(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】画像生成装置、反射鏡及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20250127BHJP
G02B 7/182 20210101ALI20250127BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20250127BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B7/182
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2022509895
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009630
(87)【国際公開番号】W WO2021193074
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2020055742
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020055743
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020077611
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020077612
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020088272
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 匡紘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真義
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓司
(72)【発明者】
【氏名】片山 征史
(72)【発明者】
【氏名】小菅 守
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137089(JP,A)
【文献】特開2019-179720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0016089(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 7/182
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
光源が搭載された光源基板と、
前記光源から出射された光を透過する光学部材と、
前記光学部材を透過した光により所定の画像を生成するための光を形成する表示デバイスと、
前記光源基板から発生する熱を放熱するヒートシンクと、
前記光学部材を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは複数の第一係合部を有し、前記ヒートシンクは前記複数の第一係合部に対応する箇所に設けられた複数の第二係合部を有し、
前記複数の第一係合部のそれぞれと前記複数の第二係合部のそれぞれとが固定されることにより、前記光源基板は、前記ホルダと前記ヒートシンクとの間に挟み込まれて前記複数の第一係合部同士の間に形成された空間に収容された状態で位置決め固定され
、
前記ホルダは、前記表示デバイスの光出射面に平行な一対の第一面と、前記一対の第一面同士の間に形成されて前記一対の第一面に対して傾斜した第二面とを有し、
前記複数の第一係合部は、前記一対の第一面にそれぞれ形成された孔部であり、
前記第二面に前記光源基板が取り付けられる、画像生成装置。
【請求項2】
前記第二面は、開口部と、前記開口部の周囲を囲む枠部と、を有し、
前記枠部に前記光源基板が取り付けられて前記光源が前記開口部内に配置される、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記光源基板は、少なくとも一つの孔部を有し、
前記少なくとも一つの孔部に挿通可能な少なくとも一つのピンが前記枠部から突出している、請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクは、前記一対の第一面に平行な面であって前記複数の第二係合部がそれぞれ形成される一対の第三面と、前記一対の第三面同士の間に形成されて前記第二面に平行な第四面と、を有し、
前記光源基板は、前記第二面と前記第四面との間に形成された空間に収容されている、請求項2または3に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記表示デバイスが搭載可能なハウジングをさらに備え、
前記ホルダおよび前記ヒートシンクは、前記複数の第一係合部および前記複数の第二係合部により前記ハウジングに取り付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記表示デバイスを少なくとも制御する回路基板と、
前記ハウジングの背面を覆う背面カバーと、
をさらに備え、
前記回路基板が前記ヒートシンクと前記背面カバーとの間に配置されるようにして前記ハウジングに取り付けられた状態で前記背面カバーが前記ハウジングに取り付けられる、請求項5に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記背面カバーは、背面部と、前記背面部から立ち上がる側面部とを備え、
前記背面部には、前記ハウジングから前記背面カバーに向けて突出するボスに対してねじ止め可能な少なくとも一つの係合孔が形成され、前記少なくとも一つの係合孔が形成された領域は前記背面部の他の領域よりも前記背面カバーの前記ハウジングへの取り付け方向に向けて凹んでいる、請求項6の画像生成装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の画像生成装置と、
前記画像生成装置により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる少なくとも一つの反射部と、を備えている、ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイに関する。
【0002】
また、本発明は、反射鏡及び当該反射鏡を備えたヘッドアップディスプレイに関する。
【0003】
また、本発明は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0004】
将来の自動運転社会では、車両と人間との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。例えば、車両と当該車両の乗員との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。この点において、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いて車両と乗員との間の視覚的コミュニケーションを実現することができる。ヘッドアップディスプレイは、ウインドシールドやコンバイナに画像や映像を投影させ、その画像をウインドシールドやコンバイナを通して現実空間と重畳させて乗員に視認させることで、いわゆるAR(Augmented Reality)を実現することができる。
【0005】
特許文献1には、車両のフロントガラス等に情報を表示するヘッドアップディスプレイ装置に使用される表示装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、運転席の前方に設けた所定の表示領域に所定のコンテンツを表示する車載用HUD装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、表示器と反射装置とを備え、表示情報の虚像を運転者の視野前方に表示させる車両用ヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。特許文献1に開示の車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、正面形状が矩形状の凹面鏡を備えており、当該凹面鏡は、背面側に配置されたホルダ部を有している。
【0008】
特許文献4には、車両に搭載されて、表示情報の虚像を運転者の視野前方に表示させる車両用ヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。特許文献1に開示の車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、表示器と、表示器から出射された光を反射する反射部と、反射部を回転させるステップモータと、ステップモータを制御することで反射部の回転を制御する制御装置とを備えている。
【0009】
ヘッドアップディスプレイでは、画像生成装置から出射された光が反射鏡に反射され、車両のウインドシールドやコンバイナに照射される。反射鏡としては、一般的に特許文献5及び特許文献6に開示されるような凹面鏡が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】日本国特開2018-83593号公報
【文献】日本国特開2019-119262号公報
【文献】日本国特開2018-54966号公報
【文献】日本国特開2016-46650号公報
【文献】日本国特開2019-132990号公報
【文献】国際出願WO2017/208961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1のような既存のヘッドアップディスプレイにおいて表示装置が備える光源が搭載される基板の作製コストの削減が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、作製コストを削減することが可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【0013】
また、既存のヘッドアップディスプレイにおいて、所定のコンテンツの表示範囲を広げる構成には改善の余地がある。
【0014】
そこで、本発明は、低コストで画像の表示範囲を広げることが可能であるとともに、外光あるいは反射光が画像の生成に悪影響を与えることを抑制可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【0015】
また、特許文献3に開示のような凹面鏡には更なる改良の余地がある。
【0016】
そこで、本発明は、大型化が可能であるとともに成形性を改善可能な反射鏡、及び当該反射鏡を備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【0017】
また、ヘッドアップディスプレイにおいては反射部のハウジングへの搭載構造については改善の余地がある。
【0018】
そこで、本発明は、低コスト且つ簡便な構成で反射部を搭載可能なヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【0019】
また、凹面鏡の一般的な製造方法では、基板が金型を用いて樹脂により成形され、成形された基板の表面に蒸着処理により反射膜が形成される。基板が成形される際、基板の角部分はその角を構成する2つの面が金型と接しているため、他の部分と比べ、冷却固化しやすく、成形収縮しにくい。そのため、外周角部分と他の部分との収縮差ができ、基板が歪むことがある。基板が歪んだ凹面鏡がヘッドアップディスプレイに使用されると、特に映像の外周部分の文字が歪んで表示されてしまうという問題があった。
【0020】
そこで、本発明は、成形時における基板の歪みが抑制された反射鏡、及びこれを用いたヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一側面に係る画像生成装置は、
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
光源が搭載された光源基板と、
前記光源から出射された光を透過する光学部材と、
前記光学部材を透過した光により前記所定の画像を生成するための光を形成する表示デバイスと、
前記光源基板から発生する熱を放熱するヒートシンクと、
前記光学部材を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは複数の第一係合部を有し、前記ヒートシンクは前記複数の第一係合部に対応する箇所に設けられた複数の第二係合部を有し、
前記複数の第一係合部のそれぞれと前記複数の第二係合部のそれぞれとが固定されることにより、前記光源基板は、前記ホルダと前記ヒートシンクとの間に挟み込まれて前記複数の第一係合部同士の間に形成された空間に収容された状態で位置決め固定される。
【0022】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一側面に係る画像生成装置は、
ヘッドアップディスプレイ用の画像を生成する画像生成装置であって、
前記画像のうち前記車両の状況に応じて変化する変化画像を生成する変化画像生成部と、
前記画像のうち前記状況によらずに固定された固定画像を生成する固定画像生成部と、を備え、
前記変化画像生成部は、光源が搭載された光源基板と、前記光源から出射された光を透過する光学部材と、前記光学部材を透過した光により所定の画像を生成するための光を形成する表示デバイスと、を有し、
前記光源基板は、前記表示デバイスの第一光出射面に対して一定角度傾いて配置され、
前記固定画像生成部の第二光出射面は、前記第一光出射面に対して平行する面である。
【0023】
また、本発明の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
上記いずれかの画像生成装置と、
前記画像生成装置により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる少なくとも一つの反射部と、
を備えている。
【0024】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一側面に係る反射鏡は、
回転軸を中心に回動可能な反射鏡であって、
光を反射させるための反射面と、第一端面と、前記反射面に対して前記第一端面とは反対側に位置する第二端面と、を有する板状の本体部と、
前記第一端面から連続するようにして前記反射面の裏面側に向けて突出する板状の第一突出部と、
前記第二端面から連続するようにして前記裏面側に向けて突出する板状の第二突出部と、
前記回転軸を中心にして前記本体部を回動させるために前記第一突出部に設けられた第一軸部と、
前記回転軸を中心にして前記本体部を回動させるために前記第二突出部に設けられた第二軸部と、を備え、
前記第一突出部の先端は、前記回転軸に沿った方向において前記第一端面とは異なる位置であって前記反射面とは反対側に位置している。
【0025】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一側面に係る反射鏡は、
第一面と、前記第一面と反対側に位置する第二面と、を有する基板と、
前記第一面に形成され、光を反射する反射膜と、を備える反射鏡であって、
前記基板の端部の少なくとも一部には、前記第一面と前記第二面の間に、前記基板の厚み方向断面において少なくとも三つの鈍角を形成する面が形成されている。
【0026】
また、本発明の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
上記の反射鏡と、
前記所定の画像を生成し、前記反射鏡に対して光を出射する画像生成装置と、
を備えている。
【0027】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる反射部と、
前記画像生成部及び前記反射部を収容するハウジングと、
を備え、
前記反射部は、本体部と、前記本体部の一方の端部から外側へ突出する第一軸部と、前記本体部の他方の端部から外側へ突出する第二軸部と、を有し、
前記ハウジングは、前記第一軸部の端部を収容可能な第一収容部を少なくとも有し、
前記端部は、前記第一収容部から外部に露出している。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、作製コストを削減することが可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、低コストで画像の表示範囲を広げることが可能であるとともに、外光あるいは反射光が画像の生成に悪影響を与えることを抑制可能な画像生成装置、及び当該画像生成装置を備えたヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0030】
また、本発明によれば、大型化が可能であるとともに成形性を改善可能な反射鏡、及び当該反射鏡を備えたヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0031】
また、本発明の反射鏡によれば、基板の端部の一部には少なくとも三つの鈍角を形成する面が形成されているため、成形時に端部の一部に鋭角あるいは90度が形成されている場合と比べると、端部の一部は冷却固化されにくい。したがって、成形時における基板の歪みが抑制される。
【0032】
また、本発明によれば、低コスト且つ簡便な構成で反射部を搭載可能なヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)を備えた車両システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2のHUDが備える画像生成装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係るHUDを備えた車両システムのブロック図である。
【
図10】
図10は、第二実施形態に係るHUDの構成を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第二実施形態に係る反射鏡と画像生成装置及び回転機構とを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、反射鏡に回転機構が取り付けられた状態の斜視図である。
【
図17】
図17は、第二実施形態において、ハウジングに反射鏡及び画像生成装置が収容された状態を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、第二実施形態において、反射鏡が取り外された状態でのハウジングの斜視図である。
【
図20】
図20は、第三実施形態において、
図2に示すヘッドアップディスプレイの反射鏡の斜視図である。
【
図25】
図25は、反射鏡の端部の変形例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0035】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図2に示すHUD(Head-Up Display)20について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。左右方向は、
図2では示されていないが、上下方向および前後方向に直交する方向である。
【0036】
図1を参照して、本実施形態に係るHUD20を備える車両システム2について以下に説明する。
図1は、車両システム2のブロック図である。当該車両システム2が搭載された車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0037】
図1に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。また、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。さらに、車両システム2は、HUD20を備える。
【0038】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子および抵抗等のパッシブ素子から構成される電子回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、およびTPU(Tensor Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有りまたは教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両1の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0039】
センサ5は、加速度センサ、速度センサおよびジャイロセンサのうち少なくとも一つを含む。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサおよび車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
【0040】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、一以上の外部カメラ6Aと、内部カメラ6Bとを含む。
外部カメラ6Aは、車両1の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を取得する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物(歩行者、他車両、標識等)に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。外部カメラ6Aは、単眼カメラとして構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。
【0041】
内部カメラ6Bは、車両1の内部に配置されると共に、乗員を示す画像データを取得するように構成されている。内部カメラ6Bは、例えば、乗員の視点E(
図2で後述する)をトラッキングするアイトラッキングカメラとして機能する。内部カメラ6Bは、例えば、ルームミラーの近傍、あるいはインストルメントパネルの内部等に設けられている。
【0042】
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、およびレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)のうちの少なくとも一つを含む。例えば、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて、周辺環境情報を特定する。
【0043】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(HUDを除く)である。
【0044】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0045】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器との間をアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両1は、図示しない通信ネットワークを介して他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と通信してもよい。通信ネットワークは、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)および無線アクセスネットワーク(RAN)のうちの少なくとも一つを含む。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0046】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2次元または3次元の地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10と通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0047】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両1の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0048】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダルおよびステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0049】
上述の通り、運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、例えば、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0050】
HUD20は、所定の情報(以下、HUD情報という。)が車両1の外部の現実空間(特に、車両1の前方の周辺環境)と重畳されるように、当該HUD情報を車両1の乗員に向け画像として表示するように構成されている。HUD20によって表示されるHUD情報は、例えば、車両1の走行に関連した車両走行情報及び/又は車両1の周辺環境に関連した周辺環境情報(特に、車両1の外部に存在する対象物に関連した情報)等である。HUD20は、車両1と乗員との間の視覚的インターフェースとして機能するARディスプレイである。
【0051】
HUD20は、画像生成装置(PGU)24を備える。画像生成装置24は、変化画像生成部24Aと、固定画像生成部24Bと、制御部25とを有する。
画像生成装置24は、車両1の乗員に向けて表示される所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。変化画像生成部24Aは、所定の画像のうち、車両1の状況に応じて変化する変化画像を生成するための光を出射する。固定画像生成部24Bは、所定の画像のうち、車両1の状況によらずに固定された固定画像を生成するための光を出射する。
【0052】
制御部25は、HUD20の各部の動作を制御する。制御部25は、車両制御部3に接続されており、車両制御部3から送信される車両走行情報や周辺環境情報等に基づいて、変化画像生成部24A及び固定画像生成部24Bの動作を制御するための制御信号を生成し、生成された制御信号を変化画像生成部24A及び固定画像生成部24Bに送信する。制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリが搭載され、メモリから読みだしたコンピュータプログラムをプロセッサが実行して、変化画像生成部24A、固定画像生成部24B等の動作を制御する。なお、本実施形態では、車両制御部3と制御部25とは別個の構成として設けられているが、車両制御部3と制御部25は一体的に構成されてもよい。例えば、車両制御部3と制御部25は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
【0053】
図2は、HUD20を車両1の側面側から見た模式図である。HUD20は、少なくともHUD20の一部が車両1の内部に位置する。具体的には、HUD20は、車両1の室内の所定箇所に設置されている。例えば、HUD20は、車両1のダッシュボード内に配置されてもよい。
【0054】
図2に示すように、HUD20は、HUD本体部21を備える。HUD本体部21は、本体ハウジング22と、出射窓23とを有する。出射窓23は可視光を透過させる透明板で構成されている。HUD本体部21は、本体ハウジング22の内部に、画像生成装置24と、凹面鏡26(反射部の一例)とを有する。
【0055】
凹面鏡26は、画像生成装置24(変化画像生成部24A,固定画像生成部24B)から出射される光の光路上に配置されている。凹面鏡26は、画像生成装置24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射するように構成されている。凹面鏡26は、所定の画像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成装置24から出射され結像された光の像を所定の倍率で反射させる。凹面鏡26は、駆動(回転)機構27を有し、制御部25(
図1参照)から送信される制御信号に基づいて凹面鏡26の向きを回転することができるように構成されていてもよい。
【0056】
画像生成装置24は、本体ハウジング22内においてHUD20の前方を向くように設置されている。画像生成装置24(変化画像生成部24A,固定画像生成部24B)から出射された光は、凹面鏡26で反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射される。HUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。出射窓23からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成される虚像(所定の画像)として認識する。このように、HUD20によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0057】
ここで、乗員の視点Eは、乗員の左目の視点又は右目の視点のいずれかであってもよい。または、視点Eは、左目の視点と右目の視点を結んだ線分の中点として規定されてもよい。乗員の視点Eの位置は、例えば、内部カメラ6Bによって取得された画像データに基づいて特定される。乗員の視点Eの位置は、所定の周期で更新されてもよいし、車両1の起動時に一回だけ決定されてもよい。
【0058】
なお、虚像オブジェクトIとして2D画像(平面画像)を形成する場合には、所定の画像を任意に定めた単一距離の虚像となるように投影する。虚像オブジェクトIとして3D画像(立体画像)を形成する場合には、互いに同一または互いに異なる複数の所定の画像をそれぞれ異なる距離の虚像となるように投影する。また、虚像オブジェクトIの距離(乗員の視点Eから虚像までの距離)は、画像生成装置24から乗員の視点Eまでの距離を調整する(例えば画像生成装置24と凹面鏡26との間の距離を調整する)ことによって適宜調整可能である。
【0059】
図3は、画像生成装置24の構成を示す分解斜視図である。
図4は、画像生成装置24の正面図である。
図3及び
図4に示すように、画像生成装置24は、正面視において中央部に配置される変化画像生成部24Aと、変化画像生成部24Aの左右両側に配置される固定画像生成部24Bとを備える。変化画像生成部24A及び固定画像生成部24Bは、PGUハウジング160に収容されている。PGUハウジング160には、変化画像生成部24A及び固定画像生成部24Bを制御するための制御部25が搭載された回路基板170と、PGUハウジング160の背面を覆う背面カバー180とが取り付けられている。
【0060】
図5は、
図4に示す画像生成装置24のA-A線における断面図、すなわち画像生成装置24における変化画像生成部24Aの断面図である。
図3から
図5に示すように、変化画像生成部24Aは、光源111が搭載された光源基板110と、光源111の前側に配置されるレンズ120(光学部材の一例)と、レンズ120の前側に配置される表示デバイス130とを有する。変化画像生成部24Aは、さらに、光源基板110の前側に配置されるレンズホルダ140と、光源基板110の後側に配置されるヒートシンク150とを有する。
【0061】
光源111は、例えば、レーザ光源またはLED光源である。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑光レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光源基板110は、例えば、電気回路の配線が板の表面や内部にプリントされた絶縁体からなるプリント基板である。光源基板110には、例えば、複数(本例では、2個)のレーザ光源が左右方向に並べて配置されている。また、光源基板110には、レンズホルダ140に対する光源基板110の取り付け位置を固定するための孔部112が少なくとも一つ形成されている。本実施形態では、孔部112は光源基板110の左右両端に一つずつ形成されている。
【0062】
レンズ120は、例えば、平凸レンズから構成されている。レンズ120を用いる代わりに、プリズム、拡散板、拡大鏡等を採用してもよい。レンズ120は、レンズホルダ140に取り付けられている。レンズ120は、光源111から出射された光を透過または反射して表示デバイス130に向けて出射するように構成されている。本実施形態では、2個の光源111に対応して2個の平凸レンズが左右方向に並列して設けられている。
【0063】
表示デバイス130は、液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)等である。変化画像生成部24Aの描画方式は、ラスタースキャン方式、DLP方式またはLCOS方式であってもよい。DLP方式またはLCOS方式が採用される場合、変化画像生成部24Aの光源111はLED光源であってもよい。なお、液晶ディスプレイ方式が採用される場合、変化画像生成部24Aの光源111は白色LED光源であってもよい。表示デバイス130は、PGUハウジング160の前面部に取り付けられている。表示デバイス130は、変化画像を生成する光を出射するための光出射面130aを変化画像生成部24Aの前方へ向けた状態でPGUハウジング160に取り付けられている。表示デバイス130は、例えば、PGUハウジング160の前面側からPGUハウジング160に取り付けることができるように構成されている。表示デバイス130には、表示デバイス130と制御部25とを接続するFPC(Flexible Printed Circuits)131が接続されている。表示デバイス130は、レンズ120を透過した光源111の光により所定の変化画像を生成するための光を形成するように構成されている。
【0064】
図6は、レンズホルダ140の背面斜視図である。
図3から
図6に示すように、レンズホルダ140は、複数の取付孔142(第一係合部の一例)が形成された一対のホルダ取付部141と、一対のホルダ取付部141同士の間に設けられた固定用凹部143とを有する。
【0065】
ホルダ取付部141は、例えば、平板状に形成されている。平板状であるホルダ取付部141の取付面141a(第一面の一例)は、PGUハウジング160に取り付けられた表示デバイス130の光出射面130aに平行となるように形成されている。なお、本明細書において「平行」とは、必ずしも完全に平行であることのみを意味するものではなく、完全に平行な方向から±5度以内の方向を含む。ホルダ取付部141の取付孔142は、本実施形態では、各ホルダ取付部141に、上下方向に並列されて2個形成されている。
【0066】
固定用凹部143は、一対のホルダ取付部141よりも前側に窪んだ状態に形成されている。固定用凹部143は、ホルダ取付部141の取付面141aに対して傾斜する傾斜面143a(第二面の一例)を有する。傾斜面143aは、取付面141aに対して傾斜面143aの上部側が前方へ傾斜するように形成されている。
【0067】
固定用凹部143には、中央部に開口部144が形成され、開口部144の周囲に枠部145が形成されている。開口部144は、レンズホルダ140の後側に配置される光源基板110の周縁が枠部145上に重なるとともに、光源基板110に搭載された光源111が開口部144の内側に収容されるような大きさ及び形状に形成されている。本実施形態では、左右方向に2個の開口部144が形成されている。
【0068】
傾斜面143aのうち固定用凹部143の後側である傾斜背面143a1には、枠部145にピン147が設けられている。ピン147は、枠部145から後方へ突出して設けられている。ピン147は、光源基板110の孔部112に挿通可能となる位置に設けられている。本例では、ピン147は傾斜背面143a1における左右の枠部145に一つずつ設けられている。枠部145から後方へ突出しているピン147の突出部分の高さは、光源基板110の厚さ以下となるように形成されている。
【0069】
傾斜面143aのうち固定用凹部143の前側である傾斜前面143a2には、レンズ120が取り付けられる。傾斜前面143a2に取り付けられたレンズ120は、表示デバイス130の光出射面130aに対して傾斜した状態でPGUハウジング160内に保持される。
【0070】
図3に戻り、ヒートシンク150は、熱伝導性の高いアルミや銅などの部材で形成されている。ヒートシンク150は、光源基板110から発生する熱を放熱するために、光源基板110の裏面に接触するように設けられている。ヒートシンク150は、複数の取付孔152(第二係合部の一例)が形成された一対の放熱器取付部151と、一対の放熱器取付部151同士の間に設けられる固定用凸部153とを有する。
【0071】
放熱器取付部151は、例えば、平板状に形成されている。平板状である放熱器取付部151の取付面151a(第三面の一例)は、ヒートシンク150がレンズホルダ140とともにPGUハウジング160に取り付けられたときに、レンズホルダ140の取付面141aに平行となるように形成されている。放熱器取付部151の取付孔152は、レンズホルダ140の取付面141aに形成されている取付孔142に対応する箇所に形成されている。本実施形態では、一対の放熱器取付部151の各々に、上下方向に並列される2個の取付孔152が形成されている。
【0072】
固定用凸部153は、一対の放熱器取付部151よりも前側に突出した状態に形成されている。固定用凸部153は、放熱器取付部151の取付面151aに対して傾斜する傾斜面153a(第四面の一例)を有する。傾斜面153aは、取付面151aに対して傾斜面153aの上部側が前方へ傾斜するように形成されている。また、傾斜面153aは、レンズホルダ140の傾斜面143aに平行となるように形成されている。
【0073】
傾斜面153aのうち固定用凸部153の後側である傾斜背面153a1には、放熱用のフィン154が複数形成されている。傾斜面153aのうち固定用凸部153の前側である傾斜前面153a2は、光源基板110に接触する面として平面状に形成されている。
【0074】
ヒートシンク150は、放熱器取付部151の取付孔152を介して取付ネジ155によりPGUハウジング160にネジ止めされる。また、レンズホルダ140は、取付面141aの取付孔142を介して取付ネジ155によりPGUハウジング160にネジ止めされる。ヒートシンク150は、固定用凸部153をレンズホルダ140の固定用凹部143に嵌合させ、放熱器取付部151の取付面151aをレンズホルダ140のホルダ取付部141における取付面141aに対向させた状態で、レンズホルダ140と共に共通の取付ネジ155によりPGUハウジング160にネジ止めされる。
【0075】
図7は、画像生成装置24の上面図である。
図7は、
図3に示す画像生成装置24の各部材を組み合せた状態を示している。
図3、
図6及び
図7に示すように、光源基板110は、レンズホルダ140の固定用凹部143の傾斜背面143a1とヒートシンク150の固定用凸部153の傾斜前面153a2との間に挟み込まれた状態でPGUハウジング160に取り付けられている。すなわち、光源基板110は、レンズホルダ140及びヒートシンク150の左右方向において、レンズホルダ140の一対のホルダ取付部141及びヒートシンク150の一対の放熱器取付部151よりも内側に取り付けられている。
【0076】
レンズホルダ140の固定用凹部143の深さは、ヒートシンク150の固定用凸部153の高さよりも深く形成されている。具体的には、固定用凹部143の深さは、固定用凸部153の高さよりも光源基板110の厚さ程度深く形成されている。このため、レンズホルダ140の固定用凹部143にヒートシンク150の固定用凸部153を嵌合させると、レンズホルダ140の傾斜背面143a1とヒートシンク150の傾斜前面153a2との間には、光源基板110の厚さほどの空間148が形成される(
図5及び
図7参照)。光源基板110は、このレンズホルダ140の固定用凹部143とヒートシンク150の固定用凸部153との間に形成された空間148に収容される。具体的には、光源基板110は、固定用凹部143の枠部145上に配置され、枠部145に設けられたピン147が光源基板110の孔部112に挿通された状態で空間148に収容される。
【0077】
光源基板110は、空間148に収容されることにより、左右方向及び上下方向の移動が孔部112に挿通されたピン147によって規制される。さらに、光源基板110は、空間148に収容されることにより、前後方向の移動がレンズホルダ140の固定用凹部143とヒートシンク150の固定用凸部153とによって規制される。このようにして、光源基板110が空間148に収容されることにより、レンズ120及び表示デバイス130に対する光源基板110の位置が固定される。なお、光源基板110が空間148に収容されることで、光源基板110に搭載されている光源111が固定用凹部143の開口部144内に配置される。
【0078】
光源基板110は、レンズホルダ140における固定用凹部143の傾斜面143a及びヒートシンク150における固定用凸部153の傾斜面153aに平行するように、すなわち、PGUハウジング160に取り付けられた表示デバイス130の光出射面130aに対して一定角度傾斜した状態でPGUハウジング160に取り付けられる。光源基板110の前側に配置されたレンズ120も、光源基板110と同様に、表示デバイス130の光出射面130aに対して一定角度傾斜した状態でPGUハウジング160に取り付けられる。
【0079】
図8は、
図4に示す画像生成装置24のB-B線における断面図、すなわち画像生成装置24における固定画像生成部24Bの断面図である。
図8に示すように、固定画像生成部24Bは、光源511が搭載された光源基板510と、光源511の前側に配置されるレンズ520と、レンズ520の前側に配置される拡散板530と、拡散板530の前側に配置される遮光部材540とを有する。
【0080】
光源511は、上記光源111と同様に、例えば、レーザ光源またはLED光源である。光源基板510は、例えば、電気回路の配線が板の表面や内部にプリントされた絶縁体からなるプリント基板である。レンズ520は、光源511から出射される光の利用効率を高めることができるような所定の形状に形成されている。レンズ520は、光源511から出射された光を透過または反射して拡散板530に向けて均一に出射するように構成されている。なお、レンズ520を用いる代わりに、プリズム、拡散板、拡大鏡、リフレクタ等のうち少なくとも一つを用いてもよい。拡散板530は、例えば、合成樹脂フィルムの前面に光拡散用の微細なステップを設けるように形成されている。あるいは、拡散板530は、例えば、光を拡散するための光拡散剤が添加されているフィルムから構成されてもよい。遮光部材540は、例えば、合成樹脂フィルムと、当該合成樹脂フィルムの少なくとも片面に形成された遮光膜(シェード)とで構成されている。
【0081】
拡散板530は、PGUハウジング160に取り付けられた表示デバイス130の光出射面130aに平行となるようにPGUハウジング160に取り付けられている。さらに、拡散板530は、PGUハウジング160に取り付けられた表示デバイス130の光出射面130aと並列するようにPGUハウジング160に取り付けられている。本実施形態では、拡散板530は、表示デバイス130の光出射面130aと左右方向に並列してPGUハウジング160に取り付けられている。
【0082】
図3に示すように、画像生成装置24の回路基板170は、ヒートシンク150と背面カバー180との間に配置されるようにしてPGUハウジング160に取り付けられる。回路基板170には、回路基板170をPGUハウジング160に取り付けるための複数の取付孔171が形成されている。取付孔171は、本実施形態では、矩形状を有する回路基板170の一方の対向する角部に一つずつ形成されている。PGUハウジング160には、回路基板170を取り付けるためのボス161が形成されている。ボス161は、PGUハウジング160の後方に向けて突出するように形成されている。回路基板170は、取付孔171を介して取付ネジ172によりPGUハウジング160のボス161にネジ止めされる。
【0083】
ボス161は、PGUハウジング160に取り付けられたヒートシンク150の固定用凸部153の傾斜面153aに対して垂直となるように形成されている。このため、ボス161に取り付けられた回路基板170は、ヒートシンク150の固定用凸部153の傾斜面153aに平行になるように、すなわち、ヒートシンク150の放熱器取付部151の取付面151aに対して傾斜した状態となるようにPGUハウジング160に取り付けられる。これにより、回路基板170は、固定用凸部153の傾斜背面153a1に形成された放熱用のフィン154に接触しないようにフィン154に対して一定の間隔を有して取り付けられる。回路基板170は、FPC131を介して、変化画像生成部24A及び固定画像生成部24Bに接続されている。回路基板170に搭載されている制御部25によって、表示デバイス130及び光源基板110,210等が制御される。
【0084】
画像生成装置24の背面カバー180は、
図3に示すように、回路基板170がヒートシンク150の後側に取り付けられた状態で、回路基板170の背面を覆うようにPGUハウジング160に取り付けられる。背面カバー180は、背面部181と、背面部181から前方へ向けて立ち上がる側面部182とを有する。
【0085】
背面部181には、背面カバー180をPGUハウジング160に取り付けるための取付孔183(係合孔の一例)が形成されている。背面部181における取付孔183が形成されている領域は、背面部181の他の領域よりも背面カバー180のPGUハウジング160への取り付け方向(前方向)に向けて窪んだ凹部184となるように形成されている。本実施形態において、凹部184は、矩形状を有する背面部181の四つの角部にそれぞれ形成されている。PGUハウジング160には、背面カバー180を取り付けるためのボス162が形成されている。ボス162は、PGUハウジング160から背面カバー180に向けて(後方に向けて)突出するように形成されている。背面カバー180は、取付孔183を介して取付ネジ185によりPGUハウジング160のボス162にネジ止めされる。
【0086】
ボス162は、PGUハウジング160に取り付けられたヒートシンク150の放熱器取付部151の取付面151aに対して垂直となるように形成されている。背面カバー180の背面部181における凹部184が形成されている領域は、背面カバー180がPGUハウジング160に取り付けられたとき、ヒートシンク150の放熱器取付部151の取付面151aに平行になるように形成されている。これに対して、背面カバー180の背面部181における凹部184以外の領域、すなわち、本実施形態において、背面部181の四つの角部以外の領域は、背面カバー180がPGUハウジング160に取り付けられたとき、ヒートシンク150の固定用凸部153の傾斜面153aに平行になるように形成されている。
【0087】
このため、背面カバー180がPGUハウジング160に取り付けられたとき、背面部181の凹部184が形成されている領域は、PGUハウジング160のボス162に対して、直交する向きでネジ止めされる。一方、背面カバー180の背面部181における凹部184以外の領域は、背面カバー180がPGUハウジング160に取り付けられたとき、回路基板170の背面に平行になるように取り付けられる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る画像生成装置24は、光源111が搭載された光源基板110と、光源111から出射された光を透過するレンズ120と、レンズ120を透過した光により所定の画像を生成するための光を形成する表示デバイス130と、光源基板110から発生する熱を放熱するヒートシンク150と、レンズ120を保持するレンズホルダ140と、を備えている。そして、レンズホルダ140は、複数の取付孔142(第一係合部)を有し、ヒートシンク150は、複数の取付孔142に対応する箇所に設けられた複数の取付孔152(第二係合部)を有している。複数の取付孔142のそれぞれと複数の取付孔152のそれぞれとが固定されることにより、光源基板110は、レンズホルダ140とヒートシンク150との間に挟み込まれて複数の取付孔142同士の間に形成された空間148に収容された状態で位置決め固定される。この構成によれば、仮にレンズホルダ140やヒートシンク150に形成された取付孔142,152と同様の取付孔を光源基板110に形成して、これらの取付孔を一括固定する場合に比べて、光源基板110に取付孔を形成する必要がない。そのため、光源基板110のサイズを小さくすることができ、画像生成装置24における光源基板110の作製コストを削減できる。
【0089】
画像生成装置24において、レンズホルダ140は、表示デバイス130の光出射面130aに平行な一対の取付面141aと、一対の取付面141a同士の間に形成されて一対の取付面141aに対して傾斜した傾斜面143aとを有している。一対の取付面141aには、それぞれ取付孔142が設けられている。傾斜面143aには、開口部144と、開口部144の周囲を囲む枠部145とが設けられている。そして、枠部145に光源基板110が取り付けられることで、光源111が開口部144内に配置される。この構成によれば、表示デバイス130の光出射面130aに対して光源111の光出射面が傾斜した状態となる。このため、外光が表示デバイス130の光出射面130aで反射して迷光となることを抑制でき、虚像に悪影響を与えることを抑制できる。また、光源111から出射した光の反射光が光源111に直接入射することを防ぐことができる。そして、この構成のように光源基板110をレンズホルダ140とヒートシンク150との間に挟み込んで固定すれば、表示デバイス130の光出射面130aに対して光源111の光出射面を傾斜した状態で容易に組付けることができる。
【0090】
画像生成装置24において、光源基板110は、少なくとも一つの孔部112を有し、少なくとも一つの孔部112に挿通可能な少なくとも一つのピン147が枠部145から突出している。このため、光源基板110をレンズホルダ140とヒートシンク150との間に挟み込んで、少なくとも一つの孔部112に少なくとも一つのピン147を挿通するという容易な構成で、光源基板110の正確な位置決めを行うことができる。
【0091】
画像生成装置24において、ヒートシンク150は、レンズホルダ140の一対の取付面141aに平行な面であって複数の取付孔152がそれぞれ形成される一対の取付面151aと、一対の取付面151a同士の間に形成されてレンズホルダ140の傾斜面143aに平行な傾斜面153aとを有する。そして、光源基板110は、傾斜面143aと傾斜面153aとの間に形成された空間148に収容されている。このように、ヒートシンク150が異なる傾斜を有する取付面151aと傾斜面153aとを備えることで、表示デバイス130の光出射面130aとは異なる傾斜を有する必要がある光源基板110を、レンズホルダ140とヒートシンク150との間で異なる傾斜をもたせた状態で安定的に保持することができる。
【0092】
画像生成装置24は、表示デバイス130を搭載可能なPGUハウジング160をさらに備えている。レンズホルダ140及びヒートシンク150は、複数の取付孔142及び複数の取付孔152を介して取付ネジ155によりPGUハウジング160に取り付けられる。このため、容易な構成で、小型化された光源基板110を、レンズホルダ140とヒートシンク150との間に挟み込んで固定することができる。
【0093】
画像生成装置24は、表示デバイス130を少なくとも制御する回路基板170と、PGUハウジング160の背面を覆う背面カバー180と、をさらに備えている。回路基板170がヒートシンク150と背面カバー180との間に配置されるようにしてPGUハウジング160に取り付けられた状態で、背面カバー180がPGUハウジング160に取り付けられている。これにより、表示デバイス130を制御するための回路が搭載された回路基板170も含めてユニット化することができる。そのため、画像生成装置24と回路基板170とを別々でHUD本体部21へ組付ける場合よりも組立作業性を向上させることができる。また、回路基板170をPGUハウジング160に予め組付けて固定しておくことで、回路基板170と表示デバイス130とを接続するFPC131の接続作業が容易となる。さらに、画像生成装置24と回路基板170とを別々でHUD本体部21へ組付ける場合よりも、FPC131の長さを短くすることができ、コスト削減につながる。
【0094】
画像生成装置24において、背面カバー180は、背面部181と、背面部181から立ち上がる側面部182とを備え、背面部181には、PGUハウジング160から背面カバー180に向けて突出するボス162に対してネジ止め可能な少なくとも一つの取付孔183が形成されている。少なくとも一つの取付孔183が形成された領域は、背面部181の他の領域よりも背面カバー180のPGUハウジング160への取り付け方向に向けて凹んでいる。このため、背面カバー180の取付孔183が形成されている領域からPGUハウジング160のボス162までの距離を近くすることができ、PGUハウジング160と背面カバー180とを取り付けるための取付ネジ185やボス162の長さをできるだけ短くできる。
【0095】
さらに、画像生成装置24において、変化画像生成部24Aの光源基板110は、表示デバイス130の光出射面130a(第一光出射面の一例)に対して一定角度傾いて配置される。また、固定画像生成部24Bの拡散板230(第二光出射面の一例)は、光出射面130aに対して平行する面である。この構成によれば、変化画像生成部24Aが生成する変化画像に付加して固定画像生成部24Bが生成する固定画像を適正に生成することができる。このため、高コストな変化画像生成部24Aを大きくすることなく固定画像生成部24Bの画像を付加することで画像表示範囲を広げることができる。さらに、光源111の光出射面が表示デバイス130の光出射面130aに対して傾斜した状態となるように光源基板110が配置されるため、外光や光源111からの出射光が表示デバイス130でそれぞれ反射されて、当該反射光が画像の生成に悪影響を与えることを抑制できる。
【0096】
ところで、変化画像生成部24Aと固定画像生成部24Bの光出射面が平行でないと、凹面鏡に段差部を設けて反射面を調整する必要があり、凹面鏡へアルミニウム等を蒸着して反射膜を形成するための蒸着工程が煩雑となる場合がある。これに対して、本実施形態の画像生成装置24によれば、変化画像生成部24Aの光出射面130aと固定画像生成部24Bの光出射面である拡散板230とが平行となっているため、凹面鏡26を複雑な構成とすることなく、一枚の連続面として構成することができる。これにより、蒸着工程を簡素化できる。
【0097】
画像生成装置24において、固定画像生成部24Bの拡散板230は、PGUハウジング160に取り付けられた変化画像生成部24Aの表示デバイス130の光出射面130aと並列するようにPGUハウジング160に取り付けられている。このため、変化画像生成部24Aの表示デバイス130の光出射面130aと固定画像生成部24Bの拡散板230とを容易な構成で平行に保つことができる。
【0098】
本実施形態のHUD20は、上記構成の画像生成装置24と、当該画像生成装置24により出射された光がウインドシールド18へ照射されるように、光を反射させる少なくとも一つの凹面鏡26(反射部の一例)とを備えている。このため、HUD20における画像生成装置24の作製コストを削減できる。さらに、低コストで画像の表示範囲を広げることが可能であるとともに、外光あるいは反射光が虚像の生成に悪影響を与えることを抑制可能なHUD20を提供できる。
【0099】
(第二実施形態)
以下、
図9~
図19を参照して、第二実施形態にかかるHUDについて説明する。
図9は、第二実施形態に係るHUDを備えた車両システムのブロック図である。
図10は、第二実施形態に係るHUDの構成を示す模式図である。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
図9に示すように、HUD1020は、画像生成装置1024と、制御部25とを備える。画像生成装置1024は、変化画像生成部24Aと、固定画像生成部24Bとを有する。なお、第二実施形態のHUD1020では、画像生成装置1024と、制御部25とが個別に設けられているが、第一実施形態のHUD20(
図1)と同様に、画像生成装置1024内に制御部25が設けられる構成であってもよい。
【0101】
図10に示すように、HUD1020は、HUD本体部21を備えている。HUD本体部21は、本体ハウジング22と、出射窓23とを有する。出射窓23は可視光を透過させる透明板で構成されている。HUD本体部21は、本体ハウジング22の内部に、画像生成装置1024(画像生成部の一例)と、凹面鏡26(反射鏡の一例)と、凹面鏡26を回転させるための回転機構27と、平面鏡28と、を有する。
【0102】
画像生成装置1024は、本体ハウジング22内において、光を上方に出射するように設置されている。平面鏡28は、画像生成装置1024から出射される光の光路上に配置されている。具体的には、平面鏡28は、画像生成装置1024の上方に配置され、画像生成装置1024から出射された光を凹面鏡26に向けて反射するように構成されている。
【0103】
凹面鏡26は、画像生成装置1024から出射されて平面鏡28により反射された光の光路上に配置されている。具体的には、凹面鏡26は、本体ハウジング22内において、画像生成装置1024及び平面鏡28の前側に配置されている。凹面鏡26は、画像生成装置1024から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射するように構成されている。凹面鏡26は、所定の画像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成装置1024から出射され結像された光の像を所定の倍率で反射させる。
【0104】
回転機構27は、凹面鏡26を回転させることにより凹面鏡26の向きを変化させることができるように構成されている。回転機構27は、画像生成装置1024と左右方向に並列するように本体ハウジング22内に収容されている。本体ハウジング22の詳細な構成については、
図17から
図19で後述する。回転機構27は、制御部25(
図9参照)に接続されており、制御部25から送信される制御信号に基づいて凹面鏡26を回転させる。また、回転機構27は、HUD本体部21の外部の制御部に接続されていてもよい。回転機構27または別の部材により、凹面鏡26の位置を変更できるようにしてもよい。
【0105】
画像生成装置1024から出射された光は、平面鏡28及び凹面鏡26で反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射される。HUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。出射窓23からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成される虚像(所定の画像)として認識する。このように、HUD1020によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両1の外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0106】
図11は、HUD1020の本体ハウジング22を取り除いた状態の画像生成装置1024、凹面鏡26、及び回転機構27を示す斜視図である。
図11において、平面鏡28の図示は省略している。
図12は、凹面鏡26を表面(反射面)側から見た斜視図である。
図13は、凹面鏡26を上方から見た図である。
図14は、凹面鏡26を左側方から見た図である。
【0107】
図11に示すように、本例の画像生成装置1024は、変化画像生成部24Aと、左右方向において変化画像生成部24Aを挟むように並列配置された一対の固定画像生成部24B,24Bとを有する。変化画像生成部24Aの光出射面及び一対の固定画像生成部24B,24Bの光出射面は、画像生成装置1024の上方に配置された平面鏡28(
図10参照)に光を出射するように上向きに配置されている。
【0108】
図11から
図14に示すように、凹面鏡26は、左右方向に延びる回転軸Dを中心に回動可能である。凹面鏡26は、本体部31と、第一突出部33と、第二突出部34と、第一軸部35と、第二軸部36とを有する。本体部31は、板状に形成されている。本実施形態では、本体部31は、例えば横長矩形の板状に形成されている。本体部31は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂から構成されている。本体部31は、反射膜32が形成されている第一面261(反射面の一例)と、第一面261の反対側(本体部31の裏面側)の第二面262とを有する。第一面261は、凹面状に形成され、第二面262は、凸面状に形成されている。凹面鏡26は、凹面状の第一面261が画像生成装置1024及び平面鏡28に向き合うように配置されている。
【0109】
本体部31は、第一面261と第二面262との間に、第一端面263と、第二端面264と、第三端面265と、第四端面266との4つの面を有する。第二端面264は、第一面261に対して第一端面263とは反対側に位置する。第四端面266は、第一面261に対して第三端面265とは反対側に位置する。第一端面263~第四端面266は、その面積が第一面261の面積よりも狭くなるように形成されている。第一端面263及び第二端面264は、その面積が第三端面265及び第四端面266の面積よりも狭くなるように形成されている。すなわち、第三端面265及び第四端面266は、横長矩形状の本体部31における長手方向A(
図12及び
図13の矢印A方向)の端面を構成する。第一端面263及び第二端面264は、横長矩形状の本体部31における短手方向B(
図12及び
図14の矢印B方向)の端面を構成する。
【0110】
反射膜32は、本体部31の第一面261の表面に形成されている。反射膜32は、光を反射させる材料から構成される。反射膜32は、例えば、アルミニウム等の金属を本体部31の第一面261の表面に蒸着することにより形成される。なお、アルミ蒸着等で反射膜32を第一面261上に形成する代わりに、本体部31自体を、光を反射可能な白色系の樹脂素材で作製してもよい。
【0111】
第一突出部33は、本体部31の第一端面263側の端部に形成される板状の部材である。第一突出部33は、本体部31の第一端面263から連続するようにして第一面261から第二面262側に向けて突出するように設けられている。第一突出部33の先端は、回転軸Dに沿った方向において、第一端面263とは異なる位置であって反射面である第一面261とは反対側の位置、すなわち第一端面263よりも外側に位置している。具体的には、第一突出部33は、本体部31の長手方向A及び短手方向Bに直交する方向C(
図13及び
図14の矢印C方向)から外側に向かって角度θ1だけ傾斜した方向へ延びるように設けられている。角度θ1は、例えば、15度である。
【0112】
図14に示すように、第一突出部33は、第一端面263と連続する第一連続面231を有している。第一連続面231は、第一端面263に近づくほど本体部31の短手方向Bにおける幅が広がる、いわゆる裾広がり状に形成されている。裾広がり状の第一連続面231の両側の傾斜は、第一突出部33の第一端面263から略垂直に突出する方向である方向Cに対して傾斜角度θ2が例えば15度以上となるように形成されている。第一連続面231の両側の傾斜が第一端面263から立ち上がる立上部分232は、円弧状となるように形成されている。
【0113】
第二突出部34は、本体部31の第二端面264側の端部に形成される板状の部材である。第二突出部34は、本体部31の第二端面264から連続するようにして第一面261から第二面262側に向けて突出するように設けられている。第二突出部34の先端は、回転軸Dに沿った方向において、第二端面264とは異なる位置であって反射面である第一面261とは反対側の位置、すなわち第二端面264よりも外側に位置している。第二突出部34は、第一突出部33と同様に、方向Cから外側に向かって角度θ1だけ傾斜した方向へ延びるように設けられている。
【0114】
第二突出部34は、第二端面264と連続する第二連続面241を有している。第二連続面241は、第一連続面231と同様に、第二端面264に近づくほど本体部31の短手方向Bにおける幅が広がる裾広がり状に形成されている。第二連続面241の形状は、第一突出部33と同様であるため、図示は省略する。
【0115】
第一軸部35は、第一突出部33の第一連続面231、すなわち第二突出部34に対向する側の面とは反対側の面に設けられている。第一軸部35は、回転軸Dに沿って第一連続面231から本体部31とは反対側、すなわち左外方へ向かって延びるように形成されている。第一軸部35は、嵌合軸部35aと、当該嵌合軸部35aが嵌合する対象物である嵌合対象軸部35bとを有する。嵌合軸部35aは、第一突出部33と一体的に形成されており、第一連続面231から連続して形成されている。一方、嵌合対象軸部35bは、本体部31とは別体の部品であり、嵌合軸部35aと嵌合することで本体部31に取り付けられる。
【0116】
嵌合軸部35aは、外周面の一部が切り欠かれたD字状に形成されている。嵌合対象軸部35bは、外面が円形状に形成されている。嵌合軸部35aの径は、嵌合対象軸部35bの径よりも小さく形成されている。嵌合対象軸部35bには嵌合軸部35aが嵌合する嵌合穴が形成されている。図示は省略するが、嵌合対象軸部35bの嵌合穴は、嵌合軸部35aの形状と同じくD字状であって、嵌合軸部35aと略同一の大きさの径となるように形成されている。嵌合対象軸部35bは、嵌合軸部35aと嵌合することで本体部31に取り付けられて、嵌合軸部35aとともに第一軸部35を構成する。第一軸部35は、回転軸Dを中心にして本体部31を回動させるための軸部として機能する。
【0117】
第二軸部36は、第二突出部34の第二連続面241、すなわち第一突出部33に対向する側の面とは反対側の面に設けられている。第二軸部36は、回転軸Dに沿って第二連続面241から本体部31とは反対側、すなわち右外方へ向かって延びるように形成されている。第二軸部36は、円柱状に形成されている。第二軸部36の径は、第一軸部35の嵌合対象軸部35bの径と略同じ大きさとなるように形成されている。第二軸部36は、第一軸部35とともに、回転軸Dを中心にして本体部31を回動させるための軸部として機能する。
【0118】
図13に示すように、第一軸部35及び第二軸部36は、その回転軸Dが、本体部31の裏面側である凸面状の第二面262の頂部Pよりも第一面261側を通過するように配置されている。あるいは、第一軸部35及び第二軸部36は頂部Pに接するように配置されていてもよい。
【0119】
図15は、凹面鏡26と当該凹面鏡26に取り付けられた回転機構27とを凹面鏡26の表面側から見た斜視図である。
図16は、
図15に示す状態の側面図である。
図15及び
図16に示すように、回転機構27は、嵌合対象軸部35bと、腕部251と、駆動部252とを有する。
【0120】
嵌合対象軸部35bは、上述した凹面鏡26を構成する第一軸部35の一部である。嵌合対象軸部35bは、凹面鏡26の嵌合軸部35aと嵌合した状態において、回転軸Dに沿って延びている。嵌合対象軸部35bは、本体部31の第一突出部33側の端部にフランジ271を有する。フランジ271は、嵌合対象軸部35bの外周において径方向へ突出するように設けられている。本実施形態では、円板状のフランジ271が嵌合対象軸部35bの全周に亘り設けられている。
【0121】
腕部251は、嵌合対象軸部35bから駆動部252へ向かって延在する板状の部材である。腕部251は、その一端が嵌合対象軸部35bと一体的に形成されている。腕部251の他端には駆動部252が取り付けられている。駆動部252は、例えば、ウォームギアとDCモータで構成されている。駆動部252は、伸縮可能な軸部253を有し、軸部253の伸縮によって腕部251を動作させる。回転機構27は、駆動部252によって腕部251を嵌合対象軸部35b(第一軸部35)の径方向に沿う方向に移動させることにより、回転軸Dを中心にして凹面鏡26を回転させる。これにより、凹面鏡26の反射面である第一面261の向きが変化される。
【0122】
図17は、本体ハウジング22に凹面鏡26と回転機構27とが収容された状態を示す斜視図である。
図18は、凹面鏡26及び回転機構27が取り外された状態での本体ハウジング22の斜視図である。
図19は、
図18の状態での本体ハウジング22の側面図である。
図17から
図19に示すように、本体ハウジング22は、凹面鏡26の第一軸部35を収容可能な第一収容部310と、凹面鏡26の第二軸部36を収容可能な第二収容部320と、凹面鏡26の移動を規制するための規制部360とを有する。
【0123】
第一収容部310は本体ハウジング22の左端部に配置され、第二収容部320は本体ハウジング22の右端部に配置されている。規制部360は、第一収容部310と第二収容部320との間に設けられている。すなわち、第一収容部310、第二収容部320、及び規制部360は、本体ハウジング22の左右方向における直線上に並んで設けられている。
【0124】
本例では、第一収容部310は、本体ハウジング22の左側壁340に設けられている。第一収容部310は、第一軸部35が収容される円形状の孔部311と、当該孔部311の形状の一部分を形成するように孔部311の前側斜め上方に設けられる変形部312とを有する。孔部311には、第一軸部35の嵌合対象軸部35bが収容される。嵌合対象軸部35bは、その先端部が孔部311内に収容されるとともに、その先端面272が孔部311から第一収容部310の外部に露出した状態で収容される。
【0125】
変形部312は、本体ハウジング22の左側壁340に設けられた一対のスリット313a,313bにより略矩形状に画成されている。一対のスリット313a,313bは、孔部311に連続するようにして設けられている。すなわち、変形部312は、一方の端部が本体ハウジング22の左側壁340に連続し、他方の端部が孔部311の形状の一部分を形成している。変形部312は、弾性変形が可能であり、本体ハウジング22の左右方向に沿って変形しやすい構成になっている。
【0126】
第二収容部320は、第二軸部36が収容される凹部321を有する。凹部321は、収容された第二軸部36が凹部321内において回動可能なように第二軸部36と同径あるいは第二軸部36よりも径が僅かに大きく形成されている。第二収容部320の凹部321は、例えば、第二軸部36を抜き差し可能な開口を有する略U字状に形成されている。
【0127】
規制部360は、板状に形成され、一対のスリット313a,313bの延伸方向と略同一の方向へ延びるように設けられている。規制部360は、第一収容部310と第二収容部320との間における第一収容部310に近い位置に設けられている。規制部360は、第一軸部35を収容可能な凹部361を有する。凹部361には、第一収容部310と同様に第一軸部35の嵌合対象軸部35bが収容される。凹部361は、収容された嵌合対象軸部35bが凹部361内において回動可能なように嵌合対象軸部35bと同径または嵌合対象軸部35bよりも径が僅かに大きく形成されている。規制部360の凹部361は、例えば、嵌合対象軸部35bを抜き差し可能な開口を有する略U字状に形成されている。嵌合対象軸部35bは、第一突出部33側に設けられたフランジ271が規制部360の内側(第二収容部320に近い側)に配置されるようにして凹部361に収容される。凹面鏡26が本体ハウジング22に収容された状態、すなわち、嵌合対象軸部35bが規制部360の凹部361に収容された状態において、嵌合対象軸部35bのフランジ271が規制部360に当接することで、凹面鏡26が第一収容部310側の方向(左方向)に移動するのを規制部360が規制する。
【0128】
凹面鏡26は、以下のようにして本体ハウジング22に取り付けられる。まず、作業者は、凹面鏡26の第二軸部36を本体ハウジング22の第二収容部320の凹部321に差し込むようにして第二軸部36を凹部321に収容する。続いて、作業者は、嵌合対象軸部35bのフランジ271が規制部360の内側に配置されるようにして嵌合対象軸部35bを規制部360の凹部361に収容していく。さらに、作業者は、嵌合対象軸部35bの先端部で本体ハウジング22の第一収容部310の変形部312を本体ハウジング22の外側(左方向)へ押して弾性変形させながら嵌合対象軸部35bの端部を第一収容部310の孔部311まで移動させる。嵌合対象軸部35bの端部を孔部311に移動させることで、本体ハウジング22の外側へ押し出されていた変形部312が元に戻って孔部311の形状の一部分を形成するように孔部311の前側に配置される。嵌合対象軸部35bは、その先端面272が孔部311から第一収容部310の外部に露出された状態で、孔部311に収容される。これにより、凹面鏡26は、本体ハウジング22に対して位置決めされた状態で本体ハウジング22内に収容されるとともに、回転軸Dを中心に回動可能となる。
【0129】
回転機構27は、凹面鏡26の第一軸部35の後側、すなわち、本体ハウジング22の左端後部に収容される。回転機構27の腕部251は、第一収容部310(左側壁340)と規制部360との間に配置される。回転機構27の駆動部252は、画像生成装置1024(PGU)が収容されるPGUハウジング部350の側部、具体的には、PGUハウジング部350の左側部に配置される。
【0130】
以上説明したように、第二実施形態に係る凹面鏡26は、回転軸Dを中心に回動可能であり、光を反射する反射膜32が形成される第一面261、第一端面263、及び第二端面264を有する板状の本体部31と、第一端面263から連続するようにして第一面261の裏面である第二面262側に向けて突出する板状の第一突出部33と、第二端面264から連続するようにして第二面262側に向けて突出する板状の第二突出部34と、を備えている。凹面鏡26は、さらに、回転軸Dを中心にして本体部31を回動させるために第一突出部33に設けられた第一軸部35と第二突出部34に設けられた第二軸部36と、を備えている。第一突出部33の先端は、回転軸Dに沿った方向において第一端面263とは異なる位置であって第一面261とは反対側に位置している。同様に、第二突出部34の先端は、回転軸Dに沿った方向において第二端面264とは異なる位置であって第一面261とは反対側に位置している。この構成によれば、本体部31の両端部から第二面262側に向けてそれぞれ突出する第一突出部33及び第二突出部34が本体部31から外側に傾斜する方向に延びているので凹面鏡26を金型成形にて作製しやすい。このため、サイズの大きい凹面鏡26を、金型を用いて一部品で成形することができる。よって、凹面鏡26の成形性を向上させることができる。さらに、本構成によれば、凹面鏡26を本体ハウジング22に取り付けたときに、本体部31と本体ハウジング22との間隔が外側に傾斜する第一突出部33及び第二突出部34によって十分に確保される。このため、凹面鏡26を回転させた場合でも本体部31が本体ハウジング22に直接に触れることがないので、本体部31の第一面261に形成される反射膜32が本体ハウジング22との接触で損傷することを防止することができる。
【0131】
また、第二実施形態の凹面鏡26において、第一面261は、凹面状に形成され、第一軸部35及び第二軸部36の回転軸Dが、凹面状の第一面261の裏面側の頂部Pに接するか、または頂部Pより表面側を通過するように、第一軸部35および第二軸部36が配置されている。このように、本体部31の湾曲率を大きくすることで、湾曲状の第一面261の表面積が、第一軸部35と第二軸部36との間の距離を本例と同一の距離とし且つ本体部を平面状にした場合の第一面の表面積よりも、大きくなる。これにより、凹面鏡26で反射した光の有効面積を大きくすることができる。
【0132】
また、第二実施形態の凹面鏡26において、第一軸部35の嵌合軸部35aは、外周面の一部が切り欠かれたD字状に形成されている。このため、嵌合軸部35aを回転機構27の嵌合対象である嵌合対象軸部35bに嵌合したときの嵌合軸部35aと嵌合対象軸部35bとの回転方向を容易に規制することができる。これにより、回転機構27によって凹面鏡26の嵌合軸部35aをスムーズに回転させることができ、凹面鏡26の位置及び角度を正確に調整することができる。
【0133】
また、第二実施形態の凹面鏡26において、第一突出部33の第一端面263と連続する第一連続面231、及び第二突出部34の第二端面264と連続する第二連続面241は、それぞれ、第一端面263及び第二端面264に近づくほど広がる裾広がり状に形成されている。具体的には、第一連続面231及び第二連続面241のそれぞれの両側の傾斜は、方向Cに対して15度以上の傾斜を有していることが好ましい。この構成によれば、凹面鏡26を成形する際の金型の抜き角度を確保することができる。また、第一端面263及び第二端面264と連続する第一突出部33及び第二突出部34の裾部分を広くすることで第一突出部33及び第二突出部34の強度を高めることができる。
【0134】
また、第二実施形態の凹面鏡26において、第一突出部33における第一端面263から立ち上がる部分及び第二突出部34における第二端面264から立ち上がる部分は、円弧状となるように形成されている。このため、凹面鏡26の成形時に、第一突出部33及び第二突出部34の立ち上り部分にバリが発生するのを抑制することができる。
【0135】
さらに、第二実施形態に係るHUD1020は、所定の画像を生成するための光を出射する画像生成装置1024(画像生成部の一例)と、画像生成装置1024により出射された光がウインドシールドへ照射されるように光を反射させる凹面鏡26(反射部の一例)と、画像生成装置1024及び凹面鏡26を収容する本体ハウジング22と、を備えている。凹面鏡26は、本体部31と、本体部31の一方の端部から外側へ突出する第一軸部35と、本体部31の他方の端部から外側へ突出する第二軸部36と、を有している。そして、第一軸部35及び第二軸部36がいずれも本体ハウジング22に取り付けられている。さらに、本体ハウジング22は、第一軸部35の端部を収容可能な第一収容部310を少なくとも有し、第一軸部35の当該端部の先端面372は、第一収容部310から外部に露出している。この構成によれば、凹面鏡26の第一軸部35及び第二軸部36を本体ハウジング22に直接取り付ける構成を採用しているため、部品点数の削減が可能となる。これにより、凹面鏡26を低コスト且つ簡便な構成でHUD1020に搭載することができる。
【0136】
また、HUD1020によれば、第一収容部310は、孔部311と、孔部311に連続して設けられた一対のスリット313a,313bにより画成されて弾性変形が可能な変形部312とを有する。そして、凹面鏡26は、第二収容部320へ第二軸部36が収容された状態で、嵌合対象軸部35bが変形部312を弾性変形させながら孔部311まで移動して孔部311内に収容されることで本体ハウジング22に取り付けられる。このため、変形部312を嵌合対象軸部35bの端部で押して弾性変形させるという簡単な作業で嵌合対象軸部35bを孔部311に収容できるとともに、孔部311に収容された嵌合対象軸部35bの外周の一部分を元の状態に戻った変形部312で囲むことができる。これにより、本体ハウジング22に収容された凹面鏡26を確実に位置決め固定できる。
【0137】
また、HUD1020によれば、本体ハウジング22は、凹面鏡26の所定の一方向に沿った移動を規制するための規制部360を有し、嵌合対象軸部35bは、その外周に突出するフランジ271を有する。そして、本体ハウジング22に凹面鏡26が収容されたときに、規制部360にフランジ271が当接することで凹面鏡26の一方向への移動が規制される。このため、凹面鏡26を本体ハウジング22に取り付けた際の凹面鏡26のがたつきを簡易な構成で抑制できる。
【0138】
また、HUD1020によれば、凹面鏡26を回転させるための回転機構27は、嵌合対象軸部35bと、嵌合対象軸部35bの半径方向に沿って嵌合対象軸部35bから延伸する腕部251と、腕部251の嵌合対象軸部35bとは反対側の端部に接続された駆動部252とから構成されている。これにより、凹面鏡26を回転させる駆動部252を、例えば、画像生成装置1024が収容されるPGUハウジング部350の側部に配置させることができる。このため、凹面鏡26を本体ハウジング22に取り付ける際に回転機構27が取り付け作業の邪魔にならず、凹面鏡26の取り付け作業性を向上できる。
【0139】
また、HUD1020によれば、第一軸部35の嵌合対象軸部35bは、本体部31とは別体の部品として設けられ、本体部31の端部に突出する第一軸部35の嵌合軸部35aに取り付け可能である。このため、嵌合対象軸部35bを本体部31から外した状態で本体部31の第一面261に反射膜32をアルミ蒸着でき、アルミ蒸着の際の作業性を向上できる。
【0140】
(第三実施形態)
以下、
図20~
図25を参照して、第三実施形態にかかる凹面鏡について説明する。
図20は、第三実施形態に係る凹面鏡326の斜視図である。
図20に示すように、凹面鏡326は、第一面331と、第一面331と反対側に位置する第二面332と、を有する基板330を備える。凹面鏡326は、基板330に加え、第一面331に形成され、画像生成装置24から出射された光を反射する反射膜333を備える。本実施形態において、第一面331及び反射膜333は基板330の後側に位置し、第二面332は基板330の前側に位置する。
【0141】
基板330は、凹面鏡326の形状を規定するための基体となる部材である。基板330は、例えばポリカーボネイトの樹脂を原料として、金型を用いて射出成形される。この成形された基板330の第一面331に対してアルミニウムなどの金属が蒸着されて、反射膜333が形成される。反射膜333は、画像生成装置24から出射される光を反射して、当該光をウインドシールド18に向けて照射されるように構成されている。なお、本実施形態において基板330の材料は樹脂であるが、ガラスでもよい。
【0142】
基板330の形状は、画像生成装置24から出射される光が基板330に入射する方向から見て、長方形状である。本実施形態において、基板330の一方(上側)の長辺を上端部334、他方(下側)の長辺を下端部335、一方(右側)の短辺を右端部336、他方(左側)の短辺を左端部337と定義する。基板330の外周全周は、これら上端部334、下端部335、右端部336、左端部337全てを含む。なお、反射膜333は基板330の各端部にも蒸着されてもよい。
【0143】
図21は、凹面鏡326の底面図である。
図21に示すように、凹面鏡326は基板330を保持するよう構成された一対のリブ338を備える。一方のリブ338は第二面332であって右端部336に、他方のリブ338は第二面332であって左端部337に設けられている。一対のリブ338により、基板330の強度が補強される。図示されていないが、凹面鏡326は一対のリブ338を介して本体ハウジング22に支持されていてもよい。
【0144】
基板330の下端部335には、基板330の射出成形の際の樹脂の注ぎ口であるゲート部339が設けられている。本実施形態において、ゲート部339は、左右方向において基板330の中央に位置する。本実施形態において一つのゲート部339が下端部335に設けられているが、上端部334に設けられてもよい。また上端部334及び下端部335のそれぞれにゲート部339が設けられてもよい。
【0145】
基板330の厚み方向において、ゲート部339の形状は、例えば左右方向に延伸された六角形状である。
図21に示すように、ゲート部339の六角形状は、第一ゲート面91と、第二ゲート面92と、第三ゲート面93と、第四ゲート面94と、第五ゲート面95と、第六ゲート面96とによって構成されている。第一ゲート面91は、第一面331から下方に延在する面である。第二ゲート面92は、第二面332から下方に延在する面である。第三ゲート面93は、第一ゲート面91から延在する面であって、六角形状の左上を規定する面である。第四ゲート面94は、第二ゲート面92から延在する面であって、六角形状の左下を規定する面である。第五ゲート面95は、第一ゲート面91から延在する面であって、六角形状の右上を規定する面である。第六ゲート面96は、第二ゲート面92から延在する面であって、六角形状の右下を規定する面である。
【0146】
ゲート部339の六角形状を規定する角度は、全て鈍角である。言い換えると、第一ゲート面91と第三ゲート面93の間の角度は、鈍角である。第二ゲート面92と第四ゲート面94の間の角度は、鈍角である。第一ゲート面91と第五ゲート面95の間の角度は、鈍角である。第二ゲート面92と第六ゲート面96の間の角度は、鈍角である。第三ゲート面93と第四ゲート面94の間の角度は、鈍角である。第五ゲート面95と第六ゲート面96の間の角度は、鈍角である。本開示において鈍角とは、90度よりも大きい角度である。ゲート部339の六角形状を規定する角度は、例えば120度である。
【0147】
ゲート部339の形状が六角形状であることで、ゲート部の形状が四角形状である場合と比較して、注ぎ口の角部分における樹脂の注入圧力が分散される。したがって、より均一に樹脂が注入される。さらに、ゲート部339の六角形状を規定する角度が鈍角であるため、当該角度が鋭角あるいは90度である場合と比べると、これら鈍角付近は成形時に冷却固化されにくく、成形収縮しやすい。したがって、これら鈍角付近は、鈍角以外の部分と比較して、成形収縮の差が生じにくく、成形時におけるゲート部339の歪みが抑制される。
【0148】
図22は、基板330の厚み方向における、
図21で示した凹面鏡326の下端部335の拡大断面図である。基板330は、成形される際にやや収縮する。
図22において、基板330が成形収縮しない場合、すなわち金型通りの大きさとなる場合の、仮想的な位置を
図22において破線で示す。第一面331及び第二面332は、成形収縮した後の基板330の後側面及び前側面である。
【0149】
図22に示すように、下端部335の少なくとも一部には、第一面331と第二面332の間に、第三面343及び第四面344とが設けられている。第三面343は、下端部335の最先端部341から第一面331に延在する面である。第四面344は、下端部335の最先端部341から第二面332に延在する面である。最先端部341は、基板330の厚み方向の中心C1上に位置している。第三面343及び第四面344は基板330の厚み方向の中心C1に対して線対称に形成されている。
【0150】
第三面343及び第四面344は、基板330の一つの長辺である下端部335に設けられているが、下端部335に加えて他の長辺である上端部334も形成されている。上端部334の端部形状は、下端部335の形状と同一であるため、説明は省略する。また、第三面343及び第四面344は、下端部335において、少なくともゲート部339以外の部分に形成されるが、ゲート部339にも形成されてもよい。
【0151】
第一面331と第三面343の間の角度θ1は、鈍角である。第二面332と第四面344の間の角度θ2は、鈍角である。第三面343と第四面344の間の角度θ3は、鈍角である。言い換えると、上端部334及び下端部335それぞれには、基板の厚み方向断面において、少なくとも三つの鈍角θ1、θ2、及びθ3が形成されている。
【0152】
次に、基板330の射出成形について説明する。
図23は、成形時の基板330の断面図を示す。
図23に示すように、基板330の樹脂50は、一対の金型61及び62のキャビティ内に注入される。一対の金型61及び62のパーティングラインPは、厚み方向の基板330の中心C1と一致する。
【0153】
図23において、一対の金型61及び62のキャビティ内に注入された樹脂50のうち、基板330の第一面331に対応する面を面51、第二面332に対応する面を52、第三面343に対応する面を面53、第四面344に対応する面を面54である。一対の金型61及び62は、面51と面53の間の角度θ1’、面52と面54の間の角度θ2’、及び面53と面54の間の角度θ3’が鈍角となるように形成されている。角度θ1’、θ2’、及びθ3’はそれぞれ鈍角θ1、θ2、及びθ3に対応する。角度θ1’、θ2’、及びθ3’の角度は例えばそれぞれ約120度である。
【0154】
樹脂50は、ゲート部339を通過して一対の金型61及び62のキャビティ内に注入された後、一対の金型61及び62を介して冷却される。樹脂50は一対の金型61及び62に接触している面から中心に向かって徐々に冷却される。このときの冷却固化の様子を、
図24に示す比較例とともに説明する。
【0155】
図24は、比較例として、基板の端部の角部分が鈍角ではなく90度に形成される場合の基板の断面図である。
図24に示すように、樹脂50は、一対の金型61’及び62’のキャビティ内に注入される。断面視において、注入された樹脂50のうち、隣り合う面同士の間の角度は90度である。角度が90度である場合、当該角度を構成する二つの面が金型に接触しているため、樹脂50は当該二つの面の両方から冷却される。その結果、角部分は、他の部分と比べると早く冷却されて固化しやすく、成形収縮しにくい。一方、他の部分は、二つの方向から冷却されることはないため、角部分と比べると緩やかに冷却されて固化しにくく、成形収縮しやすい。このため、角部分と他の部分との間に成形収縮の差が生じ、基板が歪むことがあった。角部分の角度が鋭角の場合は、角度が90度の場合と比較して、より冷却されやすいため、より成形収縮の差が生じやすい。
【0156】
これに対し、本実施形態では、基板330の端部の少なくとも一部に、基板330の厚み方向断面に少なくとも三つの鈍角θ1、θ2、及びθ3が形成されるように、基板330は成形される。例えば角度θ3’付近は、面53及び面54の両側から冷却されるが、角度θ3’は鈍角であるため、角度が90度の場合と比較すると、緩やかに冷却され、固化しにくい。同様にして角度θ1’付近は面51及び面53の両側から、角度θ2’は面52及び面54の両側から冷却されるが、角度が90度の場合と比較すると、緩やかに冷却されて、固化しにくい。その結果角度θ1’、θ2’、θ3’付近は、成形収縮しやすい。角度θ1’、θ2’、及びθ3’付近と、角度θ1’、θ2’、及びθ3’以外の部分とを比較しても、成形収縮の差が生じにくい。
【0157】
このように、第三実施形態によれば、基板330の下端部335に少なくとも三つの鈍角θ1、θ2、θ3を形成する面が生成されているため、角部分の角度が鋭角あるいは90度である場合と比べると、これら鈍角付近は冷却固化されにくい。したがって、成形時における基板330の歪みが抑制される。当該基板330を備え、且つ凹状の曲面を有する凹面鏡26は、基板330の歪みの影響を抑制しつつ、画像生成装置24から出射された光を反射することができる。当該凹面鏡26を備えたヘッドアップディスプレイ20では、表示される画像の歪みが抑制される。さらに下端部335に鈍角θ1、θ2、θ3を構成する第三面343及び第四面344が生成されているため、画像生成装置24から出射された光の一部は、これら第三面343及び第四面344で出射窓23とは異なる方向へ反射される。成形時の歪みが発生しやすい箇所の光が異なる方向へ反射されるため表示される画像の歪みがより抑制される。
【0158】
第三実施形態において、三つの鈍角θ1、θ2、θ3は、長方形状である基板330の各長辺に対応する上端部334及び下端部335それぞれに生成されている。したがって上端部334及び下端部335それぞれの歪みが抑制された基板330が成形され得る。
【0159】
また、仮に第三面343及び第四面344(三つの鈍角θ1、θ2、θ3)は線対称に形成されていない場合、一つの端面の断面視において、急に冷却される部分と、他方が緩やかに冷却される部分とが生じてしまい、成形時の歪みが生じることがある。しかしながら、本実施形態においては、厚み方向の基板330の中心に対して、第三面343及び第四面344(三つの鈍角θ1、θ2、θ3)は線対称に形成されている。したがって、基板330の樹脂50は、第三面343及び第四面344から均等に冷却され、成形時における基板330の歪みがより抑制される。
【0160】
なお、第三実施形態では、三つの鈍角θ1、θ2、θ3は、長方形状である基板330の各長辺に形成されているが、三つの鈍角θ1、θ2、θ3は基板330の外周全周に亘って形成されてもよい。すなわち、一対のリブ338が形成される右端部336及び左端部337にも形成されてもよい。三つの鈍角θ1、θ2、θ3が、外周全周に形成されることで、成形時の基板330の歪みがより抑制される。
【0161】
また、第三実施形態においては、三つの鈍角θ1、θ2、θ3が形成されているが、鈍角の数は三つに限定されない。
図25は、下端部335の変形例の拡大断面図を示す。
図25に示すように、本変形例においては、下端部335’には四つの鈍角θ4、θ5、θ6及びθ7が形成されている。具体的には、第一面331と第二面332の間には、第五面345、第六面346及び第七面347が設けられている。第五面345は、第一面331から第七面347に延在する面である。第六面346は、第二面332から第七面347に延在する面である。第七面347は、第五面345から第六面346に延在する面である。第五面345、第六面346及び第七面347は、基板330の厚み方向の中心C1に対して線対称に形成されている。第五面345、第六面346及び第七面347は、基板330の一つの長辺である下端部335’に設けられているが、下端部335’に加えて他の長辺である上端部334’も形成されている。さらに、第五面345、第六面346及び第七面347は、基板330の外周全周に亘って形成されてもよい。
【0162】
第一面331と第五面345の間の角度θ4は、鈍角である。第二面332と第六面346の間の角度θ5は、鈍角である。第五面345と第七面347の間の角度θ6は、鈍角である。第六面346と第七面347の間の角度θ7は、鈍角である。言い換えると、基板330の二つの長辺それぞれには、基板の厚み方向断面において、四つの鈍角θ4、θ5、θ6及びθ7が形成されている。金型の形状以外、当該変形例の射出成形の方法は、
図23の方法と同じであるため、説明は省略する。
【0163】
本変形例によれば、基板330の下端部335’に四つの鈍角θ4、θ5、θ6及びθ7が形成されているため、角部分の角度が鋭角あるいは90度である場合と比べると、これら鈍角付近は冷却固化されにくい。したがって、成形時における基板330の歪みが抑制される。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が上記実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。上記実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0165】
上記実施形態では、画像生成装置24,1024から出射された光は、凹面鏡26で反射されてウインドシールド18に照射されるように構成されているが、これに限られない。例えば、凹面鏡26で反射された光は、ウインドシールド18の内側に設けたコンバイナ(不図示)に照射されるようにしてもよい。コンバイナは、例えば、透明なプラスチックディスクで構成される。HUD本体部21の画像生成装置24,1024からコンバイナに照射された光の一部は、ウインドシールド18に光を照射した場合と同様に、乗員の視点Eに向けて反射される。
【0166】
また、上記実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0167】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0168】
上記の第二実施形態では、第一突出部33の先端及び第二突出部34の先端のいずれも、回転軸Dに沿った方向において第一端面263及び第二端面264よりも外側にそれぞれ位置しているが、この例に限られない。第一突出部33の先端が、回転軸Dに沿った方向において第一端面263よりも外側に位置しており、第二突出部34の先端が回転軸Dに沿った方向において第二端面264と同じ位置に位置していてもよい。あるいは、その逆の構成であってもよい。この構成においても、金型の抜き角度を確保できるため、凹面鏡26の成形性を維持しつつ本体部31の大型化を実現することができる。
【0169】
また、上記の第二実施形態では、凹面鏡26の第一軸部35と第二軸部36を本体ハウジング22の第一収容部310と第二収容部320にそれぞれ直接的に取り付けているが、これに限られない。例えば、凹面鏡26の第二軸部36側には、凹面鏡26とは別部材として構成される取付部材を設け、当該取付部材を介して凹面鏡26を本体ハウジング22に間接的に取り付けるようにしてもよい。このように、第一軸部35及び第二軸部36の少なくとも一方が本体ハウジング22に直接取り付けられる構成であれば、部品点数の削減の効果が見込まれる。
【0170】
本出願は、2020年3月26日出願の日本特許出願2020-55742号、2020年3月26日出願の日本特許出願2020-55743号、2020年4月24日出願の日本特許出願2020-77611号、2020年4月24日出願の日本特許出願2020-77612号、及び2020年5月20日出願の日本特許出願2020-88272号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。