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特許7625574FMCW LiDARのための焦点平面アレイシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】FMCW LiDARのための焦点平面アレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20250127BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20250127BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20250127BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/484
G01S17/34
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022505269
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020043556
(87)【国際公開番号】W WO2021021654
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】62/879,382
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/879,383
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520390450
【氏名又は名称】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】AURORA OPERATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】1654 Smallman Street, Pittsburgh, PA 15222, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ・アンドルー・スタイル
(72)【発明者】
【氏名】リン・セン
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0071056(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0137611(US,A1)
【文献】特開2016-146417(JP,A)
【文献】特開2018-049223(JP,A)
【文献】特開2015-034947(JP,A)
【文献】国際公開第2019/115782(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105372670(CN,A)
【文献】特開2018-179658(JP,A)
【文献】国際公開第2017/223299(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/184336(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0181810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
G02B 5/18-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調連続波LiDARシステムの焦点平面アレイシステムであって、
コヒーレントピクセルを含むコヒーレントピクセルアレイ-それぞれの前記コヒーレントピクセルは、コヒーレント光を放出するように構成される-と、
前記コヒーレントピクセルアレイから放出されるコヒーレント光を1つ以上の光ビームとして環境内に回折させるように位置設定された少なくとも1つの回折格子を含む回折格子スタック-前記1つ以上の光ビームは、それぞれ特定の角度で放出され、前記特定の角度は、前記1つ以上のビームを形成する前記コヒーレント光を生成した前記コヒーレントピクセルの位置に部分的に基づく-と、を含み、
前記1つ以上の光ビームは、前記環境内のオブジェクトから反射してリターン光を形成し、
前記回折格子スタックは、前記リターン光を前記1つ以上のビームを生成した1つ以上のコヒーレントピクセルに回折させるように位置設定される、焦点平面アレイシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回折格子は、非周期的回折格子である請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回折格子は、ブレーズド回折格子(Blazed Grating)であり、前記少なくとも1つの回折格子は、前記少なくとも1つの回折格子の中心からの距離に応じて単調に展開する周期性を有する請求項2に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回折格子は、多段階格子(Multi-Step Grating)であり、前記少なくとも1つの回折格子は、前記少なくとも1つの回折格子の中心からの距離に応じて単調に展開する周期性を有する請求項2に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの回折格子は、表面レリーフ格子(Surface Relief Grating)、正弦波格子(Sinusoidal Grating)、ブレーズド回折格子、階段格子(Step Grating)を含むグループから選択される請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のビームは、コリメート(Collimate)され、それぞれのコヒーレントピクセルは、前記回折格子スタックについて固有の位置を有し、前記回折格子スタックは、前記回折格子スタックから固有の角度で出力される対応する光ビームを形成するためにそれぞれの個別のコヒーレントピクセルから放出されるコヒーレント光を回折させるように位置設定される請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項7】
前記焦点平面アレイシステムは、前記焦点平面アレイシステムの視野の一部にわたって前記1つ以上の光ビームをスキャンするように構成される請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項8】
前記コヒーレントピクセルアレイは、2Dアレイであり、前記焦点平面アレイシステムは、前記1つ以上の光ビームを2次元にスキャンするように構成される請求項7に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項9】
前記コヒーレントピクセルアレイのコヒーレントピクセルによって放出された光は、軸からずれた軸外し光であり、
前記焦点平面アレイシステムは、前記コヒーレントピクセルアレイと前記回折格子スタックとの間に位置設定される光学素子-前記光学素子は、前記コヒーレントピクセルアレイによって放出された前記軸外し光を軸上光に再指向させるように位置設定され、前記軸上光は、前記コヒーレントピクセルアレイの光軸に実質的に平行である-をさらに含む請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の光ビームのうち、第1光ビームは、前記コヒーレントピクセルからの光から形成され、前記第1光ビームは、前記環境内のオブジェクトから反射してリターン光を形成し、前記光学素子は、前記回折格子スタックから前記リターン光を受信し、受信された前記リターン光を軸からずれた軸外し光に再指向させ、前記軸外しリターン光は、前記コヒーレントピクセルから検出される請求項9に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項11】
前記光学素子は、ブレーズド回折格子であり、前記コヒーレントピクセルから放出された光は、軸上にあるように回折する請求項9に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項12】
前記光学素子は、前記コヒーレントピクセルアレイをオーバーモールドするモノリシック材料であり、前記モノリシック材料の表面は、前記コヒーレントピクセルによって放出された光が軸上にあるように屈折するように前記コヒーレントピクセルについて斜めである請求項9に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項13】
前記光学素子は、マイクロプリズムアレイである請求項9に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項14】
前記マイクロプリズムアレイは、線形マイクロプリズムのアレイである請求項13に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項15】
前記マイクロプリズムアレイは、円形のマイクロプリズムのアレイであり、前記マイクロプリズムは、一連のリングを形成し、前記コヒーレントピクセルアレイ内の前記コヒーレントピクセルは、放射状の分布パターンを有し、それぞれのマイクロプリズムは、前記コヒーレントピクセルアレイ内の少なくとも1つのコヒーレントピクセルを重畳する請求項13に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項16】
前記マイクロプリズムアレイにおけるそれぞれのマイクロプリズムは、前記コヒーレントピクセルアレイ内の単一のコヒーレントピクセルを重畳する請求項13に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項17】
前記コヒーレントピクセルアレイによって放出された光は、軸からずれた軸外し光であり、
前記焦点平面アレイシステムは、前記コヒーレントピクセルアレイと前記回折格子スタックとの間に位置設定される光学素子-前記光学素子は、前記コヒーレントピクセルアレイによって放出された前記軸外し光を軸上光に再指向させるように位置設定され、前記軸上光は、前記コヒーレントピクセルアレイの光軸に実質的に平行である-をさらに含む請求項1に記載の焦点平面アレイシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の光ビームは、前記コヒーレントピクセルアレイからの光から形成され、前記1つ以上のビームは、前記環境内のオブジェクトから反射してリターン光を形成し、前記光学素子は、前記回折格子スタックから受信された前記リターン光を軸からずれた軸外し光に再指向させるように位置設定され、前記軸外しリターン光は、前記1つ以上のビームを生成した前記コヒーレントピクセルから検出される請求項17に記載の焦点平面アレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全体の開示内容が本明細書に参照として含まれる2019年7月26日付に出願された米国臨時出願番号第62/879、382号および2019年7月26日付に出願された米国臨時出願番号第62/879、383号についての35U.S.C§119(e)下の優先権を主張する。
【0002】
本開示内容は、一般的に、周波数変調連続波(FMCW、Frequency Modulated Continuous Wave)光検出および距離測定(LiDAR、Light Detection and Ranging)に関するものであって、特にFMCW LiDARシステムのための焦点平面アレイシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のLiDARシステムは、レーザービームをステアリングするために機械的移動部品およびバルク光学レンズ素子(すなわち、屈折レンズシステム)を使用する。そして、多数の応用(例えば、自動車)の場合、かさばりすぎ、高価で信頼できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
LiDARシステムのためのレンズフリー焦点平面アレイ(FPA、Focal Plane Array)システム。LiDARシステムは、例えば、FMCW LiDARシステムであり得る。FPAシステムは、1つ以上の光ビームを環境内に放出する。1つ以上のビームは、環境内のオブジェクトから反射および/または散乱し、FPAシステムによって検出される。LiDARシステムは、検出されたリターン光を使用して環境を説明する深さ情報を生成する。FPAシステムは、コヒーレントピクセルアレイ(CPA、Coherent Pixel Array)と回折格子スタック(DGS、Diffraction Grating Stack)を含む。CPAは、複数のコヒーレントピクセル(CP、Coherent Pixel)を含む。CPは、1Dまたは2Dアレイに配列され得る。CPは、干渉光を放出し、またリターン光を受信する。DGSは、直列に配列された1つ以上の回折格子を含む。DGSは、CPAアレイ内のそれぞれのCPによって放出された光をコリメートする薄い非周期的回折格子から構成され得る。DGSは、CPAによって放出されたコヒーレント光を1つ以上の光ビームとして環境内に指向させる。一部の実施形態において、DGSは、またCPAのCPから放出した光をコリメートする。1つ以上の光ビームは、それぞれ特定の出力角度で放出され、特定の出力角度は、1つ以上のビームを形成するコヒーレント光を生成したCPの位置に部分的に基づく。一部の実施形態において、特定の出力角度は、それぞれのCPについて固有であり、それぞれのCPからの前記光は、DGSによってそのCPに固有の角度で光ビームとして出力される。
【0005】
FPAシステムは、CPAの異なるCPを選択的に活性化することによって、1つ以上のビームを1Dおよび/または2Dにスキャンすることができる。CPA内のピクセルの位置に応じて、DGSから出るコリメートされたビームは、互いに異なる出力角度で伝播する。したがって、それぞれのCPは、DGSについて固有の位置を有し、一部の実施形態において、DGSは、DGSから固有の角度で出力される対応する光ビームを形成するためにそれぞれの個別のCPから放出されるコヒーレント光を回折させるように位置設定される。この効果は、LiDARビームがプローブされている環境を横切ってステアリングされることを可能にする。このように、FPAシステムは、FPAシステムの視野の一部(例えば、部分)または全体にわたって1つ以上の光ビームをスキャンするように構成され得る。FPAシステムは、1つ以上の光ビームを1次元または2次元にスキャンすることができる。逆に、特定のリターン角度でDGSに伝播する光ビームは、DGSによってCPA上の1つのスポットにフォーカシングされる。例えば、ビームを放出したCPは、反射/散乱したビームを受信するCPであり得る。
【0006】
一部の実施形態において、FPAシステムは、CPAのCPから放出した軸外し光(Off-Axis Light)を(例えば、主放出軸がCPAアレイに実質的に垂直である)軸上光(On-Axis Light)に変換するために光学素子(例えば、マイクロプリズム(Microprism)アレイ、ブレーズド回折格子(Blazed Grating)など)を含む。このようにして、CPから放出される軸外し光は、軸上に放出されるように回折し得、軸上光は、DGSに提供される。そして、逆に、局所環境から反射した光は、DGSと光学素子を通過した後にCPから検出され得る。
【0007】
一部の実施形態において、FMCW LiDARシステムは、FPAシステムを含む。FPAシステムは、CPAとDGSを含む。CPAは、CPを含み、それぞれのCPは、コヒーレント光を放出するように構成される。DGSは、CPAから放出されるコヒーレント光を1つ以上の光ビームとして環境内に回折させるように位置設定された少なくとも1つの回折格子を含む。そして、1つ以上の光ビームは、それぞれ特定の角度で放出され、特定の角度は、1つ以上のビームを形成するコヒーレント光を生成したCPの位置に部分的に基づく。
【0008】
一部の実施形態において、FMCW LiDARシステムのDGSが説明される。DGSは、コヒーレントピクセルアレイ(CPA)のコヒーレントピクセル(CP)から放出されるコヒーレント光を1つ以上の光ビームとして環境内に回折させるように位置設定された少なくとも1つの回折格子を含み、1つ以上の光ビームは、それぞれ特定の角度で放出され、特定の角度は、1つ以上のビームを形成するコヒーレント光を生成したCPの個別の位置に部分的に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施形態の他の利点および特徴は、添付の図面の例に関連する以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより確実に明らかになるであろう。
【0010】
図1】一部の実施形態によるDGSとのCPAの組み合わせに基づくLiDARビームステアリング応用のためのFPAシステムのダイヤグラムを示す。
【0011】
図2】1つ以上の実施形態によるFPAシステムを含むLiDARシステムを示す。
【0012】
図3】1つ以上の実施形態による不均一な格子周期性を有するブレーズド回折格子を含むDGSを含むFPAである。
【0013】
図4】1つ以上の実施形態による数値的に設計された多段階格子を含むDGSを含むFPAである。
【0014】
図5】1つ以上の実施形態によるCPAの上部に位置設定されたマイクロプリズムアレイのダイヤグラムである。
【0015】
図6】1つ以上の実施形態によるCPAの上部に位置設定されたブレーズド回折格子のダイヤグラムである。
【0016】
図7】1つ以上の実施形態による2次元に配列された例示的なマイクロプリズムアレイ(または同等にはブレーズド回折格子)を示す。
【0017】
図8】1つ以上の実施形態による光学素子の内蔵型バージョンを示す。
【0018】
図9】1つ以上の実施形態によるスイッチ可能なコヒーレントピクセルアレイ(Switchable Coherent Pixel Array)FMCW LiDARチップの概略図を示す。
【0019】
図10a】1つ以上の実施形態による4つのバージョンのコヒーレントピクセルを示す。
図10b】1つ以上の実施形態による4つのバージョンのコヒーレントピクセルを示す。
図10c】1つ以上の実施形態による4つのバージョンのコヒーレントピクセルを示す。
図10d】1つ以上の実施形態による4つのバージョンのコヒーレントピクセルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
LiDARシステムは、システムの視野についての深さ情報(例えば、1つ以上のオブジェクトについての距離、速度、加速度)を決定する。LiDARシステムは、FMCW LiDARシステムであり得る。LiDARシステムは、FPAシステムを含む。
【0021】
FPAシステムは、1つ以上の光ビームを環境内に放出する。FPAシステムは、FPAシステムの視野の一部(例えば、部分)または全体にわたって1つ以上の光ビームをスキャンするように構成され得る。FPAシステムは、1つ以上の光ビームを1次元または2次元にスキャンすることができる。FPAシステムは、1つ以上のビームをステアリングおよび/または作るためにレンズを使用しない。1つ以上のビームは、環境内のオブジェクトから反射および/または散乱し、FPAシステムによって検出される。FPAシステムは、スイッチ可能なCPAとDGSを含む。CPAは、CPを含み、CPは、それぞれコヒーレント(Coherent)光を放出するように構成される。DGSは、直列に配列された(例えば、非周期的な)1つ以上の回折格子を含む。さらに、一部の実施形態において、DGSは、また並列に配列された追加の回折格子を含み得る。1つ以上の回折格子は、CPAから放出されるコヒーレント光を1つ以上の光ビームとして(例えば、回折を通して)環境内に指向させるように位置設定される。一部の実施形態において、DGSは、またCPによって放出された光をコリメートする。そして、1つ以上の光ビームは、それぞれ特定の角度で放出され、特定の角度は、1つ以上のビームを形成するコヒーレント光を生成したCPの位置に部分的に基づく。したがって、それぞれのCPは、DGSについて固有の位置を有し、一部の実施形態において、DGSは、DGSから固有の角度で出力される対応する光ビームを形成するためにそれぞれの個別のCPから放出されるコヒーレント光を回折させるように位置設定される。このように、FPAシステムは、CPAの異なるCPを選択的に活性化することによって、視野にわたって1つ以上のビームを1Dおよび/または2Dにスキャンすることができる。リターン光は、特定のリターン角度でDGSに入射し、DGSは、リターン光のリターン角度の関数としてリターン光を特定のCPに指向させる。したがって、CPからの光で構成されたビームの出力角度がリターン光のリターン角度と一致する場合、DGSは、リターン光をその同じCPに指向させる。
【0022】
一部の実施形態において、FPAシステムは、また、CPAのCPから放出した軸外し(Off-Axis)光を軸上(On-Axis)光(例えば、主放出軸がCPAアレイに実質的に垂直な光)に変換するために、光学素子(例えば、マイクロプリズム(Microprism)アレイ、ブレーズド回折格子(Blazed Grating)など)を含む。一部の実施形態において、CPAに垂直に伝播する光は、CPAの光軸に実質的に平行である。このようにして、CPから放出される軸外し光は、軸上に放出されるように回折し得、軸上光は、DGSに提供される。そして、逆に、局所環境から反射した光は、DGSと光学素子を通過した後にCPから検出され得る。光学素子は、CPAとDGSとの間に位置設定され得、光学素子は、CPAによって放出された軸外し光を軸上にあるように再指向させるように位置設定され、軸上光は、CPAの光軸に実質的に平行である。
【0023】
CPは、リターン光を使用して1つ以上の出力信号を生成する。1つ以上の出力信号は、LiDARシステムの視野についての深さ情報を決定するために使用される。深さ情報は、LiDARシステムの視野内の様々な表面までの距離(Range)を示し、また、LiDARシステムの視野内のオブジェクトの速度を説明する情報も含み得る。
【0024】
FPAシステムが少なくとも1次元で光をステアリングできることに注意するべきである。そして、一部の実施形態において、CPは、FPAシステムが光ビームを2次元でステアリングできるように2次元に配列される。移動部品なしでビームをステアリングできることは、従来の機械的に駆動される多数のLiDARシステムで発見されるフォームファクタ、コスト、および信頼性の問題を軽減することができる。さらに、FPAシステムのDGSは、FPAベースのLiDARシステム内のレンズに代替的な費用対効果が高く、軽量で小型のフォームファクタを有する。また、DGSは、従来のレンズが提供するものより高い追加の自由度を追加し、そうでない場合に成就できるものより高い性能を潜在的に可能にする。
【0025】
図1は、一部の実施形態によるFPAシステム111のダイヤグラムを示す。FPAシステム111は、LiDARのためのCPA100およびDGS110を含む。CPA100は、複数のCP102を含む。CPA100は、例えば、個別のCPの1Dまたは2Dアレイであり得る。それぞれのCPは、DGS110に向かって垂直に光ビームを放出し、このビームの特性は(例えば、ビーム103、104によって示されたように)、CPの位置に応じて変わり得る。ビーム103、104は、DGS110を介して伝播し、CPA100内のソースCPの位置に応じた個別の角度で出射される。例えば、CP101がオンになると、DGS110は、入射ビーム103を(実線で示されている)コリメートされた出射ビーム107に変換する。対照的に、CP102からの光は、DGS110がコリメートされた出射ビーム108として出力する(点線で示されている)ビーム104として示される。任意の所与の時間に、1つ以上のCPをアレイで活性化できる。
【0026】
DGS110は、1つ以上の非周期的回折格子105から構成される。一般的に、DGS110は、複数の非周期的回折格子105を含む。少数のCPがDGS110の中心軸の近くに位置設定された一部の実施形態において、単一の非周期的回折格子を使用できる。DGS110内の非周期的回折格子105は、直列および/または並列に配列され得る。例えば、図1は、直列に配列された複数の非周期的回折格子105を示す。他の実施形態において、DGS110は、並列に配列された複数の非周期的回折格子を含み得、複数の非周期的回折格子の少なくとも一部も直列に配列される。例えば、DGS110は、DGS110の光軸に中心を置く中心領域を含み得、中心領域は、周辺領域によって囲まれる。一部の実施形態において、中心領域は、1つ以上の非周期的回折格子の第1セットを含み得、周辺領域は、互いに直列に配列された非周期的回折格子の他のセットを含み得る。この配列は、周辺領域を通過する光が中心領域を通過する光とは異なる方式で操作されるようにすることができる。例えば、中心領域は、周辺領域によって生成されたビーム角度の範囲よりも小さい範囲のビーム角度(例えば、出力ビーム角度)を生成し得る。他の実施形態において、中心領域における非周期的回折格子の数は、周辺領域における非周期的回折格子の数よりも多い。これは、例えば、費用対効果の高い方法で中心領域の近くのCPから放出されるビームのアパーチャ(Aperture)を改善するのに有用であり得る。
【0027】
このような回折格子は、連続的に変調された位相または個別位相レベルのセットを有し得る。格子105は、ガラスなどの低屈折率の材料、またはシリコンや他の半導体などの高屈折率の材料から製造できる。格子は、表面レリーフ格子(Surface Relief Grating)、正弦波格子(Sinusoidal Grating)、ブレーズド回折格子(Blazed Grating)、階段格子(Step Grating)、またはこれらの一部の組み合わせのような様々な形を取り得る。これは、ナノインプリントリソグラフィ(Nano-Imprint Lithography)、ディープ紫外線リソグラフィ(Deep Ultra Violet Lithography)、または通常の技術を有する者が利用可能な他の製造技術を使用して製造できる。DGS110に複数の回折格子がある実施形態において、格子は、媒質106によって分離できる。この媒質は、システムパラメータによって求められるように、空気であるか、またはポリマーまたはガラスのような他の高屈折率の材料であり得る。1つ以上の非周期的回折格子105は、互いにCPA100に直列に配列される。
【0028】
通常の技術を有する者は、CPA100内の異なるCPからコリメートされたビームに結合された電力を最大化するように、DGS110の回折格子を設計できる。図1のFPAシステム111は、FPAシステム111から環境内に放出される光を示しており、光は、リターン光(図示せず)として環境内からFPAシステム111に再び反射/散乱する可能性があることに注意するべきである。一部の実施形態において、DGS110は、リターン光が放出CPにリターンされるようにするものである(例えば、ビーム107からのリターン光は、CP101によって検出され、ビーム108に対応するリターン光は、CP102によって検出される)。例えば、送信方向に、CPによって放出された光は、DGS110を通過する。ビームがスタックを介して伝播かつ回折するにつれて、これは特定の角度(例えば、出力ビーム角度)でコリメートされたビームに作られる。このビームが(拡散)表面から反射するとき、光は、リターン光と同じ角度(例えば、リターンビーム角度)でDGSにリターンし、したがって、リターン経路に沿ってDGS110にぶつかるおおよその「コリメートされた(Collimated)」波動がある。リターン方向に、DGS110は、リターン光を逆の方法でCPに再びフォーカシングする。そして、反射表面が理想的な逆反射体である場合、リターン光は、放出CPにほぼ完璧に再びフォーカシングされる。したがって、それぞれの放出CPは、また、これが放出したリターン光も検出する-これは、ここで「相互型システム(Reciprocal System)」と呼ばれる。このようにして、1つ以上のCPは、DGS110が1つ以上の光ビームに回折する光を放出し、DGS110は、対応するリターン光を1つ以上のCPに回折させる。通常の技術を有する者は、CPA内のすべてのCPについて最適に動作するようにDGS内の格子を設計できる。
【0029】
図2は、1つ以上の実施形態によるFPAシステムを含むLiDARシステムを示す。FPAシステムは、図1を参照して前述したFPAシステム111であり得る。例えば、FPAシステムは、相互型システムであり得る。FPAシステムは、DGS200、選択的な光学素子202およびCPA201を含む。DGS200は、DGS110と実質的に同じであり得、CPA201は、CPA100と実質的に同じであり得る。図2において、DGS200は、出力ビーム角度を補正するために光学素子202(例えば、プリズム、マイクロプリズムアレイ、回折格子など)を選択的に採用できるCPA201から入力を受ける。一部の場合において、光学素子202は、(例えば、図8に関連して以下で説明するように)CPA201がその内部に内蔵され得ることに注意するべきである。DGS200は、様々な角度207でビームを出力する。CPA201内のCPは、FPAドライバ205によって制御される。CPA201内の1つ以上の個別のCPは、光を放出および受信するように活性化できる。CPA201によって放出された光は、Qチャンネルレーザーアレイ204によって生成される。Qチャンネルレーザーアレイ204は、Q個の並列チャンネルを有するレーザーアレイであり、Qは整数である。Qチャンネルレーザーアレイ204は、CPA201と直接統合できたり、CPA201と一緒にパッケージ化された別のモジュールであり得る。Qチャンネルレーザーアレイ204は、レーザーコントローラ206によって制御される。レーザーコントローラ206は、デジタル-アナログコンバータ208を介してLiDAR処理エンジン203から制御信号を受信する。また、処理は、FPAドライバ205を制御し、CPA201からデータを送信および受信する。
【0030】
LiDAR処理エンジン203は、マイクロコンピュータ209を含む。マイクロコンピュータ209は、FPAシステムからのデータを処理し、FPAドライバ205およびレーザーコントローラ206を介してFPAシステムに制御信号を送信する。また、LiDAR処理エンジン203は、Nチャンネル受信機210を含む。信号は、Nチャンネル受信機210によって受信され、信号は、Mチャンネルアナログ-デジタルコンバータ(ADC)211のセットを使用してデジタル化される。
【0031】
図3は、1つ以上の実施形態による不均一な格子周期性を有するブレーズド回折格子を含むDGS310を含むFPAシステム311である。FPAシステム311は、FPAシステム111の一実施形態である。FPA311は、CPA300およびDGS310を含む。図示されていないが、FPA311は、また、CPA300とCPAのCPから放出された軸外し光を軸上光(例えば、主放出軸がCPAに垂直な光)に変換するDGS310の間の光学素子(例えば、プリズム、プリズムアレイまたは別の回折格子)を含み得ることに注意するべきである。一部の実施形態において、CPAに垂直に伝播する光は、CPAの光軸に実質的に平行である。また、光学素子は、軸上のリターン光(環境から反射したビームの一部)を軸外し光となるように屈折させることができる。示されるように、CP301は、DGS310を介して伝播する拡張する光ビーム303を放出する。DGS310は、直列に配列された複数のブレーズド回折格子305を含む。複数のブレーズド回折格子305は、DGS310から垂直に伝播するコリメートされた光ビーム306を生成する。この実施形態において、ブレーズド回折格子は、それぞれ従来のバルク光学レンズ素子の挙動を模倣するように、格子中心からの距離に応じて単調に展開される(すなわち、概ね増加するが、特定の部分では一定に維持されて減少しない)周期性を有する。従来のバルク光学レンズ素子は、本明細書に記載のDGSの実施形態と比較して(例えば、相対的により重く、より大きなフォームファクタを有し、より高価である)多くの欠点を有することに注意するべきである。同様に、CPA300における中心から外れて位置した第2CP302は、光を斜めのコリメートされた光ビーム307に変換するDGS310を介して伝播する光ビーム304を放出する。異なるCPからの光は、DGS310の出力において異なるビーム角度(例えば、出力ビーム角度)を有することに注意するべきである。したがって、FPAシステムは、異なるCPを選択的に活性化することによって、全環境でビームをステアリングできる。
【0032】
図3は、FPAシステム311から環境内に放出される光を示しており、光は、リターン光(図示せず)として環境からFPAシステム311に再び反射/散乱する可能性があることに注意するべきである。一部の実施形態において、ブレーズド回折格子305のスタックは、リターン光が放出CPにリターンされる相互型システムとなるように設計される(例えば、ビーム306からのリターン光がCP301によって検出され、ビーム307に対応するリターン光がCP302によって検出される)。
【0033】
図4は、1つ以上の実施形態による数値的に設計された多段階格子を含むDGS410を含むFPAシステム411である。FPAシステム411は、FPAシステム111の一実施形態である。FPA411は、CPA400およびDGS410を含む。示されていないが、FPA411は、また、CPA400とCPAのCPから放出された軸外し光を軸上光(例えば、主放出軸がCPAに垂直な光)に変換するDGS410の間の光学素子(例えば、プリズム、プリズムアレイまたは別の回折格子)を含み得ることに注意するべきである。一部の実施形態において、CPAに垂直に伝播する光は、CPAの光軸に実質的に平行である。また、光学素子は、軸上のリターン光(環境から反射したビームの一部)を軸外し光となるように屈折させることができる。示されるように、CP401は、DGS410を介して伝播する拡張する光ビーム403を放出する。DGS410は、直列に配列された複数の多段階格子405を含む。多段階格子は、数値最適化の方法を使用して設計される重要でない厚さの分布を有する。同様に、CPA402の中心から外れて位置した第2ピクセルは、DGS410を介して伝播する光ビーム404を放出する。DGS410は、光を斜めのコリメートされた光ビーム407に変換する。
【0034】
図4は、FPAシステム411から環境内に放出される光を示しており、光は、リターン光(図示せず)として環境からFPAシステム411に再び反射/散乱する可能性があることに注意するべきである。一部の実施形態において、DGS410は、リターン光を放出CPにリターンさせる相互型システムである(例えば、ビーム406からのリターン光がCP401によって検出され、ビーム407に対応するリターン光がCP402によって検出される)。
【0035】
図5は、1つ以上の実施形態によるCPA100の上部に位置設定されたマイクロプリズムアレイ502のダイヤグラムである。マイクロプリズムアレイ502は、光学素子202の一実施形態である。マイクロプリズムアレイ502は、周辺媒質(例えば、空気)の屈折率より高い屈折率を有する材料からなる(少なくともCPA100によって放出された光の帯域にわたって)透明な三角形要素のアレイを含む。CPA100は、個別のCPのアレイを含む。前述のように、CPA100のCPは、一度に1つずつおよび/またはグループでオンおよびオフにすることができる。
【0036】
それぞれのCPは、発光分布に応じて光を放出する発光領域を含む。例えば、CP101は、主放出軸520と軸外し境界525、530とを有する放出分布を有する。主放出軸520は、放出領域が最も強い光を放出する方向である。放出分布は、主放出軸520を中心に回転対称であるか、または回転非対称であり得る。
【0037】
示されるように、それぞれのCPは、主放出軸が角度505で斜めの光ビームを放出する。-その結果、CPのそれぞれによって放出された光は、軸外し光である。軸外し光は、主放出軸がCPA100に垂直な軸に平行でない光である。一部の実施形態において、軸は、FPAシステムの光軸であり得る。対照的に、軸上光は、主放出軸が軸に実質的に平行な光である。示されるように、角度505は、それぞれのCPについて同じであるが、他の実施形態において、角度の一部または全部が互いに異なり得ることに注意するべきである。マイクロプリズムアレイ502のそれぞれのマイクロプリズムは、1つ以上のファセット(Facet)504を含む。それぞれのCPは、マイクロプリズムの少なくとも1つのファセットと重畳する。一部の実施形態において、単一のマイクロプリズムが複数のCPを重畳できることに注意するべきである。マイクロプリズムは、(例えば、マイクロプリズムの材料および1つ以上のファセット504の形状を通じて)軸外し光が軸上光に再指向され、同様に軸上光(すなわち、リターン光)が軸外し光に再指向されるように(すなわち、CPに入射するように)構成され得る。
【0038】
図6は、1つ以上の実施形態によるCPA100の上部に位置設定されたブレーズド回折格子602のダイヤグラムである。ブレーズド回折格子602は、光学素子202の一実施形態である。ブレーズド回折格子602は、屈折の代わりに回折の原理のもとに動作するという点を除いて、マイクロプリズムアレイ502と同じ機能を実施する。
【0039】
図7は、1つ以上の実施形態による2次元に配列された例示的なマイクロプリズムアレイ(または同等には、ブレーズド回折格子)を示す。マイクロプリズムアレイは、光学素子202および/またはマイクロプリズムアレイ502の一実施形態であり得る。700において、マイクロプリズムアレイは、同一に斜めのCPの規則的なグリッドと互換性がある1D線形アレイに配列される。701において、マイクロプリズムアレイは、放射状に対称であり、これはCPの放射状に対称であるグリッドと互換性がある。702において、マイクロプリズムの位置と方向は、任意であり、これはCPの任意の配列と互換性がある。例えば、702に示されるそれぞれのマイクロプリズムは、1つ以上の対応するCPをカバーすることができ、一部の場合において、702におけるそれぞれのマイクロプリズムは、単一の対応するCPをカバーする。3つの例すべてにおいて、出射ビームは、同じ軸上の角度で伝播する。
【0040】
図8は、1つ以上の実施形態によって光学素子の内蔵型バージョンを示す。この場合において、コヒーレントピクセルアレイ800(例えば、CPA100の一実施形態)は、高屈折率媒質802に内蔵されたCP801を含む。光学素子は、コヒーレントピクセルアレイ800をオーバーモールドするモノリシック材料であり、モノリシック材料の表面804は、CP801によって放出された光が軸上光に屈折するようにCP801について角度を成している。CPは、小さな角度で伝播する光ビーム803を放出する。ビームは、研磨かつ小さな角度で斜めの表面504に衝突することによって、送信されたビーム805が垂直に伝播される(すなわち、実質的に軸上にあることになる)。他の実施形態において、表面の角度は、送信されたビーム8-5が一部の他のターゲット角度で放出されるようにするものであり得る。
【0041】
図9は、1つ以上の実施形態によるスイッチ可能なコヒーレントピクセルアレイ(SCPA、Switchable Coherent Pixel Array)FMCW LiDARチップ911の概略図を示す。LiDARチップは、光集積回路である。チップは、複数の基本機能サブアレイ900を含み得る。それぞれのサブアレイ900は、光の入/出力(I/O)ポート902と、選択的な1-K光スプリッター903と、1つ以上のSCPA901と、を含み、ここで、Kは整数である。1-K光スプリッター903は、受動型または能動型であり得る。それぞれの光I/Oは、オフチップまたはオンチップレーザーによって提供される周波数変調光源によって供給される。光I/Oの数を減らすために選択的な1-K光スプリッターを介して光パワーがオンチップに分配されることができる。図示の実施形態において、1-K光スプリッター903のそれぞれの出力は、対応するSPCA901に供給される。図示の実施形態において、それぞれのSCPA901は、M個のコヒーレントピクセル905および光スイッチネットワーク904を含み、ここで、Mは整数である。一部の場合において、1つ以上の光スイッチネットワーク904、選択的な1-K光スプリッター903、またはこれらの一部の組み合わせは、単に光スイッチといえることに注意するべきである。光スイッチは、入力ポート902をコヒーレントピクセル内の光アンテナにスイッチ可能に結合するように構成され、これにより入力ポートと光アンテナとの間に光経路を形成する。光スイッチは、複数の能動光スプリッターを含み得る。一部の実施形態において、光スイッチは、FMCWトランシーバのスキャニング期間中に周波数変調されたレーザー信号を一度に1つずつ光アンテナのそれぞれに光学的に結合する。
【0042】
光スイッチネットワーク904は、距離測定および検出のために周波数変調された光(FM Light)を送信および受信するように、M個のコヒーレントピクセルのうち、1つ以上を選択する。コヒーレントピクセルは、チップ上に物理的に1次元アレイ(例えば、線形アレイ)または2次元アレイ(例えば、長方形または規則性アレイ、例えば、グリッドのような非ランダム配列)に配列され得る。一部の実施形態において、選択されたコヒーレントピクセルは、光を自由空間に送信し、リターンされる光信号を受信し、コヒーレント検出を行い、光信号をデジタル信号処理のために電気信号に直接変換できる。受信された光信号は、検出できるようにスイッチネットワークを介して再び伝播することなく、代わりに(例示された実施形態には示されていないが)出力が個別にルーティングされ、これは損失を減少させ、したがって、信号品質を改善することに注意するべきである。
【0043】
図10a~図10dは、1つ以上の実施形態による4つのバージョンのコヒーレントピクセルを示す。4つのバージョンのコヒーレントピクセルは、例えば、図9で前述したコヒーレントピクセルの実施形態であり得る。図10aおよび図10bにおいて、光スイッチネットワーク(例えば、光スイッチネットワーク904)からの光がコヒーレントピクセルの光入力ポート1003に提供される。双方向の光2×2スプリッター1002は、光をTX信号1005と局部発振器1006(LO、Local Oscillator)という2つの出力ポートに分割する。TX信号1005は、光アンテナ1000を使用してチップから送信される。光アンテナは、格子カプラ、エッジカプラ、統合反射器、または任意のスポットサイズコンバータのように、オンチップ導波管から自由空間に光を放出するか、または自由空間からオンチップ導波管に光を結合する装置である。光アンテナは、通常、1つの特定の偏光(例えば、TE)を有する光についてはるかに高い放出/結合効率を有する偏光感度を有し得る。アンテナは、相互型であり、したがって、測定下のオブジェクトから反射したビームを収集し、これを双方向2×2スプリッター1002に再び送信し、当該スプリッターは、これを再びポート1004、1006の間に分割する。双方向の光2×2スプリッター1002は、送信機と受信機が一緒に配置されたこのようなモノスタティック構成において、「擬似サーキュレータ(Pseudo Circulator)」として機能する。ポート1004およびLO1006からの受信された信号は、図10aのような平衡2×2光結合器1001または図10bのようなハイブリッド光学素子(Optical Hybrid)1009であり得る光ミキサーによるコヒーレント検出のためにミックスされる。最後に、図10aにおける一対のフォトダイオード(PD、Photo-Diode)1007と図10bにおける4つのPDは、ビートトーン検出のために光信号を電気信号に変換する。図10aにおけるバージョンは、平衡フォトダイオード(BPD、Balanced Photo-Diode)バージョンと呼ばれ、図10bのバージョンは、ハイブリッドバージョンと呼ばれる。ハイブリッドバージョンは、FMCW LiDARシステムで速度-距離の曖昧さを解消したり、高度なDSPアルゴリズムを可能にするために使用できる同相および直交位相(In-phase and Quadrature)出力(I/Q)を提供する。双方向の光2×2スプリッターを「擬似サーキュレータ」として使用すれば、数百個のピクセルを有する大規模アレイ(Large-Scale Array)について非実用的なすべての単一ピクセルのための個別サーキュレータを有することを除去できる。したがって、(誘導された光パワーの一部がコヒーレント検出に使用できないため)、コヒーレントピクセルは、最大6dBの信号対雑音比(SNR)ペナルティでコストおよびフォームファクタを大幅に低減し得る。例えば、受信された光信号は、ポート1003とポート1004との間で分割でき、後者は、コヒーレント検出に使用される。図10cおよび10dに示されるコヒーレントピクセルの設計は、新しい構造に偏光分割アンテナ1010を導入することによって、このような制限を解決する。光スイッチネットワークからの光は、コヒーレントピクセルの光入力ポート1003に提供される。光スプリッター1012は、光をTX信号1015と局部発振器1014(LO)という2つの出力ポートに分割する。TX信号1015は、1つの偏光(例えば、TM)を有する偏光分割光アンテナ1010を使用してチップから直接送信される。アンテナは、測定下のオブジェクトから反射したビームを収集し、直交偏光(例えば、TE)を導波管1013に結合し、これを光ミキサーに直接送信する。この場合において、アンテナによって受信された光信号は、追加のスプリッターまたは「擬似サーキュレータ」によってこれ以上分割されない。ポート1013とLO1014から受信された信号は、図10cのような平衡2×2光結合器1001、または図10dのようなハイブリッド光学素子1009であり得る光ミキサーによるコヒーレント検出のためにミックスされる。最後に、図10cにおける一対のフォトダイオード(PD)1007と図10dにおける4つのPDは、ビートトーン検出のために光信号を電気信号に変換する。この設計は、すべての単一のコヒーレントピクセルについて非常に効率的な統合サーキュレータを実装し、超高感度のオンチップモノスタティックFMCW LiDARを可能にする。その詳細は、図8図10でさらに論じられる。一部の実施形態において、図2と連携して、図10a~図10dのコヒーレントピクセルは、複数の光アンテナのそれぞれが別のスプリッターを有し、それぞれのスプリッターは、光スイッチと対応するアンテナの間の個別の光経路に沿って結合されるようにするものである。
追加構成情報
【0044】
図面および前述の説明は、単に例示として好ましい実施形態に関する。前述のように、本明細書に開示された構造および方法の代替実施形態は、請求項の原理から逸脱することなく採用できる実行可能な代替として容易に認識されることに注意するべきである。
【0045】
詳細な説明は、多数の詳細を含むが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、単に異なる例を例示するものと解釈されるべきである。本開示内容の範囲は、前記で詳細に説明されていない他の実施形態が含まれていることを理解されるべきである。本明細書に開示された方法および装置の配列、動作および詳細について、添付の特許請求の範囲で定義された思想および範囲から逸脱することなく、通常の技術を有する者に自明である様々な他の変形、変化および変更が行われ得る。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって決定されるべきである。
【0046】
代替実施形態は、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはこれらの組み合わせで実装される。実施形態は、プログラマブルプロセッサによる実行のために機械読み取り可能な格納装置に実質的に具体化されたコンピュータプログラム製品として実装でき、方法ステップは、入力データについて動作して出力を生成することによって機能を行うために命令語プログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって行われ得る。実施形態は、有利には、データ格納システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置からデータおよび命令語を受信し、これからデータおよび命令語を送信するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで実装できる。それぞれのコンピュータプログラムは、高度な手続き的またはオブジェクト指向のプログラミング言語または必要に応じてアセンブリまたは機械語で実装でき、任意の場合、言語は、コンパイルまたはインタープリトされた言語であり得る。適切なプロセッサは、例として、汎用および特殊目的のマイクロプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、リードオンリーメモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)から命令語およびデータを受信する。一般的に、コンピュータは、データファイルを格納するための1つ以上の大容量の格納装置を含み、このような装置は、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、および光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令語およびデータを実質的に実装するのに適切な格納装置は、例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、およびCD-ROMディスクを含むあらゆる形態の不揮発性メモリを含む。前述のすべては、特定用途向け集積回路(ASIC、Application-Specific Integrated Circuit)および他の形態のハードウェアによって補完されるか、またはこれに統合され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d