(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】湾曲した外科用ステープラにおけるステープル高さの一貫性を向上させるための機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2023506267
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2021056957
(87)【国際公開番号】W WO2022024055
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2024-05-28
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コートライト・ニコラス・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ザークル・ジェイソン・イー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-504807(JP,A)
【文献】特表2019-502468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0278343(US,A1)
【文献】国際公開第2020/136482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)複数のステープルを含むハウジング
(28)と、
(b)前記ハウジングと対向したアンビル
(26)であって、前記アンビルと前記ハウジングとは、協働して組織をクランプするように構成され、前記アンビルは、前記ハウジングからクランプされた前記組織内に射出されたステープルを成形するように構成されている、アンビル
(26)と、
(c)前記アンビルと結合された裏当て部材
(168)と、
(d)前記裏当て部材と前記装置の隣接する要素との間に間隙
(252、352、452、552)を画定する凹面
(210、310、410、510)と、を備え、
前記アンビルが、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙に向かう方向に撓むように構成されている、装置。
【請求項2】
前記ハウジング
(28)、前記アンビル
(26)、及び前記裏当て部材
(168)のそれぞれが、弓状経路に沿って延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記凹面
(210、510)が、前記裏当て部材
(168)によって画定されている、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記アンビル
(26)が前記ハウジング
(28)の遠位に配置され、前記裏当て部材
(168)が前記アンビル
(26)の遠位に配置されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記裏当て部材
(168)が、第1の端部
(226)と、第2の端部
(228)と、それらの間の中間部分
(230)とを含み、前記裏当て部材
(168)が前記裏当て部材
(168)の前記中間部分
(230)において最大深さを有する凹形凹部を含むように、前記凹面
(210、510)が前記裏当て部材
(168)によって画定され
、場合により、
前記凹面(210)が前記裏当て部材(168)の近位側面に画定され、前記間隙(252)が前記裏当て部材(168)の前記近位側面と前記アンビル(26)の遠位側面との間に画定され、前記アンビル(26)が、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙(252)内に撓むように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記裏当て部材
(168)を支持するように構成された支持構造体
(128)を更に備え、前記凹面
(210、310、410、510)が、前記アンビル
(26)、前記裏当て部材
(168)、又は前記支持構造体
(128)のうちの1つによって画定され
、場合により、
前記支持構造体(128)が近位部分(131)及び遠位部分(135)を含み、前記近位部分(131)が前記ハウジング(28)を支持するように構成され、前記遠位部分(135)が前記アンビル(26)及び前記裏当て部材(168)を支持するように構成されている、請求項1
~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジング
(28)が、前記アンビル
(26)に対して組織をクランプするように前記支持構造体
(128)に対して遠位方向に作動可能である、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング
(28)及び前記アンビル
(26)に対して移動可能なナイフ
(32)を更に備え、前記ナイフ
(32)が、クランプされた前記組織を切断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記裏当て部材
(168)が、前記ナイフ
(32)と協働してクランプされた前記組織を切断するように構成された切断機構
(169)を含
み、場合により、
前記アンビル(26)が細長いスロット(152)を含み、前記切断機構(169)が、前記細長いスロット(152)を通って前記ハウジング(28)に向かう方向に突出する突起を含む、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
外科用器具であって、
(a)本体
(12)と、
(b)前記本体
(12)から遠位方向に延在するシャフト
(14)と、
(c)前記シャフトの遠位端のエンドエフェクタ
(16)であって、請求項1に記載の装置を含む、エンドエフェクタ
(16)と、を備える、外科用器具。
【請求項11】
前記エンドエフェクタ
(16)が、前記裏当て部材
(168)を支持する支持構造体
(128)を含み、前記凹面
(210、310、410、510)が、前記アンビル
(26)、前記裏当て部材
(168)、
若しくは前記支持構造体
(128)のうちの1つによって画定され
、かつ/又は、
前記ハウジング(28)、前記アンビル(26)、及び前記裏当て部材(168)が、前記支持構造体と着脱可能に結合されたユニットを共に画定する、請求項
10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記裏当て部材(168)が前記凹面(210、510)を含み、前記アンビル(26)が、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記凹面(210、510)に向かう方向に撓むように構成されている、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記アンビル
(26)が前記ハウジング
(28)の遠位に配置され、前記裏当て部材
(168)が前記アンビル
(26)の遠位に配置され、前記凹面
(210、510)が前記裏当て部材
(168)の近位側面又は遠位側面の一方によって画定されている、請求項
12に記載の
外科用器具。
【請求項14】
前記シャフト
(14)がシャフト軸に沿って長手方向に延在し、前記ハウジング
(28)と前記アンビル
(26)とが協働して前記シャフト軸に直交する平面内で組織をクランプするように構成されている、請求項
12又は13に記載の
外科用器具。
【請求項15】
前記シャフト(14)がシャフト軸に沿って前記本体(12)から遠位方向に延在し、前記アンビル(26)が前記ハウジング(28)の遠位に配置され、前記アンビル(26)と前記ハウジング(28)とが協働して前記シャフト軸と交差する平面内で組織をクランプするように構成され、前記裏当て部材(168)が前記アンビル(26)の遠位側面に結合され、前記裏当て部材(168)の近位側面が、前記裏当て部材(168)と前記アンビル(26)の前記遠位側面との間に間隙(252)を画定する前記凹面(210)を含み、前記アンビル(26)が、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙(252)内へと遠位方向に撓むように構成され、場合により、
前記ハウジング
(28)、前記アンビル
(26)、及び前記裏当て部材
(168)のそれぞれが、前記シャフト軸が交差する対応する平面内で弓状経路に沿って延在する、請求項
10に記載の
外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の外科用ステープラは、1つ又は2つ以上の患者の組織層をクランプし、組織層を通してステープルを成形して、成形されたステープルの付近の組織層同士を実質的に封止し、組織層を切断して、作動的に封止された組織の切断端を形成するように動作可能である。例示的なステープル留め器具は、一対の協働する細長いジョー部材を含む場合があり、各ジョー部材が患者に挿入され、ステープル留め及び/又は切開される組織に対して位置付けられるように適合され得る。ジョー部材のうちの一方は、横方向に間隔を置いて配置された少なくとも2列のステープルを中に収容したステープルカートリッジを支持することができ、他方のジョー部材は、ステープルカートリッジ内のステープル列と位置合わせされたステープル成形ポケットを有するアンビルを支持することができる。一般に、ステープル留め器具は、押し込みバー上のカム面、及び/又は押し込みバーによって押し込まれるウェッジスレッド上のカム面を介して、ステープルカートリッジからステープルを連続的に又は同時に射出するために、ジョー部材に対して摺動可能な押し込みバー及びナイフブレードを更に含み得る。ステープルをアンビルに対して押し込み、ジョー部材の間で把持された組織内に横方向に間隔を置いて配置された変形したステープルの列を形成するために、カートリッジによって保持され、ステープルと関連付けられた1つ又は2つ以上のステープルドライバを作動させるように、カム面を構成し得る。このような列は、患者の組織を所定のパターンの形態で連続的に又は同時にステープル留め及び切断を行うための直線状の列及び/又は弓状の列として配置され得る。ナイフブレードは、カム面を追跡し、組織に形成されたステープルの列の間の直線状又は弓状の線に沿って組織を切断し得る。
【0002】
単に例示的な外科用ステープラが、2006年1月24日に発行された「Retaining Pin Lever Advancement Mechanism for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第6,988,650号;2006年11月14日に発行された「Knife Retraction Arm for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,134,587号;2006年12月12日に発行された「Closure Plate Lockout for a Curved Cutter Stapler」 と題する米国特許第7,147,139号、2006年12月12日に発行された「Cartridge Retainer for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,147,140号;2007年4月17日に発行された「Slotted Pins Guiding Knife in a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,204,404号;及び2007年4月24日に発行された「Cartridge with Locking Knife for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,207,472号に開示されている。更なる単なる例示的な外科用ステープラは、2005年6月30日に公開された発明の名称が「Replaceable Cartridge Module for a Surgical Stapling and Cutting Instrument」である米国特許出願公開第2005/0139636号、2005年6月30日に公開された発明の名称が「Curved Cutter Stapler Shaped for Male Pelvis」である米国特許出願公開第2005/0143759号、2005年7月7日に公開された発明の名称が「Curved Cutter Stapler with Aligned Tissue Retention Feature」である米国特許出願公開第2005/0145672号に開示されている。
【0003】
米国特許出願公開第2020/038018(A1)号は、クラウンと、クラウンから延在する変形可能な部材とを含む外科用ステープルを開示しており、変形可能な部材は、ステープルが第1の形状から第2の形状に変形される際に変形可能な部材をノッチにおいて曲げるように構成されたノッチを有している。
【0004】
米国特許出願公開第2017/189022(A1)号は、ハンドルアセンブリ、シャフトアセンブリ、及びエンドエフェクタを有する外科用器具を含む、患者の組織を操作するための方法を開示している。
【0005】
外科用ステープラを患者に挿入して、結腸直腸外科手術を行うことができる。このような手術は、患者の結腸を全体的に又は部分的に作動的に封止、切断、及び除去するためにステープラを使用することを含み得る。例えば、結腸直腸癌細胞の拡散を処置及び防止するために低位前方切除(lower anterior resection、「LAR」)の間に直腸結腸切除を行うことができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の設定及び処置において使用され得る。
【0006】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が製造及び使用されてきたが、本発明者ら以前の誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を製造又は使用したことがないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の大まかな説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1A】ピン作動機構が開放位置にあり、器具のエンドエフェクタのステープルカートリッジユニットが開放位置にある、例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図1B】ピン作動機構が閉鎖位置にあり、ステープルカートリッジユニットが開放位置にある、
図1Aの外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図1C】閉鎖機構の作動により、ピン作動機構が閉鎖位置にあり、ステープルカートリッジユニットが閉鎖位置にある、
図1Aの外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図1D】ピン作動機構及びステープルカートリッジユニットが閉鎖位置にあり、患者の組織をステープル留め及び切断するための発射トリガが発射位置にある、
図1Aの外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図2】
図1Aのステープルカートリッジユニットの遠位斜視図を示す。
【
図3】
図2のステープルカートリッジユニットの近位斜視図を示す。
【
図4】
図2のステープルカートリッジユニットの分解斜視図を示す。
【
図5】
図2のステープルカートリッジユニットの例示的な切断ワッシャの近位斜視図を示す。
【
図6】
図5の切断ワッシャの中間部分の拡大斜視図を示す。
【
図7A】
図1Dの線7-7に沿った
図1Aの外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの一部の概略断面図を示し、撓んでいない状態にあるステープルカートリッジユニットのアンビルと相互作用する切断ワッシャの凹形近位側面を示す。
【
図7B】
図1Dの線7-7に沿った、
図7Aのエンドエフェクタ部分の別の概略断面図を示し、撓んだ状態のアンビルと相互作用する切断ワッシャ組織の凹形近位側面を示す。
【
図8】支持構造体に対して撓んでいない状態にあるエンドエフェクタのアンビル及び切断ワッシャを示す、凹形近位側面を有する支持構造体を有する別の例示的なエンドエフェクタの一部の概略断面図を示す。
【
図9】切断ワッシャ及び支持構造体に対して撓んでいない状態にあるアンビルを示す、凹形遠位側面を有するアンビルを有する更に別の例示的エンドエフェクタの一部の概略断面図を示す。
【
図10】支持構造体に対して撓んでいない状態にある切断ワッシャ及びアンビルを示す、凹形遠位側面を有する切断ワッシャを有する更に別の例示的なエンドエフェクタの一部の概略断面図を示す。
【0008】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0010】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点も、更に理解されよう。それゆえに、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義される。「近位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。便宜的にかつ明確にするために、「垂直」、「水平」、「下側」、「上側」、「前方」、及び「後方」など、空間に関する用語は、本明細書において、図面を基準にして用いられることが更に理解されるだろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0012】
本明細書で使用されるとき、任意の数値、又は数値の範囲に関連する「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な寸法の許容誤差を包含することが意図されている。
【0013】
I.例示的な外科用ステープラの概要
図1A~
図1Dは、ハンドルアセンブリ(12)と、ハンドルアセンブリ(12)から遠位に延在するシャフトアセンブリ(14)と、シャフトアセンブリ(14)の遠位端にあるエンドエフェクタ(16)とを含む例示的な外科用ステープラ(10)を示す。本明細書では、「近位」、「遠位」、「右」、「左」といった用語は、外科用ステープラ(10)のハンドルアセンブリ(12)を握っている臨床医を基準として使用されることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(16)は、比較的近位にあるハンドルアセンブリ(12)に対して遠位にある。本明細書において他に記載のない限り、外科用ステープラ(10)は
、2005年6月30日公開の発明の名称が「Curved Cutter Stapler Shaped for Male Pelvis」である米国特許出願公開第2005/0143759号、及び/又
は2019年2月5日発行の発明の名称が「Surgical Instrument Comprising Systems for Assuring the Proper Sequential Operation of the Surgical Instrument」である米国特許第10,194,913号の教示の少なくとも一部に従って構成し、機能させることができる。
【0014】
ハンドルアセンブリ(12)は、外科手術中にエンドエフェクタ(16)を操作するためのいくつかの作動機構を含む。このために、例示的なハンドルアセンブリ(12)は、鞍状の摺動部(18)と、閉鎖トリガ(20)と、シャフトアセンブリ(14)を介してエンドエフェクタ(16)と連通する発射トリガ(22)とを含む。
図1Aは、エンドエフェクタ(16)内に取り付けられた交換可能なカートリッジユニット(24)の、アンビル(26)とカートリッジユニット(24)のカートリッジハウジング(28)との間の間隙(25)内に横方向に組織を受容するようにエンドエフェクタ(16)が構成されるように、開いた構成にある摺動部(18)及び閉鎖トリガ(20)を示す。以下により詳細に記載されるように、アンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間に組織を捕捉するために、
図1Bに示されるように、摺動部(18)をエンドエフェクタ(16)に向けて遠位に並進させることにより、エンドエフェクタ(16)の保持ピン(30)が遠位に摺動する。
図1C及び
図1Dに示されるように、閉鎖トリガ(20)及び発射トリガ(22)をそれぞれ、連続的に作動させることにより、閉じた構成にあるアンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間の組織を圧縮し、次いで、組織において複数のステープル(図示せず)を成形し、湾曲したナイフ(32)(
図4参照)で組織を切断する。
【0015】
A.外科用ステープラのハンドルアセンブリ及びシャフトアセンブリ
図1Aに示すように、外科用ステープラ(10)のハンドルアセンブリ(12)は、ハンドルハウジング(34)と、ハンドルハウジング(34)内に収容された近位部分(図示せず)と、シャフトアセンブリ(14)に沿って遠位に延在する細長い遠位部分とを有する一対のハンドルフレームプレート(35、36)とを含む。簡潔に上述したように、ハンドルアセンブリ(12)は、鞍状の摺動部(18)と、閉鎖トリガ(20)と、発射トリガ(22)とを更に含む。ハンドルハウジング(34)は、操作者が少なくとも片手の掌で把持することができるハンドグリップ(38)を画定する。本実施例のハンドルハウジング(34)は、右シュラウドハンドル部分(40)及び左シュラウドハンドル部分(42)によって形成される。閉鎖トリガ(20)は発射トリガ(22)に対して近位に位置付けられる。各トリガ(20、22)はフレームプレート(35、36)に枢動可能に取り付けられ、ハンドルハウジング(34)の下面を通って露出されて、操作者の指によって操作される。
図1Aは、エンドエフェクタ(16)の閉鎖、及びステープル(図示せず)及び湾曲したナイフ(32)の発射の前の、非作動位置にある閉鎖及び発射トリガ(20、22)を示す。このように、カートリッジハウジング(28)は、カートリッジハウジング(28)とアンビル(26)との間の間隙(25)内に組織を受容するためにアンビル(26)から近位方向に離間している。
【0016】
外科用ステープラ(10)は、閉鎖及び発射トリガ(20、22)の作動より前に、組織保持ピン作動機構(37)によって組織を捕捉するように動作可能である。組織保持ピン作動機構(37)は、ハンドルアセンブリ(12)の摺動部(18)と、エンドエフェクタ(16)の組織保持ピン(30)と、シャフトアセンブリ(14)の細長いプッシュロッド(50)とを含む。摺動部(18)はハンドルハウジング(34)の上面に取り付けられており、近位位置と遠位位置との間で直線的に並進するように構成されている。プッシュロッド(50)は、摺動部(18)を組織保持ピン(30)と動作可能に結合し、これにより、摺動部(18)が長手方向に並進すると、プッシュロッド(50)を介して、近位開放位置(
図1Aを参照)と遠位閉鎖位置(
図1Bを参照)との間での組織保持ピン(30)の長手方向の作動が駆動される。
【0017】
外科用ステープラ(10)の閉鎖機構(52)は、カートリッジハウジング(28)とアンビル(26)との間に組織をクランプするために、カートリッジユニット(24)のカートリッジハウジング(28)を近位開放位置(
図1A)と遠位閉鎖位置(
図1C)との間で選択的に作動させるように構成されている。閉鎖機構(52)は、ハンドルアセンブリ(12)の閉鎖トリガ(20)と、その近位端において閉鎖トリガ(20)と結合された細長い閉鎖部材(54)とを含む。閉鎖部材(54)は、概ねU字形の断面を有しており、ハンドルアセンブリ(12)からシャフトアセンブリ(14)を通ってエンドエフェクタ(16)内へと遠位に延在し、これにより、閉鎖部材(54)の遠位端は、
図2に示すように、カートリッジユニット(24)をエンドエフェクタ(16)内に受容するように構成されている。閉鎖部材(54)の近位端は、閉鎖トリガ(20)の枢動運動を閉鎖部材(54)の並進に変換するように構成された複数のリンク部(図示せず)によって閉鎖トリガ(20)と作動的に接続されている。したがって、閉鎖トリガ(20)をピストルグリップ(38)に向かって閉鎖位置(
図1C)まで枢動させると、閉鎖部材(54)が遠位に駆動され、これによってカートリッジハウジング(28)がアンビル(26)に向かって遠位に駆動されて、カートリッジハウジング(28)とアンビル(26)との間に組織をクランプする。続いて、閉鎖トリガ(20)をピストルグリップ(38)から離れて開放位置(
図1A)まで枢動させると、閉鎖部材(54)が近位に駆動され、これによりカートリッジハウジング(28)がアンビル(26)から離れて近位に駆動されて、ステープル留めされた組織を解放する。
【0018】
いくつかの変形形態では、閉鎖部材(54)は、操作者が閉鎖トリガ(20)を引いたときに、組織保持ピン作動機構(37)と協働して、保持ピン(30)をその閉鎖位置まで遠位に自動的に作動させるように更に構成されてもよい。このような自動化は、操作者が閉鎖トリガ(20)を引く前に摺動部(18)を介して保持ピン(30)を遠位に手動で作動させなかった場合に有用であり得る。閉鎖トリガ(20)は、ハンドルハウジング(34)内に収容された弾性部材(図示せず)によって開放位置に向かって付勢されてもよい。
【0019】
外科用ステープラ(10)の発射機構(80)は、ハンドルアセンブリ(12)の発射トリガ(22)の操作に応答してエンドエフェクタ(16)を作動させ、アンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間にクランプされた組織をステープル留め及び切断するように構成されている。その点で、発射機構(80)は、発射トリガ(22)と、カートリッジユニット(24)と、シャフトアセンブリ(14)を通って長手方向に延在して、発射トリガ(22)をカートリッジユニット(24)と動作可能に結合する細長い発射バー(図示せず)とを含む。発射トリガ(22)は、閉鎖トリガ(20)が最初に枢動閉鎖されたときだけ発射トリガ(22)が閉鎖され得るように、閉鎖トリガ(20)の遠位に位置付けられている。発射トリガ(22)を開放位置(
図1C)から閉鎖(又は「発射」)位置(
図1D)に向かって枢動させると、発射バーが遠位に駆動され、次にカートリッジハウジング(28)の内部構成要素が遠位に駆動され、それによって、以下により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織をステープル留め及び切断する。
【0020】
閉鎖トリガ(20)及び発射トリガ(22)の一方又は両方は、1つ又は2つ以上の枢動位置に、例えば、完全に閉鎖された位置、及び/又は完全に開放(すなわち、非作動)と完全に閉鎖(すなわち、完全に作動される)との間の1つ又は2つ以上の中間位置などに、解放可能にロックするように構成されてもよい。したがって、有利には、操作者は、外科手術中に別のタスクを実施するために、トリガ(20、22)及びハンドグリップ(38)から1つ又は2つ以上の手を解放することができるが、トリガ(20、22)はその位置を維持する。次いで、操作者は、ハンドルアセンブリ(12)の近位端に配置された解放ボタン(23)を押下することによって、トリガ(20、22)をそのロック状態から解放することができる。
【0021】
図示されていないが、外科用ステープラ(10)のシャフトアセンブリ(14)は、関節接合部など様々な追加の構成要素を含んでもよく、あるいは、シャフトアセンブリ(14)がハンドルアセンブリ(12)に対してモジュール化されるように、様々な構成要素の再配置を含んでもよい。
【0022】
B.外科用ステープラのエンドエフェクタ
図1A~
図4に最もよく示されるように、本実施例のエンドエフェクタ(16)は、C字形の支持構造体(128)と、C字形の支持構造体(128)によって着脱可能に受容された交換可能なカートリッジユニット(24)とを含んでいる。支持構造体(128)は、近位ベース部分(131)と、近位ベース部分(131)から遠位方向に延在する中間アーム(133)と、中間アーム(133)の遠位端から横方向に(例えば、上方向に)突出する遠位アーム(135)とを含んでいる。近位ベース部分(131)は、ショルダーリベット(129)及び一対のポスト(130)によって、シャフトアセンブリ(14)の遠位端でハンドルフレームプレート(35、36)の遠位端に固定されている。遠位アーム(135)は、中間アーム(133)に固定された固定端(165)と、自由端(167)とを含む。近位ベース部分(131)は、カートリッジハウジング(28)を解放可能に受容及び支持するように構成されており、遠位アーム(135)は、アンビル(26)及びワッシャ(168)を解放可能に受容及び支持するように構成されている。
【0023】
「C字形」という用語は、本明細書では、それぞれが互いに反対側に位置する凹状の第1の側部と凸状の第2の側部とを有する支持構造体(128)及びカートリッジユニット(24)の湾曲に関して用いられる。換言すれば、支持構造体(128)及びカートリッジユニット(24)の各要素は、長手方向シャフト軸(longitudinal shaft axis、LAS)に直交し、かつ長手方向シャフト軸(LAS)が交差するそれぞれの平面内のそれぞれの弓状経路に沿って延在している。このような構成は、機能性及び患者内の組織へのアクセス性を高める。あくまで一例として、支持構造体(128)及びカートリッジユニット(24)のC字形構造は、例えば、直腸結腸切除術において低位前方切除術(「LAR」)を行うために、エンドエフェクタ(16)が患者の骨盤の凹み内の結腸下部に容易にアクセスすることを可能にし得る。したがって、本明細書で使用するとき、「C字形」という用語は、外科用ステープル留め及び切断器具の機能性を同様に向上させる様々な凹形状を含むものとして解釈されるべきである。他の変形例では、カートリッジユニット(24)及び支持構造体(128)は、様々な他の湾曲した及び湾曲していない形に成形されてもよい。例えば、カートリッジユニット(24)及び支持構造体(128)は、例えば、2019年4月26日出願の発明の名称が「Tissue Cutting Washer for Right Angle Surgical Stapler」である米国特許出願公開第2020/0337698(A1)号に記載されるように、直線的な構成を有する形状に形成されてもよい。
【0024】
交換可能なカートリッジユニット(24)は、以下により詳細に記載されるように、ガイドピン(166)及びアンビルアーム(196)によって互いに移動可能に結合されたアンビル(26)及びカートリッジハウジング(28)を含む。カートリッジハウジング(28)の遠位端は、組織に接触するように構成された遠位に面するステープルデッキ(134)を画定する。ステープルデッキ(134)は、弓状ナイフスロット(152)の両側の一対の列に互い違いの構成で形成された複数のステープル開口部(136)を含む。ステープル開口部(136)の様々な他の数の列が、他の変形形態において提供されてもよい。カートリッジハウジング(28)は、ステープル開口部(136)を通って、かつアンビル(26)に対して遠位に駆動され、それによって患者組織においてステープルを成形するように構成された複数のステープル(図示せず)を収容する。図示されていないが、カートリッジユニット(134)は、例えばカートリッジユニット(24)の保管時などカートリッジユニット(24)の使用前に、また、場合によりカートリッジユニット(24)の使用後にも、ステープルデッキ(134)に着脱可能に結合されることでステープル開口部(136)及びナイフスロット(152)を覆うように構成されたリテーナを更に含むことができる。
【0025】
図4に示されるように、カートリッジハウジング(28)は、保持ピン(30)、ステープルドライバアセンブリ(140)、及びナイフホルダ(142)を更に収容している。ステープルドライバアセンブリ(140)は、カートリッジハウジング(28)内に、かつナイフホルダ(142)の遠位に収容されたステープル(図示せず)のすぐ近位側に位置付けられる。本実施例のステープルドライバアセンブリ(140)は、複数のステープルドライバ(141)を画定する一体型構造として形成されている。したがって、「アセンブリ」という用語は、ステープルドライバアセンブリ(140)との関連で使用される場合、個々の要素のアセンブリに限定されることを意図するものではなく、一体型構造と一体に形成された要素も含み得る。アンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間にクランプされた組織においてステープルを成形するために、ステープルドライバ(141)はステープルをそれぞれのステープル開口部(136)からアンビル(26)に向かって遠位方向に駆動するように、ドライバアセンブリ(140)はカートリッジハウジング(28)内で遠位方向に並進するように構成されている。
【0026】
ナイフホルダ(142)は、カートリッジハウジング(28)内の、ステープルドライバアセンブリ(140)のすぐ近位に移動可能に配設される。ナイフホルダ(142)は、その遠位側面に沿って湾曲したナイフ(32)を支持し、また、ナイフホルダ(142)は、湾曲したナイフ(32)がドライバアセンブリ(140)の弓状スロット(150)及びステープルデッキ(134)の弓状スロット(152)を通って遠位方向に延びるように、カートリッジハウジング(28)内で並進するように構成されている。例えば、2018年8月14日発行の発明の名称が「Method of Applying Staples in Lower Anterior Bowel Resection」である米国特許第10,045,780号に開示されているように、ナイフホルダ(142)の近位側面は、カートリッジユニット(24)の発射後に湾曲したナイフ(32)を後退させるためにナイフリトラクタフック(図示せず)と結合するように構成されたスロット(144)及びレッジ(146)を含む。
【0027】
図2に示されるように、カートリッジハウジング(28)は、ステープルデッキ(134)上の弓状ナイフスロット(152)のそれぞれの上端部及び下端部に、2個の長手方向に延在する略円形の孔(162、164)を含む。本実施例の孔(162、164)は、ステープル開口部(136)、及びステープル開口部(136)から射出されたステープルが、ステープルデッキ(134)の上端及び下端において孔(162、164)を越えて延在するように位置付けられる。下側孔(162)は、カートリッジハウジング(28)とアンビル(26)との間に長手方向に延在するガイドピン(166)を摺動可能に受容するような形状及び寸法となっている。上側孔(164)は、内部を通して保持ピン(30)を摺動可能に受容するような形状及び寸法となっており、これにより、保持ピン(30)は、カートリッジハウジング(28)及びアンビル(26)に対して近位後退位置(
図1A)と遠位延出位置(
図1B)との間で長手方向に作動することができる。
【0028】
図3に示されるように、カートリッジハウジング(28)の側部は、対面する一対の弾性部材の間に画定された長手方向に延在する戻り止めスロット(155)を含む。戻り止めスロット(155)の第1の側は、第1の近位戻り止め突起(156)を含み、戻り止めスロット(155)の対向する第2の側は、第2の近位戻り止め突起(159)及び遠位戻り止め突起(160)を含む。戻り止めスロット(155)は、ナイフホルダ(142)の戻り止めポスト(154)及びステープルドライバアセンブリ(140)の戻り止めポスト(158)を摺動可能に受容するように構成されている。ステープルドライバアセンブリ(140)及びナイフホルダ(142)がカートリッジハウジング(28)内で遠位に並進すると、戻り止めポスト(154)は戻り止め突起(156)と弾性的に係合し、戻り止めポスト(158)は戻り止め突起(159、160)と弾性的に係合する。
【0029】
図4に示すように、保持ピン(30)の近位端は、結合具(170)の対応する結合機構(図示せず)(例えば、溝)と結合するように構成された第1の結合機構(172)(例えば、突起)を含み、これにより、保持ピン(30)は結合具(170)に固定される。結合具(170)及び保持ピン(30)は、カートリッジハウジング(28)の上部アーム(176)内に摺動可能に配設され、結合具(170)に近接して上部アーム(176)に固定されたエンドキャップ(178)によって上部アーム(176)内に近位に捕捉される。上述した組織保持ピン作動機構(37)のプッシュロッド(50)の遠位端は、結合具(170)と動作可能に結合されている。したがって、ハンドルアセンブリ(12)の摺動部(18)を介したプッシュロッド(50)の長手方向の作動は、結合具(170)、よって保持ピン(30)を、カートリッジハウジング(28)に対して長手方向に駆動して、エンドエフェクタ(16)によってステープル留めされる組織を捕捉する。
【0030】
本実施例のアンビル(26)は、プラスチック切断ワッシャ(168)の形態のアンビルプレート裏当て部材の近位側面に固定される、プレート部分(138)を含む。アンビルプレート部分(138)は、切断ワッシャ(168)に対してアンビルプレート部分(138)まで通される弓状突起(169)の形態の切断ワッシャ(168)の切断機構を受容するように構成された細長い弓状スロット(192)を含む。
図3に最もよく示されるように、アンビルプレート部分(138)は、弓状スロット(192)の両側に沿って列状に配置された複数のポケットを更に含む。これらのポケットは、ステープルデッキ(134)のステープル開口部(136)から遠位方向に駆動されたステープルの脚部(図示せず)を受容及び成形するように構成されている。これに応じて、アンビル(26)は、ステープルデッキ(134)から遠位に離間され、かつ、アンビルプレート部分(138)の各ポケットが対応のステープル開口部(136)と整列するようにステープルデッキ(134)と整列される。
【0031】
アンビルプレート部分(138)は、弓状スロット(192)の上端に配設された第1の円形開口部(194)と、弓状スロット(192)の下端に配設された第2の円形開口部(
図4を参照)とを更に含む。第1の開口部(194)は、組織保持ピン(30)が遠位に作動されてアンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間に位置付けられた組織を捕捉するときに、組織保持ピン(30)の尖った遠位先端を摺動可能に受容するように構成されている。アンビルプレート部分(138)の下側の第2の開口部は、内部を通してガイドピン(166)の遠位端(190)を受容する。ガイドピン(166)の遠位端(190)は、切断ワッシャ(168)の下端に延在し、これに固定して結合され、これにより、ガイドピン(166)はアンビル(26)に対して長手方向に固定される。
【0032】
ガイドピン(166)の近位端(188)は、上述のように、カートリッジハウジング(28)のステープルデッキ(134)内に形成された下側孔(162)を通して摺動可能に受容される。アンビルプレート部分(138)の下端から近位に突出するアンビルアーム(196)は、カートリッジハウジング(28)の開放下端を通って移動可能に受容され、それによって、ガイドピン(166)の近位端(188)をカートリッジハウジング(28)内に捕捉すると同時に、カートリッジハウジング(28)がアンビル(26)に向かって作動することも可能にする。したがって、カートリッジハウジング(28)は、上述の閉鎖トリガ(20)の作動に応答して、アンビル(26)に対してガイドピン(166)(及び組織保持ピン(30))に沿って長手方向に摺動するように構成されている。
図4に示すように、ガイドピン(166)の内側は、カートリッジハウジング(28)がアンビル(26)に対して長手方向に作動すると、湾曲したナイフ(32)の対応する下端(184)を摺動可能に受容するように構成された長手方向スロット(180)を含む。組織保持ピン(30)の内側は、カートリッジハウジング(28)がアンビル(26)に対して長手方向に作動すると、湾曲したナイフ(32)の対応する上端(186)を摺動可能に受容するように構成された同様の長手方向スロット(図示せず)を含み得る。
【0033】
C.外科用ステープラの例示的な作動
カートリッジユニット(24)を含む、上記の外科用ステープラ(10)の様々な構造的特徴について説明してきたが、ここで外科手術中の外科用ステープラ(10)の例示的な作動について以下に説明する。外科用ステープラ(10)は、最初に、患者の体腔内で適切に操作されて、アンビル(26)とカートリッジハウジング(28)との間の間隙(25)(
図1A参照)内に患者組織を位置付ける。
図1Bに示すように、次に、摺動部(18)が遠位に作動されてプッシュロッド(50)を遠位に駆動し、それによって組織保持ピン(30)をカートリッジハウジング(28)からアンビル(26)に向かって遠位に駆動する。組織保持ピン(30)の尖った遠位先端は、組織をしっかりと係合し(例えば、穿孔し)、それによって組織を間隙(25)内に捕捉する。
【0034】
図1Cに示すように、次いで、閉鎖トリガ(20)がピストルグリップ(38)に向かって引かれて閉鎖部材(54)を遠位に駆動し、それによって、カートリッジハウジング(28)を、組織保持ピン(30)及びガイドピン(166)に沿ってアンビル(26)に向かって遠位に駆動して、カートリッジデッキ(134)とアンビル(26)との間に組織をクランプする。カートリッジハウジング(28)は、上述したように、閉鎖トリガ(20)を引き位置に保持するハンドルアセンブリ(12)の内部ロック機構(図示せず)によって、アンビル(26)に対してこの閉鎖位置に維持されてもよい。
図1Dに示すように、カートリッジユニット(24)がこの閉鎖位置に留まっている間に、次に、発射トリガ(22)が閉鎖トリガ(20)及びピストルグリップ(38)に向かって引かれて、細長い発射バー(図示せず)を遠位に駆動し、それによって、ステープルドライバアセンブリ(140)及びナイフホルダ(142)をカートリッジハウジング(28)内で遠位に駆動する。ドライバアセンブリ(140)のステープラドライバ(141)は、ステープル(図示せず)を、捕捉された組織を通して遠位に駆動し、アンビル(26)のアンビルプレート部分(138)に接触させて、組織においてステープルを成形し、それによって組織を流体封止する。ステープルが成形される際、湾曲したナイフ(32)は、弓状スロット(150、152)を通り、クランプされた組織を通り、切断ワッシャ(168)の弓状突起(169)(
図5を参照)に接触するようにナイフホルダ(142)によって遠位方向に駆動され、それによって、成形されたステープルの最も内側の2列の間に延びる弓状経路(arcuate path、AP)に沿って組織を切断する。クランプされた組織を完全に切断した後、湾曲したナイフ(32)は、切断ワッシャ(168)の弓状突起(169)内に遠位方向に貫通することができる。場合により、このような貫通に応じて、切断ワッシャ(168)の本体は湾曲したナイフ(32)の遠位切断縁部に沿って折れ、それによって、発射ストロークが完了し、クランプされた組織が完全にステープル留めされ、切断されたことを外科医に(例えば、「パチン」という音により)聴覚的に示すことができる。
【0035】
閉鎖トリガ(20)と同様に、発射トリガ(22)は、ハンドルアセンブリ(12)の内部ロック機構(図示せず)によってその引き位置に保持されてもよい。外科用ステープラ(10)は、いくつかの変形形態では、エンドエフェクタ(16)によって間隙(25)内にクランプされた組織が、ステープル留めされると同時に切断されるように構成されてもよく、あるいは、他の変形形態では、組織が完全にステープル留めされ、続いて連続的な工程で切断されるように構成されてもよいことが理解されるであろう。
【0036】
外科用ステープラ(10)が上記のように患者組織内に完全に発射されたら、操作者は、ハンドルアセンブリ(12)の解放ボタン(23)を押下して、発射トリガ(22)及び閉鎖トリガ(20)をそれらの引き位置から解放することができる。このようにして、湾曲したナイフ(32)は、カートリッジハウジング(28)内に近位に後退させられてもよく、カートリッジハウジング(28)は、ピン(20、166)に沿って近位に後退させられることによって、新たにステープル留めされ切断された組織をアンビル(26)とカートリッジデッキ(134)との間から解放することができる。次いで、発射されたカートリッジユニット(24)は、エンドエフェクタ(16)の支持構造体(128)から取り外され、廃棄され、必要であれば更なる処置のために交換されることができる。
【0037】
外科用ステープラ(10)は、本明細書に引用される参照文献の教示のいずれかに従って更に構成し、機能させることができる。
【0038】
II.ステープル高さの一貫性を高めるための撓みを可能とする凹面を有する例示的なエンドエフェクタ
上述したように、支持構造体(128)は、カートリッジユニット(24)を支持してカートリッジユニット(24)に剛性を与えることでエンドエフェクタ(16)を画定している。しかしながら、場合により、支持構造体の遠位アーム(135)の自由端(167)は、カートリッジハウジング(28)及びナイフ(32)によって加えられる遠位方向の組織圧縮力及び発射力に応じて、カンチレバーのように取り付け端(165)を中心として遠位方向に枢動可能に撓むようにしてもよい。その場合、取り付け端(165)が遠位方向に撓むことがないため、各ステープルを取り付け端(165)において適切な高さ(すなわち、遠位方向)に成形することができる。しかしながら、自由端(167)が固定端(165)に対して遠位方向に撓むことから、ステープルは自由端(167)に向かう方向にステープル高さが徐々に高くなるように成形され得る。したがって、ステープルデッキ(134)及びアンビルプレート部分(138)の弓状長さに沿った成形済みステープルの得られる高さは、特に、組織の厚みがこの弓状長さに沿って変化する場合に比較的不均一となり得る。自由端(167)の領域内のより大きな高さを有する成形済みステープルは、組織の対応する領域において効果的な止血を与えることができないおそれがある。
【0039】
遠位アーム(135)の自由端(167)のそのような遠位方向へのカンチレバー様の撓みに加えて、又はその代わりに、自由端(167)よりも内側の(すなわち、取り付け端(165)に向かう方向の)遠位アーム(135)の部分は、エンドエフェクタ(16)の閉鎖及び/又は発射に応じて近位方向に撓み得る。場合によっては、このような近位方向の撓みは、ワッシャ(168)及び/又はアンビルプレート部分(138)の内側端部及び/又は外側端部、並びにステープルデッキ(134)の内側端部及び/又は外側端部に配置された組織間隙設定突起間の相互作用によって生じる3点曲げ効果の結果と考えられ得る。遠位アーム(135)の部分のそのような近位方向の撓みは、望ましくない点として、成形済みステープル高さの不均一性をもたらし得る。
【0040】
したがって、エンドエフェクタ(16)に、支持構造体の遠位アーム(135)のこのような撓みを軽減するか又は他の形で補償し、それによってエンドエフェクタ(16)の弓状長さに沿って均一なステープル高さを有するステープルの成形を促す1つ又は2つ以上の成形部を設けることが望ましいと考えられ得る。以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(16)は、エンドエフェクタ(16)の凹面によって画定されている凹部を含んでもよい。この凹部は、ステープラ(10)が発射される際、アンビル(26)及び/又は切断ワッシャ(168)の一部がエンドエフェクタ(16)の隣接する要素に対して遠位方向に撓むことを可能とする。そのような構成は、遠位アーム(135)の撓みを軽減及び補償し、それによって、ステープルデッキ(134)及びアンビルプレート部分(138)の弓状長さにわたるステープル高さの変動を最小限に抑え、したがって、成形済みステープルによる止血を改善することができる。
【0041】
A.凹形近位側面を有する切断ワッシャ
図5は、エンドエフェクタ(16)の発射時にアンビルプレート部分(138)が切断ワッシャ(168)に対して遠位方向に撓むことを可能にする凹形近位表面(210)を切断ワッシャ(168)が含み、それによって、より均一なステープル高さを作り出す例示的な構成を示している。
図2~
図4に示されるように、切断ワッシャ(168)は、アンビルプレート部分(138)に対して遠位に位置付けられ、支持構造体(128)に対して近位に位置付けられている。切断ワッシャ(168)は、第1の端部(216)から第2の端部(218)までシャフト長手方向軸(LAS)(
図1A~
図1D参照)に対して横断方向に延在する本体(214)と、第1の端部(216)から近位方向に延在するタング(220)とを含む。本体(214)は、例えば、C字形、J字形、又は直線状であってよい。本実施例では、本体(214)は、シャフト長手方向軸(LAS)に直交して交差する平面内の弓状経路(AP)に沿って延在し、C字形である。湾曲した本体(214)は、支持構造体(128)の遠位アーム(135)に面する遠位側面(222)と、アンビルプレート部分(138)に面してこれを支持する近位側面(224)とを含む。
【0042】
切断ワッシャ本体(214)の近位側面(224)は、第1の端部部分(226)と、第2の端部部分(228)と、中間部分(230)とを含む。第1の端部部分(226)は、第1の端部(216)から中間部分(230)に向かって延び、中間部分(230)は更に第2の端部部分(228)に向かって延びている。第2の端部部分(228)は第2の端部(218)まで延びている。遠位側面(224)はまた、凹面(210)と、リム(234)と、及び弓状突起(169)とによって画定されている凹部(202)も含む。凹面(210)は、ワッシャ本体(214)の湾曲した長手方向軸に沿って第1の端部(216)から第2の端部(218)まで延びている。凹面(210)は、近位方向で弓状経路(AP)に面し、弓状経路(AP)に沿って延びている。
【0043】
リム平面(P1)が、リム(234)の最も近位側に画定されている。リム(234)は、凹面(210)の外縁に沿って配置され、凹面(210)から近位方向及び遠位方向の両方に延在している。リム(234)の遠位延在部分は、支持構造体(128)の近位側に対して切断ワッシャ(168)を固定するように構成されている。本実施例では、リム(234)は、支持構造体(128)の3つの側面上で遠位方向に延在し、支持構造体(128)による切断ワッシャ(168)の保持を助けるように構成された凹面(210)の遠位側面(222)上の一対のクリップ(240)を含む。遠位方向に延在することに加えて、リム(234)は、第1の細長い縁部(238)、縁部端部(239)、及び第2の細長い縁部(240)に沿って、凹面(210)の外縁の周囲にリム平面(P1)まで近位方向に延在している。リム(234)の縁部端部(239)は、第1の細長い縁部(238)から第2の細長い縁部(240)まで弓状経路で曲がっている。縁部端部(239)はまた、アンビルプレート部分(138)の対応する端部を保持するように構成された端部リテーナ(241)を含む。
【0044】
弓状突起(169)は、凹面(210)からリム平面(P1)に向かって近位方向に延びている。弓状突起(169)は、弓状経路(AP)に沿って概ね第1の細長い縁部(238)と第2の細長い縁部(240)との間で横断方向に延びている。本実施例では、弓状突起(169)は、凹面(210)と凹部(202)とを概ね分離して、弓状突起(169)と第1及び第2の細長い縁部(238、240)の対応する1つとの間に配置される凹部(202)の第1及び第2の長手方向部分を形成する。上述したように、弓状突起(169)は、アンビルプレート部分(138)の弓状ナイフスロット(152)に受容されるように構成されている。
【0045】
切断ワッシャ本体(214)の第1の端部及び第2の端部(226、228)は、凹面(210)を通じて長手方向に延在し、カートリッジハウジング(28)の穴(162、164)とそれぞれ整列するように構成された、第1のワッシャ穴(242)及び第2のワッシャ穴(244)をそれぞれ含む。第1及び第2のワッシャ穴(242、244)は、ガイドピン(166)及び保持ピン(30)が第1及び第2のワッシャ穴(242、244)のそれぞれに通して受容される際にアンビルプレート部分(138)と切断ワッシャ(168)とを整列させるように構成される。
【0046】
切断ワッシャ(168)のタング(220)は第1の端部(216)に嵌合されて、近位方向に延び、アンビルアーム(196)が近位に延びるのに従ってアンビルアーム(196)の外形を辿る。タング(220)は、タング(220)を通じて横断方向に延在するタングボア(図示せず)と、本体(214)が延在する方向と反対方向に横断方向に延在するタング突起(246)とを含む。タングボアは、アンビルアーム(196)上のアンビルアームボア(図示せず)と整列して、タングボアを通じてピン(図示せず)を受容し、アンビルアーム(196)をタング(220)に対して固定する。アンビルアーム(196)に対するタング(220)のこのような固定によって、アンビルプレート部分(138)は切断ワッシャ(168)に対して長手方向に固定される。タング突起(246)は、シャフトの長手方向軸に対して横断方向に延在し、支持構造体(128)内に受容されることで支持構造体(128)に対して切断ワッシャ(168)を長手方向に配置するように構成されている。
【0047】
図5~
図6に最もよく示されるように、切断ワッシャ(168)の凹面(210)は、切断ワッシャ本体(214)の中間部分(230)における凹部(202)の中間部分深さ(D1)が、第1及び第2の端部(226、228)における凹部(202)の第1及び第2の端部深さ(D2、D3)よりも大きくなるような形状となっている。凹部(202)の深さは、近位-遠位方向に、リム平面(P1)から凹面(210)までの距離によって定義される。上述のように、リム平面(P1)は、エンドエフェクタが撓んでいない状態にある場合(
図1A参照)のリム(234)の最近位部分と細長い突起(169)の最近位部分とによって定義される。切断ワッシャ本体(214)の第1及び第2の端部部分(226、228)は、アンビルプレート部分(138)の近位側面が概ねリム平面(P1)内に位置するようにして凹部(202)がアンビルプレート部分(138)を受容するようなサイズに構成されている。場合により、凹面(210)の中間部分(230)は、表面(210)の第1及び第2の端部部分(226、228)に対して約
0.127mm~約
0.381mmの最大遠位深さを有するように形成することができる。
【0048】
本実施例では、切断ワッシャ(168)の凹面(210)は、第1の端部部分(226)が中間部分(230)に向かって延びるに従って、リム平面(P1)から離れて遠位方向に傾斜している。いくつかの変形例では、凹面(210)の曲率は、第1の端部(226)周辺から中間部分(230)を通って第2の端部(228)に延びる単一の半径によって規定することができる。他の変形例では、凹面(210)の曲率は、複数の半径によって規定されてもよい。中間部分(230)では、凹面(210)は、凹面(210)が中間部分(230)の中点(250)に向かって延びるに従って、遠位方向に遠ざかるように引き続き傾斜する。中間部分(230)の中点(250)に到達すると、凹面(210)は、第2の端部部分(228)に向かって延びるに従って、近位方向に傾斜する。第2の端部(228)に達すると、凹面(210)は、リム(234)と凹面(210)との間でアンビルプレート部分(138)の厚さに概ね等しい深さが得られるまで、近位方向に引き続き傾斜する。
【0049】
本変形例では、凹面(210)は、第1及び第2の端部(226、228)が概ね平面であり、アンビルプレート部分(138)の遠位側面によって規定される基準面(図示せず)に沿って位置するような形状となっている。加えて、表面(210)は、凹形の中間部分(230)が表面(210)の弓状長さの約75%を構成し、第1及び第2の平面状端部部分(226、228)が合わせて表面(210)の弓状長さの残りの25%を構成するような形状とすることができる。加えて、表面(210)の弓状長さに沿った中心点に対して、凹形中間部分(230)は、ワッシャ本体(214)の第1の端部(216)に向かう第1の方向と、ワッシャ本体(214)の第2の端部(218)に向かう第2の方向のそれぞれに約27度の円弧に沿った角度をなして延在してもよい。
【0050】
第1及び第2の端部部分(226、228)は、ステープラ(10)が発射される前に、基準面に沿って撓んでいない状態のアンビルプレート部分(138)と係合するように構成されている。したがって、基準面は、アンビルプレート部分(138)の撓みに対する撓みベースラインとして機能する。凹面(210)の中間部分(230)は、第1及び第2の端部部分(226、228)から遠位方向に一定の距離にあり、一定の曲率で第1及び第2の端部部分(226、228)に滑らかにつながる。凹面(210)は、凹部(202)を画定する中間部分(230)の最も深い最遠位点が、弓状突起(169)の弓状長さに沿った中心に位置するような形状となっている。本変形例では、第1及び第2の端部部分(226、228)は、第1及び第2の端部部分(226、228)が、発射前の撓んでいない状態のアンビルプレート部分(138)から遠ざかる方向に滑らかな外形を有する中間部分(230)に徐々に移行するに従って、それらの長さに沿って均一にアンビルプレート部分(138)と係合する。いくつかの変形例では、凹面(210)の中間部分(230)の外形は、第1及び第2の端部部分(226、228)から遠位方向に遠ざかる方向に階段状としてもよい。
【0051】
アンビルプレート部分(138)の撓んでいない状態(
図7A参照)では、アンビルプレート部分(138)の第1の端部の遠位側面は、切断ワッシャ(168)の第1の端部(216)の近位側面に接して位置し、アンビルプレート部分(138)の第2の端部の遠位側面は、切断ワッシャ(168)の第2の端部(218)に接して位置する。アンビルプレート部分(138)の遠位側面と凹面(210)とは、リム(234)と凹部(202)内の弓状突起(169)とによって側面が画定されている間隙(252)(
図7A参照)を画定する。
【0052】
図7Aは、エンドエフェクタ(16)が開放位置(
図1A参照)にある場合の、撓んでいない状態のアンビルプレート部分(138)を概略的に示す。支持構造体(128)の横方向に突出する遠位アーム(135)の近位側面が、切断ワッシャ(168)の遠位側面(222)に当接している状態が示されている。上記のように、凹面(210)は切断ワッシャ(168)の近位側面(224)に位置し、アンビルプレート部分(138)の遠位側面に面しているため、切断ワッシャ本体(214)の第1及び第2の端部(216、218)又は第1及び第2の端部部分(226、228)が、アンビルプレート部分(138)の第1及び第2の端部に直接接触して支持することができるようになっている。遠位側に丸みを帯びた間隙(252)は、凹面(210)とアンビルプレート部分(138)の遠位側面との間に位置している。したがって、アンビルプレート部分(138)のこのような撓んでいない状態では、アンビルプレート部分(138)の少なくとも中間部分は、切断ワッシャ本体(214)の中間部分(230)から近位方向に離間している。
【0053】
図7Bに概略的に示されるように、アンビルプレート部分(138)は、切断ワッシャ(168)に対して遠位方向に撓んだ状態に移行している。アンビルプレート部分(138)のこのような撓みは、組織をクランプするための閉鎖位置(
図1C参照)へのエンドエフェクタ(16)の作動に応じて、かつ/又はステープル(図示せず)及びナイフ(32)がクランプされた組織を貫通して遠位方向に打ち込まれた発射状態(
図1D参照)へのエンドエフェクタ(16)の作動時に生じ得る。アンビルプレート部分(138)に作用する遠位方向のステープル成形力及び/又は組織圧縮力は、アンビルプレート部分(138)の中間部分を、切断ワッシャ(168)の凹部(202)によって画定されている間隙(252)(
図7A参照)内へと遠位方向に撓ませ、その結果、アンビルプレート部分(138)の遠位側面は、第1の端部(216)から第2の端部(218)まで、切断ワッシャ(168)の凹面(210)に面し、概ね形状が一致し、場合により接触する。
【0054】
間隙(252)内へのアンビルプレート部分(138)のこのような許容された遠位方向への撓みは、ステープラ(10)が発射される際にアンビルプレート部分(138)の長さにわたってステープル高さをより均一にする最適化されたステープル成形表面を提供する。より具体的には、間隙(252)内へのアンビルプレート部分(138)の中間部分の遠位方向への撓みは、エンドエフェクタ(16)が組織に対して閉じている間、ステープルデッキ(134)とアンビルプレート部分(138)との間にそれらの弓状長さに沿って比較的均一な遠位方向の間隔を与えることによって、エンドエフェクタ(16)が閉じられて発射される際の固定端(165)に対する支持構造体の遠位アーム(135)の自由端(167)のカンチレバー様の遠位方向への変位(
図1A~1D参照)、並びに遠位アーム(135)の内側部分の近位方向への撓みを軽減及び/又は補償することができる。ステープルデッキ(134)及びアンビルプレート部分(138)の長さに沿ったこの遠位方向の間隔(「組織間隙距離」とも呼ばれる)が均一であることで、カートリッジハウジング(28)によって射出されるステープルを、アンビルプレート部分(138)によってステープルデッキ(134)及びアンビルプレート部分(138)の長さに沿って比較的均一な高さで成形することが可能となる。結果的に生じる成形済みステープル高さの均一性は、組織のステープル留めされた部分に沿って一貫した効果的な止血をもたらす。場合により、エンドエフェクタ(16)の閉鎖及び/又は発射時の遠位アーム(135)のカンチレバー様の遠位方向への撓みによって引き起こされる上述の望ましくない影響を更に軽減するため、ワッシャ(168)の表面(210)の全体又は一部をその弓状長さに沿ってテーパさせてもよい。
【0055】
B.凹形近位側面を有する支持構造体
場合により、均一なステープル高さを促すため、切断ワッシャ(168)の凹形近位表面(210)を、エンドエフェクタ(16)の別の部分に形成された凹形面に置き換えるか又はそれで補完することが望ましい場合がある。
図8は、そのような機能的利益を提供する凹面(310)を含むエンドエフェクタ(316)の別の例の一部を示す。エンドエフェクタ(316)は、下記に述べる点を除き前述のエンドエフェクタ(16)と同様に構成され、機能する。
【0056】
この例では、横方向に突出する遠位アーム(335)の近位側面の凹面(310)は、上述した凹面(210)と同様の形状とすることができる。エンドエフェクタ(316)は、開放位置で示されている(
図1A参照)。横方向に突出する遠位アーム(335)の凹面(310)は、切断ワッシャ(368)の遠位側面と第1及び第2の端部(314、318)において係合するように構成され、凹面(310)と切断ワッシャ(368)の遠位側面との間に遠位方向に丸みを帯びた間隙(352)を画定する。切断ワッシャ(368)の遠位側面は、切断ワッシャ(368)の第1及び第2の端部(314、318)が、撓んでいない状態の横方向に突出する遠位アーム(335)に係合する係合面として機能する基準面を画定する。切断ワッシャ(368)の近位側面は、アンビルプレート部分(138)と面一に嵌合される。
【0057】
上記に詳述したように、エンドエフェクタ(316)が閉鎖位置に移行して組織をクランプし(
図1Dを参照)、続いて発射されてクランプされた組織をステープル留め及び切断する際、ステープル成形力及び/又は組織圧縮力によって、少なくともアンビルプレート部分(138)の中間部分及び切断ワッシャ(368)の中間部分が遠位方向に撓んで間隙(352)を埋める。そのような撓みの間、切断ワッシャ(368)の遠位側面は、凹面(310)と嵌合するように構成され、アンビルプレート部分(138)の遠位側面は、切断ワッシャ(368)の近位側面と嵌合したままであるように構成され、その結果、アンビルプレート部分(138)及びワッシャ(368)は、共に遠位方向に撓んで間隙(352)内に入り込むように構成される。このように切断ワッシャ(368)及びアンビルプレート部分(138)が間隙(352)内に撓むことによって、ステープルデッキ(134)とアンビルプレート部分(138)との間にそれらの長さに沿った均一な組織間隙距離が与えられ得、支持構造体遠位アーム(335)の自由端(367)のその固定端(365)に対する遠位方向の変位が補償、最小化される。このような均一な組織間隙距離によって、エンドエフェクタ(316)に沿って均一で適切なステープル高さが促され、ステープル留めされた組織の効果的な止血が与えられる。
【0058】
C.凹形遠位側面を有するアンビルプレート
図9は、上述の凹面(210、310)と同様の機能的利点を提供する凹面(410)を含むエンドエフェクタ(416)の更に別の例の一部を示す。エンドエフェクタ(416)は、下記に述べる点を除き、上述のエンドエフェクタ(16)と同様の構造及び機能を有する。
【0059】
この例では、凹面(410)は、アンビルプレート部分(438)の遠位側面にある。エンドエフェクタ(416)は開放位置(
図1A参照)で示されており、第1の端部(314)から第2の端部(318)まで延在している。アンビルプレート部分(438)の遠位側面は、上述した凹面(210)と同様の形状とすることができる凹面(410)を含む。凹面(410)は、切断ワッシャ(368)の近位側面と第1及び第2の端部(314、318)で係合する。切断ワッシャ(368)の近位側面は、切断ワッシャ(368)の第1及び第2の端部(314、318)が、撓んでいない状態のアンビルプレート部分(438)に係合する係合面として機能する基準面を画定する。切断ワッシャ(368)は、支持構造体(128)の横方向に突出する遠位アーム(135)と面一に嵌合される。凹面(410)と切断ワッシャ(368)とは、第1の端部(314)と第2の端部(318)との間に近位方向に丸みを帯びた間隙(452)を画定する。
【0060】
上記に詳述したように、エンドエフェクタ(416)が閉鎖位置に移行して組織をクランプし(
図1Dを参照)、続いて発射されてクランプされた組織をステープル留め及び切断する際、ステープル成形力及び/又は組織圧縮力によって、アンビルプレート部分(438)の中間部分が遠位方向に撓んで間隙(452)を埋める。アンビルプレート部分(438)の凹面(410)は、切断ワッシャ(368)の遠位側面が横方向に突出する遠位アーム(135)の近位側面に嵌合した状態で遠位方向に撓んで切断ワッシャ(368)の近位側面と嵌合するように構成されている。このようにアンビルプレート部分(438)が間隙(452)内に撓むことによって、ステープルデッキ(134)とアンビルプレート部分(438)との間にそれらの長さに沿った均一な組織間隙距離を与えることができ、支持構造体遠位アーム(135)の自由端(167)のその固定端(165)に対する遠位方向の変位が補償、最小化される。このような均一な組織間隙距離によって、エンドエフェクタ(416)に沿って均一で適切なステープル高さが促され、ステープル留めされた組織の効果的な止血が与えられる。
【0061】
D.凹形の遠位側面を有する切断ワッシャ
図10は、上述の凹面(210、310、410)と同様の機能的利点を提供する凹面(510)を含むエンドエフェクタ(516)の更に別の例を示す。エンドエフェクタ(516)は、下記に述べる点を除き、上述のエンドエフェクタ(16)と同様の構造及び機能を有する。
【0062】
この例では、凹面(510)は、切断ワッシャ(568)の遠位側面にある。エンドエフェクタ(516)は、開放位置(
図1A参照)で示されており、第1の端部(514)から第2の端部(518)まで延在する。切断ワッシャ(568)の遠位側面は、上述した凹面(210)と同様の形状とすることができる凹面(510)を含む。横方向に突出する遠位アーム(135)の近位側面は、切断ワッシャ(568)の第1及び第2の端部(514、518)が、撓んでいない状態の横方向に突出する遠位アーム(135)に係合する係合面として機能する基準面を画定する。切断ワッシャ(568)の近位側面は、アンビルプレート部分(138)の遠位側面と面一に嵌合される。凹面(510)と横方向に突出する遠位アーム(135)とは、第1の端部(514)と第2の端部(518)との間に近位方向に丸みを帯びた間隙(552)を画定する。切断ワッシャ(568)の近位側面は、アンビルプレート部分(138)と面一に嵌合される。
【0063】
上記に詳述したように、エンドエフェクタ(516)が閉鎖位置に移行して組織をクランプし(
図1Dを参照)、続いて発射されてクランプされた組織をステープル留め及び切断する際、ステープル成形力及び/又は組織圧縮力によって、切断ワッシャ(168)の中間部分が遠位方向に間隙(552)内に撓む。詳細には、切断ワッシャ(568)の凹面(510)が遠位方向に撓んで横方向に突出する遠位アーム(335)の近位側面と嵌合する一方で、切断ワッシャ(568)の近位側面は、アンビルプレート部分(138)の遠位側面と嵌合した状態に保たれる。したがって、本変形例では、アンビルプレート部分(138)及び切断ワッシャ(568)の中間部分は、エンドエフェクタ(516)が発射される際に、共に遠位方向に撓んで間隙(552)内に入り込むように構成されている。このようにアンビルプレート部分(138)及びワッシャ(568)が間隙(552)内に撓むことによって、ステープルデッキ(134)とアンビルプレート部分(138)との間にそれらの長さに沿った均一な組織間隙距離を与えることができ、支持構造体遠位アーム(135)の自由端(167)のその固定端(165)に対する遠位方向の変位が補償、最小化される。このような均一な組織間隙距離によって、エンドエフェクタ(516)に沿って均一で適切なステープル高さが促され、ステープル留めされた組織の効果的な止血が与えられる。
【0064】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0065】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示が、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わされ得ることを認識するであろう:2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行された、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許出願公開第8,800,838号、及び/又は2013年11月5日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号。
【0066】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができるか、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定部分の洗浄及び/又は交換の際、装置のいくつかの変形形態は、再調整用の施設において、又は処置の直前にオペレータによって、のいずれかで、その後の使用のために再組立されてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0067】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)複数のステープルを含むハウジングと、
(b)前記ハウジングと対向したアンビルであって、前記アンビルと前記ハウジングとは、協働して組織をクランプするように構成され、前記アンビルは、前記ハウジングからクランプされた前記組織内に射出されたステープルを成形するように構成されている、アンビルと、
(c)前記アンビルと結合された裏当て部材と、
(d)前記裏当て部材と前記装置の隣接する要素との間に間隙を画定する凹面と、を備え、
前記アンビルが、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙に向かう方向に撓むように構成されている、装置。
(2) 前記ハウジング、前記アンビル、及び前記裏当て部材のそれぞれが、弓状経路に沿って延在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記凹面が、前記裏当て部材によって画定されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記アンビルが前記ハウジングの遠位に配置され、前記裏当て部材が前記アンビルの遠位に配置されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記裏当て部材が、第1の端部と、第2の端部と、それらの間の中間部分とを含み、前記裏当て部材が前記裏当て部材の前記中間部分において最大深さを有する凹形凹部を含むように、前記凹面が前記裏当て部材によって画定されている、実施態様4に記載の装置。
【0069】
(6) 前記凹面が前記裏当て部材の近位側面に画定され、前記間隙が前記裏当て部材の前記近位側面と前記アンビルの遠位側面との間に画定され、前記アンビルが、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙内に撓むように構成されている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記裏当て部材を支持するように構成された支持構造体を更に備え、前記凹面が、前記アンビル、前記裏当て部材、又は前記支持構造体のうちの1つによって画定されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記支持構造体が近位部分及び遠位部分を含み、前記近位部分が前記ハウジングを支持するように構成され、前記遠位部分が前記アンビル及び前記裏当て部材を支持するように構成されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記ハウジングが、前記アンビルに対して組織をクランプするように前記支持構造体に対して遠位方向に作動可能である、実施態様7に記載の装置。
(10) 前記ハウジング及び前記アンビルに対して移動可能なナイフを更に備え、前記ナイフが、クランプされた前記組織を切断するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0070】
(11) 前記裏当て部材が、前記ナイフと協働してクランプされた前記組織を切断するように構成された切断機構を含む、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記アンビルが細長いスロットを含み、前記切断機構が、前記細長いスロットを通って前記ハウジングに向かう方向に突出する突起を含む、実施態様11に記載の装置。
(13) 外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端のエンドエフェクタであって、実施態様1に記載の装置を含む、エンドエフェクタと、を備える、外科用器具。
(14) 前記エンドエフェクタが、前記裏当て部材を支持する支持構造体を含み、前記凹面が、前記アンビル、前記裏当て部材、又は前記支持構造体のうちの1つによって画定されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記ハウジング、前記アンビル、及び前記裏当て部材が、前記支持構造体と着脱可能に結合されたユニットを共に画定する、実施態様13に記載の外科用器具。
【0071】
(16) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端のエンドエフェクタであって、
(i)複数のステープルを含むハウジングと、
(ii)前記ハウジングに対向するアンビルであって、前記アンビルと前記ハウジングとは、協働して組織をクランプするように構成され、前記アンビルは、前記ハウジングからクランプされた前記組織内に射出されたステープルを成形するように構成されている、アンビルと、
(iii)前記アンビルに結合された裏当て部材であって、前記裏当て部材と前記エンドエフェクタの隣接する要素との間に間隙を画定する凹面を含む、裏当て部材と、を含む、エンドエフェクタと、を備え、
前記アンビルが、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記凹面に向かう方向に撓むように構成されている、装置。
(17) 前記アンビルが前記ハウジングの遠位に配置され、前記裏当て部材が前記アンビルの遠位に配置され、前記凹面が前記裏当て部材の近位側面又は遠位側面の一方によって画定されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記シャフトがシャフト軸に沿って長手方向に延在し、前記ハウジングと前記アンビルとが協働して前記シャフト軸に直交する平面内で組織をクランプするように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(19) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体からシャフト軸に沿って遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端のエンドエフェクタであって、
(i)複数のステープルを含むハウジングと、
(ii)前記ハウジングの遠位に配置されたアンビルであって、前記アンビルと前記ハウジングとは、協働して前記シャフト軸と交差する平面内で組織をクランプするように構成され、前記アンビルは、前記ハウジングからクランプされた前記組織内に射出されたステープルを成形するように構成されている、アンビルと、
(iii)前記アンビルの遠位側面に結合された裏当て部材であって、前記裏当て部材の近位側面が、前記裏当て部材と前記アンビルの前記遠位側面との間に間隙を画定する凹面を含む、裏当て部材と、を含む、エンドエフェクタと、を備え、
前記アンビルが、組織のクランプ又は組織のステープル留めの少なくとも一方を行うための前記装置の作動に応じて前記間隙内へと遠位方向に撓むように構成されている、装置。
(20) 前記ハウジング、前記アンビル、及び前記裏当て部材のそれぞれが、前記シャフト軸が交差する対応する平面内で弓状経路に沿って延在する、実施態様19に記載の装置。