシュ緩衝液(75mMトリス、2mM MgCl2、150mM NaCl、pH9.00)1LでTFFシステムをあらかじめフラッシュする。
【0230】
3.TFF-1濃縮:
【0231】
(a)保持液リザーバーに約45mLの濾過した溶解物を充てんする。
【0232】
(b)ポンプを約100mL/分で開始して、透過バルブを閉口した状態でチューブに充填する。
【0233】
(c)保持液リザーバーがおよそ5mLに達したら、更に40mLの体積の濾過した溶解物をリザーバーに添加する。供給流速を規定の流速である1.472L/分に増加させ、透過ラインを5~10分閉じて再循環させる。
【0234】
(d)膜コンディショニング後、透過バルブをゆっくりと開口して、15LMHを超える流束速度におけるスパイクを阻止する。
【0235】
(e)濾過した溶解物をその元の体積の1/20に濃縮し(20倍濃度)、透過ラインに制御バルブを適用することによって15LMHの標的で透過流束を制御し;温度は制御しない。
【0236】
4.TFF-1透析濾過1:75mMトリス、2mM MgCl2、150mM NaCl緩衝液20DV、pH9.00を用い;透過流束20リットル/m2/時間(LMH);せん断速度3000~5000s-1で制御し;温度は制御せずに第1の透析濾過を実施する。
【0237】
5.TFF-1透析濾過2:20mMトリス、8.5%w/vスクロース緩衝液10DV、pH7.80を用い;透過流束30LMH;せん断速度3000~5000s-1で制御し;TMPは制御せずに第2の透析濾過を実施する。透析濾過後、TFFシステム(チューブおよびHFカートリッジ)から保持液リザーバーに保持液(retenate)を回収し、製品を回収する間にポンプ流速を低下させる。
【0238】
最終的な濾過
【0239】
図12に図示するように、TFF保持液を1.2μmフィルターに通して、150LMHのポンプ流速で薬物物質ボトルにポンプで送る。
【0240】
(実施例6)
ウイルス生産(I)
【0241】
この例では、本開示の実施形態によるウイルス生産の例および製造プロセスからの例示的なワクシニアウイルスの例示的な収率を記載する。
【0242】
宿主Hela細胞を、例示的なワクシニアウイルスに0.02のm.o.i.で感染させ、4m
2の表面積のマイクロキャリア固定床ベースのバイオリアクター中で培養した。感染後72時間でウイルスを回収し、清澄化、ベンゾナーゼ処理、20倍濃縮のためのTFF、DF-1およびDF-2を行い、次いで得られた精製ウイルス調製物を2~8℃で一晩維持し、続いて最終的に濾過した。表1は、ウイルス力価の測定値、各製造ステップの最後に得られたウイルス調製物中の宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞DNA(hcDNA)、およびBSAの量を示す。
表1.生産性および純度の測定値
【表1】
【0243】
(実施例7)
ウイルス生産(II)
【0244】
この例では、本開示の実施形態によるウイルス生産の例および製造プロセスからの例示的なワクシニアウイルスの例示的な収率を記載する。
【0245】
宿主Hela細胞を、例示的なワクシニアウイルスに0.001のm.o.i.で感染させ、4m
2の表面積のマイクロキャリア固定床ベースのバイオリアクター中で培養した。感染後72時間でウイルスを回収し、清澄化、ベンゾナーゼ(登録商標)処理、20倍濃縮のためのTFF、DF-1およびDF-2を行い、次いで得られた精製ウイルス調製物を2~8℃で一晩維持し、続いて最終的に濾過した。表2は、ウイルス力価の測定値、各製造ステップの最後に得られたウイルス調製物中の宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞DNA(hcDNA)、およびBSAの量を示す。
表2.生産性および純度の測定値
【表2】
【0246】
(実施例8)
ウイルス回収の比較
【0247】
この例では、本開示の実施形態によるウイルス生産の例および従来の低浸透圧的回収方法を使用した製造と比較した、製造プロセスからの例示的なワクシニアウイルスの例示的な収率を記載する。
【0248】
各一連の実験では、Hela細胞の2つのバッチを、例示的な改変ワクシニアウイルスに0.02のMOIで感染させ、マイクロキャリア固定床ベースのバイオリアクター中で48時間成長させた。ウイルス感染したHela細胞の一方のバッチを、低浸透圧性溶解緩衝液を使用して回収し、他方のバッチを、本開示による例示的な高pH緩衝液を使用して回収した。以下の表3は、回収ステップにおける平均収率を要約したものである。
表3.異なる回収方法のウイルス収率
【表3】
【0249】
本開示の好ましい実施形態を本明細書において示し、記載しているが、そのような実施形態はほんの一例として提供される。多くの変形、変更、および置換が本開示から逸脱することなく当業者であれば通常ただちに思いつくであろう。本開示の実施形態に対するさまざまな代替物を、本開示の実施において用いてもよいことは理解するべきである。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内でのその方法および構造ならびにこれらの均等物はそれによってカバーされることが意図される。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させて、1宿主細胞あたり少なくとも約50プラーク形成単位(PFU)から約350PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む製造方法。
(項目2)
(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させること;および(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記回収することが、前記培養物を溶解して、組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団を含む溶解物を生産することを含むこと、および(iii)前記溶解物を清澄化して、精製された組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を生産することであって、精製された組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団が、前記溶解物中に組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団の少なくとも約50%から約90%を含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む製造方法。
(項目3)
バイオリアクター中で成長させた複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×10
11
から約5×10
13
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む製造方法。
(項目4)
バイオリアクター中で成長させた複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、前記培養物1mLあたり約1.5×10
8
から約2×10
10
PFUのウイルス力価を含むことを含み、バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む製造方法。
(項目5)
(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させること;および(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することがアルカリ性条件で行われる製造方法。
(項目6)
バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させて、組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を生産することであって、前記複数のウイルス感染宿主細胞が、約0.0001から約0.01PFU/細胞の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染していることを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む製造方法。
(項目7)
(i)バイオリアクター中で複数のウイルス感染宿主細胞を含む培養物を成長させることであって、前記複数のウイルス感染宿主細胞が、約0.0001から約0.01の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染していること、および(ii)前記培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×10
11
から約5×10
13
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含む製造方法。
(項目8)
前記バイオリアクターが固定床を含む、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記固定床がマイクロキャリアを含む、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記固定床が約0.01Lから約25Lの体積を含む、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記固定床が少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記固定床が少なくとも約96g/Lの圧縮密度を含む、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記複数のウイルス感染宿主細胞が、前記バイオリアクター中に少なくとも約1,000細胞/cm
2
から約150,000細胞/cm
2
の密度で播種される、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物を約24時間から約96時間成長させる、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物を約48時間から約72時間成長させる、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が、少なくとも約20%から約100%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が約32℃から約38℃の温度で維持される、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記ウイルス感染宿主細胞を含む前記培養物が約7.0から約7.5のpHで維持される、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
複数の前記ウイルス感染細胞が、約0.0005から約0.2の感染多重度(m.o.i.)でウイルスに感染している、項目1から5および8から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
アルカリ性緩衝液中でインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む、項目1および6から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
細胞デブリを分解するための酵素とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む、項目1および6から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを更に含む、項目1および6から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記回収することが、アルカリ性緩衝液中でインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む、項目2から5および8から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記回収することが、細胞デブリを分解するための酵素とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む、項目2から5および8から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記回収することが、細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む、項目2から5および8から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記インキュベート中の前記酵素の濃度が約50IU/mLから約200IU/mLである、項目21、22、24、および25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記インキュベートすることが約2時間から約8時間行われる、項目20から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記インキュベートすることが約22℃から約28℃の温度で行われる、項目20から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
細胞デブリを分解するための前記酵素がベンゾナーゼを含む、項目21から22および24から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記アルカリ性緩衝液が8を超えるpHを構成する、項目20、22から24、および25から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記アルカリ性緩衝液が8.0を超えるpHから約10.0のpHを構成する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記アルカリ性緩衝液が約9.5のpHを構成する、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記アルカリ性緩衝液がトリス緩衝液を含む、項目20から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記インキュベート中のpHをモニタリングすることを更に含む、項目20から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
濾過を行って、濾過した溶解物を生成することを更に含む、項目20から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
細胞デブリを分解するための酵素で前記濾過した溶解物を処理することを更に含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記処理することがアルカリ性条件で行われる、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記処理することが約10時間から約24時間行われる、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記処理することに続いて、前記濾過した溶解物のタンジェンシャルフロー濾過が行われて、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物が生成される、項目36から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記タンジェンシャルフロー濾過が、前記濾過した溶解物を濃縮することを含み、続いて透析濾過の少なくとも1巡目および2巡目が行われる、項目39に記載の方法。
(項目41)
透析濾過の前記1巡目が約9.0から約9.5のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
透析濾過の前記1巡目が約20倍体積の前記緩衝液交換を含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
約9.0から約9.5のpHを構成する前記緩衝液が約40mMから約80mMのトリス濃度を含む、項目41または42に記載の方法。
(項目44)
約9.0のpHを構成する前記緩衝液が約75mMのトリス濃度を含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
透析濾過の前記2巡目が、7.5を超えるpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む、項目40から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
透析濾過の前記2巡目が、7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液との約10倍体積の前記緩衝液交換を含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液が約10mMから約30mMのトリス濃度を含む、項目45または46に記載の方法。
(項目48)
7.5を超えるpHを構成する前記緩衝液が少なくとも約5体積%から少なくとも約10体積%のスクロースを更に含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記タンジェンシャルフロー濾過が、約15LMHから約50LMHを含む流速で行われる、項目39から48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約5ngから約100ngの宿主細胞DNAを含む、項目39から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約0.1μgから約10μgの宿主細胞タンパク質を含む、項目39から50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記単位用量が約10
9
から約10
13
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む、項目50または51に記載の方法。
(項目53)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約400ng、約200ng、約100ng、約50ng、または約40ngの宿主細胞DNAを含む、項目39から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約7.5μg、約7μg、約6μg、約5μg、または約4μgの宿主細胞DNAを含む、項目39から49および53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約100ng、約60ng、約50ng、約30ng、または約25ngの、前記培養物中において使用される血清アルブミンを含む、項目39から49および54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記宿主細胞が、HeLa細胞、293細胞、およびベロ細胞からなる群から選択される、項目1から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスが組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む、項目1から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
項目1から57のいずれか一項に記載の方法によって生産される組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を含む組成物。
(項目59)
1宿主細胞あたり少なくとも約50PFUから約350PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む宿主細胞の培養物を含むバイオリアクター。
(項目60)
固定床を含み、前記固定床が宿主細胞の前記培養物を含む、項目59に記載のバイオリアクター。
(項目61)
宿主細胞の前記培養物が前記固定床内のマイクロキャリア中で増殖される、項目60に記載のバイオリアクター。
(項目62)
宿主細胞の前記培養物を含み、前記培養物が、約1,000細胞/cm
2
前記固定床から約10,000細胞/cm
2
前記固定床の宿主細胞密度を含む、項目60または61に記載のバイオリアクター。
(項目63)
前記固定床が約0.01Lから約25Lの体積を含む、項目59から62のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
(項目64)
前記固定床が少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む、項目59から63のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
(項目65)
前記固定床が約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む、項目59から63のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
(項目66)
約1.5×10
11
から約5×10
13
PFUの組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むバイオリアクター。
(項目67)
固定床を含み、前記固定床が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む培養物を含む、項目66に記載のバイオリアクター。
(項目68)
前記固定床が約0.01Lから約25Lの体積を含む、項目59から65および66のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
(項目69)
前記固定床が少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む、項目68に記載のバイオリアクター。
(項目70)
前記固定床が約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含む、項目68または69に記載のバイオリアクター。
(項目71)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスが組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む、項目59から70のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
(項目72)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することであって、前記集団が、約1.5×10
11
から約5×10
13
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むことを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することがアルカリ性条件で行われる方法。
(項目73)
前記バイオリアクターが固定床を含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記固定床がマイクロキャリアを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記固定床が約0.01Lから約25Lの体積を含む、項目73または74に記載の方法。
(項目76)
前記固定床が少なくとも約80g/Lから約144g/Lの圧縮密度を含む、項目73から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記固定床が少なくとも約96g/Lの圧縮密度を含む、項目73から76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記宿主細胞が、前記バイオリアクター中に少なくとも約1,000細胞/cm
2
から約150,000細胞/cm
2
の密度で播種される、項目72から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記更なる培養物が、少なくとも約20%から約100%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む、項目72から78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記更なる培養物が約50%の溶存酸素圧(DOT)レベルを含む、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記更なる培養物が約32℃から約38℃の温度で維持される、項目72から80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記更なる培養物が約36℃の温度で維持される、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記更なる培養物が約7.0から約7.5のpHで維持される、項目72から82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
前記更なる培養物が約7.2のpHで維持される、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記回収することが、細胞デブリを分解するための酵素およびアルカリ性緩衝液とインキュベートすることによって前記複数のウイルス感染宿主細胞を溶解することを含む項目72から84のいずれか一項に記載の方法。
(項目86)
前記インキュベート中の細胞デブリを分解するための前記酵素の濃度が約50IU/mLから約200IU/mLである、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記インキュベートすることが約5時間行われる、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記インキュベートすることが約22℃から約28℃の温度で行われる、項目86または87に記載の方法。
(項目89)
前記インキュベートすることが約27℃の温度で行われる、項目88に記載の方法。
(項目90)
細胞デブリを分解するための前記酵素がベンゾナーゼを含む、項目85から89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
細胞デブリを分解するための前記酵素がベンゾナーゼを含み、前記インキュベートすることが前記ベンゾナーゼの存在下、約150IU/mLの濃度、約27℃の温度で約5時間行われる、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記アルカリ性緩衝液が8を超えるpHを構成する、項目85から91のいずれか一項に記載の方法。
(項目93)
前記アルカリ性緩衝液が8.0を超えるpHから約10.0のpHを構成する、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記アルカリ性緩衝液が約9.5のpH含む、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記アルカリ性緩衝液がトリス緩衝液を含む、項目85から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記インキュベート中のpHをモニタリングすることを更に含む、項目85から95のいずれか一項に記載の方法。
(項目97)
濾過を行って、濾過した溶解物を生成することを更に含む、項目85から96のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
前記濾過した溶解物を細胞溶解酵素で処理することを更に含む、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記処理することがアルカリ性条件で行われる、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記処理することが約10時間から約24時間行われる、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記処理することが約4℃の温度で約18時間行われる、項目99に記載の方法。
(項目102)
前記処理することに続いて前記濾過した溶解物のタンジェンシャルフロー濾過が行われて、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物が生成される、項目98から101のいずれか一項に記載の方法。
(項目103)
前記タンジェンシャルフロー濾過が、前記濾過した溶解物を濃縮することを含み
、続いて透析濾過の少なくとも1巡目および2巡目が行われる、項目102に記載の方法。
(項目104)
透析濾過の前記1巡目が、約9.0から約9.5のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む、項目103に記載の方法。
(項目105)
透析濾過の前記1巡目が約20倍体積の前記緩衝液交換を含む、項目104に記載の方法。
(項目106)
約9.0から約9.5のpHを構成する前記緩衝液が、約40mMから約100mMのトリス濃度を含む、項目104または105に記載の方法。
(項目107)
透析濾過の前記2巡目が、約7.0から約8.0のpHを構成する緩衝液との緩衝液交換を含む、項目103から106のいずれか一項に記載の方法。
(項目108)
透析濾過の前記2巡目が約10倍体積の前記緩衝液交換を含む、項目107に記載の方法。
(項目109)
約7.0から約8.0のpHを構成する前記緩衝液が、約15mMから約30mMのトリス濃度を含む、項目107または108に記載の方法。
(項目110)
約7.0から約8.0のpHを構成する前記緩衝液が、少なくとも約5体積%から少なくとも約20体積%のスクロースを更に含む、項目107から109のいずれか一項に記載の方法。
(項目111)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約5ngから約100ngの宿主細胞DNAを含む、項目102から110のいずれか一項に記載の方法。
(項目112)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの単位用量中に約0.1μgから約10μgの宿主細胞タンパク質を含む、項目102から111のいずれか一項に記載の方法。
(項目113)
前記単位用量が約10
9
から約10
13
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む、項目111または112に記載の方法。
(項目114)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約400ng、約200ng、約100ng、約50ng、または約40ngの宿主細胞DNAを含む、項目102から113のいずれか一項に記載の方法。
(項目115)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約7.5μg、約7μg、約6μg、約5μg、または約4μgの宿主細胞DNAを含む、項目102から113のいずれか一項に記載の方法。
(項目116)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、前記組換え腫瘍溶解性ウイルス5×10
9
PFUあたり、最大約100ng、約60ng、約50ng、約30ng、または約25ngの、前記培養物中において使用される血清アルブミンを含む、項目102から113および115のいずれか一項に記載の方法。
(項目117)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約36℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目118)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.003PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約35℃の温度および約45%の溶存酸素圧レベルで約48時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約8.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目119)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約32℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約24時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約8.0のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目120)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約7.8のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目121)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.005PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目122)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.001PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約36℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約72時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約10
12
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目123)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.003PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約35℃の温度および約45%の溶存酸素圧レベルで約48時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約10
12
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約8.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目124)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約32℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約24時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約10
12
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約8.0のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目125)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.002PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約10
12
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約7.8のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目126)
組換え腫瘍溶解性ウイルスを生産するための方法であって、(i)バイオリアクター中で宿主細胞の培養物とワクシニアウイルスとを約0.005PFU/細胞の感染多重度で接触させること;(ii)前記培養物を約37℃の温度および約50%の溶存酸素圧レベルで約96時間成長させて、複数のウイルス感染宿主細胞を含む更なる培養物を生成すること;(iii)前記複数のウイルス感染宿主細胞を含む前記更なる培養物から少なくとも約10
12
PFUの前記組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスの集団を回収することを含み、前記バイオリアクターが約0.2m
2
から約500m
2
の表面積を含み、前記回収することが約9.5のpHを構成する緩衝液の存在下で行われる方法。
(項目127)
ステップ(iii)で回収された組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記集団を精製して、前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの精製調製物を生産することを更に含む、項目117から126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記組換え腫瘍溶解性ウイルスの前記精製調製物が、少なくとも約2×10
11
から約7×10
11
PFUのウイルスを含む、項目127に記載の方法。