(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】シール体の製造方法、及びシール体
(51)【国際特許分類】
F16J 15/00 20060101AFI20250127BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20250127BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20250127BHJP
【FI】
F16J15/00 B
F16J15/10 X
F16J15/00 Z
C09K3/10 E
C09K3/10 Z
(21)【出願番号】P 2023543759
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2022028911
(87)【国際公開番号】W WO2023026752
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2021137103
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(74)【代理人】
【識別番号】100198856
【氏名又は名称】朝倉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡 晨一郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 健介
(72)【発明者】
【氏名】青柳 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佳太
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-051257(JP,A)
【文献】特開2002-212341(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065669(WO,A1)
【文献】特開2013-163807(JP,A)
【文献】特表2015-520052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00
F16J 15/10
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含む化合物を主原料とするシール体の製造方法であって、
前記化合物に架橋剤を添加し、得られた混合物から帯状体を形成する帯状体形成工程と、
前記帯状体形成工程によって得られた前記帯状体の一方の端部及び他方の端部同士を圧着し、無端状のシール体を形成する圧着工程と
を具備し、
前記帯状体形成工程は、
前記化合物に含まれる前記ハロゲン基含有モノマーのハロゲン基に対する、前記架橋剤のモル等量が0.2~4.0の範囲となるように前記架橋剤が添加されるシール体の製造方法。
【請求項2】
ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含む化合物を主原料とするシール体の製造方法であって、
前記化合物に架橋剤を添加し、得られた混合物から帯状体を形成する帯状体形成工程と、
前記帯状体形成工程によって得られた前記帯状体の一方の端部及び他方の端部同士を圧着し、無端状のシール体を形成する圧着工程と
を具備し、
前記帯状体形成工程は、
前記混合物を混練するローター羽根を用いて混練するミル混練機を用いて行うミル混練工程と、
前記ミル混練工程によって得られたミル混練物を複数のロール間で混練するロール混練機を用いて行うロール混練工程と
の二段階の混練工程を含むシール体の製造方法。
【請求項3】
前記混練工程の混練条件は、
前記ミル混練工程を行う前記ミル混練機の前記ローター羽根の回転速度が5rpm~20rpmの範囲、混練温度が30℃~70℃の範囲、及び、混練時間が30分~60分の範囲であり、
前記ロール混練工程を行う前記ロール混練機の前記ロールの回転速度が7rpm~20rpmの範囲、混練温度が30℃~80℃の範囲、及び、混練時間が10分~30分の範囲である請求項2に記載のシール体の製造方法。
【請求項4】
前記帯状体形成工程は、
プレス機を用いて加圧する加圧工程を含み、
前記加圧工程の加圧条件は、
前記プレス機の加圧圧力が95~105kgf/cm
2の範囲であり、加圧温度が150℃であり、加圧時間が1時間であり、加圧後の加圧体の厚さが2mm厚に調整される請求項1または2に記載のシール体の製造方法。
【請求項5】
前記圧着工程は、
前記帯状体の前記一方の端部及び前記他方の端部同士を圧着させた後、大気中で100℃で24時間加熱する圧着加熱工程を更に有する請求項1または2に記載のシール体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール体の製造方法、及びシール体に関する。更に詳しくは、自己修復機能を備え、成形用型を用いた成形工程を不要として製造することが可能な無端状(若しくは環状)を呈するシール体の製造方法、及び当該製造方法を用いて製造可能なシール体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水や油等の液体または気体等の流体の漏出を防ぐため、或いは、塵や埃等の夾雑物の外部からの侵入を防ぐ等のために、例えば、軸及び軸受け等の互いに対向し締結される二つの部材の一方の部材側に設けられた環状の溝(環状溝)にOリング等の無端状のシール体或いは密封装置と呼ばれる部材を装着することが行われている。
【0003】
かかるシール体を装着することで、二つの部材の間に形成された空隙(隙間)を物理的に閉塞することが可能となり、当該空隙への流体や夾雑物の侵入を防ぎ、二つの部材の間での流体等の流通を規制する密封構造を構築することができる。
【0004】
シール体は、主として弾性変形可能な硬質ゴム等のゴム状弾性体によって形成されており、予め所定形状に型彫りされた成形用型のキャビティに流動性を有するゴム状弾性体の原材料を流し込み、当該成形用型内で冷却等により硬化させた後、成形用型のキャビティから型抜きすることによって主に製造されている(例えば、特許文献1参照)。このようにして得られたシール体は、原材料のゴム状弾性体に起因する弾性力及び反発力を備えるものであり、これにより、二つの部材の間を密封することが可能となる。なお、密封構造を構築するために、上述したOリングのように、環状を呈するもの、換言すれば、無端状を呈するシール体が多く製造されている。
【0005】
Oリング等の環状を呈するシール体の製造方法について更に具体的に説明すると、上記特許文献1に、環状のOリングを形成するためのOリング成形用金型が開示されており、パーティングラインに対称な同一形状の一対の金型(上型及び下型)を有し、上型及び下側を互いに位置合わせした状態で重ね、型締めした状態で平面環状のOリング加硫成型空間を構成可能な環状成型凹部が上型及び下型の成形面にそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に示したように、一般的なシール体の場合、所定の形状に加工するために成形用型(例えば、成形用金型)を用いるため、当該成形用型等を製作するための製作コストが必要となることがあった。加えて、一般的な環状のシール体の場合、取り付け対象となる筐体側に、シール体を装着するための装着溝を予め形成しておく必要があり、かかる装着溝を設けるための加工工程が必要となり、作業工数の増加や装着溝を設けるための加工コストが更に必要となることがあった。
【0008】
加えて、シール体の反力等を用いて密封構造を構築するため、シール体のサイズや形状によっては、筐体自体に負荷がかかる可能性があり、筐体や筐体に形成された装着溝が変形する等の不具合を生じる可能性があった。
【0009】
ここで、シール体や密封装置として、上記のように固体のシール体を使用するもの主に例示して説明したが、シール体はこれに限定されるものではなく、例えば、「液状ガスケット」と呼ばれる液状のガスケットを用いて密封構造を構築することも行われている。
【0010】
しかしながら、液状ガスケットの場合、密封構造を得る二つの部材が重なり合う加工対象面に液状物質を塗布する必要があり、当該塗布の際に加工対象面からはみ出たり、流れでるなどの液状ガスケットの形成作業に手間がかかることがあった。加えて、液状物質を塗布した後、液状ガスケットを効果するまでに多くの時間が必要となるため作業時間が長時間化するおそれがあり、かつ液状ガスケットの硬化が完了すると容易に取り外せなくなるなどの不具合を生じることがあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、優れた装着性を有するとともに、かつ製造コストや加工コストを抑制することが可能であり、設置対象となる筐体に過度な負荷がかかることのない無端状(環状)のシール体を製造するためのシール体の製造方法、及び当該製造方法を用いて製造されるシール体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、上記課題を解決したシール体の製造方法、及びシール体が下記において提供される。
【0013】
[1] ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含む化合物を主原料とするシール体の製造方法であって、前記化合物に架橋剤を添加し、得られた混合物から帯状体を形成する帯状体形成工程と、前記帯状体形成工程によって得られた前記帯状体の一方の端部及び他方の端部同士を圧着し、無端状のシール体を形成する圧着工程とを具備し、前記帯状体形成工程は、前記化合物に含まれる前記ハロゲン基含有モノマーのハロゲン基に対する、前記架橋剤のモル等量が0.2~4.0の範囲となるように前記架橋剤が添加されるシール体の製造方法。
【0014】
[2] ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含む化合物を主原料とするシール体の製造方法であって、前記化合物に架橋剤を添加し、得られた混合物から帯状体を形成する帯状体形成工程と、前記帯状体形成工程によって得られた前記帯状体の一方の端部及び他方の端部同士を圧着し、無端状のシール体を形成する圧着工程とを具備し、前記帯状体形成工程は、前記混合物を混練するローター羽根を用いて混練するミル混練機を用いて行うミル混練工程と、前記ミル混練工程によって得られたミル混練物を複数のロール間で混練するロール混練機を用いて行うロール混練工程との二段階の混練工程を含むシール体の製造方法。
【0016】
[3]前記混練工程の混練条件は、前記ミル混練工程を行う前記ミル混練機の前記ローター羽根の回転速度が5rpm~20rpmの範囲、混練温度が30℃~70℃の範囲、及び、混練時間が30分~60分の範囲であり、前記ロール混練工程を行う前記ロール混練機の前記ロールの回転速度が7rpm~20rpmの範囲、混練温度が30℃~80℃の範囲、及び、混練時間が10分~30分の範囲である前記[2]に記載のシール体の製造方法。
【0017】
[4] 前記帯状体形成工程は、プレス機を用いて加圧する加圧工程を含み、前記加圧工程の加圧条件は、前記プレス機の加圧圧力が95~105kgf/cm2の範囲であり、加圧温度が150℃であり、加圧時間が1時間であり、加圧後の加圧体の厚さが2mm厚に調整される前記[1]または[2]に記載のシール体の製造方法。
【0018】
[5] 前記圧着工程は、前記帯状体の前記一方の端部及び前記他方の端部同士を圧着させた後、大気中で100℃で24時間加熱する圧着加熱工程を更に有する前記[1]または[2]に記載のシール体の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明のシール体の製造方法によれば、ハロゲン基含有モノマーを含むアクリルゴム等の化合物を主原料とし、帯状体形成工程によって形成された帯状体の一方の端部及び他方の端部同士を圧着することにより、無端状のシール体を形成することが可能となる。これにより、従来の成形用型を用いる必要がなく、製造コストを抑えて無端状(環状)のシール体を容易に形成することができる。更に、得られたシール体は、自己修復機能を備えることにより、優れた装着性を発揮し、かつ筐体に過度な負荷がかかることがない等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態のシール体の製造方法の流れを模式的に示す説明図である。
【
図2】(a)加圧体、(b)帯状体、(c)帯状体の端部同士の圧着、及び無端状のシール体の概略構成を示す説明図である。
【
図3】引張試験の(a)試験片、(b)試験切断片、(c)自己修復機能評価用測定試料の概略構成を示す説明図である。
【
図4】粘着性・剥離性の評価のための評価用測定試料の調整の概略構成を示す説明図である。
【
図5】水没試験治具の概略構成を示す説明図である。
【
図6】耐水性測定試料の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明のシール体の製造方法、及びシール体の実施の形態について詳述する。なお、本発明の実施形態のシール体の製造方法、及びシール体は、以下に示すものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
【0030】
1.シール体の製造方法
本発明の一実施形態のシール体の製造方法1は、
図1~
図6に示されるように、ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含む化合物2を主原料とするものであって、当該化合物2に架橋剤3を添加し、得られた混合物4から帯状体7を形成する帯状体形成工程と、帯状体形成工程によって得られた帯状体7の一方の端部7a及び他方の端部7b同士を圧着し、無端状のシール体8を形成する圧着工程S5とを具備して主に構成されている。
【0031】
シール体8の主原料となる化合物2は、例えば、アクリルモノマーから誘導されたアクリルモノマー誘導の構成単位(アクリルモノマー誘導構成単位)と、ハロゲン基含有モノマーから誘導されたハロゲン基含有モノマー誘導の構成単位(ハロゲン基含有モノマー誘導構成単位)とをそれぞれ含み、これらの構成単位がそれぞれ繰り返し単位として含んで構成されたアクリルゴム等を用いることができる。更に、アクリルモノマー(アクリルモノマー誘導構成単位)としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシエチル等を使用することが可能であり、一方、ハロゲン基含有モノマー(ハロゲン基含有モノマー誘導構成単位)として、例えば、2-クロロエチルビニルエーテル等の2-クロロエチルビニルモノマー等を使用することが可能である。なお、ハロゲン基含有モノマーにおけるハロゲン基として、上記の塩素基以外にもフッ素基、ブチル基、及びヨウ素基等が使用されるものであっても構わない。
【0032】
本実施形態のシール体の製造方法1における帯状体形成工程は、上記のハロゲン基含有モノマーを含んだ主原料となる化合物2に対し、予め規定された添加量の架橋剤3を添加し、周知の攪拌機等(図示しない)を用いてアクリルゴム2及び架橋剤3を均一に混合し、混合物4を形成する架橋剤添加工程S1を含んで構成されている。ここで、架橋剤3として、例えば、1-ブチルイミダゾール等のイミダゾール化合物を添加し使用することができる。すなわち、アクリルゴム等の化合物2に添加され、均一に混合可能なものであり、化合物2との間に架橋反応を進行させることが可能な架橋剤3であれば構わない。
【0033】
ここで、架橋剤添加工程S1における化合物2に対する架橋剤3の添加量は、下記に基づいて規定することが可能である。すなわち、アクリルゴム2に含まれるハロゲン基含有モノマーのハロゲン基に対し、当該架橋剤3のモル等量が0.2~4.0の範囲とすることができる。
【0034】
なお、かかるモル等量の範囲をmol%に換算した場合、架橋剤3の添加量は、アクリルゴム2の添加量に対し、0.8mol%~4.2mol%の範囲とすることができる。上記の通り規定されたモル等量(若しくはmol%)の架橋剤3を添加することにより、化合物2が良好な架橋反応を促進することができる。
【0035】
本実施形態のシール体の製造方法1における帯状体形成工程は、架橋剤添加工程S1によって規定量の架橋剤3が添加され、アクリルゴム2と攪拌し、均一となるように混合することで得られた混合物4を更に混練する混練工程S2を含んで構成されている。ここで、混練工程S2は、周知の混練機を用いて実施することが可能であり、特に限定されるものではなく、混合物4を混練し、所定の粘度に調整するものである。
【0036】
例えば、駆動用モータに接続されたローター羽根を用い、当該ローター羽根を回転させることで混合物4を混練するミル混練機(図示しない)や、複数のロール間の間で混合物4を混練するロール混練機(図示しない)等を用いることができる。
【0037】
また、混練工程S2は、上述したミル混練機及びロール混練機をそれぞれ混練機として用い、二段階の工程で実施することが可能である。具体的に説明すると、架橋剤添加工程S1によって得られた混合物4を第一段階として、ミル混練機を混練機として用いて混練するミル混練工程S2aと、ミル混練工程S2aによって得られたミル混練物5aを第二段階として、更にロール混練機を混練機として用いて混練するロール混練工程S2bとを行うことができる。なお、混練工程S2は、上記に限定されるものではなく、ミル混練工程S2a及びロール混練工程S2bのいずれか一方のみ、或いは、ミル混練工程S2aの前にロール混練工程S2bを実施するものであっても構わない。
【0038】
ここで、混練工程S2における混合物4に対する混練条件は、特に限定されるものではなく、例えば、ミル混練工程S2aを行うミル混練機におけるローター羽根の回転速度を5rpm~20rpmの範囲、混練温度を30℃~70℃の範囲、及び、混練時間を30分~60分の範囲としたり、ロール混練工程S2bを行うロール混練機におけるロールの回転速度を7rpm~20rpmの範囲、混練温度を30℃~80℃の範囲、及び、混練時間を10分~30分の範囲としたりすることができる。
【0039】
このようにして上記混練工程S2(ミル混練工程S2a、ロール混練工程S2b)による混練を実施することで、混練工程S2に送出された混合物4は次工程を実施するための適度な粘性や流動性を有する性状の物質に調整される。
【0040】
本実施形態のシール体の製造方法1における帯状体形成工程は、混練工程S2によって得られた混練物5をプレス機を使用して加圧する加圧工程S3を含んで構成されている。加圧工程S3は、周知のプレス機を使用することが可能であり、予め規定された加圧圧力で加熱をしながら圧力を加えることにより、混練工程S2から送出された例えば、塊状の混練物5を所定の厚さとなるように薄く引き延ばした薄板状の加圧体6の形状とすることができる(
図2(a)参照)。なお、
図2(a)では、略正方形状にカットしたものを示しているが、これに限定されるものではない。
【0041】
加圧工程S3におけるプレス機の加圧条件は、特に限定されるものではないが、例えば、プレス圧:95~105kgf/cm2、プレス温度:150℃、プレス時間:1時間等で周知のプレス型内でプレスを行うことにより、加圧後の加圧体厚さtが2mm厚さに調整された加圧体6を形成することが可能となる。
【0042】
本実施形態のシール体の製造方法1における帯状体形成工程は、上記加圧工程S3によって均一の加圧体厚さt(例えば、2mm厚さ)となるようにプレスされた薄板状の加圧体6を更に帯状体7(
図2(b)参照)にカットする切断工程S4を含んで構成されている。なお、切断工程S4は、特に限定されるものではなく、薄板状の加圧体6を所定幅の帯状体7(換言すれば、細長形状の態様)に切断加工可能なものであればよく、例えば、周知の切断手段(カッター)等を用いてカットする、若しくは、帯状体7の形状に合わせた型を用い、型抜きすることにより形成するものであってもよい。これにより、最終的に長手方向及び短手方向を有する所定の幅の細長形状(或いは短冊状)の帯状体7とすることができる。
【0043】
また、帯状体7であるために、長手方向の両端に一方の端部7a及び他方の端部7bを有している。すなわち、切断工程S4によって、一対の端部7a,7bを有する有端状の帯状体7が形成される。
【0044】
本実施形態のシール体の製造方法1は、帯状体形成工程を経て形成された所定幅の帯状体7の一方の端部7a及び他方の端部7b同士を圧着する圧着工程を更に具備している(
図2(c)参照)。これにより、前述した有端状の帯状体7の一方の端部7a及び他方の端部7b同士が圧着することで一体化され、端部7a,7bが消失し、無端状(環状)を呈するシール体8が形成される(
図2(d)参照)。
【0045】
更に、圧着工程は、帯状体7の一方の端部7a及び他方の端部7b同士を互いに近接させるように、帯状体7を所定の方向(
図2(c)における矢印方向)に変形させ、かかる変形状態で圧着を行うものである。帯状体7は、前述したように、帯状体形成工程に含まれる混練工程S2及び加圧工程S3を経たアクリルゴム等の化合物2を主原料とするものであり、上記の通り自由に変形可能な性状を有している。
【0046】
本実施形態のシール体製造方法における圧着工程は、更に帯状体7の一方の端部7a及び他方の端部7b同士を圧着させた後を保持し、大気中で100℃の温度で24時間加熱する圧着加熱工程を含むことができる。これにより、帯状体7を構成する化合物2の架橋反応が進行し、かつ端部7a,7b同士が一体化することで無端状のシール体8を得ることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のシール体の製造方法1は、ハロゲン基含有モノマーを構成単位として含むアクリルゴム等の化合物2等を主原料とすることにより、帯状に成形した後、それぞれの端部7a,7b同士を接合し、自己修復機能を利用して環状(無端状)のシール体8を形成することができる。そのため、従来のシール体の製造のように、成型用型を必要とすることなく、かかる成形用型のための製作コスト等を削減することが可能ととなる。また、シール体8を装着する筐体側に過度な負担がかかることがなく、かつ筐体に溝等を設ける加工工程を省略することができる。
【0048】
更に、従来から用いられている液状ガスケットと比して、シール体8自体は固体物であるため、筐体への装着後は装着部位から流れ出ることがなく、液状ガスケットよりも取り扱いが容易であるという利点を有している。加えて、液状ガスケットよりも筐体に短時間で装着が可能であり、装着後であっても取り外しを容易に行える。
【0049】
更に、本実施形態のシール体の製造方法1によって製造されたシール体8は、下記に示す特性を有している。すなわち、自己修復率(詳細は後述する)が50%以上であり、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)に対する粘着力が0.30N/mm以上、0.70N/mm以下であり、ナイロンに対する粘着力が0.30N/mm以上、0.50N/mm以下であり、アルミニウムに対する粘着力が0.10N/mm以上、0.40N/mm以下であり、かつ40%収縮時の反力が200N以下である。更に、IPX7相当の耐水性を有する。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
【0051】
1.シール体の製造方法
実施例1~9、比較例1~2のシール体は、下記に示す表1に記載のアクリルゴム(本発明における化合物に相当)を主原料とし、当該アクリルゴムに架橋剤を添加し、帯状体形成工程に含まれる混練、加圧、及び切断の各工程を経て作成されたものである。なお、実施例1~9、比較例1~2のシール体の性能を評価するために、加圧工程を経た薄板状の加圧体を所定の形状及びサイズにカットし、それぞれ評価用の試料の作成を行っている。そのため、シール体の製造方法における圧着工程及び圧着加熱工程において形成される無端状のシール体と、評価用の試料との形状等が相違する場合もある。
【0052】
【0053】
具体的には、ハロゲン基含有モノマーを含むアクリルゴムとして、塩素基タイプアクリルゴム(ノックスタイト A-1095:ユニマテック株式会社製)が用いられ、実施例1~9、及び比較例1の架橋剤として1-ブチルイミダゾール(東京化成株式会社製)を用いている。また、比較例2の架橋剤として、ハイドロタルサイト(DHT-4A:協和化学工業株式会社製、架橋剤a)及びヘキサメチレンジアミンカーバメート(ケミノックス AC6-66:ユニマテック株式会社製、架橋剤b)を用いている。
【0054】
(1)架橋剤の添加(架橋剤添加工程)
アクリルゴムに対して添加される架橋剤の添加量は、実施例1の場合、上記表1に示すように、アクリルゴム100重量部に対し、1-ブチルイミダゾールの架橋剤を1.0重量部添加した。この場合、ハロゲン基含有モノマーのハロゲン基に対し、架橋剤のモル等量が0.2である。これらを攪拌機等を用いて均一に混合し、実施例1の混合物を得た。
【0055】
以下、同様にアクリルゴム100重量部に対し、上記表1に基づいて、実施例2は架橋剤を1.6重量部(モル等量換算:0.3)、実施例3は架橋剤を1.9重量部(モル等量換算:0.37)、実施例4は2.1重量部(モル等量換算:0.4)、実施例5は2.6重量部(モル等量換算:0.5)、実施例6は5.2重量部(モル等量換算:1.0)、実施例7は10.3重量部(モル等量換算:2.0)、実施例8は15.5重量部(モル等量換算:3.0)、及び実施例9は20.6重量部(モル等量換算:4.0)をそれぞれ添加し、均一に混合することで実施例2~9の混合物を得た。
【0056】
また、アクリルゴム100重量部に対し、架橋剤を0.5重量部(モル等量換算:0.1)添加し、均一に混合することで比較例1の混合物を得た。更に、比較例2はアクリルゴム100重量部に対し、架橋剤としてハイドロタルサイトを3重量部及びヘキサメチレンジアミンカーバメートを1重量部をそれぞれ添加し、均一に混合することで比較例2の混合物を得た。
【0057】
(2)混練(ミル混練工程)
上記表1に記載されたアクリルゴム及び架橋剤を使用し、アクリルゴムに対してそれぞれ規定量の架橋剤を添加した実施例1~9、及び比較例1~2の混合物をミル混練機(ラボプラストミル 30C150:東洋精機株式会社製)を用いてそれぞれ混練した。ここで、混練条件は、ローター羽根の回転数を10rpm、混練時の温度を60℃以下となるように調整し、混練時間20分の混練を実施した。
【0058】
(3)混練(ローラ混練工程)
ミル混練工程によって得られたミル混練物を、ロール混練機(LABORATORY MILL:関西ロール株式会社製)を用いて混練した。ここで、混練条件は、ロールの回転速度を10rpm、混練時の温度を30~60℃の範囲となるように調整し、更に混練時間30分の混練を実施した。
【0059】
(4)加圧(加圧工程)
ローラ混練工程によって得られた実施例1~9、及び比較例1~2の混練物を、プレス機(80TONプレス:北炭機械工業株式会社製)を用いて加圧した。ここで、加圧条件は、プレス圧を95kgf/cm2、プレス時の加圧温度を150℃、加圧時間を1時間、加圧型として2mm厚のものを使用した。比較例2の混練物の加圧条件は、プレス圧を95kgf/cm2、プレス時の加圧温度を170℃、加圧時間を30分、加圧型として2mm厚のものを使用した。
【0060】
2.自己評価機能の評価
(1)評価用の測定試料の作成
上記加圧工程によってそれぞれ得られた実施例1~9、及び比較例1~2の厚さ2mmの薄板状の加圧体から、JIS K6251:2017(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方)に規定されたダンベル状8号形のサイズの試験片9(
図3(a)参照)を打ち抜き、自己修復機能を評価するための測定試料であるそれぞれ作成した。得られた試験片9の中央部をナイフで切断し、切断面10aを有する試験切断片11a及び切断面10bを有する試験切断片11bに分割した後(
図3(b)参照)、互いの試験切断片11a,11bの切断面10a,10b同士を密着し接合させた状態で、内部を100℃に調整したオーブン内に投入し、大気中で24時間の加熱を行った。これにより、自己修復機能評価用測定試料9aを得た。なお、実施例1~9、及び比較例1~2において、上記試験切断片11a,11bに切断することなく、オーブン内に投入し、大気中で加熱を行った対比用試料についてもそれぞれ作成している。
【0061】
【0062】
(2)シール体の形成の可否の評価
下記表2に示すように、本発明のシール体の製造方法の権利範囲に相当するアクリルゴム100重量部に対して添加する架橋剤の添加量が1.0~20.6重量部(モル等量換算で0.2~4)に相当する実施例1~9の測定試料は、シール体の形成が可能であることが示された(表2における“○”に相当”)。すなわち、圧着接合した状態で加熱することにより、切断面10a,10b同士が接合され、一体化した状態となった。
【0063】
これに対し、本発明のシール体の製造方法の権利範囲から逸脱するアクリルゴム100重量部に対して添加する架橋剤の添加量が0.5重量部(モル等量換算で0.1)に相当する比較例1の測定試料は、シール体自体の形成が困難であり、
図3(a)等に示す試験片9自体を作成することができなかった(表2における“×”に相当)。一方、比較例2についてはシール体の形成が可能であった。
【0064】
(3)自己修復率の評価
加熱後の測定試料を引張試験機(オートグラフAG-X:株式会社島津製作所製)を利用して下記の条件下で引張試験を行った。
<引張試験条件>
引張速度:500mm/min
周囲温度:室温
周囲雰囲気:大気下
【0065】
実施例1~9、及び比較例2の自己修復機能の評価用の測定試料、及び、それぞれの対比用試料について引張試験を行い、自己修復率を下記の通り評価した。
すなわち、
自己修復率(%)=[評価用の測定試料の引張強度(N)]÷[対比用試料の引張強度(N)]×100
【0066】
表2に示されるように、実施例1~9は、対比用試料の引張強度に対し、少なくとも30%以上の自己修復率を示し、特に実施例1~5は65%以上の高い自己修復率であることが確認された。一方、比較例2は、自己修復率が21.8%であり、実施例1~9等と比較して低い値であった。そのため、比較例2の測定試料では、高いシール性を発揮することができないと想定される。なお、比較例1はシール体の形成自体が不可であったため、自己修復率の評価は行っていない。
【0067】
以上示すように、本発明のシール体の製造方法によって製造されるシール体は、自己修復率に優れることが確認された。そのため、所定のサイズにカットした後、一方の端部及び他方の端部同士を圧着し加熱する圧着工程(若しくは圧着加熱工程)を実施することで、端部同士が一体化し、充分な強度を示すことが確認された。そのため、シール体としての使用が可能となり、高いシール性、換言すれば、充分な密封性能を発揮することができる。
【0068】
(4)圧縮試験
上記加圧工程(但し、加圧型として8mm厚のものを使用)によってそれぞれ得られた実施例1~9の厚さ8mmの薄板状の加圧体から、15mm×15mm×8mmの圧縮試験評価用の圧縮試験片(図示しない)をそれぞれ作成した。得られた圧縮試験片を引張試験機(オートグラフAG-IS 100kN:株式会社島津製作所製)を利用して下記の条件下で圧縮試験を行った。
<圧縮試験条件>
試験速度速度:5mm/min
測定方向:圧縮方向
周囲温度:室温
周囲雰囲気:大気下
最大荷重:1500N
【0069】
上記圧縮試験条件下において、圧縮前の圧縮試験片の高さに対して40%となるように圧縮を行った際の反力は、いずれも200N以下であることが確認された。
【0070】
3.粘着性・剥離性の評価
上記加圧工程によってそれぞれ得られた実施例1~9、及び比較例1~2の加圧体から粘着性・剥離性の評価のための評価用測定試料を作成し、下記の条件で加圧後に剥離強度試験機(LTS-200N-S100:ミネベア株式会社製)を利用して引張強度試験を行った。
【0071】
<評価用測定試料の調整>
実施例1~9、及び比較例1~2の厚さ2mmの薄板状の加圧体から、長さ50mm~70mm、幅18mm、及び厚さ2mm、かつ、粘着部のサイズが18mm×18mmの粘着性・剥離性の評価用の評価用測定試料12を作成した。一方、粘着性・剥離性の評価対象となる評価用測定試料12と同サイズの長さ50mm~70mm、幅18mm、及び厚さ2mmで形成されたそれぞれアクリルニトリル・ブタジエンゴム(以下、「NBR」と称す。)、ナイロン、及びアルミニウムからなる異種材料の板状体13a,13b,13cをそれぞれ用意した。
【0072】
図4に示すように、異種材料の板状体13a等をそれぞれ載置し、評価用測定試料12の粘着部14に相対する範囲の上面のみを露出させ、その他の上面をフッ素樹脂シート15で被覆するように積重する。更に、フッ素樹脂シート15で被覆されていない異種材料の板状体13a等の露出部16の位置に評価用測定試料12の18mm×18mmの粘着部14を重ね合わせて配置し、更に粘着部14の上から18mm×18mmのサイズに調整されたステンレス板17を載せる。その後、ステンレス板17の上に3.3kgの錘18を載せ、粘着部14の上にのみ錘18の荷重(圧力)が加わるようにする(
図4参照)。これにより、下から異種材料の板状体13a等、フッ素樹脂シート15、評価用測定試料12、ステンレス板17、及び錘18が積重した積重体が形成され、錘18の荷重によって評価用測定試料18の粘着部14と異種材料の板状体13a等の露出部16とが密着した状体となる。
【0073】
かかる密着状態を保持しながらオーブン(図示しない)に投入し、大気圧下で100℃の加熱温度による24時間の加熱を行う。24時間が経過した後、オーブンから取り出し、粘着部14及び露出部16における異種材料の板状体13a等に対する評価用測定試料12の粘着性及び剥離性の評価を剥離強度試験によって行う。
【0074】
<剥離強度の測定条件>
剥離強度試験機: LTS-200N-S100(ミネベア株式会社製)
引張強度:50mm/min
温度:室温
剥離角度:90°
【0075】
上記した剥離強度の測定条件に基づいて、異種材料の板状体13a等に対し、90°方向に評価用測定試料12を剥がした際に要する粘着部14及び露出部16の密着した部分における剥離強度を測定した。その結果を、上記表2に示す。
【0076】
表2に示されるように、実施例1~9は、比較例2のNBR、ナイロン、及びアルミニウムとの剥離強度の値に対し、ほぼ同等(実施例9のみ)またはそれ以上の高い剥離強度の値を示すことが確認された。特に、アルミニウムを異種材料の板部材13cとした場合の比較例2に対する剥離強度の増大が顕著に認められた。
【0077】
以上示すように、本発明のシール体の製造方法によって製造されるシール体は、異種材料に対する高い剥離強度を有することが確認された。すなわち、NBR、ナイロン、及びアルミニウムの異種材料に対し、比較例2の剥離強度と比較していずれも高い強度を示すことが示された。そのため、シール体としての使用が可能となり、高いシール性、換言すれば、充分な密封性能を発揮することができる。
【0078】
4.耐水性の評価
図5に示す水没試験治具19、及び
図6に示す無端状のシール体からなる耐水性測定試料20(塩素基タイプアクリルゴムに1-メチルイミダゾールを0.37等量添加して作成したもの)を用い、耐水性の評価を行った。更に具体的に説明すると、耐水性の評価のための水没試験治具19は、縦型パイプ21及び横型パイプ22を組み合わせて構成され、パイプ水深Hが1mとなるように調整されたものを使用した。上方にアクリル製円柱部材23a及び下方にSUS製円柱部材23bを配し、アクリル製円柱部材23a及びSUS製円柱部材23bで圧縮率が10%となるように調整して耐水性測定試料20を挟み込んで形成したサンプル24を、パイプ内空間25のパイプ底部26に静置し、30分間かかる静置状態を保持した。なお、
図6に模式的に示すように、耐水性測定試料20は、圧着されたつなぎ部27を有する無端状を呈し、耐水性測定試料20に囲まれた内側の空間(環状空間)には、水との接触によって水漏れを検知可能な水漏れ検知シール28が配されている。なお、
図6はアクリル製円柱部材23aを取り外し、耐水性測定試料20を上方から視た図を示している。
【0079】
30分の静置後、耐水性測定試料20を水没試験治具19から取り出し、水漏れ検知シール28への水漏れの有無を目視にて確認したところ、IPX7相当の耐水性を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のシール体の製造方法、及びシール体は、シール体を使用する種々の機械部品等を用いる産業分野においての産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0081】
1:シール体の製造方法
2:化合物
3:架橋剤
4:混合物
5:混練物
5a:ミル混練物(混練物)
5b:ロール混練物(混練物)
6:加圧体
7:帯状体
7a:一方の端部
7b:他方の端部
8:シール体
9:試験片
9a:自己修復機能評価用測定試料
10a,10b:切断面
11a,11b:試験切断片
12:評価用測定試料
13a,13b,13c:異種材料の板状体
14:粘着部
15:フッ素樹脂シート
16:露出部
17:ステンレス板
18:錘
19:水没試験治具
20:耐水性測定試料
21:縦型パイプ
22:横型パイプ
23a:アクリル製円柱部材
23b:SUS製円柱部材
24:サンプル
25:パイプ内空間
26:パイプ底部
27:つなぎ部
28:水漏れ検知シール
S1:架橋剤添加工程(帯状体形成工程)
S2:混練工程(帯状体形成工程)
S2a:ミル混練工程(帯状体形成工程)
S2b:ロール混練工程(帯状体形成工程)
S3:加圧工程(帯状体形成工程)
S4:切断工程(帯状体形成工程)
S5:圧着加熱工程(圧着工程)
H:パイプ水深
t:加圧体厚さ