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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】硬化性組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20250127BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20250127BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
C08F2/44 A
C08F292/00
C08F20/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023510541
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2022002950
(87)【国際公開番号】W WO2022209230
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021061631
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398053147
【氏名又は名称】コスモ石油ルブリカンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 源基
(72)【発明者】
【氏名】寺内 隆二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 悟志
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/149193(WO,A1)
【文献】特開2016-188297(JP,A)
【文献】特開2021-038318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径0.3μm以上1μm未満の熱伝導性フィラーA体積平均粒子径1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーB、及び、体積平均粒子径10μm以上15μm以下の熱伝導性フィラーCを含む熱伝導性フィラー(A)と、
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、を含有し、
前記熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、前記熱伝導性フィラーAの含有量Xが18.60質量%~40質量%、前記熱伝導性フィラーBの含有量Yが16.88質量%~40質量%、及び、前記熱伝導性フィラーCの含有量Zが20質量%~60質量%である、
硬化性組成物。
【請求項2】
前記熱伝導性フィラー(A)が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記熱伝導性フィラー(A)が、酸化亜鉛を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記熱伝導性フィラー(A)が、表面処理された熱伝導性フィラーである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記モノマー(B)が、下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【化1】


式(1)中、Rは、炭素数1~50のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【請求項6】
前記モノマー(B)が、下記式(2)で表される化合物を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【化2】


式(2)中、RB1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、RB2及びRB3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話、Personal Digital Assistant;PDA等の電子機器、light emitting diode;LED、Electronic Luminescent;EL等の照明及び表示機器等の性能向上は著しく、それは演算素子や発光素子の著しい性能向上によっている。この様に演算素子又は発光素子の性能向上に伴い発熱量も著しく増加し、電子機器、照明、表示機器における放熱をどの様に行うかが重要な課題になっている。熱対策として、演算素子又は発光素子の発生する熱をロスすること無く放熱体に伝え、放熱体を通じて放熱するために、発熱体と放熱体との間にTIM(Thermal Interface Materials;熱伝導性材料)を設ける対策が取れられている。TIMとして一般に用いられるものとして、放熱シート、熱伝導性グリース、ギャップフィラー等が知られており、初期がペースト状で、塗布後硬化し固体となる、ギャップフィラーが注目されている。
【0003】
柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れるギャップフィラーとして、例えば、国際公開第2020/149193号には、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、を含む硬化性組成物が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、耐離油性に優れる硬化性組成物を提供することである。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、耐離油性に優れる硬化性組成物の硬化物を提供することである。
ここで、本開示において「耐離油性」とは、本開示に係る硬化前の硬化性組成物を経時させた際において、熱伝導性フィラーと硬化性組成物が含有する液状成分との分離が抑制されることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 体積平均粒子径0.3μm以上1μm未満の熱伝導性フィラーA及び体積平均粒子径1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーBからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、体積平均粒子径10μm以上15μm以下の熱伝導性フィラーCを含む熱伝導性フィラー(A)と、
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、を含有し、
上記熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、上記熱伝導性フィラーAの含有量Xが0質量%~40質量%、上記熱伝導性フィラーBの含有量Yが0質量%~40質量%、及び、上記熱伝導性フィラーCの含有量Zが20質量%~60質量%である(但し、含有量X及び含有量Yの両方が0質量%になることはない。)、
硬化性組成物。
【0006】
<2> 上記熱伝導性フィラー(A)が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載の硬化性組成物。
<3> 上記熱伝導性フィラー(A)が、酸化亜鉛を含む、<2>に記載の硬化性組成物。
<4> 上記熱伝導性フィラー(A)が、表面処理された熱伝導性フィラーである、<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0007】
<5> 上記モノマー(B)が、下記式(1)で表される化合物を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0008】
【化1】
【0009】
式(1)中、Rは、炭素数1~50のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0010】
<6> 上記モノマー(B)が、下記式(2)で表される化合物を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0011】
【化2】

【0012】
式(2)中、RB1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、RB2及びRB3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
【0013】
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一実施形態によれば、耐離油性に優れる硬化性組成物が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、耐離油性に優れる硬化性組成物の硬化物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る硬化性組成物及びその硬化物について詳細に説明する。
本開示中、数値範囲を現す「~」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「~」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本開示において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0016】
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において組成物中の各成分は、組成物中に各成分が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「JIS」は、日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称として用いる。
【0017】
(硬化性組成物)
本開示に係る硬化性組成物は、体積平均粒子径0.3μm以上1μm未満の熱伝導性フィラーA及び体積平均粒子径1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーBからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、体積平均粒子径10μm以上15μm以下の熱伝導性フィラーCを含む熱伝導性フィラー(A)と、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、を含有し、熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、熱伝導性フィラーAの含有量Xが0質量%~40質量%、熱伝導性フィラーBの含有量Yが0質量%~40質量%、及び、熱伝導性フィラーCの含有量Zが20質量%~60質量%である。但し、含有量X及び含有量Yの両方が0質量%になることはない。
本開示に係る硬化性組成物が上記構成を有することで、耐離油性に優れる。
【0018】
なお、以下では、体積平均粒子径0.3μm以上1μm未満の熱伝導性フィラーA、体積平均粒子径1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーB、及び、体積平均粒子径10μm以上15μm以下の熱伝導性フィラーCのそれぞれを、単に、熱伝導性フィラーA、熱伝導性フィラーB、及び、熱伝導性フィラーCと称する。
【0019】
熱伝導性フィラーのような固体粒子を含有する硬化性組成物には、調製後から使用に供されるまで経時(例えば、貯蔵された際)において、耐離油性を有することが求められる。耐離油性に劣る硬化性組成物では、熱伝導性フィラーが沈降して使用時に攪拌が必要になること、貯蔵容器(例えば、シリンジ)内において熱伝導性フィラーの濃度勾配が生じることなどに、起因して所期の粘度又は熱伝導率が得られず、塗布量の均一性や品質安定性が損なわれることがある。
【0020】
また、硬化性組成物が含有する熱伝導性フィラーにおいて、中粒径及び大粒径(例えば、体積平均粒子径が10μm以上)の熱伝導性フィラーの含有割合が多い場合、熱伝導率は高まるが、熱伝導性フィラーが沈降し易くなり耐離油性が悪化する傾向となる。中粒径及び大粒径の熱伝導性フィラーの含有割合を低減した場合、耐離油性は向上するが熱伝導率が低下する傾向となる。
【0021】
これに対して、本開示に係る硬化性組成物は、熱伝導性フィラー(A)として、熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、熱伝導性フィラーCを含み、かつ、熱伝導性フィラーAの含有量X、熱伝導性フィラーBの含有量Y、及び熱伝導性フィラーCの含有量Zを所定の範囲としたことで、耐離油性に優れると推定している。
【0022】
また、本開示に係る硬化性組成物は、優れた熱伝導率(具体的には、3W/m・K以上)を有することもできる。これは、熱伝導性フィラー(A)を上記構成で含むこと、より具体的には熱伝導フィラーCを含有量Zの割合で含むためであると推定している。
【0023】
さらに、本開示に係る硬化性組成物は、用途(例えば、ギャップフィラー用途)に応じた粘度にすることができる。これは、熱伝導性フィラー(A)を上記構成で含むこと、より具体的には熱伝導フィラーA及びBを、それぞれ、含有量Y及び含有量Zの割合で含むためであると推定している。
【0024】
以下、本開示に係る硬化性組成物の各構成について説明する。
【0025】
<熱伝導性フィラー(A)>
本開示に係る硬化性組成物は、熱伝導性フィラー(A)を含有する。
熱伝導性フィラー(A)は、体積平均粒子径0.3μm以上1μm未満の熱伝導性フィラーA及び体積平均粒子径1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーBからなる群から選択される少なくとも1種、並びに、体積平均粒子径10μm以上15μm以下の熱伝導性フィラーCを含む。
【0026】
熱伝導性フィラーA、熱伝導性フィラーB、及び、熱伝導性フィラーCは、それぞれ、所定の体積平均粒子径を有する1種類の熱伝導性フィラーであってもよいし、所定の体積平均粒子径を有する2種類以上の熱伝導性フィラーであってもよい。
【0027】
熱伝導性フィラーAの体積平均粒子径は、耐離油性の観点から、0.3μm以上1μm未満であり、0.4μm~0.8μmが好ましい。
熱伝導性フィラーBの体積平均粒子径は、耐離油性の観点から、1μm以上10μm未満であり、3μm~6μmが好ましい。
熱伝導性フィラーCの体積平均粒子径は、耐離油性及び熱伝導率の観点から、10μm~15μmであり、11μm~13μmが好ましい。
【0028】
熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により、JIS Z 8825:2013(対応国際規格:ISO13320)に準拠して測定する。
具体的には、熱伝導性フィラー粒子を含む試料に対して、レーザ回折散乱式粒度測定装置を使用し、熱伝導性フィラー粒子の体積分布を測定する。得られた測定値(体積分布)に基づき、試料に含まれる熱伝導性フィラーの体積平均粒径を求めることができる。
レーザ回折散乱式粒度測定装置の例としては、(株)島津製作所製、製品名;ナノ粒子径分布測定装置 SALD-7500nanoを用いることができる。
【0029】
硬化性組成物が、熱伝導性フィラーA、熱伝導性フィラーB、又は熱伝導性フィラーCのいずれに属する熱伝導性フィラーを含有しているかは、レーザ回折散乱式粒度測定器により確認することができる。
具体的には、以下の方法により確認することができる。
硬化性組成物から熱伝導性フィラー以外の成分を除去して、熱伝導性フィラーを単離する。単離された熱伝導性フィラーから調製した測定用試料に対して、レーザ回折散乱式粒度測定器を用いて体積分布を測定する。測定結果に基づき、熱伝導性フィラーA、熱伝導性フィラーB、又は熱伝導性フィラーCの粒子径範囲に存在するフィラー粒子の有無を確認する。熱伝導性フィラー以外の成分の除去は、下記の方法により行う。
【0030】
-熱伝導性フィラー以外の成分の除去-
硬化性組成物をヘキサン等の熱伝導性フィラーを溶解しない溶剤により溶解後、遠心分離を実施する。以上の工程を3回以上繰り返すことにより、熱伝導性フィラーとそれ以外の成分を分離する。
得られた熱伝導性フィラーを、150℃の恒温槽にて90分間乾燥させて残留溶剤を除去する。
【0031】
熱伝導性フィラーの体積平均粒子径についてカタログ値が確認できる場合には、カタログ値を採用する。
【0032】
熱伝導性フィラー(A)が含む熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBは、いずれか一方のみであってもよいし、両方であってもよい。耐離油性の観点からは、熱伝導性フィラー(A)は、熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBの両方を含むことが好ましい。
【0033】
熱伝導性フィラーAの含有量X、熱伝導性フィラーBの含有量Y、及び熱伝導性フィラーCの含有量Zは、レーザ回折散乱式粒度測定装置より得られた熱伝導性フィラー(A)の粒径分布の測定結果に基づいて、熱伝導性フィラーA、熱伝導性フィラーB及び熱伝導性フィラーCの含有割合を算出することにより確認することができる。
【0034】
熱伝導性フィラーAの含有量Xは、熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、0質量%~40質量%であり、20質量%~35質量%が好ましく、25質量%~30質量%がより好ましい。
【0035】
熱伝導性フィラーBの含有量Yは、熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、0質量%~40質量%であり、10質量%~30質量%が好ましく15質量%~25質量%がより好ましい。
【0036】
熱伝導性フィラーCの含有量Zは、熱伝導性フィラー(A)の合計質量を基準として、20質量%~60質量%である。含有量Zは、例えば、40質量%~60質量%とすることができる。
【0037】
熱伝導性フィラー(A)が、熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBの両方を含む場合、耐離油性の観点から、熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBの含有比[A:B]は、質量基準で、30:70~80:20が好ましく、50:50~70:30がより好ましく、55:45~65:35がさらに好ましい。
【0038】
熱伝導性フィラーA及び熱伝導性フィラーBと熱伝導性フィラ-Cとの含有比[(A+B):C]は、耐離油性及び熱伝導率の観点から、質量基準で、40:60~60:40が好ましく、45:55~55:45がより好ましい。
【0039】
熱伝導性フィラー(A)の材質は、特に制限されず、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン等が挙げられる。耐離油性、絶縁性、高熱伝導率、及び熱伝導性フィラーとしての使用実績の観点から、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化亜鉛がより好ましい。
【0040】
ある実施形態において、熱伝導性フィラー(A)は、耐離油性の観点から、熱伝導性フィラーA、B及びCのみを含有することが好ましく、耐離油性、粘度、及び高熱伝導率の観点から、熱伝導性フィラーA、B及びCの全てが酸化亜鉛であることがより好ましい。
【0041】
熱伝導性フィラー(A)は、表面処理された熱伝導性フィラーであってもよい。表面処理された熱伝導性フィラーは、熱伝導性フィラー以外の他の含有成分との親和性を向上させ、耐離油性、低粘度化及び熱伝導率の向上に寄与しうる。
【0042】
熱伝導性フィラーに対する表面処理は、特に制限されず、物理的処理であっても、化学的処理であってもよく、熱伝導性フィラーを構成する粒子の表面を処理可能な公知の処理を適用することができる。
表面処理としては、表面処理剤を用いた処理であることが好ましい。
【0043】
表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、カルボン酸系カップリング剤、リン酸系カップリング剤、脂肪酸、高分子化合物、界面活性剤、及び、油脂が挙げられる。
【0044】
熱伝導性フィラー(A)は、分散性の観点からは、表面処理剤としてシラン系カップリング剤を用いて表面処理されていることが好ましい。
【0045】
熱伝導性フィラーA、B及びCは、いずれもが表面処理された熱伝導性フィラーであってもよいし、いずれか1種の熱伝導性フィラーが表面処理された熱伝導性フィラーであってもよい。耐離油性及び熱伝導率の観点からは、熱伝導性フィラーCとして、表面処理された熱伝導性フィラーを、少なくとも含有することが好ましい。
【0046】
-含有量-
熱伝導性フィラー(A)の含有量は、組成物の全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、85質量%~98質量%であることがより好ましく、90質量%~96質量%であることが更に好ましい。
また、熱伝導性フィラー(A)の含有量は、組成物の全体積に対して、40体積%以上であることが好ましく、47体積%~80体積%であることがより好ましく、60体積%~80体積%であることが更に好ましい。
熱伝導性フィラー(A)の含有量が、上記の範囲であることで、耐離油性をより向上させることができる。
【0047】
<(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)>
本開示に係る硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)を含む。(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーであってもよいし、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有するモノマーであってもよい。
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーとしては、特に制限されず、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸等が挙げられる。
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーとしては、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、下記式(1)で表される化合物を含むことが更に好ましい。
【0048】
【化3】
【0049】
式(1)中、Rは、炭素数1~50のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0050】
式(1)中、Rにおけるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基としては例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられるが、カルボキシ基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
【0051】
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、Rにおけるアルキル基の総炭素数は、2~30であることが好ましく、5~25であることがより好ましく、10~25であることが更に好ましく、総炭素数12~24であることが特に好ましい。
ここで、総炭素数とは、上記アルキル基が炭素原子を含む置換基を有している場合、その置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
【0052】
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、式(1)中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状又は置換基を有する総炭素数2~30のアルキル基であることが好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状又はヒドロキシ基を有する総炭素数2~25のアルキル基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~24の無置換のアルキル基であることが好ましい。
【0053】
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】
は、水素原子又はメチル基であり、メチル基であることが好ましい。
【0055】
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有するモノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有するモノマーとしては、耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ及び/又は3つ有する化合物であることが好ましく、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ有する化合物であることがより好ましく、下記式(2)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0057】
【化4】

【0058】
式(2)中、RB1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、RB2及びRB3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
B1で表される炭素数1~5のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
柔軟性の観点から、RB1で表されるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~5のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましく、分岐鎖状の炭素数3又は4のアルキレン基であることが更に好ましい。
B2及びRB3は、それぞれ独立に、メチル基であることが好ましい。
nは4~25であることが好ましく、4~10であることがより好ましく、4~8であることが更に好ましい。
【0059】
柔軟性、及び、形状安定性の観点から、式(2)中、RB1は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~5のアルキレン基であり(より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~4のアルキレン基であり、更に好ましくは分岐鎖状の炭素数3又は4のアルキレン基である)、RB2及びRB3は、メチル基であり、nは4~25(より好ましくは4~10であり、更に好ましくは4~8である)であることが好ましい。
【0060】
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)の含有量としては、組成物の全質量に対して、1質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~8質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)は、組成物中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0061】
ある実施形態において、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーから選択される少なくとも1種と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有するモノマーから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0062】
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有するモノマーの含有量Aと、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有するモノマーの含有量Bとの含有比(A:B)は、硬化物の硬度及び硬化速度の観点から、質量基準で、99.5:0.5~95:5が好ましく、99:1~97:3がより好ましい。
【0063】
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)は、分子量が1,000未満のモノマーであることが好ましい。
本開示においてモノマーとは、分子量が1,000未満である重合性化合物を意味し、重合性ポリマーとは、重量平均分子量(Mw)が1000以上である重合性化合物を意味する。
本開示における「重合性ポリマー」の概念には、いわゆるオリゴマーも包含される。
【0064】
<重合開始剤(C)>
本開示に係る硬化性組成物は、重合開始剤(C)を含む。
重合開始剤(C)としては、光、熱又はその両方のエネルギーによりラジカル、カチオン等の重合開始種を発生する化合物であって、公知の熱重合開始剤、公知の光重合開始剤などを適宜選択して用いることができる。
重合開始剤(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)の反応性の観点から、ラジカル重合開始剤が好ましく、熱により遊離ラジカルを発生させる過酸化物がより好ましく、熱により遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物が更に好ましい。
【0065】
有機過酸化物としては、イソブチルパーオキサイド、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、4-メチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、m-トルノイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2-ビス(4,4-ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が挙げられる。
これらの中でも、反応性の観点から、有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、及び、クメンハイドロパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0066】
-含有量-
重合開始剤(C)の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上4質量部以下であることがより好ましい。
【0067】
<分散剤(D)>
本開示に係る硬化性組成物は、分散剤(D)を含む。
分散剤としては、特に制限はなく、アニオン性面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、アルコール類、脂肪酸等のカルボキシ基を有する化合物、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物、フッ素系界面活性剤、ホウ素系界面活性剤などが挙げられる。
分散剤(D)としては、ノニオン系界面活性剤、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0068】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エーテル、ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。
【0069】
カルボキシ基を有する化合物は、特に制限はなく、一分子中に1つのカルボキシ基と炭化水素基とを有する脂肪酸であってもよく、一分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物であってもよい。ある実施態様において、分散剤(D)として、カルボキシ基を有する化合物がより好ましく、脂肪酸が更に好ましい。
【0070】
カルボキシ基を有する化合物としては、芳香族カルボン酸、炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸等が挙げられる。
炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0071】
また、カルボキシ基を有する化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の一分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する多価カルボン酸(すなわち、ポリカルボン酸)、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミノアルコール塩等のポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸系共重合体などが挙げられる。
【0072】
ポリカルボン酸系化合物としては、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミノアルコール塩等が挙げられる。
【0073】
金属せっけんとしては、例えば、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等の高級脂肪酸の金属塩などが挙げられる。
【0074】
柔軟性の観点から、分散剤(D)としては、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、及び、炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことより好ましく、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、及び、炭素数18~22の不飽和炭化水素基を有する脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが更に好ましい。
【0075】
-含有量-
分散剤(D)の含有量は、熱伝導性フィラー(A)100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上0.8質量部以下であることが特に好ましい。
【0076】
<可塑剤(E)>
本開示に係る硬化性組成物は、可塑剤(E)を含むことが好ましい。
可塑剤(E)としては、特に制限はなく、例えば、可塑剤として使用されるポリマー、不飽和炭化水素基を有する脂肪酸エステル化合物、芳香族カルボン酸エステル化合物等、不飽和炭化水素基を有する脂肪酸及び芳香族カルボン酸を含む油等が挙げられる。
本開示において「ポリマー」とは、重量平均分子量(Mw)が1,000以上である化合物を意味する。
本開示において「ポリマー」の概念には、いわゆるオリゴマーも包含される。
【0077】
ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、シリコーンポリマー等が挙げられるが、耐熱性及び柔軟性の観点から、アクリル系ポリマーが好ましい。
【0078】
可塑剤として使用されるポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、シリコーンポリマー等が挙げられるが、耐熱性及び柔軟性の観点から、アクリル系ポリマーが好ましい。
【0079】
アクリル系ポリマーとしては、耐熱性の観点から、アクリル酸エステルより形成される構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリルエステルとしては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。メタ)アクリルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、及びイソブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、アルキルアクリレートは、無官能のアルキルアクリレートであってもよいし、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基(水酸基)等の官能基を有していてもよい。
アルキルアクリレートが有する官能基としては、ヒドロキシ基であることが好ましい。
【0080】
アクリル系ポリマーは、下記式(PAC)で表される構造を有するポリマーであってもよい。
【0081】
【化5】
【0082】
式(PAC)中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
式(PAC)中、アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。置換基としては、カルボキシ基又はヒドロキシ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
アルキル基としては、飽和アルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。
【0083】
本開示に係る硬化性組成物が、可塑剤(E)を含み、かつ、可塑剤(E)がポリマーである場合、耐熱性及び柔軟性の観点から、ガラス転移温度が-20℃以下であるポリマーであることが好ましく、ガラス転移温度が-20℃以下であるアクリル系ポリマーであることがより好ましい。
本開示に係る硬化性組成物が、可塑剤(E)を含み、かつ、可塑剤(E)がポリマーである場合、耐熱性及び柔軟性の観点から、ガラス転移温度が-90℃以上-20℃以下であるポリマーであることが好ましく、ガラス転移温度が-90℃以上-20℃以下であるアクリル系ポリマーであることがより好ましい。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析装置(DSC)を用いて測定した、DSC曲線の変曲点を調べることで求められる。
【0084】
不飽和炭化水素基を有する脂肪酸エステル化合物としては、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のエステル化合物が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル化合物としては、フタル酸、テレフタル酸、安息香酸、トリメリット酸等のエステル化合物が挙げられる。
【0085】
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(E)を含む場合、高温安定性の観点から、可塑剤(E)は、芳香族カルボン酸エステル化合物を含むことが好ましく、トリメリット酸エステルを含むことが好ましい。
【0086】
-含有量-
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(E)を含む場合(可塑剤(E)を2種以上含む場合は合計量)、耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、可塑剤(E)の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であることが好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、30質量部以上45質量部以下であることが更に好ましい。
可塑剤(E)は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0087】
<その他の添加剤>>
本開示に係る硬化性組成物は、必要に応じて、熱伝導性フィラー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)、重合開始剤(C)、分散剤(D)、及び、可塑剤(E)以外の成分(以下、「その他の添加剤」ともいう。)を含むことができる。
その他の添加剤としては、還元剤(F)、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤(粘度調整剤)等の添加剤を適宜配合することができる。
上記添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0088】
<<還元剤(F)>>
本開示に係る硬化性組成物は、必要に応じて、還元剤(F)を含有してもよい。
本開示に係る硬化性組成物を、後述の二液型硬化性組成物に適用する場合、一方の組成物に還元剤(F)を含有させることが好ましい。還元剤(F)を添加することで、重合開始剤(C)(例えば、過酸化物)の分解が促進されやすくなり、重合反応が低温条件下でも進行しやすい。
【0089】
還元剤(F)としては、重合開始剤(C)の分解を促進可能であれば特に制限はなく、重合開始剤と併用される公知の還元剤が挙げられるが、重合開始剤(C)の分解促進の観点から金属化合物系の還元剤であることが好ましい。
【0090】
金属化合物系還元剤としては、例えば、酸化第一錫、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ナフテン酸亜鉛、三塩化アンチモン、カリウムオレート、ナトリウムO-フェニルフェネート、硝酸蒼鉛、塩化第二鉄、テトラ-n-ブチルチン、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、コバルト2-エチルヘキソエート、第二2-エチルヘキソエート鉄等が挙げられる。
【0091】
-含有量-
本開示に係る硬化性組成物が還元剤(F)を含む場合、硬化速度の観点から、還元剤(F)の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上9質量部以下であることがより好ましい。
還元剤(F)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
<<酸化防止剤>>
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等が挙げられる。
【0093】
<<腐食防止剤>>
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、チアジアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0094】
<<防錆剤>>
防錆剤としては、スルホン酸金属塩系化合物、ソルビタン化合物等が挙げられる。
【0095】
<<レオロジーコントロール剤>>
本開示において、レオロジーコントロール剤とは、せん断速度変化に対して非ニュートン性を与える添加剤をさす。具体的には、レオロジーコントロール剤は、低せん断速度域のせん断粘度を高くしつつ、高せん断速度域では、せん断粘度が低くなるような流動特性を付与する添加剤である。
【0096】
レオロジーコントロール剤は、無機化合物系のレオロジーコントロール剤であってもよいし、有機化合物系のレオロジーコントロール剤であってもよい。無機化合物の系レオロジーコントロール剤としては、ヒュームドシリカ、ベントナイト、雲母、カオリン等が挙げられる。
また、有機化合物系のレオロジーコントロール剤としては、ウレア変性ポリマー、ウレタン変性ポリマー、ひまし油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、脂肪酸アマイドワックス等が挙げられる。
これらの中でも、レオロジーコントロール剤としては、無機化合物系のレオロジーコントロール剤が好ましく、ヒュームドシリカ、又は、ベントナイトがより好ましく、ベントナイトが更に好ましい。ヒュームドシリカを用いる場合、シランカップリング剤やその他の表面改質剤により表面を疎水性としたものが好ましい。また、ベントナイトを用いる場合、4級アンモニウム塩やその他の有機改質剤により有機修飾した有機化ベントナイトが好ましく用いられる。
【0097】
レオロジーコントロール剤の含有量は、とくに制限はなく、適宜設定することができる。
【0098】
〔硬化性組成物の物性〕
本開示に係る硬化性組成物の広がりちょう度としては、粘弾性、ハンドリング性及び脱泡性の観点から、100~500であることが好ましく、260~340であることがより好ましく、280~310であることが更に好ましい。
広がりちょう度は、25℃の環境下でアクリル製の2枚の板の間に試料(硬化前の硬化性組成物)0.05mLを挿入し、荷重100gを5秒間、板の上に加えて試料を圧縮し、試料の広がり直径ミリメートルを測定し、この測定値から1を引いた値に20を掛けて求められる。
広がりちょう度=(測定値-1)×20
【0099】
〔硬化性組成物の形態〕
本開示に係る硬化性組成物は、基板、発熱体等へ塗布する際に、一種類の硬化性組成物を使用する一液型硬化性組成物であることが好ましい。本開示に係る硬化性組成物は、二種類の硬化性組成物を混合して使用する、二液型硬化性組成物であってもよい。
【0100】
〔硬化性組成物の製造方法〕
本開示に係る硬化性組成物の製造方法は、特に制限はなく、特に限定されない。本開示に係る硬化性組成物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
ある実施態様において、本開示に係る硬化性組成物は、熱伝導性フィラー(A)、重合開始剤(C)、及び分散剤(D)、必要に応じて、可塑剤(F)及びその他の添加剤を、攪拌容器に投入し、攪拌、混合することで得られる。
なお、攪拌及び混合には、公知の撹拌機等を用いることができる。
【0101】
硬化性組成物の製造方法において、その他の添加剤を加える場合には、その添加剤が溶解又は分散可能な時間だけ攪拌すればよい。その他の添加剤は、その他の添加剤以外の成分と一緒に攪拌容器に加えてもよいし、その他の添加剤以外の成分の混合後に攪拌容器に加えてもよい。
【0102】
(硬化物)
本開示に係る硬化物は、本開示に係る硬化性組成物の硬化物である。硬化性組成物を硬化させる方法としては、制限されず、通常用いられる方法から適宜選択することができる。硬化方法としては、活性エネルギー線の照射、加熱等が挙げられるが、加熱による硬化方法が好ましい。
加熱により硬化させる場合、加熱温度としては、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、加熱温時間としては、1分~120分であることが好ましい。
また、上記硬化組成物は、空気中の湿気と反応させて硬化してもよく、室温で硬化させてもよい。
【0103】
本開示に係る硬化物の熱伝導率としては、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、0.5[W/m・K]~50[W/m・K]であることが好ましく、1[W/m・K]~20[W/m・K]であることが好ましく、3[W/m・K]~20[W/m・K]であることがより好ましい。
【0104】
本開示に係る硬化物の柔らかさとしては、硬化物の周辺部品への応力緩和の観点から、ショアOO硬度で100以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましい。
同様にアスカーC硬度が、100以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましく、75以下であることが更に好ましい。
本開示に係る硬化物の柔らかさは、ショアOO硬度はASTM D2240に準拠して、アスカーC硬度はJIS K 7312:1996に準拠して求められる。
【0105】
<用途>
本開示に係る硬化性組成物は、例えば、基板に形成された凹部(即ち、発熱体と放熱体との隙間)に充填されるTIMとして、好適に用いることができる。
本開示に係る硬化性組成物は、耐離油性に優れることから、所期の品質を長期間に亘り維持することができる。また、本開示に係る硬化性組成物は、粘度及び熱伝導率にも優れることから、得られる硬化物の製造性及び熱伝導性にも優れる。
本開示に係る硬化性組成物から得られた硬化物は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる点から、基板に形成された凹部等の塗布面に対する追従性に優れるので、基板上に高さの異なる部品があった場合でも、効率的に熱を逃がすことができる。また、本開示に係る硬化性組成物は、基板上のミクロな材料の凹凸にも追従できるため、熱を効率的に逃がすことができ、また、温度変動に伴う塗布面に対する追従性にも優れる点から、ギャップフィラーとして好適に適用することができる。
【実施例
【0106】
以下、本開示に係る硬化性組成及び硬化物を実施例により具体的に説明する。なお、本開示に係る硬化性組成及び硬化物は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0107】
(実施例1~10及び比較例1~6)
各原料を表1又は表2に記載の量で配合し、自転・公転ミキサー((株)シンキー製、製品名;あわとり練太郎ARV-310)を用いて、2,000rpm(revolutions per minute)、2分、大気圧下で混合し、硬化性組成物を調製した。
【0108】
熱伝導性フィラー(A)全量(100質量%)中の熱伝導性フィラーA、B及びCの含有量(質量%)を、表3に示す。
【0109】
実施例1~10及び比較例1~6で調製した硬化性組成物を用いて、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0110】
-評価-
<耐離油性>
上記で調製した硬化性組成物200gを収容容器(ハイレジスト容器、製品名:BHR-150、近畿容器株式会社製)に密封し、10℃の環境下に、14日間、28日間、又は60日間、静置して保管した。
所定の保管日数が経過後の各硬化性組成物について、組成物中から離油した液状成分を取り除いた後、質量[g]を測定し、下記式Aに基づき、耐離油率[%]を算出した。
(式A)
耐離油率[%]=(離油成分量[g]/保管前の硬化性組成物が含有する液状成分量[g])×100
【0111】
本評価では、各保管日数に応じて、下記に示す耐離油率[%]である場合に、硬化性組成物が耐離油性に優れると評価した。
(保管日数) (耐離油率[%])
14日間 0.5%以下
28日間 1.0%以下
60日間 1.5%以下
【0112】
<粘度>
上記で調製した硬化性組成物について、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、製品名:MCR 101)を用いて、25℃におけるせん断粘度η[Pa・s]を測定した。
測定対象である硬化性組成物の治具として、PP25パラレルプレート(直径25mm、Anton Paar社製)を使用した。
測定は、せん断速度0.01[1/s]、0.1[1/s]、1[1/s]、10[1/s]及び100[1/s]の各せん断速度におけるせん断粘度η[Pa・s]を測定することで行った。
【0113】
<熱伝導率[W/m・K]>
熱伝導率は、ASTM D5470に準拠して測定した。
縦×横×高さ(厚み)が10mm×10mm×1mmになるように成型した硬化性組成物の上下を10mm×10mmの銅板で挟み、Nパージ雰囲気下において、80℃、30分の硬化条件で硬化させた後、熱抵抗測定装置(ツクバリカセイキ(株)製、製品名;熱抵抗測定装置)で熱抵抗(単位;K・cm/W)を測定し、熱伝導率に換算した。
本評価では、熱伝導率が3W/m・K以上である場合に、熱伝導率に優れると評価した。
【0114】
<広がりちょう度>
広がりちょう度は、25℃の環境下でアクリル製の2枚の板の間に試料(硬化前の硬化性組成物)0.05mLを挿入し、荷重100gを5秒間、板の上に加えて試料を圧縮し、試料の広がり直径ミリメートルを測定し、この測定値から1を引いた値に20を掛けて求めた。
【0115】
<硬度:形状安定性>
-硬化後の柔らかさ:ショアOO硬度(試料厚み;6mm)-
ASTM D2240に準拠して硬化性組成物の硬化物の柔らかさの測定を行った。
硬化性組成物を50mm×20mm×6mm(厚み6mm)に成型、Nパージ雰囲気下において、80℃、30分の硬化条件で硬化した後、デュロメーター(製品名;GS-754G、(株)テクロック製)とアスカーゴム硬度計を用いて、ショアOO硬度の測定を行った。
【0116】
-硬化後の柔らかさ:アスカーC硬度(試料厚み;6mm)-
JIS K 7312:1996に準拠して硬化性組成物の硬化物の柔らかさの測定を行った。
硬化性組成物を50mm×20mm×6mm(厚み6mm)に成型、Nパージ雰囲気下において、80℃、30分の硬化条件で硬化した後、アスカーゴム硬度計C型(高分子計器株式会社製)を用いて、アスカーC硬度を測定した。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】

【0119】
【表3】
【0120】
表1及び表2中に記載された各成分の詳細は、以下のとおりである。
表1及び表2中の「-」は、該当する成分を含まないことを示す。
表1及び表2中、「充填率、[質量%]」は、組成物の全質量に対する熱伝導性フィラー(A)の全質量の比率を表している。
表3中、「%」は「質量%」を示す。
【0121】
<<(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(B)>>
・ITEC:2-デシルテトラデシルメタクリレート;新中村化学工業(株)製
・ライトエステルL:ラウリルメタクリレート;共栄社化学(株)製、製品名;LMA
・9PG(2官能モノマー):ポリプロピレングリコールジメタクリレート;新中村化学工業(株)製、製品名;9PG
【0122】
<<可塑剤(E)>>
・C-880:アデカサイザーC-880(製品名);トリメリット酸混合直鎖アルキルエステル;(株)ADEKA製
【0123】
<<重合開始剤(C)>>
・パーオクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート;日油(株)製
【0124】
<<分散剤(D)>>
・オレイン酸:日本油脂(株)製、製品名;オレイン酸
【0125】
<<熱伝導性フィラー(A)>>
(酸化亜鉛)
・酸化亜鉛1種:体積平均粒子径;0.6μm、堺化学工業(株)製
・焼成亜鉛華1:体積平均粒子径;4μm、ハクスイテック(株)製
・焼成亜鉛華2:体積平均粒子径;11μm、ハクスイテック(株)製
・焼成亜鉛華3(表面処理品):シランカップリング剤処理、体積平均粒子径;12μm、ハクスイテック(株)製
・焼成亜鉛華4:体積平均粒子径;19μm、ハクスイテック(株)製
(酸化マグネシウム)
・RF-10CS-SC:製品名、体積平均粒子径;10μm、宇部マテリアルズ(株)製)
(酸化アルミニウム)
・AA-10:製品名:、体積平均粒子径;13.5μm、住友化学(株)製)
【0126】
表1及び表2の結果に示すとおり、実施例1~実施例10の硬化性組成物は、比較例1~6の硬化性組成物に比べて、耐離油性に優れることが分かる。
以上より、本開示に係る硬化性組成物及び硬化物は、ギャップフィラーとして好適に用いることができる。
【0127】
2021年3月31日に出願された日本国特許出願2021-061631号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。