(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】病気の治療又は予防において使用するための剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/30 20060101AFI20250127BHJP
A61K 31/18 20060101ALI20250127BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20250127BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250127BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20250127BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250127BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250127BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250127BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20250127BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20250127BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20250127BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20250127BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250127BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250127BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20250127BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20250127BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250127BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20250127BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20250127BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250127BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20250127BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20250127BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20250127BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250127BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250127BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20250127BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20250127BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20250127BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
A61K9/30
A61K31/18
A61K31/4439
A61K45/00
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P1/04
A61P1/10
A61P1/18
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/06
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P19/02
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/34
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/18
A61P33/06
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2022535764
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2020075961
(87)【国際公開番号】W WO2021115649
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】201941051211
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】プリヤンカ ハクサール
(72)【発明者】
【氏名】シュラッダ ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】ウメーシュ カパレ
(72)【発明者】
【氏名】ニーラム バランベ
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ グハ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ ヤイン
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-294831(JP,A)
【文献】特表2009-519334(JP,A)
【文献】特表2000-514051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0098232(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102626398(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 47/00-47/69
A61K 45/00
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物又はヒトの身体における病気の治療又は予防において使用するための、生物学的有効成分を含む
医薬製剤であって
、
a)生物学的有効成分を含むコア、
b)アルカリ剤を含む、コア上に又はその上にある中間コーティング層(ICL)、
ここで、アルカリ剤は、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、及び
c)腸溶性ポリマーを含む、中間コーティング層上に又はその上にある腸溶性コーティング層(ECL)、
ここで、腸溶性ポリマーは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、アニオン性セルロース、アニオン性多糖及びポリ酢酸ビニルフタレート又はそれらの任意の混合物から選択される、
を含み、その際、アルカリ剤と腸溶性ポリマーとの関係が、次の式:
【数1】
で計算して5~95%であり、かつ
中間コーティング層(ICL)が、
22~250μmの厚さを有し、生物学的有効成分の放出が、120分間pH1.2で10%以下、及び45分間pH3~5.5の範囲内で50%以上である、前記医薬製剤。
【請求項2】
病気と病気の治療又は予防のための生物学的有効成分の分類が、胃腸洗浄と下剤、炎症性腸疾患とコルチコステロイド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症とスタチン、CHFとグリコシド、不整脈とキニジンの立体異性体、癌と植物アルカロイド、潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)とプロトンポンプ阻害剤、細菌感染症と抗生物質、HIVとヌクレオシド、膵臓機能不全とリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)又は禁煙とノルエピネフリン/ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)の補助、痛み又は炎症とNSAID、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎とNSAID、パーキンソン病とドーパミン前駆体、マラリアと抗マラリア薬、高血圧とベータ遮断薬、糖尿病とビグアニド、浮腫又は慢性腎不全と安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心室駆出率≦40%の高血圧を伴う心筋梗塞後の左心室機能不全とベータアドレナリン受容体遮断薬、全身性真菌感染症と抗真菌剤、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症とフィブラート抗脂質血症、心不全と鉱質コルチコイドホルモン、癌とアントラサイクリン系抗生物質、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防とカルシウムチャネル遮断薬、心房細動とベータ遮断薬から選択される、請求項
1に記載の
医薬製剤。
【請求項3】
病気と病気の治療又は予防に関連する生物学的有効成分が、胃腸洗浄とビサコジル、炎症性腸疾患とブデソニド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症とフルバスタチン、CHFとジゴキシン、不整脈とキニジン、癌とエトポシド、潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール又はラベプラゾール、細菌感染症とエリスロマイシン、ペニシリンG、アンピシリン、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン又はアジスロマイシン、HIVとジデオキシイノシン(ddI又はジダノシン)、ジデオキシアデノシン(ddA)又はジデオキシシトシン(ddC)、膵臓機能不全とリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)、又は禁煙とブプロピオン、痛みと炎症の補助、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎とアセチルサリチル酸(アスピリン(登録商標))、ジクロフェナク又はインドメタシン、パーキンソン病とレボドパ、マラリアとヒドロキシクロロキン硫酸塩、高血圧とアテノロール、糖尿病と塩酸メトホルミン、浮腫又は慢性腎不全と安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心室駆出率≦40%の高血圧を伴う心筋梗塞後の左心室機能不全とフロセミド、全身性真菌感染症とケトコナゾール、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症とフェノフィブラート、心不全とアルドステロン、癌とドキソルビシン、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防とベラパミル、並びに心房細動とソタロールから選択される、請求項1
または2に記載の
医薬製剤。
【請求項4】
病気が心房細動であり、かつ病気を治療又は予防するための生物学的有効成分がソタロールである、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項5】
病気が潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)であり、かつ生物学的有効成分がパントプラゾールである、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項6】
コアが、マトリックス構造中で分布されているか又は内側コア上のコーティング中のバインダーに結合されている、生物学的有効成分を含む、請求項1から
5までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項7】
アルカリ剤が、炭酸マグネシウム又は酸化マグネシウムである、請求項1から
6までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項8】
中間コーティング層が、可塑剤及び/又はポリマー結合剤をさらに含む、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項9】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーが、メタクリル酸及びエチルアクリレートの、メタクリル酸及びメチルアクリレートの、並びにメタクリル酸、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートの重合単位を含むコポリマー、又はそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から
8までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項10】
アニオン性セルロースが、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から
9までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【請求項11】
腸溶性ポリマーに対するアルカリ剤の関係が、7~80%である、請求項1から
10までのいずれか1項に記載の
医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物又はヒトの身体における病気の治療又は予防において使用するための、生物学的有効成分を含む、剤形の分野に、特に医薬品及び栄養補助食品の分野にある。
【0002】
背景技術
米国特許第4,786,505号明細書は、(a)オメプラゾールとアルカリ性反応化合物、アルカリ性オメプラゾール塩とアルカリ性化合物、及びアルカリ性オメプラゾール塩のみの群から選択される有効量の材料を含むコア領域、(b)前記コア上に配置した水中で可溶な又は急速に崩壊する不活性サブコーティングであって、錠剤賦形剤及び高分子フィルム形成化合物の中から選択される材料の1つ以上の層を含む不活性サブコーティング、及び(c)腸溶性コーティングを含む前記サブコーティング上に配置した外層を含む経口医薬製剤を記載している。サブコーティング層は、pH緩衝域としても機能する。サブコーティング層のpH緩衝特性は、制酸剤配合物において通常使用される化合物、例えば、マグネシウムの酸化物、水酸化物又は炭酸塩、アルミニウムもしくはカルシウムの水酸化物、炭酸塩又はケイ酸塩、複合アルミニウム/マグネシウム化合物、例えば[Al2O3.6MgO.CO2.12H2O又はMgO.AlO3.2SiO2.n-H2O](式中、nは整数ではなく、2未満である)の群から選択される物質を導入することによってさらに強化されうる。米国特許第4,786,505号明細書の目的は、酸性の媒体中での溶解に耐性があり、かつ中性からアルカリ性の媒体中で急速に溶解し、かつ長期保存中に良好な安定性を有する、腸溶性コーティングしたオメプラゾールの剤形を提供することである。米国特許第4,786,505号の実施例1及び6において、腸溶性コーティング層におけるアルカリ剤及び腸溶性ポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)の質量に対して計算した、サブコーティング層中のアルカリ性物質(酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム)のパーセンテージは、それぞれ約4.1又は6.6質量%である。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0214371号明細書は、a)酸に不安定な薬物を有する内核、b)アルカリ安定剤及び酸に不安定な薬物を含まない第1の中間コーティング、c)アルカリ安定剤を含む第2の中間コーティング、及びd)酸に不安定な薬物がpH3で分解しうる外側腸内層を含む、酸に不安定な薬物の安定した組成物を記載している。「酸に不安定な薬物」という用語は、pH3で分解する任意の薬物又は医薬品又は医薬品有効成分(API)をいう。「酸に不安定な薬物」の例は、製剤学的に活性のある置換ベンズイミダゾール化合物、スタチン(例えば、プラバスタチン、フルバスタチン及びアトルバスタチン)、抗生物質(例えば、ペニシリンG、アンピシリン、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン及びアジスロマイシン)、ジデオキシシトシン(ddC)、ジゴキシン、パンクレアチン、ブプロピオン、及びそれらの製剤学的に認容性の塩、例えばブプリオンHClを含む。「製剤学的に活性のある置換したベンズイミダゾール化合物」という用語は、任意の製剤学的に活性のある置換した2-(2-ピリジルメチル)-スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール化合物(例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、プレプラゾール、パリプラゾール、ラベプラゾール及びテナトプラゾール)並びに製剤学的に活性のある置換した2-(フェニルメチル)-スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール化合物(例えば、レミノプラゾール)をいう。米国特許出願第2005/0214371号明細書は、低いpH値での酸に不安定な薬物の予期しない放出について言及又は示唆していない。
【0004】
米国特許出願第2005/0214371号明細書は、病気で苦しめられている被験者、好ましくは治療を必要としている被験者に対する該発明の安定な医薬組成物の有効量を含む、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍、重度のびらん性食道炎、Zolinger-Elison症候群、胃食道逆流、及びピロリ菌感染症から選択される疾患を治療する方法を提供し、その際、安定な医薬組成物における酸に不安定な薬物は、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、パリプラゾール、プレプラゾール、テナトプラゾール、レミノプラゾール、及びそれらの認容性の塩から選択される。
【0005】
IPCOM000009757D(IP.com Prior Art Database Technical Disclosure IP.com Number IPCOM000009757D,IP.com electronic publication date September 17,2002,Authorsら:Disclosed Anonymously)は、「Stabilized Pharmaceutical Formulation of an Acid labile Benzimidazole Compound and its Preparation(酸に不安定なベンズイミダゾール化合物の安定化した配合物及びその調製)」を記載している。一般的な開示IPCOM000009757Dは、「b)アルカリ安定剤及び酸に不安定な薬物を欠く最初の中間コーティング」が言及されていないことを除いて、米国特許出願第2005/0214371号明細書の開示と非常に類似している。IPCOM000009757Dは、含まれている医薬品有効成分の予期しない早期放出につい言及していない。
【0006】
米国特許第7,932,258号明細書は、低減したpH値で有効物質を放出する医薬剤形を製造するためのコーティングとしての部分的に中和した(メタ)アクリレートコポリマーの使用を記載している。
【0007】
国際公開2008/135090号は、部分的に中和したアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー又は水溶性中性ポリマーをC2~C16カルボン酸との組合せで含む内側コーティング、及び内側コーティングの材料よりも中和されていないか又はまったく中和されていないアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む外側コーティングを含んでよい、2つの個々のコーティングを含む剤形を記載している。意図した効果は、in vivoで固形剤形がその有効物質を「より早く」、すなわち早くも腸の入口で放出することである。ここでの「より早い」という用語は、該発明による固体剤形が、腸の通常のpHと比較してすでに低いpH値で、すなわち、固体剤形が、低いpHを有する胃から、胃と比較してより高いpHを有するが腸のより遠位の部位の場合ほど高くはない腸の入口に移される場合に(例えばpH5.6)、有効物質を放出し始めることを意味する。pH5.6で有効成分の放出をほとんど示さない、標準のEUDRAGIT(登録商標)L100-55コーティングと比較して、二重コーティングシステムは、45分で同一のpHで有効成分の約30%を放出する。
【0008】
発明の要約
米国特許第4,786,505号明細書、米国特許出願第2005/0214371号明細書及びIPCOM000009757Dは、酸に不安定な物質、例えば置換したベンズイミダゾール化合物、特にオメプラゾール又はパントプラゾール物質ファミリーについて安定した医薬組成物を提供する。貯蔵条件の間のpH安定性を提供するために、緩衝アルカリ性物質が、中間コーティング層に含まれる。外側の腸溶性コーティング層は、前記物質を胃酸との接触から保護しなければならない。米国特許第4,786,505号明細書、米国特許出願第2005/0214371号明細書及びIPCOM000009757Dは、胃通過後に存在するpH値での生物学的有効成分の放出についてのデータはない。これは、選択した物質の酸に不安定な特性に向けられた教示によって推論されてよく、既に3~5.5のpH値で放出を試みることはあまり意味がない。
【0009】
国際公開2008/135090号は、部分的に中和したアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー又は水溶性中性ポリマーをC2~C16カルボン酸との組合せで含む内側コーティング、及び内側コーティングの材料よりも中和されていないか又はまったく中和されていないアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む外側コーティングを含んでよい、2つの個々のコーティングを含む剤形を記載している。意図した効果は、in vivoで固形剤形がその有効物質を「より早く」、すなわち早くも腸の入口で放出することである。効果は、約pH5.6以下のpH値に限定されているように思われる。
【0010】
米国特許第7,932,258号明細書は、低減したpH値で有効物質を放出する医薬剤形を製造するためのコーティングとしての部分的に中和した(メタ)アクリレートコポリマーの使用を記載している。しかしながら、実際は、単一コーティングシステムの報告された効果は、組成物を最初に酸性媒体pH1.2で2時間試験し、次に3~5.5の低pHを有する媒体で試験する場合に軽減されるように思われる。
【0011】
動物又はヒトの身体における病気の治療又は予防において使用するための剤形が必要であり、その治療又は予防は、3~5.5のpH範囲内の小腸における生物学的有効成分の60%以上の放出が必要である。本発明の目的は、請求したように解決される。
【0012】
詳細な説明
剤形
本発明は、動物又はヒトの身体における病気の治療又は予防において使用するための生物学的有効成分を含む剤形に関し、その治療又は予防は、3~5.5のpH範囲内の小腸における生物学的有効成分の50%以上の放出を提供し、剤形は、
a)生物学的有効成分を含むコア、
b)アルカリ剤を含む、コア上に又はその上にある中間コーティング層(ICL)、及び
c)腸溶性ポリマーを含む、中間コーティング層上に又はその上にある腸溶性コーティング層(ECL)
を含み、その際、剤形中のアルカリ剤と腸溶性ポリマーとの関係は、次の式:
【数1】
で計算して5~95%であり、かつ
中間コーティング層(ICL)が、約22μm以上の厚さを有する。
【0013】
剤形は、通常、コアの形を有しうるが、開示されているように、中間コーティング層及び腸溶コーティング層でさらにコーティングされており、例えば(コーティングされた)ペレット(コア)の形である。さらに、いくつかの単一剤形は、複数単位剤形の一部として複数に含まれてよく、例えば、複数の本発明の剤形が、例えば、(コーティングされた)ペレット(コア)の形で含まれるカプセル又は錠剤に含まれてよい。
【0014】
剤形は、例えば、錠剤、ミニ錠剤、ペレット、ピル、顆粒、サシェ又はカプセルの形を有してよい。剤形は、好ましくは複数単位、例えば、錠剤、サシェ、又はカプセルに含まれてもよい。
【0015】
生物学的有効成分の放出
好ましくは、生物学的有効成分の放出は、120分間pH1.2で10%以下、及び45分間pH3~5.5で、好ましくはpH3.2で50%以上(50~100%)、好ましくは60~100%である。pH1.2の試験媒体は、USP、例えばUSP42による0.1N HClであってよく、pH3~5.5の媒体は、USP、例えばUSP42(2019)による緩衝媒体であってよい。
【0016】
コア
剤形のコアは、生物学的有効成分を含む。
【0017】
剤形のコアは、マトリックス構造で分布されているか、又は内部コア構造上のコーティング中のバインダーに結合されているか、又はカプセルに封入されている、生物学的有効成分を含んでよい。
【0018】
コアは、顆粒化、押し出し、球形化又はホットメルト押し出しのような方法によって調製されうる。
【0019】
コアは、ペレット、ピル、顆粒、錠剤又はカプセルであってよい。コアは、有効成分を含有する錠剤、ペレットを含有する圧縮錠剤、ミニ錠剤又はカプセルであってよく、これらは、有効成分を含有するペレット又は顆粒で、薬剤の溶液又は分散液で、ミニ錠剤又は粉末で、又はそれらの組み合わせで満たされてよい。
【0020】
コアは、例えば、コーティングされていないペレット、中性キャリヤーペレット、例えば、糖球又は非パレイル(non-pareilles)を含んでよく、その上に、生物学的有効成分が、バインダー、例えばラクトース、ポリビニルピロリドン又は中性セルロース誘導体、例えばHPC又はHPMCに結合される。生物学的有効成分を有するバインダーコーティング層は、本明細書においてコアの一部と見なされる。コアのバインダーコーティング層は、中間コーティング層及び腸溶性コーティング層とは対照的に、生物学的有効成分の制御された放出にたいして本質的に影響を及ぼさない。コアは、結晶化させた生物学的有効成分からなるコーティングされていないペレットを含んでもよい。
【0021】
コアは、生物学的有効成分の0.1~100質量%、1~100質量%、2~90質量%、5~85質量%、10~70質量%、15~50質量%を含んでよい。コアは、製剤学的に又は栄養補助食品の認容性の賦形剤の0~99質量%、10~98質量%、15~95質量%、30~90質量%又は50~85質量%を含んでよい。生物学的有効成分及び医薬品又は栄養補助食品の認容性の賦形剤は、合計で100%であってよい。
【0022】
病気及び生物学的有効成分
生物学的有効成分は、生物学的に有効な医薬成分及び生物学的に有効な栄養補助食品成分を含んでよい。
【0023】
病気及び病気の治療又は予防に関連する生物学的有効の分類は、胃腸洗浄及び下剤、炎症性腸疾患及びコルチコステロイド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症及びスタチン、CHF及びグリコシド、不整脈及びキニジンの立体異性体、癌及び植物アルカロイド、潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)及びプロトンポンプ阻害剤、細菌感染症及び抗生物質、HIV及びヌクレオシド、膵臓機能不全及びリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)又は禁煙及びノルエピネフリン/ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)の補助、痛み及び炎症及びNSAID、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎及びNSAID、パーキンソン病及びドーパミン前駆体、マラリア及び抗マラリア薬、高血圧及びベータ遮断薬、糖尿病及びビグアニド、浮腫又は慢性腎不全、及び安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心筋梗塞後の左心室機能不全、心室駆出率≦40%の高血圧、ベータアドレナリン受容体遮断薬、全身性真菌感染症及び抗真菌剤、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症及びフィブラート抗脂質血症、心不全及び鉱質コルチコイドホルモン、癌及びアントラサイクリン系抗生物質、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防及びカルシウムチャネル遮断薬、心房細動及びベータ遮断薬から選択されてよい。
【0024】
病気及び病気の治療又は予防に関連する生物学的有効成分は、胃腸洗浄及びビサコジル、炎症性腸疾患及びブデソニド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症及びフルバスタチン、CHF及びジゴキシン、不整脈及びキニジン、癌及びエトポシド、潰瘍及び胃食道逆流症(GERD)、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール又はラベプラゾール、細菌感染症及びエリスロマイシン、ペニシリンG、アンピシリン、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン又はアジスロマイシン、HIV及びジデオキシイノシン(ddI又はジダノシン)、ジデオキシアデノシン(ddA)又はジデオキシシトシン(ddC)、膵臓機能不全及びリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)、又は禁煙及びブプロピオン、痛み及び炎症の補助、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎及びアセチルサリチル酸(アスピリン(登録商標))、ジクロフェナク又はインドメタシン、パーキンソン病及びレボドパ、マラリア及びヒドロキシクロロキン硫酸塩、高血圧及びアテノロール、糖尿病及び塩酸メトホルミン、浮腫又は慢性腎不全、及び安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心筋梗塞後の左心室機能不全、心室駆出率≦40%の高血圧及びフロセミド、全身性真菌感染症及びケトコナゾール、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症及びフェノフィブラート、心不全及びアルドステロン、癌及びドキソルビシン、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防及びベラパミル、並びに心房細動及びソタロールから選択されてよい。
【0025】
好ましくは、病気は心房細動であってよく、かつ治療又は予防に関連する生物学的有効成分はソタロールである。
【0026】
好ましくは、病気は、潰瘍及び胃食道逆流症(GERD)であってよく、かつ治療又は予防に関連する生物学的有効成分はパントプラゾールである。
【0027】
本出願によるさらなる生物学的有効成分は、バイオテクノロジー由来の生成物又は微生物学的に由来する生成物であってよく、例えば、酵素、ホルモン、液体又は固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、mRNA、siRNA、Protac(標的タンパク質分解キメラ)、ペプチドホルモン、治療用細菌、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ペプチド、タンパク質、泌尿器科薬、オメガ-3-脂肪酸、アントシアニジンから、例えば、抗酸化物質、ビタミン及びワクチンとしてのビルベリー、ブルーベリー又はブラックカラントから選択されてよい。
【0028】
中間コーティング層
中間コーティング層(ICL)は、内側のコア上又はその上にあり、アルカリ剤を含んでいる。中間コーティング層は、5~75質量%、好ましくは10~50質量%のアルカリ剤を含んでよい。中間層は、25~95質量%、好ましくは90~50質量%の、さらに製剤学的又は栄養学的に認容性の賦形剤、例えばポリマー結合剤、例えば中性水溶性セルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)又はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はポリビニルピロリドン(PVP)、又は可塑剤又は粘着防止剤又はそれらの組み合わせを含んでよい。ポリマー結合剤は、中性又はアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーであってもよく、後者は、任意に部分的又は完全に中和されてよい。好ましくは、中間層は、間に他のコーティング層がない状態でコア上にある。中間コーティング層(ICL)は、コアの質量に対して算出して、5~100質量%、好ましくは7.5~50質量%の量で存在する。中間コーティング層(ICL)の厚さは、約22μm以上、特に22~250μm、好ましくは25~100μm(平均)である。
【0029】
中間コーティング層(ICL)の厚さの測定
中間コーティング層(ICL)の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)調査によって測定される。厚さは、ランダム試料の測定値の平均値(μm)として表される。走査型電子顕微鏡(SEM)調査は、95%の統計的信頼水準、Z値1.96、許容誤差e0.1、偏差の標準0.5で剤形のバッチ生産から選択された単位のランダム試料((最小)試料サイズ)の視覚的中間コーティング層(ICL)の厚さの測定に基づく。中間コーティング層(ICL)が、剤形を2つのほぼ等しい部分に分離(分割又は切断)し、その厚さwpSEM視点で測定できる場合に、断面図でSEM表示になる。剤形の製造バッチサイズN(製造ロット)が1.000単位を超える場合に、100単位のランダム試料の測定で通常は十分である。走査型電子顕微鏡(SEM)によるコーティングした剤形の層の厚さの測定及び適用した統計的方法は、薬学の分野の当業者に周知されている。
【0030】
試料数の計算式:
【数2】
N =バッチサイズ
e =許容誤差
z =信頼水準を表すZ値
p =標準偏差
【数3】
【0031】
例C3についての計算
N =457,200[単位]
e =0.1
z =1.96
p =0.5
【数4】
【0032】
分析方法
SEM装置の設定
メーカー:Thermo Fisher Scientific
モデル:FEI Quanta 200
圧力:65パスカルの低真空モード
倍率:各種
電圧(HV)は20KVに保った
使用した検出器はLarge Field Detector(LFD)であった。
【0033】
SEM法の説明:
試料を、コーティングされた用量単位のバッチ、すなわちペレット又は錠剤からランダムに採取する。採取した試料を、典型的に2つの等しいサイズの用量単位の半分に分割した。分割した部分を、試料取り付けディスク上で直立した位置に固定した。試料を、線量単位の寸法に対応する適切な倍率で調査する。層の厚さを、基板に対して90°の角度で決定する。単一の値を記録し、平均及び標準偏差を計算する。代表的なバッチ生産の標準偏差は、平均値の±20%を超えてはならない。
【0034】
アルカリ剤
アルカリ剤は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であってよい。アルカリ剤は、例えば、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム、又はそれらの任意の混合物から選択されてよい。好ましいアルカリ剤は、酸化マグネシウム又は炭酸マグネシウムである。腸溶性コーティング層(ECL)における腸溶性ポリマーに対する中間コーティング層(ICL)におけるアルカリ剤の関係は、式:
【数5】
で算出した場合に、5~95、好ましくは7~80%である。
【0035】
可塑剤
可塑剤は、ポリマーとの物理的相互作用を介して、添加量に応じて、ガラス転移温度における低下を達成してフィルム形成を促進することで定義されうる。適した物質は、通常、100~20,000の分子量を有し、かつ分子内に1つ以上の親水性基、例えばヒドロキシエステル又はアミノ基を含む。
【0036】
中間コーティング層又は腸溶性コーティング層は、クエン酸アルキル、グリセロールエステル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、スクロースエステル、ソルビタンエステル及びポリエチレングリコールの群から選択されてよい可塑剤を含んでよい。中間コーティング層は、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジブチル(DBS)、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200~12000、及びヒマシ油から選択されてよい、好ましくは約2~50質量%、好ましくは5~25質量%の可塑剤を含んでよい。中間コーティング層について好ましい可塑剤は、グリセリン又はクエン酸トリエチルであってよい。腸溶性コーティング層について好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチルであってよい。
【0037】
腸溶性コーティング層
腸溶性コーティング層は、腸溶性ポリマー及び任意に製剤学的又は栄養学的に認容性の賦形剤を含む中間コーティング層の上又はその上にある。腸溶性コーティング層は、10~100質量%、好ましくは20~80質量%の腸溶性ポリマーを含んでよい。腸溶性コーティング層は、製剤学的又は栄養学的に認容性の賦形剤、例えば可塑剤の90~0質量%、好ましくは80~20質量%を含んでよい。好ましくは、腸溶性コーティング層は、間に他のコーティング層がない中間コーティング層上にある。腸溶性コーティング層は、コア及び中間層の質量に対して算出して、5~50質量%の量で存在してよい。
【0038】
腸溶性ポリマー
中間コーティング層の上又はその上のさらなるコーティング層における腸溶性ポリマーは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、アニオン性セルロース、アニオン性多糖及びポリ酢酸ビニルフタレート又はそれらの任意の混合物から選択されてよい。腸溶性コーティング層は、コア及び中間層の質量に対して算出して、10~50質量%の量で存在してよい。
【0039】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー
腸溶性コーティング層は、メタクリル酸及びエチルアクリレートの、メタクリル酸及びメチルメタクリレートの、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートの、又はメタクリル酸、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートの重合単位を含むコポリマーから、メタクリル酸及びエチルアクリレートの重合単位を含むコポリマーとメチルメタクリレート及びエチルアクリレートの重合単位を含むコポリマーとの混合物、並びにメタクリル酸、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートの重合単位を含むコポリマーとメチルメタクリレート及びエチルアクリレートの重合単位を有するコポリマーとの混合物、並びにそれらの任意の混合物から選択される(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0040】
コーティング層は、メタクリル酸40~60質量%及びエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい(EUDRAGIT(登録商標)L100-55のタイプ)。適した第二のポリマーは、メタクリル酸50質量%及びエチルアクリレート50質量%の重合単位を含むコポリマーである、EUDRAGIT(登録商標)L100-55(Evonik Nutrition&Care GmbH、Darmstadt、Germany)である。EUDRAGIT(登録商標)L30 D-55は、EUDRAGIT(登録商標)L100-55の30質量%水性分散液である。EUDRAGIT(登録商標)L 100-55のガラス転移温度Tgmは約110℃である。
【0041】
コーティング層は、メタクリル酸5~15質量%、メチルアクリレート60~70質量%及びメチルメタクリレート20~30質量%の重合単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい(EUDRAGIT(登録商標)FSのタイプ)。適したコポリマーは、メチルメタクリレート25質量%、メチルアクリレート65質量%及びメタクリル酸10質量%を重合させたコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)FSである。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30質量%EUDRAGIT(登録商標)FSを含む。EUDRAGIT(登録商標)FSのガラス転移温度Tgmは約45℃である。
【0042】
コーティング層は、メタクリル酸40~60質量%及びメチルメタクリレート60~40質量%の重合単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい(EUDRAGIT(登録商標)L100のタイプ)。EUDRAGIT(登録商標)L100は、メチルメタクリレート50質量%及びメタクリル酸50質量%を重合させたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L 100のガラス転移温度Tgmは約150℃又はそれ以上である。
【0043】
コーティング層は、メタクリル酸20~40質量%及びメチルメタクリレート60~80質量%の重合単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい(EUDRAGIT(登録商標)S100のタイプ)。EUDRAGIT(登録商標)S100は、メチルメタクリレート70質量%及びメタクリル酸30質量%を重合させたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)S100のガラス転移温度Tgmは約160℃又はそれ以上である。
【0044】
コーティング層は、2つの(メタ)アクリレートコポリマーからのコアシェルポリマーの形でのアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーも含んでもよい。コーティング層は、エチルアクリレート60~80質量%、好ましくは65~75質量%及びメチルメタクリレート40~20質量%、好ましくは35~25質量%の重合単位を含むコア50~90質量%、好ましくは70~80質量%と、エチルアクリレート40~60質量%、好ましくは45~55質量%及びメタクリル酸60~40質量%、好ましくは55~45質量%の重合単位を含むシェル50~10質量%、好ましくは30~20質量%とを含む、コアシェルポリマーである、(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0045】
適したコアシェルポリマーは、エチルアクリレート約70質量%及びメチルメタクリレート30質量%の重合単位を含むコア約75質量%と、エチルアクリレート50質量%及びメタクリル酸50質量%の重合単位を含むシェル約25質量%とを有する、2段階の乳化重合プロセスからのコポリマーの市販の30質量%水性分散液である、EUDRAGIT(登録商標)FL 30 D-55(Evonik Nutrition&Care GmbH、Darmstadt、Germany)である。EUDRAGIT(登録商標)FL 30 D-55のポリマーのガラス転移温度Tgmは約8℃である。
【0046】
アニオン性セルロース
アニオン性セルロース(化学改質セルロース)は、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はそれらの任意の混合物から選択されてよい。
【0047】
アニオン性多糖
腸溶性を有するアニオン性多糖(セルロースに基づかない)は、ポリマー、例えばシェラック、キトサン、アルギン酸及びアルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムから選択されてよい。
【0048】
製剤学的に又は栄養補助食品として認容性の賦形剤
中間層又は腸溶性コーティング層におけるコアは、任意に、製剤学的に又は栄養補助食品として認容性の賦形剤を含んでよい。かかる製剤学的に又は栄養補助食品として認容性の賦形剤は、酸化防止剤、光沢剤、結合剤、例えばラクトース、ポリビニルピロリドンもしくは中性セルロース、フレーバー付与剤、流動助剤、流動化剤(glidant)、浸透促進剤、顔料、可塑剤、さらなるポリマー、増孔剤及び安定剤、又はそれらの任意の組み合わせから選択されてよい。
【0049】
項目
本発明は、以下の項目により特徴付けられてよい。
【0050】
1. 動物又はヒトの身体における病気の治療又は予防において使用するための生物学的有効成分を含む剤形であって、その治療又は予防が、3から5.5までのpH範囲内の小腸における生物学的有効成分の50%以上の放出を必要とし、剤形が、
a)生物学的有効成分を含むコア、
b)アルカリ剤を含む、コア上に又はその上にある中間コーティング層(ICL)、及び
c)腸溶性ポリマーを含む、中間コーティング層上に又はその上にある腸溶性コーティング層(ECL)
を含み、その際、アルカリ剤と腸溶性ポリマーとの関係が、次の式:
【数6】
で計算して5~95%であり、かつ
中間コーティング層(ICL)が、約22μm以上の厚さを有する、前記剤形。
【0051】
2. 生物学的有効成分の放出が、120分間pH1.2で10%以下、及び45分間pH3~5.5の範囲内で50%以上である、項目1に記載の剤形。
【0052】
3. 病気及び病気の治療又は予防のための生物学的有効の分類が、胃腸洗浄及び下剤、炎症性腸疾患及びコルチコステロイド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症及びスタチン、CHF及びグリコシド、不整脈及びキニジンの立体異性体、癌及び植物アルカロイド、潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)及びプロトンポンプ阻害剤、細菌感染症及び抗生物質、HIV及びヌクレオシド、膵臓機能不全及びリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)又は禁煙及びノルエピネフリン/ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)の補助、痛み又は炎症及びNSAID、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎及びNSAID、パーキンソン病及びドーパミン前駆体、マラリア及び抗マラリア薬、高血圧及びベータ遮断薬、糖尿病及びビグアニド、浮腫又は慢性腎不全、及び安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心筋梗塞後の左心室機能不全、心室駆出率≦40%の高血圧、ベータアドレナリン受容体遮断薬、全身性真菌感染症及び抗真菌剤、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症及びフィブラート抗脂質血症、心不全及び鉱質コルチコイドホルモン、癌及びアントラサイクリン系抗生物質、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防及びカルシウムチャネル遮断薬、心房細動及びベータ遮断薬から選択される、項目1又は2に記載の剤形。
【0053】
4. 病気及び病気の治療又は予防に関連する生物学的有効成分が、胃腸洗浄及びビサコジル、炎症性腸疾患及びブデソニド、高コレステロール血症又は高トリグリセリド血症及びフルバスタチン、CHF及びジゴキシン、不整脈及びキニジン、癌及びエトポシド、潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール又はラベプラゾール、細菌感染症及びエリスロマイシン、ペニシリンG、アンピシリン、ストレプトマイシン、クラリスロマイシン又はアジスロマイシン、HIV及びジデオキシイノシン(ddI又はジダノシン)、ジデオキシアデノシン(ddA)又はジデオキシシトシン(ddC)、膵臓機能不全及びリパーゼ、大うつ病性障害(MDD)又は季節性情動障害(SAD)、又は禁煙及びブプロピオン、痛み及び炎症の補助、関節リウマチ、変形性関節症又は強直性脊椎炎及びアセチルサリチル酸(アスピリン(登録商標))、ジクロフェナク又はインドメタシン、パーキンソン病及びレボドパ、マラリア及びヒドロキシクロロキン硫酸塩、高血圧及びアテノロール、糖尿病及び塩酸メトホルミン、浮腫又は慢性腎不全、及び安息香酸スルホンアミドフラン、軽度から重度の心不全、心筋梗塞後の左心室機能不全、心室駆出率≦40%の高血圧及びフロセミド、全身性真菌感染症及びケトコナゾール、高リポタンパク血症又は高トリグリセリド血症及びフェノフィブラート、心不全及びアルドステロン、癌及びドキソルビシン、高血圧、狭心症又は群発頭痛の予防及びベラパミル、並びに心房細動及びソタロールから選択される、項目1から3までのいずれか1項に記載の剤形。
【0054】
5. 病気が心房細動であり、かつ病気を治療又は予防するための生物学的有効成分がソタロールである、項目1から4までのいずれか1項に記載の剤形。
【0055】
6. 病気が潰瘍又は胃食道逆流症(GERD)であり、かつ生物学的有効成分がパントプラゾールである、項目1から4までのいずれか1項に記載の剤形。
【0056】
7. コアが、マトリックス構造中で分布されているか又は内側コア上のコーティング中のバインダーに結合されている、生物学的有効成分を含む、項目1から6までのいずれか1項に記載の剤形。
【0057】
8. アルカリ剤が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、項目1から7までのいずれか1項に記載の剤形。
【0058】
9. アルカリ剤が、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、項目1から8までのいずれか1項に記載の剤形。
【0059】
10. アルカリ剤が、炭酸マグネシウム又は酸化マグネシウムである、項目1から9までのいずれか1項に記載の剤形。
【0060】
11. 中間コーティング層が、可塑剤及び/又はポリマー結合剤をさらに含む、項目1から10までのいずれか1項に記載の剤形。
【0061】
12. 腸溶性コーティング層における腸溶性ポリマーが、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーアニオン性セルロース、アニオン性多糖及びポリ酢酸ビニルフタレート又はそれらの任意の混合物から選択される、項目1から10までのいずれか1項に記載の剤形。
【0062】
13. アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーが、メタクリル酸及びエチルアクリレートの、メタクリル酸及びメチルアクリレートの、並びにメタクリル酸、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートの重合単位を含むコポリマー、又はそれらの任意の混合物から選択される、項目1から12までのいずれか1項に記載の剤形。
【0063】
14. アニオン性セルロースが、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はそれらの任意の混合物から選択される、項目1から13までのいずれか1項に記載の剤形。
【0064】
15. 腸溶性ポリマーに対するアルカリ剤の関係が、7~80%である、項目1から14までのいずれか1項に記載の剤形。
【0065】
16. 生物学的有効成分の放出が、120分間pH1.2で10%以下、及び45分間pH3.2~5.0の範囲内で60~100%である、項目1から15までのいずれか1項に記載の剤形。
【0066】
17. コアが、生物学的有効成分の0.1~100質量%、1~100質量%、2~90質量%、5~85質量%、10~70質量%又は15~50質量%を含む、項目1から16までのいずれか1項に記載の剤形。
【0067】
18. コアが、製剤学的に又は栄養補助食品として認容性の賦形剤の0~99.9質量%、0~99質量%、10~98質量%、15~95質量%、30~90質量%又は50~85質量%を含む、項目1から17までのいずれか1項に記載の剤形。
【0068】
19. 生物学的有効成分が、酵素、ホルモン、液体又は固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、mRNA、siRNA、Protac(標的タンパク質分解キメラ)、ペプチドホルモン、治療用細菌、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ペプチド、タンパク質、泌尿器科薬、オメガ-3-脂肪酸、アントシアニジンから、例えば、ビルベリー、ブルーベリー又はクロスグリ、ビタミン及びワクチンから選択される、項目1から18までのいずれか1項に記載の剤形。
【0069】
20. 中間コーティング層(ICL)が、コアの質量に対して算出して5~100質量%の量で存在する、項目1から19までのいずれか1項に記載の剤形。
【0070】
21. 中間コーティング層(ICL)が、コアの質量に対して算出して7.5~50質量%の量で存在する、項目1から20までのいずれか1項に記載の剤形。
【0071】
22. 中間コーティング層(ICL)が、22~250μm、好ましくは25~100μm(平均)の厚さを有する、項目1から21までのいずれか1項に記載の剤形。
【0072】
23. 中間コーティング層(ICL)が、アルカリ剤5~75質量%を含む、項目1から22までのいずれか1項に記載の剤形。
【0073】
24. 中間コーティング層(ICL)が、アルカリ剤10~50質量%を含む、項目1から23までのいずれか1項に記載の剤形。
【0074】
25. 腸溶性コーティング層(ECL)が、コア及び中間層の質量に対して算出して10~50質量%の量で存在する、項目1から24までのいずれか1項に記載の剤形。
【0075】
26. 腸溶性コーティング層(ECL)が、腸溶性ポリマー10~100質量%を含む、項目1から25までのいずれか1項に記載の剤形。
【0076】
27. 腸溶性コーティング層(ECL)が、腸溶性ポリマー20~80質量%を含む、項目1から26までのいずれか1項に記載の剤形。
【0077】
28. 腸溶性ポリマーが、メタクリル酸40~60質量%及びエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含む、項目1から27までのいずれか1項に記載の剤形。
【0078】
実施例:
A. コアの調製:
1. パントプラゾールマトリックス(コア)ペレット:
1.1 パントプラゾールマトリックスペレットの組成(押出法を使用する):
【表1】
【0079】
1.2 パントプラゾールマトリックスペレットの調製方法:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
【0080】
II. マンニトール、パントプラゾールナトリウム、MCC PH-101、及びHPC LMを40#ふるいを通して同時にふるいにかけた。
【0081】
III. ステップIIの材料をプラネタリーミキサーで10分間乾式混合した。
【0082】
IV. ステップIIIのドライミックスを精製水で造粒した。
【0083】
V. 顆粒状の湿った塊を、1.0mmのスクリーンを使用して押し出し、続いて2.0mmのチェッカープレートを使用して球状にした。
【0084】
VI. スフェロナイザーからの湿ったペレットを、LOD(乾燥損失)が2%(w/w)未満に達するまで、50℃で乾燥した。
【0085】
VII. 乾燥したペレットを、18#メッシュ、続いて20#メッシュを通してサイジングし、ペレットの一部は18#メッシュを通過し、かつ20#メッシュに保持してコーティングのために使用した。
【0086】
【0087】
2. ベナゼプリル(コア)錠剤:
2.1 ベナゼプリル錠剤の組成:
【表3】
【0088】
2.2 ベナゼプリル錠剤のための方法:
I. 処方において規定した全ての成分を秤量する。
【0089】
II. ベナゼプリルヒドロクロリド及びラクトース一水和物を均一に混合し、#40メッシュを通してふるいにかけた。
【0090】
III. 微結晶性セルロースPH101及び半分の量のHPMC 6cps、を#40メッシュを通してふるいにかけ、ステップIIに添加した。
【0091】
IV. ステップIIIの粉末ブレンドを、急速混合造粒機に添加し、低速で5分間混合した。
【0092】
V. 別のビーカー中で、残りの半分量のHPMC 6cpsを精製水中で連続撹拌下でゆっくりと添加して、透明な溶液を得た。
【0093】
VI. 次に、ステップVのバインダー溶液を使用して、ステップIVの乾燥混合物を造粒した。
【0094】
VII. 造粒後に、湿った材料を10#(2.0mm)のふるいにかける。
【0095】
VIII. 顆粒を、LODが5%(w/w)未満になるまで、50℃のトレイドライヤーで乾燥させた。
【0096】
IX. 乾燥した顆粒を30#(595μm)のふるいに通した。
【0097】
X. 全ての顆粒外(extra-granular)材料を正確に秤量した。
【0098】
XI. MCC PH 102、クロスカルメロースナトリウム及びAerosil200をポリバッグ中で混合し、#40メッシュでふるいにかけた。
【0099】
XII. ステップIXのベナゼプリル顆粒及びステップXIのふるいにかけた材料を、ダブルコーンブレンダーで15RPMで15分間混合した。
【0100】
XIII. ふるいにかけたステアリン酸マグネシウム(60#)を、ダブルコーンブレンダーで15RPMで3分間ブレンドを潤滑するためにステップXIIに添加した。
【0101】
XIV. 潤滑したブレンドを錠剤圧縮のために使用した。
【0102】
【0103】
3. ソタロール(コア)錠剤:
3.1 ソタロールの錠剤の組成:
【表5】
【0104】
3.2 ソタロール錠剤のための方法:
I. 処方において規定した全ての成分を秤量する。
【0105】
II. ソタロールヒドロクロリド、微結晶性セルロース及びAc-Di-Sol(登録商標)を均一に混合し、そして#30メッシュでふるいにかけた。
【0106】
III. ステップIIの粉末ブレンドを、急速混合造粒機に添加し、低速で3分間混合した。
【0107】
IV. 別のビーカー中で、HPMC 3cpsを精製水中で連続撹拌下でゆっくりと添加して、透明な溶液を得た。
【0108】
V. 次に、ステップIVの溶液を使用して、ステップIIIの乾燥混合物を造粒した。
【0109】
VI. 顆粒を、トレイ乾燥機中で60℃で2時間乾燥し、そして30#ふるいに通し、そしてLODが5%(w/w)未満になるまでさらに60℃で4時間乾燥した。
【0110】
VII. 乾燥した顆粒を30#(595μm)のふるいに通した。
【0111】
VIII. 全ての顆粒外(extra-granular)材料を正確に秤量した。
【0112】
IX. 微結晶性セルロースPH101、Ac-Di-Sol(登録商標)及びAerosil200をポリバッグ中で混合し、そして#30メッシュでふるいにかけた。
【0113】
X. ステップVIIのソタロール顆粒及びステップIXのふるいにかけた材料を、ダブルコーンブレンダーで15RPMで15分間混合した。
【0114】
XI. ステアリン酸マグネシウム(60#を通過させた)をステップXのブレンドに添加し、ダブルコーンブレンダーで15RPMで5分間潤滑した。
【0115】
XII. 潤滑したブレンドを錠剤圧縮のために使用した。
【0116】
【0117】
4. パントプラゾールナトリウム(コア)錠剤:
4.1 パントプラゾールナトリウム錠剤の組成:
【表7】
【0118】
4.2 パントプラゾールナトリウム錠剤の調製方法:
I. 処方において規定した全ての成分を秤量する。
【0119】
II. パントプラゾールナトリウム、Pearlitol SD200、Aerosil 200、MCC PH102、クロスポビドン及びHPMC 3cpsを40#ふるいを介して同時にふるいにかける。
【0120】
III. ステップIIをダブルコーンブレンダーで13RPMで15分間混合した。
【0121】
IV. ステアリン酸マグネシウムを60#のふるいにかけた。
【0122】
V. ステップIIIのブレンドをステップIVのステアリン酸マグネシウムでダブルコーンブレンダーで13RPMで3分間潤滑した。
【0123】
VI. 8.0mmの標準の凹型のプレーンパンチを使用してステップVの潤滑ブレンドを圧縮した。
【0124】
【0125】
B. コーティング:
1. 本発明の実験のためのコーティングの組成:
【表9】
【0126】
2. 本発明の実験のためのコーティング方法:
2.1 中間コーティング:
2.1.1 実験I1、I2、I4及びI5の中間コーティング:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
【0127】
II. HPMC[3cps]を、オーバーヘッド撹拌機を使用して、透明な溶液を得るまでグリセリンを含む水に溶解した。
【0128】
III. 酸化マグネシウムを撹拌しながら上記の溶液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液を30分間混合させた。
【0129】
IV. 懸濁液を、100#のふるいに通し、中間コーティングのために使用した。
【0130】
2.1.2 実験I3の中間コーティング:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
【0131】
II. HPMC[3cps]を、オーバーヘッド撹拌機を使用して、透明な溶液を得るまでグリセリンを含む水に溶解した。
【0132】
III. 炭酸マグネシウムを撹拌しながら上記の溶液にゆっくりと添加し、そして得られた懸濁液を30分間混合させた。
【0133】
IV. 懸濁液を、40#のふるいに通し、中間コーティングのために使用した。
【0134】
【0135】
2.2 腸溶性コーティング:
2.2.1 実験I1~I5の腸溶性コーティング:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
【0136】
II. TEC及びタルクを水中で15分間均質化し、そして撹拌しながらEUDRAGIT(登録商標)L30 D-55分散液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液をオーバーヘッド撹拌機を使用して30分間混合した。
【0137】
III. 懸濁液を、40#のふるいに通し、シールコーティングのために使用した。
【0138】
【0139】
C. 腸溶性コーティングしたペレット/錠剤の分析:
分析方法
1. ベナゼプリル錠剤
A)溶解条件
1)溶解パラメータ
装置 :USPタイプII
溶解媒体 :酸性段階の媒体で2時間、続いてバッファー段階の媒体(1時間)
媒体量 :酸性段階で750mL、緩衝段階で1000mL
速度 :50rpm
温度 :37℃±0.5℃
抜取り量 :10ml。
【0140】
2)溶解媒体
I. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH5.5バッファー
II. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH4.5バッファー
III. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH3.0バッファー。
【0141】
3)溶解媒体の組成
1) バッファー pH5.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを5.5(±0.05)に調整した。
2) バッファー pH4.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを4.5(±0.05)に調整した。
3) バッファー pH3.0-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを3.0(±0.05)に調整した。
【0142】
4)溶解手順:
酸性段階:ベナゼプリルヒドロクロリド錠剤を、異なる溶解ジャーに移し、そして前記方法(酸性段階)における所与のパラメータに従って溶解試験を実施した。2時間後に、アリコート10mLを取り出し、酸性段階の試料溶液として分析した。
緩衝段階:酸性段階後の錠剤を緩衝段階の媒体に移した。溶解試験を、前記方法(緩衝段階)における所与のパラメータに従って続けた。それぞれの間隔のアリコートを、0.45μmナイロンメンブレンシリンジフィルターを介してろ過し、最初の数mLのろ液を廃棄し、そして緩衝段階の試料溶液として分析した。
【0143】
B)クロマトグラフィーの条件
カラム :Agilent Zorbax Eclipse XDB C18カラム、150×4.6mm、5μm又は同等のもの
移動相 :バッファー:MeOH(36:64)
波長 :240nm
カラム温度 :25℃
注入体積 :20μL
流速 :1mL/分
移動相のためのバッファーの調製:
正確に秤量したテトラブチルアンモニウムブロミド2.25gを水500mLに移し、溶解させた。氷酢酸0.55mLをそれに添加し、水で1000mLにした。バッファーを0.45μmナイロン膜フィルターでろ過した。
【0144】
2. ソタロール錠剤:
A)溶解条件
1)溶解パラメータ
装置 :USPタイプII
溶解媒体 :酸性段階の媒体で2時間、続いてバッファー段階の媒体(1時間)
媒体量 :酸性段階で750mL、緩衝段階で1000mL
速度 :50rpm
温度 :37℃±0.5℃
抜取り量 :10ml。
【0145】
2)溶解媒体
IV. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH5.5バッファー
V. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH4.5バッファー
VI. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH3.0バッファー。
【0146】
3)溶解媒体の組成
1) バッファー pH5.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを5.5(±0.05)に調整した。
2) バッファー pH4.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを4.5(±0.05)に調整した。
3) バッファー pH3.0-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを3.0(±0.05)に調整した。
【0147】
4)溶解手順:
酸性段階:ソタロール錠剤を、異なる溶解ジャーに移し、そして前記方法(酸性段階)における所与のパラメータに従って溶解試験を実施した。2時間後に、アリコート10mLを取り出し、酸性段階の試料溶液として分析した。
緩衝段階:酸性段階後の錠剤を緩衝段階の媒体に移した。溶解試験を、前記方法(緩衝段階)における所与のパラメータに従って続けた。それぞれの間隔のアリコートを、0.45μmナイロンメンブレンシリンジフィルターを介してろ過し、最初の数mLのろ液を廃棄し、そして緩衝段階の試料溶液として分析した。
【0148】
B)クロマトグラフィーの条件
カラム :Agilent Zorbax Eclipse XDB C18カラム、150×4.6mm、5μm又は同等のもの
移動相 :バッファー:ACN(90:10)
波長 :238nm
カラム温度 :25℃
注入体積 :20μL
流速 :1.5mL/分
移動相のためのバッファーの調製:
正確に秤量したオルトリン酸二水素カリウム6.8gを水1000mLに溶解した。バッファーを0.45μmナイロン膜フィルターでろ過した。
【0149】
3. ベナゼプリルのペレット/錠剤
A)溶解条件
1)溶解パラメータ
装置 :USPタイプII
溶解媒体 :酸性段階の媒体で2時間、続いてバッファー段階の媒体(1時間)
媒体量 :酸性段階で1000mL、緩衝段階で1000mL
速度 :50rpm
温度 :37℃±0.5℃
抜取り量 :10ml
試料希釈 :アリコート10mLを0.5N水酸化ナトリウム溶液2mLで直ちに希釈する。
【0150】
2)溶解媒体
I. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH5.5バッファー
II. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH4.5バッファー。
【0151】
3)溶解媒体の組成
1) バッファー pH5.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを5.5(±0.05)に調整した。
2) バッファー pH4.5-
酢酸ナトリウム三水和物約2.99gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水を添加して溶解し、容量を1000mLにする。氷酢酸を使用してpHを4.5(±0.05)に調整する。
3) バッファー pH3.0-
無水クエン酸約8.98グラム及びクエン酸三ナトリウム二水和物2.13グラムを正確に秤量して水1000mlに移す。超音波処理して溶解する。希釈NaOHを使用してpH3.5(±0.05)に調整する。
【0152】
4)溶解手順:
酸性段階:正確に秤量したパントプラゾールのペレット又は錠剤を、異なる溶解ジャーに移し、そして前記方法(酸性段階)における所与のパラメータに従って溶解試験を実施した。2時間後に、アリコート10mLを取り出し、0.45μmPVDFメンブレンシリンジフィルターでろ過した。1mLを直ちに0.5N水酸化ナトリウム溶液1mLで希釈し、酸性段階の試料溶液として分析した。
緩衝段階:酸性段階後のペレット又は錠剤を緩衝段階の媒体に移した。溶解試験を、前記方法(緩衝段階)における所与のパラメータに従って続けた。それぞれの間隔のアリコートを、0.45μmPVDFメンブレンシリンジフィルターを介してろ過し、最初の数mLのろ液を廃棄した。1mLを直ちに0.5N水酸化ナトリウム溶液1mLで希釈し、緩衝段階の試料溶液として分析した。
【0153】
B)クロマトグラフィーの条件
クロマトグラフィーの条件
カラム:Agilent Zorbax XDB Eclipse C8カラム、150×4.6mm、5μm
移動相: 水:アセトニトリル:トリエチルアミン(60:40:1)、オルトリン酸でpHを7.0(+0.05)に調製
波長:290nm
カラム温度:30℃
注入体積:10μL
流速:1.0mL/分。
【0154】
【0155】
E. コアの調製:
1. ソタロール錠剤:
実験C1及びC2のソタロール錠剤の組成及び方法:実験I4のコア調製を参照されたい。
【0156】
2. パントプラゾールペレット:
2.1 パントプラゾールペレットの組成(薬物層化法):
【表13】
【0157】
2.2 パントプラゾールペレットのための方法:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. HPMC[6cps]を、オーバーヘッド撹拌機を使用して、透明な溶液を得るまで水に溶解した。
III. パントプラゾールナトリウムセスキハイドレートを40#(400μm)のふるいを通してふるいにかけ、連続的な撹拌下でステップIIの溶液に添加した。透明な溶液が得られるまで撹拌を続けた。
IV. ステップIIIの薬物溶液を40#ふるいを通してふるいにかけ、NPS20/25#での薬剤の層状化に使用した。
【0158】
【0159】
3. ベナゼプリルペレット:
3.1 ベナゼプリル(コア)ペレットの組成:
【表15】
【0160】
3.2 実験C4及びC5のベナゼプリルペレットの調製のプロセス:
I. 全ての材料を正確に秤量した。
II. ベナゼプリルヒドロクロリド及び乳糖一水和物を、連続ストリング下で十分な量の精製水に溶解した。
III. のビーカー中で、HPMC 3cpsを撹拌下で精製水に溶解した。
IV. Aerosil(登録商標)200を、15分間精製水中で均質化した。
V. ステップIIの溶液を撹拌下でステップIIIに添加した。
VI. そしてステップIVの分散液を撹拌下でステップVに添加した。
VII. そして、ステップVIの懸濁液を#60メッシュを通してろ過し、NPSでの薬物の層化に使用した。
【表16】
【0161】
F. コーティング:
1. 比較実験のシールコーティング、中間コーティング及び腸溶性コーティングのコーティング組成:
【表17】
【0162】
2. シールコーティング、中間コーティング及び腸溶性コーティングの方法:
2.1 シールコーティング:
2.1.1 実験C3のシールコーティングのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. HPMC[6cps]を、オーバーヘッド撹拌機を使用して、透明な溶液を得るまで水に溶解した。
III. タルクを撹拌しながらステップIIの溶液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液を30分間混合させた。
IV. 懸濁液を、40#のふるいに通し、シールコーティングのために使用した。
【0163】
【0164】
2.2 中間コーティング:
2.2.1 実験C2の中間コーティングのプロセス:
I. 全ての成分を正確に秤量した。
II. 秤量したタルクを30分間ホモジナイザー下で精製水に分散させた。
III. 別に調製したクエン酸溶液をステップIIで添加した。
IV. EUDRAGIT(登録商標)L30D-55の中和のために必要な1N NaOH溶液を調製した。
V. 別のガラスビーカーに、TEC及びTween80を温めた精製水に添加して透明な溶液を形成した。
VI. そしてステップVの溶液を10~15分間オーバーヘッド撹拌機下でステップIIの分散液に添加した。
VII. 必要な量のEUDRAGIT(登録商標)L30D-55をステップIIの分散液に添加し、混合した。
VIII. ステップVIIの分散液を、連続的に撹拌しながらステップIVの溶液で中和して、必要なpHを有する透明な分散液を形成した。
IX. 懸濁液を、40#のふるいに通し、中間コーティングのために使用した。
【0165】
【0166】
2.2.2 実験C3の中間コーティングのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. Pharmacoat606を、オーバーヘッド撹拌機を使用して精製水に溶解した。
III. 炭酸マグネシウムを撹拌しながら上記の溶液にゆっくりと添加し、そして得られた懸濁液を30分間混合させた。
IV. 懸濁液を、40#のふるいに通し、中間コーティングのために使用した。
【0167】
【0168】
2.2.3 実験C5の中間コーティングについてのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. グリセリンを精製水に溶解した。
III. HPMC(3cps)を、透明な溶液を得るまで、オーバーヘッド撹拌機を使用してステップIIで溶解した。
IV. 酸化マグネシウムを撹拌しながら上記の溶液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液を30分間混合させた。
V. 懸濁液を40#ふるいに通し、薬物の層状ペレットの中間コーティングに使用した。
【0169】
2.3 腸溶性コーティング:
2.3.1 実験C1及び2の腸溶性コーティングのプロセス:
I. 処方において規定した全ての成分を秤量する。
II. 秤量したタルクを30分間ホモジナイザー下で精製水に分散させた。
III. 別のガラスビーカーに、TECを温めた精製水に添加して透明な溶液を形成した。
IV. ステップIIIの溶液を15分間オーバーヘッド撹拌機下でステップIIの分散液に添加した。
V. 秤量したEUDRAGIT(登録商標)L30D-55分散液をステップIVの分散液に添加し、混合した。
V. 調製した分散液を、40#のふるいに通し、シールコーティングのために使用した。
【0170】
2.3.2 実験C3の腸溶性コーティングのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. TEC及びタルクを水中で15分間均質化し、そして撹拌しながらEUDRAGIT(登録商標)L30 D-55分散液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液をオーバーヘッド撹拌機を使用して30分間混合した。
III. 懸濁液を、40#のふるいに通し、シールコーティングのために使用した。
【0171】
2.3.3 実験C4の腸溶性コーティングのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. 撹拌下でEUDRAGIT L30D-55を60%量の水に添加する。
III. 残りの水の一部を使用して1N水酸化ナトリウム溶液を調製する。
IV. 撹拌下でステップIIIをステップIIにゆっくりと添加する。
V. TEC及びタルクを残りの水に添加し、30分間それを均質化する。
VI. ステップV~ステップIVを撹拌下で添加し、20分間撹拌し続ける。
VII. 懸濁液を40#ふるいに通し、中間に被覆した腸溶性コーティングに使用した。
【0172】
2.3.4 実験C5の腸溶性コーティングのプロセス:
I. 全ての材料を必要量で秤量した。
II. TEC及びタルクを水中で15分間均質化し、そして撹拌しながらEUDRAGIT(登録商標)L30 D-55分散液にゆっくりと添加し、得られた懸濁液をオーバーヘッド撹拌機を使用して30分間混合した。
III. 懸濁液を40#ふるいに通し、中間に被覆した腸溶性コーティングに使用した。
【0173】
【0174】
G. 腸溶性コーティングした錠剤/ペレットの分析:
分析方法
1. ソタロール錠剤:ステップD(2)の分析方法を参照されたい。
【0175】
2. パントプラゾールペレット:ステップD(3)の分析方法を参照されたい。
【0176】
3. ベナゼプリルペレット:
A)溶解条件
1)溶解パラメータ
装置 :USPタイプII
溶解媒体 :酸性段階の媒体で2時間、続いてバッファー段階の媒体(1時間)
媒体量 :酸性段階で750mL、緩衝段階で1000mL
速度 :50rpm
温度 :37℃±0.5℃
抜取り量 :10ml。
【0177】
2)溶解媒体
I. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH5.5バッファー
II. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH4.5バッファー
III. 酸性段階の媒体 - 0.1NHCl;緩衝段階の媒体 - pH3.0バッファー。
【0178】
3)溶解媒体の組成
1) バッファー pH5.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを5.5(±0.05)に調整した。
2) バッファー pH4.5-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを4.5(±0.05)に調整した。
3) バッファー pH3.0-
リン酸二水素カリウム約1g、リン酸水素二カリウム2g、塩化ナトリウム8.5gを正確に秤量し、1リットルのビーカーに移した。これに水500mLを添加し、塩を溶解させ、体積を水で1000mLにした。オルトリン酸を使用してpHを3.0(±0.05)に調整した。
【0179】
4)溶解手順:
酸性段階:正確に秤量したベナゼプリルヒドロクロリドのペレットを、異なる溶解ジャーに移し、そして前記方法(酸性段階)における所与のパラメータに従って溶解試験を実施した。2時間後に、アリコート10mLを取り出し、酸性段階の試料溶液として分析した。
緩衝段階:酸性段階後のペレットを緩衝段階の媒体に移した。溶解試験を、前記方法(緩衝段階)における所与のパラメータに従って続けた。それぞれの間隔のアリコートを、0.45μmナイロンメンブレンシリンジフィルターを介してろ過し、最初の数mLのろ液を廃棄し、そして緩衝段階の試料溶液として分析した。
【0180】
B)クロマトグラフィーの条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB C18カラム、150×4.6mm、5μm又は同等のもの
移動相:バッファー:MeOH(36:64)
波長:240nm
カラム温度:25℃
注入体積:20μL
流速:1mL/分
移動相のためのバッファーの調製:
正確に秤量したテトラブチルアンモニウムブロミド2.25gを水500mLに移し、溶解させた。氷酢酸0.55mLをそれに添加し、水で1000mLにした。バッファーを0.45μmナイロン膜フィルターでろ過した。
【0181】
【0182】
走査型電子顕微鏡(SEM)調査による中間コーティング層(ICL)の厚さの測定
二層の剤形の機能性を評価するために重要である、内側層の厚さ評価を実施するために、適した試料サイズの算出、試料数のランダムサンプリング、試料の調製、層の厚さの決定、及び結果の評価からなる以下の手順を適用する。
【0183】
試料数の計算式:
【数7】
N=バッチサイズ
e=許容誤差
z=信頼水準を表すZ値
p=標準偏差
【表23】
【0184】
C3についての計算の例
N=457,200[単位]
e=0.1
z=1.96
p=0.5
【数8】
【0185】
分析方法
SEM装置の設定
メーカー:Thermo Fisher Scientific
モデル:FEI Quanta 200
圧力:65パスカルの低真空モード
倍率:各種
電圧(HV)は20KVに保った
使用した検出器はLargeFieldDetector(LFD)であった。
【0186】
SEM法の説明:
試料は、コーティングされた錠剤単位のバッチ、すなわちペレット又は錠剤からランダムに採取される。採取した試料を、典型的に2つの等しいサイズの用量単位の半分に分割した。分割した部分を、試料取り付けディスク上で直立した位置に固定した。試料を、線量単位の寸法に対応する適切な倍率で調査する。層の厚さを、基剤(剤形のコア)に対して90°の角度で決定する。単一の値を記録し、平均及び標準偏差を計算する。SEM分析の結果を表24に示す。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【
図1】
図1は、球形の剤形(例えばペレット又は錠剤)の概略断面図を示し、前記のような内部コーティング層(ICL)の厚さの測定原理を示す。
【0188】
【0189】
結論:
比較例C3の内側層(中間コート)の厚さ(15.7μm、標準偏差+2.7μm)は、本発明の実施例I1~5の内側層(中間コート)の厚さよりも著しく薄い(それぞれ標準偏差+3.9~10.2μmを有する、29.4~206.7μm)ことが見出された。したがって、内側層の厚さは、上記で報告したように、pH5.5での緩衝媒体への45分間のインキュベーション後の26.29%の不完全な放出と相関されうる。