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特許7625536ヌクレオチドP(V)モノマーを調製するための新規の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】ヌクレオチドP(V)モノマーを調製するための新規の方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/11 20060101AFI20250127BHJP
   C07H 19/213 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
C07H19/11
C07H19/213
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021561622
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2020060379
(87)【国際公開番号】W WO2020212301
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】19169409.0
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】アルベク ナンナ
(72)【発明者】
【氏名】ファンダー エリック
(72)【発明者】
【氏名】カトケビカ ダース
(72)【発明者】
【氏名】カトケビッチ マルティンス
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523316(JP,A)
【文献】国際公開第2018/177825(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/023459(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/114495(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/103929(WO,A1)
【文献】Science,2018年,361,1234-1238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IIIa)または(IIIb)の化合物を調製するための方法であって、
式(I)の修飾ヌクレオシド:
[式中、PGは、ヒドロキシル保護基であり、
はHであり、Rは-O(CHOCHであるか、または
およびRは一緒に、-CH-O-もしくは-CH(CH)O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している]を、
式(IIa)または(IIb)の化合物:
[式中、Rは、ハロによって置換されたC6~C10アリールであり、ハロは、F、ClおよびBrから選択され、Rは、直鎖状または分枝状のC1~C6-アルキルである]と、
塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(DBUは、式(I)のヌクレオシドに対して0.8当量の量で使用される)を用いて反応させて、
式(IIIa)または(IIIb)のモノマー:
を生成する工程を含む、方法。
【請求項2】
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ia):
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ib):
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ic):
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
核酸塩基が、A、T、G、C、および5-メチルシトシンからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
核酸塩基が、A、TおよびGからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
A、G、Cまたは5-メチルシトシンにおいて、環外のアミノ部位がアミノ保護基によって保護される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
アミノ保護基が、DMFおよびiBuからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製するためのP(V)モノマーとして、式(IIIa)または(IIIb)の化合物をカップリングさせる工程をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
がHであり、Rが-O(CHOCHである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
およびRが一緒に、-CH-O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
およびRが一緒に、-CH(CH)O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
が、1~5個のFによって置換されたフェニルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
が、メチルまたはエチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオチドP(V)モノマーを調製するための新規の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヌクレオチドモノマーは、オリゴヌクレオチドの合成におけるビルディングブロックである。ロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチドは、治療用合成アンチセンスオリゴヌクレオチドとして特に有用な合成オリゴヌクレオチドである。治療剤としてのLNAオリゴヌクレオチドの使用によって、最近の数十年にわたって、RNase Hを活性化するギャップマー、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、microRNA阻害剤、siRNAまたはアプタマーを含む多様なメカニズムによって作用する分子の開発をもたらす顕著な進歩が確認されている(S.T.Crooke、Antisense drug technology:principles,strategies,and applications、第2版 Boca Raton,FL 編:CRC Press、2008(非特許文献1))。この点では、少なくとも一部のヌクレオチド間連結が天然のホスホジエステル(phoshodiester)の代わりにホスホロチオエートであることを意味するホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、特に薬理的に興味深いことを示している。
【0003】
リンの周囲にキラルに画定されていないヌクレオチドモノマーを使用することの結果の1つは、各ホスホロチオエート連結がR立体配置とS立体配置の両方として見出されることである(すなわち、ステレオランダムホスホロチオエート連結)。これは、特定のホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドが、同じ配列内に多くの異なるジアステレオ異性体を含有し得るという結果をもたらす。例えば、16ヌクレオチド長の所与のセット配列のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの場合には、最大215個の異なるジアステレオ異性体が存在する。これにより、同じ16オリゴヌクレオチドのセット配列に関する32,000を超える潜在的に薬理的に別個の化合物がもたらされる。したがって、薬理的に最適な化合物または薬理的に最適な化合物のセットをこのような混合物から同定、合成および/または単離することが非常に望ましい。実際に、このような最適化合物が、標準的なステレオランダムホスホロチオエートオリゴヌクレオチドよりさらに高い治療可能性を有することになることが合理的に推定され得る。
【0004】
このようなホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを合成する際の重要な工程のうちの1つは、そのビルディングブロック、すなわちそのモノマーの調製である。この工程は、好適には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成をジアステレオ異性体の好ましいセットまたはさらには単一のジアステレオ異性体へと指向させるように、立体選択的に実施され得る。
【0005】
従来、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに関するモノマーの合成は、リン/[P(III)]に基づく試薬系で実施されている。最近では、Baranら、Science、2018、361、1234~1238頁(非特許文献2)は、「プログラム可能な、痕跡を残さない、ジアステレオ選択性リン-硫黄組込みに関するプラットフォーム(platform for programmable,traceless,diastereoselectivephosphorus-sulfur incorporation)」という造語のリン/[P(V)]に基づく試薬系を使用する異なるアプローチを提示した。Baranらは、「この試薬系の力が、効率的で、費用がかからず、かつ操作が簡単なプロトコールによる、ASOおよびCDNを含む様々なヌクレオチド構造の強固かつ立体制御された合成によって実施される」ことをさらに提案している。
【0006】
残念ながら、Baranらは、本発明者らに、目的のLNAヌクレオチドP(V)モノマーの調製について説明することができず、DNAヌクレオチドP(V)モノマーの調製について説明するだけである。多くのパラメータ、試薬および方法の条件について徹底的に再調査した後、多くの他の推奨の中で、Baranらは、最適条件として、塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)をヌクレオシドに対して1.3当量使用することを教示している。
【0007】
本発明者らは、驚くほど最適化された条件を有するP(V)試薬に基づく系によって、LNAヌクレオチドP(V)モノマーを調製するための新たな方法を見出し、当技術分野で説明されたよりも比較的高い収率を有する最も安価な方法をもたらした。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】S.T.Crooke、Antisense drug technology:principles,strategies,and applications、第2版 Boca Raton,FL 編:CRC Press、2008
【文献】Baranら、Science、2018、361、1234~1238頁
【発明の概要】
【0009】
第一の態様では、本発明は、式(IIIa)または(IIIb)のP(V)モノマー:
を、ヌクレオシドから出発し塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(DBUは、ヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される)を用いて調製するための方法に関する。
【0010】
第二の態様では、本発明は、式(IIIa)または(IIIb)の化合物:
[式中、R、R、R、およびRは、本明細書において定義されている]
に関する。
【0011】
第三の態様では、本発明は、本発明の方法によって調製される、式(IIIa)または(IIIb)の化合物に関する。
【0012】
第四の態様では、本発明は、本発明の方法によって製造されるLNAオリゴヌクレオチドに関する。
【0013】
[本発明1001]
式(IIIa)または(IIIb)の化合物を調製するための方法であって、
式(I)の修飾ヌクレオシド:
[式中、PGは、ヒドロキシル保護基であり、
はHであり、R は-O(CH OCH であるか、または
およびR は一緒に、-CH -O-もしくは-CH(CH )O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置R を介して結合している]を、
式(IIa)または(IIb)の化合物:
[式中、R は、ハロによって置換されたC ~C 10 アリールであり、ハロは、F、ClおよびBrから選択され、R は、直鎖状または分枝状のC ~C -アルキルである]と、
塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(DBUは、式(I)のヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される)を用いて反応させて、
式(IIIa)または(IIIb)のモノマー:
を生成する工程を含む、方法。
[本発明1002]
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ia):
を有する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ib):
を有する、本発明1001の方法。
[本発明1004]
式Iのヌクレオシドが、以下の式(Ic):
を有する、本発明1001の方法。
[本発明1005]
核酸塩基が、A、T、G、C、および5-メチルシトシンからなる群から選択される、本発明1001から1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
核酸塩基が、A、TおよびGからなる群から選択される、本発明1001から1004のいずれかの方法。
[本発明1007]
A、G、Cまたは5-メチルシトシンにおいて、環外のアミノ部位がアミノ保護基によって保護される、本発明1005または1006の方法。
[本発明1008]
アミノ保護基が、DMFまたはiBuからなる群から選択される、本発明1007の方法。
[本発明1009]
アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製するためのP(V)モノマーとして、式(IIIa)または(IIIb)の化合物をカップリングさせる工程をさらに含む、本発明1001から1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
がHであり、R が-O(CH OCH である、本発明1001から1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
およびR が一緒に、-CH -O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置R を介して結合している、本発明1001から1009のいずれかの方法。
[本発明1012]
およびR が一緒に、-CH(CH )O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置R を介して結合している、本発明1001から1009のいずれかの方法。
[本発明1013]
が、1~5個のFによって置換されたフェニルである、本発明1001から1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
が、メチルまたはエチルである、本発明1001から1012のいずれかの方法。
[本発明1015]
本発明1001から1014のいずれかの式(I)のヌクレオシドから出発する式(IIIa)または(IIIb)の化合物の生成における、塩基としての1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)の使用であって、DBUが、該ヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される、使用。
[本発明1016]
式(IIIa)または(IIIb)の化合物:
[式中、R 、R 、R およびR は、本発明1001から1014において定義される通りである]。
[本発明1017]
本発明1001から1014のいずれかの方法によって調製された、本発明1016の式(IIIa)または(IIIb)の化合物。
[本発明1018]
本発明1001から1014のいずれかの方法によって製造された、オリゴヌクレオチド。
[本発明1019]
本明細書に記載された発明。
本発明の他の態様は、以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
「アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1~8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、詳細には1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、より詳細には1~4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。直鎖および分枝鎖のC~Cアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチルおよび異性体オクチル、詳細にはメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルである。アルキルの特定の例は、メチル、エチルおよびプロピルである。
【0015】
「アミノ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、第一級アミノ基(-NH)、第二級アミノ基(-NH-)、または第三級アミノ基(-N-)を表す。
【0016】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ基の保護基を示す。アミンは、有機反応中に保護基を必要とすることが多い官能基である。t-ブトキシカルボニル(Boc、例えば、濃縮強酸(HClまたはCF3COOHなど)によって、または80℃より高温に加熱することによって除去される)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz、例えば、水素化分解によって除去される)、または9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc、例えば、塩基、例えばピペリジンによって除去される)などのカルバメートは、通常使用されるアミン保護基である。異なる脱保護条件を有する保護基に関する追加の選択肢は、第一級、第二級、および複素環式のアミン:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イルオキシカルボニル(Tempoc)に関する有用な保護基を開発したPeter Wipf、University of Pittsburgh、PA、USA、およびその仲間によって記載されたように使用され得る。アセチル(Ac)基は、シトシン核酸塩基におけるN4およびアデニン核酸塩基におけるN6の保護に関してオリゴヌクレオチド合成において一般的であり、塩基、最も高頻度には水性または気体のアンモニアまたはメチルアミンによる処理によって除去することができる。Acは、安定性が高過ぎるため、脂肪族アミドから容易に除去することができない。ベンゾイル(Bz)基もまた、シトシン核酸塩基におけるN4およびアデニン核酸塩基におけるN6の保護に関してオリゴヌクレオチド合成において一般的であり、塩基、最も高頻度には水性または気体のアンモニアまたはメチルアミンによる処理によって除去することができる。Bzは、安定性が高過ぎるため、脂肪族アミドから容易に除去することができない。一般的に使用される他の好適なアミノ保護基、例えばDMFまたはiBuについても当業者によって考慮され得る。
【0017】
「アリール」という用語は、単独でまたは組み合わせて、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルおよびホルミルから独立して選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10個の炭素環原子を含む一価の芳香族炭素環式単環系または二環式環系を示す。アリールの例としては、フェニルおよびナフチル、特にフェニルが挙げられる。
【0018】
DBUについて言及する場合、表現「ヌクレオシドに対して約0.8当量の量で」は、ヌクレオシドに対して0.7~0.9当量の範囲を意味する。この文脈では、当量はモル当量を意味する。言い換えれば、これは、DBU約0.7~0.9:ヌクレオシド1のモル比を示す。
【0019】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、詳細にはフッ素、塩素または臭素、より詳細にはフッ素を表す。「ハロ」という用語は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲンによる前記基の置換、詳細には1~5個のハロゲン、詳細には1~4個のハロゲン、すなわち1、2、3または4個のハロゲンで置換されたものを示す。
【0020】
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、-OH基を表す。
【0021】
「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の保護基であり、チオール基を保護するためにも使用される。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(またはビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(またはトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチルまたはトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)およびトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテルおよびエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の特定の例は、DMTおよびTMT、特にDMTである。
【0022】
「LNAモノマー」という用語は、LNAヌクレオチドを指し、ヌクレオシドが本明細書で定義されるLNAヌクレオシドであるヌクレオチドを意味する。
【0023】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的にまたはその他の点で望ましくない訳ではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持するこれらの塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、詳細には塩酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸により形成される。さらに、これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の付加から調製することができる。無機塩基に由来する塩としては、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基に由来する塩としては、以下に限定されないが、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩基性イオン交換樹脂が挙げられる。本発明のオリゴヌクレオチドは、双性イオンの形態でも存在し得る。本発明の特に好ましい薬学的に許容される塩は、ナトリウム、リチウム、カリウムおよびトリアルキルアンモニウム塩である。
【0024】
「保護基」という用語は、単独でまたは組み合わせて、化学反応が、別の保護されていない反応部位で選択的に実行され得るように、多官能化合物における反応部位を選択的にブロックする基を表す。保護基は除去されてもよい。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基またはヒドロキシ保護基である。
【0025】
「ホスフェート保護基」は、ホスフェート基の保護基である。ホスフェート保護基の例は、2-シアノエチルおよびメチルである。ホスフェート保護基の特定の例は、2-シアノエチルである。
【0026】
本発明の出発材料または化合物のうちの1つが、安定ではないかまたは1つもしくは複数の反応工程の反応条件下で反応性である1つまたは複数の官能基を含有する場合、適切な保護基(例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、1999、Wiley、New Yorkによる「Protective Groups in Organic Chemistry」に記載される)は、当技術分野で周知の方法を適用する重要な工程の前に導入され得る。このような保護基は、この文献に記載された標準的方法を使用して、合成のより遅い段階で除去され得る。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)およびp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0027】
本明細書に記載の化合物は、いくつかの不斉中心を含有することができ、光学的に純粋な鏡像異性体、例えばラセミ体などの鏡像異性体の混合物、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオ異性ラセミ体またはジアステレオ異性ラセミ体の混合物の形態で存在し得る。
【0028】
オリゴヌクレオチド
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の共有結合により連結したヌクレオシドを含む分子として、これが、当業者によって一般的に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドは、核酸分子またはオリゴマーとも称されてもよい。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、それに続く精製によって実験室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合により連結したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分、またはその修飾物の配列または順序に対して言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、かつ典型的には、精製または単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでもよい。
【0029】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、標的核酸、特に標的核酸における連続配列とハイブリダイズすることによって、標的遺伝子の発現をモジュレートすることが可能なオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的には二本鎖ではなく、したがって、siRNAでもshRNAでもない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、その内のまたはその間の自己相補性の程度がオリゴヌクレオチドの全長の50%未満である限り、ヘアピンまたは分子間二重構造(同じオリゴヌクレオチドの二つの分子間で二重)を形成することができる。
【0030】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的であるオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書において、「連続核酸塩基配列」という用語および「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と交換可能に使用される。一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を構成する。一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、F-G-F’ギャップマー領域などの連続ヌクレオチド配列を含み、さらなるヌクレオチド、例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に結合させるために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を必要に応じて含んでもよい。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であってもなくてもよい。
【0031】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドのビルディングブロックであり、本発明の目的では、天然に存在するヌクレオチドと天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む。本質的に、DNAおよびRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分および1つまたは複数のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシドとヌクレオチドは、「ユニット」または「モノマー」と交換可能に称されてもよい。
【0032】
修飾ヌクレオシド
「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」という用語は、本明細書で使用される場合、糖部分または(核酸)塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入によって、相当するDNAまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施形態では、修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語は、「ヌクレオシド類似体」または修飾「ユニット」または修飾「モノマー」という用語と交換可能に使用されてもよい。修飾されていないDNAまたはRNA糖部分を含むヌクレオシドは、本明細書においてDNAまたはRNAヌクレオシドと称される。DNAまたはRNAヌクレオシドの塩基領域において修飾を含むヌクレオシドは、一般的に、これらがワトソンクリック塩基対合を可能にする場合、依然としてDNAまたはRNAと称される。
【0033】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシドおよびヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えば、ウラシル、チミンおよびシトシン)部分を含む。本発明の文脈では、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なってもよいが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈では、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基と、天然に存在しない変異体の両方を指す。このような変異体は、例えば、Hiraoら(2012)Accounts of Chemical Research 第45巻 2055頁およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0034】
一部の実施形態では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾されたプリンまたはピリミジン、例えば、置換されたプリンまたは置換されたピリミジンに変更することにより修飾されており、例えば、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチル-シトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル 5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基である。
【0035】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUにより示されてもよく、ここで、各文字は、等価機能の修飾された核酸塩基を必要に応じて含んでもよい。例えば、例示されるオリゴヌクレオチドでは、核酸塩基部分は、A、T、G、C、および5-メチルシトシンから選択される。必要に応じて、LNAギャップマーでは、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用されてもよい。
【0036】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つまたは複数の糖修飾ヌクレオシドおよび/または修飾ヌクレオシド間連結を含むオリゴヌクレオチドについて説明する。キメラオリゴヌクレオチドという用語は、修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを説明するためにこの文献において使用された用語である。
【0037】
立体定義されたオリゴヌクレオチド
立体定義されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間連結の少なくとも1つが立体定義されたヌクレオシド間連結であるオリゴヌクレオチドである。
【0038】
立体定義されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間連結の少なくとも1つが立体定義されたホスホロチオエートヌクレオシド間連結であるオリゴヌクレオチドである。
【0039】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソンクリック塩基対合に関する能力について説明する。ワトソンクリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)およびアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば5-メチルシトシンはシトシンの代わりに使用されることが多く、このため、相補性という用語は、修飾されていない核酸塩基と修飾された核酸塩基の間のワトソンクリック塩基対合を包含することが理解されよう(例えば、Hiraoら(2012)Accounts of Chemical Research 第45巻 2055頁およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照されたい)。
【0040】
「%相補的」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列が、所与の位置で、別の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置で、連続ヌクレオチド配列に対して相補的である(すなわち、ワトソンクリック塩基対を形成する)該核酸分子中の連続ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの割合を指す。このパーセンテージは、2つの配列間で対を形成するアラインされた(標的配列5’-3’および3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列とアラインされた場合)塩基の数を数え、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、アラインされない(塩基対を形成しない)核酸塩基/ヌクレオチドをミスマッチと呼ぶ。好ましくは、挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0041】
「完全に相補的」という用語は、100%の相補性を指す。
【0042】
同一性
「同一性」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列が、所与の位置で、別の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置で、連続ヌクレオチド配列に対して同一である(すなわち、相補的ヌクレオシドとワトソンクリック塩基対を形成する能力がある)該核酸分子中の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの数をパーセントで表したものを指す。このパーセンテージは、その2つの配列間で同一であるアラインされた塩基の数を数え、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。パーセント同一性=(一致した数×100)/アラインされた領域の長さ。好ましくは、挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0043】
ハイブリダイゼーション
「ハイブリダイズすること」または「ハイブリダイズする」という用語は、本明細書で使用される場合、対向する鎖上の塩基対の間に水素結合を形成することによって、二重鎖を形成する2本の核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドと標的核酸)と理解されるべきである。2本の核酸鎖間の結合の親和性が、ハイブリダイゼーションの強さである。この強さは、オリゴヌクレオチドの半数が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される融解温度(T)で記述されることが多い。生理的条件では、Tは、親和性と厳密に比例することはない(MergnyおよびLacroix、2003、Oligonucleotides 13:515~537頁)。標準状態のギッブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性のより正確な表現であり、ΔG°=-RTln(K)[式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である]によって反応の解離定数(K)と関係している。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸の間の反応の非常に小さいΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸の間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水溶液の濃度が1Mであり、pHが7であり、温度が37℃である反応に伴うエネルギーである。標的核酸へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的な反応であり、自発的な反応ではΔG°がゼロよりも小さい。ΔG°は、例えば、Hansenら、1965、Chem.Comm.36~38頁およびHoldgateら、2005、Drug Discov Todayに記載されている等温滴定熱量測定(ITC)法の使用によって実験的に測定することができる。ΔG°の測定には市販の装置を利用できることを当業者は知っているであろう。ΔG°は、SantaLucia、1998、Proc Natl Acad Sci USA.95:1460~1465頁に記載されている最近傍モデルを使用して、Sugimotoら、1995、Biochemistry 34:11211~11216頁およびMcTigueら、2004、Biochemistry 43:5388~5405頁に記載されている大まかに導出した熱力学的パラメータを使用して、数値で評価することもできる。その意図される核酸標的をハイブリダイゼーションによってモジュレート可能にするため、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長であるオリゴヌクレオチドでは-10kcalよりも小さい推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。一部の実施態様では、ハイブリダイゼーションの強さの程度は、標準状態のギッブス自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長であるオリゴヌクレオチドでは、-10kcal未満、例えば、-15kcal未満、例えば、-20kcal未満および-25kcal未満の範囲の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズすることができる。一部の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば、-12~-40kcal、例えば、-15~-30kcalまたは-16~-27kcal、例えば、-18~-25kcalの推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。
【0044】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾糖部分、すなわち、DNAおよびRNAにおいて見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1つまたは複数のヌクレオシドを含んでもよい。
【0045】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドは、主に、オリゴヌクレオチドのある特定の特性、例えば、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性を改善する目的で作製されている。
【0046】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、または典型的には、リボース環上のC2炭素とC4炭素の間にビラジカル架橋を有する二環式の環(LNA)、または典型的には、C2炭素とC3炭素の間の結合を欠いている非連結リボース環(例えば、UNA)による置換によって、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環式核酸(WO2013/154798)が含まれる。修飾ヌクレオシドには、例えば、ペプチド核酸(PNA)、またはモルホリノ核酸の場合に、糖部分が糖ではない部分で置換されているヌクレオシドも含まれる。
【0047】
糖修飾には、リボース環上の置換基を、DNAヌクレオシドおよびRNAヌクレオシド中に天然に見出される水素、または2’-OH基以外の基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’、または5’位に導入されてもよい。
【0048】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、またはLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドのように、リボース環中の2’炭素と2番目の炭素の間に架橋を形成することが可能な2’連結ビラジカルを含む、ヌクレオシドである。
【0049】
実際に、2’修飾ヌクレオシドを開発することに多くの注目が集まり、多数の2’修飾ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチド中に組み込まれた場合に有益な特性を有することが見出された。例えば、2’修飾糖は、オリゴヌクレオチドに、増強された結合親和性および/または増大されたヌクレアーゼ耐性を与え得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNAヌクレオシド、2’-O-メチル-RNAヌクレオシド、2’-アルコキシ-RNAヌクレオシド、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)ヌクレオシド、2’-アミノ-DNAヌクレオシド、2’-フルオロ-RNAヌクレオシドおよび2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例は、例えば、FreierおよびAltmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443頁およびUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213頁、ならびにDeleaveyおよびDamha、Chemistry and Biology 2012、19、937頁において見出すことができる。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例である。
【0050】
本発明に関して、2’修飾は、LNAのような2’架橋分子を含まない。
【0051】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、リボース環の立体構造を制限または固定する、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’を連結するビラジカル(「2’-4’架橋」とも称される)を含む、2’修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献において、架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも称される。リボースの立体構造の固定は、LNAがオリゴヌクレオチド中に組み込まれた場合に相補的なRNAまたはDNA分子に対するハイブリダイゼーションの親和性が増強されること(二重鎖安定化)に関連する。このことは、オリゴヌクレオチド/相補体二重鎖の融解温度を測定することによって、常套的に決定することができる。
【0052】
非限定的な例示的LNAヌクレオシドは、WO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、WO2004/046160、WO00/047599、WO2007/134181、WO2010/077578、WO2010/036698、WO2007/090071、WO2009/006478、WO2011/156202、WO2008/154401、WO2009/067647、WO2008/150729、Moritaら、Bioorganic&Med.Chem.Lett.12、73~76頁、Sethら J.Org.Chem.2010、第75巻(5)1569~81頁、およびMitsuokaら、Nucleic Acids Research 2009、37(4)、1225~1238頁において開示されている。
【0053】
2’-4’架橋は、2~4位を架橋する原子を含み、特に、式-X-Y-(YはC4’に連結しており、XはC2’に連結している):
[式中、
Xは、酸素、硫黄、-CR-、-C(R)=C(R)-、-C(=CR)-、-C(R)=N-、-Si(R-、-SO-、-NR-; -O-NR-、-NR-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR-、-NR-CR-、-N(R)-O-または-O-CR-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR-、-CR-O-CR-、-C(R)=C(R)-、-C(R)=N-、-Si(R-、-SO-、-NR-、-C(=J)-、Se、-O-NR-、-NR-CR-、-N(R)-O-または-O-CR-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R-Si(R-、-SO-SO-、-C(R)=C(R)-C(R)=C(R)、-C(R)=N-C(R)=N-、-C(R)=N-C(R)=C(R)、-C(R)=C(R)-C(R)=N-または-Se-Se-のいずれでもないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CHまたは=N(R)であり;
およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X)R、-OC(=X)NRおよび-NRC(=X)NRから独立して選択されるか;
または
2個のジェミナルなRおよびRは一緒に、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
または
2個のジェミナルなRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒に、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキルもしくはハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシおよび置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される1~3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびメチレンであり;
は、酸素、硫黄または-NRであり;
、RおよびRは、水素およびアルキルから独立して選択され;
nは、1、2または3である]
のものである。
【0054】
本発明のさらなる特定の実施形態では、Xは、酸素、硫黄、-NR-、-CR-または-C(=CR)-、詳細には酸素、硫黄、-NH-、-CH-または-C(=CH)-、より詳細には酸素である。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態では、Yは、-CR-、-CR-CR-または-CRb-CRb-CR-、詳細には-CH-CHCH-、-CHCH-CH-、-CH-CH-または-CH-CH-CH-である。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-(CR-、-S-CR-、-N(R)CR-、-CR-CR-、-O-CR-O-CR-、-CR-O-CR-、-C(=CR)-CR-、-N(R)CR-、-O-N(R)-CR-または-N(R)-O-CR-である。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、RおよびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルおよびアルコキシアルキル、特に水素、ハロゲン、アルキルおよびアルコキシアルキルからなる群から独立して選択される。
【0058】
本発明の別の実施形態では、RおよびRは、水素、フルオロ、ヒドロキシル、メチルおよび-CH-O-CH、特に水素、フルオロ、メチルおよび-CH-O-CHからなる群から独立して選択される。
【0059】
有利には、-X-Y-のRおよびRのうちの1つは上記に定義された通りであり、他ものはすべて、同時に水素である。
【0060】
本発明のさらに特定の実施形態では、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。
【0061】
本発明の別の実施形態では、Rは、水素またはアルキル、特に水素またはメチルである。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、RおよびRの一方または両方は、水素である。
【0063】
本発明の特定の実施形態では、RおよびRの一方のみは、水素である。
【0064】
本発明の特定の一実施形態では、RおよびRのうちの一方はメチルであり、他方のものは水素である。
【0065】
本発明の特定の実施形態では、RおよびRはいずれも同時にメチルである。
【0066】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH-、-S-CH-、-S-CH(CH)-、-NH-CH-、-O-CHCH-、-O-CH(CH-O-CH)-、-O-CH(CHCH)-、-O-CH(CH)-、-O-CH2-O-CH-、-O-CH-O-CH-、-CH-O-CH-、-C(=CH)CH-、-C(=CH)CH(CH)-、-N(OCH)CH-または-N(CH)CH-である;
【0067】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CR であり、ここで、R およびRは、水素、アルキルおよびアルコキシアルキル、特に水素、メチルおよび-CH-O-CHからなる群から独立して選択される。
【0068】
特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH-または-O-CH(CH)-、詳細には-O-CH-である。
【0069】
2’-4’架橋は、式(A)および式(B)にそれぞれ例示するように、リボース環の面より下(ベータ-D-配置)、または環の面より上(アルファ-L-配置)のいずれかに位置してもよい。
【0070】
指定されなければ、LNAヌクレオシドは、ベータ-Dまたはアルファ-L立体アイソフォーム中に存在してもよいと理解されたい。
【0071】
本発明のLNAヌクレオシドの特定の例は、スキーム1(ここで、Bは上記で定義された通りである)に表される。
スキーム1
【0072】
特定のLNAヌクレオシドは、ベータ-D-オキシ-LNA、(S)-6’-メチル-ベータ-D-オキシ-LNA((S)-cET)などの6’ーメチル-ベータ-D-オキシLNAおよびENAである。
【0073】
RNase H活性および動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNase H活性は、相補的RNA分子を有する二重鎖における場合のRNase Hを動員するその能力を指す。WO01/23613は、RNaseH活性を決定するためのin vitro法を提供し、これはRNaseHを動員する能力を決定するために使用することができる。典型的には、オリゴヌクレオチドは、相補的標的核酸配列が提供された場合、pmol/l/分で測定して、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチドにおけるすべてのモノマー間にホスホロチオエート連結を有するDNAモノマーのみを含有するオリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613の実施例91~95(参照により本明細書に組み込まれる)により提供される方法を使用する場合に決定される初期速度の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%または20%より高い割合の初期速度を有する場合、RNase Hを動員することが可能であると考えられる。RHase H活性を決定する際の使用については、組み換えヒトRNase H1は、Lubio Science GmbH、Lucerne、Switzerlandから入手可能である。
【0074】
発明の詳細な説明
一態様では、本発明は、式(IIIa)または(IIIb)のP(V)モノマーを調製するための方法であって、式(I)の修飾ヌクレオシド:
[式中、PGは、ヒドロキシル保護基であり、
はHであり、Rは-O(CHOCHであるか、または
およびRは一緒に、-CH-O-または-CH(CH)O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している]を、
式(IIa)または(IIb)の化合物:
[式中、Rは、ハロによって置換されたC~C10アリールであり、ハロは、F、ClおよびBrから選択され、Rは、直鎖状または分枝状のC~C-アルキルである)と、
塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(DBUは、式(I)のヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される]を用いて反応させて、
式(IIIa)または(IIIb)のモノマー:
を生成する工程を含む、方法に関する。
【0075】
本発明の1つのまたはすべての実施形態では、式(IIa)または(IIb)の化合物は:
である。
【0076】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、式Iのヌクレオシドは、以下の式(Ia):
を有する。
【0077】
本発明の1つのまたはすべての実施形態では、式Iのヌクレオシドは、以下の式(Ib):
を有する。
【0078】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、式Iのヌクレオシドは、以下の式(Ic):
を有する。
【0079】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、核酸塩基は、A、T、G、C、および5-メチルシトシンからなる群から選択される。
【0080】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、核酸塩基は、A、TおよびGからなる群から選択される。
【0081】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、核酸塩基は、A、G、Cまたは5-メチルシトシンであり、環外のアミノ部位はアミノ保護基によって保護される。アミノ保護基は、DMFおよびiBuからなる群から選択され得る。
【0082】
1つまたはすべての実施形態では、本発明の方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製するためのP(V)モノマーとして、式(IIIa)または(IIIb)の化合物をカップリングさせる工程をさらに含む。これは、当技術分野で公知の方法によってなされ得る。
【0083】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、RはHであり、Rは-O(CHOCHである。
【0084】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、RおよびRは一緒に、-CH-O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している。
【0085】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、RおよびRは一緒に、-CH(CH)O-から選択される2’-4’架橋を形成し、酸素は位置Rを介して結合している。
【0086】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、Rは1~5個のFによって置換されたフェニル、例えば、1、2、3、4または5個のFによって置換された、例えば、4または5個のFによって置換された、例えば、5個のFによって置換されたフェニルである。
【0087】
本発明の1つまたはすべての実施形態では、Rは、メチルまたはエチル、例えば、メチルである。
【0088】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、式(IIIa1)または(IIIb1)の化合物を調製するための方法であって、式(I)の修飾ヌクレオシド:
[式中、PGは、ヒドロキシル保護基である]を、
式(IIa1)または(IIb1)の化合物:
と、
MeCN中の塩基として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(DBUは、式(Ia)のヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される)を用いて反応させて、
式(IIIa1)または(IIIb1)のモノマー:
を生成する工程を含む、方法である。
【0089】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される式(I)のヌクレオシドから出発する式(IIIa)または(IIIb)の化合物の生成における、塩基としての1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)の使用であって、DBUが、ヌクレオシドに対して約0.8当量の量で使用される、使用に関する。
【0090】
別の態様では、本発明は、式(IIIa)または(IIIb)の化合物:
[式中、R、R、RおよびRは、本明細書において定義される通りである]
に関する。
【0091】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、式(IIIa1)または(IIIb1):
のものである。
【0092】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、以下の化合物:
からなる群から選択される。
【0093】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、以下の化合物:
である。
【0094】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、以下の化合物:
である。
【0095】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、以下の化合物:
である。
【0096】
実施形態では、本発明による式(IIIa)または(IIIb)の化合物は、以下の化合物:
である。
【0097】
本発明の他の態様は、本発明の方法によって調製された式(IIIa)または(IIIb)の化合物である。一実施形態では、これは、本発明の方法によって直接得られた式(IIIa)または(IIIb)の化合物である。
【0098】
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって製造されたオリゴヌクレオチドに関する。
【0099】
本発明の1つまたはすべての態様または実施形態では、DBUは、MeCNの溶液中で反応させることができる。他の好適な溶媒が当業者によって企図されてもよい。
【0100】
本発明の1つまたはすべての態様または実施形態では、反応は、MeCNの溶液中で行われてもよい。他の好適な溶媒が当業者によって企図されてもよい。
【0101】
実施形態では、式(I)の化合物は、
からなる群から選択される。
【0102】
本明細書の以下の表6から証明することができるように、本発明者らは、驚くほど最適化された条件を有するP(V)試薬に基づく系によって、LNAモノマーを調製するための新たな方法を見出し、最も安価であり、当技術分野で説明されたよりも高い収率の方法をもたらした。例えば、LNA-T、LNA-AおよびLNA-Gの調製において、0.8当量のDBUが使用すると、単離された化合物IIIの収率は、先行技術において推奨されるように1.3当量のDBUを使用する場合よりも、大幅に高い。LNA-Cの調製では、0.8当量のDBUを使用すると、1.3当量のDBUを使用する場合と比較して、同じかまたはより良好な収率が得られる。このことは、必要とされるDBUの当量が少ないため、本方法が大幅に安価であり得ることを意味する。
【実施例
【0103】
(S-LNA-A)の一般的合成
(R-LNA)の一般的合成
【0104】
0.8eqのDBUまたは1.3eqのDBUのいずれかを使用するP(V)LNA Aモノマーに関する一般的合成
MeCN(9mL)中5’-ODMTr-LNA-A(500mg、0.73mmol)および(+)-1(423mg、0.95mmol)の懸濁液に、MeCN(2ml)中DBUの溶液(87μL、0.58mmol、0.8eq)を室温で添加し、次いで、室温で40分間撹拌した(TLC-フル conv.)。反応混合物をシリカゲルプラグを通して濾過し、EtOAc(35mL)で濯いだ。濾液を水(15mL)10%のNaHPO(20mL)、水(20mL)、飽和NaHCO(20mL)で洗浄し、NaSOで脱水してエバポレートした。残留物をカラムクロマトグラフィー(50%~70%のヘキサン中EtOAcで溶出させる)によって精製した。
【0105】
(表1)
【0106】
0.8eqのDBUまたは1.3eqのDBUのいずれかを使用するP(V)LNA Tモノマーに関する一般的合成
MeCN(9mL)中5’-ODMTr-LNA-T(500mg、0.87mmol)および(-)-1(507mg、1.13mmol)の懸濁液に、MeCN(2ml)中DBUの溶液(104μL、0.58mmol、0.8eq)を室温で添加し、次いで、室温で40分間撹拌した(TLC-フル conv.)。反応混合物をシリカゲルプラグを通して濾過し、EtOAc(35mL)で濯いだ。濾液を10%のNaHPO(20mL)、水(20mL)、飽和NaHCO(20mL)で洗浄し、NaSOで脱水してエバポレートした。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン+1/1で溶出させる)によって精製した。
【0107】
(表2)
【0108】
0.8eqのDBUまたは1.3eqのDBUのいずれかを使用するP(V)LNA Cモノマーに関する一般的合成
MeCN(11mL)中5’-ODMTr-LNA-C(588mg、0.87mmol)および(+)-1(505mg、1.13mmol)の溶液に、MeCN(2ml)中DBUの溶液(DBU 106μL、0.58mmol、0.8eq)を室温で添加し、次いで、室温で40分間撹拌した(TLC-フル conv.)。反応混合物をシリカゲルプラグを通して濾過し、EtOAc(35mL)で濯いだ。濾液を10%のNaHPO(20mL)、水(20mL)、飽和NaHCO(20mL)で洗浄し、NaSOで脱水してエバポレートした。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン+1/2、次いで1/1で溶出させる)によって精製した。
【0109】
(表3)
【0110】
0.8eqのDBUまたは1.3eqのDBUのいずれかを使用するP(V)LNA G-iBuモノマーに関する一般的合成
MeCN(11mL)中5’-ODMTr-LNA-GiBu(500mg、0.75mmol)および(+)-1(434mg、0.97mmol)の溶液に、MeCN(1ml)中DBUの溶液(91.2μL、0.60mmol、0.8eq)を室温で添加し、次いで、室温で40分間撹拌した(TLC-フル conv.)。反応混合物をシリカゲルプラグを通して濾過し、EtOAc(35mL)で濯いだ。濾液を10%のNaHPO(20mL)、水(20mL)、飽和NaHCO(20mL)で洗浄し、NaSOで脱水してエバポレートした。残留物をカラムクロマトグラフィー(50%~75%のヘキサン中EtOAcで溶出させる)によって精製した。
【0111】
(表4)
【0112】
0.8eqのDBUまたは1.3eqのDBUのいずれかを使用するP(V)LNA G-DMFモノマーに関する一般的合成
MeCN(6mL)中5’-ODMTr-LNA-GDMF(500mg、0.77mmol)およびTHF(13mL)の懸濁液に、MeCN(5mL)中(+)-1(444mg、1.00mmol)の溶液、続いて、MeCN(1ml)中DBUの溶液(DBU91.5μL、0.61mmol、0.8eq)の溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した(徐々にLNA-GDMFを溶解させる)。反応混合物をシリカゲルプラグに通して濾過し、生成物をEtOAc(100mL)、EtOAc/THF(1/2 80mL)、THF(50mL)でプラグから洗い流した。濾液を10%のNaHPO(100mL)、水(20mL)、飽和NaHCO(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水してエバポレートした。残留物をカラムクロマトグラフィー(10%~30%のEtOAc中THFで溶出させる)によって精製した。
【0113】
(表5)
【0114】
(表6)収率の概要
【0115】
1.1 分析データ
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 8.71 (1H, s), 7.64 (1H, d, J= 1.2 Hz), 7.46-7.41 (2H, m), 7.36-7.26 (6H, m), 7.25-7.20 (1H, m) 6.87-7.60 (4H, m), 5.70 (1H, s), 5.16 (1H, d, J= 7.3 Hz), 4.95 (1H, s), 4.85 (1H, s), 4.66 (1H, s), 4.39 (1H, dt, J= 12.8 3.5 Hz), 3.81 (2H, s), 3.78 (6H, s), 3.47 (1H, d, J= 11.1 Hz), 3.42 (1H, d, J= 11.1 Hz), 2.60-2.52 (1H, m), 2.35-2.25 (1H, m), 2.09-1.62 (5H, m), 1.76 (3H, s), 1.67-1.64 (6H, m)
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm) 163.7, 158.8, 149.9, 145.0, 144.2, 135.3, 135.2, 134.2, 130.3, 128.3, 128.2, 127.2, 113.5, 111.8, 111.0, 87.7, 87.6, 87.2, 86.9, 85.6, 78.4, 74.3, 74.2, 72.4, 66.6, 57.7, 55.4, 39.0, 33.8, 27.7, 27.6, 23.6, 22.6, 22.0, 12.7.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm) 101.4.
[α]D 20 = -37.0 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 817.3 [M-H]-
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 8.8-8.6 (1H, br. s), 7.64 (1H, d, J= 1.0 Hz), 7.52-7.46 (2H, m), 7.40-7.33 (4H, m), 7.33-7.26 (2H. m), 7.26-7.19 (1H, m) 6.87-7.79 (4H, m), 5.69 (1H, s), 5.25 (1H, d, J= 11.0 Hz), 4.90-4.88 (1H, m), 4.57 (1H, s), 4.60 (1H, s), 4.29 (1H, dt, J= 12.6 3.1 Hz), 3.87 (1H, d, J= 8.3 Hz), 3.79-3.76 (1H, m), 3.78 (3H, s), 3.78 (3H, s), 3.59 (1H, d, J= 11.0 Hz), 3.42 (1H, d, J= 11.0 Hz), 2.57-2.48 (1H, m), 2.08-1.65 (6H, m), 1.65 (6H, s), 1.58 (3H, d, J= 1.0 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm):163.7, 158.8, 149.9, 144.9, 144.2, 135.3, 135.2, 134.2, 130.5, 130.4, 128.5, 128.1, 127.2, 113.4, 113.4, 111.9, 111.1, 87.4, 87.1, 86.1, 78.3, 78.3, 74.6, 74.6, 72.2, 65.9, 57.9, 55.3, 39.0, 33.8, 33.7, 27.8, 27.6, 23.5, 22.7, 21.8, 12.6.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm): 100.9.
[α]D 20 = +94.9 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 817.25 [M-H]-
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 13.5-13.2 (1H, br. s), 8.35-8.28 (2H, m), 7.82 (1H, J= 1.0 Hz), 7.55-7.40 (5H, m), 7.39-7.28 (6H, m), 7.27-7.22 (1H, m), 6.86-6.83 (4H, m), 5.75 (1H, s), 5.19 (1H, d, J= 7.5 Hz), 4.95 (1H, s), 4.86 (1H, s), 4.71 (1H, s), 4.40 (1H, dt, J= 12.7, 3.5 Hz), 3.84-3.79 (7H, m), 3.50 (1H, d, J= 11.1 Hz), 3.44 (1H, d, J= 11.1 Hz), 2.62-2.52 (1H, m), 2.36-2.25 (1H, m), 2.09-1.66 (6H, m), 1.85 (3H, d, J= 1.0 Hz), 1.76 (3H, s), 1.65 (3H, s).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 159.8, 158.8, 147.7, 145.0, 144.2, 137.3, 135.4, 135.3, 135.2, 132.6, 130.3, 130.3, 130.1, 128.3, 128.4, 127.2, 113.5, 112.2, 111.8, 87.9, 87.8, 87.5, 87.6, 85.6, 78.3, 74.1, 74.0, 72.4, 66.7, 57.7, 55.4, 39.0, 33.8, 33.7, 27.7, 27.6, 23.6, 22.7, 22.0, 13.8.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm) 101.4
[α]D 20 = +15.9 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): ): 922.81 [M+H]+
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 13.5-13.3 (1H, br. s), 8.33-8.28 (2H, m), 7.82 (1H, d, J= 1.0 Hz), 7.55-7.48 (3H, m), 7.46-7.37 (6H, m), 7.35-7.29 (2H, m), 7.27-7.22 (1H, m), 6.89-6.81 (4H, m), 5.74 (1H, s), 5.28 (1H, d, J= 11.2 Hz), 4.92-4.88 (1H, m), 4.86 (1H, s), 4.65 (1H, s), 4.30 (1H, dt, J= 12.7, 3.2 Hz), 3.89 (1H, d, J= 8.2 Hz), 3.81-3.77 (1H, m), 3.79 (3H, s), 3.79 (3H, s), 3.62 (1H,. d, J= 11.0 Hz), 3.44 (1H, d, J= 11.0 Hz), 2.57-2.48 (1H, m), 2.08-1.62 (6H, m), 1.78 (3H, d, J= 1.0 Hz), 1.66 (3H, s), 1.65 (3H, s)
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm):159.8, 158.9, 158.8, 147.7, 144.9, 144.2, 137.2, 135.4, 135.3, 135.2, 132.6, 130.5, 130.1, 128.5, 128.3, 128.2, 127.2, 113.4, 113.4, 112.2, 111.9, 87.6, 87.5, 87.4, 87.1, 86.1, 78.2, 78.1, 74.5, 74.4, 72.3, 65.9, 57.9, 55.4, 38.9, 33.8, 33.7, 27.8, 27.6, 23.5, 22.7, 21.8, 13.7.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm): 100.9.
[α]D 20 = +152.3 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 922.79 [M+H]+
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 9.04 (1H, s), 8.82 (1H, s), 8.38 (1H, s), 8.06-7.97 (2H, m), 7.63-7.55 (1H, m), 7.55-7.47 (2H, m), 7.46-7.39 (2H, m), 7.36-7.25 (1H, m), 7.24-7.17 (1H, m) 6.88-6.78 (4H, m), 6.22 (1H, s), 5.32 (1H, d, J= 6.75 Hz), 4.98 (1H, s,), 4.96 (1H, s), 4.88 (1H, s), 4.42 (1H, dt, J= 12.7 3.5 Hz), 4.05 (1H, d, J= 8.4 Hz), 3.96 (1H, d, J= 8.4 Hz), 3.78 (6H, s), 3.49 (2H, s), 2.62-2.53 (1H, m), 2.35-1.2.25 (1H, m), 2.11-1.64 (5H, m), 1.78 (3H, s), 1.63 (3H, s)
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 164.6, 158.7, 153.2, 151.2, 149.7, 145.0, 144.3, 140.2, 135.4, 135.3, 133.7, 132.9, 130.2, 129.0, 128.2, 128.1, 128.0, 127.1, 123.4, 113.4, 111.8, 87.5, 87.4, 86.7, 85.9, 85.6, 78.7, 75.7, 75.6, 73.0, 66.6, 58.5, 55.4, 39.0, 33.8, 33.7, 27.7, 27.6, 23.5, 22.6, 22.0.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm) 101.6.
[α]D 20 = -71.7 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 932.7 [M+H]+
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): 9.1-9.0 (1H, br, s), 8.80 (1H, s), 8.33 (1H, s), 8.04-7.98 (2H, m), 7.62-7.56 (1H, m) 7.54-7.43 (4H, m), 7.37-7.26 (6H, m), 7.24-7.18 (1H, m) 6.85-6.80 (4H, m), 6.20 (1H, s), 5.42 (1H, d, J= 10.4 Hz), 4.95 (1H, s,), 4.84 (1H, s), 4.66 (1H, s), 4.31 (1H, dt, J= 12.6 3.3 Hz), 4.14 (1H, d, J= 8.4 Hz), 3.95 (1H, d, J= 8.4 Hz), 3.77 (6H, s), 3.59 (1H, d, J= 11.0 Hz), 3.53 (1H, d, J= 11.0 Hz), 2.56-2.47 (1H, m), 2.10-1.60 (6H, m), 1.64-1.60 (6H, m).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 164.6, 158.7, 153.0, 151.0, 149.6, 144.8, 144.2, 140.3, 135.4, 135.3, 133.6, 132.9, 130.2, 129.9, 128.2, 128.0, 127.9, 127.0, 123.4, 113.3, 111.8, 87.2, 87.1, 86.7, 86.1, 85.9, 78.6, 78.5, 76.0, 75.9, 72.8, 65.8, 58.9, 55.2, 38.0, 33.6, 33.6, 27.6, 27.5, 23.3, 22.5, 21.6.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm): 101.1.
[α]D 20 = +48.5 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 932.7 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): 12.02 (1H, s), 8.97 (1H, s), 7.79 (1H, s), 7.44-7.38 (2H, m), 7.34-7.23 (6H, m), 7.22-7.17 (1H, m), 6.84-6.77 (4H, m), 5.99 (1H, d, J= 10.3 Hz), 5.83 (1H, s), 4.97 (1H, s), 4.91-4.88 (1H, m), 4.73 (1H, s), 4.40 (1H, dt, J= 12.6, 3.2 Hz), 4.15 (1H, d, J= 8.7 Hz), 3.95 (1H, d, J= 8.7 Hz), 3.78 (3H, s), 3.78 (3H, s), 3.55-3.49 (2H, m), 2.64 (1H, 七重線, J= 6.8 Hz), 2.60-2.53 (1H, m), 2.20-2.11 (1H, m), 2.10-1.65 (5H, m), 1.70 (3H, s), 1.69 (3H, s), 1.27 (3H, d, J= 6.8 Hz), 1.25 (3H, d, J= 6.8 Hz).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 178.7, 158.7, 155.5, 147.5, 147.2, 144.8, 144.4, 138.6, 135.4, 130.3, 128.3, 128.0, 127.0, 122.3, 113.30, 111.9, 87.1, 87.0, 86.6, 86.5, 78.4, 73.0, 66.5, 59.3, 55.3, 38.9, 36.7, 33.9, 33.8, 27.8, 27.7, 23.5, 22.7, 21.8, 19.2, 19.0.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm):100.3.
[α]D 20 = +85.3 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 914.73 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): 11.99 (1H, s), 8.89 (1H, s), 7.81 (1H, s) , 7.43-7.37 (2H, m), 7.33-7.23 (6H, m), 7.22-7.17 (1H, m), 6.84-6.78 (4H, m), 5.97 (1H, J= 7.7 Hz), 5.84 (1H, s),
5.01-4.87 (1H, m), 4.93-4.87 (2H, m), 4.51 (1H, dt, J= 12.7 3.5 Hz), 4.07 (1H, J= 8.5 Hz), 4.00 (1H, J= 68.5 Hz), 3.78 (6H, s), 3.48-3.41 (2H, m), 2.63-2.56 (1H, m), 2.57 (1H, 七重線, J= 6.9 Hz), 2.36-2.25 (1H, m), 2.14-1.64 (5H, m), 1.78 (3H, s), 1.68 (3H, s), 1.24 (3H, d, J= 6.9 Hz), 1.22 (3H, d, J= 6.9 Hz).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 178.5, 158.7, 155.5, 147.5, 147.3, 144.8, 144.4, 138.5, 135.4, 130.2, 128.2, 128.0, 127.0, 122.2, 113.3, 111.9, 87.2, 87.1, 86.6, 86.5, 86.1, 79.2, 73.0, 66.6, 58.9, 55.3, 39.0, 36.6, 33.7, 33.6, 27.9, 27.8, 23.5, 22.7, 22.0, 19.1, 18.9.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm): 103.3.
[α]D 20 = -14.6 (c .1, DCM).
LCMS ESI (m/z): 914.77 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): 9.2-9.0 (1H, br. s), 8.59 (1H, s), 8.0-7.8 (1H, br. s), 7.44-7.39 (2H, m), 7.34-7.23 (6H, m), 7.22-7.16 (1H, m), 6.75-6.77 (4H, m), 5.97 (1H, s), 5.39 (1H, d, J= 6.5 Hz), 4.98-4.92 (2H, m), 4.88-4.85 (1H, m), 4.41 (1H, dt, J= 12.5 3.5 Hz), 4.03 (1H, d, J= 8.2 Hz), 3.93 (1H, d, J= 8.2 Hz), 3.77 (6H, s), 3.51 (1H, d, J= 10.9 Hz), 3.43 (1H, d, J= 10.9 Hz), 3.10 (3H, s), 3.05 (3H, s), 2.59-2.52 (1H, m), 2.32-2.22 (1H, m), 2.07-1.65 (5H, m), 1.76 (3H, s), 1.62 (3H, s).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm): 158.7, 158.5, 157.1, 149.6, 145.1, 144.3, 135.5, 135.4, 130.2, 128.3, 128.1, 127.0, 113.4, 111.8, 87.1, 87.1, 86.6, 86.1, 85.7, 79.1, 75.9, 75.8, 73.0, 66.3, 58.8, 55.4, 41.4, 39.0, 35.3, 33.8, 33.7, 27.8, 27.6, 23.5, 22.7, 21.9, 21.3.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm): 100.6.
[α]D 20 = -37.4 (c .1, THF).
LCMS ESI (m/z): 899.71 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): 9.2-9.0 (1H, br. s), 8.55 (1H, s), 8.0-7.8 (1H, br. s), 7.48-7.41 (2H, m), 7.37-7.34 (6H, m), 7.22-7.16 (1H, m), 6.84-6.74 (4H, m), 5.96 (1H, s), 5.39 (1H, d, J= 9.5 Hz), 4.96-4.75 (2H, m), 4.85-4.81 (1H, m), 4.27 (1H, dt, J= 12.7 3.1 Hz), 4.14 (1H, d, J= 8.3 Hz), 3.92 (1H, d, J= 8.3 Hz), 3.76 (6H, s), 3.64-3.50 (2H, m), 3.12 (3H, s), 3.06 (3H, s), 2.55-2.46 (1H, m), 2.09-1.58 (6H, m), 1.53 (3H, s), 1.61 (3H, s).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, ppm):158.7, 158.3, 157.0, 144.9, 144.4, 135.5, 135.4, 130.3, 130.2, 128.3, 128.1, 127.5, 127.1, 113.4, 113.4, 111.8, 87.0, 86.7, 86.2, 79.0, 76.3, 76.2, 73.0, 65.8, 59.4, 55.3, 41.5, 38.9, 35.3, 33.7, 33.7, 27.7, 27.5, 23.4, 22.6, 21.7.
31P NMR (160 MHz, CDCl3, ppm) :100.0.
[α]D 20 = +70.8 (c .1, THF).
LCMS ESI (m/z): 899.74 [M+H]+