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特許7625705気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁
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  • 特許-気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁 図1
  • 特許-気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁 図2
  • 特許-気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20250127BHJP
   F02M 47/00 20060101ALI20250127BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20250127BHJP
   F02M 61/04 20060101ALI20250127BHJP
   F02M 61/08 20060101ALI20250127BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20250127BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20250127BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
F02M21/02 301A
F02M47/00 A
F02M51/06 K
F02M61/04 G
F02M61/08 B
F02M51/06 S
F02M51/06 T
F16K1/00 E
F16K1/32 A
F16K1/32 C
F16K31/06 305L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023541097
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2021085473
(87)【国際公開番号】W WO2022148610
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】102021200180.7
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブホック,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ボッセ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ツェルレ,ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】トゥエーカー,オーツガー
(72)【発明者】
【氏名】バイエル,マルコ
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-227960(JP,A)
【文献】特開平11-062710(JP,A)
【文献】特表2020-526725(JP,A)
【文献】特表2016-513205(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111502880(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202404(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/00
F16K 1/00
F02M 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁であって、流入開口部(9)と流出開口部(10)とを備えるガス室(8)が形成されたハウジング(1)を有し、前記ガス室(8)の中に、長手方向運動によって前記流入開口部(9)を開閉する弁体(12)が長手方向可動に配置され、前記弁体(12)は電気式のアクチュエータ(18)によって可動であり、前記流出開口部(10)を開閉するためにノズルシート(37)と協同作用する、前記ガス室(8)の中に配置されたノズルニードル(30)を有し、前記弁体(12)と前記ノズルニードル(30)との間に、前記弁体(12)の長手方向運動を前記ノズルニードル(30)に伝えるカプラースリーブ(20)が配置される、ガス調量弁において、
前記カプラースリーブ(20)は前記弁体(12)の収容開口部(14)の中でクリアランスなしに収容され
前記カプラースリーブ(20)は第1のスリーブ区域(120)と第2のスリーブ区域(220)とを有し、前記第1のスリーブ区域(120)は強磁性素材で製作されて前記前記弁体(20)の前記収容開口部(14)の中に収容され、前記第2のスリーブ区域(220)は非強磁性材料で製作され、両方のスリーブ区域(120;220)は互いに固定的に結合されることを特徴とする、ガス調量弁。
【請求項2】
前記カプラースリーブ(20)は前記収容開口部(14)の中に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のガス調量弁。
【請求項3】
ガス流は前記流入開口部(9)から前記流出開口部(10)へと前記カプラースリーブ(20)を通して案内されることを特徴とする、請求項1に記載のガス調量弁。
【請求項4】
前記カプラースリーブ(20)は中空円筒として構成され、前記弁体(12)の前記収容開口部(14)は止まり穴であることを特徴とする、請求項1,2または3に記載のガス調量弁。
【請求項5】
前記収容開口部(14)の内径は、組み立てられていない状態のとき、前記収容開口部(14)の内部に配置される前記カプラースリーブ(20)の区域の外径よりも1から10μmだけ小さいことを特徴とする、請求項4に記載のガス調量弁。
【請求項6】
両方の前記スリーブ区域(120;220)は金属素材で製作されて互いに溶接されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のガス調量弁。
【請求項7】
前記カプラースリーブ(20)は前記ガス室(8)の中で、軸方向で相互に間隔をおく少なくとも2つの案内区域(17’;24)において側方で案内されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載のガス調量弁。
【請求項8】
気体状の燃料を調量して放出するためのガス調量弁であって、流入開口部(9)と流出開口部(10)とを備えるガス室(8)が形成されたハウジング(1)を有し、前記ガス室(8)の中に、長手方向運動によって前記流入開口部(9)を開閉する弁体(12)が長手方向可動に配置され、前記弁体(12)は電気式のアクチュエータ(18)によって可動であり、前記流出開口部(10)を開閉するためにノズルシート(37)と協同作用する、前記ガス室(8)の中に配置されたノズルニードル(30)を有し、前記弁体(12)と前記ノズルニードル(30)との間に、前記弁体(12)の長手方向運動を前記ノズルニードル(30)に伝えるカプラースリーブ(20)が配置される、ガス調量弁において、
前記カプラースリーブ(20)は前記弁体(12)の収容開口部(14)の中でクリアランスなしに収容され、
前記カプラースリーブ(20)は前記ガス室(8)の中で、軸方向で相互に間隔をおく少なくとも2つの案内区域(17’;24)において側方で案内されることを特徴とする、ガス調量弁。
【請求項9】
前記弁体(12)は、前記カプラースリーブ(20)によってのみ径方向に案内される程度に広い案内クリアランスを側方に有することを特徴とする、請求項7または8に記載のガス調量弁。
【請求項10】
前記電気式のアクチュエータは電磁石(18)であり、前記弁体(12)はソレノイドアーマチュアとして構成されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のガス調量弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体状の燃料の調量された放出のために適用される、特に内燃機関の燃焼室へ気体状の燃料を注入するためのガス調量弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、気体状の燃料を調量し、短い時間的間隔をおいて直接的に内燃機関の燃焼室へ、あるいは内燃機関のインテークマニホールドへ、放出することができるガス調量弁が知られている。その場合、特に水素も含めて、さまざまな気体状の燃料を調量することができる。調量された水素の放出は、調量弁に特別な要求事項を課す。水素は、一方では化学的に非常に反応性が高く、このことが相応に耐久性のある材料を必要とするからである。他方では、水素は小さなH分子に基づいて非常に狭い隙間からでも拡散し、それに応じて完全に封止するのが困難である。したがって純粋に金属製のシール材は、多くの場合に水素を全面的に封止するのに十分ではないため、弾性材料すなわちプラスチックやゴムなどのエラストマーの使用が封止に必要となる。
【0003】
内燃機関の燃焼室へ水素を直接的に放出するガス調量弁は燃焼室側の端部で燃焼室の高い温度に暴露され、相応に耐熱性でなければならない。したがって、燃焼室側の弁座でのエラストマーの使用はあり得ない。エラストマーは、そのような温度に恒常的に耐えることができないからである。この問題を解決するために特許文献1より、2つの弁体を有し、第1の弁体は調量弁の流入開口部を制御し、それに対して第2の弁体は燃焼室側の流出開口部を開閉する、ガス調量弁が知られている。燃焼室から遠く離れている第1の弁体だけが、水素の完全な封止を保証するためにエラストマーシール材を装備しており、それに対して、燃焼室はシールシートの近傍で金属製のシール材として構成される。そのようにして、ガス調量弁が閉じているときに完全な封止が保証され、それに対して本来の調量は、すなわち調量弁の一時的な開放と閉止は、金属製のシール材を有する第2の弁体を介しても行うことができる。
【0004】
このとき両方の弁体は、第1の弁体に対して作用するただ1つの電磁石によって制御され、第1の弁体が開放運動をするときに第2の弁体を連行する。両方の弁体のできる限り広い間隔が実現されるのがよいので、第1の弁体と第2の弁体との間には運動を伝達する、たとえばカプラースリーブの形態のカプラー部材がある。すべての可動のコンポーネントがハウジングの内部で案内されるが、留意されなくてはならないのは、気体状の燃料がいかなる潤滑特性も有さないことであり、および、ハウジング内のコンポーネントが引っ掛かったり過度に摩耗しないようにするために、弁体の案内間隙が比較的広く構成されていなければならないことである。したがって、磁気アーマチュアとしての役目も果たす第1の弁体の生じ得る傾斜姿勢が他のコンポーネントへも、特にカプラースリーブへも伝わるという危険があり、そのために、一方における第1の弁体またはカプラースリーブと、他方におけるハウジングとの間の特定の個所で、高すぎる摩耗が生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ドイツ特許出願公開第102020201973A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
それに対して本発明によるガス調量弁は、弁体がガス室の内部で正確に案内され、ハウジングと弁体ないしカプラースリーブとの間の摩耗の増大が生じることがなく、それと同時に、ガス調量弁の組立可能性が損なわれることがないという利点を有する。そのためにガス調量弁は、流入開口部と流出開口部とを備えるガス室が形成されたハウジングを有する。ガス室の中に、長手方向運動によって流入開口部を開閉する弁体が長手方向可動に配置され、弁体は電気式のアクチュエータによって可動である。これに加えてガス室の中に、流出開口部を開閉するためにノズルシートと協同作用するノズルニードルが配置され、弁体とノズルニードルとの間に、弁体の運動をノズルニードルに伝えるカプラースリーブが配置される。このときカプラースリーブは、弁体の収容開口部の中でクリアランスなしに収容される。
【0007】
電気式のアクチュエータと協同作用する弁体の運動は、カプラースリーブを介してノズルニードルへとさらに伝えられる。カプラースリーブは収容開口部の中でクリアランスなしに収容されているので、弁体とカプラースリーブが相互に安定化され、それにより、ハウジング内部でのこれら両方のコンポーネントの軸ずれが防止される。それにもかかわらず、ガス調量弁を良好に組み立てることができる。両方のコンポーネントを別々に製作して、組立のときに初めて嵌め合わせ、それに伴って固定的に結合することができるからである。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、ガス流は流入開口部から流出開口部へとカプラースリーブを通して案内される。それによりカプラースリーブの案内にあたって、および、これに伴う弁体からノズルニードルへの力伝達の最適化にあたって、広い設計上の自由がもたらされる。このときカプラースリーブは中空円筒として構成され、弁体の収容開口部は止まり穴として構成されるのが好ましい。両方のコンポーネントの固定的な結合を可能にするために、収容開口部の内部に配置されるカプラースリーブの区域の外径は、調量弁の耐用期間を通じての固定的な結合を形成するために、組み立てられていない状態のとき収容開口部の内径より1から10μmだけ大きい。
【0009】
別の好ましい実施形態では、カプラースリーブは第1のスリーブ区域と第2のスリーブ区域とを有し、第1のスリーブ区域は強磁性素材で製作されて弁体の収容開口部の中に収容され、それに対して第2のスリーブ区域は非強磁性材料で製作され、両方のスリーブ区域は互いに固定的に結合される。第1の弁体は、電気式のアクチュエータが電磁石として構成される場合、磁気アーマチュアとしての役目を果たすので、強磁性のカプラースリーブは磁気アーマチュアに対する、すなわち第1の弁体に対する、電磁石の作用を増強する。しかしカプラースリーブ全体が強磁性材料で製作されると、磁場が強く散乱しすぎることになり、そのために弁体に対する有効磁力が弱まることになる。弁体の内部に配置されるスリーブ区域だけが強磁性なので、それに伴い、ハウジングの望ましくない領域へと磁場を誘導する漂遊磁界が生成されることなく、磁力の増強がもたらされる。
【0010】
このとき両方のスリーブ区域は金属素材で製作されるのが好ましく、固定的な結合は溶接結合によって具体化され、それにより、両方のスリーブ区域が固定的かつ恒久的に互いに結合される。
【0011】
別の好ましい実施形態では、カプラースリーブはガス室の中で、軸方向で相互に間隔をおく2つの案内区域において側方で案内される。弁体との固定的な結合が成立しているので、そのようにして、弁体の外壁とハウジングないしガス室の壁部との間で相応に広い間隙が形成されていれば、弁体もカプラースリーブによって案内することができる。それに伴い、弁体とガス室の壁部との間で摩擦およびこれに伴う過度の摩耗が起こり得ない。
【0012】
図面には、本発明によるガス調量弁のさまざまな実施例が示されている。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるガス調量弁の第1の実施例を示す縦断面図である。
図2】カプラースリーブの領域を示す図1の拡大図である。
図3】本発明によるガス調量弁の別の実施例を示す、図2と同様の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、本発明によるガス調量弁が縦断面図で示されている。ガス調量弁は、保持体2と、磁石体3と、ノズル体4と、接続体5とを含むハウジング1を有していて、これらがクランプナット6と図面には示さない別のクランプ部材によって互いに気密に応力固定されている。接続体5には図面に示さない接続部があり、これを介して、保持体2、磁石体3、およびノズル体4の中に形成されるガス室8へと気体状の燃料が導入される。ここではガス室8は流入開口部9と流出開口部10とを有しており、流入開口部9は図1の図面ではガス調量弁の上側端部に形成されており、それに対して流出開口部10は下側端部に示されている。ガス室8の中に、弁体12が長手方向スライド可能に配置されている。ここでは弁体12は、流入開口部9を開閉するために弁体12が弁座15と協同作用するシール面16を有しており、シール面16には、流入開口部9をガス室8に対して気密に閉止するために、エラストマーが装着されている。弁体12には複数の斜め穴13が形成されていて、これらを介して、止まり穴として構成された収容開口部14に気体状の燃料が流れ込むことができる。弁体12は第1の案内区域17でガス室8の中を案内され、ここでは第1の案内区域17は例示として、弁体12とガス室8の壁部との間の摩擦を緩和する硬化されたスリーブを含んでいる。
【0015】
収容開口部14の中に、中空円筒として構成されたカプラースリーブ20が収容されている。カプラースリーブ20はその流出側の端部に複数の開口部21を有していて、これらを介して気体状の燃料が外に出て、引き続き流出開口部10の方向に流れることができる。ここではカプラースリーブ20の外径は、収容開口部14の中でクリアランスなしに収容されるように設定されており、それにより、弁体12とカプラースリーブ20との間で固定的な結合が形成される。カプラースリーブ20はカプラーばね22で包囲されていて、このカプラーばねは一方の端部をもって、カプラースリーブ20に取り付けられる、またはこれと一体的に構成される支持リング23に支持されるとともに、他方の端部をもって、支持部材26を介してノズル体4に支持されるばね支持リング25に支持されており、それにより、初期応力をかけられたカプラーばね22を介して、カプラースリーブ20およびこれに伴って弁体12に対しても、流入開口部9の方向に力が及ぼされる。
【0016】
弁体12を動かすための役目を果たすのは、磁石体3の中に配置されて弁体12を包囲する電磁石18である。電磁石18の磁場を最善に成形するために、保持体2は薄肉旋削部19すなわち保持体2の先細区域を有しており、それにより弁体12に対する磁力が最適化される。カプラースリーブ20は第2の案内区域24でハウジングの内部を案内され、それにより、弁体12とカプラースリーブ20からなる複合体が、第1の案内区域17および第2の案内区域24を介して案内される。それに伴い、弁体12とカプラースリーブ20の低摩擦の運動が保証される。
【0017】
ノズル体4の中に、シャフト31と弁皿32とを含むノズルニードル30が同じく長手方向スライド可能に配置されている。弁皿32にはシール面36が形成されていて、流出開口部10の開閉のために弁皿32がノズルシート37をもってこのシール面と協同作用する。ここではノズルニードル30はノズルばね33で包囲されていて、このノズルばねは、一方の端部をもってガス室8の段部34に支持されるとともに、他方の端部をもって、ノズルニードル30と固定的に結合された皿ばね35に支持される。それにより、初期応力をかけられたノズルばね33を介して、ノズルニードル31に対する長手方向力が流入開口部9の方向にもたらされる。弁体12が弁座15の上に載り、ノズルニードル31がノズルシート37の上に載る、ガス調量弁が閉じた状態では、カプラースリーブ20とノズルニードル30が互いに間隔をおいており、すなわち、カプラースリーブ20の流出側の端部とノズルニードル30の端面との間に間隔hが形成される。この間隔は、ガス調量弁の作動時に不可避である熱膨張を補償するための役目を果たす。
【0018】
ガス調量弁の機能形態は次のとおりである。電磁石18が通電されることで、弁体12が弁座15から離れるように引っ張られ、それにより流入開口部9が解放され、気体状の燃料がガス室8に流れ込む。横穴13を介して気体状の燃料が収容開口部14に達し、それに伴ってカプラースリーブ20の中に流れ、そこから気体状の燃料はさらに流出開口部10の方向に流れる。弁体12が動くことによってカプラースリーブ20も、ノズルニードル30に当接するまで流出開口部10の方向に動く。カプラースリーブ20ないし弁体12がさらに動くことで、ノズルニードル30が外方に向かって押圧され、それにより流出開口部10における流動断面が拡大され、これを通って気体状の燃料が流れ出ることができる。ガス調量を終了するために電磁石18がオフになり、それにより、カプラーばね22とノズルばね33が、カプラースリーブ20およびこれに伴って弁体12ないしノズルニードル30をそれぞれの初期位置に戻るように押圧する。
【0019】
図2には、本発明によるガス調量弁の別の実施例がカプラースリーブ20の拡大図として示されている。カプラースリーブ20は、ここでは第1のスリーブ区域120と第2の区域220とを含んでおり、第1のスリーブ区域120は収容開口部14の内部に配置されている。第1のスリーブ区域120は強磁性素材で製作されているのに対して、第2のスリーブ区域220は非磁性素材で製作されている。両方のスリーブ区域120,220は、ここでは溶接結合部28を介して互いに固定的に結合されている。第1のスリーブ区域は強磁性であり、弁体12と固定的に結合されているので、弁体12に対するいっそう強い磁力が生じ、それに伴って弁体12のいっそう迅速な運動が可能となる。カプラースリーブ22の全体が強磁性材料でできていると、電磁石18の磁場が散乱し、それに伴って弁体12に対する有効磁力が弱まることになる。
【0020】
図3は、本発明によるガス調量弁のさらに別の実施例を示している。ここでは弁体12とカプラースリーブ20からなる複合体は、弁体12の第1の案内区域を介して案内されるのではなく、カプラースリーブの第1の案内区域17’を介して案内され、それにより、弁体12とカプラースリーブ20からなる複合体の案内全体がカプラースリーブ20を介して行われる。カプラースリーブの両方の案内区域17’および24は、弁体の外面とガス室の壁部との間の相応に広い間隙を有する弁体12の案内のために作用して、弁体12とガス室8の壁部との間の接触およびこれに伴う摩耗が起こらないようにする。薄肉旋削部19と磁気的な第1のスリーブ区域120とを通る磁場を図解するために、図3は右側に電磁石18の磁束線27と、ガス調量弁の内部でのおおよその進路を示している。
【符号の説明】
【0021】
1 ハウジング
8 ガス室
9 流入開口部
10 流出開口部
12 弁体
14 収容開口部
17 第1の案内区域
17’ カプラースリーブの第1の案内区域
18 電気式のアクチュエータ
20 カプラースリーブ
24 第2の案内区域
30 ノズルニードル
37 ノズルシート
120 第1のスリーブ区域
220 第2のスリーブ区域
図1
図2
図3