(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】エンドエフェクタのためのアクチュエータ機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2022546481
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021016211
(87)【国際公開番号】W WO2021158545
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2024-01-22
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エステベス、ラモン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ベヌート、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】デュエル、クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】メランソン、ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ブルドン、イアン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-504807(JP,A)
【文献】国際公開第2018/152044(WO,A1)
【文献】特表2013-541999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068 - A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織締結機器であって、
チャネルを規定する複数の側壁を含む本体と、
近位端および遠位端を有するとともに前記本体に枢動可能に結合されたアンビルであって、開口位置と閉鎖位置との間を移動するように構成されたアンビルと、
前記アンビルを前記閉鎖位置に固定するように構成された固定機構と、を備え
、
前記固定機構は、(1)前記本体の近位端に向かって角度付けられた傾斜面を有する斜面と、(2)前記本体の底面に平行な上面と、を含み、
前記アンビルが近位方向に移動されるときに、前記アンビルの前記近位端は前記斜面に係合し、前記斜面に沿って摺動するように構成される、組織締結機器。
【請求項2】
前記アンビルの前記近位端が前記斜面の前記上面上に配置されるとき、前記アンビルは前記閉鎖位置に固定される、請求項
1に記載の組織締結機器。
【請求項3】
組織締結機器であって、
チャネルを規定する複数の側壁を含む本体と、
近位端および遠位端を有するとともに前記本体に枢動可能に結合されたアンビルであって、開口位置と閉鎖位置との間を移動するように構成されたアンビルと、
前記アンビルを前記閉鎖位置に固定するように構成された固定機構と、を備え、
前記アンビルは、前記アンビルの表面に延びるアンビルの切欠きを含み、前記アンビルの切欠きは、前記固定機構に係合して前記アンビルを前記閉鎖位置に固定するように構成される
、組織締結機器。
【請求項4】
前記固定機構は、前記本体上にクリップを含み、前記クリップは前記アンビルの切欠きに係合するように構成される、請求項
3に記載の組織締結機器。
【請求項5】
前記クリップは、前記クリップの上面から延びるクリップ突起を含み、前記クリップ突起は、前記アンビルが前記閉鎖位置にあるときに前記アンビルの切欠きに係合するように構成される、請求項
4に記載の組織締結機器。
【請求項6】
前記クリップの底面に連結されるとともに前記クリップの近位に延びるクリップワイヤをさらに含み、前記クリップワイヤの近位への移動により、前記クリップを前記アンビルから遠ざけるように移動させて前記アンビルの切欠きから前記クリップ突起を離間させるように構成される、請求項
5に記載の組織締結機器。
【請求項7】
前記固定機構は、近位方向に延びるピンワイヤであって、前記ピンワイヤの遠位端に取り付けられた固定ピンを有するピンワイヤを含み、前記固定ピンは前記閉鎖位置にて前記アンビルの切欠きに係合する、請求項
3に記載の組織締結機器。
【請求項8】
前記アンビルが前記閉鎖位置にあるとき、前記アンビルの切欠きは近位方向を向く、請求項
7に記載の組織締結機器。
【請求項9】
プーリをさらに含み、前記ピンワイヤは、前記プーリに係合するように構成される、請求項
7に記載の組織締結機器。
【請求項10】
前記本体の中に延びるとともに前記固定ピンに連結された付勢機構をさらに備え、前記付勢機構は前記アンビルに向かって前記固定ピンを付勢するように構成される、請求項
9に記載の組織締結機器。
【請求項11】
前記本体は、前記本体の対向する側壁の中にスロットを含み、前記アンビルは、対向する側壁から延びるピンを含み、各ピンは、前記本体内の対応するスロットに係合するとともに前記スロット内で前記本体に対して摺動するように構成される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組織締結機器。
【請求項12】
前記アンビルが前記固定機構よって前記閉鎖位置に固定されているとき、前記アンビルは前記本体に実質的に平行である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組織締結機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、最小限に侵襲的な(内視鏡および/または腹腔鏡)医療機器、および関連する使用方法に関する。より具体的には、いくつかの実施形態において、本開示は、例えばステープラ機器等の組織締結機器の一つ以上の固定機構、および他の態様の間の関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術開発は、ますます複雑になる手術を対象者に実施する能力を医療システムおよび機器および方法の使用者に与えている。例えば、対象者の胃腸管または体内の他の場所における組織の結合は、難易度が上昇し得る手術のタイプである。対向する顎構造の間に組織を把持または保持し、その後、外科用締結具によって組織を接合する外科用機器は知られている。締結具は、外科用ステープルを含んでもよい。いくつかの手術において、切断器具は、締結具によって接合される組織を切断するために提供され得る。これらのシステムの難点は、例えば、組織締結具の顎を閉鎖形態に維持して、組織の切断および/またはステープリングの間、および/または追加の医療手術の間に組織を十分に圧縮することを含む。例えば、ワイヤ等の可撓性の引き込み機構の近位の運動のみでは、ステープリングの間、十分に組織を圧縮しないことがある。したがって、組織は適切にステープリングおよび/または切断されないことがあり、そのことが治療時間および/または費用を増加させ得、組織の望ましくない締結または不完全な締結を引き起こし得、および/または標的箇所における追加の治療/介入を必要とし得る。本開示は、一つ以上のこれらの問題または当分野の他の問題を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、具体的な問題を解決する能力ではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【発明の概要】
【0003】
態様によれば、組織締結機器は、チャネルを規定する複数の側壁を含む本体、近位端および遠位端を有するとともに本体に枢動可能に結合されたアンビルであって、開口位置と閉鎖位置との間を移動するように構成されたアンビル、およびアンビルを閉鎖位置に固定するように構成された固定機構を備える。
【0004】
固定機構は、(1)本体の近位端に向かって角度付けられた傾斜面を有する斜面および(2)本体の底面に平行な上面を含んでもよい。
アンビルが近位方向に移動されるときに、アンビルの近位端は斜面に係合し、斜面に沿って摺動するように構成されてもよい。
【0005】
アンビルの近位端が斜面の上面上に配置されるとき、アンビルは閉鎖位置に固定されてもよい。
アンビルは、アンビルの表面に延びるアンビルの切欠きを含んでもよく、アンビルの切欠きは、固定機構に係合してアンビルを閉鎖位置に固定するように構成されてもよい。
【0006】
固定機構は、本体上にクリップを含んでもよく、クリップはアンビルの切欠きに係合するように構成されてもよい。
クリップは、クリップの上面から延びるクリップ突起を含んでもよく、クリップ突起は、アンビルが閉鎖位置にあるときにアンビルの切欠きに係合するように構成されてもよい。
【0007】
組織締結機器は、クリップの底面に連結されるとともにクリップの近位に延びるクリップワイヤをさらに含んでもよく、クリップワイヤの近位への移動により、クリップをアンビルから遠ざけるように移動させてアンビルの切欠きからクリップ突起を離間させるように構成されてもよい。
【0008】
固定機構は、近位方向に延びるピンワイヤであって、固定ワイヤの遠位端に取り付けられた固定ピンを有するピンワイヤを含んでもよく、固定ピンは閉鎖位置にてアンビルの切欠きに係合してもよい。
【0009】
アンビルが固定位置にあるとき、アンビルの切欠きは近位方向を向いてもよい。
組織締結機器はプーリをさらに含んでもよく、ピンワイヤは、プーリに係合するように構成されてもよい。
【0010】
組織締結機器は、本体の中に延びるとともに固定ピンに連結された付勢機構をさらに備えてもよく、付勢部材はアンビルに向かって固定ピンを付勢するように構成されてもよい。
【0011】
本体は、本体の対向する側壁の中にスロットを含んでもよく、アンビルは、対向する側壁から延びるピンを含んでもよく、各ピンは本体内の対応するスロットに係合するように構成されてもよく、スロット内で本体に対して摺動してもよい。
【0012】
アンビルが固定部材によって閉鎖位置に固定されているとき、アンビルは本体に実質的に平行であってもよい。
本体は、本体の複数の側壁の一つの中にあって長手方向軸線に沿って延びるスロット、および長手方向軸線上でスロットの遠位に配置された遠位に向いている凹部を含んでもよく、複数のピンはアンビルから延びてもよく、複数のピンからの第一ピンはスロットに係合してもよく、複数のピンからの第二ピンは、凹部に係合してアンビルを閉鎖位置に固定するように構成されてもよい。
【0013】
別の形態によれば、組織締結機器は、チャネルを規定する複数の側壁であって、複数の側壁のうちの一つの側壁は長手方向軸線に沿って延びるスロットを含む、複数の側壁を含む本体と、近位端、遠位端およびスロットを通じてアンビルを本体に枢動可能に結合するピンを有するアンビルであって、開口位置と閉鎖位置との間を移動するように構成されたアンビルと、スロットの上壁から長手方向軸線に向かって延びる第一突起と、スロットの底壁から長手方向軸線に向かって延びる第二突起とを備え、第一突起および第二突起はピンに係合してアンビルを閉鎖位置に固定するように構成される。
【0014】
第一突起および第二突起は、ボールノーズスプリングプランジャを含んでもよく、ピンが第一突起および第二突起の近位または遠位に移動するとき、ピンは、第一突起および第二突起を長手方向軸線から遠ざけるように構成されてもよい。
【0015】
別の実施形態によれば、組織を締結する方法は、本体に枢動可能に連結されたアンビルを含む組織締結機器を患者内の標的箇所に前進させること、アンビルに連結されたワイヤを近位方向に移動してアンビルを開口位置から閉鎖位置まで回動させること、およびアンビルの中に延びるアンビルの切欠きの中に固定ピンを前進させてアンビルを閉鎖位置に固定することを含む。
【0016】
方法は、アンビルが閉鎖位置に配置された後に組織をステープリングまたは切断することの一つ以上を実施すること、および、ステープリングまたは切断することの一つ以上を実施した後にアンビルスロットから固定ピンを引き抜くことをさらに含んでもよい。
【0017】
引き抜きは、固定ピンに連結された付勢部材の付勢力に打ち勝つことを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書の一部に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な典型的な実施形態を示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】実施形態にしたがった組織締結システムの概略図である。
【
図2A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図2B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図3A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の線Z-Zに沿った断面図である。
【
図3B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の線Z-Zに沿った断面図である。
【
図3C】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の線Z-Zに沿った断面図である。
【
図4A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図4B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図5A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図5B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図6A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図6B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図7A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図7B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図8A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図8B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図9A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図9B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図10A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図10B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図10C】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図11A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図11B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図12A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図12B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図12C】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図13A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図13B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図13C】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図14A】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【
図14B】実施形態にしたがった
図1の締結システムの締結機器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、例えば組織を把持、切断、および/またはステープリングするために標的箇所に接近するための典型的な医療システムおよび医療ツールに関して記述される。これは、改善した医療ツール機能性を提供し得、および/または医療従事者の助けとなって組織を切断および/または締結することを改善し得る。いくつかの例において、アンビルとステープラの本体との間の適切な整列を確実にすることにより、組織の改善したステープリングが提供され得る。しかしながら、任意の特定の機器および/または任意の特定の手術への参照は、便宜のためのみに提供され、本開示を制限する意図はないことに注意されたい。開示される機器および適用方法の根底にある概念は、いかなる適切な手術、医療または別の方法で用いられてもよいことを当業者は理解するであろう。本開示は、以下の記述および添付の図面を参照して理解され得、同様の要素は同じ参照数字を用いて言及される。
【0020】
記述を容易にするために、開示される機器および/またはそれらの構成要素の一部は、近位部分および遠位部分と称される。用語「近位の(proximal)」は、機器の使用者に近い部分に言及することを意図され、用語「遠位の(distal)」は使用者からさらに離れた部分に言及するように本明細書中で使用されることに注意されたい。同様に、「遠位に延びる(extends distally)」は、構成要素が遠位方向に延びることを示し、「近位に延びる(extends proximally)」は、構成要素が近位方向に延びることを示す。さらに、本明細書中に使用されるとき、用語「約(about)」、「およそ(approximately)」および「実質的に(substantially)」は、記述または示唆された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。加えて、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状およびおよその形状を参照する。
【0021】
本開示の実施形態は、腔内空間にて組織を切断および/または締結するか、またはそれらの処理を容易にするために使用されてもよい。例によれば、締結機器は、組織ステープリング装置でもよく、それは切除または切断機構(例えばインテグレートナイフ)およびステープリング機構(例えばステープラ)を含んでもよい。ステープリング機器は、内視鏡ワーキングチャネルを通して標的組織箇所まで送達されてもよい。組織ステープリング機器および格納機構の全部または一部は、金属、プラスチックでもよく、または形状記憶金属(例えばニチノール)、形状記憶ポリマー、ポリマー、または材料の任意の組み合わせを含んでもよい。本明細書ではステープリング機器に言及しているが、記述された固定は、その間に組織を把持するように設計された対向する顎を有する任意の機器とともに使用されてもよい。
【0022】
図1は、本開示の例にしたがった外科用装置10を示す。装置10は、身体組織に係合し、腹腔鏡手術または内視鏡手術のような最小限の侵襲的外科手術の間に複数の外科用締結具をそこへ適用するように構成された外科用ステープリング装置でもよい。いくつかの実施形態において、装置10は、最小限の侵襲的外科手術の間に組織を閉鎖するための縫合を送達するための縫合装置でもよい。装置10は、縫合、外科用クリップ、または他の締結具を適用するために使用されてもよいが、例えば組織をステープリングおよび/または切断することのような、追加の手術を組織に実施することに備えて組織を把持するという状況において第一に記述されるであろう。
【0023】
図1に示すように、装置10は、近位部20および例えばエンドエフェクタ100のような遠位部を含む。外科用装置10はまた、ハンドルアセンブリ30、長尺状本体50、およびエンドエフェクタ100におけるステープラ機器110を含む。長尺状本体50は、内視鏡手術または腹腔鏡手術に適切な任意の長さに延びてもよく、内視鏡のワーキングチャネルの中に配置されるように構成されてもよい。例えばワーキングチャネルの中に長尺状本体50をバックロードすることによって、内視鏡のチャネルまたは別の機器のチャネルへの長尺状本体50の挿入を容易にするために、長尺状本体50は、ハンドルアセンブリ30から取り外し可能であってもよい。いくつかの実施形態において、長尺状本体50は可撓性、操縦可能であってもよく、および/またはその軸線の周りに回動可能であってもよい。長尺状本体50は、ハンドルアセンブリ30を通じてステープラ機器110を作動するか、または装置10の任意の他の部分を作動するための作動ワイヤがその中に配置されるための管腔を含んでもよい。長尺状本体50は、複数の作動ワイヤまたは単一の作動ワイヤ(例えば作動ワイヤ40)を受け入れるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、長尺状本体50はステープラ機器110に固定して結合されてもよく、他の例において、長尺状本体50はステープラ機器110に着脱可能または解放可能に結合されてもよい。別段の記述がない限り、本明細書中に記述される任意のワイヤまたは作動装置が、ハンドルアセンブリ30から長尺状本体50の管腔を通ってエンドエフェクタ100まで延びてもよい。
【0024】
ハンドルアセンブリ30は、ハンドル32および本体34を含んでもよい。ハンドル32は、固定部分32aおよびアクチュエータ部分32bを含んでもよい。ハンドル32の固定部分32aは、本体34に固定して結合されてもよい。アクチュエータ部分32bは、使用者の指をその中に配置するための円形または楕円形の部分またはリングを含んでもよく、それは使用者がハンドルアセンブリ30を握る助けとなり得る。いくつかの実施形態において、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、本体34に枢動可能に結合され、ハンドル32の固定部分32aに対して移動可能であり得るアクチュエータでもよい。いくつかの実施形態において、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、調節可能なカプラ36によって作動ワイヤ40のような作動ワイヤの近位部分に結合されてもよい。ステープラ機器110のアンビル(例えばアンビル120)は、ステープラ機器110とハンドルアセンブリ30との間に延びる作動ワイヤ40によって作動されてもよい。他の例において、ハンドル32のアクチュエータ部分32bは、ステープラ機器110からのステープルの展開の作動のような、装置100の任意の他の機構を制御するように構成されてもよい。ワイヤ40は遠位方向に押され、近位方向に引かれるために十分な剛性を有することが理解されるであろう。
【0025】
いくつかの例において、ハンドルアセンブリ30は、旋回点38bにてハウジング34に枢動可能に結合された移動可能なカバー38を含んでもよい。
図1において、カバー38は、開口位置にて示され、本体34の内側部分を露出している。カバー38は、本体34の近位部分に結合されてもよく、例えばカバー38の最遠位端38aが本体34の表面34aに対向するときのような閉鎖形態に位置するとき、ハンドルアセンブリ30の内側構成要素をカバーしてもよい。カバー38は、カバー38の遠位部分およびハンドルアセンブリ30の遠位部分においてスナップフィット機構等のような結合機構によって、本体34の内側構成要素をカバーする位置に一時的に固定して結合されてもよい。閉鎖形態にあるとき、カバー38は本体34の中に一対のスロットを形成してもよい(図示なし)。カバー38の遠位部分が本体34の遠位部分から分離されているとき、使用者は、旋回点38bにてカバー38を回動(または旋回)してハンドルアセンブリ30の内側構成要素を利用可能にしてもよい。
【0026】
ハンドルアセンブリ30は、作動ワイヤ40のような作動ワイヤの一部を受け入れるように構成されてもよい一つ以上の調節可能なカプラ36、39を含んでもよい。調節可能なカプラ36、39のいずれかは、作動ワイヤ40の上に保持され、作動ワイヤを調整可能なカプラ36、39に固定して結合するために移動可能なバイスでもよい。いくつかの例において、調整可能なカプラ36、39は、カプラ36、39を調整し、および作動ワイヤ40をカプラ36、39に結合し、またはカプラ36、39から分離するために、ネジを介して移動可能でもよい。カプラ36、39は、本明細書中に記述される追加のワイヤの移動において使用されてもよい。
【0027】
調整可能なカプラ39は、長手方向アクチュエータ31に結合され、本体34の中で長手方向アクチュエータ31を移動することによって長手方向に移動可能であってもよい。長手方向アクチュエータ31は、ハウジング34の中に部分的に配置されてもよく、カバー38がハンドルアセンブリ30の内側構成要素上に配置されるときに形成される二つのスロットの中で長手方向に摺動可能であってもよい。長手方向アクチュエータ31は、一対の対向する円形または楕円形の部分またはリングを含んでもよく、各円形部分は、使用者が指をその中に配置するための開口部を規定する。いくつかの例において、長手方向アクチュエータ31は、調節可能なカプラ39によって、または本体34の中の異なるカプラによってのように、作動ワイヤに結合されてもよく(図示なし)、ステープラ機器110からのステープル展開を制御するように構成されてもよい。他の例において、長手方向アクチュエータ31は、ステープラ機器110のアンビル120の作動のような、装置10の任意の他の機構を制御するように構成されてもよい。
【0028】
装置10のエンドエフェクタ100は、長尺状本体50の遠位部分に結合されたステープラ機器110を含む。ステープラ機器110のコネクタ102は、長尺状本体50をステープラ機器110に結合してもよい。いくつかの例において、コネクタ102は、ステープラ機器110の本体130の長手方向軸線からオフセットされてもよい。ステープラ機器110の本体130は、本体130のチャネルの中に配置されたカートリッジ132を含んでもよい。カートリッジ132は、本体130に固定して結合されてもよく、または本体130から着脱可能でもよい。いくつかの例において、カートリッジ132は本体130と一体に形成されてもよい。本体130の近位部分において、アンビル120は、ピン120a(ピン120aは旋回軸線を規定してもよい)によって本体130に回動可能または枢動可能に結合されてもよく、ステープラ機器110の遠位端に向かって遠位に延びてもよい。いくつかの例において、アンビル120は、回動可能に付勢されてもよく、例えばスプリング等を使用して本体130およびカートリッジ132から遠ざかって付勢されるように、開口形態に付勢されてもよく、それによって、アンビル120の遠位部分と本体130およびカートリッジ132の遠位部分との間の空間が作られる。アンビル120は、本体130に接触するため、またはアンビル120と本体130との間に組織を保持するためにピン120aの周りに回動可能であってもよく、およびカートリッジ132から放出されたときにステープルが打ち付けられ得る表面を提供してもよい。理解を容易にするために、ピン120aおよび対応する開口またはスロットは、単数で、すなわち、ステープラ機器の単一の面のみに言及して本明細書中に記述されるであろう。別段の記述がない限り、ステープラ機器の反対側は、各例において記述されるものと同じように配向された同じ要素を有するであろう(すなわち、ステープラ機器の反対側は開示された要素の鏡像であり得る)。例えば、ピンがアンビルから延びて、ピンがステープラ機器の第一側上のスロット内を移動するとき、第二ピンは、アンビルの反対側上に配置されてステープラ機器の反対側上に同様に配置されたスロット内を摺動する。
【0029】
いくつかの例において、本体130は、カートリッジ132を支持するチャネルを含んでよい。カートリッジ132は、ステープルのような複数の外科用締結具を含んでもよく、作動スレッドによってかけられた駆動力の影響下にあるとき、締結具はカートリッジ132から展開されてもよい。カートリッジ132の中の、間隔を隔てた複数の長手方向スロット134は、ステープルがカートリッジ132を通過して組織を貫通することを許容する。いくつかの例において、作動スレッドは、作動されたときに、カートリッジ132および/または本体130の遠位端から長手方向近位に移動し、カートリッジ132の中で締結具に接触し、締結具を組織に結合するように長手方向スロット134を通して締結具を押す。いくつかの例において、単一の締結具が各スロット134を通って延びてもよい。各締結具は、展開前に部分的にスロット134の中に存在して、締結具とスロット134との整列の助けとなってもよい。いくつかの例において、複数の作動スレッドがカートリッジ132の中の締結具の二つの異なる長手方向の列を作動してもよい。組織の適切な締結具を提供する助けとなるために、固定機構はステープラ機器110の上に提供されてもよい。理解を容易にするために、一般的にカートリッジ132を参照し、スロット134は示されないであろう。本明細書中に記述された各固定機構は、ステープリング、縫合等の間、アンビル120と本体130との間の実質的に平行な配置を維持してもよく、それによって組織間の連結が改善され得る。
【0030】
図2Aは、締結手術の間のアンビル120の位置を維持するための固定機構の例を示す。アンビル120は、それの側面から延びるピン120aを含んでもよい。ピン120aは、アンビル120の側壁から延び、本体130の側面上のスロット136の中に配置されてもよい。アンビル120のピン120aは、それぞれのスロット136の中で移動してもよく、スロット136は一般的に楕円形をしており、長手方向軸線Aに沿って長手方向に延びる。アンビル120はまた、ピン120aの周りに回動してもよい。例えば、ピン120aがスロット136の遠位端に設置されるとき、アンビル120は、
図3Bに示すように、開口形態に配置されてもよく、ピン120aがスロット136の近位端に配置されるとき、アンビル120は閉鎖位置にあってもよい。ワイヤ40は、取り付け機構122aによって、アンビル120の近位端122に取り付けられてもよい。ワイヤ40の近位への移動により、アンビル120を近位に移動させ、および/またはアンビル120をピン120aの周りに回動させることが可能である。ピン120aの直径は、約1.59mm(約1/16”)である。スロット136の長さは約6.35mm(約1/4”)であり、スロット136の高さは約1.59mm(約1/16”)であるが、ピン120aがその中で摺動することを許容する大きさである(例えば、スロット136の高さは、ピン120aの直径とほぼ等しいがピン120aの直径よりも大きい)。スロット136は、本体130の上側延長部に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、上側延長部は、上方および右方、すなわち本体130の遠位端に向かって延びてもよい。他の実施形態において、本体130の上側延長部は上方のみに延びてもよい。さらに他の実施形態において、空間が上側延長部と本体130との間に配置されてもよい。上側延長部は、本明細書中の例に記述された任意のステープラ本体とともに使用されてもよい。
【0031】
ステープラ機器110の本体130は、丸みを帯びるかまたは湾曲した遠位端を有する斜面138を含んでもよいため、斜面138の近位端は斜面138の遠位端よりも高い。斜面138は、
図2Aに示すように、それらの間にチャネル139を形成する二つの平行な斜面を含んでもよい。あるいは、単一の斜面138が提供されてもよく、取り付け機構122aは、斜面138によって妨げられることなくワイヤ40が移動可能なようにオフセットされてもよい。ワイヤ40は、スロット139の中で近位および/または遠位に移動して、アンビル120を近位および/または遠位に移動してもよい。例えば、アンビル120が近位に移動するとき、近位端122は斜面138の湾曲した遠位端に接触してもよく、近位端122を斜面138に沿って上方へ移動させる。アンビル120が近位に移動されるとき、ピン120aは、スロット136の中で長手方向軸線Aに沿って近位に移動する。同時に、アンビル120はピン120aの周りに回動して、アンビル120の遠位端124をカートリッジ132に向かって押し付ける。ピン120aがスロット136の遠位端にあるとき、アンビル120は、カートリッジ132に向かって閉鎖形態へと完全に回動している。近位端122と斜面138との間の接触は、アンビル120の閉鎖形態を維持するために十分な摩擦力を提供する。例えば、これは、組織がアンビル120と本体130との間に把持されることを許容し、追加の医療手術を実施可能にする。
【0032】
アンビル120を操作する方法は、これから説明される。
図2Bに示すように、ピン120aがスロット136の遠位端に存在するとき、アンビル120は開口形態にあってもよい。開口形態において、組織はアンビル120とステープラ機器110の本体130との間に挿入されてもよい。使用者は、その後、近位方向にワイヤ40を移動してもよく、近位端122を近位に移動させて斜面138に接触させる。ワイヤ40の近位への移動を続けることにより、近位端122が斜面138の湾曲した/傾斜した表面138aを上方へ移動する。この近位への移動により、ピン120aをスロット136の中で長手方向軸線Aに沿って近位に移動させる。近位端122が斜面138の傾斜した表面138aを上方に移動することによって、アンビル120がピン120aの周りに回動する。アンビル120をピン120aの周りに旋回させることによって、アンビル120の遠位端124がカートリッジ132に向かって移動し、アンビル120とカートリッジ132との間に組織および/または他の材料を把持する。この方法で、アンビル122は、締結手術の間、正確な締結を提供する助けとなるように組織に対して固定されてもよい。
【0033】
その後、アンビル120とカートリッジ132との間に把持された組織または材料に関して、例えば組織が一つ以上のステープルによって互いに締結され得るような、追加の医療手術が行われてもよい。別の例として、組織は切断されてもよく、または他の医療手術が把持された組織に関して実施されてもよい。一旦、追加の医療手術が完了すると、ワイヤ40は遠位に移動されてもよく、それによって、アンビル120の近位端122が斜面138を下って移動される。近位端122が斜面138を下って移動するとき、ピン120aはスロット136の中で長手方向軸線Aに沿って遠位に摺動し、アンビル120はピン120aの周りに旋回するため、遠位端124はカートリッジ132から遠ざかるように回動する。
【0034】
ステープラ機器310の固定機構の別の例は、
図3A~3Cに示される。ステープラ機器310の本体330は、長手方向軸線Aを有するスロット336を含む。ピン320aは、アンビル320からスロット336の中に延びる。ピン320は、スロット336の中で長手方向軸線Aに沿って摺動するように構成され、アンビル320はピン320aの周りに回動するように構成される。アンビル320は遠位端324および近位端322を含み、近位端324は取り付け機構322aによってワイヤ40に取り付けられる。スロット325は、近位端322の底面からアンビル320に中に延び、アンビル320を貫通して近位端322の上面まで延びてもよい。他のステープラ機器と同様に、カートリッジ332は本体330の中に配置される。
【0035】
クリップ350の遠位端から垂直に延びる突起352を有するクリップ350は、
図3Aに示される。クリップ350は、長尺状部材50の遠位端から本体330の一部を形成してもよく、または、クリップ350は外科用装置10の近位端から、カテーテル、または長尺状本体50の管腔のような他の管腔に沿って延びてもよい。本明細書中に記述されるであろうように、突起352は、スロット325の中に挿入され、アンビル320を閉鎖形態に固定するように構成される。作動ワイヤ42は、クリップ350の底側上にクリップ350の遠位端、すなわち突起352の反対側に取り付けられる。作動ワイヤ42は、近位方向および遠位方向に移動されるように構成される。クリップ350は、例えばスプリングまたは他の付勢要素によって、
図3Aおよび
図3Cに示す位置に付勢されてもよい。作動ワイヤ42の近位方向の移動は、突起352を含むクリップ350を、例えばプラスチックのようなクリップ350の材料に基づいて、下方に曲げてアンビル320から遠ざける。しかしながら、突起352を含むクリップ350の遠位端はヒンジで動くようにされていてもよいため、作動ワイヤ42の近位方向の移動により、クリップ350の遠位端が下方に回動させられ、作動ワイヤ42の遠位方向の移動により、クリップ350の遠位端が
図3Aおよび
図3Cに示す位置まで上方に回動させられることが理解されるであろう。
【0036】
ステープラ機器310を操作する方法は、これから記述される。ステープラ機器310は、本明細書中に記述される任意の方法にて標的箇所まで前進されてもよい。ワイヤ40は近位に移動し、ピン320(およびアンビル320)を長手方向軸線Aに沿って近位に移動させ、アンビルをピン320aの周りに旋回させる。ワイヤ40を近位方向に移動することによって、例えばピン320aに向かってワイヤ40が上方に移動され、近位端322を上方へ移動させて、アンビル320を回動させる。アンビル320はまた、近位端322をクリップ350の突起352の傾斜部分に沿って上方へ摺動させることによって、回動されてもよい。加えて、またはあるいは、ピン320aがスロット336の近位端にあるとき、アンビル320はピン320aの周りに回動してもよい。
図3Bおよび
図3Cに示すように、アンビル320の近位への移動および回動は、近位端322を近位に移動させ得るため、クリップ350の突起352がスロット325に係合する。この回動は、遠位端324を本体330に向かって閉鎖形態に移動させる。一旦、突起352がスロット325に係合するとき、アンビル320は、例えば閉鎖形態のような、静止位置に固定されてもよい。アンビル320を解除するために、使用者は作動ワイヤ42を近位に移動し、クリップ350を下方に移動させ、それによって、突起352をスロット325から離間してもよい。同時に、使用者は遠位方向にワイヤ40を押してもよく、これはピン320aを長手方向軸線Aに沿って遠位に移動させ、それによって、スロット325を突起352の遠位に移動してアンビル320を解除する。アンビル320を解除することによって、アンビル320は開口形態に自由に移動することを許容される。
【0037】
図4Aおよび
図4Bは、本開示の別の例にしたがった別の固定機構を示す。アンビル420は、アンビル420の同一の側壁から延びる第一ピン420aおよび第二ピン420bを含む。ワイヤ40は、取り付け機構422aによってアンビル420の近位端422に取り付けられる。アンビル420は第一ピン420aの周りに旋回してもよく、ピン420aは、本体430の中のスロット436の中で長手方向軸線Aに沿って近位および遠位に移動してもよい。凹部438は長手方向軸線Aに沿ってスロット436の遠位において本体430に形成される。開口形態において、第二ピン420bは凹部438から離間されてもよい。閉鎖形態において、第二ピン420bは凹部438に滑り込んで、凹部438に係合してもよく、それによって、アンビル420を閉鎖形態に固定する。
【0038】
ステープラ機器410は、本明細書中に記述される他の例示的なステープラ機器と同様に動作する。ワイヤ40の近位への移動により、ピン420aがスロット436の中で長手方向軸線Aに沿って近位に摺動し、アンビル420が近位に移動する。また、ワイヤ40の近位への移動により、アンビル420がピン420aの周りに回動する。アンビル420の近位への移動およびアンビル420のピン420aの周りの回動により、遠位端424が本体430に向かって回動して、本体430に接近し、第二ピン420bをほぼ長手方向軸線Aに沿って存在させて凹部438と整列させる。ピン420bは凹部438の中に滑り込んでもよく、それによって、アンビル420を閉鎖位置に固定する。いくつかの場合、ピン420bが凹部438に係合されるまで、ピン420bは凹部438の壁に沿って進んでもよい。長尺状部材40の遠位への移動は、アンビル420を遠位に移動してもよく、第二ピン420bを凹部438から解放する。近位端422aへの付勢力および/または力は、アンビルを第一ピン420aの周りに回動させて、開口形態にすることを可能にする。
【0039】
固定機構を有する別のステープラ機器510の例は、
図5Aおよび
図5Bに示される。アンビル520は、アンビル520の側壁から延びるピン520a、遠位端524、および近位端522を含む。ピン520aは、ステープラ機器510の本体530の中のスロット536の中で移動してもよい。スロット536は、本体530の近位端から遠位端に向かって延びる。一対の突起536aは、それらの近位端部分にてスロット536の中に延びる。例えば、第一突起536aはスロット536の底面からスロット536の中に延びており、第二突起536aは第一突起536aの反対側のスロット536の上面からスロット536の中に延びている。突起536aは、それらが移動しないように形成されてもよく、および/または、ピン522aが二つの対向する突起536aの間に形成された空間を通過する際に部分的に変形できる材料から形成されてもよい。あるいは、突起536aは、スロット536の中央に向かって付勢され得るボールノーズスプリングプランジャを含んでもよく、ピン522aが突起536aを通過して移動するときにスロット536の側壁に向かって押されてもよい。ワイヤ40は、アンビル520の近位端522にて取り付け点522aに取り付けられる。本明細書中に記述された他のカートリッジに類似のカートリッジ532は、本体530の中に配置されてもよい。
【0040】
ステープラ機器510の動作は、これから記述される。アンビル520は、
図5Aにおいて開口位置にあり、そこで遠位端524は本体530から遠ざかるように回動されている。ワイヤ40は遠位に移動され、これにより、ピン520aがスロット536の中で近位に移動され、アンビル520が近位に移動される。アンビル520はまた、ピン520aの周りに回動してもよく、遠位端524を本体530に向かって閉鎖位置へと回動させる。ピン520aは、突起536aに向かって近位に、および突起536aを通過して移動してもよい。例えば、突起536aは、スロット536の側壁に向かって移動してもよく、および/または突起536aは、ピン520aが通過するように変形されてもよい。一旦、ピン520aが突起536aの近位に配置されるとき、アンビル520は閉鎖位置に固定される。アンビル520を解除するために、突起536aの遠位にピン520aを移動するために十分な遠位方向の力がワイヤ40にかけられる。一旦、ピン520aが突起536aの遠位に存在するとき、アンビル530は遠位に移動してもよく、開口位置へと回動してもよい。
【0041】
固定機構を有する別のステープラ機器610の例は、
図6Aおよび
図6Bに示される。アンビル610は、アンビル610の同一の側壁から延びる第一ピン620aおよび第二ピン620b、近位端622、および遠位端624を含む。ピン620a、620bは、ステープラ機器610の本体630の中のスロット636の中で移動してもよい。スロット636は、本体630の近位端から遠位端に向かって長手方向軸線Aに沿って延びる。長手方向軸線Aに沿ったおよそ中間において、スロットAの上壁が上方に角度付けられるとともにスロット136の底壁から遠ざかって延び、スロット636の遠位端の表面積を増加させる。スロットAの上壁とスロットAの底壁との間の角度は、約30度から約45度まででもよい。スロット636の角度付けられた部分は、アンビル620が開口形態と閉鎖形態との間を移動することを可能にする。ワイヤ40は、アンビル620の近位端622にて取り付け点622aに取り付けられる。本明細書中に記述された他のカートリッジに類似のカートリッジ632は、本体630の中に配置されてもよい。
【0042】
ステープラ機器610を操作する方法は、これから記述される。ワイヤ40が近位方向に移動され、本体630に向かって遠位端624を回動することが可能である。同時に、第一ピン620aは長手方向軸線Aに沿って近位に摺動し、一方、第二ピン620bはスロット636の角度部分に沿って進む。これは、アンビル620を閉鎖形態に向かって移動させる。すなわち、アンビル620の遠位端624はステープラ機器610の本体630に接近する。
図6Bは、長手方向軸線Aに沿ってのみ配置されたスロット636の一部に制限された第一ピン620aおよび第二ピン620bの両方を示し、そのスロット636の一部はアンビル620を閉鎖形態に固定する。機器を解除するために、ワイヤ40は遠位に移動してもよく、それによって第二ピン620bがスロット636の角度付けられた部分を上って進むことが許容され、アンビル620を開口する。
【0043】
別のステープラ機器710の例は、
図7Aおよび
図7Bに示される。ステープラ機器710の本体730は、第二スロット738の上方に存在する、長手方向軸線Aに沿って延びる第一スロット736を含む。第二スロット738の第一部分は、第一スロット736の長さ分、長手方向軸線Aに平行な長手方向軸線Bに沿って延びる。第二スロット738は、第一スロット736の遠位の位置にて上方に湾曲し、第二スロット738はおよそ長手方向軸線Aにて終点となる。アンビル720と本体730との間の所望の角度によっては、第二スロット738は、長手方向軸線Aの上方または下方にて終点となってもよい。例によれば、第二スロット738の湾曲の曲率半径は、第一ピン720aの中央と第二ピン720bの中央との間の距離に等しくてもよい。アンビル720は、第一ピン720a、およびアンビル720の第一ピン720aと同じ側壁から延びる第二ピン720bを含む。第一ピン720aは、第一スロット736の中に延び、第二ピン720bは第二スロット738の中に延びる。ピンおよびスロットの配置は、アンビル720が開口形態と閉鎖形態との間を移動することを可能にする。ワイヤ40は、アンビル720の近位端722の上の取り付け機構722aに取り付けられる。
【0044】
ステープラ機器710を操作する方法は、これから記述される。ワイヤ40の近位への移動は、ピン720aを第一スロット736の中において長手方向軸線Aに沿って近位に移動させる。同時に、第二ピン720bは、第二スロット738の湾曲部分に沿って移動して長手方向軸線Bに接近し、アンビル720の遠位端724を本体730に接近させる。第二ピン720bが長手方向軸線Bに到達したとき、ピン720bは第二スロット738の中で長手方向軸線Bに沿って近位に移動する。ピン720bを第二スロット738の長手方向軸線Bに沿って配置することによって、アンビル720が閉鎖形態に固定される。本明細書中に記述される他のステープラ機器と同様に、ワイヤ40を遠位方向に移動することによって、アンビル720が開口形態に移動する。例えば、ワイヤ40を遠位方向に移動することによって、アンビル720が遠位に押され、第二ピン720bが第二スロット730の湾曲部分に沿って開口位置に進められ、それによって、アンビル720と本体730との間に把持されたいずれの組織も解放する。
【0045】
ステープラ機器810の別の固定機構は、
図8Aおよび
図8Bに示される。ステープラ機器810は、カートリッジ832および長手方向軸線Aに沿って延びるスロット836を有する本体830を含む。支持部材838は、本体830の上面に対してほぼ垂直に本体830の上面から延び、支持部材838はスロット836の近位にある。アンビル820は、近位端822および遠位端824を含み、その側壁から延びるピン820aを含む。ピン820aは、スロット836の中で長手方向軸線Aに沿って摺動するように構成され、アンビル820はピン820aの周りに回動するように構成される。ワイヤ40は、近位端822の取り付け機構822aに取り付けられる。切欠き821は、近位端822の上面からアンビル820の中に延びる。
【0046】
支持部材838は、本体810の遠位に存在する支持部材838の端部に備え付けられたプーリのような円形部材870を含む。円形部材870は、軸線の周りに回動してもよく、または固定されてもよい。作動ワイヤ42は、外科用装置10の近位端から延び、円形部材870の表面に接触する。固定ピン862は、作動ワイヤ42の遠位端にて取り付けられてもよい。スプリングのような付勢部材860はまた、固定ピン862に取り付けられる。付勢部材860は、固定ピン862における作動ワイヤ42と同一の表面に対して遠位端にて取り付けられており、支持部材838に対して近位端にて取り付けられる。付勢部材860は、固定ピン862を付勢部材860の近位端から遠ざけるように付勢する。
図8Bに示すように、固定ピン862は、本明細書中に記述されるであろうように、切欠き821の中を延びてアンビル820を閉鎖形態に固定するように構成される。
【0047】
ステープラ機器810を固定する方法は、これから記述される。
図8Aは、開口形態にあるアンビル820を示し、そこで遠位端824は本体830から遠ざかるように延びる。使用者は、ワイヤ40を近位方向に移動してもよく、ピン820a(アンビル820を含む)を長手方向軸線Aに沿って近位に摺動させる。ワイヤ40の近位への移動はまた、アンビル820をピン820aの周りに回動させ、遠位端824を本体830に接近させる。アンビル820の近位端822が近位方向に十分に移動されたとき、固定ピン862は付勢部材860によって切欠き821の中に押し込まれ、それによって、アンビル820を閉鎖形態に固定する。
【0048】
アンビル820を解除するために、作動ワイヤ42に力がかけられ、作動ワイヤ42を円形部材870の湾曲した表面に沿って進める。これは、作動ワイヤ42に、切欠き821の上方および外方へ固定ピン862を引かせる。力は、その後、遠位方向にワイヤ40へかけられてもよく、ピン820a(およびアンビル820)を長手方向軸線Aに沿って遠位方向に移動させるため、ピン820aの周りにアンビル820を回動させ、それによって、アンビル820を開口形態に移動する。
【0049】
図9Aおよび
図9Bは、ステープラ機器910の固定機構のさらに別の例を示す。ステープラ機器910は、カートリッジ932および円形開口936を有する本体930を含む。アンビル924から延びるピン920aは開口936の中に受け入れられてもよく、アンビル920はピン920aの周りに回動してもよく、アンビル920の近位端922および遠位端924を開口形態から閉鎖形態へと移動する。ステープラ機器910が円形開口936を備えて示される一方、ステープラ機器910は、(本明細書中の例に記述されるスロットのような)スロットを代わりに含んでもよく、それはアンビル920がピン920aの周りに回動することに加えて、スロットの中で近位および/または遠位に移動することを許容する。ワイヤ40は、近位端922における取り付け機構922aに取り付けられる。近位端922はまた、切欠き921を含み、それはアンビル920が閉鎖形態(
図9B)にあるときに近位方向を向く。切欠き921は、作動ワイヤ42の遠位端に取り付けられた固定ピン42aを受け入れて、閉鎖形態にアンビル920を固定してもよい。使用者は、作動ワイヤ42を近位および遠位に移動してもよい。あるいは、または加えて、作動ワイヤ42は、付勢部材(例えばスプリング)によって遠位方向に付勢されてもよい。作動ワイヤ42の近位への移動によって、付勢機構に打ち勝って切欠き921から固定ピン42aが引き抜かれてもよい。
【0050】
ステープラ機器910の動作は、これから記述される。
図9Aに示す開口形態において、アンビル920の遠位端924は、本体930から遠ざかるように回動される。ワイヤ40の近位への移動により、アンビル920がピン920aの周りに回動され、本体930に向かって閉鎖形態に遠位端924が移動される。アンビル920の回動はまた、近位端922が上方かつ近位に移動することを許容し、切欠き921を固定ピン42aと整列する。一旦、切欠き921および固定ピン42aが整列されるとき、
図9Bに示すように、作動ワイヤ42は遠位に移動してもよく、固定ピン42aを切欠き921に係合させ、アンビル920を閉鎖形態に固定する。固定ピン42aの位置は、摩擦力によって維持されてもよい。あるいは、固定ピン42aが切欠き921に配置されている間、作動ワイヤ42は、ステープラ機器910と同時かつ同方向に移動されてもよく、切欠き921の中の固定ピン42aの位置を維持する。ステープラ機器910を解除するために、使用者は作動ワイヤ42を近位に移動してもよく、固定ピン42aを切欠き921の外へ移動させる。使用者は、その後、ワイヤ40を遠位方向に移動してもよく、アンビル920をピン920aの周りに回動してアンビル920を開口形態に移動する。
【0051】
ステープラ機器1010の固定機構の別の例は、
図10A~10Cに示される。ステープラ機器1010は、スロット1036を有する本体1030、およびスロット1036の中で摺動可能なピン1020aを有するアンビル1020を含む。スロット1036は、長手方向に延びる第一アーム1036a、および第一アーム1036aの遠位端から延びる第二アーム1036bを含む。第一アーム1036aと第二アーム1036bとの間に形成された角度は、約90度から約180度または約135度の間である。本明細書中に記述される他のステープラ機器と同様に、ワイヤ40はアンビル1020の取り付け機構1022aから延びる。ワイヤ40の近位および遠位への移動は、ピン1020aをスロット1036の中で摺動させて、アンビル1020を近位または遠位に移動させてもよい。
【0052】
T型部材1039は、本体1030の底からアンビル1020に向かって垂直に突出する。T型部材1039は、本体1030の中に配置されたカートリッジ1032の近位であってもよく、またはT型部材1039はカートリッジ1032を通って突出してもよい。アンビル1020は、長手方向スロット1037bに連結された垂直スロット1037aを含む。垂直スロット1037aは、長手方向スロット1037bの近位に配置され、長手方向スロット1037bは垂直スロット1037aから遠位に延びる。
図10Aおよび
図10Cに示すように、垂直スロット1037aは、長手方向スロット1037bの長さに沿ってアンビル1020の内側に延びる。例えば、長手方向スロット1037bおよび垂直スロット1037aは、T型スロットを形成してT型部材1039を受け入れる。T型部材1039の上部は、垂直スロット1037aと係合するように構成される。T型部材1039が垂直スロット1037aに係合された後、アンビル1020の近位への移動により、垂直スロット1037aをT型部材1039の近位に移動させてもよく、T型部材1039の脚を長手方向スロット1037bに通して突出させ、長手方向スロット1037bに沿って摺動させる。この方法で、アンビル1020はT型部材1039に対して固定されてもよい。
【0053】
アンビル1020の操作は、本明細書中に記述されたものと類似の方法でアンビル1020を開口形態に移動することを含む。例えば、ワイヤ40にかけられた力は、アンビル1020を近位方向に移動させることを可能にする。ピン1020aがスロット1036の第二アーム1036bに沿って移動するとき、アンビル1020は上方に押され、T型部材1039は垂直スロット1037aを離間し、それによって、アンビル1020を開口形態に移動する。
【0054】
ステープラ機器1110のさらに別の固定機構は、
図11Aおよび
図11Bに示される。ステープラ機器1110はステープラ機器1010に類似しており、カートリッジ1132を有する本体1130、円形開口1136、および開口1136の近位の本体1130の上面から延びる二つの支持部材1138a、1138bを含む。アンビル1120は、近位端1122および遠位端1124を含み、アンビル1120の側壁から延びるピン1120aを含む。アンビル1120は、ピン1120aの周りに回動するように構成されている。ワイヤ40は、近位端1122の取り付け機構1122aに取り付けられる。ステープラ機器1110が円形開口1136とともに示される一方、ステープラ機器1110は、(本明細書中の例に記述されるスロットのような)スロットを代わりに含んでもよく、それはアンビル1120がピン1120aの周りに回動することに加えて、近位および/または遠位に移動することを許容する。切欠き1121は、近位端1122の上面からアンビル1120の中に延びる。
【0055】
近位支持部材1138aは、プーリのような円形部材1170を含む。円形部材1170は、本体1130の遠位の端部にて備え付けられる。円形部材1170は、軸線の周りに回動してもよく、または固定されてもよい。作動ワイヤ42は、外科用装置10の近位端から延び、円形部材1170の表面に接触する。固定ピン1162は、作動ワイヤ42の遠位端にて取り付けられてもよい。固定ピン1162は、支持部材1138aと支持部材1138bとの間に規定されるチャネル1139の中に延びてそのチャネルに沿って移動してもよい。
図11Bに示すように、固定ピン1162は、本明細書中に記述されるであろうように、切欠き1121の中に延びてアンビル1120を閉鎖形態に固定するように構成される。
【0056】
ステープラ機器1110を固定する方法は、これから記述される。
図11Aは、本明細書中に記述されるように、開口形態にあるアンビル1120を示す。使用者は、ワイヤ40を近位方向に移動してもよく、アンビル1120をピン1120aの周りに回動させ、それによって、順々に、遠位端1124が本体1130に接近され、近位端1122が上方へ移動され、スロット1121がチャネル1139と整列される。使用者は、その後、作動ワイヤ42を遠位方向に移動してもよく、スロット1121に固定ピン42aを係合し、それによって、アンビル1120を閉鎖位置に固定する。
【0057】
アンビル1120を解除するために、近位の力が作動ワイヤ42にかけられ、作動ワイヤ42を円形部材1170の湾曲した表面に沿って進ませ、チャネル1139の中およびスロット1121の外に固定ピン1162を移動させる。遠位の力は、その後、ワイヤ40にかけられてもよく、ピン1120aの周りにアンビル1120を引き起こし、それによって、アンビル1120を開口形態に移動する。
【0058】
あるいは、固定ピン1162は、本体1130の底から導入されてもよい。例えば、チャネル1139は、本体1130の底面から本体1130の中に延びてもよい。言い換えれば、円形表面1170および支持部材1138a、1138bは、本体1130の底面から延びてもよい。作動ワイヤ42および固定ピン1162の操作は、支持部材1138a、1138bが本体1130の上面から延びる形態と同じである。
【0059】
固定機構を有する別のステープラ機器1210の例は、
図12A~12Cに示される。アンビル1220は、アンビル1210の側壁から延びるピン1220a、遠位端1224、および近位端1222を含む。ピン1220aは、ステープラ機器1210の本体1230の中のスロット1236の中で移動してもよい。スロット1236は、本体1230の近位端から遠位端に向かって延び、上方に角度付けられた第二部分を含んでもよい。この追加部分は、アンビル1230の動作の追加範囲を提供し得ることが理解されるであろう。近位端1222は、遠位に向くフック1222bを含み、本体1230の底面にて開口1238と嵌合してもよい。解放機構1242は、本体1230の下方から本体1230の底面に向かって延びてもよい。解放機構1242は、
図12Cに示すように、斜面として機能する平面要素でもよい。ワイヤ40は、アンビル1220の近位端1222にて取り付け点1222aに取り付けられる。本明細書中に記述された他のカートリッジに類似のカートリッジ1232は、本体1230の中に配置されてもよい。
【0060】
ステープラ機器1210の動作は、これから記述される。アンビル1220は、
図12Aにおいて開口位置にあり、そこで遠位端1224は本体1230から遠ざかるように回動される。ワイヤ40は遠位に移動され、このことにより、ピン1220aがスロット1236の中で近位に移動され、アンビル1220が近位に移動される。アンビル1220はまた、ピン1220aの周りに回動してもよく、遠位端1224を本体1230に向かって閉鎖位置に回動させる。アンビル1230が近位に移動するとき、フック1222bは、開口1238および本体1230の底面に係合してもよく、それによって、
図12Bに示すように、アンビル1230を閉鎖位置に固定する。アンビル1230を解除するために、ワイヤ40は近位に移動され、フック1238を本体1230の底面から離間させる。解放機構1242は、その後、
図12Cに示すように、フック1222bの遠位の開口1238の中に移動されてもよい。ワイヤ40は、その後、遠位方向に移動されてもよく、アンビル1220を遠位に移動し、フック1222bを解放機構1242の上面に沿って摺動する。これは、開口1238に係合することなく、フック1222bが開口1238の遠位に移動することを可能にし、これによって、アンビル1220を解除してもよい。一旦、フック1222bが開口1238の遠位となるとき、アンビル1220は遠位に移動してもよく、開口位置へと回動してもよい。
【0061】
ステープラ機器の別の固定機構の例は、
図13A~13Cに示される。外科用装置10のステープラ機器1310は、本明細書中に記述される他のステープラ機器に類似しており、カートリッジ1332を有する本体1330およびそれに枢動可能に連結されるアンビル1320を含む。ピン1320aは、アンビル1320の側面から延び、本体1330のスロット1336の中で摺動する。スロット1336は、
図13Aに示すように湾曲していてもよいが、この形態に制限されない。ワイヤ40は、ギアスライダ1321の近位端から延び(
図13B参照)、ワイヤ40は本体1330の近位端から延びて近位および遠位に移動するように構成される。
【0062】
図13Bに示すように、複数の歯1322aは、アンビル1320の円形近位端1322から周方向に延びる。歯1322aは、ギアスライダ1321に接触してギアスライダ1321と協働してもよく、対応する歯1321aは、ギアスライダ1321の表面から延びる。ワイヤ40は、ギアスライダ1321の近位端から延びており、ワイヤ40の移動は、ギアスライダ1321が近位および遠位に移動することを許容してもよい。例えば、ギアスライダ1321の歯1321aおよび近位端1322の歯1322aは、ラックアンドピニオン形態を形成してアンビル1320を移動する。
【0063】
ステープラ機器1310を操作するために、使用者は、ワイヤ40を近位および遠位に移動してもよい。ワイヤ40の遠位への移動は、アンビル1320を開口形態に移動させる。ワイヤ40の近位への移動は、アンビル1320を閉鎖形態に移動させる。アンビル1320は、アンビル1320の歯1322aとギアスライダ1321の歯1321aとの間の摩擦力によって、開口形態または閉鎖形態に固定されてもよい。
【0064】
別のステープラ機器1410は、
図14Aおよび
図14Bに示される。ステープラ機器1410は、本体1430、カートリッジ1432、およびフード1435を含む。本体1430は、本体1430から上に延びるとともにフード1435を受け入れるように形成された延長部分を含んでもよい。フード1435は、溶接、接着等を含む任意の機構によって、本体1430に取り付けられてよい。あるいは、フード1435は、本体1430とともに単一の部分として形成されてもよい。フード1435は、長手方向軸線Aに沿って近位-遠位方向に延びるスロット1436を含む。いくつかの形態において、例えばフード1435が本体1430と一体に形成されていない場合、フード1435が本体1430に取り付けられるまで、スロット1436は本体1430に配置されない。アンビル1420は、近位端1422、遠位端1424、アンビル1420の側面から延びるピン1420a、および近位端1422における取り付け点1422aを含む。ワイヤ40は、取り付け点1422aに取り付けられる。アンビル1420はピン1420aの周りに回動するように構成されており、ピン1420aおよびアンビル1420は長手方向軸線Aに沿って移動してもよい。フード1435は、側壁1439に連結されるとともにチャネル1438を規定する上部1437を含む(
図14C参照)。本明細書中に記述されるであろうように、チャネル1438はアンビル1420を受け入れてもよく、上部1437はアンビル1420に接触し、閉鎖形態にアンビル1420を押し込んでもよい。
【0065】
ステープラ機器1410を操作する方法は、これから記述される。ピン1420aがスロット1436の遠位端に配置されるとき、アンビル1420は
図14Aにおいて開口形態にある。近位方向のワイヤ40の移動により、近位端1422を上方および近位に移動させる。アンビル1420は、フード1435の上部1437の内側表面に接触し、遠位端1424を本体1430に向かって閉鎖形態に押し込む。ワイヤ40の連続した近位への移動により、長手方向軸線Aに沿って近位端までピン1420aが移動され、アンビル1420が本体1430に向かって完全に回動される。フード1435の上部1437は、閉鎖形態においてアンビル1420に接触し、アンビル1420を閉鎖位置に固定する助けとなる。
【0066】
アンビル1420を開口するために、ワイヤ40は遠位に移動され、ピン1420aをスロット1436の中において長手方向軸線Aに沿って遠位に摺動させる。アンビル1420がフード1435の遠位に摺動するとき、アンビル1420はピン1420aの周りに回動し、遠位端1424は上方へ本体1430から遠ざかるように開口形態に回動する。
【0067】
図14C~14Fは、様々なフード設計、およびステープラ機器1430の本体へのフードの取り付け位置を示す。例えば、本明細書中に記述されるように、
図14Cは一例にしたがったフード1435を示す。フード1435は、側壁1439を連結する上部1437を含み、それらはチャネル1438を規定している。フード1435が本体1430に連結されるとき(
図14D参照)、スロット1436は近位-遠位方向に延びる。垂直スロット1436aは、スロット1436の遠位端から垂直下方に延びる。垂直スロット1436aは、組み立ての間、ピン1420aを受け入れてもよい。フードが本体1430の壁1431に取り付けられるとき、垂直スロット1436aの開口端は閉鎖されてもよい。例えば、側壁1438は、壁1431の外側表面上に配置されてもよい。フード1435は、壁1431の各々の上面1431aが垂直スロット1436aをカバーするように配置および取り付けされてもよく、それによって、スロット1436の中のピン1420aを保護する。
【0068】
別のフード1435’は、
図14Eに示される。フード1435’は、垂直スロット1436aを含まない。ピン1420aは、組み立ての間に側壁を押し開くことによって、スロット1436に係合してもよい。フード1435’は、本明細書中に記述された任意の方法を使用して壁1431に取り付けられてもよい。
【0069】
図14Fは、さらに別の例にしたがったフード1435”を示す。フード1435”の側壁1439は、上部1437aおよび底部1437bの両方によって連結される。フード1435”は、組み立ての間、本体1430の上を摺動してもよく、本明細書中に記述される任意の方法を使用して側壁1431に取り付けられてもよい。
【0070】
本明細書中に記述された固定機構のいずれも、本明細書中に記述された一つ以上の他の固定機構とともに使用されるか、または本明細書中に記述された一つ以上の他の固定装置と組み合わせて使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0071】
種々の医療システムが記述されているが、これらの締結システム中の要素の特定の配置は制限されないことが理解されるであろう。さらに、締結システムの大きさ、形状、および/または材料は、制限されない。本明細書に記述されるように、様々な固定機構によって、締結手術の間、アンビルの閉鎖形態が維持される。例えば、ある手術において、様々な医療手術を実施することが、組織の適切な締結を確実にすることによって改善され得る。
【0072】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された機器に様々な修正および変更がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。本開示の他の実施形態は、明細書および本明細書中に開示された発明の実施を検討すれば、当業者にとって明らかであろう。明細書および例は、典型的なものとしてみなされることのみを意図されており、発明の真の範囲および主旨は、以下の特許請求の範囲によって示されている。