(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】ドライアイ治療システム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
A61F9/007 140
(21)【出願番号】P 2022125366
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2020158988の分割
【原出願日】2012-10-09
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2012-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511093328
【氏名又は名称】サイト サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】バダウィ, ポール
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-504769(JP,A)
【文献】特開平11-221247(JP,A)
【文献】特開2007-000520(JP,A)
【文献】特開2007-229175(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170844(JP,U)
【文献】特開2011-188958(JP,A)
【文献】特開平7-185017(JP,A)
【文献】特表2010-515481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイ症候群のための治療システムであって、
第1の細片および第2の細片により構成されて一組の叉骨様の二重細片型として形成され、
前記第1の細片は対象の
第1の眼の第1の眼瞼に接着するように構成された部分を有する細片であって、前記
第1の細片は前記
第1の眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記
第1の細片は前記
第1の眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、かつ、前記
第1の細片は前記対象が自然にまばたきをすることができるように構成され
、
前記第2の細片は対象の第1の眼の第2の眼瞼に接着するように構成された部分を有する細片であって、前記第2の細片は前記第2の眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記第2の細片は前記第2の眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、かつ、前記第2の細片は前記対象が自然にまばたきをすることができるように構成され、
前記
第1の細片の1または複数のパラメータを制御するようにプログラムされ
、前記第2の細片の1または複数のパラメータを制御するようにプログラムされている、コントローラと、
を備える、ことを特徴とする治療システム。
【請求項2】
前記コントローラは前記第1の細片および前記第2の細片に無線により接続可能である、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1の細片及び前記第2の細片に有線により接続可能である、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1の細片に第1の有線により接続可能であり、前記第2の細片に第2の有線により接続可能である、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項5】
前記第1の細片の1または複数のパラメータは、前記第1の細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルから構成され、前記第2の細片の1または複数のパラメータは、前記第2の細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルから構成される、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項6】
前記第1の細片は温度センサを構成し、前記第2の細片は温度センサを構成している、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項7】
前記コントローラはポータブル電子デバイスに接続可能に構成されている、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項8】
前記ポータブル電子デバイスはスマートフォンまたはタブレットにより構成されている、請求項
7に記載の治療システム。
【請求項9】
前記スマートフォンは聴覚、視覚、または触覚インジケータを提供するようにプログラムされている、請求項
8に記載の治療システム。
【請求項10】
前記第1の細片は上細片または下細片であり、前記第2の細片は上細片または下細片である、請求項
1に記載の治療システム。
【請求項11】
第1の細片および第2の細片により構成されて一組の叉骨様の二重細片型は第1の二重細片型として形成され、前記治療システムはさらに第3の細片および第4の細片の組の
第2の叉骨様の二重細片型に形成され、
前記第3の細片は、対象の
第2の眼の第3の眼瞼に接着するように構成された部分を有し、前記第3の細片は前記第3の眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記第3の細片は前記第3の眼瞼における1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、前記第3の細片は前記対象が自然にまばたきをすることができるように構成され、前記コントローラは前記第3の細片の1または複数のパラメータを制御するようにプログラムされ、かつ、
前記第4の細片は、対象の
第2の眼の第4の眼瞼に接着するように構成された部分を有し、前記第4の細片は前記第4の眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記第4の細片は前記第4の眼瞼における1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、前記第4の細片は前記対象が自然にまばたきをすることができるように構成され、前記コントローラは前記第3の細片の1または複数のパラメータを制御するようにプログラムされ
、
前記第1の二重細片型と前記第2の二重細片型は、対象により同時に接着可能であり、前記
第1の細片と前記第2の細片は、それぞれ第1の眼の第1の眼瞼と第2の眼瞼に接着可能であり、かつ、前記第3の細片と前記第4の細片は、それぞれ第2の眼の第3の眼瞼と第4の眼瞼に接着可能である請求項
1に記載の治療システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1の細片、前記第2の細片、前記第3の細片、および/または前記第4の細片無線により接続可能である、請求項
11に記載の治療システム。
【請求項13】
前記コントローラは、第1のケーブルを介して前記第1の細片に接続可能であり、第2のケーブルを介して前記第2の細片に接続可能である、請求項
11に記載の治療システム。
【請求項14】
前記コントローラはポータブル電子デバイスに接続可能に構成されている、請求項
11に記載の治療システム。
【請求項15】
前記ポータブル電子デバイスはスマートフォンまたはタブレットにより構成されている、請求項
14に記載の治療システム。
【請求項16】
前記スマートフォンは聴覚、視覚、または触覚インジケータを提供するようにプログラムされている、請求項
15に記載の治療システム。
【請求項17】
前記第1の細片は温度センサを構成し、前記第2の細片は温度センサを構成し、前記第3の細片は温度センサを構成し、前記第4の細片は温度センサを構成している、請求項
11に記載の治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
これは、2012年1月4日に出願された米国特許出願第13/343,407号の一部継続であり、2012年10月5日に出願された米国特許出願第13/645,985号の継続であり、それらの内容は、本明細書で参照によりそれらの全体が援用される。
【0002】
本発明は、ドライアイ症候群および他の関連病状の治療のための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、患者の眼または眼窩周囲領域の周囲の選択された領域に接着するように具体的に輪郭形成または成形される、接着性細片を使用する、ドライアイ症候群の治療のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
涙液は、水、脂質、粘液、タンパク質、および電解質の複合混合物であって、本混合物は、平滑かつクリアな光学表面を維持するのに役立ち、また、眼を感染症から保護するのに役立つ。涙液膜は、3つの基本層、すなわち、油脂、水、および粘液を有し、これらの層のいずれかにおける問題または障害は、ドライアイ症状を生じさせ得る。
【0004】
涙液膜の最外層は、典型的には、主に、眼瞼縁に沿って位置する、マイボーム腺と呼ばれる、皮脂腺によって産生される、脂肪酸および脂質(マイバム)を含む、油脂層から成る。油脂層は、涙液表面を平滑にし、水様中央層の蒸発を減速させる。しかしながら、マイボーム腺が、十分な油脂を産生できない場合、準最適脂肪酸混合物を産生し、あるいは腺が閉塞または詰まる場合、水様層は、典型的には、急速に蒸発し、ドライアイを生じさせる。マイボーム腺の遮断は、肥大腺または感染症につながり得る。ドライアイは、したがって、マイボーム腺が閉塞または不適切に機能している人々に一般的である。
【0005】
涙液の中央層は、主に、涙腺(涙液腺)によって産生される水溶液から成る。中央層は、眼を清浄し、異物粒子または刺激物を洗い流し、クリアな光学媒体を維持し、眼球表面を湿らせた状態に保つ。涙液膜の最内層は、主に、涙液を眼の表面にわたって均一に拡散させるのに役立つ、粘液から成る。涙液膜における粘液の欠如もまた、ドライアイ症候群と関連付けられる。
【0006】
前述のように、マイボーム腺は、上および下眼瞼の両方内に位置する、油脂分泌腺である。上眼瞼に沿った約30~40の腺と、下眼瞼に沿った約20~30の腺とが存在し、それを通して、その分泌液が、瞼が相互に接着しないように防止するために放出される、微細な孔の付近に、個別の瞼の自由縁の内側縁に沿った腺開口部のそれぞれのための管を伴う。マイボーム腺の場所の実施例は、単一マイボーム腺MGの相対的位置付けを図示す
る、
図1Aに示される上眼瞼ULの断面図に図示される。他の腺および解剖学的特徴も、参照として図示されており、例えば、ヴォルフリング腺GW、瞼板TR、モル腺GM、ツァイス腺GZ、クラウゼ腺GK、上円蓋UF、結膜CN、および部分的に、上眼瞼ULによって被覆される、眼の角膜CRである。図示されるように、マイボーム腺MGは、上眼瞼UL(および、下眼瞼LL)の長さに沿って位置付けられ、下層眼の表面に近接する、眼瞼ULの内側縁に沿った管開口部を伴う。
【0007】
図1Bは、患者が瞬きするとき等、閉鎖位置にある上眼瞼ULおよび下眼瞼LLを有する、患者の眼の正面図を図示する。示されるように、マイボーム腺MGは、上ULおよび下眼瞼LLの両方にわたって、相互に隣接して整合されて見え得る。
図1Cはまた、患者の眼が開放されているとき、マイボーム腺が、典型的に、どのように、相互に対して整合
されるかを図示する、開放位置における、患者の眼の斜視図を示す。
【0008】
瞬きは、マイボーム腺の孔を開放し、腺から油脂分泌液の放出を可能にするための一次機構であると考えられる。自然な瞬き運動および瞬き力は、上瞼に、涙液膜の2つの下層にわたって、マイボーム腺によって分泌された脂質の層を引張させ、したがって、下層が蒸発する率を制限する、保護コーティングを形成する。マイボーム腺疾患またはドライアイの約65%は、水性層の加速蒸発をもたらす、欠陥脂質層または不十分な量のそのような脂質から生じるものと推定される。故に、瞬き障害または適切な涙液分散に影響を及ぼす他の障害はまた、マイボーム腺機能不全またはドライアイを発生あるいは悪化させ得る。
【0009】
眼瞼が、全体的瞬きにおいて閉鎖するにつれて、涙液の貯留層を保持する、上および下結膜円蓋が、眼窩隔膜前筋の力によって圧迫され、眼瞼が、相互に向かって移動する。例えば、上眼瞼は、眼表面に、眼の正面から、残屑、不溶性ムチンを取り除き、また、マイボーム腺から油脂分泌液を搾り出すのに役立つ、力を付与しながら、眼の上に移動する。下瞼は、鼻方向に水平に移動し、最終的には、鼻腔内に排出する開口部である、両涙点に向かって残屑を押動させる。
【0010】
眼瞼が開放するにつれて、涙液膜は、再分散され、上瞼は、毛細管作用を介して、水相を引張し、脂質層は、眼瞼が移動するのと同じ速さで拡散する。このように、眼瞼移動は、故に、涙液膜再生、分散、代謝回転、および排出において重要である。
【0011】
種々の理由から、マイボーム腺は、遮断される、詰まる、または閉塞され、マイボーム腺機能不全およびドライアイ疾患をもたらし得る。疾患を誘発する閉塞は、マイボーム腺内のいずれかの場所、例えば、正常脂質分泌液の流動を妨害する腺の表面または孔、狭窄または遮断され得る腺の主要経路内、あるいは主要経路につながる腺内のより深部の他の場所において生じ得る。
【0012】
遮断されたマイボーム腺のための治療として、いくつかの従来の治療が挙げられ得る。治療過程の1つとして、石鹸および清浄剤、眼瞼洗浄、または眼瞼炎症を低減させるための抗生物質の適用が挙げられる。テトラサイクリン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、またはエリスロマイシン等の抗生物質は、経口または局所投与され、マイボーム腺脂質産生を調整または改善するのに役立ち得る。眼の表面上の炎症もまた、コルチコステロイドまたはサイクロスポリン(RESTASIS(登録商標)、Allergan, Inc.(CA))等の局所薬物、あるいは他の抗炎症化合物または免疫抑制剤を用いて制御され得る。眼球表面炎症は、マイボーム腺機能不全と関連付けられるだけではなく、また、ドライアイ症候群とも関連付けられることを示唆する証拠がある。
【0013】
ドライアイ治療の他の実施例として、人工涙液を使用することができない、中程度から重度のドライアイ症状を伴う人々のための処方眼用挿入物の適用が挙げられ得る。眼用挿入物、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(LACRISERT(登録商標)、Merck & Co., Inc.(NJ))が、下眼瞼と眼との間に挿入され得る。挿入物は、ゆっくりと分解し、眼を潤滑させる物質を放出する。代替として、特殊コンタクトレンズが、眼の表面を遮蔽し、湿気を捕捉するために使用され得る。
【0014】
他の治療では、患者の涙管は、涙管内への涙点プラグの挿入または排出面積の組織の焼灼等の手技によって、涙液膜が、眼の表面から急速に排出されないよう防止するように閉鎖され得る。インプラントまたは焼灼治療を除き、ドライアイ症候群は、点眼薬、眼をコーティングする軟膏等の医薬品を使用して治療され得る。人工涙液、ゲル、軟膏、自己血清涙液、またはアルブミン滴液は全て、ドライアイの治療において採用されている。
【0015】
加えて、温罨法もまた、典型的には、眼を覆って配置され、いかなる脂質栓も溶融し、かつマイボーム腺内容物をさらに搾り出し得るように、瞼のマッサージを組み込むことによって、マイボーム腺の機能を回復するために使用される。しかしながら、温罨法の適用は、1日2回から3回、その適用を要求し、その間、患者は、罹患瞼の一方のみを誤って標的化し得、また、温布のため、治療されている方の眼から見ることはできない。温布は、熱過ぎて、炎症をさらに悪化させ得る、または急冷し、適正な治療効果を妨害し得る。
【0016】
罹患眼全体を被覆し、直接、罹患眼瞼に熱およびマッサージ力を印加する、他の治療デバイスもまた、開発されている。しかしながら、温布のようなデバイスは患者の眼が、治療の間、一時的にではあるが、完全に遮られることを要求し、不快感、生産性の損失、および潜在的に、患者間の低コンプライアンスをもたらす。加えて、これらの治療は、医師または医療提供者を訪問することを要求し、広範な消費者採用には好適ではない。
【0017】
故に、患者が日常的に使用するために比較的に単純であって、また、患者がその通常の活動を継続することを可能にし、非干渉的かつ非破壊的であって、また、患者の自然な生理学的活動を利用して、治療を促進する、方法および装置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
マイボーム腺機能不全またはドライアイ症候群等の病状を治療する際、パッチまたは細片が、上および/または下眼瞼の皮膚に添着され、熱または他の形態のエネルギー、圧力、薬物、湿気等(単独または組み合わせて)を下層皮膚内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺に送達させることができる。特に、治療用細片(単数または複数)のためのアセンブリは、概して、1つまたはそれよりも多くの細片が、1つまたはそれよりも多くのパッチからの制限なしに、対象が自然に瞬きをすることを可能にするように、対象の片眼または両眼に近接する皮膚の下層領域に接着するように構成される、1つまたはそれよりも多くの細片を備えてもよい。さらに、1つまたはそれよりも多くの細片は、エネルギーを皮膚の下層領域に放出するように構成されてもよく、1つまたはそれよりも多くの細片は、皮膚の下層領域内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される。
【0019】
使用時、1つまたはそれよりも多くの細片は、1つまたはそれよりも多くの細片が、1つまたはそれよりも多くのパッチからの制限なしに、対象が自然に瞬きをすることを可能にするように、対象の片眼または両眼に近接する皮膚の領域に接着されてもよい。接着されている間、細片は、エネルギーを皮膚の領域に放出してもよく、1つまたはそれよりも多くの細片は、皮膚の領域内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される。代替として、細片は、直接、マイボーム腺あるいは他の眼
球腺または眼窩腺を覆わなくてもよく、最終的に、該腺に供給する、下層近隣血管系にエネルギーを送達する、またはそこからエネルギーを吸収してもよい。言い換えると、これらの細片を使用して、眼瞼、マイボーム腺、および/または涙腺への血液供給を加熱または冷却することによって、特定の変形例では、必ずしも、直接、それらを覆う必要なく、その機能および代謝に影響を及ぼし得る。
【0020】
上細片は、したがって、マイボーム腺の上側(または、上方)境界に延在および追従するように成形される(上眼瞼のしわに沿って、またはそこまで等)、上湾曲または弧状周縁を有してもよい一方、下縁の直線周縁は、上眼瞼の自由縁に沿って等、マイボーム腺の下側(または、下方)境界に延在および追従するように成形されてもよい。直線であるが、下縁は、代替変形例では、大きく湾曲または弧状にされてもよい。下細片は、同様に、下眼瞼の自由縁に沿って、マイボーム腺の上側(または、上方)境界に延在および追従す
る上直線周縁と、下眼瞼に沿って、マイボーム腺の下側(または、下方)境界に延在および追従する(下眼瞼のしわに沿って、またはそこまで等)下湾曲または弧状周縁とを有してもよい。代替として、下細片の上周縁はまた、同様に、代替変形例では、大きく湾曲または弧状にされてもよい。
【0021】
言い換えると、近位から遠位に跨架する、マイボーム腺を含む瞼板を用いると、治療用細片の周辺縁は、遠位眼瞼縁に対応し得、近位周辺縁および治療用細片は、複数の構成をとることができる。概して、治療用細片の周辺遠位縁は、比較的に直線である、またはゆるやかな曲線をとってもよく、いずれも、下層遠位眼瞼縁および瞼板に追従することができる一方、比較的に湾曲である近位周辺縁に、下層瞼板のより湾曲近位縁を引き受けさせる。
【0022】
細片は、所望の治療に応じて、個々に、上眼瞼のみまたは下眼瞼のみに配置するために使用されてもよい。さらに、治療用細片の長さはまた、所望に応じて、本明細書でさらに詳細に説明されるように、標的治療を提供するための標的の個々のマイボーム腺に合わせて変動されてもよい。加えて、治療用細片は、一般的に定寸されるが、また、具体的個人の眼瞼寸法のためにカスタマイズまたは定寸されてもよい。
【0023】
治療用細片の具体的輪郭形成されたサイズおよび可撓性のため、治療用細片は、患者上に配置され、療法を下層マイボーム腺に適用し、治療用細片の一方または両方からの干渉を伴わずに、患者の眼が正常に開閉されることを可能にし得る。故に、治療用細片の輪郭形成されたサイズ、形状、および可撓性は、治療が生じることを可能にする一方、また、正常な生理学的瞬きが、治療の過程の間、行なわれ得るように、患者が片眼または両眼を開放したままにすることを可能にする。任意のタイプの外力の印加に依拠せず、治療用細片は、瞬きを介して、油脂をマイボーム腺から取り除くための眼の自然機構を利用する。故に、治療用細片は、治療用細片が、例えば、熱エネルギーを印加し、任意の蝋様または固体マイボーム腺障害物を融解または液化させ得る一方、眼が妨害されないままであって、自然に瞬きが可能にされるように、患者または医療提供者によるいかなるさらなる介入も伴わずに、治療のために、定位置に接着され得る。治療用細片は、したがって、治療の過程の間、患者がその眼を閉鎖または遮られた状態に保つことを要求し、患者が瞬きをするのを妨害または阻害する、他の治療と異なり、自然な瞬き力によって、再固化する前に、熱処理されて軟化した障害物を腺から取り除くことを可能にする。
【0024】
治療用細片は、皮膚を熱傷または任意の他の有害作用から保護し得る、接触層(例えば、金属、合金、多孔性セラミック、エンジニアリングセラミック、木材、ポリマー、複合材、発泡体、ポリマー発泡体、布地、エラストマー等の伝導性材料から加工される)を有するように構成されてもよい。第2の加熱層が、熱エネルギーを発生させるために、接触
層の上方(または、直接、皮膚に接触して)位置付けられてもよく、絶縁層が、熱を下層皮膚表面に向かって集束、指向、または反射させ、かつ患者の身体の他の部分が加熱層と接触しないように保護するために、加熱層の上部に位置付けられてもよい。絶縁層は、故に、種々の絶縁材料、例えば、発泡体、発泡体テープ、ガーゼ、シリコーン、微孔ポリエチレンフィルム、布地、ポリマー等から加工されてもよい。
【0025】
治療用細片からの熱エネルギーの印加が、説明されるが、他の変形例として、代替として、下層皮膚の冷却のための治療用細片を使用する印加が挙げられ得る。発熱反応において加熱層を使用するのではなく、層は、代わりに、吸熱反応を利用し、皮膚の冷却を提供するように構成されてもよい。加熱ではなく、冷却は、特に、患者が安静または睡眠時、炎症の低減、アレルギーまたは疲れた眼の緩和等の病状に適用されてもよい。
【0026】
治療用細片からの熱エネルギーの印加の他に、細片はまた、単独または熱治療と組み合
わせてのいずれかにおいて、1種類またはそれよりも多くの医薬品、生物剤、または化学剤の拡散あるいは放出のための層を含んでもよい。例えば、医薬品、生物剤、または化学剤は、追加的および/または代替治療のためのマイボーム腺あるいはマイボーム腺を囲繞する面積への経真皮的送達のために、接触層、絶縁層、または別個の層のいずれかに全体的に組み込まれてもよい。薬剤または化学剤が、熱治療の間に放出される場合、熱は、下層皮膚への任意の薬物の浸透を改善するのに役立ち得る。
【0027】
治療用細片は、細片の中に種々の層を組み込み、種々の異なる治療をもたらし得るが、細片はまた、治療用細片が、少なくとも1つのマイボーム腺の場所に追従するように輪郭形成または成形される限り、所望の治療面積に応じて、サイズ、形状、輪郭等が変動してもよい。
【0028】
治療用細片は、マイボーム腺のうちの1つまたはそれよりも多くに適用されてもよいが、細片の変形例はまた、例えば、にきび治療のための皮脂腺等、他の腺を治療するために使用されてもよい。にきびを治療するために使用される治療用細片は異なる薬理学的治療を利用してもよい。さらに、治療用細片は、潜在的に、マイボーム腺機能不全以外の眼疾患を治療するために使用されてもよい。
【0029】
さらに別の実施例として、眼の上方に位置する、涙腺および/または眼瞼涙腺の疾患を治療するための治療用細片の使用を含んでもよい。湾曲上周縁を有するように定寸される、涙腺細片等の、様々に定寸される治療用細片は、直接、涙腺が位置する場所の上方の皮膚表面を覆って配置するために定寸されてもよい。涙腺および/または眼瞼涙腺は、単独で、またはマイボーム腺の治療のために輪郭形成される治療用細片と組み合わせて、治療されてもよい。
【0030】
治療用細片は、マイボーム腺を覆って印加され、熱エネルギーを印加し得るが、治療は、細片または任意の他の外部デバイスによって印加される、いかなる外力の印加も要求せず、患者の自然な瞬きを利用して、治療を促進してもよい。しかしながら、追加的変形例では、治療用細片は、熱治療ならびに外力の両方を印加するように構成されてもよい。任意の数の機構が、熱療法の印加の間、挟着または付勢力を印加し、下層皮膚およびマイボーム腺の圧迫を提供するために利用されてもよい。
【0031】
圧迫力の他に、細片は、振動エネルギーまたは他の形態のエネルギーを付与し、マイボーム腺の搾り出しを促進し、油脂分泌を助長するための機械的構成要素等、代替構成要素とともに形成されてもよい。
【0032】
さらに別の変形例では、一方または両方の治療用細片は、電力供給源および/またはプロセッサに電気的に連結され、処方された治療が完了すると、患者に警告を出す、インジケータ、例えば、LEDライト、アラーム、振動要素等を組み込むように構成されてもよい。本特徴(および、他の特徴のいずれか)は、実践可能である場合、本明細書で説明される治療用細片の他の変形例のいずれかと組み合わせられてもよい。
【0033】
治療用細片内へのプロセッサの組み込みによって、治療時間または細片の温度等の他のパラメータが、プログラムされ、随意に、患者によって選択的に、または自動的に、オンまたはオフにされてもよい。さらに、熱送達または他の刺激の頻度等の他のパラメータもまた、プロセッサによってプログラムされ、治療におけるさらなる柔軟性を提供してもよい。
一つの実施形態において、本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ドライアイ症候群のための治療用アセンブリであって、
対象の片眼または両眼に近接する皮膚の下層領域に接着するように構成された1つまたはそれよりも多くの細片であって、上記1つまたはそれよりも多くの細片が、上記対象が上記1つまたはそれよりも多くの細片からの制限なしに自然に瞬きをすることを可能にする、1つまたはそれよりも多くの細片を備え、
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、エネルギーを上記皮膚の下層領域に放出するように構成され、
上記細片は、上記皮膚の下層領域内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される、
アセンブリ。
(項目2)
上記エネルギーは、熱エネルギーを含む、項目1に記載のアセンブリ。
(項目3)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域に対して配置するための接触表面を備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目4)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域と熱連通する加熱層を備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目5)
上記加熱層と熱連通するサーモクロミック層をさらに備える、項目4に記載のアセンブリ。
(項目6)
上記加熱層は、約20℃~55℃の温度範囲で熱を発生するように構成される、項目4に記載のアセンブリ。
(項目7)
上記加熱層は、約5分~24時間の期間、熱を発生するように構成される、項目4に記載のアセンブリ。
(項目8)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域と熱連通する冷却層を備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目9)
上記冷却層は、約0℃~37℃の範囲にわたって温度を低下させるように構成される、項目8に記載のアセンブリ。
(項目10)
上記冷却層は、ヒドロゲル層を備える、項目8に記載のアセンブリ。
(項目11)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、絶縁層を備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目12)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、第1の湾曲または弧状周縁および第2の直線周縁を有し、上記第1の湾曲または弧状周縁は、上記1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の境界に延在および追従するように成形され、上記第2の直線周縁は、上眼瞼または下眼瞼の自由縁に延在および追従するように成形される、項目1に記載のアセンブリ。
(項目13)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、約1mm~50mmの範囲にある長さを有する、項目1に記載のアセンブリ。
(項目14)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、約1mm~25mmの範囲にある幅を有する、項目1に記載のアセンブリ。
(項目15)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に取着されたコントローラをさらに備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目16)
上記コントローラは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の1つまたはそれよりも多くのパラメータを制御するようにプログラムされる、項目15に記載のアセンブリ。
(項目17)
上記1つまたはそれよりも多くのパラメータは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルを含む、項目16に記載のアセンブリ。
(項目18)
上記対象の涙腺に近接する皮膚の第2の領域に接着するように構成された1つまたはそれよりも多くの追加的細片をさらに備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目19)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられた1つまたはそれよりも多くの付勢機構をさらに備え、上記1つまたはそれよりも多くの付勢機構は、圧力を上記皮膚の下層領域に印加するように構成される、項目1に記載のアセンブリ。
(項目20)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられた1つまたはそれよりも多くのアクチュエータをさらに備え、上記1つまたはそれよりも多くのアクチュエータは、機械的振動を上記皮膚の下層領域に付与するように構成される、項目1に記載のアセンブリ。
(項目21)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられた電気伝導性または抵抗性要素をさらに備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目22)
上記電気伝導性要素は、電極を備える、項目21に記載のアセンブリ。
(項目23)
上記電気伝導性要素は、マイクロ波アンテナを備える、項目21に記載のアセンブリ。
(項目24)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられたインジケータをさらに備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目25)
上記インジケータは、上記対象に警告を出すための聴覚または視覚アラームを備える、項目24に記載のアセンブリ。
(項目26)
上記1つまたはそれよりも多くの細片内または上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って注入される1種類またはそれよりも多くの医薬品、生物剤、または化学剤をさらに備
える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目27)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられた電力供給源をさらに備える、項目1に記載のアセンブリ。
(項目28)
上記電力供給源は、再充電可能である、項目27に記載のアセンブリ。
(項目29)
ドライアイ症候群を治療する方法であって、
1つまたはそれよりも多くの細片を対象の片眼または両眼に近接する皮膚の領域に接着するステップであって、上記1つまたはそれよりも多くの細片が、上記対象が上記1つまたはそれよりも多くの細片からの制限なしに自然に瞬きをすることを可能にする、ステップと、
エネルギーを上記1つまたはそれよりも多くの細片から上記皮膚の領域に放出するステップと、
を含み、
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される、
方法。
(項目30)
接着するステップは、
片眼または両眼に近接して上記1つまたはそれよりも多くの細片を位置付けるステップであって、上記1つまたはそれよりも多くの細片の第1の湾曲または弧状周縁が、上記1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の境界に延在および追従し、上記1つまたはそれよりも多くの細片の第2の直線周縁が、上眼瞼または下眼瞼の自由縁に延在および追従する、ステップ
を含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
接着するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の接触表面を上記皮膚の領域に対して配置するステップを含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
エネルギーを放出するステップは、熱エネルギーを上記1つまたはそれよりも多くの細片における加熱層から上記皮膚の下層領域に印加するステップを含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
上記加熱層と熱連通するサーモクロミック層を介して、上記1つまたはそれよりも多くの
細片の温度変化を示すステップをさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
熱エネルギーを加熱層から印加するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の温度を約20℃~55℃の温度範囲に増加させるステップを含む、項目32に記載の方法。
(項目35)
熱エネルギーを加熱層から印加するステップは、約5分~24時間の期間、上記熱エネルギーを印加するステップを含む、項目32に記載の方法。
(項目36)
エネルギーを放出するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片における冷却層を介して、上記皮膚の下層領域から熱エネルギーを取り除くステップを含む、項目29に記載の方法。
(項目37)
熱エネルギーを取り除くステップは、上記冷却層を約0℃~37℃の温度範囲に冷却するステップを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、約1mm~50mmの範囲にある長さを有する、項目29に記載の方法。
(項目39)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、約1mm~25mmの範囲にある幅を有する、項目29に記載の方法。
(項目40)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に取着されたコントローラを介して、上記1つまたはそれよりも多くの細片をプログラムするステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目41)
プログラムするステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の1つまたはそれよりも多くのパラメータを制御するステップを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
制御するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルを制御するステップを含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
1つまたはそれよりも多くの追加的細片を上記対象の涙腺に近接する皮膚の第2の領域に接着するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目44)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられた1つまたはそれよりも多くの付勢機構を介して、圧力または力を上記皮膚の下層領域に印加するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目45)
機械的振動を上記皮膚の下層領域に付与するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目46)
電気力または電気刺激を上記皮膚の下層領域に印加するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目47)
上記1つまたはそれよりも多くの細片に沿って位置付けられたインジケータを介して、上記対象に警告を出すステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目48)
上記1つまたはそれよりも多くの細片を介して、1種類またはそれよりも多くの医薬品、生物剤、または化学剤を上記下層皮膚に適用するステップをさらに含む、項目29に記載
の方法。
(項目49)
上記ドライアイ症候群を治療する方法は、マイボーム腺炎、眼瞼炎、前部眼瞼炎、後部眼瞼炎、または眼性酒さを治療することをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目50)
瞬きを促進するように、瞬きを誘発するように、または瞬き中のより長い閉鎖を維持するように、上記対象を刺激するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目51)
ドライアイ症候群のための治療システムであって、
対象の片眼または両眼に近接する皮膚の下層領域に接着するように構成された1つまたはそれよりも多くの細片であって、上記1つまたはそれよりも多くの細片が、上記対象が上記1つまたはそれよりも多くの細片からの制限なしに自然に瞬きをすることを可能にする、細片と、
上記1つまたはそれよりも多くの細片と通信するコントローラであって、治療療法のためにプログラム可能である、コントローラと、
を備え、
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、エネルギーを上記皮膚の下層領域に放出するように構成され、上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の下層領域内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される、
システム。
(項目52)
上記エネルギーは、熱エネルギーを含む、項目51に記載のシステム。
(項目53)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域に対して配置するための接触表面を備える、項目51に記載のシステム。
(項目54)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域と熱連通する加熱層を備える、項目51に記載のシステム。
(項目55)
上記加熱層と熱連通するサーモクロミック層をさらに備える、項目54に記載のシステム。
(項目56)
上記1つまたはそれよりも多くの細片は各々、上記1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の境界に延在および追従するように成形される第1の湾曲または弧状周縁と、上眼瞼または下眼瞼の自由縁に延在および追従するように成形される第2の湾曲または弧状周縁とを有する、項目51に記載のシステム。
(項目57)
上記コントローラは、接続ケーブルを介して、上記1つまたはそれよりも多くの細片に連結される、項目51に記載のシステム。
(項目58)
上記コントローラは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の1つまたはそれよりも多くのパラメータを制御するようにプログラムされる、項目51に記載のシステム。
(項目59)
上記1つまたはそれよりも多くのパラメータは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルを含む、項目51に記載のシステム。
(項目60)
上記コントローラに取り外し可能に連結されるポータブル電子デバイスをさらに備える、項目51に記載のシステム。
(項目61)
上記ポータブル電子デバイスは、スマートフォンまたはタブレットを含む、項目60に記載のシステム。
(項目62)
上記スマートフォンは、上記ユーザと通信するための聴覚、視覚、または触覚インジケータを提供するようにプログラムされる、項目61に記載のシステム。
(項目63)
ドライアイ症候群を治療する方法であって、
1つまたはそれよりも多くの細片を対象の片眼または両眼に近接する皮膚の領域に接着するステップであって、上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記対象が上記1つまたはそれよりも多くの細片からの制限なしに自然に瞬きをすることを可能にする、ステップと、
上記1つまたはそれよりも多くの細片と通信するコントローラを介して、上記1つまたはそれよりも多くの細片での上記皮膚の領域への治療を開始するステップと、
エネルギーを上記1つまたはそれよりも多くの細片から上記皮膚の領域に放出するステップであって、上記1つまたはそれよりも多くの細片は、上記皮膚の領域内に含まれる1
つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従するように成形される、ステップとを含む、方法。
(項目64)
接着するステップは、
片眼または両眼に近接して上記1つまたはそれよりも多くの細片を位置付けるステップであって、上記1つまたはそれよりも多くの細片の第1の湾曲または弧状周縁が、上記1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の境界に延在および追従し、上記1つまたはそれよりも多くの細片の第2の湾曲または弧状周縁が、上眼瞼または下眼瞼の自由縁に延在および追従する、ステップ
を含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
接着するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の接触表面を上記皮膚の領域に対して配置するステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目66)
エネルギーを放出するステップは、熱エネルギーを上記1つまたはそれよりも多くの細片における加熱層から上記皮膚の下層領域に印加するステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目67)
開始するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片に取着されたコントローラを介して、上記1つまたはそれよりも多くの細片をプログラムするステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目68)
プログラムするステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の1つまたはそれよりも多くのパラメータを制御するステップを含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
制御するステップは、上記1つまたはそれよりも多くの細片の温度、治療時間、治療の頻度、または熱プロファイルを制御するステップを含む、項目67に記載の方法。
(項目70)
開始するステップは、上記コントローラに取り外し可能に連結されたポータブル電子デバイスに少なくとも1つのパラメータを表示するステップをさらに含む、項目63に記載の方法。
(項目71)
上記電子デバイスのタッチスクリーンインターフェースと相互作用するステップをさらに含む、項目70に記載の方法。
(項目72)
遠隔サーバで、上記電子デバイスと無線で通信するステップをさらに含む、項目70に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、上眼瞼の断面側面図およびマイボーム腺の場所の実施例を示す 。
【
図1B】
図1Bは、患者が瞬きするとき等、上眼瞼および下眼瞼を閉鎖位置に有する、ヒトの眼瞼におけるマイボーム腺分布と、上および下眼瞼両方にわたるマイボーム腺の整合の正面図を示す。
【
図1C】
図1Cは、開放位置における患者の眼の斜視図を示し、患者の眼が開放されているとき、マイボーム腺が、典型的には、どのように相互に対して整合されるかを図示する。
【
図2A】
図2Aは、上眼瞼または下眼瞼(または、両方)上に接着する治療用細片の実施例を伴う、閉鎖位置における患者の眼の正面図を示し、細片は、直接下層眼瞼に位置するマイボーム腺上に配置するために定寸または輪郭形成される。
【
図2B】
図2Bは、細片が、どのように、患者皮膚に接着されたままであり得る一方、眼瞼が後退することを可能にし、患者が、眼を通して正常に視認しながら、瞬きし続けることを可能にするかを図示する、
図2Aの治療用細片を示す。細片は、眼瞼縁から眼瞼のしわまで適用されてもよいが、代替として、瞬きの間、撓曲あるいは折畳および/または圧迫し、正常瞬きの妨害を防止し、快適性を最大限にしてもよい。
【
図3A】
図3Aは、輪郭形成された治療用細片の実施例を示す。
【
図3C】
図3Cは、随意に、コントローラを組み込み得る、治療用細片の別の変形例を示す。
【
図3D】
図3Dは、治療用細片が、ジグザグまたは湾曲構成に形成され、患者による瞬きを促進し得る、さらに別の変形例を示す。
【
図4】
図4は、比較的に薄く、上眼瞼を覆って位置付けられる、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図5】
図5は、標的マイボーム腺ならびに周囲組織の治療のために、比較的に厚い、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図6】
図6は、上眼瞼におけるマイボーム腺により密接に追従するように輪郭形成される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図7】
図7は、眼瞼に沿った選択的配置のために短縮された細片に形成され得る、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図8】
図8は、比較的に薄く、下眼瞼に沿った配置のために輪郭形成される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図9】
図9は、比較的に厚く、同様に、下眼瞼に沿った配置のために輪郭形成される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図10】
図10は、下眼瞼に沿った配置のために、比較的に厚い、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図11】
図11は、下眼瞼のために輪郭形成され、種々の長さに短縮され得る、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図12】
図12は、比較的に直線であって、選択的に、短縮される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図13】
図13は、輪郭形成される、治療用細片の別の変形例の正面図を示し、さらに、異なるように定寸される細片が、どのように相互に組み合わせて使用され得るかを図示する。
【
図14】
図14は、下眼瞼に沿ったマイボーム腺だけではなく、また、周囲組織領域にも追従するように定寸される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図15】
図15は、周囲組織領域とともに、下眼瞼に沿って、マイボーム腺に追従するように定寸される、治療用細片の別の変形例の正面図を示す。
【
図16】
図16は、細片が、マイボーム腺の少なくとも一部に追従するが、また、周囲組織の選択された領域を被覆するように輪郭形成される、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図17】
図17は、選択的に、下層組織の特定の領域を治療するように輪郭形成される、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図18】
図18は、輪郭形成される治療用細片が、上および下眼瞼の両方の治療のために、組み合わせて使用され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図19】
図19は、治療用細片が、下層皮膚色調により密接に一致するように、色が改変され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図20】
図20は、治療用細片が、指定されたマイボーム腺を治療するために定寸され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図21】
図21は、細片が、選択的に、特定のマイボーム腺を治療するために、サイズが変動され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図22】
図22は、治療用細片が、個々のマイボーム腺を治療するように定寸され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図23】
図23は、治療用細片が、下眼瞼に沿った配置のために定寸され得る、さらに別の変形例の正面図を示す。
【
図24】
図24は、涙腺の相対的位置付けを図示する、正面図を示す。
【
図25】
図25~27は、下層涙腺を治療するために輪郭形成および位置付けられ得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図26】
図25~27は、下層涙腺を治療するために輪郭形成および位置付けられ得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図27】
図25~27は、下層涙腺を治療するために輪郭形成および位置付けられ得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図28】
図28~30は、随意に、同様に、涙腺の治療と組み合わせて、マイボーム腺を治療するために輪郭形成および定寸され得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図29】
図28~30は、随意に、同様に、涙腺の治療と組み合わせて、マイボーム腺を治療するために輪郭形成および定寸され得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図30】
図28~30は、随意に、同様に、涙腺の治療と組み合わせて、マイボーム腺を治療するために輪郭形成および定寸され得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図31】
図31および32は、選択的に、涙腺と組み合わせて、特定のマイボーム腺を治療するために定寸され得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図32】
図31および32は、選択的に、涙腺と組み合わせて、特定のマイボーム腺を治療するために定寸され得る、治療用細片の変形例を示す。
【
図33】
図33は、力を下層組織およびマイボーム腺に印加するために、細片に沿って組み込まれる機械的に付勢特徴を有し得る、治療用細片の別の変形例を示す。
【
図34】
図34は、細片に沿って組み込まれる付勢機構の実施例を図示する、
図33の治療用細片の詳細斜視図を示す。
【
図35】
図35は、振動力を下層組織およびマイボーム腺に付与するための1つまたはそれよりも多くの変換器を組み込む、治療用細片の別の変形例を示す。
【
図36】
図36は、細片の長さを通して、電極を組み込む、治療用細片のさらに別の変形例を示す。
【
図37】
図37は、細片に沿って、マイクロ波アンテナを組み込む、治療用細片のさらに別の変形例を示す。
【
図38】
図38は、治療が完了すると、ユーザに警告を出すためのタイマおよびインジケータを組み込む、治療用細片のさらに別の変形例を示す。
【
図39】
図39は、スマートフォンまたはタブレット等のポータブル遠隔コントローラに連結され得る、眼瞼治療システムのさらに別の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一般に、蒸発形態のドライアイ症候群(DES)と関連付けられる、マイボーム腺機能不全(MGD)等の病状を治療する際、パッチ、細片、または薄型接着性デバイスが、上および/または下眼瞼の皮膚に添着され、熱または他の形態のエネルギー、圧力、薬物、湿気等(単独または組み合わせて)を下層皮膚内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺に送達させることができる。特に、治療用細片(単数または複数)は、上および/または下眼瞼の皮膚内に1つまたはそれよりも多くの標的化されたマイボーム腺を覆って配置するために具体的に構成および定寸されてもよい。熱療法、例えば、加熱または冷却の印加は、眼瞼が、概して、ヒトの身体上に見出される最も薄い皮膚であって、組織に非常に血管が通っているため、非常に容易に眼瞼を横断することができる。近位に位置する眼瞼の付け根および遠位に位置する眼瞼縁によって、正味動脈流が、近位から遠位に流動する。したがって、これらの治療用細片が配置される場所にかかわらず、加熱または冷却療法は、眼瞼およびその中に含まれる任意の構造、例えば、マイボーム腺MG、涙腺LG、ツァイス腺GZ、モル腺GM、ヴォルフリング腺GW、クラウゼ腺GK等全体を通して、容易に搬送され得る。
【0036】
さらに、眼瞼は、非常に薄いため、加熱または冷却療法は、眼球表面および眼自体にも伝達され得る(以下にさらに詳細に説明される)。したがって、療法は、エネルギーを結膜、杯細胞、上強膜血管系、角膜、房水、虹彩、毛様体、および可能性として、前部硝子体、および水晶体に付与することができる。したがって、治療用細片による任意の熱療法はまた、眼球表面疾患および前眼部疾患、例えば、結膜炎、角膜炎、角膜症、虹彩炎、毛様体炎、緑内障、白内障等を治療するために付与および使用されてもよい。また、以下にさらに詳細に説明されるように、LASIK、PRK、あるいは白内障または角膜外科手術、もしくは他の眼球、眼周囲、眼内、または眼瞼外科手術後のような術後状態において使用されてもよい。
【0037】
図2Aの正面図に示されるように、そのような治療用細片の一変形例は、例証的目的のために、閉鎖されると、患者Pの眼を覆って、上眼瞼ULおよび下眼瞼LL上に一時的に接着されているように示され得る。輪郭形成された上細片10は、細片10が、上眼瞼ULの下層皮膚内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従する、構成および形状を有するように、直接、上眼瞼ULの皮膚上に接着するために定寸されてもよい。同様に、輪郭形成された下細片12もまた、下眼瞼LLの下層皮膚内に含まれる1つまたはそれよりも多くのマイボーム腺の場所に追従する、構成および形状を有してもよい。他の変形例では、輪郭形成された細片は、以下の他の変形例に説明されるように、眼瞼のしわで停止する、またはそれを越えてもよい。
【0038】
上細片10は、したがって、マイボーム腺の上側(または、上方)境界に延在および追従するように成形される(上眼瞼のしわに沿って、またはそこまで等)、上湾曲または弧状周縁14を有してもよい一方、下縁の直線周縁16は、上眼瞼ULの自由縁に沿って等、マイボーム腺の下側(または、下方)境界に延在および追従するように成形されてもよい。下細片12は、同様に、下眼瞼LLの自由縁に沿って、マイボーム腺の上側(または、上方)境界に延在および追従する上直線周縁20と、下眼瞼LLに沿って、マイボーム腺の下側(または、下方)境界に延在および追従する(下眼瞼のしわに沿って、またはそこまで等)、下湾曲または弧状周縁18とを有してもよい。用語「下」および「上」の使用は、本明細書では、患者P(ヒトまたは動物)上に配置されるときの治療用細片の周縁を指し、説明目的のために本明細書で使用される。
【0039】
治療用細片10、12は、両方とも、個別の上眼瞼ULおよび下眼瞼LL上に接着されて示されるが、細片10、12は、所望の治療に応じて、個々に、上眼瞼ULのみまたは下眼瞼LLのみに配置するために使用されてもよい。さらに、治療用細片10、12の長さもまた、所望に応じて、本明細書でさらに詳細に説明されるように、標的治療を提供するために、個々のマイボーム腺を標的化するように変動されてもよい。
【0040】
治療用細片10、12は、患者Pの閉鎖眼瞼上に配置されて示されるが、細片10、12は、患者の眼瞼縁の曲率をとるために十分に弧形状または可撓性であって、瞼板における下層マイボーム腺の一部または全部を被覆するために十分な長さであり得る。治療用細片10、12は、一般的に定寸されてもよいが、また、具体的個人の眼瞼寸法のためにカスタマイズまたは定寸される、あるいは接着性および/または快適性および/または安定性を最適化するように成形されてもよい。概して、治療用細片10、12は、成人における典型的瞼裂長さが、約27mm~30mmであるため、所望の治療長さならびに患者の解剖学的考慮点に応じて、約1mm~50mmの長さを有してもよい。したがって、マイボーム腺のほぼ全てを被覆するために、治療用細片10、12は、例えば、25mm~30mmの長さを有するように定寸される、または全マイボーム腺をわずかに越えて被覆するように定寸される場合、例えば、30mm~50mm(または、接着性/快適性/安定性を最適化することが必要とされる場合、それ以上)の長さを有するように定寸される。さらに、一方または両方の治療用細片10、12は、白人男性の典型的眼瞼のしわが、眼
瞼縁の上方約8mm~9mmにある一方、白人女性では、眼瞼縁の上方約9mm~11mmにあるため、約1mm~25mm(または、接着性/快適性、および潜在的に、流入血流を加熱または冷却することからの有効性増加のために必要とされる場合、それ以上)の幅を有することができる。カスタマイズは、任意の特定の生体構造、人種、民族性等に適合させることを可能にする。さらに、治療用細片は、最適快適性および最小限の干渉性または移動のために、眼瞼および眼瞼瞬きの人間工学に対応するように、可変レベルの可撓性を伴って製造されてもよい。
【0041】
治療用細片10、12の具体的に輪郭形成されたサイズおよび可撓性から、治療用細片は、消費者使用のために患者本人によって、または医療提供者によって、患者P上に配置され、療法を下層マイボーム腺に適用し、
図2Bに示されるように、一方または両方の治療用細片からの干渉を伴わずに、患者の眼が正常に開閉されることを可能にしてもよい。細片は、眼瞼縁から眼瞼のしわまで適用されてもよいが、代替として、瞬きの間、撓曲あるいは折畳および/または圧迫し、正常瞬きの妨害を防止し、快適性を最大限にしてもよい。
【0042】
温罨法の適用等の典型的治療パッチは、概して、治療セッションの間、患者がその眼を開放または瞬きすることができないように、片眼または両眼全体を覆って配置するために定寸される。しかし、DESとMGDとの間の強い関連性から(例えば、MGDは、MGD、マイボーム腺炎、眼瞼炎、および酒さの領域を含む)、個人による自然な瞬きは、マイボーム腺分泌液が眼瞼縁上および涙液にわって正常に放出される機構となる。瞬きが行なわれない場合、マイボーム腺内に含まれる油脂は、腺の終末管内から搾り出されないままとなり、涙液上への油脂様層の分散に寄与することができない。
【0043】
故に、治療用細片10、12の輪郭形成されたサイズ、形状、および可撓性は、治療が生じることを可能にする一方、また、正常な生理学的瞬きが、治療の過程の間、行なわれることができるように、患者が、片眼または両眼が開放されたままにすることを可能にする。油脂または障害物を腺から搾り出すための任意のタイプの外力の印加に依拠するのではなく、治療用細片10、12は、瞬きを介して、油脂をマイボーム腺から取り除くための眼の自然機構を利用する。故に、治療用細片10、12は、治療用細片10、12が、例えば、熱エネルギーを印加し、任意の蝋様または固体マイボーム腺障害物を融解または液化する一方、眼が遮られないままであって、自然に瞬きさせ得るように、患者または医療提供者によるいかなるさらなる介入も伴わずに、治療のために、定位置に接着され得る。治療用細片10、12は、したがって、治療の過程の間、患者がその眼を閉鎖または遮られた状態に保つことを要求し、患者が瞬きをするのを妨害または阻害する、他の治療と異なり、自然な瞬き力によって、再固化する前に、熱処理されて軟化した障害物を腺から取り除くことを可能にする。熱の送達はまた、血液の送達増加が、代謝、他の組織の温度に影響を及ぼすため、血管拡張を助長することによって、血流を増加させ得、炎症に影響を及ぼし得、それによって、組織機能を改善することができる。
【0044】
一部の患者は、マイボーム腺において高温に到達せずに、十分に融解、弛緩、または軟化し得ない、障害物または閉塞をそのマイボーム腺内に有するため、1日を通して、任意の所与の周期の間、患者に取着されたままである治療用細片10、12の能力によって、治療用細片10、12は、比較的に長い治療時間のための有意な時間、より高い治療温度において、熱または他の治療を眼瞼の表面に適用してもよい。患者は、その眼を開放させたり、瞬きさせたりしながら、細片ベースの治療が快適な状態において、その日常活動を行なうことができる。さらに、患者は、ドライアイ症状が鎮静化するまで、1日、1週間、1ヶ月を通して等、必要に応じた回数だけ、治療用細片を添着させることができる。これは、治療の頻度、治療の便宜性、したがって、治療の有効性を増加させる。
【0045】
長時間の治療時間のため、患者が、治療の過程の間、瞬きし続けることが可能である限り、細片の適用に加え、別個の力の印加は、必要とされなくてもよい。さらに、治療頻度は、治療される病状の重症度に応じて、変動されてもよい。潜在的治療頻度の一実施例として、治療毎に、10分間または最大1時間以上、1日最大6回の一方または両方の細片の適用が挙げられ得る。さらに、治療用細片は、眼球表面を覆う、マイボーム腺を覆って位置付けられるため、加熱療法の適用はまた、間接的に、眼球表面も同様に加熱し得、さらに、任意の慢性眼球表面炎症、慢性結膜炎症、または角膜血管新生を低減させ得る。
【0046】
眼球表面の加熱の他に、熱療法はまた、随意に、熱療法を提供し、滲出型加齢黄斑変性(AMD)および糖尿病性網膜症等の疾患の基礎疾患である、炎症および血管新生を制限するための網膜の加熱のための眼球表面を通した間接加熱を潜在的に提供するためにも使用されてもよい。
【0047】
治療用細片10、12は、患者の生理学的瞬きを利用して、1日を通して使用されてもよいが、治療用細片10、12はまた、患者が安静または睡眠中に、あるいは患者が単にその眼を閉鎖して維持している間に、使用されてもよい。
【0048】
治療用細片10、12は、望ましくは、約15mm以上も移動し得る、上眼瞼ULおよび/または下眼瞼LLの移動に対応するために十分に可撓性である。したがって、治療用細片10、12は、種々の材料から加工されてもよい。
図3Aおよび3Bは、それぞれ、細片の周縁を中心として位置付けられる接着剤32を皮膚表面に対して直接配置するための接触領域30に残すように構成される、治療用細片の一実施例における、正面および断面側面図を示す。接触領域30はさらに、細片と皮膚との間に接合する保湿層を含み、細片からの熱伝達を促進し、保湿療法を皮膚に提供してもよい。代替として、治療用細片は、治療用細片から別個に、患者Pまたは施術者によって下層皮膚に適用され得る、任意の数の保湿剤と併用されてもよい。さらに、接触領域30は、平滑、多孔性、不規則、波形等である、表面を有するように形成され、接触および治療用細片から皮膚表面への熱の伝達を促進してもよい。代替として、その周縁を含む、接触領域30全体は、接着性であって、良好な接触を維持してもよい。これは、快適性およびより生理学的に理にかなった人間工学のために、撓曲またはアコーディオン状の動的移動を可能にするように、蝶着または湾曲されてもよい。使用時、細片は、
図3Dにおける張力をかけた細片10’によって示されるように、張力下で適用され、さらに、瞬きへのいかなる妨害も低減させてもよく、いったん皮膚に接着されると、細片は、同様に、
図3Dにおける解放された細片10’’によって示されるように、その撓曲を可能にするように解放され、患者Pによる瞬きを促進してもよい。
【0049】
本変形例では、治療用細片10は、皮膚を熱傷または任意の他の有害作用から保護し得る、接触層34(例えば、金属、合金、多孔性セラミック、エンジニアリングセラミック、木材、ポリマー、複合材、発泡体、ポリマー発泡体、エラストマー等の伝導性材料から加工される)を有するように構成されてもよい。第2の加熱層36は、熱エネルギーを発生させるために、接触層34の上方(または、直接、皮膚に接触して)位置付けられてもよく、絶縁層38は、熱を下層皮膚表面に向かって集束、指向、または反射させ、かつ患者の身体の他の部分が加熱層36と接触しないように保護するために、加熱層36の上部に位置付けられてもよい。絶縁層38は、故に、種々の絶縁材料、例えば、発泡体、発泡体テープ、ガーゼ、シリコーン、微孔ポリエチレンフィルム、金属、合金、反射材料、鏡等から加工されてもよい。さらに、治療用細片10の厚さは、加熱層36機構ならびに所望の熱プロファイルおよび標的伝送温度に応じて、例えば、約1/64インチ~1/8インチ以上に変動してもよい。加えて、および/または代替として、絶縁層38は、治療用細片10によって、標的温度に到達すると、その色を変化させ得る、サーモクロミック材
料から成り、患者に、標的温度を達成したこと、または療法が完了したことを示してもよ
い。
【0050】
加熱層36は、機械的、電気、または化学機構等の任意の数の種々の機構を通して、例えば、約20℃~55℃(または、それ以上)または40℃~50℃の温度範囲まで、その熱エネルギーを発生させるように構成されてもよい。一変形例では、加熱層36は、例えば、5分から24時間またはそれ以上継続する時間、高温治療温度まで上昇させ得る、空気活性式加温器を備えてもよい。実施例として、例えば、鉄を組み込む、空気活性式層が挙げられ得る。他の実施例は、加熱層36を含む、例えば、セルロース、鉄粉、水、活性炭素(反応を加速させるため)、バーミキュライト(水貯留層)、および塩(触媒)、おがくず、塩化ナトリウム、および水等を組み込み、空気に暴露されると、鉄の発熱酸化から熱を発生させてもよい。他の変形例は、光ベースの活性化(可視またはUV光が動力源)あるいは発熱反応を開始および/または維持するための過飽和溶液(結晶型)の使用を組み込む、加熱層36を備えてもよい。
【0051】
随意に、治療用細片が特定の温度に到達したときを判定するためのサーモクロミック材料の使用の他に、別個の温度センサ39(例えば、熱電対またはサーミスタデバイス)が、
図3Bに示されるように、細片の上部または細片の底部のいずれかに取着されて、治療用細片10上に組み込まれてもよい。治療用細片10はまた、プログラム可能であり得、
図3Cに示されるように、別個のオン/オフ特徴を組み込み得る、プロセッサを有する、随意のコントローラおよび/またはディスプレイ37を組み込んでもよい。温度センサ39は、加熱層36の温度および/または特定の治療の間の時間の長さを調整するようにプログラムされ得る、コントローラ37と通信してもよい。コントローラ37は、故に、医師または介護者または直接患者によって、プログラム可能であってもよい。代替として、コントローラ37は、患者によってアクセス不可能であるように構成されてもよく、単に、患者へのディスプレイのための温度および/または時間表示を提供してもよい。コントローラ37が、プログラム可能である場合、コントローラ37は、例えば、加熱周期の長さを設定する、治療時間を設定する、所定の温度範囲を設定する、加熱温度プロファイルを制御する(加熱温度を徐々に増加させる、または所定の期間にわたって、温度を低下させる等)等のためにプログラムされてもよい。
【0052】
別の変形例では、加熱層36は、通常、再使用可能である、過飽和溶液(典型的には、酢酸ナトリウム)の発熱結晶化を通して、熱を発生させてもよい。治療用細片は、それらを加熱することによって、例えば、沸騰させ、それらを冷却させることによって、再供給されてもよい。これらの治療用細片の加熱は、結晶化を開始させる核生成中心を発生させる、治療用細片内に埋め込まれた小型金属デバイスを折ることによって誘発されてもよい。熱は、その独自の結晶化水中に塩を溶解させるために要求され、結晶化が開始されると、放出される熱はこれである。
【0053】
さらに別の変形例では、加熱層36は、バッテリ内の電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために使用される、電気抵抗性加熱要素を利用する、バッテリ作動式加温器を備えてもよい。電力供給源は、治療用細片の内部または外部にあってもよく、治療用細片は、例えば、直接電気接触、誘導等によって、充電されてもよい。
【0054】
加熱層36に組み込まれ得る、他の機構は、酢酸ナトリウム加熱パッドによって使用されるもののように、化学的作動される反応を備えてもよい。例えば、触媒による鉄の発錆または塩化カルシウムの溶解を利用する、1回限りの化学反応が、使用されてもよく、その場合、試薬が、治療用細片内の別個の区画に維持される。患者が治療用細片を圧搾すると、区画は、破壊し、試薬が混合され、熱を発生させ得る。実施例として、水中の酢酸ナ
トリウムの過飽和溶液(NaCH3COO)の使用が挙げられ得、その場合、結晶化は、水和塩(酢酸ナトリウム三水和物)中への酢酸ナトリウムの結晶化のための核生成部位と
して作用する、液体中に埋め込まれた切り欠き付き非鉄金属の小型の平坦円盤を撓曲させることによって誘発され得る。液体は、過飽和となるため、これは、溶液を突然結晶化させ、結晶格子のエネルギーを放出させる。
【0055】
加熱層36における使用のさらに別の実施例として、塩の過飽和溶液を含むホットゲルの使用が挙げられ得る。熱は、所与の塩の結晶化が発熱発生すると、発生され得る。そのような加熱層36は、加熱層36内の溶液中に塩を戻すことによって再使用されてもよい。
【0056】
加熱層36への組み込みのためのさらに他の実施例としてまた、例えば、使用に先立って、マイクロ波下に置き、次いで、指定された期間にわたって熱を放出させることによって加熱され得る、高比熱容量材料の使用が挙げられ得る。
【0057】
治療用細片からの熱エネルギーの印加が、説明されるが、他の変形例として、代替として、下層皮膚の冷却のための治療用細片を使用する用途も挙げられ得る。発熱反応における加熱層36を使用するのではなく、層は、代わりに、吸熱反応を利用して、例えば、約0℃~37℃、またはより具体的には、約25℃~35℃の温度における皮膚の冷却を提供するように構成されてもよい。一実施例として、水および硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムを組み込む、層36を有するものが挙げられ得る。水およびアンモニウムの混合物は、層36の温度を低下させ得る。別の変形例として、使用に先立って、冷却または冷凍され得る、ヒドロキシエチルセルロースまたはビニルでコーティングされたシリカゲルを添加することによって作製された冷却ゲルの使用が挙げられ得る。代替として、冷却は、ペルチェ接合等の冷却要素の適用によって達成されてもよい。加熱ではなく、冷却は、特に、患者が安静または睡眠時、炎症の低減、アレルギーまたは疲れた眼の緩和等の病状に適用されてもよい。一実施例として、アレルギー性結膜炎のための治療が挙げられ、冷却治療の適用は、血管収縮剤としての役割を果たし、血流を制限し、血管漏出および透過性を減少させ、それによって、急性膨張および炎症を低減させることによって、いかなる熱傷または掻痒感からの軽減も提供する。さらに別の実施例として、線維柱帯切除術から生じる結膜濾過胞の炎症および線維症を低減させ、または一般的任意の眼科外科手術手技後の炎症を緩和させることが挙げられる。
【0058】
加熱層36を組み込むための多数の種々の機構を前提として、治療用細片は、1回限りの使い捨て細片、複数回使用される使い捨てのもの、再使用可能細片、選択的に作動可能なもの等であるように構成されてもよい。
【0059】
治療用細片からの熱エネルギーの印加の他に、細片はまた、単独で、または熱治療と組み合わせてのいずれかにおいて、1種類またはそれよりも多くの医薬品、生物剤、または化学剤の拡散または放出のための層を含んでもよい。例えば、医薬品、生物剤、または化学剤は、追加的および/または代替治療のためのマイボーム腺あるいはマイボーム腺を囲繞する面積への経真皮的送達のために、接触層34、絶縁層38、または別個の層のいずれかに全体的に組み込まれてもよい。例えば、治療用細片が組み込まれ得る、種々の薬剤のいくつかの実施例として(熱治療を併用する、または併用しないために)、限定ではないが、抗炎症化合物、抗生物質、局所テトラサイクリン、経口テトラサイクリン、局所コルチコステロイド、経口コルチコステロイド、局所アンドロゲン、メトロニダゾール、ステロイド拮抗薬、局所アンドロゲン類似体、TGF-β、オメガ3またはオメガ6化合物
、血管収縮剤、例えば、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリン、脂質産生を助長する酵素、脂質産生を助長する酵素の産生を刺激する剤
、マイボーム腺分泌を向上させる分泌促進剤として作用する剤、任意の涙液成分に代わる、またはその産生を助長する剤(コリン作動薬、ムスカリン作動薬、またはニコチン作動薬が使用され得る)、美容分野における薬用化粧品、例えば、しわの多い皮膚、腫れた皮
膚、またはたるんだ皮膚のためのレチノールまたはヒアルロン酸(HA)、にきびのためのレチノイン酸、あるいはリパーゼのような脂質を分解または破壊する剤等が挙げられ得る。
【0060】
他の剤として、例えば、涙液産生を増加させるためのαメラニン細胞刺激ホルモンまたは副腎皮質刺激ホルモンあるいはテストステロンのようなアンドロゲン、眼瞼挙筋が瞬きまたは眼瞼閉鎖を付勢する、あるいは別様に、マイボーム腺またはツァイス腺もしくは他の杯細胞または付属涙腺を機械的に圧迫するのを阻害することによって、瞬きを刺激する、瞬きの頻度を増加させる、または瞬き後のより長い閉鎖を維持するための眼輪筋またはリオラン筋のような下層筋肉を刺激する剤が挙げられ得る。
【0061】
加えて、および/または代替として、治療用細片に組み込むための他の剤としてさらに、例えば、神経伝達物質、有害または刺激性化学物質あるいは蒸気、ホルモン、油脂、脂質、極性脂質、または脂肪酸が挙げられ得る。神経伝達物質の使用は、カルシウム/プロテインキナーゼC経路、G-タンパク質活性化、他のカルシウム関連経路、カルシウム・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ、環状アデノシン一リン酸依存性経路、アデニリルシクラーゼ経路の活性化、cAMP依存性ホスホジエステラーゼの阻害のようなセカンドメッセンジャー経路を介して生じる刺激を可能にし得る。
【0062】
薬剤または化学剤が、熱治療の間に放出される場合、熱は、下層皮膚への任意の薬物の浸透を改善し得る。
【0063】
さらに別の変形例は、マイボーム腺の治療のために、治療用細片を介して、上ULおよび/または下眼瞼LL上に適用され得る、温熱マッサージを適用する、あるいは光を引きつけ、それにしたがって、加熱させる化合物を適用する、治療用細片を組み込んでもよい。これらの変形例は各々、治療用細片10、12が、マイボーム腺内の溶解した油脂遮断物を管から取り除くことを促進し、涙液上への油脂の拡散を促進する自然な瞬きを可能にしながら、適用および使用されることを可能にし得る。
【0064】
治療用細片は、細片に種々の層を組み込み、種々の異なる治療をもたらしてもよいが、細片はまた、治療用細片が、少なくとも1つのマイボーム腺の場所に追従するように輪郭形成または成形される限り、所望の治療面積に応じて、サイズ、形状、輪郭等が変動されてもよい。治療用細片のための別の構成の実施例は、上眼瞼ULに沿って配置するために定寸および成形される、輪郭形成された薄型細片40を図示する、
図4の正面図に示される。本治療用細片は、下層マイボーム腺の位置付けに追従する、輪郭形成された下縁42ならびに輪郭形成された上縁44を有し得る。さらに、細片40は、患者Pの両眼の上眼瞼UL上に配置されて示されるが、単一細片40が、本明細書で示される本および他の実施例において、特定のマイボーム腺を選択的に治療するために、単一眼瞼上で使用されてもよい。加えて、一方または両方の上眼瞼ULは、本明細書で示される本および他の実施例における所望の治療に応じて、単独で、または一方または両方の下眼瞼LLと組み合わせて、治療されてもよい。
【0065】
別の変形例は、マイボーム腺ならびに周囲組織および腺上に配置するために、輪郭形成された下縁52および輪郭形成された上縁54を有する、輪郭形成された厚型細片50を示す、
図5の正面図に示される。さらに他の変形例では、2つの別個の治療用細片を利用するのではなく、単一細片がまた、患者の鼻梁にわたって延在するように使用されてもよ
い。加えて、厚型細片50は、眼瞼縁から近位に離れた皮膚の一部を被覆し、治療を促進してもよい。眼瞼への動脈血供給は、眼瞼縁の近位から遠位に行なわれるため、治療用細片は、血液供給が眼瞼縁に向かって流動し続けるにつれて、それを加熱(または、冷却)し得る。本初期加熱(または、冷却)は、患者への快適性増加、眼瞼機能(瞬き等)への
少ない影響、眼球表面からの適用および距離の安全性増加、ならびにより全体的加熱または冷却療法を可能にする、潜在的有効性増加の治療効果を提供し得る。
【0066】
図6は、輪郭形成された薄型細片60を有する、さらに別の変形例を示しており、下62縁および上縁64は、マイボーム腺上に配置するために、先細端66へと合流する。
図7は、さらに別の変形例を示しており、治療用細片は、薄型直線細片72とも組み合わせて使用される、第1の幅を有する、直線細片70を備えてもよい。直線細片70は、選択的に、マイボーム腺を覆って配置され得る、直線細片(随意に、丸い角を有する)を備えてもよい。本実施例では、単一直線細片70が、単一眼の上眼瞼UL上に適用されてもよいが、残りの眼は、上眼瞼ULの第1の部分に沿って適用される単一直線細片70と、上眼瞼ULの第2の部分上に配置するために比較的により薄い幅を有する、第2の直線細片72とを利用してもよい。細片は各々、所望の治療面積に応じて、単独で、または種々の組み合わせで、適用されてもよく、本変形例では、例示的組み合わせとして示される。
【0067】
図8の変形例では、輪郭形成された薄型細片80の実施例は、下眼瞼LLに沿って適用されて示される。図示されるように、輪郭形成された上縁82および輪郭形成された下縁84は、下層マイボーム腺を覆って追従するように輪郭形成されてもよい。前述のように、治療用細片は、片眼または両眼を覆って、単独で適用されてもよく、あるいは上眼瞼の片眼または両眼を覆って、治療用細片と組み合わせて、適用されてもよい。さらに、本明細書で示される治療用細片のいずれも、相互に任意の数の組み合わせにおいて使用されてもよい。
【0068】
図9は、別の変形例を示しており、輪郭形成された厚型細片90は、下眼瞼LLを覆って適用されてもよく、さらに、
図8で上記に示されたそれらの治療用細片より比較的に広い幅を有してもよい。同様に、
図10は、さらに別の変形例を示しており、輪郭形成された厚型細片92は、下層マイボーム腺だけではなく、また、任意の腺および眼窩周囲領域を囲繞する組織を治療するために、さらに比較的に広い幅を有してもよい。
図5の変形例に関して前述のように、幅広型治療用細片は、血液供給が眼瞼縁に向かって流動し続けるにつれて、それを加熱(または、冷却)し得る。初期加熱(または、冷却)は、患者への快適性増加、眼瞼機能(瞬き等)への少ない影響、眼球表面からの適用および距離の安全性増加に対する治療効果を提供し得る。
【0069】
治療用細片の幅の変動の他に、治療用細片はいずれも、長さも同様に変動され、マイボーム腺の一部、または特に、選択されたマイボーム腺を選択的に標的化してもよい。例えば、
図11は、第1の短縮された長さを有する、短縮型の輪郭形成された細片100が、下眼瞼LL上(および/または上眼瞼UL上)に提供され得る、一変形例を示す。短縮型の輪郭形成された細片100より長い第2の長さを有する、第2の輪郭形成された細片102もまた、比較のために示され得る。
図12は、同様に、下眼瞼LL状に適用された短縮され、かつ直線の細片110と、第2の下眼瞼LL上に適用される比較的により長い長さを有する、第2の直線細片112とを示す。直線細片110、112は、丸端を組み込んでもよく、所望の治療面積に応じて、長さが変動されてもよい。これらはまた、1つまたはそれよりも多くのものもらいを被覆するために、丸形または円形であり得る。
【0070】
図13は、さらに別の変形例を示しており、輪郭形成された細片120は、マイボーム腺を覆うための先細端を有するように構成されてもよい。比較として、先細端を有するが
、治療面積を改変するために、比較的により広い、厚型の輪郭形成された細片122もまた、図示される。
【0071】
図14は、別の変形例を示しており、輪郭形成された細片130は、下眼瞼LLのマイボーム腺を覆って配置するために、第2の部分134より比較的に広い、第1の部分13
2を有してもよい。第1の132および第2の部分134は各々、同様に、所望の治療面積に応じて、幅が変動されてもよい。別の実施例は、下眼瞼LLに沿ったマイボーム腺だけではなく、また、下層上顎洞等の周囲の眼窩周囲組織領域を治療するために、かなり広い、第1の部分142および第2の部分144を有する輪郭形成された細片140を示すように、
図15に示される。
図16は、第1の部分152と、第1の部分152より広い第2の部分154とを有し、細片150が、下眼瞼LLに沿ったマイボーム腺の一部だけではなく、また、眼窩周囲領域の周囲の涙腺等の種々の他の腺を被覆するように位置付けられる、輪郭形成された細片150のさらに別の実施例を示す。
【0072】
図17は、接続細片164を介して取着された二次的拡大部分162を有する、輪郭形成された細片160から成る、治療用細片のさらに別の変形例を示す。輪郭形成された細片160は、下眼瞼LLに沿ってマイボーム腺を治療してもよいが、二次的拡大部分162は、患者の頬に沿って組織の領域を治療してもよい。
【0073】
さらに別の変形例では、
図18は、上輪郭形成された細片170および下輪郭形成された細片172が両方とも、それぞれ、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLに沿って適用され得る、実施例を示す。前述のように、輪郭形成された細片170、172は、患者Pが正常に瞬きすることを可能にしながら、下層マイボーム腺に追従するように成形および適用される。
図19は、同様に適用された上側の輪郭形成された細片180および下側の輪郭形成された細片182を示しており、細片は、患者Pの皮膚の色調または濃淡により密接に一致するように、色が変動されてもよい。治療用細片は、任意の所与の時間、1日中使用され得るため、細片180、182は、患者Pの皮膚色調または濃淡のいずれかにより密接に一致するように、種々の色または色調において作製されてもよい。
【0074】
さらに別の変形例では、
図20は、別の実施例を示しており、治療用細片は、上ULまたは下眼瞼LLに沿った具体的領域を治療するために、長さが変動されてもよい。本実施例では、第1の長さを有する、第1の上細片190は、第2のより長い長さを有する、第2の上細片192に隣接して適用されてもよい。随意に、比較的により短い長さを有する、第3の上細片194および/または第4の上細片196もまた、同様に、選択されたマイボーム腺を覆って適用されてもよい。拡大された遠位端200、202を有する、下細片198もまた、下眼瞼LLに沿って配置するために示される。遠位端200は、細片198の配置および/または皮膚からの除去を促進するように(または、より優れた接着性のために)成形されてもよい。さらに別の実施例は、いくつかの短縮された治療用細片、例えば、上眼瞼ULに沿って選択的に配置される、第1の上細片210および第2の上細片212とともに、例えば、下眼瞼LLに沿って選択的に配置される、第1の下細片214および第2の下細片216を図示する、
図21に示される。細片は各々、治療面積に応じて、長さならびにサイズが変動されてもよい。
【0075】
治療用細片の長さが可変であることによって、複数の細片は、相互に隣接して、あるいは眼瞼に沿って、水平および/または垂直に重複するように、適用されてもよい。さらに、治療用細片のうちの1つまたはそれよりも多くは、単一ユニットとして、あるいは、随意に、可撓性である支持材によって接続され得る、水平または垂直のいずれかに配向される、一連のパネルとして作製されてもよい。
図22の変形例に示されるように、標的化された細片220は各々、単一マイボーム腺だけを被覆するために、長さ、例えば、約1m
mを有してもよい。標的化された細片220のうちの1つまたはそれよりも多くは、上眼瞼ULおよび/または下眼瞼LLに沿って適用されてもよい。加えて、標的化された細片222のうちの1つまたはそれよりも多くはさらに、個々の標的化された細片222のそれぞれを相互に連結するための支持材として機能する、接続部材224を備えてもよい。個々の細片は、上眼瞼ULおよび/または下眼瞼LLのいずれかに沿って、特に、問題のあるマイボーム腺に、選択的に適用されてもよい。例えば、
図23は、下眼瞼LLのみに
沿って配置される、個々の標的化された細片222を図示する。
【0076】
治療用細片は、マイボーム腺のうちの1つまたはそれよりも多くに適用されてもよいが、細片の変形例はまた、例えば、にきび治療のために、皮脂腺等の他の腺を治療するために使用されてもよい。にきびを治療するために使用される治療用細片は、異なる薬理学的治療を利用してもよい。治療のための下層眼瞼および結膜CNにおける他の腺としてまた、例えば、ツァイス腺GZ、杯細胞、付属皮脂腺、付属杯細胞、例えば、ヘンレ腺およびマンツ腺、付属涙ヴォルフリング腺GWまたはクラウゼGK、あるいは眼瞼部分または眼窩部分等の主涙腺の一方または両方の葉のいずれかの治療が挙げられ得る。
【0077】
さらに、治療用細片は、潜在的に、例えば、眼瞼炎、シェーグレン症候群、涙腺炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、乾性角結膜炎、角膜炎、涙嚢炎、虹彩炎、角膜炎、網膜炎、強膜角膜炎、ブドウ膜炎、コンタクトレンズ関連の眼の問題、眼瞼形成術あるいは眼瞼または眼外科手術手技(例えば、白内障外科手術、LASIK、PRK等)後、瞬き欠如または機能不全疾患、結膜炎、眼瞼痙攣、露出性角膜症、兎眼、眼輪筋波動症、感染症、ものもらい、霰粒腫、麦粒腫、緑内障、水疱、外傷等を含む、マイボーム腺機能不全以外の眼疾患を治療するために使用されてもよい。
【0078】
さらに別の実施例は、前述のように、
図24に示されるように、眼の上方に位置する、涙腺LGおよび/または眼瞼涙腺PLの疾患を治療するために、治療用細片の使用を含んでもよい。湾曲上周縁を有するように定寸される、
図25に示される涙腺細片230等の様々に定寸される治療用細片は、直接、涙腺LGが位置する場所の上方の皮膚表面を覆って配置するために定寸されてもよい。他の変形例は、幅が比較的により薄い、涙腺細片232を図示する、
図26と、先細端で終端する湾曲周縁を有する、涙腺細片234を図示する、
図27とに示される。治療用細片は、熱を送達し、例えば、涙腺LGを刺激する、腺代謝、活性、流涙等を増加させてもよい。代替として、治療用細片は、腺機能を損なわせる炎症を低減させるために、冷却療法を送達してもよい。
【0079】
涙腺LGおよび/または眼瞼涙腺PLは、単独で、またはマイボーム腺の治療のために輪郭形成された治療用細片と組み合わせて、治療されてもよい。一変形例は、上眼瞼ULに沿って、涙腺LGならびにマイボーム腺の両方を被覆するように、幅が拡大されている、輪郭形成された細片240を図示する、
図28に示される。輪郭形成された治療用細片242はまた、同様に、マイボーム腺の治療のために、下眼瞼LLに沿って配置されて示される。
【0080】
図29は、別の変形例を示しており、涙腺細片250は、上眼瞼ULおよび下眼瞼LLの両方に沿って、マイボーム腺の場所に追従しながら、眼を全体的に取り囲むように定寸される、一体型であって、組み合わせられ、輪郭形成された細片252と組み合わせて、涙腺LGを覆って配置されてもよい。このように完全に取り囲む設計はまた、所望に応じて、患者の頭部を取り囲み得る、ストラップによって、皮膚に対してより緊密に定位置に保持されてもよい。別の変形例は、同様に、眼を全体的に取り囲み、さらに、涙腺LGを覆って配置するために好適な幅を有するように定寸される、一体型であって、組み合わせられ、輪郭形成された細片260を図示する、
図30に示される。
【0081】
涙腺細片270は、本明細書で示される治療用細片のいずれかと組み合わせて使用されてもよい。別の実施例は、個々の細片222と組み合わせて使用される、涙腺細片270を示す、
図31に図示される一方、
図32はさらに、涙腺細片270が、個々の細片222だけではなく、また、個別の下眼瞼LLおよび上眼瞼ULに沿って位置する、細片220とも組み合わせて使用され得る、別の実施例を示す。
【0082】
治療用細片は、マイボーム腺を覆って適用され、熱エネルギーを印加してもよいが、治療は、細片または任意の他の外部デバイスによって印加される任意の外力の印加を要求せず、前述のように、患者の自然な瞬きを利用して、治療を促進し得る。しかしながら、追加的変形例では、治療用細片は、熱治療ならびに外力の両方を印加するように構成されてもよい。任意の数の機構が、挟着または付勢力を印加し、熱療法の印加の間、下層皮膚およびマイボーム腺の圧迫を提供するために利用されてもよい。一実施例は、前述のように、細片282に沿って位置付けられた1つまたはそれよりも多くの付勢機構284を有する、細片282から成り得る、付勢型治療用細片280を図示する、
図33の正面図に示される。1つまたはそれよりも多くの付勢機構284は、示されるように、上細片または下細片の一方あるいは両方に沿って位置付けられてもよい。
【0083】
本実施例では、付勢機構284は、下層皮膚を局所的に圧搾または圧迫し、圧力をマイボーム腺MGに印加し、特に、熱治療と同時に適用される場合、いかなる障害物の取り除きも促進し得る。付勢機構284の実施例は、付勢機構284が、どのように、概して、開放または閉鎖構成に撓曲するように構成される、対応するチャネル286を形成するように付勢された細片282の一部または別個の部材を備え得るかを示す、
図34の斜視図に図示される。細片が、最初に、皮膚上に配置されると、細片の端部が引張され、チャネル286を開放させ得、次いで、皮膚表面上に配置され得る。細片および付勢機構284が弛緩するにつれて、下層皮膚およびマイボーム腺MGは、付勢機構284に誘発される圧迫力288によって、圧迫または挟着され得る。
【0084】
圧迫力の他に、細片は、振動エネルギーを付与し、マイボーム腺の搾り出しを促進し、油脂分泌を冗長させるための機械的構成要素等、代替構成要素とともに形成されてもよい。実施例は、細片290A、290Bに沿って組み込まれる1つまたはそれよりも多くの振動要素292(例えば、圧電変換器、電磁アクチュエータ、偏心して連結された回転要素等)を有する、輪郭形成された細片290A、290Bの別の変形例を示す、
図35に図示される。1つまたはそれよりも多くの振動要素292は、同様に、細片290A、290Bに沿って含まれる、電力供給源および/またはプロセッサ294に電気的に連結されてもよい。さらに、振動エネルギーは、熱治療と別個に、または熱療法と組み合わせて付与されてもよい。電力供給源は、再充電可能であって、エネルギーのマイクロ電流を送達し得る、マイクロバッテリを含んでもよい。
【0085】
機械的圧力または振動エネルギーの印加の他に、他の形態のエネルギーもまた、治療用細片のうちの1つまたはそれよりも多くによって送達されてもよい。別の変形例は、輪郭形成された細片300Aの全長(または、部分長)に沿って統合されたワイヤ等の伝導性要素302を有する、上側の輪郭形成された細片300Aを示す、
図36に図示される。伝導性要素302は、交互パターンで構成されてもよく、または、単に、下側の輪郭形成された細片300Bに沿った伝導性要素306(または、電気抵抗性)によって示されるように、細片の長さに沿って整合されてもよい。伝導性要素302、306は各々、個別の電力供給源および/またはプロセッサ304、308と電気連通してもよい。伝導性要素302、306は、下層皮膚およびマイボーム腺に、選択的に、熱エネルギーを印加するように作動されてもよく、または高周波(RF)エネルギーを印加するように構成されてもよい。電気エネルギーの印加に関して、治療用細片によって印加可能である電気エネ
ルギーの形態の1つとして、例えば、涙液産生を増加させるための神経刺激を配達するための経表皮的電気神経刺激特徴の使用が挙げられ得る。伝導性要素は、種々の電源、例えば、バッテリ、太陽電池、運動移動、RF等を介して、熱エネルギーを発生させてもよい。
【0086】
図37は、さらに別の変形例を示しており、輪郭形成された細片310A、310Bは、例えば、マイクロ波エネルギーを下層マイボーム腺に印加するために、電力供給源およ
び/またはプロセッサ314に連結される、電極またはアンテナ312を組み込むように構成されてもよい。電気またはマイクロ波エネルギーの他に、治療用細片は、マイボーム腺を治療するために、さらに他の形態のエネルギーを印加するように構成されてもよい。例えば、他の変形例は、超音波、RF、マイクロ波、磁気、光子(赤外線または可視光スペクトル内の光エネルギー)等を印加するためのアクチュエータまたは送信機を組み込んでもよい。さらに他の変形例では、伝導性要素は、いったん作動されると、電磁要素として機能するように構成されてもよく、または細片は、眼瞼の閉鎖を助長するための強磁性要素を組み込んでもよい。磁力は、マイボーム腺を圧搾し、眼が、磁力を克服して、開放および再開放されるにつれて、油脂様障害物を搾り出す役割を果たし得る。
【0087】
さらに別の変形例では、一方または両方の治療用細片320A、320Bは、電力供給源および/またはプロセッサ322に電気的に連結されたインジケータ324、例えば、LEDライト、アラーム、振動要素等を組み込み、患者に、処方された治療が完了したことを警告を出すように構成されてもよい。本特徴(および、他の特徴のいずれも)は、実践可能である場合、本明細書で説明される治療用細片の他の変形例のいずれかと組み合わせられてもよい。
【0088】
図39は、さらに別の変形例を示しており、眼瞼治療システム330は、連結された二重細片型設計、例えば、「叉骨様」設計に形成されてもよく、二重細片型加熱細片は、単一眼の上ULおよび下LL眼瞼のマイボーム腺の場所に追従する、2つの加熱要素を有してもよい。両眼または単一眼および/または上および下眼瞼両方が治療されるかどうかに応じて、システム330は、各個別の眼のために、第1の加熱細片アセンブリ332および第2の加熱細片アセンブリ334を備えてもよい。アセンブリ332、334は各々、適宜、上および下瞼治療加熱器、例えば、上瞼治療用細片332Aおよび下瞼治療用細片332Bを利用してもよく、上および下要素は各々、ワイヤ336を介して、相互に連結されてもよい。さらに、アセンブリ332、334は各々、示されるように、接続ケーブル338を介して、ポータブル電子デバイス342(例えば、タッチスクリーンインターフェースを有するスマートフォン、タブレット、PDA、ラップトップコンピュータ等)に連結され得る(例えば、ヘッドホンジャック、USBポート、または他の接続ポート等の入力/出力ポートを通して)、コントローラ340に連結されてもよい。
【0089】
他の変形例では、接続ケーブルの数は、単一ケーブル338を利用するのではなく、1~4本のコネクタケーブルの範囲であってもよい。例えば、1本のケーブルが、アセンブリ332、334のそれぞれ内の4つの加熱要素の一部または全部に電力および通信を提供するために使用されてもよい。代替として、4本の接続ケーブルが、アセンブリ332、334内の加熱要素のそれぞれに電力および通信を提供してもよい。さらに、他の代替では、2本の接続ケーブルが、アセンブリ332、334のそれぞれに電力および通信を提供してもよい。
【0090】
他の追加的変形例では、説明される治療用細片のいずれも、実践可能である場合、本明細書で説明されるコントローラ342と組み合わせて使用されてもよい。さらに、さらなる変形例では、卵形または円形に成形された加熱要素が、眼および両眼瞼を被覆してもよ
く、その場合、加熱要素または細片の外側境界は、上および下マイボーム腺の経路に追従してもよい。この場合、1つの治療用細片が、両眼瞼および両一式のマイボーム腺を被覆してもよく、ユーザは、合計2つ(4つではなく)の丸形、円形、または卵形に成形された治療用細片を使用して、両眼を被覆してもよい。そのような変形例は、例えば、眼が、必ずしも、開放されている必要がない、睡眠前またはその間、ベッドにおいて、夜間療法の間に使用されてもよい。
【0091】
アセンブリ332、334は、概して、前述のように、マイボーム腺の場所に追従する
一方、依然として、患者が、容易に瞬きを行ない、快適に日常活動を行なうことを可能にする、細片を備え得る。治療システム330と併用するために構成され得る、そのような加熱器の実施例として、Minco Product, Inc.(Minneapolis, MN)等の企業から市販される、あるいは独立して、または第三者製造業者を通して、カスタム設計および製造されることができる、薄型の可撓性加熱器が挙げられ得る。各個々の治療用細片、例えば、治療用細片332A、332Bは各々、単一眼瞼のために定寸されてもよく、例えば、28mm×7mm×0.15mmであって、下弦長、例えば、28mm、曲率半径、例えば、75mmを有し、鼻縁または側頭縁が、その弧の半径に合致し得る、鈍頭角を有する、弧状長方形の一般的構成を有する。しかしながら、治療用細片332A、332Bは、異なる眼の解剖学的構造に対応するために、より小さくまたは大きく定寸され得るため、これらのサイズ制限は、限定ではなく、例示であることを意図する。
【0092】
さらに、個々の治療用細片332A、332Bは、加熱要素を含む薄型の可撓性透明ポリマーとして形成されてもよい一方、細片の接触表面は、例えば、使い捨て接着剤を用いて、個別の眼瞼に添着されてもよい。他の変形例は、不透明または着色細片、例えば、皮膚色調色を利用してもよい。さらに、1つまたはそれよりも多くの温度センサもまた、治療用細片に組み込まれてもよく、その場合、加熱要素およびセンサは、示されるように、接続ケーブル338を通して、電源および/またはコントローラ340および/またはポータブル電子デバイス342に経路指定されてもよい。
【0093】
コントローラ340は、概して、療法治療を制御するためにプログラムされ得る、ハードウェア/ソフトウェアプラットフォームまたはユニットを備えてもよい。故に、コントローラ340は、プロセッサと、電力をアセンブリ332、334に提供するためのバッテリ(再充電可能または使い捨て)等の電力供給源とを含んでもよい。コントローラ340内の電力供給源は、随意に、ポータブル電子デバイス342と別個に再充電可能であってもよく、または電力供給源は、同様に、アセンブリ332、334およびプロセッサのための電力を、直接、ポータブル電子デバイス342から引き込んでもよい。
【0094】
コントローラ340が、療法治療プロトコルを提供するようにプログラムされる場合、治療を制御するための1つまたはいくつかの制御が、直接、コントローラ340に内蔵されてもよい。ポータブル電子デバイス342は、コントローラ340とインターフェースをとり、ディスプレイ、一変形例では、治療の開始および/または停止のための制御等、電子デバイス342の画面(例えば、タッチスクリーン)上に制御の一部を表示してもよい。代替として、制御は全て、コントローラ340上に常駐してもよい一方、電子デバイス342上のディスプレイは、主に、種々の結果または治療パラメータを示す、または追跡する役割を果たしてもよい。
【0095】
さらに別の代替では、制御は全て、コントローラ340上ではなく、種々の治療選択肢およびパラメータを制御するために、電子デバイス342のディスプレイ上に常駐してもよい。本変形例では、電子デバイス342(本実施例では、スマートフォン)はまた、電
力を治療用細片アセンブリ332、334に提供してもよく、また、種々の治療温度および時間を制御し、かつ温度フィードバックまたは測定され得る他の生理学的パラメータを提供してもよい。この場合、治療用細片332、334および接続ケーブル338は、直接、モバイルまたはポータブル消費者電子デバイス342に差し込まれてもよい。例えば、電子デバイス342は、療法を開始するためのアイコンまたはボタン等、治療パラメータおよび制御を表示するために使用されてもよい。一実施例では、療法は、電子デバイス342を通して、ユーザによって開始され、治療用細片アセンブリ332、334の一方または両方の細片のうちの1つまたはそれよりも多くを加熱してもよい。変形例のいずれかでは、電子デバイス342(特に、スマートフォンまたはタブレットの場合)は、電子
デバイス342が、どのようにコントローラ340およびアセンブリ332、334と併用されるかに応じて、電子デバイス342上の種々の制御および/または表示パラメータを促進する、デバイス上にダウンロードされた随意のプログラムまたはアプリケーションを有してもよい。
【0096】
加えて、電子デバイス342はまた、ユーザが、ドライアイを試験し、および/または治療の前、間、または後のいずれかにおいて、治療がどの程度進行したかを判定することを可能にするための診断機能を提供してもよい。故に、電子デバイス342またはコントローラ340は、ユーザの眼球涙液膜または眼球表面を撮影し、全体的涙液膜層厚、および/または涙液膜ムチン層厚、および/または涙液膜脂質層厚、および/または涙液膜水性層厚、あるいは任意のそれらの組み合わせ等、一般に使用される涙液査定基準を評価する目的のために、例えば、統合されたカメラおよび/またはフラッシュ/光源を活用してもよい。ユーザの涙液膜および/または眼球表面状態の撮影に加え、モバイルアプリケーションは、電子デバイスのタッチスクリーンインターフェースを使用して記入することができる、ユーザ患者の症状、不快感、および/または症状の改善あるいは悪化に関連するユーザへの質問等、ドライアイを診断するための他の一般的方法を含み、結果は、電子デバイス342またはウェブアプリケーションまたは製造業者のサーバに記憶され、傾向評価のために、経時的に追跡され、可能性として、ユーザの医師と共有されてもよい。
【0097】
さらに、変形例のいずれかにおいて、コントローラ340および/または電子デバイス342は、アセンブリ332、334を、例えば、42.5℃+/-1℃~2℃まで加熱するようにプログラムまたは開始されてもよい。治療時間は、例えば、15~30分に設定されてもよく、コントローラ340および/または電子デバイス342はさらに、割り当てられた治療時間が経過すると、または測定された温度が、所定のレベル、例えば、45℃を上回って上昇する場合、停止するようにプログラムされてもよい。加えて、コントローラ340および/または電子デバイス342はまた、任意の数の視覚、聴覚、または触覚インジケータを通して、種々の治療パラメータ(例えば、治療の開始、加熱要素の加温、治療の完了、エラー、バッテリ寿命等)を示すようにプログラムまたは設定されてもよい。
【0098】
加えて、コントローラ340および/または電子デバイス342は、履歴治療データ、使用時間、総治療時間、温度データ等の種々のデータを記憶および/または伝送するために使用されてもよい。さらに、コントローラ340および/または電子デバイス342は、遠隔サーバまたは追加的コントローラと無線で通信し、コントローラ340および/または電子デバイス342もまた、例えば、医師または他の当事者によって、遠隔でプログラムされることを可能にしてもよい。さらに他の変形例では、遠隔サーバから受信され得る、聴覚および/または視覚情報(例えば、広告または他の媒体)もまた、コントローラ340および/または電子デバイス342上に表示されてもよく、あるいは種々の他のデータも、同様に、コントローラ340および/または電子デバイス342におよび/またはそこから伝送されてもよい。
【0099】
さらに他の変形例では、コントローラ340は、有線接続ケーブル338を介して、アセンブリ332、334に連結されるように図示されるが、他の変形例は、アセンブリ332、334に無線で接続されたコントローラ340を有してもよい。そのような接続は、Bluetooth(登録商標)、RF等の任意の数の無線プロトコルを通したものであってもよい。
【0100】
本「精密温度制御」モバイル加熱療法システムは、同様に、身体の他の部分を加熱するために使用されてもよく、本システムは、ほぼ同一のままであるが、加熱要素寸法は、変動されてもよく、電力要件もまた、治療される総表面積および温度目標に応じて、変更さ
れてもよい。
【0101】
治療用細片へのプロセッサの組み込みによって、治療時間または細片の温度等の他のパラメータは、プログラムされ、随意に、患者によって、または自動的に、選択的にオンまたはオフにされてもよい。さらに、熱送達または他の刺激の頻度等の他のパラメータもまた、プロセッサによって、治療にさらなる柔軟性を提供するようにプログラムされてもよい。
【0102】
前述のデバイスおよび方法の用途は、ドライアイ症候群の治療に限定されず、任意の数のさらなる治療用途を含んでもよい。さらに、そのようなデバイスおよび方法は、急性または慢性炎症が、疾患あるいは病状を生じさせる、身体内の他の治療部位に適用されてもよい。治療用細片は、適宜、下層生理学の経路に追従するようにカスタム設計されることができ、例えば、鼻腔炎、それぞれ、急性または慢性副鼻腔炎、鼻炎およびアレルギー性鼻炎、関節の痛みおよび炎症、関節炎、筋肉痛、背痛、頭痛、創傷、スポーツ損傷等を治療するためにカスタム設計および輪郭形成される冷却または加熱治療用細片が挙げられる。本発明を実施するための前述のアセンブリおよび方法の修正、実践可能である場合、異なる変形例間の組み合わせ、および当業者に明白である、本発明の側面の変形例は、請求項の範囲内であると意図される。